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JP2020030933A - 有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 - Google Patents

有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 Download PDF

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JP2020030933A JP2018155188A JP2018155188A JP2020030933A JP 2020030933 A JP2020030933 A JP 2020030933A JP 2018155188 A JP2018155188 A JP 2018155188A JP 2018155188 A JP2018155188 A JP 2018155188A JP 2020030933 A JP2020030933 A JP 2020030933A
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拓治 松尾
Takuji Matsuo
拓治 松尾
篠川 泰治
Taiji Shinokawa
泰治 篠川
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Abstract

【課題】共通電極125と補助電極200との電気的接続における抵抗を低減する。【解決手段】基板上の行方向に隣接する画素電極119の間隙の内に列方向に延伸して配された補助電極200と、補助電極200上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体230と、発光層123上および複数の柱状絶縁体230に跨って設けられた電子輸送層124と、共通電極125とを備え、補助電極200は、少なくとも柱状絶縁体230が存在しない上面部分202bに、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層202を含み、電子輸送層124は補助電極100上の柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分124aが欠落しているか又は薄層化している。【選択図】図2

Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示パネル、及びそれを用いたその製造方法に関する。
近年、デジタルテレビ等の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子をマトリックス状に複数配列した有機EL表示パネルが実用化されている。
有機EL表示パネルでは、一般に各有機EL素子の発光層と、隣接する有機EL素子とは絶縁材料からなる絶縁層で仕切られており、カラー表示用の有機EL表示パネルにおいては、有機EL素子がRGB各色に発光する副画素を形成し、隣り合うRGBの副画素が組合わさってカラー表示における単位画素が形成されている。
有機EL素子は、一対の電極の間に有機発光材料を含む発光層が配設された基本構造を有し、駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、発光層に注入されるホールと電子との再結合に伴って発光する。
トップエミッション型の有機EL素子は、基板上に画素電極、有機層(発光層を含む)、及び共通電極が順に設けられた素子構造をしている。発光層からの光は、光反射性材料からなる画素電極にて反射されるとともに、光透光性材料からなる共通電極から上方に出射される。
共通電極は、基板全面にわたって成膜することが多く、共通電極の電気抵抗が大きい場合、給電部から遠い部分では電圧降下により電流が十分に供給されずに発光効率が低下し、これに起因して面内の輝度ムラが発生してしまう可能性がある。
そこで、共通電極の低抵抗化のために補助電極を設ける手法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、補助電極を画素電極と同層に形成し、発光層をメタルマスクで塗り分けることで、共通電極と画素電極との間には電界発光層を、共通電極と補助電極とは電気的に接続された構成を備えた発光装置が開示されている。
特開2017−212449号公報
しかしながら、上記従来の手法では、複数層からなる有機層のうち特に発光層の上層に位置する電子輸送層を形成する際に、補助電極を避けて形成するためにマスク蒸着を行う必要があり、生産コストが増大するという課題がある。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに面内の輝度ムラを抑制した有機EL表示パネル、及び有機EL表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸して配された補助電極と、前記補助電極上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体と、前記発光層上および複数の前記柱状絶縁体に跨って設けられた機能層と、前記機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極と、を備え、前記補助電極は、少なくとも前記柱状絶縁体が存在しない上面部分に、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層を含み、前記機能層は、前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落しているか又は薄層化しており、前記共通電極は、前記機能層の欠落により露出している前記接触層と接触しており、前記機能層が薄層化している部分において、それ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記補助電極に電気的に接続されていることを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに面内の輝度ムラを抑制することができる。
実施の形態に係る有機EL表示パネル10の一部を示す模式平面図である。 有機EL表示パネル10の単位画素100eに相当するバンク122の部分を斜め上方から視した斜視図である。 図1におけるA1−A1で切断した模式断面図である。 図1におけるA2−A2で切断した模式断面図である。 図1におけるA3−A3で切断した模式断面図である。 (a)〜(f)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 共通電極125の成膜に用いるスパッタ装置600を示す模式図である。 (a)〜(g)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 電子輸送層124の成膜に用いる蒸着装置500を示す模式図である。 共通電極125成膜後の図4に示した補助電極200周辺の拡大図である。 実施の形態に係る有機EL表示装置1の回路構成を示す模式ブロック図である。 有機EL表示装置1に用いる有機EL表示パネル10の各副画素100seにおける回路構成を示す模式回路図である。 変形例1に係る有機EL表示パネル10Aを図1のA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 変形例2に係る有機EL表示パネル10Bを図1のA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示の態様に係る有機EL表示パネルは、基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸して配された補助電極と、前記補助電極上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体と、前記発光層上および複数の前記柱状絶縁体に跨って設けられた機能層と、前記機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極と、を備え、前記補助電極は、少なくとも前記柱状絶縁体が存在しない上面部分に、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層を含み、前記機能層は、前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落しているか又は薄層化しており、前記共通電極は、前記機能層の欠落により露出している前記接触層と接触するか、前記機能層が薄層化している部分において、それ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記補助電極に電気的に接続されていることを特徴とする。また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記柱状絶縁体が存在しない上面部分は、隣接する前記柱状絶縁体の間の間隙の底部である構成であってもよい。
係る構成により、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに面内の輝度ムラを抑制した有機EL表示パネルを提供することができる。また、補助電極のコンタクト面は、画素電極や補助電極の下層の構成材料よりも酸化されにくい材料から構成されているので、以降の製造プロセスにおいて補助電極の酸化が抑制され、欠落部を通した共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記柱状絶縁体の厚みに対する隣接する前記柱状絶縁体の間隙の幅の比率は0.5以上2以下である構成であってもよい。また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記柱状絶縁体の側壁の接触層表面に対する傾斜角は90°より大きく140°以下である構成であってもよい。
係る構成により、専用の工程を設けない簡易な製造プロセスにより、補助電極上の柱状絶縁体の側壁の近傍において機能層を段切れさせて欠落部を形成し、欠落部から補助電極の接触層のコンタクト面が露出する構造を実現できる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記機能層は、前記柱状絶縁体の上面、及び前記補助電極上の前記柱状絶縁体が存在しない部分における前記柱状絶縁体の側壁近傍以外には存在しており、前記柱状絶縁体の側壁上に位置する部分は欠落しているか又は薄層化している構成であってもよい。これより、前記補助電極は、前記画素電極の構成材料と同じ材料からなる下層と、前記下層の上面に列方向に延伸して配された前記接触層からなる構成が得られる。
係る構成により、補助電極の上に形成される電子輸送層の一部において途切れて(断切れして)一部分が欠落しているか欠落部か又は薄層化している薄層化部が形成されるとともに、共通電極は、この電子輸送層の欠落部に回り込むように、補助電極のコンタクト面に接触して形成される。あるいは、電子輸送層の薄層化部において、それ以外の電子輸送層の部分よりも低い抵抗にて補助電極に電気的に接続される。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記補助電極は、前記柱状絶縁体が上方に配され、前記画素電極の構成材料と同じ材料からなる下層と、前記下層の上面における平面視において前記柱状絶縁体が存在しない部分に島状に配された前記接触層からなる構成であってもよい。
係る構成により、簡易な製造プロセスを用いて製造でき共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗を低減するとともに、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属又はそれらを主成分とする合金から構成される接触層の構成材料の使用量を低減して、材料コストを低減することができる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、記補助電極は、列方向に延伸する前記接触層のみからなる構成であってもよい。
係る構成により、簡易な製造プロセスを用いて製造でき共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減することができる。
本開示の態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、有機EL表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の画素電極を行列状に配する工程と、前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸する補助電極を形成する工程と、少なくとも前記補助電極上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体を形成する工程と、各前記画素電極上に有機発光材料を含む発光層を形成する工程と、真空蒸着法により、前記発光層上および複数の前記柱状絶縁体に跨る機能層を形成する工程と、スパッタリング法またはCVD法により、前記機能層上に連続して延伸する共通電極を形成する工程とを含み、前記補助電極を形成する工程では、少なくとも前記柱状絶縁体が存在しない上面部分に、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層を形成することを特徴とする。
係る構成により、発光層上の電子輸送層を共通層として成膜できるので、電子輸送層形成工程におけるマスク成膜などのパターニングが不要となり、簡易な製造プロセスを用いて、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに輝度ムラを抑制する有機EL表示パネルを製造することができる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、さらに、前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙に列方向に延伸する列バンクを形成する工程を備え、前記バンクを形成する工程の後に、前記接触層を形成する構成であってもよい。
係る構成により、バンクの形成など焼成を伴うプロセスは、補助電極の接触層形成後に行われる工程順となるため、補助電極のコンタクト面が以降の製造プロセスにおいて酸化されることが抑制され、製造された表示パネルにおいて、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、さらに、前記柱状絶縁体を形成する工程の後に、前記接触層を形成する構成であってもよい。
係る構成により、柱状絶縁体の形成など焼成を伴うプロセスは、接触層形成後に行われる工程順となるため、補助電極のコンタクト面が以降の製造プロセスにおいて酸化されることがより一層抑制される。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記接触層は、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金を含むインクを、前記画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸する列状領域内に塗布し前記インクに含まれる溶媒を蒸発させることにより形成する構成であってもよい。
係る構成により、マスク成膜などのパターニングを用いることなく、少なくとも柱状絶縁体が存在しない下地の上面部分に選択的に接触層を形成することができる。
また、別の態様では、上記何れかの構成において、前記機能層を形成する工程では、前記補助電極上の前記柱状絶縁体が存在しない部分における前記柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落しているか又は薄層化するように前記機能層が形成され、前記共通電極を形成する工程では、前記機能層の欠落により露出している前記接触層と前記共通電極とが直接接触するように、前記機能層が薄層化している部分ではそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗で前記共通電極が前記補助電極に電気的に接続されるように前記共通電極が形成される構成であってもよい。これより、前記機能層を形成する工程では、前記柱状絶縁体の上面、及び前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍以外には存在し、前記柱状絶縁体の側壁上に位置する部分は欠落しているか又は薄層化するように前記機能層が形成される構成が得られる。
係る構成により、真空蒸着法などにより電子輸送層を成膜する際に、補助電極の接触層上面の隣接する柱状絶縁体の間隙の底部における、柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落(段切れ)して、間隙底部の側壁近傍に電子輸送層が形成されない欠落部が生じ、欠落部より補助電極の間隙底部の一部が露出する。共通電極は、欠落部に回り込むよう、補助電極のコンタクト面に接触して形成させる構造を実現できる。あるいは、電子輸送層の薄層化部において、それ以外の電子輸送層の部分よりも低い抵抗にて補助電極に電気的に接続される構造を実現できる。
≪実施の形態1≫
以下、実施の形態に係る有機ELパネルの製造方法について図面を用いて説明する。
<表示パネル10の全体構成>
本実施の形態に係る表示パネル10(以後、「表示パネル10」と称する)について、図面を用いて説明する。なお、図面は模式図であって、その縮尺は実際とは異なる場合がある。図1は、実施の形態に係る有機EL表示パネル10の一部を示す模式平面図であって、後述するバンク122より下方を視した透視図である。図2は、有機EL表示パネル10の単位画素100eに相当するバンク122の部分を斜め上方から視した斜視図である。
表示パネル10は、有機化合物の電界発光現象を利用した有機EL表示パネルであり、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された基板100x(TFT基板)に、各々が画素を構成する複数の有機EL素子100が行列状に配され、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。ここで、本明細書では、図1におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル10における、行方向、列方向、厚み方向とする。
図1に示すように、表示パネル10は、基板100x上をマトリックス状に区画してRGB各色の発光単位を規制する列バンク522Yと行バンク122Xとが配された区画領域10eから構成されている。本明細書では、列バンク522Yと行バンク122Xとを総称して「バンク122」とする。区画領域10eは、列バンク522Yと行バンク122Xにより規制される各区画に有機EL素子100が形成されている領域である。
表示パネル10の区画領域10e(以後、「領域10e」とする)には、有機EL素子100に対応する単位画素100eが行列状に配されている。各単位画素100eには、有機化合物により光を発する領域である、赤色に発光する100aR、緑色に発光する100aG、青色に発光する100aB(以後、100aR、100aG、100aBを区別しない場合は、「100a」と略称する)の3種類の自己発光領域100aが形成されている。すなわち、図1に示すように行方向に並んだ自己発光領域100aR、100aG、100aBのそれぞれに対応する3つの副画素100seが1組となりカラー表示における単位画素100eを構成している。
また、図1、2、3に示すように、表示パネル10には、複数の画素電極119が基板100x上に行及び列方向にそれぞれ所定の距離δX及びδYだけ離れた状態で行列状に配されている。画素電極119は、平面視において矩形形状であり、光反射材料からなる。行列状に配された画素電極119は、行方向に順に並んだ3つの自己発光領域100aR、G、Bに対応する。
さらに、表示パネル10には、複数の補助電極200が基板100x上の単位画素100e間に列方向にわたって連続して配されている。補助電極200は、画素電極119と同じ光反射材料からなる。
表示パネル10では、バンク122の形状は、いわゆるライン状の絶縁層形式を採用し、行方向に隣接する2つの画素電極119の行方向外縁119a3/119a4及び外縁間に位置する基板100x上の領域上方には、各条が列方向(図1のY方向)に延伸する列バンク522Yが複数行方向に並設されている。行方向に隣接する画素電極119と補助電極200の行方向外縁119a3/200a2又は119a4/200a1及びそれらの外縁間に位置する基板100x上の領域上方にも列バンク522Yが複数行方向に並設されている。
一方、列方向に隣接する2つの画素電極119の列方向外縁119a1/119a2及び外縁間に位置する基板100x上の領域上方には、各条が行方向(図1のX方向)に延伸する行バンク122Xが複数列方向に並設されている。行バンク122Xが形成される領域は、画素電極119上方の発光層123において有機電界発光が生じないために非自己発光領域100bとなる。
隣り合う列バンク522Y間を間隙522zと定義し、自己発光領域100aRに対応する間隙を赤色間隙522zR、自己発光領域100aGに対応する間隙を緑色間隙522zG、自己発光領域100aBに対応する間隙を青色間隙522zB、青色間隙522zBと赤色間隙522zRとに挟まれ補助電極200が敷設されている補助間隙522zA(以後、間隙522zR、間隙522zG、間隙522zBを区別しない場合は「間隙522z」)とする。
また、図1に示すように、表示パネル10では、複数の自己発光領域100aと非自己発光領域100bとが、間隙522zに沿って列方向に交互に並んで配されている。非自己発光領域100bには、画素電極119とTFTのソースS1とを接続する接続凹部(コンタクトホール、不図示)が設けられている。
また、図1及び図2に示すように、表示パネル10には、補助間隙522zAに、複数の補助電極200が基板100x上の単位画素100e間に列方向にわたって連続して配されている。補助間隙522zA内の補助電極200上は上面側に接触層202を含み、接触層202の上面に行列状に複数の柱状絶縁体230が配されている。なお、詳細は後述するが、平面視において補助電極200の上面における柱状絶縁体230が存在しない領域の一部において補助電極200の接触層202と上層である共通電極125とが接触している。
<表示パネル10の各部構成>
表示パネル10における有機EL素子100の構成について、説明する。図3、図4及び図5は、それぞれ、図1におけるA1−A1、A2−A2及びA3−A3で切断した模式断面図である。
本実施の形態に係る表示パネル10においては、Z軸方向下方に薄膜トランジスタが形成された基板(TFT基板)が構成され、その上に有機EL素子部が構成されている。
[基板100x]
基板100xは表示パネル10の支持部材であり、基材(不図示)と、基材上に形成された薄膜トランジスタ層(不図示)とを有する。
基材は、表示パネル10の支持部材であり、平板状である。基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、ガラス材料、樹脂材料、半導体材料、絶縁層をコーティングした金属材料などを用いることができる。
TFT層は、基材上面に形成された複数のTFT及び配線(TFTのソースS1 と、対応する画素電極119を接続する)を含む複数の配線からなる。TFTは、表示パネル10の外部回路からの駆動信号に応じ、対応する画素電極119と外部電源とを電気的に接続するものであり、電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。配線は、TFT、画素電極119、外部電源、外部回路などを電気的に接続している。
[平坦化層118]
基材上及びTFT層の上面には平坦化層118が設けられている。基板100xの上面に位置する平坦化層118は、TFT層によって凹凸が存在する基板100xの上面を平坦化するとともに、配線及びTFTの間を埋め、配線及びTFTの間を電気的に絶縁している。
平坦化層118には、画素電極119と対応する画素のソースS1 に接続される配線とを接続するために、画素電極119に対応して、当該配線の上方の一部にコンタクト孔(不図示)が開設されている。
[画素電極119]
基板100xにおける領域10e上面に位置する平坦化層118上には、図2に示すように、副画素100se単位で画素電極119が設けられている。
画素電極119は、発光層123へキャリアを供給するためのものであり、例えば陽極として機能した場合は、発光層123へホールを供給する。また、表示パネル10がトップエミッション型であるため、画素電極119は光反射性を有する。画素電極119の形状は、例えば、概矩形形状をした平板状である。平坦化層118のコンタクト孔(不図示)上には、画素電極119の一部を基板100x方向に凹入された画素電極119の接続凹部119cが形成されており、接続凹部の底で画素電極119と対応する画素のソースS1に接続される配線110とが接続される。
[補助電極200]
補助電極200Yは、図3、図5に示すように、列バンク522Yの補助間隙522zA内の平坦化層118上には列方向に延伸して設けられている。補助電極200は、画素電極119間に行方向に間隔δXをあけて配されている。補助電極200Yは、共通電極125との電気的な接続を図ることにより、共通電極125の電気抵抗を低減するための補助的な電極層である。
補助電極200は、画素電極119と同層に形成された下層201と下層201に形成された接触層202を含む。これより、補助電極200は、少なくとも後述する柱状絶縁体230が存在しない間隙底部200bに、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層202を含む。補助電極200の接触層202は、電子輸送層124が欠落しているか電子輸送層124の欠落部124aを通して共通電極125と接触する。あるいは、電子輸送層124の欠落には至らないものの、電子輸送層124が薄層化している部分(薄層化部)において、それ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続されている。電子輸送層124の欠落部124a又は薄層化部は接触層202の上面の柱状絶縁体230間の間隙底部200bにおける柱状絶縁体230の側壁230cの近傍のコンタクト面200cに位置する。
ここで、補助電極200の厚みは、給電を補助するための十分な断面積を得るために、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。本実施の形態では、補助電極200の厚みは、例えば、400nmとした。
補助電極200の幅は発光面積を広げるためできるだけ狭い方が好ましい。少なくとも副画素100seのX方向の幅よりも狭い方が好ましい。補助電極200の幅は、30μm以上40μm以下、補助電極200上の柱状絶縁体230が存在しない間隙底部202bの幅は10μm程度が好適である。また、配線抵抗低減のために、補助電極200の幅を拡大する場合には、行方向に延伸する補助電極200Xの幅の方が、列方向に延伸する補助電極200Yの幅よりも、拡大したときに発光面積に与える影響は少ない。
さらに、補助電極は、行バンク122X間の平坦化層118上面に隣接する補助電極200の間をつなぐように行方向に延伸して配されていてもよい。
なお、平面視したときの補助電極200の形状は、列バンク522Yの補助間隙522zA内に列方向に延伸して設けられている形態には限られない。行方向に延伸され配されていてもよく、あるいは、行列方向に格子状の形態や、他のレイアウトであってもよい。
補助電極200と電子輸送層124又は共通電極との接触態様の詳細については後述する。
[ホール注入層120]
画素電極119及上には、図2に示すように、ホール注入層120が積層されている。ホール注入層120は、画素電極119から注入されたホールをホール輸送層121へ輸送する機能を有する。
ホール注入層120は、基板100x側から順に、画素電極119上及び補助電極200上に形成された金属酸化物からなるホール注入層120Aと、後述する間隙522zR、間隙522zG、間隙522zB内のホール注入層120A上それぞれに積層された有機物からなるホール注入層120Bとを含む。色副画素、緑色副画素及び赤色副画素内に設けられたホール注入層120Aを、それぞれホール注入層120AB、ホール注入層120AG及びホール注入層120ARとする。また、青色副画素、緑色副画素及び赤色副画素内に設けられた上部層120Bを、それぞれ上部層120BB、上部層120BG及び上部層120BRとする。
本実施の形態では、後述する間隙522zR、間隙522zG、間隙522zB内では、ホール注入層120Bは列方向に延伸するように線状に設けられている構成を採る。補助間隙522zAには、ホール注入層120Bは設けられていない。
[バンク122]
図3に示すように、画素電極119、ホール注入層120A、補助電極200の端縁を被覆するように絶縁物からなるバンクが形成されている。バンクには、列方向に延伸して行方向に複数並設されている列バンク522Yと、行方向に延伸して列方向に複数並設されている行バンク122Xとがある(以後、行バンク122X、列バンク522Yを区別しない場合は「バンク122」と称する)。
列バンク522Yの形状は、列方向に延伸する線状であり、行方向に平行に切った断面は、上方を先細りとする順テーパー台形状である。列バンク522Yは、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの行方向への流動を堰き止めて形成される発光層123の行方向外縁を規定するものである。列バンク522Yは、行方向の基部により行方向における各副画素100seの発光領域100aの外縁を規定する。
行バンク122Xの形状は、行方向に延伸する線状であり、列方向に平行に切った断面は上方を先細りとする順テーパー台形状である。行バンク122Xは、各列バンク522Yを貫通するようにして行方向に設けられており、各々が列バンク522Yの上面522Ybよりも低い位置に上面を有する。そのため、行バンク122Xと列バンク522Yとにより、自己発光領域100aに対応する開口が形成されている。
[柱状絶縁体230]
柱状絶縁体230は、図3、図5に示すように、列バンク522Yの補助間隙522zA内の補助電極200の上において、少なくともそれぞれが列方向に離間した状態で複数配されている。さらに行方向に離間した状態で複数配されている構成であってもよい。本実施の形態では、1つの補助間隙522zA内の列方向の行バンク122X間において、一例として、行列方向にそれぞれ7×3個(21個)の柱状絶縁体230が形成されている。
柱状絶縁体230の形状は、図2に示すように、例えば、矩形形状の上面230aを有する柱状であり、行又は列方向に平行に切った断面は上方より下方が細くなる逆テーパー台形状である。柱状絶縁体230の側壁230cの接触層202表面に対する傾斜角φ(図13参照)は90°より大きく140°以下であることが好ましい。このとき、柱状絶縁体230の厚みに対する隣接する柱状絶縁体230の間隙の幅の比率は0.5以上2以下であることが好ましい。
なお、上面230aの形状上記に限られず、円形などであってもよい、また、行列方向における個数も上記には限定されない。例えば、列方向にのみ離間した状態で複数配されている構成としてもよい、また、補助間隙522zA内に行バンク122Xを設けず、例えば、図5において、行バンク122Xの存在する部分にも柱状絶縁体230を設ける構成としてもよい。
[ホール輸送層121]
図3に示すように、間隙522zR、522zG、522zB内におけるホール注入層120上には、ホール輸送層121が積層される。補助間隙522zAには、ホール輸送層121は設けられていない。また、行バンク122Xにおけるホール注入層120上にも、ホール輸送層121が積層される(不図示)。ホール輸送層121は、ホール注入層120Bに接触している。ホール輸送層121は、ホール注入層120から注入されたホールを発光層123へ輸送する機能を有する。間隙522zR、522zG、522zB内に設けられたホール輸送層121を、それぞれホール輸送層121R、ホール輸送層121G及びホール輸送層121Bとする。
本実施の形態では、後述する間隙522z内では、ホール輸送層121は、ホール注入層120Bと同様、列方向に延伸するように線状に設けられている構成を採る。しかしながら、ホール輸送層121は間隙522z内では列方向に断続して設けられている構成としてもよい。
[発光層123]
図3に示すように、ホール輸送層121上には、発光層123が積層されている。発光層123は、有機化合物からなる層であり、内部でホールと電子が再結合することで光を発する機能を有する。列バンク522Yにより規定された間隙522zR、間隙522zG、間隙522zB内では、発光層123は、列方向に延伸するように線状に設けられている。補助間隙522zAには、発光層123は設けられていない。赤色間隙522zR、緑色間隙522zG、青色間隙522zBには、それぞれ各色に発光する発光層123R、123G、123Bが形成されている。
各色の副画素100seにおいて、画素電極119と共通電極125との間に各色の発光層123が存在し、発光層123からの光を共振させて共通電極125側から出射させる光共振器構造が形成され、発光層123R、123G、123Bそれぞれから出射させる光の波長に応じて、発光層123上面と画素電極119上面との間の光学距離が設定され、各色に対応する光成分が強め合うように光共振器構造が形成されている。
発光層123は、画素電極119からキャリアが供給される部分のみが発光するので、層間に絶縁物である行バンク122Xが存在する範囲では、有機化合物の電界発光現象が生じない。そのため、発光層123は、行バンク122Xがない部分が自己発光領域100aとなり、行バンク122Xの側面及び上面122Xbの上方にある部分は非自己発光領域となる。
[電子輸送層124]
図3に示すように、列バンク522Y及び列バンク522Yにより規定された間隙522z内の発光層123上を被覆するように電子輸送層124が積層して形成されている。電子輸送層124については、表示パネル10の少なくとも表示領域全体に連続した状態で形成されている。電子輸送層124は、共通電極125からの電子を発光層123へ輸送するとともに、発光層123への電子の注入を制限する機能を有する。電子輸送層124は、基板100x側から順に金属酸化物又はフッ化物等からなる電子輸送層124Aと、電子輸送層124A上に積層された有機物を主成分とする電子輸送層124Bとを含む(以後において、電子輸送層124A、124Bを総称する場合は「電子輸送層124」と表記する)。
また、電子輸送層124は、図3、図5に示すように、補助電極200の接触層202及び接触層202補助電極200上を覆う柱状絶縁体230上にも形成される。電子輸送層124は、柱状絶縁体230の上面230aに形成されている。電子輸送層124は、隣接する柱状絶縁体230の間隙230b内における、間隙底部(補助電極200の接触層202上の柱状絶縁体230が存在しない部分)200bにも部分的に形成される。具体的には、電子輸送層124は、隣接する柱状絶縁体230の間隙底部200bにおける柱状絶縁体230の側壁230cの近傍のコンタクト面200c以外の部分200a(遮蔽部)に形成されており、電子輸送層124の堆積部124bを構成する。柱状絶縁体230の側壁230cの近傍のコンタクト面200cに位置する部分は欠落している欠落部124aとなる。あるいは、電子輸送層124のコンタクト面200cに位置する部分は欠落には至らないものの、電子輸送層124が薄層化している薄層化部となる。電子輸送層124の欠落部124aでは、補助電極200の接触層202が露出している。また、柱状絶縁体230の側壁230c上に位置する部分も欠落しているか又は薄層化している。
なお、電子輸送層124が薄層化しているとは、柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分が欠落するには至らないものの、電子輸送層124の一部分が1nm以下の膜厚に薄層化された薄層化部(不図示)が形成されていることを指す。
[共通電極125]
図3に示すように、電子輸送層124上に、共通電極125が形成されている。共通電極125は、各発光層123に共通の電極となっている。共通電極125Aは、画素電極119と対になって発光層123を挟むことで通電経路を作る。共通電極125は、発光層123へキャリアを供給し、例えば陰極として機能した場合は、発光層123へ電子を供給する。
共通電極125は、図3、図5に示すように、補助電極200上方の領域にも形成される。共通電極125は、隣接する柱状絶縁体230の間隙底部200bにおける電子輸送層124の欠落部124aにおいて露出している接触層202と直接接触している。あるいは、電子輸送層124の一部分が欠落するには至らないものの、電子輸送層124の欠落部124aが薄層化している場合には、共通電極125は、補助電極200上における電子輸送層124の薄層化している薄層化部において、薄層化部以外よりも低い電気抵抗にて補助電極200に電気的に接続されている。
共通電極125は、基板100x側から順に金属を主成分とする共通電極125Aと、共通電極125A上に積層された金属酸化物からなる共通電極125Bとを含む(以後において、共通電極125A、125Bを総称する場合は「共通電極125」と表記する)。
なお、共通電極125A、125Bの積層順についてはは、光学調整のために125Aと125Bの順番を入れ替える構成としてもよい。
[封止層126]
共通電極125を被覆するように、封止層126が積層形成されている。封止層126は、発光層123が水分や空気などに触れて劣化することを抑制するためのものである。封止層126は、共通電極125の上面を覆うように設けられている。また、ディスプレイとして良好な光取り出し性を確保するために高い透光性を有することが必要である。
[接合層127]
封止層126のZ軸方向上方には、上部基板130のZ軸方向下側の主面にカラーフィルタ層132が形成されたカラーフィルタ基板131が配されており、接合層127により接合されている。接合層127は、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルとカラーフィルタ基板131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。
[上部基板130]
接合層127の上に、上部基板130にカラーフィルタ層132が形成されたカラーフィルタ基板131が設置・接合されている。上部基板130には、表示パネル10がトップエミッション型であるため、例えば、カバーガラス、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。また、上部基板130により、表示パネル10、剛性向上、水分や空気などの侵入防止などを図ることができる。
[カラーフィルタ層132]
上部基板130には画素の各色自己発光領域100aに対応する位置にカラーフィルタ層132が形成されている。カラーフィルタ層132は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させるために設けられる透明層であり、各色画素から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。例えば、本例では、赤色間隙522zR内の自己発光領域100aR、緑色間隙522zG内の自己発光領域100aG、青色間隙522zB内の自己発光領域100aBの上方に、赤色、緑色、青色のフィルタ層132R、132G、132Bが各々形成されている。
[遮光層133]
上部基板130には、各画素の発光領域100a間の境界に対応する位置に遮光層133が形成されている。遮光層133は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させないために設けられる黒色樹脂層であって、例えば光吸収性及び遮光性に優れる黒色顔料を含む樹脂材料からなる。
<各部の構成材料>
各部の構成材料について、一例を示す。
[基板100x(TFT基板)]
基材100pとしては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
TFT層は、基材100pに形成されたTFT回路と、TFT回路上に形成された無機絶縁層(不図示)、平坦化層118とを有する。TFT回路は、基材上面に形成された電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。
TFTを構成するゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル層、チャネル保護層、ソース電極、ドレイン電極などには公知の材料を用いることができる。
基板100xの上面に位置する平坦化層118の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などの有機化合物を用いることができる。
[画素電極119]
画素電極119は、金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、厚みを最適に設定して光共振器構造を採用することにより出射される光の色度を調整し輝度を高めているため、画素電極119の表面部が高い反射性を有する。本実施の形態に係る表示パネル10では、画素電極119は、金属層、合金層、透明導電膜の中から選択される複数の膜を積層させた構造であってもよい。金属層としては、シート抵抗が小さく、高い光反射性を有する材料として、例えば、アルミニウム(Al)を含む金属材料から構成することができる。アルミニウム(Al)合金では、反射率が80〜95%と高く、電気抵抗率が、2.82×10-8(10nΩm)と小さく、画素電極119の材料として好適である。さらに、コスト面からアルミニウムを主成分として含む金属層、合金層を用いることが好ましい。
金属層としては、アルミニウム合金などの金属層の他、高反射率の観点から、例えば、銀(Ag)や銀を含む合金等を用いることができる。例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等を用いることができる。
画素電極119がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されるとき、酸化アルミニウム層が表面に形成される。
透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
[補助電極200]
補助電極200は、共通電極125との電気的な接続を図ることにより、共通電極125の電気抵抗を低減するための補助的な電極層である。そのため、補助電極200の下層201は、シート抵抗が小さい材料として、例えば、アルミニウム(Al)を主成分として含む金属層、合金層から構成することができる。例えば、アルミニウム(Al)合金では、電気抵抗率が、2.82×10-8(10nΩm)と小さく、さらに、コスト面から補助電極200の材料として好適である。補助電極200の下層201は、画素電極119と同じ材料により構成されていてもよい。
補助電極200の上面に位置する接触層202は、共通電極125との電気的な接続を図るとともに、発光素子の製造プロセスにおける補助電極200の表面酸化を抑制するための層である。そのため、コンタクト抵抗が小さく、かつ、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい材料から構成される。例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属又はそれらを主成分とする合金から構成されることが好ましい。補助電極200の下層201が、画素電極119と同じ材料により構成される場合には、接触層202は画素電極119の構成材料よりも酸化されにくい材料からなることが好ましい。
[ホール注入層120]
ホール注入層120Aは、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)などの酸化物からなる層である。ホール注入層120Aを遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。
ホール注入層120Bは、上述のとおり、例えば、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料の有機高分子溶液からなる塗布膜を用いることができる。
[バンク122]
バンク122は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク122の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク122は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。より好ましくは、アクリル系樹脂を用いることが望ましい。屈折率が低くリフレクターとして好適であるからである。
あるいは、バンク122は、無機材料を用いる場合には、屈折率の観点から、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることが好ましい。あるいは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用い形成される。
さらに、バンク122は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。
また、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。また、バンク122の形成にフッ素を含有した材料を用いてもよい。また、バンク122の表面に撥水性を低くするために、バンク122に紫外線照射を行う、低温でベーク処理を行ってもよい。
なお、バンク122については、行方向に平行に切った断面を上方を先細りとする順テーパー台形状とするために、例えば、ポジ型の感光性材料が用いられる。ここで、感光性材料は光が当たった部分のみが化学変化を起こす樹脂であり、ポジ型の感光性材料では露光した部分が現像液に溶け順テーパー台形状のバンクが形成される。
[柱状絶縁体230]
柱状絶縁体230は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。柱状絶縁体230の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。柱状絶縁体230は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。
あるいは、柱状絶縁体230は、無機材料を用いる場合には、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることが好ましい。あるいは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用い形成される。
さらに、柱状絶縁体230は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。
なお、柱状絶縁体230については、製造工程の途中で、行及び列方向に平行に切った断面を上方より下方が細くなる逆テーパー台形状とするために、例えば、ネガ型の感光性材料が用いられる。感光性材料は光が当たった部分のみが化学変化を起こす樹脂であり、ネガ型の感光性材料では露光した部分が現像液に溶けなくなる。そのため、ネガ型の感光性材料を用いると、柱状絶縁体230となるべき部分の中央部は、十分な光量により露光されるので、現像液に溶けなくなるが、その周辺部においては、光量は十分ではなく、周辺部の奥部では、光の強度が減衰する。このため、周辺部の奥部は、現像液に溶け、その結果、逆テーパー台形状の柱状絶縁体230が形成される。
[ホール輸送層121]
ホール輸送層121は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはアミン系有機高分子であるポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物、あるいは、TFB(poly(9、9-di-n-octylfluorene-alt-(1、4-phenylene-((4-sec-butylphenyl)imino)-1、4-phenylene))などを用いることができる。
[発光層123]
発光層123は、上述のように、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。発光層123の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
[電子輸送層124]
電子輸送層124には、電子輸送性が高い有機材料が用いられる。電子輸送層124Aは、フッ化ナトリウムで形成された層を含んでいてもよい。電子輸送層124Bに用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
また、電子輸送層124Bは、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、又は、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成された層を含んでいてもよい。
[共通電極125]
共通電極125Aは、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などを薄膜化した電極を用い形成される。
共通電極125Bは、光透過性を有する導電材料が用いられる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。
[封止層126]
封止層126は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
封止層126は、トップエミッション型の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
[接合層127]
接合層127の材料は、例えば、樹脂接着剤等からなる。接合層127は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性材料樹脂材料を採用することができる。
[上部基板130]
上部基板130としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等に透光性材料を採用することができる。
[カラーフィルタ層132]
カラーフィルタ層132としては、公知の樹脂材料(例えば市販製品として、JSR株式会社製カラーレジスト)等を採用することができる。
[遮光層133]
遮光層133としては、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる樹脂材料からなる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック顔料、チタンブラック顔料、金属酸化顔料、有機顔料など遮光性材料を採用することができる。
<表示パネル10の製造方法>
表示パネル10の製造方法について、図6〜11を用いて説明する。図6〜8、10、11における各図は、表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
[基板100xの準備]
配線110を含む複数のTFTや配線が形成された基板100xを準備する。基板100xは、公知のTFTの製造方法により製造することができる(図6(a))。
[平坦化層118の形成]
基板100xを被覆するように、上述の平坦化層118の構成材料(感光性の樹脂材料)をフォトレジストとして塗布し、表面を平坦化することにより平坦化層118を形成する(図6(b))。
平坦化層118を形成した後、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い平坦化層118を露光し、フォトマスクが有するパターンを転写する(不図示)。その後、現像によって、コンタクト孔118aをパターニングした平坦化層118を形成する。コンタクト孔118aの底部において配線110が露出する(不図示)。
[画素電極119及び補助電極200の下層201の形成]
コンタクト孔118aを開設した平坦化層118が形成された後、画素電極119及び補助電極200の下層201を形成する(図6(c))。
画素電極119及び補助電極200の形成は、スパッタリング法などを用い金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いパターニングすることでなされる。
具体的には、先ず、平坦化層118の表面に製膜前洗浄を行った後、画素電極119、補助電極200を形成するための画素電極用の金属膜119x気相成長法により平坦化層118の表面に製膜する。本例では、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金からなる膜をスパッタリング法により製膜する。
その後、感光性樹脂等からなるフォトレジスト層FRを塗布したのち、所定の開口部が施されたフォトマスクPMを載置し、その上から紫外線照射を行いフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写し、フォトレジスト層FRを現像によってパターニングする。その後、パターニングされたフォトレジスト層FRを介して、金属膜119xにウエットエッチング処理を施してパターニングを行い、画素電極119、補助電極200を形成する。
このとき、コンタクト孔118aの内壁に沿って金属膜を形成することにより画素電極119の接続凹部119cを形成する(不図示)。これより、画素電極119は、コンタクト孔118aの底部において露出した配線110と直接接触し、TFTの電極と電気的に接続された状態となる。
画素電極119は、平坦化層118のコンタクト孔118aの側面で段切れしないように、ステップカバレッジの優れた成膜方法(例えば、スパッタリング法やCVD法)により形成することが好ましい。また、ステップカバレッジの優れた成膜方法によっても画素電極119の膜厚が過度に薄いと、段切れが発生する可能性があるため、膜厚は、70nm以上で形成することが好ましい。本例では、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金からなる膜をスパッタリング法により製膜する。
[ホール注入層120Aの形成]
画素電極119及び補助電極200を形成した後、画素電極119上に対して、ホール注入層120Aを形成する(図6(d))。
ホール注入層120Aは、スパッタリング法あるいは真空蒸着法などの気相成長法を用いそれぞれ金属(例えば、タングステン)からなる膜を形成した後焼成によって酸化させ、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングすることで形成される。本例では、タングステンをスパッタリング法により製膜する構成とした。
ホール注入層120Aの形成において、ドライエッチング処理を行う理由は、例えば、酸化タングステン膜からなる金属層120A’と、例えば、アルミ系合金からなる金属膜119xとはウェットエッチングレートに大きな差があるため一括に処理することが困難であるため、酸化タングステンはアルゴンガス等でのドライエッチングを使用し、アルミ合金はウェットエッチングを本実施の形態では使用したがその限りではない。
本実施の形態の製造方法では、ホール注入層120Aを所定条件で製膜及び焼成することにより、酸素欠陥構造を持つ酸化タングステンを含む酸化タングステン膜からなるホール注入層120を成膜して上述の占有準位を形成する構成としている。
最後に、フォトレジスト層FRを剥離して、外形が同一形状にパターニングされた画素電極119及びホール注入層120Aの積層体を形成する。
なお、製膜の順序は、金属膜119xの表面に製膜前洗浄を行った後、ホール注入層120A用の金属層120A’を気相成長法により金属膜119xの表面に製膜した後、ドライエッチングとウエットエッチングを順次行う構成としてもよい。
具体的には、先ず、平坦化層118を形成した後、平坦化層118の表面に製膜前洗浄を行った後、画素電極119、補助電極200を形成するための画素電極用の金属膜119x気相成長法により平坦化層118の表面に製膜する、さらに、ホール注入層120Aを形成するためのホール注入層120A用の金属層120A’を気相成長法により金属膜119xの表面に製膜する、その後、感光性樹脂等からなるフォトレジスト層FRを塗布したのち、所定の開口部が施されたフォトマスクPMを載置し、その上から紫外線照射を行いフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写し、次に、フォトレジスト層FRを現像によってパターニングする。その後、パターニングされたフォトレジスト層FRを介して、金属層120A’にドライエッチング処理を施してパターニングを行い、ホール注入層120Aを形成する。続けて、パターニングされたフォトレジスト層FR及びホール注入層120Aを介して、金属膜119xにウエットエッチング処理を施してパターニングを行い、画素電極119、補助電極200を形成する。
[バンク122の形成]
ホール注入層120Aを形成した後、ホール注入層120Aを覆うようにバンク122を形成する。バンク122の形成では、先ず行バンク122Xを形成し、その後、間隙522zを形成するように列バンク522Yを形成する。
先ず、行バンク122の形成は、先ず、ホール注入層120A上に、スピンコート法などを用い、行バンク122Xの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして行バンク122Xを形成する(図6(e))。
行バンク122Xのパターニングは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)をすることによりなされる。
次に、列バンク522Yの形成工程では、ホール注入層120A上及び行バンク122X上に、スピンコート法などを用い、列バンク522Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、間隙522zの形成は、樹脂膜の上方にマスクを配して露光し、その後で現像することにより、樹脂膜をパターニングして間隙522zを開設して列バンク522Yを形成する(図6(f))。列バンク522Yは、列方向に延設され、行方向に間隙522zを介して並設される。
具体的には、列バンク522Yの形成工程では、先ず、有機系の感光性樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等からなる感光性樹脂膜を形成した後、乾燥し、溶媒をある程度揮発させてから、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い感光性樹脂等からなるフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する。次に、感光性樹脂を現像、によって列バンク522Yをパターニングした絶縁層を、焼成(約230℃、約60分)することにより形成する。一般にはポジ型と呼ばれるフォトレジストが使用される。ポジ型は露光された部分が現像によって除去される。露光されないマスクパターンの部分は、現像されずに残存する。
ここで、ホール注入層120Aは、上述のとおり、スパッタリング法あるいは真空蒸着法などの気相成長法を用い金属(例えば、タングステン)からなる膜を形成した後、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用い各画素単位にパターニングされるが、行バンク122X、列バンク522Yに対する焼成工程において、金属が酸化されホール注入層120Aとして完成する。
製造上、バンク122Xの上限膜厚は、1500nm以下で、製造時の膜厚バラツキがより小さくなると共にボトム線幅の制御が可能となる。また、下限膜厚は、膜厚が薄くなるとともに膜厚とボトム線幅とを同程度にする必要があり、下限膜厚が200nm以上で、解像度の制約による所望のボトム線幅を得ることが可能となる。したがって、バンク122の厚みは、製造プロセスの観点では、例えば、200nm以上1500nm以下であることが好ましい。本実施の形態ではバンク122Xの膜厚は、約500nmとした。
また、バンク522Yの上限膜厚は、製造上、コスト削減による生産性向上の観点から1500nm以下が望ましい。また、下限膜厚は、膜厚が薄くなるとともに膜厚とボトム線幅とを同程度にする必要があり、下限膜厚が1μm以上で、解像度の制約による所望のボトム線幅を得ることが可能となる。また溶液塗布をともなうプロセスの場合、下地の凹凸が膜厚の均一性が向上する。このことよりTFTの段差をできるだけ低減する必要があることより絶縁膜の下限膜厚が決定し500nm以上が好ましい。したがって、バンク522Yの厚みは、製造プロセスの観点では、例えば、500nm以上1500nm以下であることが好ましい。本実施の形態では約1000nmとした。
[補助電極200の接触層202の形成]
補助電極200の接触層202の形成は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい金属材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される補助間隙522zA内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる(図7(a))。形成方法はこれに限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。
補助電極200の接触層202の厚みは、共通電極125とのコンタクト抵抗を低減するための十分な断面積を得るために、数十nm以上1000nm以下であることが好ましい。
[柱状絶縁体230の形成]
補助電極200の接触層202を形成した後、接触層202の上面に複数の柱状絶縁体230を形成する。
先ず、柱状絶縁体230の形成は、先ず、補助電極200の接触層202が形成された基板100x上に、スピンコート法などを用い、柱状絶縁体230の構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして柱状絶縁体230を形成する(図7(b))(図7(c))(図7(d))。柱状絶縁体230のパターニングは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)をすることによりなされる。具体的には、柱状絶縁体230の形成工程では、先ず、有機系の感光性樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等からなる感光性樹脂膜230xを形成した後(図7(b))、乾燥し、溶媒をある程度揮発させてから、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い感光性樹脂等からなるフォトレジストを露光し(図7(c))、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する。柱状絶縁体230を形成する際の露光量により調整することにより、側壁230cの傾斜角φを制御できる。なお、側壁がいわゆる逆テーパー形状に制御することが望ましいため、柱状絶縁体230の形成においてはネガ型感光性樹脂材料を用いることが好ましい
次に、感光性樹脂を現像によって上面230aの形状をパターニングした絶縁体230xを、焼成(約230℃、約60分)することにより柱状絶縁体230を形成する(図7(d))。
製造上、柱状絶縁体230の上限膜厚は、製造上、コスト削減による生産性向上の観点から15000nm以下が望ましい。また、下限膜厚は、膜厚が薄くなるとともに膜厚とボトム線幅とを同程度にする必要があり、下限膜厚が1μm以上で、解像度の制約による所望のボトム線幅を得ることが可能となる。また溶液塗布をともなうプロセスの場合、下地の凹凸が膜厚の均一性が向上する。このことよりTFTの段差をできるだけ低減する必要があることより絶縁膜の下限膜厚が決定し500nm以上が好ましい。したがって、柱状絶縁体230の厚みは、製造プロセスの観点では、例えば、500nm以上15000nm以下であることが好ましい。
[補助電極200の接触層202の形成]
補助電極200の接触層202の形成は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい金属材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される補助間隙522zA内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる(図7(a))。塗布に用いるインクには数nmの金属微粒子を含むナノインクを用い、例えばインクジェット装置を用いてインクを塗布対象部分に向けて吐出することが好適である。しかしながら、形成方法はこれに限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。あるいは、スパッタリング法や蒸着法のような乾式法で成膜し、その後フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて接触層202を形成してもよい。
[有機機能層の形成]
行バンク122X上を含む列バンク522Yにより規定される間隙522z内に形成されたホール注入層120A上に対して、ホール注入層120B、ホール輸送層121、発光層123を順に積層形成する(図8(a))。
ホール注入層120Bは、インクジェット法を用い、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる。補助間隙522zAには、ホール注入層120Bは設けられていない。その後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングしてもよい。
ホール輸送層121は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる、あるいは、焼成することによりなされる。ホール輸送層121のインクを間隙522z内に塗布する方法は、上述したホール注入層120Bにおける方法と同じである。補助間隙522zAには、ホール輸送層121は形成されない。
発光層123の形成は、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク522Yにより規定される間隙522z内に塗布した後、焼成することによりなされる。具体的には、基板100xは、列バンク522YがY方向に沿った状態で液滴吐出装置の動作テーブル上に載置され、Y方向に沿って複数のノズル孔がライン状に配置されたインクジェットヘッド301をX方向に基板100xに対し相対的に移動しながら、各ノズル孔から列バンク522Y同士の間隙522z内に設定された着弾目標を狙ってインクの液滴18を着弾させることによって行う。ここでも。補助間隙522zAには、発光層123は形成されない。
また、この工程では、副画素形成領域となる間隙522zに、インクジェット法によりR、G、Bいずれかの有機発光層の材料を含むインク123RI、123GI、123BIをそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層123R、123G、123Bを形成する。このとき、発光層123のインクの塗布では、先ず、液滴吐出装置を用いて発光層123の形成するための溶液の塗布を行う。
基板100xに対して赤色発光層、緑色発光層、青色発光層の何れかを形成するためのインクの塗布が終わると、次に、その基板に別の色のインクを塗布し、次にその基板に3色目のインクを塗布する工程が繰り返し行われ、3色のインクを順次塗布する。これにより、基板100x上には、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層が、図の紙面横方向に繰り返して並んで形成される。
[電子輸送層124の形成]
発光層123を形成した後、用い表示パネル10の全面わたって、真空蒸着法などにより電子輸送層124を形成する(図8(b))。真空蒸着法を用いる理由は有機膜である発光層123に損傷を与えないためと、高真空化で行う真空蒸着法は成膜対象の分子が基板に向かって垂直方向に直進的に成膜されるためである、
電子輸送層124は、柱状絶縁体230の上面230aや柱状絶縁体230が設けられていない補助電極200上面の柱状絶縁体230間の間隙底部200bにも形成され、その際、柱状絶縁体230の側壁230cの近傍のコンタクト面200cに位置する一部分が欠落(段切れ)して、電子輸送層124が形成されない欠落部124aが生じる。そして、欠落部124aより補助電極200の接触層202の一部が露出する。欠落部124aより補助電極200の接触層202が露出している部分をコンタクト面200cとする。
あるいは、電子輸送層124の欠落には至らないものの、電子輸送層124が薄層化している部分において、それ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続されている。
本明細書では、欠落部124aより補助電極200の接触層202が露出している部分の他、電子輸送層124が薄層化しそれ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続されている部分をコンタクト面200cとする
電子輸送層124の膜厚が過度に薄いと、共通電極125から発光層123へ電子が直接移動し、発光層123への電子の注入を制限する機能を果たせない。従って、電子輸送層124の膜厚を10nm以上に形成することが好ましい。一方、電子輸送層124の厚膜化は、電子輸送層124の透過率を低下させ、段切れの発生を阻害する。電子輸送層124を通過する光を過度に減衰させないため、かつ、補助電極200の貫通孔122Ya内の補助電極200上において意図的に段切れを発生させるため、電子輸送層124の膜厚を40nm以下に形成することが好ましい。電子輸送層124の膜厚は、一例であり、上記数値に限られるものではなく、光学的な光取り出しとして最も有利となる適切な膜厚とする。
欠落部124aが生じる理由については後述する。
[共通電極125の形成]
電子輸送層124を形成した後、電子輸送層124を被覆するように、共通電極125を形成する(図8(d))。共通電極125は、基板100x側から順に金属を主成分とする共通電極125Aと、共通電極125A上に積層された金属酸化物からなる共通電極125Bとを含む。
このうち、先ず、共通電極125Aは、電子輸送層124を被覆するように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、又は真空蒸着法により形成する。本例では、共通電極125Aを真空蒸着法により銀を堆積することにより形成する構成としている。
次に、共通電極125Bは、共通電極125A上にスパッタリング法などにより形成する。本例では、共通電極125Bはスパッタリング法を用いてITO又はIZOなどの透明導電層を形成する構成としている。
共通電極125は、、柱状絶縁体230の上面230aや側壁230c上、圃場間隙522zA内の電子輸送層124上や補助電極200上にも形成される。その際、共通電極125は、電子輸送層124の欠落部124a内に回り込み、電子輸送層124の欠落部分において露出している補助電極200のコンタクト面200cに直接接触するように成膜する。これより、補助間隙522zA内において列方向に延伸する電子輸送層124の一部が欠落した欠落部124cを通して、補助電極200の一部と共通電極125とを確実にコンタクトされることができ、補助電極200と共通電極125とを電気的な接続を確保することができる。
あるいは、共通電極125は、電子輸送層124が薄層化している部分(薄層化部)に回り込み、それ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続される。
共通電極125が過度に薄いと、段切れ発生の要因にもなるため、共通電極125は膜厚を25nm以上に形成することが好ましい。一方、共通電極125の厚膜化は、共通電極125の透過率を低下させるため、共通電極125は膜厚を250nm以下に形成することが好ましい。
ここで、共通電極125の形成方法について、さらに説明する。
まず、図9を用いて、スパッタ装置600の概略構成について説明する。スパッタ装置600は、基板受け渡し室610、成膜室620、ロードロック室630を有し、成膜室620内で、マグネトロンスパッタ法によりスパッタリングを行う。成膜室620には、スパッタリングガスが導入されている。スパッタリングガスには、Ar(アルゴン)等の不活性ガスが用いられる。本実施形態においては、Arが用いられる。
スパッタ装置600内のキャリア621には、成膜対象の基板622が設置される。基板622は、基板受け渡し室610において、基板突き上げ機構611によりキャリア621に装着される。基板622が装着されたキャリア621は、基板受け渡し室610か
ら成膜室620を経由してロードロック室630まで、搬送路601上を一定の速度で直線移動する。本実施形態においては、キャリア621の移動速度は30mm/sである。なお、基板622は加温せず、常温でスパッタリングが行われる。
成膜室620内には、搬送路601に対して直交する方向に延びる、棒状のターゲット623が設置されている。本実施の形態においては、ターゲット623は、ITOである。なお、ターゲット623は、棒状である必要はなく、例えば、粉末状であってもよい。
電源624は、ターゲット623に対して電圧を印加する。なお、図12では電源624は交流電源であるが、直流電源、または、直流/交流のハイブリッド電源であってもよい。
排気系61によりスパッタ装置600内を排気し、ガス供給系62により成膜室620内にスパッタリングガスを導入する。電源624によりターゲット623に電圧を印加すると、スパッタリングガスのプラズマが発生し、ターゲット623の表面がスパッタされる。そして、スパッタされたターゲット623の原子を基板622上に堆積させることにより成膜する。
なお、スパッタリングガスであるArのガス圧は、例えば、0.6Paであり、流量は100sccmである。
[封止層126の形成]
共通電極125を形成した後、共通電極125を被覆するように、封止層126を形成する(図8(d))。封止層126は、CVD法、スパッタリング法などを用い形成できる。
[カラーフィルタ基板131の形成]
次に、カラーフィルタ基板131の製造工程を例示する。
透明な上部基板130を準備し、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる遮光層の材料(133X)を透明な上部基板130の一方の面に塗布する(図10(a))。
塗布した遮光層の材料の膜133´の上面に所定の開口部が施されたパターンマスクPMを重ね、その上から紫外線照射を行う(図10(b))。
その後、パターンマスクPM及び未硬化の遮光層133を除去して現像し、キュアすると、例えば、概矩形状の断面形状の遮光層133が完成する(図10(c))。
次に、遮光層133を形成した上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132(例えば、G)の材料132Gを塗布し(図10(d))、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行う(図10(e))。
その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Gを除去して現像すると、カラーフィルタ層132Gが形成される(図10(f))。
この工程を各色のカラーフィルタ材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層132R、132Bを形成する(図10(g))。以上でカラーフィルタ基板131が形成される。
[カラーフィルタ基板131と背面パネルとの貼り合わせ]
次に、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルに、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの紫外線硬化型樹脂を主成分とする接合層127の材料を塗布する(図11(a))。
続いて、塗布した材料に紫外線照射を行い、背面パネルとカラーフィルタ基板131との相対的位置関係を合せた状態で両基板を貼り合わせる。このとき、両者の間にガスが入らないように注意する。その後、両基板を焼成して封止工程を完了すると、表示パネル10が完成する(図11(b))。
<補助電極200と共通電極125とを直接接触させる構成>
[真空蒸着における段切れの発生]
以上、説明したように、表示パネル10では、真空蒸着法などにより電子輸送層124を成膜する際に、補助電極200の接触層202上面の隣接する柱状絶縁体230の間隙230bの底部200bにおける、柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分が欠落(段切れ)して、間隙底部200bの側壁230c近傍に電子輸送層124が形成されない欠落部124aが生じ、欠落部124aより補助電極200の間隙底部200bの一部が露出する。以下、電子輸送層124を成膜する際に、欠落部124aが生じる理由について説明する。
図12は、電子輸送層124の成膜に用いる蒸着装置500を示す模式図である。図12に示すように、蒸着装置500は、チャンバ510を備えている。チャンバ510におけるチャンバ排気口510aには真空ポンプ(不図示)が接続され、チャンバ510の中を真空に維持できるように構成されている。チャンバ510の内部空間は、仕切板520によって上下に仕切られ、仕切板520の上を基板100xが搬送されるようになっている。チャンバ510の側壁には、基板100xをチャンバ510内に搬入する搬入口511bと、基板100xをチャンバ510から搬出する搬出口511cが設けられている。基板100xは搬送手段512によって、搬入口511bから間欠的にチャンバ510内に搬入され、仕切板520上を通過して搬出口511cから搬出される。
チャンバ510内における仕切板520の下方には、蒸着物質を噴出させる蒸着源530が設置されている。蒸着源530はヒータ540を備えており、加熱により蒸着源530から噴出させる蒸着物質は、例えば、有機EL素子の機能層を形成する物質であって、有機物、無機物あるいは金属である。有機物としては、例えば、有機EL素子の機能層を形成する材料であり、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などが挙げられる。無機物としては、例えば、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属が挙げられる。また、陽極を形成するためには、Alをはじめとして、Ba、Ni、Li、Mg、Au、Agなどの金属材料、MgF2、SiO2、Cr23などの金属酸化物材料が挙げられる。
仕切板520には、この蒸着源530から放出される蒸着物質が通過する窓520aが開設され、この窓520aはシャッタ521によって開閉できるようになっている。このような蒸着装置500において、シャッタ521を開いた状態で、蒸着源530から蒸着物質を噴出しながら、基板100xを搬送することによって、蒸着源530から噴出される蒸着物質が窓520aを通って、基板100xの下面に蒸着される。このとき、蒸着源530と窓520aとの位置関係は、蒸着源530の中心から窓520aの中心を通る直線は基板100xの法線に対し角度θだけ傾いた状態を保持している。これにより、蒸着物質は蒸着時間を通して平均角度θの入射角にて基板100xに蒸着される。
チャンバ510の内部には、蒸着源530から基板100xに向けて蒸着物質が単位時間当たりに供給される量(蒸発レート)を測定するセンサ550が設置されている。センサ550によって測定される蒸着物質の蒸発レートを参照することによって、基板100xを搬送する速度などが設定される。なお、蒸着物質を基板100xにパターン蒸着する場合には、パターンが形成されたマスクを基板100xの下面側に設けて蒸着が行われる。
図13は、共通電極125成膜後の図4に示した補助電極200周辺の拡大図である。蒸着装置500を用いた電子輸送層124の成膜工程では、図12に示すように、基板100xに対する法線から角度θだけ傾いた位置に中心が配された蒸着源530を用いて蒸着が行われる。真空度が高い雰囲気で蒸着を行う真空蒸着法では蒸着物質は雰囲気中を直進する。蒸着装置500においては、蒸着物質は基板に対し角度θだけ傾いた蒸着源530の方向から蒸着物質が供給され基板100x上に堆積する。
表示パネル10では、上述のとおり、補助電極200上面に掲載された隣接する柱状絶縁体230の間には間隙230bが形成されている。間隙230bの開口の幅は、柱状絶縁体230の底面における幅W0は柱状絶縁体230の上面の高さにおける幅W0´に対し、W0´<W0であって、柱状絶縁体230の側壁230cの接触層202表面に対する傾斜角φは90°より大きく140°以下となるよう構成されている。
また、柱状絶縁体の厚みhに対する隣接する柱状絶縁体230の間隙の幅WOの比率は0.5以上2以下となるよう構成されることが好ましい。
このように、柱状絶縁体230を配置することにより、補助電極200の接触層202の上面における柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分では電子輸送層124が欠落して、端部124a1、a2間に電子輸送層が形成されない欠落部124aが形成される。欠落部124aでは、補助電極200の接触層202が露出している。
また、電子輸送層124bは、柱状絶縁体230間の間隙230bの底面における補助電極200上面の間隙底部200b内の欠落部124a下方を除く部分200a(遮蔽部)には形成される。この部分は、端部124a2、a2間に位置する。
このように、電子輸送層124は、柱状絶縁体230間の間隙230bの底面における補助電極200上面の間隙底部200b内において段切れしてコンタクト面200cが露出するように、比較的ステップカバレッジの劣る成膜方法(例えば、真空蒸着法)により形成される。
以上のとおり、実施の形態に係る表示パネル10の製造方法によると、共通電極125は電子輸送層124の欠落部124aに回り込むよう、補助電極200のコンタクト面200cに接触して形成される。これにより、発光層上の電子輸送層を共通層として成膜できるので、電子輸送層形成工程におけるマスク成膜などのパターニングが不要となり、簡易な製造プロセスを用いて、共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
また、電子輸送層124の欠落部124aが欠落には至らず薄層化している薄層化部についても、欠落部124aが生じる理由により電子輸送層124の一部分が欠落するには至らないものの段切れにより薄層化することにより生じる。この場合にも、共通電極125は、補助電極200上における電子輸送層124の薄層化している薄層化部において、薄層化部以外よりも低い電気抵抗にて補助電極200に電気的に接続される。
ここで、上述のとおり、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい材料から構成されているとともに、バンク122の形成や柱状絶縁体230の形成など焼成を伴うプロセスは、接触層202形成後に行われる工程順となる。そのため、補助電極200のコンタクト面200cが以降の製造プロセスにおいて酸化されることが抑制され、製造された表示パネル10において、欠落部124aを通した共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
[スパッタリング法やCVD法における回り込みの発生]
共通電極125を、CVD法、スパッタリング法などにより成膜する際に、共通電極125は、電子輸送層124の欠落部124a内に回り込み、電子輸送層124の欠落部分より露出している補助電極200のコンタクト面200cに直接接触する。以下、共通電極125の成膜について説明する。
共通電極125は、ステップカバレッジの優れた成膜方法(例えば、スパッタリング法やCVD法)により成膜されることにより、電子輸送層124の欠落部124a(端部124a1、a2間)に回り込んで形成される。その結果、図13に示すように、共通電極125は、柱状絶縁体230の間隙230b内の補助電極200上における電子輸送層124の欠落部124a(端部124a1、a2間)において露出している補助電極200の接触層202と直接接触するように形成される。
このとき、柱状絶縁体230の厚みhは、500nm以上15000nm以下、より好ましくは1000nm以上10000nm以下の範囲で形成される。また、間隙230bの底面における開口幅W0は、限定されないが2μm以上30μm以下の範囲で形成される。本実施の形態では、厚みhが約5μm、幅W0が6.5μmとしに対し、W0/hが6.5μm/5μm(1.3)としている。
したがって、柱状絶縁体230の柱状絶縁体230の厚みhに対する間隙230bの開口幅W0の比率は0.5以上2以下に構成されることが好ましい。
このような形状により、補助電極200の上に形成される電子輸送層124は、間隙230b内の間隙底部200bの一部において途切れて(断切れして)欠落部124aが形成される。詳細には、電子輸送層124では、補助電極200のコンタクト面200cが露出するように、端部124a1、a2間が離れて配置される。共通電極125は、この電子輸送層124の端部124a1、a2間の欠落部124aに回り込むように、補助電極200のコンタクト面200cに接触して形成される。あるいは、補助電極200上における電子輸送層124の薄層化部において、薄層化部以外よりも低い電気抵抗にて補助電極200に電気的に接続される。
これにより、補助電極200が、コンタクト面200cを通した接続により補助電極200と共通電極125との接続における電気抵抗を低減することができる。その結果、補助電極200と共通電極125との接合部分での電圧効果が抑制して発光効率を向上させるとともに、画面中央部での輝度低下が抑えられ輝度ムラを低減することができる。
<表示パネル10の効果>
以下、表示パネル10から得られる効果について説明する。
本実施の形態に係る表示パネル10は、基板上の行方向に隣接する画素電極119の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸して配された補助電極200と、補助電極200上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体230と、発光層123上および複数の柱状絶縁体230に跨って設けられた電子輸送層124と、電子輸送層124上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極125と、を備え、補助電極200は、少なくとも柱状絶縁体230が存在しない上面部分202bに、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層202を含み、電子輸送層124は、補助電極100上の柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分124aが欠落しているか又は薄層化していることを特徴とする。
また、共通電極125は、電子輸送層124の欠落により露出している接触層202と接触しているか、又は電子輸送層124が薄層化している部分において、それ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、補助電極200における柱状絶縁体230が存在しない上面部分202bは、隣接する柱状絶縁体230の間の間隙230bの底部である構成としてもよい。
また、補助電極200は、画素電極119の構成材料と同じ材料からなる下層201と、下層201の上面に列方向に延伸して配された接触層202からなる構成としてもよい。
係る構成により、補助電極200の上に形成される電子輸送層124の一部において途切れて(断切れして)一部分が欠落しているか欠落部124a又は薄層化している薄層化部が形成されるとともに、共通電極125は、この電子輸送層124の欠落部124aに回り込むように、補助電極200のコンタクト面200cに接触して形成される。あるいは、電子輸送層124の欠落には至らないものの、電子輸送層124が薄層化している部分において、それ以外の電子輸送層124の部分よりも低い抵抗にて補助電極200に電気的に接続されている。
そのため、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに面内の輝度ムラを抑制した有機EL表示パネルを提供することができる。
また、隣接する柱状絶縁体230の厚みに対する柱状絶縁体230の間隙230bの幅の比率は0.5以上2以下である構成であってもよい。また、電子輸送層124は、柱状絶縁体230の上面230a、及び補助電極200上の柱状絶縁体230が存在しない部分における柱状絶縁体230の側壁230c近傍以外には存在しており、柱状絶縁体230の側壁230c上に位置する部分は欠落しているか又は薄層化している構成であってもよい。
係る構成により、専用の工程を設けない簡易な製造プロセスにより、補助電極200上の柱状絶縁体230の側壁230cの近傍に位置する間隙底部200b内において機能層124を段切れさせて欠落部124aを形成し、欠落部124aから補助電極200の接触層202のコンタクト面200が露出する構造を実現することができる。
また、補助電極200のコンタクト面200cは、コンタクト抵抗が小さく、かつ、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい材料から構成されているので、欠落部124cを通した共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法は、基板100xを準備する工程と、基板上に複数の画素電極119を行列状に配する工程と、基板上の行方向に隣接する画素電極119の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸する補助電極200を形成する工程と、少なくとも補助電極200上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体230を形成する工程と、各画素電極119上に有機発光材料を含む発光層123を形成する工程と、真空蒸着法により、発光層123上および複数の柱状絶縁体230に跨る電子輸送層124を形成する工程と、スパッタリング法またはCVD法により、電子輸送層124上に連続して延伸する共通電極125を形成する工程とを含み、補助電極200を形成する工程では、少なくとも柱状絶縁体230が存在しない部分200bに、画素電極129の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層202を選択的に形成することを特徴とする。
係る構成により、真空蒸着法などにより電子輸送層124を成膜する際に、補助電極200の接触層202上面の隣接する柱状絶縁体230の間隙230bの底部200bにおける、柱状絶縁体230の側壁230c近傍に位置する一部分が欠落(段切れ)して、間隙底部200bの側壁230c近傍に電子輸送層124が形成されない欠落部124aが生じ、欠落部124aより補助電極200の間隙底部200bの一部が露出する。
共通電極125は、欠落部124aに回り込むよう、補助電極200のコンタクト面200cに接触して形成される。これにより、発光層123上の電子輸送層124を共通層として成膜できるので、電子輸送層形成工程におけるマスク成膜などのパターニングが不要となり、簡易な製造プロセスを用いて、共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに輝度ムラを抑制する有機EL表示パネルを製造することができる。
また、基板上の行方向に隣接する画素電極119の間隙に列方向に延伸するバンク122を形成する工程を備え、バンク122を形成する工程の後に、接触層202を形成する構成であってもよい。
係る構成により、バンク122の形成など焼成を伴うプロセスは、補助電極200の接触層202形成後に行われる工程順となるため、補助電極200のコンタクト面200cが以降の製造プロセスにおいて酸化されることが抑制され、製造された表示パネル10において、共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
さらに、発光層123形成前に、補助電極200の接触層202やバンク122を形成するため、接触層202やバンク122形成工程において発光層123の耐熱温度以上の熱負荷をかけることが可能となる。
また、発光層123形成前に、補助電極200の接触層202やバンク122を形成するため、水分や酸素に脆弱な発光層が劣化しないように真空環境や窒素環境を用意することが不要となり、一般大気環境で補助電極200形成が行える。
また、従来、レーザー光を照射して電子輸送層124など有機機能層の一部を除去する際、除去すべき機能層にレーザー光を照射すると下地となる補助電極200に透過光による損傷が生じ、有機EL素子の性能が低下するという課題があった。レーザー光の照射により補助電極200が損傷した場合には、例えば、バリが出てバリの部分で後工程における封止に欠陥が生じて信頼性が低下したり、補助電極200の膜厚が変化して補助電極200の高抵抗化が生じたり、最悪のケースでは補助電極200が消失して断線による機能低下が生じる場合があった。これに対し、上記製造方法では、レーザー加工等を用いないため、加工時における発塵の発生を防止できる。
また、上部電極低抵抗化のための追加工程が補助電極200の接触層202とバンク122形成の2工程だけであり、簡便に共通電極125の低抵抗化が図ることができる。
また、接触層は、画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金を含むインクを、画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸する列状領域内に塗布しインクに含まれる溶媒を蒸発させることにより形成する構成としてもよい。
係る構成により、マスク成膜などのパターニングを用いることなく、少なくとも柱状絶縁体230が存在しない下地の上面部分202bに選択的に接触層202を形成することができる。
補助電極200の上に形成される電子輸送層124は、隣接する柱状絶縁体230の間隙230bの間隙底部200bの側壁230c近傍に電子輸送層124が形成されない欠落部124aが形成されるとともに、共通電極125は、この電子輸送層124の欠落部124aに回り込むように、補助電極200のコンタクト面200cに接触して形成される構造を実現できる。
また、補助電極200のコンタクト面200cは、補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい材料から構成されているので、接触層202形成後の製造プロセスにおいて補助電極200のコンタクト面200cの酸化を抑制できる。その結果、製造された表示パネル10において、欠落部124cを通した共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減できる。
また、表示パネル10の製造方法では、発光層123の形成においては、印刷法を用いて画素電極119にのみ発光層123を選択的に形成し、補助電極200の上方には発光層123は形成されない構成としている。
表示パネル10の製造方法では、各色の発光層123R、G、Bは印刷法によりそれぞれの副画素に対応する間隙522zR、G、Bのみに選択的に形成される構成を採る。さらに、発光層123以外に機能層であるホール注入層120B、ホール輸送層121についても、同様に間隙522zR、G、Bのみに選択的に形成される構成を採る。したがって、補助電極200が存在する補助間隙522zAには発光層123が形成されない構成を採ることに対し、マスキング等特段の製造設備や工程を要しない。そのため、表示パネル10の製造方法では、特段の製造コスト等を要することなく発光層123を補助電極200の上方には形成しない構成を実現できる。
<表示装置1の回路構成>
以下では、実施の形態に係る有機EL表示装置1(以後、「表示装置1」と称する)の回路構成について、図11を用い説明する。
図14に示すように、表示装置1は、有機EL表示パネル10(以後、「表示パネル10」と称する)と、これに接続された駆動制御回路部20とを有して構成されている。
表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)パネルであって、複数の有機EL素子が、例えば、マトリクス状に配列され構成されている。駆動制御回路部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とにより構成されている。
<表示パネル10の回路構成>
表示パネル10においては、複数の単位画素100eが行列状に配されて表示領域を構成している。各単位画素100eは、3個の有機EL素子、つまり、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に発行する3個の副画素100seから構成される。各副画素100seの回路構成について説明する。図15は、表示装置1に用いる表示パネル10の各副画素100seに対応する有機EL素子100における回路構成を示す回路図である。
図15に示すように、本実施の形態に係る表示パネル10では、各副画素100seが2つのトランジスタTr1、Tr2と一つのキャパシタC、及び発光部としての有機EL素子部ELとを有し構成されている。トランジスタTr1は、駆動トランジスタであり、トランジスタTr2は、スイッチングトランジスタである。
スイッチングトランジスタTr2のゲートG2は、走査ラインVscnに接続され、ソースS2は、データラインVdatに接続されている。スイッチングトランジスタTr2 のドレインD2は、駆動トランジスタTr1のゲートG1に接続されている。
駆動トランジスタTr1のドレインD1は、電源ラインVaに接続されており、ソースS1は、有機EL素子部ELの画素電極(アノード)に接続されている。有機EL素子部ELにおける共通電極(カソード)は、接地ラインVcatに接続されている。
なお、キャパシタCの第1端は、スイッチングトランジスタTr2のドレインD2及び駆動トランジスタTr1のゲートG1と接続され、キャパシタCの第2端は、電源ラインVaと接続されている。
表示パネル10においては、隣接する複数の副画素100se(例えば、赤色(R)と緑色(G)と青色(B)の発光色の3つの副画素100se)を組み合せて1つの単位画素100eを構成し、各単位画素100eが分布するように配されて画素領域を構成している。そして、各副画素100seのゲートG2からゲートラインが各々引き出され、表示パネル10の外部から接続される走査ラインVscnに接続されている。同様に、各副画素100seのソースS2からソースラインが各々引き出され表示パネル10の外部から接続されるデータラインVdatに接続されている。
また、各副画素100seの電源ラインVa及び各副画素100seの接地ラインVcatは集約されて、表示装置1の電源ライン及び接地ラインに接続されている。
<変形例>
実施の形態に係る表示パネル10を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として、表示パネル10の変形例を説明する。
(1)変形例1
変形例1に係る表示パネル10Aについて説明する。実施の形態に係る表示パネル10では、補助電極200は、画素電極119の構成材料と同じ材料からなる下層201と、下層201の上面に列方向に延伸して配された、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層202からなり、柱状絶縁体230が接触層202の上方に配された構成としている。すなわち、平面視において柱状絶縁体230と接触層202とが重なっている構成を採る。
しかしながら、平面視における補助電極200の接触層202との位置関係については、実施の形態の態様に限定されるものでなく適宜変更した構成としてもよい。図16は、変形例1に係る有機EL表示パネル10Aを図1のA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。図16に示すように、表示パネル10Aでは、補助電極200Aは、柱状絶縁体230が上方に配され、画素電極119の構成材料と同じ材料からなる下層201と、下層201の上面における平面視において柱状絶縁体230が存在しない部分に島状に配された接触層202Aからなる構成を採る。すなわち、補助電極200の接触層202Aは、補助間隙522ZAにおいて柱状絶縁体230が設けられていない補助電極200上面の柱状絶縁体230間の間隙底部200bに島状に配されている。
係る表示パネル10Aは、柱状絶縁体230を形成した後に、隣接する柱状絶縁体230の間隙230b内に、補助電極200Aの下層201の構成材料よりも酸化されにくい金属材料を含むインクを塗布した後、溶媒を揮発除去させ、焼成することにより容易に製造することができる。
また、変形例1に係る表示パネル10Aは、実施の形態と同様に、簡易な製造プロセスを用いて製造でき共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗を低減するとともに、接触層202の構成材料の使用量を低減できる。上述のとおり、接触層202Aは、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなり、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属又はそれらを主成分とする合金から構成される。そのため、接触層202Aを間隙底部200bにのみ設け柱状絶縁体230底部の共通電極125との接触が得られない部分には使用しない構造を採ることにより、材料コストを低減することができる。
また、変形例1に係る表示パネル10Aの製造方法では、基板上の行方向に隣接する画素電極119の間隙に列方向に延伸するバンク122を形成する工程を備え、バンク122の形成及び柱状絶縁体230を形成する形成する工程の後に、接触層202を形成する構成を採る。
これより、柱状絶縁体230の形成など焼成を伴うプロセスは、接触層202形成後に行われる工程順となるため、補助電極200のコンタクト面200cが以降の製造プロセスにおいて酸化されることがより一層抑制される。その結果、製造された表示パネル10において、共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗をさらに低減できる。
(2)変形例2
平面視における補助電極200の接触層202との位置関係については、別の構成を採ってもよい。図17は、変形例2に係る有機EL表示パネル10Bを図1のA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。図17に示すように、表示パネル10Bでは、補助電極200Bは、画素電極119の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層のみから構成され、列方向に延伸して配され柱状絶縁体230が接触層の上方に配された構成としている。
係る表示パネル10Bは、バンク122及び柱状絶縁体230を形成する前に、平坦化層118の上面に補助電極200の下層201の構成材料よりも酸化されにくい金属材料を気相成長法により製膜するか、あるいは、当該金属材料を含むインクを塗布した後、溶媒を揮発除去させ、焼成することにより容易に製造することができる。
係る構成により、実施の形態と同様に、簡易な製造プロセスを用いて製造でき共通電極125と補助電極200との電気的接続における電気抵抗の低減することができる。
<その他の変形例>
実施の形態1に係る表示パネル10では、補助間隙522zAに設けられた柱状絶縁体230は、図1、2に示すように、平面視において矩形の断面形状を有する複数の柱状絶縁体230が所定の間隔で列方向に3列に配されている構成としている。しかしながら、柱状絶縁体230は、一列に配されていてもよく、また、2列であってもよい。また、柱状絶縁体230の平面視における断面形状は矩形以外に他の形状であってもよい。
また、表示パネル10では、発光層123は、行バンク上を列方向に連続して延伸している構成としている。しかしながら、上記構成において、発光層123は、行バンク上において画素ごとに断続している構成としてもよい。
表示パネル10では、行方向に隣接する列バンク522Y間の間隙522zに配された副画素100seの発光層123が発する光の色は互いに異なる構成とし、列方向に隣接する行バンク122X間の間隙に配された副画素100seの発光層123が発する光の色は同じである構成とした。しかしながら、上記構成において、行方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色は同じであり、列方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。また、行列方向の両方において隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。
実施の形態に係る表示パネル10では、画素100eには、赤色画素、緑色画素、青色画素の3種類があったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層が1種類であってもよいし、発光層が赤、緑、青、黄色に発光する4種類であってもよい。
また、上記実施の形態では、画素100eが、マトリクス状に並んだ構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、画素領域の間隔を1ピッチとするとき、隣り合う間隙同士で画素領域が列方向に半ピッチずれている構成に対しても効果を有する。高精細化が進む表示パネルにおいて、多少の列方向のずれは視認上判別が難しく、ある程度の幅を持った直線上(あるいは千鳥状)に膜厚むらが並んでも、視認上は帯状となる。したがって、このような場合も輝度むらが上記千鳥状に並ぶことを抑制することで、表示パネルの表示品質を向上できる。
また、上記実施の形態では、画素電極119と共通電極125の間に、ホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123及び電子輸送層124が存在する構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ホール注入層120、ホール輸送層121及び電子輸送層124を用いずに、画素電極119と共通電極125との間に発光層123のみが存在する構成としてもよい。また、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などを備える構成や、これらの複数又は全部を同時に備える構成であってもよい。また、これらの層はすべて有機化合物からなる必要はなく、無機物などで構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、発光層123の形成方法としては、印刷法、スピンコート法、インクジェット法などの湿式成膜プロセスを用いる構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等の乾式成膜プロセスを用いることもできる。さらに、各構成部位の材料には、公知の材料を適宜採用することができる。
上記の形態では、EL素子部の下部にアノードである画素電極119が配され、TFTのソース電極に接続された配線110に画素電極119を接続する構成を採用したが、EL素子部の下部に共通電極、上部にアノードが配された構成を採用することもできる。この場合には、TFTにおけるドレインに対して、下部に配されたカソードを接続することになる。
また、上記実施の形態では、一つの副画素100seに対して2つのトランジスタTr1、Tr2が設けられてなる構成を採用したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、一つのサブピクセルに対して一つのトランジスタを備える構成でもよいし、三つ以上のトランジスタを備える構成でもよい。
さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型のEL表示パネルを一例としたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、ボトムエミッション型の表示パネルなどに適用することもできる。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。
実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
本発明に係る有機EL表示パネル、及び有機EL表示装置は、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの装置、又はその他表示パネルを有する様々な電子機器に広く利用することができる。
1 有機EL表示装置
10 有機EL表示パネル
100 有機EL素子
100e 単位画素
100se 副画素
100a 自己発光領域
100b 非自己発光領域
100x 基板(TFT基板)
118 層間絶縁層
119 画素電極
120 ホール注入層
120A ホール注入層(下部層)
120B ホール注入層(上部層)
121 ホール輸送層
122 絶縁層
122X 行絶縁層
122Xb 上面
122Y 列絶縁層
522Y 列バンク
123 発光層
124 電子輸送層
124a 欠落部
124b 堆積部
125 共通電極
126 封止層
127 接合層
128 カラーフィルタ層
130 上部基板
131 CF基板
200 補助電極
200a 遮蔽部
200b 間隙底部
200c コンタクト面
230 柱状絶縁体
230a 上面
230b 柱状絶縁体の間隙
230c 側壁
522z 列バンク間の間隙
522zA 補助間隙

Claims (15)

  1. 基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、
    前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸して配された補助電極と、
    前記補助電極上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体と、
    前記発光層上および複数の前記柱状絶縁体に跨って設けられた機能層と、
    前記機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極と、を備え、
    前記補助電極は、少なくとも前記柱状絶縁体が存在しない上面部分に、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層を含み、
    前記機能層は、前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落しているか又は薄層化しており、
    前記共通電極は、前記機能層の欠落により露出している前記接触層と接触するか、前記機能層が薄層化している部分において、それ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記補助電極に電気的に接続されている
    有機EL表示パネル。
  2. 前記柱状絶縁体が存在しない上面部分は、隣接する前記柱状絶縁体の間の間隙の底部である
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記柱状絶縁体の厚みに対する隣接する前記柱状絶縁体の間隙の幅の比率は0.5以上2以下である
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 前記柱状絶縁体の側壁の接触層表面に対する傾斜角は90°より大きく140°以下である
    請求項1から3の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  5. 前記機能層は、前記柱状絶縁体の上面、及び前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍以外には存在しており、前記柱状絶縁体の側壁上に位置する部分は欠落しているか又は薄層化している
    請求項1から4の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  6. 前記補助電極は、前記画素電極の構成材料と同じ材料からなる下層と、前記下層の上面に列方向に延伸して配された前記接触層からなる、
    請求項1から5の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  7. 前記補助電極は、
    前記柱状絶縁体が上方に配され、前記画素電極の構成材料と同じ材料からなる下層と、前記下層の上面における平面視において前記柱状絶縁体が存在しない部分に島状に配された前記接触層からなる、
    請求項1から6の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  8. 前記補助電極は、列方向に延伸する前記接触層のみからなる
    請求項1から5の何れか1項に記載の有機EL表示パネル。
  9. 有機EL表示パネルの製造方法であって、
    基板を準備する工程と、
    前記基板上に複数の画素電極を行列状に配する工程と、
    前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列方向に延伸する補助電極を形成する工程と、
    少なくとも前記補助電極上にそれぞれが列方向に離間した状態で複数配された柱状絶縁体を形成する工程と、
    各前記画素電極上に有機発光材料を含む発光層を形成する工程と、
    真空蒸着法により、前記発光層上および複数の前記柱状絶縁体に跨る機能層を形成する工程と、
    スパッタリング法またはCVD法により、前記機能層上に連続して延伸する共通電極を形成する工程と、
    を含み、
    前記補助電極を形成する工程では、少なくとも前記柱状絶縁体が存在しない上面部分に、前記画素電極の構成材料よりも酸化しにくい金属又はその合金からなる接触層を形成する
    有機EL表示パネルの製造方法。
  10. さらに、前記基板上の行方向に隣接する画素電極の間隙に列方向に延伸する列バンクを形成する工程を備え、
    前記バンクを形成する工程の後に、前記接触層を形成する
    請求項9に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  11. さらに、前記柱状絶縁体を形成する工程の後に、前記接触層を形成する
    請求項10に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  12. 前記機能層を形成する工程では、前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍に位置する一部分が欠落しているか又は薄層化するように前記機能層が形成され、
    前記共通電極を形成する工程では、前記機能層の欠落により露出している前記接触層と前記共通電極とが直接接触するように、前記機能層が薄層化している部分ではそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗で前記共通電極が前記補助電極に電気的に接続されるように前記共通電極が形成される
    請求項9から11の何れか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  13. 前記機能層を形成する工程では、前記柱状絶縁体の上面、及び前記補助電極上の前記柱状絶縁体の側壁近傍以外には存在し、前記柱状絶縁体の側壁上に位置する部分は欠落しているか又は薄層化するように前記機能層が形成される
    請求項9から12の何れか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  14. 前記柱状絶縁体の厚みに対する隣接する前記柱状絶縁体の間隙の幅の比率は0.5以上2以下である
    請求項9から13の何れか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  15. 前記柱状絶縁体の側壁の接触層表面に対する傾斜角は90°より大きく140°以下である
    請求項9から14の何れか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
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WO2023070521A1 (zh) * 2021-10-26 2023-05-04 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 显示面板及其制备方法、电子设备
JP2023085220A (ja) * 2021-12-08 2023-06-20 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 電界発光表示装置およびその製造方法

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