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JP2020168933A - 車両 - Google Patents

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JP2020168933A
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維薫 今野
Ikuru Konno
維薫 今野
哲也 藤本
Tetsuya Fujimoto
哲也 藤本
壮功 久保
Takenori Kubo
壮功 久保
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Abstract

【課題】車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両において、車両衝突時に非常ブレーキ液圧発生装置のエアタンクを高い確率で保護可能とする。【解決手段】車両1は、車輪ブレーキユニット(11〜14,11a〜14a,11b〜14b)に供給すべきブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生装置(20)と、このブレーキ液圧発生装置(20)の異常時に前記車輪ブレーキユニットに供給すべきブレーキ液圧を発生する非常ブレーキ液圧発生装置(40)と、を備えている。非常ブレーキ液圧発生装置(40)は、エアタンク48に充填された圧縮空気を作動源としてブレーキ液圧を発生する。ブレーキ液圧発生装置(20)は、前側収容室5および後側収容室7のいずれか一方に格納されており、エアタンク48は、車室4の床下に配置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両に関する。
例えば特許文献1には、ブレーキペダルが踏まれたときにフロントおよびリヤのエアタンクからリレーバルブに所定のエア圧を供給し、ブレーキバルブにより送られたエアの信号圧に応じてブースタによりオイルリザーバのオイルをフロントおよびリヤのインナホイールシリンダに供給する一方、油圧系のブレーキ系統の故障時に、ブレーキペダルを操作すると、リヤのエアタンクからコントロールバルブを介して安全ブレーキ装置およびスプリングブレーキに送られていたエアの供給を停止し、スプリングブレーキ内の圧縮ばねによりリヤインナのホイールシリンダを作動させるということが記載されている。
例えば特許文献2には、ブレーキペダルが踏み込まれたときに第1液圧源の液圧を利用して前輪および後輪のブレーキシリンダに供給すべき液圧を制御する一方、第1液圧源、リニアバルブ装置、ブレーキECU等に異常が検出されたときに、ブレーキペダルが踏み込み操作されると、当該踏み込み操作力に応じて第2液圧源の液圧倍力装置を第1液圧源のアキュムレータに蓄えられた作動液で作動させることにより、前記液圧倍力装置により倍力された大きさの液圧を前輪および後輪のブレーキシリンダに供給する、ということが記載されている。
特開昭59−124453号公報 特許第3396694号(特開2001−106056号)公報
ところで、近年、車両を自動的に制御して走行させる自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両ともいう。)の研究・開発が進められている。もっとも、かかる研究・開発においては、制御に主眼が置かれており、制御される機器等の配置については、従来の車両(以下、手動運転車両ともいう。)のレイアウトを踏襲することが多く、例えば車輪ブレーキ系統の異常時におけるフェールセーフを確保するための構成については十分に検討されていない。なお、前記手動運転車両とは、ユーザが座した状態でステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルを操作可能な運転席を有する車両のことである。
上記特許文献1,2には、前記のような自動運転が可能な車両であるという明確な記載はなく、また、自動運転が可能な車両において、車両衝突時に非常ブレーキ液圧発生装置のエアタンクを高い確率で保護しようとすることに関する記載はない。
本発明は上記事情に鑑み、車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両において、車両衝突時に非常ブレーキ液圧発生装置のエアタンクを高い確率で保護可能とすることを目的としている。
本発明は、車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両であって、車輪ブレーキユニットに供給すべきブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生装置と、このブレーキ液圧発生装置の異常時に前記車輪ブレーキユニットに供給すべきブレーキ液圧を発生する非常ブレーキ液圧発生装置と、を備え、前記非常ブレーキ液圧発生装置は、エアタンクに充填された圧縮空気を作動源としてブレーキ液圧を発生する構成とされ、前記ブレーキ液圧発生装置は、前記前側収容室および後側収容室のいずれか一方に格納されており、前記エアタンクは、前記車室の床下に配置されている、ことを特徴としている。
この構成では、車両衝突時に最も衝撃を受けにくい車室の床下に前記非常ブレーキ液圧発生装置のエアタンクが配置されているから、車両衝突時に前記エアタンクを高い確率で保護することが可能になる。
これにより、車両衝突に伴い、万一、前記ブレーキ液圧発生装置に異常が発生したとしても、前記エアタンク内の圧縮空気により前記車輪ブレーキユニットを作動させることが可能になる。これにより、フェールセーフを確保できるようになる。
ところで、上記車両において、前記車室と前記前側収容室および前記後側収容室とが、車両前後方向でオーバーラップされており、前記前側収容室および前記後側収容室の残り他方には、車両の駆動力を発生する駆動源が格納されている、構成とすることができる。
この構成では、前記車室と前記前側収容室および前記後側収容室とを車両前後方向でオーバーラップさせたうえで、前記前側収容室と前記後側収容室とに前記駆動源と前記ブレーキ液圧発生装置とを振り分けて格納しているから、前記前側収容室および前記後側収容室のスペースを有効利用しながら、車両の前後の重量配分を好適に設定することが可能になる。
また、上記車両において、前記ブレーキ液圧発生装置は、作動液を貯留するリザーバタンクと、前記車輪ブレーキユニットにブレーキ液圧を供給するアクチュエータ本体部と、前記リザーバタンク内の作動液を加圧することにより前記ブレーキ液圧として前記アクチュエータ本体部に供給する電動モータと、を有し、当該ブレーキ液圧発生装置を構成する各要素は、車幅方向に並んで配置されている、構成とすることができる。
この構成によれば、例えば従来一般の運転席を有する手動運転車両のようにブレーキマスターシリンダの長手方向を車両前後方向に沿うように配置する場合に比べて、前記ブレーキ液圧発生装置が格納される収容室を車両前後方向でコンパクトにすることが可能になり、それに伴い前記車室を可及的に広くするうえで有利になる。
また、上記車両において、前記ブレーキ液圧発生装置が格納される収容室が前記前側収容室とされており、前記駆動源が格納される収容室が前記後側収容室とされており、前記駆動源は後輪に駆動力を入力する電動モータとされており、前記車室の床下には前記電動モータの電源となるバッテリが配置されている、構成とすることができる。
この構成によれば、車両の前後の重量配分を好適に設定するうえで有利になる。
また、上記車両は、操舵および駆動力が自動で制御される自動運転車両とされており、ユーザが座した状態でステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルを操作可能な運転席が前記車室、前記前側収容室ならびに前記後側収容室に設置されていない、構成とすることができる。
なお、前記自動運転車両とは、乗員の操作を全く必要としない完全な自動運転車両のみならず、乗員が補助的な操作を行う半自動運転車両を含むものと理解されたい。
この構成によれば、車両の前後の重量配分を好適に設定可能としたうえで、前記車室を可及的に広くするうえで有利になる。また、本発明に係る車両の構成が、例えば従来一般の運転席を有する手動運転車両の構成に比べると差異が明らかになる。
本発明では、車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両において、車両衝突時に非常ブレーキ液圧発生装置のエアタンクを高い確率で保護可能とする車両を提供できる。
本発明の実施形態に係る車両の外観を模式的に示す斜視図である。 図1の車両の内部を模式的に示す縦断面図である。 ブレーキ装置を模式的に示す斜視図である。 ブレーキ装置の概略構成を示す図である。 図4のブレーキ液圧発生装置(ブレーキアクチュエータ、ブレーキユニットならびにブレーキペダルユニット)を模式的に示す図である。 図5のブレーキ液圧発生装置を車両に搭載した状態を模式的に示す平面図である。 図6のブレーキ液圧発生装置を後方所定位置から見た図である。 図6のブレーキ液圧発生装置を左側面から見た図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図8に本発明の一実施形態を示している。この実施形態で例示する車両1は、図1に示すように、進行方向(図1の矢印参照)にほぼ対称な車体を有している点、車輪2,3が極端に両端寄りに配置されている点、エンジンルーム(モータルーム)を覆うボンネット等を有していない点、車両側面1cのほぼ全面が出入口を構成する点など、従来一般の運転席を有する手動運転車両とは大きく異なる外観を呈している。
なお、車両1は進行方向両側にほぼ同じ態様で進むことも可能であることから、この車両1には前後という概念はないが、以下では便宜上、図1の左側を前端部1a(符号2を前輪)とし、図1の右側を後端部1b(符号3を後輪)として説明する。また、各図における、矢印Frは車両前後方向の前側を、矢印Rhは車幅方向の右側を、矢印Upは上側をそれぞれ示す。また、前記手動運転車両とは、ユーザが座した状態でステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルを操作可能な運転席を有する車両のことである。
なお、図2では座席等の図示を省略している。この車両1は、所謂「自動運転」が可能な車両であり、そのことに伴って、外観のみならず内部についても、図2に示すように、従来一般の運転席を有する手動運転車両とは大きく異なっている。なお、「自動運転」とは、乗員の操作を全く必要としない完全な自動運転のみならず、乗員が補助的な操作を行う半自動運転をも含む概念である。
例えば、車両1では、図示しないカメラ、センサ、レーダ、GPSアンテナ等からの情報や、ネットワークを介して送信される外部サーバからの指令等に基づいて、ECU50(図4参照)が、駆動用電動モータ51(図3参照)や、ステアリングアクチュエータ(図示せず)や、ブレーキアクチュエータ20(図3参照)等を作動させることで、自動運転が行われるようになっている。
それ故、車両1では、所謂「運転者」の存在が必須となっておらず、図2に示すように、車室4内には、ユーザが座した状態でステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルを操作可能な運転席が設置されておらず、例えば車室4内において車両前後方向の前端部と後端部とに横並び多数人掛け用の乗員席4a,4bが車両前後方向で向い合わせとなるように設置されている。また、車室4内には、車輪2または車輪3と機械的に連結したステアリングホイールやブレーキペダルといった運転者の操作部が、車室4内に常設されていない。これらのことから、車両1全体において車室4の占める割合が非常に高くなっている。なお、「車室4内に常設されていない」とは、車両1自体に全く設けられていない場合のみならず、普段は収容室5,7や床下空間6に隠れている操作部が、不測の事態が生じた場合等に、例えばボタン操作等により車室4内に現れる場合等も含む。
もっとも、車両1は、ECU50等による完全な自動運転のみならず、車室4内に乗っている、監視者としてのオペレータによる補助的な操作を行う半自動運転をも可能に構成されている。
例えば、オペレータが所持しているタブレットPC(図示せず)に、カメラで撮影された周辺画像を映し出すことで、オペレータが車両1周辺の状況を監視したり、タブレットPCの画像上のボタンアイコンを押すことで、緊急停止ブレーキ等が作動したりするように車両1のシステムが構成されている。
なお、このオペレータについても、車室4内におけるその存在が必須となっておらず、例えば、外部の管理センターのオペレータ等が車室4内のオペレータの役割を担うようにしてもよいし、外部サーバが同様の役割を担うようにしてもよい。
また、この車両1では、ECU50、駆動用電動モータ51、ステアリングアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ20等といった駆動系および電気系機器を収容する前側収容室5および後側収容室7が、図2に示すように、車室4の一部と車両前後方向にオーバーラップするように、車両1の前端部1aおよび後端部1bに形成されている。
具体的には、前側収容室5および後側収容室7は、後述するフロントサイドメンバ65(図6参照)やクロスメンバ63(図6参照)等のフレーム部材や車室4を構成するキャビンのパネル部材(以下、フレーム部材8等ともいう。)によって、車室4と区画されている。これにより、この車両1では、前側収容室5および後側収容室7の上方の空間も車室4として利用することが可能となっている。
なお、この実施形態の車両1は、駆動用電動モータ51が後輪3に駆動力を入力する後輪駆動方式とされている。この駆動用電動モータ51は、車両1の中央部の床下空間6に配置されたバッテリ52を電源として利用するようになっている。
このように、従来一般の運転席を有する手動運転車両とは大きく異なる本実施形態の車両1では、様々な車載機器の構成、構造および配置に工夫を凝らすことで、上述の如く、車両1全体における車室4の占める割合が非常に高い(車載機器を収容する前側収容室5および後側収容室7等の占める割合が非常に低い)車両を実現している。
以下では、このような相対的に広い車室4の実現化の一要因となっているブレーキ装置10の機能的構成ならびに構造および配置等について詳細に説明する。
(ブレーキ装置10の概略構成)
ブレーキ装置10は、車輪(前輪2および後輪3)を制動するために用いられるものであって、図3に示すように、メインのブレーキ液圧発生装置としてのブレーキアクチュエータ20、サブのブレーキ液圧発生装置としてのブレーキユニット30、非常ブレーキ液圧発生装置としてのブレーキペダルユニット40、下記車輪ブレーキユニット(符号省略)等を備えている。
ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40の構成は、後で詳細に説明するが、ブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30は、車両1の中央部の床下空間6に配置されたバッテリ52を電源として電動モータ26,36(図5参照)でブレーキ液圧を発生させる電気作動式とされており、また、ブレーキペダルユニット40は、下記するエアタンク48に充填された圧縮空気によって作動する空気作動式とされている。電動モータ26,36は、床下空間6に配置されたバッテリ52を電源としている。
また、前記車輪ブレーキユニットは、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40で発生したブレーキ液圧で車輪(前輪2および後輪3)を制動(減速、停止)させるものであって、第1〜第4ブレーキ配管11,12,13,14、第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14a、第1〜第4ブレーキディスク11b,12b,13b,14b等を備えている。
第1ブレーキキャリパ11aおよび第1ブレーキディスク11bは、右側の前輪2aを支持する部位に設けられている。第1ブレーキキャリパ11aは、前側収容室5内で車幅方向の右側に延びる第1ブレーキ配管11を介して、ブレーキアクチュエータ20の第1ポート23a(図4参照)と繋がっている。
第2ブレーキキャリパ12aおよび第2ブレーキディスク12bは、左側の前輪2bを支持する部位に設けられている。第2ブレーキキャリパ12aは、前側収容室5内で車幅方向の左側に延びる第2ブレーキ配管12を介して、ブレーキアクチュエータ20の第2ポート23b(図4参照)と繋がっている。
第3ブレーキキャリパ13aおよび第3ブレーキディスク13bは、右側の後輪3aを支持する部位に設けられている。第3ブレーキキャリパ13aは、前側収容室5内で車幅方向の左側に延びた後、床下空間6を車両前後方向の後側に延びて後側収容室7に至り、後側収容室7内で車幅方向の右側に延びる第3ブレーキ配管13を介して、ブレーキアクチュエータ20の第3ポート24a(図4参照)と繋がっている。
第4ブレーキキャリパ14aおよび第4ブレーキディスク14bは、左側の後輪3bを支持する部位に設けられている。第4ブレーキキャリパ14aは、第3ブレーキ配管13と同様に後側収容室7に至った後、後側収容室7内で車幅方向左側に延びる第4ブレーキ配管14を介して、ブレーキアクチュエータ20の第4ポート24b(図4参照)と繋がっている。
(ブレーキ装置10の各構成要素の詳細構成)
ブレーキ装置10におけるブレーキ液圧の伝達経路としては、図4に示すように、ブレーキユニット30およびブレーキペダルユニット40が最上流に位置し、これらの下流にブレーキアクチュエータ20が位置し、当該ブレーキアクチュエータ20から、第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14aへブレーキ液圧が供給されるようになっている。
ブレーキアクチュエータ20は、ブレーキECU21、アクチュエータ本体部22、リザーバタンク25、電動モータ26等を備えている。
ブレーキECU21は、ECU50と通信回線を介して繋がっており、ECU50がセンサやカメラ等からの情報(車速、停止線や障害物との距離等)に基づいて算出した制動力要求に基づいて、電動モータ26を作動させて、作動液をリザーバタンク25から汲み上げて加圧するように構成されている。つまり、ブレーキアクチュエータ20は、必要なとき(ECU50の要求時)に必要なだけ(ECU50の要求量)ブレーキ液圧を発生させることができるようになっている。
アクチュエータ本体部22は、図4に示すように、第1液室23と第2液室24とに分かれている。
第1液室23には、第1および第2ポート23a,23bが形成されていて、ブレーキECU21の指令に基づき電動モータ26で加圧された作動液がこれら第1および第2ポート23a,23bから第1および第2ブレーキキャリパ11a,12aへそれぞれ供給される。
第2液室24には、第3および第4ポート24a,24bが形成されていて、ブレーキECU21の指令に基づき電動モータ26で加圧された作動液がこれら第3および第4ポート24a,24bから第3および第4ブレーキキャリパ13a,14aへそれぞれ供給される。
このように、アクチュエータ本体部22を第1液室23と第2液室24との2室に分けることで、仮に片方の液室が破損等しても、ブレーキ液圧を逃がすことなく、他方の液室から前輪2または後輪3へブレーキ液圧を供給することが可能となっている。
また、ブレーキアクチュエータ20は、ブレーキユニット30の下流に位置していることから、ブレーキユニット30に不具合が生じた場合でも、単独で第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14aへブレーキ液圧を供給することが可能になっている。
ブレーキユニット30は、ブレーキアクチュエータ20が正常に作動している場合でも、相対的に大きな制動力が必要になったときに、ブレーキアクチュエータ20を補助するためにブレーキ液圧を発生させる一方、ブレーキアクチュエータ20に不具合が生じた場合には、ブレーキアクチュエータ20に代わってブレーキ液圧を発生させるように構成されている。
ブレーキユニット30は、ブレーキECU31、マスターシリンダ32、リザーバタンク35、電動モータ36、アキュムレータ37、第1電磁弁38、第2電磁弁39等を備えている。
マスターシリンダ32は、図5に示すように、シリンダハウジング33内を摺動する第1および第2ピストン34a,34bのストロークに応じてブレーキ液圧を発生するように構成されている。
マスターシリンダ32のシリンダハウジング33と第1、第2ピストン34a,34bおよび入力ピストン41との間には、第1〜第5液室R1,R2,R3,R4,R5が区画形成されている。
第1液室R1は、リザーバタンク35およびブレーキアクチュエータ20の第1液室23と繋がっていて、第1液室R1の内部の作動液が第1ピストン34aで加圧されるようになっている。
第2液室R2は、第1ピストン34aと第2ピストン34bとの間に形成されていて、リザーバタンク35およびブレーキアクチュエータ20の第2液室24と繋がっており、第2液室R2の内部の作動液が第2ピストン34bで加圧されるようになっている。
第2ピストン34bには鍔部34cが設けられていて、鍔部34cの一方側(第1および第2液室R1,R2側)に第4液室R4が区画形成されているとともに、鍔部34cの他方側(第3液室R3側)に第5液室R5が区画形成されている。
第3液室R3は、リザーバタンク35および第4液室R4と繋がっていて、第3液室R3の内部の作動液が入力ピストン41で加圧されるようになっている。なお、第3液室R3と第4液室R4とは、通電状態で開く第1電磁弁38を介して繋がっている。
電動モータ36は、リザーバタンク35から汲み上げた作動液を加圧し、この加圧した作動液をアキュムレータ37に蓄えるように構成されている。アキュムレータ37は、通電状態で開く第2電磁弁39を介して第5液室R5と繋がっている。
ブレーキECU31は、ECU50と通信回線を介して繋がっており、ECU50が算出した制動力要求に基づいて、第2電磁弁39を開いて高圧の作動液を解放し、かかる高圧の作動液によって、第1および第2ピストン34a,34bをシリンダハウジング33内で摺動させるように構成されている。
なお、ブレーキECU31は、ブレーキペダルユニット40を作動させる場合以外は、第1電磁弁38を通電状態(開弁状態)に維持し、ブレーキユニット30を作動させる場合以外は、第2電磁弁39を非通電状態(閉弁状態)に維持する。
このようにして第1および第2ピストン34a,34bのストロークに応じて発生したブレーキ液圧は、図4に示すように、マスターシリンダ32の第1および第2ポート32a,32bから、ブレーキアクチュエータ20の第1および第2液室23,24を介して、第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14aへ供給される。
このように、ブレーキユニット30は、ブレーキアクチュエータ20とは独立してブレーキ液圧を発生させることから、ブレーキアクチュエータ20の電気系統に不具合が生じた場合でも、第1および第2液室23,24の少なくとも一方が損傷していなければ、前輪2または後輪3へブレーキ液圧を供給することが可能となっている。
ブレーキペダルユニット40は、主としてブレーキアクチュエータ20やブレーキユニット30の動作不能時の非常ブレーキ液圧発生装置として機能する。
例えばブレーキペダルユニット40は、車両1が停電した場合等に、ブレーキアクチュエータ20やブレーキユニット30に代わってブレーキ液圧を発生させるように構成されている。
このブレーキペダルユニット40は、図4および図5に示すように、入力ピストン41、ロッド42、ブレーキペダル43、エアシリンダ44、ソレノイドBOX45、ホース46、ホース47、エアタンク48等を備えている。
入力ピストン41は、ブレーキユニット30のシリンダハウジング33内に摺動自在に挿入されている。ロッド42は、入力ピストン41とブレーキペダル43とを連結している。
ブレーキペダル43は、バネ(図示せず)によって、入力ピストン41を加圧側へ押し込む向きと反対側に付勢されており、ソレノイドBOX45の内部の弁が閉じると、元の位置まで戻るようになっている。
エアシリンダ44は、通電状態で内部の弁が閉じるソレノイドBOX45を介して、エアタンク48と繋がっている。このエアシリンダ44は、車両1の停電等といった所定条件が成立した場合に、ソレノイドBOX45の内部の弁(図示省略)が開くことで、エアタンク48に充填された圧縮空気によって作動し、ブレーキペダル43を回動させるように構成されている。
ソレノイドBOX45は、ECU50でもってブレーキペダルユニット40を作動させる場合を除いて、通電されることにより前記不図示の内部の弁を閉じた状態に維持する。
ホース46は、エアシリンダ44とソレノイドBOX45とを連通するものであり、ホース47は、ソレノイドBOX45とエアタンク48とを連通するものである。エアタンク48は、図3に示すように、車室4の床下空間6に配置されている。
なお、入力ピストン41、ロッド42ならびにブレーキペダル43を、第1および第2ピストン34a,34bを押圧するための押圧部材と言うことができる。また、エアシリンダ44、ソレノイドBOX45ならびにホース46,47を、ブレーキペダル43を回動させるための駆動力としての空気圧を供給するための空気圧供給ユニットと言うことができる。
このようなブレーキペダルユニット40では、エアシリンダ44によってブレーキペダル43を回動させて、入力ピストン41(図5参照)を加圧側へ押し込むことにより、マスターシリンダ32の第1および第2ピストン34a,34bをストロークさせてブレーキ液圧を発生させる。
このマスターシリンダ32により発生したブレーキ液圧は、第1および第2ポート32a,32bから、ブレーキアクチュエータ20の第1および第2液室23,24を介して、第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14aへ供給される。
このように、ブレーキペダルユニット40でもマスターシリンダ32を利用してブレーキ液圧を発生するようにしている。つまり、本実施形態では、ブレーキユニット30とブレーキペダルユニット40とで単一のマスターシリンダ32を共通利用する構成になっている。
このように、ブレーキペダルユニット40は、ブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30とは独立してブレーキ液圧を発生させることから、例えばブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30の電気系統に不具合が生じた場合でも、所定条件が成立すれば、前輪2および後輪3へブレーキ液圧を供給することが可能になっている。
(ブレーキ装置10の動作)
以上のように本実施形態では、(A)電気系統に不具合等がない通常時には、メインのブレーキ液圧発生装置としてブレーキアクチュエータ20がブレーキ液圧を供給する。
これに対し、(B)電気系統等の不具合による異常時において、ブレーキアクチュエータ20に不具合が生じた場合(B−1)は、ブレーキユニット30がブレーキ液圧を供給し、停電等によりブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30に不具合が生じた場合(B−2)には、ブレーキペダルユニット40がブレーキ液圧を供給する。
なお、上述したオペレータの操作による緊急停止ブレーキのブレーキ液圧は、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30およびブレーキペダルユニット40のいずれで発生するものでもよい。
そうして、第1〜第4ブレーキキャリパ11a,12a,13a,14aは、図示していないが、ホイールシリンダと、ブレーキパッドとを有する一般に公知の構成であって、前記ホイールシリンダに第1〜第4ポート23a,23b,24a,24bからブレーキ液圧が供給されたときに前記ブレーキパッドが第1〜第4ブレーキディスク11b,12b,13b,14bにそれぞれ押し付けられることになって摩擦制動力を発生し、車両1を減速・停止させる。
次に、上記(A)の場合にはブレーキアクチュエータ20のみを作動させ、上記(B−1)の場合には、ブレーキユニット30を作動させる一方、上記(B−2)の場合には、ブレーキペダルユニット40を作動させることを可能とする装置構成の一例を簡単に説明する。
ここで、上記(A)の場合には、ブレーキECU31が第2電磁弁39を閉じた状態(非通電状態)とし、ブレーキアクチュエータ20のブレーキECU21が、電動モータ26を作動させてリザーバタンク25から作動液を汲み上げて加圧すれば、ブレーキアクチュエータ20のみのブレーキ液圧で車両1の減速・停止が行われることになる。
これに対し、上記(B−1)の場合には、ブレーキECU31は、第2電磁弁39を通電状態としてこれを開き、加圧された状態でアキュムレータ37に蓄えられた作動液を第5液室R5に供給する。ここで、第1電磁弁38が通電状態(開弁状態)であることから、第3液室R3の液圧は、対向室である第4液室R4の液圧と打ち消し合うので、第2ピストン34bは、第5液室R5の液圧のみによって動作することになる。これにより、上記(B−1)の場合には、ブレーキユニット30のみのブレーキ液圧で車両1の減速・停止が行われることになる。
さらに、上記(B−2)の場合には、例えば停電により、第1電磁弁38が閉じるとともに、ソレノイドBOX45の内部の弁が開く。
すると、エアタンク48に充填された圧縮空気によってエアシリンダ44が作動し、ブレーキペダル43を回動させることで、入力ピストン41が加圧側へ押し込まれ、第3液室R3の液圧が上昇する。
ここで、第1電磁弁38が閉じていると、第3液室R3の液圧は、対向室である第4液室R4の液圧と打ち消し合わないので、第2ピストン34bは第3液室R3の液圧のみによって動作することになる。これにより、ブレーキペダルユニット40のみのブレーキ液圧で車両1の減速・停止が行われることになる。
以上のように、本実施形態の車両1では、通常はバッテリ52の電力で、また、車両1の停電時等には運転者の踏力等を要することなくエアタンク48の圧縮空気で、車両1の減速・停止を行うことができるので、上述した如く、ブレーキペダルを車室4内に常設しないレイアウトが可能となっている。
(ブレーキ液圧発生装置の配置)
図3に示すように、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53は前側収容室5内に格納されており、車両1の駆動源である駆動用電動モータ51は前側収容室5とは反対側の後側収容室7内に格納されている。
このように、車室4と前側収容室5および後側収容室7とを車両前後方向でオーバーラップさせた車両1において、前側収容室5と後側収容室7とに駆動用電動モータ51とブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53とを振り分けて配置することにより、前側収容室5および後側収容室7のスペースを有効利用しながら、車両1の前側および後側の重量配分を好適に設定することが可能になる。
ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40は、図8に示すように、車室4と前側収容室5とを区画する隔壁8aに形成された開口8bと対向する位置に格納されている。この開口8bには、当該開口8bを開閉可能とする蓋9が設けられている。この蓋9は、専用の部品とされており、この蓋9の上に乗員席4aが配置されている。また、ブレーキペダルユニット40のブレーキペダル43が開口8bに最も近い位置に配置されている。
なお、隔壁8aは、フレーム部材8に設けられている。蓋9は、例えば図示していないが、車室4の内装部品(例えば棚、内装パネル、乗員席4a等)の一部で構成することができる。
これにより、蓋9で開口8bを閉塞すれば、車室4側にブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40が車室4側に露呈しなくなる一方、蓋9を取り外して開口8bを開放すれば、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40が車室4側に露呈することになる。
そのため、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40をメインテナンスする際、車室4側から開口8bを通して作業できるようになる等、当該作業性が、例えばブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40を開口8bから視認不可能となる位置あるいは開口8bから遠い位置に格納した場合に比べて、向上する。
次に、前側収容室5における、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30およびブレーキペダルユニット40の配置について説明する。
先ず、前側収容室5について簡単に説明する。図6に示すように、図2の床下空間6に対応する部位には、車幅方向の両端側で車両前後方向に延びる左右一対のサイドレール61が設けられている。
これらサイドレール61は車幅方向に延びるクロスメンバ62で繋がれている。サイドレール61の前端部は、図8に示す上下に2段並んだクロスメンバ63,64における下側のクロスメンバ64に接続されている。これらクロスメンバ63,64の車両前後方向の前側に前側収容室5が形成されている。
具体的には、図6に示すように、上側のクロスメンバ63の車幅方向の両端部から左右一対のフロントサイドメンバ65が車両前後方向の前側に延びており、これら左右一対のフロントサイドメンバ65の前端部はクロスメンバ66で接続されている。
また、左右一対のフロントサイドメンバ65には、当該フロントサイドメンバ65およびクロスメンバ63,66よりも低い位置で車幅方向に延びる前後一対のクロスメンバ67,68(図8参照)が架け渡されている。
各クロスメンバ67,68は、図7に示すように、車幅方向に延びているとともに、その両端部が車幅方向の外側に行くほど上方に傾斜しながら延びて、フロントサイドメンバ65の下部に取り付けられている。なお、図6および図7の符号69は、サスタワー(サスペンションタワー)を示している。
このような構成により、前側収容室5は、左右一対のフロントサイドメンバ65によって左右が区画され、且つ、クロスメンバ63,66によって前後が区画されるとともに、クロスメンバ67,68によって下側が区画されている。
ブレーキユニット30では、図4、図6および図7に示すように、マスターシリンダ32の長手方向つまり第1および第2ピストン34a,34bの摺動方向に延びるシリンダハウジング33の上側に、シリンダハウジング33と同じ方向に延びるリザーバタンク35が設けられている。
それ故、ブレーキユニット30全体としても、シリンダハウジング33の延びる方向と直交する方向(長手直角方向)の長さや上下方向の長さよりも、シリンダハウジング33の延びる方向(長手方向)の長さが長くなっている。なお、ブレーキECU31は、シリンダハウジング33の側面に設けられている。
このように、シリンダハウジング33の延びる方向(第1および第2ピストン34a,34bの摺動方向)を長手方向とするブレーキユニット30は、図6および図7に示すように、その長手方向が車幅方向と平行になるように、前側収容室5に配置されている。
具体的には、図8に示すように、前後に並ぶ2つのクロスメンバ67,68には、車両前後方向に延びる支持ブラケット67aが架け渡されている。
ブレーキユニット30は、図6に示すように、支持ブラケット67aから上方に延びる第1ブラケット70の上端部に、シリンダハウジング33のフランジ部32cがボルト103で締結されることで、長手方向が車幅方向になるように配置されている。
また、ブレーキユニット30とマスターシリンダ32を共通利用するブレーキペダルユニット40は、図6に示すように、ブレーキユニット30と車幅方向に並んで、前側収容室5に配置されている。
具体的には、車幅方向に延びるシリンダハウジング33に挿入されている入力ピストン41に繋がるロッド42が車幅方向に延びていることから、当該ロッド42の先端部に回動可能に取り付けられるブレーキペダル43も、ブレーキユニット30と車幅方向に並んでいる。
また、ブレーキペダル43を回動させるエアシリンダ44は、ブレーキユニット30およびブレーキペダル43と車幅方向に並ぶように、フロントサイドメンバ65から車幅方向に延びるブラケット65aに固定されている。
なお、エアシリンダ44に圧縮空気を供給するエアタンク48は、前側収容室5よりも後方の車室4の下方に設けられたクロスメンバ62上に配置されている。
これらにより、本実施形態では、図6に示すように、車幅方向に延びるブレーキユニット30とブレーキペダルユニット40とが、車幅方向でほぼ一直線上に並んでいる。
ブレーキアクチュエータ20では、図6および図7に示すように、ブレーキECU21と、アクチュエータ本体部22(リザーバタンク25を含む)と、電動モータ26を収容するモータハウジング27とが、この順に並んで設けられている。それ故、ブレーキアクチュエータ20全体としても、これらの並び方向(配列方向ともいう。)と直交する方向の長さや上下方向の長さよりも、配列方向の長さが長くなっている。
このように、配列方向に長く形成されたブレーキアクチュエータ20は、図6および図7に示すように、前側収容室5における、ブレーキペダル43の車両前後方向の後側(ブレーキユニット30の近傍で且つブレーキユニット30よりも車両前後方向の後側)に、その長手方向(配列方向)が車幅方向と平行になるように配置されている。
具体的には、図6および図8に示すように、上側のクロスメンバ63には、当該クロスメンバ63の前端から車両前後方向の前側に延びた後、直角に折れ曲がり車幅方向の右側に延びるL字状の第2ブラケット80が取り付けられている。
この第2ブラケット80の先端部と、上記第1ブラケット70の上端部とは、ボルト101,102を介してそれぞれアクチュエータブラケット90と接続されており、これにより、第1および第2ブラケット70,80ならびにアクチュエータブラケット90は一体になっている。
そうして、ブレーキアクチュエータ20は、図7に示すように、アクチュエータブラケット90にボルト締結されることで、図6に示すように、ブレーキペダル43の車両前後方向の後側で車幅方向に延びるように配置されている。
ここで、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40は、図7および図8に示すように、略同じ高さで前側収容室5に配置されている。また、ブレーキペダル43は、通常運転者の踏力で回動することが想定されていることから、ロッド42の下側で回動するが、本実施形態では、エアシリンダ44で回動させることから、図7および図8に示すように、ロッド42の上側で回動するようになっている。
これらにより、図8に示すように、前側収容室5内におけるブレーキアクチュエータ20およびブレーキペダルユニット40の下側に相対的に広い空間が生じている。このため、本実施形態では、図7および図8に示すように、前記空間にエアコンユニット(空調装置)53を配置している。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態では、車両衝突時に最も衝撃を受けにくい車室4の床下空間6にブレーキペダルユニット40のエアタンク48が配置されているから、車両衝突時にエアタンク48を高い確率で保護することが可能になる。
これにより、車両衝突に伴い、万一、ブレーキアクチュエータ20に異常が発生したとしても、エアタンク48内の圧縮空気により第1〜第4ブレーキキャリパ11a〜14dを作動させることが可能になる。これにより、フェールセーフを確保できるようになる。
また、上記実施形態では、車室4と前側収容室5および後側収容室7とを車両前後方向でオーバーラップさせたうえで、前側収容室5と後側収容室7とに駆動源としての駆動用電動モータ51とブレーキ液圧発生装置(20、30、40)およびエアコンユニット53とを振り分けて格納しているから、前側収容室5および後側収容室7のスペースを有効利用しながら、車両の前後の重量配分を好適に設定することが可能になる。
しかも、上記実施形態によれば、バッテリ52を車室4の床下空間6つまり車両前後方向の中間に配置するようにしているから、車両1の前後重量配分を好適に設定するうえで有利になる。
また、定期的なメインテナンスが必要な構成のブレーキ液圧発生装置(20、30、40)を開口8bと対向するように車室4とは区画された前側収容室5に格納している。
これにより、ブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30をメインテナンスする際、車室4側から前記開口8bを通して視認しながら作業できるようになる等、当該作業性が、例えばブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30を開口8bから視認不可能となる位置あるいは開口8bから遠い位置に格納した場合に比べて、向上するだけでなく、車室4のレイアウトの自由度が向上する。
また、本実施形態では、ブレーキ液圧発生装置(20、30、40)とエアコンユニット53とを車両前後方向でオーバーラップするように配置しているから、オーバーラップしないように配置する場合に比べると、ブレーキ液圧発生装置(20、30、40)およびエアコンユニット53が格納される前側収容室5を車両前後方向でコンパクトにすることが可能になり、それに伴い車室4を可及的に広くするうえで有利になる。
また、本実施形態では、ブレーキユニット30を、マスターシリンダ32の長手方向つまり第1および第2ピストン34a,34bの摺動方向が車幅方向と平行になるように配置している。
これにより、前側収容室5内において、車幅方向に沿う不図示の車軸やクロスメンバ63,67,68等とブレーキユニット30とを平行に配置することができる。
そのため、ブレーキユニット30を例えば従来一般の運転席を有する手動運転車両のように車両前後方向と平行になるように配置する場合、換言すると、車幅方向に延びる多数の機器・部材と車両前後方向と平行になるブレーキユニット30とが混在する場合に比べて、前側収容室5を車両前後方向でコンパクトにすることが可能になり、それに伴い車室4を可及的に広くするうえで有利になる。
また、図2に示すように、前側収容室5を前輪2の車軸(図示省略)の上方から車両前後方向の後側に延びるように設けるとともに、図3に示すように、この前側収容室5にブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53からなる重量物を格納することにより、当該重量物を前輪2の車軸(図示省略)上または前輪2の車軸上を含んでさらに車両前後方向の後側に跨る領域上に配置させるようにしている。これにより、車両1の挙動安定性を高めることが可能になる。
また、ブレーキアクチュエータ20およびブレーキユニット30の動作不能時に非常ブレーキ液圧発生装置としてのブレーキペダルユニット40でマスターシリンダ32の第1および第2ピストン34a,34bをストロークさせてブレーキ液圧を発生させることが可能になるから、フェールセーフを達成できる他、ブレーキペダルユニット40をブレーキユニット30と車幅方向に並べて配置しているから、前側収容室5のコンパクト化を図ることができる。
しかも、このような非常ブレーキ液圧発生装置としてのブレーキペダルユニット40を開口8bから視認可能となるように前側収容室5に格納しているから、当該ブレーキペダルユニット40のメインテナンスの作業性が向上する。
また、ブレーキペダルユニット40を空気作動式とすることで、万が一車両1が停電した場合でも、運転者の操作を要求することなく、確実に車両1を減速・停車させることができる。したがって、ブレーキペダルおよびこれに相当するものを車室4に設ける必要がないので、車室4をより広くすることができる。
また、ブレーキアクチュエータ20をブレーキユニット30よりも車両前後方向の後側(内側)に配置することで、車両衝突時に車両前後方向の前側(外側)に配置されたブレーキユニット30が破損した場合にも、ブレーキアクチュエータ20が破損する可能性を低くすることができる。
仮に、ブレーキユニット30が破損した場合でも、ブレーキアクチュエータ20は、液圧伝達経路におけるブレーキユニット30よりも下流側に設けられていて、ブレーキユニット30とは独立にブレーキ液圧を発生させることから、ブレーキ装置10全体が動作不良に陥るのを回避することができる。
また、ブレーキアクチュエータ20を前側収容室5におけるブレーキユニット30の近傍に配置することで、第1〜第4ブレーキ配管11〜14を短くすることができるとともに、前側収容室5のコンパクト化を維持することができる。
さらに、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40を略同じ高さで前側収容室5に配置し、ブレーキ装置10の下方の空いた空間にエアコンユニット53を配置することで、換言すると、ブレーキ液圧発生装置(20、30、40)とエアコンユニット53とを車両上下方向の上下に並べて配置することで、前側収容室5のコンパクト化をより一層図ることができる。
そうして、かかる前側収容室5のコンパクト化と、前側収容室5および後側収容室7を車室4の一部に車両前後方向でオーバーラップさせるようにすることとの相乗作用によって、車室4をより一層確実に広く取ることができる。
加えて、ブレーキペダルユニット40は、運転者の踏力に代えて空気圧を利用することを除けば、ブレーキペダル43でマスターシリンダ32の第1および第2ピストン34a,34bをストロークさせてブレーキ液圧を発生させる構成を採用しているので、例えば従来一般の運転席を有する手動運転車両で用いるマスターシリンダおよびブレーキペダル等をそのまま利用することが可能になる等、コストアップを抑制するうえで有利になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、ブレーキ装置10にブレーキ液圧発生装置(ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40)を設けた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えばシリンダハウジング内を摺動するピストンのストロークに応じてブレーキ液圧を発生させるとともに、ピストンの摺動方向が車幅方向と平行になるように収容室に配置されるブレーキ液圧発生装置を備えるのであれば、ブレーキ液圧発生装置は1つでもよい。
(2)上記実施形態では、ブレーキユニット30とブレーキペダルユニット40とを車幅方向に並べるとともに、これらよりも車両前後方向の後側にブレーキアクチュエータ20を配置した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えばブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40を車幅方向に並べてもよい。
(3)上記実施形態では、ブレーキペダルユニット40が作動する場合として、(B−2)を例示しているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば車両1が駐車する場合に、ブレーキペダルユニット40をパーキングブレーキとして作動させるようにすることが可能である。
(4)上記実施形態では、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40を前側収容室5に格納した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば図示していないが、ブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30ならびにブレーキペダルユニット40のうちのいずれか2つ(20,30)または(20,40)または(30,40)を前側収容室5に格納する形態にすることが可能である。
(5)上記実施形態では、ブレーキユニット30とブレーキペダルユニット40とにマスターシリンダ32を共通利用するように構成した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば図示していないが、ブレーキユニット30とブレーキペダルユニット40とにそれぞれマスターシリンダ32を備えるように構成することが可能である。
(6)上記実施形態では、前側収容室5にブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53を格納して、後側収容室7に駆動用電動モータ51を格納した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば図示していないが、前記とは反対に、前側収容室5に駆動用電動モータ51を格納して、後側収容室7にブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53を格納する構成とすることが可能である。
(7)上記実施形態では、駆動用電動モータ51で後輪3に駆動力を入力する駆動方式とする例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば図示していないが、前側収容室5に駆動用電動モータ51を格納して、後側収容室7にブレーキアクチュエータ20、ブレーキユニット30、ブレーキペダルユニット40ならびにエアコンユニット53を格納する構成とした場合には、駆動用電動モータ51で前輪2に駆動力を入力する駆動方式とすることが可能である。
(8)上記実施形態において、前側収容室5と床下空間6との間、ならびに後側収容室7と床下空間6の間については、完全に仕切る必要はなく、連通するように構成することが可能である。
(9)上記実施形態において、車室4内にオペレータ用の補助席を設けることが可能である。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両に好適に利用できる。
1 車両
1a 前端部
1b 後端部
2 前輪
3 後輪
4 車室
4a,4b 乗員席
5 前側収容室
7 後側収容室
10 ブレーキ装置
11〜14 第1〜第4ブレーキ配管
11a〜14d 第1〜第4ブレーキキャリパ
11b〜14b 第1〜第4ブレーキディスク
20 ブレーキアクチュエータ(ブレーキ液圧発生装置)
21 ブレーキECU
22 アクチュエータ本体部
25 リザーバタンク
26 電動モータ
27 モータハウジング
30 ブレーキユニット(ブレーキ液圧発生装置)
40 ブレーキペダルユニット(非常ブレーキ液圧発生装置)
48 エアタンク
51 駆動用電動モータ(駆動源)
52 バッテリ
53 エアコンユニット

Claims (1)

  1. 車室および当該車室の車両前後方向の前後に区画された収容室を有する車両であって、
    車輪ブレーキユニットに供給すべきブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生装置と、このブレーキ液圧発生装置の異常時に前記車輪ブレーキユニットに供給すべきブレーキ液圧を発生する非常ブレーキ液圧発生装置と、を備え、
    前記非常ブレーキ液圧発生装置は、エアタンクに充填された圧縮空気を作動源としてブレーキ液圧を発生する構成とされ、
    前記ブレーキ液圧発生装置は、前記前側収容室および後側収容室のいずれか一方に格納されており、
    前記エアタンクは、前記車室の床下に配置されている、ことを特徴とする車両。
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