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JP2021107052A - 半透膜支持体 - Google Patents

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JP2021107052A JP2019238997A JP2019238997A JP2021107052A JP 2021107052 A JP2021107052 A JP 2021107052A JP 2019238997 A JP2019238997 A JP 2019238997A JP 2019238997 A JP2019238997 A JP 2019238997A JP 2021107052 A JP2021107052 A JP 2021107052A
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吉田 光男
Mitsuo Yoshida
光男 吉田
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Abstract

【課題】半透膜溶液が裏抜けしにくい半透膜支持体の提供。【解決手段】合成繊維として、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、繊維長0.2mm以下の合成繊維を含有する半透膜支持体。【選択図】図2

Description

本発明は、半透膜支持体に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面に半透膜が設けられた複合体の形態である分離膜として使用されている。半透膜支持体の半透膜が設けられる片面を「塗布面」と呼び、反対側の面を「非塗布面」と呼ぶ。
主に、半透膜支持体としては、合成繊維を含有する不織布が用いられる。半透膜支持体に要求される性能としては、半透膜と半透膜支持体との接着性が良好であること、半透膜を設けるために、半透膜溶液が半透膜支持体に塗布された際に、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けしないこと等が挙げられる。
半透膜溶液が裏抜けしないように、半透膜支持体の均一性を高めることを目的として、合成繊維を水に分散した繊維スラリーを湿式抄紙して不織布とする工程において、抄紙時における該繊維スラリーの繊維分濃度を0.01〜0.1質量%とし、かつ、該繊維スラリーに、高分子粘剤として、分子量500万以上の水溶性高分子を、繊維分質量を基準として3〜15質量%含有させて抄紙する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、高分子粘剤が過剰に添加されているため、均一性は高まるが、抄紙ワイヤー上での繊維スラリー粘度が高まって、ワイヤーからの脱水性が低下して、生産速度が上げられないという問題が起こる可能性があった。また、抄紙後の半透膜支持体を形成する繊維表面に高分子粘剤が残留するという問題もあった。
また、太い繊維を使用した表面粗度の大きな表面層(太い繊維層)と細い繊維を使用した緻密な構造の裏面層(細い繊維層)との二重構造を基本とした多層構造の不織布よりなる半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、太い繊維層を塗布面とし、細い繊維層を非塗布面とした半透膜支持体、細い繊維層を太い繊維層で挟み込み、塗布面と非塗布面の両方を太い繊維層とした半透膜支持体が記載されている。しかしながら、塗布面において、太い繊維を使用しているため、半透膜と半透膜支持体との接着性は向上するものの、平滑性が低いという問題があった。また、太い繊維を使用しているため、半透膜溶液が半透膜支持体の内部にまで入り込んでしまい、所望の半透膜の厚みを得るためには、大量の半透膜溶液が必要となるという問題があった。
また、半透膜溶液が塗布された際に、半透膜支持体が幅方向に湾曲することによって、不均一な半透膜が製造されるという課題を解決するために、抄紙流れ方向と幅方向の引張強度比が2:1〜1:1にあり、繊維の配向がばらけた状態である半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。更に、特許文献3では、半透膜と半透膜支持体の接着性を良くすること及び裏抜け防止を目的として、半透膜支持体の通気度やポアサイズを調整する方法が提案されている。しかしながら、このJIS L1096に準拠した通気度は、半透膜支持体の片面から半透膜支持体内部を通過して別の片面へ透過する空気の量を基に算出されており、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを正確に反映しているものではない。そのため、特許文献3で示された範囲の通気度を有する半透膜支持体に半透膜溶液を塗布した場合、半透膜溶液が裏抜けしてしまう場合があった。
また、特許文献4では、半透膜支持体である湿式不織布シート上に局所スポット的に存在する欠点部分に半透膜溶液が塗布された場合、半透膜溶液の浸透性が部分的に変わって浸透しにくくなることによって、この部分の半透膜の厚みが極端に薄くなる場合や、半透膜表面がしわ状になる場合があるという課題を解決するために、湿式不織布を構成する合成繊維が疎な状態でシート密度が低くなっている箇所である低密度欠点を発生しにくくすることを目的として、湿式不織布の熱圧加工処理の回数、温度、ロールの種類を最適化する方法が提案されている。そして、特許文献4では、低密度欠点が無く、均一で、半透膜と半透膜支持体の接着性が良く、半透膜溶液が湿式不織布に浸透しすぎて半透膜が不均一になることを防ぐことができる半透膜支持体として、シート密度及び圧力損失を調整した半透膜支持体が提案されている。しかし、特許文献4で示された範囲のシート密度や圧力損失を有する半透膜支持体であっても、裏抜けが発生する場合があった。
特開2008−238147号公報 特公平4−21526号公報 特開2002−95937号公報 国際公開第2012/090874号パンフレット
本発明の課題は、半透膜溶液が裏抜けしにくい半透膜支持体を提供することにある。
上記課題は、下記手段によって解決された。
(1)合成繊維として、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、繊維長0.2mm以下の合成繊維を含有することを特徴とする半透膜支持体。
本発明の半透膜支持体は、合成繊維として、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、繊維長0.2mm以下の合成繊維を含有することによって、半透膜溶液の裏抜けを防止する効果を達成できる。
主体合成繊維とバインダー合成繊維と繊維長0.2mm以下の合成繊維を含むスラリーの繊維長分布図である。 主体合成繊維と繊維長0.2mm以下の合成繊維のマイクロスコープ写真である。
本発明の半透膜支持体は、合成繊維として、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、繊維長0.2mm以下の合成繊維を含有することを特徴とする。本明細書では、「繊維長0.2mm以下の合成繊維」を「短繊維」と記載することがある。
本発明の半透膜支持体は、湿式抄造法によってシートが作製された後に、このシートが熱ロールによって熱圧加工されることによって製造されることが好ましい。湿式抄紙法でシートを作製する際の原料繊維は、主体合成繊維とバインダー合成繊維と繊維長0.2mm以下の合成繊維を含んでいるものである。
図1は、主体合成繊維とバインダー合成繊維と繊維長0.2mm以下の合成繊維を含む繊維スラリーの繊維長をOpTest Equipment Inc.社製ファイバークオリティーアナライザー(FQA−360)で測定した繊維長分布図である。繊維長0.2mm以下の合成繊維が含まれていることがわかる。
図2は、主体合成繊維と繊維長0.2mm以下の合成繊維をマイクロスコープにて倍率200倍で撮影した写真である。円内の繊維が繊維長0.2mm以下の合成繊維であり、その他の繊維は主体合成繊維である。
本発明において、主体合成繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリベンゾエート系、ポリクラール系、ポリフェノール系等の繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましい。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
主体合成繊維の直径は、特に限定しないが、30μm以下であることが好ましい。より好ましくは2〜20μmであり、更に好ましくは4〜20μm、特に好ましくは6〜20μmである。2μm未満の場合、半透膜溶液が半透膜支持体に浸透しにくくなり、半透膜と半透膜支持体との接着性が悪くなる場合がある。主体合成繊維の直径が30μmを超えると、所望の半透膜の厚みを得るためには、大量の半透膜溶液が必要となるという問題が発生する場合や、半透膜溶液の裏抜けが発生する場合がある。また、不織布の表面の主体合成繊維が立ちやすくなり、半透膜を貫通して半透膜の性能が低下する場合がある。
主体合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは0.2〜12mmであり、より好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは4〜6mmである。主体合成繊維の断面形状は円形が好ましく、抄紙工程における水への分散前の繊維における断面アスペクト比(繊維断面長径/繊維断面短径)は、1.0〜1.2未満であることが好ましい。繊維断面アスペクト比が1.2以上になると、繊維分散性が低下する場合や、繊維の絡まりやもつれの発生によって、半透膜支持体の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。ただし、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、表面平滑性のために、繊維分散性等の他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
主体合成繊維のアスペクト比(繊維長/直径)は、10〜1000であることが好ましく、より好ましくは20〜900であり、更に好ましくは40〜800である。アスペクト比が10未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落する場合や、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化する場合がある。一方、1000を超えた場合、繊維の三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維の絡まりやもつれの発生によって、半透膜支持体の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対して、主体合成繊維の含有量は、38〜89.9質量%が好ましく、48.4〜79.8質量%がより好ましく、58.6〜74.7質量%が更に好ましい。主体合成繊維の含有量が38質量%未満の場合、通液性が低下するおそれがある。また、89.9質量%を超えた場合、強度不足によって破れるおそれがある。
本発明の半透膜支持体は、バインダー合成繊維を含有している。バインダー合成繊維の軟化点又は溶融温度(融点)以上まで温度を上げる工程を半透膜支持体の製造工程に組み入れることで、バインダー合成繊維が半透膜支持体の機械的強度を向上させる。例えば、半透膜支持体を湿式抄造法で製造し、その後の乾燥工程でバインダー合成繊維を軟化又は溶融させることができる。
バインダー合成繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー合成繊維の直径は特に限定されないが、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmであり、更に好ましくは7〜12μmである。また、主体合成繊維と異なる直径であることが好ましく、特に、主体合成繊維よりも太い直径であることが好ましい。主体合成繊維と直径が異なることで、バインダー合成繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体合成繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たす。更に、バインダー合成繊維の軟化温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程では、半透膜支持体表面の平滑性をも向上させることができ、該工程では加圧が伴っているとより効果的である。
バインダー合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは0.2〜12mmであり、より好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは4〜6mmである。バインダー合成繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、塗布面の平滑性、非塗布面同士の接着性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
バインダー合成繊維のアスペクト比(繊維長/直径)は、10〜1000であることが好ましく、より好ましくは20〜800であり、更に好ましくは40〜700である。アスペクト比が10未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落するおそれや、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化するおそれがある。一方、1000を超えた場合、バインダー合成繊維は三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維が絡まるおそれや、もつれの発生によって、不織布の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対して、バインダー合成繊維の含有量は、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、25〜40質量%が更に好ましい。10質量%未満の場合、強度不足により破れるおそれがある。また、60質量%を超えた場合、通液性が低下するおそれがある。
本発明において、短繊維は、半透膜支持体の骨格形成を補う繊維である。短繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリベンゾエート系、ポリクラール系、ポリフェノール系等の繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましい。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
短繊維の直径は、特に限定しないが、30μm以下であることが好ましい。より好ましくは2〜20μmであり、更に好ましくは4〜20μm、特に好ましくは5〜20μmである。2μm未満の場合、湿式抄紙の際に抄紙網からの脱落が多くなる。一方、繊維の直径が30μmを超えると、不織布の表面の短繊維が立ちやすくなり、半透膜を貫通して半透膜の性能が低下する場合がある。
短繊維の繊維長は、0.2mm以下であり、好ましくは0.05〜0.2mmであり、より好ましくは0.1〜0.2mmである。短繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する短繊維も、裏抜け防止、表面平滑性のために含有できる。短繊維は、不織布内部で主体繊維やバインダー合成繊維に接した状態で存在し、支持体の空隙をコントロールする。バインダー合成繊維同士間の空隙や主体合成繊維とバインダー合成繊維の接点に存在することで、空隙を細分化することで膜の裏抜け防止、表面平滑性を向上させる。
短繊維は湿式抄紙工程において、パルパー等の水に分散する装置で回転する攪拌羽と容器のクリアランスで主体合成繊維やバインダー合成繊維が切れることによって形成される。また、主体合成繊維やバインダー合成繊維の製造工程中に繊維が短く切れて形成される。
本発明の半透膜支持体において、不織布に対する短繊維の含有比率は特に限定しないが、好ましくは0.1〜2.0質量%であり、より好ましくは0.2〜1.6質量%であり、更に好ましくは0.3〜1.4質量%である。0.1質量%未満の場合、半透膜溶液の裏抜け防止効果が得られない場合がある。一方、2.0質量%を超えた場合、半透膜支持体から短繊維が脱離して膜性能が低下する場合がある。本発明における短繊維の含有比率は、パルパー分散スラリーの繊維長を、測定範囲0.07〜20mm、カットオフ値0.20mmの条件で、OpTest Equipment Inc.社製ファイバークオリティーアナライザー(FQA−360)によって測定して得られた「ファイン比(長さ加重平均値)」であり、スラリーに含まれる繊維に対する繊維長0.2mm以下の短繊維の比率である。
本発明の半透膜支持体の製造方法について説明する。本発明の半透膜支持体は、湿式抄造法によってシートが作製された後に、このシートが熱ロールによって熱圧加工されることが好ましい。
湿式抄造法では、まず、繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を経て、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調整されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙方式としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式を用いることができる。これらの抄紙方式の群から選ばれる少なくとも一つの抄紙方式を有する抄紙機、これらの抄紙方式の群から選ばれる同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用することができる。また、2層以上の多層構造の不織布を製造する場合には、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法等を用いることができる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することによって、シートを得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃が更に好ましい。圧力は、好ましくは5〜100kN/m、より好ましくは10〜80kN/mである。
本発明において、シートには、熱カレンダー処理が更に施されていることが好ましい。熱カレンダー処理においては、金属ロール−金属ロール、金属ロール−弾性ロール、金属ロール−コットンロール、金属ロール−シリコンロールなどのロール構成のカレンダーユニットを単独、又は組み合わせて用いることができる。カレンダーユニットの少なくとも一方の金属ロールが加熱される。本発明においては、不織布に充分な熱量を付与させることができて、強度の高い半透膜支持体を得ることができるため、金属ロール−弾性ロールのカレンダーユニットを用いることが好ましい。
熱カレンダー処理時の金属ロール温度は、バインダー合成繊維の融点に対して、−50℃〜−10℃の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、−40℃〜−15℃の範囲内であり、更に好ましくは、−35℃〜−20℃の範囲である。
例えば、バインダー合成繊維の融点が260℃の場合、半透膜支持体の表面温度が210〜250℃であることが好ましく、220〜245℃であることがより好ましい。バインダー合成繊維の融点に対して、融点に対して−50℃より低い温度の場合、半透膜支持体の強度が充分に得られない場合がある。
熱カレンダー処理時のニップの圧力は、好ましくは19〜180kN/mであり、より好ましくは39〜150kN/mである。加工速度は、好ましくは3〜150m/minであり、より好ましくは5〜80m/minである。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20〜150g/mが好ましく、より好ましくは50〜100g/mである。20g/m未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.5〜1.0g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.6〜0.9g/cmである。半透膜支持体の密度が0.5g/cm未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、1.0g/cmを超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、50〜150μmであることが好ましく、60〜130μmであることがより好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。半透膜支持体の厚みが150μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、50μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径8μm、繊維長6mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で固形分4kgの繊維を2mのパルパー(分散容器)に1mの分散水と共に投入し、10分間分散してスラリーを調成した。スラリーの繊維長をOpTest Equipment Inc.社製ファイバークオリティーアナライザー(FQA−360)で測定した繊維長分布図を図1に示す。短繊維の含有比率は1.5質量%であった。スラリーから円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、目標坪量80g/mのシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、連続してシートの加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度235℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面を塗布面とした。
(実施例2)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径8μm、繊維長6mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で固形分4kgの繊維を2mのパルパー(分散容器)に1mの分散水と共に投入し、10分間分散してスラリーを調成した。スラリーを18メッシュの網で漉して繊維のみを残して分散水を除去し、新たに水を1m加えて繊維を解して再分散スラリーを調成した。再分散スラリーの繊維長を測定したところ、短繊維の含有比率は0.5質量%であった。再分散スラリーから円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、目標坪量80g/mのシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、連続してシートの加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度235℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面を塗布面とした。
(実施例3)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径8μm、繊維長6mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で固形分4kgの繊維を2mのパルパー(分散容器)に1mの分散水と共に投入し、10分間分散してスラリーを調成した。スラリーを18メッシュの網で漉して繊維のみを残して分散水を除去し、新たに水を1m加えて繊維を解して再分散スラリーを調成した。次に再分散スラリーを18メッシュの網で漉して繊維のみを残して分散水を除去し、新たに水を1m加えて繊維を解して再々分散スラリーを調成した。再々分散スラリーの繊維長を測定したところ、短繊維の含有比率は0.2質量%であった。再々分散スラリーから円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、目標坪量80g/mのシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、連続してシートの加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度235℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面を塗布面とした。
(比較例1)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径8μm、繊維長6mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で固形分4kgの繊維を2mのパルパー(分散容器)に1mの分散水と共に投入し、10分間分散して分散スラリーを調成した。分散スラリーを18メッシュの網で漉して繊維のみを残して分散水を除去し、新たに水を1m加えて繊維を解して再分散スラリーを調成した後に、再分散スラリーを18メッシュの網で漉して繊維のみを残して分散水を除去し、新たに水を1m加えて繊維を解して再々分散スラリーを調成した。再々分散スラリーに対して、18メッシュの網で漉して繊維を残して分散水を除去し、新たな水を加える操作を更に2回行って、最終スラリーを調成した。最終スラリーの繊維長を測定したところ、短繊維の含有比率は0.0質量%であった。最終スラリーを円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、目標坪量80g/mのシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、連続してシートの加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度235℃、圧力100kN/m、加工速度30m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面を塗布面とした。
実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して、坪量、厚み、通気度並びに半透膜裏抜けの評価を行い、結果を表1に示した。
(坪量)
JIS P8124:2011に準拠して、坪量を測定した。
(厚み)
半透膜支持体の厚みは、JIS P8118:2014に準拠して測定した。
(通気度)
JIS L1096:2010に準拠してフラジール法による通気度を測定した。
(半透膜裏抜け)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機製作所社製)を用いて、台紙の上に半透膜支持体をセットし、半透膜支持体の塗布面に黒色の油性インキを混合したポリスルホン樹脂のDMF溶液(半透膜溶液、濃度:19質量%)を塗工し、塗工後に半透膜支持体を貫通して台紙に移ったポリスルホン樹脂の量を目視で観察し、半透膜溶液の裏抜け評価を行った。
1:全く裏抜けしていない。非常に良好なレベル。
2:小さな点状で、ごくわずかに裏抜けしている。良好なレベル。
3:小さな点状で、裏抜けしている。使用可能レベル。
4:大きな点状で、多く裏抜けしている。使用不可レベル。
Figure 2021107052
実施例1の半透膜支持体の半透膜裏抜けは評価1であり、非常に良好なレベルであった。実施例2及び3の半透膜支持体の半透膜裏抜けは評価3であり、使用可能なレベルであった。一方、短繊維を含まない比較例1の半透膜支持体の半透膜裏抜けは評価4であり、使用不可レベルであった。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。

Claims (1)

  1. 合成繊維として、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、繊維長0.2mm以下の合成繊維を含有することを特徴とする半透膜支持体。
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