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JP2021121862A - 偏光板および表示装置 - Google Patents

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JP2021121862A JP2021075511A JP2021075511A JP2021121862A JP 2021121862 A JP2021121862 A JP 2021121862A JP 2021075511 A JP2021075511 A JP 2021075511A JP 2021075511 A JP2021075511 A JP 2021075511A JP 2021121862 A JP2021121862 A JP 2021121862A
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Abstract

【課題】重合性液晶化合物を使用した位相差フィルムを備える円偏光板であって、高温高湿環境下に置く前後で位相差フィルムの面内位相差値が上昇しにくい円偏光板を提供すること。【解決手段】偏光板と位相差フィルムとを有する円偏光板であって、前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムとを含み、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向したフィルムであり、前記偏光子のホウ素含有量は、1.00重量%以上であり、前記保護フィルムの透湿度は、50g/m2・24hr以上であり、前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した層からなる位相差層を含む円偏光板。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板および表示装置に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう。)表示装置に代表される画像表示装置が急速に普及している。有機EL表示装置には、偏光子及び位相差フィルム(λ/4板)を備える円偏光板が搭載される。円偏光板を配置することにより、外光の反射を防止し、画面の視認性を向上させることができる。
有機EL表示装置の台頭により、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、円偏光板についても薄型化が求められている。従来の樹脂フィルムを成形した位相差フィルムから、薄型化が可能な液晶化合物を材料にして形成した位相差フィルムへ変更することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。重合性液晶化合物を使用した位相差フィルムは、重合性液晶化合物を基材上に塗工し配向させ、必要により光照射をして配向状態を固定することで製造される。
特開2017−54093号公報
重合性液晶化合物を使用した位相差フィルムを有する円偏光板を高温高湿環境下におくと、位相差フィルムの面内位相差値が上昇してしまうという問題があることが判明した。面内位相差値の上昇は、反射色相を変化させ、画像表示装置の視認性を悪化させ得る。本発明の目的は、重合性液晶化合物を使用した位相差フィルムを備える円偏光板であって、高温高湿環境下に置く前後で位相差フィルムの面内位相差値が上昇しにくい円偏光板を提供することである。
[1]偏光板と位相差フィルムとを有する円偏光板であって、
前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムとを含み、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向したフィルムであり、
前記偏光子のホウ素含有量は、1.00重量%以上であり、
前記保護フィルムの透湿度は、50g/m・24hr以上であり、
前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した層からなる位相差層を含む円偏光板。
[2]前記偏光子の厚みが、20μm以下である[1]に記載の円偏光板。
[3]前記偏光子の視感度補正単体透過率が、40%以上である[1]または[2]に記載の円偏光板。
[4]前記偏光子を80℃で4時間保持したときに、幅2mmあたりの、吸収軸方向の収縮応力が、60N/mm以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の円偏光板。
[5]前記偏光子の単体色相は、a*値が−0.90以上−0.60以下であり、b*値が2.70以上3.70以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の円偏光板。
[6]前記位相差フィルムは、配向膜を含み、
前記配向膜は、前記偏光子と前記位相差層との間に位置する[1]〜[5]のいずれかに記載の円偏光板。
[7]前記偏光板と前記位相差フィルムとが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されている[1]〜[6]のいずれかに記載の円偏光板。
[8]前記偏光板は、偏光子の両方の面に保護フィルムを備え、
一方の保護フィルムの透湿度は、500g/m・24hr以上であり、
もう一方の保護フィルムの透湿度は、100g/m・24hr以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の円偏光板。
[9]前面板、遮光パターンおよびタッチセンサをさらに有する[1]〜[8]のいずれかに記載の円偏光板。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の円偏光板と、表示素子とを備える表示装置。
本発明によれば、重合性液晶化合物を使用した位相差フィルムを備える円偏光板であって、高温高湿環境下に置く前後で位相差フィルムの面内位相差値が上昇しにくい円偏光板を提供することができる。
円偏光板の層構成を示す概略断面図の一例である。 有機EL表示装置の層構成を示す概略断面図の一例である。
<円偏光板>
本発明の円偏光板は、偏光板と位相差フィルムとを有する。偏光板と位相差フィルムとは、例えば接着層を介して積層することができる。接着層としては、例えば後述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。本発明において偏光板とは、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムとを含む積層体のことをいう。
以下、図1を参照して、本発明の円偏光板の層構成の一例を説明する。なお、図1において偏光子10と保護フィルム11,12とをそれぞれ貼合するための接着剤層は図示していない。図1(a)に示す円偏光板100は、偏光子10の一方の面に第1の保護フィルム11が積層され、偏光子10のもう一方の面に第2の保護フィルム12が積層された偏光板1と、重合性液晶化合物が硬化した層20を含む位相差フィルム2とが、粘着剤層13を介して積層された層構成を有する。さらに、円偏光板100は、位相差フィルム2における偏光板1とは反対側の面に粘着剤層14を有する。粘着剤層14は、有機EL表示素子やタッチセンサ等へ貼合するための粘着剤層であることができる。
図1(b)に示す円偏光板101は、偏光子10の一方の面に第1の保護フィルム11が積層され、偏光子10のもう一方の面に第2の保護フィルム12が積層された偏光板1と、位相差フィルム2とが、粘着剤層13を介して積層された層構成を有する。円偏光板101において、位相差フィルム2は、重合性液晶化合物が硬化した層20と重合性液晶化合物が硬化した層21とが、接着層15を介して積層された層構成を有する。さらに、円偏光板101は、位相差フィルム2における偏光板1とは反対側の面に粘着剤層14を有する。粘着剤層14は、有機EL表示素子やタッチセンサ等へ貼合するための粘着剤層であることができる。
図1(c)に示す円偏光板103は、偏光子10の一方の面に第1の保護フィルム11が積層された偏光板1と、位相差フィルム2とが、粘着剤層13を介して積層された層構成を有する。円偏光板103において、偏光板1は、偏光子10の一方の面にのみ保護フィルムを有する偏光板である。円偏光板103において、位相差フィルム2は、重合性液晶化合物が硬化した層20と重合性液晶化合物が硬化した層21とが、接着層15を介して積層された層構成を有する。さらに、円偏光板103は、位相差フィルム2における偏光板1とは反対側の面に粘着剤層14を有する。粘着剤層14は、有機EL表示素子やタッチセンサ等へ貼合するための粘着剤層であることができる。
図1に示すように位相差フィルムは、位相差層を1層有していてもよいし、2層有していてもよい。また、位相差フィルムは、位相差層に加えて、その製造段階で重合性液晶化合物を配向させるための配向膜を有していることが好ましい。図1に示すように偏光板は、偏光子の一方の面にのみ保護フィルムが積層されていてもよいし、両方の面に積層されていてもよい。
円偏光板は、図1に示した層以外の層を有することができる。円偏光板がさらに有していてもよい層としては、前面板、遮光パターン、タッチセンサなどが挙げられる。前面板は、偏光板における位相差フィルムが積層された側とは反対側に配置されることができる。
遮光パターンは、前面板における偏光板側の面上に形成することができる。遮光パターンは、画像表示装置の額縁(非表示領域)に形成され、画像表示装置の配線が使用者に視認されないようにすることができる。
タッチセンサは、位相差フィルムにおける偏光板側とは反対側の面上に配置される。タッチセンサは、前面板と偏光板との間に配置されてもよい。タッチセンサは入力手段として用いられる。
タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。タッチセンサの基板は、靱性が2,000MPa%以上のものがタッチセンサに生じ得るクラックを抑制する観点から好ましい。より好ましくは靱性が2,000MPa%〜30,000MPa%でる。ここで、靭性は、高分子材料の引張試験を通じて得られる応力(MPa)−ひずみ(%)曲線(Stress−Strain Curve)において、破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
円偏光板の主面の形状は、実質的に矩形であることができる。主面とは表示面に対応する最も広い面積を有する面を意味する。実質的に矩形であるとは、4つの隅(角部)のうち少なくとも1つの角部が鈍角となるように切除された形状や丸みを設けた形状であったり、主面に垂直な端面の一部が面内方向に窪んだ凹み部(切り欠け)を有したり、主面内の一部が、円形、楕円形、多角形及びそれらの組合せ等の形状にくり抜かれた穴あき部を有したりしてもよいことをいう。
円偏光板の大きさは特に限定されない。円偏光板が実質的に矩形である場合、長辺の長さは6cm以上35cm以下であることが好ましく、10cm以上30cm以下であることがより好ましく、短辺の長さは5cm以上30cm以下であることが好ましく、6cm以上25cm以下であることがより好ましい。
<偏光板>
本発明において偏光板とは、光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムとを含むものである。すなわち、偏光板は、偏光子と、偏光子の片面、もしくは両面に貼合された保護フィルムとからなる積層体のことをいう。偏光板が備える保護フィルムは、後述のハードコート層、反射防止層、帯電防止層などの表面処理層を有していてもよい。偏光子と保護フィルムとは、例えば接着剤層や粘着剤層を介して積層することができる。偏光板が備える部材について、以下に説明する。
(1)偏光子
偏光板が備える偏光子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。本発明では、偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向したものを用いる。
高温高湿環境下において、位相差フィルムの面内位相差値が上昇するという現象は、水分が偏光子に含まれるヨウ素(特にI )を溶出させ、そのヨウ素が位相差フィルムへ移行することにより生じることが本発明者らの検討により明らかになった。そのため、本発明のように、偏光子がポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向したものである場合に、高温高湿環境下において位相差値が上昇しにくいという効果を得やすい。
高温高湿環境下においてヨウ素の溶出を防ぐためには、偏光子の架橋密度を大きくすることが好ましい。後述のように、偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する工程を経て製造され、ホウ酸は、ポリビニルアルコール系樹脂鎖同士を架橋する。偏光子の架橋密度が大きいと、湿熱環境下においてもヨウ素を偏光子中に保持しやすい。偏光子の架橋密度は、偏光子中のホウ素含有量に関係すると考えられるから、本発明において、偏光子のホウ素含有量は、1.00重量%以上であり、1.80重量%以上であることが好ましく、2.00重量%以上であることがより好ましく、2.50重量%以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されないが、偏光子のホウ素含有量は、10.00重量%以下であってもよいし、8.00重量%以下であってもよいし、6.00重量%以下であってもよい。偏光子のホウ素含有量は、後述の実施例に記載された方法により測定される。
換言すれば、高温高湿環境下においてヨウ素の溶出を防ぐためには、偏光子の収縮応力を大きくすることが好ましい。偏光子の収縮応力は、ホウ酸による架橋の程度を反映するからである。偏光子を80℃で4時間保持したとき、幅2mmあたりの吸収軸方向の収縮応力が、60N/mm以上であることが好ましく、80N/mm以上であることがより好ましく、85N/mm以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されないが、偏光子の収縮力は、120N/mm以下であってもよいし、110N/mm以下であってもよい。偏光子の収縮力は、詳細には、後述の実施例に記載された方法により測定される。上記ホウ素含有量や収縮応力は、例えば延伸処理や架橋処理によって制御し得る。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色することによりヨウ素を吸着させる工程;ヨウ素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを金属イオンで処理する工程;およびポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水洗する工程を含む方法によって製造できる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を含む。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100mol%であり、98mol%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000〜10000であり、1500〜5000が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に制限されないが、偏光子の厚みを15μm以下とするためには、5〜35μmのものを用いることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、ヨウ素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、架橋処理の前又は架橋処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤や水を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3〜8倍である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色する方法としては、例えば、該フィルムを、ヨウ素を含む水溶液に浸漬する方法が採用される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
ヨウ素による染色後の架橋処理としては通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が採用される。ホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。
ホウ酸含有水溶液のホウ酸濃度は、水100重量部に対して、1.0〜8.0重量部であることが好ましく、1.5〜6.0重量部であることが好ましく、2.0〜5.5重量部以下であることがより好ましい。ホウ酸含有水溶液のヨウ化カリウム濃度は、水100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、1.0〜15重量部であることが好ましい。ホウ酸濃度を大きくすると、ホウ素含有量を大きくしやすい。
ホウ酸含有水溶液の温度は、40〜80℃であることが好ましく、60〜70℃であることが好ましい。温度を高くすると架橋反応が進みやすい。架橋処理時間は、1秒間〜10分間であることが好ましく、10秒間〜5分間であることが好ましい。
架橋処理は、1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。架橋処理を複数回に分けて行う場合、それぞれの架橋処理において、ホウ酸濃度、ヨウ化カリウム濃度、ホウ酸含有水溶液の温度、架橋処理時間は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより行うことができる。金属イオン処理により、種々の金属イオンをポリビニルアルコール系樹脂フィルム中に含有させることができる。金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましい。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などがあげられる。
亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、例えば0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜7重量%である。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等のカリウムイオンおよびヨウ素イオンを含むことが好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は、例えば0.1〜10重量%であり、好ましくは0.2〜5重量%である。
偏光子中の亜鉛含有量は、2.00重量%以下であることが好ましく、1.00重量%以下であることがより好ましく、0.03重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましい。偏光子の亜鉛含有量が上記範囲であると、高温高湿環境下においてヨウ素の溶出を防ぎやすい。亜鉛含有量は、市販の蛍光X線分析装置を用いて測定される。亜鉛含有量は、金属イオン処理等により制御し得る。
偏光子中のヨウ素含有量は、3.3重量%以下であることが好ましく、3.0重量%以下であることがより好ましく、1.9重量%以上であることが好ましく、2.2重量%以上であることがより好ましい。偏光子のヨウ素含有量が上記範囲であると、偏光性能を良好に保ちつつ、溶出し得るヨウ素の量を少なくすることができる。ヨウ素含有量は、市販の蛍光X線分析装置を用いて測定される。ヨウ素含有量は、染色処理、架橋処理、水洗処理等により制御し得る。
偏光子の厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは8μm以下である。偏光子の厚みは、通常2μm以上であり、3μm以上であることが好ましい。偏光子の厚みを小さくすることは、偏光子に含まれるヨウ素の量を少なくすることに寄与するので、溶出し得るヨウ素の量を少なくすることができる。一方で、ある程度の厚みが確保されることで、フィルムの搬送性が高まったり、得られる偏光子の偏光性能が確保されたりすることができる。
このようにして得られる偏光子は、視感度補正単体透過率が50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以上であることが好ましく、42%以上であることがより好ましい。偏光子の視感度補正単体透過率が上記範囲であると、偏光性能を良好に保ちつつ、溶出し得るヨウ素の量を少なくすることができる。
このようにして得られる偏光子は、視感度補正偏光度が99.999%以下であることが好ましく、99.995%以下であることがより好ましく、99.985%以上であることが好ましく、99.990%以上であることがより好ましい。偏光子の視感度補正偏光度が上記範囲であると、偏光性能を良好に保ちつつ、溶出し得るヨウ素の量を少なくすることができる。
このようにして得られる偏光子の単体色相は、好ましくはa*値が−0.90以上−0.60以下であり、より好ましくは−0.88以上−0.65以下である。また、b*値が2.70以上3.70以下であり、より好ましくは2.80以上3.60以下である。偏光子の単体色相が青に寄っている場合、すなわちb*値が小さい場合、湿熱環境下において位相差フィルムの位相差値が上昇しやすいので、本発明の効果が顕著である。偏光子の色相は、市販の分光測色計により測定することができる。
(2)保護フィルム
本発明の円偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを有し、偏光子における位相差フィルム側とは反対側の面に保護フィルムを有することが好ましい。偏光板は、透湿度が50g/m・24hr以上である保護フィルムを少なくとも1枚備える。保護フィルムの透湿度は、後述の方法により測定される。
偏光子に積層される保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂であることができる。保護フィルムとしては、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、下記セルロースエステル系樹脂を除く、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックである。
保護フィルムの厚みは通常1〜100μmであるが、強度や取扱性等の観点から5〜60μmであることが好ましく、10〜55μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましい。
偏光子の片面、または両面に貼合される保護フィルムは、同種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよいし、異種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、同じ位相差特性を有していてもよいし、異なる位相差特性を有していてもよい。
上記のとおり高温高湿環境下において、位相差フィルムの面内位相差値が上昇するという現象は、水分が偏光子に含まれるヨウ素を溶出させ、そのヨウ素が位相差フィルムへ移行することにより生じるものと考えられる。そのため、高温高湿環境下において、偏光子へ水分が侵入しやすい場合、偏光子からヨウ素が溶出しやすい場合に、本発明の効果は顕著である。かかる態様としては、偏光子の位相差フィルム側とは反対側に透湿度の高い保護フィルムを積層した態様、偏光子の位相差フィルム側に保護フィルムを積層しない態様が挙げられる。
このような観点から、偏光板が位相差フィルム側とは反対側に備える保護フィルムの透湿度は、50g/m・24hr以上であってもよいし、100g/m・24hr以上であってもよいし、500g/m・24hr以上であってもよい。保護フィルムの透湿度は、例えば、1000g/m・24hr以下であることができる。透湿度は、JIS Z 0208に準拠したものであり、温度40℃、相対湿度90%において測定した値をいう。
偏光板が、偏光子の両方の面に保護フィルムを備える場合、一方の保護フィルムの透湿度は、50g/m・24hr以上(または100g/m・24hr以上、さらには500g/m・24hr以上)としたときに、もう一方の保護フィルムの透湿度は、1000g/m・24hr以下であることが好ましく、500g/m・24hr以下であることがより好ましく、100g/m・24hr以下であることがさらに好ましく、50g/m・24hr以下であることが特に好ましい。
偏光板が、偏光子の両方の面に保護フィルムを備える場合、偏光子の位相差フィルム側とは反対側に配置する保護フィルムの透湿度を50g/m・24hr以上(または100g/m・24hr以上、さらには500g/m・24hr以上)としたときに、偏光子の位相差フィルム側に配置する保護フィルムの透湿度は、1000g/m・24hr以下であることが好ましく、500g/m・24hr以下であることがより好ましく、100g/m・24hr以下であることがさらに好ましく、50g/m・24hr以下であることが特に好ましい。
上述のように、保護フィルムの少なくともいずれか一方は、その外面(偏光子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。これらの表面処理層は、偏光子へ水分が侵入するのを防ぐことに寄与し得る。
保護フィルムは、後述の接着剤層または粘着剤層を介して偏光子に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
偏光子と保護フィルムとを貼合するにあたっては、接着性を高めるために、これらの少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。
偏光子の両面に保護フィルムが貼合される場合において、これらの保護フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし異種の接着剤であってもよい。
保護フィルムの代わりに、偏光子の少なくとも一方の面に保護層を形成してもよい。保護層は、偏光子に接着剤層や粘着剤層を介さず、形成されることができ、すなわち、保護層は、偏光子に接して形成されることができる。保護層は、(メタ)アクリル系樹脂を含む層であることができる。保護層は偏光子からヨウ素が移行するのを防止し得る。保護層は、単層であってもよいし、複数の層から形成されてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂を含む層は、(メタ)アクリル系樹脂を含む組成物を偏光子に塗工し、加熱または活性エネルギー線を照射したり、基材フィルム上に(メタ)アクリル系樹脂を含む組成物を塗工し、加熱または活性エネルギー線を照射したりすることで形成することができる。後者の場合、(メタ)アクリル系樹脂を含む層上に偏光子を形成してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル系樹脂を構成するモノマーのうち(メタ)アクリロイル基を有するモノマーが主成分であるポリマーであることをいう。ここで、主成分とは、(メタ)アクリル系樹脂を構成するモノマー成分の中で最も含有量(質量%)の大きいモノマーをいう。保護層を形成する材料として(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、湿熱環境下においても円偏光板の光学特性が低下することを抑制することもできる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、光重合性モノマーを重合したものであることが好ましく、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単官能モノマー又は多官能モノマーを単独で又は2種以上を混合して重合したものであることができる。(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー以外のモノマーが重合されていてもよく、例えば、ビニル基を有するモノマーが重合されていてもよい。
(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、上記(メタ)アクリレートのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド添加化合物;分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート、オリゴエーテル(メタ)アクリレート、オリゴウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエポキシ(メタ)アクリレート、オリゴメラミン(メタ)アクリレート、デンドリマー構造を有する多官能アクリレート等を挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂を含む層の厚みは、通常0.1μm以上であり、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、また、通常20.0μm以下であり、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
<位相差フィルム>
本発明の円偏光板は、位相差フィルムを有する。位相差フィルムは、位相差層を有する。
位相差層は、重合性液晶化合物を含む組成物から構成される層を有することが好ましい。
重合性液晶化合物を含む組成物から構成される層とは、具体的には、重合性液晶化合物が硬化した層を意味する。本明細書において、λ/2の位相差を与える層、λ/4の位相差を与える層(ポジティブA層)及びポジティブC層等を総称して、位相差層ということがある。さらに、位相差フィルムは後述の配向膜を含むことが好ましい。
λ/2の位相差を与える層としては、好ましくは波長550nmにおける面内位相差値が200〜280nmである層のことを意味し、より好ましくは面内位相差値が215〜265nmである層のことを意味する。λ/4の位相差を与える層としては、好ましくは波長550nmにおける面内位相差値が100〜160nmである層のことを意味し、より好ましくは面内位相差値が110〜150nmである層のことを意味する。ポジティブC層は、屈折率がnx≒ny<nzの関係性を示す層であることができる。ポジティブC層の厚み方向の位相差値は、波長550nmにおいて−50nm〜−150nmであることができ、−70nm〜−120nmであることができる。なお、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。
位相差層は、正波長分散性を示してもよいし、逆波長分散性を示してもよい。位相差フィルムが複数の位相差層を有する場合、それぞれの位相差層が正波長分散性を示してもよいし、逆波長分散性を示してもよい。位相差フィルムが、逆波長分散性を示す位相差層を備える場合、湿熱環境下において位相差値が上昇したときに、反射色相が変化しやすく、表示装置の視認性が悪化しやすい。そのため、位相差フィルムが、逆波長分散性を示す位相差層を備える場合に、本発明の効果が顕著である。
本発明においては、λ/4の位相差を与える層が逆波長分散性を有することが好ましい。
具体的にλ/4の位相差を与える層は、以下の式を満たすことが好ましい。
0.80<Re(450)/Re(550)<1.00 …(1)
1.00<Re(650)/Re(550)<1.30 …(2)
なお、式中Re(λ)は、波長λnmにおける面内位相差値を表す。
重合性液晶化合物が硬化した層は例えば、基材に設けられた配向膜上に形成される。前記基材は、配向膜を支持する機能を有し、長尺の基材であってもよい。この基材は、離型性支持体として機能し、転写用の位相差層を支持することができる。さらに、その表面が剥離可能な程度の接着力を有するものが好ましい。前記基材としては、上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルムが挙げられる。
基材の厚みとしては、特に限定されないが、例えば20μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。基材の厚さが20μm以上であると、強度が付与される。一方で、厚さが200μm以下であると、基材を裁断加工して枚葉の基材とするにあたり、加工屑の増加、裁断刃の磨耗を抑制できる。
基材は、種々のブロッキング防止処理が施されていてもよい。ブロッキング防止処理としては、易接着処理、フィラー等を練り込ませる処理、エンボス加工(ナーリング処理)等が挙げられる。このようなブロッキング防止処理を基材に対して施すことによって、基材を巻き取る際の基材同士の張り付き、いわゆるブロッキングを効果的に防止することができ、生産性高く光学フィルムを製造することが可能となる。
重合性液晶化合物が硬化した層は、配向膜を介して基材上に形成される。すなわち、基材、配向膜の順で積層され、重合性液晶化合物が硬化した層は前記配向膜上に積層される。
配向膜は、垂直配向膜であってもよいし、重合性液晶化合物の分子軸を水平配向させる配向膜であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる配向膜であってもよい。配向膜の種類は、重合性液晶化合物や求める位相差特性に応じて選択できる。配向膜としては、後述する重合性液晶化合物を含む組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜が挙げられる。
配向膜の厚さは、通常10nm〜10000nmの範囲であり、好ましくは10nm〜1000nmの範囲であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは10nm〜200nmの範囲である。位相差フィルムが配向膜を含み、偏光子と位相差層との間に配向膜が配置されると、配向膜は、ヨウ素の移行を遮断する機能を発揮し得る。
ヨウ素の移行を遮断する機能を十分に発揮するための配向膜の厚さは、例えば0.3μm以上であり、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは0.7μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物を基材に塗布し、溶媒を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶媒とを含む組成物を基材に塗布し、溶媒を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)および炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
重合性液晶化合物は、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男著、2頁、岩波書店、1992)。本発明では、いずれのタイプの重合性液晶化合物も使用できる。2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1、又は、特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]、又は、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
重合性液晶化合物は、2種類以上を併用してもよい。その場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有していることが好ましい。すなわち、前記重合性液晶化合物が硬化した層は、重合性基を有する液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
重合性液晶化合物は、重合反応をし得る重合性基を有する。重合性基としては、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。
より具体的には、重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性液晶化合物が硬化した層は、重合性液晶化合物を含む組成物を、例えば配向膜上に塗工し、活性エネルギー線を照射することによって形成することができる。前記組成物には、上述した重合性液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。前記組成物には、重合開始剤が含まれていることが好ましい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、前記組成物中の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
前記組成物は、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーを含むことができる。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
重合性モノマーとしては、上述した重合性液晶化合物と共重合することができるものが好ましい。重合性モノマーの使用量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
前記組成物は、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤を含むことができる。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
前記組成物は、溶媒を含むことができ、好ましくは有機溶媒を含む。有機溶媒としては、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。前記組成物は、2種類以上の有機溶媒を含んでいてもよい。
前記組成物は、偏光子界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤を含むことができる。さらに、前記組成物は、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーを含むことができる。
上記活性エネルギー線は、紫外線、可視光、電子線、X線を包含し、好ましくは紫外線である。前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線の照射強度は、例えば100mW/cm2〜3,000mW/cm2である。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。紫外線を照射する時間は、通常0.1秒〜10分であり、好ましくは0.1秒〜5分であり、より好ましくは0.1秒〜3分であり、さらに好ましくは0.1秒〜1分である。紫外線は、1回または複数回に分けて照射することができる。
本実施形態において位相差層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましい。また、前記位相差層の厚みは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。位相差層の厚みが前記下限値以上であると、十分な耐久性が得られる。位相差層の厚みが前記上限値以下であると、円偏光板の薄層化に貢献し得る。位相差層の厚みは、λ/4の位相差を与える層、λ/2の位相差を与える層、又はポジティブC層の所望の面内位相差値、及び厚み方向の位相差値が得られるよう調整され得る。
位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した層を1層含むものであってもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層を2層以上含むものであってもよい。位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した層を2層含む場合、2層はλ/4の位相差を与える層およびポジティブC層、またはλ/4の位相差を与える層およびλ/2の位相差を与える層であることが好ましい。位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した層を2層含む場合、重合性液晶化合物が硬化した層を配向膜上にそれぞれ作製し、接着層を介して両者を積層することにより、位相差フィルムは製造されてもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層上に、さらに重合性液晶化合物が硬化した層を形成してもよい。両者を積層した後、配向膜を残して基材を剥離することができ、配向膜と基材とを両方剥離することもできる。
ヨウ素の移行を防ぐという観点からは、重合性液晶化合物が硬化した層と偏光子との間に配向膜を有することが好ましい。配向膜は、重合性液晶化合物が硬化した層へヨウ素が侵入するのを防ぐ機能を果たすこともできる。したがって、位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した層を1層含む場合、位相差フィルムは、偏光子に近い側から、配向膜、重合性液晶化合物が硬化した層がこの順に積層されている構成であることが好ましい。位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した層を2層含む場合、位相差フィルムは、偏光子に近い側から、配向膜、重合性液晶化合物が硬化した層、接着層、重合性液晶化合物が硬化した層、及び配向膜がこの順に積層されている構成、偏光子に近い側から、配向膜、重合性液晶化合物が硬化した層、配向膜、及び重合性液晶化合物が硬化した層がこの順に積層されている構成であることが好ましい。
位相差フィルムの厚みは、3〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。
<接着層>
接着層としては、例えば後述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。接着層は、偏光子と保護フィルムとを積層したり、偏光板と位相差フィルムとを積層したり、2つの位相差層を積層したり、円偏光板を画僧表示素子やタッチセンサへ積層したりするための層であることができる。
ヨウ素の移行を防ぐという観点から、偏光板と位相差フィルムとを積層する接着層は、接着剤層であることが好ましく、活性エネルギー線硬化性接着剤層であることがより好ましい。偏光板と位相差フィルムとを積層する接着層の厚みは、1.0μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以上であり、さらに好ましくは2.0μm以上である。
<粘着剤層>
粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。
中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3〜30μmであり、好ましくは3〜25μmである。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
<接着剤層>
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、部材同士を積層した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20〜45℃の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
<前面板>
本発明は、円偏光板と前面板とが接着層を介して積層された前面板付き円偏光板を含む。
前面板は、偏光板の視認側に配置される。前面板は、接着層を介して偏光板に積層されることができる。接着層としては、例えば前述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。図2(a)、(b)、(c)に示すように、前面板4は、偏光板1における保護フィルム11上に、粘着剤層16を介して積層されることができる。
前面板としては、ガラス、樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなるものなどが挙げられる。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスや、強化ガラスを用いることができる。特に薄い透明面材を使用する場合には、化学強化を施したガラスが好ましい。ガラスの厚みは、例えば100μm〜5mmとすることができる。
樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなる前面板は、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有することができる。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、5〜100μmであってもよい。
樹脂フィルムとしては、ノルボルネンまたは多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリシクロオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、 ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシなどの高分子で形成されたフィルムであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸、1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。これらの高分子はそれぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。樹脂フィルムとしては、透明性及び耐熱性に優れたポリアミドイミドフィルムまたはポリイミドフィルム、1軸または2軸延伸ポリエステルフィルム、透明性及び耐熱性に優れるとともに、フィルムの大型化に対応できるシクロオレフィン系誘導体フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム及び透明性と光学的に異方性のないトリアセチルセルロース及びイソブチルエステルセルロースフィルムが好ましい。樹脂フィルムの厚さは5〜200μm、好ましくは、20〜100μmであってもよい。
前記ハードコート層は、光或いは熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。前記ハードコート層は、光硬化型(メタ)アクリレートモノマー、或いはオリゴマー及び光硬化型エポキシモノマー、或いはオリゴマーを同時に含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。前記光硬化型(メタ)アクリレートモノマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートで構成された群から選択された1種以上を含むことができる。前記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物に対して(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させて得ることができる。
ハードコート組成物は溶剤、光開始剤及び添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。添加剤は、無機ナノ粒子、レベリング剤及び安定剤からなる群から選択される一つ以上を含むことができ、それ以外にも当該技術分野で一般的に使用される各成分として、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
<遮光パターン>
遮光パターンは、前面板または前面板が適用される表示装置のベゼルまたはハウジングの少なくとも一部として提供することができる。遮光パターンは、前面板における表示素子側に形成することができる。遮光パターンは、表示装置の各配線を隠し使用者に視認されないようにすることができる。遮光パターンの色及び/または材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色などの多様な色を有する樹脂物質で形成することができる。
一実施形態において、遮光パターンの厚さは2μm〜50μmであってもよく、好ましくは4μm〜30μmであってもよく、より好ましくは6μm〜15μmの範囲であってもよい。また、遮光パターンと表示部の間の段差による気泡混入及び境界部の視認を抑制するために、遮光パターンに形状を付与することができる。
<円偏光板の製造方法>
図1(a)に示した円偏光板100を例に、円偏光板の製造方法を説明する。円偏光板100は、偏光板1と位相差フィルム2とを粘着剤層13を介して積層することにより製造することができる。
偏光板1は、偏光子10と保護フィルム11,12とを、それぞれ接着剤層を介して積層して製造することができる。偏光板は、長尺の部材を準備し、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせた後、所定形状に裁断して製造してもよいし、それぞれの部材を所定の形状に裁断した後、貼り合わせてもよい。偏光子10に保護フィルム11,12を貼り合わせた後、加熱工程や調湿工程を設けてもよい。
位相差フィルム2は、例えば次のように製造することができる。基材上に配向膜を形成し、配向膜上に重合性液晶化合物を含む塗工液を塗工する。重合性液晶化合物を配向させた状態で、活性エネルギー線を照射し、重合性液晶化合物を硬化させる。重合性液晶化合物が硬化した層上に、剥離フィルム上に形成された粘着剤層14を積層させる。次いで、基材及び/又は配向膜を剥離する。次いで、保護フィルム12上に、剥離フィルム上に形成された粘着剤層13を積層させる。位相差フィルム2は、長尺の部材を準備し、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせた後、所定形状に裁断して製造してもよいし、それぞれの部材を所定の形状に裁断した後、貼り合わせてもよい。
そして、粘着剤層13上に積層された剥離フィルムを剥離し、粘着剤層13を介して位相差フィルム2と偏光板1とを貼合することにより、円偏光板100を作製することができる。
<用途>
円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELともいう)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FEDともいう)、表面電界放出表示装置(SEDともいう))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLVともいう)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMDともいう)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。円偏光板は、特に有機EL表示装置又は無機EL表示装置に特に有効に用いることができる。
本発明の表示装置は、本発明の円偏光板と表示素子とを備えるものである。本発明の表示装置としては、例えば図2に示したものが挙げられる。図2(a)、(b)、(c)において、有機EL表示装置104,105,106は、位相差フィルム20上に積層された粘着剤層14を介して、円偏光板が有機EL表示素子3に積層された層構成を有する。
[ホウ素含有量]
偏光子0.2gを1.9重量%マンニトール水溶液200gに溶解した。得られた水溶液を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、中和に要した水酸化ナトリウム液の量と検量線の比較により、偏光子のホウ素含有量を算出した。
[位相差値]
円偏光板、位相差フィルムの位相差値は、位相差測定装置(王子計測機器株式会社製 KOBRA−WPR)を用いて測定した。
[色相評価]
反射色相を測定するときは、反射板として、ALANOD社製のMIRO(5011GP)を使用した。この反射板は、蒸着より形成された反射面を有する鏡面反射板である。
前記評価用サンプルを、前記反射板の上に載置した。分光測色計(コニカミノルタ株式会社製 CM−2600d)を用いて、反射色相(a*、b*)の測定を実施した。反射色相は、光源がD65であるときの値であり、SCI方式(正反射光含む)で測定した。
[視感度補正単体透過率、視感度補正偏光度、単体色相]
視感度補正単体透過率、視感度補正偏光度および単体色相は、積分球付き吸光光度計(日本分光株式会社製 V7100)を用いて得られた透過率及び偏光度に対して、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで算出した。
[透湿度の測定]
保護フィルムの透湿度(水蒸気透過率)は、JIS Z 0208に記載された方法に基づいて、40℃90%RH条件下で測定し、1mあたり1日(24時間)の透湿量の値(g/m・24hr)として求めた。
[収縮応力]
偏光板の保護フィルムを、吸収軸方向を長辺とする幅2mm、長さ10mmの測定用試料を切り出した。この試料を熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR−6000)にセットし、寸法を一定に保持したまま、80℃で4時間保持したときに発生する吸収軸方向(長辺方向)の収縮応力を測定した。
[実施例1]
[製造例1:位相差層1を含む積層体の作製]
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30,000)とシクロペンタノン95部とを混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2021121862
以下に示す重合性液晶化合物A、及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した混合物100部に対して、レベリング剤(F−556;DIC株式会社製)を1.0部、及び重合開始剤である2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(「イルガキュア369(Irg369)」、BASFジャパン株式会社製)を6部添加した。
さらに、固形分濃度が13%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、位相差層形成用組成物(1)を得た。
重合性液晶化合物Aは、特開2010−31223号公報に記載された方法で製造した。
また、重合性液晶化合物Bは、特開2009−173893号公報に記載された方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
(重合性液晶化合物A)
Figure 2021121862
(重合性液晶化合物B)
Figure 2021121862
シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ZF−14、厚み23μm)からなる基材フィルムを、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回コロナ処理した。コロナ処理を施した基材の表面に、水平配向膜形成用組成物をバーコーターにより塗布した。
塗布膜を80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施した。得られた水平配向膜の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。
続いて、室温25℃、湿度30%RH環境下において、位相差層形成用組成物(1)を孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルタ(アドバンテック東洋(株)製、品番;T300A025A)に通し、25℃に保温した配向膜付き基材フィルム上にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより光学フィルムを作成した。得られた塗膜の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ2μmであった。
このようにして、重合性液晶化合物が硬化した層(位相差層1)、水平配向膜、及び基材フィルムがこの順に積層された積層体を得た。位相差層1は、λ/4の位相差値を示す位相差層であった。位相差層1は、逆波長分散性を示した。
[製造例2:位相差層2を含む積層体の作製]
垂直配向膜形成用組成物として、2−フェノキシエチルアクリレートと、テトラヒドロフルフリルアクリレートと、ジペンタエリスリトールトリアクリレートと、ビス(2−ビニルオキシエチル)エーテルとを1:1:4:5の割合で混合し、重合開始剤としてLUCIRIN TPOを4%の割合で添加した混合物を用いた。
位相差層形成用組成物(2)は、光重合性ネマチック液晶化合物(メルク社製,RMM28B)と溶媒とを、固形分が1〜1.5gとなるように調製して作製した。溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)と、メチルイソブチルケトン(MIBK)と、シクロヘキサノン(CHN)とを、質量比(MEK:MIBK:CHN)で35:30:35の割合で混合させた混合溶媒を用いた
厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材フィルムとして準備した。基材フィルムの片面に垂直配向膜形成用組成物を膜厚3μmになるように塗布し、200mJ/cmの紫外線を照射して、垂直配向膜を作製した。
垂直配向層上に、位相差層形成用組成物(2)を、ダイコーティングにより塗工した。
塗工量は4〜5g(wet)であった。乾燥温度を75℃、乾燥時間を120秒間として、塗膜を乾燥させた。その後、塗膜に紫外線(UV)照射して、重合性液晶化合物を重合させた。
このようにして、重合性液晶化合物が硬化した層(位相差層2)、垂直配向膜、及び基材フィルムがこの順に積層された積層体を得た。位相差層2は、ポジティブCプレートであった。位相差層2と配向膜との合計の厚みは4μmであった。
[製造例3:位相差層の積層体の作製]
位相差層1を含む積層体と位相差層2を含む積層体とを、紫外線硬化性接着剤により、それぞれの位相差層面(基材フィルム側の表面とは反対側の表面)が貼合面となるように貼り合わせた。次いで、紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させた。このようにして、位相差層1及び位相差層2の2層の位相差層を含む位相差層の積層体を作製した。
[製造例4:偏光子の作製]
厚み20μm、重合度2,400、ケン化度99.9%以上のポリビニルアルコールフィルムを、乾式で延伸倍率4.5倍に一軸延伸し、緊張状態を保ったまま、水100重量部あたりヨウ素0.05重量部及びヨウ化カリウム5重量部を含有する染色浴に28℃で60秒間浸漬した。
次いで、水100重量部あたりホウ酸5.5重量部及びヨウ化カリウム15重量部を含有するホウ酸水溶液1に、64℃で110秒間浸漬した。次いで、水100重量部あたりホウ酸5.5重量部及びヨウ化カリウム15重量部を含有するホウ酸水溶液2に、67℃で30秒間浸漬した。その後、3℃の純水を用いて水洗し、乾燥して、偏光子を得た。
得られた偏光子の視感度補正単体透過率は42.15%であり、視感度補正偏光度は99.995%であった。偏光子の単体色相a*は−0.88であり、単体色相b*は3.69であった。偏光子の収縮応力は、99.9N/mmであった。
[製造例5:偏光板の作製]
得られた偏光子の一方の面に、ケン化処理されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルム1(コニカミノルタ株式会社製 KC2UATAC 厚み25μm)を、水系接着剤を介してニップロールで貼り合わせた。偏光子のもう一方の面に、ケン化処理されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルム2(富士フイルム株式会社製 ZRG20SL 厚み20μm)を、TACフィルム1と同様にして貼り合わせた。得られた貼合物の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥して、偏光子の両面にTACフィルムを有する偏光板を得た。前記水系接着剤は、水100部に、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 クラレポバール KL318)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業株式会社製 スミレーズレジン650 固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加して調製した。TACフィルム1の透湿度は、1200g/m・24hrであった。TACフィルム2の透湿度は、1500g/m・24hrであった。
偏光板のTACフィルム2面に、アクリル系粘着剤層を積層した。製造例3で作製した位相差層の積層体から、位相差層1の形成に用いた基材フィルムを剥離した。露出した水平配向膜と前記アクリル系粘着剤層とを貼り合わせた。偏光子の吸収軸と、位相差層1の遅相軸とのなす角度は45°であった。次に、位相差層2の形成に用いた基材フィルムを剥離し、露出した垂直配向膜へ、アクリル系粘着剤層を積層した。
このようにして、偏光板と位相差フィルムとが積層された円偏光板を得た。円偏光板は、TACフィルム1、偏光子、TACフィルム2、粘着剤層、水平配向膜、位相差層1、接着剤層、位相差層2、垂直配向膜、及び粘着剤層がこの順に積層された層構成であった。
[実施例2]
偏光板を作製する際に、偏光子の片側にのみTACフィルム1を貼合したこと以外は、実施例1と同様にして円偏光板を作製した。円偏光板は、TACフィルム1、偏光子、粘着剤層、水平配向膜、位相差層1、接着剤層、位相差層2、垂直配向膜、及び粘着剤層がこの順に積層された層構成であった。
[実施例3]
偏光子の作製時に、ホウ酸水溶液2のホウ酸含有量を2.3重量部に変更すること以外は、実施例2と同様にして円偏光板を作製した。偏光子の収縮応力は、88.2N/mmであった。得られた偏光子の視感度補正単体透過率は42.85%であり、視感度補正偏光度は99.985%であった。偏光子の単体色相a*は−0.69であり、単体色相b*は2.81であった。
[実施例4]
偏光子の作製時に、ホウ酸水溶液2のホウ酸含有量を1.8重量部に変更すること以外は、実施例2と同様にして円偏光板を作製した。偏光子の収縮応力は、80.2N/mmであった。得られた偏光子の視感度補正単体透過率は42.56%であり、視感度補正偏光度は99.993%であった。偏光子の単体色相a*は−0.81であり、単体色相b*は3.17であった。
[実施例5]
偏光子の作製時に、ホウ酸水溶液2のホウ酸含有量を1.1重量部に変更すること以外は、実施例2と同様にして円偏光板を作製した。偏光子の収縮応力は、63.2N/mmであった。得られた偏光子の視感度補正単体透過率は42.30%であり、視感度補正偏光度は99.994%であった。偏光子の単体色相a*は−0.90であり、単体色相b*は3.25であった。
[実施例6]
実施例4と同様にして偏光板を作製した。
偏光板の偏光子の面に、アクリル系粘着剤層を積層した。製造例1で作製した位相差層1を含む積層体のうち、位相差層1と前記アクリル系粘着剤層とを貼り合わせた。偏光子の吸収軸と、位相差層1の遅相軸とのなす角度は45°であった。
貼り合わせた後、位相差層1の形成に用いた基材フィルムを剥離した。露出した水平配向膜と、製造例2で作製した位相差層2とを、紫外線硬化性接着剤により貼り合わせた。次いで、紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させた。次に、位相差層2の形成に用いた基材フィルムを剥離し、露出した垂直配向膜へ、アクリル系粘着剤層を積層した。
このようにして、偏光板と位相差フィルムとが積層された円偏光板を得た。円偏光板は、TACフィルム1、偏光子、粘着剤層、位相差層1、水平配向膜、接着剤層、位相差層2、垂直配向膜、及び粘着剤層がこの順に積層された層構成であった。
[実施例7]
重合性液晶化合物を硬化させる際に照射する紫外線の積算光量を1500mJ/cmとする以外は、製造例1と同様にして、位相差層を含む積層体を作製した。
位相差層1を前記位相差層に変更する以外は、実施例3と同様にして円偏光板を作製した。
[実施例8]
重合性液晶化合物を硬化させる際に照射する紫外線の積算光量を700mJ/cmとする以外は、製造例1と同様にして、位相差層を含む積層体を作製した。
位相差層1を前記位相差層に変更する以外は、実施例3と同様にして円偏光板を作製した。
[比較例1]
偏光子の作製時に、ホウ酸水溶液2のホウ酸含有量を0.7重量部に変更すること以外は、実施例2と同様にして円偏光板を作製した。
偏光子の収縮応力は、26.2N/mmであった。得られた偏光子の視感度補正単体透過率は42.35%であり、視感度補正偏光度は99.994%であった。偏光子の単体色相a*は−1.00であり、単体色相b*は3.35であった。
実施例および比較例で作製した円偏光板を、スーパーカッターを用いて150mm×50mmの大きさに切り出し、アクリル系粘着剤層を介してガラス板に貼合した。ガラスに貼合した円偏光板を温度85℃、相対湿度85%RHのオーブンに24時間投入した。オーブン投入前後での位相差値の変化量と反射色相の変化量を表1に示した。
Figure 2021121862
本発明によれば、高温高湿環境下に置いても位相差フィルムの位相差値が上昇しにくい円偏光板を提供することができるので有用である。
1 偏光板
2 位相差フィルム
3 有機EL表示素子
4 前面板
10 偏光子
11,12 保護フィルム
13,14,16 粘着剤層
15 接着層
20,21 重合性液晶化合物が硬化した層
100,101,103 円偏光板
104,105,106 有機EL表示装置

Claims (10)

  1. 偏光板と位相差フィルムとを有する円偏光板であって、
    前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムとを含み、
    前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向したフィルムであり、
    前記偏光子のホウ素含有量は、1.00重量%以上であり、
    前記保護フィルムの透湿度は、50g/m・24hr以上であり、
    前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した層からなる位相差層を含む円偏光板。
  2. 前記偏光子の厚みが、20μm以下である請求項1に記載の円偏光板。
  3. 前記偏光子の視感度補正単体透過率が、40%以上である請求項1または2に記載の円偏光板。
  4. 前記偏光子を80℃で4時間保持したときに、幅2mmあたりの、吸収軸方向の収縮応力が、60N/mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の円偏光板。
  5. 前記偏光子の単体色相は、a*値が−0.90以上−0.60以下であり、b*値が2.70以上3.70以下である請求項1〜4のいずれかに記載の円偏光板。
  6. 前記位相差フィルムは、配向膜を含み、
    前記配向膜は、前記偏光子と前記位相差層との間に位置する請求項1〜5のいずれかに記載の円偏光板。
  7. 前記偏光板と前記位相差フィルムとが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されている請求項1〜6のいずれかに記載の円偏光板。
  8. 前記偏光板は、偏光子の両方の面に保護フィルムを備え、
    一方の保護フィルムの透湿度は、500g/m・24hr以上であり、
    もう一方の保護フィルムの透湿度は、100g/m・24hr以下である請求項1〜7のいずれかに記載の円偏光板。
  9. 前面板、遮光パターンおよびタッチセンサをさらに有する請求項1〜8のいずれかに記載の円偏光板。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の円偏光板と、表示素子とを備える表示装置。
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