JP2020124833A - ボトル缶及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の方法は、凸版を用いた印刷法であり、凹凸のある版の凸部にインキを付けて、筒体に転写する方法である。
特許文献2に記載の方法は、水なし平版を用いた印刷法であり、画像部以外の部分のインキ反発部をシリコーン樹脂により形成し、画像部にインキを付けて、筒体に転写する方法である。
いずれの場合も、印刷版からブランケットを介して筒体にインキを転写する。
しかしながら、キャップに形成されたスリットの間からアルミ地が見えることを抑制するため、ボトル缶の口部の下端部に位置する膨出部まで、円筒部と同様に印刷を施した場合、ボトル缶の材料となるアルミニウム合金板は、圧延方向とその交差方向とで伸びが異なるため、印刷工程後のネッキング工程により膨出部のみならず、雄ねじ部にまで印刷範囲が拡大することがある。この場合、ボトル缶のねじ成型時、またはその後の工程で、塗膜がざらつき、開栓トルクが高くなるおそれがある。
さらに、膨出部となる第1塗布領域の単位面積当たりのインキの塗布量を円筒部となる第2塗布領域の単位面積当たりのインキの塗布量より少なくするので、膨出部の単位面積当たりのインキの塗布量が少なくなる。このため、膨出部を超えて雄ねじ部の一部に印刷面がはみ出した場合でも、このはみ出した部分の単位面積当たりのインキの塗布量が少ないので、キャップ開封時の印刷剥がれ及び開封時のトルク増大を抑制できる。
さらに、膨出部の単位面積当たりのインキの塗布量が円筒部の単位面積当たりのインキの塗布量より少ないので、膨出部を超えて雄ねじ部の一部に印刷面がはみ出した場合でも、キャップ開封時の印刷剥がれ及び開封時のトルク増大を抑制できる。
本実施形態の製造方法により製造されるボトル缶101は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、図2に示すように、筒状の胴部10とドーム状をなす底部20とを備える有底円筒状に形成されている。また、胴部10は、底部20側において円筒状に形成された円筒部11と、円筒部11の上端で径方向内方に屈曲するように縮径された肩部12と、缶軸C方向の上方(開口部10a側)に向けて漸次縮径するテーパ部13と、テーパ部13の上端に形成された口部15と、を備える。口部15の外周部には、径方向外側に向けて膨出する帯状の膨出部151と、膨出部151の缶軸C方向の上方に位置する雄ねじ部152とが形成されている。この膨出部151は、キャップ102の裾を巻き締めるために用いられる。
このボトル缶101は、口部15にキャップ102を被せて、そのキャップ102を口部15の雄ねじ部152に倣うようにねじ加工することにより、内部が密封される。なお、キャップ102の裾が膨出部151に巻き締められ、キャップ102がボトル缶101に装着されると、膨出部151はキャップ102により覆われ、かつ、キャップ102に形成されたスリットから膨出部151の一部が外部から視認可能な状態となる。
印刷層の上に形成される塗膜は、印刷層の表面を保護し滑り性を向上させるためのもので、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂等の透明塗料が用いられる。
その後、筒体32の上端部を成形して、図3(c)に示すように、下側部分をそのまま円筒部11とし、円筒部11より上方部分を縮径して肩部12及びテーパ部13、その上方に小径部18を形成する(ネッキング工程)。このネッキング工程により、外形がボトル形状の缶(ボトル形状缶35とする)となり、円筒部11からテーパ部13までの胴部10は最終形状となる。最後に、このボトル形状缶35の小径部18に膨出部151及び雄ねじ部152等を有する口部15を形成する(口部成形工程)。
ここで、口部15の膨出部151となる部分に胴部10(円筒部11)となる部分と同じ量のインキを塗布すると、ボトル缶101の材料となるアルミニウム合金板は、圧延方向とその交差方向とで伸びが異なるため、外面塗装工程後のネッキング工程により膨出部151のみならず、雄ねじ部152にまで印刷範囲が拡大することがある。この場合、ボトル缶101のねじ成型時、またはその後の工程で、塗膜がざらつき、開栓トルクが高くなるおそれがある。
図1は、外面印刷塗装工程後の筒体32の外面を示しており、印刷層33a,33bは、底部20からわずかな部分を残し、胴部10となる領域(第2塗布領域10aとする)と、口部15の膨出部151となる領域(第1塗布領域151aとする)とに形成される。開口端部付近は、口部15の雄ねじ部152となる領域(雄ねじ部予定領域152aとする)である。
筒体32への印刷はオフセット印刷形式が採用されており、前述したように、色毎に設けた印刷版胴62に各色のインキを付着させ、これら印刷版胴62から一旦ブランケット64に順次転写してから、そのブランケット64から筒体32に転写する。その印刷版胴62としては、凸版又は水なし平版が用いられ、印刷画像は、凸版の凸部や水なし平板の画線部による多数の網点により構成される。
例えば、網点としては、スクリーン線数は80線〜175線、網点の最小直径は38μmが可能とすると、第2塗布領域10aの第2印刷層33aと第1塗布領域151aの第1印刷層33bとで同じ網点直径でスクリーン線数を異ならせ、第1塗布領域151aの第1印刷層33bで網点密度が小さくなるように設定する、あるいは、スクリーン線数は同じで網点直径を異ならせ、第1塗布領域151aの第1印刷層33bで網点密度が小さくなるように設定する、等の方法が可能である。あるいは、スクリーン線数及び網点直径の両方を異ならせ、第1塗布領域151aの第1印刷層33bでスクリーン線数を少なくしかつ網点直径を小さくしてもよい。
さらに、第2塗布領域10aに印刷されるインキの網点密度を第1塗布領域151aに印刷されるインキの網点密度より高くするので、第1塗布領域151a及び第2塗布領域10aのそれぞれに印刷されるインキの網点密度を変更するだけで、第1塗布領域151aの単位面積当たりのインキの塗布量を第2塗布領域10aの単位面積当たりのインキの塗布量よりも少なくできる。
例えば、上記実施形態では、円筒部11及びテーパ部13を含む胴部10となる領域を第2塗布領域10aとしたが、これに限らず、例えば、第2塗布領域10aを、円筒部11となる領域を第3塗布領域11aとテーパ部13となる領域を第4塗布領域13aとの2つに分けることとしてもよい。この場合、第4塗布領域13aについては、グラデーションとしてもよい。
例えば、図5に示すように、第3塗布領域11aの第3印刷層33cを密度100%のベタ印刷で、成形後にテーパ部13となる第4塗布領域13aの第4印刷層33dは第3塗布領域11aとの境界から第1塗布領域151aに向かうにしたがって漸次網点密度を小さくして第4塗布領域13aの缶軸方向上側の先端で密度60%となるように設定する、などの形態が可能である。図5では、網点密度を第3塗布領域11aとの境界から第1塗布領域151aに向かうにしたがって段階的に小さくしているが、連続的(直線的)に小さくしてもよい。
また、印刷工程において、第1塗布領域151a及び第2塗布領域10aの両方にインキを転写する第1版を用いて第1塗布領域151aに網点印刷するとともに第2塗布領域10aをベタ印刷し、第1塗布領域151a及び第2塗布領域10aの両方にインキを転写する第2版を用いて、第1塗布領域151a及び第2塗布領域10aをベタ印刷することとしてもよい。この場合、第2塗布領域10aに対してベタ印刷が二回実行されるので、円筒部11及びテーパ部13の美観を高めることができる。また、第1塗布領域151aに対しては、網点印刷が実行された後、ベタ印刷が実行されるので、第1塗布領域151aのインキの塗布量を第2塗布領域10aのインキの塗布量よりも確実に少なくできる。
10a 第2塗布領域
11 円筒部
11a 第3塗布領域(第2塗布領域)
12 肩部
13 テーパ部
13a 第4塗布領域(第2塗布領域)
15 口部
151 膨出部
152 雄ねじ部
151a 第1塗布領域
18 小径部
20 底部
31 カップ
32 筒体
32a 外周面
33 印刷層
33a 第2印刷層
33b 第1印刷層
33c 第3印刷層
33d 第4印刷層
35 ボトル形状缶 50 印刷機
60 インキ付着機構
61 インカーユニット
62 印刷版胴
63 ブランケット胴
64 ブランケット
72 マンドレル
73 マンドレルターレット
75 ロールコーター
101 ボトル缶
102 キャップ
Claims (7)
- 底部を有する円筒状の筒体の外面に印刷を施す印刷工程と、前記印刷工程後の筒体を加工して、円筒部に対して缶軸方向上側に向かうに従って縮径するテーパ部及び該テーパ部の缶軸方向上側に缶軸に沿って延びる小径部を形成するネッキング工程と、前記小径部を加工して、膨出部及び雄ねじ部を有する口部を形成する口部成形工程と、を備え、
前記印刷工程では、前記筒体における前記円筒部、前記テーパ部及び前記膨出部となる領域に対してインキを塗布し、かつ、前記領域における前記膨出部となる第1塗布領域の単位面積当たりのインキの塗布量を前記領域における前記円筒部となる第2塗布領域の単位面積当たりのインキの塗布量より少なくすることを特徴とするボトル缶の製造方法。 - 前記印刷工程では、前記第1塗布領域及び前記第2塗布領域の両方に前記インキを転写する第1版と、前記第2塗布領域のみに前記インキを転写する第2版とを用いて前記筒体の外面に印刷を施すことを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記印刷工程では、前記第1塗布領域に対して前記インキを転写する第1領域及び前記第2塗布領域に対して前記第1領域よりも多量の前記インキを転写する第2領域を有する1つの版を用いて前記筒体の外面に印刷を施すことを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記印刷工程では、前記第2塗布領域に印刷される前記インキの網点密度を前記第1塗布領域に印刷される前記インキの網点密度より高くすることを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記印刷工程では、前記第1塗布領域を網点印刷し、かつ前記第2塗布領域をベタ印刷することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記印刷工程では、前記第1塗布領域及び前記第2塗布領域の両方に前記インキを転写する第1版を用いて、前記第1塗布領域を網点印刷するとともに前記第2塗布領域をベタ印刷し、前記第1塗布領域及び前記第2塗布領域の両方に前記インキを転写する第2版を用いて、前記第1塗布領域及び前記第2塗布領域をベタ印刷することを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 底部に接続される円筒状の円筒部と、該円筒部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って縮径するテーパ部と、前記テーパ部の缶軸方向上側に設けられ、径方向に膨出する膨出部及び雄ねじ部を有する口部と、を備え、
前記円筒部、前記テーパ部及び前記膨出部には、インキが塗布されており、
前記膨出部の前記インキの単位面積当たりの塗布量は、前記円筒部の前記インキの単位面積当たりの塗布量より少ないことを特徴とするボトル缶。
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