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JP2019200244A - リソグラフィー用膜形成材料、リソグラフィー用膜形成用組成物、リソグラフィー用下層膜及びパターン形成方法 - Google Patents

リソグラフィー用膜形成材料、リソグラフィー用膜形成用組成物、リソグラフィー用下層膜及びパターン形成方法 Download PDF

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JP2019200244A
JP2019200244A JP2018093295A JP2018093295A JP2019200244A JP 2019200244 A JP2019200244 A JP 2019200244A JP 2018093295 A JP2018093295 A JP 2018093295A JP 2018093295 A JP2018093295 A JP 2018093295A JP 2019200244 A JP2019200244 A JP 2019200244A
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JP2018093295A
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淳矢 堀内
Atsuya Horiuchi
淳矢 堀内
牧野嶋 高史
Takashi Makinoshima
高史 牧野嶋
越後 雅敏
Masatoshi Echigo
雅敏 越後
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

【課題】湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性、エッチング耐性、段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れるフォトレジスト下層膜を形成するために有用なリソグラフィー用膜形成材料等の提供。【解決手段】オキサジン化合物を含有する、リソグラフィー用膜形成材料。【選択図】なし

Description

本発明は、リソグラフィー用膜形成材料、該材料を含有するリソグラフィー用膜形成用組成物、該組成物を用いて形成されるリソグラフィー用下層膜及び該組成物を用いるパターン形成方法(例えば、レジストパターン方法又は回路パターン方法)に関する。
半導体デバイスの製造において、フォトレジスト材料を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールによる更なる微細化が求められている。そして、現在汎用技術として用いられている光露光を用いたリソグラフィーにおいては、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。
レジストパターン形成の際に使用するリソグラフィー用の光源は、KrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化されている。しかしながら、レジストパターンの微細化が進むと、解像度の問題若しくは現像後にレジストパターンが倒れるといった問題が生じてくるため、レジストの薄膜化が望まれるようになる。ところが、単にレジストの薄膜化を行うと、基板加工に十分なレジストパターンの膜厚を得ることが難しくなる。そのため、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間にレジスト下層膜を作製し、このレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。
現在、このようなプロセス用のレジスト下層膜として、種々のものが知られている。例えば、従来のエッチング速度の速いレジスト下層膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜を実現するものとして、所定のエネルギーが印加されることにより末端基が脱離してスルホン酸残基を生じる置換基を少なくとも有する樹脂成分と溶媒とを含有する多層レジストプロセス用下層膜形成材料が提案されている(特許文献1参照。)。また、レジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜を実現するものとして、特定の繰り返し単位を有する重合体を含むレジスト下層膜材料が提案されている(特許文献2参照。)。さらに、半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜を実現するものとして、アセナフチレン類の繰り返し単位と、置換又は非置換のヒドロキシ基を有する繰り返し単位とを共重合してなる重合体を含むレジスト下層膜材料が提案されている(特許文献3参照。)。
一方、この種のレジスト下層膜において高いエッチング耐性を持つ材料としては、メタンガス、エタンガス、アセチレンガス等を原料に用いたCVDによって形成されたアモルファスカーボン下層膜がよく知られている。
また、本発明者らは、光学特性及びエッチング耐性に優れるとともに、溶媒に可溶で湿式プロセスが適用可能な材料として、特定の構成単位を含むナフタレンホルムアルデヒド重合体及び有機溶媒を含有するリソグラフィー用下層膜形成組成物(特許文献4及び5参照。)を提案している。
なお、3層プロセスにおけるレジスト下層膜の形成において用いられる中間層の形成方法に関しては、例えば、シリコン窒化膜の形成方法(特許文献6参照。)や、シリコン窒化膜のCVD形成方法(特許文献7参照。)が知られている。また、3層プロセス用の中間層材料としては、シルセスキオキサンベースの珪素化合物を含む材料が知られている(特許文献8及び9参照。)。
特開2004−177668号公報 特開2004−271838号公報 特開2005−250434号公報 国際公開第2009/072465号 国際公開第2011/034062号 特開2002−334869号公報 国際公開第2004/066377号 特開2007−226170号公報 特開2007−226204号公報
上述したように、従来数多くのリソグラフィー用膜形成材料が提案されているが、スピンコート法やスクリーン印刷等の湿式プロセスが適用可能な高い溶媒溶解性を有するのみならず、耐熱性、エッチング耐性、段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性を高い次元で両立させたものはなく、新たな材料の開発が求められている。
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性、エッチング耐性、段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れるフォトレジスト下層膜を形成するために有用な、リソグラフィー用膜形成材料、該材料を含有するリソグラフィー用膜形成用組成物、並びに、該組成物を用いたリソグラフィー用下層膜及びパターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定構造を有する化合物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は次のとおりである。
[1]
オキサジン化合物を含有する、リソグラフィー用膜形成材料。
[2]
前記オキサジン化合物が、環員原子として1つの酸素原子、1つの窒素原子及び4つの炭素原子を含む6員環と、芳香族環との縮合環を含む、[1]に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[3]
前記オキサジン化合物が下記式(a)〜(f)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[2]に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
Figure 2019200244

[式中、
及びRは、独立して、炭素数1〜30の有機基であり、
〜Rは、独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−であり、
mは1〜6の整数であり、
Yは、独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−、又は炭素数1〜3のアルキレンである]。
[4]
下記式(0)の基:
Figure 2019200244
(式(0)中、Rは各々独立して、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基からなる群より選ばれる)
を有する化合物をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[5]
架橋剤をさらに含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[6]
前記架橋剤が、フェノール化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物、アミノ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、イソシアネート化合物及びアジド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[7]
架橋促進剤をさらに含有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[8]
ラジカル重合開始剤をさらに含有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
[9]
[1]〜[8]のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料と溶媒とを含有する、リソグラフィー用膜形成用組成物。
[10]
酸発生剤をさらに含有する、[9]に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物。
[11]
リソグラフィー用膜がリソグラフィー用下層膜である、[10]に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物。
[12]
[11]に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて形成される、リソグラフィー用下層膜。
[13]
基板上に、[11]に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程、
該下層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程、及び
該フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像を行う工程、
を含む、レジストパターン形成方法。
[14]
基板上に、[11]に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程、
該下層膜上に、珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いて中間層膜を形成する工程、
該中間層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程、
該フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像してレジストパターンを形成する工程、
該レジストパターンをマスクとして前記中間層膜をエッチングする工程、
得られた中間層膜パターンをエッチングマスクとして前記下層膜をエッチングする工程、及び
得られた下層膜パターンをエッチングマスクとして基板をエッチングすることで基板にパターンを形成する工程、
を含む、回路パターン形成方法。
[15]
[1]〜[8]のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料を、溶媒に溶解させて有機相を得る工程と、
前記有機相と酸性の水溶液とを接触させて、前記リソグラフィー用膜形成材料中の不純物を抽出する第一抽出工程と、
を含み、
前記有機相を得る工程で用いる溶媒が、水と任意に混和しない溶媒を含む、精製方法。
本発明によれば、湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性、エッチング耐性、段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れるフォトレジスト下層膜を形成するために有用な、リソグラフィー用膜形成材料、該材料を含有するリソグラフィー用膜形成用組成物、並びに、該組成物を用いたリソグラフィー用下層膜及びパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
[リソグラフィー用膜形成材料]
本発明の実施形態のひとつであるリソグラフィー用膜形成材料は、オキサジン化合物を含有する。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料中の、オキサジン化合物の含有量は、耐熱性の観点から、5〜100質量%であることが好ましく、51〜100質量%であることがより好ましく、60〜100質量%であることがさらに好ましく、70〜100質量%であることがよりさらに好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料に用いられるオキサジン化合物としては、特に限定されないが、原料入手性と量産化に対応した製造の観点から、環員原子として1つの酸素原子、1つの窒素原子及び4つの炭素原子を含む6員環と、芳香族環との縮合環を含むことが好ましい。ここで、芳香族環がベンゼン環であるオキサジン化合物をベンゾオキサジン化合物、芳香族環がナフタレン環であるオキサジン化合物をナフトオキサジン化合物とも称する。
オキサジン化合物としては、エッチング耐性の観点から、下記一般式(a)〜(f)に示す化合物が好ましい。なお下記一般式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
Figure 2019200244
一般式(a)〜(f)において、
及びRは、独立して、炭素数1〜30の有機基であり、
〜Rは、独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−であり、
mは1〜6の整数であり、
Yは、独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−、又は炭素数1〜3のアルキレンである。
また、オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
オキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、湿式プロセスへの適用が可能である。また、本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、芳香族構造を有しており、また剛直なオキサジン骨格を有しており、単独でも高温ベークによって、そのオキサジン骨格が架橋反応を起こし、高い耐熱性を発現する。その結果、高温ベーク時の膜の劣化が抑制され、酸素プラズマエッチング等に対するエッチング耐性に優れた下層膜を形成することができる。さらに、本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、芳香族構造を有しているにも関わらず、有機溶媒に対する溶解性が高く、安全溶媒に対する溶解性が高い。さらに、後述する本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物からなるリソグラフィー用下層膜は段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れ、製品品質の安定性が良好であるだけでなく、レジスト層やレジスト中間層膜材料との密着性にも優れるので、優れたレジストパターンを得ることができる。
[マレイミド化合物]
本発明の実施形態のひとつであるリソグラフィー用膜形成材料は、以下の下記式(0)の基:
Figure 2019200244
(式(0)中、Rは各々独立して、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基からなる群より選ばれる)
を有する化合物(以下、本明細書において「マレイミド化合物」ということがある。)をさらに含有することが好ましい。マレイミド化合物は、例えば、分子内に1個以上の第1級アミノ基を有する化合物と無水マレイン酸との脱水閉環反応により得ることができる。また、例えば、無水マレイン酸の代わりに無水シトラコン酸等を使用して同様にメチルマレイミド化されたもの等も含まれる。マレイミド化合物としては、例えば、ポリマレイミド化合物及びマレイミド樹脂を挙げることができる。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料中の、マレイミド化合物の含有量は、耐熱性及びエッチング耐性の観点から、51〜95質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましく、70〜95質量%であることがさらに好ましく、80〜95質量%であることが特に好ましい。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料に用いられるポリマレイミド化合物及びマレイミド樹脂としては、原料入手性と量産化に対応した製造の観点からビスマレイミド化合物及び付加重合型マレイミド樹脂が好ましい。
<ビスマレイミド化合物>
ビスマレイミド化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019200244

式(1)中、Zはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜100の2価の炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は、1〜80、1〜60、1〜40、1〜20等であってもよい。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、フッ素、ケイ素等を挙げることができる。
ビスマレイミド化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2019200244

式(1A)中、
Xはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH−、−C(CH−、−CO−、−C(CF−、−CONH−又は−COO−であり、
Aは、単結合、酸素原子、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素)を含んでいてもよい炭素数1〜80の2価の炭化水素基であり、
はそれぞれ独立に、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい炭素数0〜30の基であり、
m1はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
より好ましくは、耐熱性及びエッチング耐性向上の観点から、式(1A)中、
Xはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CH−、−C(CH−、−CO−、−C(CF−、−CONH−又は−COO−であり、
Aは、単結合、酸素原子、−(CH−、−CHC(CHCH−、−(C(CH−、−(O(CHm2−、−(О(C))−、又は以下の構造のいずれかであり、
Figure 2019200244

Yは単結合、−O−、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、
Figure 2019200244

であり、
はそれぞれ独立に、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい炭素数0〜30の基であり、
nは、0〜20の整数であり、
m1及びm2はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
Xは、耐熱性の観点から、単結合であることが好ましく、溶解性の観点から、−COO−であることが好ましい。
Yは、耐熱性向上の観点から、単結合であることが好ましい。
は、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい炭素数0〜20又は0〜10の基であることが好ましい。Rは、有機溶媒への溶解性向上の観点から、炭化水素基であることが好ましい。例えば、Rとして、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)等が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基等が挙げられる。
m1は、0〜2の整数であることが好ましく、原料入手性及び溶解性向上の観点から、1又は2であることがより好ましい。
m2は、2〜4の整数であることが好ましい。
nは、0〜2の整数であることが好ましく、耐熱性向上の観点から、1〜2の整数であることがより好ましい。
式(1A)で表される化合物の一実施形態としては、
Xはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、又は−COO−であり、
Aは、単結合、酸素原子、−(CHn1−、−CHC(CHCH−、−(O(CHn2n3−、又は以下の構造であり、
Figure 2019200244

n1は1〜10の整数であり、
n2は1〜4の整数であり、
n3は1〜20の整数であり、
Yは−C(CH−又は−C(CF−であり、
はそれぞれ独立に、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)であり、
m1はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
式(1A)で表される化合物の一実施形態としては、
Xは単結合であり、
Aは−(CHn1−であり、
n1は1〜10の整数であり、
はそれぞれ独立に、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)であり、
m1はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
ここで、n1は1〜6又は1〜3であることが好ましい。
式(1A)で表される化合物の一実施形態としては、
Xはそれぞれ独立に、−CO−又は−COO−であり、
Aは−(O(CHn2n3−であり、
n2は1〜4の整数であり、
n3は1〜20の整数であり、
はそれぞれ独立に、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)であり、
m1はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
ここで、−X−A−X−は−CO−(O(CHn2n3−COO−であることが好ましい。
式(1A)で表される化合物の一実施形態としては、
Xは−O−であり、
Aは以下の構造
Figure 2019200244

であり、
Yは−C(CH−又は−C(CF−であり、
はそれぞれ独立に、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)であり、
m1はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
ここで、Aは以下の構造
Figure 2019200244

であることが好ましい。
ビスマレイミド化合物は、下記式(1B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019200244

式(1B)中、Z1はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜100の2価の直鎖状、分岐状、あるいは環状の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、フッ素、ケイ素等を挙げることができる。
<付加重合型マレイミド樹脂>
前記付加重合型マレイミド樹脂は、下記式(2)又は下記式(3)で表される樹脂であることがエッチング耐性向上の観点から好ましい。
Figure 2019200244
前記式(2)中、Rはそれぞれ独立に、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい炭素数0〜10の基である。また、Rは、有機溶媒への溶解性向上の観点から、炭化水素基であることが好ましい。例えば、Rとして、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)等が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基等が挙げられる。
m2はそれぞれ独立に0〜3の整数である。また、m2は、0又は1であることが好ましく、原料入手性の観点から、0であることがより好ましい。
m2´はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。また、m2´は、0又は1であることが好ましく、原料入手性の観点から、0であることがより好ましい。
nは、0〜4の整数である。また、nは、1〜4又は0〜2の整数であることが好ましく、耐熱性向上の観点から、1〜2の整数であることがより好ましい。
Figure 2019200244
前記式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んでいてもよい炭素数0〜10の基である。また、R及びRは、有機溶媒への溶解性向上の観点から、炭化水素基であることが好ましい。例えば、R及びRとして、アルキル基(例えば、炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基)等が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基等が挙げられる。
m3はそれぞれ独立に0〜4の整数である。また、m3は、0〜2の整数であることが好ましく、原料入手性の観点から、0であることがより好ましい。
m4はそれぞれ独立に、0〜4の整数である。また、m4は、0〜2の整数であることが好ましく、原料入手性の観点から、0であることがより好ましい。
nは、0〜4の整数である。また、nは、1〜4又は0〜2の整数であることが好ましく、原料入手性の観点から、1〜2の整数であることがより好ましい。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、湿式プロセスへの適用が可能である。また、本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、芳香族構造を有しており、また剛直なマレイミド骨格を有しており、単独でも高温ベークによって、そのマレイミド基が架橋反応を起こし、高い耐熱性を発現する。その結果、高温ベーク時の膜の劣化が抑制され、酸素プラズマエッチング等に対するエッチング耐性に優れた下層膜を形成することができる。さらに、本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、芳香族構造を有しているにも関わらず、有機溶媒に対する溶解性が高く、安全溶媒に対する溶解性が高い。さらに、後述する本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物からなるリソグラフィー用下層膜は段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れ、製品品質の安定性が良好であるだけでなく、レジスト層やレジスト中間層膜材料との密着性にも優れるので、優れたレジストパターンを得ることができる。
本実施形態で使用されるビスマレイミド化合物は、具体的には、m−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4‘−ジフェニルスルホンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン等のフェニレン骨格含有ビスマレイミド;ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、1,1−ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)エタン、2,2−ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)プロパン、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−1,1−ジフェニルエタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−1,1−ジフェニルプロパン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジn−プロピル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジn−ブチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド等のジフェニルアルカン骨格含有ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ビフェニレン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチル−ビフェニレン]ビスマレイミド等のビフェニル骨格含有ビスマレイミド、1,6−ヘキサンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,3−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、1,4−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミドなどの脂肪族骨格ビスマレイミド、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等のジアミノシロキサンからなるビスマレイミド化合物等が挙げられる。
ビスマレイミド化合物の中でも特にビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチルジフェニルメタン]ビスマレイミドが、溶剤溶解性や耐熱性にも優れるため、好ましい。
本実施形態で使用される付加重合型マレイミド樹脂としては、例えば、ビスマレイミドM−20(三井東圧化学社製、商品名)、BMI−2300(大和化成工業株式会社製、商品名)、BMI−3200(大和化成工業株式会社製、商品名)、MIR−3000(日本化薬株式会社製、製品名)等が挙げられる。この中でも特にBMI−2300が溶解性や耐熱性にも優れるため、好ましい。
<架橋剤>
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、オキサジン化合物に加え、硬化温度の低下やインターミキシングを抑制する等の観点から、必要に応じて、架橋剤をさらに含有していてもよい。
架橋剤としてはオキサジン化合物と架橋反応すれば特に限定されず、公知のいずれの架橋システムを適用できるが、本実施形態で使用可能な架橋剤の具体例としては、例えば、フェノール化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物、アミノ化合物、アクリレート化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの架橋剤は、1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもエポキシ化合物又はシアネート化合物が好ましい。
オキサジン化合物と架橋剤との架橋反応では、例えば、これらの架橋剤が有する活性基(フェノール性水酸基、エポキシ基、シアネート基又はアミノ基)が、ベンゾオキサジンの脂環部位が開環してなるフェノール性水酸基と反応する。
前記フェノール化合物としては、公知のものが使用できる。例えば、フェノール類としては、フェノールの他、クレゾール類、キシレノール類等のアルキルフェノール類、ヒドロキノン等の多価フェノール類、ナフトール類、ナフタレンジオール類等の多環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類、あるいはフェノールノボラック、フェノールアラルキル樹脂等の多官能性フェノール化合物等が挙げられる。好ましくは、耐熱性及び溶解性の点から、アラルキル型フェノール樹脂が望ましい。
前記エポキシ化合物としては、公知のものが使用でき、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものの中から選択される。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5’−テトラメチル−ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2'−ビフェノール、3,3',5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるフェノールアラルキル樹脂類のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から合成されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましくは、耐熱性と溶解性という点から、フェノールアラルキル樹脂類、ビフェニルアラルキル樹脂類から得られるエポキシ樹脂等の常温で固体状エポキシ樹脂である。
前記シアネート化合物としては、1分子中に2個以上のシアネート基を有する化合物であれば特に制限なく、公知のものを使用することができる。例えば、WO 2011108524に記載されているものが挙げられるが、本実施形態において、好ましいシアネート化合物としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物の水酸基をシアネート基に置換した構造のものが挙げられる。また、シアネート化合物は、芳香族基を有するものが好ましく、シアネート基が芳香族基に直結した構造のものを好適に使用することができる。このようなシアネート化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールE、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック樹脂、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールAノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂、3官能フェノール、4官能フェノール、ナフタレン型フェノール、ビフェニル型フェノール、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエンアラルキル樹脂、脂環式フェノール、リン含有フェノール等の水酸基をシアネート基に置換した構造のものが挙げられる。これらのシアネート化合物は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。また、上記したシアネート化合物は、モノマー、オリゴマー及び樹脂のいずれの形態であってもよい。
前記アミノ化合物としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、O−トリジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール等が例示される。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等の芳香族アミン類、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テトラメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類等が挙げられる。
前記メラミン化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
前記グアナミン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
前記グリコールウリル化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
前記ウレア化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
また、本実施形態において、架橋性向上の観点から、少なくとも1つのアリル基を有する架橋剤を用いてもよい。少なくとも1つのアリル基を有する架橋剤の具体例としては、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エ−テル等のアリルフェノール類、2,2−ビス(3−アリル−4−シアナトフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アリル−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3−アリル−4−シアナトシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−シアナトフェニル)エ−テル等のアリルシアネート類、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールアリルエーテル等が挙げられるが、これら例示されたものに限定されるものではない。これらは単独でも、2種類以上の混合物であってもよい。これらの中でも、ビスマレイミド化合物及び/又は付加重合型マレイミド樹脂との相溶性に優れるという観点から、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エ−テル等のアリルフェノール類が好ましい。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、オキサジン化合物を単独で、あるいは前記架橋剤を配合させた後、公知の方法で架橋、硬化させて、本実施形態のリソグラフィー用膜を形成することができる。架橋方法としては、熱硬化、光硬化等の手法が挙げられる。
前記架橋剤の含有割合は、オキサジン化合物を100質量部とした場合に、例えば、0.1〜100質量部の範囲であり、好ましくは、耐熱性及び溶解性の観点から1〜50質量部の範囲であり、より好ましくは1〜30質量部の範囲である。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料には、必要に応じて架橋、硬化反応を促進させるための架橋促進剤を用いることができる。
前記架橋促進剤としては、架橋、硬化反応を促進させるものであれば、特に限定されないが、例えば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等が挙げられる。これらの架橋促進剤は、1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもイミダゾール類又は有機ホスフィン類が好ましく、架橋温度の低温化の観点から、イミダゾール類がより好ましい。
前記架橋促進剤としては、以下に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
架橋促進剤の配合量としては、通常、オキサジン化合物を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜10質量部の範囲であり、より好ましくは、制御のし易さ及び経済性の観点からの0.1〜5質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜3質量部の範囲である。
<ラジカル重合開始剤>
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料には、必要に応じてラジカル重合開始剤を配合することができる。ラジカル重合開始剤としては、光によりラジカル重合を開始させる光重合開始剤であってもよいし、熱によりラジカル重合を開始させる熱重合開始剤であってもよい。
このようなラジカル重合開始剤としては、特に制限されず、従来用いられているものを適宜採用することができる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のケトン系光重合開始剤、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノオエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメトルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
また、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドリドクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2´−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系重合開始剤も挙げられる。本実施形態におけるラジカル重合開始剤としては、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、他の公知の重合開始剤をさらに組み合わせて用いてもよい。
前記ラジカル重合開始剤の含有量としては、前記オキサジン化合物の質量に対して化学量論的に必要な量であればよいが、前記オキサジン化合物を100質量部とした場合に0.05〜25質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が0.05質量部以上である場合には、オキサジン化合物の硬化が不十分となることを防ぐことができる傾向にあり、他方、ラジカル重合開始剤の含有量が25質量部以下である場合には、リソグラフィー用膜形成材料の室温での長期保存安定性が損なわれることを防ぐことができる傾向にある。
[リソグラフィー用膜形成材料の精製方法]
前記リソグラフィー用膜形成材料は酸性水溶液で洗浄して精製することが可能である。前記精製方法は、リソグラフィー用膜形成材料を水と任意に混和しない有機溶媒に溶解させて有機相を得て、その有機相を酸性水溶液と接触させ抽出処理(第一抽出工程)を行うことにより、リソグラフィー用膜形成材料と有機溶媒とを含む有機相に含まれる金属分を水相に移行させたのち、有機相と水相とを分離する工程を含む。該精製により本発明のリソグラフィー用膜形成材料の種々の金属の含有量を著しく低減させることができる。
水と任意に混和しない前記有機溶媒としては、特に限定されないが、半導体製造プロセスに安全に適用できる有機溶媒が好ましい。使用する有機溶媒の量は、使用する該化合物に対して、通常1〜100質量倍程度使用される。
使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、国際公開2015/080240に記載のものが挙げられる。これらの中でも、トルエン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル等が好ましく、特にシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
前記酸性の水溶液としては、一般に知られる有機、無機系化合物を水に溶解させた水溶液の中から適宜選択される。例えば、国際公開2015/080240に記載のものが挙げられる。これら酸性の水溶液は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸性の水溶液としては、例えば、鉱酸水溶液及び有機酸水溶液を挙げることができる。鉱酸水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液を挙げることができる。有機酸水溶液としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液を挙げることができる。また、酸性の水溶液としては、硫酸、硝酸、及び酢酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸等のカルボン酸の水溶液が好ましく、さらに、硫酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸の水溶液が好ましく、特に蓚酸の水溶液が好ましい。蓚酸、酒石酸、クエン酸等の多価カルボン酸は金属イオンに配位し、キレート効果が生じるために、より金属を除去できると考えられる。また、ここで用いる水は、本発明の目的に沿って、金属含有量の少ないもの、例えばイオン交換水等が好ましい。
前記酸性の水溶液のpHは特に制限されないが、水溶液の酸性度があまり大きくなると、使用する化合物又は樹脂に悪影響を及ぼすことがあり好ましくない。通常、pH範囲は0〜5程度であり、より好ましくはpH0〜3程度である。
前記酸性の水溶液の使用量は特に制限されないが、その量があまりに少ないと、金属除去のための抽出回数多くする必要があり、逆に水溶液の量があまりに多いと全体の液量が多くなり操作上の問題を生ずることがある。水溶液の使用量は、通常、リソグラフィー用膜形成材料の溶液に対して10〜200質量部であり、好ましくは20〜100質量部である。
前記酸性の水溶液と、リソグラフィー用膜形成材料及び水と任意に混和しない有機溶媒を含む溶液(B)とを接触させることにより金属分を抽出することができる。
前記抽出処理を行う際の温度は通常、20〜90℃であり、好ましくは30〜80℃の範囲である。抽出操作は、例えば、撹拌等により、よく混合させたあと、静置することにより行われる。これにより、使用する該化合物と有機溶媒を含む溶液に含まれていた金属分が水相に移行する。また本操作により、溶液の酸性度が低下し、使用する該化合物の変質を抑制することができる。
抽出処理後、使用する該化合物及び有機溶媒を含む溶液相と、水相とに分離させ、デカンテーション等により有機溶媒を含む溶液を回収する。静置する時間は特に制限されないが、静置する時間があまりに短いと有機溶媒を含む溶液相と水相との分離が悪くなり好ましくない。通常、静置する時間は1分間以上であり、より好ましくは10分間以上であり、さらに好ましくは30分間以上である。また、抽出処理は1回だけでもかまわないが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。
酸性の水溶液を用いてこのような抽出処理を行った場合は、処理を行ったあとに、該水溶液から抽出し、回収した有機溶媒を含む有機相は、さらに水との抽出処理(第二抽出工程)を行うことが好ましい。抽出操作は、撹拌等により、よく混合させたあと、静置することにより行われる。そして得られる溶液は、化合物と有機溶媒とを含む溶液相と、水相とに分離するのでデカンテーション等により溶液相を回収する。また、ここで用いる水は、本発明の目的に沿って、金属含有量の少ないもの、例えばイオン交換水等が好ましい。抽出処理は1回だけでもかまわないが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。また、抽出処理における両者の使用割合や、温度、時間等の条件は特に制限されないが、先の酸性の水溶液との接触処理の場合と同様で構わない。
こうして得られた、リソグラフィー用膜形成材料と有機溶媒とを含む溶液に混入する水分は減圧蒸留等の操作を施すことにより容易に除去できる。また、必要により有機溶媒を加え、化合物の濃度を任意の濃度に調整することができる。
得られた有機溶媒を含む溶液から、リソグラフィー用膜形成材料のみを得る方法は、減圧除去、再沈殿による分離、及びそれらの組み合わせ等、公知の方法で行うことができる。必要に応じて、濃縮操作、ろ過操作、遠心分離操作、乾燥操作等の公知の処理を行うことができる。
[リソグラフィー用膜形成用組成物]
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物は、前記リソグラフィー用膜形成材料と溶媒とを含有する。リソグラフィー用膜は、例えば、リソグラフィー用下層膜である。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物は、基材に塗布し、その後、必要に応じて加熱して溶媒を蒸発させた後、加熱又は光照射して所望の硬化膜を形成することができる。本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を適宜採用できる。
前記膜の加熱温度は、溶媒を蒸発させる目的では特に限定されず、例えば、40〜400℃で行うことができる。加熱方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレートやオーブンを用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空中等の適切な雰囲気下で蒸発させればよい。加熱温度及び加熱時間は、目的とする電子デバイスのプロセス工程に適合した条件を選択すればよく、得られる膜の物性値が電子デバイスの要求特性に適合するような加熱条件を選択すればよい。光照射する場合の条件も特に限定されるものではなく、用いるリソグラフィー用膜形成材料に応じて、適宜な照射エネルギー及び照射時間を採用すればよい。
<溶媒>
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物に用いる溶媒としては、オキサジン化合物が少なくとも溶解するものであれば、特に限定されず、公知のものを適宜用いることができる。
溶媒の具体例としては、例えば、国際公開2013/024779に記載のものが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記溶媒の中で、安全性の点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ヒドロキシイソ酪酸メチル、アニソールが特に好ましい。
前記溶媒の含有量は、特に限定されないが、溶解性及び製膜上の観点から、リソグラフィー用膜形成用材料中のオキサジン化合物を100質量部とした場合に、25〜9,900質量部であることが好ましく、400〜7,900質量部であることがより好ましく、900〜4,900質量部であることがさらに好ましい。
<酸発生剤>
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物は、架橋反応をさらに促進させる等の観点から、必要に応じて酸発生剤を含有していてもよい。酸発生剤としては、熱分解によって酸を発生するもの、光照射によって酸を発生するもの等が知られているが、いずれのものも使用することができる。
酸発生剤としては、例えば、国際公開2013/024779に記載のものが挙げられる。これらのなかでも、特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩;ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体;ビス−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体;N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が好ましく用いられる。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物において、酸発生剤の含有量は、特に限定されないが、リソグラフィー用膜形成材料中のオキサジン化合物を100質量部とした場合に、0〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜40質量部である。上述の好ましい範囲にすることで、架橋反応が高められる傾向にあり、また、レジスト層とのミキシング現象の発生が抑制される傾向にある。
<塩基性化合物>
さらに、本実施形態のリソグラフィー用下層膜形成用組成物は、保存安定性を向上させる等の観点から、塩基性化合物を含有していてもよい。
前記塩基性化合物は、酸発生剤より微量に発生した酸が架橋反応を進行させるのを防ぐための、酸に対するクエンチャーの役割を果たす。このような塩基性化合物としては、以下に限定されないが、例えば、国際公開2013−024779に記載されている、第一級、第二級又は第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体又はイミド誘導体等が挙げられる。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物において、塩基性化合物の含有量は、特に限定されないが、リソグラフィー用膜形成材料中のオキサジン化合物を100質量部とした場合に、0〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜1質量部である。上述の好ましい範囲にすることで、架橋反応を過度に損なうことなく保存安定性が高められる傾向にある。
さらに、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物は、公知の添加剤を含有していてもよい。公知の添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、紫外線吸収剤、消泡剤、着色剤、顔料、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
[リソグラフィー用下層膜及びパターンの形成方法]
本実施形態のリソグラフィー用下層膜は、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて形成される。
また、本実施形態のパターン形成方法は、基板上に、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程(A−1)と、前記下層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程(A−2)と、前記工程(A−2)の後、前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像を行う工程(A−3)と、を有する。
さらに、本実施形態の他のパターン形成方法は、基板上に、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程(B−1)と、前記下層膜上に、珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いて中間層膜を形成する工程(B−2)と、前記中間層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程(B−3)と、前記工程(B−3)の後、前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像してレジストパターンを形成する工程(B−4)と、前記工程(B−4)の後、前記レジストパターンをマスクとして前記中間層膜をエッチングし、得られた中間層膜パターンをエッチングマスクとして前記下層膜をエッチングし、得られた下層膜パターンをエッチングマスクとして基板をエッチングすることで基板にパターンを形成する工程(B−5)と、を有する。
本実施形態のリソグラフィー用下層膜は、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物から形成されるものであれば、その形成方法は特に限定されず、公知の手法を適用することができる。例えば、本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物をスピンコートやスクリーン印刷等の公知の塗布法或いは印刷法等で基板上に付与した後、有機溶媒を揮発させる等して除去することで、下層膜を形成することができる。
下層膜の形成時には、上層レジストとのミキシング現象の発生を抑制するとともに架橋反応を促進させるために、ベークをすることが好ましい。この場合、ベーク温度は、特に限定されないが、80〜450℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは200〜400℃である。また、ベーク時間も、特に限定されないが、10〜300秒間の範囲内であることが好ましい。なお、下層膜の厚さは、要求性能に応じて適宜選定することができ、特に限定されないが、通常、30〜20,000nmであることが好ましく、より好ましくは50〜15,000nmであり、さらに好ましくは50〜1000nmである。
基板上に下層膜を作製した後、2層プロセスの場合はその上に珪素含有レジスト層、或いは通常の炭化水素からなる単層レジスト、3層プロセスの場合はその上に珪素含有中間層、さらにその上に珪素を含まない単層レジスト層を作製することが好ましい。この場合、このレジスト層を形成するためのフォトレジスト材料としては公知のものを使用することができる。
2層プロセス用の珪素含有レジスト材料としては、酸素ガスエッチング耐性の観点から、ベースポリマーとしてポリシルセスキオキサン誘導体又はビニルシラン誘導体等の珪素原子含有ポリマーを使用し、さらに有機溶媒、酸発生剤、必要により塩基性化合物等を含むポジ型のフォトレジスト材料が好ましく用いられる。ここで珪素原子含有ポリマーとしては、この種のレジスト材料において用いられている公知のポリマーを使用することができる。
3層プロセス用の珪素含有中間層としてはポリシルセスキオキサンベースの中間層が好ましく用いられる。中間層に反射防止膜として効果を持たせることによって、効果的に反射を抑えることができる傾向にある。例えば、193nm露光用プロセスにおいて、下層膜として芳香族基を多く含み基板エッチング耐性が高い材料を用いると、k値が高くなり、基板反射が高くなる傾向にあるが、中間層で反射を抑えることによって、基板反射を0.5%以下にすることができる。このような反射防止効果がある中間層としては、以下に限定されないが、193nm露光用としてはフェニル基又は珪素−珪素結合を有する吸光基を導入された、酸或いは熱で架橋するポリシルセスキオキサンが好ましく用いられる。
また、Chemical Vapour Deposition(CVD)法で形成した中間層を用いることもできる。CVD法で作製した反射防止膜としての効果が高い中間層としては、以下に限定されないが、例えば、SiON膜が知られている。一般的には、CVD法よりスピンコート法やスクリーン印刷等の湿式プロセスによる中間層の形成の方が、簡便でコスト的なメリットがある。なお、3層プロセスにおける上層レジストは、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、また、通常用いられている単層レジストと同じものを用いることができる。
さらに、本実施形態の下層膜は、通常の単層レジスト用の反射防止膜或いはパターン倒れ抑制のための下地材として用いることもできる。本実施形態の下層膜は、下地加工のためのエッチング耐性に優れるため、下地加工のためのハードマスクとしての機能も期待できる。
前記フォトレジスト材料によりレジスト層を形成する場合においては、前記下層膜を形成する場合と同様に、スピンコート法やスクリーン印刷等の湿式プロセスが好ましく用いられる。また、レジスト材料をスピンコート法等で塗布した後、通常、プリベークが行われるが、このプリベークは、80〜180℃で10〜300秒の範囲で行うことが好ましい。その後、常法にしたがい、露光を行い、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行うことで、レジストパターンを得ることができる。なお、レジスト膜の厚さは特に制限されないが、一般的には、30〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜400nmである。
また、露光光は、使用するフォトレジスト材料に応じて適宜選択して用いればよい。一般的には、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3〜20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
上述の方法により形成されるレジストパターンは、本実施形態の下層膜によってパターン倒れが抑制されたものとなる。そのため、本実施形態の下層膜を用いることで、より微細なパターンを得ることができ、また、そのレジストパターンを得るために必要な露光量を低下させ得る。
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。2層プロセスにおける下層膜のエッチングとしては、ガスエッチングが好ましく用いられる。ガスエッチングとしては、酸素ガスを用いたエッチングが好適である。酸素ガスに加えて、He、Ar等の不活性ガスや、CO、CO、NH、SO、N、NO2、ガスを加えることも可能である。また、酸素ガスを用いずに、CO、CO、NH、N、NO2、ガスだけでガスエッチングを行うこともできる。特に後者のガスは、パターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために好ましく用いられる。
一方、3層プロセスにおける中間層のエッチングにおいても、ガスエッチングが好ましく用いられる。ガスエッチングとしては、上述の2層プロセスにおいて説明したものと同様のものが適用可能である。とりわけ、3層プロセスにおける中間層の加工は、フロン系のガスを用いてレジストパターンをマスクにして行うことが好ましい。その後、上述したように中間層パターンをマスクにして、例えば酸素ガスエッチングを行うことで、下層膜の加工を行うことができる。
ここで、中間層として無機ハードマスク中間層膜を形成する場合は、CVD法やALD法等で、珪素酸化膜、珪素窒化膜、珪素酸化窒化膜(SiON膜)が形成される。窒化膜の形成方法としては、以下に限定されないが、例えば、特開2002−334869号公報(特許文献6)、WO2004/066377(特許文献7)に記載された方法を用いることができる。このような中間層膜の上に直接フォトレジスト膜を形成することができるが、中間層膜の上に有機反射防止膜(BARC)をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。
中間層として、ポリシルセスキオキサンベースの中間層も好ましく用いられる。レジスト中間層膜に反射防止膜として効果を持たせることによって、効果的に反射を抑えることができる傾向にある。ポリシルセスキオキサンベースの中間層の具体的な材料については、以下に限定されないが、例えば、特開2007−226170号(特許文献8)、特開2007−226204号(特許文献9)に記載されたものを用いることができる。
また、次の基板のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば、基板がSiO、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、p−SiやAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行うことができる。基板をフロン系ガスでエッチングする場合、2層レジストプロセスの珪素含有レジストと3層プロセスの珪素含有中間層は、基板加工と同時に剥離される。一方、塩素系或いは臭素系ガスで基板をエッチングした場合は、珪素含有レジスト層又は珪素含有中間層の剥離が別途行われ、一般的には、基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離が行われる。
本実施形態の下層膜は、これら基板のエッチング耐性に優れる特徴がある。なお、基板は、公知のものを適宜選択して使用することができ、特に限定されないが、Si、α−Si、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等が挙げられる。また、基板は、基材(支持体)上に被加工膜(被加工基板)を有する積層体であってもよい。このような被加工膜としては、Si、SiO、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等種々のLow−k膜及びそのストッパー膜等が挙げられ、通常、基材(支持体)とは異なる材質のものが用いられる。なお、加工対象となる基板或いは被加工膜の厚さは、特に限定されないが、通常、50〜1,000,000nm程度であることが好ましく、より好ましくは75〜500,000nmである。
以下、本発明を実施例、製造例、及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[分子量]
合成した化合物の分子量は、Water社製Acquity UPLC/MALDI−Synapt HDMSを用いて、LC−MS分析により測定した。
[耐熱性の評価]
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製EXSTAR6000TG−DTA装置を使用し、試料約5mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(100ml/min)気流中昇温速度10℃/minで500℃まで昇温することにより熱重量減少量を測定した。実用的観点からは、下記A又はB評価が好ましい。A又はB評価であれば、高い耐熱性を有し、高温ベークへの適用が可能である。
<評価基準>
A:400℃での熱重量減少量が、10%未満
B:400℃での熱重量減少量が、10%〜25%
C:400℃での熱重量減少量が、25%超
[溶解性の評価]
50mlのスクリュー瓶にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と化合物及び/又は樹脂を仕込み、23℃にてマグネチックスターラーで1時間撹拌後に、化合物及び/又は樹脂のPGMEAに対する溶解量を測定し、その結果を以下の基準で評価した。実用的観点からは、下記A又はB評価が好ましい。A又はB評価であれば、溶液状態で高い保存安定性を有し、半導体微細加工プロセスで広く用いられるエッジビートリンス液(PGME/PGMEA混合液)にも十分に適用が可能である。
<評価基準>
A:10質量%以上
B:5質量%以上10質量%未満
C:5質量%未満
<実施例1>
ビスマレイミド化合物として、BMI−70を5質量部、付加重合型マレイミド樹脂として、BMI−2300を5質量部使用した。また、下記式で表されるベンゾオキサジン(BF−BXZ;小西化学工業株式会社製)2質量部を使用し、架橋促進剤として2,4,5−トリフェニルイミダゾール(TPIZ)を0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
Figure 2019200244

Figure 2019200244

Figure 2019200244

熱重量測定の結果、得られたリソグラフィー用膜形成材料の400℃での熱重量減少量は10%未満(評価A)であった。また、PGMEAへの溶解性を評価した結果、10質量%以上(評価A)であり、得られたリソグラフィー用膜形成材料は優れた溶解性を有するものと評価された。
前記リソグラフィー用膜形成材料中のビスマレイミド化合物と付加重合型マレイミド樹脂との合計質量10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例2>
ビスマレイミド化合物として、BMI−1000Pを10質量部、また、上記式で表されるベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、架橋促進剤としてTPIZを0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
Figure 2019200244

熱重量測定の結果、得られたリソグラフィー用膜形成材料の400℃での熱重量減少量は10%未満(評価A)であった。また、PGMEAへの溶解性を評価した結果、10質量%以上(評価A)であり、得られたリソグラフィー用膜形成材料は優れた溶解性を有するものと評価された。
前記ビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例3>
ビスマレイミド化合物として、BMI−80を10質量部、また、上記式で表されるベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、架橋促進剤としてTPIZを0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
Figure 2019200244

熱重量測定の結果、得られたリソグラフィー用膜形成材料の400℃での熱重量減少量は10%未満(評価A)であった。また、PGMEAへの溶解性を評価した結果、10質量%以上(評価A)であり、得られたリソグラフィー用膜形成材料は優れた溶解性を有するものと評価された。
前記ビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例4>
オキサジン化合物として、ベンゾオキサジンBF−BXZを10質量部を単独で用いて、リソグラフィー用膜形成材料とした。
熱重量測定の結果、得られたリソグラフィー用膜形成材料の400℃での熱重量減少量は10%未満(評価A)であった。また、PGMEAへの溶解性を評価した結果、10質量%以上(評価A)であり、得られたリソグラフィー用膜形成材料は必要な溶解性を有するものと評価された。
前記リソグラフィー用膜形成材料10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例5>
ビスマレイミド化合物として、BMI−70を10質量部使用した。また、ベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、光ラジカル重合開始剤として、イルガキュア184(BASF社製)を0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
前記リソグラフィー用膜形成材料中のビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例6>
ビスマレイミド化合物として、BMI−50Pを10質量部使用した。また、ベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、光ラジカル重合開始剤として、イルガキュア184(BASF社製)を0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
Figure 2019200244

前記ビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例7>
ビスマレイミド化合物として、BMI−1000Pを10質量部使用した。また、ベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、光ラジカル重合開始剤として、イルガキュア184(BASF社製)を0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
前記ビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<実施例8>
ビスマレイミド化合物として、BMI−80を10質量部使用した。また、ベンゾオキサジンBF−BXZを2質量部使用し、光ラジカル重合開始剤として、イルガキュア184(BASF社製)を0.1質量部配合し、リソグラフィー用膜形成材料とした。
前記ビスマレイミド化合物10質量部に対し、溶媒としてPGMEAを90質量部加え、室温下、スターラーで少なくとも3時間以上攪拌させることにより、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。
<製造例1>
ジムロート冷却管、温度計及び攪拌翼を備えた、底抜きが可能な内容積10Lの四つ口フラスコを準備した。この四つ口フラスコに、窒素気流中、1,5−ジメチルナフタレン1.09kg(7mol、三菱ガス化学(株)製)、40質量%ホルマリン水溶液2.1kg(ホルムアルデヒドとして28mol、三菱ガス化学(株)製)及び98質量%硫酸(関東化学(株)製)0.97mlを仕込み、常圧下、100℃で還流させながら7時間反応させた。その後、希釈溶媒としてエチルベンゼン(和光純薬工業(株)製、試薬特級)1.8kgを反応液に加え、静置後、下相の水相を除去した。さらに、中和及び水洗を行い、エチルベンゼン及び未反応の1,5−ジメチルナフタレンを減圧下で留去することにより、淡褐色固体のジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂1.25kgを得た。
得られたジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂の分子量は、数平均分子量(Mn):562、重量平均分子量(Mw):1168、分散度(Mw/Mn):2.08であった。
続いて、ジムロート冷却管、温度計及び攪拌翼を備えた内容積0.5Lの四つ口フラスコを準備した。この四つ口フラスコに、窒素気流下で、上述のようにして得られたジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂100g(0.51mol)とパラトルエンスルホン酸0.05gとを仕込み、190℃まで昇温させて2時間加熱した後、攪拌した。その後さらに、1−ナフトール52.0g(0.36mol)を加え、さらに220℃まで昇温させて2時間反応させた。溶剤希釈後、中和及び水洗を行い、溶剤を減圧下で除去することにより、黒褐色固体の変性樹脂(CR−1)126.1gを得た。
得られた樹脂(CR−1)は、Mn:885、Mw:2220、Mw/Mn:2.51であった。
熱重量測定(TG)の結果、得られた樹脂の400℃での熱重量減少量は25%超(評価C)であった。そのため、高温ベークへの適用が困難であるものと評価された。
PGMEAへの溶解性を評価した結果、10質量%以上(評価A)であり、優れた溶解性を有するものと評価された。
なお、上記のMn、Mw及びMw/Mnについては、以下の条件にてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析を行い、ポリスチレン換算の分子量を求めることにより測定した。
装置:Shodex GPC−101型(昭和電工(株)製)
カラム:KF−80M×3
溶離液:THF 1mL/min
温度:40℃
<実施例1〜4、比較例1〜2>
実施例1〜4のとおり、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。また、製造例1で得られた樹脂を用いて、比較例1〜2のリソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。各組成物の組成は表1に示すとおりである。なお、架橋剤としてのフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−L;日本化薬株式会社製)は下記式で表される。
Figure 2019200244

次いで、実施例1〜4、比較例1〜2のリソグラフィー用膜形成用組成物をシリコン基板上に回転塗布し、その後、240℃で60秒間、さらに400℃で120秒間ベークして、膜厚200nmの下層膜を各々作製した。前記400℃でベーク前後の膜厚差から膜厚減少率(%)を算出して、各下層膜の膜耐熱性を評価した。そして、下記に示す条件にてエッチング耐性を評価した。
また、下記に示す条件にて、段差基板への埋め込み性、及び平坦性を評価した。
<実施例5〜8>
実施例5〜8のとおり、リソグラフィー用膜形成用組成物を調製した。各組成物の組成は表2に示すとおりである。次いで、実施例5〜8のリソグラフィー用膜形成用組成物をシリコン基板上に回転塗布し、その後、110℃で60秒間ベークして塗膜の溶媒を除去した後、高圧水銀ランプにより、積算露光量600mJ/cm、照射時間20秒で硬化させて、さらに400℃で120秒間ベークして、膜厚200nmの下層膜を各々作製した。前記400℃でベーク前後の膜厚差から膜厚減少率(%)を算出して、各下層膜の膜耐熱性を評価した。そして、下記に示す条件にてエッチング耐性を評価した。
また、下記に示す条件にて、段差基板への埋め込み性、及び平坦性を評価した。
[膜耐熱性の評価]
<評価基準>
S:400℃ベーク前後の膜厚減少率≦10%
A:400℃ベーク前後の膜厚減少率≦15%
B:400℃ベーク前後の膜厚減少率≦20%
C:400℃ベーク前後の膜厚減少率>20%
[エッチング試験]
エッチング装置:サムコインターナショナル社製 RIE−10NR
出力:50W
圧力:4Pa
時間:2min
エッチングガス
CFガス流量:Oガス流量=5:15(sccm)
[エッチング耐性の評価]
エッチング耐性の評価は、以下の手順で行った。
まず、実施例1におけるリソグラフィー用膜形成材料に代えてノボラック(群栄化学社製PSM4357)を用い、乾燥温度を110℃にすること以外は、実施例1と同様の条件で、ノボラックの下層膜を作製した。そして、このノボラックの下層膜を対象として、上述のエッチング試験を行い、そのときのエッチングレートを測定した。
次に、実施例1〜8及び比較例1〜2の下層膜を対象として、前記エッチング試験を同様に行い、そのときのエッチングレートを測定した。
そして、ノボラックの下層膜のエッチングレートを基準として、以下の評価基準でエッチング耐性を評価した。実用的観点からは、下記S評価が特に好ましく、A評価及びB評価が好ましい。
<評価基準>
S:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、−30%未満
A:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、−30%以上〜−20%未満
B:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、−20%以上〜−10%未満
C:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、−10%以上0%以下
[段差基板埋め込み性の評価]
段差基板への埋め込み性の評価は、以下の手順で行った。
リソグラフィー用下層膜形成用組成物を膜厚80nmの60nmラインアンドスペースのSiO基板上に塗布して、240℃で60秒間ベークすることにより90nm下層膜を形成した。得られた膜の断面を切り出し、電子線顕微鏡にて観察し、段差基板への埋め込み性を評価した。
<評価基準>
A:60nmラインアンドスペースのSiO基板の凹凸部分に欠陥無く下層膜が埋め込まれている。
C:60nmラインアンドスペースのSiO基板の凹凸部分に欠陥があり下層膜が埋め込まれていない。
[平坦性の評価]
幅100nm、ピッチ150nm、深さ150nmのトレンチ(アスペクト比:1.5)及び幅5μm、深さ180nmのトレンチ(オープンスペース)が混在するSiO段差基板上に、上記得られた膜形成用組成物をそれぞれ塗布した。その後、大気雰囲気下にて、240℃で120秒間焼成して、膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜の形状を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S−4800」)にて観察し、トレンチ又はスペース上におけるレジスト下層膜の膜厚の最大値と最小値の差(ΔFT)を測定した。
<評価基準>
S:ΔFT<10nm(平坦性最良)
A:10nm≦ΔFT<20nm(平坦性良好)
B:20nm≦ΔFT<40nm(平坦性やや良好)
C:40nm≦ΔFT(平坦性不良)
Figure 2019200244
Figure 2019200244
<実施例9>
実施例1におけるリソグラフィー用膜形成用組成物を膜厚300nmのSiO基板上に塗布して、240℃で60秒間、さらに400℃で120秒間ベークすることにより、膜厚70nmの下層膜を形成した。この下層膜上に、ArF用レジスト溶液を塗布し、130℃で60秒間ベークすることにより、膜厚140nmのフォトレジスト層を形成した。ArF用レジスト溶液としては、下記式(22)の化合物:5質量部、トリフェニルスルホニウムノナフルオロメタンスルホナート:1質量部、トリブチルアミン:2質量部、及びPGMEA:92質量部を配合して調製したものを用いた。
なお、下記式(22)の化合物は、次のように調製した。すなわち、2−メチル−2−メタクリロイルオキシアダマンタン4.15g、メタクリルロイルオキシ−γ−ブチロラクトン3.00g、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート2.08g、アゾビスイソブチロニトリル0.38gを、テトラヒドロフラン80mLに溶解させて反応溶液とした。この反応溶液を、窒素雰囲気下、反応温度を63℃に保持して、22時間重合させた後、反応溶液を400mLのn−ヘキサン中に滴下した。このようにして得られる生成樹脂を凝固精製させ、生成した白色粉末をろ過し、減圧下40℃で一晩乾燥させて下記式で表される化合物を得た。
Figure 2019200244
前記式(22)中、40、40、20とあるのは各構成単位の比率を示すものであり、ブロック共重合体を示すものではない。
次いで、電子線描画装置(エリオニクス社製;ELS−7500,50keV)を用いて、フォトレジスト層を露光し、115℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像することにより、ポジ型のレジストパターンを得た。評価結果を表3に示す。
<実施例10>
前記実施例1におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物の代わりに実施例2におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物を用いること以外は、実施例9と同様にして、ポジ型のレジストパターンを得た。評価結果を表3に示す。
<実施例11>
前記実施例1におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物の代わりに実施例3におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物を用いること以外は、実施例9と同様にして、ポジ型のレジストパターンを得た。評価結果を表3に示す。
<実施例12>
前記実施例1におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物の代わりに実施例4におけるリソグラフィー用下層膜形成用組成物を用いること以外は、実施例9と同様にして、ポジ型のレジストパターンを得た。評価結果を表3に示す。
<比較例3>
下層膜の形成を行わないこと以外は、実施例9と同様にして、フォトレジスト層をSiO基板上に直接形成し、ポジ型のレジストパターンを得た。評価結果を表3に示す。
[評価]
実施例9〜12、及び比較例3のそれぞれについて、得られた55nmL/S(1:1)及び80nmL/S(1:1)のレジストパターンの形状を(株)日立製作所製の電子顕微鏡(S−4800)を用いて観察した。現像後のレジストパターンの形状については、パターン倒れがなく、矩形性が良好なものを良好とし、そうでないものを不良として評価した。また、当該観察の結果、パターン倒れが無く、矩形性が良好な最小の線幅を解像性として評価の指標とした。さらに、良好なパターン形状を描画可能な最小の電子線エネルギー量を感度として、評価の指標とした。
Figure 2019200244
表3から明らかなように、ベンゾオキサジン化合物を含む本実施形態のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いた実施例9〜12は、比較例3と比較して、解像性及び感度ともに有意に優れていることが確認された。また、現像後のレジストパターン形状もパターン倒れがなく、矩形性が良好であることが確認された。さらに、現像後のレジストパターン形状の相違から、実施例1〜4のリソグラフィー用膜形成用組成物から得られる実施例9〜12の下層膜は、レジスト材料との密着性が良いことが示された。
本実施形態のリソグラフィー用膜形成材料は、耐熱性が比較的に高く、溶媒溶解性も比較的に高く、段差基板への埋め込み特性及び膜の平坦性に優れ、湿式プロセスが適用可能である。そのため、リソグラフィー用膜形成材料を含むリソグラフィー用膜形成用組成物はこれらの性能が要求される各種用途において、広く且つ有効に利用可能である。とりわけ、本発明は、リソグラフィー用下層膜及び多層レジスト用下層膜の分野において、特に有効に利用可能である。

Claims (15)

  1. オキサジン化合物を含有する、リソグラフィー用膜形成材料。
  2. 前記オキサジン化合物が、環員原子として1つの酸素原子、1つの窒素原子及び4つの炭素原子を含む6員環と、芳香族環との縮合環を含む、請求項1に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  3. 前記オキサジン化合物が下記式(a)〜(f)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
    Figure 2019200244

    [式中、
    及びRは、独立して、炭素数1〜30の有機基であり、
    〜Rは、独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
    Xは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−であり、
    mは1〜6の整数であり、
    Yは、独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−、又は炭素数1〜3のアルキレンである]。
  4. 下記式(0)の基:
    Figure 2019200244

    (式(0)中、Rは各々独立して、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基からなる群より選ばれる)
    を有する化合物をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  5. 架橋剤をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  6. 前記架橋剤が、フェノール化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物、アミノ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、イソシアネート化合物及びアジド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  7. 架橋促進剤をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  8. ラジカル重合開始剤をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料と溶媒とを含有する、リソグラフィー用膜形成用組成物。
  10. 酸発生剤をさらに含有する、請求項9に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物。
  11. リソグラフィー用膜がリソグラフィー用下層膜である、請求項10に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物。
  12. 請求項11に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて形成される、リソグラフィー用下層膜。
  13. 基板上に、請求項11に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程、
    該下層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程、及び
    該フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像を行う工程、
    を含む、レジストパターン形成方法。
  14. 基板上に、請求項11に記載のリソグラフィー用膜形成用組成物を用いて下層膜を形成する工程、
    該下層膜上に、珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いて中間層膜を形成する工程、
    該中間層膜上に、少なくとも1層のフォトレジスト層を形成する工程、
    該フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、現像してレジストパターンを形成する工程、
    該レジストパターンをマスクとして前記中間層膜をエッチングする工程、
    得られた中間層膜パターンをエッチングマスクとして前記下層膜をエッチングする工程、及び
    得られた下層膜パターンをエッチングマスクとして基板をエッチングすることで基板にパターンを形成する工程、
    を含む、回路パターン形成方法。
  15. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のリソグラフィー用膜形成材料を、溶媒に溶解させて有機相を得る工程と、
    前記有機相と酸性の水溶液とを接触させて、前記リソグラフィー用膜形成材料中の不純物を抽出する第一抽出工程と、
    を含み、
    前記有機相を得る工程で用いる溶媒が、水と任意に混和しない溶媒を含む、精製方法。
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