JP2022041891A - 振動型アクチュエータ、回転駆動装置および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動型アクチュエータにおいて振動体に対する被駆動部材の横滑りを減少させる。【解決手段】振動型アクチュエータ100は、突起部102aを有して圧電素子103により振動が励起される振動体101と、突起部が接触する接触面121sを有する接触部材121とが第1の軸P回りで相対回転する。振動型アクチュエータは、振動体と接触面とが第1の軸に平行な方向に配置されている。前記振動体に振動が励起されることにより、突起部と接触面との間に第1の軸を中心とする円の接線が延びる第1の方向への駆動力F2が発生する。振動体および接触面のうち一方が、他方に対して第1の方向に平行な第2の軸T回りに傾いて配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、回転駆動装置等に用いられる振動型アクチュエータに関する。
圧電素子により振動体に振動を励起し、該振動体に接触する被駆動部材を回転駆動する振動型アクチュエータを利用した回転駆動装置には、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の回転駆動装置では、振動体を被駆動部材に対してその回転中心軸と平行な方向から加圧接触させ、振動体の突起部の楕円運動を被駆動部材に伝達することで被駆動部材を回転駆動する。
しかしながら、特許文献1の回転駆動装置では、振動体は回転中心軸を中心とする円の接線方向に駆動力を発生する(すなわち突起部が同方向を含む面内で楕円運動する)のに対して、被駆動部材は駆動力の発生方向とは異なる方向に横滑りしながら回転する。この結果、被駆動部材に加圧接触する振動体(突起部)の摩耗が大きくなり、装置の寿命の減少や摩耗粉の発生の原因となる。
本発明は、振動体に対する被駆動部材の横滑りを減少させることができるようにした振動型アクチュエータおよびこれを用いた回転駆動装置等を提供する。
本発明の一側面としての振動型アクチュエータは、突起部を有して圧電素子により振動が励起される振動体と、突起部が接触する接触面を有する接触部材とが第1の軸回りで相対回転する。該振動型アクチュエータは、振動体と接触面とが第1の軸に平行な方向に配置されている。振動体に振動が励起されることにより、突起部と接触面との間に第1の軸を中心とする円の接線が延びる第1の方向への駆動力が発生する。振動体および接触面のうち一方が、他方に対して第1の方向に平行な第2の軸回りに傾いて配置されていることを特徴とする。なお、上記振動型アクチュエータを用いた回転駆動装置や、該回転駆動装置を用いた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、振動型アクチュエータにおける振動体に対する被駆動部材の横滑りを減少させることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2(A)~(D)は、本発明の実施例1である振動型アクチュエータとしての振動型モータ100の外観を示している。図2(A)は振動型モータ100を表面(振動体ユニット)側から見た斜視図であり、図2(B)は振動型モータ100を裏面から見た斜視図である。図2(C)は振動型モータ100を表面側から見た平面図であり、図2(D)は振動型モータ100の側面図である。図3(A)、(B)は、振動型モータ100を分解して示している。図1は、振動型モータ100を図2(C)中のA-A線で切断した断面(XY断面)を示している。
振動型モータ100は、そのベースとなるベース部材122と、該ベース部材122により保持された振動体ユニットおよび接触部材としての摩擦部材121とを有する。振動体ユニットは、振動体101と加圧機構とを有する。摩擦部材121は、回転中心軸(第1の軸)P回りで回転可能であり、回転中心軸Pに直交する面(第1の面としてのXZ面内)に平行な接触面121sを有する。
本実施例において、摩擦部材121の回転中心軸Pに平行な方向をY方向、振動体101の長手方向をZ方向、Y方向とZ方向に直交する方向をX方向とする。また、Z方向に延びる軸をZ軸とする。振動体ユニットと摩擦部材121の接触面121sはY方向に配置されている。振動体101が接触面121sから遠ざかる向きを+Y方向、摩擦部材121に近づく向きを-Y方向とする。なお、本実施例にいう「平行」や「直交」は、振動型モータの製造誤差や機械的なガタによる完全な平行や直交からの変化分を含めた平行や直交とみなせる範囲を示している。
振動体101は、弾性体102と圧電素子103により構成されている。圧電素子103は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等であり、弾性体102はステンレス板等として形成されている。弾性体102は、Z方向に2つの突起部102aと2つの被保持部102bとを有する。2つの突起部102aの先端は半球面(曲面)102cとなっている。弾性体102と圧電素子103は、接着剤により固着されている。摩擦部材121は、振動型モータ100の回転中心軸Pを中心とする円板形状の部材であり、その表面に接触面121sを有する。振動体101は、加圧機構によって-Y方向に加圧され、これにより各突起部102aの半球面102cが摩擦部材121の接触面121s上の接触点(接触位置)102dに加圧接触する。
摩擦部材121は、ベース部材122に設けられた回転支持穴部122aに回転可能に嵌合して保持される軸部121aを有する。摩擦部材121に設けられた転動受け部121bとベース部材122に設けられた転動受け部122bとの間には、転動ボール108が振動型モータ100の周方向における複数箇所に配置されている。
弾性体102は、その被保持部102bが第1保持部材104により保持されて第1保持部材104と一体化される。第1保持部材104は、弾性連結部材114を介して枠部材113により保持されている。枠部材113は、ベース部材122に固定されたシャーシ122dにビス115で固定される。これにより、弾性体および第1保持部材104は、摩擦部材121に対して位置決め固定される。
振動型モータ100には、遮断部材105が設けられている。遮断部材105は、圧電素子103の振動が後述する小基台106に伝播しにくくするための部材である。遮断部材105は、フェルト生地等により形成されている。
小基台106は、遮断部材105を介して圧電素子103に面接触して、加圧機構(後述する加圧部材110)からの加圧力を振動体101に伝達するための加圧伝達部材である。加圧機構は、第2保持部材107により保持されている。第2保持部材107は、前述した枠部材113と共にビス115によりシャーシ122dに固定される。
加圧機構は、加圧部材110、加圧ばね111および加圧受け部材112により構成されている。加圧部材(可動部材)110は、その嵌合軸部110aが加圧受け部材112の嵌合穴部112aに嵌合することで、加圧受け部材112によりY方向にのみ移動可能に保持される。加圧受け部材112は、その外周面に形成されたネジ部112bが第2保持部材107のネジ穴部107aに締め込まれることで第2保持部材107に固定される。
加圧ばね111は、圧縮コイルばねであり、その一端が加圧受け部材112に固定され、他端が加圧部材110に当接する。加圧部材110は、加圧受け部材112との間に配置された加圧ばね111からの加圧力F1を小基台106に伝える。小基台106は、加圧力F1を遮断部材105を介して振動体101に伝え、振動体101を摩擦部材121に加圧接触させる。加圧機構から振動体101に加圧力F1を付与する位置を、Z方向における弾性体102の2つの突起部102aの位置の中間付近に設定することで、2つの突起部102aを摩擦部材121にバランスよく加圧接触させることができる。
ここで、図1に示すように、本実施例では、振動体101が摩擦部材121の接触面121sに対して回転中心軸Pと平行なY方向から角度θ1だけ傾いている。この理由については後述する。
図4(a)~(c)を用いて、振動型モータ100の駆動原理について説明する。図4(a)、(b)は、振動体101の振動モードを模式的に示している。図4(c)は、振動型モータ100を図2(c)中のF-F線で切断した断面(YZ断面)を簡略化して示しており、後述する矢印Eで示す楕円運動を行う突起部102aの周辺を模式的に示している。
圧電素子103に周波信号(交流電圧)が印加されると、圧電素子103は伸縮するが弾性体102は伸縮しにくい。これにより、圧電素子103と弾性体102が貼り合わされた振動体101に曲げ変形が生じる。このため、圧電素子103に高周波交流電圧を印加すると、振動体101に高周波の曲げ振動モードを発生させることができる。
振動体101の振動モードは、第1の振動と第2の振動とを含む複合的な振動である。第1の振動は、図4(a)に示すように、振動体101の突起部102aに、矢印で示す往復運動M1を発生させ、主に接触面121sの接線方向に突起部102aを変位させる振動である。第1の振動では節N1が複数生じる。振動体101においては、破線で示された3つの節N1が存在し、振動体101の長手方向の両端側にある節N1が突起部102aの近傍に位置する。
第2の振動は、図4(b)に示すように、突起部102aに、矢印で示す往復運動M2を発生させ、主に接触面121sと接触離間させる方向に突起部102aを変位させる振動である。第2の振動では節N2が複数生じる。振動体101においては、破線で示された2つの節N2が存在する。
第1の振動と第2の振動とを同一の周波数で発生させることで、図4(c)に示すように、突起部102aにおける接触面121sとの接触部102dに、矢印Eで示す楕円運動を発生させることができる。振動体101においては、駆動力をより大きく発生させるために接触部102dを複数(2個)設けているが、1つのみでもよい。
突起部102aの半球面102cが摩擦部材121の接触面121sに加圧力F1により加圧接触した状態で突起部102aに楕円運動が発生することで、半球面102cと接触面121sの間に駆動力F2が発生し、摩擦部材121が駆動される。本実施例では、摩擦部材121は、図1~3に示す回転中心軸P回りで回転駆動される。
本実施例では、図3(A)、(B)に示すように、回転中心軸Pから突起部102aが摩擦面121sに接触する接触点102dまでの距離である駆動半径はRdである。駆動力F2の発生方向は、回転中心軸Pを中心として半径がRdの円(点102dを通る円)の接線が延びる接線方向(Z方向:第1の方向)である。前述した2つの振動モードの振動位相の符号を変更することで、突起部102aの楕円運動の方向が変化するため、駆動力F2の発生方向を正(+)方向と負(-)方向に切り替えることができる。
図5(A)、(B)を用いて、従来の振動型モータにおいて摩擦部材121を回転駆動する際に生じる振動体101に対する摩擦部材121の横滑りについて説明する。図5(A)はY方向から見た従来の振動型モータを示し、図5(B)は図5(A)中のB-B線で切断した従来の振動型モータの断面(XY断面)を示している。なお、従来の振動型モータの構成要素において本実施例の振動型モータと同様の構成要素には本実施例と同符号を付している。
従来の振動型モータでは、回転中心軸Pと直交するXZ面に配置された振動体101が、回転中心軸Pに平行なY方向から摩擦部材121に加圧される。前述したように振動体101の2つの突起部102aの楕円運動によって駆動力F2が、回転中心軸Pを中心とした駆動半径Rdの接線方向(突起部102aが楕円運動する面内の方向)に発生し、摩擦部材121は図5(A)に示すQ方向に回転駆動される。図5(A)に示す点Rは、2つの突起部102aの楕円運動によって生じる駆動力F2の発生中心位置であり、摩擦面121s上に位置する。図15(A)では、説明の都合上、駆動力F2の矢印が点Rを起点に描かれていないが、実際は点Rを起点にZ軸方向に発生する力である。
しかし、駆動力F2の発生方向(直線方向)に対して、被駆動部である摩擦部材121の駆動は回転で、駆動力発生方向と被駆動部の駆動方向が異なるため、これらの方向の差の分だけ駆動力のロスが生じる。駆動力のロスは、突起部102aが摩擦部材121の接触面121sに楕円運動による駆動力を伝達する際に、接触面121sに対して横滑りすることで生じる。具体的には、単位時間Δt当たりに発生する駆動力ΔF2によって、摩擦部材121がΔθtだけ回転駆動したとき、摩擦部材121の点Rの移動軌跡は図5に示す円弧状の線分R_tとなる。
一方、仮に被駆動部材121の駆動方向が駆動力発生方向と同様のZ方向の場合は、点Rの移動軌跡は図5に示す線分Z_tとなる。このR_tとZ_tとの差分D_tが駆動力のロスであり、図5(B)に示すようにX方向に横滑り成分ΔDx_tを発生している。横滑り成分ΔDx_tは、駆動力発生方向と被駆動部材の駆動方向に差があるために生じ、駆動半径Rdが小さいほど大きく、Rdが大きいほど被駆動部材の回転駆動が直線駆動に近づくため小さくなる。この横滑り成分ΔDx_tにより、突起部102aが摩擦部材121に対して余分に摺動し、摩耗が進行する。
図6(A)~(D)は、上記のような駆動力のロスによる横滑りが生じない振動型モータを示している。これらの振動型モータは、本出願人が先に出願した特開2019-126211号公報に開示されているものである。
図6(A)は振動体ユニット101を摩擦部材221の外周に配置した外周配置タイプの振動型モータをY方向から見て示し、図6(B)は外周配置タイプの振動型モータを図6(A)中のC-C線で切断したときの断面を示している。図6(C)は外周配置タイプの振動型モータをX方向から見て示している。図6(D)は振動体ユニット101を円環形状の摩擦部材321の内周に配置した内周配置タイプの振動型モータをY方向から見て示し、図6(E)は内周配置タイプの振動型モータを図6(D)中のD-D線で切断したときの断面を示している。
図6(A)~(C)に示した外周配置タイプの振動型モータでは、振動体101を摩擦部材221の径方向外側から加圧力F1により加圧して振動体101の突起部102aを摩擦部材221の外周面である摩擦面221sに点102dで加圧接触させる。これにより、図6(C)に示すようにZ方向に駆動力F3を発生させる。
一方、図6(D)、(E)に示す内周配置タイプの振動型モータでは、振動体101を摩擦部材321の径方向内側から加圧力F1により加圧して振動体101の突起部102aを摩擦部材321の内周面である摩擦面321sに点102dで加圧接触させる。これにより、図6(C)に示した外周配置タイプと同様にZ方向に駆動力を発生させる。
これらの振動型モータにおいて、摩擦部材221、321は本実施例の摩擦部材121と同様にZ方向に発生した駆動力によって回転中心軸P回りで回転する。このとき、摩擦部材221、321は楕円運動する振動体101の突起部102aに対して横滑りすることなく回転し、発生した駆動力が全て摩擦部材221、321を回転駆動する力となる。
ただし、外周配置タイプの振動型モータでは、振動体101を摩擦部材221に対して径方向外側から加圧するための加圧機構が振動体101よりもさらに径方向外側に配置されるため、振動型モータの外径寸法が増加する。また、内周配置タイプの振動型モータでは、振動体101よりもさらに径方向内側に加圧機構が配置されるため、摩擦部材として大きな内径のものが必要となり、この結果、振動型モータの外径寸法が増加する。
本実施例では、図6(A)~(E)の振動型モータのように振動体を摩擦部材の外周や内周に配置することなく、振動体に対する摩擦部材の横滑りを減少させる。具体的には、振動体101を摩擦部材121の接触面121sに対して駆動力の発生方向に平行な軸回りに傾けて配置する。
図7(A)~(D)は、本実施例における振動体101と摩擦面121sとの関係の例を、図5(B)と同様の断面により示している。図7(A)~(D)の例ではいずれも、加圧力F1によって振動体101が摩擦面121sに加圧接触すると接触した点102dで図の紙面に垂直なZ方向に駆動力が発生する。
図7(A)、(B)の例では、XZ面に平行な摩擦面121sに対して振動体101がZ軸と平行な軸回りに角度θだけ傾けられている。図7(C)、(D)の例では、XZ面に平行に配置された振動体101に対して摩擦面121sがZ軸に平行な軸回りに角度θだけ傾けられている。これにより、図5(B)に示した振動体101と摩擦面121sの関係に比べて、図7(A)、(D)の例は図6(B)に示した外周配置タイプに、図7(B)、(C)の例は図6(E)に示した内周面配置タイプにそれぞれ近くなる。これにより、図5(A)、(B)で生じていた駆動ロスD_tを小さく、すなわち横滑り成分ΔDt_xを小さくすることが可能となる。
ただし、傾き角度θは、加圧力F1によって2つの突起部102aが摩擦面121sに対して安定的に加圧接触し、突起部102aの半球面102cが摩擦面121sに対して点102dのみで接触することを条件として設定される必要がある。
図20(A)~(F)を用いて、傾き角度θと、図4(C)に示す振動体101の振動モードによる突起部102aの楕円運動と、振動型モータ100が発生する駆動力の関係について説明する。図20(A)~(F)は、振動体の振動と、振動体と接触面との傾き角度θと、発生する駆動力との関係を示している。図20(A)~(C)は、傾き角度θがゼロである従来の振動型モータにおける上記関係を示している。図20(D)~(F)は、本実施例の振動型モータ100のように振動体101を駆動力発生方向に平行な軸回りにθだけ傾けて配置した場合における上記関係を示している。図20(A)をZ軸方向から見て示した図が図20(B)であり、図20(D)をZ軸方向から見て示した図が図20(E)である。
図20(A)、(D)は、図4(C)に示した弾性体102の一方の突起部102aを模式的に示しており、図中の左右方向であるZ軸方向が駆動力発生方向である。図20(C)、(F)は、図20(B)、(E)と同じZ軸方向から見て示した図であり、振動体101に与える加圧力F1によって、振動体101が摩擦面121sと当接する点102dで生じる力の関係を示している。
図20(A)に示す従来の振動型モータでは、突起部102aが点102dで摩擦面121sと当接し、矢印Eで示す楕円運動をすることによって、突起部102aはZ軸方向に単位時間当たりΔF2_1の駆動力を発生する。これに対して、図20(D)に示す本実施例の振動型モータでは、振動体101がZ軸と平行なZ’軸回りにθだけ傾いて配置され、突起部102a’は摩擦面121sと点102d’で当接している。これにより、矢印E’で示す楕円運動によってZ軸方向に単位時間当たりΔF2_1’の駆動力を発生する。
矢印Eで示す楕円運動と矢印E’1で示す楕円運動は、両方とも当接部102d、102d’においてZ軸方向にのみ駆動力を発生させるため、傾き角度θは突起部102a’の楕円運動による駆動力の発生では駆動ロスとはならない。つまり、ΔF2_1=ΔF2_1‘である。
ただし、傾き角度θがあることによって、当接部102d’が摩擦面121sから垂直に受ける力F1s’が加圧力F1よりも小さくなる場合は、突起部102aが楕円運動によって摩擦面121sを蹴る力が小さくなり、駆動力が小さくなる。図20(C)に示すように、振動体101にF1の加圧力を与えると、振動体101と摩擦面121sとが平行の場合は、当接部102dが摩擦面121sから垂直に受ける力F1sはF1と等しい。
これに対して、図20(F)に示すように、加圧力F1もZ軸と平行な軸回りにθだけ回転した場合は、加圧力F1は、当接部102d’においてY軸方向のF1s_yとX軸方向のF1s_xとに分力される。このとき、当接部102d’が摩擦面121sから垂直に受ける力F1s’はF1s_yと等しく、
F1s_y=F1×cosθ
であるため、
F1s’<F1
である。すなわち、傾き角度θによって突起部102a’が摩擦面121sを蹴る力が小さくなり、駆動力が小さくなる。この駆動力の低下を避けるためには、F1s’が必要な大きさの力となるように、加圧力F1を傾き角度θに合わせて大きく設定する必要がある。
F1s_y=F1×cosθ
であるため、
F1s’<F1
である。すなわち、傾き角度θによって突起部102a’が摩擦面121sを蹴る力が小さくなり、駆動力が小さくなる。この駆動力の低下を避けるためには、F1s’が必要な大きさの力となるように、加圧力F1を傾き角度θに合わせて大きく設定する必要がある。
また、当接部102d’においてX軸方向に働く力F1s_xは、
F1s_x=F1×sinθ
であるため、傾き角度θが大きくなると大きくなる。突起部102aと摩擦面121sの間の摩擦係数をμ、垂直’抗力をN(=F1s’)とするとき、F1s_xがμ×Nを超えて大きくなると、当接部102d’は摩擦面121sに対して滑り、駆動力を発生することができない。
F1s_x=F1×sinθ
であるため、傾き角度θが大きくなると大きくなる。突起部102aと摩擦面121sの間の摩擦係数をμ、垂直’抗力をN(=F1s’)とするとき、F1s_xがμ×Nを超えて大きくなると、当接部102d’は摩擦面121sに対して滑り、駆動力を発生することができない。
このため、傾き角度θは、前述したように横滑り成分ΔDt_xを小さくすることが可能であるが、その一方で当接部102d’にて摩擦面121sから垂直に受ける力を低下させ、駆動力を小さくする場合がある。さらに、θが大きすぎると、当接部102d’が摩擦面121s上を滑り、駆動力が発生できない場合がある。これらの場合は、当接部102d’にて摩擦面121sから垂直に受ける力が低下する分だけ、加圧力F1を大きく設定し、かつ当接部102d’が摩擦面121s上を滑らず、安定して摩擦面121sに当接する範囲で傾き角度θを設定することが可能である。
図1に示すように、本実施例では図7(A)のように、摩擦面121sに対して振動体101が角度θ1だけ摩擦部材121の径方向外側(時計回り方向)に傾けられている。振動体101の傾きとは、振動体101(弾性体102)において突起部102aが設けられた平面部の傾きを意味する。
図1において、駆動力が発生する方向であるZ軸と平行で、突起部102aが摩擦面121sと接触する点102dを通る軸をT(第2の軸)とする。また点102dを通り、回転中心軸Pに平行な(つまりは摩擦面121sに直交する)直線をSとする。
本実施例では、振動体101を線Sに対して角度θ1をなすように軸T回りで傾いた姿勢で保持することで、振動体101を摩擦部材121の接触面121sに対して同角度傾けている。このような姿勢の保持は、第1保持部材104を介して振動体101を保持する枠部材(姿勢決め部材)113における上記径方向外側の部分のY方向での厚みを径方向内側の部分の厚みよりも小さくし、第1保持部材104がシャーシ122dに対して角度θ1をなすようにすることで可能となる。枠部材113には、加圧機構を保持した第2保持部材107が固定される。このため、ベース部材122に対して回転可能に保持された摩擦部材121に対して、振動体101と加圧機構からなる振動体ユニットが一体となって軸T回りに角度θ1だけ傾く。
本実施例によれば、振動体101を摩擦部材121の接触面121sに対して傾けて配置することで、振動体101に対する摩擦部材121の横滑りが少ない構成を径方向の大型化を避けつつ実現することができる。これにより、駆動力のロスや振動体101の摩耗を減少させ、摩耗粉の発生を抑制することができる。
なお、振動体101を図7(B)に示したように摩擦部材121に対して径方向内側(反時計回り方向)に傾けてもよい。この場合でも、横滑りの抑制効果は同等である。ただし、摩耗粉が発生した場合に転動ボール108や軸部121a回りに摩耗紛が付着しにくくするためには、本実施例のように振動体101を摩擦部材121に対して径方向外側(時計回り方向)に傾ける方が好ましい。
次に、本発明の実施例2の振動型モータ200について説明する。実施例2では、実施例1と同様に図7(A)に示した構成を採用するが、実施例1とは異なる方法でその構成を実現する。実施例2において、実施例1と共通する部分についての説明は省略する。
実施例1では、摩擦部材121に対して振動体ユニットを軸T回りに角度θ1だけ傾いて配置した。これに対し、実施例2では、加圧機構の一部である小基台106を用いて振動体101のみを軸T回りに角度θ2だけ傾ける。
図8および図9を用いて、本実施例における小基台106について説明する。図8に示す小基台106は、Y方向に厚み(高さ)を有する2つの凸部(当接部)106a、106bを有する。図9は図2(C)のF-F線での断面に相当する振動型モータ200の断面を示し、図10は図2(C)のA-A線での断面に相当する振動型モータ200の断面を示している。
実施例1で説明したように、小基台106は加圧部材110からの加圧力F1を振動体101に伝える加圧伝達部材である。加圧力F1の伝達経路は以下の通りである。図9において、図示を省略した加圧ばね111が加圧部材110に当接し、加圧部材110が小基台106の凸部106a、106bに当接する。小基台106は、遮断部材105を介して圧電素子103に面接触する。このような伝達経路により、加圧ばね111が発生した加圧力F1が振動体101に伝達される。
このとき、小基台106は、凸部106a、106bにて加圧部材110に当接することにより加圧部材110に対して図9中の矢印R方向(X軸と平行な軸回り)にて回動する自由度を有する。これは、加圧力F1を小基台106を介して振動体101の全体に均一に与え、振動体101が常に2つの点102dで楕円運動を摩擦面121sに伝達することで摩擦部材121をスムーズに回転駆動するためである。楕円運動以外の不要な振動や、部品公差や組立てばらつき等によるガタは、この矢印R方向の小基台106の回動自由度により吸収される。
本実施例では、図10に示すように、姿勢決め部材として小基台106を用いる。具体的には、Y方向における凸部106aの厚みaと凸部106bの厚みbとを互いに異ならせている。本実施例では、a<bである。これにより、実施例1と同様に、振動体101を駆動力の発生方向であるZ方向に平行な軸T回りにおいて接触面121sに対して角度θ2だけ傾いた姿勢に保持することができる。ただし、実施例1とは異なり、加圧機構は傾いていない。なお、凸部106a、の高さa、bが異なっていても、上述した小基台106の矢印R方向の自由度は維持される。
本実施例では、小基台106の凸部106a、106bのうち一方の高さを変更するだけで、振動体101の摩擦面121sに対する傾き角度を設定することができ、傾き角度の調整を実施例1よりも容易に行うことができる。
次に、本発明の実施例3の振動型モータ300について説明する。実施例3では、摩擦部材121の形状を実施例1とは異ならせて図7(D)に示した構成を採用する。実施例3において、実施例1と共通する部分についての説明は省略する。
図11は、図2(C)のA-A線での断面に相当する振動型モータ300の断面を示している。本実施例では、振動体101はXZ面に平行となる姿勢に保持されている。一方、摩擦部材121は、振動体101の突起部102aが接触する摩擦面121sが回転中心軸Pに対して直交せずに角度θ3だけ径方向内側に傾いた形状に形成されている。すなわち、摩擦面121sがバンク形状のような傾斜面となっている。このような形状の摩擦部材121を用いることで、振動体101が摩擦面121sに対して軸T回りで角度θ3だけ傾き、図7(D)に示した構成が実現される。
なお、摩擦面121sを図7(C)に示したように径方向外側に傾けてもよいが、転動ボール108や軸部121a回りに摩耗紛が付着しにくくするためには、本実施例のように摩擦面121sを径方向内側に傾ける方が好ましい。
また上記各実施例では、振動体101と接触面121sのうち一方のみをXZ面に対して傾けた場合について説明したが、これらの両方をXZ面に対して互い反対側に傾けてもよい。
次に、本発明の実施例4の振動型モータ400について説明する。振動型モータ400は、図7(A)の構成を採用した実施例1の振動型モータ100に対して、振動体101の姿勢を変更した構成を有する。本実施例において振動型モータ100と共通する部分については説明を省略する。
実施例4における振動体401の詳細形状を図12に示す。振動体401は、圧電素子403と弾性体402により構成されている。弾性体402は、2つの突起部402a(第1の突起部402a1、第2の突起部402a2)を有する。突起部402a1の先端と突起部402a2の先端はそれぞれ、半球面(曲面)402e1、402e2として形成されている。
また、弾性体402はその両端に被保持部402bを有する。被保持部402bは実施例1の被保持部102bと同様に、不図示の第1保持部材により保持されて該第1保持部材と一体化される。
次に、振動型モータ400における振動体401の摩擦部材421に対する姿勢と振動体401の摩擦部材421に接触する接触領域について説明する。
図13(1a)、(1b)は、振動体101に対する摩擦部材121の横滑りを抑えない従来の振動型モータ100における振動体101の摩擦部材121に対する姿勢を示している。図13(2a)、(2b)は、振動体101に対する摩擦部材121の横滑りを抑えた実施例1の振動型モータ100における振動体101の摩擦部材121に対する姿勢を示している。図13(3a)、(3b)は、本実施例の振動型モータ400における振動体401の摩擦部材421に対する姿勢を示している。図13(1a)、(2a)、(3a)はY方向から見た各振動体を示し、図13(1b)、(2b)、(3b)はZ方向から見た各振動体および各摩擦部材を示している。
図13(2a)、(2b)に示す実施例1の振動型モータ100の振動体101は、図13(1a)、(1b)に示す従来の姿勢から、摩擦部材121の接触面121s上の接触点102dを通って摩擦面121sに直交する直線Sに対してθ1だけ傾いた姿勢を有する。
図13(3a)、(3b)に示す本実施例の振動型モータ400の振動体401は、図13(2a)、(2b)に示す実施例1の振動体101に対して、回転中心軸Pを中心とする円の接線方向(Z方向)に対して、直線U回りでθ4だけ回転させた姿勢を有する。直線Uは、図5(A)と同じ点Rを通って摩擦部材121(421)の接触面121s(421s)と直交する直線である。
図14は、Y方向から見た実施例1の振動型モータ100における振動体101の2つの突起部102a(半球面102c)が摩擦部材121の接触面121sに接触する接触領域121dを示している。接触領域121dは、摩擦部材121が360度回転可能である場合における接触領域を示している。なお、振動型モータ100の駆動初期では、突起部102aが接触面121sと接触点102dにて点接触するため、円形の線状の接触領域w0となる。
そして、駆動初期が過ぎて長期にわたって駆動されると、突起部102aと接触面121sのうち一方または双方の摩耗が進むため、接触領域421dは線状の接触領域w0から幅w1を有する円形の帯状の接触領域121dとなる。図14中の点Rは、図5(A)に示した点Rであり、振動体101の2つの突起部102aが発生する駆動力F2の中心である。
実施例1の振動型モータ100では、図14に示すように、振動体101がその2つの突起部102aが回転中心軸Pを中心とする半径Rdの円の接線方向(Z方向)に並ぶ姿勢を有する。このため、2つの突起部102aは同じ接触領域121dにて接触面121sに接触する。したがって、振動型モータ100を駆動すると、2つの突起部102aが接触面121s上の同じ接触領域121dを摩耗させる。
図15は、Y方向から見た本実施例の振動型モータ400における振動体401の2つの突起部402a1、402a2(半球面402e1、402e2)が摩擦部材421の接触面421sに接触する接触領域421d1、421d2を示している。本実施例の振動型モータ400では、前述したように、振動体401が直線U回りで摩擦部材121の回転中心軸Pを中心とする円の接線方向であるZ方向に対して角度θ4を有するように回転された姿勢を有する。
図15は、Y方向から見た本実施例の振動型モータ400における振動体401の2つの突起部402a1、402a2(半球面402e1、402e2)が摩擦部材421の接触面421sに接触する接触領域421d1、421d2を示している。本実施例の振動型モータ400では、前述したように、振動体401が直線U回りで摩擦部材121の回転中心軸Pを中心とする円の接線方向であるZ方向に対して角度θ4を有するように回転された姿勢を有する。
このときに突起部402a1、402a2が並ぶ方向は、Z方向に対して角度θ4を有する方向であるが、Z方向は回転中心軸Pを中心とする円の接線が延びる第1の方向である。振動体401は、この第1の方向に平行な第2の軸回りで接触面421sに対して傾いている。そしてこのような振動体401の姿勢により、接触面421sに対して傾いた振動体401における回転中心軸Pから突起部402a1までの距離と突起部402a2までの距離とが互いに異なるようになる。この結果、図15に示すように、振動体401の突起部402a1、402a2は、摩擦部材421の接触面421sに対して互いに異なる接触領域421d1、421d2で接触する。
突起部402a1が接触する接触領域421d1と突起部421d2が接触する接触領域421d2はそれぞれ、振動型モータ400を長期に駆動することで、幅d2、d3を持つ円形の帯状の領域となる。このように、振動型モータ400は2つの突起部402a1、402a2が接触面421sに対して互いに異なる接触領域421d1、421d2で接触するため、実施例1の振動型モータ100と比較して振動体401と摩擦部材421の摩耗の進行が低減(おおむね半減)する。この結果、実施例1の振動型モータ100に比べて振動型モータ400の寿命を延ばすことができ、摩耗粉の発生も少なくすることもできる。
ただし、本実施例の振動型モータ400では、振動体401を実施例1の振動体101に対してθ4だけ回転させた分だけ、接線方向に発生していた駆動力の方向が変化し、実施例1の振動型モータ100よりも駆動効率が低下するおそれがある。具体的には、θ4が0度(回転なし)のときの駆動力の発生方向はP軸を中心とする半径Rdの接線方向(Z方向)であり、回転軸回りに働く力は半径×接線力であるので、このときP軸回りに回転するための力の効率は100%である。しかし、θ4が90度であるとき、駆動力は接線と直交する方向(X方向)に発生し、接線方向の成分が無いため、P軸回りに回転することができない。すなわち、θ4が90度に近づくほど回転に必要な接線方向の駆動力が得られなくなり、被駆動部材を回転させる回転力が弱くなってしまう。
さらに、その影響は、振動型モータ400の回転方向によっても異なる。図16は、本実施例の振動型モータ400の回転方向と駆動力を示している。摩擦部材421が反時計回りに回転する方向をQa、時計回りに回転する方向をQbとする。
図16において、摩擦部材421の回転方向がQaである場合に圧電素子403に電圧が印加されると、実施例1の振動型モータ100と同様に、振動体401の突起部402a1、402a2が並ぶ方向(第1の方向)に駆動力が発生する。このときの単位時間あたりの駆動力ΔF4aは、接線R2と平行なZ方向のΔF4a_zとZ方向に直交するX方向のΔF4a_xとに分解される。ΔF4a_zは、ΔF4×cosθ4であるため、ΔF4aより小さくなる。すなわち、振動体401をθ4だけ回転させることで、摩擦部材421の回転駆動に用いられる駆動力成分が小さくなる。さらに、X方向のΔF4a_xは、ΔF4a×sinθ4であるが、その方向は回転中心軸Pに向かう-X方向である。
一方、摩擦部材421の回転方向がQbである場合においては、振動体401の突起部402a1、402a2が並ぶ方向であって回転方向がQaのときとは逆の方向に駆動力が発生する。このときの単位時間あたりの駆動力ΔF4bは、Z方向のΔF4b_zとX方向のΔF4b_xとに分解される。ΔF4b_zは、ΔF4×cosθ4であるため、ΔF4bより小さくなる。すなわち、振動体401をθ4だけ回転させることで、摩擦部材421の回転駆動に用いられる駆動力成分が小さくなる。さらに、X方向のΔF4b_xは、ΔF4b×sinθ4であるが、その方向は回転中心軸Pから遠ざかる+X方向である
このように、ΔF4aとΔF4bの大きさが等しいときは、回転方向Qa、QbにかかわらずZ方向とX方向に分解された駆動力成分の大きさが互いに等しい。しかし、X方向の駆動力成分については、回転方向Qa、Qbによってそれが働く方向が異なる。回転方向がQaのときは-X方向に駆動力成分が働くため、摩擦部材421は-X方向に力を受けながら回転する。一方、回転方向がQbのときは+X方向に駆動力成分が働くため、摩擦部材421は+X方向に力を受けながら回転する。この場合において被駆動部と駆動部との間にガタ等の隙間があると、回転方向によって隙間が詰まる方向が異なるため、回転方向によって回転駆動に必要な駆動力の大きさが変わることも考えられる。このように、回転方向によって駆動力の大きさが変わることが予想できる場合は、振動型モータ400の駆動を制御する制御部において、回転方向によって異なる制御パラメータを用いて駆動力を制御すればよい。
このように、ΔF4aとΔF4bの大きさが等しいときは、回転方向Qa、QbにかかわらずZ方向とX方向に分解された駆動力成分の大きさが互いに等しい。しかし、X方向の駆動力成分については、回転方向Qa、Qbによってそれが働く方向が異なる。回転方向がQaのときは-X方向に駆動力成分が働くため、摩擦部材421は-X方向に力を受けながら回転する。一方、回転方向がQbのときは+X方向に駆動力成分が働くため、摩擦部材421は+X方向に力を受けながら回転する。この場合において被駆動部と駆動部との間にガタ等の隙間があると、回転方向によって隙間が詰まる方向が異なるため、回転方向によって回転駆動に必要な駆動力の大きさが変わることも考えられる。このように、回転方向によって駆動力の大きさが変わることが予想できる場合は、振動型モータ400の駆動を制御する制御部において、回転方向によって異なる制御パラメータを用いて駆動力を制御すればよい。
また、角度θ4としては、図15に示すように、XZ面に投影される突起部402a1の半球面402e1と突起部402a2の半球面402e2とが回転中心軸Pを中心とする円の接線上に並ばない角度であればよい。ただし、回転駆動に必要な接線方向の駆動力は角度θ4が大きくなるほど小さくなるため、必要な駆動力との関係で適切に設定されることが望ましい。
図17は、実施例4の振動型モータ400を応用した実施例5の振動型モータ500を示している。実施例5では、実施例4で説明した回転方向によるX方向の駆動力成分の差を少なくする構成を有する。本実施例において、実施例4の振動型モータ400と共通する部分についての説明は省略する。
また、図17は、本実施例の振動型モータ500に設けられた第1の振動体501と第2の振動体701の摩擦部材521の接触面521s上での接触領域と第1および第2の振動体501、701が発生する駆動力を示している。
第1および第2の振動体501、701は、Y方向から見て回転中心軸Pを挟んだ互いに反対側の位置に配置されており、いずれも実施例4における振動体401と同様の形状と摩擦部材521に対する同様の姿勢を有する。なお、本実施例における第1および第2の振動体501、701の実施例4で説明した軸Uに相当する軸回りでの回転角度はθ5である。
振動型モータ500の摩擦部材521の回転駆動範囲は±180度である。第1の振動体501の突起部502a1は接触面521sに対して接触領域521d4で接触し、突起部502a2は接触面521sに対して接触領域521d7で接触する。また、第2の振動体701の突起部702a1は接触面521sに対して接触領域521d5で接触し、突起部702a2は接触面521sに対して接触領域521d6で接触する。これら4つの接触領域は、摩擦部材521の回転駆動範囲内で互いに重ならない。このため、本実施例の振動型モータ500は、2つの突起部の接触領域が重なる実施例1の振動型モータ100と比べて、実施例4の振動型モータ400と同様に、摩耗が進みにくい構成を有する。
さらに摩擦部材521の回転方向がQbであるとき、振動体501は単位時間あたりΔF5の駆動力を発生する。ΔF5は、回転中心軸Pを中心とする円の接線方向と平行なZ方向のΔF5_zとZ方向に直交するX方向のΔF5_xとに分解される。ΔF5_xは、-X方向に働く。
一方、振動体701は、摩擦部材521の回転方向がQbであるとき、振動体501とは逆方向に、単位時間あたりΔF7の駆動力を発生させる。ΔF7は、Z方向のΔF7_zとZX方向のΔF7_xとに分解され、ΔF7_xは+X方向に働く。スムーズな回転駆動のためには、2つの振動体501、701が発生する駆動力が等しいこと、すなわちΔF7とΔF5とが等しいことが望ましい。この場合、ΔF5_xとΔF7_xは大きさが同じで働く向きが逆であるので打ち消し合う関係となる。このことは、回転方向がQbとは逆方向でも同様である。
このように本実施例では、振動型モータ500を、複数の振動体のそれぞれの2つの突起部が摩擦部材に接触する接触領域が互いに異なり(重なり合わず)、かつそれぞれの振動体が発生する駆動力のうち回転駆動に用いられない駆動力成分を打ち消し合うように構成している。この構成により、前述した横滑りを抑制しつつ、さらに摩耗の進みを低減し、回転方向によらずスムーズな回転駆動が可能となる。
実施例4、5で説明した振動型モータ400、500の構成は、実施例1の振動モータ100に適用できるだけでなく、実施例2の振動型モータ20にも適用することができる。
各実施例の振動型モータを、撮像装置等の各種装置の回転駆動装置として実装する際には、ベース部材122を装置本体に固定し、摩擦部材121を回転駆動する被駆動部材を連結すればよい。ただし、摩擦部材121を装置本体に固定してベース部材122を被駆動部材に連結してもよい。すなわち、振動体101と摩擦部材121とが相対回転して被駆動部材を回転駆動すればよい。各種装置には、撮像装置以外にレーザ光の照射装置やロボットアーム等も含まれる。
次に、図18と図19を用いて本発明の実施例6の撮像装置600について説明する。図18は撮像装置600の分解斜視図で、図19は撮像装置600において、後述する回転中心軸P1を通るXY平面での断面図である。
撮像装置600は、実施例1の振動型モータ100の被駆動部である摩擦部材121に、レンズ鏡筒638を備える撮像ユニット637を搭載したものである。このため、振動型モータ100と共通する部分についての説明は省略する。撮像ユニット637は、後述する振動体601を保持しているベース部材622に対して回転中心軸P1回りに回転可能である。なお、実施例1の振動型モータ100に代えて、実施例2~5の振動型モータ200、300、400、500を用いてもよい。
撮像装置600の被駆動部である撮像ユニット637は、レンズ鏡筒638を保持する保持枠639を内部で支持し、ビス636の締結により連結部材635に固定されている。さらに連結部材645は、ビス630の締結により、摩擦部材630に固定されている。摩擦部材630は位置検出用のスケール633を保持している。スケール633は後述する位置検出センサ632と対向する面に、一定間隔に放射状に刻まれたテクスチャを有している。位置検出センサ632はスケール633のテクスチャを逐次読み取り積算することで、被駆動部の回転量を算出することが可能である。
次に被駆動部に対する固定側の構成について説明する。固定側は、主に前述した位置検出センサ632周りと、駆動力を発生させる振動体601周り、後述する電子基板640で、全てベース部材422に固定されている。
位置検出センサ632はセンサ保持枠631に保持され、スケール633と対向する位置に、押さえ部材623を介してシャーシ622dに固定されている。シャーシ622dはビス630の締結によって、ベース部材622に固定される。
電子基板640には位置検出センサ632からの信号を処理し、被駆動部の回転駆動制御を行うためのマイコン等を搭載している。
振動体601は2つの突起部602aを有する板状の弾性602と圧電素子603で構成され、振動型モータ100と同様に不図示の枠部材を介してシャーシ622dに保持されている。さらに、振動体601は不図示の加圧機構により-Y軸方向に加圧され、摩擦部材612の摩擦面612sに加圧接触している。このとき、摩擦面612sは振動体601に対してZ軸と平行な軸回りにθ6だけ角度を有する姿勢で、摩擦部材612に形成されている。さらに、ベース部材622には、被駆動部である連結部材635との間に軸受け部634が設けられている。
上記のような構成により、圧電素子603に交流電圧が印可されると、突起部602aと摩擦面612sの間に駆動力が発生し、回転中心軸P1回りで摩擦部材612に固定された撮像ユニット637が回転駆動する。
そして、前述したように、振動体601と摩擦面612sの間にはZ軸と平行な軸回りにθ6だけ角度を有しており、図7(D)に示した構成を採用している。ゆえに、実施例1~5と同様に、回転駆動で生じる横滑りを抑制し、駆動力ロスや振動体601の摩耗を減少させる効果がある。
なお、摩擦面612sを図7(C)に示したように径方向外側に傾けてもよいが、被駆動部の位置検出に用いるスケール633や位置検出センサ632に摩耗粉が付着しにくくするためには、本実施例のように摩擦面612sを径方向内側に傾ける方が好ましい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
100、200、300、400、500 振動型モータ
101 振動体
102 弾性体
102a 突起部
103 圧電素子
121 摩擦部材
121s 接触面
F1 加圧力
F2 駆動力
101 振動体
102 弾性体
102a 突起部
103 圧電素子
121 摩擦部材
121s 接触面
F1 加圧力
F2 駆動力
Claims (13)
- 突起部を有して圧電素子により振動が励起される振動体と、前記突起部が接触する接触面を有する接触部材とが第1の軸回りで相対回転する振動型アクチュエータであって、
前記振動体と前記接触面とが前記第1の軸に平行な方向に配置され、
前記振動体に振動が励起されることにより、前記突起部と前記接触面との間に前記第1の軸を中心とする円の接線が延びる第1の方向への駆動力が発生し、
前記振動体および前記接触面のうち一方が、他方に対して前記第1の方向に平行な第2の軸回りで傾いて配置されていることを特徴とする振動型アクチュエータ。 - 前記振動体および前記接触面のうち一方が、前記第1の軸に直交する第1の面に対して前記第2の軸回りに傾いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記振動体が、前記第1の面に平行な前記接触面に対して前記第2の軸回りに傾いて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記振動体を、前記接触面に対して前記第2の軸回りに傾いた姿勢に保持する姿勢決め部材を有することを特徴とする請求項3に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記振動体を前記接触面に対して加圧する加圧機構を有し、
前記姿勢決め部材は、前記振動体と前記加圧機構を前記姿勢に保持することを特徴とする請求項4に記載の振動型アクチュエータ。 - 前記振動体を前記接触面に対して加圧する加圧機構と、
該加圧機構からの加圧力を受けて該加圧力を前記振動体に伝達する加圧伝達部材とを有し、
前記姿勢決め部材として前記加圧伝達部材が用いられていることを特徴とする請求項5に記載の振動型アクチュエータ。 - 前記加圧機構は、前記加圧力により移動可能な可動部材を有し、
前記加圧伝達部材は、前記可動部材に当接する2つの当接部を有し、
前記2つの当接部の前記第1の軸に平行な方向での厚みが互いに異なることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。 - 前記接触面が、前記第1の面に平行に保持された前記振動体に対して前記第2の軸回りに傾いて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記突起部は曲面を有し、該曲面が前記接触面に点で接触することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記振動体は、
前記突起部として、前記第1の方向に並ぶように設けられた第1の突起部と第2の突起部を有し、
前記第1の軸が延びる方向から見たときの前記第1の軸から前記第1の突起部までの距離と前記第1の軸から前記第2の突起部までの距離が互いに異なることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータ。 - 前記振動体として、それぞれ第1および第2の突起部を有する第1の振動体と第2の振動体とを有し、
前記第1の振動体と前記第2の振動体は、それぞれの前記第1および第2の突起部が接触する前記接触面上での接触領域が互いに重ならないように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータ。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータと、
該振動型アクチュエータにより回転駆動される被駆動部材とを有することを特徴とする回転駆動装置。 - 請求項12に記載の回転駆動装置と、
前記被駆動部材としての撮像ユニットとを有することを特徴とする撮像装置。
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