本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。図2は、図1のII−II’線に沿う断面図である。図2に示すように、本実施形態の表示装置1は、カバー部材10と、表示パネル30とを含む。カバー部材10は表示パネル30を保護するための部材であり、表示パネル30を覆って設けられる。図1及び図2に示すように、カバー部材10は、表示パネル30の画像を透過させるための透過領域Adと、透過領域Adの外側に設けられた額縁領域Gdと、透過領域Adの一部と重なる指紋検出領域Fdとを有する。本実施形態において、指紋検出領域Fdは、透過領域Adの短辺に沿った矩形状の領域であり、カバー部材10に接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出するための領域である。
図2に示すように、カバー部材10は、第1カバー基材101と、第2カバー基材102と、指紋センサ部20とを含む。第1カバー基材101は、第1面101aと、第1面101aと反対側の第2面101bとを有する板状の部材である。第2カバー基材102は、第1面102aと、第1面102aと反対側の第2面102bとを有する板状の部材である。第1カバー基材101の第1面101aは、接着層71を介して第2カバー基材102の第2面102bと対向して配置される。第2カバー基材102の第1面102aは、接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の微細な凹凸を検出するための検出面であり、かつ、透過領域Adを透過した表示パネル30の画像を観察者が視認するための表示面である。第1カバー基材101と第2カバー基材102との間に指紋センサ部20が設けられる。また、第1カバー基材101の第2面101b側に、接着層72を介して表示パネル30が貼り合わされる。
第1カバー基材101は、アルカリガラス層103と、第1無アルカリガラス層104と、第2無アルカリガラス層105とを含む。アルカリガラス層103の第1面103aに第1無アルカリガラス層104が設けられ、第1面103aの反対側の第2面103bに第2無アルカリガラス層105が設けられる。第1無アルカリガラス層104の上面は、第1カバー基材101の第1面101aを構成し、第2無アルカリガラス層105の下面は第1カバー基材101の第2面101bを構成する。
アルカリガラス層103と、第1無アルカリガラス層104と、第2無アルカリガラス層105とは、例えばフュージョン法等の公知の方法により、同時に一体化して成形することができる。なお、フュージョン法とは、溶融したガラスをフュージョンパイプに流し込み、あふれた溶融ガラスを下方に引っ張ることで板状に成形する方法である。第1カバー基材101の成形方法は、これに限定されず、アルカリガラス層103と、第1無アルカリガラス層104と、第2無アルカリガラス層105とを、それぞれ別の工程で成形してもよい。
第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105は、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)等のアルカリ金属酸化物を実質的に含有しないガラス材料が用いられる。すなわち、第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105は、原料の不純物成分や製造工程等において混入するアルカリ金属酸化物以外のアルカリ金属酸化物を含まない。
第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105は、アルカリガラス層103よりも熱膨張係数が小さい。このため、第1カバー基材101の成形の際に、アルカリガラス層103の面内方向の収縮量が、第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105よりも大きくなり、第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105は、アルカリガラス層103から面内方向に引っ張り応力が加えられる。第1面101a側の第1無アルカリガラス層104及び第2面101b側の第2無アルカリガラス層105に圧縮応力層が形成されることで、第1カバー基材101の強度が高められる。
第1無アルカリガラス層104及び第2無アルカリガラス層105に同じ組成のガラス材料を用いることが好ましい。この場合、第1無アルカリガラス層104と第2無アルカリガラス層105との熱膨張係数が実質的に等しい値となり、第1カバー基材101の反りの発生が抑制される。ただし、これに限定されず、第1無アルカリガラス層104と第2無アルカリガラス層105とにそれぞれ異なる組成のガラス材料を用いてもよい。また、反りの発生を抑制するために、第1無アルカリガラス層104と第2無アルカリガラス層105とは、等しい厚さであることが好ましい。ただし、第1無アルカリガラス層104と第2無アルカリガラス層105とは互いに異なる厚さを有していてもよい。
第2カバー基材102は、アルカリガラスを用いた強化ガラスである。強化ガラスとしては、例えばガラスの表面のナトリウム(Na)イオンをイオン半径の大きいカリウム(K)イオンと交換することで、表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスや、加熱したガラス基板に空気を送り急冷することで表面に圧縮応力層を形成した強化ガラスを用いることができる。第2カバー基材102は、6面強化ガラスであってもよい。なお、第2カバー基材102は、アルカリガラスを用いた強化ガラスに限定されず、例えばサファイアガラスや、透光性セラミック(セラミックガラス)を用いることもできる。サファイアガラスや透光性セラミックを用いた場合、第2カバー基材102の強度、硬度を高めることができる。
本実施形態において、第1カバー基材101の厚さts1は、第2カバー基材102の厚さts2よりも厚くなっている。第1カバー基材101の厚さts1は、例えば0.5mmとすることができる。第2カバー基材102の厚さts2は、第1カバー基材101の厚さts1よりも薄くすることができ、例えば、0.2mmである。本実施形態のカバー部材10は、第2カバー基材102の厚さts2が薄い場合であっても、第1カバー基材101と第2カバー基材102とが接着層71を介して貼り合わされることで、所謂合わせガラス状にカバー部材10が形成されることとなり、結果としてカバー部材10の強度を維持することができる。
なお、カバー部材10、表示パネル30ともに平面視で長方形状である場合に限られず、円形状、長円形状、或いは、これらの外形形状の一部を欠落させた異形状の構成であってもよい。また、例えば、カバー部材10が円形状であり、表示パネル30が正多角形状等である場合のように、カバー部材10と表示パネル30との外形形状が異なっていてもよい。さらに、第1カバー基材101と、第2カバー基材102との外径形状が異なっていてもよい。カバー部材10は、平板状のみならず、例えば透過領域Adが曲面で構成され、或いは額縁領域Gdが表示パネル30側に湾曲する等、曲面を有する曲面ディスプレイも採用可能である。
図1及び図2に示すように、額縁領域Gdにおいて、第2カバー基材102の第2面102bに加飾層110が設けられている。加飾層110は、カバー部材10よりも光の透過率が小さい着色層であり、額縁領域Gdに重畳して設けられる配線や回路等が観察者に視認されることを抑制することができる。図2に示す例では、加飾層110は第2面102bに設けられているが、第1面102aに設けられていてもよく、或いは、第1カバー基材101に設けられていてもよい。また、加飾層110は、単層に限定されず、複数の層を重ねた構成であってもよい。
指紋センサ部20は、第2カバー基材102の第1面102aに接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出するための検出部である。図2に示すように、指紋センサ部20は、第1カバー基材101の第1面101a、すなわち第1無アルカリガラス層104の上に設けられ、第1面101aに対して垂直な方向から見たときに、指紋検出領域Fdと、額縁領域Gdの一部に重なっている。第1無アルカリガラス層104には、額縁領域Gdにおいてフレキシブル基板76が設けられており、指紋センサ部20はフレキシブル基板76に電気的に接続される。フレキシブル基板76には、指紋センサ部20の検出動作を制御するための検出用IC18が実装される。
指紋センサ部20は、接着層71を介して第2カバー基材102の第2面102bと貼り合わされる。指紋センサ部20の端部20aは、透過領域Adと重なる位置に設けられる。接着層71に透光性を有する液状の接着剤を用いることにより、指紋センサ部20の端部20a及び上面20bが接着層71と密着して、樹脂層の中に埋め込まれた状態となる。このため、指紋センサ部20の端部20aと第1無アルカリガラス層104との段差部において、接着層71と指紋センサ部20との間に気泡が発生することを抑制することができる。接着層71は、例えば、液状のUV硬化型樹脂である、光学透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin)を用いることができる。接着層71は、指紋センサ部20及び第1カバー基材101の第1面101aの上に塗布された後、第2カバー基材102と貼り合わされて、紫外線照射により硬化される。接着層71は、硬化前において、一定の形状を維持できる程度の粘度に調整されている。
図3は、指紋センサ部の概略断面構造を表す断面図である。図3に示すように、指紋センサ部20は、TFT(Thin Film Transistor)層22と、第1電極25と、第2電極26とを有する。TFT層22は、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に設けられる。TFT層22は、後述する第1スイッチング素子Trや、ゲート線GCL、信号線SGL等の各種配線を含む。
第1電極25はTFT層22の上側に設けられる。第1電極25は、指紋センサ部20の検出電極であり、接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸による容量変化に応じた検出信号Vdetを出力する。第1電極25から出力された検出信号Vdetは、TFT層22を介して、フレキシブル基板76に実装された検出用IC18に出力される。第2電極26は、第1電極25とTFT層22との間に設けられる。第2電極26は、第1電極25のシールド電極として機能し、第1電極25に対し第2カバー基材102と反対側において、指等の外部物体の存在による容量変化や、電磁ノイズ等による容量変化を抑制する。
第2電極26と第1電極25との間に絶縁層56が設けられる。また、第1電極25の上には絶縁層57が設けられる。絶縁層57が接着層71と接して、指紋センサ部20と第2カバー基材102とが接着される。つまり、カバー部材10の検出面である第2カバー基材102の第1面102a側から、第1電極25、第2電極26、TFT層22の順に積層される。第1電極25、第2電極26及びTFT層22の詳細な構成については、後述する。
第1電極25及び第2電極26は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料を用いることができる。指紋センサ部20は、透光性を有するセンサであり、透過領域Adの一部、又は全面に設けられた場合であっても、表示パネル30の画像の品質の低下を抑制することができる。
指紋センサ部20の第1電極25は、指の表面の微細な凹凸による静電容量の変化に基づいて指紋を検出する。良好な検出感度を得るために、第1電極25は、検出面である第1面102aに近い位置に配置されることが好ましい。例えば、指紋センサ部20を保護するためのガラス基板が上面に1枚のみ設けられた構成の場合、良好な検出感度を得るためにガラス基板をより薄くすることが好ましい。具体的には、ガラス基板の厚さが0.3mm以下であることが好ましい。一方、一般的にガラス基板の厚さが0.5mm以下になると、ガラス基板が破損しやすくなってしまう。
本実施形態において、第1カバー基材101及び第2カバー基材102の2枚のガラス基板を設け、第1カバー基材101と第2カバー基材102との間に指紋センサ部20が配置される。このように、指紋センサ部20を介して1対の基板が貼り合わされるものとなっているので、第2カバー基材102を0.5mmよりも薄くしても、所謂合わせガラス状にカバー部材10が形成されることとなり、結果としてカバー部材10の強度を維持することができる。また、上述のように、第2カバー基材102の厚さを0.2mmに薄くできるため、第1電極25と、検出面である第1面102aとの距離が近くなり、検出対象の指の表面との距離が近くなるので、良好な検出感度を得ることができる。第1カバー基材101は、指紋センサ部20に対して検出面である第1面102aの反対側にあるので、第1カバー基材101を厚くしても、検出感度は低下しない。このように、本実施形態のカバー部材10によれば、強度を高めて破損を抑制するとともに良好な検出感度を得ることが可能である。
また、TFT層22は、第1無アルカリガラス層104の上に直接、又はパッシベーション膜を介して設けられているので、TFT層22に含まれる第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trx(後述する)がアルカリ成分により汚染されることを抑制できる。このように、第1カバー基材101は、表示パネル30を保護するためのカバー部材として機能するとともに、指紋センサ部20を搭載するためのセンサ基材として用いられる。
図2に示すように、表示パネル30は、画素基板30Aと、対向基板30Bと、画素基板30Aの下側に設けられた偏光板34と、対向基板30Bの上側に設けられた偏光板35とを有する。画素基板30Aには、フレキシブル基板75を介して、表示パネル30の表示動作を制御するための表示用IC19が接続されている。本実施形態において、表示パネル30は、表示機能層として液晶表示素子が用いられる液晶パネルである。これに限定されず、表示パネル30は、例えば、有機EL表示パネルであってもよい。なお、検出用IC18及び表示用IC19は、モジュール外部の制御基板に備えられていてもよい。また、表示用IC19は画素基板30Aの第1基板31(図4参照)に備えられていてもよい。
図4は、表示パネルの概略断面構造を表す断面図である。画素基板30Aは、第1基板31と、画素電極32と、共通電極33とを含む。共通電極33は、第1基板31の上に設けられる。画素電極32は、絶縁層38を介して共通電極33の上側に設けられ、平面視でマトリクス状に複数配置される。画素電極32は、表示パネル30の各画素Pixを構成する副画素に対応して設けられ、表示動作を行うための画素信号が供給される。また、共通電極33は、直流の表示用駆動信号が供給され、複数の画素電極32に対する共通電極として機能する。
本実施形態において、第1基板31に対して、共通電極33、絶縁層38、画素電極32は、この順で積層されている。第1基板31の下側には、図示しない接着層を介して偏光板34が設けられる。第1基板31には、表示用のスイッチング素子であるTFTが配置される(図4では省略する)。画素電極32及び共通電極33は、例えば、ITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。
なお、複数の画素電極32の配列は、第1方向及び該第1方向に直交する第2方向に沿って配列されるマトリクス状の配列のみならず、隣り合う画素電極32同士が第1方向又は第2方向にずれて配置される構成を採用することもできる。また、隣り合う画素電極32の大きさの違いから、第1方向に配列される画素列を構成する1つの画素電極32に対し、当該画素電極32の一側に2又は3の複数の画素電極32が配列される構成も採用可能である。
対向基板30Bは、第2基板36と、この第2基板36の一方の面に形成されたカラーフィルタ37とを含む。カラーフィルタ37は、第1基板31と垂直な方向において、液晶層6と対向する。さらに、第2基板36の上には、接着層を介して偏光板35が設けられている。なお、カラーフィルタ37は第1基板31上に配置されてもよい。本実施形態において、第1基板31及び第2基板36は、例えば、ガラス基板又は樹脂基板である。
第1基板31と第2基板36との間に液晶層6が設けられる。液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、FFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)を含むIPS(In−Plane Switching:インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。なお、図4に示す液晶層6と画素基板30Aとの間、及び液晶層6と対向基板30Bとの間には、それぞれ配向膜が配設されてもよい。
第1基板31の下方には、図示しない照明部(バックライト)が設けられる。照明部は、例えばLED等の光源を有しており、光源からの光を第1基板31に向けて射出する。照明部からの光は、画素基板30Aを通過して、その位置の液晶の状態により光が遮られて射出しない部分と射出する部分とが切り換えられることで、表示面(第1面102a)に画像が表示される。
図2に示すように、表示パネル30は、偏光板35の上に設けられた接着層72を介して第1カバー基材101の第2面101bと貼り合わされる。上述したように、指紋センサ部20は、第1カバー基材101の第1面101aに設けられる。このように、指紋センサ部20は、第2カバー基材102の第1面102aと垂直な方向において、表示パネル30よりも、検出面である第1面102aに近い位置に配置される。これにより、例えば、表示パネル30と一体に指紋検出用の検出電極を設けた場合に比べ、検出電極である第1電極25と、検出面である第1面102aとの距離を小さくすることができる。したがって、本実施形態の表示装置1によれば、検出性能を向上させることができる。
接着層72は、例えば、光学粘着フィルム(OCA:Optical Clear Adhesive)が用いられる。光学粘着フィルムは、フィルム状の基材の両面に粘着層が設けられた透光性の両面テープである。なお、接着層72として上述した光学透明樹脂(OCR)を用いてもよい。
次に指紋センサ部20の詳細な構成について説明する。図5は、指紋センサ部を含む検出装置の一構成例を示すブロック図である。図5に示すように、検出装置100は、指紋センサ部20と、検出制御部11と、ゲートドライバ12と、第1電極ドライバ14と、検出部40とを備える。
指紋センサ部20は、後述するように、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、1検出ラインずつ順次走査して検出を行う。指紋センサ部20は、自己静電容量方式の検出原理に基づいて、接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出する。
検出制御部11は、ゲートドライバ12、第1電極ドライバ14、検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらが互いに同期して動作するように制御する回路である。ゲートドライバ12は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部20の検出駆動の対象となる複数の第1電極25を含む第1電極ブロック25Aを順次選択する。第1電極ドライバ14は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部20の検出駆動の対象となる第1電極25に駆動信号Vfを供給する。
検出部40は、検出制御部11から供給される制御信号と、指紋センサ部20から第1電極ドライバ14を介して供給される検出信号Vdetに基づいて、細かいピッチでタッチの有無を検出する回路である。検出部40は、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46とが同期して動作するように制御する。
検出信号Vdetは、指紋センサ部20から、第1電極ドライバ14を介して検出部40の検出信号増幅部42に供給される。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、駆動信号Vfに同期したタイミングで、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する。
信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、指紋センサ部20に対するタッチの有無を検出する論理回路である。信号処理部44は、指による検出信号の差分の信号(絶対値|ΔV|)を取り出す処理を行う。信号処理部44は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧未満であれば、外部近接物体が非接触状態であると判断する。一方、信号処理部44は、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、外部近接物体の接触状態と判断する。このようにして、検出部40はタッチ検出が可能となる。
座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチが検出されたときに、その検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、検出座標を合成部46に出力する。合成部46は、指紋センサ部20から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、接触又は近接する物体の形状を示す二次元情報を生成する。合成部46は、二次元情報を検出部40の出力Voutとして出力する。又は、合成部46は、二次元情報に基づいた画像を生成し、画像情報を出力Voutとしてもよい。
上述した検出用IC18(図2参照)は、図5に示す検出部40として機能する。検出部40の機能の一部は、表示用IC19に含まれていてもよく、外部のMPU(Micro−processing unit)の機能として設けられてもよい。
上述のとおり、指紋センサ部20は、静電容量型のタッチ検出の基本原理に基づいて動作する。次に、図6及び図7を参照して、本実施形態の指紋センサ部の自己静電容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。図6は、自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。図7は、自己静電容量方式のタッチ検出の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。なお、図6は、検出回路を併せて示している。
指が接触又は近接していない状態において、検出電極E1に所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)の交流矩形波Sgが印加される。検出電極E1は、静電容量C1を有しており、静電容量C1に応じた電流が流れる。電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(実線の波形V4(図7参照))に変換する。
次に、図6に示すように、指が接触又は近接した状態において、指と検出電極E1との間の静電容量C2が、検出電極E1の静電容量C1に加わる。したがって、検出電極E1に交流矩形波Sgが印加されると、静電容量C1及び静電容量C2に応じた電流が流れる。図7に示すように、電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(点線の波形V5)に変換する。そして、波形V4と波形V5との差分の絶対値|ΔV|に基づいて、外部近接物体の有無(タッチの有無)を測定することができる。
具体的には、図7において、時刻T01のタイミングで交流矩形波Sgは電圧V0に相当する電圧レベルを上昇させる。このときスイッチSW1はオンとなりスイッチSW2はオフとなるため検出電極E1の電位も電圧V0に上昇する。次に時刻T11のタイミングの前にスイッチSW1をオフとする。このとき検出電極E1はフローティング状態であるが、検出電極E1の静電容量C1(またはC1+C2、図6参照)によって、検出電極E1の電位はV0が維持される。更に、時刻T11のタイミングの前に電圧検出器DETのリセット動作が行われる。
続いて、時刻T11のタイミングでスイッチSW2をオンさせると、検出電極E1の静電容量C1(またはC1+C2)に蓄積されていた電荷が電圧検出器DET内の容量C3に移動するため、電圧検出器DETの出力が上昇する(図7の検出信号Vdet参照)。電圧検出器DETの出力(検出信号Vdet)は、検出電極E1に指等が近接していないときは、実線で示す波形V4となり、Vdet=C1×V0/C3となる。指等の影響による静電容量が付加されたときは、点線で示す波形V5となり、Vdet=(C1+C2)×V0/C3となる。
その後、時刻T31のタイミングでスイッチSW2をオフさせ、スイッチSW1及びスイッチSW3をオンさせることにより、検出電極E1の電位を交流矩形波Sgと同電位のローレベルにするとともに電圧検出器DETをリセットさせる。以上の動作を所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)で繰り返す。
図8は、第1の実施形態に係る指紋センサ部の、第1電極、第2電極、ゲート線及び信号線の全体構成を模式的に示す平面図である。図9は、第1電極及び各配線の構成を拡大して示す模式平面図である。なお、図8は、カバー部材10の第1カバー基材101を第2カバー基材102側から見たときの上面図であり、見やすくするために第2カバー基材102を省略して示す。
図8に示すように、指紋センサ部20の第1電極25は、透過領域Adの一部の指紋検出領域Fdにおいて、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に行列状に複数配置されている。第1電極25は、それぞれ菱形形状であり、菱形形状の各辺同士が対向するように配置される。図8では、図面を見やすくするために、一部の第1電極25のみ示しているが、第1電極25は指紋検出領域Fdの全体に設けられていてもよい。
第2電極26は、第1電極25と重畳して、指紋検出領域Fdの全体に連続して設けられている。すなわち、第1電極25は、第2電極26と比較して小さい面積を有しており、1つの第2電極26に対して多数の第1電極25が配列される。なお、図8では、1つの第2電極26が指紋検出領域Fdに設けられているが、複数の第2電極26を設けてもよく、後述するように、例えばマトリクス状に複数の第2電極26を配列してもよい。
図8及び図9に示すように、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLが第2電極26と重畳して設けられている。ゲート線GCLは、透過領域Adの長辺に沿った方向に対して傾斜して延在する。信号線SGLは、透過領域Adの長辺に沿った方向に対して、ゲート線GCLとは反対方向に傾斜して延在する。信号線SGLとゲート線GCLとが互いに交差してメッシュ状に配置される。信号線SGLとゲート線GCLとで囲まれた領域にそれぞれ、菱形状の第1電極25が設けられる。第1電極25は、4辺の長さが等しい菱形形状であるが、これに限定されず、例えば平行四辺形状、矩形状或いは正方形状等であってもよい。
図8に示すように、額縁領域Gdにおいて、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104には上述したゲートドライバ12、第1電極ドライバ14等の駆動回路を含む回路部15A、15B、15Cが形成されている。ゲートドライバ12は、走査信号Vscanを生成する走査信号生成部や、ゲート線GCLを選択するゲートスキャナ等を含む。また、第1電極ドライバ14は、検出用の駆動信号Vfを生成する駆動信号生成部や、信号線SGLを選択するマルチプレクサ等の選択回路を含む。
回路部15Aは、額縁領域Gdの短辺、すなわち、フレキシブル基板76が接続されている側の額縁領域Gdに設けられ、額縁領域Gdの短辺側に延びる信号線SGL及びゲート線GCLと接続されている。回路部15Bは、額縁領域Gdの長辺の一方に設けられ、回路部15Cは、額縁領域Gdの長辺の他方に設けられる。回路部15B、15Cは、それぞれ額縁領域Gdの長辺側に延びる信号線SGL及びゲート線GCLと接続されている。
回路部15B、15Cは、それぞれ配線L1、L2を介して回路部15Aと電気的に接続されている。回路部15A、15B、15Cは、フレキシブル基板76と電気的に接続され、検出用IC18からの制御信号により動作する。回路部15A、15B、15Cによって、指紋検出領域Fdの複数の第1電極25が、順次選択されて駆動される。
このように、回路部15A、15B、15Cと第1電極25とが第1カバー基材101に設けられているので、回路部15A、15B、15Cと第1電極25とを接続する各種配線の長さを短くすることができる。このため、多数の第1電極25についての検出動作の応答性が向上し、検出性能を向上させることができる。
図9に示すように、信号線SGLとゲート線GCLとの交差部にそれぞれ第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxが設けられる。第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxは第1電極25に対応する位置にそれぞれ設けられる。第1スイッチング素子Trは、信号線SGLと第1電極25との間の接続と遮断とを切り替え可能となっている。第2スイッチング素子Trxは、第1電極25と第2電極26との間の接続と遮断とを切り替え可能となっている。
第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。第2スイッチング素子Trxは、第1スイッチング素子Trと逆のスイッチング動作を行う。この例では、pチャネルのMOS型のTFTで構成される。第1スイッチング素子Trと第2スイッチング素子Trxとに同じ走査信号が供給され、例えば走査信号が高レベルのとき、第1スイッチング素子Trがオン(開)、第2スイッチング素子Trxがオフ(閉)となる。走査信号が低レベルのとき、第1スイッチング素子Trがオフ(閉)、第2スイッチング素子Trxがオン(開)となる。
図8に示すように、ゲート線GCLは第1カバー基材101に設けられたゲートドライバ12に接続される。ゲートドライバ12は、図9に示す複数のゲート線GCL(n)、GCL(n+1)、…GCL(n+4)を順次選択し、選択されたゲート線GCL(n)、GCL(n+1)、…GCL(n+4)に対して走査信号Vscanを順次供給する。第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanによりオンとオフとが切り換えられる。ゲート線GCLに沿って配列された複数の第1電極25が、検出対象の第1電極ブロック25Aとして選択され、第1電極ブロック25Aの各第1電極25に対応する第1スイッチング素子Trに高レベルの走査信号Vscanが供給される。
信号線SGLは、第1カバー基材101に設けられた第1電極ドライバ14に接続される。第1電極ドライバ14は、複数の信号線SGL(m)、SGL(m+1)、…SGL(m+4)を順次選択し、選択された信号線SGL(m)、SGL(m+1)、…SGL(m+4)に駆動信号Vfを供給する。これにより、検出対象となる第1電極ブロック25Aの各第1電極25に、信号線SGL及び第1スイッチング素子Trを介して駆動信号Vfが供給される。各第1電極25は、駆動信号Vfが供給されると、静電容量変化に応じた信号を、信号線SGLを介して上述した検出用IC18に出力する。これにより、接触又は近接する指の指紋を検出することができる。第1電極25は、上述した自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理における検出電極E1に対応する。
図9に示すように、第2電極26には、コンタクトホールH1を介して導電性配線51が接続されている。本実施形態では、1つの第2電極26に対して1本の導電性配線51が接続されている。導電性配線51は、指紋検出領域Fdから額縁領域Gdまで引き出され、回路部15A、15B、15C(図8参照)に接続される。回路部15A、15B、15Cは、導電性配線51にガード信号Vsglを供給する。ガード信号Vsglは、駆動信号Vfと同期した同一の波形を有する電圧信号であり、駆動信号Vfが供給されたときの、第1電極25と第2電極26との間の容量変化を抑制するための電圧信号である。導電性配線51を介して第2電極26に、第1電極25に供給される駆動信号Vfと同じ波形であるガード信号Vsglが同期して供給されることで、第1電極25と対向する第2電極26が、第1電極25と同じ電位で振られることとなる。これによって、駆動信号Vfが供給されたときの、第1電極25と第2電極26との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部20の検出感度の低下を抑制することができる。このように、本実施形態において、第2電極26は、第1電極25に対するシールド電極として機能する。
図9では、第2電極26の中央部が、導電性配線51と接続されているが、第2電極26の端部が導電性配線51と接続されていてもよい。また、1本の導電性配線51において複数箇所で第2電極26と接続されていてもよく、或いは1つの第2電極26に対して複数本の導電性配線51が接続されていてもよい。
また、第1電極25は、第2スイッチング素子Trxを介して第2電極26と接続可能となっている。複数の第1電極25のうち、検出対象の第1電極ブロック25Aとして選択されていない第1電極25は、第1スイッチング素子Trがオフ(閉)、第2スイッチング素子Trxがオン(開)となる。このため、第1電極ブロック25A(n)の周囲の第1電極25に対し、第2電極26を介してガード信号Vsglが供給される。したがって、検出対象として選択された第1電極ブロック25A(n)の周囲の電極も、第1電極ブロック25A(n)の第1電極25と同じ電位で振られることとなる。これによって第1電極ブロック25A(n)の各第1電極25と、検出対象として選択されていない第1電極25との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部20の検出感度の低下を抑制することができる。
ゲート線GCL、信号線SGL及び導電性配線51は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、導電性配線51は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。また、反射率を抑えるために、ゲート線GCL、信号線SGL及び導電性配線51の最表面に黒色化処理を行うことも好ましい。
図9に示すように、導電性配線51は、信号線SGLと重畳して設けられ、信号線SGLの延在方向と同じ方向に延在する。このため、信号線SGLが視認されることを抑制できる。また、導電性配線51、信号線SGL及びゲート線GCLは、透過領域Adの長辺に沿った方向に対して傾斜して設けられる。つまり、導電性配線51、信号線SGL及びゲート線GCLは、後述する表示パネル30の画素Pixの配列方向に対して傾斜することとなるため、モアレの発生が抑制される。
次に、指紋センサ部20の検出動作の一例について説明する。図10は、第1の実施形態に係る指紋センサ部のタイミング波形図である。図10に示すように、検出期間Pt1、Pt2、Pt3…が時分割で配置される。検出期間Pt1では、n番目のゲート線GCL(n)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n番目のゲート線GCL(n)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n)に対応する第1電極ブロック25A(n)の各第1電極25に、信号線SGL(n)を介して駆動信号Vfが供給される。
検出期間Pt1において、第2電極26にガード信号Vsglが供給される。また、選択されていないゲート線GCL(n+1)、GCL(n+2)では、走査信号Vscanがオフ(低レベル)になる。このため、ゲート線GCL(n+1)、GCL(n+2)に接続された第2スイッチング素子Trxはオン(開)となる。選択されていない第1電極ブロック25A(n+1)、25A(n+2)に対して、第2電極26を介してガード信号Vsglが供給される。これによって、第1電極25と第2電極26との寄生容量、及び第1電極ブロック25A(n)の各第1電極25と、第1電極ブロック25A(n)の周囲の第1電極25との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部20の検出感度の低下を抑制することができる。
次に、検出期間Pt2では、n+1番目のゲート線GCL(n+1)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n+1番目のゲート線GCL(n+1)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n+1)に対応する第1電極ブロック25A(n+1)の各第1電極25に、信号線SGL(n+1)を介して駆動信号Vfが供給される。検出期間Pt2において、第2電極26及び選択されていない第1電極ブロック25A(n)、25A(n+2)に対して、ガード信号Vsglが供給される。
検出期間Pt3では、n+2番目のゲート線GCL(n+2)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n+2番目のゲート線GCL(n+2)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n+2)に対応する第1電極ブロック25A(n+2)の各第1電極25に、信号線SGL(n+2)を介して駆動信号Vfが供給される。検出期間Pt3において、第2電極26及び選択されていない第1電極ブロック25A(n)、25A(n+1)に対して、ガード信号Vsglが供給される。
これを繰り返すことにより、指紋検出領域Fdにおいて、指が接触又は近接した位置の第1電極25から、上述した自己静電容量方式の検出原理に基づいて検出信号Vdetが検出部40(図1参照)に出力される。このようにして、指紋センサ部20により指紋の検出動作が行われる。
次に第1電極25、第2電極26、第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxの構成について説明する。図11は、第1電極及びスイッチング素子の構成を説明するための平面図である。図12は、図11のXII−XII’線に沿う断面図である。
図11に示すように、隣り合う第1電極25の辺同士が離隔して対向しており、第1電極25の間にゲート線GCL及び信号線SGLが平面視で交差して設けられる。ゲート線GCLと信号線SGLとの交差部の近傍において、第1電極25は、コンタクトホールH4を介して第1スイッチング素子Trのドレイン電極63と接続されている。なお、図12では、図面を見やすくするために第2電極26を省略して示しているが、上述したように、第2電極26は、複数の第1電極25、ゲート線GCL及び信号線SGLと重畳して配置されている。
図11及び図12に示すように第1スイッチング素子Trは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を含む。また、第2スイッチング素子Trxは、半導体層65、ソース電極66、ドレイン電極67及びゲート電極68を含む。なお、この例では、第2スイッチング素子Trxのドレイン電極67は、第1スイッチング素子Trのドレイン電極63と共通の電極が用いられる。
図12に示すように、第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxは、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に設けられる。第1無アルカリガラス層104の上に、ゲート電極64及びゲート電極68(ゲート線GCL)が設けられている。ゲート電極64及びゲート電極68(ゲート線GCL)の上側に絶縁層58aを介して半導体層61及び半導体層65が設けられている。半導体層61及び半導体層65の上側に絶縁層58bを介してドレイン電極63、ドレイン電極67、ソース電極62(信号線SGL)及びソース電極66が設けられる。ドレイン電極63、ドレイン電極67、ソース電極62(信号線SGL)及びソース電極66の上側に平坦化層59を介して導電性配線51が設けられる。導電性配線51の上側に絶縁層58cを介して第2電極26が設けられる。上述のように第2電極26の上側に絶縁層56が設けられ、絶縁層56の上に第1電極25が設けられる。第1電極25の上に絶縁層57が設けられ、絶縁層57の上に接着層71を介して第2カバー基材102の第2面102bが貼り合わされる。
本実施形態において、各絶縁層56、57、58a、58b、58cは、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の無機絶縁材料が用いられる。平坦化層59は、例えばポリイミド樹脂などの有機樹脂材料が用いられる。
図12に示すように、第2スイッチング素子Trxは第1スイッチング素子Trと同層に設けられている。これに限られず、第2スイッチング素子Trxは第1スイッチング素子Trと異なる層に設けられていてもよい。
図11及び図12に示すように、第1スイッチング素子Trにおいて、半導体層61は、コンタクトホールH3を介してドレイン電極63に接続される。半導体層61は、平面視でゲート線GCLと交差している。ゲート線GCLにおいて半導体層61と重畳する部分がゲート電極64として機能する。半導体層61は、信号線SGLと平行な方向に延在して、信号線SGLと重畳する位置に屈曲する。半導体層61は、コンタクトホールH2を介して信号線SGLと電気的に接続される。ここで、信号線SGLにおいて、半導体層61と重畳する部分がソース電極62として機能する。このようにして、信号線SGLと第1スイッチング素子Tr及びゲート線GCLと第1スイッチング素子Trが電気的に接続される。なお、図11では、半導体層61は、ゲート線GCLと交差する部分が1箇所であるが、ゲート線GCLと2回交差するように屈曲していてもよい。
第2スイッチング素子Trxにおいて、半導体層65は、コンタクトホールH9を介してドレイン電極67に接続される。ドレイン電極67はコンタクトホールH4を介して第1電極25と接続される。半導体層65は、信号線SGLと平行な方向に延在して平面視でゲート線GCLと交差する。ゲート線GCLにおいて半導体層65と重畳する部分がゲート電極68として機能する。図11に示すように、第2スイッチング素子Trxのゲート電極68は、ゲート線GCLから分岐して設けられており、第1スイッチング素子Trのゲート電極64と電気的に接続されている。つまり、第1スイッチング素子Trと第2スイッチング素子Trxとは、ゲート線GCLを共有する。半導体層65は、コンタクトホールH10を介してソース電極66と接続され、ソース電極66は、コンタクトホールH11を介して第2電極26と接続される。このようにして、第1電極25と第2スイッチング素子Trx、及び第2電極26と第2スイッチング素子Trxが電気的に接続される。
半導体層61、65の材料としては、ポリシリコンや酸化物半導体などの公知の材料を用いることができる。例えばTAOS(Transparent Amorphous Oxide Semiconductor、透明アモルファス酸化物半導体)を用いることができる。
図11に示すように、導電性配線51には、タブ部51aが接続されている。タブ部51aは、信号線SGLとゲート線GCLとの交差部の近傍に設けられ、導電性配線51の延在方向と交差する方向に突出している。タブ部51aは、信号線SGLと重畳しない位置に設けられ、コンタクトホールH1を介して第2電極26(図11では省略して示す)と電気的に接続される。このようにして、第2電極26と導電性配線51とが電気的に接続される。
このような構成により、第1電極25は、第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx、第2電極26及び各配線よりもカバー部材10の検出面である第1面102a側に配置されるので、検出対象となる指と第1電極25との距離が短くなり、良好な検出感度が得られる。また、第1電極25と、第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx及び各配線との間に第2電極26が設けられているので、各配線の電圧変動による第1電極25の容量変化を抑制することができる。
図12に示すように、第1スイッチング素子Trのゲート電極64(ゲート線GCL)及び第2スイッチング素子Trxのゲート電極68(ゲート線GCL)は、第1無アルカリガラス層104の上に直接、設けられている。言い換えると、アルカリガラス層103と第1スイッチング素子Trとの間、及びアルカリガラス層103と第2スイッチング素子Trxとの間に第1無アルカリガラス層104が設けられている。これにより、アルカリ成分が第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trx側に侵入することを抑制することができるので、信号線SGL、ゲート線GCL等の各種配線の腐食や、半導体層61、65の特性の劣化を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のカバー部材10は、アルカリガラス層103と、アルカリガラス層103の第1面103aに設けられる第1無アルカリガラス層104と、アルカリガラス層103の第2面103bに設けられる第2無アルカリガラス層105とを含む第1カバー基材101と、第1カバー基材101に接触又は近接する物体の凹凸を検出するための複数の第1電極25と、第1スイッチング素子Trとを含み、画像を透過させるための透過領域Adにおいて、第1無アルカリガラス層104に設けられる指紋センサ部20とを有する。
これによれば、指紋センサ部20は、表示パネル30よりもカバー部材10側に設けられているので、例えば、表示パネル30と一体に指紋検出用の検出電極を設けた場合に比べ、検出電極である第1電極25と、検出面である第2カバー基材102の第1面102aとの距離を小さくすることができる。さらに、指紋センサ部20は、第1カバー基材101の上に設けられているので、指紋センサ部20と指との間に配置される第2カバー基材102を薄くして、第1電極25と、検出面である第1面102aとの距離を小さくすることができる。したがって、本実施形態のカバー部材10によれば、検出性能を向上させることができる。
また、指紋センサ部20は、自己静電容量方式の検出原理に基づいて、接触又は近接する指等の凹凸を検出するので、相互静電容量方式に比較して、第1電極25に駆動信号Vfが供給されたときの、カバー部材10の第1面102aに対して垂直な方向における電界の強度を高めることができる。このため、本実施形態のカバー部材10は、指紋センサ部20の第1電極25の面積を小さくして検出の解像度を高めるとともに、良好な検出感度が得られる。
さらに第1電極25と対向する第2電極26が設けられているので、第2電極26にガード信号Vsglが供給されることで、第1電極25の、第1カバー基材101側における容量変化を抑制することができる。したがって、本実施形態のカバー部材10は、指紋センサ部20の検出感度の低下を抑制することができる。
図13は、第1の実施形態の第1変形例に係るカバー部材の断面図である。図13に示すように、本変形例では、第1スイッチング素子Trのゲート電極64(ゲート線GCL)及び第2スイッチング素子Trxのゲート電極68(ゲート線GCL)は、パッシベーション膜55を介して第1無アルカリガラス層104の上に設けられている。このような構成であっても、アルカリ成分が第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxに侵入することを抑制することができる。パッシベーション膜55は例えば窒化シリコン(Si3N4)等の無機絶縁材料が用いられる。
仮に、第1無アルカリガラス層104を設けずに、パッシベーション膜55をアルカリガラス層103の上に設けた構成の場合、アルカリ成分がパッシベーション膜55を透過して第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxに到達する可能性がある。第1無アルカリガラス層104の上にパッシベーション膜55を設けることで、確実に第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxの特性の劣化を抑制することができる。
図14は、第1の実施形態の第2変形例に係るカバー部材の指紋センサ部を表す模式平面図である。図14に示すように、本変形例のカバー部材10Aにおいて、指紋センサ部20Aは、透過領域Adの短辺の中央部に配置される。透過領域Adの短辺の両端側、言い換えると透過領域Adの隅部には、指紋センサ部20Aは設けられていない。透過領域Adの短辺に沿った方向において指紋センサ部20Aに隣り合う領域には、第1カバー基材101と第2カバー基材102とを貼り合わせる接着層71(図2参照)が設けられる。
本変形例において、指紋検出領域Fdは、透過領域Adと重なる領域であり、かつ、透過領域Adの短辺の中央部から、面内方向の中央部に突出する矩形状の領域である。指紋センサ部20Aの、第1電極25、第2電極26、ゲート線GCL、信号線SGL等は指紋検出領域Fdに設けられる。
第1電極25、第2電極26、ゲート線GCL、信号線SGL等の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、第1電極25に駆動信号Vfが供給され、第1電極25の容量変化に応じた検出信号Vdetが出力される。検出部40(図5参照)は、第1電極25から出力される検出信号Vdetにより、指紋検出領域Fdに接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出することができる。
本実施形態では、指紋センサ部20Aの第1電極25は、透過領域Adの短辺の中央部にのみ設けられているので、ゲートドライバ12、第1電極ドライバ14を含む回路部15は、額縁領域Gdの短辺の中央部にのみ配置される。ゲート線GCL及び信号線SGLは、額縁領域Gdの短辺に引き出されて回路部15に接続される。ゲートドライバ12、第1電極ドライバ14等の駆動回路と、第1電極25とが、第1カバー基材101に設けられているので、検出動作の応答性が向上し、検出性能を向上させることができる。また、第1の実施形態に比べて、指紋検出領域Fdの面積が小さいので、検出に要する時間を短縮することができ、検出部40での演算処理の負担を低減することができる。
指紋センサ部20Aは、透光性を有する指紋検出部であり、第1カバー基材101と第2カバー基材102(図2参照)との間に設けられた構成であるため、表示パネル30の偏光板35等の各部材や、各電極の配置等による制約が少なく、指紋センサ部20Aの大きさや配置の自由度を高めることができる。よって、図14に示すように、指紋検出領域Fdを小さくして透過領域Adの一部のみに設ける場合であっても、指紋検出領域Fdに対応させて指紋センサ部20Aを配置させることが容易である。
なお、図14に示すように、指紋検出領域Fdよりもさらに小さい範囲の指紋検出領域FdAを指紋の検出を行うための検出領域とすることができる。この場合、指紋検出領域FdAに第1電極25、ゲート線GCL及び信号線SGLが設けられる。指紋検出領域FdAよりも外側の領域は、第1電極25が設けられていない構成、又は、検出電極として機能しないダミー電極を設けた構成とすることができる。指紋検出領域FdAに設けられたゲート線GCL及び信号線SGLは、指紋検出領域FdAよりも外側の領域まで引き出されるため、指紋検出領域FdAよりも外側の領域にダミー配線を設けることが好ましい。ダミー配線としてゲート線GCL及び信号線SGLと同じ材料を用い、ダミー配線を同じゲート線GCL及び信号線SGLと同じピッチで配列することにより、指紋検出領域FdAの周囲に各配線が配列され、ゲート線GCL及び信号線SGLが設けられた部分と、ダミー配線が設けられた部分との光の透過率の差が低減されるので、視認性を向上させることができる。
図15は、第1の実施形態の第3変形例に係るカバー部材の指紋センサ部を表す模式平面図である。本変形例のカバー部材10Bにおいて、図14に示した例と同様に、指紋検出領域Fdは、透過領域Adと重なる領域であり、かつ、透過領域Adの短辺の中央部から、面内方向中央部に突出する矩形状の領域である。指紋センサ部20Bは、透過領域Adの短辺に沿った方向において、指紋検出領域Fdよりも外側に、額縁領域Gdの長辺の近傍まで延びている。
図15に示すように、第1カバー基材101の指紋検出領域Fdに第1電極25が設けられ、透過領域Adの短辺に沿った方向において、指紋検出領域Fdと隣り合ってダミー領域Dd1、Dd2が設けられている。ダミー領域Dd1、Dd2において、第1カバー基材101には、ゲート線GCLの延在方向と平行方向に延びるダミー配線DL1と、信号線SGLの延在方向と平行方向に延びるダミー配線DL2とが設けられている。ダミー配線DL1、DL2は、それぞれ、ゲート線GCL、信号線SGLと同じ材料が用いられ、ゲート線GCL、信号線SGLの配列ピッチと等しいピッチで配列される。
ダミー領域Dd1のダミー配線DL1、DL2は、スリットSL1により、指紋検出領域Fdのゲート線GCL及び信号線SGLと電気的に分離されている。また、ダミー領域Dd2のダミー配線DL1、DL2は、スリットSL2により、指紋検出領域Fdのゲート線GCL及び信号線SGLと電気的に分離されている。ダミー配線DL1、DL2は、回路部15のゲートドライバ12及び第1電極ドライバ14と接続されておらず、検出動作に用いられない配線である。
このような構成により、指紋検出領域Fdを透過領域Adの一部にのみ設けた場合であっても、指紋検出領域Fdとダミー領域Dd1、Dd2との光の透過率の差を低減することができるため、表示画像の視認性を向上させることができる。
なお、図15では、ダミー領域Dd1、Dd2は、透過領域Adの一部に設けられているが、これに限定されず、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重畳しない領域の全体に設けられていてもよい。また、図15では図示していないが、ダミー領域Dd1、Dd2に検出電極として機能しないダミー電極を設け、このダミー電極を第1電極25と同様の形状及び配列としてもよい。さらに、第2電極26と同層に、ダミー領域Dd1の全体に連続してダミー電極を設けてもよく、ダミー領域Dd2の全体に連続してダミー電極を設けてもよい。
図16は、第1の実施形態の第4変形例に係るカバー部材の指紋センサ部を表す模式平面図である。図17は、図16のXVII−XVII’線に沿う断面図である。図16及び図17に示すように、本実施形態のカバー部材10Cにおいて、指紋センサ部20Cは透過領域Adの全面に設けられている。すなわち、透過領域Adの全面が、指紋検出領域Fdとなる。
図16に示すように、第1カバー基材101の透過領域Adの全面に第1電極25が配列され、かつ、複数の第1電極25と対向して透過領域Adの全面に第2電極26が設けられる。額縁領域Gdの短辺において、ゲートドライバ12と第1電極ドライバ14とを含む回路部15Aが設けられ、額縁領域Gdの長辺に沿って回路部15B、15Cが設けられている。ゲート線GCL及び信号線SGLは、透過領域Adの全面に配列されており額縁領域Gdの短辺側に延びるゲート線GCL及び信号線SGLが回路部15Aに接続される。また、額縁領域Gdの長辺側に延びるゲート線GCL及び信号線SGLが回路部15B、15Cに接続される。
このような構成により、自己静電容量方式の基本原理に基づいて、第1電極25の容量変化に応じた検出信号Vdetから、透過領域Adの全面において、接触又は近接する指等の凹凸を検出することができる。なお、後述するように、第1電極25により、接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出することも可能である。したがって、第1電極25により、近接又は接触する指等の位置を検出し、その検出された位置において細かいピッチで指紋検出動作を実行してもよい。
図17に示すように、表示装置1Cにおいて、指紋センサ部20Cは、接着層72、第1カバー基材101を介して、表示パネル30の偏光板35のほぼ全面に対向して設けられている。このように、指紋センサ部20Cは透過領域Adの全面に対向して設けられているので、透過領域Adの全面において光の透過率の差が抑制され、表示パネル30の表示画像の視認性を向上させることができる。
図18は、第1の実施形態の第5変形例に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。本変形例の表示装置1Dにおいて、第1面102aに対して垂直な方向から見たときの、カバー部材10Dの第2カバー基材102の外形形状が、第1カバー基材101の外形形状よりも小さくなっている。上述したように、第2カバー基材102は、指紋センサ部20Dの検出性能を向上させるために、例えば0.2mm程度に薄く形成されている。このため、第2カバー基材102に衝撃が加えられると破損する可能性がある。
第2カバー基材102の外形形状を第1カバー基材101よりも小さくすることで、第2カバー基材102の端部が第1カバー基材101と重なる位置に配置され、第2カバー基材102の第2面102bの全面が接着層71に接着されて支持される。このため、第2カバー基材102のうち、接着層71及び第1カバー基材101により支持されない部分が小さくなり、第2カバー基材102の破損を抑制することができる。本変形例において、第2カバー基材102は、表示パネル30の表示画像の劣化を抑制するために、少なくとも透過領域Adの全面を覆うように設けられていることが好ましい。
(第2の実施形態)
図19は、第2の実施形態に係る表示装置の一構成例を示すブロック図である。図19に示すように、表示装置1Eは、検出機能付き表示部200と、指紋センサ部20と、検出制御部11Aと、表示制御部11Bと、ゲートドライバ12と、表示用ゲートドライバ12Aと、ソースドライバ13と、第1電極ドライバ14と、駆動電極ドライバ14Aと、検出部40と、タッチ検出部40Aとを備えている。表示装置1Eは、検出機能付き表示部200が検出機能を内蔵した表示装置である。
検出機能付き表示部200は、上述した表示パネル30と、タッチ入力を検出する検出装置であるタッチセンサ部50とを一体化した装置である。表示パネル30とタッチセンサ部50とが一体化した装置とは、例えば、表示パネル30又はタッチセンサ部50に使用される基板や電極の一部を兼用することを示す。表示パネル30は、例えば、有機EL表示パネルであってもよい。
表示制御部11Bは、外部より供給された映像信号に基づいて、表示用ゲートドライバ12A及びソースドライバ13に制御信号を供給して、主に表示動作を制御する回路である。また、表示制御部11Bは、さらに検出制御部11Aに対して制御信号を供給して、表示用ゲートドライバ12A、ソースドライバ13、及び検出制御部11Aが互いに同期して、又は同期しないで動作するように制御することができる。
表示用ゲートドライバ12Aは、表示制御部11Bから供給される制御信号に基づいて、表示用の走査信号Vscandを出力して、検出機能付き表示部200の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。
ソースドライバ13は、表示制御部11Bから供給される制御信号に基づいて、検出機能付き表示部200の、各画素Pixに画素信号Vpixを供給する回路である。表示制御部11Bは、画素信号Vpixを生成し、この画素信号Vpixをソースドライバ13に供給してもよい。
タッチセンサ部50は、静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出動作を行い、接触又は近接する外部物体の位置を検出する。タッチセンサ部50は、外部物体の接触又は近接を検出した場合、検出信号VdetAをタッチ検出部40Aに出力する。
検出制御部11Aは、タッチセンサ部50における、接触又は近接する外部の物体を検出する検出動作を制御するとともに、指紋センサ部20の検出動作を制御する回路である。駆動電極ドライバ14Aは、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、検出機能付き表示部200の、後述する駆動電極33Aに検出用の駆動信号Vs又は表示用の駆動信号Vcomを供給する回路である。ゲートドライバ12は、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、上述したように、指紋センサ部20に走査信号Vscanを供給する。また、第1電極ドライバ14は、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部20に駆動信号Vfを供給する。
タッチ検出部40Aは、検出制御部11Aから供給される制御信号と、第3電極TDL(図35参照)から出力される検出信号VdetAとに基づいて、タッチセンサ部50に対するタッチの有無を検出する回路である。また、タッチ検出部40Aは、タッチがある場合においてタッチ入力が行われた座標などを求める。タッチ検出部40Aは、上述した検出部40と同様に、検出信号増幅部、A/D変換部、信号処理部、座標抽出部、検出タイミング制御部等を備える。
タッチセンサ部50は、静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作する。ここで、図20から図22を参照して、本実施形態の表示装置1Eの相互静電容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。図20は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。図21は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための等価回路の一例を示す説明図である。図22は、相互静電容量方式のタッチ検出の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。なお、以下の説明では、指が接触又は近接する場合を説明するが、指に限られず、例えばスタイラスペン等の導体を含む物体であってもよい。
例えば、図20に示すように、容量素子C4は、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極、駆動電極E2及び検出電極E3を備えている。容量素子C4は、駆動電極E2と検出電極E3との対向面同士の間に形成される電気力線(図示しない)に加え、駆動電極E2の端部から検出電極E3の上面に向かって延びるフリンジ分の電気力線が生じる。図21に示すように、容量素子C4は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端は電圧検出器DETに接続される。電圧検出器DETは、例えば、図19に示すタッチ検出部40Aに含まれる積分回路である。
交流信号源Sから駆動電極E2(容量素子C4の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)の交流矩形波Sgが印加されると、検出電極E3(容量素子C4の他端)側に接続された電圧検出器DETを介して、図22に示すような出力波形(検出信号VdetA)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、駆動電極ドライバ14Aから入力される駆動信号Vsに相当するものである。
指が接触又は近接していない状態(非接触状態)では、容量素子C4に対する充放電に伴って、容量素子C4の容量値に応じた電流が流れる。図21に示す電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(実線の波形V6(図22参照))に変換する。
一方、指が接触又は近接した状態(接触状態)では、図20に示すように、指によって形成される静電容量C5が、検出電極E3と接触し、又は近傍にある。これにより、駆動電極E2と検出電極E3との間にあるフリンジ分の電気力線が導体(指)により遮られる。このため、容量素子C4は、非接触状態での容量値よりも容量値の小さい容量素子として作用する。そして、図21及び図22に示すように、電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流I1の変動を電圧の変動(点線の波形V7)に変換する。
この場合、波形V7は、上述した波形V6と比べて振幅が小さくなる。これにより、波形V6と波形V7との電圧差分の絶対値|ΔV|は、指などの外部から接触又は近接する外部物体の影響に応じて変化することになる。なお、電圧検出器DETは、波形V6と波形V7との電圧差分の絶対値|ΔV|を精度よく検出するため、回路内のスイッチングにより、交流矩形波Sgの周波数に合わせて、コンデンサの充放電をリセットする期間Resetを設けた動作とすることがより好ましい。
タッチ検出部40Aは、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧未満であれば、外部近接物体が非接触状態であると判断する。一方、タッチ検出部40Aは、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、外部近接物体の接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出部40Aはタッチ検出が可能となる。
次に本実施形態の表示装置1Eの構成例を説明する。図23は、第2の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。図24は、本実施形態に係る駆動電極と第3電極との関係を説明するための模式平面図である。
図23に示すように、本実施形態の表示装置1Eは、カバー部材10と、表示パネル30とを含む。本実施形態のカバー部材10は、上述した第1の実施形態及び各変形例に示したカバー部材10、10A−10Dのいずれかの構成とすることができ、また、本実施形態のカバー部材10に含まれる指紋センサ部20も、第1の実施形態及び各変形例に示した指紋センサ部20、20A−20Dのいずれかの構成とすることができる。
図23に示すように、表示パネル30の対向基板30Bに第3電極TDLが設けられており、第3電極TDLの上側に偏光板35が設けられている。第3電極TDLは、タッチセンサ部50の検出電極として機能する。指紋センサ部20は、第2カバー基材102の第1面102aに対して垂直な方向から見たときに、透過領域Adの一部に設けられた指紋検出領域Fdと重なって配置される。図23に示すように、指紋センサ部20は、第3電極TDLの一部と重なって配置される。
図24に示すように、検出機能付き表示部200は、第1基板31に設けられた駆動電極33Aと、第2基板36に設けられた第3電極TDLとを含む。駆動電極33Aは、透過領域Adにおいて、第2方向Dyに延びており第1方向Dxに複数配列されている。駆動電極33Aは、表示動作の際、駆動電極ドライバ14Aから表示用の駆動信号Vcomが供給され、複数の画素電極32(図4参照)に対する共通電極として機能する。
第3電極TDLは、透過領域Adにおいて、第1方向Dxに延びており第2方向Dyに複数配列されている。すなわち、第3電極TDLは、駆動電極33Aの延在方向と交差する方向に延びている。各第3電極TDLは、額縁配線(図24では省略して示す)を介して第2基板36の額縁領域Gdの短辺側に設けられたフレキシブル基板75Aに接続される。本実施形態において、第3電極TDLは、例えばITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。図24に示すように、駆動電極33Aは、透過領域Adの一部に設けられた指紋検出領域Fdに重なって設けられている。また、指紋検出領域Fdに重なる位置に設けられた第3電極TDLは、後述するように、実質的に検出電極として機能しないダミー電極TDLdである。
第3電極TDLと駆動電極33Aとの交差部分に、それぞれ静電容量が形成される。タッチセンサ部50において、相互静電容量方式のタッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14Aは、駆動電極33Aを時分割的に順次選択し、選択された駆動電極33Aに駆動信号Vsを供給する。そして、第3電極TDLから検出信号VdetAが出力されることによりタッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極33Aは、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理における駆動電極E2に対応し、第3電極TDLは、検出電極E3に対応する。なお、駆動電極ドライバ14Aは、複数の駆動電極33Aを含む駆動電極ブロックごとに順次選択して駆動してもよい。
このように、本実施形態において、駆動電極33Aは、表示動作の際に複数の画素電極32に対する共通電極として機能するとともに、検出動作の際に第3電極TDLに対する駆動電極として機能する。
なお、図24では、第1基板31の額縁領域Gdに、表示用ゲートドライバ12A、駆動電極ドライバ14A、マルチプレクサ13A等の各種回路が設けられている。これに限定されず、表示用ゲートドライバ12A、駆動電極ドライバ14Aの機能の一部は表示用IC19に含まれていてもよい。
図25は、本実施形態に係るタッチ検出動作を説明するための模式図である。図25に示すように、第3電極TDLの一部は、指紋センサ部20と重なっており、検出面である第1面102aに垂直な方向において、第2カバー基材102に対して指紋センサ部20よりも離れた位置に配置される。
タッチ検出動作の際に、駆動電極33Aに駆動信号Vsが供給されることで、第3電極TDLと駆動電極33Aとの間にフリンジ電界が形成される。フリンジ電界の電気力線Emは、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域においては、第2カバー基材102の第1面102aよりも上方まで到達する。これにより、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、第2カバー基材102の第1面102aに接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出可能となっている。
指紋検出領域Fdにおいて、フリンジ電界の電気力線Emは、指紋センサ部20の第1電極25及び第2電極26(図示を省略する)により遮蔽され、第2カバー基材102の第1面102aよりも上方まで到達できない場合がある。このため、タッチセンサ部50は、指紋検出領域Fdにおいてタッチ検出の検出感度が低下する、又はタッチ検出ができない可能性がある。
本実施形態において、指紋センサ部20の第1電極25は、タッチ検出動作における検出電極として用いられる。すなわち、第1電極25に駆動信号Vfが供給されることで、第1電極25から上方に延びる電界の電気力線Esが形成される。電気力線Esは、指紋検出領域Fdにおいて第2カバー基材102の第1面102aよりも上方に到達する。これにより上述した自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、指紋検出領域Fdに接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出することができる。
検出制御部11A(図19参照)は、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、タッチセンサ部50の相互静電容量方式によるタッチ検出動作を実行し、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部20のタッチ検出動作を実行する。タッチ検出部40A(図19参照)は、第3電極TDLから出力される検出信号VdetAに基づいて、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域におけるタッチ検出を行う。タッチ検出部40Aは、さらに、第1電極25から出力される検出信号Vdetに基づいて、指紋検出領域Fdにおけるタッチ検出を行う。これにより、透過領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。このように、指紋センサ部20は、タッチセンサ部50のタッチ検出動作を補完するようにタッチ検出を行うことができる。
この際、指紋センサ部20においては、指紋を検出するのではなく、単にタッチを検出すればよい。したがって、当該指紋センサ部20の駆動としては、上記指紋検出のための駆動ではなく、別の駆動、例えば複数の第1電極25を同時に駆動させる方法や、全部の第1電極25ではなく、いくつかの代表的な位置の第1電極25のみを駆動させる方法等、指紋センサ部20の検出処理を短縮化するための駆動を採用することができる。また、第3電極TDLのうち、指紋検出領域Fdと重なる第3電極TDLは、検出電極として機能しないダミー電極TDLdとしてもよい。
検出制御部11Aは、タッチセンサ部50のタッチ検出動作と、指紋センサ部20のタッチ検出動作とを、同時に実行してもよく、又は、異なるタイミングで実行してもよい。また、検出制御部11Aは、指紋センサ部20が、指紋検出領域Fdにおいて指等の接触又は近接を検出した場合、指紋センサ部20のタッチ検出動作から指紋検出動作に切り換えて、指紋検出を実行してもよい。この場合、指紋センサ部20は、タッチ検出動作により検出された接触又は近接する指等の位置情報に基づいて、接触又は近接する指等と重なる位置の第1電極25を駆動して指紋検出動作を行うことができる。
後述するように、第1電極25は、画素Pixの配列ピッチPpに対応したピッチで多数配列されている。タッチ検出動作において、指紋検出に比べて検出の解像度を小さくしてもよい。この場合、指紋センサ部20は、複数の第1電極25をまとめて駆動して検出電極ブロックごとに、タッチ検出動作を実行してもよい。例えば、ゲートドライバ12は、複数のゲート線GCLを同時に選択して、第1電極ドライバ14は、選択された複数のゲート線GCLに対応する複数の第1電極25(検出電極ブロック)に駆動信号Vfを供給する。複数の第1電極25(検出電極ブロック)の容量変化に応じた検出信号Vdetがタッチ検出部40Aに出力される。このように検出電極ブロックごとに、タッチ検出を行うことで、タッチ検出に要する時間を短縮することができ、また、タッチ検出部40Aにおける演算処理の負担を低減することができる。
なお、本実施形態において、図24に示す駆動電極33A及び第3電極TDLの形状や配置は適宜変更してもよい。例えば、駆動電極33Aは、第1方向Dxに延びるとともに第2方向Dyに複数配列され、第3電極TDLは、第2方向Dyに延びるとともに第1方向Dxに複数配列されていてもよい。
図26は、第2の実施形態の第1変形例に係る検出機能付き表示部の模式平面図である。図26に示すように、本変形例の表示装置1Fにおいて、第3電極TDLは、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域に設けられ、指紋検出領域Fdに設けられていない点が異なる。
上述のように、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部20によりタッチ検出を行うことができるので、指紋センサ部20と重なる位置に第3電極TDLを設けなくてもよい。こうすることで、指紋検出領域Fdに指等が接触又は近接した場合に、指紋センサ部20から検出信号Vdetが出力され、タッチセンサ部50から検出信号VdetAが出力されない。したがって、タッチ検出部40Aにおける演算処理の負担を低減することができる。
なお、駆動電極33Aは、表示動作の際に共通電極としての機能を兼ねているので、図26に示すように、指紋検出領域Fdを含む透過領域Adの全体に設けられている。
図24及び図26では、帯状の第3電極TDLが複数配列された構成を示したが、これに限定されない。図27は、第2の実施形態の第2変形例に係る検出機能付き表示部の模式平面図である。なお、図27は第2基板36の平面図のみ示し、第1基板31に設けられた駆動電極33Aは省略示しているが、本変形例においても、駆動電極33Aは、図24及び図26に示す例と同様の構成とすることができる。
図27に示すように、第2基板36の透過領域Adに、タッチセンサ部50の検出電極として機能する第3電極TDLAと、検出電極として機能しないダミー電極TDLAdとが設けられている。第3電極TDLAが設けられた検出電極領域Rtと、ダミー電極TDLAdが設けられたダミー電極領域Rdとは、第2方向Dyにおいて交互に配置される。
第3電極TDLAは、複数の金属配線83を含む。金属配線83は、細線片83aと細線片83bとが接続部83xで交互に接続されて構成される。細線片83aと細線片83bとは、第1方向Dxに対して互いに反対方向に傾いており、金属配線83は、ジグザグ線又は波線に形成され全体として第1方向Dxに延びている。金属配線83は、第2方向Dyにおいて間隔を設けて複数配列されている。複数配列された金属配線83の端部同士がパッド部84により接続され、1つの第3電極TDLAとして機能する。
第3電極TDLAは、全体として第1方向Dxに帯状に延びており、第2方向Dyに複数配列される。各第3電極TDLAは、パッド部84及び額縁配線87を介して、第2基板36の額縁領域Gdの短辺側に設けられたフレキシブル基板75Aに接続される。
ダミー電極TDLAdは、細線片85aと細線片85bとを含む。細線片85aは、金属配線83の細線片83aと平行な方向に延び、細線片85bは、金属配線83の細線片83bと平行な方向に延びる。細線片85aと細線片85bとは、互いに間隔を有して第1方向Dxに交互に配置され、かつ、第2方向Dyに複数配置される。
ダミー電極TDLAdは、第2方向Dyに配列される第3電極TDLAの間に配置される。ダミー電極TDLAdは、第3電極TDLAと間隔を有して配置されており、タッチ検出の際に、電圧信号が供給されず電位が固定されていないフローティング状態となる。
本変形例においても、第3電極TDLAと駆動電極33A(図24、26参照)との交差部に静電容量が形成され、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出が可能である。なお、上述したフリンジ電界の電気力線Emは、ダミー電極領域Rdを通って第2カバー基材102の第1面102aよりも上方まで到達する。
第3電極TDLAを構成する金属配線83は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、金属配線83は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物よりも低抵抗である。また、これらの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物に比較して遮光性があるため、透過率が低下する可能性又は第3電極TDLAのパターンが視認されてしまう可能性がある。本実施形態において、1つの第3電極TDLAが、複数の幅細の金属配線83を有しており、金属配線83が、ジグザグ線又は波線に形成され、線幅よりも大きい間隔を設けて配置されることで、低抵抗化と、不可視化とを実現することができる。その結果、第3電極TDLAが低抵抗化し、表示装置1Gは、薄型化、大画面化又は高精細化することができる。
ダミー電極TDLAdを構成する細線片85aと細線片85bは、金属配線83と同じ金属材料を用いることが好ましい。こうすれば、検出電極領域Rtとダミー電極領域Rdとの光の透過率の差を抑制して、これら第3電極TDLAやダミー電極TDLAdの不可視化を実現することができる。また、反射率を抑えるために、金属配線83、細線片85a及び細線片85bの最表面に黒色化処理を行うことも好ましい。
本変形例においても、指紋検出領域Fdに重なって指紋センサ部20が設けられている。タッチセンサ部50は、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、第3電極TDLAと駆動電極33Aとの間の容量変化に応じて、タッチ検出を行う。また、指紋センサ部20は、指紋検出領域Fdにおいて、第1電極25の容量変化によりタッチ検出を行う。これにより、透過領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。
本変形例では、第3電極TDLAは金属配線83により構成されているため、第3電極TDLAが設けられている領域と、第3電極TDLAが設けられていない領域とで光の透過率が異なる結果、観察者に視認される可能性がある。このため、指紋検出領域Fdにおいて第3電極TDLAを設けることが好ましい。又は、指紋検出領域Fdに第3電極TDLAを設けず、同じ金属材料が用いられたダミー電極TDLAdを指紋検出領域Fdに設けてもよい。これにより、透過領域Adの全面において第3電極TDLA及びダミー電極TDLAdの不可視化を実現できる。
(第3の実施形態)
図28は、第3の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。図29は、第3の実施形態に係るカバー部材の模式平面図である。図30は、第3の実施形態に係る第1電極、第3電極及び各種配線の関係を拡大して示す平面図である。図31は、指紋検出領域、ダミー電極領域及び検出電極領域の断面構造を模式的に表す断面図である。
図28に示すように、本実施形態の表示装置1Hにおいて、カバー部材10Hの第1カバー基材101に指紋センサ部20と隣り合って第3電極TDLBが設けられている。透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重なる領域において、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に指紋センサ部20が設けられている。透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に第3電極TDLBが設けられている。なお、本実施形態において、表示パネル30には、検出電極が設けられていない。
表示パネル30の第1基板31に駆動電極33Aが設けられており、カバー部材10Hの第3電極TDLBと表示パネル30の駆動電極33Aとの間に静電容量が形成される。第3電極TDLBと駆動電極33Aとの交差部に形成される静電容量の変化に応じた信号が第3電極TDLBから出力され、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出が可能である。すなわち、第3電極TDLB及び駆動電極33Aがタッチセンサ部50(図19参照)として機能する。
図29及び図30に示すように、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、第1カバー基材101に、検出電極として機能する第3電極TDLBと、検出電極として機能しないダミー電極TDLBdとが設けられている。第3電極TDLBが設けられた検出電極領域Rtaと、ダミー電極TDLBdが設けられたダミー電極領域Rdaとは、第2方向Dyにおいて交互に配置される。なお、図29では、見やすくするためにダミー電極TDLBdを省略して示す。
図30に示すように、第3電極TDLBは、複数の金属配線86a、86bを含む。金属配線86aは、指紋センサ部20の信号線SGLの延在方向と同じ方向に延び、信号線SGLと同じピッチで複数配列される。金属配線86bは、指紋センサ部20のゲート線GCLの延在方向と同じ方向に延び、ゲート線GCLと同じピッチで複数配列される。金属配線86aと金属配線86bとは、互いに同じ層に設けられ、交差部で電気的に接続されることで、1つの第3電極TDLBとして機能する。
図29に示すように、第3電極TDLBは、全体として第1方向Dxに帯状に延びており、第2方向Dyに複数配列される。すなわち、第3電極TDLBは、図24、26に示す駆動電極33Aと交差する方向に延びる。各第3電極TDLBは、図示しない額縁配線を介して、第1カバー基材101の額縁領域Gdの短辺側に設けられたフレキシブル基板76に接続される。
図30に示すように、ダミー電極TDLBdは、細線片88aと細線片88bとを含む。細線片88aは、信号線SGLの延在方向と同じ方向に延び、信号線SGLと同じピッチで複数配列される。細線片88bは、ゲート線GCLの延在方向と同じ方向に延び、ゲート線GCLと同じピッチで複数配列される。細線片88aと細線片88bとは、互いに間隔を有して第1方向Dxに交互に配置される。
ダミー電極TDLBdは、第2方向Dyに配列される第3電極TDLBの間に配置される。ダミー電極TDLBdは、第3電極TDLBと間隔を有して配置されており、タッチ検出の際に、電圧信号が供給されず電位が固定されていないフローティング状態となる。
本変形例においても、第3電極TDLBと駆動電極33A(図24、26参照)との交差部に静電容量が形成され、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出が可能である。なお、上述したフリンジ電界の電気力線Emは、ダミー電極領域Rdaを通って第2カバー基材102の第1面102aよりも上方まで到達する。
本実施形態において検出制御部11A(図19参照)は、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、第3電極TDLB及び駆動電極33Aにより相互静電容量方式によるタッチ検出動作を実行し、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部20のタッチ検出動作を実行する。タッチ検出部40A(図19参照)は、第3電極TDLBから出力される検出信号VdetAに基づいて、透過領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域におけるタッチ検出を行う。タッチ検出部40Aは、さらに、第1電極25から出力される検出信号Vdetに基づいて、指紋検出領域Fdにおけるタッチ検出を行う。これにより、透過領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。このように、カバー部材10Hの指紋センサ部20と第3電極TDLBとで透過領域Adの全面のタッチ検出を行うことができる。
図31に示すように、第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdは、信号線SGLと同じ層に設けられる。第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdは、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に、絶縁層58a及び絶縁層58bを介して設けられる。第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdの上には、絶縁層57が設けられる。すなわち、第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdの上には、平坦化層59及び絶縁層58cが設けられず、絶縁層58bと、平坦化層59及び絶縁層58cとで段差部STが形成される。絶縁層57は、第1電極25、第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdを覆うとともに、段差部STの平坦化層59の側面及び絶縁層58cの側面に連続して設けられる。
絶縁層57の上に、接着層71を介して第2カバー基材102が貼り合わされる。上述したように、接着層71に液状のUV硬化型樹脂である、光学透明樹脂(OCR)を用いることで、段差部STが平坦化され、指紋検出領域Fd、ダミー電極領域Rda及び検出電極領域Rtaに亘って、第2カバー基材102が平坦に貼り合わされる。
本実施形態のカバー部材10Hにおいて、第3電極TDLBの金属配線86a、86b及びダミー電極TDLBdの細線片88a、細線片88bが、指紋センサ部20の信号線SGL及びゲート線GCLと同じ方向、同じピッチで設けられる。これにより、指紋検出領域Fd、ダミー電極領域Rda及び検出電極領域Rtaにおける光の透過率の差を小さくすることができ、透過領域Adの全体の視認性を向上させることができる。また、第3電極TDLB及びダミー電極TDLBdは、信号線SGLと同じ層に設けられるので、信号線SGLと同じ材料を用い、同一工程で形成することができる。
(第4の実施形態)
図32は、第4の実施形態に係る表示装置が備える検出装置の一構成例を示すブロック図である。本実施形態の表示装置1Iにおいて、検出装置100Iは、カバー部材10Iと、検出制御部11と、ゲートドライバ12と、第1電極ドライバ14と、第2電極ドライバ14Bと、検出部40と、タッチ検出部40Aとを備えている。本実施形態において、カバー部材10Iは、指の指紋を検出する指紋センサ部20Iと、指の近接及び位置を検出するタッチセンサ部50Iとを一体化した部材である。
検出制御部11、ゲートドライバ12、第1電極ドライバ14は上述した第1の実施形態と同様の動作を行う。第2電極ドライバ14Bは、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチセンサ部50Iの、後述する第2電極26に駆動信号Vtを供給する回路である。タッチセンサ部50Iは、第2電極26の容量変化に基づいた検出信号VdetAをタッチ検出部40Aに出力する。タッチ検出部40Aは、検出信号VdetAに基づいて、カバー部材10Iに接触又は近接する物体の位置を検出することができる。
図33は、第4の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。図34は、第4の実施形態に係るカバー部材の平面図である。図33に示すように、本実施形態の表示装置1Iにおいて、指紋センサ部20Iは、透過領域Adの全面に重なって第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に設けられている。第1カバー基材101の第2無アルカリガラス層105には、接着層172を介して有機EL表示パネル130が貼り合わされている。
有機EL表示パネル130は、回路基板130Aと、発光層107と、封止層106と、偏光板135とを備える。発光層107は、自発光素子である複数の発光部(OLED:Organic Light−Emitting Diode)を含み、発光部から発生する光がカバー部材10Iに向かって出射され画像が表示される。有機EL表示パネル130は、発光層107において白色光を発光し、白色光がカラーフィルタ(図示しない)を透過することでカラー化がなされる構成であってもよく、或いは、発光層107の発光部ごとにRGB各色の光を発光し、カラーフィルタが設けられていない構成であってもよい。
回路基板130Aは、表示駆動を行うためのスイッチング素子や、各種信号線を含む。回路基板130Aには、フレキシブル基板175が接続され、フレキシブル基板175を介して外部の制御回路から制御信号が供給される。封止層106は、発光層107の上に設けられ、水分などの透過を抑制して発光層107の発光部(OLED)を保護する機能を有する。偏光板135は、例えば、位相差板と偏光板とを含む円偏光板であり、外光の反射を抑制するために設けられている。ただし、偏光板135は設けられていない構成とすることもできる。
有機EL表示パネル130は、いわゆるトップエミッション型であるが、これに限定されず、ボトムエミッション型でもよい。また、有機EL表示パネル130に換えて、第1の実施形態に示した、表示機能層として液晶表示素子が用いられる液晶パネルである表示パネル30を設けてもよい。
図34に示すように、第2電極26Aは、透過領域Adの長辺に沿った方向及び短辺に沿った方向に、行列状に複数配置されている。複数の第2電極26Aは、それぞれ矩形状である。第1電極25は、透過領域Adにおいて、第2電極26Aと重畳して複数設けられる。第1電極25は、上述した構成と同様に、それぞれ菱形形状であり、菱形形状の各辺同士が対向するように配置される。第1電極25は、各第2電極26Aと比較して小さい面積を有しており、1つの第2電極26Aと重畳して多数の第1電極25が設けられる。なお、図34では、図面を見やすくするために、一部の第1電極25と、一部の第2電極26のみ示しているが、第1電極25及び第2電極26Aは透過領域Adの全体に設けられていてもよい。また、第1電極25は、一部の第2電極26Aと重畳する位置に設けられていてもよい。
本実施形態において、第1電極25は、指紋センサ部20Iの検出電極として機能する。また第2電極26Aは、指紋センサ部20Iのシールド電極としての機能と、タッチセンサ部50Iの検出電極としての機能を兼ねる。
図35は、第2電極及び導電性配線の全体構成を模式的に示す平面図である。図36は、第1電極、第2電極、ゲート線及び信号線の全体構成を模式的に示す平面図である。図35に示すように、行列状に配置された第2電極26Aには、それぞれコンタクトホールH1aを介して導電性配線51が接続されている。本実施形態では、1つの第2電極26Aに対して1本の導電性配線51が接続されている。導電性配線51は、透過領域Adにおいて、第2電極26Aの列方向の配列方向に対して傾斜する方向に延在しており、透過領域Adから額縁領域Gdまで引き出されている。導電性配線51はフレキシブル基板76(図34参照)に電気的に接続されて、検出用IC18(図2参照)等の制御回路に接続される。
導電性配線51に、第2電極ドライバ14Bから駆動信号Vtが供給される。そして、第2電極26Aの自己静電容量の変化に応じた検出信号VdetAが、導電性配線51を介してタッチ検出部40Aに供給される。これにより、自己容量方式のタッチ検出原理に基づいて、カバー部材10Iに接触又は近接する外部の物体を検出することができる。駆動信号Vtは、全ての第2電極26Aに同時に供給してもよく、第2電極ドライバ14Bにスキャナ回路を設けて順次供給してもよい。第2電極26Aは、透過領域Adのほぼ全面に配列されているので、タッチ検出部40Aは、各第2電極26Aからの検出信号VdetAに基づいて、透過領域Adに接触又は近接する外部の物体の位置を検出することができる。
図36に示すように、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLが第2電極26Aと重畳して設けられている。ゲート線GCLは、第2電極26Aの列方向の配列方向に対して傾斜して延在する。信号線SGLは、第2電極26Aの列方向の配列方向に対して、ゲート線GCLとは反対方向に傾斜して延在する。信号線SGLとゲート線GCLとが互いに交差してメッシュ状に配置される。信号線SGLとゲート線GCLとで囲まれた領域にそれぞれ、菱形状の第1電極25が設けられる。第1電極25は、4辺の長さが等しい菱形形状であるが、これに限定されず、例えば平行四辺形、正方形等であってもよい。
本実施形態においても、図9から図11に示す構成と同様に、それぞれの第1電極25に対応して第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trx(図36では省略して示す)が設けられ、第1電極25の容量変化に基づいて指紋検出動作が行われる。
図36に示すように、ゲート線GCLは額縁領域Gdに設けられたゲートドライバ12のゲートスキャナ12Bに接続される。ゲートスキャナ12Bはゲート線GCLを順次選択する。走査信号生成部12Cは、ゲートスキャナ12Bにより選択されたゲート線GCLに対して、走査信号Vscanを供給する。ゲート線GCLに沿って配列された複数の第1電極25が、検出対象の第1電極ブロック25Aとして選択され、第1電極ブロック25Aの各第1電極25に対応する第1スイッチング素子Tr(図9、図11参照)に高レベルの走査信号Vscanが供給される。
信号線SGLは、額縁領域Gdに設けられた第1電極ドライバ14のマルチプレクサ16Aに接続される。マルチプレクサ16Aは、複数の信号線SGLを順次選択する。駆動信号生成部16Bは、マルチプレクサ16Aを介して、選択された信号線SGLに駆動信号Vfを供給する。これにより、検出対象となる第1電極ブロック25Aの各第1電極25に、信号線SGL及び第1スイッチング素子Tr(図9、図11参照)を介して駆動信号Vfが供給される。駆動信号Vfが供給されることにより、各第1電極25の容量変化に応じた検出信号Vdetが各第1電極25から検出部40(図32参照)に出力され、指の指紋が検出される。なお、第1電極25による検出動作の際に、各第2電極26Aには、駆動信号Vfと同期した同一の波形を有するガード信号Vsglが供給され、第2電極26Aはシールド電極として機能する。
本実施形態のカバー部材10Iは、タッチセンサ部50Iと指紋センサ部20Iとを備えるので、タッチセンサ部50Iにより検出された指の位置座標を検出制御部11が取得して、指の位置座標に対応する箇所で指紋センサ部20Iが指紋検出を行うことができる。例えば、タッチ検出動作において、図35に示す第2電極26Aaに重畳する位置で、指Fgの接触又は近接が検出された場合、この第2電極26Aaに重畳する位置の第1電極25を駆動して指紋検出を行う。
すなわち、指紋検出動作において、図36に示すゲートスキャナ12Bは、指Fgが検出された第2電極26Aaと重なって延びるゲート線GCLのみを選択して、順次走査する。第2電極26Aaと重ならないゲート線GCLは選択されず、走査信号Vscanが供給されない。そして、マルチプレクサ16Aは、第2電極26Aaと重なって延びる信号線SGLのみを選択して、第2電極26Aaと重なって配置された第1電極25を順次駆動する。また、第2電極26Aaと重ならない信号線SGLは選択されない。これにより、指Fgが接触又は近接した位置で指紋を検出することができる。
このように、指Fgの接触又は近接が検出された位置において指紋検出動作を行うことができるので、透過領域Adの全面又は指紋検出領域Fdの全面で指紋検出動作を行う必要がなく、検出に要する時間を短縮することができ、検出部40での演算処理の負担を低減することができる。
(第5の実施形態)
図37は、第5の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。本実施形態の表示装置1Jにおいて、カバー部材10Jの第2カバー基材102Aとして、樹脂フィルムが用いられる。第2カバー基材102Aは、例えばポリイミド樹脂やアクリル樹脂が用いられる。第2カバー基材102Aとして樹脂フィルムが用いられているので、ガラス基板を用いた場合に比べ、例えば衝撃が加えられた場合の第2カバー基材102Aの破損を抑制することができ、例えば、落下試験や鋼球落下試験において良好な成績が得られる。
また、ガラス基板を用いた場合に比べ第2カバー基材102Aの厚さts3を薄くすることが容易であり、厚さts3を、例えば、0.2mm以下の厚さにすることができる。このため、検出面である第2カバー基材102Aの第1面102Aaと、指紋センサ部20の第1電極25(図37では省略して示す)との距離を小さくすることができ、良好な検出性能が実現できる。
第2カバー基材102Aの第2面102Abには、額縁領域Gdにおいて加飾層110が設けられている。加飾層110は、着色されたインクを用いて印刷により形成することができる。
フレキシブル基板76は、第1カバー基材101の第2無アルカリガラス層105に設けられている。第1カバー基材101には、厚さ方向に貫通するスルーホールTHが設けられており、スルーホールTHを介して、フレキシブル基板76と指紋センサ部20とが電気的に接続される。フレキシブル基板76が、第1カバー基材101に対して指紋センサ部20の反対側に設けられているので、第1カバー基材101と第2カバー基材102Aとの間隔を小さくすることで、第1面102Aaと、指紋センサ部20の第1電極25(図37では省略して示す)との距離を小さくすることができる。
(第6の実施形態)
図38は、第6の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。図39は、第6の実施形態に係る指紋センサ部の概略断面構造を表す断面図である。本実施形態の表示装置1Kにおいて、カバー部材10Kは、上述した第2カバー基材102、102Aに換えて、保護層90が設けられている。保護層90の上面90aが接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出するための検出面となる。
図38に示すように、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に指紋センサ部20及び加飾層110Aが設けられている。指紋センサ部20は、上述した各実施形態及び変形例に示した指紋センサ部20、20A−20D、20Iのいずれかを適用することができる。また、加飾層110Aは印刷により形成することができ、或いは、スパッタ法、蒸着法等により成膜してもよい。また、フレキシブル基板76は、第1カバー基材101に設けられたスルーホールTHを介して、指紋センサ部20と接続されている。
保護層90は、指紋センサ部20及び加飾層110Aを覆って、第1カバー基材101の周囲に設けられている。すなわち、保護層90は、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104、第2無アルカリガラス層105、及び側面101cに接して連続して設けられる。第1カバー基材101の全周に保護層90が設けられており、アルカリガラス層103の端面にも保護層90が設けられているので、端面でのマイクロクラックの発生を抑制して第1カバー基材101の強度を高めることができる。
保護層90は、例えば、シリコン(Si)を含む有機膜等の無機有機共重合体を用いることができる。保護層90は、指紋センサ部20が設けられた第1カバー基材101を、無機有機共重合体を含む溶液中に含浸した後、所定の速度で引き上げるディッピング法により均一な膜厚で形成される。保護層90は、樹脂材料を用いてもよい。無機有機共重合体を用いることで硬度を大きくすることができる。
図39に示すように、本実施形態の第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx、第1電極25、第2電極26等の構成は上述した第1の実施形態と同様である。本実施形態では、第1電極25の上に、絶縁層57を介して保護層90が設けられている。このように、第1電極25の上に、第2カバー基材102、接着層71が設けられていないので、保護層90の上面90aと第1電極25との距離を小さくすることができる。したがって、指紋センサ部20の検出性能を高めることができる。
また、本実施形態において、ソース電極62(信号線SGL)、ドレイン電極63、67、ソース電極66の上に設けられた平坦化層59aとして、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の無機絶縁材料が用いられる。これにより、指紋センサ部20は、有機樹脂を含まない構成となり、製造工程を簡略化することができる。
図40は、第6の実施形態の変形例に係る表示装置の画素の配列と、駆動電極及び検出電極の配列の関係を説明するための説明図である。図41は、第6の実施形態の変形例に係る駆動電極と駆動信号線との接続構造、及び検出電極と検出線との接続構造を模式的に示す平面図である。図42は、図41のXLII−XLII’線に沿う断面図である。図43は、図41のXLIII−XLIII’線に沿う断面図である。
図40に示すように、本変形例のカバー部材10Lの指紋センサ部20Lにおいて、第1カバー基材101の透過領域Adに、第1電極25に換えて、駆動電極25Tと検出電極25Rとが交互に行列状に配列されている。駆動電極25Tと検出電極25Rとは、それぞれ正方形状であり、駆動電極25Tの1辺と検出電極25Rの1辺とが対向するように配列されている。なお、図40において、駆動電極25Tに斜線を付して示している。
第1カバー基材101の透過領域Adにおいて、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとが、互いに交差して配列されている。駆動信号線GCLAと検出線SGLAとで囲まれた領域に、駆動電極25T又は検出電極25Rが配置されている。駆動信号線GCLAに沿って、駆動電極25Tと検出電極25Rとが交互に配列され、かつ、検出線SGLAに沿って、駆動電極25Tと検出電極25Rとが交互に配列される。
図41に示すように、駆動電極25Tの1辺の一部から駆動信号線GCLAと重なる位置まで突出する接続部25Taが設けられている。接続部25Taは、コンタクトホールH22を介して駆動信号線GCLAと接続される。駆動信号線GCLAは、額縁領域Gdに設けられた第1電極ドライバ14に接続される。このような構成により、駆動電極25Tは、駆動信号線GCLAを介して第1電極ドライバ14から駆動信号Vfが供給される。
また、検出電極25Rの1辺の一部から検出線SGLAと重なる位置まで突出する接続部25Raが設けられている。接続部25Raは、コンタクトホールH21を介して検出線SGLAと接続される。検出線SGLAは、額縁領域Gdに設けられた検出線選択回路17に接続される。
駆動電極25Tに駆動信号Vfが供給されると、隣り合う駆動電極25Tと検出電極25Rとの間にフリンジ電界が形成され、接触又は近接する指の凹凸により駆動電極25Tと検出電極25Rとの間の静電容量が変化する。検出電極25Rは、駆動電極25Tと検出電極25Rとの間の静電容量変化に応じた検出信号Vdetを、検出線SGLAを介して検出部40(図5参照)に出力する。第1電極ドライバ14は駆動信号線GCLAを順次選択して駆動電極25Tを駆動し、検出線選択回路17は検出線SGLAを順次選択して、検出電極25Rから出力された検出信号Vdetを検出部40(図5参照)に供給する。これにより相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、接触又は近接する指の指紋等の被検出物の表面の凹凸を検出することができる。つまり、駆動電極25Tは、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理における駆動電極E2に対応し、検出電極25Rは、検出電極E3に対応する。
本実施形態において、第1電極ドライバ14は、1本の駆動信号線GCLAに接続された複数の駆動電極25Tを1つの駆動電極ブロックとして、駆動電極ブロックごとに順次駆動することができる。また、第1電極ドライバ14は複数の駆動電極ブロックをまとめて駆動してもよい。検出線選択回路17は、1本の駆動信号線GCLAに沿った方向において、駆動対象の駆動電極25Tと隣り合う検出電極25Rを順次選択してもよく、或いは、1本の検出線SGLAに沿った方向において、駆動対象の駆動電極25Tと隣り合う検出電極25Rを順次選択してもよい。
上述した指紋センサ部20は、自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて検出動作が行われる。本変形例において、保護層90の上面90aと第1電極25との距離を小さくすることができるので、駆動電極25Tと検出電極25Rとの間に形成されるフリンジ電界の電気力線が保護層90の上面90aよりも上側に到達する。したがって、本変形例の指紋センサ部20Lは、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、指紋検出を行うことが可能である。
図42は、第1電極ドライバ14に含まれるスイッチング素子Tr1と、駆動電極25Tとの接続構造を模式的に示す断面図である。図43は、検出線選択回路17に含まれるスイッチング素子Tr2と、検出電極25Rとの接続構造を模式的に示す断面図である。図42に示すように、スイッチング素子Tr1は、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に設けられている。具体的には、第1無アルカリガラス層104の上にゲート電極164が設けられている。ゲート電極164の上側に絶縁層58aを介して半導体層161が設けられている。半導体層161の上側に絶縁層58bを介してドレイン電極163、駆動信号線GCLA及びソース電極162が設けられる。ドレイン電極163、駆動信号線GCLA及びソース電極162の上側に平坦化層59aを介して駆動電極25Tが設けられる。
ソース電極162と半導体層161とは、コンタクトホールH23を介して接続される。半導体層161と駆動信号線GCLAとは、コンタクトホールH24を介して接続される。ここで、駆動信号線GCLAにおいて、半導体層161と重畳する部分がドレイン電極163として機能する。駆動信号線GCLAと駆動電極25Tとは、コンタクトホールH22を介して接続される。このようにして、駆動電極25Tは、駆動信号線GCLAを介してスイッチング素子Tr1と接続される。
図43に示すように、検出線選択回路17に含まれるスイッチング素子Tr2は、第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104の上に設けられている。具体的には、第1無アルカリガラス層104の上にゲート電極168及び検出線SGLAが設けられている。ゲート電極168及び検出線SGLAの上側に絶縁層58aを介して半導体層165が設けられている。半導体層165の上側に絶縁層58bを介してドレイン電極167及びソース電極166が設けられる。ドレイン電極167及びソース電極166の上側に平坦化層59aを介して検出電極25Rが設けられる。
ソース電極166と半導体層165とは、コンタクトホールH26を介して接続される。半導体層165とドレイン電極167とは、コンタクトホールH27を介して接続される。ドレイン電極167と検出線SGLAとは、コンタクトホールH25を介して接続される。検出線SGLAと検出電極25Rとは、コンタクトホールH21を介して接続される。このようにして、検出電極25Rは、検出線SGLAを介してスイッチング素子Tr2と接続される。
図42及び図43に示すように、駆動電極25Tと検出電極25Rとは、同層に設けられ、駆動信号線GCLA及び検出線SGLAと異なる層に設けられる。また、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとは互いに異なる層に設けられる。このような構成により、図40に示す交差部Lxにおいて、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとが互いに離隔されるように設けられる。なお、駆動電極25Tと検出電極25Rとは、異なる層に設けてもよい。また、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとを同層に設け、交差部Lxにおいてブリッジ接続する構成とすることもできる。
次に、画素Pixの配列と、駆動電極25T及び検出電極25Rの配列の関係を説明する。図40に示すように、透過領域Adにおいて、表示パネル30の複数の画素Pixが第1方向Dx(行方向)及び第2方向Dy(列方向)に沿った方向にそれぞれ複数配列されている。なお、図40では一部の画素Pixのみ示している。
画素Pixはそれぞれ、赤色のカラーフィルタ37Rに対応する副画素と、緑色のカラーフィルタ37Gに対応する副画素と、青色のカラーフィルタ37Bに対応する副画素とを一組として構成されている。なお、画素Pixは、他の色の組み合わせであってもよく、また、4色以上の組み合わせであってもよい。図40に示すように、第1方向Dxにおいて、画素Pixが繰り返し配列されるピッチを配列ピッチPpとする。また、第2方向Dyにおいて、画素Pixが繰り返し配列される配列方向に沿った方向を画素配列方向PLとする。
本実施形態の表示装置1Lにおいて、指紋センサ部20Lの駆動電極25T及び検出電極25Rは画素配列方向PLに対して傾斜して設けられている。ここで、検出電極25Rの一辺と画素配列方向PLとがなす角度を角度θ1とする。本実施形態において角度θ1は、27°以上、38°以下の範囲であることが好ましい。この場合、検出線SGLAは画素配列方向PLに対して、角度θ1を有して傾斜する。駆動信号線GCLAは、検出線SGLAと直交し、画素配列方向PLに対して角度(90°−θ1)を有して傾斜する。
このように、駆動信号線GCLA及び検出線SGLAが、画素Pixの画素配列方向PLに対して傾斜して設けられているので、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとの交差部Lxの配列が、第1方向Dx(行方向)における画素Pixの配列及び第2方向Dy(列方向)における画素Pixの配列に対してずれるものとなる。この結果、モアレの発生を抑制することができる。角度θ1を、27°以上、38°以下の範囲とすることで、モアレの発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態において、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとの交差部Lxは、駆動信号線GCLAと検出線SGLAとが重なっているので、光の透過率が小さくなる。このため、交差部Lxが繰り返し配列される配列方向と、画素Pixの画素配列方向PLとの関係によってモアレが発生する可能性がある。また、交差部Lxが繰り返し配列される配列ピッチと、画素Pixの配列ピッチPpとの関係によってモアレが発生する可能性がある。
図40に示すように、駆動電極25Tの対角線方向において、交差部Lxが繰り返し配列される方向を配列方向Lxaとする。また検出電極25Rの対角線方向において、交差部Lxが繰り返し配列される方向を配列方向Lxbとする。上述のように駆動電極25T及び検出電極25Rは、画素配列方向PLに対して角度θ1を有して傾斜して設けられているので、交差部Lxの配列方向Lxa及び配列方向Lxbは、それぞれ画素Pixの画素配列方向PLに対して傾斜している。このため、交差部Lxの配列方向Lxa及び配列方向Lxbと、画素Pixの画素配列方向PLによるモアレの発生を抑制することができる。
図40に示すように、1本の検出線SGLAに沿って配列された交差部Lxにおいて、第1方向Dxにおける交差部Lxの配列ピッチを配列ピッチPxとする。また、1本の駆動信号線GCLAに沿って配列された交差部Lxにおいて、第2方向Dyにおける交差部Lxの配列ピッチを配列ピッチPyとする。
本実施形態において、交差部Lxの配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、それぞれ画素Pixの配列ピッチPpの半整数倍±0.1倍となっている。すなわち、配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、Px、Py=Pp×((n+1/2)±0.1)、ただしn=1、2、3…の関係を満たす。具体的には、交差部Lxの配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、画素Pixの配列ピッチPpの1.4倍、1.6倍、2.4倍、2.6倍…とすることが好ましい。
このように、本実施形態の表示装置1Lは、交差部Lxの配列ピッチPx及び配列ピッチPyを、画素Pixの配列ピッチPpに対してずれたピッチとすることで、モアレの発生を抑制することができる。
本実施形態において、駆動電極25T及び検出電極25Rの形状、配列等は適宜変更することができる。また、駆動電極25Tの駆動方法、駆動の順番、及び検出電極25Rの選択の順番等の検出動作についても適宜変更できる。また、保護層90は第1カバー基材101の全周を覆っているが、例えば第1カバー基材101の第1無アルカリガラス層104側のみに設ける等、第1カバー基材101の一部に設けられていてもよい。
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。