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JP2021098924A - スパンボンド不織布、プリーツ成形体、集塵機フィルターおよび大風量パルスジェットタイプ集塵機 - Google Patents

スパンボンド不織布、プリーツ成形体、集塵機フィルターおよび大風量パルスジェットタイプ集塵機 Download PDF

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JP2021098924A JP2020213301A JP2020213301A JP2021098924A JP 2021098924 A JP2021098924 A JP 2021098924A JP 2020213301 A JP2020213301 A JP 2020213301A JP 2020213301 A JP2020213301 A JP 2020213301A JP 2021098924 A JP2021098924 A JP 2021098924A
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貴良 生野
Takayoshi Ikuno
貴良 生野
仁 溝上
Hitoshi Mizogami
仁 溝上
幸司 北村
Koji Kitamura
幸司 北村
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Abstract

【課題】 耐久性に優れ、プリーツ成形にも好適なスパンボンド不織布とこれを用いてなるプリーツ成形体を提供すること。【解決手段】 高融点成分と低融点成分とからなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着されてなるスパンボンド不織布であって、繊維配向度が0度以上20度以下の熱可塑性連続フィラメントの割合が30%以上60%以下であり、融着部の面積割合が5%以上20%以下であるスパンボンド不織布、およびこれを用いてなるプリーツ成形体。【選択図】 なし

Description

本発明は、スパンボンド不織布およびプリーツ成形体に関するものである。
従来から、粉塵の発生する作業環境に対し、粉塵の除去および回収を目的とする集塵機が用いられてきた。この集塵機のフィルターとしては、プリーツされた形状で使用されることが知られており、プリーツすることにより濾過面積を大幅に向上させ、圧力損失を低減させたり、捕集効率を高めたりすることを可能としている。
ところでこのような集塵機のプリーツフィルターでは、ある一定の圧力損失に達したところで内側から圧縮エアー等を噴射し、濾材表面に付着したダストを払い落とす、いわゆる逆洗が一般的となっている。特に、プリーツフィルターは、「粉塵捕集−逆流エアーによる粉塵の払い落とし」の工程が繰り返される中で、プリーツ頂点部がエアーの圧力により何度も屈曲させられる状態になるため、プリーツ成形体であるプリーツフィルターは、連続して所定の頂点部を有する形状を保持する特性(以下、単に形状保持性と記載する)と、逆洗時などの際における変形から元の所定の形状に戻ることのできる特性(以下、単に形状復元性と記載する)との2つの特性を有していることが求められている。
ところで、これまでに耐久性を有する不織布基材として、例えば、特許文献1には、熱可塑性連続フィラメントが部分的に融着されて一体化した不織布が開示されている。また、特許文献2には、高融点重合体からなる繊維と低融点重合体とからなる複合繊維で構成され、部分的に融着されたスパンボンド不織布であって、不織布の表層部の繊維が、低融点重合体が溶融または軟化することにより互いに融着していることを特徴とするフィルター用不織布が開示されている。
特開2010−121241号公報 特開2005−007268号公報
プリーツフィルターに用いられるようなプリーツ成形体の製造方法としては、一般に基材を繰り返し折り曲げながら融着することで加工していくレシプロ法が採用される。しかしながら、耐久性を向上させようとして、特許文献1に開示されるような部分的融着部を設けた場合、プリーツ成形体の頂点部においてひび割れが生じやすくなるという課題がある。特に部分的融着部の割合が大きくなるにつれて、その傾向は顕著となる。一方、特許文献2に開示されるような技術では、バインダー繊維により表面に熱可塑性樹脂組成物が溶出して固着しているため、特許文献1と同様にプリーツ頂点部においてひび割れが生じやすくなるという課題がある。
このような課題に対し、特許文献1や2に開示されるような技術において、プリーツ頂点部におけるひび割れを防ぐために、基材の目付を高めることも考えられる。しかしながら、目付を高くした基材をプリーツフィルターとして用いた場合、プリーツ頂点部が鈍角となるため、フィルターの圧力損失が増加し、フィルターとしての寿命が短くなる傾向にある。
そこで本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐久性に優れ、プリーツ成形にも好適なスパンボンド不織布とこれを用いてなるプリーツ成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、繊維ウェブを形成する工程において、特定の方法で熱可塑性連続フィラメントを開繊し、特定の繊維配向の繊維を一定量、含有させることによって、プリーツフィルターに好適なスパンボンド用不織布を得る方法を見出し、これによってプリーツ成形体を形成する時の成形性を顕著に向上できるという知見を得た。さらに、このスパンボンド不織布が、プリーツ成形体あるいはプリーツフィルターとした場合の形状保持性、形状復元性にも優れることも判明した。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明のスパンボンド不織布は、高融点成分と低融点成分とからなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着されてなるスパンボンド不織布であって、繊維配向度が0度以上20度以下の熱可塑性連続フィラメントの割合が30%以上60%以下であり、融着部の面積割合が5%以上20%以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の熱可塑性連続フィラメントが、熱可塑性樹脂組成物Aの周りに熱可塑性樹脂組成物Bが配されてなる複合型フィラメントである。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布の目付CV値が5%以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布のP1方向の剛軟度が10mN以上100mN以下であって、かつ、前記のスパンボンド不織布のP方向の剛軟度のP方向の剛軟度に対する比が3以上である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径が12μm以上26μm以下である。
また、本発明のプリーツ成形体は、前記のスパンボンド不織布から構成されてなる。
本発明のプリーツ成形体の好ましい態様によれば、前記のプリーツ成形体のばね定数が4.0×10−3N/mm以上1.0×10−2N/mm以下である。
本発明によれば、特定の繊維配向の繊維を一定量含有した、プリーツ加工性に優れたスパンボンド不織布が得られる。また、本発明のスパンボンド不織布によれば、効率的に、かつ安定して上記の性能を有するプリーツ成形体を製造することができる。
図1は、本発明のプリーツ成形体を例示する概要斜視図である。 図2は、本発明のスパンボンド不織布の表面の一態様を例示する拡大上面図である。 図3は、本発明のプリーツ成形体のばね定数の測定方法を説明する概要斜視図である。 図4は、本発明の実施例にかかるプリーツ形状安定性試験を実施する試験システムの構成を説明するための図である。 図5は、本発明の実施例にかかるプリーツ形状安定性試験における測定用ユニットUを説明するための図である。
本発明のスパンボンド不織布は、高融点成分と低融点成分とからなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着されてなるスパンボンド不織布であって、繊維配向度が0度以上20度以下の熱可塑性連続フィラメントの割合が30%以上60%以下であり、融着部の面積割合が5%以上20%以下である。以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
(熱可塑性連続フィラメント)
本発明のスパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの原料となる熱可塑性樹脂としては、特に、ポリエステルが好ましく用いられる。ポリエステルは、酸成分とアルコール成分をモノマーとする高分子重合体である。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコール等を用いることができる。
また、ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート等が挙げられる。後述する高融点重合体として用いられるポリエステルとしては、融点が高く耐熱性に優れ、かつ剛性にも優れたPETが最も好ましく用いられる。
また、これらのポリエステル原料には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/または脂肪族モノアミドおよび親水剤等の添加剤を添加することができる。中でも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また不織布の熱ロールによる融着成形の際、熱伝導性を増すことにより不織布の融着性を向上させる効果がある。また、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドは、熱ロールと不織布ウェブ間の離型性を高め、搬送性を向上させる効果がある。
次に、本発明のスパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントは、高融点成分と低融点成分とからなる。熱可塑性連続フィラメントは、高融点成分であるポリエステル系高融点重合体の周りに、そのポリエステル系高融点重合体の融点に対して、10℃以上140℃以下低い融点を有する低融点成分であるポリエステル系低融点重合体を配した複合型フィラメントである態様が好ましい。このようにすることで、融着によりスパンボンド不織布を形成した際、スパンボンド不織布を構成する複合型ポリエステル繊維(フィラメント)同士が強固に融着するため、スパンボンド不織布は機械強度に優れ、高風量下での粉塵処理にも十分耐えることができる。
本発明におけるポリエステル系低融点重合体の融点は、ポリエステル系高融点重合体の融点に対して、10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上低くすることで、所望の融着性を確保することができる。一方、ポリエステル系低融点重合体の融点を、ポリエステル系高融点重合体の融点より140℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下低くすることで耐熱性の低下を防ぐことができる。
本発明におけるポリエステル系高融点重合体の融点は、200℃以上320℃以下の範囲であることが好ましい。ポリエステル系高融点重合体の融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上とすることにより、耐熱性に優れるフィルターを得ることができる。一方、ポリエステル系高融点重合体の融点を好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下とすることにより、不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。
一方、ポリエステル系低融点重合体の融点は、160℃以上250℃以下の範囲であることが好ましい。ポリエステル系低融点重合体の融点を好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上とすることにより、プリーツ加工時の熱セット等、プリーツフィルター製造時に熱が加わる工程を通過しても形状保持性に優れる。一方、ポリエステル系低融点重合体の融点を好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下とすることにより、不織布製造時の融着性に優れ、機械的強度に優れるフィルターを得ることができる。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂の融点は、示差走査型熱量計(例えば、株式会社パーキンエルマージャパン製「DSC−2」型)を用い、昇温速度20℃/分、測定温度範囲30℃から300℃の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を当該熱可塑性樹脂の融点とする。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が溶融した温度を融点とする。
熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、対となるポリエステル系高融点重合体とポリエステル系低融点重合体の組み合わせ(以下、ポリエステル系高融点重合体/ポリエステル系低融点重合体の順に記載することがある)としては、例えば、PET/PBT、PET/PTT、PET/ポリ乳酸、およびPET/共重合PET等の組み合わせを挙げることができ、これらの中でも、紡糸性に優れることからPET/共重合PETの組み合わせが好ましく用いられる。また、共重合PETの共重合成分としては、特に紡糸性に優れることから、イソフタル酸共重合PETが好ましく用いられる。
複合型フィラメントの複合形態については、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等が挙げられ、なかでも、フィラメント同士を均一かつ強固に融着させることができることから同心芯鞘型のものが好ましい。さらにその複合型フィラメントの断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等の形状が挙げられる。なかでも、フィラメントの断面形状としては円形断面の形状のものを用いることが好ましい態様である。
ところで、前記の複合型フィラメントの形態には、例えば、ポリエステル系高融点重合体からなる繊維とポリエステル系低融点重合体からなる繊維を混繊させる方法もあるが、混繊させる方法の場合、均一な融着が難しく、例えば、ポリエステル系高融点重合体からなる繊維が密集しているところでは融着が弱くなり、機械的強度や剛性が劣り、スパンボンド不織布として適さないものとなる。一方、ポリエステル系高融点重合体からなる繊維に対し、低融点重合体を浸漬やスプレー等で付与する方法もあるが、いずれも表層や厚さ方向で均一な付与が難しく、機械的強度や剛性が劣り、スパンボンド不織布として好ましくないものとなる。
熱可塑性連続フィラメントにおけるポリエステル系高融点重合体とポリエステル系低融点重合体との含有比率は、質量比で90:10〜60:40の範囲であることが好ましく、85:15〜70:30の範囲がより好ましい態様である。ポリエステル系高融点重合体を60質量%以上90質量%以下とすることにより、スパンボンド不織布の剛性と耐熱性を優れたものとすることができる。一方、ポリエステル系低融点重合体を10質量%以上40質量%以下とすることにより、融着によりスパンボンド不織布を形成し使用した際、スパンボンド不織布を構成する複合型フィラメント同士を強固に融着でき、機械的強度に優れ、大風量下での粉塵捕集にも十分耐えることができる。
本発明のスパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径は、12μm以上26μm以下の範囲である。熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径を12μm以上、好ましくは13μm以上、より好ましくは14μm以上とすることで、スパンボンド不織布の通気性を向上させ、圧力損失を低減させることができる。また、熱可塑性連続フィラメントを形成する際に糸切れ回数を低下させ、生産時の安定性を向上させることもできる。一方、熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径が26μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは24μm以下とすることで、スパンボンド不織布の均一性を向上させ、不織布表面を緻密なものとすることができ、ダストを表層で濾過しやすくするなど、捕集性能を向上させることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の平均単繊維直径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500〜2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを単繊維直径とする。
(iv)それらの算術平均値の小数点以下第二位を四捨五入して算出した値を平均単繊維直径とした。
(スパンボンド不織布の製造方法)
次に、本発明のスパンボンド不織布の製造方法について説明する。本発明のスパンボンド不織布は、下記(a)〜(c)の工程を順次施すことによって製造される。
(a)熱可塑性重合体を紡糸口金から溶融押出した後、これをエアサッカーにより牽引、延伸して熱可塑性連続フィラメントを得る工程。
(b)得られたフィラメントを移動するネットコンベアー上に開繊板により繊維配列を規制し堆積させ繊維ウェブを形成する工程。
(c)得られた繊維ウェブに部分的融着を施す工程。
以下に上記各工程について、さらに詳細を説明する。
(a)熱可塑性連続フィラメント形成工程
まず、熱可塑性重合体を紡糸口金から溶融押出する。特に、熱可塑性連続フィラメントとして、ポリエステル系高融点重合体の周りに当該ポリエステル系高融点重合体の融点よりも低い融点を有するポリエステル系低融点重合体を配した複合型フィラメントを用いる場合には、ポリエステル系高融点重合体と、ポリエステル系低融点重合体を、それぞれ融点以上、融点+70℃以下で溶融し、ポリエステル系高融点重合体の周りに、そのポリエステル系高融点重合体の融点に対して、10℃以上140℃以下低い融点を有するポリエステル系低融点重合体を配した複合型フィラメントとして、口金温度が融点以上、融点+70℃以下の紡糸口金で細孔から紡出した後、エアサッカーにより紡糸速度4000m/分以上6000m/分以下で牽引、延伸して円形断面形状のフィラメントを紡糸する。
(b)繊維ウェブ形成工程
本発明の不織布は、いわゆるスパンボンド不織布であり、紡糸した熱可塑性連続フィラメントをエジェクターにて吸引し、エジェクターの下部にスリット状を有する開繊板から噴射して移動するネットコンベアー上に堆積させ繊維ウェブを得る工程を有する。
なお、複合型ポリエステル繊維を用いた場合であっても、前記のフィラメント(長繊維)からなるスパンボンド不織布であることが重要である。このようにすることで、非連続の繊維で構成された短繊維不織布の場合に比べて、剛性や機械的強度を高めることができ、プリーツフィルターとして好ましいものとすることができる。本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、ネットコンベアー上に捕集した繊維ウェブを、仮融着することも好ましい態様である。仮融着は、捕集した繊維ウェブを一対のフラットロールにより融着したり、ネットコンベアー上にフラットロールを設置し、ネットコンベアーと当該フラットロールとの間で融着したりする方法が好ましく用いられる。
(c)部分的融着工程
本発明のスパンボンド不織布は部分的に融着されたものであるが、部分的に融着する方法は特に限定されるものではない。ここで、スパンボンド不織布の融着されている部分を融着部、それ以外の融着されていない部分を非融着部と称する。熱エンボスロールによる融着、あるいは超音波発振装置とエンボスロールとの組み合わせによる融着が好ましいものである。特にエンボスロールによる融着は、不織布の強度を向上させる点から最も好ましいものである。部分的融着工程は前記ウェブ形成工程から続けて加工されることが好ましい。前記ウェブ形成工程から続けて加工することで、融着部の密度を高くし、スパンボンド不織布としてプリーツ成形性に優れた強度の不織布を得ることができる。熱エンボスロールによる融着の温度は、不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点に対して5℃以上60℃以下低いことが好ましく、10℃以上50℃以下低いことがより好ましい。熱エンボスロールによる不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点の温度差を5℃以上、より好ましくは10℃以上とすることで、過度の融着を防ぐことができる。一方、前記の温度差を60℃以下、より好ましくは50℃以下とすることによって、不織布内において均一な融着を行うことができる。
また、融着するための線圧は30kg/cm以上90kg/cm以下であることが好ましい。融着するための線圧を30kg/cm以上、より好ましくは40kg/cm以上とすることでスパンボンド不織布として用いた際にプリーツ加工性に必要な強度を不織布に付与することができる。融着するための線圧を90kg/cm以下、より好ましくは80kg/cm以下とすることで、過度の融着を防ぐことができる。
本発明のスパンボンド不織布の部分的な融着の融着面積率は、融着部の不織布全体の面積に占める割合のことであり、不織布全面積に対して5%以上20%以下が好ましい範囲である。前記融着面積率が5%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは8%以上であれば、不織布の機械的強度が十分に得られ、さらに表面が毛羽立ちやすくなることがない。一方、融着面積率が20%以下、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは15%以下であれば、繊維間の空隙が少なくなって圧力損失が上昇し、捕集性能が低下することもない。
なお、スパンボンド不織布の融着面積率の測定には、デジタルマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製「VHX−5000」)を用い、スパンボンド不織布の任意の部分から、マイクロスコープの倍率20倍で不織布のMD方向およびCD方向に平行な1.0cm×1.0cmの矩形枠を100箇所とり、100箇所それぞれについて当該面積に対する矩形枠内の融着部の面積を測定して平均値をとり、百分率にして小数点以下第一位を四捨五入したものを融着面積率(%)とする。なお、百分率として表記しない場合は、前記矩形枠内の融着部の面積(cm)を矩形枠の面積である1.0cmで除した後、小数点以下第三位を四捨五入することで融着面積率を算出することができる。
融着部はくぼみを形成しており、不織布を構成する熱可塑性連続フィラメント同士が熱と圧力によって融着して形成されている。すなわち、他の部分に比べて熱可塑性連続フィラメントが融着して凝集している部分が融着部である。融着する方法としてエンボスロールによる融着を採用した場合には、エンボスロールの凸部により熱可塑性連続フィラメントが融着して凝集している部分が融着部となる。例えば、上側または下側のみに所定のパターンの凹凸を有するロールを用いて、他のロールは凹凸の無いフラットロールを用いる場合においては、融着部とは凹凸を有するロールの凸部とフラットロールとで融着されて不織布の熱可塑性連続フィラメントが凝集された部分をいう。また、例えば、表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールを用いる場合、融着部とは上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着されて不織布の熱可塑性連続フィラメントが凝集された部分をいう。この場合、上側の凸部と下側の凹部あるいは上側の凹部と下側の凸部とで融着される部分はここでいう融着部には含まれない。
融着部の1個あたりの面積としては、0.3mm以上5.0mm以下が好ましい。0.3mm以上とすることで、スパンボンド不織布として十分な機械的強度が得られ、さらに不織布表面の毛羽立ちを押さえることができる。5.0mm以下とすることで、スパンボンド不織布としての機械的強度に加え通気性が保持することができ、十分な捕集性能が得られる。
融着部の形状は特に規定されるものではなく、上側または下側のみに所定のパターンの凹凸を有するロールを用いて、他のロールは凹凸の無いフラットロールを用いる場合や表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールにおいて、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着された場合においても、その融着部の形状は円形、三角形、四角形、平行四辺形、楕円形、菱形などでもよい。これらの融着部分の配列は、特に規定されるものではなく、等間隔に規則的に配されたもの、ランダムに配されたもの、異なる形状が混在したものでもよい。なかでも、不織布の均一性の点から、融着部分が等間隔に配されるものが好ましい。さらに不織布を剥離することなく部分的な融着をする点で、表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールを用い、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着され形成される平行四辺形の融着部が好ましい。
(スパンボンド不織布)
本発明のスパンボンド不織布は、繊維配向度が0度以上20度以下の熱可塑性連続フィラメントの割合が30%以上60%以下である。繊維配向度の割合が30%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上であれば、あるいは、60%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下であれば、プリーツ加工を行う方向に剛性を付与したうえで、繊維同士の融着を阻害しない。そのため、プリーツ加工を行う際に、シートの剥離がなく加工性に優れるスパンボンド不織布を得ることができる。ここで、本発明における繊維配向度は、以下のようにされて得られる値とする。
(i) 試料からランダムに小片サンプル(MD方向8mm×CD方向10mm)15個を採取する。なお、本発明において、MD方向とはスパンボンド不織布製造時のシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻き取り方向を指すものであり、CD方向はシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻き取り方向に対して垂直に交差する方向を指すものである。スパンボンド不織布が切断された場合などでロール状態にない場合は、以下の手順によってMD方向、CD方向を決定することとする。
(a) スパンボンド不織布の面内において、任意の1方向を定め、その方向に沿って、長さ38.1mm、幅25.4mmの試験片を採取する。
(b) 採取した方向から30度、60度、90度回転させた方向においても、同様に長さ38.1mm、幅25.4mmの試験片を採取する。
(c) 各方向の試験片について後述するスパンボンド不織布の剛軟度の測定方法に基づいて、各試験片の剛軟度を測定する。
(d) 測定により得られた値が最も高い方向をそのスパンボンド不織布のMD方向とし、これに直交する方向をCD方向とする。
また、プリーツ成形体などからMD方向、CD方向を決定するときにおいて、図1に例示するようなプリーツ成形体の場合には、頂点部A2の稜線と平行な方向がCD方向(図1において、矢印5の方向)、CD方向と直交する方向がMD方向(図1において、矢印4の方向)であるとする。
(ii) 走査型電子顕微鏡でMD方向を観察画面に対して垂直にセットし、1000倍の写真を撮影する。
(iii) 撮影した写真(図2に例示)のMD方向(図2において、矢印14の方向)に平行な0度基準線(13)を設け、それに対する繊維配向角(図2において、θ〜θとして例示)を各サンプルから15本ずつ、計225本の繊維について測定する。なお、本発明における繊維配向角は、0度基準線(13)に対して0度から90度の範囲で繊維は測定される値とし、角度が負の値を示さないよう、かつ、90度を超える値とならないように決定される。また、測定する繊維は、単繊維長が連続して150μm以上表面に露出している繊維のみで測定を行うこととし、図2のθの算出の際のように、熱可塑性連続フィラメント(11)が直線に近似できないような場合には、測定範囲枠(12)内における熱可塑性連続フィラメント(11)の屈曲している凸部の2点を直線で結び、その直線と0度基準線(13)とがなす角が繊維配向角として算出する。
(iv)算出された繊維配向角の全結果のうち、0度以上20度以下の繊維の本数(N0−20)を全体の本数(N)で除し、繊維配向度(F)を以下の式で算出する
F(%)=N0−20/N×100。
本発明のスパンボンド不織布は、MD方向の剛軟度(BrMD)が40mN以上80mN以下である。MD方向の剛軟度(BrMD)が40mN以上、より好ましくは45mN以上、さらに好ましくは50mN以上であれば、不織布の強度や形態保持性を保ちつつプリーツ加工ができる。一方、80mN以下、より好ましくは75mN以下、さらに好ましくは70mN以下であれば、プリーツ加工時の折たたみ抵抗を緩和し、プリーツの頂点部の形状がシャープに仕上がる。
また、本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布のMD方向の剛軟度(BrMD)のCD方向の剛軟度(BrCD)に対する比(BrMD/BrCD)は3以上である。プリーツ成形体の形状保持性は、折りたたみ方向であるMD方向の剛性が支配的であるため、CD方向の剛軟度は特に限定されないが、前記の比(BrMD/BrCD)が3以上、より好ましくは3.5以上であることによって、スパンボンド不織布をプリーツ成形体として使用した時に優れたプリーツ形状保持性を有することができる。なお、CD方向の剛軟度は、上記の比を満たす値であることが好ましいが、使用時の耐久性を向上する観点から、10mN以上あることが好ましい。
本発明におけるスパンボンド不織布のMD方向の剛軟度(BrMD)は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.4 ガーレ法(JIS法)」に準じて、以下のようにされて得られた値とする。
(i) 試料からスパンボンド不織布のMD方向に沿って長さ38.1mm(有効試料長L=25.4mm)、CD方向に沿って幅d=25.4mmの試験片を試料の任意の5点から採取する。
(ii) 採取した試験片をそれぞれチャックに取り付け、可動アームA上の目盛り1−1/2”(1.5インチ=38.1mm)に合わせてチャックを固定する。この場合、試料長の1/2”(0.5インチ=12.7mm)はチャックに1/4”(0.25インチ=6.35mm)、試料の自由端にて振子の先端に1/4”(0.25インチ=6.35mm)がかかるため測定にかかる有効試料長Lは試験片長さから1/2”(0.5インチ=12.7mm)差し引いたものとなる。
(iii) 次に振り子Bの支点から下部のおもり取付孔a、b、c(mm)に適当なおもりWa、Wb、Wc(g)を取り付けて可動アームAを定速回転させ、試験片が振り子Bから離れるときの目盛りRG(mgf)を読む。目盛りは小数点以下第一位の桁で読む。ここでおもり取付孔に取り付けるおもりは適宜選択できるものであるが、目盛りRGが4〜6になるよう設定するのが好ましい。
(iv) 測定は試験片5点につき表裏各5回、合計50回実施する。
(v) 得られた目盛りRGの値から下記式を用いて剛軟度の値を小数点以下第二位で四捨五入してそれぞれ求める。50回の測定の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して算出した値をMD方向の剛軟度(BrMD)とした。
Figure 2021098924
また、本発明におけるスパンボンド不織布のCD方向の剛軟度(BrCD)は、試験片を採取する際に、試料からスパンボンド不織布のCD方向に沿って長さ38.1mm(有効試料長L=25.4mm)、MD方向に沿って幅d=25.4mmの試験片を試料の任意の5点から採取する点以外は、MD方向の剛軟度を測定する場合と同様にして得られた値とする。
本発明におけるスパンボンド不織布の目付は、150g/m以上300g/m以下の範囲であることが好ましい。目付が150g/m以上であれば、プリーツに必要な剛性を得ることができ好ましい。一方、目付が300g/m以下、好ましくは270g/m以下、より好ましくは260g/m以下であれば、圧力損失が上昇するのを抑制でき、さらにはコスト面でも好ましい。
ここでいう目付は、縦50cm×横50cmのサイズの試料を、3個採取して各質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値(g)を単位面積(1m)当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入することにより求められる。
また、本発明のスパンボンド不織布の目付CV値は5%以下であることが好ましい。より好ましくは4.5%以下であり、さらに好ましくは4.0%以下であれば、不織布の均一性向上に伴って不織布を緻密なものとすることができるため、捕集効率が向上しやすくなり、満足するフィルター寿命が得られやすくなるため、好ましい。一方、本発明のスパンボンド不織布をフィルターに使用する場合において、スパンボンド不織布の通気量を一定量確保し、圧力損失を小さくすることで寿命が長くなるため、目付CV値が1%以上であることがより好ましい。
本発明において、スパンボンド不織布の目付CV値(%)は、次のようにして測定されて得られる値を採用することとする。
(i) スパンボンド不織布から5cm×5cmの小片を、計100個採取する。
(ii) 各小片の質量(g)をそれぞれ測定し、単位面積(1m)あたりに換算する。
(iii) (ii)の換算の平均値(Wave)、標準偏差(Wsdv)をそれぞれ算出する。
(iv) 以下の式により目付CV値(%)を計算し、小数点以下第二位を四捨五入する
目付CV値(%)=Wsdv/Wave×100。
本発明におけるスパンボンド不織布の厚さは、0.50mm以上0.80mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.51mm以上0.78mm以下である。厚さを0.50mm以上とすることにより、剛性を向上させ、プリーツ成形体とするのに適したスパンボンド不織布とすることができる。また、厚さを0.80mm以下とすることにより、プリーツ成形体としてのハンドリング性や加工性に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の厚さ(mm)は、以下の方法によって測定されて得られる値を採用することとする。
(i) 厚さ計(例えば、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM−114等)を使用して、不織布の厚さをCD方向に等間隔で10点測定する。
(ii) 上記算術平均値から小数点以下第三位を四捨五入し、不織布の厚さ(mm)とする。
本発明におけるスパンボンド不織布の見掛け密度は、0.25g/cm以上0.40g/cm以下であることが好ましい。見掛け密度が0.25g/cm以上0.40g/cm以下であると、スパンボンド不織布は緻密な構造となりダストが内部に入りにくく、ダスト払い落とし性に優れる。より好ましい見掛け密度の範囲は、0.26g/cm以上0.38g/cm以下の範囲である。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の見掛け密度(g/cm)は、前記のスパンボンド不織布の目付、厚さの値から以下の式によって求められた値の小数点以下第三位を四捨五入した値を採用することとする
見掛け密度(g/cm)=目付(g/m)/厚さ(mm)/1000。
本発明におけるスパンボンド不織布の通気量は、10(cm/(cm・秒))以上130(cm/(cm・秒))以下であることが好ましい。通気量が10(cm/(cm・秒))以上、好ましくは、13(cm/(cm・秒))以上であると、圧力損失が上昇するのを抑制できる。また、目付あたりの通気量が130(cm/(cm・秒))以下、好ましくは、105(cm/(cm・秒))以下であると、ダストが内部に滞留しにくいことによりフィルターとして捕集性能が良好である。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))は、以下のとおりJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の6.8「通気性(JIS法)」の6.8.1「フラジール形法」に基づいて測定される値を採用することとする。
(i) スパンボンド不織布のCD方向で等間隔に縦150mm×横150mmの試験片を10枚採取する。
(ii) 試験機の円筒の一端に試験片を取り付けた後、下限抵抗器によって傾斜型気圧計が125Paの圧力を示すように、吸込みファン及び空気孔を調整し、その時の垂直型気圧計の示す圧力を測る。
(iii) 測定した圧力と使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の換算表によって試験片を通過する空気量(cm/(cm・秒))を求める。
(iv) 10点の試験片の通気量から得られた値の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))とする。
本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布の目付あたりのMD方向の引張強力(以降、目付あたりのMD引張強力と表記することがある。)は、3.8(N/5cm)/(g/m)以上であることが好ましく、より好ましくは4.0.(N/5cm)/(g/m)以上である。また、目付あたりのCD方向の引張強力(以降、目付あたりのCD引張強力と表記することがある。)は、2.0(N/5cm)/(g/m)以上であることが好ましく、より好ましくは2.3(N/5cm)/(g/m)以上である。
目付あたりのMD引張強力と目付あたりのCD引張強力を、このようにすることにより、プリーツ成形体として実用に供しうる機械強度を付与し、耐久性に優れたプリーツ成形体とすることができる。ここで、目付あたりの引張強力は、次式で算出される
目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m))=引張強力(N/5cm)/目付(g/m)。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の引張強力は、以下のとおりJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」の「6.3.1 標準時」に基づいて以下のように測定される値を前記の目付で除して得られる値を採用することとする。
(i) MD方向を長辺とした30cm×5cmの試験片を、それぞれCD方向に等間隔に1mあたり3点採取する。
(ii) CD方向を長辺とした5cm×30cmの試験片を、それぞれCD方向に等間隔に1mあたり3点採取する。
(iii) 定速伸長型引張試験機を用いて、つかみ間隔が20cmで、引張速度が10cm/分の条件で引張試験を実施する。
(iv) 破断したときの強力を読み取り、小数点以下第一位を四捨五入した値を引張強力(N/5cm)とする。
(v) 前記の(iv)で得られた引張強力(N/5cm)の値を、上記の目付(g/m)の値で除し、MD方向とCD方向について、それぞれの目付あたりの引張強度を、小数点以下第二位を四捨五入し、算出する。
(プリーツ成形体)
本発明のスパンボンド不織布は、プリーツ加工性に優れるため、プリーツ成形体として好適に用いることができる。また、本発明のスパンボンド不織布は、粉塵の捕集性能と通気性のバランスを両立していることから、集塵機プリーツフィルター用濾材、集塵機プリーツフィルターとして好適に用いることができる。中でも、不織布単体で流量が300L/分を超えるような大風量下での粉塵捕集と繰り返しの逆洗とに耐えうるプリーツ形状保持性が必要とされる、大風量パルスジェットタイプ集塵機用プリーツフィルター用濾材、大風量パルスジェットタイプ集塵機用フィルターとして、特に好適に用いることができる。このようなプリーツフィルター用濾材は、例えば、前記のスパンボンド不織布をプリーツ形状とし、プリーツ形状にしたスパンボンド不織布の全体を円筒状にした後に円筒の上端と下端とが固定されてなる 円筒型集塵機フィルターまたは金属材料や高分子樹脂材料からなる角型や丸型といった枠材の内壁にプリーツ形状にしたスパンボンド不織布の端部を固定したパネル型集塵機フィルターとすることができる。
前記のパルスジェットタイプ集塵機は、前記の集塵機用プリーツフィルター用濾材を使用したものとすることができ、特に、流量が300L/分を超えるような大風量下での粉塵捕集と繰り返しの逆洗を行う、大風量パルスジェットタイプ集塵機に好適に用いることができる。この大風量パルスジェットタイプの集塵機において前記の集塵機フィルターは、1つの集塵機フィルターあたりの流量が3.0L/分以上5.0L/分以下、1つの集塵機フィルターにかかる処理空気の圧力が0.5MPa以上0.7MPa以下の雰囲気下で用いられる。
また、前記のパルスジェットタイプ集塵機は、集塵対象設備からの粉塵を濾過する少なくとも1つの集塵機フィルターを備え、集塵機フィルターの内側面に圧縮空気をパルス状に噴射してフィルターの外側面に付着した粉塵を払い落とすパルスジェット機構を備えている。なお、このパルスジェット機構は、集塵機の送風機用モーターが運転している間に稼働することができる、オンラインパルス方式の機構としてもよいし、集塵を中断した状態の間稼働することができる、オフラインパルス方式の機構としてもよい。
あるいは、本発明のスパンボンド不織布は、繰り返し折りたたみされるような使用でも破れにくく、耐久性に優れていることから、プリーツ成形体とした後に蛇腹として使用することも好ましい。このような蛇腹は、プリーツ成形体の稜線が付与された方向に自在に曲げることができ、伸縮可能なフレキシブルな材料である点から建物内の空調、換気、排気などを目的に使用されるエアーダクトや工場などで排出される廃液などを流す配管、電車の車輌連結部の車輌貫通幌などにスパンボンド不織布単体で使用されたり、それらの基材として不織布表面にネオプレンゴム、ポリウレタンゴムなどの発泡体を塗布されたりして使用される。
本発明のプリーツ成形体のばね定数は4.0×10−3N/mm以上1.0×10−2N/mm以下である。好ましくは5.0×10−3N/mm以上9.0×10−3N/mm以下、より好ましくは6.0×10−3N/mm以上8.0×10−3N/mm以下であれば、プリーツ成形体を繰り返し伸縮させても、高い形状保持性を有するプリーツ成形体となる。ここで、本発明のばね定数は、以下の方法に準じて測定されたものである。
(i) プリーツ成形体より、一方の頂点部を5つ以上含み、かつ、プリーツ形状を伸ばしきった状態でのサンプル全長がMD方向100mm以上300mm以下、CD方向50mmのサンプルを5つ採取する。
(ii) 図3で例示するように、平滑な天板を有する机(24)の上にプリーツ成形体(21)を載置し、固定テープ(25)でプリーツ成形体(21)の片側を固定し、対となる方向の中央部分に50gのおもり(23)をつるすための糸(22)を取り付け、その先に前記のおもり(23)を結びつける。
(iii) プリーツ成形体の固定テープ(25)で固定している端部から糸(22)が取り付けられている面の端部までの距離がMD方向のサンプル全長の半分となるようにプリーツ成形体を折りたたみ、机(24)の上からおもり(23)を静かに降ろし、折りたたんだプリーツ成形体(21)に荷重をかけて、そのときのサンプル長を測定する。
(iv) ばね定数kは以下の式で求められる
k=P/(t−t
(ここで、Pは荷重(=0.49N)、tはプリーツ成形体(21)が伸長した時の長さ(mm)、tはおもり(23)を取り付ける前のプリーツ成形体(21)の長さ(=MD方向のサンプル全長の半分の長さ)(mm)を、それぞれ表す。)
(v) これを5回繰り返し、平均値をばね定数とした。
(プリーツ成形体の製造方法)
本発明のプリーツ成形体は、前記のスパンボンド不織布をプリーツ加工して得ることができる。このプリーツ加工には、上歯と下歯を往復させて交互にスパンボンド不織布を上下にひだ折りさせる機構を有するレシプロ式折機や、折り用の歯が付いたロールを上下よりスパンボンド不織布に押し当てることにより、スジを付けてひだ折りさせる機構を有するロータリー式折機を用いることができる。特に、プリーツの折り幅が自由に調整できる点からレシプロ式折機が好適に使用される。
また、本発明のプリーツ成形体の製造方法においては、プリーツ加工時にひだ折りさせる際、レシプロ式折機の上歯や下歯、あるいはロータリー式折機のロールを加熱しておくことが好ましい。スパンボンド不織布を加熱してひだ折りすることでプリーツ成形体の頂点部の角度が鋭角に仕上がり、フィルターとして使用した場合に通気性を優れたものとすることができる。
プリーツ加工時におけるレシプロ式折機の上歯や下歯、あるいはロータリー式折機のロールの温度としては、50℃以上250℃以下が好ましい範囲である。プリーツ加工時に加熱する温度が50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であれば、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの低融点成分を軟化させ、プリーツ成形体の頂点部を形成する際に適した柔らかさをスパンボンド不織布に付与することができる。一方、前記の温度を250℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下とすることで、スパンボンド不織布全体が過度に軟化してしまうことを抑制し、フィルターとして使用した場合に繰り返しの逆洗に対して優れたプリーツ形状保持性を有するものとすることができる
プリーツ加工時における湿度としては、45%以上80%以下が好ましい範囲である。プリーツ加工時の湿度を45%以上、好ましくは47%以上、より好ましくは50%以上とすることで、プリーツ加工のスジ付け時にスジ付け用の歯と不織布の間に静電気が発生することを防ぐことができる。プリーツ加工時の湿度を80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下とすることで、プリーツ加工後の不織布の機械的強度の低下を抑制することができる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)熱可塑性樹脂の融点(℃)
示差走査型熱量計として、株式会社パーキンエルマージャパン製「DSC−2型」を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)熱可塑性樹脂の固有粘度(IV)
熱可塑性樹脂の固有粘度(IV)は、次の方法で測定した。
オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた
η=η/η=(t×d)/(t×d
ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)を、それぞれ表す。次いで、相対粘度ηから、下記式により固有粘度(IV)を算出した
固有粘度(IV)=0.0242η+0.2634。
(3)スパンボンド不織布の目付(g/m
スパンボンド不織布の目付は前記の方法で算出した。
(4)スパンボンド不織布の厚さ(mm)
厚さ計として、株式会社テクロック製「“TECLOCK”(登録商標) SM−114」を使用した。
(5)スパンボンド不織布の見掛け密度(g/cm
スパンボンド不織布の見掛け密度は「(3)スパンボンド不織布の目付(g/m)」で得られたスパンボンド不織布の目付と「(4)スパンボンド不織布の厚さ(mm)」で得られたスパンボンド不織布の厚さより前記の方法で算出した。
(6)スパンボンド不織布の剛軟度(mN)
剛軟度は、株式会社大栄精機製作所製ガーレ・柔軟度試験機「GAS−10」を用いて測定した。
(7)スパンボンド不織布の引張強力(N/5cm)
定速伸長型引張試験機として、東洋ボールドウィン株式会社製テンシロン万能材料試験機「RTC−1250A」を用いた。
(8)スパンボンド用不織布の繊維配向の割合(%)
スパンボンド不織布及びプリーツ成形体の繊維配向度の割合は株式会社キーエンス製走査型電子顕微鏡「VHX−D500」を用いて前記の方法で測定した。
(9)スパンボンド不織布の目付CV値(%)
スパンボンド不織布の目付CV値(%)は前記の方法で測定した。
(10)スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))
スパンボンド不織布の通気量はスイス・テクステスト社製通気性試験機「FX3300−III」を用いて測定した。
(11)プリーツ成形体のばね定数(N/mm)
(i) スパンボンド不織布を240mm幅にカットし、このスパンボンド不織布を150℃に加熱して圧縮しながら、頂点部の稜線から次の頂点部までの稜線の距離が35mmとなるようにプリーツ加工し、プリーツ成形体を得た。
(ii) 得られたプリーツ成形体より、一方の頂点部を5つ以上含み、かつ、プリーツ形状を伸ばしきった状態のサンプル全長がMD方向100mm以上300mm以下、CD方向50mmのサンプルを5つ採取し、前記の方法で算出した。
(12)プリーツ成形体の形状保持性
図4は本発明の実施例にかかるプリーツ形状安定性試験を実施する試験システムの構成を説明するための図である。図4に示す試験システム31は、試験サンプルをセットするサンプルホルダー32と、圧力計33と、流量計34と、流量調整バルブ35と、ブロワ36を備える。流量計34と、流量調整バルブ35と、ブロワ36は、サンプルホルダー32と連結している。この試験システム31では、ブロア36によりエアーが送られ、エアー吹出口37より38に示す方向にエアーが排出される。
まず、スパンボンド不織布を山高さが48mmとなるようにプリーツ加工する。次に、図5のように、プリーツ基材を山ピッチ1.3mm、山数23個となるように、ユニット縦長さ30cm、ユニット横長さ30cm、ユニット高さ48mmとなるような枠材で囲い、測定用ユニットUを3個作製する。枠材は、測定時に枠材からのエアー漏れが無い素材であれば、特段指定はされない。次に、作製した測定用ユニットUをサンプルホルダー32にセットする。風量を2.0、4.0、5.0、6.0、7.0m/min(計5点)となるように流量調整バルブ35で調整し、各流量における圧力損失を測定した。ユニット3個の圧力損失測定結果の平均値を算出し、風速をヨコ軸、圧力損失を縦軸にとったグラフを作成し、線形二乗近似にて決定係数(R)を算出し、以下の基準にて判定した。
・プリーツ形状保持性 A: R>0.995
・プリーツ形状保持性 B: 0.990≦R≦0.995
・プリーツ形状保持性 C: R<0.990
プリーツ形状保持性の評価は、Aを良好、BをAに次いで良好、Cを不良とした。プリーツ形状安定性の高い不織布では、大風量下においても、プリーツが変形せず濾過面積が減少しないため、圧力損失は風量増加に伴い線形的に増加する。そのため、決定係数(R)は1に近くなる。一方、プリーツ形状安定性の低い不織布では、大風量になるに伴いプリーツが風圧によって潰れ有効濾過面積が減少し、圧力損失が上昇するため、線形上昇せず決定係数(R)が低くなる。
[実施例・比較例で使用した樹脂]
次に、実施例・比較例において使用した樹脂について、その詳細を記載する。
・ポリエステル系樹脂A:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.65で融点が260℃の、ポリエチレンテレフタレート(PET)。
・ポリエステル系樹脂B:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.64、イソフタル酸共重合率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエステル(CO−PET)。
[実施例1]
前記のポリエステル系樹脂Aと前記のポリエステル系樹脂Bを、それぞれ295℃と280℃の温度で溶融させた。その後、ポリエステル系樹脂Aを芯成分とし、ポリエステル系樹脂Bを鞘成分として、口金温度が295℃で、芯:鞘=80:20の質量比率で細孔から紡出した後、エアサッカーにより紡糸速度4900m/分で円形断面形状のフィラメントを紡糸し、移動するネットコンベアー上に開繊板により繊維配列をMD方向に規制し堆積させ、平均単繊維直径が14.8μmの繊維からなる繊維ウェブをネットコンベアー上に捕集した。捕集した繊維ウェブに、一対のフラットロールからなるカレンダーロールによって、温度が140℃で、繊維のウェブにかかる線圧が50kg/cmの条件で仮融着した。さらに引き続いて、融着面積率10%、融着部1個あたりの面積が1.6mmとなる一対の彫刻ロールからなるエンボスロールを用い、上下のエンボスロールの温度をともに200℃とし、繊維ウェブにかかる線圧が70kg/cmとなる条件で融着して、目付が260g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は51%、MD方向の剛軟度は45mN、CD方向の剛軟度は11mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は4.1、目付CV値は3.3%であり、プリーツ加工後のばね定数は6.7×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
平均単繊維直径が12.8μmとなるよう吐出量、紡出速度を変更した一方、目付を実施例1と同一にするためにネットコンベアーの速度を変更したこと以外は実施例1と同じ条件で、目付が260g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は42%、MD方向の剛軟度は43mN、CD方向の剛軟度は13mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は3.3、目付CV値は3.2%であり、プリーツ加工後のばね定数は5.9×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
[実施例3]
スパンボンド不織布の目付が200g/mとなるようにネットコンベアーの速度を調整したこと以外は、実施例1と同じ条件で、目付が200g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は53%、MD方向の剛軟度は26mN、CD方向の剛軟度は7mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は3.7、目付CV値は3.7%であり、プリーツ加工後のばね定数は4.4×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
前記のポリエステル系樹脂Aと前記のポリエステル系樹脂Bを、それぞれ295℃と280℃の温度で溶融させた。その後、ポリエステル系樹脂Aを芯成分とし、ポリエステル系樹脂Bを鞘成分として、口金温度295℃、芯:鞘=80:20の質量比率で細孔から紡出した後、エアサッカーにより紡糸速度4400m/分で円形断面形状のフィラメントを紡糸し、エアサッカー出口に設置された金属衝突板へフィラメントを衝突させ、摩擦帯電により繊維を帯電して開繊させ、平均単繊維直径が16.5μmの繊維からなる繊維ウェブを移動するネットコンベアー上に捕集した。捕集した繊維ウェブに、一対のフラットロールからなるカレンダーロールによって、温度が140℃で、線圧が50kg/cmの条件で仮融着した。さらに引き続いて、融着面積率18%、融着部1個あたりの面積が0.7mmとなる一対の彫刻ロールからなるエンボスロールを用い、上下のエンボスロールの温度をともに200℃とし、繊維ウェブにかかる線圧が60kg/cmとなる条件で融着し、目付が260g/mのスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は20%、MD方向の剛軟度は25mN、CD方向の剛軟度は11mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は2.3、目付CV値は10.5%であり、プリーツ加工後のばね定数は3.8×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
スパンボンド不織布の目付が200g/mとなるようにネットコンベアーの速度を調整したこと以外は、比較例1と同じ条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の、繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は20%、MD方向の剛軟度は15mN、CD方向の剛軟度は6mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は2.5、目付CV値は10.8%であり、プリーツ加工後のばね定数は2.7×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
[比較例3]
スパンボンド不織布の目付が150g/mとなるようにネットコンベアーの速度を調整したこと以外は、比較例1と同じ条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の、繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は25%、MD方向の剛軟度は7mN、CD方向の剛軟度は3mN、MD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比は2.3、目付CV値は12.1%であり、プリーツ加工後のばね定数は1.8×10−3N/mmであった。結果を表1に示す。
Figure 2021098924
実施例1〜3のスパンボンド不織布は、いずれも繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合は40%以上60%以下、目付CV値が5%以下であり、プリーツ加工性や目付均一性に優れるプリーツ成形体であった。加えて、実施例1〜3のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布としてのMD引張強力やMD方向の剛軟度とCD方向の剛軟度の比が高く、良好な特性を示したものであった。また、プリーツ成形体においてもばね定数が高く、実施例1〜3においてはプリーツ形状保持性がB以上であり、優れたものであった。一方、比較例1、2、3は繊維配向度0度以上20度以下の繊維割合が低く、目付CV値も高くなっており、プリーツ成形体としてのばね定数が劣位であった。
1:プリーツ成形体
2:頂点部A
3:頂点部B
4:MD方向を示す矢印
5:CD方向を示す矢印
11:熱可塑性連続フィラメント
12:測定範囲枠
13:0度基準線
14:MD方向を示す矢印
15:CD方向を示す矢印
21:プリーツ成形体
22:糸
23:おもり
24:机
25:固定テープ
31:プリーツ形状保持性試験システム
32:サンプルホルダー
33:圧力計
34:流量計
35:流量調整バルブ
36:ブロワ
37:エアー吹出口
38:エアー吹出方向
U:測定用ユニット
41:山ピッチ
42:ユニット縦長さ
43:ユニット横長さ
44:ユニット高さ
45:枠材

Claims (9)

  1. 高融点成分と低融点成分とからなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着されてなるスパンボンド不織布であって、
    繊維配向度が0度以上20度以下の熱可塑性連続フィラメントの割合が30%以上60%以下であり、融着部の面積割合が5%以上20%以下である、スパンボンド不織布。
  2. 前記熱可塑性連続フィラメントが、熱可塑性樹脂組成物Aの周りに熱可塑性樹脂組成物Bが配されてなる複合型フィラメントである、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記スパンボンド不織布の目付CV値が5%以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 前記スパンボンド不織布のMD方向の剛軟度が10mN以上100mN以下であって、かつ、前記スパンボンド不織布のMD方向の剛軟度のCD方向の剛軟度に対する比が3以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  5. 前記熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径が12μm以上26μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のスパンボンド不織布から構成されてなる、プリーツ成形体。
  7. 前記プリーツ成形体のばね定数が4.0×10−3N/mm以上1.0×10−2N/mm以下である、請求項6に記載のプリーツ成形体。
  8. 請求項6または7に記載のプリーツ成形体を用いてなる、集塵機フィルター。
  9. 請求項8に記載の集塵機フィルターを用いてなる大風量パルスジェットタイプ集塵機。
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