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JP2022101467A - 酸化物蛍光体、発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法 - Google Patents

酸化物蛍光体、発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法 Download PDF

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JP2022101467A
JP2022101467A JP2021180133A JP2021180133A JP2022101467A JP 2022101467 A JP2022101467 A JP 2022101467A JP 2021180133 A JP2021180133 A JP 2021180133A JP 2021180133 A JP2021180133 A JP 2021180133A JP 2022101467 A JP2022101467 A JP 2022101467A
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嘉典 村▲崎▼
Yoshinori Murasaki
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】赤色光から近赤外光の波長範囲に発光ピークを有する酸化物蛍光体を提供する。【解決手段】Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素M1と、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素M2と、Geと、O(酸素)と、Crと、を含む組成を有する酸化物蛍光体であり、酸化物蛍光体の組成1モルにおける、Geのモル比を6としたときに、第1元素M1のモル比が1.5以上2.5以下の範囲内であり、第2元素M2のモル比が0.7以上1.3以下の範囲内であり、O(酸素)のモル比が12.9以上15.1以下の範囲内であり、Crのモル比が0.2以下であり、発光スペクトルにおいて700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する、酸化物蛍光体である。【選択図】図4

Description

本開示は、酸化物蛍光体、発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法に関する。
赤色光から近赤外光の波長範囲に発光強度を有する発光装置は、例えば赤外線カメラ、赤外線通信、植物育成、栽培用の光源、生体認証の1種である静脈認証、青果等の食品の糖度を非破壊で測定する食品成分分析機器等への使用が望まれている。赤色光から近赤外光の波長範囲とともに、可視光の波長範囲においても発光する発光装置も望まれている。
このような発光装置として、発光ダイオード(LED)と蛍光体とを組み合わせた発光装置が挙げられる。
また、発光装置に組み合わされる蛍光体として、赤色光から近赤外光の波長範囲に比較的大きな発光スペクトルの発光強度を有する蛍光体(以下、「近赤外発光蛍光体」ともいう。)が挙げられる。
特許文献1には、近赤外発光蛍光体として、680nm以上760nm以下の波長範囲内に発光ピーク波長を有し、組成が例えばCaYAlO:Mn4+で表される蛍光体が開示されている。上述したような各用途に適した、より半値全幅が大きく、発光ピーク波長がより長い波長範囲にある発光スペクトルを有する近赤外発光蛍光体が求められる場合もある。
特表2020-528486号公報
本開示は、赤色光から近赤外光の波長範囲に発光ピーク波長を有し、発光スペクトルの半値全幅が広い酸化物蛍光体、それを用いた発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法を提供することを課題とする。
第一態様は、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mと、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mと、Geと、O(酸素)と、Crと、を含み、必要に応じて、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mと、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含んでいてもよい組成を有する酸化物蛍光体であり、前記酸化物蛍光体の組成1モルにおける、前記Geのモル比又は前記第3元素Mを含むときは前記第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、前記第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内であり、前記第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内であり、前記第3元素Mのモル比が0以上0.4以下の範囲内であり、前記O(酸素)のモル比が12.9以上15.1以下の範囲内であり、前記Crのモル比が0.2以下であり、蛍光体の発光スペクトルにおいて、700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する酸化物蛍光体である。
第二態様は、前記酸化物蛍光体と、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、前記酸化物蛍光体を照射する発光素子と、を備える発光装置である。
第三態様は、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mを含む第1化合物と、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mを含む第2化合物と、Geを含む第5化合物と、Crを含む第6化合物と、必要に応じてSi、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mを含む第3化合物と、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含む第4化合物と、を準備することと、
酸化物蛍光体の組成1モルにおける前記Geのモル比又は前記第3元素Mを含むときは前記第3元素M及び前記Geの合計のモル比を6としたときに、前記第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内となり、前記第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内となり、Crのモル比が0.2以下となるように、前記第1化合物と、前記第2化合物と、前記第5化合物と、前記第6化合物と、必要に応じて前記第3化合物又は第4化合物と、を調整して混合した原料混合物を準備することと、前記原料混合物を、酸素を含む雰囲気中で、900℃以上1200℃以下の範囲内の温度で熱処理して、酸化物蛍光体を得ることと、を含み、前記第1化合物、前記第2化合物、前記第5化合物及び前記第6化合物からなる群から選択される少なくとも1種が酸化物である、酸化物蛍光体の製造方法である。
本開示によれば、赤色光から近赤外光の波長範囲に発光ピーク波長を有し、発光スペクトルの半値全幅が広い酸化物蛍光体、それを用いた発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法を提供することができる。
図1は、発光装置の第1構成例の一例を示す概略断面図である。 図2は、発光装置の第1構成例の他の例を示す概略断面図である。 図3Aは、発光装置の第2構成例を示す概略平面図である。 図3Bは、発光装置の第2構成例を示す概略断面図である。 図4は、実施例1に係る酸化物蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 図5は、実施例2に係る酸化物蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 図6は、実施例3に係る酸化物蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 図7は、実施例4に係る酸化物蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 図8は、比較例1に係る酸化物の発光スペクトルを示す図である。 図9は、実施例1に係る酸化物蛍光体及びアルミン酸塩蛍光体(YAl12:Ce)の励起スペクトルを示す図である。 図10は、実施例2に係る酸化物蛍光体及びアルミン酸塩蛍光体(YAl12:Ce)の励起スペクトルを示す図である。 図11は、実施例1及び2に係る酸化物蛍光体の反射スペクトルを示す図である。 図12は、実施例1から3に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。 図13は、実施例4及び5に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。 図14は、比較例1に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。 図15は、比較例1に係る発光装置の発光スペクトルを示し、一部を拡大した拡大図である。
以下、本開示に係る酸化物蛍光体、それを用いた発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の酸化物蛍光体、発光装置及び酸化物蛍光体の製造方法に限定されない。なお、可視光について、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
蛍光体を用いた発光装置には、視認対象や使用状況に応じて、最適な波長範囲の光を出射することが求められる。例えば医療現場等においては、生体内の情報を簡易に得ることが求められる場合がある。生体内には、光吸収体として例えば水、ヘモグロビン、メラニン等が含まれる。例えばヘモグロビンは、波長が650nm未満の可視光の波長範囲の光の吸収率が高く、可視光の波長範囲の光を出射する発光装置では、生体内に可視光の波長範囲の光が透過し難く、生体内の情報を得難い。そのため、生体内を光が透過しやすい「生体の窓」と呼ばれる波長範囲がある。その「生体の窓」と呼ばれる波長範囲の少なくとも一部を含む、例えば650nm以上1050nm以下の近赤外光の波長範囲の光を出射する発光装置が求められる場合がある。例えば生体内の血液中の酸素濃度の増減を、酸素と結合するヘモグロビンの光の吸収の増減によって測定することが可能であれば、発光装置からの光の照射によって生体内の情報を簡易に得ることが可能となる。そのため、発光装置に用いられる蛍光体は、650nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する蛍光体が求められる場合がある。
例えば食品分野においては、青果物の糖度を非破壊で測定する非破壊糖度計や米の非破壊食味計等が求められている。青果物の糖度、酸度、熟度、内部損傷等の内部品質や、異常乾燥等の青果物の果皮表面やその果皮表面近くの果皮表層に現れる表層品質を、非破壊で測定する方法として、近赤外分光法が用いられる場合がある。近赤外分光法は、青果物に近赤外光の波長範囲の光を照射して、青果物を透過した透過光や、青果物が反射した反射光を受光して、光の強度の減少(光の吸収)により青果物の品質を測定する。このような食品分野において使用される近赤外分光法の分析装置には、タングステンランプやキセノンランプのような光源が用いられている。本明細書において、赤色光の波長範囲は、JIS Z8110に従う。
また、気候変動等の環境変化が起こる中で、野菜等の植物を安定的に供給し、植物の生産効率を高めることが望まれている。人為的な管理が可能となる植物工場は、安全な野菜を市場に安定的に供給することが可能であり、次世代の産業として期待されている。このような植物工場においては、植物の成長を促進し得る光を照射する発光装置が求められる。植物の光に対する反応は、光合成と光形態形成に分けられる。光合成は、光エネルギーを利用して水を分解し、酸素を発生して二酸化炭素を有機物に固定する反応であり、植物の成長のために必要な反応である。光形態形成は、光を信号として利用し、種子の発芽、分化(発芽形成、葉の形成等)、運動(気孔開閉、葉緑体運動)、光屈折等を行う形態的な反応である。光形態形成反応には、690nm以上800nm以下の波長範囲の光が植物の光受容体に影響を及ぼすことが分かってきている。そのため、植物工場等で使用する発光装置には、植物の光受容体(クロロフィルa、クロロフィルb、カロテノイド、フィトクロム、クリプトクロム、フォトトロピン)に影響を及ぼし、植物の成長を促進する波長範囲の光の照射が可能であることが求められる場合がある。
上述した近赤外発光蛍光体についても、紫色から青色に発光する青色発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の発光素子を励起光源として発光装置としたとき、用途に適した発光が可能になるように、蛍光体としての発光特性を改良する余地がある。
700nm以上1050nm以下の波長範囲の発光とともに、365nm以上700nm未満の波長範囲でも発光する発光装置が求められる場合もある。例えば生体や青果物の内部情報を得るためのみならず、対象物の視認性を高めるために可視光の波長範囲の発光が必要な場合がある。また、例えば膜厚等の測定に使用される反射分光式の測定装置には、365nm以上700nm未満の可視光の波長範囲の一部を含む波長範囲から700nm以上1050nm以下の近赤外光の波長範囲の一部を含む幅広い波長範囲で発光スペクトルにおける最大の発光強度に対して10%以上の発光強度で発光する発光装置が求められる場合もある。
酸化物蛍光体
酸化物蛍光体は、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mと、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mと、Geと、O(酸素)と、Crと、を含み、必要に応じてSi、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mと、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含んでいてもよい組成を有する酸化物蛍光体であり、酸化物蛍光体の組成1モルにおける、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内であり、第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内であり、第3元素Mのモル比が0以上0.4以下の範囲内であり、O(酸素)のモル比が12.9以上15.1以下の範囲内であり、前記Crのモル比が0.2以下であり、蛍光体のスペクトルにおいて、700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する。酸化物蛍光体は、励起光を吸収し、生体内や青果物等の食品の内部情報を測定することが可能となる700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発することができる。本明細書において、「モル比」とは、特に断りのない限り、蛍光体の化学組成1モル中の各元素の比を表す。
酸化物蛍光体は、下記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有することが好ましい。
(Ge1-v :Cr,M (1)
(前記式(1)中、t、u、v、w、x及びyは、1.5≦t≦2.5、0.7≦u≦1.3、0≦v≦0.4、12.9≦w≦15.1、0<x≦0.2、0≦y≦0.10、y<xを満たす。)
酸化物蛍光体は、第1元素MがLi、Na及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、第2元素MがCa及びSrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を必須として含み、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでいてもよく、第3元素MがSi、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素でもよく、第4元素MがYb、Nd、Tm及びErからなる群から選択される少なくとも1種でもよい。
第1元素Mは、Li、Na、K及びRbからなる群から選択される少なくとも1種の元素でもよい。第1元素Mのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、第1元素Mのモル比は、1.5以上2.5以下の範囲内であり、1.7以上2.3以下の範囲内でもよく、1.8以上2.2以下の範囲内でもよく、2でもよい。酸化物蛍光体が、前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、第1元素Mのモル比を表す変数tは、1.5≦t≦2.5を満たし、1.7≦t≦2.3を満たしてもよく、1.8≦t≦2.2を満たしてもよく、t=2でもよい。
第2元素Mは、Ca及びSrからなる群から選択される少なくとも1種の元素でもよい。第2元素Mのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、0.7以上1.3以下の範囲内であり、0.8以上1.2以下の範囲内でもよく、0.9以上1.1以下の範囲内でもよい。酸化物蛍光体が、前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、第2元素Mのモル比を表す変数uは、0.7≦u≦1.3を満たし、0.8≦u≦1.2を満たしてもよく、0.9≦u≦1.1を満たしてもよい。
第3元素Mのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種であり、2種以上を含んでいてもよい。第3元素Mのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、第3元素Mのモル比は、0以上2.4以下であり、0.006以上2.1以下の範囲内でもよく、0.012以上1.8以下の範囲内でもよく、0.030以上1.5以下の範囲内でもよい。酸化物蛍光体が、前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、第3元素Mのモル比を表す変数vと6の積における変数vは、0≦v≦0.40でもよく、0.001≦v≦0.35でもよく、0.002≦v≦0.30でもよく、0.005≦v≦0.25でもよい。
酸化物蛍光体に含まれるO(酸素)のモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、12.9以上15.1以下の範囲内であり、13以上15以下の範囲内でもよく、13.5以上14.5以下の範囲内でもよく、14でもよい。酸化物蛍光体が、前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、O(酸素)のモル比を表す変数wは、12.9≦w≦15.1を満たし、13.0≦w≦15.0を満たしてもよく、13.5≦w≦14.5を満たしてもよく、w=14でもよい。
酸化物蛍光体に含まれるCrは、酸化物蛍光体の賦活元素である。酸化物蛍光体のCrのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、0.2以下である。発光素子等の励起光源からの光の照射によって酸化物蛍光体を発光させるために、酸化物蛍光体のCrのモル比は0を超える数値であり、0を超えて0.2以下であり、0.001以上0.2以下の範囲内でもよく、0.002以上0.18以下の範囲内でもよく、0.003以上0.15以下の範囲内でもよい。酸化物蛍光体が前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Crのモル比を表す変数xは、0<x≦0.2を満たし、0.001≦x≦0.2を満たしてもよく、0.002≦x≦0.18を満たしてもよく、0.003≦x≦0.15を満たしてもよい。
酸化物蛍光体に、必要に応じて含まれる第4元素Mは、Crと共に賦活元素であり、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素でもよく、Yb、Nd、Tm及びErからなる群から選択される少なくとも1種でもよい。
酸化物蛍光体に必要に応じて含まれる第4元素Mのモル比は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Geのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素MとGeの合計のモル比を6としたときに、Crと第4元素Mの合計のモル比が、0より大きく0.10以下の範囲内でもよく、0.001以上0.09以下の範囲内でもよく、0.002以上0.08以下の範囲内でもよい。第4元素Mのモル比は、Crのモル比よりも少ないことが好ましい。酸化物蛍光体が前記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する場合には、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、第4元素Mのモル比を表す変数yが、0≦y≦0.10を満たし、0.001≦y≦0.10を満たしてもよく、0.001≦y≦0.09を満たしてもよく、0.002≦y≦0.08を満たしてもよい。酸化物蛍光体が前記式(1)で表される組成を有する場合は、酸化物蛍光体の組成1モルにおいて、Crのモル比を表す変数xと、第4元素Mのモル比を表す変数yは、y<xを満たすことが好ましく、0<x+y≦0.2を満たすことが好ましい。
酸化物蛍光体は、700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、発光ピーク波長を有する発光スペクトルの半値全幅が150nm以上であることが好ましい。酸化物蛍光体の発光スペクトルにおいて、発光ピーク波長を有する発光スペクトルの半値全幅は、160nm以上であることが好ましく、170nm以上であることがより好ましく、180nm以上であることがさらに好ましい。酸化物蛍光体は、発光スペクトルの半値全幅がより大きいことが好ましい。発光ピーク波長を有する発光スペクトルの半値全幅は250nm以下であってよく、240nm以下であってもよく、230nm以下であってもよく、220nm以下であってもよい。本明細書において、半値全幅は、発光スペクトルにおいて、最大の発光強度を示す発光ピーク波長における発光強度に対して50%となる波長幅をいう。生体内では、光の吸収と散乱が生じ、生体内の血液中の微妙な光の伝播挙動の変化を測定するためには、半値全幅が広い発光ピークを有する光が照射されることが好ましい。また、青果物や米等の食品を非破壊で測定する場合おいても食品内部の情報を得るために、半値全幅が広い発光スペクトルを有する光が照射されることが好ましい。また、光で照射した場合の物体の色の見え方(以下、「演色性」ともいう。)は、広い波長範囲に発光スペクトルを有することが望ましく、半値全幅が広い方が演色性に優れた光を出射できる。例えば植物工場において、植物の成長に影響を与える波長範囲の光を出射する場合においても、作業者が作業しやすいように光のスペクトルバランスを崩すことのない光を出射することが求められる場合もある。
酸化物蛍光体は、単斜晶系の結晶構造を有し、空間群がP321に属することが好ましい。酸化物蛍光体が、前述の組成を有し、三方晶系の、空間群P321に属すると、発光素子からの光の照射によって、700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光が効率よく得られる。
発光装置
発光装置は、酸化物蛍光体と、酸化物蛍光体を照射する発光素子とを備える。酸化物蛍光体は、透光性材料とともに波長変換部材を構成する部材として用いることができる。
発光装置は、酸化物蛍光体を照射する発光素子として、例えば窒化物系半導体を用いたLEDチップ又はLDチップを備えることが好ましい。
発光素子は、好ましくは360nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、より好ましくは365nm以上600nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、さらに好ましくは365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する。発光素子を酸化物蛍光体の励起光源として用いることにより、発光素子からの光と酸化物蛍光体を含む蛍光体からの蛍光との所望の波長範囲の混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子の発光スペクトルにおける発光ピークの半値全幅は、例えば、30nm以下とすることができる。発光素子として、例えば、窒化物系半導体を用いた発光素子を用いることが好ましい。励起光源として窒化物系半導体を用いた発光素子を使用することによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
発光装置は、上述した酸化物蛍光体を含む第1蛍光体を必須とし、さらに異なる蛍光体を含んでいてもよい。発光装置は、第1蛍光体の他に、それぞれ蛍光体の発光スペクトルにおいて、455nm以上495nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、495nm以上610nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体、610nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体、及び700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する第5蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を備えることが好ましい。発光装置は、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内で連続し、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最大値を100%として、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上である発光スペクトルを有することが好ましい。発光装置の発光スペクトルが、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内で連続するとは、発光スペクトルが発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下における全ての波長範囲内で、発光スペクトルの発光強度が0%とならずに、発光スペクトルが途切れることなく連続することをいう。生体内や青果物等の測定対象又は検出対象に応じて、可視光から近赤外光の一部を含む波長範囲で連続した発光スペクトルを有する光を出射する光源が必要になる場合がある。タングステンランプやキセノンランプを光源として用いた場合、可視光から近赤外光の一部を含む波長範囲まで発光スペクトルが途切れることなく、連続した発光スペクトルを有する光が出射される。しかしながら、タングステンランプやキセノンランプを光源として使用すると装置の小型化が難しい。発光スペクトルが発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内で連続し、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最大値を100%として、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上である光を発する発光装置は、タングステンランプやキセノンランプを光源とした用いた発光装置と比較して小型化が可能である。小型の発光装置は、スマートフォン等の小型モバイルに搭載することができ、生体内の情報が得られると体調管理等に使用することができる。ここで、「発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内」とは、例えば発光素子の発光ピーク波長が420nmである場合には、420nm以上1050nm以下の範囲内をいう。
発光装置は、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内で連続し、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最大値を100%として、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上となる発光スペクトルを有し、可視光から近赤外までの幅広い波長範囲で発光する。このような発光装置は、例えば反射分光式の測定装置や、生体内や青果物等を非破壊で測定可能となるとともに演色性にも優れた光が求められる照明装置に使用することができる。
上述した酸化物蛍光体を含む第1蛍光体とは組成が異なる、第2蛍光体は、下記式(2a)で表される組成式に含まれる組成を有するリン酸塩蛍光体、下記式(2b)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体及び下記式(2c)で表される組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、2種以上の蛍光体を含んでいてもよい。
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,I):Eu (2a)
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu (2b)
SrAl1425:Eu (2c)
本明細書において、組成式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これらの複数の元素のうち少なくとも1種の元素を組成中に含有することを意味する。また、本明細書において、蛍光体の組成を表す組成式中、コロン(:)の前は母体結晶を構成する元素及びそのモル比を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。
第3蛍光体は、下記式(3a)で表される組成式に含まれる組成を有するケイ酸塩蛍光体、下記式(3b)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体又はガリウム酸塩蛍光体、下記式(3c)で表される組成式に含まれる組成を有するβサイアロン蛍光体、下記式(3d)で表される組成式に含まれる組成を有するハロゲン化セシウム鉛蛍光体、及び下記式(3e)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、2種以上の蛍光体を含んでいてもよい。第3蛍光体が2種以上の蛍光体を含む場合は、2種以上の第3蛍光体のそれぞれが495nm以上610nm未満の範囲内でそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体であることが好ましい。
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (3a)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce (3b)
Si6-zAl8-z:Eu (0<z≦4.2) (3c)
CsPb(F,Cl,Br) (3d)
(La,Y,Gd)Si11:Ce (3e)
第4蛍光体は、下記式(4a)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体、下記式(4b)で表される組成を有するフルオロゲルマン酸塩蛍光体、下記式(4c)で表される組成式に含まれる組成を有する酸窒化物蛍光体、下記式(4d)で表される組成式に含まれる組成を有するフッ化物蛍光体、下記式(4e)で表される組成式に含まれる組成を有するフッ化物蛍光体、下記式(4f)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体、及び下記式(4g)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、2種以上の蛍光体を含んでいてもよい。第4蛍光体が2種以上の蛍光体を含む場合は、2種以上の第4蛍光体のそれぞれが610nm以上700nmm未満の範囲内でそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体であることが好ましい。
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (4a)
3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn (4b)
(Ca,Sr,Mg)Si12-(m+n)Alm+n16-n:Eu (4c)
(前記式(4c)中、k、m、nは、0<k≦2.0、2.0≦m≦6.0、0≦n≦2.0を満たす。)
[M 1-bMn4+ ] (4d)
(前記式(4d)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH からなる群から選択される少なくとも1種を含み、その中でもKが好ましい。Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、その中でもSi、Geが好ましい。bは、0<b<0.2を満たし、cは、[M 1-bMn4+ ]イオンの電荷の絶対値であり、dは、5<d<7を満たす。)
A’c’[M1-b’Mn4+ b’d’] (4e)
(前記式(4e)中、A’は、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH からなる群から選択される少なくとも1種を含み、その中でもKが好ましい。M’は、第4族元素、第13族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、その中でもSi、Alが好ましい。b’は、0<b’<0.2を満たし、c’は、[M1-b’Mn4+ b’d’]イオンの電荷の絶対値であり、d’は、5<d’<7を満たす。)
(Ba,Sr,Ca)Si:Eu (4f)
(Sr,Ca)LiAl:Eu (4g)
第5蛍光体は、下記式(5a)で表される組成を有するガリウム酸塩蛍光体、下記式(5b)で表される組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体、下記式(5c)で表される組成を有するガリウム酸塩蛍光体、下記式(5d)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体、及び上記酸化物蛍光体とは組成の異なる下記式(5e)で表される組成式に含まれる組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、2種以上の蛍光体を含んでいてもよい。
Ga:Cr (5a)
Al:Cr (5b)
ZnGa:Cr (5c)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce,Cr (5d)
10 :Cr、M11 (5e)
(前記式(5e)中、Mは、Li、Na、Ka、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Ba、Al、Ga、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M10は、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M11は、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、e、f、g、h、i及びjは、0<e≦0.2、0≦f≦0.1、f<e、0.7≦g≦1.3、1.5≦h≦2.5、0.7≦i≦1.3、12.9≦j≦15.1を満たす。)
発光装置の一例を図面に基づいて説明する。図1は、発光装置の第1構成例の一例を示す概略断面図である。図2は、発光装置の第1構成例の他の例を示す概略断面図である。
発光装置100は、図1に示されるように、凹部を有する成形体40と、励起光源となる発光素子10と、発光素子10を被覆する波長変換部材50と、を備える。成形体40は、第1リード20及び第2リード30と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂部42と、が一体的に成形されてなるものである。成形体40は、凹部の底面を構成する第1リード20及び第2リード30が配置され、凹部の側面を構成する樹脂部42が配置されている。成形体40の凹部の底面に、発光素子10が載置されている。発光素子10は、一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極は、第1リード20及び第2リード30とそれぞれワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は、波長変換部材50により被覆されている。波長変換部材50は、発光素子10を波長変換する蛍光体70と、透光性材料を含む。蛍光体70は、酸化物蛍光体を含む第1蛍光体71を必須として含む。蛍光体70は、第1蛍光体71の発光ピーク波長とは異なる波長範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体を含んでいてもよい。図2に示されるように、蛍光体70は、それぞれ上述した、第2蛍光体72、第3蛍光体73、第4蛍光体74、及び第5蛍光体75からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。蛍光体70は、第1蛍光体71を必須として含み、第2蛍光体72、第3蛍光体73、第4蛍光体74、及び第5蛍光体75を含んでいてもよい。波長変換部材50は、発光素子10及び蛍光体70を外部環境から保護するための部材としても機能する。発光装置100は、第1リード20及び第2リード30を介して、外部からの電力の供給を受けて発光する。
図3A及び図3Bは、発光装置の第2構成例を示す。図3Aは、発光装置200の概略平面図である。図3Bは、図3Aに示す発光装置200のIII-III’線の概略断面図である。発光装置200は、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子10と、発光素子10からの光により励起されて発光する第1蛍光体71を含む波長変換体52とその波長変換体52が配置された透光体53とを含む波長変換部材51と、を備える。発光素子10は、基板1上に導電部材61であるバンプを介してフリップチップ実装されている。波長変換部材51の波長変換体52は、接着層80を介して発光素子10の発光面上に設けられている。発光素子10及び波長変換部材52は、その側面が光を反射する被覆部材90によって覆われている。波長変換体52は、発光素子10からの光により励起されて、酸化物蛍光体を含む第1蛍光体71を必須として含む。波長変換体52は、第2蛍光体、第3蛍光体、第4蛍光体、及び第5蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。発光素子10は、基板1上に形成された配線及び導電部材61を介して、発光装置200の外部からの電力の供給を受けて、発光装置200を発光させることができる。発光装置200は、発光素子10を過大な電圧の印加による破壊から防ぐための保護素子等の半導体素子11を含んでいてもよい。被覆部材90は、例えば半導体素子11を覆うように設けられる。以下、発光装置に用いる各部材について説明する。なお、詳細は、例えば特開2014-112635号公報の開示を参照することもできる。
蛍光体とともに波長変換部材を構成する透光性材料は、樹脂、ガラス及び無機物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、及びこれらの変性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を用いることができる。シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れている点で、好ましい。波長変換部材には、蛍光体と透光性材料の他に、必要に応じてフィラー、着色剤、光拡散材を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば酸化ケイ素、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。
波長変換部材が、樹脂と蛍光体を含む場合には、樹脂中に蛍光体を含む波長変換部材形成用組成物を形成し、波長変換部材形成用組成物を用いて波長変換部材を形成することが好ましい。波長変換部材形成用組成物は、酸化物蛍光体を含む第1蛍光体の含有量が、樹脂100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下の範囲内であることが好ましく、25質量部以上90質量部以下の範囲内でもよく、30質量部以上85質量部以下の範囲内でもよい。第1蛍光体は、酸化物蛍光体のみを含んでいてもよい。第1蛍光体に含まれる酸化物蛍光体は、組成が異なる2種以上の酸化物蛍光体が含まれていてもよい。
波長変換部材形成用組成物は、各蛍光体の含有量が以下に説明する範囲内となるようにする。
波長変換部材形成用組成物に含まれる第2蛍光体の含有量は、樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の範囲内でもよく、20質量部以上90質量部以下の範囲内でもよく、30質量部以上80質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材形成用組成物に含まれる第3蛍光体の含有量は、樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下の範囲内でもよく、10質量部以上90質量部以下の範囲内でもよく、15質量部以上80質量部以下の範囲内でもよく、20質量部以上70質量部以下の範囲内でもよく、25質量部以上60質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材形成用組成物に含まれる第4蛍光体の含有量は、樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲内でもよく、2質量部以上40質量部以下の範囲内でもよく、3質量部以上30質量部以下の範囲内でもよく、4質量部以上40質量部以下の範囲内でもよく、5質量部以上20質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材形成用組成物に含まれる第5蛍光体の含有量は、樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下の範囲内でもよく、10質量部以上90質量部以下の範囲内でもよく、10質量部以上80質量部以下の範囲内でもよく、15質量部以上70質量部以下の範囲内でもよい。波長変換部材形成用組成物中に第5蛍光体を含み、第5蛍光体が2種以上の蛍光体を含む場合には、第5蛍光体の含有量は、2種以上の第5蛍光体の合計の含有量をいう。波長変換部材形成用組成物中に第2蛍光体から第4蛍光体のいずれかの蛍光体を2種以上含む場合も、2種以上の蛍光体の合計の含有量をいう。
波長変換部材形成用組成物に含まれる蛍光体の合計の含有量は、樹脂100質量部に対して、50質量部以上300質量部以下の範囲内でもよく、100質量部以上280質量部以下の範囲内でもよく、120質量部以上250質量部以下の範囲内でもよく、150質量部以上200質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材は、透光体を備えていてもよい。透光体は、ガラスや樹脂のような透光性材料からなる板状体を用いることができる。ガラスは、例えばホウ珪酸ガラスや石英ガラスが挙げられる。樹脂は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂が挙げられる。波長変換部材が基板を備える場合は、基板は、絶縁性材料であって、発光素子からの光や外光を透過し難い材料からなることが好ましい。基板の材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂等の樹脂を上げることができる。発光素子と波長変換部材の間には、接着層が介在する場合、接着層を構成する接着剤は、発光素子と波長変換部材を光学的に連結できる材料からなることが好ましい。接着層を構成する材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
発光装置に必要に応じて設けられる半導体素子は、例えば発光素子を制御するためのトランジスタや、過大な電圧印加による発光素子の破壊や性能劣化を抑制するための保護素子が挙げられる。保護素子としてはツェナーダイオード(Zener Diode)が挙げられる。発光装置が被覆部材を備える場合には、被覆部材の材料としては、絶縁性材料を用いることが好ましい。より具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。被覆部材には、必要に応じて着色剤、蛍光体、フィラーを添加してもよい。発光装置は、導電部材として、バンプを用いてもよい。バンプの材料としては、Auあるいはその合金、他の導電部材として、共晶ハンダ(Au-Sn)、Pb-Sn、鉛フリーハンダ等を用いることができる。
発光装置の製造方法
第1構成例の発光装置の製造方法の一例を説明する。なお、詳細は、例えば特開2010-062272号公報の開示を参照することもできる。発光装置の製造方法は、成形体の準備工程と、発光素子の配置工程と、波長変換部材形成用組成物の配置工程と、樹脂パッケージ形成工程とを含むことが好ましい。成形体として、複数の凹部を有する集合成形体を用いる場合には、樹脂パッケージ形成工程後に、各単位領域の樹脂パッケージごとに分離する個片化工程を含んでいてもよい。
成形体の準備工程において、複数のリードを熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いて一体成形し、側面と底面とを有する凹部を有する成形体を準備する。成形体は、複数の凹部を含む集合基体からなる成形体であってもよい。
発光素子の配置工程において、成形体の凹部の底面に発光素子が配置され、発光素子の正負の電極が第1リード及び第2リードにワイヤにより接続される。
波長変換部材形成用組成物の配置工程において、成形体の凹部に波長変換部材形成用組成物が配置される。
樹脂パッケージ成形工程において、成形体の凹部に配置された波長変換部材形成用組成物を硬化させて、樹脂パッケージが形成され、発光装置が製造される。複数の凹部を含む集合基体からなる成形体を用いた場合は、樹脂パッケージの形成工程後に、個片化工程において、複数の凹部を有する集合基体の各単位領域の樹脂パッケージごとに分離され、個々の発光装置が製造される。以上のようにして、図1又は図2に示す発光装置を製造することができる。
第2構成例の発光装置の製造方法の一例を説明する。なお、詳細は、例えば特開2014-112635号公報、又は、特開2017-117912号公報の開示を参照することもできる。発光装置の製造方法は、発光素子の配置工程、必要に応じて半導体素子の配置工程、波長変換体を含む波長変換部材の形成工程、発光素子と波長変換部材の接着工程、被覆部材の形成工程を含むことが好ましい。
例えば、発光素子の配置工程において、基板上に発光素子を配置する。発光素子と半導体素子とは、例えば、基板上にフリップチップ実装される。次に、波長変換体を含む波長変換部材の形成工程において、波長変換体は、透光体の一面に印刷法、接着法、圧縮成形法、電着法により板状、シート状又は層状の波長変換体を形成することによって得てもよい。例えば、印刷法は、蛍光体と、バインダー又は溶剤となる樹脂とを含む波長変換体用組成物を透光体の一面に印刷し、波長変換体を含む波長変換部材を形成することができる。次に、発光素子と波長変換部材の接着工程において、波長変換部材を発光素子の発光面に対向させて、発光素子上に波長変換部材を接着層により接合する。次に、被覆部材の形成工程において、発光素子及び波長変換部材の側面が被覆部材用組成物で覆われる。この被覆部材は、発光素子から出射された光を反射させるためのものであり、発光装置が半導体素子も備える場合は、その半導体素子が被覆部材で埋設されるように形成することが好ましい。以上のようにして、図3A及び図3Bに示す発光装置を製造することができる。
酸化物蛍光体の製造方法
酸化物蛍光体の製造方法は、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mを含む第1化合物と、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mを含む第2化合物と、Geを含む第5化合物と、Crを含む第6化合物と、必要に応じてSi、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mを含む第3化合物と、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含む第4化合物と、を準備することと、酸化物蛍光体の組成1モルにおけるGeのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素M及びGeの合計のモル比を6としたときに、第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内となり、第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内となり、Crのモル比が0.2以下となるように、第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物と、必要に応じて第3化合物又は第4化合物と、を調整して混合した原料混合物を準備することと、原料混合物を、酸素を含む雰囲気の中で、900℃以上1200℃以下の範囲内の温度で熱処理して、酸化物蛍光体を得ること、を含み、第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物からなる群から選択される少なくとも1種は酸化物を用いる。
原料混合物の準備工程
原料
酸化物蛍光体を製造するための原料は、第1元素Mを含む第1化合物と、第2元素Mを含む第2化合物と、Geを含む第5化合物と、Crを含む第6化合物とを含む。第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物は、それぞれ酸化物、炭酸塩、塩化物及びこれらの水和物等が挙げられる。第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物は酸化物であり、2種以上が酸化物でもよい。必要に応じて含まれる第3元素Mを含む第3化合物又は第4元素Mを含む第4化合物が酸化物でもよい。第1化合物、第2化合物、第3化合物、第4化合物、第5化合物及び第6化合物は粉体であることが好ましい。
第1化合物は、具体的には、LiO、LiCO、LiCl、NaO、NaCO、NaCl、KO、KCO、KCl、RbO、RbCO、RbCl、CsO、CsCO、CsCl等が挙げられる。第2化合物は、具体的には、CaO、CaCO、CaCl、SrO、SrCO、SrCl、MgO、MgCO、MgCl、BaO、BaCO、BaCl、ZnO、ZnClが挙げられる。
第3元素Mを含む第3化合物は酸化物、塩化物及びこれらの水和物が挙げられる。第3化合物は、粉体であることが好ましい。第3化合物は、具体的には、SiO、TiO、TiCl、ZrO、ZrCl、SnO、SnCl、HfO、HfCl、PbO、Pb等が挙げられる。第3化合物は、水和物でもよい。
第4元素Mを含む第4化合物は酸化物、炭酸塩、塩化物及びこれらの水和物等が挙げられる。第4化合物は酸化物でもよい。第4化合物は、粉体であることが好ましい。第4化合物は、具体的には、Eu、EuCl、CeO、Ce、Ce(CO、Tb、TbCl、Pr11、PrCl、Nd(CO、Nd、NdCl、Sm(CO、Sm、SmCl、Yb、YbCl、Ho、HoCl、Er、ErCl、Tm、TmCl、NiO、NiCl、MnO、MnO、Mn、Mnが挙げられる。これらの化合物は水和物でもよい。
第5化合物は、具体的には、GeO、GeCl等が挙げられる。第6化合物は、具体的には、Cr、Cr(CO、CrClが挙げられる。第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物は、水和物でもよい。
原料混合物
原料となる各化合物は、得ようとする酸化物蛍光体の組成1モルにおけるGeのモル比又は第3元素Mを含むときは第3元素M及びGeの合計のモル比を6としたときに、例えば第1元素Mのモル比が2となり、第2元素Mのモル比が1となり、Crのモル比が0.2以下となるように、第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物を計量し、各化合物を混合して、原料混合物を得る。原料として第3化合物を含むときには、得ようとする酸化物蛍光体の組成1モルにおける第3元素Mのモル比が、変数vと6の積で表される場合には、変数vが0.4モル以下となるように第3化合物を計量して、各化合物を混合して、原料混合物を得てもよい。原料として第4化合物を含むときには、得ようとする酸化物蛍光体の組成1モルにおける第4化合物Mのモル比が0.10以下となるように第4化合物を計量し、各化合物を混合して原料混合物を得てもよい。計量した第1化合物、第2化合物、第5化合物及び第6化合物、必要に応じて含まれる第3化合物又は第4化合物は、湿式又は乾式で混合し、原料混合物を得る。計量された各化合物は、混合機を用いて混合してもよい。混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミル等を用いることができる。
原料となる各化合物が、各化合物中に含まれる第1元素M、第2元素M、Ge及びCr、並びに必要に応じて含まれる第3元素M又は第4元素Mが、前記式(1)で表される組成式に含まれる組成となるように、各化合物を計量し、混合して原料混合物を準備することが好ましい。
フラックス
原料混合物は、フラックスを含んでいてもよい。原料混合物がフラックスを含むことで、原料間の反応がより促進され、さらには固相反応がより均一に進行するために粒径が大きく、発光特性により優れた蛍光体を得ることができる。蛍光体を得るための熱処理の温度が、フラックスとして用いた化合物の液相の生成温度と同程度の温度であると、フラックスによって原料間の反応が促進される。フラックスとしては、希土類元素、アルカリ土類金属元素、及びアルカリ金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むハロゲン化物を用いることができる。フラックスとしては、ハロゲン化物の中でも、フッ化物を用いることができる。フラックスに含まれる元素が、酸化物蛍光体を構成する元素の少なくとも一部と同一の元素である場合には、目的とする組成を有する酸化物蛍光体の原料の一部として、酸化物蛍光体の組成が目的の組成となるようにフラックスを加えることもでき、目的の組成となるように原料を混合した後、さらに添加するようにフラックスを加えることもできる。
熱処理して酸化物蛍光体を得る工程
原料混合物は、黒鉛等の炭素、窒化ホウ素(BN)、アルミナ(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の材質の坩堝やボートに載置して、炉内で熱処理することができる。
熱処理雰囲気
熱処理は、酸素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。雰囲気中の酸素の含有率は特に制限されない。酸素を含む雰囲気中の酸素の含有率は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上である。熱処理は、大気雰囲気(酸素含有率が20体積%以上)で行うことが好ましい。酸素の含有率が1体積%未満の酸素を含まない雰囲気であると、望ましい組成を有する酸化物蛍光体が得られない場合がある。
熱処理温度
熱処理温度は、900℃以上1500℃以下の範囲内であり、好ましくは950℃以上1400℃以下の範囲内であり、より好ましくは1000℃以上1200℃以下の範囲内である。熱処理温度が900℃以上1500℃以下であれば、熱による分解が抑制され、目的とする組成を有し、安定した結晶構造を有する蛍光体が得られる。
熱処理においては、所定温度で保持時間を設けてもよい。保持時間は、例えば0.5時間以上48時間以内でもよく、1時間以上40時間以内でもよく、2時間以上30時間以内でもよい。保持時間を0.5時間以上48時間以内で設けることによって、結晶成長を促進することができる。
熱処理雰囲気の圧力は、標準気圧(0.101MPa)でもよく、0.101MPa以上でもよく、0.11MPa以上200MPa以下の加圧雰囲気で行ってもよい。熱処理によって得られる熱処理物は、熱処理温度が高温になる場合には、結晶構造が分解され易くなるが、加圧雰囲気にした場合には、結晶構造の分解が抑制することができる。
熱処理時間は、熱処理温度、熱処理時の雰囲気の圧力によって適宜選択することができ、好ましくは0.5時間以上20時間以内である。二段階以上の熱処理を行なう場合でも、一回の熱処理時間は0.5時間以上20時間以内であることが好ましい。熱処理時間が0.5時間以上20時間以内であると、得られる熱処理物の分解が抑制され、安定した結晶構造を有し、所望の発光強度を有する蛍光体を得ることができる。また、生産コストも低減でき、製造時間を比較的短くすることができる。熱処理時間は、より好ましくは1時間以上10時間以内であり、さらに好ましくは1.5時間以上9時間以内である。
熱処理して得られた熱処理物は、粉砕、分散、固液分離、乾燥等の後処理を行ってもよい。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーター等の工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
酸化物蛍光体
実施例1
原料としてNaCOが5.30g、SrCOが7.39g、GeOが31.40g、Crが0.30gになるように計量した各原料を用いた。得られる酸化物蛍光体の組成1モルにおける各元素は、仕込み組成における各元素のモル比がNaSrGe14:Cr0.03になるように計量した。仕込み組成において、モル比の記載のない元素のモル比は1である。メノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いて、10分間、各原料を混合して、原料混合物を得た。得られた原料混合物を、アルミナルツボに配置し、1050℃、標準気圧(0.101MPa)の大気雰囲気(酸素20体積%)中で、8時間熱処理した。熱処理後、得られた熱処理物を粉砕して、実施例1の酸化物蛍光体を得た。
実施例2
原料としてNaCOが5.30g、CaCOが5.02g、GeOが31.40g、Crが0.30gになるように計量した各原料を用いた。得られる酸化物蛍光体の組成1モルにおける各元素は、仕込み組成における各元素のモル比がNaCaGe14:Cr0.03になるように計量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の酸化物蛍光体を得た。
実施例3
原料としてKCOが6.91g、SrCOが7.39g、GeOが31.40g、Crが0.30gになるように計量した各原料を用いた。得られる酸化物蛍光体の組成1モルにおける各元素は、仕込み組成における各元素のモル比がKSrGe14:Cr0.03になるように計量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の酸化物蛍光体を得た。
実施例4
原料としてLiCOが3.70g、CaCOが5.02g、GeOが31.40g、Crが0.30gになるように計量した各原料を用いた。得られる酸化物蛍光体の組成1モルにおける各元素は、仕込み組成における各元素のモル比がLiCaGe14:Cr0.03になるように計量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の酸化物蛍光体を得た。
比較例1
原料としてNaCOが5.30g、CaCOが5.02g、SiOが18.03g、Crが0.30gになるように計量した各原料を用いた。得られる酸化物蛍光体の組成1モルにおける各元素は、仕込み組成における各元素のモル比がNaCaSi14:Cr0.03になるように計量したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の酸化物を得た。
発光スペクトル及び発光特性の測定
実施例の各酸化物蛍光体及び比較例1の酸化物について、量子効率測定システム(QE-2000、大塚電子株式会社製)を用いて発光スペクトルを測定した。量子効率測定システムで用いた励起光の発光ピーク波長は450nmであった。得られた各蛍光体の発光スペクトルから、発光特性として、相対発光強度、発光ピーク波長及び半値全幅を求めた。すなわち、各蛍光体の発光スペクトルにおいて、700nm以上1050nm以下の範囲内の発光ピークにおける発光ピーク波長(λp)(nm)と、半値全幅(FWHM)(nm)を求めた。また、実施例1に係る酸化物蛍光体の発光ピーク波長における発光強度100%とし、実施例2から4に係る各酸化物蛍光体の発光ピーク波長における相対発光強度(%)を測定した。比較例1の酸化物は、発光していなかった。結果を表1に示す。また、図4から図7に、実施例1から4の各酸化物蛍光体の発光スペクトルを示した。比較例1の酸化物についても、同様に発光スペクトルを測定した。図8に比較例1の酸化物の発光スペクトルを示した。なお、図4から図8において、400nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光スペクトルは、励起光源の発光スペクトルである。
励起スペクトルの測定
実施例1及び2の各酸化物蛍光体、及び後述する比較例1に係る発光装置に用いる後述する式(3b-2)で表される組成を有するアルミン酸塩蛍光体(YAl12:Ce)について、蛍光分光光度計(F-4500、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、各酸化物蛍光体の発光ピーク波長にて、室温(20℃から25℃)で230nm以上780nm以下の範囲で励起スペクトルを測定した。各酸化物蛍光体のそれぞれの励起スペクトルの最大強度を100%として、各波長における相対強度(%)を励起スペクトルパターンとした。図9に実施例1に係る酸化物蛍光体の励起スペクトル及びアルミン酸塩蛍光体(YAl12:Ce)の励起スペクトルを示した。図10に実施例2に係る酸化物蛍光体の励起スペクトル及びアルミン酸塩蛍光体(YAl12:Ce)の励起スペクトルを示した。
反射スペクトルの測定
実施例1及び2の各酸化物蛍光体について、蛍光分光光度計(F-4500、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、室温(20℃から25℃)における380nm以上730nm以下の範囲の反射スペクトルを測定した。基準試料にはリン酸水素カルシウム(CaHPO)を使用した。各酸化物蛍光体について、各波長における基準試料の反射率を100%とした場合の相対強度(%)を反射スペクトルパターンとした。図11は、実施例1及び2に係る酸化物蛍光体の反射スペクトルを示した。
Figure 2022101467000002
表1又は図4から図7に示すように、実施例1から4に係る酸化物蛍光体は、発光スペクトルにおいて、826nm以上841nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、半値全幅が150nm以上であった。実施例1から4に係る酸化物蛍光体は、赤色光から近赤外光の波長範囲に発光ピーク波長を有し、150nm以上、より具体的には180nm以上の半値全幅が広い発光スペクトルを有していた。比較例1の酸化物は、発光強度は0%であった。図8に示すように、比較例1の酸化物は、発光スペクトルが確認できなかった。
図9及び図10に示すように、実施例1及び2に係る各酸化物蛍光体は、励起スペクトルにおいて、380nm以上480nm以下の範囲内と、530nm以上680nm以下の範囲内に強度のピークを有していた。実施例1及び2に係る各酸化物蛍光体は、波長が380nm以上480nm以下の範囲内と、530nm以上680nmの範囲内の発光によって効率よく発光することが分かる。
図11に示すように、実施例1及び2に係る各酸化物蛍光体は、380nm以上480nm以下の範囲内の光と、530nm以上680nm以下の範囲内の反射率が比較的低いことが分かった。
実施例に係る発光装置
発光装置に用いる波長変換部材には、以下の仕込みの組成で表され、発光ピーク波長が450nmの発光素子で励起したとき、以下の発光ピーク波長を有する蛍光体を用いた。
第1蛍光体
式(1-1):NaCaGe14:Cr0.03、発光ピーク波長827nm。
第2蛍光体
式(2a-1):Ca10(POCl:Eu、発光ピーク波長450nm。
第3蛍光体
式(3a-1):CaMgSi16Cl:Eu、発光ピーク波長520nm。
式(3b-1):LuAl12:Ce、発光ピーク波長520nm。
式(3b-2):YAl12:Ce、発光ピーク波長560nm。
第4蛍光体
式(4a):(Sr,Ca)AlSiN:Eu、発光ピーク波長620nm。
式(4b):3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、発光ピーク波長658nm。
第5蛍光体
式(5a):Ga:Cr、発光ピーク波長730nm。
式(5e-1):NaSrScGe14:Cr0.03、発光ピーク波長802nm。
式(5e-2):NaMgScGe14:Cr0.03、発光ピーク波長897nm。
実施例1の発光装置
実施例2に係る酸化物蛍光体を第1蛍光体として用いた。表2に示す第2蛍光体、第3蛍光体、第4蛍光体及び第5蛍光体を、表2に示す配合となるように、シリコーン樹脂とを混合分散した後、さらに脱泡することにより波長変換部材形成用組成物を得た。表2には、各実施例及び比較例において、樹脂100質量部に対する、第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体、第4蛍光体及び第5蛍光体の配合を質量部で表した。波長変換部材形成用組成物中の蛍光体の合計は、樹脂100質量部に対して、179.7質量部であった。次に図2に示すような凹部を有する成形体を準備し、凹部の底面に発光ピーク波長が420nmであり、窒化ガリウム系化合物半導体を有する発光素子を第1リードに配置した後、波長変換部材形成用組成物を、発光素子の上に注入、充填し、さらに加熱することで波長部材形成用組成物中の樹脂を硬化させた。発光素子の発光スペクトルの半値全幅は、15nmであった。このような工程により実施例に係る発光装置を作製した。
実施例2及び3の発光装置
樹脂100質量部に対する第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体、第4蛍光体及び第5蛍光体の各蛍光体の配合量を表2に示す配合となるように波長変換部材形成用組成物を調製し、この波長変換部材形成用組成物を用いたこと以外は、実施例1の発光装置と同様にして、実施例2に係る発光装置及び実施例3に係る発光装置を製造した。
実施例4及び5の発光装置
第5蛍光体として、さらに前記式(5e)で表される組成を有する蛍光体を用いた。樹脂100質量部に対する第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体、第4蛍光体及び第5蛍光体の各蛍光体の配合量を表2に示す配合となるように波長変換部材形成用組成物を調製し、この波長変換部材形成用組成物を用いたこと以外は、実施例1の発光装置と同様にして、実施例4に係る発光装置及び実施例5に係る発光装置を製造した。
比較例に係る発光装置
前記式(3b)で表される組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体と、シリコーン樹脂とを混合分散した後、さらに脱泡することにより波長変換部形成材用組成物を得た。波長変換部材形成用組成物中の蛍光体の含有量は、樹脂100質量部に対して35質量部であった。この波長変換部材形成用組成物を用い、発光ピーク波長が450nmである、窒化ガリウム系化合物半導体を有する発光素子を用いたこと以外は、実施例に係る発光装置と同様に作製して、発光装置の比較例とした。
発光スペクトルの測定
実施例に係る発光装置及び比較例に係る発光装置について、分光測光装置(PMA-11、浜松ホトニクス株式会社)と積分球を組み合わせた光計測システムを用いて、室温(25℃±5℃)における発光スペクトルを測定した。各発光装置について、各発光装置の発光スペクトルにおいて発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内の発光強度の最大値を100%として、発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における相対発光強度の最小値を求めた(相対発光強度の最小値(%)=発光強度の最小値/発光強度の最大値×100)。結果を表2に示す。
Figure 2022101467000003
実施例1から5に係る発光装置は、発光スペクトルにおいて、420nm以上1050nm以下の範囲内における相対発光強度の最大値を100%として、420nm以上1050nm以下の範囲内における相対発光強度の最小値が10%以上となる光を発した。比較例1に係る発光装置は、発光装置の比較例は、発光スペクトルにおいて、800nm以上の波長範囲で相対発光強度の最小値がほぼ0%となった。
図12は、実施例1から3に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。また、図13は、実施例4及び5に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
図14は、比較例に係る発光装置の発光スペクトルを示す図であり、図15は、比較例に係る発光装置の発光強度(縦軸)を拡大した発光スペクトルの拡大図である。発光装置の比較例は、白色の混色光を発する。発光装置の比較例は、発光スペクトルにおいて、450nm以上(発光素子の発光ピーク波長)以上1050nm以下の範囲内において、900nm以上の波長範囲に発光強度が0%の部分が存在した。発光装置の比較例の発光スペクトルから、近赤外の波長範囲に含まれる900nm以上1050nmの範囲内ではほとんど発光していないことが確認できた。
本開示に係る酸化物蛍光体は、生体内の情報を得るための医療用の発光装置、スマートフォン等の小型モバイル機器に搭載して体調管理するための発光装置、青果物や米等の食品の内部情報を非破壊で測定する分析装置用の発光装置、植物の光受容体に影響を与える植物栽培用の発光装置、膜厚等の測定に使用される反射分光式測定装置の発光装置にも用いることができる。本開示に係る酸化物蛍光体を用いた発光装置は、医療装置、小型モバイル、分析装置、植物栽培、反射分光式測定装置に使用できる。
10:発光素子、11:半導体素子、20:第1リード、30:第2リード、40:成形体、42:樹脂部、50、51:波長変換部材、52:波長変換体、53:透光体、60:ワイヤ、61:導電部材、70:蛍光体、71:第1蛍光体、72:第2蛍光体、73:第3蛍光体、74:第4蛍光体、75:第5蛍光体、80:接着層、90:被覆部材、100、200:発光装置。

Claims (14)

  1. Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mと、
    Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mと、
    Geと、O(酸素)と、Crと、を含み、
    必要に応じて、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mと、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含んでいてもよい組成を有する酸化物蛍光体であり、
    前記酸化物蛍光体の組成1モルにおける、前記Geのモル比又は前記第3元素Mを含むときは前記第3元素Mと前記Geの合計のモル比を6としたときに、前記第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内であり、前記第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内であり、前記第3元素Mのモル比が0以上0.4以下の範囲内であり、前記O(酸素)のモル比が12.9以上15.1以下の範囲内であり、前記Crのモル比が0.2以下であり、
    蛍光体の発光スペクトルにおいて、700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する、酸化物蛍光体。
  2. 下記式(1)で表される組成式に含まれる組成を有する、請求項1に記載の酸化物蛍光体。
    (Ge1-v :Cr,M (1)
    (前記式(1)中、t、u、v、w、x及びyは、1.5≦t≦2.5、0.7≦u≦1.3、0≦v≦0.4、12.9≦w≦15.1、0<x≦0.2、0≦y≦0.10、y<xを満たす。)
  3. 前記第1元素MがLi、Na及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、前記第2元素MがCa及びSrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を必須として含み、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでいてもよく、前記第3元素MがSi、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素でもよく、前記第4元素MがYb、Nd、Tm及びErからなる群から選択される少なくとも1種でもよい、請求項1又は2に記載の酸化物蛍光体。
  4. 前記酸化物蛍光体は、前記発光ピーク波長を有する発光スペクトルの半値全幅が150nm以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体と、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、前記酸化物蛍光体を照射する発光素子と、を備える、発光装置。
  6. 前記酸化物蛍光体を含む第1蛍光体を必須とし、
    それぞれの蛍光体の発光スペクトルにおいて、455nm以上495nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、495nm以上610nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体、610nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体、及び700nm以上1050nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する第5蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を備えた発光装置であり、
    前記発光装置の発光スペクトルにおいて、前記発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最大値を100%として、前記発光素子の発光ピーク波長以上1050nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上である発光スペクトルを有する、請求項5に記載の発光装置。
  7. 前記第2蛍光体が、下記式(2a)で表される組成式に含まれる組成を有するリン酸塩蛍光体、下記式(2b)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体、及び下記式(2c)で表される組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項6に記載の発光装置。
    (Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,I):Eu (2a)
    (Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu (2b)
    SrAl1425:Eu (2c)
  8. 前記第3蛍光体が、下記式(3a)で表される組成式に含まれる組成を有するケイ酸塩蛍光体、下記式(3b)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体又はガリウム酸塩蛍光体、下記式(3c)で表される組成式に含まれる組成を有するβサイアロン蛍光体、下記式(3d)で表される組成式に含まれる組成を有するハロゲン化セシウム鉛蛍光体、及び下記式(3e)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項6又は7に記載の発光装置。
    (Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (3a)
    (Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce (3b)
    Si6-zAl8-z:Eu(0<z≦4.2) (3c)
    CsPb(F,Cl,Br) (3d)
    (La,Y,Gd)Si11:Ce (3e)
  9. 前記第4蛍光体が、下記式(4a)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体、下記式(4b)で表される組成を有するフルオロゲルマン酸塩蛍光体、下記式(4c)で表される組成式に含まれる組成を有する酸窒化物蛍光体、下記式(4d)で表される組成式に含まれる組成を有するフッ化物蛍光体、下記式(4e)で表される組成式に含まれる組成を有するフッ化物蛍光体、下記式(4f)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体、及び下記式(4g)で表される組成式に含まれる組成を有する窒化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の発光装置。
    (Sr,Ca)AlSiN:Eu (4a)
    3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn (4b)
    (Ca,Sr,Mg)Si12-(m+n)Alm+n16-n:Eu (4c)
    (前記式(4c)中、k、m、nは、0<k≦2.0、2.0≦m≦6.0、0≦n≦2.0を満たす。)
    [M 1-bMn4+ ] (4d)
    (前記式(4d)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH からなる群から選択される少なくとも1種を含み、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、bは、0<b<0.2を満たし、cは、[M 1-bMn4+ ]イオンの電荷の絶対値であり、dは、5<d<7を満たす。)
    A’c’[M1-b’Mn4+ b’d’] (4e)
    (前記式(4e)中、A’は、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH からなる群から選択される少なくとも1種を含み、M’は、第4族元素、第13族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、b’は、0<b’<0.2を満たし、c’は、[M1-b’Mn4+ b’d’]イオンの電荷の絶対値であり、d’は、5<d’<7を満たす。)
    (Ba,Sr,Ca)Si:Eu (4f)
    (Sr,Ca)LiAl:Eu (4g)
  10. 前記第5蛍光体が、下記式(5a)で表される組成を有するガリウム酸塩蛍光体、下記式(5b)で表される組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体、下記式(5c)で表される組成を有するガリウム酸塩蛍光体、下記式(5d)で表される組成式に含まれる組成を有するアルミニウム酸塩蛍光体、及び下記式(5e)で表される組成式に含まれる組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の発光装置。
    Ga:Cr (5a)
    Al:Cr (5b)
    ZnGa:Cr (5c)
    (Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce,Cr (5d)
    10 :Cr、M11 (5e)
    (前記式(5e)中、Mは、Li、Na、Ka、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mは、Ba、Al、Ga、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M10は、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M11は、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、e、f、g、h、i及びjは、0<e≦0.2、0≦f≦0.1、f<e、0.7≦g≦1.3、1.5≦h≦2.5、0.7≦i≦1.3、12.9≦j≦15.1を満たす。)
  11. Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の第1元素Mを含む第1化合物と、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の第2元素Mを含む第2化合物と、Geを含む第5化合物と、Crを含む第6化合物と、必要に応じてSi、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の第3元素Mを含む第3化合物と、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の第4元素Mを含む第4化合物と、を準備することと、
    酸化物蛍光体の組成1モルにおける前記Geのモル比又は前記第3元素Mを含むときは前記第3元素M及び前記Geの合計のモル比を6としたときに、前記第1元素Mのモル比が1.5以上2.5以下の範囲内となり、前記第2元素Mのモル比が0.7以上1.3以下の範囲内となり、Crのモル比が0.2以下となるように、前記第1化合物と、前記第2化合物と、前記第5化合物と、前記第6化合物と、必要に応じて前記第3化合物又は第4化合物と、を調整して混合した原料混合物を準備することと、
    前記原料混合物を、酸素を含む雰囲気中で、900℃以上1200℃以下の範囲内の温度で熱処理して、酸化物蛍光体を得ることと、を含み、前記第1化合物、前記第2化合物、前記第5化合物及び前記第6化合物からなる群から選択される少なくとも1種が酸化物である、酸化物蛍光体の製造方法。
  12. 下記式(1)で表される組成式に含まれる組成となるように、前記原料混合物を準備する、請求項11に記載の酸化物蛍光体の製造方法。
    (Ge1-v :Cr,M (1)
    (前記式(1)中、t、u、v、w、x及びyは、1.5≦t≦2.5、0.7≦u≦1.3、0≦v≦0.4、12.9≦w≦15.1、0<x≦0.2、0≦y≦0.10、y<xを満たす。)
  13. 前記熱処理する雰囲気が大気雰囲気である、請求項11又は12に記載の酸化物蛍光体の製造方法。
  14. 前記熱処理の温度が、950℃以上1150℃以下の範囲内である、請求項11から13のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体の製造方法。
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