JP2021104992A - 7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法、及び該アシルオキシ体を用いたα−リポ酸中間体の製造方法 - Google Patents
7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法、及び該アシルオキシ体を用いたα−リポ酸中間体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】α−リポ酸中間体を製造するために用いられる7−オクテン酸エステルの特定のアシルオキシ体を収率よく得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】7−オクテン酸エステルと、カルボン酸又はその塩とを、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタンと酢酸パラジウム(II)との錯体からなる触媒、及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる式(4)で示す7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法、及び該アシルオキシ体を用いたα−リポ酸中間体の製造方法に関する。
α−リポ酸は、強力な酸化作用を有し、糖尿病合併症治療薬やサプリメントとして有用な化合物である(例えば非特許文献1〜2参照)。
α−リポ酸は炭素数8の化合物であるが、本化合物の合成法の多くは、炭素数8未満の化合物を出発原料として、炭素−炭素結合形成反応を利用して合成する方法である。例えば、非特許文献3には、以下に示すように、1,3プロパンジオールを出発原料として、炭素−炭素結合形成反応を含む多段階工程を経て、α−リポ酸を製造する方法について記載されている。
α−リポ酸は炭素数8の化合物であるが、本化合物の合成法の多くは、炭素数8未満の化合物を出発原料として、炭素−炭素結合形成反応を利用して合成する方法である。例えば、非特許文献3には、以下に示すように、1,3プロパンジオールを出発原料として、炭素−炭素結合形成反応を含む多段階工程を経て、α−リポ酸を製造する方法について記載されている。
しかしながら、従来のα−リポ酸の製造方法は、上記のように多段階工程を経る必要があるため、煩雑でありかつ製造コストも高くなるという問題があった。
一方、α−リポ酸の生合成は、上記製造方法とは異なり、オクタン酸誘導体への硫黄官能基導入によって行われることが知られている(非特許文献4)。
一方、α−リポ酸の生合成は、上記製造方法とは異なり、オクタン酸誘導体への硫黄官能基導入によって行われることが知られている(非特許文献4)。
Science 1951,114,93.
Free Radical Biol. Med. 1999,27,309.
Tetrahedron Asymmetry 2015,26,281.
J.AM.CHEM.SOC.2005,127,2860.
本発明の課題は、煩雑かつコスト高であったα−リポ酸の製造方法を、より工程数の少ない方法にすることである。より詳細には、α−リポ酸を製造するためのα−リポ酸中間体を効率よく得るための、新規な合成方法を提供することである。
本発明者らは、煩雑かつコスト高であったα−リポ酸の製造方法を、より工程数の少ない方法にする検討を行った。具体的には、α−リポ酸の生合成経路に最も近く直截的なものとして、オクテン酸エステルへの位置選択的官能基化を経る工程を検討した。
その結果、7−オクテン酸エステルとカルボン酸又はその塩とを、特定の触媒及び化合物の存在下に反応させることにより、高い位置選択性でアシルオキシ体が得られること、及び該アシルオキシ体を用いて、α−リポ酸の中間体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。なお、該α−リポ酸の中間体(本発明における後述する式(6)のR1がエチル基のもの)は、上述した従来のα−リポ酸の製造工程における化合物Aに相当するものであり、該α−リポ酸の中間体をより少ない工程で得ることで、α−リポ酸を効率的に製造できる。
その結果、7−オクテン酸エステルとカルボン酸又はその塩とを、特定の触媒及び化合物の存在下に反応させることにより、高い位置選択性でアシルオキシ体が得られること、及び該アシルオキシ体を用いて、α−リポ酸の中間体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。なお、該α−リポ酸の中間体(本発明における後述する式(6)のR1がエチル基のもの)は、上述した従来のα−リポ酸の製造工程における化合物Aに相当するものであり、該α−リポ酸の中間体をより少ない工程で得ることで、α−リポ酸を効率的に製造できる。
本発明は、次の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] 下記式(1)
(式中R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基である。)
で示される7−オクテン酸エステルと、下記式(2)
(式中R2は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。)
で示されるカルボン酸又はその塩とを、下記式(3)
で示される触媒、及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる、下記式(4)
(式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。
[1] 下記式(1)
(式中R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基である。)
で示される7−オクテン酸エステルと、下記式(2)
(式中R2は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。)
で示されるカルボン酸又はその塩とを、下記式(3)
で示される触媒、及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる、下記式(4)
(式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。
[2] 下記式(11)
MmXn (11)
(式中、Mは銀、銅、セリウム、又はマンガンであり、Xはアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、オキシ基、トリフラート基、炭酸、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、mは1〜2の整数であり、nは1〜3の整数である。)
で示される金属塩の存在下で行う、上記[1]に記載の7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。
MmXn (11)
(式中、Mは銀、銅、セリウム、又はマンガンであり、Xはアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、オキシ基、トリフラート基、炭酸、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、mは1〜2の整数であり、nは1〜3の整数である。)
で示される金属塩の存在下で行う、上記[1]に記載の7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の方法で製造した式(4)で示されるアシルオキシ体を、ヒドロホウ素化し、酸化反応させる、下記式(5)
(式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシヒドロキシ体の製造方法。
(式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシヒドロキシ体の製造方法。
[4] 上記[3]に記載の方法で製造した式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を脱アシル化反応させる、下記式(6)
(式中R1は、上記式(1)中のR1と同義である。)
で示されるα−リポ酸中間体の製造方法。
(式中R1は、上記式(1)中のR1と同義である。)
で示されるα−リポ酸中間体の製造方法。
[5] 下記式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体。
(式中R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基であり、R2は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。)
(式中R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基であり、R2は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。)
本発明は、α−リポ酸中間体の新規な合成方法を提供するものである。詳細には、α−リポ酸中間体を製造するための、式(4)で示す7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体を収率よく得ることができ、これを用いることで、従来よりも工程数が少ない簡便な方法で、α−リポ酸中間体を得ることができる。なお、該α−リポ酸中間体を用いて、従来公知の手法を適用して、α−リポ酸を得ることができる。
<アシルオキシ化反応>
本発明は、式(1)で示される7−オクテン酸エステルと、式(2)で示されるカルボン酸又はその塩とを、式(3)で示される触媒及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる、式(4)で示す7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法である。なお、以下、本発明における式(1)で示される7−オクテン酸エステルと、式(2)で示されるカルボン酸又はその塩との反応をアシルオキシ化反応という場合もある。
本発明は、式(1)で示される7−オクテン酸エステルと、式(2)で示されるカルボン酸又はその塩とを、式(3)で示される触媒及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる、式(4)で示す7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法である。なお、以下、本発明における式(1)で示される7−オクテン酸エステルと、式(2)で示されるカルボン酸又はその塩との反応をアシルオキシ化反応という場合もある。
(7−オクテン酸エステル)
本発明においては、下記式(1)
本発明においては、下記式(1)
で示される7−オクテン酸エステルを原料として用いる。上記式(1)において、R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基である。これらの中でも、アシルオキシ反応に対する安定性、取り扱い易さ(溶解性、沸点)、HPLC及びGC分析などによる反応追跡及び生成物の精製のし易さ、価格の観点から、R1は炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、その具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、及びウンデシル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にエチル基が好ましい。
置換フェニル基における置換基の数は1〜5の整数であり、置換基としては、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル基、メトキシ基などが挙げられる。置換基の数が2以上の場合は、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
置換ベンジル基における置換基の数は1〜5の整数であり、置換基としては、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル基、メトキシ基などが挙げられる。置換基の数が2以上の場合は、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明においては、下記式(2)
で示されるカルボン酸又はその塩を原料として用いる。式(2)におけるR2は、炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。これらの中でもR2は、反応性、アシルオキシ化に対する安定性、結晶性、価格の観点から、炭素数1〜12のアルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基がより好ましい。
で示されるカルボン酸又はその塩を原料として用いる。式(2)におけるR2は、炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。これらの中でもR2は、反応性、アシルオキシ化に対する安定性、結晶性、価格の観点から、炭素数1〜12のアルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、その具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、及びウンデシル基等が挙げられる。これらの中でも上記したとおり、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
置換フェニル基における置換基の数は1〜5の整数であり、置換基としては、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル基、メトキシ基などが挙げられる。置換基の数が2以上の場合は、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
置換ベンジル基における置換基の数は1〜5の整数であり、置換基としては、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル基、メトキシ基などが挙げられる。置換基の数が2以上の場合は、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
式(2)で表されるカルボン酸の塩としては、例えばカルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ土類金属塩が挙げられる。上記カルボン酸のアルカリ金属塩としては、カルボン酸のリチウム塩、カルボン酸のナトリウム塩、カルボン酸のカリウム塩などが挙げられる。カルボン酸のアルカリ土類金属塩としては、カルボン酸のマグネシウム塩、カルボン酸のカルシウム塩などが挙げられる。
式(2)で示されるカルボン酸又はその塩の使用量は、特に限定されないが、式(1)で示される7−オクテン酸エステルに対して1〜10当量用いることが好ましく、2〜6当量用いることがより好ましい。式(2)で示されるカルボン酸又はその塩の使用量を上記範囲とすることにより、収率よく式(4)のアシルオキシ体を得ることができる。
(触媒)
本発明において、アシルオキシ化反応は下記式(3)
本発明において、アシルオキシ化反応は下記式(3)
で示される触媒の存在下で行う。
該触媒により、式(1)で表される7−オクテン酸エステルのアリル位がアシルオキシ化され、アシルオキシ体が生成する。
式(3)で表される触媒は、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタンと酢酸パラジウム(II)との錯体である。なお、上記式(1)及び(2)を反応させる反応系に上記式(3)で示される触媒を配合してもよいし、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタンと酢酸パラジウム(II)とを別々に反応系に配合して、反応系中にて上記式(3)で示される触媒を形成させてもよい。
触媒の使用量は特に限定されるものではないが、上記式(1)で示される7−オクテン酸エステル100モル%に対して、式(3)で示される触媒は、好ましくは0.1〜30モル%であり、より好ましくは1〜20モル%である。触媒の使用量がこれら下限値以上であると、アシルオキシ化反応が進行しやすくなり、これら上限値以下であると使用量に応じた効果を得やすくなる。
(1,4−ベンゾキノン誘導体)
本発明において、アシルオキシ化反応は、1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で行う。1,4−ベンゾキノン誘導体は、1,4−ベンゾキノン骨格を有する化合物であり、好ましくは以下の式(7)で表される化合物である。
本発明において、アシルオキシ化反応は、1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で行う。1,4−ベンゾキノン誘導体は、1,4−ベンゾキノン骨格を有する化合物であり、好ましくは以下の式(7)で表される化合物である。
上記式(7)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、又はメトキシ基である。中でも、R3及びR4は、共に水素原子であること(すなわち、式(7)が1,4−ベンゾキノンであること)が好ましい。
該1,4−ベンゾキノン誘導体を用いることにより、アシルオキシ化反応を触媒することにより還元された式(3)の触媒を酸化して元に戻すことができ、アシルオキシ化反応を継続的に進行させることができる。
上記式(1)で示される7−オクテン酸エステルに対する、1,4−ベンゾキノン誘導体の配合量は、好ましくは1〜10当量であり、より好ましくは1〜5当量である。
本発明において、アシルオキシ化反応は下記式(11)
MmXn (11)
で示される金属塩の存在下で行うことが好ましい。式(11)で示される金属塩を用いることで、アシルオキシ化反応が促進され、式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の収率が向上する。
式(11)において、Mは銀、銅、セリウム、又はマンガンであり、Xはアセトキシ基(OAc)、ベンゾイルオキシ基(OCOPh)、トリフルオロアセトキシ基(OCOCF3)、オキシ基(O)、トリフラート基(OTf)、炭酸(CO3)、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、mは1〜2の整数であり、nは1〜3の整数である。中でも、アシルオキシ化反応をより促進させる観点から、Mは銀、セリウム又はマンガンが好ましく、Xはアセトキシ基(OAc)、オキシ基(O)、トリフラート基(OTf)又は炭酸(CO3)が好ましい。更には、Mは銀又はセリウムがより好ましく、Xはアセトキシ基(OAc)又は炭酸(CO3)がより好ましい。特に、式(11)で示される金属塩としては、炭酸銀(I)が好ましい。
MmXn (11)
で示される金属塩の存在下で行うことが好ましい。式(11)で示される金属塩を用いることで、アシルオキシ化反応が促進され、式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の収率が向上する。
式(11)において、Mは銀、銅、セリウム、又はマンガンであり、Xはアセトキシ基(OAc)、ベンゾイルオキシ基(OCOPh)、トリフルオロアセトキシ基(OCOCF3)、オキシ基(O)、トリフラート基(OTf)、炭酸(CO3)、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、mは1〜2の整数であり、nは1〜3の整数である。中でも、アシルオキシ化反応をより促進させる観点から、Mは銀、セリウム又はマンガンが好ましく、Xはアセトキシ基(OAc)、オキシ基(O)、トリフラート基(OTf)又は炭酸(CO3)が好ましい。更には、Mは銀又はセリウムがより好ましく、Xはアセトキシ基(OAc)又は炭酸(CO3)がより好ましい。特に、式(11)で示される金属塩としては、炭酸銀(I)が好ましい。
式(11)で示される金属塩を用いる場合は、上記式(1)で示される7−オクテン酸エステル100モル%に対して、式(11)で示される金属塩の配合量を、1〜30モル%とすることが好ましく、1〜15モル%とすることがより好ましく、2〜10モル%とすることが特に好ましい。金属塩の配合量をこれら下限値以上とすることにより、アシルオキシ化反応を促進しやすくなり、これら上限値以下とすることにより配合量に応じた効果を得やすくなる。また、式(11)で示される金属塩と式(3)で示される触媒の配合量の比(モル比)は、金属塩:触媒=0.8:1〜4:1であることが好ましく、0.9:1〜2:1であることがより好ましく、0.9:1〜1.1:1であることが更に好ましく、等モル比(1:1)であることが特に好ましい。
(溶媒)
本発明において、アシルオキシ化反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。ここで、無溶媒とは、式(2)で示されるカルボン酸を溶媒の代わりに用いることを意味する。
溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルTHF、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して混合溶媒としてもよい。
本発明において、アシルオキシ化反応は、酢酸エチル及び1、4−ジオキサンから選ばれる少なくとも1種の溶媒中で行うか、又は無溶媒で行うことが好ましい。
本発明において、アシルオキシ化反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。ここで、無溶媒とは、式(2)で示されるカルボン酸を溶媒の代わりに用いることを意味する。
溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルTHF、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して混合溶媒としてもよい。
本発明において、アシルオキシ化反応は、酢酸エチル及び1、4−ジオキサンから選ばれる少なくとも1種の溶媒中で行うか、又は無溶媒で行うことが好ましい。
溶媒の使用量は、好ましくは式(1)で表される7−オクテン酸エステル1体積部に対して、1〜100体積部とすることが好ましく、2〜20体積部とすることがより好ましい。
(反応条件)
本発明において、アシルオキシ化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは30〜60℃であり、より好ましくは40〜50℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは10〜100時間であり、より好ましくは20〜60時間である。
本発明において、アシルオキシ化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは30〜60℃であり、より好ましくは40〜50℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは10〜100時間であり、より好ましくは20〜60時間である。
(アシルオキシ体)
上記した方法により、下記式(4)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体が得られる。式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。
なお、一般に、二重結合を末端に有する化合物を、上記した触媒を用いてアシルオキシ化する反応は、主反応物としてアリル位がアシルオキシ化された「branched product」が得られると共に、副反応物として末端がアシルオキシ化された「linear product」が得られることが知られている(例えば、Angew.Chem.Int.Ed,2008,47,1−5参照)。本発明の製造方法では、アリル位がアシルオキシ化された上記式(4)で表されるアシルオキシ体(branched product)のみが選択的に得られ、位置選択性に優れた製造方法であるといえる。
上記した方法により、下記式(4)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体が得られる。式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。
なお、一般に、二重結合を末端に有する化合物を、上記した触媒を用いてアシルオキシ化する反応は、主反応物としてアリル位がアシルオキシ化された「branched product」が得られると共に、副反応物として末端がアシルオキシ化された「linear product」が得られることが知られている(例えば、Angew.Chem.Int.Ed,2008,47,1−5参照)。本発明の製造方法では、アリル位がアシルオキシ化された上記式(4)で表されるアシルオキシ体(branched product)のみが選択的に得られ、位置選択性に優れた製造方法であるといえる。
<ヒドロホウ素化、酸化反応>
本発明においては、上記した方法で製造した式(4)で示されるアシルオキシ体をヒドロホウ素化して、酸化反応させることにより下記式(5)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシヒドロキシ体を製造することができる。
式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。
本発明においては、上記した方法で製造した式(4)で示されるアシルオキシ体をヒドロホウ素化して、酸化反応させることにより下記式(5)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシヒドロキシ体を製造することができる。
式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。
ヒドロホウ素化は、ヒドロホウ素化反応に用いられる一般のホウ素化合物を使用することができる。ホウ素化合物としては、例えば、以下の式(8)で示される化合物、該式(8)で示される化合物とヘテロ原子を有する化合物とから形成される錯体(以下ボラン錯体ともいう)などが挙げられ、これら以外にも、カテコールボランなどが挙げられる。
HmBR5 n (8)
式(8)におけるR5は炭素数1〜12の直鎖又は分岐状の炭化水素基であり、複数のR5は互いに結合し環を形成してもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数であり、m+nは3である。
上記炭素数1〜12の直鎖又は分岐状の炭化水素基は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。
式(8)におけるR5は炭素数1〜12の直鎖又は分岐状の炭化水素基であり、複数のR5は互いに結合し環を形成してもよい。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数であり、m+nは3である。
上記炭素数1〜12の直鎖又は分岐状の炭化水素基は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。
上記式(8)で示される化合物の中でも好適な化合物を例示すると、ジシアミルボラン、テキシルボラン、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9−BBN)などが挙げられる。
ボラン錯体の中でも好適な化合物を例示すると、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−メチルスルフィド錯体などが挙げられる。なお、ボラン錯体は、ヒドロホウ素化を行う反応系中で生成させてもよく、例えば、溶媒としてテトラヒドロフランを用いている場合において、水素化ホウ素ナトリウム(NaNH4)及び硫酸、又はボロントリフルオリド・エチルエーテル錯体(BF3・OEt2)を溶媒に配合することにより、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を生成させることができる。
ボラン錯体の中でも好適な化合物を例示すると、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−メチルスルフィド錯体などが挙げられる。なお、ボラン錯体は、ヒドロホウ素化を行う反応系中で生成させてもよく、例えば、溶媒としてテトラヒドロフランを用いている場合において、水素化ホウ素ナトリウム(NaNH4)及び硫酸、又はボロントリフルオリド・エチルエーテル錯体(BF3・OEt2)を溶媒に配合することにより、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を生成させることができる。
上記したホウ素化合物の中でも、特に好ましい化合物は、ボラン−テトラヒドロフラン錯体又は9−BBNであり、9−BBNが最も好ましい。
ホウ素化合物の使用量は特に限定されないが、式(4)で示されるアシルオキシ体に対して、好ましくは1〜10当量であり、より好ましくは1〜5当量である。
ヒドロホウ素化反応に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレンなどが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテルが好ましい。
ヒドロホウ素化反応における溶媒の使用量は、式(4)で表されるアシルオキシ体1体積部に対して、1〜100体積部とすることが好ましく、2〜20体積部とすることがより好ましい。
(反応条件)
ヒドロホウ素化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは−20〜50℃であり、より好ましくは−5〜40℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは1〜20時間であり、より好ましくは2〜10時間である。
ヒドロホウ素化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは−20〜50℃であり、より好ましくは−5〜40℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは1〜20時間であり、より好ましくは2〜10時間である。
ヒドロホウ素化反応を行った後に、酸化反応を行う。酸化反応は、塩基性物質及び過酸化水素を添加することで行われ、より詳細には、ヒドロホウ素化反応を行った反応溶液に、塩基性物質を添加して塩基性とし、さらに過酸化水素を添加することにより行うことが好ましい。
塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシドなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが好ましい。
塩基性物質の使用量は、式(4)で表されるアシルオキシ体に対して、3〜20当量が好ましく、4〜10当量がより好ましい。
塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシドなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが好ましい。
塩基性物質の使用量は、式(4)で表されるアシルオキシ体に対して、3〜20当量が好ましく、4〜10当量がより好ましい。
上記した塩基性物質を加えて、塩基性とした後、過酸化水素を添加して酸化反応を行う。
過酸化水素の使用量は、式(4)で表されるアシルオキシ体に対して、5〜30当量が好ましく、10〜30当量がより好ましい。
過酸化水素の使用量は、式(4)で表されるアシルオキシ体に対して、5〜30当量が好ましく、10〜30当量がより好ましい。
酸化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは−20〜50℃であり、より好ましくは−5〜40℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜10時間であり、より好ましくは1〜5時間である。
以上のように、式(4)で示されるアシルオキシ体をヒドロホウ素化して、酸化することにより式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を得ることができる。
以上のように、式(4)で示されるアシルオキシ体をヒドロホウ素化して、酸化することにより式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を得ることができる。
<脱アシル化反応>
本発明において、上記した方法で製造した式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を脱アシル化反応させることにより、下記式(6)で示されるα−リポ酸中間体を製造することができる。
式中R1は、上記式(1)中のR1と同義である。
脱アシル化は、塩基性物質及び酸性物質から選択される脱アシル化剤により行うことができる。前記塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミンなどが挙げられる。前記酸性物質としては、特に制限されないが例えば、塩酸、硫酸などが挙げられる。脱アシル化剤としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドが好ましい。
脱アセチル化剤の使用量は、式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体に対して、0.01〜100当量が好ましく、0.1〜10当量がより好ましい。
本発明において、上記した方法で製造した式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を脱アシル化反応させることにより、下記式(6)で示されるα−リポ酸中間体を製造することができる。
脱アシル化は、塩基性物質及び酸性物質から選択される脱アシル化剤により行うことができる。前記塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミンなどが挙げられる。前記酸性物質としては、特に制限されないが例えば、塩酸、硫酸などが挙げられる。脱アシル化剤としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドが好ましい。
脱アセチル化剤の使用量は、式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体に対して、0.01〜100当量が好ましく、0.1〜10当量がより好ましい。
(溶媒)
脱アシル化反応は、上記式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を溶媒に溶解させた後、上記脱アシル化剤を添加して行うことが好ましい。
好適に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、などを挙げられる。
脱アシル化反応は、上記式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を溶媒に溶解させた後、上記脱アシル化剤を添加して行うことが好ましい。
好適に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、などを挙げられる。
(反応条件)
脱アシル化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは−10〜100℃であり、より好ましくは0〜80℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜5時間であり、より好ましくは0.1〜3時間である。
以上のように、式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を、脱アシル化することにより、式(6)で示されるα−リポ酸中間体を製造することができる。
該α−リポ酸中間体は、従来よりも反応工程を少なくして製造できるため、簡便かつ低コストで製造することができる。
脱アシル化反応を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは−10〜100℃であり、より好ましくは0〜80℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜5時間であり、より好ましくは0.1〜3時間である。
以上のように、式(5)で示されるアシルオキシヒドロキシ体を、脱アシル化することにより、式(6)で示されるα−リポ酸中間体を製造することができる。
該α−リポ酸中間体は、従来よりも反応工程を少なくして製造できるため、簡便かつ低コストで製造することができる。
<α−リポ酸の製造>
上記した式(6)で示されるα−リポ酸中間体を用いて、公知の方法(例えば、上述した非特許文献3の方法)を適用することにより、容易にα−リポ酸を得ることができる。例えば、以下のようにしてα−リポ酸を得ることができる。
まず、上記した式(6)で示されるα−リポ酸中間体を、メタンスルホニルクロリド(MeSO2Cl)と反応させて下記式(9)で示されるα−リポ酸エステルを得ることができる。
式中R1は、上記式(1)中のR1と同義である。
α−リポ酸中間体とメチルスルホニルクロライドとを反応させる際には、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基の存在下で行うことが好ましい。反応させる際に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、THFなどが挙げられる。
上記した式(6)で示されるα−リポ酸中間体を用いて、公知の方法(例えば、上述した非特許文献3の方法)を適用することにより、容易にα−リポ酸を得ることができる。例えば、以下のようにしてα−リポ酸を得ることができる。
まず、上記した式(6)で示されるα−リポ酸中間体を、メタンスルホニルクロリド(MeSO2Cl)と反応させて下記式(9)で示されるα−リポ酸エステルを得ることができる。
式中R1は、上記式(1)中のR1と同義である。
α−リポ酸中間体とメチルスルホニルクロライドとを反応させる際には、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基の存在下で行うことが好ましい。反応させる際に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、THFなどが挙げられる。
次に、上記式(9)で示されるα−リポ酸エステルを加水分解して、下記式(10)で示されるα−リポ酸を得ることができる。
加水分解は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて行うことができ、例えば、式(9)で示されるα−リポ酸エステルをエタノールなどの有機溶媒に溶解させて、前記した塩基の水溶液を滴下するとよい。
加水分解は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて行うことができ、例えば、式(9)で示されるα−リポ酸エステルをエタノールなどの有機溶媒に溶解させて、前記した塩基の水溶液を滴下するとよい。
以下、本発明をさらに具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
4aの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
4aの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
スクリュー管瓶(4mL、ホウ珪酸)に、合成した1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン・酢酸パラジウム錯体10mg(0.020mmol,White catalyst)、1,4−ベンゾキノン43.2mg(0.400mmol)、1,4−ジオキサン0.7mLを導入した。7−オクテン酸エチル1a 0.400M(0.200mmol)とニトロベンゼン 0.160M(0.080mmol、内部標準)の1,4−ジオキサン溶液0.5mLをアルゴン雰囲気下で反応混合物に加えた。そして、酢酸2a 0.046mL(0.80mmol)を空気雰囲気下で反応混合物に加えた。反応混合物をアルミプレートにより45℃で48時間加熱した。48時間後に一定量取り出し、ジエチルエーテルを用いてガラスファイバーフィルターでろ過し、GC(ガスクロマトグラフィー)により、6−アセトキシ−7−オクテン酸エチル4aが生成していることを確認し、転化率(91.2%)、収率(4a 37.6mg,82.3%)を求めた。
GC分析は、Agilent J&W Scientific DB−5カラム(30m×0.250mm)を備えた島津製作所製GC−2014ガスクロマトグラフを用いて、INJ温度300℃、DET温度320℃の条件で行った。最初に100℃で1分間保持した後、カラムを20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、9分間保持した。リテンションタイム(分)は、以下のとおりであった。1,4−ベンゾキノン=2.86、ニトロベンゼ=3.99、7−オクテン酸=4.53、7−オクテン酸エチル=4.56、ヒドロキノン=5.13、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン=6.09、6−アセトキシ−7−オクテン酸エチル=6.63。
なお、4a以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
GC分析は、Agilent J&W Scientific DB−5カラム(30m×0.250mm)を備えた島津製作所製GC−2014ガスクロマトグラフを用いて、INJ温度300℃、DET温度320℃の条件で行った。最初に100℃で1分間保持した後、カラムを20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、9分間保持した。リテンションタイム(分)は、以下のとおりであった。1,4−ベンゾキノン=2.86、ニトロベンゼ=3.99、7−オクテン酸=4.53、7−オクテン酸エチル=4.56、ヒドロキノン=5.13、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン=6.09、6−アセトキシ−7−オクテン酸エチル=6.63。
なお、4a以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
(実施例2)
4bの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
4bの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
ジオキサン1.5mLに7−オクテン酸エチル1a 50mg(0.294mmol)を溶解させた溶液をシュレンク管に導入した。さらに、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン・酢酸パラジウム錯体7.4mg(0.015mmol)、1,4−ベンゾキノン63.5mg(0.587mmol)、及び安息香酸2b 72.0mg(0.588mmol)を加えた。反応混合物を空気雰囲気下において、45℃で48時間攪拌した。48時間後に反応を止めて、未精製物について、内部標準としてトリフェニルメタンを用いた1H-NMR分析を行い、転化率(68%)及び収率(68%)を求めた。NMR分析に用いた試料を戻し、反応混合物をセライト濾過させて、濾過物を重水5.0mLで薄めて、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。相分離後、水層を除去して、有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:3%の酢酸エチルを含むヘキサン)により精製し、さらに分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:10%の酢酸エチルを含むヘキサン)により再度精製し、無色オイル状の8−エトキシ−8−オキソオクト−1−エン−3−イル ベンゾエート 4b(25.0mg、0.086mmol、収率29%)を得た。
同定を、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、及び質量分析(HRMS)により行い、以下の結果が得られ、4bが合成できていることが確認できた。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ8.05(dd,J=8.3,1.4Hz,2H),7.55(t,J=7.4Hz,1H),7.44(t,J=7.7Hz,2H),5.89(ddd,J=17.0,10.5,6.2Hz,1H),5.49(q,J=6.3Hz,1H),5.32(d,J=17.2Hz,1H),5.20(d,J=10.5Hz,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),2.30(t,J=7.5Hz,2H),1.89−1.58(m,4H),1.55−1.35(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3) δ 173.5,165.8,136.4,132.9,130.5,129.6,128.3,116.8,75.0,60.2,34.2,34.0,24.8,24.6,14.2;
HRMS:[M]+ C17H22O4の計算値=290.1518;実測値=290.1519
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ8.05(dd,J=8.3,1.4Hz,2H),7.55(t,J=7.4Hz,1H),7.44(t,J=7.7Hz,2H),5.89(ddd,J=17.0,10.5,6.2Hz,1H),5.49(q,J=6.3Hz,1H),5.32(d,J=17.2Hz,1H),5.20(d,J=10.5Hz,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),2.30(t,J=7.5Hz,2H),1.89−1.58(m,4H),1.55−1.35(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3) δ 173.5,165.8,136.4,132.9,130.5,129.6,128.3,116.8,75.0,60.2,34.2,34.0,24.8,24.6,14.2;
HRMS:[M]+ C17H22O4の計算値=290.1518;実測値=290.1519
(実施例3)
4cの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
4cの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
ジオキサン1.5mLに7−オクテン酸エチル1a 50mg(0.294mmol)を溶解させた溶液をシュレンク管に導入した。さらに、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン・酢酸パラジウム錯体7.4mg(0.015mmol)、1,4−ベンゾキノン63.5mg(0.587mmol)、及び4−ニトロ安息香酸2c 98.3mg(0.588mmol)を加えた。反応混合物を、空気雰囲気下において45℃で48時間攪拌した。48時間後に反応を止めて、10%酢酸エチルを含むヘキサンを展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーにより、反応追跡を行った。その結果、転化率は99%超であり、原料は残っていなかった。反応混合物をセライト濾過させて、濾過物を重水5.0mLで薄めて、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。相分離後、水層を除去して、有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:3%の酢酸エチルを含むヘキサン)により精製し、無色オイル状の8−エトキシ−8−オキソオクト−1−エン−3−イル 4−ニトロベンゾエート 4c(70.0mg、0.21mmol、収率71%)を得た。
なお、4c以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
なお、4c以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
同定を、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、及び質量分析(HRMS)により行い、以下の結果が得られ、4cが合成できていることが確認できた。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ8.29(d,J=8.9Hz,2H),8.21(d,J=8.9Hz,2H),5.88(ddd,J=17.2,10.5,6.6Hz,1H),5.51(q,J=6.6Hz,1H),5.34(d,J=17.2Hz,1H),5.25(d,J=10.5Hz,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),1.91−1.61(m,4H),1.52−1.36(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ173.4,163.9,150.6,135.9,135.7,130.7,123.5,117.7,76.4,60.3,34.1,33.9,24.7,24.6,14.2;
HRMS:[M]+ C17H21NO6の計算値=335.1369;実測値=335.1366
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ8.29(d,J=8.9Hz,2H),8.21(d,J=8.9Hz,2H),5.88(ddd,J=17.2,10.5,6.6Hz,1H),5.51(q,J=6.6Hz,1H),5.34(d,J=17.2Hz,1H),5.25(d,J=10.5Hz,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),1.91−1.61(m,4H),1.52−1.36(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ173.4,163.9,150.6,135.9,135.7,130.7,123.5,117.7,76.4,60.3,34.1,33.9,24.7,24.6,14.2;
HRMS:[M]+ C17H21NO6の計算値=335.1369;実測値=335.1366
(実施例4)
4cの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
4cの合成(式(4)で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
オーブンで乾燥した4mLバイアルに、ジオキサン0.5mLに7−オクテン酸エチル1a 51.1mg(0.3mmol)を溶解させた溶液を導入し、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン・酢酸パラジウム錯体3.8mg(0.0075mmol)、炭酸銀(I)4.2mg(0.015mmol)、1,4−ベンゾキノン64.8mg(0.600mmol)、及び4−ニトロ安息香酸2c 100.4mg(0.6mmol)を加えた。加え終わった後にバイアルの蓋を閉め、反応混合物を、空気雰囲気下において45℃で24時間攪拌した。24時間後に反応を止めて、内部標準としてメシチレンを用いたガスクロマトグラフィーにより分析したところ、転化率は90%、収率は89%であった。反応混合物を減圧下濃縮した。その後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:10%の酢酸エチルを含むヘキサン)により精製し、無色オイル状の8−エトキシ−8−オキソオクト−1−エン−3−イル 4−ニトロベンゾエート 4c(80.0mg、0.238mmol、収率80%)を得た。
なお、4c以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
なお、4c以外のアシルオキシ体の生成は確認されなかった。
同定を、核磁気共鳴スペクトル(1H NMR、13C NMR)により行い、以下の結果が得られ、4cが合成できていることが確認できた。
1H NMR(400 MHz,CDCl3) δ8.28(d,J=9.1Hz,2H),8.20(d,J=9.0Hz,2H),5.88(ddd,J=17.1,10.5,6.5Hz,1H),5.55−5.45(m,1H),5.34(dt,J=17.2,1.2Hz,1H),5.25(dt,J=10.5,1.1Hz,1H),4.10(q,2H),2.30(t,2H),1.91−1.61(m,4H),1.52−1.36(m,2H),1.23(t,J=7.2Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3) δ173.49,164.03,150.69,136.66,136.03,135.85,130.81,123.65,117.81,60.38,34.22,33.99,24.79,24.73,14.35.
1H NMR(400 MHz,CDCl3) δ8.28(d,J=9.1Hz,2H),8.20(d,J=9.0Hz,2H),5.88(ddd,J=17.1,10.5,6.5Hz,1H),5.55−5.45(m,1H),5.34(dt,J=17.2,1.2Hz,1H),5.25(dt,J=10.5,1.1Hz,1H),4.10(q,2H),2.30(t,2H),1.91−1.61(m,4H),1.52−1.36(m,2H),1.23(t,J=7.2Hz,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl3) δ173.49,164.03,150.69,136.66,136.03,135.85,130.81,123.65,117.81,60.38,34.22,33.99,24.79,24.73,14.35.
(実施例5)
炭酸銀(I)を加えなかったこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は65%、収率は63%であった。
炭酸銀(I)を加えなかったこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は65%、収率は63%であった。
(実施例6)
炭酸銀(I)の添加量を1.7mg(0.0060mmol)とし、反応時間を48時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は75%、収率は73%であった。
炭酸銀(I)の添加量を1.7mg(0.0060mmol)とし、反応時間を48時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は75%、収率は73%であった。
(実施例7)
炭酸銀(I)の添加量を2.1mg(0.0075mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は96%、収率は96%であった。
炭酸銀(I)の添加量を2.1mg(0.0075mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は96%、収率は96%であった。
(実施例8)
炭酸銀(I)の添加量を8.3mg(0.030mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は81%、収率は73%であった。
炭酸銀(I)の添加量を8.3mg(0.030mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は81%、収率は73%であった。
(実施例9)
反応を酸素雰囲気下で行ったこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は84%、収率は82%であった。
反応を酸素雰囲気下で行ったこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は84%、収率は82%であった。
(実施例10)
1,4−ベンゾキノンの添加量を48.6mg(0.450mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は80%、収率は77%であった。
1,4−ベンゾキノンの添加量を48.6mg(0.450mmol)としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は80%、収率は77%であった。
(実施例11)
炭酸銀(I)4.2mg(0.015mmol)に加え、酢酸銅(II)を2.72mg(0.015mmol)加えたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は87%、収率は84%であった。
炭酸銀(I)4.2mg(0.015mmol)に加え、酢酸銅(II)を2.72mg(0.015mmol)加えたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は87%、収率は84%であった。
(実施例12)
反応容器として用いたバイアルを、冷却管を付けた反応容器に変えたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は82%、収率は80%であった。
反応容器として用いたバイアルを、冷却管を付けた反応容器に変えたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は82%、収率は80%であった。
(実施例13)
ジオキサン0.25mLに7−オクテン酸エチル1a 51.1mg(0.3mmol)を溶解させた溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は84%、収率は81%であった。
ジオキサン0.25mLに7−オクテン酸エチル1a 51.1mg(0.3mmol)を溶解させた溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は84%、収率は81%であった。
(実施例14)
炭酸銀(I)の添加量を2.1mg(0.0075mmol)とし、反応時間を14時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は99%、収率は94%であった。
炭酸銀(I)の添加量を2.1mg(0.0075mmol)とし、反応時間を14時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は99%、収率は94%であった。
(実施例15)
炭酸銀(I)の添加量を0.83mg(0.0030mmol)とし、反応時間を48時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は93%、収率は91%であった。
炭酸銀(I)の添加量を0.83mg(0.0030mmol)とし、反応時間を48時間としたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は93%、収率は91%であった。
(実施例16)
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(II)3.9mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は82%、収率は81%であった。
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(II)3.9mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は82%、収率は81%であった。
(実施例17)
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(II)1.9mg(0.0075mmol)および酢酸マンガン(III)1.7mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は75%、収率は74%であった。
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(II)1.9mg(0.0075mmol)および酢酸マンガン(III)1.7mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は75%、収率は74%であった。
(実施例18)
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(III)一水和物2.5mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は83%、収率は80%であった。
炭酸銀(I)の代わりに酢酸セリウム(III)一水和物2.5mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は83%、収率は80%であった。
(実施例19)
炭酸銀(I)の代わりに炭酸セリウム(III)3.5mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は87%、収率は86%であった。
炭酸銀(I)の代わりに炭酸セリウム(III)3.5mg(0.0075mmol)を用いたこと以外は実施例4と同様にして反応を行い4cを合成した。反応終了後の転化率は87%、収率は86%であった。
(実施例20)
6−アセトキシ−8−ヒドロキシオクタン酸エチルの合成(式(5)で示されるアセトキシヒドロキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
6−アセトキシ−8−ヒドロキシオクタン酸エチルの合成(式(5)で示されるアセトキシヒドロキシ体の合成)
下記式で示される反応を行った。
6−アセトキシ−7−オクテン酸エチル100mg(0.438mmol)をシュレンク管に導入して、9−BBN(0.5MのTHF溶液、2.6mL、1.314mmol)をアルゴン雰囲気下にて0℃で加えて、反応混合物を5時間攪拌し、出発原料が完全に消費されたのをTLCで確認した。反応混合物を0℃に冷却し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液1.0mLと30%過酸化水素水1.0mLを加えた。2時間室温で攪拌した後、反応混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。相分離後、水層を除去し、有機層を塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:30%の酢酸エチルを含む石油エーテル)により精製し、溶離液から、無色オイル状の6−アセトキシ−8−ヒドロキシオクタン酸エチル49mg(0.199mmol)を得た。収率は45%であった。
同定を赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、及び質量分析(HRMS)により行い、以下の結果が得られ、6−アセトキシ−8−ヒドロキシオクタン酸エチルが合成できていることが確認できた。
IR (KBr): νmax=3030,2868,1754,1496,1363,1164,1097,737,698cm−1;
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 5.05−4.93(m,1H),4.10(q,J=7.2Hz,2H),3.69−3.56(m,1H),3.54−3.46(m,1H),2.46(bs,1H),2.27(t,J=7.4Hz,2H),2.05(s,3H),1.86−1.74(m,1H),1.70−1.48(m,5H),1.42−1.26(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H);
13C NMR (101MHz,CDCl3) δ 173.61,171.97,71.45,60.36,58.66,37.54,34.35,34.24,25.07,24.78,21.19,14.33;
HRMS: [M+Na]+ C12H22NaO5の計算値=269.1365; 実測値=269.1359.
IR (KBr): νmax=3030,2868,1754,1496,1363,1164,1097,737,698cm−1;
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 5.05−4.93(m,1H),4.10(q,J=7.2Hz,2H),3.69−3.56(m,1H),3.54−3.46(m,1H),2.46(bs,1H),2.27(t,J=7.4Hz,2H),2.05(s,3H),1.86−1.74(m,1H),1.70−1.48(m,5H),1.42−1.26(m,2H),1.23(t,J=7.1Hz,3H);
13C NMR (101MHz,CDCl3) δ 173.61,171.97,71.45,60.36,58.66,37.54,34.35,34.24,25.07,24.78,21.19,14.33;
HRMS: [M+Na]+ C12H22NaO5の計算値=269.1365; 実測値=269.1359.
(実施例21)
6,8−ジヒドロキシオクタン酸エチルの合成(式(6)で示されるα−リポ酸中間体の合成)
下記式で示される反応を行った。
6,8−ジヒドロキシオクタン酸エチルの合成(式(6)で示されるα−リポ酸中間体の合成)
下記式で示される反応を行った。
6−アセトキシ−8−ヒドロキシオクタン酸エチル100mg(0.406mmol)をエタノール1mLに溶解させた溶液をシュレンク管に導入して、20%のナトリウムエトキシドのエタノール溶液(0.14mL、0.411mmol)を室温、アルゴン雰囲気下で加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、出発原料の消失をTLCで確認した。そして、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(5.0mL)により停止させ、反応混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。相分離後、水層を除去し、有機層を塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:50%の酢酸エチルを含む石油エーテル)により精製し、溶離液から、無色オイル状の6,8−ジヒドロキシオクタン酸エチル65mg(0.318mmol)を得た。収率は78%であった。
同定を赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、及び質量分析(HRMS)により行い、以下の結果が得られ、6,8−ジヒドロキシオクタン酸エチルが合成できていることが確認できた。
IR (KBr): νmax=3030,2868,1754,1496,1363,1164,1097,737,698cm−1;
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 4.09(q,J=7.1Hz,2H),3.88−3.71(m,3H),3.15(s,2H),2.28(t,J=7.4Hz,2H),1.73−1.54(m,4H),1.54−1.27(m,4H),1.22(t,J=7.1Hz,3H);
13C NMR (101MHz,CDCl3) δ 174.02,71.60,61.56,60.41,38.43,37.36,34.32,25.10,24.87,14.30;
HRMS: [M+Na]+ C10H20NaO4の計算値=227.1259;実測値=227.1254.
IR (KBr): νmax=3030,2868,1754,1496,1363,1164,1097,737,698cm−1;
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 4.09(q,J=7.1Hz,2H),3.88−3.71(m,3H),3.15(s,2H),2.28(t,J=7.4Hz,2H),1.73−1.54(m,4H),1.54−1.27(m,4H),1.22(t,J=7.1Hz,3H);
13C NMR (101MHz,CDCl3) δ 174.02,71.60,61.56,60.41,38.43,37.36,34.32,25.10,24.87,14.30;
HRMS: [M+Na]+ C10H20NaO4の計算値=227.1259;実測値=227.1254.
Claims (6)
- 下記式(1)
(式中R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジフェニルシリル基である。)
で示される7−オクテン酸エステルと、下記式(2)
(式中R2は炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換フェニル基、置換又は非置換ベンジル基、ベンズヒドリル基、又はトリチル基である。)
で示されるカルボン酸又はその塩とを、下記式(3)
で示される触媒、及び1,4−ベンゾキノン誘導体の存在下で反応させる、下記式(4)
(式中のR1及びR2は、それぞれ上記式(1)中のR1、上記式(2)中のR2と同義である。)
で示される7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。 - 下記式(11)
MmXn (11)
(式中、Mは銀、銅、セリウム、又はマンガンであり、Xはアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、オキシ基、トリフラート基、炭酸、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、mは1〜2の整数であり、nは1〜3の整数である。)
で示される金属塩の存在下で行う、請求項1に記載の7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019236818 | 2019-12-26 | ||
JP2019236818 | 2019-12-26 |
Publications (1)
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JP2020193090A Pending JP2021104992A (ja) | 2019-12-26 | 2020-11-20 | 7−オクテン酸エステルのアシルオキシ体の製造方法、及び該アシルオキシ体を用いたα−リポ酸中間体の製造方法 |
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JP (1) | JP2021104992A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022270499A1 (ja) | 2021-06-24 | 2022-12-29 | 千住金属工業株式会社 | フラックス及びソルダペースト |
-
2020
- 2020-11-20 JP JP2020193090A patent/JP2021104992A/ja active Pending
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WO2022270499A1 (ja) | 2021-06-24 | 2022-12-29 | 千住金属工業株式会社 | フラックス及びソルダペースト |
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