JP2020162587A - 水中動物用飼料、水中動物用発育向上剤、および、それらを用いた養殖魚の飼育方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の生育温度よりも十分に高い水温においても、魚類の健全な生育をもたらし且つ強い回復力を付与することが可能であり、また、魚類だけでは無く甲殻類といった水中動物のストレス耐性を高める水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を提供するものである。【解決手段】本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、サンギナリンまたはその誘導体、もしくはそれらの塩を含有することを特徴とする。サンギナリンだけではなく、ゼルンボン等も同様に有効である。【選択図】図1
Description
本発明は、水中で生育する魚類や甲殻類といった水中動物が受ける各種ストレスを軽減し、健全な発育に寄与する水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤に関するものである。
海洋や河川といった水中に生育する魚類は、陸上の動物よりも、温度変化に対する耐性が小さい。水温の変化が気温の変化に比べて小さいため、大きな温度変化に対する耐性を通常は必要としないためである。
しかし、異常気象や地球温暖化といった近年の環境変化に伴い、水温の変化は従来よりも大きなものとなっている。したがって、魚類の養殖においては、水温変化が大きな問題となりつつある。
また、高い水温においては、ウイルスやバクテリアの繁殖が顕著となり、魚類の病気発生率が高まることも問題を深刻化させる要因である。
また、高い水温においては、ウイルスやバクテリアの繁殖が顕著となり、魚類の病気発生率が高まることも問題を深刻化させる要因である。
一方、多くの魚類の成長は水温が高いほど顕著であり、漁獲量を増加させるためには、できるだけ高い水温で生育することが好ましい。
このような状況下、魚類の水温等のストレスを向上させるための飼料が検討されている。例えば、DHAまたはそのエステルおよび/またはリン脂質により栄養強化したストレスに対する改善効果を有する魚類用飼料が提案されている(例えば、特許文献1)。
このような状況下、魚類の水温等のストレスを向上させるための飼料が検討されている。例えば、DHAまたはそのエステルおよび/またはリン脂質により栄養強化したストレスに対する改善効果を有する魚類用飼料が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に開示された魚類用飼料は、マダイに対して高温耐性を強化することが可能であるものの、高水温環境における生残率を大きく向上させる効果は無かった。例えば、通常の生育温度よりも10℃以上も高い温度において、健全な成長をもたらすことは困難であった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、通常の生育温度よりも非常に高い水温においても、魚類の健全な生育をもたらすことが可能であり、また、魚類だけでは無く甲殻類といった水中動物のストレス耐性を高める水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を提供するものである。
また、高温だけではなく、低温や紫外線等の光、pH、浸透圧、病原菌、病気、化学物質、薬剤、水圧、飢餓、腐敗といった各種のストレスに対する耐性をも向上する水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を提供するものである。
また、高温だけではなく、低温や紫外線等の光、pH、浸透圧、病原菌、病気、化学物質、薬剤、水圧、飢餓、腐敗といった各種のストレスに対する耐性をも向上する水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を提供するものである。
本発明に係る水中動物用飼料は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、サンギナリンまたはその誘導体、もしくはそれらの塩を含有することを特徴とする。
また、本発明に係る水中動物用飼料は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、ゼルンボンを主成分とするものである。
また、本発明に係る水中動物用飼料は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、サリチル酸、ポリアミン、ゲルダナマイシン、イソチアネート、トリメチルグリシン、ペリルアルデヒド、ピペリン、ピリペンのシス‐トランス異性体であるカビシン、または、シトラールを主成分とするものである。
また、本発明に係る水中動物用飼料は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、コショウ、ヤバツイ、アルニカ、オグルマ、ホソバオグルマ、サルビア、マジュラム、コガネバナ、ヨウシュンシャ、または、シュクシャの植物エキス、または植物粉砕品を主成分とするものである。
また、本発明に係る水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、サンギナリンまたはその誘導体、もしくはそれらの塩を含有することを特徴とする。
また、本発明に係る水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、ゼルンボンを主成分とするものである。
また、本発明に係る水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、サリチル酸、ポリアミン、ゲルダナマイシン、イソチアネート、トリメチルグリシン、ペリルアルデヒド、ピペリン、ピリペンのシス‐トランス異性体であるカビシン、または、シトラールを主成分とするものである。
また、本発明に係る水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類及び甲殻類に用いるものであり、コショウ、ヤバツイ、アルニカ、オグルマ、ホソバオグルマ、サルビア、マジュラム、コガネバナ、ヨウシュンシャ、または、シュクシャの植物エキス、または植物粉砕品を主成分とするものである。
さらに、本発明に係る養殖魚の飼育方法は、上記の水中動物用飼料を用いることを特徴とする。
本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、水中に生育する魚類や甲殻類といった水中動物に与えることで、水中動物に環境が与えるストレスを低減し、健全な成長をもたらすものである。
特に、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、水中動物に対して、高い高温ストレス耐性と回復力を付与できるという新たな性質を有するものであり、水中動物の健全な生育に大きな効能を発揮する。
すなわち、水中動物が通常生育する適温よりも10℃、あるいはそれ以上の高水温環境においても、生育を可能とする高温ストレス耐性を付与するものである。
また、ほぼ遊泳不能となるような極度の異常を示す状態に陥った場合においても、水温が低下すれば、再び正常に遊泳を開始するといった回復力を付与するものでもある。
また、高温だけではなく、低温や紫外線等の光、pH、浸透圧、病原菌、病気、化学物質、薬剤、水圧、飢餓、腐敗といった各種のストレスに対する耐性をも向上するものである。
特に、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、水中動物に対して、高い高温ストレス耐性と回復力を付与できるという新たな性質を有するものであり、水中動物の健全な生育に大きな効能を発揮する。
すなわち、水中動物が通常生育する適温よりも10℃、あるいはそれ以上の高水温環境においても、生育を可能とする高温ストレス耐性を付与するものである。
また、ほぼ遊泳不能となるような極度の異常を示す状態に陥った場合においても、水温が低下すれば、再び正常に遊泳を開始するといった回復力を付与するものでもある。
また、高温だけではなく、低温や紫外線等の光、pH、浸透圧、病原菌、病気、化学物質、薬剤、水圧、飢餓、腐敗といった各種のストレスに対する耐性をも向上するものである。
以下の各実施の形態において、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤、および、それらを用いた養殖魚の飼育方法に関して説明する。なお、以下の説明は本発明に関する良好な一例を開示するものであり、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
なお、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、以下の各実施の形態において示す物質からなり、それらの物質を毎日、あるいは定期的に飼料として水中動物に与えても良いし、発育向上や特定のストレス低減、あるいは病気の予防といった特定の目的を持って発育向上剤として与えても良い。以下においては、冗長的表現を避けるため、「水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤」を「水中動物用発育向上剤」という語で表現する。
なお、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、以下の各実施の形態において示す物質からなり、それらの物質を毎日、あるいは定期的に飼料として水中動物に与えても良いし、発育向上や特定のストレス低減、あるいは病気の予防といった特定の目的を持って発育向上剤として与えても良い。以下においては、冗長的表現を避けるため、「水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤」を「水中動物用発育向上剤」という語で表現する。
本発明に係る水中動物用発育向上剤は、水中に成育する魚類や甲殻類に用いるものであり、様々な環境ストレスを軽減、または成長を促進し、あるいは品質を向上するものである。さらには、病気に対する抵抗力を向上させる効果を生じる場合もある。
特に、様々な環境ストレスに関しては、ストレスを軽減し、ストレスにより遊泳不能といった異常をきたした場合であっても、ストレス要因が無くなった際には、正常に遊泳を開始するといった強い回復力を付与する効能を有している。
特に、様々な環境ストレスに関しては、ストレスを軽減し、ストレスにより遊泳不能といった異常をきたした場合であっても、ストレス要因が無くなった際には、正常に遊泳を開始するといった強い回復力を付与する効能を有している。
また、本発明に係る水中動物用発育向上剤を用いて、水中動物を飼育することで、水中動物全般に上記の効能をもたらすことができるが、特に、養殖魚の海水馴致や仔魚の飼育、あるいは病気対策に適する飼育方法となる。
実施の形態1.
本実施の形態においては、水中に生育する魚類や甲殻類といった水中生物がもっとも受けやすいストレスの一つである高温ストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明する。
<主成分に関して>
本発明に係る水中動物用発育向上剤は、サンギナリンまたはその誘導体、あるいはそれらの塩を主成分として含有する。
サンギナリンは、タケニグサ、ハナビシソウ、クサノオウ、ブラッドルート等のケシ科植物に多く見られるベンゾフェナンスリジン骨格をもつアルカロイドである。
本実施の形態においては、水中に生育する魚類や甲殻類といった水中生物がもっとも受けやすいストレスの一つである高温ストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明する。
<主成分に関して>
本発明に係る水中動物用発育向上剤は、サンギナリンまたはその誘導体、あるいはそれらの塩を主成分として含有する。
サンギナリンは、タケニグサ、ハナビシソウ、クサノオウ、ブラッドルート等のケシ科植物に多く見られるベンゾフェナンスリジン骨格をもつアルカロイドである。
ケシ科植物またはその誘導体を含む植物であれば、どの植物を用いても良いが、本実施の形態においては、特にサンギナリンを多量に含むタケニグサから有効成分を抽出した。
タケニグサには、サンギナリンの他にも、いくつかのアルカロイドを含むが、これらを含有していても良い。特に、サンギナリンと同様にベンゾフェナンスリジン骨格をもつアルカロイドであるケレリスリンは、サンギナリン誘導体として、サンギナリンと同様の効能を有している。
タケニグサに含まれるその他のアルカロイドは、ケリルビン、サンギルチン、サンギルビン、ケリルチン、マルカピン、プロトピンであり、これらのアルカロイドも、サンギナリンやケレリスリンと同様に、所定の効能を有しているので、これらを微量に有しても良い。
タケニグサには、サンギナリンの他にも、いくつかのアルカロイドを含むが、これらを含有していても良い。特に、サンギナリンと同様にベンゾフェナンスリジン骨格をもつアルカロイドであるケレリスリンは、サンギナリン誘導体として、サンギナリンと同様の効能を有している。
タケニグサに含まれるその他のアルカロイドは、ケリルビン、サンギルチン、サンギルビン、ケリルチン、マルカピン、プロトピンであり、これらのアルカロイドも、サンギナリンやケレリスリンと同様に、所定の効能を有しているので、これらを微量に有しても良い。
有効成分はタケニグサを乾燥させた後に、溶媒に浸す溶媒抽出処理により抽出した。溶媒としては、エタノール等のアルコールや酸等を用いることができる。抽出方法については、特に限定するものでは無く、植物から有効成分を抽出する手法であれば、どのような方法でも良い。
なお、上述したように、本検証実験においては、タケニグサから有効性成分を抽出する方法を用いたが、植物を乾燥後に粉末状に粉砕した粉砕品を用いても良い。
なお、上述したように、本検証実験においては、タケニグサから有効性成分を抽出する方法を用いたが、植物を乾燥後に粉末状に粉砕した粉砕品を用いても良い。
<検証実験1>
タケニグサから抽出したサンギナリンまたはその誘導体の魚類に対する効能を検証するための実験を行った。実験はゼブラフィッシュを用いて行った。実験は2回行い、1回目は、成長したゼブラフィッシュを用い、2回目は成長途中のゼブラフィッシュを用いた。
タケニグサから抽出したサンギナリンまたはその誘導体の魚類に対する効能を検証するための実験を行った。実験はゼブラフィッシュを用いて行った。実験は2回行い、1回目は、成長したゼブラフィッシュを用い、2回目は成長途中のゼブラフィッシュを用いた。
以下において、検証実験の手順について説明する。また、表1に実験条件を示す。
1.試験区
4つの水槽に各10尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区には、馴致期間の間、毎日、通常の餌とタケニグサ抽出物を与えた。各試験区におけるタケニグサ抽出物の量は、0倍量(無し)、1倍量、10倍量、および100倍量とした。ここで、1倍量とは、タケニグサ抽出物に含まれるサンギナリン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgである。10倍量の試験区ではその10倍を、100倍量の試験区ではその100倍のタケニグサ抽出物を毎日与えた。
馴致期間は、1回目の実験では28日、2回目の実験では6日とした。馴致期間における水温は、ゼブラフィッシュにとって最適な温度である25℃前後とした。
4つの水槽に各10尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区には、馴致期間の間、毎日、通常の餌とタケニグサ抽出物を与えた。各試験区におけるタケニグサ抽出物の量は、0倍量(無し)、1倍量、10倍量、および100倍量とした。ここで、1倍量とは、タケニグサ抽出物に含まれるサンギナリン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgである。10倍量の試験区ではその10倍を、100倍量の試験区ではその100倍のタケニグサ抽出物を毎日与えた。
馴致期間は、1回目の実験では28日、2回目の実験では6日とした。馴致期間における水温は、ゼブラフィッシュにとって最適な温度である25℃前後とした。
2.前日の昇温
試験日の前日に、24時間掛けて、予備昇温を行った。1回目の実験では35℃、2回目の実験では30℃とした。
3.試験当日
試験当日は、表1に示す昇温条件で、水温を昇温した。そして、5分ごとに、各試験区におけるゼブラフィッシュの生残率を計測した。
試験日の前日に、24時間掛けて、予備昇温を行った。1回目の実験では35℃、2回目の実験では30℃とした。
3.試験当日
試験当日は、表1に示す昇温条件で、水温を昇温した。そして、5分ごとに、各試験区におけるゼブラフィッシュの生残率を計測した。
昇温を開始してからの時間と、水温および各試験区における生残率の関係を図1および図2に示す。図1は1回目の、図2は2回目の検証実験結果である。
各図において、横軸は昇温を開始してからの経過時間であり、縦軸は各試験区における生残率、および水温である。
各図において、横軸は昇温を開始してからの経過時間であり、縦軸は各試験区における生残率、および水温である。
1回目の実験(図1)においては、水温を43℃と、ゼブラフィッシュの最適生育温度よりも18℃も上げたため、全体的に生残率が低くなった。0倍量及び1倍量の試験区においては、水温を43℃としたした時点で、生残率がそれぞれ0%、10%になった。
しかし、10倍量の試験区では、この時点では生残率は落ちず、1時間近く生残率は1
00%を保つことができた。
100倍量の試験区では、水温を43℃とした後、約4時間経過しても50%の生残率が得られた。
なお、1倍量および10倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュであっても、平衡を喪失した状態、あるいは遊泳不能の状態となり、最終的に死に至った。一方、100倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュは、すべて正常に遊泳を続けた。
しかし、10倍量の試験区では、この時点では生残率は落ちず、1時間近く生残率は1
00%を保つことができた。
100倍量の試験区では、水温を43℃とした後、約4時間経過しても50%の生残率が得られた。
なお、1倍量および10倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュであっても、平衡を喪失した状態、あるいは遊泳不能の状態となり、最終的に死に至った。一方、100倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュは、すべて正常に遊泳を続けた。
2回目の実験(図2)においては、最高水温を41℃としたため、10倍量および100倍量の試験区では、昇温開始から5時間を経ても生残率は高かった。特に、100倍量の試験区では、100%の生残率が得られ、すべて正常に遊泳を続けた。
10倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュは、平衡を喪失した状態、あるいは遊泳不能の状態となったが、その後、水温を低下させると、正常に遊泳する状態にまで回復した。
また、馴致期間は6日間でも十分であることを検証できた。
10倍量の試験区では、生存しているゼブラフィッシュは、平衡を喪失した状態、あるいは遊泳不能の状態となったが、その後、水温を低下させると、正常に遊泳する状態にまで回復した。
また、馴致期間は6日間でも十分であることを検証できた。
以上の実験結果より、タケニグサ抽出物は、ゼブラフィッシュの熱ストレス耐性を向上する効果があることが分かった。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。
特に、10倍量および100倍量の試験区では、最適な生育温度である25℃よりも15℃以上も高い水温でも生育可能であるという、顕著な効果が得られた。
また、遊泳不能という極めて重篤な症状を示した場合であっても、水温を下げることで、正常に遊泳できるまで回復することも分かった。
また、遊泳不能という極めて重篤な症状を示した場合であっても、水温を下げることで、正常に遊泳できるまで回復することも分かった。
なお、水温の変化だけではなく、水圧の変化、pHの変化、浸透率の変化、紫外線照射、暑熱・低温、化学物質、薬剤、腐敗に対しても、タケニグサ抽出物が有効に働き、これらの環境要因についてのストレスを軽減できることを別途確認した。あるいは、ウイルスやバクテリア、カビといった微生物に対する抵抗力も増大することも確認した。また、飢餓に対する耐性も向上する。すなわち、熱だけではなく、各種のストレスに対する耐性が向上することが分かった。
上記の結果は、ゼブラフィッシュだけではなく、メダカ、グッピー、ニジマス、ニホンウナギ、マハゼ、ミドリフグ、ヒラメ、マダイ、イワシ、ティラピアといった他の魚類でも同様に有効であった。
<検証実験2>
次に、甲殻類であるミナミヌマエビに対して、同様の検証実験を行った。表2に実験条件を示す。なお、試験区は、0倍量と100倍量の2つの試験区とした。
昇温を開始してからの時間と、水温および各試験区における生残率の関係を図3に示す。
次に、甲殻類であるミナミヌマエビに対して、同様の検証実験を行った。表2に実験条件を示す。なお、試験区は、0倍量と100倍量の2つの試験区とした。
昇温を開始してからの時間と、水温および各試験区における生残率の関係を図3に示す。
図3に示すように、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物が有効に働くことを確認できた。
<検証実験3>
ショウガ科植物、特に、ショウガ属ショウガ科のハナショウガ(通称:白ウコン)の精油主成分であるゼルンボンも同様のストレス耐性を付与できた。ゼルンボンは環状セスキテルペンの一種である。
以下に示すように、ゼルンボンの投与によっても、タケニグサ抽出物と同様に、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、水温上昇に対する生残率の顕著な向上が見られ、また、強い回復力を付与できることを確認できた。
ショウガ科植物、特に、ショウガ属ショウガ科のハナショウガ(通称:白ウコン)の精油主成分であるゼルンボンも同様のストレス耐性を付与できた。ゼルンボンは環状セスキテルペンの一種である。
以下に示すように、ゼルンボンの投与によっても、タケニグサ抽出物と同様に、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、水温上昇に対する生残率の顕著な向上が見られ、また、強い回復力を付与できることを確認できた。
実験には、成長したゼブラフィッシュを用いた。ゼブラフィッシュの平均全長は34mm、平均体重は370mgである。
4つの水槽に各100尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区には、6日間の馴致期間、毎日、通常の餌とハナショウガ抽出物を与えた。馴致期間の水温は25℃前後である。各試験区におけるハナショウガ抽出物の量は、0倍量(無し)、1倍量、10倍量、および100倍量とした。ここで、1倍量とは、ハナショウガ抽出物に含まれるゼルンボン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgとなる量である。
4つの水槽に各100尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区には、6日間の馴致期間、毎日、通常の餌とハナショウガ抽出物を与えた。馴致期間の水温は25℃前後である。各試験区におけるハナショウガ抽出物の量は、0倍量(無し)、1倍量、10倍量、および100倍量とした。ここで、1倍量とは、ハナショウガ抽出物に含まれるゼルンボン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgとなる量である。
2.前日の昇温
試験日の前日に、30℃まで予備昇温を行った。そして、24時間、30℃を維持した。
3.試験当日
試験当日は、30℃から1時間当たり2.5℃の速度で昇温し、4時間後に水温を40℃まで昇温した。、そして、40℃の水温を30分間維持し、各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。正常なゼブラフィッシュとは、平衡状態喪失あるいは遊泳不能に陥っていない個体である。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
試験日の前日に、30℃まで予備昇温を行った。そして、24時間、30℃を維持した。
3.試験当日
試験当日は、30℃から1時間当たり2.5℃の速度で昇温し、4時間後に水温を40℃まで昇温した。、そして、40℃の水温を30分間維持し、各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。正常なゼブラフィッシュとは、平衡状態喪失あるいは遊泳不能に陥っていない個体である。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
4尾
製剤:ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 76尾
10倍区: 92尾
100倍区:100尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
4尾
製剤:ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 76尾
10倍区: 92尾
100倍区:100尾
正常なゼブラフィッシュは、ハナショウガ抽出物を与えることで大きく増加していることが分かる。特に、100倍区ではすべてのゼブラフィッシュが正常であった。
また、1倍区と10倍区において、上記計測後に水温を25℃まで下降させたところ、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは、正常に遊泳できる状態にまで回復した。
一方、製剤を使用しなかった0倍量の試験区においては、水温を25℃まで下降させても、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは回復することなく死に至った。
一方、製剤を使用しなかった0倍量の試験区においては、水温を25℃まで下降させても、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは回復することなく死に至った。
以上の実験結果より、ハナショウガ抽出物は、ゼブラフィッシュの熱ストレス耐性を向上する効果があることが分かった。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。さらに、高水温によるダメージを回復させる効果を持つことも判明した。
なお、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、ハナショウガ抽出物は熱ストレス耐性を向上する効果があることを別途確認した。
なお、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、ハナショウガ抽出物は熱ストレス耐性を向上する効果があることを別途確認した。
<検証実験4>
また、サリチル酸、ポリアミン、Benzoquinone Ansamycin抗生物質であるゲルダナマイシン、大根やワサビの辛味成分であるイソチアネート、野菜やキノコ類に多く含まれるトリメチルグリシン、シソ科の植物の一種であるシソに含まれるペリルアルデヒド、コショウの果実に含まれるピペリンやそのシス‐トランス異性体であるカビシン、あるいは、レモンの特徴的な香気成分であるシトラールを投与した場合にも、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、水温上昇に対する生残率の向上が確認できた。また、回復力が向上することも確認できた。
また、サリチル酸、ポリアミン、Benzoquinone Ansamycin抗生物質であるゲルダナマイシン、大根やワサビの辛味成分であるイソチアネート、野菜やキノコ類に多く含まれるトリメチルグリシン、シソ科の植物の一種であるシソに含まれるペリルアルデヒド、コショウの果実に含まれるピペリンやそのシス‐トランス異性体であるカビシン、あるいは、レモンの特徴的な香気成分であるシトラールを投与した場合にも、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、水温上昇に対する生残率の向上が確認できた。また、回復力が向上することも確認できた。
<検証実験5>
さらに、以下の植物の植物エキスについても、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、水温上昇に対する生残率の向上が確認できた。
コショウ科のコショウ、サワヒヨドリの地上部乾燥生薬であるヤバツイ、キク科の多年草であるアルニカ、同じくキク科のオグルマ、同じくキク科のホソバオグルマ、シソ科アキギリ属に属するブラジル原産の草本であるサルビア、同じくシソ科の多年草でありハーブとして利用されるマジュラム、同じくシソ科タツナミソウ属の多年草であるコガネバナ、ショウガ科の多年草であるヨウシュンシャ、および、同じくショウガ科の多年草であるシュクシャに関して、これらの植物エキスもストレス耐性向上に有効であった。同時に、重篤な症状から回復する回復力も付与できることを確認した。
なお、上記の植物に関し、植物エキスに代えて、植物粉砕品を用いても、同様の効果が得られる。
さらに、以下の植物の植物エキスについても、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、水温上昇に対する生残率の向上が確認できた。
コショウ科のコショウ、サワヒヨドリの地上部乾燥生薬であるヤバツイ、キク科の多年草であるアルニカ、同じくキク科のオグルマ、同じくキク科のホソバオグルマ、シソ科アキギリ属に属するブラジル原産の草本であるサルビア、同じくシソ科の多年草でありハーブとして利用されるマジュラム、同じくシソ科タツナミソウ属の多年草であるコガネバナ、ショウガ科の多年草であるヨウシュンシャ、および、同じくショウガ科の多年草であるシュクシャに関して、これらの植物エキスもストレス耐性向上に有効であった。同時に、重篤な症状から回復する回復力も付与できることを確認した。
なお、上記の植物に関し、植物エキスに代えて、植物粉砕品を用いても、同様の効果が得られる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、高温ストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明したが、本実施の形態においては、その他の様々なストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明する。
実施の形態1においては、高温ストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明したが、本実施の形態においては、その他の様々なストレスに対する耐性向上効果についての検証実験結果を説明する。
<検証実験6>
まず、低水温ストレス耐性に関する検証実験を行った。
製剤としては、(A)タケニグサから抽出したサンギナリンまたはその誘導体、および、(B)ショウガ属ショウガ科のハナショウガの精油主成分であるゼルンボンを用いた。実験は成長したゼブラフィッシュを用いた。ゼブラフィッシュの平均全長は32mm、平均体重は329mgである。
まず、低水温ストレス耐性に関する検証実験を行った。
製剤としては、(A)タケニグサから抽出したサンギナリンまたはその誘導体、および、(B)ショウガ属ショウガ科のハナショウガの精油主成分であるゼルンボンを用いた。実験は成長したゼブラフィッシュを用いた。ゼブラフィッシュの平均全長は32mm、平均体重は329mgである。
以下において、検証実験の手順について説明する。
1.試験区
上記製剤(A)、(B)のそれぞれの量を1倍量、10倍量、および100倍量とした
。したがって、製剤の種類は計6種類である。ここで、1倍量とは、製剤(A)については、タケニグサ抽出物に含まれるサンギナリン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgの量である。一方、製剤(B)については、ハナショウガ抽出物に含まれるゼルンボン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgの量である。
7つの水槽に各100尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区においては、馴致期間、毎日、通常の餌と上記の6種の製剤のうちのひとつを与えた。他の1つの試験区では、馴致期間、毎日、通常の餌のみを与えた(0倍量の試験区)。
馴致期間は、16日とした。馴致期間における水温は、ゼブラフィッシュにとって最適な温度である25℃前後とした。
上記製剤(A)、(B)のそれぞれの量を1倍量、10倍量、および100倍量とした
。したがって、製剤の種類は計6種類である。ここで、1倍量とは、製剤(A)については、タケニグサ抽出物に含まれるサンギナリン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgの量である。一方、製剤(B)については、ハナショウガ抽出物に含まれるゼルンボン重量が、ゼブラフィッシュの体重(kg)当たり125μgの量である。
7つの水槽に各100尾のゼブラフィッシュを入れ、各試験区とした。各試験区においては、馴致期間、毎日、通常の餌と上記の6種の製剤のうちのひとつを与えた。他の1つの試験区では、馴致期間、毎日、通常の餌のみを与えた(0倍量の試験区)。
馴致期間は、16日とした。馴致期間における水温は、ゼブラフィッシュにとって最適な温度である25℃前後とした。
2.試験当日
試験当日は、水槽の水温を25℃から、1時間掛けて4±1℃まで低下させた。その後、13時間、この低水温を維持した。13時間経過時点において、各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。正常なゼブラフィッシュとは、平衡状態喪失あるいは遊泳不能に陥っていない個体である。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
試験当日は、水槽の水温を25℃から、1時間掛けて4±1℃まで低下させた。その後、13時間、この低水温を維持した。13時間経過時点において、各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。正常なゼブラフィッシュとは、平衡状態喪失あるいは遊泳不能に陥っていない個体である。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
17尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 63尾
10倍区: 84尾
100倍区:100尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 46尾
10倍区: 66尾
100倍区:100尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
17尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 63尾
10倍区: 84尾
100倍区:100尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 46尾
10倍区: 66尾
100倍区:100尾
正常なゼブラフィッシュは、製剤(A)または(B)を与えることで大きく増加していることが分かる。投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。
特に、製剤(A)および(B)の100倍区では、ともにすべてのゼブラフィッシュが正常であった。
特に、製剤(A)および(B)の100倍区では、ともにすべてのゼブラフィッシュが正常であった。
また、製剤(A)および(B)の1倍区と10倍区において、上記計測後に水温を21℃まで上昇させたところ、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは、正常に遊泳できる状態にまで回復した。
一方、製剤を使用しなかった0倍量の試験区においては、水温を21℃まで上昇させても、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは回復することなく死に至った。
一方、製剤を使用しなかった0倍量の試験区においては、水温を21℃まで上昇させても、平衡喪失状態のゼブラフィッシュは回復することなく死に至った。
以上の実験結果より、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は、低水温ストレス耐性を向上する効果があることが分かった。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。さらに、低水温によるダメージを回復させる効果を持つことも判明した。
なお、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は低水温ストレス耐性を向上する効果があること、および低水温により受けたダメージを回復する効果があることを別途確認した。
なお、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は低水温ストレス耐性を向上する効果があること、および低水温により受けたダメージを回復する効果があることを別途確認した。
冬季に養殖を行う際には、成長促進や病気の予防の目的で、魚や甲殻類の最適な生育温度まで人工的に水温を上昇させて飼育することがある。本製剤を使用し、低水温ストレス耐性を向上すれば、人工的な水温の上昇を最低限に抑えることが可能となり、エネルギーコストを削減できる。あるいは、寒冷地で温水域の魚を飼育することも可能となり、養殖魚の選択範囲を広げることができる。
<検証実験7>
次に、低pHストレス耐性に関する検証実験を行った。
使用した製剤は、検証実験6と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は25日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は34mm、平均体重は331mgである。
水槽のpHを低下させるために希塩酸を用いた。希塩酸を水槽に点滴し、4時間を掛けて、pH値を7.0から3.0に低下させ、その後30分間、この低pH値を維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
次に、低pHストレス耐性に関する検証実験を行った。
使用した製剤は、検証実験6と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は25日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は34mm、平均体重は331mgである。
水槽のpHを低下させるために希塩酸を用いた。希塩酸を水槽に点滴し、4時間を掛けて、pH値を7.0から3.0に低下させ、その後30分間、この低pH値を維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
15尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 26尾
10倍区: 63尾
100倍区: 90尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 44尾
10倍区: 82尾
100倍区: 93尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
15尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 26尾
10倍区: 63尾
100倍区: 90尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 44尾
10倍区: 82尾
100倍区: 93尾
正常なゼブラフィッシュは、製剤(A)または(B)を与えることで大きく増加していることが分かる。特に、ハナショウガ抽出物(製剤(B))がより大きな効果を持つことが分かった。
以上の実験結果より、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は、低pHストレス耐性を向上する効果があることが分かった。特に、ハナショウガ抽出物は顕著な効果を示した。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。
また、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は低pHストレス耐性を向上する効果があり、特にハナショウガ抽出物は顕著な効果を示すことを別途確認した。
また、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物は低pHストレス耐性を向上する効果があり、特にハナショウガ抽出物は顕著な効果を示すことを別途確認した。
人工飼育下においては、pHが極端な値になることがあり、低pHストレスに耐性を与えることは、魚介類を健全に飼育するために重要である。また、養殖現場においては、病気への対策として、バクテリアや細菌の繁殖を抑えることができる低pH環境下で魚介類を飼育することが行われている。低pHストレスに対する耐性を向上させることで、各種病気への予防あるいは治療に適した低pH環境において、健全に魚介類を飼育することが可能となる。
さらに、低pH環境においては、、肉質が変性し、品質が低下することがあるが、低pHストレスに対する耐性を向上させることで、「ヤケ肉」と呼ばれる肉質変性を防ぎ、品質の劣化を抑制することができる。
さらに、低pH環境においては、、肉質が変性し、品質が低下することがあるが、低pHストレスに対する耐性を向上させることで、「ヤケ肉」と呼ばれる肉質変性を防ぎ、品質の劣化を抑制することができる。
<検証実験8>
検証実験7においては、アンモニアに対するストレス耐性について検証を行った。
使用した製剤は、検証実験6および7と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は6日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は33mm、平均体重は324mgである。
アンモニア水を4時間掛けて水槽に点滴し、水槽中のアンモニア濃度を150ppmまで上昇させた。この時、pH値は7.0から9.5に上昇した。その後30分間、アンモニア濃度を150ppmに維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
検証実験7においては、アンモニアに対するストレス耐性について検証を行った。
使用した製剤は、検証実験6および7と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は6日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は33mm、平均体重は324mgである。
アンモニア水を4時間掛けて水槽に点滴し、水槽中のアンモニア濃度を150ppmまで上昇させた。この時、pH値は7.0から9.5に上昇した。その後30分間、アンモニア濃度を150ppmに維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
35尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 72尾
10倍区: 80尾
100倍区: 91尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 76尾
10倍区: 94尾
100倍区:100尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
35尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 72尾
10倍区: 80尾
100倍区: 91尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 76尾
10倍区: 94尾
100倍区:100尾
正常なゼブラフィッシュは、製剤(A)または(B)を与えることで大きく増加していることが分かる。特に、ハナショウガ抽出物(製剤(B))がより大きな効果を持つことが分かった。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。
同様に、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、高アンモニア濃度下において、投与しない場合に比べて、正常な個体が増加することを確認し、特にハナショウガ抽出物がより大きな効果を示すことも別途確認した。
同様に、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、高アンモニア濃度下において、投与しない場合に比べて、正常な個体が増加することを確認し、特にハナショウガ抽出物がより大きな効果を示すことも別途確認した。
水中の餌等が腐敗するとアンモニア濃度が大きく上昇し、魚介類にダメージを与える。例えば、アンモニア濃度の上昇は、魚類の平衡感覚を失わせ、興奮性を亢進させ、呼吸量、心拍数、および酸素消費の増大を引き起こし、最終的には痙攣・昏睡・死へと向かわせる。また、孵化率の低下、成長速度の減少、鰓組織の病理学的変化等を引き起こす要因となるとも言われている。養殖現場においては、過剰に餌を与えてしまうことがあり、アンモニア対策が重要となる。また、人工飼育下では、その他の要因でアンモニア濃度が極端な値になることもある。
また、高pHは、魚類の体表の粘膜を損傷し、ダメージを与える。
したがって、アンモニアや高pHに対するストレス耐性を向上させることで、魚介類を健全に飼育することが可能となる。
また、高pHは、魚類の体表の粘膜を損傷し、ダメージを与える。
したがって、アンモニアや高pHに対するストレス耐性を向上させることで、魚介類を健全に飼育することが可能となる。
<検証実験9>
次に、亜硝酸塩ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、検証実験6から8と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は6日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は32mm、平均体重は312mgである。
亜硝酸ナトリウム水溶液を水槽に点滴し、4時間を掛けて亜硝酸ナトリウム濃度を150ppmまで上げ、その後30分間、この濃度を維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
次に、亜硝酸塩ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、検証実験6から8と同じく、製剤(A)、(B)のそれぞれの量を3段階に変えた計6種類である。また、馴致期間は6日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は32mm、平均体重は312mgである。
亜硝酸ナトリウム水溶液を水槽に点滴し、4時間を掛けて亜硝酸ナトリウム濃度を150ppmまで上げ、その後30分間、この濃度を維持した。その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
18尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 63尾
10倍区: 81尾
100倍区: 95尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 64尾
10倍区: 78尾
100倍区: 92尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
18尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
1倍区: 63尾
10倍区: 81尾
100倍区: 95尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
1倍区: 64尾
10倍区: 78尾
100倍区: 92尾
正常なゼブラフィッシュは、製剤(A)または(B)を与えることで大きく増加していることが分かる。また、投与する量を増加させることで耐性をより向上できることも検証できた。
また、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、高亜硝酸ナトリウム濃度下において、投与しない場合よりも正常な個体が増加することを別途確認した。
また、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、高亜硝酸ナトリウム濃度下において、投与しない場合よりも正常な個体が増加することを別途確認した。
水中の餌等が腐敗するとアンモニア濃度だけではなく、亜硝酸塩濃度も大きく上昇し、魚介類にダメージを与える。養殖現場においては、過剰に餌を与えてしまうことがあり、亜硝酸塩対策が重要となる。また、人工飼育下では、その他の要因で亜硝酸塩濃度が極端な値になることもある。したがって、亜硝酸塩ストレスに対する耐性を向上させることで、魚介類を健全に飼育することが可能となる。
<検証実験10>
次に、光ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量である。また、馴致期間は16日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は33mm、平均体重は341mgである。
光ストレスは紫外線ランプの照射により与えた。紫外線ランプの波長は253.7nm、出力は4.9Wである。水面から25cmの位置に紫外線ランプを設置し、22時間の連続照射を行い、その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
次に、光ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量である。また、馴致期間は16日とした。使用したゼブラフィッシュの平均全長は33mm、平均体重は341mgである。
光ストレスは紫外線ランプの照射により与えた。紫外線ランプの波長は253.7nm、出力は4.9Wである。水面から25cmの位置に紫外線ランプを設置し、22時間の連続照射を行い、その時点で各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を計測した。各試験区における正常なゼブラフィッシュの尾数を以下に示す。
正常な個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
17尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
100倍区: 65尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
100倍区:100尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
17尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
100倍区: 65尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
100倍区:100尾
正常なゼブラフィッシュは、製剤(A)または(B)を与えることで大きく増加していることが分かる。特に、ハナショウガ抽出物(製剤(B))がより大きな効果を持つことが分かった。
さらに、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、紫外線ストレスの影響を低減できることを別途確認した。また、ハナショウガ抽出物がより効果的な紫外線ストレス低減効果を示すことも確認した。
通常環境下において、生命体に最も大きなダメージを与える光は光子エネルギーの大きな紫外線であり、紫外線ストレスに対する耐性を向上できたことで、可視光や赤外線等の各種の光ストレスに対する耐性を向上できると考えられる。
さらに、甲殻類であるミナミヌマエビに対しても、タケニグサ抽出物およびハナショウガ抽出物を投与することで、紫外線ストレスの影響を低減できることを別途確認した。また、ハナショウガ抽出物がより効果的な紫外線ストレス低減効果を示すことも確認した。
通常環境下において、生命体に最も大きなダメージを与える光は光子エネルギーの大きな紫外線であり、紫外線ストレスに対する耐性を向上できたことで、可視光や赤外線等の各種の光ストレスに対する耐性を向上できると考えられる。
強い光ストレスは、魚介類にダメージを与え、成長や品質に悪影響が生じる場合がある。特に、紫外線ストレスは、魚介類の色素を黒く変色させ、商品価値が低下する原因となる。
したがって、光ストレスに対する耐性を向上させることで、魚介類を健全に飼育することが可能となるとともに、魚種本来の体色を維持することが可能となり、商品価値の低下を防止できる。
したがって、光ストレスに対する耐性を向上させることで、魚介類を健全に飼育することが可能となるとともに、魚種本来の体色を維持することが可能となり、商品価値の低下を防止できる。
<検証実験11>
次に、薬剤ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。馴致期間は6日とした。また、平均体重83gのサクラマス1歳魚を使用した。各試験区において50尾のサクラマスを飼育した。
薬剤としては、魚類の麻酔や安楽死用に用いられているフェノキシエタノールを使用した。海水1lに対して、0.6mlの割合でフェノキシエタノールを溶かした薬剤水槽を別途準備し、十分にエアレーションした後に、サクラマスをこの薬剤水槽に5分間投入した。その後、通常の海水水槽に戻し、24時間経過した時点での、各試験区におけるサクラマスの生存数を計測した。各試験区におけるサクラマスの生存数を以下に示す。
次に、薬剤ストレスに対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。馴致期間は6日とした。また、平均体重83gのサクラマス1歳魚を使用した。各試験区において50尾のサクラマスを飼育した。
薬剤としては、魚類の麻酔や安楽死用に用いられているフェノキシエタノールを使用した。海水1lに対して、0.6mlの割合でフェノキシエタノールを溶かした薬剤水槽を別途準備し、十分にエアレーションした後に、サクラマスをこの薬剤水槽に5分間投入した。その後、通常の海水水槽に戻し、24時間経過した時点での、各試験区におけるサクラマスの生存数を計測した。各試験区におけるサクラマスの生存数を以下に示す。
生存個体数/各試験区50尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
41尾(生存率:82%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
100倍区: 46尾(生存率:92%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
100倍区: 47尾(生存率:94%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
50尾(生存率:100%)
製剤不使用(0倍量の試験区)
41尾(生存率:82%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
100倍区: 46尾(生存率:92%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン
100倍区: 47尾(生存率:94%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
50尾(生存率:100%)
製剤(A)または(B)を使用することで生存率が向上した。そして、両製剤を併用することで、すべてのサクラマスを生存させることができた。
以上より、製剤(A)または(B)は、薬剤ストレスに対する耐性を向上させ、特に、両製剤を併用することで、その効果を高めることができることを確認した。
以上より、製剤(A)または(B)は、薬剤ストレスに対する耐性を向上させ、特に、両製剤を併用することで、その効果を高めることができることを確認した。
種々の薬剤は、病気の予防や治療を目的として使用されるが、一方で、魚介類にストレスを与え、成長を阻害し、品質を劣化させる恐れもある。したがって、薬剤ストレスに対する耐性を向上させることで、安心して、種々の薬剤を使用することが可能となる。
<検証実験12>
本検証実験では、病原菌に対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。馴致期間は6日とした。また、金魚の一品種であるランチュウ0歳魚を使用した。各試験区において100尾のランチュウを飼育した。
カラムナリス病に感染したランチュウを各試験区に5尾づつ投入し、3日間混泳させた後に、感染魚のみを取り出し、その2日後に、各試験区において、感染したランチュウの尾数を計測した。各試験区における感染したランチュウの尾数を以下に示す。なお、重篤な個体数、軽症の個体数、および健常な個体数に分類して計測を行った。
本検証実験では、病原菌に対する耐性について検証を行った。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。馴致期間は6日とした。また、金魚の一品種であるランチュウ0歳魚を使用した。各試験区において100尾のランチュウを飼育した。
カラムナリス病に感染したランチュウを各試験区に5尾づつ投入し、3日間混泳させた後に、感染魚のみを取り出し、その2日後に、各試験区において、感染したランチュウの尾数を計測した。各試験区における感染したランチュウの尾数を以下に示す。なお、重篤な個体数、軽症の個体数、および健常な個体数に分類して計測を行った。
感染個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
重篤:100尾 軽症: 0尾 健常: 0尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
重篤: 0尾 軽症: 13尾 健常: 87尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
重篤: 0尾 軽症: 18尾 健常: 82尾
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
重篤: 0尾 軽症: 0尾 健常:100尾
製剤不使用(0倍量の試験区)
重篤:100尾 軽症: 0尾 健常: 0尾
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
重篤: 0尾 軽症: 13尾 健常: 87尾
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
重篤: 0尾 軽症: 18尾 健常: 82尾
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
重篤: 0尾 軽症: 0尾 健常:100尾
製剤(A)または(B)を使用することで感染率を大きく低減できた。また、感染したランチュウの症状も軽症であり、概ね1週間で完治した。そして、両製剤を併用することで、感染率をゼロにすることができた。
一方、製剤を使用しなかった試験区においては、すべてのランチュウが感染して重篤な状態に陥り、感染したランチュウは、その後、すべて死亡した。
一方、製剤を使用しなかった試験区においては、すべてのランチュウが感染して重篤な状態に陥り、感染したランチュウは、その後、すべて死亡した。
以上より、製剤(A)または(B)は、病原菌に対する耐性を向上させ、特に、両製剤を併用することで、その効果が格段に高まることを実証できた。また、感染した場合であっても、症状を軽症に抑えることができ、早期に回復した。
<検証実験13>
また、サリチル酸、ポリアミン、Benzoquinone Ansamycin抗生物質であるゲルダナマイシン、大根やワサビの辛味成分であるイソチアネート、野菜やキノコ類に多く含まれるトリメチルグリシン、シソ科の植物の一種であるシソに含まれるペリルアルデヒド、コショウの果実に含まれるピペリンやそのシス‐トランス異性体であるカビシン、あるいは、レモンの特徴的な香気成分であるシトラールを投与した場合にも、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、低水温、低pH、高pH、アンモニア、亜硝酸塩、紫外線、薬剤および病原菌の各ストレスに対する耐性の向上が確認できた。また、回復力が向上することも確認できた。
また、サリチル酸、ポリアミン、Benzoquinone Ansamycin抗生物質であるゲルダナマイシン、大根やワサビの辛味成分であるイソチアネート、野菜やキノコ類に多く含まれるトリメチルグリシン、シソ科の植物の一種であるシソに含まれるペリルアルデヒド、コショウの果実に含まれるピペリンやそのシス‐トランス異性体であるカビシン、あるいは、レモンの特徴的な香気成分であるシトラールを投与した場合にも、魚類や甲殻類といった水中動物に対して、低水温、低pH、高pH、アンモニア、亜硝酸塩、紫外線、薬剤および病原菌の各ストレスに対する耐性の向上が確認できた。また、回復力が向上することも確認できた。
<検証実験14>
さらに、以下の植物の植物エキスについても、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、低水温、低pH、高pH、アンモニア、亜硝酸塩、紫外線、薬剤、および病原菌の各ストレスに対する耐性の向上が確認できた。
コショウ科のコショウ、サワヒヨドリの地上部乾燥生薬であるヤバツイ、キク科の多年草であるアルニカ、同じくキク科のオグルマ、同じくキク科のホソバオグルマ、シソ科アキギリ属に属するブラジル原産の草本であるサルビア、同じくシソ科の多年草でありハーブとして利用されるマジュラム、同じくシソ科タツナミソウ属の多年草であるコガネバナ、ショウガ科の多年草であるヨウシュンシャ、および、同じくショウガ科の多年草であるシュクシャに関して、これらの植物エキスもストレス耐性向上に有効であった。同時に、重篤な症状から回復する回復力も付与できることを確認した。
なお、上記の植物に関し、植物エキスに代えて、植物粉砕品を用いても、同様の効果が得られる。
さらに、以下の植物の植物エキスについても、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、低水温、低pH、高pH、アンモニア、亜硝酸塩、紫外線、薬剤、および病原菌の各ストレスに対する耐性の向上が確認できた。
コショウ科のコショウ、サワヒヨドリの地上部乾燥生薬であるヤバツイ、キク科の多年草であるアルニカ、同じくキク科のオグルマ、同じくキク科のホソバオグルマ、シソ科アキギリ属に属するブラジル原産の草本であるサルビア、同じくシソ科の多年草でありハーブとして利用されるマジュラム、同じくシソ科タツナミソウ属の多年草であるコガネバナ、ショウガ科の多年草であるヨウシュンシャ、および、同じくショウガ科の多年草であるシュクシャに関して、これらの植物エキスもストレス耐性向上に有効であった。同時に、重篤な症状から回復する回復力も付与できることを確認した。
なお、上記の植物に関し、植物エキスに代えて、植物粉砕品を用いても、同様の効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態1および2においては、各種のストレスに対する耐性向上効果について、水槽実験による検証を行った。本実施の形態においては、養殖現場における検証実験結果について説明する。
実施の形態1および2においては、各種のストレスに対する耐性向上効果について、水槽実験による検証を行った。本実施の形態においては、養殖現場における検証実験結果について説明する。
<検証実験15>
本検証実験では、実際のハタ養殖現場で実施されている養殖方法にしたがい、現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)の1倍量である。製剤と飼料を与えた期間は30日であり、魚はハタの稚魚を使用した。各試験区において50尾のハタの稚魚を飼育した。
各試験区における飼育開始時の平均体重と、30日間飼育した後の平均体重を以下に示す。
本検証実験では、実際のハタ養殖現場で実施されている養殖方法にしたがい、現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)の1倍量である。製剤と飼料を与えた期間は30日であり、魚はハタの稚魚を使用した。各試験区において50尾のハタの稚魚を飼育した。
各試験区における飼育開始時の平均体重と、30日間飼育した後の平均体重を以下に示す。
平均体重/各試験区50尾の平均値
製剤不使用(0倍量の試験区)
飼育開始時:42g 30日飼育後:53g (成長率:26.2%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
飼育開始時:42g 30日飼育後:58g (成長率:38.1%)
製剤不使用(0倍量の試験区)
飼育開始時:42g 30日飼育後:53g (成長率:26.2%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン
飼育開始時:42g 30日飼育後:58g (成長率:38.1%)
製剤(A)を使用することで成長率が向上した。この要因としては、タケニグサ抽出物であるサンギナリンが成長促進効果を有すること、あるいは、各種のストレスに対する耐性を向上させることで、健全な成長を促したことが考えられる。
実験室における水槽と異なり、実際の養殖現場では、多くのストレスが発生している。例えば、高温や低温ストレス、あるいは、急激な温度変化によるストレスが、まず考えられる。また、紫外線等の光ストレスも常時発生している。さらに、高密度飼育による心理的ストレスや個体間の接触による物理ストレス、海水のpH変化によるストレスも発育に悪永久を及ぼすと考えれる。餌等の腐敗によるアンモニア濃度や亜硝酸塩濃度の上昇によるストレス、また、病原菌による病気も懸念される。
実験室における水槽と異なり、実際の養殖現場では、多くのストレスが発生している。例えば、高温や低温ストレス、あるいは、急激な温度変化によるストレスが、まず考えられる。また、紫外線等の光ストレスも常時発生している。さらに、高密度飼育による心理的ストレスや個体間の接触による物理ストレス、海水のpH変化によるストレスも発育に悪永久を及ぼすと考えれる。餌等の腐敗によるアンモニア濃度や亜硝酸塩濃度の上昇によるストレス、また、病原菌による病気も懸念される。
実際の養殖現場においては、環境を十分にコントロースすることは困難であり、魚介類は多くの環境ストレスを受けているため、それらに対する耐性を高めることで、成長率が向上したと考えられる。
<検証実験16>
次に、ヤマメ養魚場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は35日であり、魚は平均体重36gのヤマメ1歳魚を使用した。各試験区において100尾のヤマメを飼育した。
検証期間中の飼育水温は10℃前後であり、渓流の水をそのまま掛け流していたこともあり、細菌性鰓病が発生しやすい条件であった。細菌性鰓病の原因となる桿菌であるFlavobacterium branchiophilaは、水温10℃から15℃で最も活動が活発となる。
試験期間中に、細菌性鰓病が発生し、斃死が発生した。飼育開始から35日目における各試験区における細菌性鰓病が原因と考えられる斃死数と生存率を以下に示す。
次に、ヤマメ養魚場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は35日であり、魚は平均体重36gのヤマメ1歳魚を使用した。各試験区において100尾のヤマメを飼育した。
検証期間中の飼育水温は10℃前後であり、渓流の水をそのまま掛け流していたこともあり、細菌性鰓病が発生しやすい条件であった。細菌性鰓病の原因となる桿菌であるFlavobacterium branchiophilaは、水温10℃から15℃で最も活動が活発となる。
試験期間中に、細菌性鰓病が発生し、斃死が発生した。飼育開始から35日目における各試験区における細菌性鰓病が原因と考えられる斃死数と生存率を以下に示す。
斃死個体数/各試験区100尾中
製剤不使用(0倍量の試験区)
26尾 (生存率:74%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
8尾 (生存率:92%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
14尾 (生存率:86%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
5尾 (生存率:95%)
製剤不使用(0倍量の試験区)
26尾 (生存率:74%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
8尾 (生存率:92%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
14尾 (生存率:86%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
5尾 (生存率:95%)
以上より、製剤(A)および(B)は、病原菌に対する耐性を向上させ、特に、両製剤を併用することで、その効果が格段に高まることを実証できた。
<検証実験17>
本検証実験においても、ヤマメ養魚場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は35日であり、魚は平均体重35gのヤマメ1歳魚を使用した。各試験区において100尾のヤマメを飼育した。これらのヤマメは、海水耐性が発生しスモルト化したことを確認し、選別されたヤマメである。
実際の養殖現場で実施されている以下の方法に従い、海水馴致を行った。
・スモルト化したヤマメを淡水の水槽にいれる。水槽に海水を足し、2時間かけて徐々に濃度を上げ、30%の海水(水温13℃)にし、その後1日飼育する。
・さらに、70%濃度海水(水温13℃)で1日間飼育する。
・その後、6時間かけて徐々に濃度を上げ、70%濃度海水を100%濃度海水(水温13℃→18℃)にし、海水移行が完了する。この海水馴致期間における各試験区での生存率を表3に示す。
本検証実験においても、ヤマメ養魚場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は35日であり、魚は平均体重35gのヤマメ1歳魚を使用した。各試験区において100尾のヤマメを飼育した。これらのヤマメは、海水耐性が発生しスモルト化したことを確認し、選別されたヤマメである。
実際の養殖現場で実施されている以下の方法に従い、海水馴致を行った。
・スモルト化したヤマメを淡水の水槽にいれる。水槽に海水を足し、2時間かけて徐々に濃度を上げ、30%の海水(水温13℃)にし、その後1日飼育する。
・さらに、70%濃度海水(水温13℃)で1日間飼育する。
・その後、6時間かけて徐々に濃度を上げ、70%濃度海水を100%濃度海水(水温13℃→18℃)にし、海水移行が完了する。この海水馴致期間における各試験区での生存率を表3に示す。
表3より、製剤(A)および(B)を使用することで、海水馴致時の生存率が高まっていることが分かる。特に、両製剤を併用することで、さらに生存率が高まることを実証できた。
海水馴致時には、いくつかの強いストレスがヤマメの健康に悪影響を与えていると考えられる。まず、急激な塩分濃度変化によるストレスである。これは浸透圧の急激な変化をもたらす。また、温度変化ストレスや水槽を移る際のストレス等も発生していたと考えられる。これらのストレスに対する耐性を製剤が向上させることで、生存率が高まったと推測できる。
海水馴致時には、いくつかの強いストレスがヤマメの健康に悪影響を与えていると考えられる。まず、急激な塩分濃度変化によるストレスである。これは浸透圧の急激な変化をもたらす。また、温度変化ストレスや水槽を移る際のストレス等も発生していたと考えられる。これらのストレスに対する耐性を製剤が向上させることで、生存率が高まったと推測できる。
<検証実験18>
次に、サクラマスの海水養殖場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は28日であり、魚は平均体重51gのサクラマス1歳魚を使用した。各試験区において50尾のサクラマスを飼育した。
各試験区における飼育開始時の平均体重と、28日間飼育した後の平均体重を以下に示す。
次に、サクラマスの海水養殖場において現場試験を実施した。
使用した製剤は、製剤(A)、(B)のそれぞれの100倍量、および、製剤(A)50倍量と製剤(B)50倍量の混合製剤の3種類である。製剤と飼料を与えた期間は28日であり、魚は平均体重51gのサクラマス1歳魚を使用した。各試験区において50尾のサクラマスを飼育した。
各試験区における飼育開始時の平均体重と、28日間飼育した後の平均体重を以下に示す。
平均体重/各試験区50尾の平均値
製剤不使用(0倍量の試験区)
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:75.5g (成長率:48.0%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:82.2g (成長率:61.2%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:98.6g (成長率:93.3%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:102.2g (成長率:100.4%)
製剤不使用(0倍量の試験区)
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:75.5g (成長率:48.0%)
製剤(A)タケニグサ抽出物 サンギナリン 100倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:82.2g (成長率:61.2%)
製剤(B)ハナショウガ抽出物 ゼルンボン 100倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:98.6g (成長率:93.3%)
製剤(A)50倍量+製剤(B)50倍量
飼育開始時:51.0g 28日飼育後:102.2g (成長率:100.4%)
製剤(A)および製剤(B)を使用することで、成長率が向上している。特に、両製剤を併用することで、さらに大きく成長率が向上した。この要因としては、検証実験15と同様に、製剤(A)および製剤(B)が成長促進効果を有すること、あるいは、各種のストレスに対する耐性を向上させることで、健全な成長を促したことが考えられる。本検証実験は海水養殖場において行ったため、塩分濃度の変化に伴う、浸透圧変化によるストレスに対する耐性も向上できたことで、大きな成長率の向上が可能となったものと考えられる。また、温度ストレス(暑熱・低温)、紫外線等の光ストレス、高密度飼育による心理ストレスおよび個体間の接触による物理ストレス、pHストレス、餌等の腐敗によるアンモニア・亜硝酸塩濃度の上昇ストレス、薬剤や化学物質によるストレス、病原体によるストレスといった種々のストレスも養殖現場においては発生していたと考えられ、それらに対する耐性向上も、成長率向上の要因となった可能性が高い。
<本発明のまとめ>
以下、本発明の優れた特長や社会意義について、以下にまとめる。
まず、本発明において新たに見出したことは、上記に開示したサンギナリン等の物質は、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、水中動物のストレス耐性および回復力を向上させるという優れた特性を持つことである。
以下、本発明の優れた特長や社会意義について、以下にまとめる。
まず、本発明において新たに見出したことは、上記に開示したサンギナリン等の物質は、魚類や甲殻類といった水中動物に対して投与することで、水中動物のストレス耐性および回復力を向上させるという優れた特性を持つことである。
この新たに見出した特性は、魚類や甲殻類といった水中動物に用いる水中動物用飼料、および発育向上剤として最適である。例えば、水中動物に数日投与することによって、高温、低温、温度変化、光、低pH、高pH、餌等の腐敗によるアンモニア・亜硝酸塩濃度の上昇ストレス、浸透圧、薬剤や化学物質によるストレス、病原菌、病気等のストレスを緩和し、健全に飼育することが可能となる。
本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、鑑賞用の魚類等に用いることで、より健全な飼育を可能とすることはもちろんであるが、より重要な意義は、養殖魚類に用いる場合にある。
前述したように、水中に生育する生物は、陸上生物に比較して、温度変化に対して脆弱である。そして、異常気象や地球温暖化による近年の環境変化に伴い、水温の変化は従来よりも大きなものとなっている。したがって、魚類の養殖においては、水温変化が大きな問題となりつつある。
また、高い水温においては、ウイルスやバクテリアの繁殖が顕著となり、魚類の病気発生率が高まることも問題を深刻化させる要因である。
一方、多くの魚類の成長は水温が高いほど顕著であり、漁獲量を増加させるためには、できるだけ高い水温で生育することが好ましい。
また、高い水温においては、ウイルスやバクテリアの繁殖が顕著となり、魚類の病気発生率が高まることも問題を深刻化させる要因である。
一方、多くの魚類の成長は水温が高いほど顕著であり、漁獲量を増加させるためには、できるだけ高い水温で生育することが好ましい。
したがって、高水温において魚類の健全な飼育が可能となり、且つウイルスやバクテリアに対する耐性が高め、且つ病気を予防することができれば、養殖収穫量を大きく向上させることができる。また、魚類の品質を向上させることができる。特に、疾病からの回復力も向上するので、異常気象による一時的な水温上昇や、水質の汚染といったトラブルがあった場合にも、生残率が高まり、安定な収穫量が得られる。さらに生育が早いため、出荷までの期間を短縮できる。
なお、ウイルスやバクテリアの繁殖を抑えるために、低pH化や、塩分や薬剤投与が行われる場合があるが、これらのストレスの結果、成長阻害や品質低下、奇形などの副作用が発生するため、細菌繁殖を抑えることが難しい場合が多い。本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤の投与は、こういった副作用の発生を抑制できるので、細菌繁殖を容易に抑制できる。
収穫量をさらに向上させるためには、高密度で魚類を養殖すれば良い。しかし、排泄物等から発生するアンモニアや亜硝酸、硝酸等が高濃度となり、魚類に大きなダメージを与える。本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤の投与は、アンモニア等のストレスを緩和する効果を有するため、通常よりも高密度での養殖が可能となり、収穫量の向上が期待できる。
鮭等の冷水魚であっても、水温の高い季節での養殖が可能となり、旬をずらした端境期での出荷が可能となり、付加価値を向上させることができる。完全に旬をずらすことまでは難しい場合であっても、出荷時期を少しずらすことで、付加価値を高めることができる。
水温の高い温暖地域でも冷水魚の養殖が可能となるので、養殖する魚の選択肢を広げることができる。逆に、寒冷地において養殖を行う場合、温水域の魚の養殖も可能となる。
水圧の変化に対する耐性を高めることができるため、深海魚等の養殖も可能となり、さらに、養殖する魚の選択肢を広げることができる。
また、浸透圧に対する耐性を高めることができるため、海水魚を淡水や汽水で飼育可能となり、あるいは、淡水魚を海水や汽水で飼育可能となる。
このように、養殖する魚の選択範囲を大きく広げることが可能となる。
水圧の変化に対する耐性を高めることができるため、深海魚等の養殖も可能となり、さらに、養殖する魚の選択肢を広げることができる。
また、浸透圧に対する耐性を高めることができるため、海水魚を淡水や汽水で飼育可能となり、あるいは、淡水魚を海水や汽水で飼育可能となる。
このように、養殖する魚の選択範囲を大きく広げることが可能となる。
低水温ストレスに対する耐性も向上できるため、冬季においては、人工的に水温を上昇させることなく、健全に魚類等を飼育できるので、エネルギーコストを低減できる。逆に、夏季においては、高水温ストレスに対する耐性も向上できるので、人工的に水温を下降させる必要が無く、やはり、エネルギーコストを低減できる。
仔魚は、成魚に比べて、各種ストレスに対する耐性が無い。例えば、温度変化や飢餓ストレスに対する耐性が特に劣る。また、細菌に対する抵抗力も低い。そのため、仔魚の間は、特別に管理された環境で飼育することが必要となるが、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を用いることで、仔魚も成魚と同じ環境で養殖することが可能となり、管理が容易となる。あるいは完全養殖が可能となる。
強い紫外線に晒された場合、表皮のタンパク質が破壊され、それを防ぐためにメラニン色素が生成される。本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を用いることで、表皮のタンパク質の破壊を防ぎ、メラニン色素の生成を抑えることができる。メラニン色素の生成を抑えると、魚介類の色褪せを防ぐことができるようになる。
例えば、タイ、スジアラ、アマダイ、エビ、タコ等の色を維持できるようになる。
例えば、タイ、スジアラ、アマダイ、エビ、タコ等の色を維持できるようになる。
マグロやブリ等は、漁獲時のストレスにより、体温の上昇、乳酸等の上昇、およびpHの低下が生じ、筋肉タンパク質が変性する。そして、「ヤケ肉」と呼ばれる肉品質の悪化が起こる。本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、タンパク質の変性を抑え、ヤケ肉発生を防止することができる。
魚類の品質で最も重要である味覚は、グルタミン酸とイノシン酸の量によって決まる。イノシン酸は、アデノシン3リン酸が分解されて生成される。各種ストレスにさらされると、タンパク質が変性し生理機能不全が生じ、グルタミン酸とアデノシン3リン酸の合成が阻害される。本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤は、ストレス下でも生理機能不全を防ぎ、グルタミン酸とアデノシン3リン酸の合成を維持する作用を有する。その結果、ストレス下でも、グルタミン酸とアデノシン3リン酸の分解物であるイノシン酸の量を維持することができ、味覚を向上させることができる。
機能性成分を多く含有した魚介類の飼育方法として、光ストレス(各種波長の可視光、紫外線、赤外線、放射線の照射)にさらしたり、飼育水のpH調整をしたり(pHストレス)、イオン濃度を調整したり(イオンストレス)、餌に各種物質や薬剤を混ぜ込んだり(薬剤・物質ストレス)、低水温で飼育したり(温度ストレス)することが行われている。このような種々のストレスを与えることで、機能性成分を多く含有する魚介類を得ることができるが、一方で、ストレスによる品質の低下や収量の減少が問題となっている。そこで、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を使用して各種のストレスを緩和することで、品質低下や収獲量減少が生じることなく、機能成分を増加させることができる。
海水馴致を行う場合、塩分濃度の大きな変化により強い浸透圧ストレスが生じるが、浸透圧ストレスに対する耐性を向上できるので、海水馴致の際に魚等がダメージを受けることなく、したがって生存率も向上できるので、収量が増大する。また、品質も向上する。
水産資源の枯渇防止および水産資源を豊かにすることを目的とし、魚介類を種苗飼育した後、放流することが行われている。しかし、放流直後は、各種ストレスに晒されて、生存率が低くなるという問題がある。もっとも、放流後は、飼育条件をコントロールことが困難であり、有効な対策が無かった。そこで、本発明に係る水中動物用飼料、および水中動物用発育向上剤を種苗飼育段階で投与することで、各種ストレス耐性が向上し、放流後の生存率を上げることが可能となる。
各実施の形態で開示したサンギナリン等の物質は単独で使用しても大きな効果があるが、複数種類の物質を併用することで、さらに効果を顕著なものとすることができる。これは、各物質が細胞や細胞を構成する特定のタンパク質のダメージを修復する効能を有しており、複数の物質を併用すれば、より多くの種類のタンパク質のダメージを修復することができるためであると考えられる。
以上のように、魚類の養殖において、収穫量の向上、品質(味覚、色、ヤケ肉防止等)の向上、出荷時期の短縮、養殖時期の拡大、飼育する魚類の選択範囲拡大、病気に対する抵抗力および回復力の向上、完全養殖の実現、機能性魚類の養殖の容易化といった多くのメリットをもたらす。
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