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JP2020115139A - 血管炎の検査方法 - Google Patents

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JP2020115139A
JP2020115139A JP2020041975A JP2020041975A JP2020115139A JP 2020115139 A JP2020115139 A JP 2020115139A JP 2020041975 A JP2020041975 A JP 2020041975A JP 2020041975 A JP2020041975 A JP 2020041975A JP 2020115139 A JP2020115139 A JP 2020115139A
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JP
Japan
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antibody
protein
seq
mpo
moesin
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Application number
JP2020041975A
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English (en)
Inventor
和男 鈴木
Kazuo Suzuki
和男 鈴木
洋祐 亀岡
Yosuke Kameoka
洋祐 亀岡
芳夫 山河
Yoshio Yamakawa
芳夫 山河
俊憲 中山
Toshinori Nakayama
俊憲 中山
長村 俊彦
Toshihiko Nagamura
俊彦 長村
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A-Clip Institute kk
Chiba University NUC
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A-Clip Institute kk
Chiba University NUC
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Abstract

【課題】従来技術における課題を解決することにより、専門医でなくても近医(開業医)で手軽に診断できる迅速診断キットを提供しうる手段を提供する。【解決手段】難治性血管炎のバイオマーカー迅速測定法の4抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)を、組み換え技術を用いて大量生産し、搭載抗原量を可視化判定できる最低量に最適化し、大量に安定供給することで、15分程度で測定できる簡易キットを安価な普及価格として製品化することができることを見出し、また、本キットの測定の高感度化に利用できる蛍光測定器をも開発した。【選択図】図12B

Description

本発明は、血管炎のバイオマーカーANCAおよび関連マーカーの簡易で高感度な測定
法に関する。
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する好中球自己抗体(MPO−ANCA(An
ti−Neutrophil Cytoplasmic Antibody))等のMP
Oを特異的に認識する抗体(以下、単に「抗MPO抗体」とも称する)、モエシンを特異
的に認識する抗体(以下、単に「抗モエシン抗体」とも称する)、プロテイナーゼ3(P
R3)を特異的に認識する抗体(以下、単に「抗PR3抗体」とも称する)、および抗コ
ラーゲンα3(IV)鎖抗体に代表される抗糸球体基底膜(GBM(Glomerula
r Basement Membrane))抗体(以下、単に「抗GBM抗体」とも称
する)は、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽種症(GPA)、好酸球性
多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、チャーグ・ストラウス(Churg−Straus
s)症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎)などの難治性血管炎に関連している。そして
、これらの患者の血清中のMPO−ANCAは、これらの疾患のマーカーとして、診断や
治療判定に用いられている(例えば、非特許文献1〜6を参照)。
しかしながら、これら各自己抗体の検出・測定は、医師の依頼を受けた検査機関が実施
しているのが現状である。そのため、結果が医師の元に届くまで数日を要し、また、測定
コストも高額であることから、血管炎の診断は普及していない。
この問題点を克服すべく株式会社A−CLIP研究所が開発した測定用キット(ANC
A−Fast)は15分以内の短時間で血管炎の診断結果を得ることができる。しかしな
がら、開発済みの試験研究用プロトタイプは単価6万円と高く、一般診療所を含め医師が
日常的に使用する場合には、患者負担も大きくなることから、キットの利用拡大を推進す
る障害となっている。
さらに、現在ANCA−Fastキットに搭載されている上記抗原タンパク質のうち、
モエシンのみが株式会社A−CLIP研究所によって組換えタンパク質として作製されて
おり、また、標準となる抗モエシン抗体も培養技術を利用することで生産が可能である(
特許文献1を参照)。一方、その他の3種の抗原タンパク質については、ヒト細胞由来ま
たは他種動物臓器由来の精製タンパク質を用いており、かつ、高価であるために、製造コ
ストを押し上げる原因となっており、安価な普及型のキット生産の障害となっている。
国際公開第2012/039161号パンフレット
Goeken JA. Antineutrophil cytoplasmic antibody−A useful serological marker for vasculitis. J Clin Immunol 1991; 11: 161−174 Suzuki K, Nagao T, Itabashi M, Hamano Y, Sugamata R, Yamazaki Y, Yumura W, Tsukita S, Wang PC, Nakayama T, Suzuki K. A novel autoantibody against moesin in the serum of patients with MPO−ANCA−associated vasculitis. Nephrol Dial Transplant. 2014 Jun;29(6):1168−77..Ellen F. Carney. VASCULITIS: Potential role of an antimoesin autoantibody in AAV Nature Reviews Nephrology 2014; 10:3. Unizony S, Villarreal M, Miloslavsky EM, Lu N, Merkel PA, Spiera R, Seo P, Langford CA, Hoffman GS, Kallenberg CM, St Clair EW, Ikle D, Tchao NK, Ding L, Brunetta P, Choi HK, Monach PA, Fervenza F, Stone JH, Specks U; RAVE−ITN Research Group. Clinical outcomes of treatment of anti−neutrophil cytoplasmic antibody (ANCA)−associated vasculitis based on ANCA type. Ann Rheum Dis. 2015 Nov 30. pii: annrheumdis−2015−208073. doi: 10.1136/annrheumdis−2015−208073. [Epub ahead of print] de Joode AA, Roozendaal C, van der Leij MJ, Bungener LB, Sanders JS, Stegeman CA.Performance of two strategies for urgent ANCA and anti−GBM analysis in vasculitis. Eur J Intern Med. 2014 Feb;25(2):182−6. doi: 10.1016/j.ejim.2013.11.011. Epub 2013 Dec 19. Kallenberg CG, Stegeman CA, Heeringa P. Autoantibodies vex the vasculature. Nat. Med. 2008 Oct;14(10):1018−9. Kain R, Exner M, Brandes R, Ziebermayr R, Cunningham D, Alderson CA, Davidovits A, Raab I, Jahn R, Ashour O, Spitzauer S, Sunder−Plassmann G, Fukuda M, Klemm P, Rees AJ, Kerjaschki D. Molecular mimicry in pauci−immune focal necrotizing glomerulonephritis. Nat. Med. 2008 Oct;14(10):1088−96. Epub 2008 Oct 5.
難治性血管炎患者は、国内では、14.8/100万人との報告があるが、専門医によ
る病名特定がされずに重症化することから、1年間に100万人規模の検査対象患者が存
在するものと推定されている。このため、専門医でなくても近医(開業医)で手軽に診断
できる迅速診断キットを「開業医用の普及型」として開発することができれば、早期発見
および開業医による簡易検査が可能になる。
しかしながら、従来の診断方法では、難治性血管炎診断のバイオマーカーである抗MP
O抗体、抗モエシン抗体、抗PR3抗体、抗GBM抗体の測定に関して、
(1)測定依頼の数日後に結果の報告を受けることで判定に時間がかかる
(2)専門の検査機関でしか測定できない
(3)検査用の原材料はヒト由来生体材料で入手困難で倫理的な問題がある
(4)大量に生産ができず、個々のバラつきがあり結果の信頼性に欠ける
(5)高感度測定には、専門の技術者と高額な専用の測定機器が必要
といった問題を抱えていた。
そこで本発明は、上述した従来技術における課題を解決することにより、専門医でなく
ても近医(開業医)で手軽に診断できる迅速診断キットを提供しうる手段を提供すること
を目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決することを目指して、鋭意研究を行なった。
その結果、株式会社A−CLIP研究所が開発してきた難治性血管炎のバイオマーカー
迅速測定法の4抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)を、組み換え技術を用いて大
量生産し、搭載抗原量を可視化判定できる最低量に最適化し、大量に安定供給することで
、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
このようにして開発された簡易キットは「開業医用の普及型製品」と位置付けることが
でき、15分程度で測定できる簡易キットを安価な普及価格として製品化することが可能
である。また、本キットの測定の高感度化に利用できる蛍光測定器をも開発した。
組み換え体MPO抗原の作製方法を説明するための説明図である。 実施例の「組み換え体MPO抗原の作製方法」の欄において得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトMPOの重鎖遺伝子の塩基配列(配列番号1)とともに示す図である。 組み換え体モエシン抗原の作製方法を説明するための説明図である。 実施例の「組み換え体モエシン抗原の作製方法」の欄において得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトモエシン遺伝子の塩基配列(配列番号2)とともに示す図である。 組み換え体PR3抗原の作製方法を説明するための説明図である。 実施例の「組み換え体PR3抗原の作製方法」の欄において得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトPRTN3遺伝子の塩基配列(配列番号3)とともに示す図である。 組み換え体GBM抗原の作製方法を説明するための説明図である。 実施例の「組み換え体GBM抗原の作製方法」の欄において得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトCOL4A3遺伝子の塩基配列(配列番号4)とともに示す図である。 、実施例の測定キットの作製において、組み換え体抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)をニトロセルロースメンブラン上に塗布した様子を説明するための説明図である。 実施例の測定キットの作製において、メンブランをパッケージにセットした様子を説明するための写真である。 実施例の測定キットを用いて、試料中の抗MPO抗体および抗モエシン抗体を目視による検出を行った結果を示す写真である。 実施例の測定キットの設計図および測定機器の写真である。 実施例の測定キットにおいて用いたバンドパスフィルターについて説明するための説明図である。 実施例の測定キットの外観および検出法を説明するための写真である。 実施例の測定キットで使用した蛍光標識ビーズについて、光源(LED)の励起光源の色、蛍光色素の種類、最大蛍光波長およびバンドパスフィルターの波長をまとめた一覧表である。 実施例の測定キットを用いた測定結果の一例を示す写真およびグラフである。 実施例の測定キットを用いた測定結果の一例を示す写真およびグラフである。
本発明の第1の形態は、生体試料において、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を特異
的に認識する抗体(抗体MPO抗体)を検出し、モエシンを特異的に認識する抗体(抗モ
エシン抗体)を検出し、プロテイナーゼ3(PR3)を特異的に認識する抗体(抗PR3
抗体)を検出し、コラーゲンα3(IV)鎖を特異的に認識する抗体(抗GBM抗体)を
検出することを含む、血管炎の検査方法である。
本発明の検査方法を適用することができる対象としては、動物であれば特に限定されな
いが、例えば、哺乳動物等が挙げられる。哺乳動物としては、例えば、霊長類、実験用動
物、家畜、ペット等が挙げられ特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ヒ
ト、サル、ラット、マウス、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどが挙げ
られる。好ましくは、対象動物はヒトである。
本発明の方法に用いられうる生体試料としては、特に限定されないが、例えば、検査対
象である動物由来の組織、細胞、細胞抽出成分、体液等が挙げられる。組織としては、脾
臓、リンパ節、腎臓、肺、心臓、肝臓等が、細胞としては、脾細胞、リンパ細胞、好中球
、単球、マクロファージ、樹状細胞、抗体産生細胞等が、体液としては、血液、血清、血
漿、尿、汗、脊髄液等が挙げられる。検出の容易性などを考慮すると、生体試料としては
体液、特に血清、血漿または尿が好ましく、血清が最も好ましい。
本発明の検査方法において検査される「血管炎」の具体的な形態について特に制限はな
く、本技術分野において「血管炎」として認識されうるすべての疾患、症状、障害などが
いずれも包含されうる。血管炎の一例としては、例えば、MPA、GPA、EGPAなど
が挙げられるが、これらには限定されない。ただし、本発明の検査方法は、MPA、GP
AおよびEGPAを主とした検査方法である。
以下では、本発明に係る検査方法が標的とする抗体が特異的に認識する上記4種のタン
パク質を総称して「本発明のタンパク質」とも称し、本発明に係る検査方法が標的とする
上記4種の抗体を総称して「本発明の抗体」とも称する。ここで、本発明の抗体としては
、特にそのクラスは限定されず、IgG、IgD、IgE、IgA、sIgA、IgM等
のいずれのものであってもよい。また、抗体の結合性断片(Fab、Fab’、F(ab
’)等)等も、本発明のタンパク質に対して特異的に結合する限り、「抗体」に含まれ
る。以下、本発明のタンパク質および本発明の抗体について、それぞれ説明する。
本発明の検査方法において検出される抗MPO抗体により認識されるMPOとは、ほと
んど好中球のみに存在し、過酸化水素(H)および塩素イオン(Cl)から次亜
塩素酸(HClO)を産生する機能を有する酵素である。MPOは150kDaのサイズ
を有するタンパク質であり、15kDaの軽鎖2本と、グリコシル化されて補欠分子ヘム
が結合した重鎖2本とからなる二量体である。MPOとしては、上述の哺乳動物由来のも
のであれば特に限定されないが、好ましくはヒト由来のMPOである。ヒトMPOとして
は、例えば、GenBank登録番号M19507.1のアミノ酸配列からなるタンパク
質、またはその天然のアレル変異体、並びにそれらの部分ポリペプチド等が挙げられる。
MPOの部分ポリペプチドとしては、MPOの軽鎖ポリペプチドまたは重鎖ポリペプチド
が挙げられ、好ましくはMPOの重鎖ポリペプチドである。なお、本発明において検出さ
れる抗MPO抗体は、自己のMPOを特異的に認識する自己抗体であることが好ましい。
例えば、生体試料がヒト由来である場合には、好ましくは、ヒトのMPOを特異的に認識
するヒト抗体が検出される。また、当該自己抗体はMPO−ANCAであることがより好
ましい。なお、ANCAとは「抗好中球細胞質抗体(anti−neutrophil
cytoplasmic antibody)」のことであり、IgG型の自己抗体であ
る。
本発明の検査方法において検出される抗モエシン抗体により認識されるモエシンとは、
一般に細胞骨格に結合したタンパク質ファミリー(Ezrin Radixin Moe
sin:ERMファミリー)に属するタンパク質であり、ヒトでは通常577アミノ酸か
らなる。モエシンとしては、上述の哺乳動物由来のものであれば特に限定されないが、好
ましくはヒト由来のモエシンである。ヒトモエシンとしては、例えば、GenBank登
録番号NM_002444のアミノ酸配列からなるタンパク質、またはその天然のアレル
変異体、並びにそれらの部分ポリペプチド等が挙げられる。なお、本発明において検出さ
れる抗モエシン抗体は、自己のモエシンを特異的に認識する自己抗体であることが好まし
い。例えば、生体試料がヒト由来である場合には、好ましくは、ヒトのモエシンを特異的
に認識するヒト抗体が検出される。場合によっては、モエシンがMPOと交差反応する配
列部分もあるため、MPO−ANCAの一部であることもある。
本発明の検査方法において検出される抗PR3抗体により認識されるプロテイナーゼ3
(PR3)とは、PRTN3遺伝子によってコードされるカチオン性タンパク質であり、
セリンプロテアーゼのトリプシン族に属する酵素である。PR3としては、上述の哺乳動
物由来のものであれば特に限定されないが、好ましくはヒト由来のPR3である。ヒトP
R3としては、例えば、GenBank登録番号NM_002777のアミノ酸配列から
なるタンパク質、またはその天然のアレル変異体、並びにそれらの部分ポリペプチド等が
挙げられる。なお、本発明において検出される抗PR3抗体は、自己のPR3を特異的に
認識する自己抗体であることが好ましい。例えば、生体試料がヒト由来である場合には、
好ましくは、ヒトのPR3を特異的に認識するヒト抗体が検出される。また、当該自己抗
体はPR3−ANCAであることがより好ましい。
本発明の検査方法において検出される抗GBM抗体により認識されるコラーゲンα3(
IV)鎖とは、糸球体の基底膜を構成するコラーゲンのαサブユニットの1種であり、C
OL4A3遺伝子よってコードされるタンパク質である。コラーゲンα3(IV)鎖とし
ては、上述の哺乳動物由来のものであれば特に限定されないが、好ましくはヒト由来のコ
ラーゲンα3(IV)鎖である。ヒトコラーゲンα3(IV)鎖としては、例えば、Ge
nBank登録番号NM_000091のアミノ酸配列からなるタンパク質、またはその
天然のアレル変異体、並びにそれらの部分ポリペプチド等が挙げられる。なお、本発明に
おいて検出される抗GBM抗体は、自己のコラーゲンα3(IV)鎖を特異的に認識する
自己抗体であることが好ましい。例えば、生体試料がヒト由来である場合には、好ましく
は、ヒトのコラーゲンα3(IV)鎖を特異的に認識するヒト抗体が検出される。
生体試料中の本発明のタンパク質を特異的に認識する抗体(本発明の抗体)を検出する
方法としては、自体公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、液相または固
相で起こる反応(例えば抗原抗体反応)を直接測定する方法や、阻害物質を加えることに
より免疫反応の阻害を測定する方法などを利用することができる。
上記方法としては、例えば、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドあるいはこれ
らを含むペプチドを生体試料と接触させ、生体試料中の抗体の本発明のタンパク質または
その部分ペプチドに対する特異的結合を、直接的または間接的に検出する方法が挙げられ
る。
上記方法に用いられる本発明のタンパク質またはその部分ペプチドあるいはこれらを含
むペプチドは、上述の本発明のタンパク質のうち、検査対象動物由来の生体試料(被験試
料)中に存在する本発明の抗体により特異的に認識されうるものであれば特に限定されな
い。ただし、本発明のタンパク質は、好ましくは検査対象動物由来のタンパク質である。
また、本発明において用いられる本発明のタンパク質の部分ペプチドまたはこれを含む
ペプチドとしては、本発明で検出される本発明の抗体が認識する抗原決定基を含むペプチ
ドであれば特にその長さは限定されない。一般的にタンパク質抗原の抗原決定基は、少な
くとも5〜6個のアミノ酸残基により構成されるため、少なくとも5個以上、好ましくは
8個以上、より好ましくは10個以上のアミノ酸残基を含む本発明のタンパク質の部分ペ
プチドまたはこれを含むペプチドを、本発明では用いることができる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドは修飾されていてもよい。このような修飾
としては、例えば、リン酸、糖または糖鎖、リン脂質、脂質、ヌクレオチド等による修飾
などが挙げられる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドあるいはこれらを含むペプチドは、上述し
たヒトやその他の動物から公知の方法によって得ることができる。例えば、脾臓、子宮、
腎臓等のような本発明のタンパク質の発現組織またはその培養細胞、またはUT−7等の
本発明のタンパク質を発現する細胞株などを用いて、本発明のタンパク質を精製すること
ができる。具体的には、当該動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸等で抽出を
行い、当該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマ
トグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドあるいはこれらを含むペプチドは、本発明
のタンパク質またはその部分ペプチドあるいはこれらを含むペプチドをコードする核酸を
含有する発現ベクターを導入した形質転換体を培養して本発明のタンパク質またはその部
分ペプチドを生成し、得られる培養物から本発明のタンパク質またはその部分ペプチドあ
るいはこれらを含むペプチドを分離・精製することによっても製造できる。例えば、本発
明のタンパク質であるヒトMPO重鎖タンパク質は、図1Bに示すように、配列番号1で
表される塩基配列を有する(好ましくは、当該塩基配列からなる)DNAを発現する発現
ベクターを用いて宿主(例えば、大腸菌)を形質転換し、当該宿主を培養することによっ
て培地中にヒトMPO重鎖タンパク質を得ることができる。ここで、配列番号1で表され
る塩基配列からなるDNAは、ヒトMPO重鎖タンパク質をコードする遺伝子(cDNA
配列)である。
同様に、図2Bに示す配列番号2で表される塩基配列からなるDNAは、本発明のタン
パク質であるヒトモエシンタンパク質をコードする遺伝子(終止コドンを含むcDNA配
列)であり、図3Bに示す配列番号3で表される塩基配列からなるDNAは、本発明のタ
ンパク質であるヒトPR3タンパク質をコードする遺伝子(終止コドンを含むcDNA配
列)であり、図4Bに示す配列番号4で表される塩基配列からなるDNAは、本願によっ
て初めて提供される新規なDNAであり、本発明のタンパク質であるヒトコラーゲンα3
(IV)鎖において、抗GBM抗体が特異的に認識(結合)する抗原決定基からなる部分
ペプチドを含むペプチド(そのアミノ酸配列は次のとおりである:MSARTAPRPQ
VLLLPLLLVLLAAAPAASKGCVCKDKGQCFCDAPAKEEDI
ELDAKTVIVTLTGPDNRTDLKPTEYYDTYQEKDIVFRKLL
CTQCPYIPETLQPEELSVSTPVPEPAVAMPPSEISHVILL
RAPPTLKIISLPHHHHHH;配列番号5)をコードする遺伝子(cDNA配
列)である。ここで、コラーゲンには多数の分子ファミリーが存在し、タイプ4(IV型
コラーゲン)にも6種類のαサブユニットが存在する。そして、これらの分子の内部配列
のほとんどが共通のヘリックス構造を含んでいることから、当該ファミリーに含まれる多
数の分子からαサブユニット3(α3)の分子を識別するためには、共通配列の中に含ま
れるαサブユニット3(α3)に特異的なアミノ酸配列に基づく必要がある。このような
観点から、αサブユニット3(α3)に特異的なアミノ酸配列を対象として構築されたの
が配列番号4のcDNA配列および配列番号5のアミノ酸配列である。
具体的に、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAの5’末端からの126ヌク
レオチドによってコードされる42個のアミノ酸配列(MSARTAPRPQVLLLP
LLLVLLAAAPAASKGCVCKDKGQCFCD;配列番号6)は、既知のヒ
トコラーゲンα3(IV)鎖(GenBank登録番号NM_000091)のN末端か
ら42個のアミノ酸配列と同一であり、当該配列が抗GBM抗体に対する抗原決定基を含
んでいる。すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、以下の(a)〜(d)のいずれ
かのポリヌクレオチドもまた、提供される:
(a)配列番号4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレ
オチド;
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、かつ配列番号
5で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号5で表されるアミノ酸配列からな
るタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド;並びに、
(d)配列番号6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、かつ配列番号
5に記載の塩基配列と70%以上のホモロジーを有し、配列番号5で表されるアミノ酸配
列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
また、本発明によれば、上記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドによってコ
ードされるタンパク質もまた、提供される。配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる
タンパク質はその一例である。
ここで、あるタンパク質が「配列番号5で表されるタンパク質と機能的に同等である」
とは、そのタンパク質が配列番号5で表されるタンパク質の有する「抗GBM抗体が特異
的に認識する抗原決定基を含むことで、抗GBM抗体によって特異的に認識される」とい
う機能を有することを意味する。
「配列番号5で表されるタンパク質と機能的に同等なタンパク質」は、当業者であれば
、例えば、タンパク質中のアミノ酸配列に変異を導入する方法を利用して調製することが
できる。変異の導入方法としては、例えば、部位特異的変異誘発法(Current P
rotocols in Molecular Biology edit. Ausu
bel et al. (1987) Publish. Jhon Wily & S
ons Section 8.1−8.5)等を示すことができる。また、このようなタ
ンパク質は自然界におけるアミノ酸の変異により生じることもある。本発明には、配列番
号5で表されるタンパク質と同等の機能を有する限り、そのアミノ酸配列(配列番号5)
において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加等により異
なるタンパク質も含まれる。タンパク質におけるアミノ酸の変異数や変異部位は、その機
能が保持される限り特に制限されない。変異数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内
であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以
内である。置換されるアミノ酸は、タンパク質の機能保持の観点から、置換前のアミノ酸
と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、
Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互
いに似た性質を有すると考えられる。また、非荷電性アミノ酸としては、Gly、Ser
、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては
、AspおよびGluが挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、
Hisが挙げられる。
また、「配列番号5で表されるタンパク質と機能的に同等なタンパク質」は、当業者に
周知のハイブリダイゼーション技術あるいは遺伝子増幅技術を利用して単離することも可
能である。すなわち、当業者であれば、ハイブリダイゼーション技術(Current
Protocols in Molecular Biology edit. Aus
ubel et al. (1987) Publish. Jhon Wily &
Sons Section 6.3−6.4)を用いて配列番号5で表されるタンパク質
をコードする塩基配列(配列番号4)またはその一部をもとにこれと相同性の高いポリヌ
クレオチドを単離して、このポリヌクレオチドから機能的に同等なタンパク質を得ること
は、通常行いうることである。
このようなハイブリダイゼーション技術を利用して単離されるタンパク質は、配列番号
5で表されるタンパク質と比較して、通常、そのアミノ酸配列または当該タンパク質をコ
ードする塩基配列において高い相同性を有する。高い相同性とは、少なくとも60%以上
、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上(例えば、90%以上)の配列の
同一性を指す。相同性の特定は、BLAST2検索アルゴリズム(Altschul,S
.F.et al,1997 Gapped BLAST and PSI−BLAST
: a new generation of protein database s
earch programs. Nucleic Acids Res. 25:33
89−3402.)を用いて決定することができる。
また、遺伝子増幅技術(PCR)(Current protocols in Mo
lecular Biology edit. Ausubel et al. (1
987) Publish. John Wiley & Sons Section
6.1−6.4)を用いて、配列番号4で表される塩基配列の一部をもとにプライマーを
設計し、これら塩基配列またはその一部と相同性の高いDNA断片を単離して、これをも
とに配列番号5で表されるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を得ることも可能であ
る。なお、当該タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、当該タンパク質の製造、発
現状態を知るためのプライマーまたはプローブとして有用である。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドは、公知のペプチド合成法により製造する
こともできる。このようなペプチド合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法の
いずれであってもよい。本発明のタンパク質を構成しうる部分ペプチドまたはアミノ酸と
残余部分とを縮合し、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより、本発
明のタンパク質またはその部分ペプチドを製造することができる。
本発明のタンパク質の部分ペプチドは、上述または後述のいずれかの方法により得られ
るタンパク質を、適当なペプチダーゼで切断することによっても製造することができる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドは、精製作業等を容易にすることを目的に
、適当なタグが連結されたものであってもよい。このようなタグとしては、イムノグロブ
リンFc領域、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェ
ラーゼ(GST)、c−Mycタグ、FLAGタグ、HAタグ、Hisタグ等が挙げられ
る。
抗体を検出するための検出方法としては、特に限定されないが、より具体的には以下の
方法が挙げられる。
(1)血球やゼラチン粒子の表面に、本発明のタンパク質またはその部分ペプチド(抗原
)を被覆し、生体試料を加えることにより抗原抗体反応を起こさせ、凝集塊を作らせる凝
集反応;
(2)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを含む抽出液と生体試料とを寒天ゲル
内で拡散させて沈降反応を起こさせる二重免疫拡散法(DID:double immu
ne diffusion:オクタロニー法);
(3)精製した本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをプレートに固相化し、生体
試料を加えて反応させた後、
i)酵素と結合した二次抗体をさらに反応させて、基質の発色を分光光度計で検出するE
LISA法;
ii)蛍光色素と結合した二次抗体をさらに反応させて、蛍光発色を測定する蛍光免疫測
定法(FIA);または、
iii)化学発光物質と結合した二次抗体をさらに反応させて、化学蛍光(ケミルミネッ
センス)を測定する化学発光免疫測定法(CLIA);
(4)ラテックス粒子やガラスビーズなどの表面を本発明のタンパク質またはその部分ペ
プチドで被覆し、当該粒子が抗体と遭遇したときに起こる凝集反応液に光をあて、その透
過光を測定する免疫比濁法またはその散乱光を測定する免疫比朧法(ネフェロメトリー法
);
(5)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを放射性同位元素で標識し、生体試料
と反応させ抗原抗体反応を検出するラジオイムノアッセイ;
(6)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを含む組織の凍結薄切片または細胞を
スライドガラス上に貼り付け、生体試料を切片上に滴下することにより反応させ、蛍光色
素と結合した二次抗体とさらに反応させて、蛍光を顕微鏡下で検出する蛍光抗体法;
(7)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをチップ上に固定して生体試料を流す
ことにより親和性をみる表面プラズモン共鳴解析法;
(8)電気泳動により分離展開したゲル内の本発明のタンパク質またはその部分ペプチド
を、ニトロセルロース膜等に転写し、生体試料と反応させ抗原抗体反応を検出するウエス
タンブロッティング法。
例えば検出手段がELISA法の場合、具体的には、下記のように検出および/または
定量を行なうことができる。すなわち、慣用のELISAの手法に従い、例えば、本発明
のタンパク質またはその部分ペプチドで被覆したマルチウェルプレートの各ウェルに生体
試料を供し、各ウェルに酵素標識した二次抗体を添加して反応させ、酵素基質を添加した
後、当該酵素により生じた産物を検出および/または定量することにより、抗原抗体反応
の検出および/または定量を行なうことができる。
上述したELISA法の場合、標識に用いられる酵素としては、通常ELISA法に用
いられる慣用の酵素であればよく、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ
、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ
、β−D−グルクロニダーゼなどが挙げられる。より高感度で安定な検出を達成すること
が可能であるという観点からは、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼが好適
に用いられうる。また、酵素基質は、用いる酵素により適宜選択することができ、例えば
、ペルオキシダーゼの場合、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンなどが用いら
れ、アルカリホスファターゼの場合、パラニトロフェニルリン酸ナトリウムなどが用いら
れる。
酵素により生じた産物の検出および/または定量は、当該産物の吸光度を測定すること
により行なうことができる。例えば、酵素基質として、3,3’,5,5’−テトラメチ
ルベンジジンを用いた場合には、655nmにおける吸光度を測定すればよい。
例えば、検出手段が蛍光免疫測定法(FIA)の場合、蛍光色素としては、FITC(
Fluorescein Isothiocyanate)、PE(phycoeryt
hrin)、APC(Allophycocyanin)、Cy−3、Cy−5等が挙げ
られる。
また、例えば、検出手段が化学発光免疫測定法(CLIA)の場合、化学蛍光(ケミル
ミネッセンス)としては、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
ここで、本発明に係る血管炎の検査方法では、4種のタンパク質(MPO、モエシン、
PR3、GBM)をそれぞれ特異的に認識する抗体を検出することで血管炎の検査を行う
ものである。具体的に、上記4種のタンパク質のそれぞれを特異的に認識する抗体の検出
プロファイルに応じて、検査対象による血管炎への罹患の有無や重症度、予後を判定する
ことができる。例えば、生体試料中に本発明の抗体の少なくとも1種、好ましくは少なく
とも2種、より好ましくは少なくとも3種、特に好ましくは4種すべてが検出された場合
、当該生体試料の由来する対象は、血管炎を発症する/している可能性が高いと判断する
ことができ、検出された抗体の数が多いほどその確度は高くなる。この場合、生体試料中
における本発明の抗体のそれぞれの抗体価が高いほど血管炎を発症する/している可能性
が高いとすることもできる。逆に、生体試料中に本発明の抗体が検出されない場合、当該
生体試料の由来する対象は、血管炎を発症する/している可能性が低いと判断することが
できる。
上述した発症可能性を判断する場合、その判断基準は抗体の検出・未検出のみに限定さ
れるわけでない。例えば、健常対象由来の生体試料中の本発明の抗体の量の平均値±3S
D等をカットオフ値と設定し、カットオフ値以上であれば対象は血管炎を発症する/して
いる可能性が高いと判断し、逆にカットオフ値以下であれば対象は血管炎を発症する/し
ている可能性が低いと判断してもよい。
また、本発明の検査方法を利用して、血管炎の細分類を行うことも可能である。ここで
、細分類の対象とされる血管炎について特に制限はなく、上述したものやその他従来公知
の血管炎が細分類の対象とされうるが、一例として、小血管炎と中血管炎とを合併するも
のが挙げられる。かような血管炎としては、例えば、MPA、GPA、EGPA、川崎病
、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ベーチェット病、特発性間質性肺
炎によるものが挙げられる。なかでも、上述した4種のそれぞれの抗体を検出することは
、MPA、GPA、EGPAの病態を細分類する目的で、反応性の血管炎病態マーカーと
して用いられることが好ましい。とりわけ、これらの血管炎への治療による寛解、再発、
治療抵抗性を判定するための病態マーカーとしても有効に用いられうる。
さらに、本発明の抗体が検出された場合には、以下のような血管炎由来の症状、疾患が
疑われ、より詳細な因果関係等が解明されれば、該症状や疾患の治療による寛解、再発、
治療抵抗性を判定するための病態マーカーとして非常に有用である:循環器病疾患(高血
圧、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、動脈瘤)、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、慢性
炎症性脱髄性多発神経炎、ライソゾーム病、特発性血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病(
TTP)、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフ
ローゼ症候群、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、自己免疫
性肝炎、ベーチェット病、SLE、シェーグレン症候群、高安病(大動脈炎症候群)、バ
ージャー病、結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群
、強皮症、好酸球性筋膜炎、天疱瘡。
また、本発明の第2の形態によれば、生体試料中の本発明の抗体を検出する物質を含む
、血管炎の検査用試薬が提供される。
本形態の検査用試薬に含まれる上記「物質」としては、上述の方法において本発明の抗
体の検出を達成しうるものであれば特に限定されないが、好ましくは本発明のタンパク質
またはその部分ペプチドである。また、本発明で検出される本発明の抗体が、複数の抗原
決定基を認識する抗体群である場合、本発明のタンパク質またはその部分ペプチド中に存
在する多くの抗原決定基に、それぞれ特異的に認識する抗体を網羅的に検出させることに
より、検出感度を向上させるという観点から、当該物質は本発明のタンパク質の全長であ
ることが好ましいが、これに限定されることはない。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドは、粉末、溶液等の形態で提供されてもよ
く、血球、ゼラチン粒子、プレート、ラテックス粒子、ガラスビーズ、スライドガラス、
チップ、マイクロタイタープレート、遠心管、マイクロビーズ、メンブレン、ペーパーデ
ィスク等の不溶性担体に担持された形で提供されてもよい。なお、容器上の担体において
は、当該担体に保持される溶液が接触する部位、例えばマイクロタイタープレートの場合
には、ウェルの部位に本発明のタンパク質またはその部分ペプチドが担持される。なお、
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの不溶性担体への担持は、公知の方法により
行なうことができる。
本発明の検査用試薬を用いれば、上述の方法により、容易に血管炎を検査することがで
きる。
本発明の検査用試薬はまた、上述の検出方法で使用される試薬等をさらに含む、血管炎
検査用キットとすることもできる。上記試薬等として具体的には、試薬や生体試料を希釈
するための緩衝液、蛍光色素、反応容器、陽性対照、陰性対照、検査プロトコールを記載
した指示書等が挙げられる。これらの要素は、必要に応じて予め混合しておくこともでき
る。このキットを使用することにより、本発明の血管炎の検査が簡便となり、早期の治療
方針決定に非常に有用である。
本発明により提供される検査用キットは、後述する実施例の欄および図面に記載されて
いるような構成とすることにより、具体的には以下のような利点を有するものである。
(1)本測定技術により、ベッドサイドで迅速に結果を得ることができ、検査機関での
測定が不要で、安価な普及価格で「開業医用普及型製品」としての測定キットおよび高感
度測定器が提供可能である。
(2)本測定技術により、本測定法の抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)につ
いて、組み換え技術を用いて大量生産し安定供給することが可能となり、ヒト由来生体材
料で入手困難で倫理的な問題は生じない。
(3)本測定技術により、抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)を、組み換え技
術を用いて大量生産し、この際、高精度タンパクプリント技術により、0.1mm幅のラ
イン状に固定することが可能である。これにより、搭載抗原量を可視化判定できる最低量
に最適化し、大量に安定供給することで、個々のバラつきを最小限に抑えることができる
。具体的には、それぞれの抗原(MPO抗原、モエシン抗原、PR3抗原、GBM抗原)
をニトロセルロースのメンブラン上に塗布している。
(4)本測定技術では、高感度測定の設計図に基づき新たに開発した小型(ハンディタ
イプ)で安価な蛍光リーダーを使用していることから、15分程度で測定できる本キット
の感度をこれまで以上に上げることが可能である。具体的には、蛍光検出による高感度化
に伴い、バックグラウンドノイズ(BG)の値も必然的に上昇する。すなわち、イムノク
ロマト担体であるニトロセルロースの材質は白色であり、励起光照射により散乱光を生じ
BGノイズレベルを上昇させることになる。ここで、ニトロセルロースの基材自体の変更
は困難であることから、クロマト溶媒、クロマト担体を収納する容器、クロマト担体を処
理するブロッキング剤の条件を検討することによりBGノイズの低減化を図り、上述した
ような高感度での測定を可能としたのである。より具体的に、本測定技術では、励起光の
エネルギー受容体となるクエンチャー色素を溶媒あるいはブロッキング剤として導入する
ことにより、非特異的にクロマト担体に残留する蛍光ビーズからの蛍光発光を減弱させ、
BGノイズの低減化を実現して蛍光測定における強度について、目視用の色素の100倍
の強度を実現した。
(5)本測定技術は、難治性血管炎の検査にとどまらず、がん検査、感染症検査に幅広
く利用が可能となる新技術となり、新たな市場を開拓することにつながるという利点も有
している。
以下、実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
検査用の原材料について、本発明によれば、ヒト由来生体材料を用いる必要がないこと
から、入手困難であったり倫理的な問題が生じたりする虞はない。具体的に、本発明によ
れば、本測定法に用いる抗原タンパク質(MPO、PR3、GBM、モエシン)を、組み
換え技術を用いて大量生産し安定供給することが可能となる。その結果、ヒト由来生体材
料に頼って入手困難となったり、倫理的な問題が生じたりすることはない。なお、各抗原
タンパク質の作製方法は以下のとおりである。
《組み換え体MPO抗原の作製方法(図1A)》
1.プラスミドへのヒトMPO遺伝子の組み込みと大腸菌へのトランスフェクション
ヒトミエロペルオキシダーゼ(MPO)の重鎖遺伝子にプロモーターおよびタグ(6x
His)のDNA配列を組み込んだプラスミドを作製し、大腸菌(K12)にトランスフ
ェクションし、プラスミドが予定通り挿入されていることをPCRおよびDNA配列から
確認した。得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトMPOの重
鎖遺伝子の塩基配列(配列番号1)とともに図1Bに示す。
2.大腸菌の培養および抽出
ヒトMPOの重鎖遺伝子を組み込んだプラスミドをトランスフェクションした大腸菌(
K12)を3Lの培養液中で0.1mM IPTG存在下、16℃にて16時間培養した
培養した大腸菌を、3500rpmの速度で4℃にて30分間遠心して、大腸菌ペレッ
トを得た。
3.精製
大腸菌ペレットを6Mグアニジン塩酸、50mMトリス塩酸溶液(pH7.0)に懸濁
し、超音波で10分間処理し、15000rpmの速度で4℃にて10分間遠心して、上
清を得た。その上清をNiレジンカラム(径1.5cm、5cm長)に通して組換えタン
パク質を吸着させ、8M尿素(グリシン濃度2.5mM、25mM、100mM、500
mM)の各溶液にて順次カラムを洗浄することにより夾雑タンパクを除去し、8M尿素、
0.1M EDTAにて組換えタンパク質を溶出させて、ヒトMPOタンパク質を精製し
た。得られたヒトMPOタンパク質について、SDS−PAGEおよび抗ヒトMPO抗体
を用いたウエスタンブロッティングにより精製度を確認した。
《組み換え体モエシン抗原の作製方法(図2A)》
1.プラスミドへのヒトモエシン遺伝子の組み込みと大腸菌へのトランスフェクション
ヒトモエシンの遺伝子にプロモーターおよびタグ(6xHis)のDNA配列を組み込
んだプラスミドを作製し、大腸菌(K12)にトランスフェクションし、プラスミドが予
定通り挿入されていることをPCRおよびDNA配列から確認した。得られたプラスミド
の構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトモエシン遺伝子の塩基配列(配列番号2)
とともに図2Bに示す。
2.大腸菌の培養および抽出
ヒトモエシン遺伝子を組み込んだプラスミドをトランスフェクションした大腸菌(K1
2)を3Lの培養液中で0.1mM IPTG存在下、16℃にて16時間培養した。
培養した大腸菌を、3500rpmの速度で4℃にて30分間遠心して、大腸菌ペレッ
トを得た。
3.精製
上述したMPOと同様の方法により、ヒトモエシンタンパク質の精製および精製度の確
認を行った。
《組み換え体PR3抗原の作製方法(図3A)》
1.プラスミドへのヒトPRTN3遺伝子の組み込みと大腸菌へのトランスフェクショ

ヒトPR3タンパク質をコードするヒトPRTN3遺伝子にプロモーターおよびタグ(
6xHis)のDNA配列を組み込んだプラスミドを作製し、大腸菌(K12)にトラン
スフェクションし、プラスミドが予定通り挿入されていることをPCRおよびDNA配列
から確認した。得られたプラスミドの構造を、当該プラスミドに組み込まれたヒトPRT
N3遺伝子の塩基配列(配列番号3)とともに図3Bに示す。
2.大腸菌の培養および抽出
ヒトPRTN3遺伝子を組み込んだプラスミドをトランスフェクションした大腸菌(K
12)を3Lの培養液中で0.1mM IPTG存在下、16℃にて16時間培養した。
培養した大腸菌を、3500rpmの速度で4℃にて30分間遠心して、大腸菌ペレッ
トを得た。
3.精製
上述したMPOと同様の方法により、ヒトPR3タンパク質の精製および精製度の確認
を行った。
《組み換え体GBM抗原の作製方法(図4A)》
1.プラスミドへのヒトGBM遺伝子の組み込みと大腸菌へのトランスフェクション
ヒトGBMの遺伝子にプロモーターおよびタグ(6xHis)のDNA配列を組み込ん
だプラスミドを作製し、大腸菌にトランスフェクションし、プラスミドが予定通り挿入さ
れていることをPCRおよびDNA配列から確認した。得られたプラスミドの構造を、当
該プラスミドに組み込まれたヒトCOL4A3遺伝子(非へリックス)の塩基配列(配列
番号4)とともに図4Bに示す。
2.大腸菌の培養および抽出
ヒトGBM遺伝子を組み込んだプラスミドをトランスフェクションした大腸菌(K12
)を3Lの培養液中で0.1mM IPTG存在下、16℃にて16時間培養した。
培養した大腸菌を、3500rpmの速度で4℃にて30分間遠心して、大腸菌ペレッ
トを得た。
3.精製
上述したMPOと同様の方法により、ヒトGBMタンパク質の精製および精製度の確認
を行った。
《メンブランへの抗原の塗布およびキットのパッケージ化》
本実施例では、組み換え体抗原(MPO、モエシン、PR3、GBM)を、ニトロセル
ロースメンブラン(ミリポアフィルター製)上に、幅0.1mm、長さ5mmでライン状
に塗布するように設計した(図5)。その後、メンブランをパッケージにセットし、検体
を挿入するようにしたパッケージを作製した(図6)。このようにして開発された本発明
に係る測定技術および簡易測定キットによれば、抗原タンパク質の大量生産が可能となる
ことからキットの個々のバラつきが最小限に抑えられ、また、結果の信頼性を大幅に向上
させることが可能となる。
《キットでの目視検出法(図7)》
以下の手法および条件により、試料中の抗MPO抗体および抗モエシン抗体の目視によ
る検出を行った。
1.抗MPO抗体の検出
被験試料:抗ヒトMPO抗体、抗ウサギIgG、ヒト血漿(40μL)
検出ビーズ:抗ウサギIgGコートラテックス(赤)、
:抗ヒトIgGコートラテックス(赤)
展開バッファー:0.1%Tween、1%BSA、150mM NaCl、10mM
NaPO、pH7.0、0.05%NaN
展開バッファー320μLに被験試料40μLを混合し、その合液120μLにラテッ
クスビーズ液5μLを加えて、その全量をサンプルウインドウに入れて展開させた後、1
5分後および30分後に写真撮影。
2.抗モエシン抗体の検出
被験試料:抗ヒトモエシンモノクローナル抗体 500ng、マウスIgG 5μg、
ヒト血漿(40μL)
検出ビーズ:抗ヒトIgGコートラテックス(赤)
:抗マウスIgGコートラテックス(赤)
展開バッファー:0.1%Tween、1%BSA、150mM NaCl、10mM
NaPO、pH7.0、0.05%NaN
展開バッファー320μLに被験試料40μLを混合し、その合液120μLにラテッ
クスビーズ液5μLを加えて、その全量をサンプルウインドウに入れて展開させた後、1
5分後および30分後に写真撮影。
《ANCA−Fastキットの基本構成および基本回路》
本発明による高感度測定のためのキットの設計図および測定機器の写真を図8に示す。
1.励起光源
廉価で省電力のLEDを使用
集光レンズにより、励起光をチップホルダーに装着したメンブレン上に集光
励起光をカットし蛍光波長を透過するガラスフィルターを検出器の前に配置
各種蛍光標識ビーズの分光特性を計測し、最適な励起波長、測定波長を決定。
ここで、蛍光標識ビーズとしては、好ましくはPolyscience社製NYO蛍光
ビーズと同等のものを用いる。本実施例では、カルボキシル基修飾NYO(蛍光)ビーズ
(粒子径50nm、最大励起波長:529.03nm、最大発光波長:546.55nm
)を用いた。そして、検出条件として、最大発光波長546.55nm(橙色)検出のた
めオレンジフィルターにより蛍光発光を検出した。この際、励起光については、蛍光発光
波長から離れた青色LED(波長450nm)を用いることにより、励起光照射のバック
グラウンドを低減化して蛍光測光の最適化を実現した。また、検出ストリップ幅について
は、LED発光体の光源幅および蛍光受光素子の大きさから、最大の蛍光受光効率を与え
る検出ストリップ幅を4mmとした。さらに、イムノクロマト溶媒侵入側から5mmの位
置に検出抗原を塗布し、そこから10mmの位置にコントロール抗原を塗布することによ
り、検出抗原とコントロール抗原からの傾向の干渉を低減化することによって、検出スト
リップ検出抗原の位置を最適化した。
2.蛍光集光
励起光をフィルターでカットし、蛍光波長のみ透過する短波長カットまたはバンドパス
フィルターを使用(図9)
蛍光スポットから発する蛍光を、測光レンズにより検出器に集光
集光検出器にはシリコンフォトダイオードを採用。
3.測定
回路は、検出器の出力を零調整と感度調整とを備えたプリアンプで増幅後、ピークホー
ルドの回路とした
反応部位のあるバンドの位置とその反応度合が変化するため、蛍光が最も強くなる部分
を自動的に検出させ、個体差なく正確に測定が可能
ピークホールド回路は、試験片をスライドしたとき、蛍光最大測定値を設け、RESE
Tスイッチを押すまで表示
4.表示と外部へのデータ転送
測定値はデジタル数字で表示パネルに表記
デジタル測定値は、データ収集および記録のため、プリンター、コンピュータインター
フェース接続できるインターフェースをもつ。
《高感度測定機器の外観写真および検出法(図10)》
本高感度測定機器は、難治性血管炎のバイオマーカーANCA自己抗体の迅速簡易検査
キットの普及型の検査機器として作製したことから、超小型のハンディタイプとした。
外観は、横11.5cm、縦17cm、高さ2.5cmで、メンブランをストリップホ
ルダに入れ、測光部にストリップホルダを差し込み、蛍光を測定
データは、表示パネルに測定値をデジタル数字で表示し、RESETスイッチを押すま
で表示
本高感度測定機器は、手軽に誰でもどこでも測定が可能な電池での稼働で、海外で携帯
して使用可能。
《使用した蛍光標識ビーズ(図11)》
カルボジイミドによる蛍光ポリスチレンビーズへの抗体のカップリング
ラベル用ヒトIgG検出抗体:好ましくはJackson Laboratory a
nti−human IgG goat antibodyまたはこれと同等のもの、抗
ウサギIgGヤギ抗体
以下の方法により蛍光マイクロビーズに検出抗体を結合させることが好ましい。
1)2.5%NYOビーズを400μLの0.1M炭酸バッファー(pH9.6)に懸
濁させる;
2)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000xg
にて10分間遠心し、再懸濁する操作を3回繰り返す;
3)濾過したビーズに400μLの0.1M MESバッファー(pH6.0)を加え
、懸濁させる;
4)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000xg
にて10分間遠心し、再懸濁する操作を3回繰り返す;
5)濾過したビーズに125μLの0.1M MESバッファーを加え、懸濁させる;
6)新しく調製直後の2%カルボジイミド溶液125uLを滴下し、3時間インキュベ
ートする;
7)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000xg
にて10分間遠心する;
8)400μLの0.2Mホウ酸バッファーに懸濁させる;
9)14000xgにて10分間遠心し、再懸濁する操作を3回繰り返す;
10)100μg(2μL)の抗ウサギIgGヤギ抗体を加えて懸濁させる;
11)室温にて一晩カップリング反応を行う(時々攪拌する);
12)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000x
gにて10分間遠心する;
13)240μLの0.2Mホウ酸バッファーに懸濁させる;
14)10μLの0.25Mエタノールアミンを加え、30分間攪拌して、未反応イミ
ド基をブロッキングする;
15)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000x
gにて10分間遠心する;
16)400μL 1%BSA、0.2Mホウ酸バッファーを加え、30分間攪拌して
、ブロッキングする;
17)Centrifuge filter 10k miniに入れ、14000x
gにて10分間遠心し、再懸濁する操作を3回繰り返す;
18)400μLの1%BSA、10mM PB(pH7.4)、0.1%NaN
5%グリセロール(保存用バッファー)に懸濁させる;
19)4℃にて保存する。
イムノクロマトの検出に使用した蛍光標識ビーズは5種類である。
粒子径:0.05μm〜1μmのうち、メンブレンのポアサイズの制限から0.05μ
m〜0.5μmまでの0.05、0.15、0.25、0.35、0.45μmの5種類
について検出最適条件を検討した。プロトタイプの蛍光測定器を用いて、LED励起光源
とそれに最適な色素とのを組み合わせ(最大効率を与える組み合わせ)を、バンドパスフ
ィルターを通過する蛍光強度に基づき決定した。
・高感度化に伴い、蛍光標識ビーズの濃度、添加量に依存して、蛍光プローブのバック
グラウンド(BG)のノイズが上昇しうることから、混合する蛍光検出ビーズの量は重要
なファクターとなる。イムノクロマト溶媒の量により検出目的物質を効率よく検出位置で
捕捉させ、それ以外の物質は検出ポイントから流れ去る条件を見出して濃度依存性を確認
した(図11)。
しかも、イムノクロマト担体のメンブランの材質はニトロセルロースで白色であり、励
起光照射により散乱光を生じBGノイズレベルを上昇させる。そのため、展開溶媒および
メンブラン担体をブロッキング剤で処理するここでBGノイズの低減化を図った。そして
、ブロッキング剤の導入で、蛍光ビーズからの蛍光発光も減弱させた。
その結果、BGノイズの低減化により、蛍光測定を可視光での測定の100倍以上の感
度を実現することが可能となった(図12Aおよび図12B)。

Claims (10)

  1. 生体試料において、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を特異的に認識する抗体(抗体
    MPO抗体)を検出し、モエシンを特異的に認識する抗体(抗モエシン抗体)を検出し、
    プロテイナーゼ3(PR3)を特異的に認識する抗体(抗PR3抗体)を検出し、コラー
    ゲンα3(IV)鎖を特異的に認識する抗体(抗GBM抗体)を検出することを含む、血
    管炎の検査方法。
  2. 検査の対象動物がヒトである、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記生体試料が血清である、請求項1または2に記載の検査方法。
  4. 前記血管炎が、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽種症(GPA)、ま
    たは好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)である、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の検査方法。
  5. 生体試料中の、MPOを特異的に認識する抗体を検出する物質、モエシンを特異的に認
    識する抗体を検出する物質、PR3を特異的に認識する抗体を検出する物質、およびコラ
    ーゲンα3(IV)鎖を特異的に認識する抗体を検出する物質を含む、血管炎の検査用試
    薬。
  6. 前記MPOを特異的に認識する抗体を検出する物質がMPO重鎖および/またはその部
    分ペプチドであり、前記モエシンを特異的に認識する抗体を検出する物質がモエシンおよ
    び/またはその部分ペプチドであり、前記PR3を特異的に認識する抗体を検出する物質
    がPR3および/またはその部分ペプチドであり、前記コラーゲンα3(IV)鎖を特異
    的に認識する抗体を検出する物質がコラーゲンα3(IV)鎖および/またはその部分ペ
    プチドである、請求項5に記載の検査用試薬。
  7. 前記血管炎が、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽種症(GPA)、ま
    たは好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)である、請求項5または6に記載の検査
    用試薬。
  8. 以下の(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチド:
    (a)配列番号4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (b)配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレ
    オチド;
    (c)配列番号6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、かつ配列番号
    5で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、お
    よび/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号5で表されるアミノ酸配列からな
    るタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド;並びに、
    (d)配列番号6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、かつ配列番号
    5に記載の塩基配列と70%以上のホモロジーを有し、配列番号5で表されるアミノ酸配
    列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  9. 請求項8に記載の(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドによってコードされる
    タンパク質。
  10. 配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
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