次に、本開示の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は基板作業システム10の構成の概略の一例を示す説明図であり、図2は作業ライン20と管理装置90と無人搬送車100の概略構成図であり、図3は印刷装置30の概略構成図であり、図4は実装装置40の概略構成図である。また、図5はフィーダ50の概略構成図であり、図6はノズル交換ユニット150の概略構成図であり、図7は基板作業システム10の接続関係を示す説明図である。なお、図1~図4中、左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
基板作業システム10は、図1に示すように、作業ライン20と、保管庫70と、メンテナンスエリア80と、管理装置90と、無人搬送車100とを備える。作業ライン20は、各種作業を行う複数の作業装置を備える。保管庫70は、作業に必要な各種作業ユニットを保管する。メンテナンスエリア80は、各種作業ユニットのメンテナンスを行う複数のメンテナンス装置を備える。管理装置90は、システム全体を管理する。無人搬送車100は、作業ライン20と保管庫70とメンテナンスエリア80との間で、各種作業ユニットを搬送する。
作業ライン20は、図2に示すように、印刷装置30と、印刷検査装置22と、仮置き場24と、複数の実装装置40と、実装検査装置26とを備え、これらがこの順で基板S(図4参照)の搬送方向(X軸方向)に並べて設置されている。仮置き場24は、フィーダ台24a(図7参照)を備え、無人搬送車100からフィーダ台24aに複数のフィーダ50が移載可能となっている。また、作業ライン20は、X軸方向に設けられたX軸レール25に沿って移動可能で、仮置き場24と各実装装置20との間でフィーダ50の自動交換を行う交換ロボット60を備える。なお、作業ライン20が、これらの装置以外に部品が実装された基板Sのリフロー処理を行うリフロー装置などを備えてもよい。
印刷装置30は、基板Sを搬送して固定する基板搬送装置31と、スキージ34が取り付けられた印刷ヘッド33と、印刷ヘッド33をXY方向に移動させるヘッド移動装置35と、スクリーンマスクMが固定された固定枠36とを備える。スクリーンマスクMは、配線パターンに応じたパターン孔(開口部)が形成され、固定枠36に所定のテンションで固定されている。また、印刷装置30は、スクリーンマスクMを固定枠36ごと前方に押し出す押出装置37と、装置全体を制御する印刷制御部39(図7参照)とを備える。印刷装置30は、スクリーンマスクMのパターン孔にスキージ34を用いてはんだを押し込むことにより、基板Sにはんだを印刷する。押出装置37は、固定枠36に当接する当接板や当接板をY軸方向に沿って移動させるシリンダなどを備える。印刷装置30は、無人搬送車100が前方に位置する状態で、押出装置37によりスクリーンマスクMを前方に押し出して無人搬送車100にスクリーンマスクMを移載可能である。なお、印刷検査装置22は、印刷装置30で基板Sに印刷されたはんだの状態を検査する。
実装装置40は、図4に示すように、基板Sを搬送して固定する基板搬送装置41と、部品を供給する複数のフィーダ50が搭載されるフィーダ台42と、フィーダ50が供給した部品を吸着するノズル44(図7参照)を有する実装ヘッド43と、実装ヘッド43をXY方向に移動させるヘッド移動装置45とを備える。また、実装装置40は、フィーダ50と基板搬送装置41との間に設置されノズル44に吸着されている部品を下方から撮像するパーツカメラ46と、吸着する部品の種類に応じた複数種類のノズル44が収容されたノズルステーション47と、装置全体を制御する実装制御部49(図7参照)とを備える。実装装置40は、フィーダ50から供給された部品を、部品の種類に応じたノズル44で吸着して基板Sに実装する。なお、実装検査装置26は、実装装置40で実装された部品の実装状態を検査する。
フィーダ50は、図5に示すように、テープリール52と、テープ送り機構53と、コネクタ55と、レール部材57とを備える。テープリール52には、長手方向に沿って等間隔で形成され部品を収容する複数の凹部を有するテープが巻回されている。テープ送り機構53は、図示しない駆動モータの駆動によりテープリール52からテープを所定量ずつ送り出して、テープに収容された部品を順次、供給位置へと供給する。レール部材57は、フィーダ50の下端に設けられフィーダ50の取付方向に延びている。フィーダ50は、実装措置40のフィーダ台42のスロット42aや仮置き場24のフィーダ台24aのスロットにレール部材57が挿入されることで、セットされる。また、フィーダ50がセットされた状態で、フィーダ台42のコネクタ42bやフィーダ台24aのコネクタに、コネクタ55が電気的に接続される。仮置き場24のフィーダ台24aにセットされたフィーダ50の種類や数、位置などの情報は、管理装置90で管理される。
また、本実施形態では、フィーダ50と同様に構成され、ノズル44を交換するためのノズル交換ユニット150を使用可能となっている。図6に示すように、ノズル交換ユニット150は、フィーダ50と同様にコネクタ155やレール部材157などを備える他、テープ送り機構53の配設箇所に円盤型のノズルステーション154が設けられている。ノズルステーション154は、側周面に設けられた複数の凹部にノズル44が着脱可能に取り付けられ、テープ送り機構53と同じ駆動モータの出力軸に連結される。ノズル交換ユニット150は、実装装置40に取り付けられた状態で駆動モータの駆動によりノズルステーション154を回転させることで、各ノズル44を順次、供給位置へと供給する。実装装置40は、供給位置に供給されたノズル44を実装ヘッド43に取り付けるだけでなく、ノズルステーション47,154間でノズル44を入れ替えることができる。なお、実装装置40がノズルステーション47を自動交換可能に構成されていてもよい。
交換ロボット60は、図7に示すように、X軸レール25に沿って交換ロボット60を移動させるロボット移動機構62と、フィーダ50を実装装置40や仮置き場24に移載するフィーダ移載機構64と、ロボット全体を制御するロボット制御部66とを備える。ロボット移動機構62は、駆動源としての駆動モータやX軸レール25に沿った移動をガイドするガイドローラなどを備える。フィーダ移載機構64は、フィーダ50をクランプするクランプ部やクランプ部をY軸方向に移動させるスライダなどを備える。
保管庫70は、図示は省略するが、固定枠36に固定されたスクリーンマスクMを保管するマスク保管部やフィーダ50を保管するフィーダ保管部などを備える。マスク保管部が保管するスクリーンマスクMの種類や位置に関する保管情報と、フィーダ保管部が保管するフィーダ50の種類や位置に関する保管情報とは、管理装置90で管理される。
メンテナンスエリア80は、図7に示すように、マスクメンテナンス装置81と、フィーダメンテナンス装置84と、ノズルメンテナンス装置87とを備える。マスクメンテナンス装置81は、スクリーンマスクMのメンテナンスを行うマスクメンテナンス部82と、装置全体を制御する制御部83とを備える。マスクメンテナンス部82は、図示は省略するが、スクリーンマスクMに洗浄剤を供給するなどにより、表面に付着したはんだやパターン孔に詰まったはんだを除去することで、スクリーンマスクMを清掃する。また、マスクメンテナンス部82が、洗浄したスクリーンマスクMを、所定のテンションで固定枠36に固定し直すものなどとしてもよい。
フィーダメンテナンス装置84は、フィーダ50のメンテナンスを行うフィーダメンテナンス部85と、装置全体を制御する制御部86とを備える。フィーダメンテナンス部85は、図示は省略するが、フィーダ50のテープ送り機構53にエアを吹き付けてスプロケットなどに付着している埃や塵を吹き飛ばし、その後に、溶剤(洗浄剤)にグリスが溶解されているメンテナンス液を供給することで、フィーダ50を清掃する。
ノズルメンテナンス装置87は、ノズル44のメンテナンスを行うノズルメンテナンス部88と、装置全体を制御する制御部89とを備える。ノズルメンテナンス部88は、図示は省略するが、ノズル交換ユニット150から取り出したノズル44にエアを吹き付けてノズル44に付着している埃や塵を吹き飛ばし、その後に、メンテナンス液をノズル44の内部通路に供給することで、ノズル44を清掃する。ノズルメンテナンス装置87は、メンテナンスが完了したノズル44をノズル交換ユニット150に収容し、ノズル交換ユニット150を保管庫70に保管させるものなどとしてもよい。あるいは、ノズルメンテナンス装置87が、ノズル44を保管するノズル保管部を備えてもよい。
管理装置90は、図7に示すように、管理制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力デバイス94と、ディスプレイ95とを備える。管理制御部91は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。記憶部92は、各種情報を記憶するHDDなどの装置である。通信部93は、有線あるいは無線により各装置と通信可能に接続される。入力デバイス94は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウスなどを含む。ディスプレイ95は、各種情報を表示する液晶表示装置である。記憶部92には、基板Sの生産プログラムが記憶されている。生産プログラムは、基板Sの種類(基板種)毎に、部品種毎の部品の実装数や実装順、実装位置、基板Sの生産枚数などを定めたものである。管理制御部91は、通信部93を介して、各装置に作業指示や生産プログラムなどの情報を送信したり、各装置から作業状況や作業結果の情報を受信したりする。
無人搬送車100は、図2に示すように、車輪102が取り付けられた車体部101と、車体部101上に配置された載置台103と、載置台103に載置された作業ユニットを押し出し可能な押出装置104と、車両全体を制御する車両制御部106(図7参照)と、管理装置90と無線通信を行う通信部108(図7参照)とを備える。無人搬送車100は、図示しない走行用モータの動力を車輪102に伝達して自動走行可能であり、通信部108を介して現在位置や車両状況などを管理装置90に送信する。また、押出装置104は、載置台103上でフィーダ50をクランプしたりスクリーンマスクM(固定枠36)と当接したりする移載用部材や移載用部材をY軸方向に移動させるスライダなどを備える。無人搬送車100は、移載用部材が中央に位置する状態で載置台103の前方側の載置部103aと後方側の載置部103bとに、フィーダ50やスクリーンマスクMをそれぞれ載置可能であり、図示しないセンサにより載置の有無を検知する。また、載置台103は図示しない昇降装置により昇降する。無人搬送車100は、印刷装置30やマスクメンテナンス装置81、保管庫70のマスク保管部と載置台103との間で、スクリーンマスクMの移載が可能である。また、無人搬送車100は、仮置き場24やフィーダメンテナンス装置84、ノズルメンテナンス装置87、保管庫70のフィーダ保管部と載置台103との間で、フィーダ50やノズル交換ユニット150の移載が可能である。
次に、こうして構成された実装システム10の動作について説明する。実装システム10では、管理装置90の管理制御部91から送信される作業指示や生産プログラムなどの情報に基づいて各装置が作業を行う。また、管理制御部91は、各作業の品質に関する情報を作成する。管理制御部91は、印刷検査装置22から基板S毎などに印刷検査結果の情報を受信し図8に示す印刷検査結果情報を作成したり、実装装置40から基板S毎などに実装作業に関する情報を受信し図9に示す実装作業状態情報を作成したり、実装検査装置26から基板S毎などに実装検査結果の情報を受信し図10に示す実装検査結果情報を作成したりする。これらの情報は、記憶部92に記憶される。図8の印刷検査結果情報は、基板Sの基板IDと、スクリーンマスクMのマスクIDと、印刷箇所毎の印刷パターンIDと、幅ずれや位置ずれ、高さずれなどの印刷状態に関する情報とを対応付けた情報である。図9の実装作業状態情報は、基板IDと、部品種と、部品番号と、実装位置と、部品を供給したフィーダ50のフィーダIDと、部品を吸着したノズル44のノズルIDと、吸着状態とを対応付けた情報である。吸着状態は、ノズル44に吸着された部品をパーツカメラ46で撮像し、撮像した画像を処理して得られた部品の位置ずれや角度ずれに関する情報である。図10の実装検査結果情報は、基板IDと、部品種と、部品番号と、実装位置と、実装状態とを対応付けた情報である。実装状態は、実装検査装置26において測定された部品の位置ずれや角度ずれに関する情報である。
続いて、実装システム10における各種ユニットのメンテナンスに関する動作について説明する。図11はマスクメンテナンス処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、上述した印刷検査結果情報が更新された場合などに管理装置90の管理制御部91により実行される。このルーチンでは、管理制御部91は、まず、印刷検査結果情報を分析して(S100)、スクリーンマスクMに起因する異常の兆候がみられる予兆状態であるか否かを判定する(S110)。ここで、スクリーンマスクMに歪みなどの変形が生じてパターン孔が広がったり位置がずれたりすると、はんだの塗布面積が増えてはんだの幅ずれ異常が生じたり、はんだの塗布位置がずれてはんだの位置ずれ異常が生じたりする。また、パターン孔内ではんだが詰まると、はんだの塗布面積が減ってはんだの幅ずれ異常が生じたり、スクリーンマスクMの表面が削れるなどにより厚みが薄くなると、パターン孔内のはんだの充填高さが低くなってはんだの高さ異常が生じたりする。このようなスクリーンマスクMに起因する異常は、スクリーンマスクMを繰り返し使用していくうちに生じることが多い。このため、管理制御部91は、印刷検査結果情報を分析して幅ずれや位置ずれ、高さずれの各数値の変化の傾向から、異常になる前の予兆状態を判定することができる。管理制御部91は、S110で予兆状態でないと判定すると、そのままマスクメンテナンス処理ルーチンを終了する。
また、管理制御部91は、S110で予兆状態であると判定すると、スクリーンマスクMのメンテナンス時期と判定して(S120)、保管庫70のマスク保管部から同じパターン孔が形成されたスクリーンマスクMを搬出して印刷装置30へ搬送する指示を無人搬送車100に送信し(S130)、無人搬送車100が印刷装置30に到着するのを待つ(S140)。S130の指示を受信した無人搬送車100は、自動でマスク保管部からスクリーンマスクMを搬出し印刷装置30への搬送を行う。そして、管理制御部91は、無人搬送車100が印刷装置30に到着すると、印刷装置30の印刷状況からスクリーンマスクMを交換可能となるのを待つ(S150)。管理制御部91は、印刷装置30で印刷作業中の基板Sが搬出されたなどにより交換可能になったと判定すると、印刷装置30で使用されていた使用済みのスクリーンマスクMと、今回搬送した新たなスクリーンマスクMとの交換指示を印刷装置30と無人搬送車100とに送信し(S160)、交換が完了するのを待つ(S170)。例えば、無人搬送車100は、後方側の載置部103bに新たなスクリーンマスクMを載置している場合、まず、前方側の載置部103aを印刷装置30に向けて印刷装置30から押し出される使用済みのスクリーンマスクMを受け取る。次に、無人搬送車100は、後方側の載置部103bを印刷装置30に向けて押出装置104で新たなスクリーンマスクMを押し出して印刷装置30内に搬入することで、スクリーンマスクMを交換する。
こうしてスクリーンマスクMの交換が行われると、管理制御部91は、使用済みのスクリーンマスクMをマスクメンテナンス装置81へ搬送する指示を無人搬送車100に送信し(S180)、無人搬送車100がマスクメンテナンス装置81に到着するのを待つ(S190)。管理制御部91は、無人搬送車100がマスクメンテナンス装置81に到着すると、使用済みのスクリーンマスクMをマスクメンテナンス装置81へ渡してメンテナンスを行う指示を、マスクメンテナンス装置81と無人搬送車100とに送信して(S195)、マスクメンテナンス処理ルーチンを終了する。これにより、スクリーンマスクMに起因する異常の予兆状態を判定したときに、スクリーンマスクMを自動で交換してメンテナンスすることができるから、印刷不良などの品質異常が頻発するのを未然に防止することができる。また、作業者による交換作業やメンテナンスを必要とせず、印刷装置30の作業状況に応じた適切なタイミングでスクリーンマスクMを自動交換してメンテナンスすることができる。なお、管理制御部91は、スクリーンマスクMのメンテナンスが完了すると、そのスクリーンマスクMを保管庫70のマスク保管部に搬送する指示を無人搬送車100に送信し、スクリーンマスクMをマスク保管部で保管させるものとすることができる。これにより、スクリーンマスクMの印刷装置30での交換からメンテナンス、その後の保管までを、作業者によらずに無人搬送車100を用いて自動で行うことができる。
また、図12はノズル・フィーダメンテナンス処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、上述した実装作業状態情報や実装検査結果情報が更新された場合などに管理制御部91により実行される。このルーチンでは、管理制御部91は、まず、実装作業状態情報または実装検査結果情報を分析して(S200)、特定のフィーダ50に起因する異常の兆候がみられる予兆状態であるか否か(S210)、特定のノズル44に起因する異常の兆候がみられる予兆状態であるか否か(S220)、を判定する。なお、管理制御部91は、S200で実装作業状態情報と実装検査結果情報とを両方分析してもよい。ここで、フィーダ50のテープ送り機構53に送り不良などが発生すると、そのフィーダ50から供給される部品の供給位置にずれが生じるため、そのフィーダ50から供給される部品の位置ずれや角度ずれが頻発する傾向が見られることがある。また、ノズル44に曲りが発生したり埃や塵が多く付着したりすると、吸着不良が生じやすくなって、そのノズル44で吸着される部品の位置ずれや角度ずれが頻発する傾向が見られることがある。このため、管理制御部91は、実装作業状態情報または実装検査結果情報を分析し、位置ずれや角度ずれの各数値の変化の傾向と、フィーダIDやノズルIDとの相関の有無から、特定のフィーダ50や特定のノズル44における予兆状態を判定することができる。管理制御部91は、S210,S210でいずれの予兆状態でもないと判定すると、ノズル・フィーダメンテナンス処理ルーチンを終了する。
管理制御部91は、S210で特定のフィーダ50の予兆状態であると判定すると、その特定のフィーダ50のメンテナンス時期と判定してメンテナンス対象の作業ユニットに設定する(S230)。また、管理制御部91は、S220で特定のノズル44の予兆状態であると判定すると、その特定のノズル44のメンテナンス時期と判定してメンテナンス対象の作業ユニットに設定する(S240)。次に、管理制御部91は、保管庫70のフィーダ保管部から交換用の作業ユニットを搬出して仮置き場24へ搬送する指示を無人搬送車100に送信する(S250)。なお、管理制御部91は、メンテナンス対象がフィーダ50であれば、同じ種類の部品を収容した交換用のフィーダ50の搬出と搬送を指示し、メンテナンス対象がノズル44であれば、同じ種類のノズル44を収容したノズル交換ユニット150の搬出と搬送を指示する。続いて、管理制御部91は、メンテナンス対象である使用済みの作業ユニットを仮置き場24へ搬出する指示を実装装置40と交換ロボット60に送信し(S260)、無人搬送車100が仮置き場24に到着するのを待つ(S270)。なお、無人搬送車100は、管理制御部91との通信により、交換ロボット60が使用済みの作業ユニットを仮置き場24に移載する作業の完了を待って、仮置き場24前に移動する。そして、管理制御部91は、無人搬送車100が仮置き場24に到着すると、使用済みの作業ユニットと、今回搬送した新たな作業ユニットとの交換指示を無人搬送車100に送信し(S280)、交換が完了するのを待つ(S290)。
こうして作業ユニットの交換が行われると、管理制御部91は、使用済みの作業ユニットを対応するメンテナンス装置へ搬送する指示を無人搬送車100に送信し(S300)、無人搬送車100がメンテナンス装置に到着するのを待つ(S310)。管理制御部91は、メンテナンス対象がフィーダ50であれば、フィーダメンテナンス装置84への搬送を指示し、メンテナンス対象がノズル44(ノズル交換ユニット150)であれば、ノズルメンテナンス装置87への搬送を指示するものとなり、以下同様である。そして、無人搬送車100がメンテナンス装置に到着すると、使用済みの作業ユニットをメンテナンス装置へ渡してメンテナンスを行う指示を、メンテナンス装置と無人搬送車100とに送信して(S320)、ノズル・フィーダメンテナンス処理ルーチンを終了する。これにより、特定のフィーダ50や特定のノズル44に起因する異常の予兆状態を判定したタイミングで、そのフィーダ50やノズル44を自動で交換してメンテナンスすることができるから、実装不良などの品質異常が頻発するのを未然に防止することができる。なお、管理制御部91は、フィーダ50やノズル44のメンテナンスが完了すると、それらを保管庫70に搬送する指示を無人搬送車100に送信して、保管庫70で保管させるものとすることができる。これにより、フィーダ50やノズル44の交換からメンテナンス、その後の保管までを、作業者によらずに無人搬送車100を用いて自動で行うことができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷装置30や実装装置40が作業装置に相当し、保管庫70が保管部に相当し、各メンテナンス装置81,84,87がメンテナンス装置に相当し、無人搬送車100が搬送装置に相当し、マスクメンテナンス処理ルーチンのS100~S120の処理やノズル・フィーダメンテナンス処理ルーチンのS200~S240の処理を実行する管理制御部91が判定部に相当し、マスクメンテナンス処理ルーチンのS130以降の処理やノズル・フィーダメンテナンス処理ルーチンのS250以降の処理を実行する管理制御部91が制御部に相当する。
以上説明した本実施形態の実装システム10では、印刷検査結果情報に基づいてスクリーンマスクMのメンテナンス時期を判定すると、無人搬送車100により交換用のスクリーンマスクMと使用済みのスクリーンマスクMとを自動交換し、使用済みのスクリーンマスクMをマスクメンテナンス装置81でメンテナンスする。これにより、印刷品質を向上させることができる。また、実装システム10では、実装作業状態情報または実装検査結果情報に基づいてフィーダ50のメンテナンス時期を判定すると、無人搬送車100により交換用のフィーダ50と使用済みのフィーダ50とを自動交換し、使用済みのフィーダ50をフィーダメンテナンス装置84でメンテナンスする。また、ノズル44についても同様にメンテナンス時期を判定して自動交換とメンテナンスとを行う。これにより、実装品質を向上させることができる。
また、実装システム10では、作業者による交換作業やメンテナンスを必要とせずに、作業状況に応じた適切なタイミングで各作業ユニットの自動交換やメンテナンスを行うことができるから、印刷装置30や実装装置40の稼働率を低下させることなく印刷品質や実装品質の向上を図ることができる。
また、実装システム10は、特定のフィーダ50が予兆状態にある場合にそのフィーダ50をメンテナンスし、特定のノズル44が予兆状態にある場合にそのノズル44をメンテナンスするから、異常の発生を未然に防止することができる。
なお、本開示の実装システム10は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、フィーダ50とノズル44のメンテナンス時期を両方判定するものとしたが、これに限られず、一方のメンテナンス時期のみを判定してもよいし、ヘッド43などの他の作業ユニットのメンテナンス時期を判定してもよい。また、印刷装置30と実装装置40とのうちいずれか一方の作業装置における作業ユニットのメンテナンス時期を判定するものとしてもよい。
上述した実施形態では、作業装置で使用中の作業ユニットのメンテナンス時期を判定するものとしたが、これに限られるものではない。印刷装置30で使用された後に基板種の変更などのために取り外されて保管庫70で保管されているスクリーンマスクMや、実装装置40で使用された後に基板種の変更などのために取り外されて保管庫70で保管されているフィーダ50やノズル44(ノズル交換ユニット150)など、保管庫70で保管されている作業ユニットのメンテナンス時期を判定するものとしてもよい。図13は、変形例の定期メンテナンス処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理は、定期的なタイミングで管理装置90の管理制御部91により実行される。
この定期メンテナンス処理ルーチンでは、管理制御部91は、まず、保管庫70に保管されている作業ユニットを処理対象に選定する(S400)。管理制御部91は、例えば新たに保管庫70に保管された作業ユニットを処理対象に選定する。次に、管理制御部91は、選定した作業ユニットの使用回数および使用時間を取得する(S410)。なお、使用回数は、スクリーンマスクMを用いた基板Sへの印刷回数(印刷枚数)やフィーダ50による部品の供給個数、ノズル44による部品の吸着回数などとし、メンテナンスでリセットされるものとする。また、使用時間は、作業ユニットが作業装置に取り付けられて最初の基板Sの作業が開始されてから作業ユニットが作業装置から取り外されるまでの時間などとする。続いて、管理制御部91は、作業ユニットの使用回数が所定回数以上であるか否か(S420)、作業ユニットの使用時間が所定時間以上であるか否か(S430)、をそれぞれ判定する。管理制御部91は、使用回数が所定回数以上であるか使用時間が所定時間以上であると判定すると、選定した作業ユニットの定期メンテナンス時期と判定し(S440)、使用回数が所定回数以上でなく且つ使用時間が所定時間以上でないと判定すると、定期メンテナンス処理ルーチンを終了する。定期メンテナンス時期と判定した管理制御部91は、保管庫70からその作業ユニットを搬出して対応するメンテナンス装置へ搬送する指示を無人搬送車100に送信し(S450)、無人搬送車100がメンテナンス装置に到着するのを待つ(S460)。そして、管理制御部91は、無人搬送車100がメンテナンス装置に到着すると、作業ユニットをメンテナンス装置へ渡してメンテナンスを行う指示を、メンテナンス装置と無人搬送車100とに送信して(S470)、定期メンテナンス処理ルーチンを終了する。これにより、作業者による搬送やメンテナンスを必要とせずに、定期的なタイミングで確実に作業ユニットのメンテナンスを行うことができる。また、作業装置の稼働率に影響を及ぼすこともない。したがって、稼働率を低下させることなく作業品質の向上を図ることができる。なお、使用回数および使用時間を両方用いて判定するものに限られず、使用回数および使用時間のいずれか一方を用いてメンテナンス時期を判定するものとしてもよい。また、保管庫70に保管されている期間が所定期間以上の長期間となった場合にメンテナンス時期と判定するものとしてもよい。
また、使用回数や使用時間に基づくメンテナンス時期の判定を、作業装置で使用中の作業ユニットに適用してもよい。即ち、管理制御部91は、使用回数および使用時間のいずれか一方または両方に基づいて、作業装置で作業中の作業ユニットの定期メンテナンス時期を判定し定期メンテナンス時期と判定すると、無人搬送車100により自動交換して、メンテナンスを行うものなどとしてもよい。
上述した実施形態では、自動走行が可能な無人搬送車100により作業ユニットを搬送するものとしたが、作業ユニットを自動で搬送可能なものであればよく、コンベア装置などにより搬送してもよいし、ドローンなどの自動飛行体により搬送してもよい。また、実装ライン20に交換ロボット60が設けられ、無人搬送車100は仮置き場24にフィーダ50などを移載するものとしたが、これに限られず、無人搬送車100が各実装装置40にフィーダ50などを直接移載するものとしてもよい。
本開示の基板作業システムにおいて、前記作業装置は、前記作業ユニットとして部品を供給するフィーダと前記部品を吸着するノズルとを使用し、前記所定作業として前記フィーダから供給された前記部品を前記ノズルにより吸着して前記基板に実装する実装作業を行う実装装置であり、前記判定部は、前記品質情報として前記部品の吸着状態および前記部品の実装状態の少なくともいずれかに関する状態情報に基づいて、前記フィーダおよび前記ノズルのメンテナンス時期を判定するものとすることもできる。これにより、実装装置の実装作業に用いられるフィーダやノズルを適切なタイミングで自動交換してメンテナンスすることができるから、実装装置の稼働率を低下させることなく実装品質の向上を図ることができる。
本開示の基板作業システムにおいて、前記判定部は、前記状態情報に基づいて前記吸着状態および前記実装状態の少なくともいずれかが異常状態に至る前の予兆状態にあるか否かを判定し、特定のフィーダから供給された前記部品が前記予兆状態にある場合に当該フィーダのメンテナンス時期と判定し、特定のノズルで吸着された前記部品が前記予兆状態にある場合に当該ノズルのメンテナンス時期と判定するものとすることもできる。これにより、フィーダやノズルを起因とする異常が発生する前のタイミングでメンテナンスを行うことができる。このため、フィーダやノズルを起因とする異常の発生を未然に防止し、実装装置の稼働率の低下をより抑制しつつ実装品質のさらなる向上を図ることができる。
本開示の基板作業システムにおいて、前記作業装置は、前記作業ユニットとして開口部が形成されたマスクを使用し、前記所定作業として前記マスクの開口部に粘性流体を充填することで前記基板に前記粘性流体を印刷する印刷作業を行う印刷装置であり、前記判定部は、前記品質情報として前記粘性流体の印刷状態に関する状態情報に基づいて、前記マスクのメンテナンス時期を判定するものとすることもできる。これにより、印刷作業に用いられるマスクを適切なタイミングで自動交換してメンテナンスすることができるから、印刷装置の稼働率を低下させることなく印刷精度の向上を図ることができる。
本開示の基板作業システムは、交換可能な作業ユニットを使用して基板に対する所定作業を行う作業装置を備える基板作業システムであって、前記作業ユニットを保管する保管部と、前記作業ユニットに対するメンテナンスを行うメンテナンス装置と、前記作業ユニットを搬送可能な搬送装置と、前記保管部に保管されている前記作業ユニットの定期的なメンテナンス時期を判定する判定部と、前記判定部により前記メンテナンス時期と判定された場合、前記保管部からメンテナンス対象の前記作業ユニットを搬出し前記メンテナンス装置まで搬送してメンテナンスが行われるように、前記搬送装置と前記メンテナンス装置とを制御する制御部と、を備えることを要旨とする。
本開示の基板作業システムは、保管部に保管されている作業ユニットの定期的なメンテナンス時期と判定した場合、保管部からメンテナンス対象の作業ユニットを搬出しメンテナンス装置まで搬送してメンテナンスを行う。これにより、定期的なメンテナンスが行われた作業ユニットを作業装置で使用することが可能となるから、作業品質の向上に繋げることができる。また、作業者による搬送やメンテナンスを必要とせずに、定期的なタイミングで作業ユニットを自動交換してメンテナンスを行うことができるから、作業装置の稼働率に影響を及ぼすことがないものとすることができる。したがって、稼働率を低下させることなく作業品質の向上を図ることができる。なお、定期的なメンテナンスは、作業ユニットの使用回数および/または使用時間に基づいて判定することができる。