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JP2020079903A - 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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JP2020079903A JP2018213857A JP2018213857A JP2020079903A JP 2020079903 A JP2020079903 A JP 2020079903A JP 2018213857 A JP2018213857 A JP 2018213857A JP 2018213857 A JP2018213857 A JP 2018213857A JP 2020079903 A JP2020079903 A JP 2020079903A
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良浩 三井
Yoshihiro Mitsui
良浩 三井
川崎 修平
Shuhei Kawasaki
修平 川崎
洸輔 井加田
Kosuke Ikada
洸輔 井加田
拓也 岡
Takuya Oka
拓也 岡
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Abstract

【課題】現像室よりも下方に配置された収容室から現像室に現像剤を搬送するよう構成された現像装置を用いた場合に、簡易な構成で現像室と収容室との間で現像剤を循環させつつ、高画質化が可能な現像装置を提供する。【解決手段】使用時の姿勢において、トナー供給ローラ20の長手方向に沿って見たとき、現像室18bの内部空間には、仕切壁部30とトナー供給ローラ20の間に位置し、仕切壁部30とトナー供給ローラ20の間隔が最も狭くなる狭小部を始点として、トナー供給ローラ20の回転方向の下流側に向かうほど、面積が拡大する第1の空間と、仕切壁部30とトナー供給ローラ20の間に位置し、狭小部を始点として、トナー供給ローラ20の回転方向の上流側に向かうほど、面積が拡大する第2の空間と、が含まれており、開口部30dの下端の位置は、トナー供給ローラ20の下端の位置よりも上方にある。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式を用いて記録材上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に画像形成装置に適用される現像装置、及びプロセスカートリッジに関するものである。
プリンタや複写機などの画像形成装置の装置構成として、感光体を、感光体からトナー像が転写される被転写体としての中間転写体の下方、又は被転写体としての記録材を搬送する記録材担持体の下方に配置したものがある(特許文献3参照)。感光体を中間転写体や記録材担持体の下方に配置する場合、画像形成装置本体内において中間転写体や記録材担持体を間に挟む態様で、例えば、定着装置と、現像装置(或いは、露光装置)とを離れた位置に配置することができる。そのため、現像装置(或いは、露光装置)が定着装置の熱の影響を受け難いなどの利点がある。
一方、上述のように感光体を中間転写体又は記録材担持体の下方に配置する構成においては、現像装置が、現像剤収容部から重力に反して現像ローラ(現像剤担持体)や供給ローラ(供給部材)へ現像剤を供給する必要が生じる装置構成となることがある。そこで、特許文献1において、供給部材へ現像剤を供給する手段として供給部材の下側に受けシートを接触させる方法が開示されている。この方法によると、この受けシートによって、供給部材に付着した現像剤が重力によって落下するのを防ぐことにより、現像剤担持体に供給できる現像剤が減少せず、ベタ画像の濃度低下が抑制される。
また、特許文献2では、現像剤収容部の上方に位置する現像室内において、供給部材の下方に搬送部材を設け、搬送部材によって現像剤を供給部材の下面へ搬送するとともに現像室でのトナー凝集を抑制する方法が開示されている。
また、特許文献3では、現像剤収容部の上方に位置する現像室内において、供給部材表面と現像剤担持体の表面が同一方向で、且つ上方から下方に向けて移動する構成とし、現像室から収容室に現像剤を循環させてトナー凝集を抑制する方法が開示されている。
特開2003−173083号公報 特開2009−222931号公報 特開2013−228584号公報
しかしながら、特許文献1のような現像剤の供給方法では、印字率の低い画像を連続して出力した場合、供給部材と受けシートの間で現像剤が滞留して凝集し、濃度ムラ等の画質低下が発生する場合がある。
特許文献2のような構成においては、現像室内において供給部材の他に搬送部材が追加部材として必要であり、装置構成が複雑化する懸念がある。また、現像室内での搬送部材との摩擦が現像剤を劣化させる要因となる懸念がある。また、印字率が高い画像を連続して出力した場合に、濃度低下や濃度ムラ等の画質低下が発生する場合があった。
特許文献3のような構成においては、供給部材表面の回転方向が現像剤担持体表面と同一方向であるため、現像後に現像剤担持体上に残った現像剤に対する機械的剥ぎ取り力が弱くなり、ゴースト画像が発生する場合がある。
本発明の目的は、現像室よりも下方に配置された収容室から現像室に現像剤を搬送するよう構成された現像装置を用いた場合に、簡易な構成で現像室と収容室との間で現像剤を
循環させつつ、高画質化が可能な現像装置を提供するである。
上記目的を達成するため、本発明の現像装置は、
現像剤を担持し、回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材であって、前記現像剤担持体との間にニップ部を形成するとともに、使用時の姿勢において前記ニップ部における前記供給部材の表面が、重力方向の下方から上方へ向かう方向に沿って移動し、且つ、前記現像剤担持体とは同じ回転方向に回転可能な供給部材と、
前記現像剤担持体に当接することによって前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する規制部材と、
前記現像剤担持体、前記供給部材及び前記規制部材が配置される現像室と、使用時の姿勢において前記現像室の下方に位置し前記現像室へ供給される現像剤を収容する収容室と、前記収容室と前記現像室を連通する開口部を備える仕切壁部と、を有する枠体と、
を備える現像装置であって、
使用時の姿勢において、前記供給部材の長手方向に沿って見たとき、前記現像室の内部空間には、
前記仕切壁部と前記供給部材の間に位置し、前記仕切壁部と前記供給部材の間隔が最も狭くなる狭小部を始点として、前記供給部材の前記回転方向の下流側に向かうほど、面積が拡大する第1の空間と、
前記仕切壁部と前記供給部材の間に位置し、前記狭小部を始点として、前記供給部材の前記回転方向の上流側に向かうほど、面積が拡大する第2の空間と、が含まれており、
前記開口部の下端の位置は、前記供給部材の下端の位置よりも上方にあることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明のプロセスカートリッジは、
画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
潜像が形成される像担持体と、
本発明の現像装置と、
を備えることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
潜像が形成される像担持体と、
本発明の現像装置と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、現像室よりも下方に配置された収容室から現像室に現像剤を搬送するよう構成された現像装置を用いた場合に、簡易な構成で現像室と収容室との間で現像剤を循環させつつ、高画質化が可能な現像装置を提供することができる。
本発明の実施例に係る画像形成装置の概略構成断面図 本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの概略構成断面図 本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの配置構成の説明図 本発明の実施例に係る現像装置内のトナーの動きを表した概略図 本発明の他の実施例に係るプロセスカートリッジの概略構成断面図 比較例のプロセスカートリッジの概略構成断面図 本発明の実施例の変形例に係るプロセスカートリッジの概略構成断面図
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
[実施例1]
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本発明に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式を利用した複写機、プリンタなどが挙げられ、ここではレーザプリンタに適用した場合について説明する。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)により図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
尚、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤のトナーを用いる。また、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、本実施例では、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
本実施例では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体化され、即ち、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ
7は、画像形成装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は、全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。
更に説明すれば、画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上の4色トナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。トナー像が定着された記録材12は、定着装置10からさらに下流に搬送され、機外に排紙される。
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
尚、画像形成装置100は、所望の一つの画像形成部のみを用いて、又は、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの構成]
次に、本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。本実施例では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施例のプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。すなわち、図2における紙面の上下方向が鉛直方向に対応し、紙面の左右方向が水平方向に対応する。なお、この配置構成の設定は、画像形成装置が、通常の設置状態として、水平面に設置されることを前提とした設定である。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4と、を一体化して構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。本実施例にて、画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラム1を用いている。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に落下、収容される。帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。
ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して所定の直流電圧が印加されており、これにより感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザー光によって画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)の静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。本実施例では、Vd=−500V、Vl=−100Vとした。
一方、現像ユニット4は、トナー80を担持するための現像剤担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ20と、それらを回転可能に支持する現像枠体18と、を備える。現像枠体18は、トナー80を収容するトナー収容室(現像剤収容室)18aと、現像ローラ17とトナー供給ローラ20が配置された現像室18bと、を備えている。トナー収容室18aと現像室18bは、開口部30dを介して連通している。トナー収容室18a内には、攪拌搬送部材22が
回転可能に設けられている。トナー収容室18aにおいて、例えば攪拌搬送部材22の攪拌等により宙を舞った状態ではなく、静的に堆積した状態で主として留まる領域であるトナー収容部(現像剤収容部)は、トナー収容室18aにおける下方領域となる。本実施例では、トナー収容室18aのトナー収容部がトナー供給ローラ20よりも重力方向(鉛直方向)下方に位置している。
本実施例では、トナー80として、初期状態で凝集度が5〜40%のトナーを用いている。耐久を通してトナーの流動性を確保するために、このような凝集度を持つトナーを用いることが望ましい。また、トナーの凝集度については、以下のようにして測定を行った。
測定装置としては、デジタル振動計(DEGITAL VIBLATIONMETERMODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。
測定法としては、振動台に390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるいを目開の狭い順に、すなわち100メッシュふるいが最上位にくるように390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるい順に重ねてセットした。このセットした100メッシュふるい上に正確に秤量した試料(トナー)5gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように調整し、15秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下式にもとづき凝集度を得た。
その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃、60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃、60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(100メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100+(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×60+(390メッシュふるい上の残試料質量/5g)×20
また、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17に対して側方から当接して現像ローラ17との間にトナー80のニップ部N(現像ローラ17とトナー供給ローラ20とでトナー80を挟む部分)を形成し、回転している。
トナー収容室18a内には、攪拌搬送部材22が設けられている。攪拌搬送部材22は、トナー収容室18a内に収容されたトナー80を攪拌すると共に、トナー供給ローラ20の上部に向けて図中矢印G方向にトナーを搬送するためのものでもある。本実施例において、撹拌搬送部材22は、30rpm(revolutions per minute:一分(単位時間)あたりの回転数を表す)で駆動回転している。
現像ブレード21は、規制部材として、現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラ17に対してカウンターで当接している。すなわち、現像ブレード21における、現像枠体18に固定された固定端21aから、現像ローラ17と当接する自由端21b側に向かって延びる方向が、回転する現像ローラ17周面が現像ブレード21との対向領域において移動する方向とは略逆方向となる。この現像ブレード21の当接により、トナー供給ローラ20によって供給された現像ローラ17上のトナー80のコート量規制及び電荷付与を行っている。本実施例では、現像ブレード21として、厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板を用い、薄板のバネ弾性を利用して当接圧力を形成し、その表面がトナー80及び現像ローラ17に当接される。ここで、現像ブレード21の素材としてはこの限りではなく、リン青銅やアルミニウム等の金属薄板でも良い。また、現像ブレード21の表面にポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂等の薄膜を被覆したものを用いても良い。
トナー80は、現像ローラ17周面上において、現像ブレード21と現像ローラ17と
の摺擦により摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に層厚規制される。また、本実施例においては、現像ブレード21に不図示のブレードバイアス電源から所定電圧を印加し、トナーコートの安定化を図っている。本実施例においては、ブレードバイアスとしてV=−500Vを印加した。
現像ローラ17と感光体ドラム1とは、それぞれの回転方向が同方向となっている。すなわち、両者の対向部において各々の表面が互いに逆方向に移動するようにそれぞれ回転する。本実施例では、現像ローラ17が、感光体ドラム1との対向部において下から上に向かう方向の移動となるように回転し、感光体ドラム1が、現像ローラ17との対向部において上から下に向かう方向の移動となるように回転する。
尚、本実施例では、現像ローラ17と感光体ドラム1とを接触させて配置する接触現像方式を採用しているが、現像ローラ17と感光体ドラム1との間に所定間隔を開けて近接配置する非接触現像方式であってもよい。
本実施例においては、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光体ドラム1に接触する現像部において、現像ローラ17に印加された所定のDCバイアスと感光体ドラム1の表面電位との電位差から、感光体ドラム1の明部電位部にのみ転移する。これにより感光ドラム1上において静電潜像が顕像化される。本実施例においては、現像ローラに対してV=−300Vを印加することにより、明部電位部との電位差ΔV=200Vを形成し、トナー像を形成した。
トナー供給ローラ20は、その表面がニップ部Nの下端から上端に向かう方向に回転し、現像ローラ17は、その表面がニップ部Nの上端から下端に向かう方向に回転している。すなわち、トナー供給ローラ20は図示矢印E方向(反時計方向)に、現像ローラ17は図示矢印D方向(反時計方向)に、それぞれ回転している。トナー供給ローラ20は、導電性芯金(芯金電極20a)の外周に発泡体層(発泡ウレタン層20b)を形成した弾性スポンジローラである。トナー供給ローラ20と現像ローラ17は、所定の侵入量、即ち、図4に示すように、トナー供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされるその凹み量△Eを持って、トナー供給ローラ20と現像ローラ17が接触している。トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、ニップ部Nにおいて互いに逆方向に周速差を持って回転しており、この動作により、トナー供給ローラ20による現像ローラ17へのトナー供給を行っている。その際、トナー供給ローラ20と現像ローラ17との電位差を調整することにより、現像ローラ17へのトナー供給量を調整することが出来る。本実施例では、トナー供給ローラ20が130rpm、現像ローラ17が100rpmで駆動回転し、トナー供給ローラ20に対して現像ローラ17と同電位となるよう、DCバイアスを印加した。
なお、ここで示すトナー供給ローラ20と現像ローラ17の単位時間当たりの回転数(rpm)は一例であり、それぞれの周面の移動速度の相対的な兼ね合いで適宜設定されるものである。すなわち、ニップ部Nにおいてトナー供給ローラ20周面が現像ローラ17周面が移動する方向とは逆方向かつ下方から上方に向かって移動し、かつ本実施例の構成と同様の周速差を持つように回転する構成となるのであれば、ここで示した回転数に限定されない。
尚、本実施例においては、現像ローラ17、トナー供給ローラ20は、共に外径15mmであり、トナー供給ローラ20の現像ローラ17への侵入量、即ち、トナー供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされるその凹み量△Eを1.0mmに設定した。凹み量ΔEは、図4の破線で示すように、現像ローラ17あるいはトナー供給ローラ20の回転軸方向に見て、接触による変形を生じていない状態の現像ローラ17とトナー供給ローラ20を仮想的に重ねたときの両者の重なり量として規定される。具体的には、図4に示
すように、上記回転軸方向に見て、トナー供給ローラ20に対して最も入り込んだ現像ローラ17外周上の1点と、現像ローラ17に対して最も入り込んだトナー供給ローラ20外周上の1点と、を結んだ線分の長さが、凹み量ΔEとなる。あるいは、上記回転軸方向に見て、上記仮想的に重ねたトナー供給ローラ20と現像ローラ17の重なり部において、トナー供給ローラ20と現像ローラ17の回転中心を結ぶ線と交わる線分領域の長さが、凹み量ΔEとなる。
また、トナー供給ローラ20と現像ローラ17は、中心高さが同じになるように配置した。
以下、本実施例において用いられるトナー供給ローラ20の詳細について説明する。
本実施例におけるトナー供給ローラ20は、導電性支持体と、導電性支持体に支持される発泡層(発泡体)と、を備える。具体的には、トナー供給ローラ20は、導電性支持体たる外径φ5(mm)の芯金電極20aと、その周囲に気泡同士がつながっている連続気泡体(連泡)から構成される発泡層としての発泡ウレタン層20bと、が設けられており、図中Eの方向に回転する。
表層のウレタンを連続気泡体とすることで、トナー供給ローラ20内部にトナーが多量に進入可能となる。また、本実施例におけるトナー供給ローラ20の抵抗は1×10(Ω)である。抵抗値としては1×10〜10(Ω)を用いることができる。
ここで、トナー供給ローラ20の抵抗の測定方法を説明する。トナー供給ローラ20を、直径30mmのアルミスリーブに対し、侵入量が1.5mmとなるように、当接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、供給ローラ2を30rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、アルミスリーブに、−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、トナー供給ローラ20の抵抗を算出する。
また、本実施例においては、トナー供給ローラ20の表面セル径を約300μmとした。セル径としては50μm〜1000μmを用いることができる。ここで、セル径とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、まず任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。そしてこの最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値のことを指す。
図2、図4を参照して、現像室内のトナーの流れについて説明する。図4は、現像室内の拡大概略断面図であり、図4(a)は攪拌搬送部材22よりトナー供給ローラ20にトナーが搬送される様子を示している。図4では説明のためにトナーの流れを略時系列に(a)〜(d)の順番に図示している。
現像枠体18は、その内部空間をトナー収容室18aと現像室18bとに区画する壁部(仕切壁部)30を有する。壁部30は、現像枠体18内部空間を、開口部30d上方で仕切る第1壁部30aと、開口部30d下方で仕切る第2壁部30bと、第2壁部30bに連なり、トナー供給ローラ20、現像ローラ17の下方で仕切る第3壁部30cと、を有する。第1壁部30a、第2壁部30bは、開口部30dのトナー収容室18aから現像室18bに向かう開口方向が水平方向よりも上方に向くように、鉛直方向に対して傾斜した方向に延びている。開口部30dは、壁部30におけるトナー供給ローラ20に対して現像ローラ17とは反対側の領域において、現像室18bにおけるトナー供給ローラ20よりも上方の空間と対向するように開口している。これにより、現像室18bの内部空間が上方に向かうほど水平方向に広がるとともに、トナー収容室18aの下方から上方に向かって攪拌搬送部材22に汲み上げられるトナー80を開口部30dが受け入れやすい
ように構成される。第3壁部30cは、第2壁部30bの下端からトナー供給ローラ20、現像ローラ17の下方を略水平方向に延びている。第3壁部30cは、第2壁部30bとともに、開口部30dを通過したトナー80のうち、トナー供給ローラ20や現像ローラ17からこぼれ落ちたトナー80を受けとめるような構成(トナー80の貯留槽)を形成している。この第2壁部30b、第3壁部30cからなる構成は、長手方向(現像ローラ17またはトナー供給ローラ20の回転軸線に沿った方向)において現像枠体18の一方の側面から他方の側面にわたって形成されている。
ここで、現像室18bの内部空間を、第1の空間、第2の空間、第3の空間に区分けして考える。図4において第1の空間をS1、第2の空間をS2、第3の空間をS3の符号でそれぞれ示している。
第3の空間とは、現像室18bにおけるニップ部Nの上方の空間を指す。より具体的には、第3の空間とは、現像室18bの内部空間のうち、ニップ部Nよりも上方においてトナー供給ローラ20及び現像ローラ17の周面と現像室18bの内壁面とが互いに対向する空間領域のことである。第3の空間は、トナー供給ローラ20及び現像ローラ17の周面のうちニップ部Nよりも上方の領域と、これらに対向する現像室18bの内壁面と、現像室18bの長手方向両側面と、によって囲まれる。
第1の空間とは、現像室18bにおいて、トナー供給ローラ20下方の狭小部を境界(始点)として、トナー供給ローラ20の回転下流方向に空間が拡大するよう設けられた空間を指す。
ここで狭小部とは、現像室18bの内部空間を区画する壁部30の第3壁部30cと、トナー供給ローラ20周面との対向領域において、両者の間隔が最も狭くなる部分を指す。
より具体的には、第1の空間は、トナー供給ローラ20周面と第3壁部30cとの対向空間において狭小部を境(始点)にトナー供給ローラ20の回転方向下流側に向かうほど、トナー供給ローラ20周面と第3壁部30cとの間の間隔が徐々に拡大する空間領域である。第1の空間は、狭小部よりもトナー供給ローラ20回転方向下流側において、第3壁部30cと、これに対向するトナー供給ローラ20及び現像ローラ17の周面の領域と、現像ブレード21と、現像室18bの長手方向両側面と、によって囲まれる。
第2の空間とは、現像室18bの内部において前記狭小部を境界(始点)としてトナー供給ローラ20の回転上流方向に空間が拡大するよう設けられた空間を指す。より具体的には、第2の空間は、トナー供給ローラ20周面と第3壁部30cとの対向空間において狭小部を境(始点)に上記回転方向上流側に向かうほど、トナー供給ローラ20周面と第3壁部30cとの間の間隔が徐々に拡大する空間領域である。第2の空間は、狭小部よりもトナー供給ローラ20回転方向上流側において、第2壁部30b及び第3壁部30cと、これらに対向するトナー供給ローラ20周面の領域と、現像室18bの長手方向両側面と、によって囲まれる。
本実施例では、図3、図4等に示す断面において、第1の空間の方が第2の空間よりも広くなるように構成されている。
攪拌搬送部材22により汲み上げられたトナー80は、開口部30d上端(第1壁部30a下端との境目)がトナー供給ローラ20上端よりも上方に配置されていることで、トナー供給ローラ20を乗り越えてニップ部Nの上方(第3の空間)に供給される。ニップ部Nの上方(第3の空間)に供給されたトナー80は、トナー供給ローラ20の変形によりトナー供給ローラ20の内部(発泡層の気泡空洞内)に吸い込まれ、トナー供給ローラ20の回転によって図の反時計方向に移動し、ニップ部Nの下端に到達する。また、攪拌搬送部材22により汲み上げられ、トナー供給ローラ20表面に供給されたトナー80の
一部は、トナー供給ローラ20の矢印E方向の回転によってトナー収容室18aに一部が戻る。残りのトナー80は、トナー供給ローラ20下方の領域(第2の空間→第1の空間)に向かって搬送される(図4(a))。
ニップ部Nの下端に到達した所でトナー供給ローラ20の変形によりトナー供給ローラ20の内部(発泡層の気泡空洞内)からトナー80が吐き出され、ニップ部Nで摺擦されながら現像ローラ17に供給される。現像ローラ17に付着したトナー80は、現像ブレード21に規制、及び帯電され、規制部を通過したトナー80により現像ローラ17上に均一なトナーコートが形成される。また、現像部で現像せずに残ったトナー80もニップ部Nでトナー供給ローラ20と現像ローラ17の表面が互いに逆方向に回転することで強く掻きとられる。現像ブレード21で規制されて現像ローラ17から脱離したトナー80は現像ブレード21の下方(第1の空間)に落下する。また、トナー供給ローラ20の内部から吐き出され、現像ローラ17に付着しなかったトナー80は、ニップ部Nの下方(第1の空間)に吐き出される(図4(b))。
以上の動作が繰り返されると、第1の空間にトナー80が蓄積されていきトナー80の圧密状態を形成する。圧密状態が形成されると圧密部からトナー供給ローラ20表面、乃至は内部にトナー80が供給されるようになる。また、圧密状態の形成により、図4(c)に示すように、狭小部を通り抜け、第1の空間(圧密空間)から第2の空間にトナー80が移動する。そのトナー80の流れの圧力により、トナー80の一部は、開口部30d下方の第2壁部30bの上端を乗り越え、トナー収容室18aへと戻される(図4(d))。
図3を参照して、本実施例の現像室18b内の各部材の配置構成の詳細を説明する。図3は、本実施例に係る現像装置における各部材の配置関係を説明する模式的断面図である。
本実施例においては、(i)現像室18bとトナー収容室18aとを隔てている開口部30dの上端(第1壁部30aにおける開口部30dとの境目)は、トナー供給ローラ20上端に対して2mm上方に配置した。すなわち、図3に示すように、開口端30dの上端を通る水平線h1は、トナー供給ローラ20の上端を通る水平線h2よりも上方に位置している。
また、(ii)ニップ部Nの中心(高さ方向における中央部、又はトナー供給ローラ20と現像ローラ17の回転中心を結ぶ線と交わる位置)は、開口部30d下端に対して4mm上方に、ニップ部Nの下端は、開口部30d下端に対して1mm上方に配置した。すなわち、図3に示すように、ニップ部Nの中心を通る水平線h4は、開口部30dの下端(第2壁部30bの上端(第2壁部30bにおける開口部30dとの境目))を通る水平線h6よりも上方に位置している。また、ニップ部Nの下端を通る水平線h5は、開口部30dの下端を通る水平線h6よりも上方に位置している。
また、(iii)開口部30d下端(第2壁部30bの上端)は、現像ブレード21と現像ローラ17との当接位置21cの現像ローラ17回転方向上流側の端部21bに対して1mm上方に配置した。すなわち、図3に示すように、開口部30dの下端(第2壁部30bの上端)を通る水平線h6は、現像ブレード21の現像ローラ17との当接位置21cを通る水平線h7よりも上方に位置している。
また(iv)トナー供給ローラ20と現像室18b内壁(第3壁部30c上面及び現像室18bの長手方向両側壁面)で形成される狭小部の鉛直方向の距離は1.0mmとなるように配置した。
また、(v)第1の空間と第2の空間を形成する現像室18b内面のうち第3壁部30c上面は、次のように配置した。まず、現像ブレード21における現像ローラ17との当接位置21cよりも現像ローラ17回転方向上流側に位置する端部21b(自由端先端)を基準とした鉛直線を引く(図4(a)参照)。そして、その鉛直線と第1の空間に面す
る現像室18b内面(第3壁部30c上面)との交点の位置を基準とし、その基準点から狭小部に対して水平方向に1mm離れた位置から、狭小部を挟んだ第2の空間側に向かって略水平に延びる面となるように配置した。
(vi)開口部30dの下端は、トナー供給ローラ20の下端よりも3.0mm上方に配置した。すなわち、図3に示すように、開口部30dの下端(第2壁部30bの上端)を通る水平線h6は、トナー供給ローラ20の下端を通る水平線h8よりも上方に位置している。
以下に、(i)〜(vi)の配置構成の作用効果について説明する。
(i)開口部30d上端とトナー供給ローラ20上端の配置関係
前述したようにトナー供給ローラ20への主なトナー供給は、攪拌搬送部材22によりトナー80が汲み上げられ、ニップ部Nの上方(第3の空間)に直接供給されることで行われる。実施例では開口部30dの上端がトナー供給ローラ20の上端よりも上方に配置されているため、トナー供給ローラ20を乗り越えてニップ部Nの上方(第3の空間)のトナー供給ローラ20の吸い込み口にトナー80を供給することができる。(トナー供給ローラ20は、現像ローラ17に対してカウンター方向に回転しているためニップ部Nの上方でトナー80を吸い込む)。開口部30dの上端がトナー供給ローラ20の上端よりも下方に配置されている場合には、開口部30dの上端がトナー供給経路を塞ぐため、攪拌搬送部材22により直接第3の空間にトナー供給することは困難であった。また、そのような場合には、トナー供給ローラ20の側面に供給されたトナー80は、トナー供給ローラ20の回転によりトナー収容室18a方向に戻されてしまって、トナー供給ローラ20に対して十分なトナー供給を行うことができなかった。トナー供給ローラ20の上端と開口部30dの上端との距離は1.0mm以上にすることが望ましい。
(ii)ニップ部Nの中心(高さ方向における中央部)と開口部30d下端の配置関係
開口部30dの下端がニップ部Nの中心位置(高さ方向における中央部の高さ)よりも上方では、現像室18b内の第1の空間と第2の空間に収容されるトナー剤面の高さがニップ部Nの中心を超える。このような配置ではニップ部Nにトナー80が侵入しやすくなり、現像動作後に現像ローラ17上に残ったトナー80に対するトナー供給ローラ20の機械的剥ぎ取り力が弱くなって、剥ぎ取り不足に起因する現像スジが発生しやすくなった。そのため開口部30dの下端の位置は、少なくともニップ部Nの上端よりも下方に設けることが必要である。すなわち、図3に示すように、開口部30d下端を通る水平線h6が、ニップ部N上端を通る水平線h3よりも下方に位置するように構成する。さらに、開口部30dの下端を、ニップ部Nの中心位置よりも下方に配置することで、トナー供給ローラ20の剥ぎ取り性能を向上させることができるため望ましい。更には、開口部30dの下端は、ニップ部Nの下端よりも下方に配置することでトナー供給ローラ20の剥ぎ取り性能を更に向上させることができるため、より望ましい。すなわち、図3に示すように、開口部30d下端を通る水平線h6が、ニップ部N下端を通る水平線h5よりも下方に位置するように構成することが望ましい。本実施例では、ニップ部Nの下端に対して1mm下方に開口部30dの下端(第2壁部30bの上端)を配置した。
(iii)開口部30d下端と現像ブレード21先端部との配置関係
開口部30dの下端を、現像ブレード21と現像ローラ17との当接位置21cの現像ローラ17の回転方向上流側の端部21bに対して、同じ位置、乃至は上方に配置してもよい。こうすることで、現像ブレード21で規制された余剰のトナー80が第1の空間に絶え間なく供給される。こうすることで、第1の空間でのトナー80の圧密度がより高まり、第1の空間からのトナー供給ローラ20へのトナー供給と、第2の空間から開口部30d下端の壁を乗り越えてトナー収容室18aに戻るトナー80の流れと、を形成することができる。本実施例の他の構成要件を満たしつつ、開口部30dの下端が、現像ブレード21における現像ローラ17との当接位置21cよりも現像ローラ17の回転方向上流
側の端部21bに対して下方にある場合には、第1の空間の圧密度が高まり難かった。
(iv)狭小部と現像壁内面(第3壁部30c上面)との配置関係
第1の空間に形成される圧密部からトナー供給ローラ20へのトナー供給が行われること。また、狭小部を通り抜け第1の空間(圧密空間)から第2の空間に移動したトナー80の一部は、そのトナー80の流れの圧力により開口部30d下端の壁を乗り越えトナー収容室18aへと戻されること。それら2つのプロセスを同時にバランスよく両立するためには、トナー供給ローラ20下方に狭小部を設けると共に、狭小部から第1の空間、第2の空間それぞれの方向に対して空間が広がるよう現像室18b内部を構成することが必要であった。
後述の図6(a)の比較例のように、狭小部がトナー供給ローラ20周面における下方領域の大部分に沿って幅広く形成されているような構成では、第1の空間から第2の空間にトナー80が移動し難くなり画像弊害が発生した。なお、トナー供給ローラ20と現像室18b内面間の狭小部鉛直方向の距離は、適切な圧密状態を形成するために5.0mm以下とすることが望ましい。また、トナー供給ローラ20と現像室18b内面間のトナー供給ローラ20円周方向の狭小部の幅は、適切な圧密状態を形成するため7.0mm以下にすることが望ましい。前記狭小部の幅が、ある程度の幅を持つ形態の場合には、図5に示した形態のように構成してもよい。すなわち、トナー供給ローラ20円周面の下方領域と現像室18b内面(第3壁部30c上面)との距離(隙間の幅)が略一定となるよう、現像室18b内面にトナー供給ローラ20の形状に沿う屈曲(湾曲)領域(凹形状領域)を設けてもよい。
(v)現像ブレード21先端部と現像容器内壁の角度の配置関係
また、第1の空間から第2の空間にトナー80が移動するためには、トナー80の移動を妨げないように第1の空間と第2の空間に面する現像枠体18壁部内面(第3壁部30c上面)の角度を適切に設定することが必要である。そこで、本実施例では、上述した鉛直線(図4参照)と現像枠体18壁部内面(第3壁部30c上面)との交点よりも、狭小部に対して水平方向に離れた位置から現像枠体18壁部内面が略水平となるように構成した。こうすることで、トナー供給ローラ20から現像ローラ17に供給され現像ブレード21で規制された後、第1の空間に落下したトナー80が狭小部を挟んだ第2の空間の方向に向かって移動しやすくなる。後述の図6(a)に示すような構成では、現像ブレード21で規制されたトナー80が現像ブレード21近傍に滞留してしまい循環不良による画像弊害が発生する場合がある。
なお、図7(a)に示すように、第1の空間から第2の空間に向かってトナーがより移動しやすくなるように、第1の空間から第2の空間に向かって降下する(第3壁部30c上面に傾斜をつける)ように構成してもよい(傾斜面30c1)。こうすることで、第1の空間から第2の空間へのトナー循環をより促進することができる。
(vi)開口部30dの下端とトナー供給ローラ20との配置関係
また、本実施例の構成において、開口部30dの下端はトナー供給ローラ20の下端よりも3.0mm上方に配置した。こうすることで第2の空間からトナー収容室18aに戻るトナー量を適正量に制御することができ、それにより第1の空間に適切な圧密空間を形成することができる。
次に本実施例の配置構成のさらに別の特徴について説明する。
本実施例ではトナー供給ローラ20の表面周速が現像ローラ17の表面周速よりも速い構成とした。こうすることで、第1の空間に対して現像ブレード21で規制されるトナー供給に対してトナー供給ローラ20の回転駆動に伴うトナー供給ローラ20表面の搬送力が相対的に高まることで、第1の空間のトナーの圧密状態をより効果的に高めることがで
きる。周速比が200%以上では圧密が過度に高くなり循環不良に起因する画像弊害が発生した。
また、本実施例の構成においては、攪拌搬送部材22の回転速度がトナー供給ローラ20の回転速度よりも遅い。こうすることで攪拌搬送部材22によりトナー80が現像室18bに汲み上げられていないタイミングで、第1の空間の圧密領域から第2の空間へ、第2の空間から開口部30d下端を乗り越えてトナー収容室18aへとトナー80が移動する。これにより、現像室18b内におけるトナー循環をより促進することができる。
また、本実施例の構成においてはトナー供給ローラ20の周面上端と現像ローラ17の周面上端の位置が同じである例を示した。ここで、変形例として、図7(b)に示すように、トナー供給ローラ20の周面上端を現像ローラ17の周面上端に対して上方に配置する構成としてもよい。すなわち、図7(b)に示すように、トナー供給ローラ20の周面上端を通る水平線h2−1が、現像ローラ17の周面上端を通る水平線h2−2よりも上方に位置値する構成である。こうすることで、ニップ部Nの上方に攪拌搬送部材22により汲み上げたトナー80が貯留される領域が広がり(水平線h2−2に対する水平線h2−1の高さの分だけトナー80をより多く溜められる)、よりベタ濃度安定性が高まる効果が得られる。
また、本実施例の構成においてはニップ部Nでトナー供給ローラ20と現像ローラ17の表面が互いに逆方向に回転する構成とした。こうすることで、現像ローラ17上の現像残りのトナー80が強く掻きとられるため、現像残りのトナー量にかかわらずコート量、帯電量が均一なトナーコートを現像ローラ17上に形成しやすい。そのため、ベタ濃度ムラや、ゴーストなどの発生が軽微な高画質な現像装置を提供できる。
以上述べたように、本実施例においては、撹拌搬送部材22から搬送されたトナー80を、トナー供給ローラ20と現像ローラ17とのニップ部Nに効率良く搬送することができる。また、現像室18b内において、トナー供給ローラ20下方の狭小部を境界とし第1の空間にトナー80の圧密状態を形成することで、第1の空間からトナー供給ローラ20にトナー80を供給することができる。また、第1の空間に適切な圧密状態を形成することで、第1の空間から第2の空間、第2の空間から開口部18b下端を乗り越えてトナー収容室18aへと、トナー80が戻される。また、第1、第2の空間の現像室18b内面の配置構成により現像ブレード17で規制されたトナー80が第1の空間で滞留しにくくすることができる。これにより、循環不良に起因する画像不良を抑制することができる。以上より、簡易な構成で、トナーの循環不良に起因する画像弊害が抑制され、且つベタ画像の濃度が安定化した高品位な画像を供給することが可能な現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することができる。
<実験>
本発明の効果を示すため実施例及び比較例を用い複数の実験を行った。
<比較例1>
図6(a)は、比較例1にかかるプロセスカートリッジの構成を示す模式的断面図である。図6(a)に示す比較例1の構成では、トナー供給ローラ20の円周部下方の大部分が狭小部となっている。すなわち、比較例1は、実施例1の構成において、第2壁部30b、第3壁部30cがトナー供給ローラ20の周面に倣った凹形状をなし、第1、第2の空間も狭小部と同様の狭い幅で形成された構成となっている。また、現像ブレード21と現像ローラ17との当接位置よりも現像ローラ17回転方向上流側に位置する端部(自由端先端)を基準とした鉛直線を引く。比較例1の構成では、該鉛直線と現像室18b内壁面との交点における該内壁面の角度が、トナー80が現像ブレード17側に移動しやすい
角度となっている。比較例1における、それ以外のプロセスカートリッジの構成および画像形成装置の全体構成は、実施例1と同様である。
<比較例2>
図6(b)は、比較例2にかかるプロセスカートリッジの構成を示す模式的断面図である。比較例2では、前述の背景技術(特許文献1)で説明したように、トナー供給ローラ20下方に、受けシート32が取り付けられたトナー受け部材30を設けた構成となっている。受けシート32は、一端がトナー受け部材30に取り付けられるとともに、他端側がトナー供給ローラ20の周面下方に適当な線圧で接触させられている。
<比較例3>
図6(c)は、比較例3にかかるプロセスカートリッジの構成を示す模式的断面図である。比較例3は、前述の背景技術(特許文献2)で説明したように、比較例1の構成において、トナー供給ローラ20の下方に複数のトナー搬送部材16を配置した図6構成となっている。トナー搬送部材16は、それぞれ、現像室18b内においてトナー供給ローラ20の回転軸線方向に沿って延在した矩形の板状部材であり、トナー供給ローラ20回転方向E下流側の一端が、回転支持軸により現像枠体に回転自在に支持されている。トナー搬送部材16は、上記一端を支点(回転中心)として、自由端である回転方向E上流側の他端がトナー供給ローラ20周面との間の間隔を周期的に変化させるように、揺動回転運動を行うように構成されている。トナー搬送部材16は、200rpmの回転速度で回転(揺動)することでトナー供給ローラ20にトナーを供給する。比較例3における、それ以外のプロセスカートリッジの構成および画像形成装置の全体構成は、比較例1と同様である。
<比較例4>
図6(d)は、比較例4にかかるプロセスカートリッジの構成を示す模式的断面図である。比較例4は、前述の背景技術(特許文献3)で説明したように、比較例1の構成において、トナー供給ローラ20が実施例1のトナー供給ローラ20とは逆方向に(時計回り)回転する構成となっている。図6また、トナー供給ローラ20は、100rpmで回転駆動されている。比較例4における、それ以外のプロセスカートリッジの構成および画像形成装置の全体構成は、比較例1と同様である。
次に、実験条件を説明する。
(1)ベタ画像の濃度安定性評価
ベタ画像の濃度安定性評価として、高印字プリントを連続した際の画像濃度低下量の測定を実施した。評価は、画像形成装置を評価環境25.0℃、50%Rhにて1日放置して当該環境になじませた後、100枚印字後に行った。100枚の印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙することで行った。その後、ベタ画像を連続で10枚出力し、10枚目のベタ画像の出力先端と後端の濃度差から下記に示す評価を、X−Rite製spectordensitometer 500を用いて行った。印字テスト及び評価画像は単色(黒)で出力した。
A:ベタ画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2未満
B:ベタ画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2〜0.3未満
C:ベタ画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.3以上
(2)ゴースト画像評価
ゴースト画像の評価として、ベタ印字後に中間濃度のハーフトーン画像を印字し、ベタ非印字部の場合のハーフトーン画像との濃度差を判定した。評価は、画像形成装置を評価環境25.0℃、50%Rhにて1日放置して当該環境になじませた後、100枚印字後に行った。100枚の印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙する
ことで行った。その後、ゴースト評価用の画像を出力し、目視によりハーフトーン濃度差のレベルを判定した。
A:濃度差がほとんど視認できない。
B:濃度差がわずかに視認できる。
C:濃度差がはっきりと視認できる。
(3)トナー凝集の有無
トナーの評価は、耐久テストの終了した画像形成装置を分解し、現像室内にトナー凝集があるか否かを調査し、評価した。
A:トナー凝集なし
B:トナー凝集が発生
耐久テストの条件としては、32.5℃、80%Rh環境において、画像比率1%の横線を間欠的に10000枚通紙(印字)した。間欠的な通紙とは、印字後に待機状態を経て、次の印刷を行うという意味である。
なお、ここでの「トナー凝集が発生」とは、現像ローラやトナー供給ローラの下方でトナーが押し詰められて凝集した状態を示している。トナー凝集が発生した状態で画像形成を行うと、濃度ムラ等、画像品質の低下が生じる。
(4)現像ブレードへのトナー融着の有無
現像ローラへのトナー融着の評価は、(3)のトナー凝集耐久の終了した画像形成装置の現像ブレードを観察し、トナー融着が発生しているかを調査し、評価した。
A:トナー融着なし
B:トナー融着が若干あり(現像ブレード上の所々にトナー付着)
C:トナー融着あり(現像ブレード全面にトナー付着)
耐久テストの条件としては、32.5℃、80%Rh環境において、画像比率1%の横線を間欠的に10000枚通紙(印字)した。間欠的な通紙とは、印字後に待機状態を経て、次の印刷を行うという意味である。
<実験結果>
以下、各実施例の設定及びその評価結果を表1に示す。
表1:実施例2における実験結果
Figure 2020079903
まず、比較例1の結果について述べる。比較例1の構成においては、トナー供給ローラ20上に供給されたトナー80の多くはトナー供給ローラ20の回転により開口部30dからトナー収容室18aへ戻ってしまう。更には、トナー供給ローラ20の周面下方とこれに対向する現像室18b内壁面との距離が近く、実施例1の第2の空間に相当する位置にトナー80が入っていかない。また、トナー供給ローラ20と現像ローラ17とのニップ部Nの上方でトナー80を吸いこんでも、実施例1の第1の空間に相当する領域が狭く、十分なトナー80をトナー供給ローラ20に供給できない。よって、ベタ画像の濃度安定性を確保することが難しい。また、画像比率1%の画像を出力し続けた結果、実施例1の第1の空間に相当する領域のトナー80が、トナー供給ローラ20の周面下方大半にわたる狭小領域を超えてトナー収容室18aへ戻る動きをしない。また、特に現像ブレード
21で規制されたトナー80が現像ブレード21近傍にはまり込んでしまう。そのため現像ブレード21近傍のトナーが局所的に劣化し、トナー凝集の発生、及び現像ブレード21に対するトナー融着が発生してしまう。
次に、比較例2の結果について述べる。比較例2の構成においては、トナー供給ローラ20の下方にトナー受け部材30を設けている。そのため、トナー供給ローラ20により搬送されるトナー80は、トナー収容室18aへ落下することなく、安定供給され、現像ブレード21に規制されたトナー80のみトナー収容室18aへ落下する。よって、ベタ画像の濃度安定性を確保できるとともに、現像ブレード21近傍で現像ローラ17に対するトナー融着が凝集することはない。しかし、トナー供給ローラ20にトナー受けシート32が接触しているため、トナー供給部材20とトナー受けシート32の間でトナー80が凝集してしまい、トナー凝集に起因する画像濃度ムラが発生した。
次に、比較例3の結果について述べる。比較例3においては、現像室18b内においてトナー供給ローラ20の下方にトナー搬送部材16を配置している。トナー搬送部材16を配置することにより、現像室18b内におけるトナー供給ローラ20と現像ローラ17の下方の領域にあるトナーの凝集が抑制されると同時に、トナー搬送部材16の下方のトナー80がトナー収容室18aへ戻される。よって、トナー凝集に起因する濃度ムラ等の課題が発生することはない。しかし、トナー80とトナー搬送部材16との摩擦によりトナー劣化が進むため、低印字率の画像が続いた場合において、現像ローラ17へのトナー融着が見られた。また、現像室18b内において、トナー供給ローラ20の他にトナー搬送部材16を追加部材として設ける必要があるため、装置構成が複雑である。また、トナー搬送部材16による搬送圧力によりトナー80をトナー供給ローラ20に押し付けることでトナー80をトナー供給ローラ20に供給する構成となっている。そのため、トナー供給ローラ20に対するトナー80の圧が十分でないため10枚連続通紙の状態では、ベタ濃度安定性が実施例に対して低下する結果となった。
次に、比較例4の結果について述べる。比較例4においては、比較例1と同様の構成において、トナー供給ローラ20が比較例1のトナー供給ローラ20とは逆方向に(時計回り)回転している。そのため、実施例1の第1の空間に相当する位置にてトナー80の循環不良は発生しない。しかしながら、トナー供給ローラ20が実施例1とは逆方向に(時計回り)回転しているため、現像ローラ17上の現像残りトナーを剥ぎ取る力が弱い。そのため、ベタ画像印字後と非印字後の現像ローラ17一周後に相当するハーフトーン画像において濃度ムラ(所謂、ゴースト画像)が発生する結果となった。
次に、実施例1の結果について述べる。トナー搬送部材22から搬送されたトナー80を、実施例1ではトナー供給ローラ20と現像ローラ17とのニップ部Nに効率良く搬送することができる。また、現像室18b内においてトナー供給ローラ20下方の狭小部を境界とし第1の空間にトナー80の圧密状態を形成することで、第1の空間からトナー供給ローラ20にトナー80を供給することができる。また、第1の空間に適切な圧密状態を形成することで、第1の空間から第2の空間、第2の空間から開口部30d下端を乗り越えてトナー収容室18aへと、トナー80が戻される。また、第1、第2の空間の現像室18b内面の配置構成により現像ブレード17で規制されたトナー80が第1の空間で滞留しにくくすることができる。これにより、循環不良に起因する画像不良を抑制することができる。以上より、簡易な構成で、トナーの循環不良に起因する画像弊害が抑制され、且つベタ画像の濃度が安定化した高品位な画像を供給することが可能な現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することができる。
なお、本実施例ではカラー画像形成が可能な画像形成装置を例示しているが、本発明が適用可能な装置構成はこれに限定されるものではなく、モノクロ画像形成が可能な画像形
成装置に本発明を適用した場合であっても同様の効果を得ることができる。
また、実施例1では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明が適用可能な画像形成装置の例はこれに限定されるものではない。例えば、複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。また、記録材搬送ベルト等の記録剤担持体を使用し、該記録剤担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ね合わせて転写する画像形成装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
[実施例2]
本発明の実施例2に係る現像ユニット(現像装置)は、現像枠体に収容するトナーに特徴を有している。具体的には、実施例2に係る現像ユニットは、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下のトナーを用いることを特徴とする。このようなトナーを用いることで、トナーの良好な循環が現像ユニットの耐久長期に亘って維持され、高品位な画像を安定して形成可能な長寿命現像装置を提供することができる。実施例2における上記以外の構成は、実施例1の現像ユニットと同じであり、説明を省略する。
以下に実施例2で用いるトナーについて説明する。
<有機ケイ素重合体を含有する表層について>
トナー粒子が有機ケイ素重合体を含有する表層を有する場合、式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。
R−SiO3/2 式(1)
(Rは炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って、従来の有機樹脂により表層形成されたトナーに比べて無機物に近い構造のため、マルテンス硬度を高くすることが可能であると考えられる
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法は、液体原料を出発原料に用いて加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経てゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温
度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
トナー粒子の表層の有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2020079903
(式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
の炭化水素基(好ましくはアルキル基)により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、炭化水素基として、芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みてRは炭素数1以上3以下の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は0.5質量%以上10.5質量%以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上であることで、表層の表面自由エネルギーを更に小さくすることができ、流動性が向上し、部材汚染やカブリの発生を抑制することができる。10.5質量%以下であることで、チャージアップを発生し難くすることができる。有機ケイ素重合体の含有量は有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を含有する表層とトナーコア粒子は、隙間なく接していることが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。表層には上記の有機ケイ素重合体の他に、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂や各種添加剤などを含有させてもよい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。
懸濁重合法ではまず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤をボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する(重合性単量体組成物の調製工程)。このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤などを適宜加えることができる。
次に、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
造粒工程の後、あるいは造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に攪拌操作を行うことが好ましい。重合開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
トナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合は、水系媒体中でトナー粒子を形成する場合には水系媒体中で重合工程などを行いながら前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。重合後のトナー粒子の分散液をコア粒
子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。また、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
<硬度の測定方法>
硬度とは、物体の表面又は表面近傍の機械的性質の一つであり、異物によって変形や傷を与えられようとするときの、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさであり、様々な測定方法や定義が存在する。例えば、測定方法は測定領域の広さによって使い分けられ、測定領域が10μm以上の場合にはビッカース法、10μm以下の場合にはナノインデンテーション法、1μm以下の場合にはAFMなどと使い分けられることが多い。定義としては、例えば押し込み硬さとしてはブリネル硬度やビッカース硬度、引っ掻き硬さとしてはマルテンス硬度、反発硬さとしてはショア硬度などが使い分けられている。
トナーの測定においては、一般的な粒径は3μm〜10μmであるから、ナノインデンテーション法が好ましく用いられる測定方法である。発明者らの検討によると本発明の効果を発現するための硬度の規定として、引っ掻き硬さを表すマルテンス硬度が適当であった。これは、トナーが現像機内で金属や外添剤などの硬い物質に引っ掻かれることに対する強さを表し得るのが引っ掻き硬さであるためと考えている。
ナノインデンテーション法にてトナーのマルテンス硬度を測定する方法は、市販のISO14577−1に準拠した装置にて、ISO14577−1に規定された押込み試験の手順に従って、得られた荷重−変位曲線から算出することができる。本発明においては、前記ISO規格に準拠した装置として、超微小押し込み硬さ試験機「ENT−1100b」(株式会社エリオニクス製)を用いた。測定方法は、装置に付属の「ENT1100操作マニュアル」に記載されているが、具体的な測定方法は以下の通りである。
測定環境は、付属の温度調節装置にてシールドケース内を30.0℃に保った。雰囲気温度を一定に保つことは熱膨張やドリフトなどによる測定データのバラつき低減に有効である。設定温度は、トナーが摩擦される現像機近辺の温度を想定した30.0℃の条件とした。試料台は装置に付属の標準試料台を用い、トナーを塗布した後にトナーが分散するように微弱なエアーを吹き付け、その試料台を装置にセットして1時間以上保持してから測定を行った。
圧子には装置に付属の先端が20μm四方の平面である平圧子(チタン製圧子、先端はダイヤモンド製)を用いて測定した。トナーの様に小径かつ球形の物体、外添剤が付着している物体、表面に凹凸が存在する物体においては、尖った圧子を用いると測定精度に大きな影響を与えるため平圧子を用いる。試験の最大荷重は2.0×10−4Nに設定して行う。この試験荷重に設定することで、現像部においてトナー1粒が受けるストレスに相当する条件で、トナーの表層を破壊せずに硬度を測定することが可能である。本発明においては、耐摩擦性が重要であるから表層を破壊せずに維持したまま硬さを測ることが重要である。
測定対象の粒子としては、装置付属の顕微鏡による測定用画面(視野サイズ:横幅160μm、縦幅120μm)にトナーが単独で存在しているものを選択する。ただし、変位量の誤差を極力無くすため、粒子径(D)が個数平均粒径(D1)の±0.5μmの範囲にあるもの(D1−0.5μm≦D≦D1+0.5μm)を選択する。なお、測定対象粒子の粒径測定は装置付属のソフトを用いてトナーの長径と短径を測定し、[(長径+短径)/2]をもって粒子径D(μm)とした。また、個数平均粒径は「コールター・カウンター Multisizer 3(ベックマン・コールター株式会社製)により後述する
方法にて測定する。
測定に際しては、粒子径D(μm)が上記条件を満たす任意のトナー100粒を選んで測定を行う。測定の際に入力する条件は以下の通りである。
試験モード : 負荷−除荷試験
試験荷重 : 20.000mgf(=2.0×10−4N)
分割数 : 1000step
ステップインターバル : 10msec
解析メニュー「データ解析(ISO)」を選択して測定を行うと、測定後に装置付属ソフトでマルテンス硬度が解析され、出力される。トナー100粒について上記測定を行って、その相加平均値を本発明におけるマルテンス硬度とした。
最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定するときのマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整するための手段は特に限定されない。ただし、当該硬度は一般的なトナーに用いられている有機樹脂の硬さに比べて大幅に硬いため、硬度を上げるために通常行われている手段では達成が困難である。例えば、ガラス転移温度の高い樹脂設計にする手段、樹脂分子量を上げる手段、熱硬化する手段、表層にフィラーを添加する手段などでは達成が難しい。
一般的なトナーに用いられている有機樹脂のマルテンス硬度は、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定すると50MPa〜80MPa程度である。さらに樹脂設計や分子量を上げるなどして硬度を上げた場合でも120MPa以下程度である。さらに、磁性体やシリカといったフィラーを表層近傍に充填して熱硬化させた場合でも180MPa以下程度であり、本発明のトナーは一般的なトナーに比べて大幅に硬い。
<硬度の制御方法>
上記特定の硬度範囲に調整するための1つの手段として、例えば、適切な硬度を持つ無機物などの物質でトナーの表層を形成させ、更にその化学構造やマクロ構造を適切な硬度を持つ様に制御する方法が挙げられる。
具体的な例示として、上記特定の硬度を持ち得る物質としては有機ケイ素重合体が挙げられ、材料の選択として有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数や炭素鎖長などによって硬度を調整することが可能である。トナー粒子が、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、該有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数が1個以上3個以下(好ましくは1個以上2個以下、より好ましくは1個)であると、上記特定の硬度に調整しやすいため好ましい。
化学構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては表層物質の架橋や重合度などの化学構造の調整などにより可能である。マクロ構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては、表層の凸凹形状や凸間を繋ぐネットワーク構造の調整などにより可能である。これらの調整は有機ケイ素重合体を表層として用いる場合には、有機ケイ素重合体を前処理する際のpH、濃度、温度、時間などで調整可能である。また、トナーのコア粒子に有機ケイ素重合体を表層付けするタイミングや形態、濃度、反応温度などによって調整可能である。
本発明において特に好ましいのは以下の方法である。まず、結着樹脂及び着色剤を含むトナーのコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。この時の濃度はコア粒子分散液総量に対し、コア粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。そして、該コア粒子分散液の温度は35℃以上に調整して
おくことが好ましい。また、該コア粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2〜7、温度が15〜80℃、時間が30〜600分である。
得られた加水分解液とコア粒子分散液とを混合して縮合に適したpH(好ましくは6〜12、又は1〜3、より好ましくは8〜12)に調整することで、有機ケイ素化合物を縮合させながらトナーのコア粒子表面に表層付けすることができる。縮合と表層付けは35℃以上で60分間以上取ることが好ましい。また、縮合に適したpHに調整する前に35℃以上で保持する時間を調整することで表面のマクロ構造を調整可能であるが、時間が長すぎると本発明のマルテンス硬度のトナーが得られにくいため、3分以上120分以下が好ましい。
以上のような手段によって反応残基を減らすことができ、表層に凹凸を形成させることができ、更に凸間にネットワーク構造を形成させることができるため、上記特定のマルテンス硬度のトナーを得られやすい。有機ケイ素重合体を含有する表層を用いる場合には、有機ケイ素重合体の固着率が90%以上100%以下であることが好ましい。有機ケイ素重合体の固着率の測定方法は後述する。
<トナー粒子の粒径の測定>
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここに
コンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)を用意する。この超音波分散器の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<実験>
実施例2の現像装置の長寿命性能を検証するため、実施例1で行った実験のうち(3)トナー凝集の有無、(4)現像ブレードへのトナー融着の有無、の検証実験を行った。耐久テストは、実施例1で行った実験に対して印字枚数を5倍とし32.5℃、80%Rh環境において、画像比率1%の横線を間欠的に50000枚通紙(印字)した。
表2:実施例2における実験結果
Figure 2020079903
実施例2では、現像装置の印字枚数が実施例1で行った実験に対して5倍となるような苛酷な条件においてもトナー凝集や、トナー融着が発生しないという優れた結果が得られた。これは有機ケイ素重合体を含有する表層を有しトナーの最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整するトナーが対高摩耗性能を有するためである。
特に、本実施例における第1の空間のトナー圧密状態を活用しトナー循環を長期耐久においても良好な状態にするためには対高摩耗性トナーが必要である。対高摩耗性トナーによりトナーの流動性が長期耐久でも維持され続け、それにより第1の空間(第1の圧密空間)から第2の空間(第2の圧密空間)へのトナー循環が絶え間なく形成され続けたことで良好な結果が得られた。
なお、当該マルテンス硬度が200MPaよりも低い場合には、上述した苛酷な条件下において、本発明の効果が満足に得られない場合がある。一方、当該マルテンス硬度が1100MPaよりも高いと、場合によっては規制ブレードや現像ローラなどの部材を傷つける場合があった。
以上、実施例2によればトナーの最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整したトナーを用いる。そうすることで、現像装置を長期耐久した場合においても簡易な構成で現像剤の良好な循環が維持され、高品位な画像を安定して形成可能な長寿命対応の現像装置を提供することができる。
100…画像形成装置、4…現像ユニット(現像装置)、17…現像ローラ(現像剤担持体)、18…現像枠体、18a…トナー収容室(収容室)、18b…現像室、20…トナー供給ローラ(供給部材)、21…現像ブレード(規制部材)、22…攪拌搬送部材(搬送部材)、30…壁部、30a…第1壁部、30b…第2壁部、30c…第3壁部、30d…開口部、80…トナー(現像剤)、N…ニップ部

Claims (19)

  1. 現像剤を担持し、回転可能な現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材であって、前記現像剤担持体との間にニップ部を形成するとともに、使用時の姿勢において前記ニップ部における前記供給部材の表面が、重力方向の下方から上方へ向かう方向に沿って移動し、且つ、前記現像剤担持体とは同じ回転方向に回転可能な供給部材と、
    前記現像剤担持体に当接することによって前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する規制部材と、
    前記現像剤担持体、前記供給部材及び前記規制部材が配置される現像室と、使用時の姿勢において前記現像室の下方に位置し前記現像室へ供給される現像剤を収容する収容室と、前記収容室と前記現像室を連通する開口部を備える仕切壁部と、を有する枠体と、
    を備える現像装置であって、
    使用時の姿勢において、前記供給部材の長手方向に沿って見たとき、前記現像室の内部空間には、
    前記仕切壁部と前記供給部材の間に位置し、前記仕切壁部と前記供給部材の間隔が最も狭くなる狭小部を始点として、前記供給部材の前記回転方向の下流側に向かうほど、面積が拡大する第1の空間と、
    前記仕切壁部と前記供給部材の間に位置し、前記狭小部を始点として、前記供給部材の前記回転方向の上流側に向かうほど、面積が拡大する第2の空間と、が含まれており、
    前記開口部の下端の位置は、前記供給部材の下端の位置よりも上方にあることを特徴とする現像装置。
  2. 前記収容室に配置され、前記収容室から前記開口部を介して前記現像室へ現像剤を搬送する搬送部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記現像室の前記内部空間には、前記ニップ部よりも上方に位置する第3の空間が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 前記開口部の下端の位置は、前記規制部材と前記現像剤担持体が当接する当接位置と同じ高さ、または前記当接位置よりも上方にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
  5. 前記仕切壁部と前記開口部の上端との境目の位置が、前記供給部材の上端よりも上方にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
  6. 前記ニップ部の上端が、前記仕切壁部において前記第2の空間に面する領域の前記開口部の下端との境目よりも上方にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
  7. 前記供給部材は、現像剤を保持するための発泡体を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
  8. 前記発泡体は、連続気泡を有することを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
  9. 前記仕切壁部において前記第1の空間に面する領域が、水平方向に、または、前記狭小部に近づくほど下方となるように傾斜した方向に、延びていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の現像装置。
  10. 前記規制部材は、一端が前記枠体に固定され、自由端である他端の側において前記現像
    剤担持体に当接し、
    前記仕切壁部において前記第1の空間に面する領域は、前記規制部材の前記他端を基準とした鉛直線との交点よりも前記狭小部から離れた位置から、前記狭小部に向かって、水平方向に、または前記狭小部に近づくほど下方となるように傾斜した方向に、延びていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置。
  11. 高さ方向における前記ニップ部の中心が、前記仕切壁部において前記第2の空間に面する領域の前記開口部の下端との境目よりも上方にあることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置。
  12. 前記第1の空間は、前記第2の空間よりも広いことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置。
  13. 前記仕切壁部において前記供給部材との間に前記狭小部を形成する領域が、前記供給部材の形状に沿って屈曲していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の現像装置。
  14. 前記搬送部材は、回転することで現像剤を前記収容室から前記開口部を介して前記現像室へ搬送するものであり、
    前記現像剤担持体の単位時間当たりの回転数は、前記搬送部材の単位時間当たりの回転数よりも高く、
    前記供給部材の単位時間当たりの回転数は、前記現像剤担持体の単位時間当たりの回転数よりも高いことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
  15. 前記供給部材の上端が、前記現像剤担持体の上端よりも上方であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の現像装置。
  16. 前記収容室に収容される現像剤は、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の現像装置。
  17. 前記収容室に収容される現像剤は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の現像装置。
  18. 画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    潜像が形成される像担持体と、
    請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  19. 記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
    潜像が形成される像担持体と、
    請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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