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JP2022043812A - 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 - Google Patents

樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 Download PDF

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JP2022043812A
JP2022043812A JP2020149281A JP2020149281A JP2022043812A JP 2022043812 A JP2022043812 A JP 2022043812A JP 2020149281 A JP2020149281 A JP 2020149281A JP 2020149281 A JP2020149281 A JP 2020149281A JP 2022043812 A JP2022043812 A JP 2022043812A
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晃平 山田
Kohei Yamada
敬騰 鄭
Jingteng Chung
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

【課題】一態様において、樹脂マスク除去性を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物、これを用いる基板の洗浄方法及び電子部品の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータや各種電子デバイスにおいては、低消費電力化、処理速度の高速化、小型化が進み、これらに搭載されるパッケージ基板などの配線は年々微細化が進んでいる。このような微細配線並びにピラーやバンプといった接続端子形成にはこれまでメタルマスク法が主に用いられてきたが、汎用性が低いことや配線等の微細化への対応が困難になってきたことから、他の新たな方法へと変わりつつある。
新たな方法の一つとして、ドライフィルムレジストをメタルマスクに代えて厚膜樹脂マスクとして使用する方法が知られている。この樹脂マスクは最終的に剥離・除去されるが、剥離・除去等の洗浄に使用する洗浄剤として、アルカリ剤と水とを含む樹脂マスク剥離用洗浄剤が知られている。
例えば、特許文献1には、はんだバンプの加熱処理後の樹脂マスク層の除去の促進とはんだ腐食の抑制とを両立でき、はんだ接続信頼性を向上させうる洗浄剤として、特定の第四級アンモニウム水酸化物、水溶性アミン、酸又はそのアンモニウム塩、及び、水を含有する樹脂マスク層用洗浄剤組成物が記載されている。そして、実施例には酸のアンモニウム塩として、炭酸アンモニウムを用いたことが開示されている。
特開2015-79244号公報
プリント基板等に微細配線を形成する上で、樹脂マスクの残存はもちろんのこと、微細配線やバンプ形成に用いられるはんだやめっき液等に含まれる助剤等の残存を低減するため、洗浄剤組成物には高い洗浄性が要求される。
ここで、樹脂マスクとは、光や電子線等によって現像液に対する溶解性等の物性が変化するレジストを用いて形成されるものである。レジストは、光や電子線との反応方法から、ネガ型とポジ型に大きく分けられている。ネガ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が低下する特性を有し、ネガ型レジストを含む層(以下、「ネガ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が樹脂マスクとして使用される。ポジ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が増大する特性を有し、ポジ型レジストを含む層(以下、「ポジ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が除去され、未露光部が樹脂マスクとして使用される。このような特性を有する樹脂マスクを使用することで、金属配線、金属ピラーやハンダバンプといった回路基板の微細な接続部を形成することができる。
しかしながら、配線が微細化するにつれて、微細な隙間にある樹脂マスクを除去することが困難になってきており、洗浄剤組成物には、高い樹脂マスク除去性が要求される。さらに、配線や接続端子の多くに使用される銅の腐食はパッケージ基板の品質及び価値の低下を招くことから、洗浄剤組成物には高い腐食の防止能が要求される。特許文献1に開示の技術では、高い樹脂マスク除去性やはんだの腐食抑制効果を有しているが、銅の腐食抑制効果は十分ではない。
そこで、本開示は、一態様において、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物及び基板の洗浄方法を提供する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、成分C´の濃度が0.3mol/L以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法に関する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、成分C´の濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法に関する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法に関する。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板を洗浄する工程を含む、電子部品の製造方法に関する。
本開示によれば、一態様において、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供できる。
本開示は、水溶性アミン(成分A)と第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と所定の濃度の炭酸イオン(成分C)と水(成分D)を含有する洗浄剤組成物、又は、成分Aと成分Bと所定濃度の炭酸塩(成分C´)と成分Dとを配合してなる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を用いることで、銅の腐食を抑制しつつ、基板表面から樹脂マスクを効率よく除去できるという知見に基づく。
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物、又は、成分Aと成分Bと炭酸塩(成分C´)と成分Dとを配合してなり、成分C´の濃度が0.3mol/L以上である樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物(以下、これらをまとめて「本開示の洗浄剤組成物」ともいう)に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供できる。そして、本開示の洗浄剤組成物を用いることによって、高い収率で高品質の電子部品が得られうる。更に、本開示の洗浄剤組成物を用いることによって、微細な配線パターンを有する電子部品を効率よく製造できる。
本開示の効果発現の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。
本開示では、水溶性アミン(成分A)と第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)とを併用することにより、成分A及び成分Bが樹脂マスク内に浸透して樹脂マスクに配合されているアルカリ可溶性樹脂の解離を促進し、更に解離によって生じる電荷の反発を起こすことによって樹脂マスクの剥離を促進すると考えられる。一方で、水溶性アミン(成分A)は銅のエッチング(腐食)に関与していると考えられる。ここで、特定濃度の炭酸イオン(成分C)が成分Aのアミノ基をカチオン化させることで、成分Aと成分Cの錯体となり、成分Aによる銅のエッチングを抑制できると考えられる。
但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において剥離・除去される樹脂マスクとは、エッチング、めっき、加熱等の処理から物質表面を保護するためのマスク、すなわち、保護膜として機能するマスクである。樹脂マスクとしては、一又は複数の実施形態において、露光及び現像工程後のレジスト層、露光及び現像の少なくとも一方の処理が施された(以下、「露光及び/又は現像処理された」ともいう)レジスト層、あるいは、硬化したレジスト層が挙げられる。樹脂マスクを形成する樹脂材料としては、一又は複数の実施形態において、フィルム状の感光性樹脂、レジストフィルム、又はフォトレジストが挙げられる。レジストフィルムは汎用のものを使用できる。
[水溶性アミン(成分A)]
本開示の洗浄剤組成物は、水溶性アミン(以下、単に「成分A」ともいう)を含有する。成分Aとしては、一又は複数の実施形態において、例えば、下記式(I)で表されるアミン等が挙げられる。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。
Figure 2022043812000001
式(I)中、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~6の炭化水素基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~6のアミノアルキル基であり、R及びRはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~6のアミノアルキル基であり、R、R及びRは同時に水素原子とはならない。
式(I)で表されるアミンとしては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルモノエタノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、N-エチルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルモノエタノールアミン、N-ジメチルモノイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルジイソプロパノールアミン、N,N-ジエチルモノエタノールアミン、N-ジエチルモノイソプロパノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-エチルジイソプロパノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミン、N-(β-アミノエチル)ジエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
成分Aとしては、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、モノエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、エチルアミノエタノール、及びプロパンジアミンから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらの中でも、モノエタノールアミンが好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)の観点から、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、そして、銅腐食抑制の観点から、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Aの含有量は、2質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましく、5質量%以上7質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の含有量をいう。
[アルカリ剤(成分B)]
本開示の洗浄剤組成物は、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(以下、単に「成分B」ともいう)を含有する。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
第4級アンモニウム水酸化物としては、下記式(II)で表される第4級アンモニウム水酸化物が挙げられる。
Figure 2022043812000002
上記式(II)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種である。
式(II)で表される第4級アンモニウム水酸化物としては、例えば、第4級アンモニウムカチオンとヒドロキシドとからなる塩等が挙げられる。第4級アンモニウム水酸化物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、2-ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ジエチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ジプロピルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2-ヒドロキシエチル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2-ヒドロキシエチル)プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、及びテトラキス(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、一又は複数の実施形態において、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)の観点から、0.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、本発明の効果が飽和する観点から、10質量%以下が好ましい。
[炭酸イオン:(成分C)]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、炭酸イオン(CO 2-)(以下、単に「成分C」ともいう)を含有する。本開示の洗浄剤組成物は、その他の一又は複数の実施形態において、成分Cの供給源である炭酸塩(以下、単に「成分C´」ともいう)を配合してなる。本開示の洗浄剤組成物において、炭酸イオン(成分C)が成分Aのアミノ基をカチオン化させることで、銅のエッチングを抑制できると考えられる。したがって、本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有し、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物である。本開示の洗浄剤組成物は、その他の一又は複数の実施形態において、成分Aと成分Bと成分C´と成分Dとを配合してなり、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物である。
成分Cの供給源である成分C´としては、一又は複数の実施形態において、炭酸イオンを供給できる化合物であれば特に限定されないが、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、第4級アンモニウムの炭酸塩等が挙げられる。第4級アンモニウムの炭酸塩としては、例えば、炭酸テトラアルキルアンモニウムが挙げられ、具体的には、炭酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。成分Cの供給源は、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分C又は成分C´の濃度(mol/L)は、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、0.3mol/L以上であって、0.8mol/L以上が好ましく、そして、同様の観点から、3mol/L以下が好ましく、2mol/L以下がより好ましい。より具体的には、成分C又は成分C´の濃度(mol/L)は、0.3mol/L以上3mol/L以下が好ましく、0.8mol/L以上2mol/L以下がより好ましい。本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の濃度」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の濃度をいう。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aに対する成分Cのモル比C/Aは、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、0.2以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。そして、同様の観点から、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。より具体的には、モル比C/Aは、0.2以上3以下が好ましく、0.6以上2以下がより好ましい。本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aに対する成分C´のモル比C´/Aは、上述したモル比C/Aと同じとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bに対する成分Cのモル比C/Bは、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。そして、同様の観点から、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。より具体的には、モル比C/Bは、1以上5以下が好ましく、1.5以上3以下がより好ましい。本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bに対する成分C´のモル比C´/Bは、上述したモル比C/Bと同じとすることができる。
[水(成分D)]
本開示の洗浄剤組成物における水(以下、「成分D」ともいう)としては、一又は複数の実施形態において、イオン交換水、RO水、蒸留水、純水、超純水等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物中の成分Dの含有量は、成分A、成分B、成分C及び後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)向上、銅腐食抑制、排水処理負荷低減、及び基板に対する影響低減の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましく、70質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分A、成分B、成分C及び成分Dの合計量は、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制する観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
[有機溶剤(成分E)]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、有機溶剤(以下、単に「成分E」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Eは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Eとしては、一又は複数の実施形態において、グリコールエーテル及び芳香族ケトンから選ばれる少なくとも1種の溶剤が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、同様の観点から、炭素数1以上8以下のアルコールにエチレングリコールが1以上3モル以下付加した構造を有する化合物が挙げられる。グリコールエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
芳香族ケトンとしては、同様の観点から、アセトフェノン等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物が成分Eを含有する場合、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Eの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、使用時における成分Eの含有量は、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、2質量%以上5質量%以下が更に好ましい。成分Eが2種以上の組合せである場合、成分Eの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[キレート剤(成分F)]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、キレート剤(以下、単に「成分F」ともいう)をさらに含有することができる。成分Fは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Fとしては、例えば、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物が挙げられ、同様の観点から、前記酸基を好ましくは4以下有する化合物であることが好ましい。成分Fの具体例としては、一又は複数の実施形態において、アミノトリメチレンホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1、1-ジホスホン酸、HEDP)などが挙げられる。これらの中でも、環境負荷低減の観点から、窒素原子を含まない化合物である2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチドロン酸(HEDP)等が好ましい。
本開示の洗浄剤組成物が成分Fを含有する場合、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Fの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、そして、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。より具体的には、使用時における成分Fの含有量は、0.5質量%以上5質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましい。成分Fが2種以上の組合せである場合、成分Fの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[成分G:有機酸のアンモニウム塩]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、有機酸のアンモニウム塩の少なくとも1種(以下、「成分G」ともいう)をさらに含有することができる。有機酸のアンモニウム塩としては、同様の観点から、炭素数1~5のカルボン酸のアンモニウム塩が好ましく、ギ酸アンモニウムがより好ましい。成分Gは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物が成分Gを含有する場合、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Gの含有量は、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Gの含有量は、0.1質量%以上2質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上1質量%以下が更に好ましい。成分Gが2種以上の組合せである場合、成分Gの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、成分E、成分F及び成分Gをさらに含有することが好ましい。
[その他の成分]
本開示の洗浄剤組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、前記成分A~G以外に、必要に応じてその他の成分をさらに含有することができる。その他の成分としては、通常の洗浄剤に用いられうる成分を挙げることができ、例えば、成分E以外の有機溶剤、界面活性剤、成分F以外のキレート剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、高分子化合物、可溶化剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時におけるその他の含有量は、0質量%以上2質量%以下が好ましく、0質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.3質量%以下が更に好ましく、0質量%以上1質量%以下がより更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分A、成分B、成分C及び任意成分(成分E、成分F、成分G、その他の成分)由来の有機物の総含有量は、排水処理負荷低減、及び基板に対する影響低減の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、16質量%以下がより更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性(剥離性)向上の観点から、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分A、成分B、成分C及び任意成分(成分E、成分F、成分G、その他の成分)由来の有機物の総含有量は、2質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上25質量%以下がより好ましく、4質量%以上20質量%以下が更に好ましく、6質量%以上16質量%以下がより更に好ましい。
[洗浄剤組成物の製造方法]
本開示の洗浄剤組成物は、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)の供給源である炭酸塩(成分C´)、水(成分D)及び必要に応じて上述の任意成分(成分E、成分F、成分G、その他の成分)を公知の方法で配合することにより製造できる。例えば、本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、成分C´及び成分Dを配合してなるものとすることができる。
したがって、本開示は、少なくとも成分A、成分B、成分C´、及び成分Dを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C´、成分D、及び必要に応じて上述した任意成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、そのまま洗浄に使用する形態であってもよく、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲で水(成分D)の量を減らした濃縮物として調製してもよい。洗浄剤組成物の濃縮物は、輸送及び貯蔵の観点から、希釈倍率3倍以上の濃縮物とすることが好ましく、保管安定性の観点から、希釈倍率30倍以下の濃縮物とすることが好ましい。洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分(成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、成分F、及び、その他の成分)が上述した含有量又は濃度(すなわち、洗浄時の含有量又は濃度)になるよう水(成分D)で希釈して使用することができる。更に洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「使用時」又は「洗浄時」とは、洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
[被洗浄物]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板の洗浄に使用されうる。銅含有金属層は、一又は複数の実施形態において、銅めっき層である。銅めっき層は、例えば、無電解銅めっき法により形成することができる。
本開示の洗浄剤組成物は、その他の一又は複数の実施形態において、樹脂マスクが付着した被洗浄物の洗浄に使用されうる。被洗浄物としては、一又は複数の実施形態において、表面に銅含有金属部位を有する被洗浄物が挙げられ、例えば、電子部品及びその製造中間物が挙げられる。電子部品としては、例えば、プリント基板、ウエハ、銅板及びアルミニウム板等の金属板から選ばれる少なくとも1つの部品が挙げられる。前記製造中間物は、電子部品の製造工程における中間製造物であって、樹脂マスク処理後の中間製造物を含む。
樹脂マスクが付着した被洗浄物の具体例としては、例えば、樹脂マスクを使用した半田付け及びめっき処理(銅めっき、アルミニウムめっき、ニッケルめっき等)の少なくとも一方の処理を行う工程を経ることにより、配線や接続端子等が基板表面に形成された電子部品等が挙げられる。本開示において、半田付けとは、基板上の樹脂マスク非存在部に半田を存在させ、加熱により半田バンプ形成することをいう。本開示において、めっき処理とは、基板上の樹脂マスク非存在部に銅めっき、アルミニウムめっき及びニッケルめっきから選ばれる少なくとも1種のめっき処理を行うことをいう。樹脂マスク非存在部とは、基板にラミネートされた樹脂マスクを現像処理することにより形成されたレジストパターンにおいて、現像処理により樹脂マスクが除去された部分のことである。したがって、本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物の、電子部品の製造における洗浄剤としての使用に関する。
被洗浄物は、一又は複数の実施形態において、基板にラミネートされた樹脂マスクを現像処理することにより形成されたレジストパターンを有する基板に、半田付け及びめっき処理の少なくとも一方の処理を行う工程を経たものである。例えば、被洗浄物として、硬化したレジスト層が基板上に形成された樹脂マスク存在部である部位と、樹脂マスク非存在部に半田バンプ又はめっき層が形成された部位、とを有する基板が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄効果の点から、樹脂マスク、あるいは、更にめっき処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクが付着した被洗浄物の洗浄に好適に用いられうる。樹脂マスクとしては、例えば、ネガ型樹脂マスクでもよいし、ポジ型樹脂マスクでもよい。本開示においてネガ型樹脂マスクとは、ネガ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたネガ型レジスト層が挙げられる。本開示においてポジ型樹脂マスクとは、ポジ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたポジ型レジスト層が挙げられる。
[洗浄方法]
本開示は、一態様において、水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物(本開示の洗浄剤組成物)を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板(被洗浄物)から樹脂マスクを剥離する工程(以下、単に「剥離工程」ともいう)を含む、基板の洗浄方法、成分Aと成分Bと炭酸塩(成分C´)と成分Dとを配合してなり、成分C´の濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法、成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有し、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程(剥離工程)を含む、基板の洗浄方法、又は、成分Aと成分Bと成分C´と成分Dとを配合してなり、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法(以下、これらをまとめて「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。前記剥離工程は、一又は複数の実施形態において、被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物に接触させることを含む。本開示の洗浄方法によれば、一又は複数の実施形態において、銅の腐食を抑制しつつ、樹脂マスクを効率よく除去できる。さらに、本開示の洗浄方法によれば、一又は複数の実施形態において、洗浄後の基板上の残留物を低減できる。
本開示の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物から樹脂マスクを剥離する方法、又は、被洗浄物に本開示の洗浄剤組成物を接触させる方法としては、例えば、洗浄剤組成物を入れた洗浄浴槽内へ浸漬することで接触させる方法、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)、浸漬中に超音波照射する超音波洗浄方法等が挙げられる。本開示の洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。
本開示の洗浄方法は、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことができる。本開示の洗浄方法は、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水ですすぐ工程を含むことができる。
本開示の洗浄方法は、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示の洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的高周波数であることがより好ましい。前記超音波の照射条件は、同様の観点から、例えば、26~72kHz、80~1500Wが好ましく、36~72kHz、80~1500Wがより好ましい。
本開示の洗浄方法において、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、洗浄剤組成物の温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、そして、基板に対する影響低減の観点から、70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
[電子部品の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板(被洗浄物)を洗浄する工程(洗浄工程)を含む、電子部品の製造方法(以下、「本開示の電子部品の製造方法」ともいう)に関する。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。本開示の電子部品の製造方法は、一又は複数の実施形態において、前記洗浄工程の後、銅を含む金属層をエッチングする工程を含むことができる。
本開示の電子部品の製造方法によれば、本開示の洗浄方法を用いて洗浄を行うことにより、銅の腐食を抑制しつつ、電子部品に付着した樹脂マスクを効果的に除去でき、さらに洗浄後の基板上の残留物を低減できるため、信頼性の高い電子部品の製造が可能になる。さらに、本開示の洗浄方法を用いて洗浄を行うことにより、電子部品に付着した樹脂マスクの除去が容易になることから、洗浄時間が短縮化でき、電子部品の製造効率を向上できる。
[キット]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法及び本開示の電子部品の製造方法のいずれかに使用するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットは、一又は複数の実施形態において、本開示の洗浄剤組成物を製造するためのキットである。本開示のキットによれば、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できる洗浄剤組成物が得られうる。
本開示のキットの一実施形態としては、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分Bを含有する溶液(第2液)と、成分C又は成分C´を含有する溶液(第3液)とを、相互に混合されない状態で含み、第1液、第2液及び第3液から選ばれる少なくとも1つは、水(成分D)の一部又は全部を更に含有し、第1液と第2液と第3液は使用時に混合されるキット(3液型洗浄剤組成物)が挙げられる。第1液と第2液と第3液が混合された後、必要に応じて水(成分D)で希釈されてもよい。第1液、第2液及び第3液の各々には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。
本開示のキットのその他の実施形態としては、成分Bを含有する溶液(第1液)と、成分Aと成分C又は成分C´とを含有する溶液(第2液)とを、相互に混合されない状態で含み、第1液及び第2液の少なくとも一方は、水(成分D)の一部又は全部を更に含有し、第1液と第2液とは使用時に混合される、キット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水(成分D)で希釈されてもよい。第1液及び第2液の各々には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.実施例1~8及び比較例1~2の洗浄剤組成物の調製
表1に示す各成分を表1に記載の配合量(質量%、有効分)で配合し、それを攪拌して混合することにより、実施例1~8及び比較例1~2の洗浄剤組成物を調製した。調製した各洗浄剤組成物中の成分A~成分Cの濃度(mol/L)、炭酸イオン/水溶性アミンのモル比C/A、及び、炭酸イオン/アルカリ剤のモル比C/Bを表1に示した。
実施例1~8及び比較例1~2の洗浄剤組成物の調製には、下記のものを使用した。
(成分A)
MEA:モノエタノールアミン[株式会社日本触媒製]
(成分B)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド[昭和電工株式会社製、濃度25%]
(成分Cの供給源(成分C´))
炭酸テトラメチルアンモニウム[pH:9.3、大阪化学薬品株式会社製、濃度30%]
炭酸アンモニウム[富士フィルム和光純薬株式会社製]
(成分D)
水[オルガノ株式会社製純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水]
(成分E)
BDG:ブチルジグリコール[日本乳化剤株式会社製、ジエチレングリコールモノブチルエーテル]
(成分F)HEDP:エチドロン酸[イタルマッチジャパン株式会社製、Dequest2010、濃度60%]
(成分G)
ギ酸アンモニウム[富山薬品工業株式会社製]
2.洗浄剤組成物の評価
調製した実施例1~8及び比較例1~2の洗浄剤組成物について下記評価を行った。
[テストピースの作製]
PKG(半導体パッケージ)基板回路形成用感光性フィルムを無電解めっき後の基板表面に下記条件でラミネートし、露光処理して硬化(露光工程)することで樹脂マスクを有する基板(テストピース、30mm×50mm)を得た。
(1)ラミネート:クリーンローラー(株式会社レヨーン工業製、RY-505Z)及び真空アプリケータ(ローム&ハース社製、VA7024/HP5)を用いてローラー温度50℃、ローラー圧1.4Barで行う。
(2)露光:プリント基板用直接描画装置(株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ製、Mercurex LI-9500)を用い、露光量15mJ/cmで露光を行う。
[洗浄試験]
トール型の200mLガラスビーカーに、実施例1~8及び比較例1~2の各洗浄剤組成物を100g添加して50℃に加温し、回転子(フッ素樹脂(PTFE)、φ8mm×25mm)を用いて回転数600rpmで撹拌した状態で、テストピースを10分間浸漬する。そして、100mLガラスビーカーに水を100g添加したすすぎ槽へ浸漬してすすいだ後、窒素ブローにて乾燥する。
[樹脂マスク除去性(剥離性)の評価]
光学顕微鏡「デジタルマイクロスコープVHX-6000」(株式会社キーエンス製)を用いて、前記洗浄試験を行った後のテストピースのパターン部に残存する樹脂マスクの有無を500倍に拡大して目視確認し、下記基準で評価する。
<評価基準>
A:5μm/5μmでも残渣が見られない
B:6μm/6μmまでは残渣が見られない
C:7μm/7μmまでは残渣が見られない
D:7μm/7μmでも残渣が見られる
[Cuエッチングレートの評価(銅の腐食の評価)]
各洗浄剤組成物を2.5L調整して50℃に加温し、充円錐ノズル(J020、株式会社いけうち製)をスプレーノズルとして取り付けたボックス型スプレー洗浄機にて循環しながら、表面に銅めっき(面積は片面あたり25cm、両面で50cm)を施したテストピースに対して4分間スプレー(圧力:0.05MPa、スプレー距離:80mm)する。洗浄剤組成物を希釈した後、ICP分析法(Agilent Technologies製Agilent5110 ICP-OES)で銅の溶出量を測定し、下記式により、銅の密度を8.94g/cm3として溶出量からCuエッチングレート(μm/min)を評価した。Cuエッチングレートの数値が低いほど、銅腐食抑制効果に優れると判断できる。
Cuエッチングレート(μm/min)=銅の溶出量(重量)÷銅の密度÷めっき面積÷処理時間
[基板樹脂へのダメージの評価]
ソルダーレジスト樹脂を有する基板について上記洗浄試験を行い、前後で基板の樹脂部分に色等の変化が生じるかを目視で確認し、下記評価基準で評価する。
<評価基準>
A:洗浄試験の前後で変化が見られない。
B:洗浄試験の前後で変化が見られる。
Figure 2022043812000003
表1に示すとおり、実施例1~8の洗浄剤組成物は、成分Cを含まない比較例1、及び、成分Cの濃度が0.3mol/L未満の比較例2に比べて、樹脂マスク除去性(剥離性)を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制できていることがわかった。
なお、水以外にMEA(成分A)とTMAH(成分B)のみを含む比較例1(pH12)と、更に炭酸テトラメチルアンモニウムを含む実施例1(pH11)とを比較すると、炭酸テトラメチルアンモニウムの配合により実施例1のpHが低下しているにもかかわらず、中和滴定で測定したTMAHの含有量は両者で差がないことがわかった。よって、実施例1のpHが低下した理由は、MEAの含有量が減少したことによるものと考えられる。このことから、実施例1では、炭酸テトラメチルアンモニウムがMEAのアミノ基をカチオン化していると推定された。ここで、pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)を用いて測定し、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。
本開示によれば、樹脂マスク除去性を大きく損なうことなく、銅腐食を抑制可能な洗浄剤組成物を提供できる。本開示の洗浄剤組成物を用いることで、樹脂マスクが付着した電子部品の洗浄工程の短縮化及び製造される電子部品の性能・信頼性の向上が可能となり、半導体装置の生産性を向上できる。

Claims (11)

  1. 水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、
    成分Cの濃度が0.3mol/L以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物。
  2. 水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、
    成分C´の濃度が0.3mol/L以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物。
  3. 成分Aが、下記式(I)で表されるアミンである、請求項1又は2に記載の樹脂マスク層用洗浄剤組成物。
    Figure 2022043812000004
    式(I)中、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~6の炭化水素基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~6のアミノアルキル基であり、R及びRはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~6のアミノアルキル基であり、R、R及びRは同時に水素原子とはならない。
  4. 成分Dの含有量が50質量%以上95質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  5. 水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cの濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法。
  6. 水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、成分C´の濃度が0.3mol/L以上である洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法。
  7. 水溶性アミン(成分A)、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)、炭酸イオン(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法。
  8. 水溶性アミン(成分A)と、第4級アンモニウム水酸化物及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤(成分B)と、炭酸塩(成分C´)と、水(成分D)とを配合してなり、成分Aのアミノ基をカチオン化させた洗浄剤組成物を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板から樹脂マスクを剥離する工程を含む、基板の洗浄方法。
  9. 銅含有金属層が、銅めっき層である、請求項5から8のいずれかに記載の洗浄方法。
  10. 樹脂マスクが、硬化したレジスト層である、請求項5から9のいずれかに記載の洗浄方法。
  11. 請求項5から10のいずれかに記載の洗浄方法を用いて、表面に銅含有金属層及び樹脂マスクを有する基板を洗浄する工程を含む、電子部品の製造方法。
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