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JP2020040593A - 車両前部構造 - Google Patents

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尚之 ▲辻▼本
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将人 角
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建児 赤羽
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Doicha Florian
フローリアン ドイチャ
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【課題】小さい脆弱部でも確実に座屈できるようにして、フロントサイドメンバ1の座屈をコントロールする。【解決手段】車体の前後方向に延設されたフロントサイドメンバ1は、一側が開口された断面ハット形状のサイドメンバインナ20とサイドメンバインナ20の開口を塞ぐ平板状のサイドメンバアウタ21とによって形成され、サイドメンバインナ20に、剛性が他の部分よりも低い複数の脆弱部15が設けられる。サイドメンバアウタ21は、2枚の板材30,32をつないで形成される。2枚の板材30,32をつないだときにできるつなぎ部34がサイドメンバインナ20の脆弱部15の位置に合わせて設定される。つなぎ部34は、剛性が低く、変形しやすい。このつなぎ部34が最も小さい脆弱部15の位置に合わせて設けられると、小さい脆弱部15でも座屈させることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、前方からの荷重による衝撃を吸収するフロントサイドメンバを備えた車両前部構造に関する。
従来、車両前部構造では、車両の前面に衝突の荷重が加わったとき、フロントサイドメンバを座屈させて衝撃を吸収する構造となっている。例えば、特許文献1の車両前部構造では、フロントサイドメンバは、前から順に前部変形部、内脆弱、外脆弱を備えている。車両前部に荷重がかかると、フロントサイドメンバは、順に前部変形部を変形させ、次に内脆弱で曲げ、最後に外脆弱で曲げて荷重を吸収している。このように、衝撃を吸収しながら荷重をフロントサイドメンバの後方に伝達していくことにより、車両前部の変形をコントロールできる。
特開2009−255883号公報
小型車のようにエンジンルームが狭い車両では、この変形のコントロールを適切に行わないと、変形が車室に及ぶおそれがある。そのため、前面衝突時に前から順にフロントサイドメンバを座屈させるために、フロントサイドメンバに設けられる剛性断点は、前側から順に小さくなるように設定される。ここで、大きい衝撃吸収量を確保するには、前側の剛性断点をできるだけ小さく設定するのがよい。しかし、後側の剛性断点が小さくなりすぎてしまい、後側の剛性断点では、設計通り座屈しないおそれがある。この対策として、補強部材を別途設けることが考えられるが、コストアップ、重量アップ、生産性の悪化といった問題がある。
本発明は、上記に鑑み、小さい剛性断点でも確実に座屈できるようにして、フロントサイドメンバの座屈をコントロールできる車両前部構造の提供を目的とする。
本発明の車両前部構造では、車体の前後方向に延設されたフロントサイドメンバは、一側が開口された断面ハット形状のサイドメンバインナとサイドメンバインナの開口を塞ぐ平板状のサイドメンバアウタとによって形成され、サイドメンバインナの前側に、フロントサイドメンバの変形を起こさせるための複数の剛性断点が設けられ、サイドメンバアウタは、複数の板材をつないで形成され、板材がつながったつなぎ部がサイドメンバインナの剛性断点の位置に合わせて設定される。
2枚の板材をつないだときにできるつなぎ部は、剛性が低く、変形しやすい。このつなぎ部がサイドメンバインナの剛性断点の位置に合わせて設けられると、この箇所において前方からの荷重によって座屈、折れ曲がりといった変形が起こりやすくなる。
本発明によると、フロントサイドメンバに変形を起こさせるための剛性断点に対向して板材のつなぎ部を設けることにより、フロントサイドメンバを前方からの荷重によって確実に座屈させることができ、フロントサイドメンバの座屈をコントロールでき、変形の安定化を図れる。
本発明の実施形態の車両前部構造が適用されたフロントサイドメンバを車外側から見た側面図 フロントサイドメンバの前部サイドメンバの斜視図 前部サイドメンバの分解斜視図 前部サイドメンバの平面図 前部サイドメンバを車内側から見た側面図 他の形態の剛性断点とつなぎ部を示す図
本発明の実施形態の車両前部構造が適用された車両の前部には、エンジン等のパワーユニットを収容するエンジンルームが配される。エンジンルームの車幅方向の左右両側には、図1に示すように、フロントサイドメンバ1が設けられる。フロントサイドメンバ1は、車両の前後方向に延設される。
フロントサイドメンバ1よりも下方にサスペンションメンバ2が設けられ、サスペンションメンバ2の前側はブラケット3を介してフロントサイドメンバ1に支持され、後側はフロントサイドメンバ1にボルト止めされている。フロントサイドメンバ1の上側に、ショックアブソーバー(図示せず)を支持するサスペンションタワー4が設けられる。
フロントサイドメンバ1は、ダッシュパネル5よりも前側に配設された前部サイドメンバ10と、前部サイドメンバ10に接続され、車室のフロアの下方に配設された後部サイドメンバ11とから構成される。フロントサイドメンバ1の前端には、クラッシュボックス12が取り付けられている。
後部サイドメンバ11は、前部サイドメンバ10よりも低い位置にあり、前後方向に対して垂直な方向、すなわち上下方向にずれている。そのため、フロントサイドメンバ1は、前部サイドメンバ10から後部サイドメンバ11にかけて下方に向かって折れ曲がっている。前部サイドメンバ10に接続するために、後部サイドメンバ11の前側が屈曲され、傾斜部13とされる。傾斜部13は、車両の後方に向かって斜め下がりに形成される。傾斜部13の前端と前部サイドメンバ10の後端とが重ね合わせられた合わせ部14において、スポット溶接によって前部サイドメンバ10と後部サイドメンバ11とが接合される。
図2〜5に示すように、前部サイドメンバ10の前側に、フロントサイドメンバ1を座屈、折れ曲がりといった変形させるための複数の剛性断点が設けられる。剛性断点は、剛性が他の部分とは異なる部分とされ、座屈や折れ曲がりなどの変形の起点となる。このような剛性断点として、剛性が他の部分よりも低くなるように脆弱部15が設けられる。脆弱部15の位置を適切に設定することにより、座屈のタイミング、座屈量といった座屈をコントロールすることが可能となる。
図3に示すように、フロントサイドメンバ1の前部サイドメンバ10は、車幅方向の外側が開口された断面ハット形状のサイドメンバインナ20とサイドメンバインナ20の開口を塞ぐ平板状のサイドメンバアウタとによって中空状に形成される。サイドメンバインナ20の上部および下部に外フランジ22が前後方向に沿って形成されている。サイドメンバアウタ21が外フランジ22に重ねられ、スポット溶接によりサイドメンバインナ20とサイドメンバアウタ21が接合される。
図4,5に示すように、前部サイドメンバ10の脆弱部15は、衝突時の圧壊変形の起点となる、前後方向に垂直なビードとされる。複数の横溝状の横ビード23、ここでは3本の横溝状の横ビード23a,23b,23cが、サイドメンバインナ20の上面および下面に等間隔にかつ左右方向の一端から他端にかけて形成される。上面の横ビード23a,23b,23cに対向するように下面の横ビード23a,23b,23cが配置される。前側から順に大横ビード23a,中横ビード23b、小横ビード23cとされる。大横ビード23aは、幅が最も広く最も深い。中横ビード23b、小横ビード23cとなるにつれて、幅が狭く、浅くなっていく。幅が広く深い横ビード23ほど前方からの荷重に対して圧壊変形しやすい。すなわち衝撃吸収量が小さい。なお、横ビード23の本数は上下各3本に限るものではない。
また、サイドメンバインナ20の車内側の側面にも、脆弱部として縦溝状の縦ビード25が形成される。大中小の縦ビード25a,25b,25cは横ビード23と同様に形成される。なお、小の縦ビード25cは、上下面まで達していない縦長の凹みに形成される。
サイドメンバインナ20の上下の外フランジ22に、各横ビード23に対応して切欠き26がそれぞれ形成される。また、各縦ビード25に対応して、上下の外フランジ22に大中小の湾曲部27がそれぞれ形成される。湾曲部27は、車室側に向かって凹んでいる。これらの切欠き26および湾曲部27も脆弱部として、座屈をコントロールするために設けられる。
図3に示すように、前部サイドメンバ10のサイドメンバアウタ21は、2枚の板材をつないで形成される。前側に位置する前板材30は後端に後フランジ31が形成され、後側に位置する後板材32の前端に前フランジ33が形成される。車幅方向の車外側に突出した両フランジ31,33が合わせられて、スポット溶接あるいはボルト止め等をされ、つなぎ部34が形成される。前板材30と後板材32とがつながれ、1つのサイドメンバアウタ21となる。前板材30の前フランジ35にクラッシュボックス12がスポット溶接あるいはボルトにより取り付けられる。そして、前板材30は低強度の鋼板、後板材32は高強度の鋼板とされる。これにより、各板材30,32の板厚を同じにしても、前板材30の剛性は後板材32の剛性よりも小さくなる。
前板材30と後板材32とがつながったつなぎ部34は脆弱部15の位置に合わせて設定される。前板材30の後フランジ31と後板材32の前フランジ33が重ねられて、つなぎ部34が形成される。つなぎ部34は、小横ビード23cに対向するように配置される。そのため、前板材30および後板材32の前後方向の長さは、小横ビード23cの位置に応じて決められる。つなぎ部34は剛性が低いので、変形しやすい、すなわち座屈しやすい。つなぎ部34を小横ビード23cに合わせることにより、この箇所で座屈しやすくなる。したがって、非常に小さいビードであっても座屈させることができ、座屈のコントロールが可能となる。
サイドメンバアウタ21に、複数の縦溝状の湾曲部36が形成される。大中小の湾曲部36はサイドメンバインナ20の湾曲部27に対応して設けられる。前板材30には、大中の湾曲部36がサイドメンバインナ20の大中の湾曲部27に対応して形成され、後板材32には、小の湾曲部36がサイドメンバインナ20の小の湾曲部27に対応して形成される。これにより、サイドメンバインナ20の外フランジ22とサイドメンバアウタ21とが密着する。サイドメンバアウタ21の湾曲部36は、脆弱部となり、変形の起点となる。
前板材30の外面に、複数の縦ビード40が形成される。2本の縦ビード40の上下方向の中間部分が車外側に突出して、ハーネスクランプといった他部材取付用の台座41が形成される。2つの台座41は、前後方向に並んで配置される。前側の台座41は、サイドメンバインナ20の大横ビード23aに対応する位置に設けられ、後側の台座41は、中横ビード23bに対応する位置に設けられる。縦ビード40内に取付孔42が形成される。このように、外側に向かって膨らんだ台座41を設けることにより、脆弱部として機能し、前部サイドメンバ10の前側は座屈しやすくなり、座屈のコントロールを容易に行える。
前面衝突が発生すると、フロントサイドメンバ1に前方から荷重が加わる。まず、クラッシュボックス12が圧壊する。そして、前部サイドメンバ10に設けられた複数の脆弱部15により、前部サイドメンバ10の前側が圧壊変形する。図7に示すにように、前部サイドメンバ10の横ビード23および縦ビード25の大中小に応じて、前側のビードから順に座屈し、前部サイドメンバ10の前側は安定して変形していく。これによって、大きな衝撃吸収量が得られる。
フロントサイドメンバ1の前側での衝撃吸収量を大きくするためには、脆弱部15の各ビードを全体的に小さくするのがよい。このとき、後側のビードは極小になる。そこで、サイドメンバアウタ21につなぎ部34を設けて、つなぎ部34を極小ビードに合わせて配することにより、極小ビードであっても確実に座屈させることができ、前部サイドメンバ10の変形を安定化できる。したがって、小型車のようにフロントサイドメンバ1を長くできない車両に適用すれば、フロントサイドメンバ1の座屈を適切にコントロールすることが可能となり、効率よく衝撃を吸収しながらフロントサイドメンバ1を安定的に変形させることができ、車室への影響を回避できる。しかも、フロントサイドメンバ1を加工するだけで変形の安定化を実現できるので、補強部材を追加しなくてもよく、コストアップ、重量化、生産性の悪化を招かない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。脆弱部15として、前部サイドメンバ10の板厚を薄くして縦溝あるいは横溝を形成してもよい。サイドメンバアウタ21を3枚以上の板材で形成してもよく、複数のつなぎ部34をそれぞれ横ビード23に合わせて設ける。
上記の実施形態では、剛性の低い脆弱部15に対して、剛性の低いつなぎ部34を合わせることにより、フロントサイドメンバ1の座屈をコントロールできるようにした。これに限らず、剛性の高い剛性断点に対して、剛性の高い合わせ部を合わせるようにしてもよい。図6に示すように、サイドメンバインナ20にパッチ50を取り付けることにより、局部的に強度が上がり、剛性の高い剛性断点51となる。パッチ50の前端がフロントサイドメンバ1の変形の起点となる。前後の板材30,31をつなぐとき、前後の板材30,31を重ね合わせて、スポット溶接、レーザ溶接、隅肉溶接などの溶接により、あるいはボルト止めにより接合すると、剛性の高いつなぎ部34が形成される。つなぎ部34の位置は、パッチ50の前端に合わせて設定される。このような剛性断点51につなぎ部34を合わせた構造にすることにより、荷重がかかってもフロントサイドメンバ1の変形を抑制できる。したがって、変形させたくない箇所にこの構造を適用することにより、フロントサイドメンバ1の変形をコントロールすることができる。
1 フロントサイドメンバ
10 前部サイドメンバ
11 後部サイドメンバ
13 傾斜部
14 合わせ部
15 脆弱部
16 補強部
20 サイドメンバインナ
21 サイドメンバアウタ
23a 大横ビード
23b 中横ビード
23c 小横ビード
30 前板材
31 後板材
34 つなぎ部
40 縦ビード
41 台座
45 補強ビード
46 凹ビード

Claims (1)

  1. 車体の前後方向に延設されたフロントサイドメンバは、一側が開口された断面ハット形状のサイドメンバインナとサイドメンバインナの開口を塞ぐ平板状のサイドメンバアウタとによって形成され、サイドメンバインナの前側に、複数の剛性断点が設けられた車両前部構造であって、サイドメンバアウタは、複数の板材をつないで形成され、板材がつながったつなぎ部がサイドメンバインナの剛性断点の位置に合わせて設定されることを特徴とする車両前部構造。
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