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JP2020203856A - トマチジン含有抽出物の製造方法 - Google Patents

トマチジン含有抽出物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トマトの青果実からトマチジン含有抽出物を製造する方法であって、トマチジン含有量が向上した抽出物を得る方法を提供することを目的とする。【解決手段】青トマト果実の搾汁及び/又は水抽出物をエタノールと混合し、沈殿物を除去し、トマチンを含む上清画分を得る工程1と、前記上清画分を酸で処理する工程2と、を含む、トマチジン含有抽出物の製造方法により、トマトの青果実を原料として用いながらも、トマチジン含有量が向上した抽出物を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、トマチジンの含有量が多いトマチジン含有抽出物の製造方法に関する。
トマチンは、トマトの葉茎部や青い果実に豊富に含まれるアルカロイド配糖体である。トマチンは、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. lycopersici)に対する抗菌物質として1940年代に発見された。トマチンには毒性がある一方で、抗癌作用や抗腫瘍作用など様々な生理活性をもつことが報告されている。トマチンから糖が外れて生じるトマチジンは、毒性が無い一方で、トマチンと同様に、抗癌・抗炎症作用(非特許文献1)を有する。さらに近年では、トマチジンには、血中コレステロール低下作用(非特許文献2)、筋萎縮の予防作用(非特許文献3)、デング熱に対する抗ウイルス作用(非特許文献4)を持つことも報告されている。
トマチジンは、トマチンを加水分解することによって得ることができる。特許文献1には、トマチンから糖鎖を除去してトマチジンへ変換する効率的な方法として、トマトの成熟果実を除く葉、茎、脇芽、花奔、未成熟果実、および根を裁断したもの、または乾燥後粉砕したものの重量当たり3〜15倍量の水を加え、さらに酸溶液を加えてpH2〜5に調整した後、室温から80℃の温度下で30〜120分間撹拌混合してグリコアルカロイドのデヒドロトマチンを含むトマチンを抽出し、該抽出液にアルカリ溶液を添加して室温においてpH8以上且つpH10未満に調整することによってトマチンを沈殿させ、該トマチン沈殿物を回収した後、0.5〜2Nの酸溶液に溶解した後、60〜80℃で1〜4時間加熱してトマチンをトマチジンへ変換させ、ふたたびアルカリ溶液を用いてpH8以上且つpH10未満に調整してトマチジンを沈澱させ、該沈殿物を更に70%濃度以上のエタノール溶液に溶解して混在する不純物を沈殿させて除去した後に、エタノールを蒸発させることを特徴とするトマチジンの製造法が記載されている。特許文献1では、具体的には、脇芽や葉を少なくとも含むトマト材料を用いて、トマチジンが製造さえたことが示されている。
特開2018−184394号公報
J. Agric. Food Chem. 2015, 63, 3323-37. J. Agric. Food Chem. 2012, 60, 2472-9. J. Biol. Chem. 2015, 290, 25497-511. Antiviral Research 2019, 161, 90-99.
トマチンは、トマトの青果実よりも、脇芽や葉にはるかに多く含まれている。特許文献1の方法で実際にトマチジン含有抽出物が製造されたのは、脇芽や葉といった、トマチンが豊富に含まれている部分のみである。
本発明者は、あえて、トマチンの含有量が少ないトマトの青果実からのトマチジン含有抽出物の製造を試みた。すると、トマトの青果実から従来の方法を用いて得られるトマチジン含有抽出物では、トマチジン含有量が少なく、多くのトマチンが残存しているという課題に直面した。
そこで本発明は、トマトの青果実からトマチジン含有抽出物を製造する方法であって、トマチジン含有量が向上した抽出物を得る方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討の結果、トマトの青果実からのトマチンの抽出において、エタノール沈殿法を用いて不要物を除去した後に酸処理を行うことで、得られるトマチジン抽出物中のトマチジン含量が向上することを見出した。本発明はこの知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 青トマト果実の搾汁及び/又は水抽出物をエタノールと混合し、沈殿物を除去し、トマチンを含む上清画分を得る工程1と、前記上清画分を酸で処理する工程2と、を含む、トマチジン含有抽出物の製造方法。
項2. 前記工程1において、前記エタノールが、前記搾汁及び水抽出物の総量の1倍体積以上の量で用いられる、項1に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
項3. 前記工程2において、前記酸が0.7〜0.9Nの終濃度となるように用いられる、項1又は2に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
項4. 前記工程2で得られた酸処理物を、中性条件下での精製に供する工程3を更に含む、項1〜3のいずれかに記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
項5. 前記工程3において、前記精製をクロマトグラフィーにより行う、項4に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
本発明によれば、トマトの青果実を原料としながらも、トマチジン含有量が向上した抽出物を得ることができる。
本発明のトマチジン含有抽出物の製造方法は、青トマト果実の搾汁及び/又は水抽出物をエタノールと混合し、沈殿物を除去し、トマチンを含む上清画分を得る工程1と、前記上清画分を酸で処理する工程2と、を含むことを特徴とする。以下、本発明のトマチジン含有抽出物の製造方法について詳述する。
工程1
工程1では、青トマト果実の搾汁及び/又は水抽出物をエタノールと混合し、沈殿物を除去し、トマチンを含む上清画分を得る。
原料となる青トマトとしては、完熟及び未熟を問わず、果実が青いトマトであればいかなる品種ものも用いることができる。例えば、未熟果実である青トマト(完熟果実は赤トマト又は黄トマト)として、Lycopersicon esculentum Mill、Lycopersicon esculentum var. cerasiforme、Lycopersicon pimpinellifolium、Lycopersicon cheesmanii、Lycopersicon cheesmanii f.minor等が挙げられる。また、完熟果実である青トマトとしては、Lycopersicon parviflorum、Lycopersicon chmielewskii、Lycopersicon peruvianum、Lycopersicon chilense、Solanum lycopersicoides、Solanum rickii、及びSolanum ochranthum等が挙げられる。
青トマト中のトマチンの含有量は、品種によって様々であるが、100g湿重量(fresh weight)中、2mg以上、好ましくは4mg以上、より好ましくは15mg以上、さらに好ましくは20mh以上、一層好ましくは25mg以上が挙げられる。
青トマト果実の搾汁を得る方法としては特に限定されないが、例えば、果実をミキサー等で粉砕してピューレを調製し、ピューレを圧搾することによって得ることができる。また、青トマト果実の水抽出物を得る方法としても特に限定されないが、例えば、果実を粉砕してピューレを調製し、ピューレを水に分散させて圧搾することによって得てもよいし、上記の搾汁の調製によって得られた圧搾残渣を0.8〜2倍体積、好ましくは0.8〜1.5倍体積の水に分散させ、20分〜1時間撹拌した後、圧搾することによって得てもよい。ここで、抽出溶媒としての水は、水に酸を添加して調製した酸水溶液ではない。青トマト果実の搾汁及び水抽出物は、室温、好ましくは15〜25℃で得ることができる。また、青トマト果実の搾汁及び水抽出物は、流動性を向上させて調製を容易にする観点から加熱しても良く、具体的な加熱温度としては、上記の室温超85℃以下、好ましくは50〜80℃が挙げられる。
上記の搾汁及び/又は水抽出物はエタノールと混合する。エタノールによって、搾汁及び/又は水抽出物中の夾雑物の少なくとも一部を沈殿させる。沈殿させられる成分には、糖、タンパク質等が含まれる。なお、トマチジン含有量がより向上した抽出物を得る観点から、上記の搾汁及び/又は水抽出物に対しては、酸の添加を行わない。エタノールの使用量としては特に限定されないが、夾雑物をより効率的に沈殿させる観点から、上記の搾汁及び水抽出物の総量の好ましくは1倍体積以上、より好ましくは2倍体積以上、さらに好ましくは3倍体積以上、一層このましくは3.5体積以上、特に好ましくは4倍体積以上の量で用いられる。エタノールの使用量の上限としては特に限定されないが、例えば5倍体積以下、好ましくは4.5倍体積以下が挙げられる。
生じた沈殿物は除去される。沈殿物の除去方法としては固液分離法であれば特に限定されないが、沈殿物を効率的に捕捉し必要画分を効率的に回収する観点から、吸引濾過法が好ましい。また、濾材としては、沈殿物を効率的に捕捉し必要画分を効率的に回収する観点から、好ましくはガラス濾紙又はガラスフィルター、より好ましくはガラス濾紙が挙げられる。好ましい濾材の保持粒子径としては、例えば0.65〜0.95μm、好ましくは0.7〜0.9μm、より好ましくは0.75〜0.85μmが挙げられる。ここで、保持粒子径とは、JIS Z 8901で規定された、7種粉体分散水を自然濾過した時、90%以上を保持できる粒子径をいう。
沈殿物を除去することで、上清をトマチンを含む画分として得ることができる。得られた上清は、トマチンをさらに精製した後に後述の工程2に供することもできるが、トマチジン含量が一層向上した抽出物を得る観点から、好ましくは、得られた上清をそのままで、好ましくは溶媒留去により濃縮して、後述の工程2に供する。上清を濃縮する場合、濃縮率としては、{搾汁及び水抽出物の総体積とエタノールの体積との総量/濃縮後の上清体積}の比で、たとえば10〜20倍、好ましくは13〜17倍が挙げられる。本発明では、上記の上清からトマチンをさらに精製した画分、上記の上清そのもの、及び上記の上清を濃縮した画分をいずれも上清画分と称する。
工程2
工程2では、工程1で得られた上清画分を酸処理する。酸処理によって、上清画分に含まれていたトマチンがトマチジンへ変換され、酸処理物が得られる。
酸処理に用いる酸としては特に限定されず、例えば、酢酸、塩酸、硫酸等が挙げられ、好ましくは塩酸が挙げられる。酸処理系中における酸濃度(終濃度)としては、トマチジン含量が一層向上した抽出物を得る観点から、たとえば0.7〜0.9N、好ましくは0.7〜0.85N、より好ましくは0.78〜0.82Nが挙げられる。酸処理温度としては、トマチジン含量が一層向上した抽出物を得る観点から、たとえば90〜100℃、好ましくは95〜100℃が挙げられる。酸処理時間としては、反応スケール等によっても異なりうるが、例えば2〜4時間が挙げられる。
工程3
工程3では、工程2で得られた酸処理物を、中性条件下での精製に供する。つまり、工程3では、まず、工程2で得られた酸処理物のpHを中性条件に調整する。この場合、具体的なpHとしては、6.5〜7.5、好ましくは6.8〜7.2、最も好ましくは7が挙げられる。中性条件に調整する方法としては特に限定されず、当業者によって適宜選択される。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて中和することによって調整することができる。
中和された酸処理物からは、トマチジンが精製される。トマチジンの精製方法としては特に限定されず、カラムクロマトグラフィー(逆相、疎水、イオン交換、ゲルろ過、金属キレートアフィニティー)、透析(好ましくは電気透析)等が挙げられる。これらの精製方法の中でも、トマチジン含有量がより向上した抽出物を得る観点から、好ましくはカラムクロマトグラフィーが挙げられ、より好ましくは逆相カラムクロマトグラフィーが挙げられる。
カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行う場合、使用するカラム担体の量としては、中和された酸処理物の体積の0.1〜2倍が挙げられる。また、酸処理物は、必要に応じ予め濃縮されていてもよい。カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行う場合の具体的な手順としては特に限定されないが、例えば、中和された酸処理物をカラム担体に吸着させ、担体を水で洗浄した後、エタノール又はエタノール水溶液を用いて溶出することができる。溶出にエタノール水溶液を用いる場合、エタノール濃度としては、トマチジン含有量がより向上した抽出物を得る観点から、好ましくは70v/v%以上、好ましくは80v/v%以上が挙げられる。エタノール水溶液中のエタノール濃度の上限としては、例えば95v/v%以下、好ましくは90v/v%以下、より好ましくは85v/v%以下が挙げられる。
洗浄に用いる水の量としては特に限定されず、非吸着物を溶出するために必要な量であればよいが、トマチジン含有量がより向上した抽出物を得る観点から、好ましくは2〜4CV(カラム体積)、より好ましくは2.5〜3.5CVが挙げられる。溶出に用いるエタノール又はエタノール水溶液の量としては特に限定されず、吸着させたトマチジンを溶出するために必要な量であればよいが、トマチジン含有量がより向上した抽出物を得る観点から、好ましくは2〜4CV、より好ましくは2.5〜3.5CVが挙げられる。
溶出画分は、必要に応じて脱塩を行い、濃縮することができる。これによって、トマチジン含有抽出物が得られる。トマチジン含有抽出物の形態としては、半固形(軟エキス)及び固形(乾燥エキス)が挙げられ、好ましくは固形が挙げられる。
トマチジン含有抽出物中のトマチジンの含有比率としては、原料である青トマトが有していたトマチンの量によっても異なるが、乾燥重量換算量で、例えば0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、一層好ましくは35重量%以上、特に好ましくは37重量%以上が挙げられる。トマチジンの含有比率が多いほど好ましいため、当該範囲の上限としては特に限定されないが、例えば70重量%以下、60重量%以下、又は50重量%以下が挙げられる。
より具体的には、トマチジン含有抽出物中のトマチジンの含有比率としては、原料である青トマト中のトマチンの含有量100重量部当たり、例えば20重量部以上、好ましくは30重量部以上、より好ましくは35重量部以上、さらに好ましくは37重量部以上が挙げられる。トマチジンの含有比率が多いほど好ましいため、当該範囲の上限としては特に限定されないが、例えば60重量部以下、又は50重量部以下が挙げられる。
また、トマチジン含有抽出物中にはトマチンが実質的に含まれていないことが好ましい。トマチンが実質的に含まれていないとは、超高速高分離液体クロマトグラフィー(UPLC)での検出限界以下であることをいい、具体的には、1×10-3重量%以下、好ましくは1×10-5重量%以下、より好ましくは1×10-7重量%以下、さらに好ましくは1×10-8重量%以下であることをいう。
トマチジンは、抗癌・抗炎症作用、血中コレステロール低下作用、筋萎縮の予防作用、デング熱に対する抗ウイルス作用等の様々な生理活性を有する。このため、上記のトマチジン含有抽出物は、機能性食品及び外用組成物といった様々なへの利用が有効である。上記のトマチジン含有抽出物は、例えば、清酒、発酵調味料、飲料、食品、健康補助食品、化粧料等の各種組成物に添加して使用することができる。このように、トマチジン含有抽出物が添加された組成物は、トマチジン基づく有用効果、即ち、抗癌・抗炎症作用、血中コレステロール低下作用、筋萎縮の予防作用、デング熱に対する抗ウイルス作用等の有用な効果が期待できる。
上記のトマチジン含有抽出物の各種組成物への添加量については、抽出物中のトマチジンの含有量、該組成物の種類や形態、期待される効果等に応じて適宜設定すればよい。例えば、該組成物の総量当たりのトマチジン含量が0.001〜10重量%となるように上記トマチジン含有抽出物を目的の組成物に添加すればよい。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(工程1)
果汁用の熟した青いトマト546gを、ミキサー(1000rpm)で3分粉砕し、ピューレを得た。ピューレをろ布で圧搾し、搾汁を調製した。更に、搾汁残渣に1倍体積量の水を添加して分散させ、室温で、ミキサー(1000rpm)で30分間攪拌し、ろ布で圧搾することで、水抽出液を得た。搾汁と水抽出液とを混合し、930mLの搾汁液を得た。これにエタノール3720mLを添加して、沈殿物を生じさせた。ガラス濾紙(ADVANTEC GA−200、保持粒子径0.8μm)で吸引ろ過することにより沈殿物を除去し、上清を得た。得られた上清を、エバポレーターで300mLまで濃縮した。
(工程2)
濃縮された上清に、1.2N塩酸600mL(終濃度は0.8N)を添加し、沸騰浴(100℃)上で3時間反応させた。その後、反応混合物を冷却し、酸処理物を得た。
(工程3)
酸処理物に、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7となるように中和し、中和された酸処理物700mlを得た。カラムにCosmosil 140C18−OPNを100ml充填し、中和された酸処理物700mlを通液した。その後、3CVの水で担体を洗浄後、3CVの80v/v%エタノール水溶液で溶出した。溶出液を脱塩し、エバポレーターで濃縮することで溶媒をすべて留去した。その結果、164mgの粉末をトマチジン含有出物として得た。
(青トマト中のトマチン及びトマチジン含有出物中のトマチン及びトマチジンの測定方法)
上述のようにして得られた青トマトの搾汁、及びトマチジン含有出物を、それぞれ、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS法)による以下の条件に供し、トマチン含有量及びトマチジン含有量を測定した。
装置:ACQUITY UPLC及びXevo G2-S QTof(いずれもWaters社製)
カラム:ACQUIRY UPLC BEH C18(50×2.1 mm I.D.、1.6 μm)
移動相:A;0.1v/v%ギ酸を含む水、B;0.1v/v%ギ酸を含むアセトニトリル
グラジエント:A/Bの組成(体積比)を95/5から5.5分で0/100に変化させ、0/100の組成でさらに1分溶出させた。
流速:0.8mL/分
カラム温度:55℃
検出波長:210〜500nm
イオン化:ESI(ポジティブ)
インジェクション:2μL
内部標準:レセルピン
検出限界:0.1ng/g
得られた測定結果は以下の通りである。
青トマト中のトマチン含有量:100g湿重量中28mg
トマチジン抽出物中のトマチン含有量:検出限界以下
トマチジン抽出物中のトマチジン含有量:37重量%(粉末トマチジン含有抽出物100g中、トマチジン含有量が37g)
比較例1
実施例1で用いたものと同じ品種の果汁用の熟した青いトマト546gに、3倍体積量(1,368mL)の水を添加して撹拌し、さらに4N塩酸を添加してpHを3.5に調整した後、60℃で60分間撹拌してトマチンを抽出した。抽出液を50メッシュのろ過器でろ過し、得られたろ液を4N水酸化ナトリウム溶液でpH9.0に調整することでトマチンを沈殿させた。その後、遠心分離(3,000rpm×10分)によって沈殿物を回収した。沈殿物を300mLの水に溶解し、さらに1.2N塩酸を600mL(終濃度0.8N)添加して、沸騰浴(100℃)中で3時間保持することでトマチンをトマチジンへ変換した。得られた反応物を冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7になるように中和した。中和液を遠心分離(3,000rpm×10分)し、不溶物を除去した後、カラムにCosmosil 140C18−OPNを充填した。中和液を通液した後、水(3CV)で洗浄し、80v/v%エタノール(3CV)で溶出した。得られた溶離液を脱塩した後、エバポレーターで濃縮して、溶媒をすべて留去した。その結果、552mgの粉末をトマチジン含有抽出物として得た。
実施例1と同様にしてトマチジン含有抽出物を測定した結果、トマチジン含有抽出物中のトマチン量は24g/100g、トマチジン量は0.5mg/100gであった。
比較例2
実施例1で用いたものと同じ品種の果汁用の熟した青いトマト546gを、ミキサーで粉砕しピューレを得た。ピューレをろ布で圧搾し、搾汁を調製した。さらに、搾汁残渣に1倍体積量の水を添加して分散させ、ミキサー(1000rpm)で30分間攪拌し、ろ布で圧搾することで、水抽出液を得た。搾汁ろ布で圧搾し、元の搾汁液と混合して搾汁液を得た。これに、50v/v%のメタノールと2v/v%の酢酸とを含む水溶液を添加して、50℃で20分間保持して抽出を行った。抽出液を、ガラス濾紙(ADVANTEC GA−200)で吸引ろ過した後、エバポレーターで300mLまで濃縮した。この濃縮液に1.2N塩酸を600mL(終濃度0.8N)を添加して、沸騰浴中で3時間保持した。得られた反応物を冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7になるように中和し、中和液を得た。カラムにCosmosil 140C18−OPNを充填し、中和液を通液した後、水(3CV)で洗浄し、80v/v%エタノール(3CV)で溶出した。得られた溶離液を脱塩した後、エバポレーターで濃縮して、溶媒をすべて留去した。その結果、406mgの粉末をトマチジン含有抽出物として得た。
実施例1と同様にしてトマチジン含有抽出物を測定した結果、トマチジン含有抽出物中のトマチン量は16g/100g、トマチジン量は4g/100gであった。
結果
実施例1、比較例1及び比較例2で得られたトマチジン含有抽出物の対比を下記表に示す。下記表から明らかなとおり、比較例1及び2によるトマチジン含有抽出物では、原料由来のトマチンが多く残存し、トマチジンの割合が非常に少ないことに対し、実施例1によるトマチジン含有集出物では、原料由来のトマチンが実質的に含まれておらず、トマチジンの割合が顕著に向上した。
Figure 2020203856

Claims (5)

  1. 青トマト果実の搾汁及び/又は水抽出物をエタノールと混合し、沈殿物を除去し、トマチンを含む上清画分を得る工程1と、前記上清画分を酸で処理する工程2と、を含む、トマチジン含有抽出物の製造方法。
  2. 前記工程1において、前記エタノールが、前記搾汁及び水抽出物の総量の1倍体積以上の量で用いられる、請求項1に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
  3. 前記工程2において、前記酸が0.7〜0.9Nの終濃度となるように用いられる、請求項1又は2に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
  4. 前記工程2で得られた酸処理物を、中性条件下での精製に供する工程3を更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
  5. 前記工程3において、前記精製をクロマトグラフィーにより行う、請求項4に記載のトマチジン含有抽出物の製造方法。
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