以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る水栓装置を設置した洗面化粧台を模式的に表す斜視図である。 図1に表したように、洗面化粧台100は、洗面器102と、水栓装置10と、支持台106と、ミラーキャビネット108と、照明装置110と、を備える。
なお、本願明細書では、水栓装置10と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
洗面器102は、ボウル部122と、バックガード部124と、を有する。ボウル部122は、下方に向かって凹んだ凹状に形成されている。ボウル部122は、排水口(不図示)を有する。排水口は、ボウル部122の底部に設けられる。排水口は、排水管に接続され、ボウル部122に吐出された水を排水管に流す。
バックガード部124は、ボウル部122の後端から上方に延びる。バックガード部124は、必要に応じて設けられ、省略可能である。洗面器102の形状は、少なくともボウル部122を有する任意の形状でよい。
洗面器102は、支持台106の上に設けられる。支持台106は、洗面器102を支持する。支持台106は、例えば、本体部106aと、2つの引き出し106b、106cと、を有する。各引き出し106b、106cは、内部に物品を収納可能とする。
このように、支持台106は、物品を収納可能なキャビネットとしても機能する。支持台106は、換言すれば、下部キャビネット(フロアキャビネット)である。なお、引き出しの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、支持台106は、引き出し式のキャビネットに限ることなく、扉式のキャビネットでもよい。
支持台106は、必ずしも収納機能を有していなくてもよい。支持台106は、洗面器102を支持可能な任意の構成でよい。また、洗面器102は、例えば、洗面所などの壁面に直接取り付けてもよい。すなわち、支持台106は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
水栓装置10は、ボウル部122よりも上方に延びる壁面WSに設けられる。水栓装置10は、例えば、洗面器102のバックガード部124に取り付けられ、ボウル部122の上方に配置される。これにより、水栓装置10は、洗面器102のボウル部122に向けて水を吐出する。本願明細書において、「前方」は、換言すれば、壁面WSの向く方向である。また、本願明細書において、「水」には、冷水のみならず、加温されたお湯が含まれる。
水栓装置10の取付位置は、上記に限ることなく、例えば、洗面器102の後部上方に設けられる取付パネル(バックパネル)などに取り付けてもよいし、洗面所などの壁面に直接取り付けてもよい。水栓装置10の取付位置は、ボウル部122内に水を吐出可能な任意の位置でよい。水栓装置10の取付位置は、ボウル部122よりも上方に延びる任意の壁面WSでよい。水栓装置10の取付位置は、洗面器102の形状などに応じて適宜設定すればよい。
ミラーキャビネット108は、ボウル部122を有する洗面器102よりも上方に設置される。ミラーキャビネット108は、キャビネット本体130と、3枚の扉131〜133と、を有する。キャビネット本体130は、前方を開口させた略直方体の開口箱状であり、内部に物品を収納可能とする。また、各扉131〜133の前面には、鏡131a〜133aが設けられている。なお、ミラーキャビネット108に設けられる扉及び鏡の数は、3枚に限ることなく、1枚又は2枚でもよいし、4枚以上でもよい。
照明装置110は、ミラーキャビネット108の上部に設けられている。照明装置110は、例えば、ミラーキャビネット108において各扉131〜133よりも上方に設けられる。照明装置110は、下方に向かって光を照射し、各扉131〜133(各鏡131a〜133a)、及びボウル部122を照らす。照明装置110は、ミラーキャビネット108の上部に限ることなく、ミラーキャビネット108の下部や側端部、内部に設けてもよい。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す斜視図である。 図3は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す正面図である。
図2(a)、図2(b)、及び図3に表したように、水栓装置10は、吐水部20と、本体部30と、ホース40と、操作部50と、センサ60と、を備える。
吐水部20は、ボウル部122へ水を吐出する。吐水部20は、いわゆるスパウトである。吐水部20には、水を吐出する吐水口22が設けられている。操作部50は、吐水部20から吐出される水の流量を調整する。また、操作部50は、吐水部20から吐出される水の温度を調整する。
操作部50は、操作レバー50aを有する。操作部50は、使用者による操作レバー50aの操作に応じて、吐水部20から吐出される水の流量及び温度を調整する。操作レバー50aは、例えば、前後方向及び左右方向に揺動可能に上端部を操作部50の本体部分に軸支される。例えば、操作レバー50aを前後方向に揺動させることにより、吐水部20から吐出される水の流量が調整され、操作レバー50aを左右方向に揺動させることにより、吐水部20から吐出される水の温度が調整される。操作部50における流量及び温度の調整の態様は、操作レバー50aに限ることなく、流量及び温度を調整可能な任意の態様でよい。
吐水部20は、湯水混合部などを介して給水源に接続される。吐水部20から吐出される水は、例えば、上水(水道水)である。吐水部20から吐出される水の温度調整は、操作部50とは別の調整部で行ってもよい。操作部50は、少なくとも吐水部20から吐出される水の流量を調整できればよい。
本体部30は、壁面WSから前方に突出するように設けられる。吐水部20及び操作部50は、本体部30の下部に設けられる。吐水部20は、本体部30の下方に向けて水を吐出する。操作部50の操作レバー50aは、本体部30から下方に向かって延びる。本体部30は、吐水部20及び操作部50の上方を覆う。本体部30の上面は、略水平に設けられており、物品を載置可能である。つまり、本体部30は、物品を載置する棚として使用することができる。このように、水栓装置10は、いわゆる棚水栓であってもよい。
吐水部20、本体部30、及び操作部50は、例えば、それぞれ個別に壁面WS(バックガード部124の前面)に取り付けられる。これにより、例えば、メンテナンスの際などに、吐水部20及び操作部50を壁面WSに取り付けた状態のまま、本体部30のみを壁面WSから取り外すことができ、水栓装置10のメンテナンス性を向上させることができる。但し、吐水部20及び操作部50は、本体部30に取り付け、本体部30を介して壁面WSに取り付けてもよい。
ホース40は、吐水部20と接続され、吐水部20に水を供給する。ホース40は、可撓性を有する。ホース40には、例えば、ゴムホースやフレキシブルメタルホースなどが用いられる。
図2(b)に表したように、吐水部20は、壁面WSから引き出して使用することができる。吐水部20は、いわゆるプルアウト機能を有する。換言すれば、吐水部20は、本体部30からプルアウト可能である。これにより、吐水部20をハンドシャワーとして用いることができ、ボウル部122の清掃などを行うことができる。なお、吐水部20は、壁面WSに保持されていてもよいし、本体部30に保持されていてもよい。
ホース40は、例えば、吐水部20が本体部30に取り付けられた状態においては、バックガード部124の裏側の空間に収納される。ホース40の一端は、吐水部20の後端に接続される。ホース40の他端は、例えば、バックガード部124の裏側の空間を介して操作部50と接続される。これにより、操作部50の操作に応じた流量及び温度の水(お湯)が、吐水部20から吐水される。
センサ60は、吐水口22の近くにある被検知物を検知する。センサ60は、例えば、吐水口22の近くにある使用者の手などを検知する。センサ60は、例えば、吐水口22の近傍に設けられる。この例では、センサ60は、本体部30の前方下部に設けられている。センサ60は、例えば、吐水部20がプルアウトされていない状態において、吐水部20の前方に位置する。
図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す側面図である。 図4(a)及び図4(b)は、水栓装置10を右側方から見た側面図である。
図4(a)は、吐水部20がプルアウトされていない状態を示す。
図4(b)は、吐水部20がプルアウトされている状態を示す。
図4(a)に表したように、センサ60は、本体部30の前方下部に設けられており、前下方に向けて投光する。これにより、センサ60は、例えば、吐水部20がプルアウトされていない状態において、吐水部20の下方に位置する使用者の手などを検知することができる。
図4(b)に表したように、センサ60は、吐水部20がプルアウトされている状態において、本体部30の下方に位置する吐水部20やホース40などを検知することができる。
図5は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、水栓装置10は、給水源150と、流路24と、開閉弁26と、制御部70と、をさらに有する。
給水源150は、流路24を介して吐水部20に水を供給する。換言すれば、流路24は、吐水部20に給水源150からの水を供給する。流路24は、例えば、給水管及び給湯管などである。
開閉弁26は、流路24に設けられ、流路24の開閉を行う。開閉弁26が開状態のとき、給水源150から流路24を介して吐水部20に水が供給され、吐水口22から吐水される。開閉弁26が閉状態のとき、給水源150から吐水部20への水の供給が停止され、吐水口22からの吐水が停止される(止水される)。開閉弁26は、例えば、電磁弁である。
制御部70は、水栓装置10の各部を制御する。制御部70は、例えば、センサ60及び開閉弁26と接続される。制御部70は、センサ60からの信号に基づいて、開閉弁26を制御する。これにより、制御部70は、自動吐水を行う。また、制御部70は、センサ60を制御する。
この例では、操作部50は、開閉弁26に接続されている。これにより、使用者は操作部50を操作することで、開閉弁26を開閉させて、吐水部20からの吐水及び止水を行うことができる(手動吐水)。
図6は、第1実施形態に係るセンサを模式的に表す回路図である。
図6に表したように、センサ60は、投光部62と、受光部64と、を有する。センサ60は、いわゆる光電センサである。
投光部62は、発光素子62aを有する。発光素子62aが発光することで、投光部62からの投光が実行される。発光素子62aは、制御部70と接続されている。制御部70は、例えば、発光素子62aの発光強度や発光時間を制御する。これにより、制御部70は、投光部62の投光量LAを制御する。
受光部64は、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた信号SNを出力する。受光部64は、例えば、受光素子64aと、増幅部64bと、を有する。受光素子64aは、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた原信号RSを出力する。増幅部64bは、受光素子64aから出力された原信号RSを所定の増幅率ARで増幅させた信号SNを制御部70に出力する。
受光部64は、例えば、投光部62と隣接する位置に設けられる。例えば、投光部62と被検知物との間の距離は、受光部64と被検知物との間の距離と実質的に同じである。
例えば、投光部62から遠い位置に被検知物がある場合、受光部64における受光量は、小さい。したがって、受光部64から制御部70に出力される信号SNは小さい。一方、投光部62から近い位置に被検知物がある場合、受光部64における受光量は、大きい。したがって、受光部64から制御部70に出力される信号SNは大きい。信号SNは、例えば、受光部64と被検知物との間の距離の2乗に反比例する。
図7は、第1実施形態に係る水栓装置の動作を模式的に表すタイミングチャートである。
図7に表したように、センサ60は、第1状態ST1と、第2状態ST2と、を有する。第1状態ST1において、投光部62は、第1投光量LA1で投光する。第2状態ST2において、投光部62は、第2投光量LA2で投光する。第2投光量LA2は、第1投光量LA1よりも小さい。
なお、本願明細書において、投光量LAは、投光強度LSと投光時間LTの積で表される。投光強度LSは、投光部62から投光される光の強度である。投光強度LSは、例えば、発光素子62aから発光される光の強度(発光素子62aの発光強度)である。投光時間LTは、投光部62から投光される時間の長さである。投光時間LTは、例えば、発光素子62aから発光される時間の長さ(発光素子62aの発光時間)である。なお、投光部62に複数の発光素子62aが設けられる場合、投光量LAは、例えば、各発光素子62aの発光強度と発光時間の積の合計とみなすことができる。
図7において、投光強度LSは、投光の信号の高さに相当し、投光時間LTは、投光の信号の横幅に相当する。したがって、図7において、投光量LAは、投光の信号の面積に相当する。
この例では、第2状態ST2における第2投光強度LS2は、第1状態ST1における第1投光強度LS1と実質的に同じである。一方、第2状態ST2における第2投光時間LT2は、第1状態ST1における第1投光時間LT1よりも短い。この例では、第1投光時間LT1は約20マイクロ秒であり、第2投光時間LT2は、約5マイクロ秒である。第2投光時間LT2は、第1投光時間LT1の約1/4である。例えば、このように、第2状態ST2において、第1状態ST1と実質的に同じ投光強度LS、かつ、第1状態ST1よりも短い投光時間LTで投光することで、第2投光量LA2を第1投光量LA1よりも小さくすることができる。
第2投光量LA2を第1投光量LA1よりも小さくする手段は、これに限定されない。例えば、第2状態ST2において、第1状態ST1よりも小さい投光強度LS、かつ、第1状態ST1と実質的に同じ投光時間LTで投光してもよい。また、例えば、第2状態ST2において、第1状態ST1よりも小さい投光強度LS、かつ、第1状態ST1よりも短い投光時間LTで投光してもよい。また、第2投光量LA2が第1投光量LA1以上にならなければ、第2投光強度LS2を第1投光強度LS1以上にしてもよいし、第2投光時間LT2を第1投光時間LT1以上にしてもよい。
図7に表したように、センサ60は、例えば、第1状態ST1を実行した後に、第2状態ST2を実行する。これにより、吐水部20への手の接近を確実に検知でき、使用者が吐水部20をプルアウトしようとしているのか、吐水部20から吐水させようとしているのかをより正確に判断できるため、使い勝手がよい。なお、センサ60は、例えば、第2状態ST2を実行した後に、第1状態ST1を実行してもよい。
センサ60は、例えば、第1状態ST1と第2状態ST2とを含むセットを繰り返し実行する。1つのセットにおいて、第1状態ST1の投光と第2状態ST2の投光との間の時間TXは、例えば、10ミリ秒以上30ミリ秒以下、好ましくは15ミリ秒程度である。また、1つのセットの時間の長さ(すなわち、1回目の第1状態ST1の投光と2回目の第1状態ST1の投光との間の時間の長さ)は、例えば、40ミリ秒以上100ミリ秒以下、好ましくは60ミリ秒程度である。
第1状態ST1において、投光部62から第1投光量LA1で投光されると、受光部64は、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた第1信号SN1を制御部70に出力する。また、第2状態ST2において、投光部62から第2投光量LA2で投光されると、受光部64は、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた第2信号SN2を制御部70に出力する。
制御部70は、第1信号SN1及び第2信号SN2に基づいて、開閉弁26を制御する。より具体的には、制御部70は、第1信号SN1が第1閾値TH1を超えているか、及び、第2信号SN2が第2閾値TH2を超えているか、に基づいて、開閉弁26を制御する。この例では、第1閾値TH1と、第2閾値TH2と、は同じ値(閾値TH)である。第1閾値TH1と、第2閾値TH2と、は異なる値であってもよい。
図7に表したように、例えば、使用者の手がセンサ60の検知可能な位置に来ると(手の位置が「遠」の状態になると)、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)よりも小さい状態になる。この状態になると、制御部70は、開閉弁26を開状態にして、自動吐水による吐水を行う。
手の位置がセンサ60にさらに近づくと(手の位置が「近」の状態になると)、第1信号SN1及び第2信号SN2は、手の位置が「遠」の状態よりも大きくなる。この状態においても、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない限り、制御部70は、開閉弁26を開状態にして、自動吐水による吐水を行う。
手の位置がセンサ60にさらに近づくと(手の位置が「直近」の状態になると)、第2信号SN2は、手の位置が「近」の状態よりも大きくなり、閾値TH(第2閾値TH2)を超える。このように、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えると、制御部70は、自動吐水を禁止するプルアウトモードになる。このとき、自動吐水による吐水が行われている場合には、制御部70は、開閉弁26を閉状態にして、自動吐水による吐水を停止させる。
このように、本実施形態によれば、投光量LAの異なる2つの状態(第1状態ST1及び第2状態ST2)における信号SNに基づいて使用者の手の位置を推定し、推定した使用者の手の位置に基づいて自動吐水を制御できる。例えば、吐水部20をプルアウトする際は、手をセンサ60に近づけるため、どちらの投光量LAでも信号SNが閾値THを超える。したがって、どちらの投光量LAでも信号SNが閾値THを超える場合は、吐水部20がプルアウトされると推定し、自動吐水を禁止する。これにより、吐水部20がプルアウトされた状態で自動吐水され、ボウル部122の外に水が飛散することなどを抑制できる。
また、本実施形態によれば、使用者の手などを検知するためのセンサ60(光電センサ)を用いて、吐水部20のプルアウトを検出することができる。したがって、磁石と、磁気を検出するセンサを別途設ける場合などに比べて、デザイン性がよく、部品数の増加を抑制することができる。また、部品数の増加を抑制できるため、コストの増加を抑制できる。
通常、使用者の手を検知して自動吐水を行うためには、第1状態ST1における投光のように、センサ60の投光部62の投光量LAを大きくすることが求められる。一方で、投光量LAを大きくすると、図7に表したように、信号SN(第1信号SN1)が飽和してしまい、手の位置が「近」の状態と、手の位置が「直近」の状態と、を区別することができない。したがって、手の位置が「直近」の状態(すなわち、吐水部20のプルアウト)を判別できず、吐水部20がプルアウトされている状態で自動吐水されてしまう恐れがある。また、信号SNが飽和しないように投光量LAを小さくすると、使用者の手を検知しづらくなる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、第1状態ST1において、比較的大きい第1投光量LA1で投光し、第2状態ST2において、第1投光量LA1よりも小さい第2投光量LA2で投光する。これにより、第1状態ST1によって使用者の手を検知しやすくできるとともに、第2状態ST2によって手の位置が「近」の状態と、手の位置が「直近」の状態と、を判別することができる。そして、手の位置が「直近」の状態になったときに、自動吐水を禁止するプルアウトモードになることで、吐水部20がプルアウトされている状態で自動吐水されることを抑制できる。
また、本実施形態において、制御部70は、プルアウトモードでないとき、第1状態ST1における第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2状態ST2における第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)以下であると、開閉弁26を開状態にする。このように、制御部70は、プルアウトモードでないときには、使用者の手などがセンサ60に近づくと、自動吐水を行う。
このように、第1信号SN1が第1閾値TH1を超え、かつ、第2信号SN2が第2閾値TH2以下であると、手がある程度遠い位置にある(吐水部20がプルアウトされない)と推定できる。そのため、使用者は、吐水部20から吐水させたいとの意思をもって手を差し出していると判断し、開閉弁26を開状態にし、吐水を開始することができる。つまり、使用者が吐水部20をプルアウトしようとしているのか、吐水部20から吐水させようとしているのかをより正確に判断でき、使い勝手がよい。
制御部70がプルアウトモードのとき、使用者は、例えば、操作部50を操作することで開閉弁26を開閉させ、吐水部20からの吐止水を行うことができる(手動吐水)。手動吐水において、開閉弁26は、操作部50の操作によって開閉されてもよいし、操作部50の操作に応じた制御部70の制御によって開閉されてもよい。換言すれば、手動吐水時に制御部70を介して開閉弁26を開閉させてもよい。なお、手動吐水は、制御部70がプルアウトモードでないときに行われてもよい。
図8は、第2実施形態に係るセンサを模式的に表す回路図である。
図8に表したように、センサ60は、投光部62と、受光部64と、を有する。投光部62の構成は、例えば、第1実施形態における投光部62の構成と同じでよい。
受光部64は、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた信号SNを出力する。受光部64は、受光素子64aと、増幅部64bと、を有する。受光素子64aは、投光部62から投光された光の反射光を受光し、受光量に基づいた原信号RSを出力する。増幅部64bは、受光素子64aから出力された原信号RSを増幅させた信号SNを制御部70に出力する。
本実施形態において、増幅部64bは、増幅率を変化させることができるように構成されている。この例では、増幅部64bは第1増幅領域641と、第2増幅領域642と、スイッチSWと、を有する。第2増幅領域642は、第1増幅領域641と直列に設けられている。スイッチSWは、第2増幅領域642と並列に設けられている。スイッチSWは、例えば、制御部70と接続されている。制御部70は、例えば、スイッチSWのオンとオフとを切り替えることができる。
図8は、スイッチSWがオフの状態を示している。スイッチSWがオフの状態では、受光素子64aから出力された原信号RSは、第1増幅領域641及び第2増幅領域642によって第1増幅率AR1で増幅される。一方、スイッチSWがオンの状態では、第2増幅領域642の部分において、スイッチSWによるショートが発生する。これにより、受光素子64aから出力された原信号RSは、第1増幅領域641及びショートした第2増幅領域642によって、第1増幅率AR1よりも低い第2増幅率AR2で増幅される。
図9は、第2実施形態に係る水栓装置の動作を模式的に表すタイミングチャートである。
図9に表したように、センサ60は、第1状態ST1と、第2状態ST2と、を有する。第1状態ST1において、制御部70は、スイッチSWをオフにする。これにより、受光部64(増幅部64b)は、受光素子64aから出力された原信号RSを第1増幅率AR1で増幅させる。第2状態ST2において、制御部70は、スイッチSWをオンにする。これにより、受光部64(増幅部64b)は、受光素子64aから出力された原信号RSを第2増幅率AR2で増幅させる。第2増幅率AR2は、第1増幅率AR1よりも低い。
第1実施形態と同様、本実施形態においても、センサ60は、例えば、第1状態ST1を実行した後に、第2状態ST2を実行する。センサ60は、例えば、第2状態ST2を実行した後に、第1状態ST1を実行してもよい。センサ60は、例えば、第1状態ST1と第2状態ST2とを含むセットを繰り返し実行する。
図9に表したように、例えば、使用者の手がセンサ60の検知可能な位置に来ると(手の位置が「遠」の状態になると)、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)よりも小さい状態になる。この状態になると、制御部70は、開閉弁26を開状態にして、自動吐水による吐水を行う。
手の位置がセンサ60にさらに近づくと(手の位置が「近」の状態になると)、第1信号SN1及び第2信号SN2は、手の位置が「遠」の状態よりも大きくなる。この状態においても、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない限り、制御部70は、開閉弁26を開状態にして、自動吐水による吐水を行う。
手の位置がセンサ60にさらに近づくと(手の位置が「直近」の状態になると)、第2信号SN2は、手の位置が「近」の状態よりも大きくなり、閾値TH(第2閾値TH2)を超える。このように、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えると、制御部70は、自動吐水を禁止するプルアウトモードになる。このとき、自動吐水による吐水が行われている場合には、制御部70は、開閉弁26を閉状態にして、自動吐水による吐水を停止させる。
このように、本実施形態によれば、増幅率ARの異なる2つの状態(第1状態ST1及び第2状態ST2)における信号SNに基づいて使用者の手の位置を推定し、推定した使用者の手の位置に基づいて自動吐水を制御できる。例えば、吐水部20をプルアウトする際は、手をセンサ60に近づけるため、どちらの増幅率ARでも信号SNが閾値THを超える。したがって、どちらの増幅率ARでも信号SNが閾値THを超える場合は、吐水部20がプルアウトされると推定し、自動吐水を禁止する。これにより、吐水部20がプルアウトされた状態で自動吐水され、ボウル部122の外に水が飛散することなどを抑制できる。
また、本実施形態によれば、使用者の手などを検知するためのセンサ60(光電センサ)を用いて、吐水部20のプルアウトを検出することができる。したがって、磁石と、磁気を検出するセンサを別途設ける場合などに比べて、デザイン性がよく、部品数の増加を抑制することができる。また、部品数の増加を抑制できるため、コストの増加を抑制できる。
通常、使用者の手を検知して自動吐水を行うためには、第1状態ST1における受光のように、受光素子64aから出力された原信号RSの増幅率ARを大きくすることが求められる。一方で、増幅率ARを大きくすると、図9に表したように、信号SN(第1信号SN1)が飽和してしまい、手の位置が「近」の状態と、手の位置が「直近」の状態と、を区別することができない。したがって、手の位置が「直近」の状態(すなわち、吐水部20のプルアウト)を判別できず、吐水部20がプルアウトされている状態で自動吐水されてしまう恐れがある。また、信号SNが飽和しないように増幅率ARを小さくすると、使用者の手を検知しづらくなる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、第1状態ST1において、比較的大きい第1増幅率AR1で原信号RSを増幅させ、第2状態ST2において、第1増幅率AR1よりも低い第2増幅率AR2で原信号RSを増幅させる。これにより、第1状態ST1によって使用者の手を検知しやすくできるとともに、第2状態ST2によって手の位置が「近」の状態と、手の位置が「直近」の状態と、を判別することができる。そして、手の位置が「直近」の状態になったときに、自動吐水を禁止するプルアウトモードになることで、吐水部20がプルアウトされている状態で自動吐水されることを抑制できる。
図10は、実施形態に係る水栓装置の動作を模式的に表すタイミングチャートである。 図10に表したように、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超えず、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない状態では、制御部70は、自動吐水による吐水を行わない(タイミングt1)。このように、制御部70は、センサ60が使用者の手などを検知していない状態では、止水状態を維持する。
第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない状態になると、制御部70は、自動吐水による吐水を行う(タイミングt2)。このように、制御部70は、センサ60が使用者の手などを検知すると、吐水を開始する。
第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超えず、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない状態に戻ると、制御部70は、自動吐水による吐水を停止(止水)する(タイミングt3)。このように、制御部70は、センサ60が使用者の手などを検知しなくなると、吐水を停止する。
第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えると、制御部70は、自動吐水を禁止するプルアウトモードになる(タイミングt4)。このように、制御部70は、使用者の手などがセンサ60の直近にあることを検知すると、プルアウトモードになり、自動吐水を禁止する。
制御部70は、プルアウトモードになると、プルアウトモードが解除されるまで、自動吐水を禁止する。図10に表したように、制御部70がプルアウトモードのときに、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えない状態(すなわち、プルアウトモードではないときに自動吐水による吐水が行われる状態)になっても、制御部70は、自動吐水による吐水を行わない(タイミングt4〜t5)。
制御部70は、第1信号SN1及び第2信号SN2が所定の状態になると、プルアウトモードを解除する。この例では、制御部70がプルアウトモードになった後、再度、第1信号SN1が閾値TH(第1閾値TH1)を超え、かつ、第2信号SN2が閾値TH(第2閾値TH2)を超えると、制御部70は、プルアウトモードを解除する(タイミングt5)。なお、プルアウトモードを解除する条件は、これに限定されない。
このように、実施形態によれば、第1信号SN1及び第2信号SN2に基づいて、プルアウトモードを解除することができる。これにより、例えば、吐水部20がプルアウトされていない状態になると、自動でプルアウトモードを解除し、自動吐水を再開させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水栓装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。