Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2021522812A - グリコフォリンa抗原結合タンパク質 - Google Patents

グリコフォリンa抗原結合タンパク質 Download PDF

Info

Publication number
JP2021522812A
JP2021522812A JP2020562704A JP2020562704A JP2021522812A JP 2021522812 A JP2021522812 A JP 2021522812A JP 2020562704 A JP2020562704 A JP 2020562704A JP 2020562704 A JP2020562704 A JP 2020562704A JP 2021522812 A JP2021522812 A JP 2021522812A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antigen
seq
binding protein
tolerance
inducing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020562704A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019215590A5 (ja
Inventor
ステファン・コントス
ローズ・ジャスコル・ルイス
ジュリー・ミッシェル・シルバーマン
ジアン・リィ
グレゴリー・ポール・コンリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Anokion SA
Original Assignee
Anokion SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Anokion SA filed Critical Anokion SA
Publication of JP2021522812A publication Critical patent/JP2021522812A/ja
Publication of JPWO2019215590A5 publication Critical patent/JPWO2019215590A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2896Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against molecules with a "CD"-designation, not provided for elsewhere
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/33Crossreactivity, e.g. for species or epitope, or lack of said crossreactivity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • C07K2317/565Complementarity determining region [CDR]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

いくつかの態様は、グリコフォリンAに結合する抗体などの抗原結合タンパク質に関する。ある態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、かかる抗体の結合フラグメントおよび誘導体、ならびにグリコフォリンAに特異的に結合するポリペプチドである。いくつかの態様は、親和性成熟抗原結合タンパク質に関する。いくつかの態様は、次世代シークエンシングを用いて、親和性成熟候補を予測、スクリーニングまたはその他の方法で特徴づける。さらに、そのような抗体、抗体フラグメントおよび誘導体ならびにポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリヌクレオチドを含む細胞、そのような抗体、抗体フラグメントおよび誘導体ならびにポリペプチドを作製する方法、ならびにそのような抗体、抗体フラグメントおよび誘導体ならびにポリペプチドを使用する方法が開示される。

Description

関連出願
本出願は、2018年5月7日出願の米国仮特許出願第62/668,132号、2019年2月14日出願の米国仮特許出願第62/805,849号および2019年4月5日出願の米国仮特許出願第62/829,920号に基づく優先権の利益を主張し、それら各出願の内容全体を、引用により本明細書に包含させる。
配列表への参照
EFS−WebによりASCIIテキストファイルとして提出した配列表は、35 U.S.C.§ 1.52(e)に従い引用により本明細書中に包含させる。配列表のASCIIテキストファイル名は、ANOK036WO_ST25であり、ASCIIテキストファイルの作成日は2019年4月29日であり、ASCIIテキストファイルのサイズは197キロバイトである。
背景
赤血球(RBC)としても知られるエリスロサイトは、哺乳動物血液中で最も豊富な細胞タイプであり、固有の細胞表面マーカーセットを発現する。
概要
本発明組成物およびこれに関連する方法は、以下に詳細に記載され、当業者によって行われる特定の実施を記載している。しかしながら、それらはまた、別の当事者によるそれらの実施の指示を含み得ることが理解されるべきである。したがって、“抗ヒトグリコフォリンA抗原結合構築物を投与する”などの実施は、“抗ヒトグリコフォリンA抗原結合構築物の投与を指示する”ことを含む。
いくつかの態様において、少なくとも第1の軽鎖相補性決定領域(LC CDR1)および第2の軽鎖CDR(LC CDR2)を含む可変軽鎖ドメインならびに少なくとも第1の重鎖相補性決定領域(HC CDR1)および第2の重鎖CDR(HC CDR2)を含む可変重鎖ドメインを含むグリコフォリンAに結合するための抗原結合タンパク質であって、ここで、該抗原結合タンパク質は、ヒトグリコフォリンAおよびカニクイザルグリコフォリンAのうち少なくとも1つに結合することができ、該抗原結合タンパク質は、約1nMから約100nMの解離定数(Kd)でヒトグリコフォリンAに結合する、抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質よりも大きなKdを有する抗原結合タンパク質をコードする親アミノ酸配列から親和性成熟されている。いくつかの態様において、Kdは、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイによって測定される。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は完全長抗体ではない。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、定常領域を含まない。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、天然抗体よりも少ない可変ドメインを有する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、scFvではない。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は抗体結合フラグメント(Fab)を含み、ここで、該FabはヒトグリコフォリンAおよびカニクイザルグリコフォリンAの両方に結合し、Fabは約10μMから0.1nMの間の解離定数でヒトグリコフォリンAに結合する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトおよび/またはカニクイザルグリコフォリンAに結合することができるFabを含むか、または本質的にそれから構成されている。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列LNRLH(配列番号298)の軽鎖CDR2を有する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列RMTYIL(配列番号278)の重鎖CDR1を有する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列FRNNK(配列番号287)の軽鎖CDR1を有する。
いくつかの態様において、LC CDR2は、LNRLH(配列番号298)、LSRTS(配列番号295)、NTRTS(配列番号296)、NTRPS(配列番号297)、NTRLA(配列番号299)、NSRLS(配列番号300)、LSRVS(配列番号301)、LNRVS(配列番号302)、LNRLS(配列番号303)、NSRLH(配列番号304)、SSRLS(配列番号305)、SSRVS(配列番号306)、SNRLH(配列番号307)、NTRVS(配列番号308)、SNRVS(配列番号309)、HSRLS(配列番号310)、SSRLA(配列番号311)、FNRVN(配列番号312)、LNRMS(配列番号313)、LNRIS(配列番号314)およびLSHPH(配列番号315)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様は、上記の配列と少なくとも約90%、約95%または約98%相同性であるLC CDR2に関する。いくつかの態様において、CDRL2は、配列番号246、243、244、245および247−263のいずれか1つから選択される配列を含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列中の対応する位置にVSKLDの配列を含む親配列から成熟される。
いくつかの態様において、HC CDR1は、RMTYIL(配列番号278)、RATYIL(配列番号269)、RNIYIL(配列番号270)、KYTYIL(配列番号271)、VHTYIL(配列番号272)、RNVFIL(配列番号273)、RNIYLL(配列番号274)、RKTYIL(配列番号275)、LNVYIL(配列番号276)、KATYIL(配列番号277)、KTVYIL(配列番号279)、KHVYIL(配列番号280)、RNITMIL(配列番号281)、KDTYIL(配列番号282)、INSYIL(配列番号283)、QHTYIL(配列番号284)およびRHSYIL(配列番号285)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様は、上記の配列と少なくとも約90%、約95%または約98%相同性であるHC CDR1に関する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列中の対応する位置にKDTYMLの配列を含む親配列から成熟される。いくつかの態様において、CDR H1は、配列番号227、217−226および228−233のいずれか1つから選択される配列を含む。
いくつかの態様において、第一の軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)は、FRNNK(配列番号287)、FRNSK(配列番号288)、FKNGK(配列番号289)、FRNAK(配列番号290)、FRTGK(配列番号291)、FKNDK(配列番号292)およびYKNGK(配列番号293)から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様は、上記の配列と少なくとも約90%、約95%または約98%相同性であるLC CDR1に関する。いくつかの態様において、CDRL1は、配列番号235−241のいずれか1つから選択される配列を含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列中の対応する位置にYSNGKTの配列を含む親配列から成熟される。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、グリコフォリンAへの結合について、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、JC159、SPM599、EPR8200、GYPA/1725R、ab112201、ab114330、ab219896、BRIC256またはそれらのフラグメントもしくは誘導体の1以上と競合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、上記の抗体とは異なるエピトープを標的とするが、その標的に対して、上記のものより高い親和性を有する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原(immunogenic tolerogenic antigen)または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合されており、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは多発性硬化症と関連している。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合されており、ここで、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)の免疫原性フラグメント、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の免疫原性フラグメントおよび/またはミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の免疫原性フラグメントを含む。いくつかの態様において、MBPのフラグメントは、PLPのフラグメントと組み合わせて用いられる。いくつかの態様において、MOGのフラグメントは、PLPのフラグメントと組み合わせて用いられる。いくつかの態様において、MOGのフラグメントは、MBPのフラグメントと組み合わせて用いられる。いくつかの態様において、寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様は、上記の配列に対して少なくとも約90%、約95%または約98%の相同性を有する抗原の免疫原性フラグメントに関する。また、多発性硬化症の処置における使用のためのMS関連抗原に融合した抗原結合タンパク質の使用も提供する。MSを処置する方法も提供する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントと融合されており、ここで、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、1型糖尿病と関連している。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合されており、ここで、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、以下の1以上の免疫原性フラグメントを含む:プロインスリン、インスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5。いくつかの態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号204−214の少なくとも1つを含む。いくつかの態様は、上記の配列に対して少なくとも約90%、約95%または約98%の相同性を有する抗原の免疫原性フラグメントに関する。特定の態様において、異なる抗原からのフラグメントの組み合わせも同様に用いられる。例えば、インスリンのフラグメントまたはプロインスリンのフラグメントは、IA−2のフラグメント、GAD−65のフラグメントおよび/またはGAD−67のフラグメントと組み合わせて用いられ得る。また、I型糖尿病の処置における使用のための、I型糖尿病関連抗原に融合した抗原結合タンパク質の使用も提供する。I型糖尿病を処置する方法も提供する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合されており、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントはセリアック病に関連している。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合されており、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、以下の1以上の免疫原性フラグメントを含む:グルテン、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体。いくつかの態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号182−185および215の少なくとも1つを含む。いくつかの態様は、上記の配列と少なくとも約90%、約95%または約98%相同性である抗原の免疫原性フラグメントに関する。いくつかの態様において、抗原の組み合わせもまた用いられる。例えば、いくつかの態様において、グリアジンのフラグメントが用いられる。さらなる態様において、天然グリアジンおよび脱アミド化グリアジンフラグメントが用いられる。いくつかの態様において、セリアック病の処置に用いるためのセリアック病関連抗原に融合された抗原結合タンパク質の使用も提供される。セリアック病の処置方法も提供される。
抗体結合タンパク質の親和性成熟方法もまた提供する。いくつかの態様において、該方法は、非特異的結合体のファージライブラリーを枯渇させることを含み、ここで、該ファージライブラリーは、複数のファージを含み、各ファージは候補親和性成熟抗体または抗体フラグメントを発現する。いくつかの態様において、該方法は、除去されたライブラリーを標的抗原に曝露し、標的抗原に結合していないファージを除去し(例えば、洗浄または他の分離方法によって)、および標的抗原に結合しているファージを増幅することを含む。いくつかの態様において、曝露、除去および増幅工程は複数回繰り返される。例えば、いくつかの態様において、それらは2、3、4、5、6、7、8、9または10回繰り返される。いくつかの態様において、繰り返しは、高親和性候補抗体または抗体フラグメントを発現するファージによる標的抗原の結合をもたらす選択圧を誘導する。いくつかの態様において、高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングする。いくつかの態様において、スクリーニングは、次世代シークエンシングを用いて実施する。いくつかの態様において、スクリーニングは、ELISAを用いて実施する。いくつかの態様において、要すれば、NGSおよびELISAを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること、および/または可溶性形態で発現される高親和性候補抗体または抗体フラグメントの能力を評価することの1以上をさらに含んでいてよい。
いくつかの態様において、少なくとも第1の軽鎖相補性決定領域(LC CDR)1および第2の軽鎖CDR(LC CDR2)を含む第1の可変ドメインならびに少なくとも第2の重鎖相補性決定領域(HC CDR)1および第2の重鎖CDR(HC CDR2)を含む第2の可変ドメインを含む、グリコフォリンAに結合するための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が、ヒトおよびカニクイザルグリコフォリンAの両方に結合し得る、抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイにより測定される約20nM未満の解離定数(Kd)でヒトグリコフォリンAに結合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイにより測定されるように、抗原結合タンパク質より大きいKdを有する親配列から親和性成熟される。
いくつかの態様において、配列番号243−264の1以上と少なくとも約95%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、配列番号235−242の1以上と少なくとも約95%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖相補性決定領域(CDR)1およびXTSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2を含む抗原結合タンパク質であって、ここで、X、X、X、XおよびXがそれぞれ、天然アミノ酸であり、XがYであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XがKではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XがYではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XがYではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XがYではなく;そして、XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがYであるとき、XがNではない、抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1が、RASSNVXMY(式中、XがF、WおよびYから選択され、XがF、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)、RASSNVXMY(式中、XがF、WおよびYから選択され、XがF、WおよびYから選択される)(配列番号53)、RASSNVXMY(式中、XがFまたはYであり、XがF、WおよびYから選択される)(配列番号55)、およびRASSNVXMY(式中、XがFまたはYであり、XがFである)(配列番号57)からなる群より選択される配列を含み、軽鎖CDR2が、XTSXLAS(式中、XがHおよびYから選択され、XがH、RおよびKから選択され、Xが天然アミノ酸である)(配列番号52)、XTSXLAS(式中、XがHであり、XがHまたはRであり、Xが天然アミノ酸である)(配列番号54)、XTSXLAS(式中、XがHであり、XがHであり、Xが天然アミノ酸である)(配列番号56)、およびXTSXLAS(式中、XがHであり、XがHであり、XがVまたはDである)(配列番号58)からなる群より選択される配列を含む。
いくつかの態様において、請求項15記載の抗原結合タンパク質は、QQFTSSPYT(配列番号45)を含む軽鎖CDR3をさらに含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、GYTFNSYFMH(配列番号46)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR1、GMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR2ならびにWEGSYYALDY(配列番号48)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR3をさらに含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号3と少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号3と少なくとも約95%同一である重鎖可変ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号3と少なくとも約99%同一である重鎖可変ドメインをさらに含む。
いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約90%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約95%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約95%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約99%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約99%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号4−42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、配列番号5、9、11、12、14、18、19、20、21、22、24、27、28、31、38および42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。一態様において、配列番号21のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。一態様において、配列番号42のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質を含み、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントをさらに含む、免疫寛容を誘導するための組成物を提供する。いくつかの態様において、該組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、MPBのフラグメント(複数可)、MOGのフラグメント(複数可)およびPLPのフラグメント(複数可)の少なくとも1つを含む。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の少なくとも1つを含む。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の少なくとも1つを含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質を提供する。疾患、病状および障害の処置方法を提供する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖相補性決定領域(CDR)1およびXTSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2(式中、X、X、X、XおよびXが、それぞれ天然アミノ酸である)を含むか、または本質的にそれからなる。いくつかの態様において、XがYであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはKではない。ある態様において、XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではない。ある態様において、XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではない。ある態様において、XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではない。ある態様において、XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがYであるとき、XはNではない。いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはF、WおよびYから選択され、XはF、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)を含む。ある態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHおよびYから選択され、XはH、RおよびKから選択され、Xは天然アミノ酸である)(配列番号52)を含む。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはF、WおよびYから選択され、XはF、WおよびYから選択される)(配列番号53)を含む。ある態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHまたはRであり、Xは天然アミノ酸である)(配列番号54)を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはFまたはYであり、XはF、WおよびYから選択される)(配列番号55)を含む。ある態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、Xは天然アミノ酸である)(配列番号56)を含む。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはFまたはYであり、XはFである)(配列番号57)を含む。ある態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、XはVまたはDである)(配列番号58)を含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、RASSNVXMY(配列番号49)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を含むその変異体を含む軽鎖CDR1;および、XTSXLAS(配列番号50)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を含むその変異体を含む軽鎖CDR2を含むか、または本質的にそれからなり、ここで、X、X、X、XおよびXは、それぞれ天然アミノ酸である。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはF、WおよびYから選択され、XはF、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHおよびYから選択され、XはH、RおよびKから選択され、Xは天然アミノ酸である)(配列番号52)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはF、WおよびYから選択され、XはF、WおよびYから選択される)(配列番号53)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHまたはRであり、Xは天然アミノ酸である)(配列番号54)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはFまたはYであり、XはF、WおよびYから選択される)(配列番号55)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、Xは天然アミノ酸である)(配列番号56)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。ある態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、XはFまたはYであり、XはFである)(配列番号57)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、XはVまたはDである)(配列番号58)または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含むその変異体を含む。
いくつかの態様において、本発明はまた、軽鎖CDR3を含む抗原結合タンパク質も提供する。ある態様において、軽鎖CDR3は、QQFTSSPYT(配列番号45)を含む。ある態様において、軽鎖CDR3は、1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含む配列番号45の変異体を含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、重鎖CDR1、重鎖CDR2および/または重鎖CDR3も含む。ある態様において、重鎖CDR1はGYTFNSYFMH(配列番号46)を含む。ある態様において、重鎖CDR2はGMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)を含む。ある態様において、重鎖CDR3はWEGSYYALDY(配列番号48)を含む。いくつかの態様において、本発明はまた、配列番号46を含む重鎖CDR1、配列番号47を含む重鎖CDR2および/または配列番号48を含む重鎖CDR3の変異体も提供し、ここで該変異体は、1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号3と少なくとも70%(例えば、70−75%、75−80%、80−85%、85−90%、90−95%、95−100%、およびその中の重複範囲)同一である重鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも70%(例えば、70−75%、75−80%、80−85%、85−90%、90−95%、95−100%、およびその中の重複範囲)同一である軽鎖可変ドメインを含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号4−42の1以上のアミノ酸配列を含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号4−42と少なくとも70%(例えば、70−75%、75−80%、80−85%、85−90%、90−95%、95−100%、およびその中の重複範囲)同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、9、11、12、14、18、19、20、21、22、24、27、28、31、38および/または42を含む。一態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号21を含む。一態様において、抗原結合タンパク質は配列番号42を含む。
また、いくつかの態様において、ヒト化抗原結合タンパク質も提供する。いくつかのそのような態様において、抗原結合タンパク質は、以下の1以上を含む:(a)配列番号131−140から選択される第1のヒト軽鎖フレームワーク領域(FR1);(b)配列番号141−148から選択される軽鎖フレームワーク領域のヒトFR2;(c)配列番号149−156から選択される軽鎖のヒトFR3;(d)配列番号157−162から選択される軽鎖のヒトFR4;(e)配列番号109−115から選択される第1のヒト重鎖フレームワーク領域(FR1);(f)配列番号116−119から選択される重鎖のヒトFR2;(g)配列番号120−127から選択される重鎖のヒトFR3;および/または(h)配列番号128−130から選択される重鎖のヒトFR4。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト定常領域を含む。ある態様において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4であり得る。一態様において、ヒト定常領域はIgG1である。
ある態様において、抗原結合タンパク質は完全長抗体であるが、他の態様において、抗原結合タンパク質は、抗体の抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、一本鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合したFv、V NARドメイン、IgNar、イントラボディ(intrabody)、IgG−CH2、ミニボディ、F(ab’)3、四量体、三量体(triabody)、二量体、単一ドメイン抗体、DVD−Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2またはscFv−Fcを含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、グリコフォリンA(GPA)に特異的に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPA、カニクイザルGPA、ブタGPA、イヌGPA、マウスGPAおよび/またはラットGPAの1以上に特異的に結合する(例えば、抗原結合タンパク質は二重特異性または多重特異性である)。一態様において、結合は、ヒトGPAに特異的である。ある態様において、抗原結合タンパク質は、1.0nMより大きい(1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、12.0、14.0、20、50またはそれ以上およびその中の重複範囲の)KでヒトGPAに結合する。いくつかのそのような態様において、結合親和性は、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法および/または放射免疫アッセイにより測定される。
ある態様において、抗原結合タンパク質は親和性成熟されている。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、JC159、SPM599、EPR8200、GYPA/1725R、ab112201および/またはBRIC256の1以上の親和性成熟変異体である。一態様において、抗原結合タンパク質は、10F7の親和性成熟変異体である。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、JC159、SPM599、EPR8200、GYPA/1725R、ab112201、BRIC256、それらのフラグメントおよび/またはそれらの誘導体とGPAとの結合について競合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、10F7、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、SPM599、GYPA/1725R、ab112201、ab114330、ab219896、BRIC256、それらのフラグメントおよび/またはそれらの誘導体の、ヒトGPAへの結合を少なくとも10%(例えば、10−15%、15−20%、20−25%、25−30%、30−40%、40−50%、50−60%、60−70%、70−80%、80−90%、90−100%、およびその中の重複範囲)阻害する。一態様において、結合の阻害は、少なくとも約50%である。
いくつかの態様において、配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、76、78、80、81、83、85、87、88、90、91、93、95、96、98、99、101、102、104、105、107および108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;ならびに/または配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、82、84、86、89、92、94、97、100、103および106のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2を含む、ヒトGPAに特異的に結合するヒト化親和性成熟抗原結合タンパク質を提供する。
また、いくつかの態様において、以下の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個を含む、ヒトGPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質も提供する:(a)配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、76、78、80、81、83、85、87、88、90、91、93、95、96、98、99、101、102、104、105、107および108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;(b)配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、82、84、86、89、92、94、97、100、103および106のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;(c)配列番号45または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む軽鎖CDR3;(d)配列番号46または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR1;(e)配列番号47または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR2;(f)配列番号48または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR3;(g)配列番号131−140から選択される第1のヒト軽鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号141−148から選択される軽鎖フレームワーク領域のヒトFR2、配列番号149−156から選択される軽鎖のヒトFR3、および配列番号157−162から選択される軽鎖のヒトFR4;(h)配列番号109−115から選択される第1のヒト重鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号116−119から選択される重鎖のヒトFR2、配列番号120−127から選択される重鎖のヒトFR3、および配列番号128−130から選択される重鎖のヒトFR4;(i)ヒト重鎖定常領域;および/または、(j)ヒト軽鎖定常領域。
いくつかの態様において、本発明はまた、本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコード化する単離ポリヌクレオチドを提供する。ある態様において、該単離ポリヌクレオチドは、配列番号1−42の1以上と少なくとも70%(例えば、25−50%、50−75%、75−100%、100−150%、またはそれ以上およびその中の重複範囲)同一のポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、本発明はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチドの1以上を含むベクターも提供する。さらに、本明細書に記載のベクターを含む宿主細胞株(例えば、CHO、k1SV、XCeed、CHOK1SVおよびGS−KO)も、いくつかの態様において提供される。
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原結合タンパク質の産生方法であって、抗原結合タンパク質が産生される条件下で本明細書に記載の細胞株を培養し、抗原結合タンパク質を回収することを含む、抗原結合タンパク質の産生方法を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、1以上の軽鎖および1以上の重鎖を含む。いくつかの態様において、重鎖および軽鎖は、別個のベクターにコード化されるが、他の態様において、重鎖および軽鎖は、同じベクターにコード化される。
本明細書に記載の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物は、いくつかの態様において提供される。ある態様において、薬学的に許容される担体も提供される。ある態様において、医薬組成物は、静脈内投与のために剤形される。
いくつかの態様において、免疫寛容を誘導する組成物を提供する。ある態様において、組成物は、本明細書に記載の抗原−タンパク質および少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含むか、または本質的にそれからなる。ある態様において、寛容誘導性抗原は、対象が寛容誘導性抗原に曝露されたときに、該対象において望ましくない免疫応答を誘発することができる。一態様において、寛容誘導性抗原は、内因性抗原(例えば、自己抗原(複数か))または外因性抗原(例えば、外来抗原(複数可))であり得る。別の態様において、寛容誘発性抗原は、移植レシピエントが望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発症する外来移植抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、アレルギー性応答または過敏症)を発症する外来食品、動物、植物または環境抗原、患者が望ましくない免疫反応(例えば、過敏症および/または治療活性の低下)を発症する治療薬、患者が望ましくない免疫反応(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原であり得る。いくつかの態様において、送達ベクター(例えば、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクター)を、治療薬を送達するために用いるが、それ自体が免疫応答を誘導することができる。したがって、いくつかの態様によれば、そのようなベクターの少なくとも一部に対する免疫寛容を誘導する組成物および方法が提供される。
いくつかの態様において、本明細書に記載の処置方法および/または組成物の使用は、以下の条件の1以上の予防または処置のために提供される:移植拒絶反応、1型糖尿病、セリアック病および/または多発性硬化症。処置方法では、有効量の組成物が対象(例えば、ヒトまたは家畜)に送達される。望ましくない免疫応答がいくつかの態様で開示されているが、他の態様は、非免疫状態(例えば、エリスロサイトへの組成物の標的化から利益を得る状態)を処置するために用いられる。ある態様において、本明細書に記載の抗原結合タンパク質の診断方法および診断用途も提供する。特定の態様において、投与用の1以上の化合物および装置(注射器、容器、吸入器など)、ならびに使用説明書を含むキットを提供する。
いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、その免疫原性断片および免疫原性のミモトープの少なくとも1つを含む。ある態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む。いくつかのそのような態様において、多発性硬化症の処置における組成物の使用を提供する。
いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、SST G−タンパク質共役受容体1−5、その免疫原性フラグメント、およびその免疫原性ミモトープの少なくとも1つを含む。ある態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号204−214の少なくとも1つを含む。いくつかのそのような態様において、1型糖尿病の処置における組成物の使用を提供する。
いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、それらの脱アミド体、その免疫原性フラグメント、およびその免疫原性ミモトープの少なくとも1つを含む。ある態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号182−185および215の少なくとも1つを含む。いくつかのそのような態様において、セリアック病の処置における組成物の使用を提供する。
いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、MHCクラスIタンパク質、MHCクラスIIタンパク質、マイナーな血液型抗原、RhCE、Kell、Kidd、Duffy、Ss、その免疫原性フラグメント、およびその免疫原性ミモトープの少なくとも1つを含む。いくつかのそのような態様において、移植拒絶の処置または予防における組成物の使用を提供する。
いくつかの態様によれば、RATYIL、RNIYIL、KYTYIL、VHTYIL、RNVFIL、RNIYLL、RKTYIL、LNVYIL、KATYIL、RMTYIL、KTVYIL、KHVYIL、RNITMIL、KDTYIL、INSYIL、QHTYIL、RHSYIL(配列番号269−285)およびそれらの組合せから選択されるアミノ酸を含む重鎖相補性決定領域1(CDR H1)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列中の対応する位置にKDTYML(配列番号286)の配列を含む親配列から成熟される。
さらなる態様は、FRNNK、FRNSK、FKNGK、FRNAK、FRTGK、FKNDK、YKNGK(配列番号287−293)およびそれらの組合せから選択されるアミノ酸配列を含む第1の軽鎖相補性決定領域1(CDRL1a)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列中の対応する位置にYSNGKT(配列番号294)の配列を含む親配列から成熟される。
さらに追加の態様は、LSRTS、NTRTS、NTRPS、LNRLH、NTRLA、NSRLS、LSRVS、LNRVS、LNRLS、NSRLH、SSRLS、SSRVS、SNRLH、NTRVS、SNRVS、HSRLS、SSRLA、FNRVN、LNRMS、LNRIS、LSHPH(配列番号295−315)およびそれらの組合せから選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(CDRL2)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、CDLR2は、アミノ酸配列中の対応する位置にVSKLD(配列番号316)の配列を含む親配列から成熟される。
いくつかの態様において、CDRH1、CDRL1aおよび/またはCDRL2を含む抗原結合タンパク質は、ヒト標的抗原およびカニクイザル標的抗原に結合する。いくつかの態様において、ヒト標的抗原およびカニクイザル標的抗原は、グリコフォリンAである。いくつかの態様において、CDRH1、CDRL1aおよび/またはCDRL2を含む抗原結合タンパク質は、寛容が望まれる抗原に結合される。
いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントにNGS融合(例えば、組み換え的に結合、化学的に結合など)または他の結合を用いて親和性成熟させた抗原結合タンパク質を含む、免疫寛容を誘導するための組成物を提供する。いくつかの態様において、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、MPBのフラグメント(複数可)、MOGのフラグメント(複数可)およびPLPのフラグメント(複数可)の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、そのような態様は、多発性硬化症の処置における使用のためのものである。
さらなる態様において、組成物は、NGSおよび少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を用いて親和性成熟された抗原結合タンパク質を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原が、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2α(IA−2α)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100α、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが配列番号204−214を含む。ある態様において、かかる組成物は、1型糖尿病の処置に用いるためものである。
さらなる態様において、組成物は、NGSおよび少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を用いて親和性成熟された抗原結合タンパク質を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の少なくとも1つを含む。ある態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号182−185および215を含む。ある態様において、かかる組成物は、セリアック病の処置に用いるためのものである。
本明細書中、多発性硬化症、1型糖尿病またはセリアック病の処置法であって、NGSおよびMS、T1Dまたはセリアック病に関連付けられた抗原もしくは免疫原性フラグメントを用いて親和性成熟された抗原結合タンパク質を対象に投与することを含む、処置方法を提供する。
また、本明細書中、抗体もしくは抗体フラグメントを親和性成熟させて標的に対する親和性を高める方法であって、非特異的結合体のファージライブラリーを枯渇させ(ここで、該ファージライブラリーは、複数のファージを含み、各ファージが候補の親和性成熟した抗体もしくは抗体フラグメントを発現する)、枯渇したライブラリーを標的抗原に曝露し、洗浄により標的抗原に結合していないファージを除去し、標的抗原に結合しているファージを増幅させ、曝露、除去および増幅工程を複数回繰り返して、高親和性候補抗体または抗体フラグメントを発現するファージによる標的抗原の結合をもたらす選択圧を誘導し、そして次世代シークエンシングを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすることを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、該方法は、ELISAを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること、および高親和性候補抗体または抗体フラグメントが可溶性形態で発現される能力を評価することの1以上をさらに含んでいてもよい。
図1A−1Cは、親和性成熟キャンペーンに用いられたヒト化10F7抗体の配列を示す。図1Aは、追加の(follow-on)親和性成熟のための限定されない抗体配列として選択されたヒト化抗体クローン(“m10”)の定常領域および可変領域の軽鎖および重鎖の配列を示す。親和性成熟キャンペーンにおける相補性決定領域の無作為化された抗原結合残基を、太字および下線で示す。図1Bは、KabatおよびClothiaスキームに従って、可変領域の軽鎖および重鎖のCDR、ならびにパラトーム(Paratome)抗原結合領域(ABR)の位置を示す。図1Cは、TRIM(トリヌクレオチド突然変異誘発)によって生成された5つの別個のファージディスプレイライブラリーを示す。 図2は、いくつかの態様に従って用いられる親和性成熟選択プロセスの概略を示す。ファージディスプレイライブラリーを、組換えビオチン化ヒトグリコフォリンA(GPA)に対して3回選択し、その後ELISAによりさらにスクリーニングした。陽性クローンを配列決定し、組換え発現させ、精製し、そしてそれらの親和性を、ELISA、バイオレイヤー干渉法、表面プラズモン共鳴およびフローサイトメトリーアッセイによって特徴付けた。 図3は、親和性成熟したfAbの軽鎖可変ドメインの配列を示す。CDR1およびCDR2の無作為化された抗原結合残基を、太字および下線で示す。 図4は、3−103抗体可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)の配列解析を示す。 図5は、本明細書に記載の抗体(フラグメントを含む)の親和性成熟の限定されない模式図を示す。 図6は、抗体を親和性成熟させるために用いられる方法フローの限定されない概略図を示す。 図7は、本明細書に記載のような選択スキームの限定されない態様を示す。 図8A−8Cは、CDR−L1bライブラリーの成熟キャンペーンに関連するデータを示す。図8Aは、成熟化キャンペーンからのヒットの収斂配列(convergence sequence)を示す。図8Bは、様々なCDR領域が同定された3−103の概略リボン図を示す。図8Cは、親抗体フラグメント(非成熟)と比較した、候補成熟抗体フラグメントのヒトエリスロサイトへの結合の程度を示す。 図9A−9Iは、CDRL1bライブラリーからスクリーニングされ得られた抗体の増強された親和性に対する配列濃縮度(fold sequence enrichment)に関連するデータを示す。野生型3−103を、参考のために矢印で示す。 図10A−10Dは、培養上清から単離されたCDRL1aクローンに関するデータを示す。図10Aは、親抗体フラグメント(未成熟)と比較した、候補成熟抗体フラグメントのヒトエリスロサイトへの結合の程度を示す。図10Bは、成熟キャンペーンからのヒットの収斂配列を示す。図10Cは、ELISAおよびNGSにより同定された配列の数および親和性の比較を示す。図10Dは、ELISAまたはNGS法によって同定され、可溶性Fabとして発現され得る配列の割合の内訳を、ヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類して示す(特記−このグラフは、親和性によって試験されたそれらのFabの内訳を示しており、すべての親和性範囲にわたるFabの種類の合計は100%に等しい)。 図11A−11Fは、CDRL1aライブラリーからスクリーニングされた得られた抗体の増強された親和性に対する配列濃縮度に関連するデータを示す。野生型3−103を、参考のために矢印で示す。 図12A−12Dは、培養上清から単離されたCDRL2クローンに関連するデータを示す。図12Aは、親抗体フラグメント(未成熟)と比較した、候補成熟抗体フラグメントのヒトエリスロサイトへの結合の程度を示す。図12Bは、成熟化キャンペーンからのヒットの収斂配列を示す。図12Cは、ELISAおよびNGSによって同定された配列の数および親和性の比較を示す。図12Dは、ELISA法またはNGS法によって同定され、可溶性Fabとして発現され得る配列の割合の内訳を、ヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類して示す(特記−このグラフは、親和性によって試験されたそれらのFabの内訳を示しており、すべての親和性範囲にわたるFabの種類の合計は100%に等しい)。 図13A−13Fは、第1ラウンドから第3ラウンドまでのスクリーニングアウトプット(output)からのCDRL2ライブラリーからの配列の濃縮度に関連するデータを示す。野生型3−103を、参考のために矢印で示す。 図14A−14Dは、培養上清から単離されたCDRH1クローンに関するデータを示す。図14Aは、親抗体フラグメント(未成熟)と比較して、候補成熟抗体フラグメントのヒトエリスロサイトへの結合の程度を示す。図14Bは、成熟キャンペーンからのヒットの収斂配列を示す。図14Cは、ELISAおよびNGSによって同定された配列の数および親和性の比較を示す。図14Dは、ELISA法またはNGS法によって同定され、可溶性Fabとして発現され得る配列の割合の内訳を、ヒトエリスロサイトに対するそれらの親和性によって分類して示す(特記−このグラフは、親和性によって試験されたそれらのFabの内訳を示しており、すべての親和性範囲にわたるFabの種類の合計は100%に等しい)。 図15A−15Fは、第1ラウンドから第3ラウンドまでのスクリーニングアウトプットからのCDRH1ライブラリーからの配列の関連する濃縮度を示す。野生型3−103を参考のために矢印で示す。 図16A−16Dは、培養上清から単離されたCDRH2クローンに関連するデータを示す。図16Aは、親抗体フラグメント(未成熟)と比較した、候補成熟抗体フラグメントのヒトエリスロサイトへの結合の程度を示す。図16Bは、成熟キャンペーンからのヒットの収斂配列を示す。図16Cは、ELISA、マニュアル変異設計およびNGSによって同定された配列の数および親和性の比較を示す。図16Dは、ELISA法、マニュアル変異設計法またはNGS法によって同定され、可溶性Fabとして発現され得る配列の割合の内訳を、ヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類して示す(特記−このグラフは、親和性によって試験されたそれらのFabの内訳を示しており、全ての親和性範囲にわたるFabの種類の合計は100%に等しい)。 図17A−17Iは、第1ラウンドから第3ラウンドまでのスクリーニング結果からのCDRH2ライブラリーからの配列の関連する濃縮度を示す。野生型3−103を参考のために矢印で示す。 図18A−18Bは、ヒト(18A)またはカニクイザル(18B)エリスロサイトへの、CDRL1a、L2およびH1ライブラリーから選択されたクローンの結合に関連するデータを示す。 図19は、示されたCDRライブラリーからの増強された親和性の効率の分析を示す。 図20は、選択されたクローンの配列ならびにヒトおよびカニクイザルの親和性に関連するデータを示す。 図21A−21Fは、ELISAベース技術または次世代シークエンシング(NGS)ベース技術のいずれかによる抗体親和性の増強の比較に関連して、先行する図に示されたデータのまとめを提供する。 図22は、赤血球上の標的に対する親和性の増加と疾患重篤度の改善とを相関付けるデータを示す。 図23A−23Cは、親和性改善に相関する選択された配列の濃縮の評価に関連するデータを示す。図23Aは、様々なライブラリーからの配列濃縮度対親和性の散布図を示す。図23Bは、野生型および野生型様配列のために濃縮されたライブラリー1からの親和性データを示す。図23Cは、非親配列のために濃縮され、増強された親和性を示したライブラリー4からの親和性データを示す。 図24は、ヒト赤血球に対して増強された親和性を示した選択クローンを用いたカニクイザルエリスロサイトに対する親和性データを示す。 図25A−25Bは、野生型(A)に対する増強された親和性を示すクローン(B)についての動態解析データを示す。 図26は、ELISAおよびNGSスクリーニング法で比較した追加のまとめグラフを示す。
詳細な説明
グリコフォリンAに結合する抗原結合タンパク質
赤血球(RBC)としても知られるエリスロサイトは、哺乳動物血液において最も豊富な細胞タイプである。それらは、小さな円盤状の無核の両面中窪み円盤状(biconcave)の細胞であり、その主な機能は、組織間で酸素および二酸化炭素を運搬することである。赤血球は、ヒト血液型抗原、グリコフォリン、バンド3およびルイス抗原を含む細胞表面マーカーの特徴的なセットを発現している。
ヒトグリコフォリンA(GPA)は、GYPA遺伝子(CD235a)によってコードされるタンパク質であり、高度にグリコシル化された細胞外ドメインを有する単一の膜貫通ドメインタンパク質を意味する。グリコフォリンAは、RBCにより赤血球系細胞(erythroid cell)および血液中にのみに発現される。
いくつかの態様は、グリコフォリンAに結合する抗体のような抗原結合タンパク質に関する。ある態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、グリコフォリンAに特異的に結合する、完全長ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、かかる抗体の結合フラグメントおよび誘導体、ならびにポリペプチドである。いくつかの態様は、親和性成熟抗原結合タンパク質に関する。さらに、そのような抗体、抗体フラグメントおよび誘導体およびポリペプチドをコードする核酸、かかるポリヌクレオチドを含む細胞、かかる抗体、抗体フラグメントおよび誘導体およびポリペプチドの作製方法、ならびにかかる抗体、抗体フラグメントおよび誘導体およびポリペプチドの使用方法が記載されている。
高度に相同性のGPAおよびグリコフォリンB(GPB)は、遺伝子重複事象後に他方から一方が派生した2つの遺伝子によってコードされている。GPBの26個のN末端アミノ酸の配列は、GPAのN末端の2つの対立遺伝子のうち一方と同一である。GPAおよびGPBは、高度にグリコシル化された細胞外ドメインを有する単一の膜貫通ドメインタンパク質である。GPAおよびGPBは、赤血球膜内で結合することが見出されている。ある態様において、抗原結合タンパク質は、単量体形態でGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、二量体形態でGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質はGPBに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、単量体形態でGPBに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、二量体形態でGPBに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、GPAおよびGPBのヘテロ二量体に結合する。
グリコフォリンは、いくつかの血液型抗原、例えば、GPA上のMおよびN血液型抗原、ならびにGPB上のN、Sおよびs抗原を運ぶ。さらに、グリコフォリンは、血液型に依存しない抗原を運び、血液型に依存しない分子上に常に存在するこのようなエピトープを標的とするいくつかのマウスモノクローナル抗体が存在する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、分子によって運ばれる血液型抗原とは無関係に赤血球上のGPAを認識する。ある態様において、抗原結合タンパク質の反応性は、血液型表現型がM+N+、M−N+、またはM+N−であるかどうかに関係なく同じである。ある態様において、抗原結合タンパク質は、このタンパク質によって運ばれる血液型決定因子とは関係のないGPAのエピトープを認識する。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、単一の種のGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト、カニクイザル、ブタ、イヌ、マウスおよびラットを含むがこれらに限定されない、1種以上のGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、カニクイザルGPAに結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPAおよびカニクイザルGPAに結合する。
抗原結合タンパク質
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質を提供する。本明細書で用いる用語“抗原結合タンパク質”とは、その通常の意味を有し、また、抗原に結合する抗原結合フラグメント、および要すれば、抗原結合フラグメントが抗原への抗原結合タンパク質の結合を促進するコンフォメーションを採用するのを可能にする足場またはフレームワーク部分を含むタンパク質を意味する。ある態様において、抗原はGPAまたはそのフラグメントである。ある態様において、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する抗体からの少なくとも1つのCDRを含む。ある態様において、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する抗体の重鎖または抗原に結合する抗体の軽鎖からの3つのCDRのすべてを含む。さらにある態様において、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する抗体の重鎖に由来する3個のCDRおよび軽鎖に由来する3個のCDRのすべての6個のCDRを含む。ある態様において、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する抗体からの1個、2個、3個、4個、5個または6個のCDRを含み、いくつかの態様において、CDRは、重鎖および/または軽鎖CDRの何れかの組合せであり得る。ある態様において、抗原結合フラグメントは抗体フラグメントである。
抗原結合タンパク質の限定されない例としては、抗体、抗体フラグメント(例えば、抗体の抗原結合フラグメント)、抗体誘導体および抗体類縁体が挙げられる。さらなる具体例としては、単鎖可変フラグメント(scFv)、ナノボディ(例えば、ラクダ重鎖抗体のVHドメイン;VHHフラグメント)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、Fdフラグメントおよび相補性決定領域(CDR)フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。これらの分子は、ヒト、マウス、ラット、ウサギもしくはブタ、イヌまたはラクダなどの何れかの哺乳動物由来のものであり得る。抗体フラグメントは、インタクトな抗体と標的抗原との結合について競合してよく、該フラグメントは、インタクトな抗体の改変(例えば、酵素的または化学的切断)によって産生されるか、または組換えDNA技術もしくはペプチド合成を用いて新たに(デノボで)合成され得る。抗原結合タンパク質は、例えば、移植されたCDRまたはCDR誘導体を有する代替タンパク質足場または人工足場を含み得る。そのような足場には、例えば、抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化するために導入された変異を含む抗体由来足場、ならびに例えば、生体適合性ポリマーを含む完全合成足場が含まれるが、これらに限定されない。さらに、ペプチド抗体模倣体(“PAM”)、ならびにフィブロネクチン成分を足場として利用する抗体模倣体に基づく足場を用いることができる。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、単一のポリペプチド鎖または複数のポリペプチド鎖に組み込まれた1以上の抗体フラグメントを含む。例えば、抗原結合タンパク質としては、二重特異性抗体;イントラボディ;ドメイン抗体(ペプチドリンカーにより連結された単一のVLもしくはVHドメインまたは2以上のVHドメイン);マキシボディ(Fc領域に融合された2つのscFv);三量体;四量体;ミニボディ(CH3ドメインに融合されたscFv);ペプチボディ(Fc領域に結合された1以上のペプチド);線形抗体(相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する、一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1));小型モジュラー免疫医薬品(small modular immunopharmaceutical);および、免疫グロブリン融合タンパク質(例えば、IgG−scFv、IgG−Fab、2scFv−IgG、4scFv−IgG、VH−IgG、IgG−VHおよびFab−scFv−Fc)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、免疫グロブリンの構造を有する。本明細書で用いる用語“免疫グロブリン”は、その通常の意味を有し、また、各四量体が2つの同一ポリペプチド鎖対を含み、各対が、1つの“軽”鎖(約25kDa)および1つの“重”鎖(約50−70kDa)を有する、四量体分子も意味し得る。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識を担う約100〜110個以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を定義する。
軽鎖および重鎖内では、可変領域(V)および定常領域(C)は、約12個以上のアミノ酸の“J”領域によって結合されており、重鎖はまた約10個以上のアミノ酸の“D”領域を含む。各軽/重鎖対の可変領域は、インタクトな免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも称される3つの超可変領域によって結合された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同一の一般的構造を示す。N末端からC末端へ、軽鎖および重鎖の両方とも、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。
ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖として分類される。本明細書でも用いる用語“軽鎖”は、その通常の意味を有し、また、アミノ末端からカルボキシル末端へ、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)および単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドも意味し得る。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)およびイプシロン(ε)に分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして定義する。本明細書で用いる用語“重鎖”は、その通常の意味を有し、アミノ末端からカルボキシル末端へ、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)および要すれば免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを意味し得る。IgGクラスは、さらにサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に分類される。IgAクラスは、さらにサブクラス、すなわちIgA1およびIgA2に分類される。IgMには、サブクラスIgM1およびIgM2が含まれるが、これに限定されない。IgG、IgAおよびIgD抗体の重鎖は、3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)を有するが、IgMおよびIgE抗体の重鎖は、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3およびCH4)を有する。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプを含む何れかの免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインの間(すなわち、軽鎖と重鎖の間)および抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して共に連結されている。
ある態様において、抗原結合タンパク質は抗体である。本明細書で用いる用語“抗体”は、その通常の意味を有し、何れかのアイソタイプのインタクトな免疫グロブリンも意味し、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体および二重特異性抗体が含まれる。インタクトな抗体は、一般的に、少なくとも2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含む。抗体配列は、単一種のみに由来してもよいか、または“キメラ”であってよく、すなわち抗体の異なる部分が、以下でさらに説明するように2つの異なる種に由来してもよい。特記しない限り、用語“抗体”は、該抗体が2つの完全長軽鎖および重鎖からなる抗体と同じかまたは類似の結合および/または機能を保持する場合、2つの実質的に完全長の重鎖および2つの実質的に完全長の軽鎖を含む抗体も含む。例えば、重鎖および/または軽鎖のN末端および/またはC末端に1、2、3、4または5個のアミノ酸残基の置換、挿入または欠失を有する抗体は、該抗体が、2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含む抗体と同じかまたは類似の結合および/または機能を保持する場合、その定義に包含される。さらに、明示的に除外されない限り、抗体には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体および合成抗体が含まれる。ある態様において、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が提供される。本明細書で用いる用語“ポリクローナル抗体”は、その通常の意味を有し、また、組成および結合特異性が一般的に大きく異なる抗体の集団を意味し得る。本明細書で用いる用語“モノクローナル抗体”(“mAb”)は、その通常の意味を有し、同一の配列を有する抗体の集団のうち1以上も意味し得る。モノクローナル抗体は、抗原の特定のエピトープで該抗原に結合する。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、抗体の“フラグメント”または“抗原結合フラグメント”である。本明細書で用いる用語“抗体フラグメント”は、その通常の意味を有し、また、GPAへの特異的抗原結合を供するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも1つのCDRを含む、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメントも意味し得る。抗体フラグメントは、組換えDNA技術によって、またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって生成され得る。
ある態様において、Fabフラグメントを提供する。Fabフラグメントは、VL、VH、CLおよびCH1ドメインを有する一価フラグメントであり;F(ab’)2フラグメントは、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合される2つのFabフラグメントを有する二価フラグメントであり;Fdフラグメントは、VHおよびCH1ドメインを有し;Fvフラグメントは、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有し;そして、dAbフラグメントは、1つのVHドメイン、1つのVLドメインまたはVHもしくはVLドメインの抗原結合フラグメントを有する。ある態様において、これらの抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、二量体、三量体、四量体、V−NARおよびビス−scFvに組み込まれ得る。ある態様において、抗体は、本明細書の表2に示される少なくとも1つのCDRを含む。
また、本発明は、いくつかの態様において、一本鎖可変フラグメントを提供する。本明細書で用いる用語“一本鎖可変フラグメント”(“scFv”)は、その通常の意味を有し、また、VLおよびVH領域が、リンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して結合されて連続的なタンパク質鎖を形成する融合タンパク質も意味し、ここで、リンカーは、タンパク質鎖がそれ自体折り畳まれて一価の抗原結合部位を形成するのに十分な長さである。明確にするために、特記しない限り、“一本鎖可変フラグメント”は、本明細書で定義される抗体または抗体フラグメントではない。二量体は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、ここで、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖の2つのドメイン間を対合させるには短すぎるか、または対合させ得ない構成であり、故に、各ドメインを別のポリペプチド鎖の相補性ドメインと対合させるのを可能にする、リンカーによって結合されたVHおよびVLドメインを含む。いくつかの態様に従い、二量体の2つのポリペプチド鎖が同一である場合、その対合により得られる二量体は、2つの同一の抗原結合部位を有し得る。異なる配列を有するポリペプチド鎖を用いて、2つの異なる抗原結合部位を有する二量体を作製することができる。同様に、三量体および四量体は、それぞれ3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、それぞれ3つおよび4つの抗原結合部位を形成する(これらは同じであっても異なっていてもよい)抗体である。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、1以上のCDRを含む。本明細書で用いる用語“CDR”は、その通常の意味を有し、また、抗体可変配列内の相補性決定領域(“最小認識単位”または“超可変領域”とも称される)も意味し得る。CDRは、抗原結合タンパク質が目的とされる特定の抗原に特異的に結合することを可能にする。3つの重鎖可変領域CDR(CDRH1、CDRH2およびCDRH3)および3つの軽鎖可変領域CDR(CDRL1、CDRL2およびCDRL3)がある。2つの鎖のそれぞれのCDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、標的タンパク質上の特定のエピトープまたはドメインに特異的に結合する構造を形成している。N末端からC末端へ、天然軽鎖および重鎖可変領域は両方とも、通常、これらの要素を以下の順に含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4。これらの各ドメインを構成するアミノ酸の割り当ては、番号付けシステムに従って行われる。この番号付けシステムは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (1987年および1991年、NIH、Bethesda、MD)、またはChothia & Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901-917; Chothia et al., 1989, Nature 342:878-883に定義されている。特定の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)は、このシステムを用いて同定され得る。免疫グロブリン鎖中のアミノ酸についての他の番号付けシステムは、IMGT(登録商標)(the international ImMunoGeneTics information system; Lefranc et al, Dev. Comp. Immunol. 29:185-203; 2005)およびAHo(Honegger and Pluckthun, J. Mol. Biol. 309(3):657-670; 2001)を含む。1以上のCDRを共有結合または非共有結合のいずれかで分子に組み込んで、それを抗原結合タンパク質にすることができる。
ある態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、より大きなポリペプチド鎖の一部として1以上のCDRを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、1以上のCDRを別のポリペプチド鎖に共有結合させる。ある態様において、抗原結合タンパク質は、1以上のCDRを非共有結合的に組み込むことができる。ある態様において、抗原結合タンパク質は、生体適合性フレームワーク構造に組み込まれた、本明細書に記載のCDRの少なくとも1つを含み得る。ある態様において、生体適合性フレームワーク構造は、局在化した表面領域における抗原(例えば、CDR、可変領域など)に結合するアミノ酸の1以上の配列を表示することができる、立体配座的に安定な構造的支持体、またはフレームワーク、または足場を形成するのに十分なポリペプチドまたはその部分を含む。このような構造は、天然ポリペプチドまたはポリペプチド“折り畳み”(構造モチーフ)であり得るか、または天然ポリペプチドまたは折り畳みと比べて、アミノ酸の付加、欠失および/または置換などの1以上の修飾を有し得る。態様に応じて、これらの足場は、ヒト、非ヒト霊長動物または他の哺乳動物、他の脊椎動物、無脊椎動物、植物、細菌またはウイルスなどの様々な種の(または複数種の)ポリペプチドに由来し得る。
態様に応じて、生体適合性フレームワーク構造は、免疫グロブリンドメイン以外のタンパク質足場または骨格に基づいている。いくつかのかかる態様において、それらのフレームワーク構造は、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルジノスタチン、シトクロムb、CP1ジンクフィンガー、PST1、コイルドコイル、LACI−D1、Zドメインおよび/またはテンダミスタットドメインに基づく。
ある態様において、2以上の結合部位を有する抗原結合タンパク質も提供する。いくつかの態様において、結合部位は、互いに同一であるが、ある態様において、結合部位は互いに異なる。例えば、抗体は、通常、2つの同一の結合部位を有するが、“二重特異性”または“二機能性”抗体は、2つの異なる結合部位を有する。二重特異性抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、同じまたは異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合し得る。
本明細書で用いる用語“キメラ抗体”は、その通常の意味を有し、1つの抗体に由来する1以上の領域および1以上の他の抗体に由来する1以上の領域を含む抗体も意味する。ある態様において、CDRの1以上は、抗GPA抗体に由来する。いくつかの態様において、CDRの全ては、抗GPA抗体に由来する。ある態様において、2以上の抗GPA抗体に由来するCDRを混合し、マッチさせてキメラ抗体とする。例えば、キメラ抗体は、第1の抗GPA抗体の軽鎖に由来するCDR1、第2の抗GPA抗体の軽鎖に由来するCDR2およびCDR3、ならびに第3の抗GPA抗体に由来する重鎖に由来するCDRを含み得る。さらに、本明細書に記載の抗原結合タンパク質のフレームワーク領域は、同じ抗GPA抗体の1つ、ヒト抗体などの1以上の異なる抗体、またはヒト化抗体に由来し得る。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、相同であるか、あるいはそれに由来し、鎖の残り(複数可)は、別の種由来の抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、相同であるか、あるいはそれらに由来する。本明細書中、所望の生物学的活性を示すそのような抗体のフラグメントも提供する。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列の何れかと少なくとも90%同一性を有する重鎖可変ドメインを含んで提供される。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも95%同一性を有する重鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも99%同一性を有する重鎖可変ドメインを含む。いくつかの態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかに1以上の追加の変異を有し得るが、GPAへの特異的結合を保持する。いくつかの態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかに1以上の追加の変異を有し得るが、GPAへの特異的結合が改善されている。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも90%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも95%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも99%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかに1以上の追加の変異を有し得るが、GPAへの特異的結合を保持する。いくつかの態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかに1以上の追加の変異を有し得るが、GPAへの特異的結合が改善されている。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも90%同一性を有する重鎖可変ドメイン、および表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも90%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも95%同一性を有する重鎖可変ドメイン、および表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも95%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも99%同一性を有する重鎖可変ドメイン、および表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかと少なくとも99%同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、表1に記載のVHドメインアミノ酸配列のいずれかを有する重鎖可変ドメインおよび表1に記載のVLドメインアミノ酸配列のいずれかを有する軽鎖可変ドメインを含む。ある態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載の軽鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載の重鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチド配列によりコード化されるアミノ酸配列を含む。ある態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載の配列から選択される軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体に中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコード化されるアミノ酸配列を含む。ある態様において、軽鎖可変ドメインは、表1に記載の配列からなる群より選択される軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコード化されるアミノ酸配列を含む。
ある態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載の配列から選択される重鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載の配列から選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体に中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコード化されるアミノ酸配列を含む。ある態様において、重鎖可変ドメインは、表1に記載の配列からなる群より選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコード化されるアミノ酸配列を含む。
Figure 2021522812


Figure 2021522812


Figure 2021522812


Figure 2021522812


Figure 2021522812

ある態様において、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2またはVH CDR3配列と比較して、各CDRにおいて1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1以上のVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVL CDR1、VL CDR2またはVL CDR3配列と比較して、各CDRにおいて1、2または3個のアミノ酸残基置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1以上のVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2またはVH CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1以上のVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3、および表2に記載のVL CDR1、VL CDR2またはVL CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1以上のVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2またはVH CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1つのVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3、および表2に記載のVL CDR1、VL CDR2またはVL CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する1つのVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する2つのVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3、および表2に記載のVL CDR1、VL CDR2またはVL CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有する2つのVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3配列と比較して、約CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3、および表2に記載のVL CDR1、VL CDR2またはVL CDR3配列と比較して、各CDRにおける1、2または3個のアミノ酸残基の置換、欠失および/または挿入と同一またはそれを含むアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3配列のいずれかと同一のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含む。ある態様において、VL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3は、表2に記載のVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3配列のいずれかにおいて1以上のさらなる変異を有していてもよいが、GPA(例えば、態様に応じて、ヒトGPAおよび/またはマウスおよび/またはカニクイザル)への特異的な結合を保持している。いくつかの態様において、VLCDR1、VLCDR2および/またはVLCDR3は、表2に記載のVLCDR1、VLCDR2および/またはVLCDR3アミノ酸配列のいずれかにおいて1以上の追加の変異を有していてもよいが、GPA(例えば、態様に応じて、ヒトGPAおよび/またはマウスおよび/またはカニクイザル)への改善された特異的結合を有する。いくつかの態様において、VH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3配列のいずれかにおいて1以上の追加の変異を有していてもよいが、GPA(例えば、態様に応じて、ヒトGPAおよび/またはマウスおよび/またはカニクイザル)への特異的結合を保持する。いくつかの態様において、VH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3は、表2に記載のVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3アミノ酸配列のいずれかにおいて1以上の追加の変異を有していてもよいが、GPA(例えば、態様に応じて、ヒトGPAおよび/またはマウスおよび/またはカニクイザル)への改善された特異的結合を有する。
Figure 2021522812


Figure 2021522812


Figure 2021522812

抗原結合タンパク質のヒト化
いくつかの態様において、ヒト化抗原結合タンパク質を提供する。本明細書で用いる用語“ヒト化抗原結合タンパク質”は、その通常の意味を有し、また、ヒト化抗原結合タンパク質が、ヒト対象に投与されたときに、非ヒト種抗原結合タンパク質と比較して、免疫応答を誘発する可能性が低い、および/または重篤度の低い免疫応答を誘発するような、1以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加によって非ヒト種由来の抗原結合タンパク質の配列と異なる配列を有する抗原結合タンパク質も意味する。ある態様において、非ヒト種抗原結合タンパク質の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび/または定常ドメイン内の特定のアミノ酸は、ヒト化抗原結合タンパク質を生成するために変異される。別の態様において、ヒト抗原結合タンパク質からの定常ドメイン(複数可)は、非ヒト種の可変ドメイン(複数可)に融合される。別の態様において、非ヒト抗原結合タンパク質の1以上のCDR配列中の1以上のアミノ酸残基は、ヒト対象に投与されたときに非ヒト抗原結合タンパク質の免疫原性の可能性を低下させるために改変され、ここで、改変されたアミノ酸残基は、抗原結合タンパク質のその抗原への免疫特異的結合に主に関与する残基ではないか、または行われるアミノ酸配列への改変は、ヒト化された抗原結合タンパク質の抗原への結合が、非ヒト抗原結合タンパク質の抗原への結合と比較して有意に変化しないように、保存的な改変である。
いくつかの態様によれば、抗原結合タンパク質のヒト化は、非ヒト抗原結合タンパク質のCDR、およびある態様において、ヒト可変領域フレームワーク領域およびヒト定常領域上のこれらのCDRのみを再結合させることを含むCDR移植を含む。いくつかの態様において、この変化は、免疫原性を実質的に減少させるか、または排除する。いくつかの態様において、全体的な免疫原性は低下するが、アロタイプまたはイディオタイプの違いは依然として存在し得る。態様に応じて、元の抗原結合タンパク質のいくつかのフレームワーク残基を保存する必要がある場合がある。そのようなフレームワーク残基は、コンピューターモデリングを介して同定することが可能であり、または既知の抗原結合部位構造を比較することによって潜在的に同定され得る。抗原結合に影響を与える可能性のある残基は、いくつかのグループに分類される。第1のグループは、抗原部位表面に隣接している残基を含み、したがって、抗原と直接接触し得る。これらの残基は、いくつかの態様において、アミノ末端残基およびCDRに隣接する残基を含む。第2のグループは、いくつかの態様において、CDRまたは抗原結合タンパク質中の別のペプチド鎖と接触することにより、CDRの構造または相対的な配列を変化させ得る残基を含む。いくつかの態様によれば、第3のグループは、可変ドメインの構造的完全性に影響を与え得る埋もれた側鎖を有するアミノ酸を含む。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、表3〜4に例示されたFR(フレームワーク領域)の限定されない態様の1以上をさらに含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表3に例示される重鎖FR1配列、重鎖FR2配列、重鎖FR3配列および重鎖FR4配列の1以上を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、表4に示される軽鎖FR1配列、軽鎖FR2配列、軽鎖FR3配列および軽鎖FR4配列の1以上を含む。ある態様において、表3および表4のFR領域の任意の1以上は、本明細書に提供されるCDR配列の任意の1以上と組み合わせることができる。したがって、ある態様において、6つのCDR(例えば、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)および8つのFR(例えば、HFR1、HFR2、HFR3、HFR4、LFR1、LFR2、LFR3およびLFR4)を含む抗原結合タンパク質を提供する。
Figure 2021522812
Figure 2021522812

抗原結合タンパク質の親和性成熟
ある態様において、標的抗原に対する増加した親和性を有する抗原結合タンパク質を提供する。ある態様において、標的抗原はグリコフォリンAである。ある態様において、表1に記載のCDRの1以上の親和性成熟は、CDRの維持、鎖シャッフリング、大腸菌の変異株の使用、DNAシャッフリング、ファージディスプレイおよび追加のPCR技術を含むがこれらに限定されない、多数の親和性成熟プロトコールによって得られる。
親和性は、様々な技術、例えば、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);または放射免疫アッセイ(RIA))、または表面プラズモン共鳴アッセイもしくは他のメカニズムの動態ベースのアッセイ(例えば、BIACORE(登録商標)分析またはOctet(登録商標)分析(forteBIO))、および間接結合アッセイなどの他の方法、競合結合アッセイ蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲルろ過)などの、これらに限定されない技術を用いて決定することができる。これらのおよび他の方法は、検査される成分の1以上のラベルを利用してもよく、および/または発色性、蛍光性、発光性または同位体ラベルを含むがこれらに限定されない様々な検出方法を用いてもよい。競合結合アッセイの一例としては、漸増量の非標識抗原の存在下での標識抗原と抗原結合タンパク質とのインキュベーション、および標識抗原に結合した抗原結合タンパク質の検出を含む放射免疫アッセイが挙げられる。特定の抗原に対する抗原結合タンパク質の親和性および結合オフレートは、スキャッチャードプロット分析によるデータから決定することができる。第2の抗原結合タンパク質との競合もまた、放射免疫アッセイを用いて決定することができる。この場合、抗原は、標識された化合物に結合した抗原結合タンパク質と、標識されていない第2の抗原結合タンパク質の漸増量の存在下でインキュベートされる。
10−7M以下の平衡解離定数(以下に定義の、Kまたは対応するK)値により決定される強い結合親和性を有する抗原に結合する場合、抗原結合タンパク質は、GPAなどの抗原に“特異的に結合する”。ヒトGPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質は、他の種のGPAにも同様に同じ親和性または異なる親和性で結合することができる可能性がある。
ある態様において、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−10M未満、10−11M未満、10−12M未満、10−13M未満または5x10−13M未満(値が小さいほど結合親和性が高いことを示す)の平衡解離定数またはK(koff/kon)でGPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはフラグメント)を提供する。ある態様において、約10−7M未満、約10−8M未満、約10−9M未満、約10−10M未満、約10−11M未満、約10−12M未満、約10−13M未満または約5x10−13M未満の平衡解離定数またはK(koff/kon)でGPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。
ある態様において、約10−7Mから約10−8M、約10−8Mから約10−9M、約10−9Mから約10−10M、約10−10Mから約10−11M、約10−11Mから約10−12M、約10−12Mから約10−13Mの平衡解離定数またはK(koff/kon)でGPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体フラグメント)を提供する。ある態様において、10−7Mから10−8M、10−8Mから10−9M、10−9Mから10−10M、10−10Mから10−11M、10−11Mから10−12M、10−12Mから10−13Mの平衡解離定数またはK(koff/kon)、およびエンドポイントを含む、列挙の間の解離定数を有する、GPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。
同一または重複エピトープを有する抗原結合タンパク質は、しばしば、抗原(例えば、ヒトGPA)への結合について競合し得る。従って、ある態様において、抗原結合タンパク質10F7、Ter119(抗原結合タンパク質がマウスGPAと交差反応するような態様において)、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、SPM599、GYPA/1725R、ab112201、BRIC256またはそれらのフラグメントもしくは誘導体と競合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗体フラグメント)を提供する。本明細書で用いる“競合する”または“競合”は、その通常の意味を有し、また、標的上の同じエピトープまたは結合部位について競合する抗原結合タンパク質を意味し得る。そのような競合は、対照抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗体フラグメント)が試験抗原結合タンパク質の特異的結合を防止または阻害するアッセイによって決定することができる。多数の競合結合アッセイを用いて、試験分子が結合について対照分子と競合するかどうかを決定することができる。用い得るアッセイの例としては、固相直接または間接放射免疫アッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ、固相直接ビオチン−アビジンEIA、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ、ルミネックス(Luminex)および表面プラズモン共鳴が挙げられる。競合阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合した標識リガンドの量を決定することにより測定することができる。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定された抗原結合タンパク質または抗体(競合する抗原結合タンパク質または抗体)には、対照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質および立体障害が生じるために対照抗原結合タンパク質により結合されるエピトープに十分に近位の隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在するとき、標的抗原への対照抗原結合タンパク質の特異的結合を少なくとも40−45%、45−50%、50−55%、55−60%、60−65%、65−70%、70−75%または75%以上(または、列記の数値間の任意の阻害割合)阻害(例えば、低減)し得る。ある態様において、結合は、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%阻害される。ある態様において、結合は、少なくとも80−85%、85−90%、90−95%、95−97%または97%以上(最大100%阻害を含む)阻害される。
抗原結合タンパク質をコードする核酸
本発明の抗原結合タンパク質を、特に、化学合成または組換え発現技術によって、タンパク質(例えば、抗体)の合成のための当技術分野で公知の何らかの方法により製造することができる。
いくつかの態様において、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸を提供する。用語“ポリヌクレオチド”、“オリゴヌクレオチド”および“核酸”は、本明細書中互換的に用いられ、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類縁体を用いて生成されたDNAまたはRNAの類縁体(例えば、ペプチド核酸および非天然ヌクレオチド類縁体)ならびにそれらのハイブリッドを含む。核酸は、例えば、抗原結合タンパク質の全部または一部をコードするポリヌクレオチド、例えば、抗体の一本鎖または両鎖、またはフラグメント、誘導体、ムテイン(mutein)もしくはその変異体、ハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定、分析、変異もしくは増幅するためのPCRプライマーまたはシークエンシングプライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、ならびに上記の相補的配列を含む。核酸は、所望の使用または機能のために適当な任意の長さにすることができ、1以上の追加の配列、例えば調節配列を含み、および/またはより大きな核酸、例えばベクターの一部にすることができる。当業者は、遺伝子コードの縮重のために、本明細書に記載のポリペプチド配列の各々が、多数の他の核酸配列によってコードされていることを理解し得る。本発明は、本明細書に記載の各抗原結合タンパク質をコードする各変性ヌクレオチド配列を提供する。
変異体抗原結合タンパク質
本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば、ランダム突然変異誘発および/または部位特異的突然変異誘発(例えば、オリゴヌクレオチド指向性部位特異的突然変異誘発)によって改変され、非変異ポリヌクレオチドと比較して、1以上のヌクレオチド置換、欠失および/または挿入を含む改変ポリヌクレオチドを作成することができる。これらのおよび他の方法を用いて、非誘導体化抗体と比較して、例えば、所望の特性、例えば、所望の標的に対する親和性、アビディティまたは特異性の増加、インビボまたはインビトロでの活性または安定性の増加、あるいはインビボでの副作用の低減などを有する抗原結合タンパク質の誘導体を作製することができる。他の態様において、本発明の核酸に導入される変異は、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を有意に変化させない。
いくつかの態様において、本発明の抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはそのフラグメント)は、抗原結合タンパク質が同じかまたはよりよい(例えば、より高い親和性、より低いKdの)所望の結合特異性を保持する場合、少なくとも1つのアミノ酸置換を有していてもよい。従って、ある態様において、抗原結合タンパク質の構造への改変を提供する。ある態様において、抗原結合タンパク質(例えば、抗体であるが、これに限定されない)は、本明細書の表2に記載のCDR配列から、それぞれ独立して5、4、3、2、1または0個の単一アミノ酸の付加、置換および/または欠失によって異なる配列を含む。これらは、抗体の所望の結合能を破壊しない保存的または非保存的であり得るアミノ酸置換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、一般的に、生物学的システムでの合成ではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる、非天然アミノ酸残基を含み得る。これらには、ペプチド模倣体およびアミノ酸部位の他の逆または反転形態(reversed or inverted form)が含まれる。保存的アミノ酸置換はまた、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷にほとんどまたは全く影響を及ぼさないような、天然アミノ酸残基を標準残基(normative residue)で置換することを含み得る。
非保存的置換は、異なる物理的特性(例えば、サイズ、極性、疎水性、荷電、L−アイソフォームのD−アイソフォームとの置換など)を有する別のクラスのメンバーのアミノ酸またはアミノ酸模倣体の1つのクラスのメンバー交換を含み得る。ある態様において、そのような置換された残基は、非ヒト抗体と相同である抗原結合タンパク質の領域、または該分位の非相同性領域に導入され得る。
所望のアミノ酸置換の限定されない例は、以下である:(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させるもの、(2)酸化に対する感受性を減少させるもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させるもの、(4)結合親和性を変化させるものおよび/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的特性を付与または改変するもの。例えば、いくつかの態様において、アミノ酸の置換は、グリコシル化などの翻訳後修飾の傾向を減少させる(または増加させる)ことができる。そのような態様において、翻訳後修飾の程度は、所定の用途のために所望のレベルに調整することができる。ある態様において、単一または複数のアミノ酸置換(ある態様において、保存的アミノ酸置換)は、天然配列(ある態様において、分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外側のポリペプチドの部分)において行われ得る。ある態様において、保存的アミノ酸置換は、一般的に、親配列の構造的特性を実質的に変化させ得ない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じるらせんを破壊する傾向がないか、または親配列を特徴づける他のタイプの二次構造を破壊する傾向がない)。
抗原結合タンパク質をコードするベクター
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸の1以上を含むベクターをさらに提供する。本明細書で用いる用語“ベクター”は、その通常の意味を有し、また、それに連結された別の核酸を細胞内に導入するために使用できる核酸を意味する。ベクターの1つのタイプは“プラスミド”であり、これは、追加の核酸セグメントをライゲーションすることができる直鎖状または環状の二本鎖DNA分子を意味する。別のタイプのベクターは、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)であり、ここで、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムに導入することができる。ある態様において、ベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他の態様において、ベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって宿主ゲノムとともに複製される。“発現ベクター”は、選択されたポリヌクレオチドの発現を指示することができるベクタータイプである。ヌクレオチド配列は、調節配列がそのヌクレオチド配列の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは位置)に影響を与える場合、調節配列に“作動可能に連結”されている。“調節配列”は、それが作動可能に連結されている核酸の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは位置)に影響を与える核酸である。調節配列は、例えば、調節された核酸に直接、または1以上の他の分子(例えば、調節配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を介して、その効果を発揮することができる。調節配列の例としては、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が挙げられる。
本発明の組換え発現ベクターは、発現のために用いられる宿主細胞に基づいて選択される1以上の調節配列を含み、これは、発現される核酸配列に作動可能に連結されている。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向するもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーターおよびサイトメガロウイルスプロモーター)、特定の宿主細胞においてヌクレオチド配列のみの発現を指向するもの(例えば、組織特異的調節配列、Voss et al., 1986, Trends Biochem. Sci. 11:287, Maniatis et al., 1987, Science 236:1237参照のこと、それらの内容全体を引用により本明細書に包含させる)および特定の処置または病状に応答してヌクレオチド配列の誘導性発現を指向するもの(例えば、哺乳動物細胞におけるメタロチオニンプロモーターならびに原核生物系および真核生物系の両方におけるテトラサイクリン応答性(tet-responsive)および/またはストレプトマイシン応答性プロモーター(同文献参照))。態様に応じて、発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得る。本発明の発現ベクターは、それにより、本明細書に記載の核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを産生するために宿主細胞に導入され得る。
抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞
ある態様において、本明細書に記載の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。本明細書で用いる用語“宿主細胞”は、その通常の意味を有し、また、核酸、例えば、本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードする核酸を発現するために使用され得る細胞も意味する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞(および/または溶解物または転写および/または翻訳活性成分、例えば、そのような細胞に由来する無細胞系)であり得る。原核生物宿主細胞としては、ある態様において、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバチルスが挙げられる。真核細胞としては、ある態様において、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞または昆虫細胞)、またはハイブリドーマが挙げられる。好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはその誘導体、例えば、無血清培地中で増殖するVeggie CHOおよび関連細胞株、またはDHFRが欠損しているCHO株DXB−11が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の追加のCHO細胞株には、CHO−K1(ATCC#CCL−61)、EM9(ATCC#CRL−1861)およびUV20(ATCC#CRL−1862)が含まれる。追加の宿主細胞としては、サル腎臓細胞のCOS−7系統(ATCC CRL 1651)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、AM−1/D細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、アフリカ緑猿腎臓細胞株CV1由来のCV1/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)、293、293 EBNAまたはMSR 293などのヒト胚性腎細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長動物細胞株、正常二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養に由来する細胞株、初代外植片、HL−60、U937、HaKまたはJurkat細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、宿主細胞は、ポリペプチドをコードする核酸で形質転換またはトランスフェクトされ、それにより、宿主細胞中で発現させることができる培養細胞である。本明細書で用いる用語“組換え宿主細胞”は、その通常の意味を有し、また、発現される核酸で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞も意味する。宿主細胞はまた、核酸を含むが、核酸と作動可能に連結されるように調節配列が宿主細胞に導入されない限り、核酸を所望のレベルで発現しない細胞であり得る。本明細書で用いる用語“宿主細胞”は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫を指す意味する。ある種の改変が、例えば、突然変異または環境の影響により、後続の世代で発生する可能性があり、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書で用いる用語の範囲内に含まれる。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核生物または真核生物細胞に導入することができる。哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションの場合、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術によっては、ごく一部の細胞のみが外来DNAをそのゲノムに組み込むことができる。これらの組み込み要素(integrant)を同定し、選択するために、態様によっては、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子を、目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入することができる。選択可能なマーカーのさらなる例としては、薬剤耐性を付与するもの(例えば、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサート)が含まれる。導入された核酸で安定的にトランスフェクトされた細胞は、他の方法の中でも、薬物選択(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存し、他の細胞は死滅する)によって同定することができる。
ある態様において、宿主細胞は、例えば、抗体重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび抗体軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターのような、2つの発現ベクターと共トランスフェクトされる。いくつかのそのような態様において、2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含み得る。あるいは、例えば、抗体重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつ発現することができる単一ベクターを用いることができる。いくつかのそのような態様において、軽鎖は、過剰な毒性のない重鎖を回避するために、重鎖の前に配置される。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
抗原結合タンパク質が動物によって産生され、化学的に合成され、または組換え的に発現された場合、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特定の抗原に対する親和性、およびサイズ排除クロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製されてもよい。さらに、抗原結合タンパク質は、精製を容易にするために、本明細書に記載されているか、または別の方法で知られている異種ポリペプチド配列に融合させることができる。ある態様において、ポリペプチドに融合または化学的に結合された(共有結合および非共有結合の両方を含む)抗原結合タンパク質を提供する。本発明の融合または複合化された抗原結合タンパク質は、精製を強化するために用いられ得る。さらに、本発明の抗原結合タンパク質は、精製を促進するために、ペプチドなどのマーカー配列に融合され得る。ある態様において、マーカーアミノ酸配列は、融合タンパク質の精製を容易にするために、pQEベクター中に提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドである。精製に有用な他のペプチドタグの限定されない例としては、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する“HA”タグおよび“フラグ”タグが挙げられるが、これらに限定されない。
コンジュゲート
いくつかの態様において、本発明の抗原結合タンパク質と別の分子の複合体を提供する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、1以上の非タンパク質性化合物に複合体化される。非タンパク質性化合物の限定されない例としては、細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤、毒素および/または放射性物質などの化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗原結合タンパク質の他の誘導体は、本発明の抗原結合タンパク質の他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合または凝集複合体を含む。ある態様において、抗原結合タンパク質は、1以上の治療剤と複合体化される。複合体化に適した治療剤の限定されない例としては、一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗体フラグメント、低分子薬物、生理活性ペプチド、生理活性タンパク質および/または生理活性生体分子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、完全長抗原、その抗原性および/または免疫原性フラグメント、またはその抗原性および/または免疫原性ミモトープを含むがこれらに限定されない、本明細書で提供される抗原結合タンパク質と抗原性成分との複合体を提供する。
本明細書で用いる用語“複合体(コンジュゲート)”または“分子融合”は、その通常の意味を有し、また、共有結合、静電イオン、電荷を含むがこれらに限定されない化学結合による直接的または間接的な結合を意味する。ある態様において、コンジュゲーションは、化学結合によって維持されるユニットを生成する。本明細書で用いる用語“直接コンジュゲーション”は、その通常の意味を有し、また、中間リンカーまたは化学基の有無にかかわらず、分子への化学結合を意味する。本明細書で用いる、間接的コンジュゲーションは、その通常の意味を有し、また、担体への化学的結合を意味する。ある態様において、本明細書に記載の抗原結合タンパク質と第2のポリペプチドまたはタンパク質との間に分子融合が形成される。ある態様において、融合は、抗原結合タンパク質と、互いに直接結合した別の成分とを含む。他の態様において、融合体は、抗原結合タンパク質と、互いに間接的に(例えば、リンカーを介して)複合体化した別の成分を含む。リンカーの限定されない例としては、ペプチド、ポリマー、アプタマー、核酸および/または粒子が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様において、粒子は、微粒子、ナノ粒子、ポリマーソーム、リポソームまたはミセルである。ある態様において、ポリマーは天然または合成である。ある態様において、ポリマーは直鎖状または分岐状である。抗原結合タンパク質と第2のポリペプチドとを含む融合タンパク質は、ポリペプチドの分子融合の一例であり、融合タンパク質は、ポリペプチドが互いに直接結合しているか、または一端もしくは両端に介在するリンカー配列および/またはさらなる配列を有するポリペプチドを含む。リンカーへの結合(conjugation)は、共有結合またはイオン結合を介し得る。
いくつかの態様において、コンジュゲートは、リンカーの使用の有無にかかわらず、抗原結合タンパク質の別の分子への共有結合によって達成される。そのような複合体の形成は、当業者の技術の範囲内であり、複合体を達成するための様々な技術が知られており、特定の技術の選択は、複合体化される材料によって導かれる。以下にさらに記載するように、イオン化可能な側鎖を含むポリペプチド(C末端またはN末端)へのアミノ酸の付加、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、システイン、ヒスチジンまたはチロシンを含み、ポリペプチド配列の活性部分に含まれないアミノ酸は、それらのプロトン化されていない状態で、ポリマー、すなわちホモまたはヘテロ−二官能性PEGに結合した反応性基との様々な生体共役反応(bioconjugation)に関与する強力な求核試薬として機能する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質の共有結合修飾体を提供する。態様に応じて、共有結合修飾体は、いくつかの態様において、化学合成によって、または抗原結合タンパク質の酵素的または化学的切断によって行われる。他の態様において、抗原結合タンパク質の共有結合修飾は、抗体の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることによって分子に導入される。
ある態様において、抗原結合タンパク質のシステイニル残基を、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのアルファ−ハロアセテート(および対応するアミン)と反応させて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を与える。ある態様において、ヨード試薬を用いる。さらなる態様では、システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−ベータ−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリ安息香酸、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により誘導体化される。
ある態様において、抗原結合タンパク質のヒスチジル残基は、この薬剤がヒスチジル側鎖に対して比較的特異的であるため、pH5.5−7.0のジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体化される。ある態様において、パラブロモフェナシルブロミドが誘導体化に用いられる;そのような態様において、反応は、好ましくは、pH6.0で0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。
ある態様において、抗原結合タンパク質のリシル末端残基およびアミノ末端残基をコハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。ある態様において、これらの反応剤との誘導体化は、リシニル残基の電荷を反転させる効果を有する。α−アミノ含有残基および/またはe−アミノ含有残基を誘導体化するための他の好適な試薬の限定されない例としては、ピコリンイミド酸メチルなどのイミドエステル、リン酸ピリドキサール、ピリドキサール、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルホン酸、0−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンおよびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が挙げられるが、これらに限定されない。
ある態様において、抗原結合タンパク質のアルギニル残基は、例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよび/またはニンヒドリンなどの1つまたは複数の従来の試薬との反応によって修飾される。ある態様において、アルギニル残基の誘導体化は、一般的に、グアニジン官能基の高いpKaのために、アルカリ条件下で行われる。そのような態様において、これらの試薬は、リシンのε−アミノ基ならびにアルギニンε−アミノ基と反応し得る。
ある態様において、抗原結合タンパク質のチロシル残基の特異的修飾が行われる。そのようないくつかの態様において、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応により、スペクトル標識がチロシル残基に導入される。ある態様において、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンは、それぞれ、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成するために用いられる。チロシル残基は、I125またはI131を用いてヨウ素化され、放射免疫アッセイで用いるための標識タンパク質を調製する。
ある態様において、抗原結合タンパク質のカルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R−N=C=N−R’)(式中、RおよびR’は、異なるアルキル基である)との反応により選択的に修飾される。さらに、ある態様において、アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によりアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換される。
ある態様において、抗原結合タンパク質のグルタミニルおよび/またはアスパラギニル残基は、対応するグルタミル残基およびアスパルチル残基のそれぞれに脱アミド化される。態様に応じて、これらの残基は、中性または塩基性条件下で脱アミド化される。ある態様において、抗原結合タンパク質は、これらの残基の1以上の脱アミド化形態を含む。
本発明の抗原結合タンパク質の他の例示的な修飾としては、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化、N末端アミンのアセチル化ならびに/または任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれるが、これらに限定されない。
ある態様において、抗原結合タンパク質の共有結合修飾は、グリコシドを抗体に化学的または酵素的にカップリングすることを含む。ある態様において、これらの手順は、N−またはO−連結グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞における抗体の産生を必要としないという点で有利である。用いられるカップリングモードに応じて、糖(複数可)は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのような遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニンもしくはヒドロキシプロリンのような遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシンもしくはトリプトファンのような芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合されてもよい。
エリスロサイト細胞表面への結合
ある態様において、抗原結合タンパク質は、赤血球(erythrocyte)に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、単一の赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト、カニクイザル、ブタ、イヌ、マウスおよび/またはラットを含むがこれらに限定されない、1以上の種の赤血球を結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒト赤血球を結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、カニクイザル赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト赤血球およびカニクイザル赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト赤血球およびカニクイザル赤血球に同様の特異性で特異的に結合する。
いくつかの実施形態において、赤血球細胞表面に結合する抗原結合タンパク質を提供する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、細胞形態を変化させることなく、赤血球細胞表面に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、細胞質内移動を伴わずに赤血球細胞表面に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、結合した赤血球のアポトーシスを引き起こすことなく、赤血球細胞表面に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、インビボで特異的に赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、エクスビボで特異的に赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質と赤血球との間の平衡結合測定によって決定される約10μMから0.1nMの間の解離定数を有する。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、非共有結合的に赤血球に結合する。ある態様において、抗原結合タンパク質は、非共有結合的かつ特異的に赤血球に結合し、他の血液成分に特異的に結合しない。いくつかのそのような態様において、他の血液成分は、血液タンパク質、アルブミン、フィブロネクチン、血小板および/または白血球の1以上である。いくつかのそのような態様において、他の血液成分は、一般的なヒトから採取された血液サンプルに見出される実質的にすべての成分である。血液サンプルについて、用語“実質的にすべて”とは、通常は存在するが、非常に低濃度の付随成分を除外して、そうしなければ生じる生物学的に利用可能なリガンドの力価の有効な低下をさせることがない成分を意味する。
抗原結合タンパク質の診断的使用
ある態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、生物学的サンプル中のGPAの存在を検出するのに有用である。本明細書で用いる用語“検出”とは、定量的または定性的検出を包含する。ある態様において、生物学的サンプルは、細胞または組織を含む。ある態様において、生物学的サンプル中のGPAの存在を検出する方法を提供する。いくつかのそのような態様において、該方法は、抗原結合タンパク質とGPAとの結合に許容される条件下で生物学的サンプルを抗原結合タンパク質と接触させ、抗原結合タンパク質とGPAとの間に複合体が形成されるかどうかを検出することを含む。かかる方法には、ウェスタンブロット、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、“サンドイッチ”免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイおよび免疫組織化学(IHC)などの当技術分野でよく知られている抗原結合アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
ある態様において、抗原結合タンパク質は標識される。標識(ラベル)には、直接的に検出されるラベルまたは部位(蛍光ラベル、発色ラベル、電子密度ラベル、化学発光ラベル放射性ラベルなど)、ならびに間接的に検出される酵素またはリガンドなどの部分、例えば酵素反応または分子相互作用を介して検出される部分が含まれるが、これらに限定されない。例示的な標識には、放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体のようなフルオロフォア、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼおよび細菌性ルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼまたはマイクロペルオキシダーゼのような色素前駆体を酸化するために過酸化水素を用いる酵素と結合された、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼのようなヘテロ環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定なフリーラジカルなどが含まれるが、これらに限定されない。
ある態様において、抗原結合タンパク質は、不溶性マトリックス上に固定化される。固定化は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質を、溶液中に遊離したままのGPAから分離することを伴う。これは、常套的には、水不溶性マトリックスもしくは表面への吸着、または共有結合(例えば、グルタルアルデヒド架橋を用いる)によって、アッセイ手順の前に抗原結合タンパク質を不溶化すること、あるいは抗原結合タンパク質とGPAとの複合体形成後に抗原結合タンパク質を不溶化すること、例えば、免疫沈降によって、のいずれかによって達成される。
寛容誘導性(Tolerogenic)組成物
いくつかの態様において、本明細書に記載の1以上の抗原結合タンパク質および1以上の寛容誘導性抗原を含む寛容誘導性組成物を提供する。ある態様において、寛容誘導性組成物は、本明細書に記載の1以上の抗原結合タンパク質を介してエリスロサイトに特異的に結合し、寛容誘導性抗原は免疫系に提示され、それにより抗原特異的寛容性を誘導する。本明細書で用いる“寛容誘導性抗原”とは、免疫応答(例えば、適応免疫応答)の受容体、例えば、T細胞受容体、主要組織適合性複合体クラスIおよびII、B細胞受容体または抗体などの標的として機能する何らかの物質である。ある態様において、寛容誘導性抗原は、体内(例えば、“自己(self)”、“自己(auto)”または“内因性”)に由来し得る。さらなる態様において、寛容誘導性抗原は、例えば、吸入、摂取、注射または移植、経皮投与などによって体内に侵入した、体外(“非自己”、”外来”または“外因性”)に由来し得る。ある態様において、外因性抗原は、体内で生化学的に修飾され得る。外来抗原には、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療薬ならびに同種移植片中に存在する抗原が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本明細書に記載の寛容誘導性組成物は、例えば、移植拒絶の処置、治療剤に対する免疫応答、自己免疫疾患および食物アレルギーなどの他の用途のために用いられる。
いくつかの態様において、本明細書に記載の寛容誘導性組成物は、抗原特異的な望ましくない免疫応答を調節するため、特に下方制御するために用いられる。
いくつかの態様において、本明細書に記載の寛容誘導性組成物は、自己免疫および関連する病状、アレルギー、炎症性免疫応答およびアナフィラキシーを引き起こす、患者内で内因的に生成された抗体(例えば、患者に投与された外因性抗体ではない)、ペプチドなどを含む、望ましくないタンパク質に特異的に結合し、循環から排除するために用いられる。
いくつかの実施形態によれば、本発明は、自己抗原および外来抗原に対する望ましくない免疫応答を処置するための寛容誘導性組成物および方法を提供し、該方法は以下を含むがこれらに限定されない:移植レシピエントが望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を生じる外来移植抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、アレルギーまたは過敏症)を発症する外来抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または治療活性の低下)を発症する治療剤、患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原。いくつかの態様において、治療剤は、例えば、遺伝子治療ベクターの使用によって送達される。いくつかのそのような態様において、免疫応答は、そのようなベクターの一部および/またはそのカーゴ(例えば、治療剤)に対して生じ得る。従って、いくつかの態様において、寛容性が望まれる抗原は、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(および対応する変異形−1、−2、−5、−6、−8、−9および/または他のパルボウイルス)、レンチウイルスならびにレトロウイルスを含むが、これらに限定されない、遺伝子治療ベクターを含む。
本発明の方法および寛容誘導性組成物を用いて処置され得る自己免疫疾患状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:急性散在性脳脊髄炎(ADEM);急性間質性アレルギー性腎炎(薬物アレルギー);急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;円形脱毛症;全身性脱毛症;強直性脊椎炎;若年性関節炎;乾癬性関節炎;リウマチ性関節炎;アトピー性皮膚炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性胃炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性下垂体炎;自己免疫性卵胞炎;自己免疫性精巣炎;自己免疫性多内分泌腺症候群1型;自己免疫性多内分泌腺症候群2型;自己免疫性甲状腺炎;ベーチェット病;閉塞性細気管支炎;類天疱瘡;セリアック病;チャーグ-ストラウス症候群;慢性炎症性脱髄性多発神経障害;瘢痕性類天疱瘡;クローン病;コクサッキー心筋炎;ジューリング疱疹状皮膚炎;真性糖尿病(1型糖尿病);結節性紅斑;後天性表皮水疱症、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎);巨大細胞心筋炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギランバレー症候群;橋本脳炎;橋本甲状腺炎;IgG4関連硬化性疾患;ランバート・イートン症候群;混合性結合組織病;ムッハ・ハーベルマン病;多発性硬化症;重症筋無力症;視神経炎;視神経脊髄炎;パーキンソン病;尋常性天疱瘡および変異形;悪性貧血;下垂体自己免疫疾患;多発性筋炎;心膜切開後症候群(postpericardiotomy syndrome);早発卵巣不全;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;乾癬;リウマチ性心臓病;シェーグレン症候群;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織疾患(UCTD);ブドウ膜炎;白斑症;ならびに、ウェゲナー肉芽腫症。
本発明の方法および寛容誘導性組成物を用いて処置され得る自己免疫疾患状態の特定の群としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;乾癬性関節炎;リウマチ性関節炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性下垂体炎;自己免疫性胃炎;自己免疫性多内分泌腺症候群1型;類天疱瘡;セリアック病;コクサッキー心筋炎;ジューリング疱疹状皮膚炎;真性糖尿病(1型糖尿病);後天性表皮水疱症;巨大細胞心筋炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;橋本甲状腺炎;混合性結合組織病;多発性硬化症;重症筋無力症;視神経脊髄炎;パーキンソン病;悪性貧血;尋常性天疱瘡および変異形;下垂体自己免疫疾患;早発卵巣不全;リウマチ性心臓病;全身性硬化症;シェーグレン症候群;全身性エリテマトーデス;および、白斑症。
食物抗原などの、望ましくない免疫応答が発生する寛容誘導性抗原を用いる態様では、例えば、ピーナッツ、リンゴ、牛乳、卵白、卵黄、マスタード、セロリ、エビ、小麦(および他の穀類)、イチゴおよびバナナに対する反応に対して処置を提供することができる。
いくつかの態様により、患者を検査して、望ましくない免疫反応が生じた外来抗原を特定することができ、その寛容誘導性抗原に基づいて、寛容誘導性組成物(抗原結合タンパク質および本明細書に記載の1以上の寛容誘導性抗原を含む)を開発することができる。
試験
免疫調節における効果は、例えば、本明細書に記載の寛容誘導性組成物の投与に応答して(宿主マウスに移植された)OT−I CD8+細胞の増殖を、寛容誘導性抗原単独および/またはビークルの投与と比較して測定することによって試験することができる。いくつかの態様によれば、本明細書に記載の寛容誘導性組成物は、この方法で試験されると、寛容誘導性抗原単独またはビークルと比較して、OT−I細胞増殖の増加を示し、免疫寛容性の誘導の指標であるCD8+ T細胞クロスプライミングの増加を示す。機能的エフェクター表現型に拡張されているT細胞を、拡張されて欠失しているT細胞と区別するために、増殖しているOT−I CD8+T細胞を、枯渇の分子的特徴[プログラムされた細胞死−1(PD−1)、FasLなど]、ならびにアポトーシスおよびそれ故に欠失の特徴としてのアネキシン−V結合について、表現型分析することができる。OT−I CD8+ T細胞はまた、寛容誘導性抗原に対する機能的非応答性、したがって免疫寛容性を実証するために、アジュバントを用いた寛容誘導性抗原暴露に対する応答性を評価することもできる。そのために、宿主マウスへの寛容誘導性組成物の投与後に抗原暴露を行った後に、細胞を炎症性指標について分析する。いくつかの態様によれば、本明細書に記載の寛容誘導性組成物は、この方法で試験された場合、対照群と比較して、OVAに対する炎症性OT−I CD8+T細胞応答の顕著に低いレベル(例えば、バックグラウンド)を示し、従って、免疫寛容を示す。
いくつかの態様によれば、体液性免疫応答は、寛容誘導性抗原単独またはビークルのみの投与と比較して、本明細書に記載の1以上の寛容誘導性抗原を包含する本明細書に記載の耐性抗原組成物を投与し、得られた抗体のレベルを測定することによって試験することができる。いくつかの態様によれば、このようにして試験したとき、本発明の寛容誘導性組成物は、それらの投与およびビークル投与に応答する抗体形成の顕著に低い(例えば、バックグラウンド)レベルを示し、寛容誘導性抗原単独の投与に応答する抗体形成の有意に高いレベルを示す。低下した抗体形成は、免疫寛容性の誘導の指標である。
寛容誘導性抗原に対する寛容化の有効性は、体液性免疫応答を参照して上記のように試験することができ、ここで、本明細書に記載の寛容誘導性組成物による処置(複数可)の数週間後に、対象群を寛容誘導性抗原単独の投与により曝露し、次いで、寛容誘導性抗原に対する抗体のレベルを測定する。いくつかの態様によれば、この方法で試験したときの本発明の寛容誘導性組成物は、前処理されていない群と比較して、そのような寛容誘導性組成物で前処理された群において、寛容誘導性抗原による暴露に応答する低レベルの抗体形成を示す。
疾患に焦点を当てた実験モデルには、1型糖尿病の自己免疫および寛容性のNOD(または非肥満糖尿病)マウスモデル、およびヒト炎症性脱髄性疾患である多発性硬化症のEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)モデルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様によれば、そのようなモデルは、本明細書に記載の寛容誘導性組成物を用いて、寛容性の効果的な誘導を実証することができる。
投与
いくつかの態様によれば、本発明の寛容誘導性組成物は、治療的有効投与量、例えば、上記の疾患状態の処置を提供するのに十分な用量で投与される。本発明の寛容誘導性組成物またはその薬学的に許容される塩の投与は、同様の有用性を提供する薬剤の許容される投与方法のいずれかを介して行うことができる。
ヒト投与量レベルは、本発明の寛容誘導性化合物についてまだ最適化されていないが、これらは、最初は、マウスに約10μg〜約100μgの用量で投与され得る。一般に、個々のヒト用量は、体重1kg当たり約0.01〜20.0mg/kg、好ましくは約0.1〜10mg/kg、最も好ましくは約0.3〜2.0mg/kgである。処置は、1日または数日間行うことができ、数日、1〜数週間、または1〜数ヶ月の間隔で繰り返すことができる。投与は、単回投与として(例えば、ボーラスとして)、または最初のボーラスに続いて、時間の経過とともに、例えば、1〜7日間、完全用量の残りの部分を連続的に注入することができる。活性化合物の投与量は、以下のいずれかまたはすべてに依存して変わり得る:処置すべき対象および病状、苦痛の重症度、投与方法およびスケジュールならびに処方する医師の判断。投与量は、寛容誘導性抗原、抗体、抗体フラグメント(または本明細書に記載の他の抗原結合フラグメント)の分子量ならびにリンカーの大きさにも依存して変化し得ることが理解され得る。
本発明の寛容誘導性組成物は、単独で、または他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて投与され得る。態様に応じて用いられる一般的な投与経路としては、経口、局所、経皮、注射(筋肉内、静脈内または動脈内)などが挙げられるが、これらに限定されない。態様に応じて、製剤は、要すれば、従来の医薬担体または賦形剤および本発明の寛容誘導性組成物またはその薬学的に許容される塩を含み得る。さらに、これらの寛容誘導性組成物は、本発明の寛容誘導性組成物において用いられる抗原に対応する治療用タンパク質、ペプチド、抗体または抗体様分子が含まれるが、これらに限定されない、他の薬剤、医薬剤、担体など、ならびに免疫調節剤として作用することができ、より具体的には葉酸拮抗薬、免疫抑制剤、凍結抑制剤、有糸分裂阻害剤、および抗代謝物、またはそれらの組み合わせを含む、B細胞に対して阻害効果を有し得る他の活性剤を含み得る。
一般に、意図される投与方法によって、薬学的に許容される組成物は、本発明の寛容誘導性組成物を重量比で約0.1%〜約95%含有し、残りは適切な薬学的賦形剤、担体等である。例えば、いくつかの態様において、薬学的に許容される組成物は、本明細書に記載の寛容誘導性組成物を、約0.1重量%〜約1重量%、約1重量%〜約5重量%、約5重量%〜約15重量%、約15重量%〜約25重量%、約25重量%〜約50重量%、約50重量%〜約75重量%、約75重量%〜約95重量%の量(エンドポイントを含む、記載の範囲間の何れの量も含む)で含有する。非毒性担体から構成されるバランスで0.005%〜約95%の範囲で活性成分を含む投与量形態または組成物を調製することができる。例えば、いくつかの態様において、投与量形態は、約0.005%〜約0.01%、約0.01%〜約0.05%、約0.05%〜約0.1%、約0.1%〜約1%、約1%〜約5%、約5%〜約15%、約15%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、約75%〜約95%の量(エンドポイントを含む、記載の範囲間の何れの量も含む)の活性成分を含み得る。
液体の薬学的に投与可能な寛容誘導性組成物は、例えば、本発明の活性な寛容誘導性組成物(例えば、凍結乾燥粉末)および要すれば薬学的アジュバントを、担体、例えば水(注射用の水)、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、グリコール、エタノール等(ガラクトースを除く)に溶解、分散などして、それにより溶液または懸濁液を形成することによって調製することができる。所望により、投与される医薬組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、安定化剤、可溶化剤、pH緩衝剤等の非毒性の補助物質、例えば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミンおよびオレイン酸トリエタノールアミン等、浸透圧調製物質(オスモライト)、アミノ酸、糖および炭水化物、タンパク質およびポリマー、塩、界面活性剤、キレート剤および酸化防止剤、防腐剤および特定のリガンドなどを微量含有していてもよい。
寛容誘導性抗原
本明細書に記載の抗原結合タンパク質を含む寛容誘導性組成物に用いられる寛容誘導性抗原は、タンパク質またはペプチドであり得、例えば、寛容性抗原は、完全または部分的な治療剤、完全長の移植タンパク質またはそのペプチド、完全長の自己抗原またはそのペプチド、完全長のアレルゲンまたはそのペプチドおよび/または核酸、または前記寛容誘導性抗原の模倣物であり得る。あるカテゴリーまたは特定の疾患もしくは反応に関連する特定の寛容誘導性抗原のリストは、その寛容誘導性抗原が別のカテゴリーの一部と見なされること、または別の疾患もしくは反応に関連することを排除するものではない。
本発明の実施に用いられる寛容誘導性抗原は、以下の1以上であり得る。
・抗体フラグメントならびに抗体および抗体フラグメントの融合タンパク質ならびに遺伝子治療用ベクターを含む、タンパク質、ペプチド、抗体および抗体様分子である治療剤。これらには、ヒト、非ヒト(マウス等)および非天然(すなわち、人工)タンパク質、抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ウイルスおよびウイルス様粒子、ならびにフィブロネクチン、DARPins、ノッティン(knottin)等の非抗体結合足場が含まれる。
・移植レシピエントが望ましくない免疫応答を生じるヒト同種移植抗原。
・望ましくない自己免疫反応を引き起こす自己抗原。自己抗原は、患者(例えば、自己免疫患者)において内因性起源であるが、本発明の寛容誘導性組成物に用いるポリペプチドは、態様によっては、外因的に合成されてもよい(供給源から精製され、濃縮されるのとは対照的に)。
・患者が望ましくない免疫応答を経験する食物抗原、動物抗原、植物抗原および環境抗原などの外来抗原。治療用タンパク質もまた、その外因性起源のために外来抗原とみなされ得るが、本発明の説明を明確にする目的で、そのような治療薬は別個のグループとして記載される。同様に、植物抗原または動物抗原は、食べられて食物抗原とみなされ得て、環境抗原は、植物に由来するものであってもよい。しかしながら、これらは外来抗原とみなされる。当業者は、特に詳細な説明および実施例に照らして、本発明の寛容誘導性組成物に用いられ得る寛容誘導性抗原を理解することができるので、単純にするために、そのような潜在的に重複するグループのすべてを区別して記載し、定義する試みはされない。
寛容誘導性抗原は、完全タンパク質、完全タンパク質の一部、ペプチドなどであり得て、リンカーおよび/または抗原結合部位に結合するために(上記のように)誘導体化されてよく、変異および/または保存的置換を含んでよく、特に配列同一性を維持し得て、および/または脱シアル化されてもよい。
寛容誘導性抗原が治療用タンパク質、ペプチド、抗体または抗体様分子である態様において、特定の寛容誘導性抗原としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデノシンデアミナーゼ、アドトラスツズマブエムタンシン、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスルキン(Aldeslukin)、アルグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、α−1−プロテイナーゼ阻害剤、アナキンラ、アニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼアクチベーター複合体)、アンチトロンビンIII、抗胸腺細胞グロブリン、アルテプラーゼ(Ateplase)、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、C1−エステラーゼ阻害剤、カナキヌマブ(Canakinumab)、カルボキシペプチダーゼG2(グルカルピダーゼ、ボラクサーゼ(Voraxaze))、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、コラゲナーゼ、ガラガラヘビ免疫Fab(Crotalidae immune Fab)、ダルベポエチン−α、デノスマブ、ジゴキシン免疫Fab、ドルナーゼアルファ、エクリズマブ、エタネルセプト、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、第XIII因子、フィブリノーゲン、フィルグラスチム、ガルスルファーゼ(Galsulfase)、ゴリムマブ、酢酸ヒストレリン、ヒアルロニダーゼ、イデュルスルファーゼ(Idursulphase)、イミグルセラーゼ、インフリキシマブ、インスリン[組換えヒトインスリン(“rHuインスリン”)およびウシインスリンを含む]、インターフェロン−α2a、インターフェロン−α2b、インターフェロン−β1a、インターフェロン−β1b、インターフェロン−γ1b、イピリムマブ、L−アルギナーゼ、L−アスパラギナーゼ、L−メチオナーゼ、ラクターゼ、ラロニダーゼ、レピルジン/ヒルジン、メカセルミン、メカセルミンリンファベート(Mecasermin rinfabate)、メトキシナタリズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オプレルベキン、膵アミラーゼ、膵リパーゼ、パパイン、Peg−アスパラギナーゼ、Peg−ドキソルビシンHCl、Peg−エポエチン−β、ペグフィルグラスチム、Peg−インターフェロン−α2a、Peg−インターフェロン−α2b、ペグロティカーゼ、ペグビソマント、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、プロテインC、ラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、サクロシダーゼ、サケカルシトニン、サルグラモスチム、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラスツズマブ、1型α−インターフェロン、ウステキヌマブ、vW因子。治療用タンパク質は、天然の供給源(例えば、濃縮および精製されたもの)から得ることができ、または合成されたもの、例えば、組換え的に得ることができ、一般的にはIgGモノクローナルまたはフラグメントもしくは融合体である抗体治療薬を含む。
特定の治療用タンパク質、ペプチド、抗体または抗体様分子には、アブシキシマブ、アダリムマブ、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン(Aldeslukin)、アルグルコシダーゼアルファ、第VIII因子、第IX因子、インフリキシマブ、インスリン(rHuインスリンを含む)、L−アスパラギナーゼ、ラロニダーゼ、ナタリズマブ、オクトレオチド、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)またはラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、および一般的にはそれらの様々な形態のIgGモノクローナル抗体が含まれるが、それらに限定されない。
いくつかの態様では、止血剤(例えば、第VIII因子および第IX因子)、インスリン(rHuインスリンを含む)および非ヒト治療薬ウリカーゼ、PALおよびアスパラギナーゼを利用する。
いくつかの態様において、治療剤は、例えば、遺伝子治療ベクターの使用によって送達される。いくつかのそのような態様では、かかるベクターの一部および/またはそのカーゴ(例えば、治療剤)に対して免疫応答が生じ得る。したがって、いくつかの態様において、寛容性が望まれる抗原は、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(および対応する変異体−1、−2、−5、−6、−8、−9および/または他のパルボウイルス)、レンチウイルスおよびレトロウイルスを含むが、これらに限定されない、遺伝子治療ベクターを含む。
血液学(hematology)および移植における望ましくない免疫応答には、自己免疫性再生不良性貧血、移植拒絶(一般的に)および移植片対宿主疾患(骨髄移植拒絶)が含まれる。寛容誘導性抗原がヒト同種移植片移植抗原である態様において、特定の配列は、以下から選択され得る:様々なMHCクラスIおよびMHCクラスIIハプロタイプタンパク質のサブユニット(例えば、組織交差適合試験において同定されたドナー/レシピエントの違い)、ならびにRhCE、Kell、Kidd、DuffyおよびSsを含むマイナー血液群抗原上の単一アミノ酸多型。このような寛容誘導性組成物は、所与のドナー/レシピエントペアに対して個別に調製することができる。
寛容誘導性抗原が自己抗原である態様において、特定の寛容誘導性抗原(およびそれらが関連する自己免疫疾患)が選択され得る。
1型糖尿病において、抗原としては、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2(IGRPまたは膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)およびインスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース−6−ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役受容体1〜5、またはかかる抗原のいずれかの免疫原性フラグメントもしくは部分が挙げられる。インスリンは、自己抗原としても治療用タンパク質抗原としても特徴づけられる抗原の一例であることが特記される。例えば、rHuインスリンおよびウシインスリンは、治療用タンパク質抗原(望ましくない免疫攻撃の対象)であるのに対し、内因性ヒトインスリンは自己抗原(望ましくない免疫攻撃の対象)である。内因性ヒトインスリンは、医薬組成物に用いることができないため、本発明の寛容誘導性組成物の特定の態様では、組換え体が用いられる。
いくつかの態様において、本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むヒトインスリンは、以下の配列を有する(UNIPROT P01308):MALWMRLLPLLALLALWGPDPAAAFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCN (配列番号163)。
いくつかの態様において、本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むGAD−65は、以下の配列を有する(UNIPROT Q05329):MASPGSGFWSFGSEDGSGDSENPGTARAWCQVAQKFTGGIGNKLCALLYGDAEKPAESGGSQPPRAAARKAACACDQKPCSCSKVDVNYAFLHATDLLPACDGERPTLAFLQDVMNILLQYVVKSFDRSTKVIDFHYPNELLQEYNWELADQPQNLEEILMHCQTTLKYAIKTGHPRYFNQLSTGLDMVGLAADWLTSTANTNMFTYEIAPVFVLLEYVTLKKMREIIGWPGGSGDGIFSPGGAISNMYAMMIARFKMFPEVKEKGMAALPRLIAFTSEHSHFSLKKGAAALGIGTDSVILIKCDERGKMIPSDLERRILEAKQKGFVPFLVSATAGTTVYGAFDPLLAVADICKKYKIWMHVDAAWGGGLLMSRKHKWKLSGVERANSVTWNPHKMMGVPLQCSALLVREEGLMQNCNQMHASYLFQQDKHYDLSYDTGDKALQCGRHVDVFKLWLMWRAKGTTGFEAHVDKCLELAEYLYNIIKNREGYEMVFDGKPQHTNVCFWYIPPSLRTLEDNEERMSRLSKVAPVIKARMMEYGTTMVSYQPLGDKVNFFRMVISNPAATHQDIDFLIEEIERLGQDL (配列番号164)。
いくつかの態様において、本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むIGRPは、以下の配列を有する(UNIPROT QN9QR9):MDFLHRNGVLIIQHLQKDYRAYYTFLNFMSNVGDPRNIFFIYFPLCFQFNQTVGTKMIWVAVIGDWLNLIFKWILFGHRPYWWVQETQIYPNHSSPCLEQFPTTCETGPGSPSGHAMGASCVWYVMVTAALSHTVCGMDKFSITLHRLTWSFLWSVFWLIQISVCISRVFIATHFPHQVILGVIGGMLVAEAFEHTPGIQTASLGTYLKTNLFLFLFAVGFYLLLRVLNIDLLWSVPIAKKWCANPDWIHIDTTPFAGLVRNLGVLFGLGFAINSEMFLLSCRGGNNYTLSFRLLCALTSLTILQLYHFLQIPTHEEHLFYVLSFCKSASIPLTVVAFIPYSVHMLMKQSGKKSQ (配列番号165)。
いくつかの態様において、本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むヒトプロインスリンは、以下の配列を有する:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCN (配列番号203)。
態様に応じて、1型糖尿病を処置するための本発明の寛容誘導性組成物に有用なペプチド/エピトープは、寛容誘導性組成物において個別に、または寛容誘導性組成物のカクテルにおいて共に、以下の配列のいくつかまたは全てを含む:
・ヒトプロインスリン1−70:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQ (配列番号204);
・ヒトプロインスリン9−70:SHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQ (配列番号205);
・ヒトプロインスリン9−38:SHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQ (配列番号206);
・ヒトプロインスリン1−38:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQ (配列番号207);
・ヒトプロインスリン9−23:SHLVEALYLVCGERG (配列番号208);
・ヒトプロインスリン45−71(C13−A6):GGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQC (配列番号209);
・ヒトプロインスリンC24−A1:LALEGSLQKRG (配列番号210);
・ヒトプロインスリンC19−A3:GSLQPLALEGSLQKRGIV (配列番号211);
・ヒトプロインスリンC13−32:GGGPGAGSLQPLALEGSLQK (配列番号212);
・ヒトプロインスリンB9−C4:SHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAED (配列番号213);
・ヒトプロインスリンC22−A5:QPLALEGSLQKRGIVEQ (配列番号214)。
橋本甲状腺炎およびグレーブス病を含む甲状腺の自己免疫疾患において、主要抗原としては、サイログロブリン(TG)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)および甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、ナトリウムヨウ素共輸送体(NIS)およびメガリンが挙げられる。甲状腺関連眼症および皮膚症において、TSHRを含む甲状腺自己抗原に加えて、抗原は、インスリン様増殖因子1受容体である。副甲状腺機能低下症において、主要抗原はカルシウム感受性受容体である。
アジソン病において、主要抗原としては、21−ヒドロキシラーゼ、17α−ヒドロキシラーゼおよびP450側鎖切断酵素(P450scc)が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原には、ACTH受容体、P450c21およびP450c17が含まれる。
早発卵巣不全において、主要抗原としては、FSH受容体およびα−エノラーゼが挙げられるが、これに限定されない。
自己免疫性下垂体炎または下垂体の自己免疫疾患において、主要抗原としては、下垂体特異的タンパク質因子(PGSF)1aおよび2が挙げられるが、これらに限定されない。別の抗原は、2型ヨードチロニンデヨージナーゼである。
多発性硬化症において、主要抗原としては、ミエリン塩基性タンパク質(“MBP”)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(“MOG”)およびミエリンプロテオリピドタンパク質(“PLP”)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むMBPは、以下の配列(UNIPROT P02686)を有する:MGNHAGKRELNAEKASTNSETNRGESEKKRNLGELRTTSEDNEVFGEADANQNNGTSSQDTAVTDSKRTADPKNAWQDAHPADPGSRPHLIRLFSRDAPGREDNTFKDRPSESDELQTIQEDSAATSESLDVMASQKRPSQRHGSKYLATASTMDHARHGFLPRHRDTGILDSIGRFFGGDRGAPKRGSGKDSHHPARTAHYGSLPQKSHGRTQDENPVVHFFKNIVTPRTPPPSQGKGRGLSLSRFSWGAEGQRPGFGYGGRASDYKSAHKGFKGVDAQGTLSKIFKLGGRDSRSGSPMARR (配列番号166)。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むMOGは、以下の配列を有する(UNIPROT Q16653):MASLSRPSLPSCLCSFLLLLLLQVSSSYAGQFRVIGPRHPIRALVGDEVELPCRISPGKNATGMEVGWYRPPFSRVVHLYRNGKDQDGDQAPEYRGRTELLKDAIGEGKVTLRIRNVRFSDEGGFTCFFRDHSYQEEAAMELKVEDPFYWVSPGVLVLLAVLPVLLLQITVGLIFLCLQYRLRGKLRAEIENLHRTFDPHFLRVPCWKITLFVIVPVLGPLVALIICYNWLHRRLAGQFLEELRNPF (配列番号167)。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むPLPは、以下の配列を有する(UNIPROT P60201):MGLLECCARCLVGAPFASLVATGLCFFGVALFCGCGHEALTGTEKLIETYFSKNYQDYEYLINVIHAFQYVIYGTASFFFLYGALLLAEGFYTTGAVRQIFGDYKTTICGKGLSATVTGGQKGRGSRGQHQAHSLERVCHCLGKWLGHPDKFVGITYALTVVWLLVFACSAVPVYIYFNTWTTCQSIAFPSKTSASIGSLCADARMYGVLPWNAFPGKVCGSNLLSICKTAEFQMTFHLFIAAFVGAAATLVSLLTFMIAATYNFAVLKLMGRGTKF (配列番号168)。
多発性硬化症を処置するための本発明の寛容誘導性組成物に有用なペプチド/エピトープは、寛容誘導性組成物において個別に、または寛容誘導性組成物の組合せ(例えば、カクテル)において共に、以下の2〜5、5〜10、10〜15、15〜20(およびこの中の重複範囲)の配列のいくつかまたは全てを含む:
・MBP13-32:KYLATASTMDHARHGFLPRH (配列番号169);
・MBP83-99:ENPWHFFKNIVTPRTP (配列番号170);
・MBP111-129:LSRFSWGAEGQRPGFGYGG (配列番号171);
・MBP146-170:AQGTLSKIFKLGGRDSRSGSPMARR (配列番号172);
・MOG1-20:GQFRVIGPRHPIRALVGDEV (配列番号173);
・MOG35-55:MEVGWYRPPFSRWHLYRNGK (配列番号174);
・PLP139-154:HCLGKWLGHPDKFVGI (配列番号175);
・MOG35-55:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK (配列番号186);
・MOG30-60:KNATGMEVGWYRSPFSRVVHLYRNGKDQDAE (配列番号187);
・MBP83-99:ENPVVHFFKNIVTPRTP (配列番号188);
・MOG35-55:MEVGWYRPPFSRVVHLYRNGK (配列番号189);
・MBP82-98:DENPVVHFFKNIVTPRT (配列番号190);
・MBP82-99:DENPVVHFFKNIVTPRTP (配列番号191);
・MBP82-106:DENPVVHFFKNIVTPRTPPPSQGKG (配列番号192);
・MBP87-106:VHFFKNIVTPRTPPPSQGKG (配列番号193);
・MBP131-155:ASDYKSAHKGLKGVDAQGTLSKIFK (配列番号194);
・PLP41-58:GTEKLIETYFSKNYQDYE (配列番号195);
・PLP89-106:GFYTTGAVRQIFGDYKTT (配列番号196);
・PLP95-116:AVRQIFGDYKTTICGKGLSATV (配列番号197);
・PLP178-197:NTWTTCQSIAFPSKTSASIG (配列番号198);
・PLP190-209:SKTSASIGSLCADARMYGVL (配列番号199);
・MOG11-30:PIRALVGDEVELPCRISPGK (配列番号200);
・MOG21-40:ELPCRISPGKNATGMEVGWY (配列番号201);
・MOG64-86:EYRGRTELLKDAIGEGKVTLRIR (配列番号202)。
リウマチ性関節炎において、主要抗原としては、コラーゲンII、免疫グロブリン結合タンパク質、免疫グロブリンGのフラグメント結晶化領域、二本鎖DNA、ならびにフィブリン/フィブリノーゲン、ビメンチン、コラーゲンIおよびII、およびアルファ−エノラーゼを含む、リウマチ性関節炎の病理に関与するタンパク質の天然形態およびシトルリン化された形態が挙げられるが、これらに限定されない。
自己免疫性胃炎において、主要抗原はH、K−ATPaseである。
悪性貧血において、主要抗原は内因性因子である。
セリアック病において、主要抗原としては、組織グルタミン転移酵素ならびにグルテンまたはグルテン様タンパク質の天然および脱アミド化形態、例えばアルファ−、ガンマ−およびオメガ−グリアジン、グルテニン、ホルデイン、セカリンおよびアベニンが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、例えば、セリアック病の主要抗原はアルファ−グリアジンであるが、アルファ−グリアジンは、アルファ−グリアジンのグルタミンをグルタミン酸に変換する組織グルタミン転移酵素による脱アミド化を介して、体内でより免疫原性に変化することを理解し得る。従って、アルファグリアジンは元々は外来食物抗原であるが、体内で修飾されてより免疫原性になると、態様によっては自己抗原として特徴付けることができる。
白斑症において、主要抗原はチロシナーゼ、およびチロシナーゼ関連タンパク質1および2である。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むMART1、T細胞1によって認識されるメラノーマ抗原、Melan−Aは、以下の配列を有する(UNIPROT Q16655):MPREDAHFIYGYPKKGHGHSYTTAEEAAGIGILTVILGVLLLIGCWYCRRRNGYRALMDKSLHVGTQCALTRRCPQEGFDHRDSKVSLQEKNCEPVVPNAPPAYEKLSAEQSPPPYSP (配列番号176)。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むチロシナーゼは、以下の配列を有する(UNIPROT P14679):MLLAVLYCLLWSFQTSAGHFPRACVSSKNLMEKECCPPWSGDRSPCGQLSGRGSCQNILLSNAPLGPQFPFTGVDDRESWPSVFYNRTCQCSGNFMGFNCGNCKFGFWGPNCTERRLLVRRNIFDLSAPEKDKFFAYLTLAKHTISSDYVIPIGTYGQMKNGSTPMFNDINIYDLFVWMHYYVSMDALLGGSEIWRDIDFAHEAPAFLPWHRLFLLRWEQEIQKLTGDENFTIPYWDWRDAEKCDICTDEYMGGQHPTNPNLLSPASFFSSWQIVCSRLEEYNSHQSLCNGTPEGPLRRNPGNHDKSRTPRLPSSADVEFCLSLTQYESGSMDKAANFSFRNTLEGFASPLTGIADASQSSMHNALHIYMNGTMSQVQGSANDPIFLLHHAFVDSIFEQWLRRHRPLQEVYPEANAPIGHNRESYMVPFIPLYRNGDFFISSKDLGYDYSYLQDSDPDSFQDYIKSYLEQASRIWSWLLGAAMVGAVLTALLAGLVSLLCRHKRKQLPEEKQPLLMEKEDYHSLYQSHL (配列番号177)。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むメラノサイトタンパク質PMEL、gp100は、以下の配列を有する(UNIPROT P40967):MDLVLKRCLLHLAVIGALLAVGATKVPRNQDWLGVSRQLRTKAWNRQLYPEWTEAQRLDCWRGGQVSLKVSNDGPTLIGANASFSIALNFPGSQKVLPDGQVIWVNNTIINGSQVWGGQPVYPQETDDACIFPDGGPCPSGSWSQKRSFVYVWKTWGQYWQVLGGPVSGLSIGTGRAMLGTHTMEVTVYHRRGSRSYVPLAHSSSAFTITDQVPFSVSVSQLRALDGGNKHFLRNQPLTFALQLHDPSGYLAEADLSYTWDFGDSSGTLISRALVVTHTYLEPGPVTAQVVLQAAIPLTSCGSSPVPGTTDGHRPTAEAPNTTAGQVPTTEVVGTTPGQAPTAEPSGTTSVQVPTTEVISTAPVQMPTAESTGMTPEKVPVSEVMGTTLAEMSTPEATGMTPAEVSIVVLSGTTAAQVTTTEWVETTARELPIPEPEGPDASSIMSTESITGSLGPLLDGTATLRLVKRQVPLDCVLYRYGSFSVTLDIVQGIESAEILQAVPSGEGDAFELTVSCQGGLPKEACMEISSPGCQPPAQRLCQPVLPSPACQLVLHQILKGGSGTYCLNVSLADTNSLAVVSTQLIMPGQEAGLGQVPLIVGILLVLMAVVLASLIYRRRLMKQDFSVPQLPHSSSHWLRLPRIFCSCPIGENSPLLSGQQV (配列番号178)。
重症筋無力症において、主要抗原はアセチルコリン受容体である。
尋常性天疱瘡および変異形において、主要抗原としては、デスモグレイン3、1および4が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、ペンファキシン、デスモコリン、プラコグロビン、パープラキン、デスモプラキンおよびアセチルコリン受容体が挙げられる。
類天疱瘡において、主要抗原としては、BP180およびBP230が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原はプレクチンおよびラミニン5を含む。
ジューリング疱疹状皮膚炎において、主要抗原としては、筋内膜および組織グルタミン転移酵素が挙げられるが、これらに限定されない。
後天性表皮水疱症において、主要抗原はコラーゲンVIIである。
全身性硬化症において、主要抗原としては、マトリックスメタロプロテイナーゼ1および3、コラーゲン特異的分子シャペロン熱ショックタンパク質47、フィブリリン−1ならびにPDGF受容体が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、Scl−70、U1 RNP、Th/To、Ku、Jo1、NAG−2、セントロメアタンパク質、トポイソメラーゼI、核小体タンパク質、RNAポリメラーゼI、IIおよびIII、PM−Slc、フィブリラリンならびにB23が挙げられる。
混合型結合組織疾患において、主要抗原はU1snRNPである。
シェーグレン症候群において、主要抗原としては、核抗原SS−AおよびSS−Bが挙げられるが、これらに限定されない。他の抗原としては、フォドリン、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼおよびトポイソメラーゼ、ムスカリン受容体ならびにFc−ガンマ受容体IIIbが挙げられる。
全身性エリテマトーデスにおいて、主要抗原としては、“スミス抗原”を含む核タンパク質、SS−A、高移動度グループボックス1(HMGB1)、ヌクレオソーム、ヒストンタンパク質および二本鎖DNA(それに対して疾患過程で自己抗体が作られる)が挙げられるが、これらに限定されない。
グッドパスチャー症候群において、主要抗原としては、コラーゲンIVを含む糸球体基底膜膜タンパク質が挙げられるが、これに限定されない。
リウマチ性心疾患において、主要抗原は心臓ミオシンである。
自己免疫性多内分泌腺症候群1型抗原としては、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、システインスルフィン酸デカルボキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、肝P450チトクロムP4501A2および2A6、SOX−9、SOX−10、カルシウム感受性受容体タンパク質、ならびに1型インターフェロン、インターフェロンアルファ、ベータおよびガンマが挙げられるが、これらに限定されない。
視神経脊髄炎において、主要抗原はAQP4である。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むアクアポリン−4は、以下の配列を有する(UNIPROT P55087):MSDRPTARRWGKCGPLCTRENIMVAFKGVWTQAFWKAVTAEFLAMLIFVLLSLGSTINWGGTEKPLPVDMVLISLCFGLSIATMVQCFGHISGGHINPAVTVAMVCTRKISIAKSVFYIAAQCLGAIIGAGILYLVTPPSVVGGLGVTMVHGNLTAGHGLLVELIITFQLVFTIFASCDSKRTDVTGSIALAIGFSVAIGHLFAINYTGASMNPARSFGPAVIMGNWENHWIYWVGPIIGAVLAGGLYEYVFCPDVEFKRRFKEAFSKAAQQTKGSYMEVEDNRSQVETDDLILKPGVVHVIDVDRGEEKKGKDQSGEVLSSV (配列番号179)。
ブドウ膜炎において、主要抗原としては、網膜S−抗原または“S−アレスチン”ならびに光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)またはレチノール結合タンパク質3が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むS−アレスチンは、以下の配列を有する(UNIPROT P10523):MAASGKTSKSEPNHVIFKKISRDKSVTIYLGNRDYIDHVSQVQPVDGVVLVDPDLVKGKKVYVTLTCAFRYGQEDIDVIGLTFRRDLYFSRVQVYPPVGAASTPTKLQESLLKKLGSNTYPFLLTFPDYLPCSVMLQPAPQDSGKSCGVDFEVKAFATDSTDAEEDKIPKKSSVRLLIRKVQHAPLEMGPQPRAEAAWQFFMSDKPLHLAVSLNKEIYFHGEPIPVTVTVTNNTEKTVKKIKAFVEQVANVVLYSSDYYVKPVAMEEAQEKVPPNSTLTKTLTLLPLLANNRERRGIALDGKIKHEDTNLASSTIIKEGIDRTVLGILVSYQIKVKLTVSGFLGELTSSEVATEVPFRLMHPQPEDPAKESYQDANLVFEEFARHNLKDAGEAEEGKRDKNDVDE (配列番号180)。
本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むIRBPは、以下の配列を有する(UNIPROT P10745):MMREWVLLMSVLLCGLAGPTHLFQPSLVLDMAKVLLDNYCFPENLLGMQEAIQQAIKSHEILSISDPQTLASVLTAGVQSSLNDPRLVISYEPSTPEPPPQVPALTSLSEEELLAWLQRGLRHEVLEGNVGYLRVDSVPGQEVLSMMGEFLVAHVWGNLMGTSALVLDLRHCTGGQVSGIPYIISYLHPGNTILHVDTIYNRPSNTTTEIWTLPQVLGERYGADKDVVVLTSSQTRGVAEDIAHILKQMRRAIVVGERTGGGALDLRKLRIGESDFFFTVPVSRSLGPLGGGSQTWEGSGVLPCVGTPAEQALEKALAILTLRSALPGVVHCLQEVLKDYYTLVDRVPTLLQHLASMDFSTVVSEEDLVTKLNAGLQAASEDPRLLVRAIGPTETPSWPAPDAAAEDSPGVAPELPEDEAIRQALVDSVFQVSVLPGNVGYLRFDSFADASVLGVLAPYVLRQVWEPLQDTEHLIMDLRHNPGGPSSAVPLLLSYFQGPEAGPVHLFTTYDRRTNITQEHFSHMELPGPRYSTQRGVYLLTSHRTATAAEEFAFLMQSLGWATLVGEITAGNLLHTRTVPLLDTPEGSLALTVPVLTFIDNHGEAWLGGGVVPDAIVLAEEALDKAQEVLEFHQSLGALVEGTGHLLEAHYARPEVVGQTSALLRAKLAQGAYRTAVDLESLASQLTADLQEVSGDHRLLVFHSPGELVVEEAPPPPPAVPSPEELTYLIEALFKTEVLPGQLGYLRFDAMAELETVKAVGPQLVRLVWQQLVDTAALVIDLRYNPGSYSTAIPLLCSYFFEAEPRQHLYSVFDRATSKVTEVWTLPQVAGQRYGSHKDLYILMSHTSGSAAEAFAHTMQDLQRATVIGEPTAGGALSVGIYQVGSSPLYASMPTQMAMSATTGKAWDLAGVEPDITVPMSEALSIAQDIVALRAKVPTVLQTAGKLVADNYASAELGAKMATKLSGLQSRYSRVTSEVALAEILGADLQMLSGDPHLKAAHIPENAKDRIPGIVPMQIPSPEVFEELIKFSFHTNVLEDNIGYLRFDMFGDGELLTQVSRLLVEHIWKKIMHTDAMIIDMRFNIGGPTSSIPILCSYFFDEGPPVLLDKIYSRPDDSVSELWTHAQVVGERYGSKKSMVILTSSVTAGTAEEFTYIMKRLGRALVIGEVTSGGCQPPQTYHVDDTNLYLTIPTARSVGASDGSSWEGVGVTPHVVVPAEEALARAKEMLQHNQLRVKRSPGLQDHL (配列番号181)。
寛容誘導性抗原が、それに対して望ましくない免疫応答が生じ得る外来抗原、例えば食物抗原である態様において、特定の抗原としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:
・ピーナッツ由来:コナラチン(Ara h 1)、アレルゲンII(Ara h 2)、ピーナッツアグルチニン、コングルチン(Ara h 6);
○ コンアラキンは、例えば、UNIPROT Q6PSU6として同定された配列を有する。
・りんご由来:31kdaの主要アレルゲン/疾患抵抗性タンパク質ホモログ(Mal d 2)、脂質転移タンパク質前駆体(Mal d 3)、主要アレルゲン Mal d 1.03D(Mal d 1);
・ミルク由来:α−ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリン;キウイ由来:アクチニジン(Act c 1、Act d 1)、フィトシスタチン、タウマチン様タンパク質(Act d 2)、キウェリン(Act d 5);
・卵白由来:オボムコイド、オボアルブミン、オボトランスフェリンおよびリゾチーム;
・卵黄由来:リベチン、アポビチリンおよびボスベチン;
・マスタード由来:2Sアルブミン(Sin a 1)、11Sグロブリン(Sin a 2)、脂質転移タンパク質(Sin a 3)、プロフィリン(Sin a 4);
・セロリ由来:プロフィリン(Api g 4)、高分子量糖タンパク質(Api g 5);
・エビ由来:Pen a 1アレルゲン(Pen a 1)、アレルゲンPen m 2(Pen m 2)、トロポミオシン速筋(fast)型アイソフォーム;
・小麦および/または他の穀物由来:高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、アルファ−、ガンマ−およびオメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリンおよび/またはアベニン;
○ セリアック病を処置するための本発明の寛容誘導性組成物において有用なペプチド/エピトープは、寛容誘導性組成物において個別に、または寛容誘導性組成物の組合せ(例えば、カクテル)において共に、以下の2〜5、5〜10、10〜15、15〜20(およびこの中の重複範囲)またはそれ以上の配列のいくつかまたは全てを含む:
− DQ−2関連、アルファ−グリアジン“33マー”天然型:
LQLQPFPQPQLPYPQPQLPYPQPQLPYPQPQPF (配列番号182)
− DQ−2関連、アルファ−グリアジン“33マー”脱アミド化型:
LQLQPFPQPELPYPQPELPYPQPELPYPQPQPF (配列番号183)
− DQ−8関連、アルファ−グリアジン:
QQYPSGQGSFQPSQQNPQ (配列番号184)
− DQ−8関連、オメガ−グリアジン (小麦、U5UA46):
QPFPQPEQPFPW (配列番号185)
−アルファ−グリアジン “15マー”フラグメント:
ELQPFPQPELPYPQP (配列番号215)
・イチゴ由来:主要イチゴアレルギー Fra a 1-E (Fra a 1);および
・バナナ由来:プロフィリン(Mus xp 1)。
パーキンソン病において、主要抗原はアルファシヌクレインである。本発明の寛容誘導性組成物において有用な外因的に得られた形態を含むアルファシヌクレインは、以下の配列を有する(UNIPROT P37840):MDVFMKGLSKAKEGVVAAAEKTKQGVAEAAGKTKEGVLYVGSKTKEGVVHGVATVAEKTKEQVTNVGGAVVTGVTAVAQKTVEGAGSIAAATGFVKKDQLGKNEEGAPQEGILEDMPVDPDNEAYEMPSEEGYQDYEPEA(配列番号216)。
寛容誘導性抗原が、それに対して望ましくない免疫応答が生じる外来抗原、例えば動物抗原、植物抗原および環境抗原である態様において、特定の抗原は、例えば以下であり得る:以下に由来するタンパク質またはペプチドを含む、ネコ、マウス、イヌ、ウマ、ハチ、ダスト、木およびアキノキリンソウ(goldenrod):
・雑草(ブタクサアレルゲンamb a 1、2、3、5, 6、および Amb t 5;ブタクサ Che a 2、5;ならびに、その他の雑草アレルゲン Par j 1、2、3、および Par o 1を含む)。
・草(主要アレルゲン Cyn d 1、7および12;Dac g 1、2および5;Hol I 1.01203;Lol p 1、2、3、5および11;Mer a 1;Pha a 1;Poa p 1および5を含む)。
・ブタクサおよび他の雑草(ナガバギシギシ(curly dock)、シロザ(lambs quarters)、ピグウィード(pigweed)、プランテン、ヒメスイバ(sheep sorrel)およびヤマヨモギ(sagebrush)を含む)、草(バミューダ、ジョンソン、ケンタッキー、オーチャード、スウィートヴァーナルおよびティモシー草を含む)、樹木(梓(catalpa)、エルム、ヒッコリー、オリーブ、ピーカン、シカモアおよびクルミ(walnut)を含む)からの花粉;
・ダスト(Der p 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、14、15、18、20、21および23などのヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)種からの主要なアレルゲン;Der f 1、2、3、6、7、10、11、13、14、15、16、18、22および24などのコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farina)種からの主要なアレルゲン;Blo t 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、19および21などのネッタイタマニクダニ(Blomia tropicalis)種からの主要なアレルゲン;また、シワチリダニ(Euroglyphus maynei)からのアレルゲン Eur m 2、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)からのTyr p 13、ならびにアレルゲンBla g 1、2および4;ゴキブリからのPer a 1、3および7を含む);
・ペット(ネコ、イヌ、げっ歯動物および家畜を含む;主要なネコアレルゲンには、Fel d 1〜8、ネコIgA、BLa g 2およびネコアルブミンが含まれる;主要なイヌアレルゲンには、Can f 1〜6およびイヌアルブミンが含まれる);
・主なアレルゲンApi m 1〜12を含むハチ刺傷、および
・真菌類(アスペルギルス属およびペニシリウム属種、ならびにアルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、ダビディエラ・タシアナ(Davidiella tassiana)およびトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)種由来のアレルゲンを含む)。
当業者には理解されるように、患者は、望ましくない免疫応答が生じた寛容誘導性抗原を同定するために試験され得て、タンパク質、ペプチド等を、その寛容誘導性抗原に基づいて開発し、本発明の寛容誘導性組成物に組み込むことができる。
以下に記載される限定されない実施例において用いられる方法および材料は、本明細書に記載の態様を限定するものとして読まれるべきではない。
実施例1:マウス抗体10F7のヒト化
マウスから単離された抗ヒトグリコフォリンA(GPA)抗体(10F7)(Bigbee et al., 1983)を、エリスロサイト標的化の候補として選択した。10F7は、血液型に関係なく、ヒト集団の100%に結合する。結合特性を改善するために10F7を親和性成熟させる前に、この抗体を最初に抗体フラグメント形に変換してヒト化した。マウス10F7抗体の重鎖および軽鎖を、マウス相補的決定領域(CDR)とヒトフレームワーク領域(FR)を移植することによりヒト化し、Fab抗体フラグメント(“fAb”)として10個の候補抗体配列を作製した。構造および親和性を維持するために、逆変異を導入した。これらのfAb抗体を発現させ、精製し、動態結合アッセイ(ELISA、表面プラズモン共鳴)によりヒトGPAへの結合について、およびフローサイトメトリーによりヒト赤血球への結合について評価した。図1Aは、選択された抗体配列(“クローンm10”と呼ばれる)の定常領域および可変領域の軽鎖および重鎖を示し、これらは、後続の親和性成熟のために選択された。実施例2の親和性成熟キャンペーンで変異した候補GPA結合残基を、太字および下線で示す。
実施例2:10F7親和性成熟キャンペーン
ライブラリー設計および構築
ヒトGPAと物理的に接触すると考えられているCDR中のアミノ酸である、10F7の推定抗原結合領域(ABR)を同定するために、パラトームアルゴリズムを用いた計算構造ベースのモデリングを用いた。図1Bは、KabatおよびClothiaのスキームに従って、可変領域の軽鎖および重鎖の相補性決定領域、ならびにParatome ABRの位置を示している。これらのABRをCDRとアラインメントし、軽鎖および重鎖における同定されたABR残基を、10F7を親和性成熟させるために5つの別個のライブラリーで無作為化した(図1C)。親和性成熟スクリーニングのためのファージディスプレイライブラリーは、TRIM(トリヌクレオチド変異誘発)−ライブラリーのカスタマイズ可能な無作為化のための予め組み立てられたトリヌクレオチドブロックのアセンブリ−を用いて、GeneArt/ThermoFisher Scientificによって作成された。
選択プロセス
得られたfAbライブラリーをM13バクテリオファージ上に表示し、以前にストレプトアビジンコートした磁気ビーズに結合した組換えビオチン化ヒトGPAに対して3ラウンドの選択を行った。GPAに対する親和性を高めたfAb抗体クローンの選択を促進するために、GPA濃度およびライブラリービーズ結合時間を減少させることにより、選択プロセスの強度を選択の各連続ラウンドで増加させた。第3ラウンドの選択後、選択されたライブラリーアウトプットは、個々のfAbクローンを同定し、それらのGPA結合特性を特徴付けるために、ヒトGPAに対するELISAによってスクリーニングされた。GPAに結合するクローンは、主にfAbの軽鎖可変領域に焦点を当てて配列決定を行った。図2に選択プロセスの概略を示す。
合計14のキャンペーンが完了し、各ライブラリーから同定されたヒット数の合計を表5に示す。ライブラリーの最初のレビューでは、L1+L2 CDRライブラリー(軽鎖CDR1およびCDR2 ABRに変異を含む)がヒトGPAに対する高い親和性を示すことが確認された。図3は、親和性成熟したfAbの軽鎖可変ドメインの配列を示し(他の全てのドメインは野生型10F7−M10と同じである)、CDR1およびCDR2の無作為化されたABR残基を太字および下線で示す。
Figure 2021522812
特性評価およびランク付け
配列確認されたクローンを、HEK細胞において可溶性形態(ファージに融合されていない)で組換え的に発現させ、精製した。全てのクローンを分析SECで評価し、特性評価の前にFabが>97%のモノマーであることを確認した。ヒトGPAに対するトップヒットの親和性を、ヒトエリスロサイトに対するELISA、バイオレイヤー干渉法、表面プラズモン共鳴およびフローサイトメトリーアッセイによって特徴付けた。また、開始(非親和性成熟10F7−M10)も対照として特徴付けた。この分析の結果を表6に示し、特にクローンL1+2−17およびL1+2−39は、ヒトGPAに対して予想外に高い親和性を示した。
Figure 2021522812

Figure 2021522812
実施例3:次世代シークエンシングベースの親和性成熟
概要
本実施例は、方法および得られる抗体、血液型群抗原に関係なくヒトエリスロサイトに結合する候補抗体またはそのフラグメント(例えば、Fab)の発見に関する。別の目標は、特に、成功した候補がカニクイザル(cyno)ホモログタンパク質に対しても交差反応性を有するように、種間交差反応性を達成することであった。翻訳後修飾に依存せずに、ヒトとcynoの標的タンパク質骨格の両方に結合する高親和性クローンを同定するために、親和性成熟キャンペーンが開発された。ファージディスプレイされたコンビナトリアルscfvライブラリーは、親FabのCDRのそれぞれを個別に無作為化するように設計された。各CDRライブラリーは、その後、交差反応性を維持し、翻訳後修飾の違いが結合に影響を与えないことを確実にするために、ヒトおよびcynoの標的タンパク質のいくつかの変異体に対してパニングされた。次世代シークエンシング(NGS)をベースとした一次スクリーニングを開発し、親和性成熟ヒットを同定した。NGSスクリーンのデータをscfv−phage ELISAスクリーンのデータと比較したところ、どちらのスクリーンも各キャンペーンの上位ヒットを特定していたが、NGS分析により選択の成功に関するより広い洞察が得られたことが分かった。NGSを介してファージパニングの各ラウンドのアウトプットをプロファイリングすることにより、配列モチーフの漸増濃縮がより容易に検出され、親和性の向上をよりよく予測することができた。また、このデータは、NGSアプローチが従来のELISAアプローチよりも効率的にヒット数を特定でき、労力およびコストを削減できたことを示す。この合理化された方法を実施することにより、本発明者らは、ヒト赤血球およびカニクイザル(cyno)赤血球に対してそれぞれ6倍および16倍のFabを親和性成熟させ、試験したすべての血液型に対する高親和性結合を達成することができた。
発見およびヒト化
マウスをcynoRBCで免疫し、cynoグリコフォリンAでブーストしたハイブリドーマキャンペーン中に、3−103と呼ばれるIgG抗体が見いだされた。本明細書に記載の方法は、IgA、IgD、IgE、IgM、または任意のそのような抗体クラスのサブタイプを含む種々の抗体タイプに適用可能であることが特記される。いくつかの態様において、本発明の方法は、単なる一例として、IgG2aなどのIgG2抗体に特に適している。3−103抗体の重鎖および軽鎖を、候補構築物を作成するために、マウスCDRをヒトフレームワーク領域に移植することによってヒト化した。可溶性Fabとしての抗体の構造、親和性および改善された大腸菌発現を維持するために、逆突然変異を導入した。これらの構築物を、可溶性Fabとして発現させ、精製し、ヒトおよびcyno GPAと赤血球との安定性アッセイおよび動態アッセイによって評価した。クローンM1(“3−103M1”)を、さらなる親和性成熟のために選択した。
ライブラリー設計および構築
コンピューターモデリングを用いて、予測されたCDR残基を同定した。予測された軽鎖CDR1およびCDR2と重鎖CDR1およびCDR2とを標的化し、無作為化するように合理的にライブラリーを設計し、親和性成熟スクリーニング用に5つのライブラリーを作成した。遺伝子をGeneArtで合成し、scfv-phageコンビナトリアルライブラリーの作成のためにpBs-3-103M1-CMVd1ベクターにクローニングした。
選択プロセス
ライブラリーをファージディスプレイし、ビオチニル化組換えヒトGPA、組換えカニクイザルGPAおよび赤血球から抽出されたヒトGPA(抽出物)に対して3ラウンドの選択を行った。ビオチニル化抗原に結合したScfv-phageをストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズで捕捉した。それぞれがGPAの3つの形態で選択されること、および各ライブラリーが両方の抗原種の組み合わせを見い出し得るようにするために、9つの異なる選択条件を各ライブラリーに対して実行した。各選択ラウンド後、抗原タイプまたは濃度を変更し、ライブラリーと抗原の結合インキュベーション時間を減少させた。第3ラウンドの選択後、ライブラリーアウトプットをGeneWizによるAmpliconEZ NGS解析のために送り、ファージアウトプットをscfv-ファージスポットELISAで並列にスクリーニングした。ELISAでの陽性ヒットを、適切な可変領域のサンガー配列決定法により確認した。
NGS解析
GeneWiz AmpliconEZサービスを用いて、NGSベースのアンプリコン配列決定を行った。アミノ酸固有の配列頻度の解析を行った。各配列の濃縮倍を、各配列の頻度をファージディスプレイまたは選択の前のラウンドで観察された頻度で割ることによって計算した。合計の濃縮倍スコアもまた、全選択ラウンドにわたる配列の濃縮を考慮して計算した。濃縮度の合計は、少なくとも2回の選択ラウンドの濃縮倍を加算して計算した。クローンは通常、第3ラウンドのアウトプット vs 第2ラウンドのアウトプット + 第3ラウンドのアウトプット vs 第1ラウンドのアウトプット + 第3ラウンドの濃縮倍の合計によってランク付けされた。配列は、それらが全クローンのスコアの中央値を超える合計濃縮倍スコアを有する場合、さらなる特性評価のためにヒットとして選択された。例えば、ある比較条件からの上位ヒットのリストの合計濃縮倍の中央値が32であった場合、一般的に合計濃縮倍スコアが32を超えるクローンを組換え発現用に選択した。配列を、潜在的な配列ライアビリィティ(グリコシル化部位、Asn脱アミド化およびAsp異性化)についてさらに評価し、潜在的なライアビリィティを有する配列を除外した。
特徴付けおよびランキング
NGSおよびELISAにより同定されたトップ配列を、HEK細胞において可溶性Fabとしてハイスループット方式で発現させた。上清中のFab濃度をバイオレイヤー干渉法(BLI/Octet(登録商標)分析)で定量し、上清中のクローンをフローサイトメトリーでヒト赤血球への親和性について試験した。上位にランクされたクローンを、CH1樹脂で精製し、フローサイトメトリーでヒト赤血球およびカニクイザル赤血球との結合性を特徴付けた。
ライブラリーパ二ング
図7は、ライブラリーパニングプロトコールの限定されない概略図を示す。所与のCDRライブラリーは、いくつかの態様により、3回(またはそれ以上)の選択ラウンドを受ける。ラウンド1は、3種の濃度の標的抗原で実施される。候補抗体の何らかの標的を用いることができる。限定されない例として、いくつかの態様により、他の標的または種を用いることができるが、標的としてヒトグリコフォリンAまたはカニクイザルグリコフォリンAを用いて選択を実施した。所与のラウンドのアウトプット力価は、後続のラウンドの開始抗原濃度を選択するために用いられる。この試験では、1×10〜1×10CFU/mLの第一ラウンドアウトプット力価を生成する最低抗原濃度の条件が選択された。抗原濃度は、(抗原が変更されない限り)後続の各ラウンドで10分の1に低減させた。さらなる態様において、異なる濃度低減を用いることができ、例えば、2倍、5倍、8倍、12倍、15倍、20倍、50倍などである。抗原を選択的(alternating)にする場合(例えば、ヒトからカニクイザルまたはその逆)、抗原濃度を、ラウンド間で一定に保持した。ビオチン−抗原複合体へのライブラリーの結合インキュベーションは、選択の各連続するラウンド毎に減少したが、ストレプトアビジンビーズの捕捉時間および洗浄は一定に保持した。
結果および考察
上記の通り、ヒトおよびカニクイザルグリコフォリンAの両方に結合する同定された抗体の種々のCDRに基づいて親和性成熟キャンペーンを行った。図4は、3−103と呼ばれるグリコフォリンAの両種に結合することができる候補抗体の模式図である。Fabが生成され、ヒト化し、スクリーニングし、hF−3−103M1を、高度に交差反応性のクローンとして同定した。図4は、3−103M1のVL鎖およびVH鎖の配列アラインメントを示し、親和性成熟の標的とされたいくつかのCDR領域を特定する。
図5は、親和性成熟プロトコールの概略図を示す。Fabのファージライブラリーは、ライブラリーから非特異的結合体を除去するために、ストレプトアビジン(SA)ビーズと共にライブラリーをインキュベートすることにより、最初に枯渇させる。次に、枯渇したライブラリーを、ビオチン−ヒトグリコフォリンAコーティングSAビーズと共にインキュベートする。ファージライブラリーに適用される抗原濃度の連続的低減と同時にインキュベーション時間の低減を介して、グリコフォリンAに対するより高い親和性を有する抗体フラグメントを同定するための選択圧を適用する。これにより、標的に対してより親和性の高いFabを同定することができる。グリコフォリンAビーズに結合したファージは、その後のスクリーニングラウンド用に増幅される。この概略図では、3ラウンドのスクリーニングが実施されるが、いくつかの態様において、より多くのスクリーニングラウンドを実施し得る。3ラウンド後、アウトプット候補Fabを、ELISAベースの方法およびNGSベースの方法の両方で評価する。最後に、ヒットを可溶性Fabとして特徴付ける。図6は、抗体または抗体フラグメントを親和性成熟させるためにいくつかの態様に従って用いられるワークフロー経路の概略図を示す。
材料および方法において上記のように、図7は、高親和性Fabを同定するために用いられる選択スキームの限定されない例を示す。ここに示されているのは、CDRL1Bライブラリーの選択プロセスである。上記のように、ラウンド1は、3種の濃度のヒトグリコフォリンA標的抗原で行った。特定のラウンドのアウトプット力価は、後続のラウンドの開始抗原濃度を選択するために用いられる。このアプローチにより、各ラウンドのアウトプットは、標的に対する親和性が低い抗体または抗体フラグメントを候補集団から選択的に除くべきである。高い親和性を示す候補は、その後、特徴付けられ得る。
図8A〜8Cは、CDRL1B親和性成熟キャンペーンに適用される選択プロセスのアウトプットに関連するデータを示す。図8Aは、重み付きコンセンサス配列の概略図を示す。選択プロセスは、ライブラリーが、野生型(未成熟)配列(TYLH)に類似した配列に収斂することを示した。また、アミノ酸残基2および4は、この選択キャンペーンに基づいて、実質的に−Y−Hとして固定されていることが明らかである。図8Bは、CDR1Bの位置がボックスで識別された抗体の模式的なリボン構造を示す。候補のその後の特徴付けは、ヒットの半数以上が可溶性fAbとして発現しないことを示した。さらに、図8Cの結合アッセイ結果で示されるように、発現したものは、親fAb(一般的に矢印で識別される)よりもヒトまたはカニクイザルRBCのいずれに対しても有意に改善された親和性を有していなかった。親fAbと比べて低下したMFIを生じる多くの曲線があり、これはヒトエリスロサイト(標的グリコフォリンAを発現する)への親和性が低いことを示している。追加のデータは、図7に示された選択スキームのアウトプットパラメータのそれぞれについて、ヒト赤血球に対する配列濃縮倍 vs. 親和性をグラフにした図9A〜9Iに示される。合計濃縮度スコア(Sum Fold Enrichment score)もまた、選択のすべてのラウンドにわたる配列の濃縮度を考慮して計算された。濃縮度の合計は、少なくとも2ラウンドの選択で得られた濃縮倍を加算して計算した。クローンは通常、ラウンド3アウトプット vs ラウンド2アウトプット+ラウンド3アウトプット vs ラウンド1アウトプット+ラウンド3アウトプットの濃縮度の合計によってランク付けされた。配列は、合計濃縮倍スコアが全クローンの中央値スコア以上であれば、さらに特徴付けを行うためにヒットとして選択された。一例として、図9Aは、ラウンド1アウトプットA(hGPA抽出物200pmol)における親和性と比較して、図7のラウンド3アウトプット1(右上のボックス−hGPA抽出物、20fmol)から得られる親和性に関連するデータを示す。同様に、図9Bは、第1ラウンドのアウトプットAと比較した、図7の第3ラウンドのアウトプット2のデータを示している。図8Cに示された結合データと同様に、これらの散布図は、このキャンペーン中に濃縮された配列の大部分が、野生型の親Fab(矢印で示される)と比較して、ヒトエリスロサイトに対して同様の親和性を示すことを示している。これらのデータはさらに、親Fab配列も選択中に濃縮されたことを強く示している。このことは、CDRL1のこのドメインが、抗原への結合をサポートするFabの構造的または他の特性における、その潜在的な役割を維持するために保存される必要があるかもしれないという最初の仮説を補強する。
図10A〜10Dは、図7の選択プロセスを経て実行されたクローンの特徴をまとめたデータを示すが、CDRL1aライブラリーを利用している。図10Aは、多数のCDRL1aクローンが、親Fab(一般的に矢印で示される)と比較して、ヒトエリスロサイトに対する親和性が増強された抗体を生成したことを示す。図10Bは、ライブラリーから選択されたヒットの収斂配列の模式図を示す。図10Cは、ELISAベースの方法(黒丸)、あるいは本明細書に記載の(そして本実施例で用いた)NGSベースの方法によって同定された抗体フラグメントの親和性を比較したデータを示す。これらのデータは、より多くの高親和性抗体がNGSを用いて同定されていることを示す。数値が大きいのは、少なくとも部分的には、NGSベースの方法が提供するスループットが大きいためである。ELISA法を用いた場合には6〜8個であったのに対し、40個近くの配列がスクリーニングされた。さらに、これらの抗体の多くは、低nM親和性範囲にあり、これはELISAで同定されたFabの多くよりも高い親和性であった。図10Dは、図10Cのデータを、ヒトエリスロサイトに対する親和性範囲別に分類したNGSまたはELISA一次スクリーニングから同定されたクローンの割合として示している(特記−全ての親和性範囲におけるFabの種類の合計は100%に等しい)。示されているように、ELISAを用いた場合は約38%であったのに対し、NGSを用いて同定された配列の約10%は、ヒトエリスロサイトに対して<6nMの親和性を有している。しかしながら、6〜10nMまたは>10nMの親和性では、NGS法を用いて同定された配列の割合は、ELISA法を用いて発現された配列の割合よりも大きかった。ELISAスクリーンは、NGSスクリーンよりも同定したクローンが5倍少なかったが、このライブラリーで同定されたクローンのより高い割合は、ヒトエリスロサイトに対する6nM未満のEC50を有する高親和性結合体であった。これらの同じ高親和性クローンがNGSスクリーンによっても同定されたことに留意することが重要である。図11A〜11Fは、CDRL1a候補の濃縮倍に関連するデータを示す。上記の通り、各パネルは、濃縮倍を決定するための選択スキームからの特定のアウトプット比較に関連している。図11Aは、ラウンド3のアウトプット1とラウンド2のアウトプット1との比較に関連するデータを示している。図8のデータとは対照的に、図11A〜11Fのデータは、選択/成熟プロセスの結果として、標的に対する親和性が増強されており、親配列が親和性成熟クローンに凌駕されたことを示している。特に、データポイントの多くは、親Fab(矢印で示されている)と比較して、nM範囲の親和性値(例えば、標的に対するより高い親和性)にシフトしている。従って、NGS法を用いた成熟キャンペーンおよび選択プロセスにより、標的に対する親和性が増強されたFabが同定された。NGSベースの方法のより迅速な性質、および同定されたより高い親和性を有するFabを考慮して、いくつかの態様において、NGSベースの方法の使用は、より低コストで、候補抗体のよりロバストなスクリーニングを提供し得る。
図12A〜12Dは、図7の選択プロセスを経て実行されたクローンの特徴をまとめたデータを示すが、CDRL2ライブラリーを利用している。図12Aは、多数のCDRL2クローンが、親Fab(一般的に矢印で示される)と比較して、ヒトエリスロサイトに対して増強された親和性を有する抗体を生成したことを示す。図12Bは、ライブラリーからの選択されたヒットの収斂配列の模式図を示す。図12Cは、本明細書に記載の(そして本実施例で使用された)NGSベースの方法と比較した、ELISAベースの方法(黒丸)によって同定された抗体フラグメントの親和性のデータを示す。上記のように、これらのデータは、より多くの高親和性抗体がNGSを用いて同定され、NGS法の方がより高いスループットを有し、45個以上の候補クローンが得られることを示している。図12Dは、図12Cのデータをヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類したNGSおよびELISA一次スクリーニングから同定されたクローンの割合として示している。示されているように、ELISAを用いて同定された配列の約25%と比較して、NGSを用いて同定された配列の約40%近くが<6nMの親和性を有した。6〜10nMの親和性を有するものおよび10nMを超える親和性を有するものは、ELISA法とNGS法の間で類似していた。図13A〜13Fは、CDRL2候補の濃縮倍に関するデータを示す。ここでも、多くの候補が顕著な濃縮を示し、野生型(矢印)と比較して高い親和性を示す。
図14A〜14Dは、図7の選択プロセスを経て実行されたクローンの特徴をまとめたデータを示すが、CDRH1ライブラリーを利用している。図14Aは、親Fabと比較して、CDRH1クローンからのヒトエリスロサイトに対する親和性の広い分布を示す。図14Bは、ライブラリーからの選択されたヒットの収斂配列の模式図を示す。図14Cは、ELISAベースの方法(黒丸)と、本明細書に記載の(そして本実施例で使用された)NGSベースの方法(三角形)とによって同定された抗体フラグメントの親和性を比較したデータを示す。上記のように、これらのデータは、より多くの高親和性抗体がNGSを用いて同定され、NGS法はより高いスループットを有し、30個以上の候補クローンが得られることを示している。図14Dは、図14Cのデータをヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類したNGSおよびELISA一次スクリーニングから同定されたクローンの割合として示している。示されているように、NGSを用いて同定された<6nMを有する配列の数は、ELISAを用いて同定された配列の数の約2倍であった。6〜10nMの親和性を有するものおよび10nMを超える親和性を有するものは、発現が2つの方法間で類似していた。図15A〜15Fは、CDRH1候補の濃縮倍に関するデータを示す。ここでも、多くの候補が、野生型(矢印)と比較して高い親和性を示す。これらのデータは、いくつかの態様により、NGSベースの方法が、標的に対して増強された親和性を示す抗体または抗体フラグメントの同定の成功を予測するのに非常に効率的であるという概念を支持する。
図16A〜16Dは、図7の選択プロセスを経て実行されたクローンの特徴をまとめたデータを示すが、CDRH2ライブラリーを利用している。図16Aは、親Fabと比較して、CDRH2クローンからのヒトエリスロサイトに対する親和性の広い分布を示す。図16Bは、ライブラリーからの選択されたヒットの収斂配列の模式図を示す。図16Cは、ELISAベースの方法(黒丸)と、本明細書に記載の(そして本実施例で使用された)NGSベースの方法(三角形)とによって同定された抗体フラグメントの親和性を、マニュアル変異設計された配列(四角)と比較したデータを示す。上記のように、これらのデータは、より多くの高親和性抗体がNGSを用いて同定され、NGS法がELISA法またはマニュアル法と比較してより大きなスループットを有することを示している。図16Dは、図16Cのデータをヒトエリスロサイトに対する親和性によって分類したNGSおよびELISA一次スクリーニングから同定されたクローンの割合として示している。示されているように、NGSを用いて同定された<6nMの親和性を有する配列の数は、ELISAを用いて同定された配列よりも多く、マニュアル変異よりも2倍以上多かった。6〜10nMの親和性を有するものおよび10nMを超える親和性を有するものは、発現がNGS法とELISA法との間で類似していた。ヒトエリスロサイトに対する<6nMのEC50を有する高親和性クローンの割合には多少のばらつきがあったが、2つのスクリーニングフォーマット間でのクローンの減少には実質的な差はなく、これはこの実験で分析したすべてのライブラリーアウトプットについて当てはまった。最も低い親和性範囲では、マニュアル手段が、ELISA法およびNGS法の両方を上回った。しかしながら、他のCDRライブラリーで見られるように、スループットが高く、高親和性クローンの同定率が高いほど、NGSが非常に効率的な方法であることを示している。図17A〜17Iは、CDRH2候補の濃縮倍に関連するデータを示す。H1ライブラリーと同様に、候補の多くは、野生型Fab(矢印)と比較して増強された親和性を示す。これらのデータは、いくつかの態様により、NGSベースの方法が、標的に対して増強された親和性を示す抗体または抗体フラグメントの同定の成功を予測するのに非常に効率的であるという概念を支持する。
図18A〜18Bは、ヒト(18A)およびカニクイザル(18B)エリスロサイトの両方に結合するための増強された標的親和性を有する選択されたクローンの能力に関するデータを示す。明らかな通り、多数のクローンが、両種のエリスロサイトへの結合を示し、クローンの大部分は、野生型の親Fabと比較して、標的に対する増強された親和性を示す。
図19は、本実施例で試験した各ライブラリーの効率の比較を示す。全体で合計305のヒットを特徴付け、計136ヒットがエリスロサイト結合に対する増強された効力を示し、L2ライブラリーでは、52ヒットが改善された親和性を示し、0.38の頻度を示した。したがって、L2は、ヒトおよびカニクイザルエリスロサイトに対する最高の親和性成熟ヒットを産生することに最も成功したライブラリーであった。
図20は、カニクイザルおよびヒトエリスロサイトの両方についてFACSによって測定された親和性に関連するデータをまとめたものである。親和性成熟キャンペーンの目標は、ヒトエリスロサイトに対する一桁のnM親和性(1〜9nM)を有することであった。右端の列に示すように、少なくとも10個の同定されたクローンに対して、一桁のnMの親和性(2.5〜4.4nM)が達成された。右から2番目の列も、カニクイザルエリスロサイトに対する増強された親和性を示す。
図21A〜21Fは、ELISA 対 NGSによって評価された配列の親和性(および量)に関連するまとめデータを示す。上記のデータをまとめると、図21A、21Cおよび21Eは、NGSによるスクリーニングの1つの利点が、広範囲の親和性をカバーするクローンのより広いパネルをスクリーニングできることであることを示している。有利には、成熟キャンペーンに費やされるコストと時間を削減することができる。また、最も高い親和性を示すクローンは、ELISAとNGSの両方でスクリーニングされており、2つの方法による品質管理を行うことができる。さらに、同定された高親和性クローンの割合には多少のばらつきがあるが(例えば、ヒトエリスロサイトに対する親和性が6nM未満)、2つのスクリーニング形式間で候補の減少に有意な差はない。したがって、本実施例は、NGSベースの方法を用いて、親和性成熟候補をスクリーニングすることの特定の利点を示している。
実施例3A:次世代シークエンシングベースの親和性成熟に関するさらなるデータ
上記実施例3をさらに改良して、赤血球膜タンパク質であるグリコフォリンAに特異的なフラグメント抗体(fAb)を同定するための試験を行った。Fab構築物は、ヒトおよびカニクイザル(cyno)エリスロサイト(それぞれ、hRBCまたはcRBCと称される)に対してそれぞれ6倍および16倍の親和性成熟であった。血液型群抗原に関係なく、エリスロサイトに交差反応性の高親和性結合が達成された。親和性成熟ヒットを同定するために、次世代シークエンシング(NGS)をベースとした一次スクリーニングを開発した。NGS法は従来のELISA法よりも効率的にヒットを同定できるだけでなく、より少ない労力およびコストで効率的にヒットを同定できることが証明された。ELISA法とNGS法の概要を以下の表6に示す。
Figure 2021522812
方法
実施例3に上記の通り、コンビナトリアルscFv−ファージライブラリーを、各CDRを個別に無作為化するように設計した。候補抗体の選択を、交差反応性を維持するために、ヒトおよびカニクイザル標的抗原の両方を用いて行った。さらに、翻訳後修飾に関係なく、結合するクローンの選択を確実にするために、複数の抗原フォーマットを用いた。結合候補の同定には、NGSおよびELISAの両方の一次スクリーニングを用いた。得られたクローンは、最初にヒトエリスロサイトに対する親和性で順位付けされ、次にカニクイザルエリスロサイトに対する親和性で順位付けされた。最後に、両種からの標的タンパク質への結合速度を、Octetのバイオレイヤー干渉法により測定した。選択方法を図5にまとめた。
結果
図22は、親和性および寛容性応答との間の相関関係に関連するデータを示す。上記のように、抗原、そのフラグメントまたはそれらのミモトープは、本明細書に記載のように結合部位に付着させることができる。抗原は、それぞれがグリコフォリンAに対して異なる親和性を有する2つの異なるFabのうちの1つに融合された。Fab 2.0は、Fab 1.0の親和性と比較して、標的に対して約200倍高い親和性を有する。疾患の重篤度は、抗原−Fab融合体の投与後の動物においてスコア化され、抗原特異的免疫応答の指標として用いた。図に示すように、エリスロサイトに対する親和性が200倍高いFab−2.0は、疾患重篤度の有意かつ持続的な低下を誘導した。対照的に、より低い親和性のFab(Fab 1.0)は、疾患重篤度をわずかに低下させるだけであった。したがって、いくつかの態様により、高親和性候補結合体をスクリーニングして同定する方法は、改善された抗原特異的免疫寛容をもたらすそれらの結合体と相関している。
図23A〜23Cは、濃縮することができ、また親和性の改善に相関する配列のタイプに関連する。図23Aは、ライブラリー1およびライブラリー4からの配列濃縮倍に対する試験したクローンの親和性のプロットを示す。ライブラリー1は、主に親(WTまたは野生型)および野生型様配列に対して濃縮された。図23Bは、ライブラリー1からのクローンのヒトエリスロサイトへの結合を示しており、フローサイトメトリーによって測定されたFab結合シグナルの蛍光強度として図示される。示されているように、このクローン集団の選択は、ヒトエリスロサイトに対する親和性の改善には至らなかった(クローンの結合親和性のプロットは、野生型曲線と比較して右シフトされる)。対照的に、ライブラリー4での選択は成功し、図23Cに示すように、クローンのフローサイトメトリー親和性曲線が野生型曲線と比較して左にシフトしており、ヒトエリスロサイトに対する親和性が高いことを示している。このライブラリーは、野生型の親配列と比較して、ヒトエリスロサイトに対する親和性が約6倍高いクローンを産生した。
上記のように、ヒトおよびカニクイザルの両種に対する交差反応性を有するクローンを選択するために、ヒト抗原およびカニクイザル抗原を用いてスクリーニングを行った。図24は、hRBCに対して親和性の改善を示したクローンは、cyno(cRBC)に対しても親和性の改善を示したことを示すデータを示す。フローサイトメトリーは、結合を評価するために用いられ、上位のクローンは、野生型と比較してcRBCに対して約16倍高い親和性を示した。有利には、いくつかの態様において、そのようなクローンは、前臨床(例えば、霊長動物研究)およびヒト臨床治験作業に用いることができる。
改善された親和性の根底にあるメカニズムをさらに解明するために、Octet バイオレイヤー干渉法を用いて、結合動態を評価した。Fab結合動態のセンソグラムを図25A−25Bに示す。図25Aは野生型の動態データを示し、図25Bは選択されたより高い親和性のクローンのデータを示す。矢印で示されるように、オフレートは、試験した2つのクローン間で異なり、25Bのより高い親和性クローンのオフレートは、野生型よりも約4倍遅い。いくつかの態様において、増強された親和性はまた、結合定数(例えば、結合体がその標的にどれだけ迅速に結合するかを示す“オンレート”)のような別の動態特性に関連し得る。
実施例3で上記のように、NGS一次スクリーニングは、有利には、クローンのより高いサンプリング率およびより広い範囲の親和性を提供する。上記の実施例3からのデータはその内訳と共に図26に示され、用いたスクリーニング方法に基づいて上位パフォーマンスのクローンが、標的親和性目標を満たしたクローンおよび親和性目標を満たさなかったクローンに内訳されている。図26に示すように、そして実施例3で上記のように、ELISAおよびNGSの両スクリーニングは、高親和性結合体を同定することができた。さらに、いくつかの態様により、ELISAによって見出された上位ヒットのすべて、または実質的にすべてが、NGSによっても同定され得る。有利には、NGSによるアプローチは、成熟キャンペーンに費やされるコストおよび時間を削減することができる。また、最高の親和性を示すクローンは、ELISAおよびNGSスクリーニングの両方で同定されたため、2つの方法による品質管理を実施することができる。従って、実施例3および3Aは、親和性成熟候補をNGSベースの方法を用いてスクリーニングすることの特定の利点を示す限定されない例である。
さらなる限定されない態様を以下に記載する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質が提供され、該タンパク質は以下を含む:RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖相補性決定領域(CDR)1およびXTSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2(式中、X、X、X、XおよびXはそれぞれ、天然アミノ酸であり;XがYであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはKではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがNであるとき、XはYではなく;XがKであり、XがYであり、XがYであり、かつXがYであるとき、XはNではない)。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、Xは、HおよびYから選択され、Xは、H、RおよびKから選択され、そしてXは、天然アミノ酸である)(配列番号52)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、WおよびYから選択される)(配列番号53)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHまたはRであり、そしてXは、天然アミノ酸である)(配列番号54)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、Xは、F、WおよびYから選択される)(配列番号55)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは、天然アミノ酸である)(配列番号56)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)(配列番号57)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは天然アミノ酸である)(配列番号56)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)(配列番号57)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXはVまたはDである)(配列番号58)を含む。
いくつかの態様において、RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖CDR1およびXTSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2(式中、X、X、X、XおよびXはそれぞれ、天然アミノ酸である)を含む、抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、Xは、HおよびYから選択され、Xは、H、RおよびKから選択され、そしてXは天然アミノ酸である)(配列番号52)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、WおよびYから選択される)(配列番号53)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHまたはRであり、Xは天然アミノ酸である)(配列番号54)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、Xは、F、WおよびYから選択される)(配列番号55)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは天然アミノ酸である)(配列番号56)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)(配列番号57)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは天然アミノ酸である)(配列番号56)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)(配列番号57)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXはVまたはDである)(配列番号58)を含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、QQFTSSPYT(配列番号45)を含む軽鎖CDR3をさらに含む。
いくつかの態様において、RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖CDR1または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;およびXTSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、X、X、X、XおよびXはそれぞれ、天然アミノ酸である)を含む、抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(配列番号51)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、W、YおよびQから選択される)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(配列番号52)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、HおよびYから選択され、Xは、H、RおよびKから選択され、そしてXは天然アミノ酸である)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(配列番号53)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、F、WおよびYから選択され、Xは、F、WおよびYから選択される)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(配列番号54)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、XはHであり、XはHまたはRであり、Xは天然アミノ酸である)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(配列番号55)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、FまたはYであり、Xは、F、WおよびYから選択される)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(配列番号56)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは天然アミノ酸である)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(配列番号57)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(配列番号56)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXは天然アミノ酸である)を含む。
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、RASSNVXMY(配列番号57)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、Xは、FまたはYであり、XはFである)を含み;軽鎖CDR2は、XTSXLAS(配列番号58)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体(式中、XはHであり、XはHであり、そしてXはVまたはDである)を含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、QQFTSSPYT(配列番号45)を含む軽鎖CDR3または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体も含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、GYTFNSYFMH(配列番号46)を含む重鎖CDR1;GMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)を含む重鎖CDR2;および、WEGSYYALDY(配列番号48)を含む重鎖CDR3も含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、GYTFNSYFMH(配列番号46)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR1;GMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)を含む重鎖CDR2または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR2;および、WEGSYYALDY(配列番号48)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR3も含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、配列番号3と少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメインも含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、配列番号3と少なくとも約95%同一である重鎖可変ドメインも含む。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、配列番号3と少なくとも約99%同一である重鎖可変ドメインも含む。
いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約90%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約95%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約95%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号3と少なくとも約99%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号1と少なくとも約99%同一である軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号4−42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号5、9、11、12、14、18、19、20、21、22、24、27、28、31、38および42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、配列番号21のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、配列番号42のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はヒト化されている。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質はまた、(a)配列番号131−140から選択される第1のヒト軽鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号141−148から選択される軽鎖フレームワーク領域のヒトFR2、配列番号149−156から選択される軽鎖のヒトFR3、および配列番号157−162から選択される軽鎖のヒトFR4;ならびに(b)配列番号109−115から選択される第1のヒト重鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号116−119から選択される重鎖のヒトFR2、配列番号120−127から選択される重鎖のヒトFR3、および配列番号128−130から選択される重鎖のヒトFR4を含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト定常領域を含む。いくつかの態様において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4からなる群より選択される。いくつかの態様において、定常領域はIgG1である。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、完全長抗体である。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、抗体の抗原結合フラグメントである。
ある態様において、抗体または抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、一本鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合したFv、V NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgG−CH2、ミニボディ、F(ab’)3、四量体、三量体、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体、DVD−Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2またはscFv−Fcを含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、グリコフォリンA(GPA)に特異的に結合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPA、カニクイザルGPA、ブタGPA、ウシGPA、マウスGPAまたはラットGPAの1以上のに結合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPAに特異的に結合する。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、約1.0から約100nMのKでヒトGPAに結合する。いくつかの態様において、Kは、約1.0nMまたはそれ以上(例えば、それ以下)である。いくつかの態様において、結合親和性は、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイにより測定される。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、親和性成熟されている。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、10F7の親和性成熟変異体である。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、JC159、SPM599、EPR8200、GYPA/1725R、ab112201、ab114330、ab219896、BRIC256またはそれらのフラグメントもしくは誘導体との結合についてGPAと競合する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒトGPAへの、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、SPM599、GYPA/1725R、ab112201、BRIC256またはそれらのフラグメントもしくは誘導体の結合を少なくとも約50%阻害する。
いくつかの態様において、ヒトグリコフォリンA(GPA)に特異的に結合し、配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、76、78、80、81、83、85、87、88、90、91、93、95、96、98、99、101、102、104、105、107および108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、82、84、86、89、92、94、97、100、103および106のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2を含む抗原結合タンパク質を提供し、ここで、抗原結合タンパク質は、親和性成熟であり、ヒト化されている。
いくつかの態様において、ヒトグリコフォリンA(GPA)に特異的に結合し、(a)配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、76、78、80、81、83、85、87、88、90、91、93、95、96、98、99、101、102、104、105、107および108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;(b)配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、82、84、86、89、92、94、97、100、103および106のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;(c)QQFTSSPYT(配列番号45)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む軽鎖CDR3;(d)GYTFNSYFMH(配列番号46)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR1;(e)GMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR2;(f)WEGSYYALDY(配列番号48)または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体を含む重鎖CDR3;(g)配列番号131−140から選択される第1のヒト軽鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号141−148から選択される軽鎖フレームワーク領域のヒトFR2、配列番号149−156から選択される軽鎖のヒトFR3、および配列番号157−162から選択される軽鎖のヒトFR4;(h)配列番号109−115から選択される第1のヒト重鎖フレームワーク領域(FR1)、配列番号116−119から選択される重鎖のヒトFR2、配列番号120−127から選択される重鎖のヒトFR3、および配列番号128−130から選択される重鎖のヒトFR4;(i)ヒト重鎖定常領域;および、(j)ヒト軽鎖定常領域を含む抗原結合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
いくつかの態様において、配列番号1−42からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、配列番号1−42からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。。いくつかの態様において、配列番号1−42からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。。いくつかの態様において、かかるポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。いくつかの態様において、ベクターを含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様において、細胞株は、CHO、k1SV、XCeed、CHOK1SVおよびGS−KOからなる群より選択される。
いくつかの態様において、GPAに特異的に結合する抗原結合タンパク質を製造する方法であって、抗原結合タンパク質が産生される条件下で細胞株を培養し;そして、抗原結合タンパク質を回収することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、1以上の軽鎖および1以上の重鎖を含み、ここで、該重鎖および軽鎖は別個のベクターにコードされている。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、1以上の軽鎖および1以上の重鎖を含み、ここで、該重鎖および軽鎖は、同じベクターにコードされている。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの態様において、免疫寛容を誘導し、抗原結合タンパク質および少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含む、組成物を提供する。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、MPBのフラグメント(複数可)、MOGのフラグメント(複数可)およびPLPのフラグメント(複数可)の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、多発性硬化症の処置に用いるためのものである。いくつかの態様において、かかる組成物を対象に投与することを含む多発性硬化症の処置方法が提供される。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号204−214を含む。いくつかの態様において、組成物は、1型糖尿病の処置に用いるためのものである。いくつかの態様において、かかる組成物を対象に投与することを含む1型糖尿病の処置方法が提供される。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号182−185および215を含む。いくつかの態様において、組成物は、セリアック病の処置に用いるためのものである。いくつかの態様において、かかる組成物を対象に投与することを含むセリアック病の処置方法が提供される。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、MHCクラスIタンパク質、MHCクラスIIタンパク質、マイナーな血液型抗原、RhCE、Kell、Kidd、DuffyおよびSsの少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、移植拒絶の予防または処置に用いるためのものである。いくつかの態様において、かかる組成物を対象に投与することを含む移植拒絶の処置方法が提供される。
いくつかの態様において、本発明の組成物の使用は、抗原結合タンパク質に結合される目的の抗原に対して免疫寛容を誘導するのに用いるためである。
いくつかの態様において、RATYIL、RNIYIL、KYTYIL、VHTYIL、RNVFIL、RNIYLL、RKTYIL、LNVYIL、KATYIL、RMTYIL、KTVYIL、KHVYIL、RNITMIL、KDTYIL、INSYIL、QHTYILおよびRHSYILから選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR H1)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、該タンパク質は、アミノ酸配列の対応する位置にKDTYMLの配列を含む親配列から成熟する。いくつかの態様において、CDR H1は、配列番号217−233または269−285から選択される1つの配列を含む。
いくつかの態様において、FRNNK、FRNSK、FKNGK、FRNAK、FRTGK、FKNDKおよびYKNGKから選択されるアミノ酸配列を含む第1の軽鎖相補性決定領域1(CDRL1a)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、該タンパク質は、アミノ酸配列の対応する位置にYSNGKTの配列を含む親配列から成熟する。いくつかの態様において、CDRL1aは、配列番号235−241または287−293から選択される1つの配列を含む。
いくつかの態様において、LSRTS、NTRTS、NTRPS、LNRLH、NTRLA、NSRLS、LSRVS、LNRVS、LNRLS、NSRLH、SSRLS、SSRVS、SNRLH、NTRVS、SNRVS、HSRLS、SSRLA、FNRVN、LNRMS、LNRISおよびLSHPHから選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(CDRL2)を含む抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、該タンパク質は、アミノ酸配列の対応する位置にVSKLDの配列を含む親配列から成熟する。いくつかの態様において、CDRL2は、配列番号243−263または295−315から選択される1つの配列を含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト標的抗原およびカニクイザル標的抗原に結合する。いくつかの態様において、ヒト標的抗原およびカニクイザル標的抗原は、グリコフォリンAである。いくつかの態様において、抗原結合タンパク質は、耐性が望まれる抗原に対して融合される。
いくつかの態様において、免疫寛容を誘導し、本発明の抗原結合タンパク質を含み、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントをさらに含む、組成物を提供する。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、MPBのフラグメント(複数可)、MOGのフラグメント(複数可)およびPLPのフラグメント(複数可)の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169−175および186−202を少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、多発性硬化症の処置に用いるためのものである。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含む、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは配列番号204−214を含む。いくつかの態様において、組成物は、1型糖尿病の処置に用いるためのものである。
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原は、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の少なくとも1つを含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントは、配列番号182−185および215を含む。いくつかの態様において、組成物は、セリアック病の処置に用いるためのものである。
いくつかの態様において、目的の抗原に対して免疫寛容を誘導し、該目的の抗原が抗原結合タンパク質に融合している、本発明の組成物を提供する。
いくつかの態様において、抗体または抗体フラグメントを標的に対して増強された親和性を有するように親和性成熟させる方法であって、非特異的結合体のファージライブラリーを枯渇させること、ここで該ファージライブラリーは複数のファージを含み、各ファージは候補の親和性成熟抗体または抗体フラグメントを発現しており;枯渇したライブラリーを標的抗原に曝露すること;洗浄により標的抗原に結合していないファージを除去すること;標的抗原に結合しているファージを増幅すること;曝露、除去および増幅ステップを複数回繰り返して、高親和性候補抗体または抗体断片を発現するファージによる標的抗原の結合をもたらす選択圧を誘導すること;および、次世代シークエンシングを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること、を含む方法を提供する。
いくつかの態様において、該方法は、ELISAを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること、および可溶性形態で発現される高親和性候補抗体または抗体フラグメントの能力を評価することのうち1以上をさらに含んでいてもよい。
上記は、明確さと理解を目的として説明および実施例によりいくらか詳細に記載されているが、本発明の精神から逸脱することなく改変が可能であることは、当技術分野の当業者により理解され得る。したがって、本明細書に記載される形態は、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、むしろ、本発明の態様の真の範囲および精神に伴うすべての改変および代替案も網羅することを明確に理解され得る。
上記の態様の特定の特徴および局面の様々な組合せまたは下位組合せが行われ、本発明の1以上の範囲内に収まることが企図される。さらに、ある態様に関連した任意の特定の特徴、局面、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書の記載は、本明細書に記載の他のすべての態様において用いられ得る。したがって、記載された態様の様々な特徴および局面は、記載された発明の様々な形式を形成するために、互いに組み合わせたり、置き換えたりできることが理解されるべきである。したがって、本明細書に記載の本発明の範囲は、上記の特定の記載された態様によって限定されるべきではないことが意図される。さらに、本発明は、様々な改変および代替形態の影響を受けやすいが、その特定の例が図面に示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、記載された特定の形態または方法に限定されるべきではなく、逆に、本発明は、記載された様々な態様および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に該当する全ての改変、等価物および代替物を網羅するものであることが理解されるべきである。本明細書に記載されるいかなる方法も、記載順で実行される必要はない。本明細書に記載の方法は、当業者によって実行される特定の動作を含むが、明示的にまたは暗示的に、それらの動作に関する何らかの第三者の指示を含めることもできる。例えば、“抗原結合タンパク質を投与する”などの行為は、“抗原結合タンパク質の投与を指示する”ことを含む。さらに、本明細書の特徴または局面がマーカッシュ群の観点で記載されている場合、当業者は、本記載が、それによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはサブグループのメンバーの観点で記載されていることも認識し得る。
本明細書に記載の範囲はまた、任意のおよびすべての重複、下位範囲およびそれらの組合せを包含する。語句“〜まで”、“少なくとも”、“より大きい”、“より小さい”、“間”などは、列挙された数値を含む。用語“約”または“およそ”などが先行する数字には、記載された数字が含まれる。例えば、“約90%”には“90%”が含まれる。ある態様において、少なくとも95%の相同性は、対照配列に対して96%、97%、98%、99%および100%の相同性を含む。さらに、配列がヌクレオチド配列またはアミノ酸配列 “を含む”と記載されるとき、そのような言及は、特記しない限り、その配列が記載された配列“を含む”、“からなる”または“から本質的になる”ことも含む。
本出願において用いられる用語および語句、およびその変形、とりわけ特許請求の範囲で用いられる用語および語句は、特記しない限り、限定的なものではなく、制限のないものとして解釈されるべきである。上記の例として、用語“含む”は、“限定することなく、〜を含む”、“〜を含むが、これに限定されない”などを意味するように解釈されるべきである。
不定冠詞“1つの(aまたはan)”は、複数を除外するものではない。例えば、分子量の値および範囲を定義するために本明細書で用いられる用語“約”は、示された値および/または範囲の限界が、例えば、±20%以内、例えば、±10%以内で変動し得ることを意味する。数値の前に“約”を用いると、その数値自体を含む。例えば、“約5”は、“5”を明示的に支持する。範囲で提供される数値は、重複する範囲およびその間の整数を含む;例えば、1〜4と5〜7の範囲は、例えば、1〜7、1〜6、1〜5、2〜5、2〜7、4〜7、1、2、3、4、5、6および7を含む。

Claims (58)

  1. グリコフォリンAに結合するための抗原結合タンパク質であって、
    少なくとも第1の軽鎖相補的決定領域(LC CDR1)および第2の軽鎖CDR(LC CDR2)を含む可変軽鎖ドメイン;および
    少なくとも第1の重鎖相補的決定領域(HC CDR1)および第2の重鎖CDR(HC CDR2)を含む可変重鎖ドメインを含み、
    ここで、該抗原結合タンパク質が一本鎖フラグメント可変(scFv)であり、ヒトグリコフォリンAおよびカニクイザルグリコフォリンAの少なくとも1つに結合することができ、
    該抗原結合タンパク質が、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイによって測定される約1nMから約100nMの解離定数(Kd)でヒトグリコフォリンAに結合し、そして
    該抗原結合タンパク質が、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイによって測定される抗原結合タンパク質よりも大きなKdを有する抗原結合タンパク質をコードする親アミノ酸配列から親和性成熟している、
    抗原結合タンパク質。
  2. 抗原結合タンパク質が、抗体結合フラグメント体(Fab)を含み、ここで、FabがヒトグリコフォリンAおよびカニクイザルグリコフォリンAの両方に結合し、Fabが約10μMから0.1nMの間の解離定数でヒトグリコフォリンAに結合する、請求項1記載の抗原結合タンパク質。
  3. LC CDR2が、LNRLH(配列番号298)、LSRTS(配列番号295)、NTRTS(配列番号296)、NTRPS(配列番号297)、NTRLA(配列番号299)、NSRLS(配列番号300)、LSRVS(配列番号301)、LNRVS(配列番号302)、LNRLS(配列番号303)、NSRLH(配列番号304)、SSRLS(配列番号305)、SSRVS(配列番号306)、SNRLH(配列番号307)、NTRVS(配列番号308)、SNRVS(配列番号309)、HSRLS(配列番号310)、SSRLA(配列番号311)、FNRVN(配列番号312)、LNRMS(配列番号313)、LNRIS(配列番号314)およびLSHPH(配列番号315)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗原結合タンパク質。
  4. CDRL2が、配列番号246、243、244、245および247−263のうち何れか1つから選択される配列を含む、請求項3記載の抗原結合タンパク質。
  5. 該タンパク質が、可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列中の対応する位置にあるVSKLDの配列を含む親配列から成熟している、請求項3記載の抗原結合タンパク質。
  6. HC CDR1が、RMTYIL(配列番号278)、RATYIL(配列番号269)、RNIYIL(配列番号270)、KYTYIL(配列番号271)、VHTYIL(配列番号272)、RNVFIL(配列番号273)、RNIYLL(配列番号274)、RKTYIL(配列番号275)、LNVYIL(配列番号276)、KATYIL(配列番号277)、KTVYIL(配列番号279)、KHVYIL(配列番号280)、RNITMIL(配列番号281)、KDTYIL(配列番号282)、INSYIL(配列番号283)、QHTYIL(配列番号284)およびRHSYIL(配列番号285)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗原結合タンパク質。
  7. 該タンパク質が、アミノ酸配列中の対応する位置にあるKDTYMLの配列を含む親配列から成熟している、請求項6記載の抗原結合タンパク質。
  8. CDR H1が、配列番号227、217−226および228−233の何れか1つから選択される配列を含む、請求項6記載の抗原結合タンパク質。
  9. 第1の軽鎖相補的決定領域1(CDRL1)が、FRNNK(配列番号287)、FRNSK(配列番号288)、FKNGK(配列番号289)、FRNAK(配列番号290)、FRTGK(配列番号291)、FKNDK(配列番号292)およびYKNGK(配列番号293)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗原結合タンパク質。
  10. CDRL1が、配列番号235−241のいずれか1つから選択される配列を含む、請求項9記載の抗原結合タンパク質。
  11. タンパク質が、アミノ酸配列中の対応する位置にあるYSNGKTの配列を含む親配列から成熟している、請求項9記載の抗原結合タンパク質。
  12. 抗原結合タンパク質が、10F7、Ter119、CLB−ery−1(AME−1)、EPR8200、YTH89.1、EPR8199、JC159、GYPA/280、ab40844、HI264、GPHN02、JC159、SPM599、EPR8200、GYPA/1725R、ab112201、ab114330、ab219896、BRIC256またはそれらのフラグメントもしくは誘導体の1つまたはそれ以上とグリコフォリンAへの結合について競合する、請求項1記載の抗原結合タンパク質。
  13. 抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが多発性硬化症に関連している、請求項1から12のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  14. 抗原結合タンパク質が少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)の免疫原性フラグメント、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の免疫原性フラグメントおよび/またはミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)の免疫原性フラグメントを含む、請求項13記載の抗原タンパク質。
  15. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む、請求項14記載の抗原タンパク質。
  16. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む、請求項14記載の抗原結合タンパク質。
  17. 多発性硬化症の処置に用いるための、請求項13から16のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質の使用。
  18. 抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、1型糖尿病に関連している、請求項1から12のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  19. 抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、プロインスリン、インスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12(SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の1以上の免疫原性フラグメントを含む、請求項17記載の抗原結合タンパク質。
  20. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号204−214の少なくとも1つを含む、請求項18記載の抗原結合タンパク質。
  21. 1型糖尿病の処置に用いるための、請求項18から20のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質の使用。
  22. 抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントがセリアック病に関連している、請求項1から12のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  23. 抗原結合タンパク質が、少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントに融合され、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、グルテン、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の1以上の免疫原性フラグメントを含む、請求項22記載の抗原結合タンパク質。
  24. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号182−185および215の少なくとも1つを含む、請求項23記載の抗原結合タンパク質。
  25. セリアック病の処置における使用のための、請求項22から24のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  26. 請求項13から16のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質を含む組成物を対象に投与することを含む、多発性硬化症の処置方法。
  27. 請求項18から20のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質を含む組成物を対象に投与することを含む、1型糖尿病の処置方法。
  28. 請求項22から24のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質を含む組成物を対象に投与することを含む、セリアック病の処置方法。
  29. 請求項1記載の抗体結合タンパク質を親和性成熟させるための方法であって、
    非特異的結合体のファージライブラリーを枯渇させること、ここで、該ファージライブラリーは複数のファージを含み、各ファージは候補親和性成熟抗体または抗体フラグメントを発現するものであり;
    枯渇させたライブラリーを標的抗原に暴露すること;
    洗浄により標的抗原に結合しないファージを除去すること;
    標的抗原に結合しているファージを増幅すること;
    曝露、除去および増幅工程を複数回繰り返して、高親和性候補抗体または抗体フラグメントを発現するファージによる標的抗原の結合をもたらす選択圧を誘導すること;および
    次世代シークエンシングを用いて、高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること
    を含む、方法。
  30. ELISAを用いて高親和性候補抗体または抗体フラグメントをスクリーニングすること、および可溶性形態で発現される高親和性候補抗体または抗体フラグメントの能力を評価することの1以上をさらに含んでいる、請求項28記載の方法。
  31. グリコフォリンAに結合するための抗原結合タンパク質であって、
    少なくとも第1の軽鎖相補性決定領域(LC CDR)1および第2の軽鎖CDR(LC CDR2)を含む第1の可変ドメイン;および
    少なくとも第2の重鎖相補性決定領域(HC CDR)1および第2の重鎖CDR(HC CDR2)を含む第2の可変ドメインを含み、
    ここで、該抗原結合タンパク質が、一本鎖フラグメント可変(scFv)であり、ヒトグリコフォリンAおよびカニクイザルグリコフォリンAの両方に結合することができ、
    該抗体結合フラグメント(Fab)が、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイにより測定される約20nM未満の解離定数(Kd)でヒトグリコフォリンAに結合し、そして
    該抗体結合フラグメント(Fab)が、フローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法または放射免疫アッセイにより測定される該抗体結合フラグメント(Fab)よりも大きなKdを有する親配列から親和性成熟している、
    抗原結合タンパク質。
  32. 配列番号243−264の1以上と少なくとも約95%同一性である軽鎖可変ドメインを含む、抗原結合タンパク質。
  33. 配列番号235−242の1以上と少なくとも約95%同一性である軽鎖可変ドメインを含む、抗原結合タンパク質。
  34. RASSNVXMY(配列番号49)を含む軽鎖相補性決定領域(CDR)1;および
    TSXLAS(配列番号50)を含む軽鎖CDR2を含み、
    ここで、X、X、X、XおよびXは、それぞれ天然アミノ酸であり;
    がYであり、XがYであり、XがYであり、そしてXがNであるとき、XがKではなく;
    がKであり、XがYであり、XがYであり、そしてXがNであるとき、XがYではなく;
    がKであり、XがYであり、XがYであり、そしてXがNであるとき、XがYではなく;
    がKであり、XがYであり、XがYであり、そしてXがNであるとき、XがYではなく;かつ
    がKであり、XがYであり、XがYであり、そしてXがYであるとき、XがNではない、
    抗原結合タンパク質。
  35. 軽鎖CDR1が、
    RASSNVXMY(式中、XがF、WおよびYから選択され、XがF、W、YおよびQから選択される)(配列番号51)、
    RASSNVXMY(式中、XがF、WおよびYから選択され、XがF、WおよびYから選択される)(配列番号53)、
    RASSNVXMY(式中、XがFまたはYであり、XがF、WおよびYから選択される)(配列番号55)、および
    RASSNVXMY(式中、XがFまたはYであり、XがFである)(配列番号57)からなる群より選択される配列を含み、
    軽鎖CDR2が、
    TSXLAS(式中、XがHおよびYから選択され、XがH、RおよびKから選択され、そしてXが天然アミノ酸である)(配列番号52)、
    TSXLAS(式中、XがHであり、XがHまたはRであり、そしてXが天然アミノ酸である)(配列番号54)、
    TSXLAS(式中、XがHであり、XがHであり、そしてXが天然アミノ酸である)(配列番号56)、および
    TSXLAS(式中、XがHであり、XがHであり、そしてXがVまたはDである)(配列番号58)からなる群より選択される配列を含む、
    請求項34記載の抗原結合タンパク質。
  36. QQFTSSPYT(配列番号45)を含む軽鎖CDR3をさらに含む、請求項15記載の抗原結合タンパク質。
  37. GYTFNSYFMH(配列番号46)を含む重鎖CDR1または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;
    GMIRPNGGTTDYNEKFKN(配列番号47)を含む重鎖CDR2または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;ならびに
    WEGSYYALDY(配列番号48)を含む重鎖CDR3または1、2、3もしくは4個の保存的アミノ酸置換を含むその変異体
    をさらに含む、請求項34から36のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  38. 配列番号3と少なくとも約90%同一性である重鎖可変ドメインをさらに含む、請求項34から37のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  39. 配列番号3と少なくとも約95%同一性である重鎖可変ドメインをさらに含む、請求項34から37のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  40. 配列番号3と少なくとも約99%同一性である重鎖可変ドメインをさらに含む、請求項34から37のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質。
  41. 配列番号3と少なくとも約90%同一性である重鎖可変ドメイン、および
    配列番号1と少なくとも約90%同一性である軽鎖可変ドメイン
    を含む、抗原結合タンパク質。
  42. 配列番号3と少なくとも約95%同一性である重鎖可変ドメイン、および
    配列番号1と少なくとも約95%同一性である軽鎖可変ドメイン
    を含む、抗原結合タンパク質。
  43. 配列番号3と少なくとも約99%同一性である重鎖可変ドメイン、および
    配列番号1と少なくとも約99%同一性である軽鎖可変ドメイン
    を含む、抗原結合タンパク質。
  44. 配列番号4−42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、抗原結合タンパク質。
  45. 配列番号5、9、11、12、14、18、19、20、21、22、24、27、28、31、38および42からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、抗原結合タンパク質。
  46. 配列番号21のアミノ酸配列を含む、抗原結合タンパク質。
  47. 配列番号42のアミノ酸配列を含む、抗原結合タンパク質。
  48. 少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原または少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントをさらに含む、請求項34から47のいずれか一項記載の抗原結合タンパク質を含む、免疫寛容を誘導するための組成物。
  49. 少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原が、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、MPBの1または複数のフラグメント、MOGの1以上のフラグメント、およびPLPの1以上のフラグメントの少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  50. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号169−175および186−202の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  51. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号169、171−173、175および188−202の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  52. 多発性硬化症の処置に用いるための、請求項48から51のいずれか一項記載の組成物。
  53. 少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原が、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ−65(GAD−65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD−67、グルコース−6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA−2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA−2β)、ICA69、ICA12 (SOX−13)、カルボキシペプチダーゼH、イモージェン38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP−60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝細胞癌−腸−膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼおよびSST G−タンパク質共役受容体1−5の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  54. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号204−214の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  55. 1型糖尿病の処置に用いるための、請求項53または54記載の組成物。
  56. 少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原を含み、ここで、該少なくとも1つの免疫原性寛容誘導性抗原が、組織グルタミン転移酵素、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、アルファ−グリアジン、ガンマ−グリアジン、オメガ−グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニンおよびそれらの脱アミド体の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  57. 少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントを含み、ここで、該少なくとも1つの寛容誘導性抗原の免疫原性フラグメントが、配列番号182−185および215の少なくとも1つを含む、請求項48記載の組成物。
  58. セリアック病の処置に用いるための、請求項56および57のいずれか一項記載の組成物。
JP2020562704A 2018-05-07 2019-05-07 グリコフォリンa抗原結合タンパク質 Pending JP2021522812A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862668132P 2018-05-07 2018-05-07
US62/668,132 2018-05-07
US201962805849P 2019-02-14 2019-02-14
US62/805,849 2019-02-14
US201962829920P 2019-04-05 2019-04-05
US62/829,920 2019-04-05
PCT/IB2019/053705 WO2019215590A1 (en) 2018-05-07 2019-05-07 Glycophorin a antigen-binding proteins

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021522812A true JP2021522812A (ja) 2021-09-02
JPWO2019215590A5 JPWO2019215590A5 (ja) 2022-05-16

Family

ID=66998454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020562704A Pending JP2021522812A (ja) 2018-05-07 2019-05-07 グリコフォリンa抗原結合タンパク質

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20220153859A1 (ja)
EP (1) EP3790901A1 (ja)
JP (1) JP2021522812A (ja)
WO (1) WO2019215590A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9850296B2 (en) 2010-08-10 2017-12-26 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Erythrocyte-binding therapeutics
US9517257B2 (en) 2010-08-10 2016-12-13 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Erythrocyte-binding therapeutics
AU2011289579B2 (en) 2010-08-10 2016-11-17 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne Erythrocyte-binding therapeutics
US10946079B2 (en) 2014-02-21 2021-03-16 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne Glycotargeting therapeutics
US10953101B2 (en) 2014-02-21 2021-03-23 École Polytechnique Fédérale De Lausanne (Epfl) Glycotargeting therapeutics
US10046056B2 (en) 2014-02-21 2018-08-14 École Polytechnique Fédérale De Lausanne (Epfl) Glycotargeting therapeutics
AU2015233084B2 (en) 2014-02-21 2020-12-17 Anokion Sa Glycotargeting therapeutics
MX2019009117A (es) 2017-02-17 2019-09-13 Bristol Myers Squibb Co Anticuerpos anti alfa-sinucleina y usos de los mismos.
US11253579B2 (en) 2017-06-16 2022-02-22 The University Of Chicago Compositions and methods for inducing immune tolerance
CN119137156A (zh) * 2022-02-17 2024-12-13 阿诺基昂股份公司 用于免疫耐受的抗asgr1多肽和使用方法
WO2025027015A1 (en) * 2023-08-01 2025-02-06 Diamante Srl Composition and methods for treating multiple sclerosis
CN118388650B (zh) * 2024-06-28 2024-08-27 杭州赛基生物科技有限公司 一种抗CD235a单克隆抗体及其制备方法和应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4752582A (en) * 1982-12-17 1988-06-21 The United States Of America As Represented By The United States Department Of Energy Monoclonal antibodies to human glycophorin A and cell lines for the production thereof
JP2003501629A (ja) * 1999-05-28 2003-01-14 ステムセル テクノロジース インコーポレーテッド 免疫ロゼットを用いる細胞分離法
JP2015508770A (ja) * 2012-02-15 2015-03-23 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル)Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL) 赤血球結合治療剤

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9517257B2 (en) * 2010-08-10 2016-12-13 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Erythrocyte-binding therapeutics
WO2017015141A1 (en) * 2015-07-17 2017-01-26 President And Fellows Of Harvard College Humanized anti-glycophorin a antibodies and uses thereof
PE20190966A1 (es) * 2016-11-16 2019-07-08 Bayer Healthcare Llc Factor viii direccionado a los globulos rojos y metodo para su uso
KR20190055008A (ko) * 2017-11-14 2019-05-22 앱클론(주) 항-her2 항체 또는 그의 항원 결합 단편, 및 이를 포함하는 키메라 항원 수용체

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4752582A (en) * 1982-12-17 1988-06-21 The United States Of America As Represented By The United States Department Of Energy Monoclonal antibodies to human glycophorin A and cell lines for the production thereof
JP2003501629A (ja) * 1999-05-28 2003-01-14 ステムセル テクノロジース インコーポレーテッド 免疫ロゼットを用いる細胞分離法
JP2015508770A (ja) * 2012-02-15 2015-03-23 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル)Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL) 赤血球結合治療剤

Also Published As

Publication number Publication date
EP3790901A1 (en) 2021-03-17
WO2019215590A1 (en) 2019-11-14
US20220153859A1 (en) 2022-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2021522812A (ja) グリコフォリンa抗原結合タンパク質
JP6860618B2 (ja) 抗補体C1s抗体とそれらの用途
US12195538B2 (en) Anti-PD-L1/anti-4-1BB bispecific antibodies and uses thereof
JP4695133B2 (ja) 抗ミオスタチン抗体
RU2562114C2 (ru) Антитела против ингибитора метаболического пути тканевого фактора
ES2647823T3 (es) Anticuerpos anti-CD100 y métodos de uso de los mismos
EP3668897A1 (en) Binding agents
CN105492462B (zh) 凝集素样氧化的ldl受体1抗体和使用方法
WO2021031716A1 (zh) 抗pd-l1单域抗体
TR201815563T4 (tr) Anti-alfa sinüklein bağlayıcı moleküller.
WO2020011275A1 (zh) 一种sema4d抗体及其制备方法和应用
TW201041594A (en) Compositions and methods for increasing muscle growth
JP2021519305A (ja) 肝臓およびリンパ節の類洞内皮細胞C型レクチン(LSECtin)を標的とするための方法および組成物
WO2020119728A1 (zh) 抗人白细胞介素5(il-5)单克隆抗体及其应用
JP2016523257A (ja) レクチン様酸化ldl受容体1抗体および使用法
CN107148428B (zh) 血管生成素样蛋白4抗体和使用方法
EA026375B1 (ru) Антигенсвязывающие белки, специфические в отношении сывороточного амилоидного компонента р
JP2021515542A (ja) Pd1結合剤
TW201333034A (zh) 新穎抗人類ctgf抗體
JP6277126B2 (ja) ホスホリルコリン(pc)および/またはpcコンジュゲートに結合する抗体
WO2022136685A1 (en) Antibody compositions for treatment of corona virus infection
WO2013001819A1 (ja) 可溶性インテグリンα4変異体
JP2022540859A (ja) 新規bssl抗体
US20210284749A1 (en) Anti-BCMA Antibody And Use Thereof
TW202024134A (zh) 雙特異性蛋白

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220506

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220506

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231024

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240117

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240321

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240424

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20240502

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240723