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JP2020011951A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔内で泡がはじけるような独特な感覚によって高い洗浄実感を与える口腔用組成物を提供する。【解決手段】(A)シチュアンペッパー抽出物、(B)シネオール及び(C)(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれる1種以上を含有する口腔用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内で泡がはじけるような独特な感覚によって高い洗浄実感を与える口腔用組成物に関する。
歯磨剤等の口腔用組成物において、使用時や使用後に口腔内が洗浄され、さっぱりしたと満足に実感できる効果感を与えることは、継続使用を促し日常的な歯周病、口臭等の予防又は抑制にも繋がり、効果向上を期待することもできる。このような観点から、口腔用組成物の使用者に、より一層満足してもらえるよう、洗浄実感等の効果感を更に改善して嗜好性の高い口腔用組成物を開発することが望まれる。
口腔用組成物に用いられる香料成分には、使用時や使用後のさっぱり感付与のためにメントールや冷感剤等が配合されているが、苦味や刺激を伴う場合や、さっぱり感が不十分な場合もあった。
また、香辛料成分であるスピラントール、トウガラシ等を香料成分として配合することにより、収斂感や辛味、苦味等の味的刺激の感覚を与えることで、さっぱり感を補強し、口腔用組成物に配合されている薬効を与える各種有効成分の効果感を演出できることが知られているが、これら香料成分には刺激や苦味が強いものもあり、歯周病予防等の薬用タイプの製品に限られることが多かった。
特許文献1(特許第5251350号公報)は、メントール等の清涼感付与剤及び特定の冷感付与剤と塩化ナトリウム等とを組み合わせて配合することで、清涼感を向上し、苦味や嫌味を抑制できること、更にスピラントール、唐辛子等を添加すると苦味や嫌味がより和らぐことを提案している。特許文献2(特許第5748626号公報)では、口腔用組成物に殺菌剤と共にサンショウエキス及びグアイアコール等を特定割合で配合すると、薬効感、効果感及び嫌味のマスキング性が改善し嗜好性も良好となることを提案している。特許文献3(特許第5897843号公報)は、特定の香辛料抽出物を含有する口腔用組成物、特にチューインガムに、ミント香料、メントール及びクーリングエンハンサーをそれぞれ特定量配合すると、ミントの味感及び爽やかさが持続することを提案している。特許文献4(特開2015−43769号公報)は、ヒドロキシ−α−サンショール及び/又は2−フェニルブタノールを含有する経口組成物、好ましくはチューインガムやキャンディーが、唾液分泌効果、湿潤効果等に優れることを提案している。
特許第5251350号公報 特許第5748626号公報 特許第5897843号公報 特開2015−43769号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内で泡がはじけるような独特な感覚によって高い洗浄実感を与える口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)シチュアンペッパー抽出物と、(B)シネオールと、(C)(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれる1種以上とを組み合わせて口腔用組成物に配合すると、口腔内で泡がはじけるような独特な感覚によって高い洗浄実感を付与することができ、また、嫌味が抑制されて味も良いことを知見し、本発明をなすに至った。
更に詳述すると、本発明では、(A)、(B)及び(C)成分を組み合わせた香料組成によって、口腔用組成物を使用時に口に含んだときに口腔内で泡がはじけるような、例えば一般的な界面活性剤による起泡ではなく、いわゆる炭酸発泡のような独特な感覚(発泡感)が感じられ、しかも、前記感覚が使用後に口を濯いでも持続し、このような特異な発泡感覚によって、口腔内が洗浄されたように感じられる効果感を与えることができた。また、(A)、(B)及び(C)成分は、それぞれ刺激や苦味等を有するが、(A)、(B)及び(C)成分を組み合わせることで、各香料成分による上記不快な味等を嫌味として感じさせることなく抑制し、嫌味のない良い味を与えることもできた。
本発明では、更に(D)冷感剤を添加すると、特に使用後の上記洗浄実感をより向上することもできた。
本発明の口腔用組成物は、従来のメントール等の清涼感付与成分によるさっぱり感や効果感とは異なる、上記特有な発泡感覚によって高い洗浄実感を与え、味も良いことから、高い嗜好性を期待できる。
後述の比較例の結果からも明らかなように、本発明にかかわる(A)、(B)及び(C)成分のうちのいずれかを含まないと、使用中及び使用後の洗浄実感(発泡感)が弱く、口腔用香料として一般的な清涼感を与えるメントール、更にはエタノールを含有していても上記のように洗浄実感が弱く、劣った(比較例1〜9)。これに対して、実施例に示すように、本発明の(A)、(B)及び(C)成分を含有する口腔用組成物(実施例1〜44)は、使用中及び使用後の洗浄実感が優れ、嫌味のなさも優れていた。
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)シチュアンペッパー抽出物、
(B)シネオール
及び
(C)(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
〔2〕
(B)/(A)が質量比として0.2〜500である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
(C)成分として(C1)成分を含有する場合、(C1)/(A)が質量比として0.01〜50であり、(C2)成分を含有する場合、(C2)/(A)が質量比として1〜3,000である〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(A)成分の含有量が純分として0.001〜0.1質量%である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(B)成分の含有量が0.01〜2質量%である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
(C1)成分を含有する場合、その含有量が0.001〜0.2質量%であり、(C2)成分を含有する場合、その含有量が0.05〜10質量%である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
更に、(D)冷感剤を0.001〜2質量%含有する〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
(D)冷感剤が、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド及びN−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドから選ばれる1種以上のp−メンタン−3−カルボキサミド類である〔7〕に記載の口腔用組成物。
〔9〕
更に、(E)界面活性剤を0.1〜5質量%含有する〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔10〕
歯磨剤、洗口剤又はマウススプレー剤である〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
本発明によれば、口腔内で泡がはじけるような独特な感覚によって高い洗浄実感を与え、また、嫌味が抑制されて味も良い口腔用組成物を提供できる。前記口腔用組成物は、上記洗浄実感によって満足な効果感を与え、多種多様な用途の口腔製品使用者の嗜好を捉えるものと期待でき、特に歯肉炎等の歯周病ケアや口臭予防の用途に好適である。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)シチュアンペッパー抽出物、(B)シネオール、及び(C)(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれる1種以上を含有する。本発明では、口腔用組成物において、香料成分である(A)、(B)及び(C)成分の組み合わせが洗浄実感付与剤として作用する。
本発明において、「洗浄実感」とは、口に含んだとき口腔内で泡がはじけるような感覚(発泡感)によって口腔内が洗浄されたように感じられる実感である(以下同様)。
(A)シチュアンペッパー抽出物の原料となるシチュアンペッパーは、一般的には花椒の別名で知られ、中国のミカン科サンショウ属の落葉低木である華北山椒(学名:Zanthoxylum bungeanum、英名:Sichuan pepper)の果皮を乾燥させたものを使用することができる。シチュアンペッパー抽出物としては、上記原料を使用し、公知の方法で得られる精油、エキス等の抽出物を使用でき、例えば、市販の水蒸気蒸留による精油や、二酸化炭素を用いた超臨界抽出物が挙げられる。中でも、洗浄実感の点で、二酸化炭素を用いた超臨界抽出物が好ましい。
(A)成分としては、例えば、シャラボ(株)製のシチュアンペッパーアブソリュートCO2エキストラクト(商品名;SICHUAN PEPPER ABSOLUTE CO2 EXTRACT、純度100%品)を使用できる。
なお、本発明では、ミカン科サンショウ属であってもシチュアンペッパーとは異種の植物、例えば日本で一般的なサンショウ(学名:Zanthoxylum piperitum)の抽出物は相応しくなく、このようなサンショウ抽出物を配合しても、(A)成分が配合されていないと洗浄実感が低く作用効果が劣るものであった。
(A)シチュアンペッパー抽出物の配合量は、組成物全体の0.001〜0.1%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.01〜0.05%である。配合量が0.001%以上であると、十分な洗浄実感が得られる。0.1%以下であると、シチュアンペッパー抽出物自体の嫌味(刺激のある味)を十分に抑制できる。上記配合量は、シチュアンペッパー抽出物の純分量である(以下同様)。
(B)シネオールは、市販のシネオール、例えば(株)永廣堂本店製等の製品を使用できる。なお、(B)成分として、シネオールを含む精油、例えばユーカリ油、ローズマリー油等を用いることもできる。
(B)シネオールの配合量は、組成物全体の0.01〜2%が好ましく、より好ましくは0.1〜1%である。配合量が0.01%以上であると、十分な洗浄実感が得られる。2%以下であると、シネオール自体の嫌味(苦味)を十分に抑制できる。
(C)成分は、(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれ、(C1)又は(C2)成分でもよいが、(C1)及び(C2)成分を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、市販のシトラール及び/又はリモネン、例えば長谷川香料(株)製、高砂香料工業(株)製等の製品を使用することができる。
なお、(C)成分として、シトラール及び/又はリモネンを含む精油、例えばレモン油、オレンジ油、グレープフルーツ油等を用いることもできる。
(C)成分の配合量は下記範囲が好ましい。
(C1)シトラールを配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.001〜0.2%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.1%である。配合量が0.001%以上であると、十分な洗浄実感が得られる。0.2%以下であると、シトラール自体の嫌味(油っぽさ)を十分に抑制できる。
(C2)リモネンを配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.05〜10%が好ましく、より好ましくは0.2〜5%である。配合量が0.05%以上であると、十分な洗浄実感が得られる。10%以下であると、リモネン自体の嫌味(油っぽさ)を十分に抑制できる。配合量が10%を超えると、液分離等が生じて外観安定性が低下する場合がある。
なお、(C)成分の好ましい総量は、(C1)及び/又は(C2)成分の上記配合量を合算した範囲である。
本発明において、(A)成分と(B)成分との量比を示す(B)/(A)は、質量比として0.2〜500が好ましく、3〜100がより好ましい。この範囲内であると、洗浄実感が特に優れ、嫌味が十分に抑制され使用感もより優れる。(B)/(A)の質量比が0.2未満又は500を超えると、洗浄実感が低くなる場合がある。
また、(A)成分と(C)成分との量比は、(C)成分として(C1)シトラールを配合する場合は、(C1)/(A)が質量比として0.01〜50、特に0.1〜5が好ましく、また、(C2)リモネンを配合する場合は、(C2)/(A)が質量比として1〜3,000、特に1〜1,000、とりわけ5〜200が好ましい。それぞれ上記範囲内であると、洗浄実感が向上し、飛躍的に高い洗浄実感を付与することができ、嫌味をより抑制することもできる。(C1)/(A)の質量比が50を超えると、十分な洗浄実感が得られず嫌味の抑制効果も十分に得られない場合がある。また、(C2)成分量が多すぎて(C2)/(A)の質量比が3,000を超えると、液分離が生じる場合がある。
本発明では、更に、(D)冷感剤を配合することが好ましい。(D)冷感剤を配合すると、使用後の洗浄実感が向上し、特に洗浄実感の持続性がより優れる。
冷感剤は、メントール誘導体、p−メンタン−3−カルボキサミド類等を使用できる。具体的にメントール誘導体としては、メンチルラクテート、モノメンチルサクシネート、モノメンチルグルタレート、3−L−メントキシプロパン−1,2−ジオール等が挙げられ、p−メンタン−3−カルボキサミド類としては、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド等が挙げられる。特にp−メンタン−3−カルボキサミド類が好ましい。これらは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
冷感剤は、市販品を用いることができる。例えば、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(ジボダンジャパン(株)製のWS−3)、N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド(ジボダンジャパン(株)製のEvercool G−180)、N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド(ジボダンジャパン(株)製のEvercool G−190)を使用できる。
(D)冷感剤の配合量は、組成物全体の0.001〜2%が好ましく、より好ましくは0.01〜1%である。配合量が0.001%以上であると、使用後も洗浄実感が十分に持続し、2%以下であると、十分に嫌味(苦味)が抑制され、香味発現性も良い。
本発明の口腔用組成物は、更に、(E)界面活性剤を配合できる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤が挙げられる。具体的には下記に示すものを、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
アニオン性界面活性剤:
ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ラウロイルメチルタウリン等のアシルタウリン又はその塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム;α−オレフィンスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン酸塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等のアシルアミノ酸塩
ノニオン性界面活性剤:
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル;ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
カチオン性界面活性剤:
塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム
両イオン性界面活性剤:
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系
アニオン性界面活性剤としては、特にアシルタウリン又はその塩、とりわけ;ラウロイルメチルタウリン塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。なお、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイドの平均付加モル数は3〜200、特に20〜100が好ましい。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましく、特に、界面活性剤の泡による洗浄実感の補強効果が期待できる点から、ノニオン性界面活性剤、とりわけポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、より好ましい。
(E)界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1〜5%が好ましく、より好ましくは0.5〜3%である。
本発明の口腔用組成物は、ペースト状、液体等の形態で、練歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤、マウススプレー剤に調製することができ、特に歯磨剤又は洗口剤、とりわけ歯磨剤として好適である。
また、必要に応じて、上記成分に加えて、剤型に応じた他の公知の添加剤を本発明の効果を妨げない範囲で配合できる。例えば、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、甘味剤、防腐剤、各種有効成分、着色剤、pH調整剤、香料等を配合することができ、これら成分と水とを混合して製造することができる。
なお、本発明では、エタノールが配合されていてもよいが無配合でもよく、エタノールの含有量は組成物全体の0〜50%がよく、3〜40%でもよい。口腔用組成物では、組成物中に配合される香料等にエタノールが微量含まれる場合があり、このようなエタノール以外にエタノールは配合しなくてもよく、この場合、エタノールの含有量は1%以下、特に0.5%以下、更には0.3%以下でもよい。
研磨剤としては、無水ケイ酸、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、結晶性ジルコニウムシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム無水和物又は2水和物、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤、アルミナ、二酸化チタン、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。研磨剤は配合しなくても(配合量0%)よいが、研磨剤を配合する場合、その配合量は組成物全体の2〜50%、特に10〜40%がよい。
粘稠剤としては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、還元でんぷん糖化物等の糖アルコールや、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量(医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量)200〜6,000のポリエチレングリコール、エチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
粘稠剤の配合量は、通常、組成物全体の5〜50%である。
粘結剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カーボポール、グアガム、ゼラチン、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の有機粘結剤、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤が挙げられる。有機粘結剤の配合量は組成物全体の0.01〜5%がよく、無機粘結剤の配合量は組成物全体の0.1〜10%がよい。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩が挙げられる。
有効成分としては、口腔用組成物に通常、配合される公知のもの、例えばフッ化物、殺菌剤、抗炎症剤、酵素、植物抽出物、歯石防止剤、歯垢防止剤等を、本発明の効果を妨げない範囲で有効量を配合できる。具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のナトリウム塩、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、トコフェロール酢酸エステル、α−ビサボロール、ジヒドロコレステロール、クロロヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はその塩類や、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グルコン酸銅等の銅化合物、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、ヒドロキサム酸又はその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、メトキシエチレン、エピジヒドロコレステリン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アスコルビン酸又はその塩、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩、塩化リゾチーム、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、オウバクエキスが挙げられる。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号等を通常量で配合できる。
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩や、リン酸又はその塩類、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機化合物が挙げられる。
香料としては、例えば、アニス油、ウィンターグリーン油、タイム油、セージ油、カルダモン油、コリアンダー油、ラベンダー油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料や、メントール、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、チモール、リナロール、リナリールアセテート、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、プレゴン、カルビルアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料といった口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができる。これらの香料素材の配合量は、特に限定されないが、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料は、組成物中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
なお、本発明では、メントールを配合する場合、その含有量は組成物全体の0.1〜5%、特に0.3〜2%が好ましく、あるいはメントールを配合しなくても(含有量0%)よい。
以下、実施例及び比較例、更には処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1に示す組成に従い、表2〜7に示す歯磨剤組成物(練歯磨)を常法により調製した。得られた歯磨剤組成物を後述の方法で評価し、結果を表に併記した。
なお、表中の(A)成分の配合量を示す数値は純分量である。
Figure 2020011951
(*)香料の組成は下記の通りである。
アネトール 10
メントール 50
エタノール 40
合計 100%
歯磨剤組成物の調製に使用した原料を下記に示す。
(A)シチュアンペッパー抽出物(商品名;SICHUAN PEPPER
ABSOLUTE CO2 EXTRACT、シャラボ(株)製、AI;100%)
(B)シネオール((株)永廣堂本店製)
(C)(C1)シトラール(長谷川香料(株)製
(C)(C2)リモネン(高砂香料工業(株)製)
(D)N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(商品名;WS−3、ジボダン
ジャパン(株)製)
(D)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサ
ンカルボキサミド(商品名;Evercool G−180、ジボダンジャパン
(株)製)
なお、(E)成分のポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、更には上記以外の成分は、いずれも外原規(医薬部外品原料規格)規格品を用い、精製水は粧原基(化粧品原料基準)規格品を用いた。
評価方法
10名の被験者により評価した。1gの歯磨剤組成物を歯刷子(デンターシステマ ライオンハブラシ、レギュラー、ライオン(株)製)にとり、3分間のブラッシングを行い、口腔内で使用中の洗浄実感、使用後の洗浄実感と、嫌味のなさについて、それぞれ下記の評点基準で、絶対評価での官能試験を行った。
10名の平均値をそれぞれ求め、下記の評価基準で評価した。
ここで、使用中の洗浄実感とは、口に含んだとき口腔内で泡がはじけるような感覚(発泡感)によって口腔内が洗浄されたように感じられる実感をいう。
また、使用後の洗浄実感とは、口を濯いだ後も口腔内で上記感覚(発泡感)によって口腔内が洗浄されたように感じられる実感があることをいう。
(i)使用中の洗浄実感
評点基準
4点:口腔内の洗浄感を非常に感じる
3点:口腔内の洗浄感を感じる
2点:口腔内の洗浄感をやや感じる
1点:口腔内の洗浄感を全く感じない
評価基準
使用中の洗浄実感の平均点
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
(ii)使用後の洗浄実感
評点基準
4点:口腔内の洗浄感を非常に感じる
3点:口腔内の洗浄感を感じる
2点:口腔内の洗浄感をやや感じる
1点:口腔内の洗浄感を全く感じない
評価基準
使用後の洗浄実感の平均点
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
(iii)嫌味のなさ
評点基準
4点:嫌味をほとんど感じない
3点:嫌味をやや感じるが問題ない
2点:嫌味を感じる
1点:嫌味を非常に感じる
評価基準
嫌味のなさの平均点
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
Figure 2020011951
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表2〜6の結果からわかるように、本発明の歯磨剤組成物(実施例)は、使用中及び使用後の洗浄実感が共に優れ、また、嫌味が抑制されて味も良かった。これに対して、表7の結果からわかるように、(A)、(B)及び(C)成分のうちのいずれかを欠く歯磨剤組成物(比較例)は、使用中及び使用後の洗浄実感が劣っていた。
下記に処方例を示す。処方例の口腔用製剤を、上記と同様の原料を使用して常法によって調製し、それぞれを通常の方法で使用して上記と同様に評価したところ、使用中及び使用後の洗浄実感に優れ、嫌味が抑えられ味も良好であった。
[処方例1](洗口剤)
(A)シチュアンペッパー抽出物 0.01
(B)シネオール 0.1
(C)(C1)シトラール 0.01
(E)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
エタノール 5
プロピレングリコール 2
グリセリン 2
キシリトール 3
クエン酸ナトリウム 0.25
香料 0.1
精製水 残部
合計 100.0%
(B)/(A)=10、(C1)/(A)=1
[処方例2](洗口剤)
(A)シチュアンペッパー抽出物 0.005
(B)シネオール 0.02
(C)(C2)リモネン 0.05
(E)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.4
(E)ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.2
(E)ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.2
安息香酸ナトリウム 0.3
プロピレングリコール 3
グリセリン 2
キシリトール 4
クエン酸ナトリウム 0.25
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
香料 0.05
精製水 残部
合計 100.0%
(B)/(A)=4、(C2)/(A)=10
[処方例3](マウススプレー剤)
(A)シチュアンペッパー抽出物 0.005
(B)シネオール 0.05
(C)(C1)シトラール 0.01
(C)(C2)リモネン 0.25
(E)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
エタノール 35
グリセリン 10
キシリトール 2
サッカリンナトリウム 0.3
クエン酸ナトリウム 0.15
香料 0.5
精製水 残部
合計 100.0%
(B)/(A)=10、(C1)/(A)=2、(C2)/(A)=50
[処方例4](練歯磨剤)
(A)シチュアンペッパー抽出物 0.03
(B)シネオール 0.5
(C)(C1)シトラール 0.01
(C)(C2)リモネン 0.05
(D)N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド 0.05
(E)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 1.5
(E)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 0.3
(E)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 0.5
(E)ラウロイルサルコシンナトリウム 0.1
ソルビトール 35
プロピレングリコール 4
ポリエチレングリコール4000 0.4
研磨性シリカ 15
増粘性シリカ 3
キサンタンガム 0.8
カラギーナン 0.8
ポリアクリル酸ナトリウム 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.18
酸化チタン 0.5
クエン酸 0.1
水酸化ナトリウム 0.24
フッ化ナトリウム 0.3
サッカリンナトリウム 0.18
香料 0.5
精製水 残部
合計 100.0%
[処方例5](練歯磨剤)
(A)シチュアンペッパー抽出物 0.03
(B)シネオール 0.5
(C)(C1)シトラール 0.01
(C)(C2)リモネン 0.05
(D)N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド 0.05
(E)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.5
(E)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル 0.5
(E)ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
ソルビトール 35
プロピレングリコール 4
ポリエチレングリコール4000 0.4
研磨性シリカ 10
増粘性シリカ 3
キサンタンガム 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.8
カラギーナン 1
パラオキシ安息香酸メチル 0.18
酸化チタン 0.5
クエン酸 0.1
水酸化ナトリウム 0.24
モノフルオロリン酸ナトリウム 1.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
サッカリンナトリウム 0.18
香料 0.5
精製水 残部
合計 100.0%

Claims (10)

  1. (A)シチュアンペッパー抽出物、
    (B)シネオール
    及び
    (C)(C1)シトラール及び(C2)リモネンから選ばれる1種以上
    を含有する口腔用組成物。
  2. (B)/(A)が質量比として0.2〜500である請求項1記載の口腔用組成物。
  3. (C)成分として(C1)成分を含有する場合、(C1)/(A)が質量比として0.01〜50であり、(C2)成分を含有する場合、(C2)/(A)が質量比として1〜3,000である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. (A)成分の含有量が純分として0.001〜0.1質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  5. (B)成分の含有量が0.01〜2質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  6. (C1)成分を含有する場合、その含有量が0.001〜0.2質量%であり、(C2)成分を含有する場合、その含有量が0.05〜10質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  7. 更に、(D)冷感剤を0.001〜2質量%含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  8. (D)冷感剤が、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド及びN−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドから選ばれる1種以上のp−メンタン−3−カルボキサミド類である請求項7記載の口腔用組成物。
  9. 更に、(E)界面活性剤を0.1〜5質量%含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の口腔用組成物。
  10. 歯磨剤、洗口剤又はマウススプレー剤である請求項1〜9のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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