JP2021067875A - 光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた結像品質を実現することができる光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法を提供する。【解決手段】光制御パネルの製造方法は、金属膜を有する複数の光透過性樹脂基材を接着層によって接着することによって、光透過性樹脂基材と反射層とが交互に積層された複層積層体を得る工程と、前記複層積層体を、当該複層積層体の積層方向に対して垂直な方向に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネルを得る工程とを有する。【選択図】図10
Description
本発明は、光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法に関する。
従来、内部に複数の帯状の光反射部を有する2つの光制御パネルを、光反射部が直交するように向かい合わせて配置した光学結像装置が用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
光学結像装置では、一方側から入射した光は光反射部で反射しつつ光制御パネルを通過し、他方側の空間に収束して立体像を映し出すことができる。光学結像装置は立体表示機器、ゲーム機、遊戯機器、広告塔等に応用されている。
光学結像装置では、一方側から入射した光は光反射部で反射しつつ光制御パネルを通過し、他方側の空間に収束して立体像を映し出すことができる。光学結像装置は立体表示機器、ゲーム機、遊戯機器、広告塔等に応用されている。
光制御パネルは、例えば次のようにして作製することができる。
帯状のベースフィルム上にアリルエステル樹脂組成物を流延し、ロールトゥーロール方式で搬送しつつ硬化せしめて帯状の光透過性樹脂基材を得る。次いで、帯状の光透過性樹脂基材からベースフィルムを剥離した後、ロールトゥーロール方式で搬送しつつ、帯状の光透過性樹脂基材の両面に反射層を形成して帯状積層体を得る。この帯状積層体を所定の長さに裁断して得られた複数の積層体を積層してブロック状の多層積層体とする。この多層積層体を厚さ方向に切断し、板状に切り出すことによって光制御パネルを得る。
帯状のベースフィルム上にアリルエステル樹脂組成物を流延し、ロールトゥーロール方式で搬送しつつ硬化せしめて帯状の光透過性樹脂基材を得る。次いで、帯状の光透過性樹脂基材からベースフィルムを剥離した後、ロールトゥーロール方式で搬送しつつ、帯状の光透過性樹脂基材の両面に反射層を形成して帯状積層体を得る。この帯状積層体を所定の長さに裁断して得られた複数の積層体を積層してブロック状の多層積層体とする。この多層積層体を厚さ方向に切断し、板状に切り出すことによって光制御パネルを得る。
従来の光制御パネルの製造方法においては、光透過性樹脂基材の歪み、光学異方性、層剥離などを原因として、光学結像装置において結像に歪みが生じることがあった。
本発明は、優れた結像品質を実現することができる光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、優れた結像品質を実現することができる光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は以下の通りである。
[1]金属膜を有する複数の光透過性樹脂基材を接着層によって接着することによって、光透過性樹脂基材と反射層とが交互に積層された複層積層体を得る工程と、
前記複層積層体を、当該複層積層体の積層方向に対して垂直な方向に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネルを得る工程と、
を有する、光制御パネルの製造方法。
[2]前記複層積層体を得た後であって前記複層積層体を切断する前に、前記複層積層体の外周に板状体を貼り付ける工程を有する、上記[1]に記載の光制御パネルの製造方法。
[3]前記光透過性樹脂層の積層方向厚さが120μm以上400μm以下である、請求項1に記載の光制御パネルの製造方法。
[4]前記複層積層体の切断にワイヤーソーを用いる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[5]前記光透過性樹脂層が、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする硬化物層で構成される上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[6]前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ、下記一般式(3)
(式中、A3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに前記一般式(2)を末端基とし、前記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含む、上記[5]に記載の光制御パネルの製造方法。
[7]前記金属膜が、アルミニウム、銀及びクロムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属で構成されている、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[8]前記光透過性樹脂層の積層方向厚さに対する前記光制御パネルの厚さの比が、2.0〜4.0である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって製造された光制御パネルの2枚を、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において一方の光制御パネルの前記反射層と他方の光制御パネルの前記反射層とが交差するように向い合せて配置する工程と、
2枚の前記光制御パネルを接着剤を介して互いに接着させると共に、前記2枚の光制御パネルを加圧する工程と、
を有する、光学結像装置の製造方法。
[1]金属膜を有する複数の光透過性樹脂基材を接着層によって接着することによって、光透過性樹脂基材と反射層とが交互に積層された複層積層体を得る工程と、
前記複層積層体を、当該複層積層体の積層方向に対して垂直な方向に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネルを得る工程と、
を有する、光制御パネルの製造方法。
[2]前記複層積層体を得た後であって前記複層積層体を切断する前に、前記複層積層体の外周に板状体を貼り付ける工程を有する、上記[1]に記載の光制御パネルの製造方法。
[3]前記光透過性樹脂層の積層方向厚さが120μm以上400μm以下である、請求項1に記載の光制御パネルの製造方法。
[4]前記複層積層体の切断にワイヤーソーを用いる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[5]前記光透過性樹脂層が、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする硬化物層で構成される上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[6]前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
[7]前記金属膜が、アルミニウム、銀及びクロムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属で構成されている、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[8]前記光透過性樹脂層の積層方向厚さに対する前記光制御パネルの厚さの比が、2.0〜4.0である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光制御パネルの製造方法。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって製造された光制御パネルの2枚を、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において一方の光制御パネルの前記反射層と他方の光制御パネルの前記反射層とが交差するように向い合せて配置する工程と、
2枚の前記光制御パネルを接着剤を介して互いに接着させると共に、前記2枚の光制御パネルを加圧する工程と、
を有する、光学結像装置の製造方法。
本発明によれば、歪みの少ない結像を得ることができ、優れた結像品質を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<光学結像装置>
図1は、本実施形態に係る光学結像装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。図2は、図1の光学結像装置を模式的に示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、光学結像装置10は、向かい合う一対の光制御パネル1,1と、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6とを備えている。以下、2つの光制御パネル1,1をそれぞれ第1の光制御パネル1A、第2の光制御パネル1Bという。なお、透明保護層6は省略することもできる。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、接着層7を介して固定されている。光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6,6とは、接着層8,8を介して固定されている。
このように、光学結像装置10は、光制御パネルを2枚備えており、第1の光制御パネル1Aの後述する帯状平面光反射部と第2の光制御パネル1Bの帯状平面光反射部とが直交するように配置されている。
<光学結像装置>
図1は、本実施形態に係る光学結像装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。図2は、図1の光学結像装置を模式的に示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、光学結像装置10は、向かい合う一対の光制御パネル1,1と、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6とを備えている。以下、2つの光制御パネル1,1をそれぞれ第1の光制御パネル1A、第2の光制御パネル1Bという。なお、透明保護層6は省略することもできる。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、接着層7を介して固定されている。光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6,6とは、接着層8,8を介して固定されている。
このように、光学結像装置10は、光制御パネルを2枚備えており、第1の光制御パネル1Aの後述する帯状平面光反射部と第2の光制御パネル1Bの帯状平面光反射部とが直交するように配置されている。
[光制御パネル]
図3及び図4に示すように、光制御パネル1は、複数の光透過部2と、複数の反射層3とを備えている。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。X方向は複数の光透過部2の並び方向である。Y方向は光制御パネル1の第1主面1aに沿う面内においてX方向と直交する方向である。Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であり、光制御パネル1の厚み方向である。光制御パネル1における平面視とは、光制御パネル1の厚み方向(Z方向)から見ることをいう。
複数の光透過部2と、複数の反射層3とは、X方向に交互に配置されている。光透過部2は、光透過性樹脂層で構成される。反射層3は、金属膜4と接着層5とを有する。この光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層されることで、複数の帯状平面光反射部が形成されている。
すなわち、光制御パネル1は、上記光透過性樹脂層と上記金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有している。
図3及び図4に示すように、光制御パネル1は、複数の光透過部2と、複数の反射層3とを備えている。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。X方向は複数の光透過部2の並び方向である。Y方向は光制御パネル1の第1主面1aに沿う面内においてX方向と直交する方向である。Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であり、光制御パネル1の厚み方向である。光制御パネル1における平面視とは、光制御パネル1の厚み方向(Z方向)から見ることをいう。
複数の光透過部2と、複数の反射層3とは、X方向に交互に配置されている。光透過部2は、光透過性樹脂層で構成される。反射層3は、金属膜4と接着層5とを有する。この光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層されることで、複数の帯状平面光反射部が形成されている。
すなわち、光制御パネル1は、上記光透過性樹脂層と上記金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有している。
[光透過部]
光透過部2は、XZ断面が矩形であってY方向に延在する形状とされている。複数の光透過部2は、長さ方向を揃えて幅方向(X方向)に並べられている。光透過部2は、可視光が透過可能とされた透明層である。光透過部2は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。
光透過部2は、XZ断面が矩形であってY方向に延在する形状とされている。複数の光透過部2は、長さ方向を揃えて幅方向(X方向)に並べられている。光透過部2は、可視光が透過可能とされた透明層である。光透過部2は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。
光透過部2の第1主面2a及びその反対面である第2主面2bはXY平面に沿う面である。第1主面2aは光制御パネル1の第1主面1aに含まれる面である。第2主面2bは、光制御パネル1の第1主面1aの反対面である第2主面1bに含まれる面である。光透過部2の側面2cは、隣り合う光透過部2に対向する面であり、YZ平面に沿う面である。
光制御パネル1の反射層3の間隔は、ほぼ光透過部2の並び方向(X方向)の寸法に相当し、その寸法(例えば図4における光透過部2の幅W1)は120μm以上400μm以下である。換言すれば、本実施形態では、上記光透過性樹脂層の積層方向厚さ(光透過部2の幅W1)が120μm以上400μm以下である。結像の解像度と製造コストとのバランスとから、前記厚さは150μm以上300μm以下が好ましく、180μm以上250μm以下がより好ましい。また、複数の光透過部2の幅W1は、互いに等しいことが好ましい。
上記光透過性樹脂層の積層方向の厚さの標準偏差は、結像の歪みを小さくする観点から、2.00μm以下であり、1.50μm以下が好ましく、1.30μm以下がより好ましい。厚さの標準偏差はより小さいほうが好ましいが、製造コストの関係から0.10μm以上であってもよい。
上記光透過性樹脂層の積層方向厚さ(光透過部2の幅W1)に対する光制御パネル1の厚さ(Z方向の寸法)との比は、0.8〜5.0が好ましく、2.0〜4.0であるのがより好ましい。
光透過部2の表面硬度は鉛筆硬度で2H以上が好ましい。表面硬度が鉛筆硬度で2H以上であると、作業工程上で傷がつくなどの不具合が生じにくくなる。
また、光透過部2には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネルに用いた際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
また、光透過部2には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネルに用いた際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
高精細な画像を得る点では「アッベ数」及び「平滑性」も重要な特性となる。アッベ数は屈折率の波長依存性を示す数値であり、光透過部2のアッベ数が低すぎると像が不鮮明になる可能性がある。光透過部2のアッベ数は好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
平滑性は特に金属膜4を製膜した面(図4における側面2c)で重要であり、平滑性が低すぎると像がぼやけたように見え、質感を損なう可能性がある。平滑性は算術平均粗さ「Ra」で表した場合に、好ましくは10nm未満、さらに好ましくは5nm未満、特に好ましいのは2nm未満である。
さらに、ハンドリング性の点で、光透過部2の比重は低い方が好ましい。
さらに、ハンドリング性の点で、光透過部2の比重は低い方が好ましい。
[光透過性樹脂層]
光透過部2は、上述のように光透過性樹脂層で形成されている。この光透過性樹脂層は、透明樹脂で構成されるのが好ましい。
光透過性樹脂層の積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差は、それぞれ光透過性樹脂層の素材として用いる光透過性樹脂フィルム(あるいは光透過性樹脂シート)の積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差に等しいと見做せる。光透過性樹脂フィルムの積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差は、スリットダイによる精密塗工成形、押出成形、キャスト成形、ロールプレス等の公知慣用の技術によって制御、製造することができる。
光透過部2は、上述のように光透過性樹脂層で形成されている。この光透過性樹脂層は、透明樹脂で構成されるのが好ましい。
光透過性樹脂層の積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差は、それぞれ光透過性樹脂層の素材として用いる光透過性樹脂フィルム(あるいは光透過性樹脂シート)の積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差に等しいと見做せる。光透過性樹脂フィルムの積層方向厚さ及び積層方向厚さの標準偏差は、スリットダイによる精密塗工成形、押出成形、キャスト成形、ロールプレス等の公知慣用の技術によって制御、製造することができる。
光透過性樹脂層を構成する透明樹脂としては、PMMA等のアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、スチレン-MMA樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アリルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリウレタン、チオポリウレタン樹脂、シルセスキオキサン樹脂などが挙げられる。中でも不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アリルエステル樹脂が好ましい。
また、光透過性樹脂層を構成する透明樹脂として、透明性、表面硬度、強度の観点から、アリルエステル樹脂(アリルエステル樹脂組成物の硬化物)がより好ましい。すなわち、光透過性樹脂層が、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする硬化物層で構成されるのが好ましい。また、上記硬化物層が、透明樹脂層で構成されるのがより好ましい。
[アリルエステル樹脂]
アリルエステル樹脂は熱硬化性樹脂の1種である。アリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成された光透過部2は、透明性に優れ、表面硬度及び強度も高い。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
アリルエステル樹脂は熱硬化性樹脂の1種である。アリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成された光透過部2は、透明性に優れ、表面硬度及び強度も高い。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
[アリルエステル樹脂組成物]
アリルエステル樹脂組成物は、アリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
アリルエステル樹脂組成物は、アリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、[1](メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(ここではアリルアルコールと総称する)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、[2](メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または[3]アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物の具体例としては、下記一般式(1)
(R1、R2は、それぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)としてアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)としてアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
[アリルエステルオリゴマー]
アリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
アリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のR3も複数個存在することになるが、これらの各R3は必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造であっても構わない。
また、全てのR3がアリル基またはメタリル基でなければならないということはなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部がメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。
A2で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA2はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。従って、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。従って、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
A2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、Tgが低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。
アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド3モル付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド3モル付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば特公平6−74239号公報に挙げられる方法で製造することができる。
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、1つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの1つがプロピレングリコール由来の残基、もう1つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるというような構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A3も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にR3がアリル基、A2,A3がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
[硬化剤]
アリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
アリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度が得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
[反応性モノマー]
アリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
アリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく、作業性が悪化したり、また、反応性モノマーとして単官能性モノマーを使用した場合には、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがあるため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性や機械強度が低下する場合があり好ましくない。
[ラジカル反応性の樹脂組成物]
アリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
アリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は、公知の方法により行うことができる。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。
これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。
反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
[添加剤]
アリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
アリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
しかし、これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
[アリルエステル樹脂組成物の硬化物]
アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射及び加熱の少なくともいずれか一方により硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシートを得ることができる。
なお、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指す。
アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射及び加熱の少なくともいずれか一方により硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシートを得ることができる。
なお、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指す。
樹脂組成物からフィルムあるいはシートを作製するにあたっては、一定の表面硬度が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、樹脂組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
樹脂組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。
照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20mJ/cm2〜5000mJ/cm2程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱線カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20mJ/cm2〜5000mJ/cm2程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱線カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5分間〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5分間〜60分間が好ましい。
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板等のベースシート、ベースフィルム上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。
ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらのベースシート、ベースフィルム、透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
アリルエステル樹脂組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。なお、塗布、塗工、成形時のアリルエステル樹脂組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100mPa・s〜100,000mPa・sの範囲である。
[反射層]
反射層3は、例えば金属膜4,4と、金属膜4,4の間に設けられた接着層5とを有する。金属膜4を構成する金属の種類に特に限定はないが、可視光の反射率が高いものが望ましい。
反射像の元映像の色調を正確に反映するためには、金属膜4を構成する金属は、無彩色(例えば銀色)の金属であることが望ましい。使用できる金属(合金を含む)としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム及びクロムからなる群から選ばれる1または2種以上の金属が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、銀及びクロムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。
反射層3は、例えば金属膜4,4と、金属膜4,4の間に設けられた接着層5とを有する。金属膜4を構成する金属の種類に特に限定はないが、可視光の反射率が高いものが望ましい。
反射像の元映像の色調を正確に反映するためには、金属膜4を構成する金属は、無彩色(例えば銀色)の金属であることが望ましい。使用できる金属(合金を含む)としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム及びクロムからなる群から選ばれる1または2種以上の金属が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、銀及びクロムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。
金属膜4は、隣り合う光透過部2,2の間に、光透過部2の側面2cに沿って光透過部2の長さ方向に延在する帯状に形成されている。金属膜4は、光透過部2の側面2cの全体を覆う形状であることが好ましい。金属膜4は、例えば側面2cに接して形成されている。金属膜4は、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直に形成されている。
金属膜4の、少なくとも光透過部2側の面は、光透過部2を通る可視光が反射する光反射面4aである。光反射面4aは、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直な面である。
金属膜4の、少なくとも光透過部2側の面は、光透過部2を通る可視光が反射する光反射面4aである。光反射面4aは、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直な面である。
接着層5は、例えば粘着剤、接着剤等からなる。接着層5の素材は特に限定されない。
粘着剤としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着剤としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。
粘着剤としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着剤としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。
接着層5はその屈折率(接着剤硬化後の値)が透明保護層6及び光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6または透明保護層6との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。これにより、接着層5と透明保護層6あるいは光透過部2との界面での拡散反射を低減することができる。
接着層5は、金属膜4の全面にわたって形成されていることが好ましい。この接着層5は、熱溶融型の樹脂で構成されるのが好ましい。
接着層5は、金属膜4の全面にわたって形成されていることが好ましい。この接着層5は、熱溶融型の樹脂で構成されるのが好ましい。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように配置される。図1に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
光制御パネル1の厚さは、そのサイズ(例えばX方向及びY方向の寸法)に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0.1mm〜1mmが好ましい。
[透明保護層]
透明保護層6,6は、フィルム状またはシート状に形成され、可視光(例えば波長380nm〜750nm)が透過可能とされている。透明保護層6は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。図1及び図2では、透明保護層6,6は、それぞれ第1の光制御パネル1Aの上面側及び第2の光制御パネル1Bの下面側に設けられている。第1の光制御パネル1Aの上面側の透明保護層6を第1の透明保護層6Aといい、第2の光制御パネル1Bの下面側の透明保護層6を第2の透明保護層6Bという。透明保護層は、透明保護部ともいう。
透明保護層6,6は、フィルム状またはシート状に形成され、可視光(例えば波長380nm〜750nm)が透過可能とされている。透明保護層6は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。図1及び図2では、透明保護層6,6は、それぞれ第1の光制御パネル1Aの上面側及び第2の光制御パネル1Bの下面側に設けられている。第1の光制御パネル1Aの上面側の透明保護層6を第1の透明保護層6Aといい、第2の光制御パネル1Bの下面側の透明保護層6を第2の透明保護層6Bという。透明保護層は、透明保護部ともいう。
透明保護層6は、例えばアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる。透明保護層6の構成材料はガラス、PMMA等の透明樹脂などでもよい。
透明保護層6の厚さは、0.05mm〜1mm(好ましくは0.1mm〜0.5mm)が好適である。透明保護層6の厚さを0.05mm以上とすることによって、透明保護層6の強度を高めることができる。透明保護層6の厚さを1mm以下とすることによって、透明保護層6の透明度を高めることができる。
透明保護層6の厚さは、0.05mm〜1mm(好ましくは0.1mm〜0.5mm)が好適である。透明保護層6の厚さを0.05mm以上とすることによって、透明保護層6の強度を高めることができる。透明保護層6の厚さを1mm以下とすることによって、透明保護層6の透明度を高めることができる。
透明保護層6(透明保護部)の表面硬度は鉛筆硬度で2H以上が好ましい。表面硬度が筆硬度で2H以上であると、光学結合装置表面に傷がつくなどの不具合が生じにくくなる。
また、透明保護層6には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネル表面に用いる際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
また、透明保護層6には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネル表面に用いる際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
高精細な画像を得る点では「アッベ数」及び「平滑性」も重要な特性となる。アッベ数は屈折率の波長依存性を示す数値であり、透明保護層6のアッベ数が低すぎると像が不鮮明になる可能性がある。透明保護層6のアッベ数は好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
平滑性も重要である。平滑性が低すぎると像がぼやけたように見え、質感を損なう可能がある。平滑性は算術平均粗さ「Ra」で表した場合に、Raは好ましくは10nm未満、さらに好ましくは5nm未満、特に好ましいのは2nm未満である。
光制御パネルの接着層7,8は、例えば粘着剤、接着剤等からなる。接着層7,8の素材は無色透明であれば特に限定されない。粘着剤としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着剤としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。接着層7,8は、光硬化性(例えば紫外線硬化性)の樹脂からなる接着剤であることが好ましい。
接着層7,8はその屈折率(接着剤硬化後の値)が透明保護層6及び光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6または光透過部2との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。これにより、接着層7,8と透明保護層6あるいは光透過部2との界面での拡散反射を低減することができる。
図2に示すように、光学結像装置10では、光学結像装置10の一方側(図2における下方側)からの光L1,L2は、第2の透明保護層6Bを透過して第2の光制御パネル1Bに入射し、反射層3Bの光反射面4aで反射する。反射層3Bの光反射面4aからの反射光RB1,RB2は第1の光制御パネル1Aに入射し、反射層3Aの光反射面4aで反射する。反射層3Aの光反射面4aからの反射光RA1,RA2は、第1の透明保護層6Aを透過し、光学結像装置10の他方側(図2における上方側)に、立体像20を表示する。
<光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法>
次に、本実施形態に係る光制御パネル1の製造方法、及び光学結像装置10の製造方法の一例を説明する。
[光透過性樹脂基材の作製]
図5に示すように、アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射、加熱等により硬化させることによって、アリルエステル樹脂からなる、厚さが例えば120μm以上400μm以下であり、且つ上記厚さの標準偏差が例えば2.00μm以下である、フィルム状あるいはシート状の光透過性樹脂基材12を作製する。光透過性樹脂基材12は、透明基材であるのが好ましい。
次に、本実施形態に係る光制御パネル1の製造方法、及び光学結像装置10の製造方法の一例を説明する。
[光透過性樹脂基材の作製]
図5に示すように、アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射、加熱等により硬化させることによって、アリルエステル樹脂からなる、厚さが例えば120μm以上400μm以下であり、且つ上記厚さの標準偏差が例えば2.00μm以下である、フィルム状あるいはシート状の光透過性樹脂基材12を作製する。光透過性樹脂基材12は、透明基材であるのが好ましい。
[金属膜及び積層体の形成]
図6に示すように、光透過性樹脂基材12の両面に、それぞれ金属膜14を形成する。光透過性樹脂基材12の表面に金属膜14を形成する方法は特に限定されないが、転写法、ドライコーティング法、ウェットコーティング法が挙げられる。転写法としては金属箔を接着剤により光透過性樹脂基材12に貼り付ける方法がある。ドライコーティング法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。ウェットコーティング法としては湿式めっき法等が挙げられる。光透過性樹脂基材12の表面に均一に薄く金属膜14を形成するには真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式の方法が好ましい。金属膜14は、光透過性樹脂基材12の一方の面に形成した後、他方の面に形成してもよいし、光透過性樹脂基材12の両面に同時に形成してもよい。
図6に示すように、光透過性樹脂基材12の両面に、それぞれ金属膜14を形成する。光透過性樹脂基材12の表面に金属膜14を形成する方法は特に限定されないが、転写法、ドライコーティング法、ウェットコーティング法が挙げられる。転写法としては金属箔を接着剤により光透過性樹脂基材12に貼り付ける方法がある。ドライコーティング法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。ウェットコーティング法としては湿式めっき法等が挙げられる。光透過性樹脂基材12の表面に均一に薄く金属膜14を形成するには真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式の方法が好ましい。金属膜14は、光透過性樹脂基材12の一方の面に形成した後、他方の面に形成してもよいし、光透過性樹脂基材12の両面に同時に形成してもよい。
金属膜14を形成した光透過性樹脂基材12の一方の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層15を形成し、積層体16を作製する。あるいは光透過性樹脂基材12の両表面に、接着剤等を薄く塗布してもよい(図示せず)。また、接着層15を無色透明なものとすれば、金属膜14は光透過性樹脂基材12の片面にのみ形成することも可能である。即ち、図6において、上側の金属膜14を不要とすることができる。ただし、この場合であっても最上面と最下面の光透過性樹脂基材12には両面に金属膜14が必要である。
[複層積層体の作製]
図7に示すように、金属膜14を有する複数の光透過性樹脂基材12を接着層15によって接着することによって、光透過性樹脂基材12と反射層13とが交互に積層されたブロック状の複層積層体17を得る。反射層13は、金属膜14,14と、金属膜14,14の間に設けられた接着層15とを有する。ブロック状の複層積層体17を得る際には、プレス機等により複層積層体17を加圧、加熱してもよい。
図7に示すように、金属膜14を有する複数の光透過性樹脂基材12を接着層15によって接着することによって、光透過性樹脂基材12と反射層13とが交互に積層されたブロック状の複層積層体17を得る。反射層13は、金属膜14,14と、金属膜14,14の間に設けられた接着層15とを有する。ブロック状の複層積層体17を得る際には、プレス機等により複層積層体17を加圧、加熱してもよい。
[光制御パネルの作製]
図8及び図9に示すように、ブロック状の複層積層体17を、切断箇所18において、光透過性樹脂基材12に対して交差する面に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、図3に示す光制御パネル1を得る。複層積層体17の光透過性樹脂基材12は、光制御パネル1の光透過部2となる。反射層13は反射層3となる。金属膜14及び接着層15はそれぞれ金属膜4、接着層5となる。
切断加工には鋸盤法、ワイヤーソー法、コンターマシン法、旋盤法等の加工方法を採用することができる。中でもワイヤーソー法を採用し、複層積層体17の切断にワイヤーソーを用いるのが好適である。
図8及び図9に示すように、ブロック状の複層積層体17を、切断箇所18において、光透過性樹脂基材12に対して交差する面に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、図3に示す光制御パネル1を得る。複層積層体17の光透過性樹脂基材12は、光制御パネル1の光透過部2となる。反射層13は反射層3となる。金属膜14及び接着層15はそれぞれ金属膜4、接着層5となる。
切断加工には鋸盤法、ワイヤーソー法、コンターマシン法、旋盤法等の加工方法を採用することができる。中でもワイヤーソー法を採用し、複層積層体17の切断にワイヤーソーを用いるのが好適である。
図10は、図8及び図9の光制御パネルの製造方法において、複層積層体17の切断方法の一例を説明する図である。
本実施形態では、複層積層体17を、当該複層積層体17の積層方向(図中のX方向)に対して垂直な方向(図中のY方向)に沿って切断し、一部を板状に切り出す。これにより、光透過部2(光透過性樹脂層)と金属膜4とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネル1を得る。以後、同様の切断方法にて、複数の光制御パネル1,1,・・・を得る。
本実施形態では、複層積層体17を、当該複層積層体17の積層方向(図中のX方向)に対して垂直な方向(図中のY方向)に沿って切断し、一部を板状に切り出す。これにより、光透過部2(光透過性樹脂層)と金属膜4とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネル1を得る。以後、同様の切断方法にて、複数の光制御パネル1,1,・・・を得る。
本実施形態では、複層積層体17は、当該複層積層体17の積層方向(図中のX方向)に対して垂直な方向(図中のZ方向)に関して一様な構成を有しており、具体的には複層積層体17を構成する各層は、Z方向に関して複層積層体17の一端から多端まで一様な構成である。すなわち、光透過部2(光透過性樹脂層)の内部に切断部位となる直線状の複数の変質層等を形成すること無く、複層積層体17を切断する。また、複層積層体17切断する際に、ワイヤ等の切断刃を変質層に案内する必要が無く、変質層と切断刃との位置合わせを要しない。更に、本実施形態ではZ方向の任意の位置で複層積層体17を切断することが可能であるため、例えば、第1の厚みを有する一対の光制御パネル1,1と、第2の厚みを有する一対の光制御パネル1,1とを、一の複層積層体17から切り出すことができる。よって、切断部位を予め形成したり変質層と切断刃との位置合わせを行うこと無く、複層積層体17を所望の厚さで切断することができ、製造工程の簡略化、製造コストの低減、設計の自由度の向上等を図ることができる。
図11は、図10の切断方法によって得られた光制御パネル1の構成を示す図である。
ワイヤなどの切断刃を複層積層体17の一端部から他端部に向かって移動させる際(図10のY方向)、切断刃はY方向に進行しつつ、Z方向にもある程度変位(ブレ)する。このため、光制御パネル1の第1主面1a,第2主面1bには、金属膜4の積層方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)に沿う意図しない微小凹凸が形成される。すなわち、図11に示すように、光制御パネル1の主面1a,1bは、Y方向に沿う微小凹凸を有している。
ワイヤなどの切断刃を複層積層体17の一端部から他端部に向かって移動させる際(図10のY方向)、切断刃はY方向に進行しつつ、Z方向にもある程度変位(ブレ)する。このため、光制御パネル1の第1主面1a,第2主面1bには、金属膜4の積層方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)に沿う意図しない微小凹凸が形成される。すなわち、図11に示すように、光制御パネル1の主面1a,1bは、Y方向に沿う微小凹凸を有している。
ワイヤを用いて複層積層体17を切断する場合、切断方向(Y方向)の移動速度は、特に制限されないが、例えば0.05mm/min以上0.40mm/min以下、好ましくは0.10mm/min以上0.30mm/minである。また、ワイヤの幅方向寸法は、特に制限されないが、0.10mm以上0.25mm以下とすることができる。更に、砥粒を用いて複層積層体17を切断してもよい。砥粒は、ワイヤなどの切断刃に付着した状態で使用されてもよいし、切断時に、切断箇所に適宜供給されてもよい。砥粒を構成する材料は、特に制限されないが、例えばダイヤモンド、SiCである。これにより、光制御パネル1の板厚偏差を小さくすることができ、切断面を研磨する工程を設けること無く光制御パネル1を得ることが可能となる。
複層積層体17を得た後であって複層積層体17を切断する前に、複層積層体17の外周に板状体を貼り付けて補強してもよい。例えば、図10においてY軸に直交する複層積層体17の上面、下面や、X軸に直交する複層積層体17の両側面に、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル系接着剤、又はシリコーン樹脂系接着剤で板状体を貼着する。板状体を構成する材料は、特に制限されないが、例えばフェノール樹脂板、ガラス板、アクリル樹脂板である。これにより、複層積層体17の外周部を補強することができ、切断時に複層積層体17に割れや剥がれが発生するのを防止することができる。
[光学結像装置の作製]
[光制御パネルの設置]
図1及び図2に示すように、光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように向い合せて配置される。図1及び図2に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
[光制御パネルの設置]
図1及び図2に示すように、光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように向い合せて配置される。図1及び図2に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
次に、2枚の光制御パネル1,1(1A,1B)のうち少なくとも一方の表面に接着剤を塗布し、光制御パネル1,1(1A,1B)を接着剤を介して互いに接着させる。これにより、光制御パネル1,1(1A,1B)の間に接着層7が形成され、接着層7によって光制御パネル1,1(1A,1B)が互いに接着される。
[透明保護層の設置]
得られた光制御パネル1,1(1A,1B)の外面、または透明保護層6の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層8,8を形成する。接着層8,8によって光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6(6A,6B)とを接着する。なお、透明保護層6の設置は光制御パネル1,1の設置の前に実施してもよい。即ち、各光制御パネル1A,1Bのそれぞれに透明保護層6(6A,6B)を接着後に、光制御パネル1A,1Bを直交させて接着してもよい。この透明保護層6(6A,6B)の設置により、光制御パネル1Aの第1主面1Aa,第2主面1Abにおける切削痕や、光制御パネル1Bの第1主面1Ba,第2主面1Bb(切断面)における切削痕を透明化することができる。
得られた光制御パネル1,1(1A,1B)の外面、または透明保護層6の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層8,8を形成する。接着層8,8によって光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6(6A,6B)とを接着する。なお、透明保護層6の設置は光制御パネル1,1の設置の前に実施してもよい。即ち、各光制御パネル1A,1Bのそれぞれに透明保護層6(6A,6B)を接着後に、光制御パネル1A,1Bを直交させて接着してもよい。この透明保護層6(6A,6B)の設置により、光制御パネル1Aの第1主面1Aa,第2主面1Abにおける切削痕や、光制御パネル1Bの第1主面1Ba,第2主面1Bb(切断面)における切削痕を透明化することができる。
その後、図12(a)に示すように、2枚の光制御パネル1,1(1A,1B)を加圧する。加圧方法は特に限定されないが、例えばプレス機を用い、第1の透明保護層6A、接着層8、光制御パネル1A、接着層7,光制御パネル1B、接着層8、第2の透明保護層6Bで構成される積層体をプレスする。この場合、2枚の光制御パネル1A,1Bは、その両側に配置された透明保護層6A,6B及び接着層8,8を介して積層方向(図中のZ方向)に沿って押圧される。
上記加圧により、光制御パネル1の第1主面1a,第2主面1b(1Aa,1Ab,1Ba,1Bb)は、平坦化される。すなわち、図12(b)に示すように、光制御パネル1AのX方向から見た側面視において、第1主面1Aa,第2主面1Abの微小凹凸面は、Z方向の押圧力によって均されて、平面に近い形状となる。このとき、第1主面1Aa,第2主面1Ab上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1の厚み方向に押されることにより(図中の大矢印)、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、Y方向にも変形する(図中の小矢印)。同様にして、光制御パネル1Bの第1主面1Ba,第2主面1Bb上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1Bの厚み方向に押されることにより、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、X方向にも変形する。
このように、光制御パネル1の第1主面1a,第2主面1b上の微小凹凸面は、金属膜4の積層方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)、換言すれば金属膜4の延在方向に沿って形成されているため、第1主面1a,第2主面1b上の凹部或いは凸部がY方向に変位して当該凹部或いは凸部が変形しても、金属膜4が積層方向(X方向)に位置ずれし難い。したがって、光制御パネル1AのX方向から見た側面視において、金属膜4のZ方向に対する傾きが抑制され、複数の金属膜4,4,・・・における複数の光反射面4a,4a,・・・の平行状態及びそれらの間隔がほぼ維持される。
以上の工程により、図1及び図2に示す光学結像装置10を得る。
以上の工程により、図1及び図2に示す光学結像装置10を得る。
[従来の光制御パネルの作製]
図13は、従来の光制御パネルの製造方法において、複層積層体17の切断方法を説明する図である。
図13に示すように、従来の光制御パネルの製造方法では、複層積層体17を、当該複層積層体17の積層方向と平行な方向(図中のY方向)に沿って切断し、一部を板状に切り出す。すなわち、従来の光制御パネルの製造方法では、複層積層体17の切断方向が、本実施形態の複層積層体17の切断方向に対して90度異なっている。このため、図14に示すように、従来の光制御パネル1’の第1主面1a’, 第2主面1b’には、金属膜4’の積層方向(Y方向)と平行な方向に沿う微小凹凸が形成される。
図13は、従来の光制御パネルの製造方法において、複層積層体17の切断方法を説明する図である。
図13に示すように、従来の光制御パネルの製造方法では、複層積層体17を、当該複層積層体17の積層方向と平行な方向(図中のY方向)に沿って切断し、一部を板状に切り出す。すなわち、従来の光制御パネルの製造方法では、複層積層体17の切断方向が、本実施形態の複層積層体17の切断方向に対して90度異なっている。このため、図14に示すように、従来の光制御パネル1’の第1主面1a’, 第2主面1b’には、金属膜4’の積層方向(Y方向)と平行な方向に沿う微小凹凸が形成される。
[従来の光学結像装置の作製]
その後、図15(a)に示すように、2枚の光制御パネル1’,1’(1A’,1B’)を加圧する。上記加圧により、光制御パネル1’の第1主面1a’,第2主面1b’(1Aa’,1Ab’,1Ba’,1Bb’)は、平坦化される。図15(b)に示すように、光制御パネル1A’のX方向から見た側面視において、第1主面1Aa’,第2主面1Abの微小凹凸面は、Z方向の押圧力によって均されて、平面に近い形状となる。このとき、第1主面1Aa’, 第2主面1Ab’上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1A’の厚み方向に押されることにより(図中の大矢印)、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、Y方向にも変形する(図中の小矢印)。同様にして、光制御パネル1Bの第1主面1Ba,第2主面1Bb上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1Bの厚み方向に押されることにより、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、X方向にも変形する。
その後、図15(a)に示すように、2枚の光制御パネル1’,1’(1A’,1B’)を加圧する。上記加圧により、光制御パネル1’の第1主面1a’,第2主面1b’(1Aa’,1Ab’,1Ba’,1Bb’)は、平坦化される。図15(b)に示すように、光制御パネル1A’のX方向から見た側面視において、第1主面1Aa’,第2主面1Abの微小凹凸面は、Z方向の押圧力によって均されて、平面に近い形状となる。このとき、第1主面1Aa’, 第2主面1Ab’上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1A’の厚み方向に押されることにより(図中の大矢印)、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、Y方向にも変形する(図中の小矢印)。同様にして、光制御パネル1Bの第1主面1Ba,第2主面1Bb上の凹部或いは凸部は、光制御パネル1Bの厚み方向に押されることにより、厚み方向(Z方向)に変形すると共に、X方向にも変形する。
このように、光制御パネル1’の第1主面1a’,第2主面1b’上の微小凹凸面は、金属膜4’の積層方向(Y方向)に平行な方向(Y方向)、換言すれば金属膜4’の厚み方向に沿って形成されているため、第1主面1a’, 第2主面1b’上の凹部或いは凸部がY方向に変位すると、当該凹部或いは凸部の変形に伴って金属膜4が積層方向(Y方向)に位置ずれし易い。したがって、光制御パネル1B’のX方向から見た側面視において、金属膜4’のZ方向に対する傾きが生じ、複数の金属膜4’,4’,・・・における複数の光反射面4a’,4a’,・・の平行状態及びそれらの間隔にばらつきが生じる。よって、上記従来の方法にて光学結像装置10’を得た場合、本実施形態の光学結像装置10と比較して、結像歪みが大きくなり、優れた投影画像を得にくくなる。
上述したように、本実施形態によれば、金属膜14を有する複数の光透過性樹脂基材12を接着層15によって接着することによって、光透過性樹脂基材12と反射層13とが交互に積層された複層積層体17を得、次いで、複層積層体17を、当該複層積層体17の積層方向に対して垂直な方向に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、光透過部2(光透過性樹脂層)と金属膜4とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネル1を得るので、光学結像装置10において、歪みの少ない結像を得ることができ、より高解像で結像することができ、結像品質を高めることができる。
実施形態の光制御パネルの製造方法及び光学結像装置及びその製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
本実施形態では、一本掛けのワイヤーソーによって複層積層体17から一の光制御パネル1を切り出すが、これに限られない。図16(a)に示すように、回転可能に軸支された4つのローラー31A,31B,31C,31Dにワイヤ32を所定間隔で配置し、複層積層体17とワイヤ32を相対移動することにより、複層積層体17から複数の光制御パネル1を同時に切り出してもよい。ワークである複層積層体17の向きを調整することで、本実施形態の製造方法を容易に適用することができる。
また、ダイヤモンド製等の複数の円盤状ブレードで構成される円盤状マルチブレード41を用い、複層積層体17から複数の光制御パネル1を同時に切り出してもよい。或いは、複数の長尺状ブレードで構成される長尺状マルチブレード51を用い、複層積層体17から複数の光制御パネル1を同時に切り出してもよい。また、切断箇所に砥粒を供給しつつ、複層積層体17から複数の光制御パネル1を切り出してもよい。
更に、回転可能に軸支された2つのローラー61A,61Bにバンド62を所定張力で取り付け、複層積層体17とバンド62を相対移動することにより、複層積層体17から複数の光制御パネル1を切り出してもよい。
また、ダイヤモンド製等の複数の円盤状ブレードで構成される円盤状マルチブレード41を用い、複層積層体17から複数の光制御パネル1を同時に切り出してもよい。或いは、複数の長尺状ブレードで構成される長尺状マルチブレード51を用い、複層積層体17から複数の光制御パネル1を同時に切り出してもよい。また、切断箇所に砥粒を供給しつつ、複層積層体17から複数の光制御パネル1を切り出してもよい。
更に、回転可能に軸支された2つのローラー61A,61Bにバンド62を所定張力で取り付け、複層積層体17とバンド62を相対移動することにより、複層積層体17から複数の光制御パネル1を切り出してもよい。
図4に示す光制御パネル1では、反射層3は金属膜4と接着層5とを有するが、反射層は金属膜のみで構成されていてもよい。
光透過部を構成する硬化物層は、アリルエステル樹脂組成物で形成されているが、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする材料で形成されてもよい。なお、「主成分」とは60質量%以上の含有率であることをいう。
光透過部を構成する硬化物層は、アリルエステル樹脂組成物で形成されているが、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする材料で形成されてもよい。なお、「主成分」とは60質量%以上の含有率であることをいう。
前述の製造方法では、光透過性樹脂基材12の両面にそれぞれ金属膜14を形成したが、光制御パネル1において隣り合う光透過部2の間に反射層3を形成できれば、金属膜14を光透過性樹脂基材12の一方の面のみに形成してもよい。すなわち、接着層15を無色透明なものとすれば、金属膜14は光透過性樹脂基材12の片面にのみ形成し、図6において、各積層体16の上側の金属膜14を不要とすることができる。ただし、この場合であっても、図7の複層積層体17における最上面と最下面の光透過性樹脂基材12には両面に金属膜14が必要である。
また、光制御パネル1において、光透過部2の両面(積層方向(X方向)に関して光透過部の両側)に金属膜4が形成されているが(図4)、光透過部2の片面(積層方向に関して光透過部の片側の面)に金属膜4が形成されてもよい。
光透過部2の両面に金属膜4が形成されている場合、接着層5の屈折率は、光学結像装置10として十分な光量が得られることを条件として、特に制限はない。一方、光透過部2の片面に金属膜4が形成されている場合には、虹色模様などの表示不具合を抑制する観点から、光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。
光透過部2の両面に金属膜4が形成されている場合、接着層5の屈折率は、光学結像装置10として十分な光量が得られることを条件として、特に制限はない。一方、光透過部2の片面に金属膜4が形成されている場合には、虹色模様などの表示不具合を抑制する観点から、光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。
光制御パネル1は、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6(6A,6B)を備えるが(図1)、透明保護層6,6(6A,6B)の一方または両方を備えていなくてもよい。また、その場合、光制御パネル1は、接着層8,8(8A,8B)の一方または両方を備えなくてもよい。
尚、「アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方」は、アリル基及びメタリル基の一方または両方を意味する。「光照射及び加熱の少なくともいずれか一方」は、光照射及び加熱のいずれか一方または両方を意味する。「脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方」は、脂環式構造及び芳香環構造のいずれか一方または両方を意味する。
尚、「アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方」は、アリル基及びメタリル基の一方または両方を意味する。「光照射及び加熱の少なくともいずれか一方」は、光照射及び加熱のいずれか一方または両方を意味する。「脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方」は、脂環式構造及び芳香環構造のいずれか一方または両方を意味する。
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
合成例1:
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン247g、ジオクチル錫オキサイド4.1gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成するアリルアルコールを系外に留去しながら加熱した。留去したアリルアルコールが約260gになったところで、反応系内を徐々に、4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アリルアルコールの留出速度を速めた。留出がほとんどなくなったところで、圧力を0.5kPaとし、1時間反応させた後、室温まで冷却しアリルエステルオリゴマーAを得た。
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン247g、ジオクチル錫オキサイド4.1gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成するアリルアルコールを系外に留去しながら加熱した。留去したアリルアルコールが約260gになったところで、反応系内を徐々に、4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アリルアルコールの留出速度を速めた。留出がほとんどなくなったところで、圧力を0.5kPaとし、1時間反応させた後、室温まで冷却しアリルエステルオリゴマーAを得た。
製造例1(光透過性樹脂基材A):
合成例1で作製したアリルエステルオリゴマーA100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製、「M−309」)10質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IGM Resins社製「Omnirad(登録商標) TPO」)0.5質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社)を1質量部加え十分撹拌しアリルエステル樹脂組成物Bを得た。この組成物BをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、硬化後の光透過性樹脂層の厚さ(W1)が200μmとなるように塗布した。カバーフィルム用のPET製フィルムに張力をかけながら直径30mmの金属ロールを使って、塗工液表面を当該カバーフィルムで覆った。紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、800mJ/cm2の条件で紫外線を照射した後、150℃に設定した加熱炉に10分間投入した。加熱炉から取り出し、ベースフィルム及びカバーフィルムを剥がし、積層方向厚さ200μm、厚さ標準偏差0.89μmの光透過性樹脂基材Aを得た。
合成例1で作製したアリルエステルオリゴマーA100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製、「M−309」)10質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IGM Resins社製「Omnirad(登録商標) TPO」)0.5質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社)を1質量部加え十分撹拌しアリルエステル樹脂組成物Bを得た。この組成物BをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、硬化後の光透過性樹脂層の厚さ(W1)が200μmとなるように塗布した。カバーフィルム用のPET製フィルムに張力をかけながら直径30mmの金属ロールを使って、塗工液表面を当該カバーフィルムで覆った。紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、800mJ/cm2の条件で紫外線を照射した後、150℃に設定した加熱炉に10分間投入した。加熱炉から取り出し、ベースフィルム及びカバーフィルムを剥がし、積層方向厚さ200μm、厚さ標準偏差0.89μmの光透過性樹脂基材Aを得た。
製造例2:
光透過性樹脂基材Aの両面に真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、表面抵抗値1.1Ω/□を有するアルミニウム膜(金属膜)を有する厚さ200μmの基材Bを得た。この基材Bのアルミニウム蒸着面の、波長380〜780nmの領域の平均反射率は91%であった。
光透過性樹脂基材Aの両面に真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、表面抵抗値1.1Ω/□を有するアルミニウム膜(金属膜)を有する厚さ200μmの基材Bを得た。この基材Bのアルミニウム蒸着面の、波長380〜780nmの領域の平均反射率は91%であった。
<実施例1>
基材Bを190mm×190mmの大きさに炭酸ガスレーザーによってシート状に切断加工した。接着剤(アロンアルファ社製、「EX4000」)を用いて、得られたシートを950枚重ねて貼り合わせ、積層品(複層積層体)を作製した。この積層品を、ダイヤモンドワイヤーソーを用い、図10に示す様に積層品の積層方向に対して垂直な方向に沿い、0.20mm/minの移動速度にて、1mmの厚みとなるように切断し、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)を有する約190mm×約190mmの光制御パネルを得た。
この光制御パネルを二枚作製し、片面にUV硬化型樹脂(デクセリアルズ社製、SVR1120)を接着剤として塗布した。二枚の光制御パネルを、金属膜層(反射層)が平面視において直交するように重ね、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、5000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して上記接着剤を硬化させ、光学結像装置Cとした。
得られた光学結像装置Cの両面に、厚さ0.50mmのアクリル板テクノロイ(登録商標)(住化アクリル販売社製)を、UV硬化型樹脂(デクセリアルズ社製、SVR1120)を用いて貼合し、光学結像装置Dを得た。得られた光学結像装置Dについて、以下の結像歪み評価に基づいて結像品質を評価した。
基材Bを190mm×190mmの大きさに炭酸ガスレーザーによってシート状に切断加工した。接着剤(アロンアルファ社製、「EX4000」)を用いて、得られたシートを950枚重ねて貼り合わせ、積層品(複層積層体)を作製した。この積層品を、ダイヤモンドワイヤーソーを用い、図10に示す様に積層品の積層方向に対して垂直な方向に沿い、0.20mm/minの移動速度にて、1mmの厚みとなるように切断し、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)を有する約190mm×約190mmの光制御パネルを得た。
この光制御パネルを二枚作製し、片面にUV硬化型樹脂(デクセリアルズ社製、SVR1120)を接着剤として塗布した。二枚の光制御パネルを、金属膜層(反射層)が平面視において直交するように重ね、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、5000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して上記接着剤を硬化させ、光学結像装置Cとした。
得られた光学結像装置Cの両面に、厚さ0.50mmのアクリル板テクノロイ(登録商標)(住化アクリル販売社製)を、UV硬化型樹脂(デクセリアルズ社製、SVR1120)を用いて貼合し、光学結像装置Dを得た。得られた光学結像装置Dについて、以下の結像歪み評価に基づいて結像品質を評価した。
<比較例1>
積層品を、図13に示す様に当該積層品の積層方向に平行な方向に沿って切断したこと以外は、実施例1と同様にして、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)を有する光制御パネルを用いた光学結像装置Hを得た。得られた光学結像装置Hについて、以下の結像歪み評価に基づいて結像品質を評価した。
積層品を、図13に示す様に当該積層品の積層方向に平行な方向に沿って切断したこと以外は、実施例1と同様にして、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)を有する光制御パネルを用いた光学結像装置Hを得た。得られた光学結像装置Hについて、以下の結像歪み評価に基づいて結像品質を評価した。
[板厚偏差]
光制御パネルの切断方向(Y方向)の端部を基準として10mmから180mmまで10mm間隔とし、且つ上記切断方向に垂直な方向(X方向)の端部を基準として5mmから185mmまで60mm間隔とし、これらで規定される各位置(x,y)における光制御パネルの厚さを測定した。同様にして、光制御パネルのY方向端部を基準として10mmから180mmまで10mm間隔で光制御パネルの厚さを測定した。そして各光制御パネルおける面内厚さの最大値と面内厚さの最小値との差を、板厚偏差(TTV:total thickness variation)として求めた。結果を図17(a)及び図17(b)に示す。
光制御パネルの切断方向(Y方向)の端部を基準として10mmから180mmまで10mm間隔とし、且つ上記切断方向に垂直な方向(X方向)の端部を基準として5mmから185mmまで60mm間隔とし、これらで規定される各位置(x,y)における光制御パネルの厚さを測定した。同様にして、光制御パネルのY方向端部を基準として10mmから180mmまで10mm間隔で光制御パネルの厚さを測定した。そして各光制御パネルおける面内厚さの最大値と面内厚さの最小値との差を、板厚偏差(TTV:total thickness variation)として求めた。結果を図17(a)及び図17(b)に示す。
図17(a)に示すように、実施例1では、板厚偏差が−7〜+7の範囲内であった。また、図17(b)に示すように、比較例1では、板厚偏差が−7〜+7の範囲内であり、また、板厚偏差の大きい部分が実施例1に比べて若干多い程度であった。よって、積層品(複層積層体)の切断方向が90度異なっても、板厚偏差はさほど変わらないことが分かった。
[結像歪み評価]
図18に示すように、プレートP上に図19に示す格子画像Iを設置し、格子画像Iの中心(図19中の「100」の位置)と光学結像装置Dとの中心との距離L3が100mmとなるように格子画像Iと光学結像装置Dとを配置し、投影された画像をカメラMで撮影し、目視による当該画像の結像歪み評価を行った。光学結像装置Hについても、同様にして結像歪み評価を行った。結果を図20及び図21及びに示す。元の格子画像Iとしては、外周寸法50mm×100mm、単位格子寸法5mm×5mm、太線幅1mm、細線幅0.5mmのものを使用した。
図18に示すように、プレートP上に図19に示す格子画像Iを設置し、格子画像Iの中心(図19中の「100」の位置)と光学結像装置Dとの中心との距離L3が100mmとなるように格子画像Iと光学結像装置Dとを配置し、投影された画像をカメラMで撮影し、目視による当該画像の結像歪み評価を行った。光学結像装置Hについても、同様にして結像歪み評価を行った。結果を図20及び図21及びに示す。元の格子画像Iとしては、外周寸法50mm×100mm、単位格子寸法5mm×5mm、太線幅1mm、細線幅0.5mmのものを使用した。
図20に示すように、実施例1では、積層品を、当該積層品の積層方向に対して垂直な方向に沿って、1mmの厚みとなるように切断し、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)が形成された光制御パネルを有する光学結像装置Dを用いると、反射層の平行状態が維持されているため、投影画像の上端部の格子に若干の結像歪みがあるものの、画像全体として結像歪みがほぼ生じておらず、良好な投影画像が得られることが分かった。
一方、図21に示すように、比較例1では、積層品を、当該積層品の積層方向に対して平行な方向に沿って、1mmの厚みとなるように切断し、0.20mm間隔で金属膜層(反射層)が形成された光制御パネルを有する光学結像装置Hを用いると、反射層に傾きが生じたため、投影画像の中心部、側端部及び上端部に結像歪みが生じており、特に上端部の結像歪みが大きく、実施例1と比較して結像品質が相対的に劣った。
1 光制御パネル
2 光透過部
3 反射層
4 金属膜
4a 光反射面
5 接着層
6 透明保護層
7 接着層
8 接着層
10 光学結像装置
12 光透過性樹脂基材
13 反射層
14 金属膜
15 接着層
16 積層体
17 複層積層体
18 切断箇所
2 光透過部
3 反射層
4 金属膜
4a 光反射面
5 接着層
6 透明保護層
7 接着層
8 接着層
10 光学結像装置
12 光透過性樹脂基材
13 反射層
14 金属膜
15 接着層
16 積層体
17 複層積層体
18 切断箇所
Claims (9)
- 金属膜を有する複数の光透過性樹脂基材を接着層によって接着することによって、光透過性樹脂基材と反射層とが交互に積層された複層積層体を得る工程と、
前記複層積層体を、当該複層積層体の積層方向に対して垂直な方向に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、光透過性樹脂層と金属膜とが面内方向に交互に積層された複数の帯状平面光反射部を有する光制御パネルを得る工程と、
を有する、光制御パネルの製造方法。 - 前記複層積層体を得た後であって前記複層積層体を切断する前に、前記複層積層体の外周に板状体を貼り付ける工程を有する、請求項1に記載の光制御パネルの製造方法。
- 前記光透過性樹脂層の積層方向厚さが120μm以上400μm以下である、請求項1または2に記載の光制御パネルの製造方法。
- 前記複層積層体の切断にワイヤーソーを用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御パネルの製造方法。
- 前記光透過性樹脂層が、アリルエステル樹脂組成物を主成分とする硬化物層で構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光制御パネルの製造方法。
- 前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
で示される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)
- 前記金属膜が、アルミニウム、銀及びクロムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属で構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光制御パネルの製造方法。
- 前記光透過性樹脂層の積層方向厚さに対する前記光制御パネルの厚さの比が、2.0〜4.0である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光制御パネルの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光制御パネルの2枚を、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において一方の光制御パネルの前記反射層と他方の光制御パネルの前記反射層とが交差するように向い合せて配置する工程と、
2枚の前記光制御パネルを接着剤を介して互いに接着させると共に、前記2枚の光制御パネルを加圧する工程と、
を有する、光学結像装置の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019194494A JP2021067875A (ja) | 2019-10-25 | 2019-10-25 | 光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法 |
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ID=75637145
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023136077A1 (ja) * | 2022-01-12 | 2023-07-20 | マクセル株式会社 | 空間浮遊映像表示システムおよびそれに用いられる光源装置、再帰反射部材、光学系 |
WO2024004557A1 (ja) * | 2022-07-01 | 2024-01-04 | マクセル株式会社 | 空間浮遊映像表示システム |
-
2019
- 2019-10-25 JP JP2019194494A patent/JP2021067875A/ja active Pending
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