JP2020179517A - 加飾シート - Google Patents

Abstract

【課題】成型後も加飾シート表面の凹凸模様やマット感を維持でき、さらに、成型性に優れ、耐薬品性に優れた加飾シートを提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含む透明樹脂層２と、透明樹脂層２の表面２ａ側に設けられた、熱硬化性樹脂を含む表面保護層３と、を備えるようにした。また、表面保護層３の表面３ａに、凹凸模様４を設けるようにした。そして、成型前の加飾シート１の表面うねりに対する成型後の加飾シート１の表面うねりの百分率であるエンボス残存率を３０％以上とし、成型前の加飾シート１表面の光沢度と成型後の加飾シート１表面の光沢度との差の絶対値である光沢度変化率を５％未満とした。【選択図】図１

Description

本発明は、加飾シートに関する。

従来、車両の内外装材や建材の内装材には、樹脂成型品に意匠を付与するために、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾成型体が多く使用されている。このような加飾シートの材料としては、熱成型がし易いように、ポリメチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）樹脂等の熱可塑性樹脂が使用されることが一般的である。(例えば、特許文献１参照)。

特許第３９９８９５３号公報

しかしながら、特許文献１に記載の加飾シートとして、ＰＭＭＡ樹脂等の成型性に優れた熱可塑性樹脂の樹脂シートが使用されると、成型時の熱圧によって加飾シート表面に施した凹凸模様やマット感がなくなる可能性がある。特に、成型方法としてインジェクション成型法が採用されると、金型内側の形状が加飾シートの表面に転写されるため、凹凸模様や梨地を加飾成型体の表面に施したい場合には、凹凸模様や梨地が予め施された専用の型を用意する必要がある。またこのような加飾シートでは耐薬品性の向上も要求される。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、成型後もシート表面の凹凸模様やマット感を維持でき、さらに成型性に優れ、耐薬品性に優れた加飾シートを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明の一態様は、（ａ）ポリオレフィン系樹脂を含む透明樹脂層と、（ｂ）透明樹脂層の表面側に設けられた、熱硬化性樹脂を含む表面保護層と、を備え、（ｃ）表面保護層の表面には、凹凸模様が設けられた加飾シートであって、（ｄ）成型前の加飾シートの表面うねりに対する成型後の加飾シートの表面うねりの百分率であるエンボス残存率が３０％以上であり、成型前の加飾シート表面の光沢度と成型後の加飾シート表面の光沢度との差の絶対値である光沢度変化率が５％未満である加飾シートであることを用紙とする。

本発明の一態様によれば、成型後も加飾シート表面の凹凸模様やマット感を維持でき、さらに、成型性に優れ、耐薬品性に優れた加飾シートを提供できる。

本発明の実施形態に係る加飾シートを表す断面図である。

以下、本発明の実施形態に係る加飾シートについて、図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた形態も、本発明の範囲に含まれる。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。

（構成）
図１に示すように、本発明の実施形態に係る加飾シート１は、透明樹脂層２と、透明樹脂層２の表面２ａ側に設けられた表面保護層３とを備えている。また、表面保護層３の表面３ａには、凹凸模様４が設けられている。

（透明樹脂層）
透明樹脂層２の材料としては、例えば、加工性や経済性等の面から、ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂を用いることができる。一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、即ち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合したりして得た樹脂等を採用できる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数２〜２０のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−１、４−メチルペンテン−１、ヘキセン−１又はオクテン−１のコモノマーの１種又は２種以上を１５モル％以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等を採用できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられる低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加することができる。
また、透明樹脂層２の厚さは、５０μｍ以上１４４μｍ以下が好ましい。

（表面保護層）
表面保護層３は、加飾シート１の表面を保護するための層である。表面保護層３の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、フッ素系樹脂を採用できる。アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤として得られる反応生成物を用いることができる。また、本発明の成型性の効果を損なわない範囲であれば、電離放射線硬化型樹脂を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する（メタ）アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を用いることができる。また、電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線を用いることができる。また、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン・エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニルフロライド（ＰＶＦ）等を用いることができる。特に、耐薬品性の面からは、フッ素樹脂として、ポリフッ化ビニリデンを使用することが最も望ましい。

（凹凸模様）
凹凸模様４は、加飾シート１に立体的な意匠感を付与するための模様である。凹凸模様４としては、特に制限はなく、従来の加飾シートで表面保護層に使用されている模様と同様のものを使用できる。例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状を用いることができる。凹凸模様４の形成方法としては、例えば、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を用いることができる。

（その他の層）
加飾シート１は、従来の加飾シートと同様に、透明樹脂層２及び表面保護層３以外にも、例えば、絵柄模様層５、ベタ層６及び基材層７等を適宜備えるようにしてもよい。絵柄模様層５は、透明樹脂層２の裏面２ｂ側に設けられる。また、ベタ層６は、絵柄模様層５の裏面５ｂ側に設けられる。また、基材層７は、ベタ層６の裏面６ｂ側に設けられる。図１では、ベタ層６の表面６ａに、絵柄模様層５、透明樹脂層２及び表面保護層３がこの順に積層されている。また、ベタ層６の裏面６ｂに、基材層７が積層されている。

（絵柄模様層）
絵柄模様層５は、加飾シート１に絵柄による意匠感を付与するために、必要に応じて設けられる層である。絵柄模様層５は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の加飾シートで絵柄模様層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、アクリルインキを用いることができる。アクリルインキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる２液硬化型ウレタン樹脂系インキを採用できる。また、印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。また、絵柄としては、特に制限はなく、従来の加飾シートで絵柄模様層に使用されている模様と同様のものを使用できる。例えば、凹凸模様４と同調した絵柄を用いることができる。具体的には、木目柄、石目柄、布目柄、コルク柄、抽象柄、幾何学模様等が挙げられる。

(ベタ層)
ベタ層６は、絵柄模様層５の絵柄の意匠性を向上させるために、必要に応じて設けられる層である。ベタ層６の材料としては、着色された熱可塑性樹脂を用いることができる。

（基材層）
基材層７は、加飾シート１のベースとするために、必要に応じて設けられる層である。基材層７の材料としては、例えば、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合合成樹脂（ＡＢＳ）樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート（ＰＣ）樹脂、ポリプロピレン（ＰＰ）樹脂、ＰＰ樹脂とＰＥ樹脂との混合樹脂（ＰＷ樹脂）及びＰＭＭＡ樹脂から選ばれる少なくとも１種類の樹脂を含むものを用いることができる。ＡＢＳ樹脂としては、例えば、スチレン−アクロロニトリル共重合体とニトリルゴム（ＮＢＲ）とのポリマーブレンド型、ポリブタジエンゴム（ＢＲ）或いはスチレン・ブタジエンゴム（ＳＢＲ）ラテックスの共存下にスチレンとアクリルニトリルをグラフと共重合させて得られるグラフト型を用いることができる。また、ブタジエンの含有比率は、例えば、ＡＢＳ樹脂の伸びやすさから、２０質量％以上５０質量％以下が好ましい。また、ポリエステルとしては、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートを用いることができる。

（エンボス残存率）
本実施形態に係る加飾シート１では、下記（１）式に示すように、成型前の加飾シート１の表面うねりに対する成型後の加飾シート１の表面うねりの百分率（以下、「エンボス残存率」とも呼ぶ）を３０％以上とする。また、好ましくは４０％以上、より好ましくは５０％以上とする。表面うねりの測定は、(株)ミツトヨ製の接触式表面粗さ測定器（ＳＪ−４１０）を用いて行う。
エンボス残存率［％］＝成型後表面うねり／成型前表面うねり×１００≧３０％
………（１）

（光沢度変化率）
本実施形態に係る加飾シート１では、下記（２）式に示すように、成型前の加飾シート表面の光沢度と成型後の加飾シート表面の光沢度との差の絶対値（以下、「光沢度変化率」とも呼ぶ）を５％未満とする。また、好ましくは３％未満、より好ましくは１％未満とする。光沢度の測定は、６０°入射角の光沢度計を用いて行う。
変化率＝｜（成型前の光沢度）−（成型後の光沢度）｜＜５％ ………（２）

（加飾成型体の製造方法）
本実施形態に係る加飾シート１を、樹脂成形品に積層することで、樹脂成形品を加飾した加飾成型体を作製することができる。加飾成型体の製造方法としては、例えば、インジェクション成型法、ＴＯＭ(Three dimension Overlay Method)成型法を用いることができる。例えば、インジェクション成形法は、予備成型金型を用いて、加飾シート１を１３０℃に加熱して圧空成型で予備成型を行った後、予備成型された加飾シート１にトリミングを行い、トリミングされた加飾シート１を射出成形型に嵌め込み、加飾シート１の裏面側に樹脂を射出して樹脂（樹脂成形品）と加飾シート１とを一体化することで、加飾成型体を作製する方法である。また、ＴＯＭ成型法は、加飾を行う樹脂成形品、加飾シート１及び受治具をボックス内にセットし、真空引きを行った後にヒーターによって設定値まで加飾シート１の昇温を行い、昇温が終了したら０．３ＭＰａの圧力をかけて成型を行い、空冷後、加飾成型体を型の受け治具から取り外し、加飾成型体を作製する方法である。

インジェクション成型法は、樹脂を射出して加飾シート１と一体化する方法であるため、成型品（加飾成型体）は樹脂のみから構成される。一方、ＴＯＭ成型法は、基材（樹脂成形品）に加飾を行う二次加飾方法であるため、樹脂以外の金属等にも加飾でき、成型品（加飾成型体）は樹脂以外からも構成できる。また、ＴＯＭ成型法は、加飾シート１表面に金型が接触しないため、インジェクション成型法に比べて、表面の質感を失い難い。

以上説明したように、本実施形態に係る加飾シート１は、ポリオレフィン系樹脂を含む透明樹脂層２と、透明樹脂層２の表面２ａ側に設けられた、熱硬化性樹脂を含む表面保護層３と、を備えるようにした。また、表面保護層３の表面３ａに、凹凸模様４を設けるようにした。そして、成型前の加飾シート１の表面うねりに対する成型後の加飾シート１の表面うねりの百分率であるエンボス残存率を３０％以上とし、成型前の加飾シート１表面の光沢度と成型後の加飾シート１表面の光沢度との差の絶対値である光沢度変化率を５％未満とした。それゆえ、成型後も加飾シート表面の凹凸模様やマット感を維持でき、さらに、成型性に優れ、耐薬品性に優れた加飾シート１を提供することができる。

また、本実施形態に係る加飾シート１では、ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。これにより、加工性や経済性を良好にすることができる。
また、本実施形態に係る加飾シート１では、熱硬化性樹脂が、フッ素系樹脂であることが好ましい。これにより、耐薬品性をより良好なものとすることができる。
また、本実施形態に係る加飾シート１では、透明樹脂層２の裏面２ｂ側に絵柄模様層５を備えるようにした。それゆえ、加飾シート１に絵柄による意匠性を付与できる。
また、本実施形態に係る加飾シート１では、透明樹脂層２の裏面２ｂ側に基材層７を備えるようにした。それゆえ、加飾シート１の強度をより向上することができる。

また、本実施形態に係る加飾シート１では、基材層７は、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合合成樹脂（ＡＢＳ）樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ＡＢＳ樹脂、ＰＷ樹脂、ＰＭＭＡ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも１種類の樹脂を含むようにした。それゆえ、加工性や経済性を良好なものとすることができる。

以下に、本実施形態に係る加飾シート１の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
（実施例１）
まず、ベタ層６として、ポリプロピレンフィルム（リケンテクノス社製）を用意した。ポリプロピレンフィルムの厚さは、６０μｍとした。続いて、ポリプロピレンフィルムの一方の面に、グラビア印刷によって、絵柄模様層５を積層した。続いて、絵柄模様層５の表面に、透明ポリプロピレンを溶融させてＴダイによって成膜し、凹凸のエンボス形状を持った冷却ロールで冷却固化させて、凹凸模様４が転写された透明樹脂層２を積層した。続いて、透明樹脂層２の凹凸模様４が転写された面に、アクリルウレタン樹脂を塗工して、表面保護層３を形成した。アクリルウレタン樹脂の塗布量は、６ｇ／ｍ²とした。また、表面保護層３の厚さは、７５μｍとした。続いて、ポリプロピレンフィルムの他方の面に、ＡＢＳ樹脂フィルムを基材層７として張り合わせた。ＡＢＳ樹脂フィルムの厚さは、厚さ３００μｍとした。これにより、実施例１の加飾シート１を作製した。
続いて、作製した加飾シート１を、インジェクション成型法によって、樹脂成形品に積層することで、樹脂成形品を加飾して得られる、実施例１の加飾成型体を作製した。

（実施例２）
実施例２では、ＴＯＭ成型法を用いて、加飾成型体を作製した。それ以外は、実施例１と同じ条件で加飾シート１と加飾成型体とを作製した。
（実施例３)
実施例３では、透明樹脂層２として、ポリエチレン（ＰＥ）樹脂を用いた。それ以外は、実施例１と同じ条件で加飾シート１と加飾成型体とを作製した。
（実施例４)
実施例４では、表面保護層３として、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）樹脂を設けた。それ以外は、実施例１と同じ条件で加飾シート１と加飾成型体とを作製した。

（比較例１）
比較例１では、透明樹脂層２として、ＰＭＭＡ樹脂を用いた。それ以外は、実施例１と同じ条件で加飾シート１と加飾成型体とを作製した。
（比較例２）
比較例２では、表面保護層３として、ＵＶ硬化性樹脂を用いた。それ以外は、実施例１と同じ条件で加飾シート１と加飾成型体とを作製した。

（性能評価）
実施例１〜４、比較例１、２の加飾シート１と加飾成型体とに対して、以下の性能評価を行った。
（成型性試験）
成型性試験では、加飾成型体の外観を目視で観察して評価した。そして、白化やクラックがない場合を合格「○」とし、白化やクラックが僅かにあるが実用上問題ない場合を合格「△」とし、明らかにわかる白化やクラックがある場合を不合格「×」とした。
（エンボス残存率試験）
エンボス残存率試験では、接触式表面粗さ測定器（(株)ミツトヨ社製ＳＪ−４１０）を用いて、成型前後の加飾シート１の表面うねりを測定し、上記（１）式に従ってその変化率を算出する。そして、３０％以上を合格「○」とし、３０％未満２０％以上を合格「△」とし、２０％未満を不合格「×」とした。

（光沢度変化率試験）
光沢度変化率試験では、６０°入射角の光沢度計を用いて、成型前後の加飾シート１表面の光沢度を測定し、上記（２）式に従って、その変化率を算出する。そして、変化率が５％未満である場合を合格「○」とし、５％以上である場合を不合格「×」とした。
（耐汚染性試験）
耐汚染性試験では、加飾シート１上に日焼け止め（ニュートロジーナ社製ＵｌｔｒａＳｈｅｅｒＳＰＦ１００）を塗布した後、８０℃の環境で２４時間放置し、その後、日焼け止めを乾拭きにて拭き取り、加飾シート１の表面の状態を観察した。そして、外観に変化がない場合を合格「○」とし、外観に変化がわずかにあるが実用上問題ない場合を合格「△」とし、明らかにわかる外観の変質がある場合を不合格「×」とした。

（評価結果）
これらの評価結果を、以下の表１及び表２に示す。

表１及び表２に示すように、実施例１、２の加飾シート１では、成型性試験、エンボス残存率試験、光沢度変化率試験で合格「○」となり、表面保護層３がアクリルウレタン樹脂であり、実施例４で用いられるＰＶＤＦ樹脂に比べて耐薬品性が低下するため、耐薬品性試験で僅かに外観変化があったが使用上問題なく「△」の合格となったため、総合評価が合格「○」となった。また、実施例３の加飾シート１では、透明樹脂層２がポリエチレン樹脂であり、実施例１で用いられるポリプロピレン樹脂に比べて若干耐熱性が低下するため、エンボス残存率性試験で僅かに外観変化があったが使用上問題なく「△」の合格となったため、総合評価としては合格「○」となった。また、実施例４の加飾シート１では、表面保護層３がＰＶＤＦ樹脂であるため、成型性試験、耐薬品性試験、エンボス残存率試験、光沢度変化率試験の全てで合格「〇」となり、総合評価が合格「〇」となった。

一方、比較例１の加飾シート１では、成型性試験、耐薬品性試験及び光沢度変化率試験が合格「○」となったが、透明樹脂層２がＰＭＭＡ樹脂であり、耐熱性が低下するため、エンボス残存率試験が不合格「×」となり、総合評価が不合格「×」となった。また、比較例２の加飾シート１では、耐薬品性試験、エンボス残存率試験及び光沢度変化率試験が合格「○」となったが、表面保護層３がＵＶ硬化性樹脂であり、成型性が低下するため、成型性試験が不合格「×」となり、総合評価が不合格「×」となった。これにより、実施例１〜４の加飾シート１は、比較例１、２の加飾シート１に比べ、成型後もシート表面の凹凸模様やマット感を維持でき、成型性に優れ、耐薬品性に優れることが確認できた。

１…加飾シート、２…透明樹脂層、２ａ…透明樹脂層の表面、２ｂ…透明樹脂層の裏面、３…表面保護層、３ａ…表面保護層の表面、４…凹凸模様、５…絵柄模様層、５ｂ…絵柄模様層の裏面、６…ベタ層、６ａ…ベタ層の表面、６ｂ…ベタ層の裏面、７…基材層

Claims (6)

1. ポリオレフィン系樹脂を含む透明樹脂層と、
   前記透明樹脂層の表面側に設けられた、熱硬化性樹脂を含む表面保護層と、を備え、
   前記表面保護層の表面には、凹凸模様が設けられた加飾シートであって、
   成型前の加飾シートの表面うねりに対する成型後の加飾シートの表面うねりの百分率であるエンボス残存率が３０％以上であり、成型前の加飾シート表面の光沢度と成型後の加飾シート表面の光沢度との差の絶対値である光沢度変化率が５％未満であることを特徴とする加飾シート。
2. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項１に記載の加飾シート。
3. 前記熱硬化性樹脂は、フッ素系樹脂であることを特徴とする請求項１又は２に記載の加飾シート。
4. 前記透明樹脂層の裏面側に絵柄模様層を備えることを特徴とする請求項１から３の何れか１項に記載の加飾シート。
5. 前記透明樹脂層の裏面側に基材層を備える請求項１から４の何れか１項に記載の加飾シート。
6. 前記基材層は、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合合成樹脂（ＡＢＳ）樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ＡＢＳ樹脂、ＰＷ樹脂、ＰＭＭＡ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも１種類の樹脂を含むことを特徴とする請求項５に記載の加飾シート。

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