JP2021059373A - 飲料用容器とカップ飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチック使用量が大幅に削減された飲み口を有する飲料用容器と、それを用いたカップ飲料を提供する。【解決手段】飲料用容器P1は、開口1aを有するカップ形状の容器本体1と、開口1aを覆うように容器本体1をシールする蓋2とを備え、容器P1の収容空間1s内に飲料3が収容された状態で密封包装されてカップ飲料Q1となっている。蓋2は、基材層とバリア層と緩衝層と多層シーラント層とを含む積層フィルムからなっており、多層シーラント層が、内部での凝集剥離又は層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を有している。凝集剥離又は層間剥離によって蓋2に飲み口2aが形成されるように、多層シーラント層から緩衝層の少なくとも途中まで切り込みC1がハーフカット状態に形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は飲料用容器とカップ飲料に関するものであり、例えば、積層フィルムからなる蓋で容器本体の開口がヒートシールされた飲料用容器と、その容器に飲料を密封包装してなるカップ飲料に関するものである。
コンビニエンスストア等で販売されているカップ飲料として、容器に添付されているプラスチック製のストローを積層フィルム製の蓋に刺して、容器内の飲料(例えば、コーヒー,ジュース等)を飲むように構成されたものが知られている。そして、それに使用される飲料用容器として様々なタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。
しかし、従来より提案されているような飲料用容器は、プラスチック製のストローを使い捨てで使用することが前提となっているため、自然環境に悪影響を及ぼすおそれがある。ストローの代わりとして、真空成型の蓋に飲み口を形成したものも知られているが、プラスチックの使用量を大幅に削減するには至っていない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、プラスチック使用量が大幅に削減された飲み口を有する飲料用容器と、それを用いたカップ飲料を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の飲料用容器は、開口を有する容器本体と、前記開口を覆うように前記容器本体をシールする蓋と、を備えた飲料用容器であって、
前記蓋が、基材層とバリア層と緩衝層と多層シーラント層とを含む積層フィルムからなっており、
前記多層シーラント層が、内部での凝集剥離又は層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を有しており、
前記凝集剥離又は層間剥離によって前記蓋に飲み口が形成されるように、前記多層シーラント層から前記緩衝層の少なくとも途中まで切り込みがハーフカット状態に形成されていることを特徴とする。
前記蓋が、基材層とバリア層と緩衝層と多層シーラント層とを含む積層フィルムからなっており、
前記多層シーラント層が、内部での凝集剥離又は層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を有しており、
前記凝集剥離又は層間剥離によって前記蓋に飲み口が形成されるように、前記多層シーラント層から前記緩衝層の少なくとも途中まで切り込みがハーフカット状態に形成されていることを特徴とする。
第2の発明の飲料用容器は、上記第1の発明において、前記基材層がポリエチレンテレフタレート層,ナイロン層のうちの少なくとも一方を含み、前記バリア層がアルミニウム層を含み、前記緩衝層がポリエチレン層,ナイロン層のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
第3の発明の飲料用容器は、上記第1又は第2の発明において、前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、凝集破壊層とポリエチレン層とポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記凝集破壊層内で前記凝集剥離が生じることを特徴とする。
第4の発明の飲料用容器は、上記第1又は第2の発明において、前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、ポリエチレン層と凝集破壊層とポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記凝集破壊層内で前記凝集剥離が生じることを特徴とする。
第5の発明の飲料用容器は、上記第1又は第2の発明において、前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、第1ポリプロピレン層とポリエチレン層と第2ポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記第1ポリプロピレン層と前記ポリエチレン層との間で前記層間剥離が生じることを特徴とする。
第6の発明の飲料用容器は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記凝集剥離又は層間剥離によって前記蓋に吸気孔が形成されるように、前記多層シーラント層から前記緩衝層の少なくとも途中まで切り込みがハーフカット状態に形成されていることを特徴とする。
第7の発明の飲料用容器は、上記第6の発明において、前記凝集剥離又は層間剥離の方向に沿って前記飲み口と前記吸気孔が並んで位置することを特徴とする。
第8の発明の飲料用容器は、上記第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられていることを特徴とする。
第9の発明の飲料用容器は、上記第7の発明において、前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられており、前記開封タブと前記吸気孔との間に前記飲み口が位置することを特徴とする。
第10の発明の飲料用容器は、上記第7の発明において、前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられており、前記開封タブと前記飲み口との間に前記吸気孔が位置することを特徴とする。
第11の発明のカップ飲料は、上記第1〜第10のいずれか1つの発明に係る飲料用容器と、その容器内に収容された状態で密封包装された飲料と、を備え、前記容器本体がカップ形状を有することを特徴とする。
本発明によれば、ハーフカットの切り込みが形成された積層フィルム製の蓋において、多層シーラント層の凝集剥離又は層間剥離により蓋に飲み口が形成されるため、プラスチック製のストローや真空成型の蓋は不要になる。したがって、プラスチック使用量が大幅に削減された飲み口を有する飲料用容器とカップ飲料を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る飲料用容器,カップ飲料等を、図面を参照しつつ説明する。図1の斜視図に、飲料用容器P1とそれを用いたカップ飲料Q1の概略構成を示す。飲料用容器P1は、開口1aを有するカップ形状の容器本体1と、開口1aを覆うように容器本体1をヒートシール(熱接着)する蓋2とを備え、容器P1の収容空間1s内に飲料3が収容された状態で密封包装されてカップ飲料Q1を構成している。
ここでは、飲料3としてプラスチック製のストローで飲むような常温以下の冷たい飲み物(例えば、アイスコーヒー,ジュース,酒等)を想定しているが、飲料3は常温以上の暖かい飲み物(例えば、ホットコーヒー,ホットスープ等)でもよい。また、ある程度の流動性があれば、飲料3は液体に限らず、粘性のある流体(例えば、粥,流動食等)、固体と液体との混合流体(例えば、タピオカドリンク,シチュー,粒コーン入りポタージュスープ等)でもよい。
蓋2は積層構造を有しており、開封タブ2tを持って容器本体1から蓋2を引き剥がすと、蓋2が部分的に容器本体1から剥離して繭型の飲み口2aが形成される。図1(A)は蓋2の剥離前状態を示しており、図1(B)は蓋2の剥離途中状態を示している。蓋2の外周部分と飲み口2aの部分は、図1(A)に示す切り込みC0,C1で容器本体1から分離される。それ以外の部分は蓋2の厚さ方向に分離して(図1(B))、一方は容器本体1から剥離し、他方は開口1aを覆った状態で容器本体1とのシール状態を保持する。
容器本体1は、前述したように、内部の収容空間1sに内容物として飲料3の収容が可能なカップ形状を有している。この容器本体1は、主な構成要素として、底部1b,側面部1c及びフランジ部1fを備えており、底部1bとフランジ部1fとは側面部1cで連結している。フランジ部1fは、飲料3を入れるための開口1aの周縁から外側に突出するように形成されており、このフランジ部1fに対して蓋2のヒートシールが行われる。
容器本体1のカップ形状は円錐台形状であり、収容空間1s内の飲料3も円錐台形状に保持される。フランジ部1fと側面部1cの外側及び内側の横断面形状は、互いに相似の真円形状になっており、底部1bはそれよりも少し大きめの開口1aと対向するように位置している。なお、容器本体1のカップ形状は、円錐台形状に限らず、角錐台形状でもよく、上記横断面形状は、真円形状に限らず、楕円形状,繭形状,それらの変形形状等でもよい。
容器本体1は、ポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体であり、射出成形(例えば、PPインジェクション;インモールド成形,インモールドラベル成形等),真空成型(例えば、PP多層真空成型)等の成形方法によってフランジ部1fと底部1bと側面部1cとが一体的かつ薄肉(例えば、厚さ:0.45mm)に形成されている。容器本体1の材料としては、ポリプロピレンの他に、PP/EVOH(3%)/PP,フィラー入りPP(フィラーは石灰系等の無機物からなる)等が挙げられる(EVOH:エチレン・ビニルアルコール共重合体)。
蓋2は、積層フィルムからなっている。図2〜図4に、蓋2に用いる積層フィルムの具体例として、3つのタイプの積層構成例の縦断面を模式的に示す。各タイプで蓋2の剥離機構は異なっており、図2〜図4の(A)は第1〜第3剥離機構F1〜F3における蓋2の剥離前状態をそれぞれ示しており、図2〜図4の(B)は第1〜第3剥離機構F1〜F3における蓋2の剥離後状態をそれぞれ示している。蓋2は、いずれのタイプにおいても、基材層L1と、バリア層L2と、緩衝層L3と、多層シーラント層(熱接着性樹脂層)L4と、を順に含む積層フィルムからなっており、フランジ部1fに対する蓋2のヒートシールは多層シーラント層L4で行われる。また、蓋2の積層フィルム全体の厚さは60〜160μmが好ましく、多層シーラント層L4の厚さは40〜100μmが好ましいが、ここで想定している蓋2の積層フィルム全体の厚さは100μm程度、多層シーラント層L4の厚さは50μm程度である。
蓋2を構成している基材層L1としては、PET(ポリエチレンテレフタレート),ONY(二軸延伸ナイロン)等を含む積層構造(例えば、PET12μm/ONY15μm)等が挙げられる。バリア層L2としては、アルミニウム箔層,蒸着フィルム層等のバリア性(酸素バリア等)を有する材料層が挙げられる。緩衝層L3としては、押出ラミネート成形によるPE(ポリエチレン)層,ドライラミネート成形によるONY層等が挙げられる。したがって、積層構造の具体例としては、PET/AL/AC/押出しPE/L4,PET/AL/DL/ONY/DL/L4等が挙げられる(AL:アルミニウム箔層,AC:アンカーコート層,DL:ドライラミネート用接着剤)。
印刷層(不図示)は、基材層L1とバリア層L2との間又はバリア層L2と緩衝層L3との間に配置されることが好ましい。ただし、バリア層L2が基材層L1に対する蒸着又はコーティングにより形成される場合には、バリア層L2と緩衝層L3との間に配置することが好ましい。
多層シーラント層L4としては、イージーピール性(易剥離性)及びヒートシール性を有するとともに、緩衝層L3やフランジ部1fに対して適正な接着強度を有する凝集剥離タイプ又は層間剥離タイプの機能性フィルム(例えば、無延伸共押出多層フィルム)が挙げられる。多層シーラント層L4としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンからなるもの(PE層とPP層を有するフィルム、PEとPPとのブレンド層を有するフィルム等)が挙げられる。また、第1剥離機構F1(図2)や第2剥離機構F2(図3)の多層シーラント層L4の具体例としては、三井化学東セロ(株)製 CMPS(登録商標)−013C,017C;東レフィルム加工(株)製 7601EA,9501A等が挙げられ、第3剥離機構F3(図4)の多層シーラント層L4の具体例としては、三井化学東セロ(株)製 CMPS(登録商標)−302Cが挙げられる。
カップ飲料Q1(図1)を製造する場合、まず、開口1aから容器本体1の収容空間1s内に飲料3を入れて、開口1aを覆うように蓋2を容器本体1上に配し、フランジ部1fに対して蓋2を押圧しながら所定温度(例えば、150〜300℃程度)で加熱する。前述したように、蓋2は積層フィルムからなっており、片面に熱接着性の多層シーラント層L4を有している。その多層シーラント層L4により、フランジ部1fの上面で蓋2がヒートシールされる。フランジ部1fに蓋2が熱接着されることにより、飲料3は容器本体1内に収容された状態で密封包装され、カップ飲料Q1が完成する。
多層シーラント層L4は、内部での凝集剥離又は層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を有しており、多層シーラント層L4から緩衝層L3の少なくとも途中まで切り込みC0,C1がハーフカット状態に形成されている。そのため、開封タブ2tを持って容器本体1から蓋2を引き剥がすと、凝集剥離又は層間剥離によって蓋2が部分的に容器本体1から剥離して、飲み口2aが形成される。したがって、ストローの使用は不要となる。しかし、カップ飲料Q1の輸送,イタズラ等によって蓋2が容易に剥離することのないようにすることも重要である。そのため、ここで想定している剥離強度(温度条件:常温)は、30〜100g/15mm、好ましくは30〜50g/15mmの範囲に、多層シーラント層L4によって調整されている。
容器本体1から蓋2を引き剥がしたとき、蓋2の外周部分と飲み口2aの部分は、切り込みC0,C1で容器本体1から分離される。それ以外の部分は、図2〜図4の(B)に示すように蓋2の厚さ方向に分離して、一方は容器本体1から剥離し、他方は開口1aを覆った状態で容器本体1とのシール状態を保持する。容器本体1上に残る蓋2(つまり、多層シーラント層L4の一部)の厚さは20〜60μmである。
バリア層L2と多層シーラント層L4と間には緩衝層L3が設けられているため、切り込みC0,C1がバリア層L2に到達しないように、ハーフカット位置を制御することが可能となる。つまり、切り込みC0,C1を緩衝層L3の途中まで形成することにより、バリア層L2に影響を与えることなく、多層シーラント層L4全体を切断することが可能になる。なお、切り込みC0,C1のハーフカット状態が適正かどうかを検査するために、バリア層L2はアルミニウム箔層であることが好ましい。
第1剥離機構F1(図2)を構成している多層シーラント層L4は、緩衝層L3側から容器本体1側へ順に、凝集破壊層L4A,PE層L4B及びPP層L4Cからなっている。第1剥離機構F1において、例えば、凝集破壊層L4Aの厚さは10μm、PE層L4Bの厚さは15μm、PP層L4Cの厚さは5μmである。
第2剥離機構F2(図3)を構成している多層シーラント層L4は、緩衝層L3側から容器本体1側へ順に、PE層L4B,凝集破壊層L4A及びPP層L4Cからなっている。例えば、PE層L4Bの厚さは20μm、凝集破壊層L4Aの厚さは15μm、PP層L4Cの厚さは15μmである。
第1,第2剥離機構F1,F2の多層シーラント層L4は、凝集破壊層L4Aを有することにより、内部での凝集剥離が可能なイージーピール性の積層構造を構成している。凝集破壊層L4Aは、特定のフィルム材料中に別の材料からなる小さな粒子を多量に練り込んでおき、その境界をきっかけとして層内の凝集破壊が生じるようにしたものである。その凝集破壊層L4Aで生じた凝集破壊により、ハーフカットの切り込みC0,C1での蓋2の切り離しが可能となる。
第1,第2剥離機構F1,F2の凝集破壊層L4Aとしては、例えば、PEとPPとのブレンド層が挙げられる。凝集破壊層L4A中のPE量を多くすると、押出しPEを用いた押出ラミネート成形で緩衝層L3を容易に形成することが可能となる。また、多層シーラント層L4の最も容器本体1側にPP層L4Cが位置しているため、PP製の容器本体1に対して蓋2を高い強度で接着することが可能となる。
第3剥離機構F3(図4)を構成している多層シーラント層L4は、緩衝層L3側から容器本体1側へ順に、第1PP層L4D,PE層L4E及び第2PP層L4Fからなっている。例えば、第1PP層L4Dの厚さは20μm、PE層L4Eの厚さは25μm、第2PP層L4Fの厚さは5μmである。
第3剥離機構F3の多層シーラント層L4は、3層構造において、内部での層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を構成している。共押出しのPP/PE/PPの境界の接着力は弱く、なかでも第1PP層L4DとPE層L4Eとは擬似接着させた状態にある。つまり、第1PP層L4DとPE層L4Eとの層間の接着力をPE層L4Eと第2PP層L4Fとの接着力や容器本体1とのヒートシール強度よりも弱く設計しておくことにより、第1PP層L4DとPE層L4Eとの層間で剥離が生じるようにしている。その層間剥離により、ハーフカットの切り込みC0,C1での蓋2の切り離しが可能となる。
積層フィルムの層間に剥離ニスを印刷等でコーティングすることによっても、上記層間剥離は可能であるが、ハーフカットの切り込みC0,C1を通って剥離ニスが飲料3と触れる可能性がある。凝集剥離タイプ又は層間剥離タイプの機能性フィルムを用いれば、剥離ニスが不要になるため、安全性を担保することができる。
図5〜図8の平面図に、第2〜第5の実施の形態に係る飲料用容器P2〜P5を蓋2の剥離前後の状態で示す。図5〜図8の(A)は蓋2の剥離前状態をそれぞれ示しており、図5〜図8の(B)は蓋2の剥離後状態をそれぞれ示している。
飲料用容器P2(図5)では、飲み口2aが飲料用容器P1(図1等)とは異なった位置に形成される。つまり、飲料用容器P1では開封タブ2tの最も近くに飲み口2aが形成されるのに対し、飲料用容器P2では開封タブ2tの最も遠くに飲み口2aが形成される。蓋2に設けられている開封タブ2tは、前述したように凝集剥離又は層間剥離によって飲み口2aを形成する際のつまみとなるので、蓋2の剥がし始めに飲み口2aが現れると、飲料3をこぼしてしまうおそれがある。飲料用容器P2では、蓋2をほぼ剥がし終えるまで飲み口2aが現れないため、飲料3がこぼれないように注意することができる。
前述の飲料用容器P1では、蓋2の外周部分を切り離すためにハーフカットの切り込みC0が蓋2に形成されている。それに対し、飲料用容器P2では蓋2に切り込みC0が形成されていないため、最も強度の弱い位置で剥離が生じることになる。結果として、剥離強度を調整することにより、第1〜第3剥離機構F1〜F3と同様の剥離を行うことが可能である。
飲料用容器P3〜P5(図6〜図8)では、凝集剥離又は層間剥離によって蓋2に吸気孔2bが形成されるように、多層シーラント層L4から緩衝層L3の少なくとも途中まで3本の切り込みC2がハーフカット状態に形成されている。このように蓋2に吸気孔2bが形成されるように構成すると、収容空間1sにおける飲料3と外気との交換が容易になるため、飲料3が飲みやすくなる。また、飲み口2aの形状を、丸みを帯びた三角形(図6,図7)や四角形(図8)にすることで、飲料3に応じた飲みやすさを得ることができる。
飲料用容器P3〜P5では、凝集剥離又は層間剥離の方向(つまり、開封方向)に沿って飲み口2a(切り込みC1)と吸気孔2b(切り込みC2)が並んで位置しているため、開封を効率良く行うことができる。さらに、飲料用容器P3(図6)では、開封タブ2tと吸気孔2bとの間に飲み口2aが位置しているため(つまり、開封方向に沿って、開封タブ2t,飲み口2a,吸気孔2bの順に配置されるため)、吸気孔2bよりも先に飲み口2aが形成されることになる。これにより、飲み口2aの開封を自然に行うことができる。
飲料用容器P4,P5(図7,図8)では、開封タブ2tと飲み口2aとの間に吸気孔2bが位置しているため(つまり、開封方向に沿って、開封タブ2t,吸気孔2b,飲み口2aの順に配置されるため)、飲み口2aよりも先に吸気孔2bが形成されることになる。これにより、吸気孔2bを必ず開封させることが可能になるため、飲み口2aのみが開封した状態で飲料3を飲むことは防止できる。また、開封が完了するまで飲料3がこぼれないように注意することができるとともに、吸気孔2bを通した圧力差の緩和により飲み口2aからの飲料3の吹き出しを防止することもできる。なお、カップ飲料Q1をレンジ加熱する場合には、吸気孔2bのみが形成されるように蓋2を途中まで剥がすことによって、レンジ加熱中の安全な蒸気抜きを行うことも可能となる。
飲料用容器P3〜P5(図6〜図8)では、蓋2の外周部分の開封タブ2t側を切り離すために、ハーフカットの切り込みC0が蓋2に1〜3本それぞれ形成されている。蓋2の外周部分の開封タブ2t側のみを切り離す構成にすることで、蓋2の剥離を小さい力で行うことが可能になる。また、切り込みC0を複数本形成することで、剥離ミスを減らすことが可能になる。
上記各実施の形態によれば、前述したように、ハーフカットの切り込みC1が形成された積層フィルム製の蓋2において、多層シーラント層L4の凝集剥離又は層間剥離により蓋2に飲み口2aが形成されるため、プラスチック製のストローや真空成型の蓋は不要になる。したがって、プラスチック使用量が大幅に削減された飲み口2aを有する飲料用容器P1〜P5とカップ飲料Q1を実現することができる。
P1〜P5 飲料用容器
Q1 カップ飲料
1 容器本体
1a 開口
1b 底部
1c 側面部
1f フランジ部
1s 収容空間
2 蓋
2a 飲み口
2b 吸気孔
2t 開封タブ
3 飲料(内容物)
C0,C1,C2 切り込み
F1〜F3 第1〜第3剥離機構
L1 基材層
L2 バリア層
L3 緩衝層
L4 多層シーラント層
L4A 凝集破壊層
L4B PE層
L4C PP層
L4D 第1PP層
L4E PE層
L4F 第2PP層
Q1 カップ飲料
1 容器本体
1a 開口
1b 底部
1c 側面部
1f フランジ部
1s 収容空間
2 蓋
2a 飲み口
2b 吸気孔
2t 開封タブ
3 飲料(内容物)
C0,C1,C2 切り込み
F1〜F3 第1〜第3剥離機構
L1 基材層
L2 バリア層
L3 緩衝層
L4 多層シーラント層
L4A 凝集破壊層
L4B PE層
L4C PP層
L4D 第1PP層
L4E PE層
L4F 第2PP層
Claims (11)
- 開口を有する容器本体と、前記開口を覆うように前記容器本体をシールする蓋と、を備えた飲料用容器であって、
前記蓋が、基材層とバリア層と緩衝層と多層シーラント層とを含む積層フィルムからなっており、
前記多層シーラント層が、内部での凝集剥離又は層間剥離が可能なイージーピール性の積層構造を有しており、
前記凝集剥離又は層間剥離によって前記蓋に飲み口が形成されるように、前記多層シーラント層から前記緩衝層の少なくとも途中まで切り込みがハーフカット状態に形成されていることを特徴とする飲料用容器。 - 前記基材層がポリエチレンテレフタレート層,ナイロン層のうちの少なくとも一方を含み、前記バリア層がアルミニウム層を含み、前記緩衝層がポリエチレン層,ナイロン層のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の飲料用容器。
- 前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、凝集破壊層とポリエチレン層とポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記凝集破壊層内で前記凝集剥離が生じることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料用容器。
- 前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、ポリエチレン層と凝集破壊層とポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記凝集破壊層内で前記凝集剥離が生じることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料用容器。
- 前記多層シーラント層が、前記緩衝層側から、第1ポリプロピレン層とポリエチレン層と第2ポリプロピレン層とを含む積層フィルムからなり、前記第1ポリプロピレン層と前記ポリエチレン層との間で前記層間剥離が生じることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料用容器。
- 前記凝集剥離又は層間剥離によって前記蓋に吸気孔が形成されるように、前記多層シーラント層から前記緩衝層の少なくとも途中まで切り込みがハーフカット状態に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用容器。
- 前記凝集剥離又は層間剥離の方向に沿って前記飲み口と前記吸気孔が並んで位置することを特徴とする請求項6記載の飲料用容器。
- 前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲料用容器。
- 前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられており、前記開封タブと前記吸気孔との間に前記飲み口が位置することを特徴とする請求項7記載の飲料用容器。
- 前記凝集剥離又は層間剥離によって前記飲み口を形成する際のつまみとなる開封タブが前記蓋に設けられており、前記開封タブと前記飲み口との間に前記吸気孔が位置することを特徴とする請求項7記載の飲料用容器。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の飲料用容器と、その容器内に収容された状態で密封包装された飲料と、を備え、前記容器本体がカップ形状を有することを特徴とするカップ飲料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019185604A JP2021059373A (ja) | 2019-10-09 | 2019-10-09 | 飲料用容器とカップ飲料 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019185604A JP2021059373A (ja) | 2019-10-09 | 2019-10-09 | 飲料用容器とカップ飲料 |
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JP2021059373A true JP2021059373A (ja) | 2021-04-15 |
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ID=75381209
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JP2019185604A Pending JP2021059373A (ja) | 2019-10-09 | 2019-10-09 | 飲料用容器とカップ飲料 |
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JP (1) | JP2021059373A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7478489B1 (ja) | 2023-10-02 | 2024-05-07 | 信和工業株式会社 | 容器用蓋材 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06286765A (ja) * | 1993-03-30 | 1994-10-11 | Toppan Printing Co Ltd | 開封容易な容器 |
JP2007039108A (ja) * | 2005-08-04 | 2007-02-15 | Kyodo Printing Co Ltd | 液体通過孔を形成可能な蓋材及びそれを用いた容器 |
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-
2019
- 2019-10-09 JP JP2019185604A patent/JP2021059373A/ja active Pending
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