以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、第1の実施の形態による現金自動預払機1は、箱型の筐体2を中心に構成されている。この現金自動預払機1は、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関等の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の筐体内側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客により入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、前側に対峙した顧客から見て上下左右を、それぞれ上側、下側、左側及び右側と定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、入金された紙幣を出金にリサイクルする所謂還流型であり、図2に側断面図を示すように、その上部に、顧客との間で紙幣を授受する入出金部20と、真偽、正損、金種、搬送状態などを判別する鑑別部21と、入金された紙幣等を一時的に保管する一時保留部22と、鑑別部21により異常判別された紙幣やリサイクル対象外の紙幣を収納するリジェクト庫23とが設けられている。
また、紙幣入出金機10は、その下部に、箱型の下部フレーム24が設けられ、この下部フレーム24に、金種毎に紙幣を収納、繰出可能な複数の収納庫25(25A~25E)と、リジェクト庫26とが前後方向に並べて装填されている。尚、収納庫25(25A~25E)及びリジェクト庫26は、下部フレーム24に固定される固定式であってもよいし、下部フレーム24に着脱可能な着脱式であってもよい。さらに、紙幣入出金機10は、全体を統括制御する紙幣制御部27と、各部をつなぐ図中太線で示す搬送路28と、この搬送路28に沿って紙幣を搬送する搬送部29とを有している。
入出金部20は、内部に収容された紙幣を1枚ずつ分離して搬送路28へ繰り出すとともに搬送路28に沿って送られてくる紙幣を内部に集積する集積繰出装置20Aを備えている。また入出金部20は、筐体2に設けられた入出金口5(図1)のシャッタ(図示せず)と連動するシャッタ(図示せず)も備えている。
鑑別部21は、搬送路28上の所定箇所に設けられていて、内部に組み込まれた種々のセンサにより各紙幣から種々の情報を読み取り、得られた情報をもとに、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態などを判別する。
一時保留部22は、例えばテープエスクロ方式を採用していて、搬送路28に沿って送られてくる紙幣を円筒状のドラムの周側面にテープと共に巻き付けることで一時的に貯留し、またこの周側面に巻き付けた紙幣をテープとともに引き剥がして搬送路28へ繰り出す。
各収納庫25(25A~25E)は、同様の構成であり、上下方向に長い直方体状に形成されている。また、各収納庫25(25A~25E)は、内部に紙幣を集積するとともに内部に集積された紙幣を外部へ繰り出す集積繰出装置30(30A~30E)を備えている。各収納庫25(25A~25E)は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されていて、鑑別部21により正常判別された紙幣が、その金種に応じて搬送路28に沿って搬送されてくると、これを内部に集積して収納する。また各収納庫25(25A~25E)は、紙幣制御部27から紙幣を繰り出す指示を受けると、集積している紙幣を1枚ずつ分離して搬送路28へと繰り出す。
リジェクト庫23、26は、それぞれ直方体状に形成されていて、内部に紙幣を集積する集積装置23A、26Aを備えている。リジェクト庫23、26は、鑑別部21により異常判別された紙幣やリサイクル対象外の紙幣が搬送路28に沿って搬送されてくると、これを内部に集積して収納する。尚、図2に示す例では、リジェクト庫26がリジェクト庫23より大きく、集積可能な枚数も多くなっている。
搬送部29は、搬送ローラや搬送ベルト等により、搬送路28に沿って紙幣を各部へ搬送する。尚、搬送部29は、例えば、紙幣の短手方向を搬送方向とする向きで紙幣を搬送するようになっている。
紙幣入出金機10の構成は、以上のようになっていて、紙幣制御部27が、鑑別部21による紙幣の鑑別結果などに基づいて、各部を制御することで、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
すなわち、紙幣入出金機10は、入金取引時、顧客により現金自動預払機1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部6を介して入金取引が選択されると、入出金部20のシャッタを開ける。
その後、紙幣入出金機10は、顧客により入出金部20に紙幣が投入されると、シャッタを閉じ、投入された紙幣を1枚ずつ鑑別部21に搬送する。ここで、入出金部20から搬送されてくる紙幣が鑑別部21により正常判別されると、この紙幣については、一時保留部22に搬送して保管する。一方で、鑑別部21により入金に適さない入金リジェクト紙幣であると異常判別された紙幣については、入出金部20に戻して、シャッタを開くことで顧客に返却する。
その後、紙幣入出金機10は、顧客の操作により入金金額が確定されると、一時保留部22に保管している紙幣を鑑別部21に搬送して金種を判別する。そして、紙幣入出金機10は、金種が判別された紙幣を、その金種に対応する収納庫25へ搬送して収納するようになっている。
一方、出金取引時において、紙幣入出金機10は、顧客により現金自動預払機1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部6を介して出金取引が選択され、さらに暗証番号、出金金額などが入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識する。そして、顧客の要求金額に必要な金種毎の紙幣枚数に応じて各収納庫25(25A~25E)から紙幣を1枚ずつ繰り出して、鑑別部21に搬送する。
ここで、紙幣入出金機10は、鑑別部21により正常判別された紙幣については入出金部20に搬送する一方で、鑑別部21により出金に適さない出金リジェクト紙幣であると異常判別された紙幣については一時保留部22に搬送して保管する。
そして、紙幣入出金機10は、出金金額分の紙幣が入出金部20へ集積されると、シャッタを開ける。これにより入出金部20に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。その後、紙幣入出金機10は、一時保留部22に保管している出金リジェクト紙幣を、リジェクト庫23又はリジェクト庫26に搬送して保管する。このようにして、紙幣入出金機10は、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
[1-2.集積繰出装置の構成]
次に、各収納庫25(25A~25E)が備える集積繰出装置30(30A~30E)の構成について説明する。尚、収納庫25A~25Eには、それぞれ同一構成の集積繰出装置30A~30Eが設けられているため、ここでは、一例として、収納庫25Aに設けられた集積繰出装置30Aの構成について説明する。
図3に、集積繰出装置30Aを左側から見た場合の側断面図を示し、図4に、集積繰出装置30Aを前側から見た場合の断面図を示す。尚、図3、図4は、集積繰出装置30Aの主要部を示すとともに、一部を省略した図となっている。
これら図3、図4に示すように、集積繰出装置30Aは、上下方向に長い箱型の紙幣集積空間40の上部に設けられている。集積繰出装置30Aは、紙幣集積空間40を形成するガイド41と、紙幣集積空間40の後端上部と接続された前後方向に延びる搬送路42と、紙幣集積空間40と搬送路42との接続箇所に設けられ、搬送路42を挟んで上下方向に対向配置されたフィードローラ43及びリバースローラ44とを有している。上側のフィードローラ43と下側のリバースローラ44は、周面同士を上下方向にわずかにオーバーラップさせるようにして配置され、紙幣集積空間40と搬送路42との間の紙幣取込/放出口(以下、ゲートと呼ぶ)45を形成している。
さらに集積繰出装置30Aは、紙幣集積空間40内部を上下方向に移動するステージ46と、紙幣集積空間40の上端(ゲート45から見て紙幣集積空間40側)に位置するピッカローラ47とを有している。また図示しないが、集積繰出装置30Aは、搬送路42を通過する紙幣BLを検知する為のセンサを有している。
集積繰出装置30Aの構成についてさらに詳しく説明すると、搬送路42は、紙幣入出金機10の搬送路28(図2参照)と接続されている。フィードローラ43は、図示しない動力伝達系によって、図中時計回り方向(紙幣BLを搬送路42へ繰り出す紙幣繰出時の回転方向)及び反時計回り方向(紙幣BLを紙幣集積空間40に放出する紙幣放出時の回転方向)の両方向に回転可能となっている。これに対して、リバースローラ44は、図示しない動力伝達系によって、図中時計回り方向(紙幣放出時の回転方向)にのみ回転可能となっている。
ステージ46は、図示しない動力伝達系によって、紙幣集積空間40内部を上下方向に移動可能となっている。このステージ46は、ステージ46上に集積されている紙幣BLを搬送路42へと繰り出す紙幣繰出時には、上方に移動して、集積している1番上の紙幣BLをピッカローラ47の下端部分に押し付けるようになっている。この為、ステージ46は、例えばスプリングなどの付勢部材Spにより上方に付勢されるようになっている。尚、ここでは、ステージ46と平行な方向を水平方向、ステージ46に直交する方向を垂直方向とする。
ピッカローラ47は、ピッカアーム50及びピッカシャフト51(図4参照)を介してフィードローラ43と連結されていて、ピッカローラ47の回転軸を中心とする円弧に沿うように上下方向に移動可能となっている。またピッカローラ47は、駆動ベルト52(図3参照)によってフィードローラ43の回転が伝達されるようになっていて、これによりフィードローラ43と同期して回転するようになっている。
さらにピッカローラ47は、外周面の一部に高摩擦部材であるピッカゴム53が取り付けられている。ピッカローラ47の回転軸からピッカゴム53の外周面までの距離は、ピッカローラ47の回転軸からピッカローラ47の外周面までの距離よりもわずかに大きい。従って、ピッカゴム53の外周面は、ピッカローラ47の外周面からわずかに突出している。
このピッカローラ47は、紙幣繰出時には、図中時計回り方向に回転することで、ステージ46によって押し付けられている紙幣BL(つまりステージ46上に集積されている1番上の紙幣BL)を、後方に位置するゲート45に向かって、水平方向と平行(もしくはほぼ平行)な矢印Ar1で示す後方向(以下、送出方向と呼ぶ)に送り出すようになっている。
ガイド41は、紙幣集積空間40の前側に位置する前側ガイド41fと、紙幣集積空間40の後側に位置する後側ガイド(以下、リバースガイドと呼ぶ)41rと、紙幣集積空間40の上側に位置する上側ガイド(以下、天井ガイドと呼ぶ)41uと、紙幣集積空間40の左右両側にそれぞれ位置する左側ガイド41e(図4参照)及び右側ガイド41i(図4参照)とを有している。ガイド41は、これら前側ガイド41f、リバースガイド41r、天井ガイド41u、左側ガイド41e及び右側ガイド41iによって、前後左右の大きさが紙幣BLの大きさよりも若干大きい紙幣集積空間40を形成している。
天井ガイド41uは、ステージ46上に紙幣BLを集積していく方向(つまり矢印Ar2で示す上方向)に直交(もしくはほぼ直交)する部材である。別の言い方をすると、天井ガイド41uは、ステージ46と平行(もしくはほぼ平行)な部材である。またリバースガイド41rと前側ガイド41fは、ステージ46上に集積されている紙幣BLをゲート45へと送り出す送出方向(つまり矢印Ar1で示す方向)に直交(もしくはほぼ直交)する部材である。別の言い方をすると、リバースガイド41rと前側ガイド41fは、ステージ46と直交(もしくはほぼ直交)する部材である。
このうち、天井ガイド41uは、ピッカローラ47を覆うように配置されていて、図示しない孔からピッカローラ47の下端部が紙幣集積空間40内部に露出するようになっている。
リバースガイド41rは、リバースローラ44を覆うとともに、天井ガイド41uとの間に隙間が設けられるように配置されていて、この隙間にゲート45が位置するようになっている。
さらにリバースガイド41rと天井ガイド41uとの間の隙間部分に、リバースガイド41rの上端からゲート45に向かって後方ななめ上に直線状に延びるリバースガイド案内部54が設けられている。このリバースガイド案内部54は、紙幣繰出時に、ステージ46上に集積されている紙幣BLのゲート45側の一端(つまり後端)をゲート45へと案内する為の部材である。
このリバースガイド案内部54は、図3に加えて図5に示すように、ステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(矢印Ar2で示す上方向)に向かうにつれて、ゲート45に直線的に近づくように傾斜したテーパ形状の部材であり、例えば垂直方向に対して45度程度傾斜したガイド面G1を形成している。
このような構成に加えて、集積繰出装置30Aは、図3及び図5に示すように、リバースガイド案内部54から前方に距離Xだけ離れた位置(具体的にはステージ46上に集積される紙幣BLの前部の上方)に、紙幣案内部60が設けられている。この紙幣案内部60は、リバースガイド案内部54と平行な部材であり、紙幣繰出時に、ステージ46上に集積されている紙幣BLのゲート45側とは反対側の他端(つまり前端)をゲート45へと案内する為の部材である。
この紙幣案内部60も、リバースガイド案内部54と同様、ステージ46上に媒体が集積されていく集積方向(矢印Ar2で示す上方向)に向かうにつれて、ゲート45に直線的に近づくように傾斜したテーパ形状の部材であり、例えば垂直方向に対して45度程度傾斜した平坦なガイド面G2を形成している。
図3に示すように、この紙幣案内部60は、前側ガイド41fと天井ガイド41uとを繋ぐようにして配置されていて、前側ガイド41fに固定、または天井ガイド41uに固定、もしくは前側ガイド41fと天井ガイド41uの両方に固定されている。またこの紙幣案内部60は、リバースガイド案内部54と平行であるが、上端の位置が、リバースガイド案内部54の上端より上方に位置する(つまりリバースガイド案内部54の上端より高い位置にある)とともに、下端の位置が、リバースガイド案内部54の下端より下方に位置している(つまり低い位置にある)。尚、これに限らず、紙幣案内部60は、上端の位置が、リバースガイド案内部54の上端の位置と等しくてもよく、また下端の位置が、リバースガイド案内部54の下端の位置と等しくてもよい。つまり、紙幣案内部60は、少なくとも、リバースガイド案内部54の上端から下端までの全部分と対向するように高さ方向の位置及び大きさが選定されていればよい。
集積繰出装置30Aでは、紙幣繰出時、ステージ46をピッカローラ47に近づけていくと、ステージ46上に集積されている紙幣BLのゲート45側とは反対側の前端が1番上の紙幣BLから順に紙幣案内部60に接触していく。
ここで、紙幣案内部60が、ステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(矢印Ar2で示す上方向)に向かうにつれて、ゲート45に近づくように傾斜した形状であることから、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、1番上の紙幣BLから順にゲート45側(つまりリバースガイド案内部54側)へと押し出されていき、上方に位置する紙幣BLほど、ゲート45との水平方向の距離が短くなる。別の言い方をすると、ステージ46上に集積されている紙幣BLが、紙幣案内部60によって、1番上の紙幣BLから順にゲート45側へと押し出されていくことにより、ステージ46上に集積されている紙幣BLの束のゲート45側の後面は、束の上端に近いほどゲート45に近づき、リバースガイド案内部54に沿うように傾斜する。
尚、図6に、リバースガイド案内部54と、紙幣案内部60と、これらによって案内されている紙幣BLとを上側から見た上面図を示すように、リバースガイド案内部54は、左右方向(フィードローラ43やピッカローラ47の軸方向)の長さが紙幣BLの長手方向よりも長い1つの部材であり、一方で、紙幣案内部60は、左右方向の長さが紙幣BLの長手方向よりも十分に短い部材であり、左右方向に間隔を空けて2つ設けられている。集積繰出装置30Aの構成は、以上のようになっている。
ここで、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの水平方向の距離X(図5及び図6参照)について説明する。図3に示すように、リバースガイド案内部54と紙幣案内部60との間に紙幣BLが収まることから、単純に考えると、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの距離Xは、紙幣BLの短手方向(送出方向)の長さBx(図6参照)より大きければよい。
一方で、集積繰出装置30Aでは、紙幣BLに対するスキューの角度θ(図6参照)が例えば10度未満であれば、問題なく紙幣BLを繰り出すことができるように設計されている。言い換えると、集積繰出装置30Aでは、許容できるスキューの角度θの最大値が10度に設定されている。この為、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの距離Xについても、許容できるスキューの角度θの最大値を考慮する必要がある。
具体的には、紙幣BLの長手方向の長さをBy(図6参照)、スキューの角度θの最大値をθmax、スキューの角度θがθmaxのときに、紙幣BLの後端におけるリバースガイド案内部54との接触箇所Pt1から、紙幣BLの前端における紙幣案内部60との接触箇所Pt2までの、紙幣BLの長手方向と平行な長さをYとすると、距離Xの範囲は、次式(1)で表すことができる。
Bx<X<Bx+Ysinθmax……(1)
ここで、Ysinθmaxは、紙幣BLが許容できる最大値θmaxまでスキューしたときにリバースガイド案内部54と紙幣BLの後端(具体的には紙幣BLの後端における接触箇所Pt2とは反対側となる箇所)との間にできる隙間を示している。
このように、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの水平方向の距離Xは、紙幣BLの短手方向(送出方向)の長さBxより大きく、且つ長さBxに、紙幣BLが最大値θmaxまでスキューしたときにリバースガイド案内部54と紙幣BLの後端との間にできる隙間を加味した値より小さくすればよい。別の言い方をすると、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの水平方向の距離Xは、リバースガイド案内部54と紙幣案内部60との間で、紙幣BLが所定角度θ(θmax)までスキュー可能な長さとなっている。リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの距離Xについての説明は、以上である。
尚、紙幣案内部60がステージ46上に集積されている紙幣BLの前端と接触して紙幣BLをゲート45側に押し出す為には、上述した距離Xの条件に加えて、図3に示すように、紙幣案内部60の上端の位置が、ステージ46に集積されている紙幣BLの前端の位置よりもゲート45側に位置していることが望ましい。
[1-3.集積繰出装置による繰出動作]
次に、集積繰出装置30(30A~30E)による紙幣BLを繰り出すときの繰出動作について説明する。尚、ここでも、一例として、収納庫25Aに設けられた集積繰出装置30Aによる繰出動作について、図7(A)~(G)を用いて説明する。
集積繰出装置30Aでは、紙幣繰出時、図7(A)に示すように、ステージ46を上方に押し上げて1番上の紙幣BLがピッカローラ47の外周面に押し付けられた状態で、ピッカローラ47を図中時計回り方向に回転させることで、ピッカローラ47のピッカゴム53を、ステージ46上に集積されている紙幣BLに押し付ける。このとき、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、紙幣案内部60に到達し、当該紙幣案内部60により、1番上の紙幣BLから順にゲート45側へと押し出されていくことで、それぞれの後端(具体的にはリバースガイド41rよりも上方に位置している紙幣BLの後端)がリバースガイド案内部54に揃う状態(以下、これをさしみ状態と呼ぶ)となる。
またこのとき、図8(A)に拡大図を示すように、ピッカローラ47の外周面から突出しているピッカゴム53が、ステージ46(図8(A)では省略)上に集積されている1番上の紙幣BLと接触して当該紙幣BLを下方に押圧する。これにより、1番上の紙幣BLは、ピッカゴム53と接触している箇所が凹み、これにともなって1番上の紙幣BLにつづく2番目以降の紙幣BLも凹む。ここで、2番目の紙幣BLの凹み具合は、紙幣BLの厚みの分だけ1番上の紙幣BLの凹み具合よりも大きくなる。つまり、紙幣BLの凹み具合は、1番上の紙幣BLから離れている紙幣BLほど大きくなり、これにより、積層状態の紙幣BL同士がずれ、紙幣BL同士の密着が解除される。このように、紙幣BL同士の密着が解除される効果をさばき効果と呼ぶ。
この状態で、さらにピッカローラ47を回転させると、図7(B)に示すように、1番上の紙幣BLがゲート45へと送り出される。ゲート45へと送り出された紙幣BLは、フィードローラ43により搬送路42へと繰り出される。ここで、残りの紙幣BLを集積しているステージ46は、付勢部材Spによる付勢力がピッカローラ47のピッカゴム53による押し付け力に負けることにより、下方に移動する。
その後、図7(C)に示すように、ステージ46上に集積されている紙幣BLがリバースガイド案内部54よりも下方となる位置までステージ46が下降すると、このとき、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、それぞれの後端がリバースガイド案内部54の下方に位置するリバースガイド41rに揃った状態となり、さしみ状態が解除される。
またこのとき、図8(B)に示すように、ステージ46(図8(B)では省略)上に集積されている紙幣BLは、ピッカゴム53(図8(B)では省略)の押し付けがなくなることにより、元の形状(フラットな形状)に戻る。このとき、紙幣BL間に隙間Gpが形成される。ここで、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、自重によってこの隙間Gpをつぶす作用が働く。そして、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、隙間Gpを潰す作用が働くときの紙幣BL間の摩擦によって、図8(C)に示すように、それぞれの後端及び前端が不揃いの状態(つまり矢印Ar1で示す送出方向に位置がずれた状態)となる。
その後、図7(D)に示すように、付勢部材Spによる付勢力により、再びステージ46が上方に押し上げられる。このとき、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、さばき効果により密着が解除されたままとなっている。
そして、図7(E)に示すように、ステージ46上に集積されている紙幣BLが、紙幣案内部60に到達すると、当該紙幣案内部60により、1番上の紙幣BLから順にゲート45側(つまりリバースガイド案内部54側)へと押し出されていくことで、ステージ46上に集積されている紙幣BLが再びさしみ状態となる。
そして、ステージ46上に集積されている1番上の紙幣BLが、図中時計回り方向に回転しているピッカローラ47に押し付けられることで、当該紙幣BLがゲート45へと送り出される。ゲート45へと送り出された紙幣BLは、フィードローラ43により搬送路42へと繰り出される。集積繰出装置30Aによる紙幣BLの繰出動作は、以上のようになっている。
このように、集積繰出装置30Aは、ピッカローラ47のピッカゴム53による押し付けによりステージ46上に集積されている紙幣BL間の密着を解除するとともに、紙幣案内部60によって、ステージ46上に集積されている紙幣BLの後端をリバースガイド案内部54に揃えたさしみ状態としたうえで、ピッカローラ47による紙幣BLをゲート45に送り出すようになっている。
こうすることで、集積繰出装置30Aは、複数枚の紙幣BLが後端の位置を揃えた状態でゲート45に送り出されることにより紙幣繰出時に紙幣BLの重送が発生してしまうことを防ぐことができるようになっている。集積繰出装置30Aによる繰出動作は、以上のようになっている。
ここで、集積繰出装置30Aが有する紙幣案内部60の効果を明確にする為に、集積繰出装置30Aから紙幣案内部60を取り外した場合の繰出動作について、図9(A)~(E)を用いて簡単に説明する。尚、紙幣案内部60が取り付けられた集積繰出装置30Aと、紙幣案内部60が取り外された集積繰出装置30Aとを区別する為に、ここでは、紙幣案内部60が取り外された集積繰出装置30Aを、集積繰出装置30XAと呼ぶことにする。
集積繰出装置30Aと同様、集積繰出装置30XAでは、図9(A)に示すように、ステージ46を上方に押し上げて1番上の紙幣BLがピッカローラ47の外周面に押し付けられた状態で、ピッカローラ47を図中時計回り方向に回転させることで、ピッカローラ47のピッカゴム53を、ステージ46上に集積されている紙幣BLに押し付ける。このとき、ピッカローラ47の外周面から突出しているピッカゴム53が、ステージ46上に集積されている1番上の紙幣BLと接触して当該紙幣BLを下方に押圧することにより、積層状態の紙幣BL同士がずれ、紙幣BL同士の密着が解除される(さばき効果)。
尚、集積繰出装置30XAは、紙幣案内部60を有していない為、この時点では、紙幣BLがさしみ状態(紙幣BLの後端がリバースガイド案内部54に揃う状態)とはならない。
この状態で、さらにピッカローラ47を回転させると、図9(B)に示すように、1番上の紙幣BLがゲート45へと送り出される。ゲート45へと送り出された紙幣BLは、フィードローラ43により搬送路42へと繰り出される。このとき、残りの紙幣BLも、1番上の紙幣BLがゲート45へと送り出されることにともなって、ゲート45側へと移動して、それぞれの後端がリバースガイド案内部54またはリバースガイド41rと接触(もしくは近接)した状態となる。これにより、ステージ46上に集積されている紙幣BL(具体的にはリバースガイド41rよりも上方に位置している紙幣BL)は、一時的にさしみ状態となる。
しかしながら、このとき、付勢部材Spによる付勢力がピッカローラ47のピッカゴム53による押し付け力に負けて、図9(C)に示すように、ステージ46上に集積されている紙幣BLがリバースガイド案内部54よりも下方となる位置までステージ46が下降することにより、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、さしみ状態が解除される。
またこのとき、ステージ46上に集積されている紙幣BLは、凹んだ状態から元の状態へと戻ることにともなって、それぞれの後端及び前端が不揃いの状態となる。尚、このときの状態はさしみ状態ではない為、例えば、重なり合っている2枚の紙幣BLの後端及び前端が揃ってしまう場合もある。
その後、図9(D)に示すように、付勢部材Spによる付勢力により、再びステージ46が上方に押し上げられる。そして、図9(E)に示すように、ステージ46上に集積されている1番上の紙幣BLが、図中時計回り方向に回転しているピッカローラ47に押し付けられる。
このとき、集積繰出装置30XAは、紙幣案内部60を有していない為、さしみ状態が解除されたまま、紙幣BLがフィードローラ43により搬送路42へと繰り出される。集積繰出装置30XAによる紙幣BLの繰出動作は、以上のようになっている。
このように、集積繰出装置30XAは、紙幣案内部60を有していない為、ステージ46に集積されている紙幣BLがリバースガイド案内部54よりも下方となる位置までステージ46が下降した際に、紙幣BLのさしみ状態が解除され、その後、さしみ状態が解除されたまま、ステージ46上に集積されている紙幣BLをピッカローラ47によりゲート45に送り出してしまう。この為、集積繰出装置30XAは、複数枚の紙幣BLが後端の位置を揃えた状態でゲート45に送り出されてしまう場合があり、紙幣BLの重送を確実に防ぐことはできない。
このような集積繰出装置30XAとの比較から明らかなように、集積繰出装置30Aは、紙幣案内部60を有することにより、紙幣繰出時に紙幣BLの重送が発生することをより確実に防ぐことができるようになっている。
[1-4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、媒体集積装置としての集積繰出装置30に、媒体収納空間としての紙幣集積空間40と接続された媒体搬送路としての搬送路42と、紙幣集積空間40と搬送路42の接続箇所に設けられ、紙幣集積空間40から搬送路42へ紙幣BLを繰り出すフィードローラ43と、搬送路42を挟んでフィードローラ43と対向配置され、フィードローラ43との間で紙幣BLの取込口となるゲート45を形成する対向ローラとしてのリバースローラ44と、紙幣集積空間40内を移動可能で、紙幣BLを集積するステージ46と、ステージ46上に集積された1番上の紙幣BLと接触して、当該紙幣BLをゲート45へと送り出すピッカローラ47と、ステージ46上に集積された紙幣BLにおけるゲート45側の一端(後端)をゲート45へとガイドする第1ガイドとしてのリバースガイド案内部54と、ステージ46上に集積された紙幣BLにおけるゲート45側とは反対側の他端(前端)をゲート45側へとガイドする第2ガイドとしての紙幣案内部60とを設けた。さらにリバースガイド案内部54と紙幣案内部60が、それぞれステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(上方向)に向かうにつれて、ゲート45に近づく形状であるとした。
さらに言うと、リバースガイド案内部54は、それぞれステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(上方向)に向かうにつれて、ゲート45に直線的に近づくテーパ形状の部材であり、例えばステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向に対して45度程度傾斜した平坦なガイド面G1を有するとした。一方、紙幣案内部60は、リバースガイド案内部54と平行な部材であり、例えば集積方向に対して45度程度傾斜した平坦なガイド面G2を有するとした。
これにより、集積繰出装置30は、リバースガイド案内部54と紙幣案内部60が、ステージ46上に集積されている紙幣BLのゲート45側の一端を紙幣BLの送出方向にばらけさせることができ、紙幣繰出時に、フィードローラ43とリバースローラ44との間に1度に複数枚の紙幣BLが入り込んで重送になってしまうことを防ぐことができる。
尚、本実施の形態の集積繰出装置30では、紙幣繰出時に、ステージ46がピッカローラ47のピッカゴム53による押し付けによって下降することで、ステージ46上に集積されている紙幣BLのさしみ状態が一旦解除されるとしたが、このようにステージ46が一旦下降するのは、ステージ46をピッカローラ47側に押し付ける際に、ステージ46の位置を固定する(つまり上方に付勢する)手段としてスプリングなどの付勢部材Spを用いている為である。
一方で、ステージ46をピッカローラ47側に押し付ける際にステージ46の位置を固定する手段として、例えばモータのトルクを用いる場合もある。この場合、紙幣繰出時に、ステージ46がピッカローラ47のピッカゴム53により押し付けられても下降しなくなる為、紙幣BLのさしみ状態が解除されなくなる。よって、集積繰出装置30では、付勢部材Spの代わりにモータのトルクを用いたとしても、付勢部材Spを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
別の観点から見ると、集積繰出装置30としては、ステージ46の位置を固定する手段として、モータのトルクを用いるよりも、付勢部材Spを用いた方が、構成が簡易で製造コストを抑えることができる。そして集積繰出装置30は、上述したように、ステージ46の位置を固定する手段として付勢部材Spを用いた場合でも、紙幣繰出時に、フィードローラ43とリバースローラ44との間に1度に複数枚の紙幣BLが入り込んで重送になってしまうことを防ぐことができる為、簡易な構成でありながら重送を防ぐことができると言える。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態の集積繰出装置30を、媒体処理装置としての紙幣釣銭機に設けた実施の形態である。
[2-1.紙幣釣銭機の構成]
図10に第2の実施の形態による紙幣釣銭機100の概略構成を示す。尚、図10は、紙幣釣銭機100の内部構成を示す側断面図である。紙幣釣銭機100は、例えば、小売店や大型量販店等の精算所に設置されたレジスタに接続される。
図10に示すように、この紙幣釣銭機100は、内部に、図中太線で示す搬送路105と、入出金口110と、入金認識部120と、出金認識部130と、収納庫140と、回収カセット150とを備える。
搬送路105は、対向する搬送ベルトの間に紙幣を挟持して正逆可能に搬送する。搬送路105は、後述するように、入出金口110、収納庫140、および回収カセット150の間で紙幣の搬送を可能にする。
入出金口110は、搬送路105の一端に設けられ、入金紙幣の投入口であるとともに、出金紙幣の出金口である。入出金口110は、収納庫140に収納された紙幣の回収時に、出金認識部130による鑑別の結果、異常紙幣であると判定された紙幣(「リジェクト候補紙幣」ともいう)を一時的に収納する格納庫としても機能する。この為、入出金口110は、内部に投入された紙幣を外部へ繰り出す集積繰出装置160Aを有している。この集積繰出装置160Aは、第1の実施の形態の集積繰出装置30と同一構成の為、詳しい説明は省略する。
入金認識部120は、紙幣の入金時に用いられる鑑別/センサ部である。入出金口110から投入された紙幣を収納庫140に収納する際に機能し、入金認識部120の紙幣の通過をセンサ機能によって検知するとともに、鑑別機能により紙幣を鑑別する。
出金認識部130は、紙幣の出金時に用いられる鑑別/センサ部である。収納庫140に収納された紙幣を回収したり、入出金口110へ出金したりする際に機能し、出金認識部130の紙幣の通過をセンサ機能によって検知するとともに、鑑別機能により紙幣を鑑別する。
収納庫140は、搬送路105の他端に設けられ、入金認識部120により正常紙幣と判定された紙幣を収納するユニットである。紙幣釣銭機100は、一例として、千円紙幣(「千券」ともいう)を収納する千券収納庫142と、五千円紙幣(「五千券」ともいう)を収納する五千券収納庫144と、一万円紙幣(「万券」ともいう)を収納する万券収納庫146とを収納庫140として備えている。また千券収納庫142と、五千券収納庫144と、万券収納庫146は、それぞれ内部に集積された紙幣を外部へ繰り出す集積繰出装置160B、160C、160Dを有している。これら集積繰出装置160B、160C、160Dも、第1の実施の形態の集積繰出装置30と同一構成の為、詳しい説明は省略する。
回収カセット150は、搬送路105のさらに他の他端に設けられ、回収時に収納庫140から搬送された紙幣を収納するユニットである。回収カセット150には、出金認識部130の鑑別により(または入金認識部120による再鑑別により)正常と判定された紙幣が収納される。回収カセット150の内部には、リジェクト紙幣を収納するリジェクト庫152が設けられている。リジェクト庫152には、入金認識部120による再鑑別の結果、異常と判定された紙幣が収納される。尚、リジェクト庫152には、入金時に正常紙幣と鑑別された二千円紙幣も収納される。紙幣釣銭機100の構成は、以上のようになっている。
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、媒体処理装置としての紙幣釣銭機100が備える入出金口110と収納庫140(千券収納庫142、五千券収納庫144、及び万券収納庫146)のそれぞれに、第1の実施の形態の集積繰出装置30と同一構成の集積繰出装置160(160A~160D)を設けた。
これにより、紙幣釣銭機100は、第1の実施の形態の現金自動預払機1と同様の効果、つまり入出金口110と収納庫140(千券収納庫142、五千券収納庫144、及び万券収納庫146)のそれぞれにおいて、紙幣繰出時に、紙幣が重送してしまうことを防ぐことができる。
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、リバースガイド案内部54と紙幣案内部60を、それぞれ、ステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(上方向)に向かうにつれて、ゲート45に直線的に近づくテーパ形状の部材であり、それぞれのガイド面G1、G2が平坦(つまり平面)であるとした。ここで、リバースガイド案内部54と紙幣案内部60については、それぞれステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(上方向)に向かうにつれて、ゲート45に近づく形状であれば、上述した第1の実施の形態とは形状が多少異なっていてもよい。
例えば、図11に示すように、集積繰出装置30Aに、紙幣案内部60に代えて、ステージ46上に紙幣BLが集積されていく集積方向(上方向)に向かうにつれて、ゲート45に曲線的に近づくアーチ形状の紙幣案内部70を設けてもよい。この紙幣案内部70は、曲面で形成されるガイド面G3を有している。尚、図12に示すように、リバースガイド案内部54から紙幣案内部70までの水平方向の距離については、一番短いところの距離を最小距離Xs、一番長いところの距離を最大距離Xhとして、例えば、最小距離Xsが長さBx(紙幣BLの短手方向の長さ)より大きく、最大距離XhがBx+Ysinθmax(長さBxに紙幣BLが最大値θmaxまでスキューしたときにリバースガイド案内部54と紙幣BLの後端との間にできる隙間を加味した値)より小さくなっていることが望ましい。
また図11に示す紙幣案内部70は、上端の位置が、リバースガイド案内部54の上端より上方に位置するとともに、下端の位置が、リバースガイド案内部54の下端より下方に位置しているが、これに限らず、上端の位置が、リバースガイド案内部54の上端の位置と等しくてもよく、また下端の位置が、リバースガイド案内部54の下端の位置と等しくてもよい。
またこれに限らず、集積繰出装置30Aに、紙幣案内部60に代えて、リバースガイド案内部54と平行ではなく、例えばリバースガイド案内部54よりも傾斜がゆるやかな紙幣案内部(図示せず)などを設けてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
[3-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態では、図6に示したように、紙幣案内部60を、左右方向(フィードローラ43やピッカローラ47の軸方向)に間隔を空けて複数(例えば2つ)設けるようにしたが、これに限らず、2つの紙幣案内部60よりも左右方向の長さが十分に長い1つの紙幣案内部(図示せず)を、2つの紙幣案内部60の代わりに設けるなどしてもよい。一方で、リバースガイド案内部54については、紙幣案内部60と同様、左右方向に間隔を空けて複数設けるようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1の実施の形態では、リバースガイド案内部54から紙幣案内部60までの水平方向(紙幣BLの送出方向)の距離Xを、紙幣BLの短手方向(送出方向)の長さBxより大きく、且つ長さBxに、紙幣BLが最大値θmaxまでスキューしたときにリバースガイド案内部54と紙幣BLの後端との間にできる隙間を加味した値より小さくした。これに限らず、距離Xが、どちらか一方の条件を満たす(つまりBx<X、またはX<Bx+Ysinθmax)のみでもよい。第2の実施の形態についても同様である。
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第1の実施の形態、及び第2の実施の形態では、本発明を、媒体集積装置としての集積繰出装置30、及び集積繰出装置160に適用したが、これに限らず、集積している媒体を分離して繰り出す機構を有する装置であれば、集積繰出装置30とは異なる媒体集積装置に適用してもよい。例えば、集積繰出装置30は、集積している紙幣を分離して繰り出す分離繰出機能に加えて、当該集積繰出装置30に搬送されてきた紙幣を紙幣集積空間40に放出して集積する放出集積機能も備えているが、放出集積機能を持たない媒体集積装置に適用してもよい。またこれに限らず、本発明を、例えば、紙幣以外の媒体(小切手、切符、チケット、用紙などの紙葉類)を集積する媒体集積装置に適用してもよい。
さらに上述した第1の実施の形態、及び第2の実施の形態では、本発明を、媒体処理装置としての現金自動預払機1、及び紙幣釣銭機100に適用したが、これに限らず、集積している媒体を分離して繰り出す機構を有する媒体集積装置を有する装置であれば、現金自動預払機1や紙幣釣銭機100とは異なる媒体処理装置に適用してもよい。例えば、紙幣以外の媒体(小切手、切符、チケット、用紙などの紙葉類)を扱う媒体処理装置にも適用できる。
[3-5.他の実施の形態5]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1の実施の形態、及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。