JP2021095036A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】補強コードが樹脂で被覆されたベルトを備えた空気入りタイヤにおいて、ベルトの耐久性を確保することができる空気入りタイヤの提供。【解決手段】空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくともカーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、複数本の補強コード30を樹脂32で被覆して構成された樹脂被覆コード34が、タイヤケースの外周に対してタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回され、樹脂被覆コード34におけるタイヤ幅方向に互いに隣接する隣接部分同士が接合されて構成されたベルト26と、を備え、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、補強コード30のタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、接合部27を有さない部位での間隔をAとし、接合部27を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす。【選択図】図4
Description
本発明は、空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとしては、カーカスのタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に対して傾斜したコードを含んで構成された2枚以上の傾斜ベルトプライと、傾斜ベルトプライのタイヤ径方向外側に配置された補強層等を備えた複数層からなるベルトを備えた構造が一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、特許文献3には、補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードがタイヤ骨格部材の外周においてタイヤ周方向に螺旋状に巻回されて構成されたベルトを有するタイヤが開示されている。
特許文献1、2の空気入りタイヤは、2枚以上の傾斜ベルトプライと、補強層を備えているため、カーカスのクラウン部の補強として必要な面内せん断剛性等を確保することは可能であるが、プライや補強層の層数が多いためタイヤの軽量化は困難となっている。
そこで、傾斜ベルトプライと補強層からなるベルトに代えて、特許文献3の樹脂製ベルトを用いることで、空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかしながら、特許文献3の空気入りタイヤでは、空気入りタイヤの接地時などに樹脂製ベルトにベルト周方向の荷重が作用して、タイヤ幅方向端部に配置された補強コードが、該端部に対するタイヤ幅方向中央側に配置された補強コードに対してタイヤ周方向にずれると、ベルト面内にせん断歪みが生じる場合がある。このため、空気入りタイヤにおいて単に従来のベルトを樹脂製のベルトに置き換えた場合は耐久性の向上が難しい。
本発明は、補強コードが樹脂で被覆されたベルトを備えた空気入りタイヤにおいて、ベルトの耐久性を確保することができる空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくとも前記カーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、複数本の補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードが、前記タイヤケースの外周に対してタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回され、前記樹脂被覆コードにおけるタイヤ幅方向に互いに隣接する隣接部分同士が接合されて構成されたベルトと、を備え、前記ベルトのタイヤ幅方向断面において、前記補強コードのタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、前記隣接部分同士の接合部分を有さない部位での間隔をAとし、前記隣接部分同士の接合部分を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす。
請求項1に記載の空気入りタイヤのベルトでは、前述のように、ベルトのタイヤ幅方向断面において、複数本の補強コードのタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、隣接部分同士の接合部分を有さない部位での間隔をAとし、隣接部分同士の接合部分を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす。
ここで、Aが1のとき、Bが0.98未満である場合には、接合部分を有する部位での間隔Bが、接合部分を有さない部位での間隔Aよりも狭く、ベルトにおいて接合部分を有する部位にせん断歪みが集中しやすい。一方、Aが1のとき、Bが1.35を超える場合には、接合部分を有さない部位での間隔Aが、接合部分を有する部位での間隔Bよりも狭く、ベルトにおいて接合部分を有さない部位にせん断歪みが集中しやすい。
これに対して、A:B=1:0.98〜1.35を満たすので、ベルトの一部にせん断歪みが集中しにくく、ベルトの耐久性を確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、A:B=1:1.15〜1.35を満たす。
ここで、ベルトにおいて接合部分を有する部位では、接合部分を有するため、接合部分を有さない部位よりもせん断歪みが生じやすい。請求項2の構成のように、A:B=1:1.15〜1.35を満たす範囲で、間隔Aよりも間隔Bを若干大きくすることで、接合部分を有する部位にせん断歪みが集中せず、より効果的に、ベルトの耐久性を確保することができる。
本発明の空気入りタイヤによれば、補強コードが樹脂で被覆されたベルトを備えた空気入りタイヤにおいて、ベルトの耐久性を確保することができる。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図では、適宜、タイヤ軸方向を矢印Xで示し、タイヤ周方向を矢印Sで示し、タイヤ径方向を矢印Rで示し、タイヤ幅方向を矢印Wで示している。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアルタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。なお、図1は、空気入りタイヤ10の空気充填前の自然状態の形状を示している。
カーカスプライ14は、空気入りタイヤ10のラジアル方向に延びる複数本のコード(図示せず)をコーティングゴム(図示せず)で被覆して形成されている。カーカスプライ14のコードの材料は、例えば、PETであるが、従来公知の他の材料であっても良い。
カーカスプライ14は、タイヤ幅方向(タイヤ軸方向)の端部分がビードコア12をタイヤ径方向外側に折り返されている。カーカスプライ14は、一方のビードコア12から他方のビードコア12に跨る部分が本体部14Aと呼ばれ、ビードコア12から折り返されている部分が折り返し部14Bと呼ばれる。
カーカスプライ14の本体部14Aと折返し部14Bとの間には、ビードコア12からタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減するビードフィラー18が配置されている。なお、空気入りタイヤ10において、ビードフィラー18のタイヤ径方向外側端18Aからタイヤ径方向内側の部分がビード部20とされている。
カーカス16のタイヤ内側にはゴムからなるインナーライナー22が配置されており、カーカス16のタイヤ幅方向外側の部分(外側部)には、第1のゴム材料からなるサイドゴム層24が配置されている。
なお、本実施形態では、ビードコア12、カーカス16、ビードフィラー18、インナーライナー22、及びサイドゴム層24によってタイヤケース25が構成されている。タイヤケース25は、言い換えれば、空気入りタイヤ10の骨格を成すタイヤ骨格部材のことである。
(ベルト26)
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、ベルト26が配置されており、ベルト26はカーカス16の外周面に密着している。図2に示されるように、ベルト26は、複数本(本実施形態では二本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を有している。この樹脂被覆コード34は、タイヤケース25の一部を構成するカーカス16の外周に対してタイヤ周方向に沿って巻回されている。すなわち、樹脂被覆コード34は、カーカス16の外周に対してタイヤ軸方向に沿った軸線周りに旋回する螺旋状に巻回されている。
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、ベルト26が配置されており、ベルト26はカーカス16の外周面に密着している。図2に示されるように、ベルト26は、複数本(本実施形態では二本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を有している。この樹脂被覆コード34は、タイヤケース25の一部を構成するカーカス16の外周に対してタイヤ周方向に沿って巻回されている。すなわち、樹脂被覆コード34は、カーカス16の外周に対してタイヤ軸方向に沿った軸線周りに旋回する螺旋状に巻回されている。
そして、樹脂被覆コード34におけるタイヤ幅方向に互いに隣接する隣接部分同士が接合されることで、ベルト26が構成されている。このように、樹脂被覆コード34の隣接部分同士が接合されることで、ベルト26には接合部27(具体的には、接合面)が形成される。樹脂被覆コード34の隣接部分同士は、具体的には、後述のように溶着により接合される。この場合では、接合部27は、溶着部ともいえる。なお、接合部27は、樹脂被覆コード34の隣接部分同士の接合部分の一例である。
以上のように、樹脂被覆コード34がカーカス16の外周に対してタイヤ周方向に沿って巻回されることで、複数本の補強コード30は、図3に示されるように、タイヤ周方向に沿って延設される。すなわち、複数本の補強コード30は、タイヤ径方向視にて直線状に設けられる。さらに、図2に示されるように、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、複数本の補強コード30がタイヤ幅方向に沿って並んで配置される。
補強コード30としては、カーカスプライ14のコードよりも太く、且つ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。補強コード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を用いた素線を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。
本実施形態では、図4に示されるように、補強コード30は、複数(例えば、7本)の素線30Aを撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成されている。さらに、本実施形態では、素線30Aとして、金属素線(具体的には、スチールコード)が用いられている。素線30Aの直径は、一例として0.3〔mm〕以上、0.5〔mm〕以下とされる。補強コード30の直径は、一例として0.9〔mm〕以上、1.5〔mm〕以下とされる。本実施形態では、補強コード30の直径は、例えば、略1.13〔mm〕とされている。
補強コード30を被覆する樹脂32には、サイドゴム層24を構成するゴム、及び後述するトレッド36を構成する第2のゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。補強コード30を被覆する樹脂32としては、弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、50MPa以上が好ましい。また、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
本実施形態のベルト26の厚さ寸法tは、螺旋形状に形成される補強コード30のベルト径方向に沿った寸法よりも大きくすることが好ましい。換言すれば、補強コード30が完全に樹脂32に埋設されていることが好ましい。ベルト26の厚さ寸法tは、空気入りタイヤ10が乗用車用の場合、具体的には、0.70mm以上とすることが好ましい。
さらに、補強コード30は、図4に示されるように、樹脂32との接着性を高めるための接着樹脂31が被覆されていてもよい。この場合では、樹脂32は、接着樹脂31で被覆された補強コード30を被覆する。
接着樹脂31としては、例えば、変性オレフィン系樹脂(変性ポリエチレン系樹脂、変性ポリプロピレン系樹脂等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、変性ポリエステル系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を主成分(主剤)として含むものが挙げられる。
これらの中でも、補強コード30と樹脂32との接着性の観点から、変性オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、変性ポリエステル系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むホットメルト接着剤が好ましく、変性オレフィン系樹脂及び変性ポリエステル系樹脂より選ばれる少なくとも1種を含むホットメルト接着剤がより好ましく、その中でも酸変性オレフィン系樹脂(不飽和カルボン酸で酸変性された変性オレフィン系樹脂)及び変性ポリエステル系樹脂より選ばれる少なくとも1種を含むホットメルト接着剤がさらに好ましく、酸変性ポリエステル系樹脂を含むホットメルト接着剤が特に好ましい。
なお、「不飽和カルボン酸で酸変性された変性オレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィンに、不飽和カルボン酸をグラフト共重合させた変性オレフィン系樹脂を意味する。
ここで、本実施形態では、図4に示されるように、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、複数本の補強コード30のタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、接合部27を有さない部位での間隔をAとし、接合部27を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす。好ましくは、A:B=1:1.15〜1.35を満たす。
なお、ベルト26のタイヤ幅方向断面とは、ベルト26をタイヤ幅方向に沿って切断し、タイヤ周方向に見たときの断面であって、図2及び図4に示される断面である。また、複数本の補強コード30のタイヤ幅方向に沿った間隔とは、補強コード30の中心(センター)間の間隔である。
接合部27を有さない部位での間隔とは、図4に示す間隔Aであって、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、接合部27を横切らない位置での間隔である。換言すれば、接合部27を間に置かずに配置された2本の補強コード30間の間隔である。接合部27を有する部位での間隔とは、図4に示す間隔Bであって、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、接合部27を横切る位置での間隔である。換言すれば、接合部27を間に置いて配置された2本の補強コード30間の間隔である。
なお、図1に示されるように、ベルト26のタイヤ径方向外側には、第2のゴム材料からなるトレッド36が配置されている。トレッド36に用いる第2のゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド36には、排水用の溝37が形成されている。また、トレッド36のパターンも従来一般公知のものが用いられる。
タイヤ幅方向に沿って計測するベルト26の幅BWは、タイヤ幅方向に沿って計測するトレッド36の接地幅TWに対して75%以上とすることが好ましい。なお、ベルト26の幅BWの上限は、接地幅TWに対して110%とすることが好ましい。ここで、ベルト26の幅BWは、ベルト26における一方のタイヤ幅方向端から他方のタイヤ幅方向端までに範囲をいう。
ここで、トレッド36の接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2019年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
(空気入りタイヤの製造方法)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
まず、公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、ゴム材料からなるインナーライナー22、ビードコア12、ゴム材料からなるビードフィラー18、コードをゴム材料で被覆したカーカスプライ14、及びサイドゴム層24からなる未加硫のタイヤケース25を形成する。ここまでの製造方法は、従来通りである。
一方、樹脂被覆コード34(図2及び図3において2点鎖線で図示)は、接着樹脂31が被覆された二本の補強コード30を、樹脂32で被覆して形成される。本実施形態の樹脂被覆コード34の断面形状は平行四辺形である。すなわち、樹脂被覆コード34は、カーカス側(図面下方側)の内周面34Aと、トレッド側(図面上方側)の外周面34Bとが、ベルト幅方向に変位している断面形状をしている。そして、ベルト26は、タイヤ軸方向に沿った軸線周りに旋回する螺旋状に樹脂被覆コード34を巻いて形成される。
以下に、ベルト26の製造工程の一例を図5にしたがって説明する。
まず、ベルト成形ドラム40の近傍にコード供給装置42、加熱装置50、押付ローラ60、及び冷却ローラ70を移動可能に配置する。
コード供給装置42は、補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を巻き付けたリール43と、このリール43から巻き出された樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に案内するためのガイド部材44とを含んで構成されている。このガイド部材44は、筒状とされ、内部を樹脂被覆コード34が通過するようになっている。また、ガイド部材44の口部46からは、ベルト成形ドラム40の外周面に向かって樹脂被覆コード34が送り出される。
加熱装置50は、熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てて、吹き当てた部分を加熱し溶融させるものである。なお、本実施形態では、電熱線(不図示)で加熱した空気をファン(不図示)で発生させた気流で吹出し口52から吹き出し、この吹き出した熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てるようになっている。なお、加熱装置50の構成は、上記構成に限定されず、熱可塑性樹脂を加熱溶融できれば、どのような構成であってもよい。例えば、樹脂被覆コード34の側面に熱鏝を接触させて側面を加熱溶融させてもよく、輻射熱で加熱溶融させてもよく、赤外線を照射して加熱溶融させてもよい。
押付ローラ60は、後述する樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40外周面に押し付けるものであり、押付力Fを調整できるようになっている。また、押付ローラ60のローラ表面には、溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。そして、押付ローラ60は、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。
また、冷却ローラ70は、押付ローラ60よりもベルト成形ドラム40の回転方向下流側に配置され、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に押し付けつつ、樹脂被覆コード34を冷却するものである。この冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、押付力を調整でき、且つ、ローラ表面に溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。さらに、冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。また、冷却ローラ70は、ローラ内部を液体(例えば、水など)が流通するようになっており、この液体の熱交換によりローラ表面に接触した部材(本実施形態では、樹脂被覆コード34)などを冷却することができる。なお、溶融状態の樹脂材料を自然冷却させる場合には、冷却ローラ70を省略してもよい。
次に、ベルト成形ドラム40を矢印A方向に回転させると共にコード供給装置42の口部46から樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に向けて送り出す。
そして、加熱装置50の吹出し口52から樹脂被覆コード34に向かって熱風を吹き出して加熱し樹脂32の表面を溶融させながら、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40に付着させつつ、樹脂被覆コード34を押付ローラ60でベルト成形ドラム40の外周面に押し付ける。この押付ローラ60によって樹脂被覆コード34は、側部がタイヤ幅方向に膨出するように変形(押し潰しによる変形)して、樹脂32のタイヤ幅方向に隣接する側面同士が接触して溶着する。その後、樹脂32の溶融部分は、冷却ローラ70に接触して固化され、隣接する樹脂被覆コード34同士の溶着が完了する。
このようにして、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に螺旋状に巻き付けると共に該外周面に押し付けていくことで、ベルト成形ドラム40の外周面にベルト26が形成される。なお、樹脂被覆コード34を螺旋状に巻き付けるには、コード供給装置42の口部46の位置を、タイヤケース25の回転に伴ってタイヤ幅方向に移動させたり、タイヤケース25をタイヤ幅方向に移動させたりすればよい。
次に、樹脂32が固化したベルト26をベルト成形ドラム40から取り外し、タイヤ成形ドラムのタイヤケースの径方向外側に配置し、タイヤケースを拡張してタイヤケースの外周面、言い換えればカーカス16の外周面をベルト26の内周面に圧着する。
最後に、ベルト26の外周面に、一般の空気入りタイヤと同様に未加硫のトレッド36を貼り付け、生タイヤが完成する。
このようにして製造された生タイヤは、一般の空気入りタイヤと同様に加硫成形モールドで加硫成形され、空気入りタイヤ10が完成する。
(作用、効果)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、カーカス16のクラウン部が、螺旋状に巻回された補強コード30が樹脂32で被覆されたベルト26で補強されているため、従来タイヤの2枚以上のベルトプライから構成された複数層からなるベルトに比較して軽量となり、製造も簡単になる。
本実施形態のベルト26は、補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34が螺旋状に巻回されることにより構成されている。このため、樹脂被覆コード34の巻径や巻数を変えるだけで、空気入りタイヤ10のサイズの違いに容易に対応させることができる。
本実施形態のベルト26は、補強コード30を被覆している樹脂32の引張弾性率が50MPa以上とされ、厚みも0.7mm以上確保されているので、ベルト26のタイヤ幅方向の面内せん断剛性を十分に確保することができる。
ベルト26の面内せん断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
また、ベルト26の面内せん断剛性を向上させることに伴いベルト26の面外曲げ剛性も向上される。このため、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド36のバックリング(トレッド36の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
このように、本実施形態の空気入りタイヤ10では、面内せん断剛性が確保されたベルト26を用いており、ベルト26の幅BWをトレッド36の接地幅TWの75%以上としているので、ショルダー39付近の剛性を高めることができる。
ところで、空気入りタイヤ10では、接地時などにベルト26にベルト周方向の荷重が作用して、タイヤ幅方向端部に配置された補強コード30が、該端部に対するタイヤ幅方向中央側に配置された補強コード30に対してタイヤ周方向にずれると、ベルト面内にせん断歪みが生じる場合がある。特に、空気入りタイヤ10では、以下のように、タイヤ軸方向端部に配置された補強コード30が、タイヤ幅方向中央側の部分に配置された補強コード30に対してタイヤ周方向にずれて、ベルト面内にせん断歪みが生じやすい。
すなわち、空気入りタイヤ10では、ベルト26はタイヤケース25の形状に合わせて、タイヤ幅方向端部が、該端部に対するタイヤ幅方向中央側の部分に比べて、僅かに小径となるように形成されている。このため、タイヤ幅方向端部とタイヤ幅方向中央側の部分との間には、周長差が生じる。
なお、ベルト26のタイヤ幅方向端部とは、ベルト26のタイヤ幅方向端から所定の領域である。また、ベルト26のタイヤ幅方向中央側の部分とは、タイヤ赤道面CLを中心とした、タイヤ幅方向端部を除く所定の領域である。
そして、前述の周長差により、空気入りタイヤ10の接地時に、タイヤ軸方向端部に配置された補強コード30が、タイヤ幅方向中央側の部分に配置された補強コード30に対してタイヤ周方向にずれて、ベルト面内にせん断歪みが生じる場合がある。ベルト面内にせん断歪みが生じると、ベルト26の樹脂部分に応力が集中し、応力割れ等を誘発する虞がある。
ここで、本実施形態では、ベルト26では、前述のように、ベルト26のタイヤ幅方向断面において、複数本の補強コード30のタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、接合部27を有さない部位での間隔をAとし、接合部27を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす。
仮に、Aが1のとき、Bが0.98未満である場合には、ベルト26において接合部27を有する部位にせん断歪みが集中しやすい。一方、Aが1のとき、Bが1.35を超える場合には、ベルト26において接合部27を有さない部位にせん断歪みが集中しやすい。
これに対して、本実施形態では、A:B=1:0.98〜1.35を満たすので、ベルト26の一部にせん断歪みが集中しにくく、ベルト26の耐久性を確保することができる。
さらに本実施形態では、好ましくは、A:B=1:1.15〜1.35を満たす。ここで、ベルト26において接合部27を有する部位では、接合部27を有するため、接合部27を有さない部位よりもせん断歪みが生じやすい。本実施形態のように、A:B=1:1.15〜1.35を満たす範囲で、間隔Aよりも間隔Bを若干大きくすることで、接合部27を有する部位にせん断歪みが集中せず、より効果的に、ベルト26の耐久性を確保することができる。
(評価)
本評価では、本実施形態に係る空気入りタイヤ10を用いた重荷重試験により評価を行う。具体的には、タイヤサイズ225/40R18の空気入りタイヤ10を用い、試験速度60km/h、試験空気圧300kPa、試験荷重ロードインデックス×180%の条件で1万km走行させ、走行後のベルト26に生じた受傷数(クラック数)を計数する。なお、空気入りタイヤ10では、前述のように、補強コード30の直径が略1.13mmとされ、二本の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を用いている。また、本評価では、間隔Aと間隔Bとの合計を5.4mmに固定し、間隔Aをグラフの横軸に示す値に替えて評価を行った。
本評価では、本実施形態に係る空気入りタイヤ10を用いた重荷重試験により評価を行う。具体的には、タイヤサイズ225/40R18の空気入りタイヤ10を用い、試験速度60km/h、試験空気圧300kPa、試験荷重ロードインデックス×180%の条件で1万km走行させ、走行後のベルト26に生じた受傷数(クラック数)を計数する。なお、空気入りタイヤ10では、前述のように、補強コード30の直径が略1.13mmとされ、二本の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を用いている。また、本評価では、間隔Aと間隔Bとの合計を5.4mmに固定し、間隔Aをグラフの横軸に示す値に替えて評価を行った。
この結果、図6に示されるように、A:B=1:0.98〜1.35の範囲では、受傷数が許容数(3個)よりも少なかった。すなわち、A:B=1:0.98〜1.35の範囲では、ベルト26の耐久性を確保することができることがわかった。さらに、A:B=1:1.15〜1.35の範囲では、受傷数が2個以下となった。すなわち、A:B=1:1.15〜1.35の範囲では、より効果的に、ベルト26の耐久性を確保することができることがわかった。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記の実施形態の樹脂被覆コード34は、断面形状が平行四辺形とされていたが、これに限られない。例えば、樹脂被覆コード34は、断面形状が矩形である構成であってもよく、樹脂被覆コード34の断面形状としては、平行四辺形及び矩形以外の四角形その他の形状を用いることができる。
上記の実施形態のベルト26は、一般的な空気入りタイヤに限らず、サイド部を補強ゴムで補強したランフラットタイヤに用いることもできる。
上記の実施形態のベルト26では、ベルト幅方向に隣接する樹脂被覆コード34のタイヤ幅方向の側面同士が溶着により接合されていたが、接着剤を用いて接合されていてもよい。
10…空気入りタイヤ、16…カーカス、20…ビード部、25…タイヤケース、26…ベルト、27…接合部、30…補強コード、32…樹脂、34…樹脂被覆コード
Claims (2)
- 一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくとも前記カーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、
複数本の補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードが、前記タイヤケースの外周に対してタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回され、前記樹脂被覆コードにおけるタイヤ幅方向に互いに隣接する隣接部分同士が接合されて構成されたベルトと、
を備え、
前記ベルトのタイヤ幅方向断面において、前記補強コードのタイヤ幅方向に沿った間隔のうち、前記隣接部分同士の接合部分を有さない部位での間隔をAとし、前記隣接部分同士の接合部分を有する部位での間隔をBとしたとき、A:B=1:0.98〜1.35を満たす
空気入りタイヤ。 - A:B=1:1.15〜1.35を満たす
請求項1に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019228503A JP2021095036A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019228503A JP2021095036A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
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JP2021095036A true JP2021095036A (ja) | 2021-06-24 |
Family
ID=76430257
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019228503A Pending JP2021095036A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021095036A (ja) |
-
2019
- 2019-12-18 JP JP2019228503A patent/JP2021095036A/ja active Pending
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