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JP2019137617A - 化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び電子機器 - Google Patents

化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び電子機器 Download PDF

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JP2019137617A
JP2019137617A JP2018019691A JP2018019691A JP2019137617A JP 2019137617 A JP2019137617 A JP 2019137617A JP 2018019691 A JP2018019691 A JP 2018019691A JP 2018019691 A JP2018019691 A JP 2018019691A JP 2019137617 A JP2019137617 A JP 2019137617A
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carbon atoms
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JP2018019691A
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雅俊 齊藤
Masatoshi Saito
雅俊 齊藤
圭 吉田
Kei Yoshida
圭 吉田
俊成 荻原
Toshinari Ogiwara
俊成 荻原
圭 吉崎
Kei Yoshizaki
圭 吉崎
祐一郎 河村
Yuichiro Kawamura
祐一郎 河村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させることのできる化合物及び当該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機EL素子を搭載した電子機器の提供。【解決手段】TADF2に代表される化合物及び当該化合物を用いた有機EL素子。【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び電子機器に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が発光層に注入され、また陰極から電子が発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子が25%の割合で生成し、及び三重項励起子が75%の割合で生成する。
一重項励起子からの発光を用いる蛍光型の有機EL素子は、携帯電話及びテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるが、内部量子効率25%が限界といわれている。一重項励起子に加えて三重項励起子からの発光を用いる燐光型の有機EL素子は、発光材料として重原子金属(例えばイリジウム等)を用いることによって、理論上、内部量子効率の上限を100%にすることができるとされている。
一方、熱活性化遅延蛍光(以下、単に「遅延蛍光」という場合がある。)を利用した高効率の蛍光型の有機EL素子が提案され、研究がなされている。
例えば、TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)機構(メカニズム)が研究されている。このTADFメカニズムは、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)の小さな材料を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が熱的に生じる現象を利用するメカニズムである。熱活性化遅延蛍光については、例えば、『安達千波矢編、「有機半導体のデバイス物性」、講談社、2012年4月1日発行、261−268ページ』に記載されている。このTADFメカニズムを利用した有機EL素子が、例えば、非特許文献1に開示されている。
非特許文献1に開示された有機EL素子は、アシストドーパントとしてのTADF化合物、発光材料としてのペリレン誘導体(TBPe;2,5,8,11-tetra-tert-butylperylene
)、及びホスト材料としてのDPEPO(bis-(2-(diphenylphosphino)phenyl)ether oxide)を含んだ発光層を備える。この発光層は、青色に発光する。
また、従来の蛍光型及び燐光型の有機EL素子材料として、カルバゾール環及びアジン環を有する有機化合物が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載の有機化合物は、従来の燐光型の有機EL素子のホスト材料として用いられており、この有機化合物を用いた燐光型の有機EL素子は、TADFメカニズムを利用しない。
国際公開第2006/067976号明細書 国際公開第2011/013843号明細書
Hajime Nakanotani et al,"High-efficiency organic light-emitting diodes with fluorescent emitters", NATURE COMMUNICATIONS, 5, 4016,2014
近年では、TADFメカニズムを利用した有機EL素子において、TADF性を持つ化合物の開発、及びさらなる発光効率の向上が求められている。
TADFメカニズムを利用した有機EL素子は、従来の蛍光型及び燐光型の有機EL素子とは異なるメカニズムで発光するため、従来知られている蛍光型及び燐光型の有機EL素子用材料とは異なる設計によりTADF性を発現する化合物を得る必要がある。
本発明の目的は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させることのできる化合物を提供すること、当該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、及び当該有機EL素子を搭載した電子機器を提供することである。
本発明の一態様によれば、下記一般式(1)で表される化合物が提供される。
(前記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR及びRは互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR及びRは、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのR〜Rは、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
及びYは、それぞれ独立に、置換基であり、
置換基としてのY及びYは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であり、
〜Zは、それぞれ独立に、CH、又は窒素原子であり、
ただし、Z〜Zのうち、少なくとも2つは窒素原子であり、
複数のRD1は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD1同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
複数のRD2は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD2同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのRD1及びRD2は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ジアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
D1及びRD2におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
n及びmは、それぞれ、4であり、
D1及びRD2は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、
複数のRD1は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のRD2は、互いに同一であるか又は異なり、
は、
単結合、
酸素原子、
硫黄原子、
−NR100−、
−CR101102−、
−CR103104−CR105106−、又は
−SiR107108−であり、
100〜R108は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、R101及びR102の組、R103及びR105の組、R104及びR106の組、並びにR107及びR108の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR100〜R108は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ジアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
100〜R108におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
ただし、Xが単結合の場合、複数のRD1及びRD2のうち少なくとも1つは置換基であるか、又は、Xが単結合の場合、隣接するRD1同士の組及び隣接するRD2同士の組のうち少なくとも1組は、互いに結合して環を形成する。)
本発明の一態様によれば、陽極と、発光層と、陰極と、を有し、前記発光層は、第一の化合物を含み、前記第一の化合物は、前述の本発明の一態様に係る化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器が提供される。
本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させることのできる化合物を提供すること、当該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、及び当該有機EL素子を搭載した電子機器を提供することができる。
本発明の第二実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。 過渡PLを測定する装置の概略図である。 過渡PLの減衰曲線の一例を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物、及び第二の化合物の、エネルギー準位、及びエネルギー移動の関係を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物、及び第三の化合物の、エネルギー準位、及びエネルギー移動の関係を示す図である。 本発明の第四実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の、エネルギー準位、及びエネルギー移動の関係を示す図である。
[第一実施形態]
[化合物]
本実施形態に係る化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
式(1)中、*aは、一般式(1)の部分構造を表す後述の一般式(1a)で表される基との結合位置を表す。式(1)中、*dは、一般式(1)の部分構造を表す後述の一般式(1d)で表される基との結合位置を表す。
前記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR及びRは互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR及びRは、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのR〜Rは、それぞれ独立に、
無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
及びYは、それぞれ独立に、置換基であり、
置換基としてのY及びYは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であり、
〜Zは、それぞれ独立に、CH、又は窒素原子であり、
ただし、Z〜Zのうち、少なくとも2つは窒素原子であり、
複数のRD1は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD1同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
複数のRD2は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD2同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのRD1及びRD2は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ジアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
D1及びRD2におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
n及びmは、それぞれ、4であり、
D1及びRD2は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、
複数のRD1は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のRD2は、互いに同一であるか又は異なり、
は、
単結合、
酸素原子、
硫黄原子、
−NR100−、
−CR101102−、
−CR103104−CR105106−、又は
−SiR107108−であり、
100〜R108は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、R101及びR102の組、R103及びR105の組、R104及びR106の組、並びにR107及びR108の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR100〜R108は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ジアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
100〜R108におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
ただし、Xが単結合の場合、複数のRD1及びRD2のうち少なくとも1つは置換基であるか、又は、Xが単結合の場合、隣接するRD1同士の組及び隣接するRD2同士の組のうち少なくとも1組は、互いに結合して環を形成する。
及びRは、環を形成せず、R及びRは、環を形成せず、R及びRは、環を形成しない。
本発明者らは、特定の構造を有する化合物(前記一般式(1)で表される化合物)が、遅延蛍光発光性を有すること、及びこの化合物を有機EL素子に用いることで発光効率が向上することを見出した。その理由は以下のように推測される。
本実施形態の化合物の構造は、ドナー性の基(電子供与性の基:下記一般式(1d)で表される基)上のHOMO軌道と、アクセプター性の基(電子受容性の基:下記一般式(1a)で表される基)上のLUMO軌道とが分離されながら、HOMO軌道及びLUMO軌道がビフェニル構造を介して重なっていると考えられる。また、この構造により、ドナー性の基上のHOMO軌道と、アクセプター性の基上のLUMO軌道とが、空間的に接近しやすく、その結果、電荷移動(CT)遷移が生じやすいと考えられる。
具体的には、ビフェニル構造の2位に、比較的強いドナー性の基を有することで、及び、ビフェニル構造の3’位に比較的強いアクセプター性の基を有することで、HOMO軌道がアクセプター性の基上のLUMO軌道に空間的に接近し、かつ、化合物のエネルギーギャップ(例えば一重項エネルギー)が大きくなると考えられる。
このように本発明者らは、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)が小さいだけでなく、発光効率を向上させる観点での分子設計等(例えば、分子骨格、官能基等)を行い、本実施形態の化合物を見出した。
本実施形態の化合物は、比較的強いドナー性の基(前記一般式(1d)で表される基)と、比較的強いアクセプター性の基(前記一般式(1a)で表される基)とを組み合わせることにより、有機EL素子の使用に適したTADF性を発現すると考えられる。
このことは、後述の表2に示す、ドナー性の構造式のHOMOエネルギー準位、及びアクセプター性の構造式のLUMOエネルギー準位からも推測される。詳細は実施例の項にて記載する。
一般式(1a)において、*は、前記一般式(1)で表される化合物中の、*aとの結合箇所を表す。
一般式(1d)において、**は、前記一般式(1)で表される化合物中の、*dとの結合箇所を表す。
したがって、本実施形態の化合物によれば、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
有機EL素子の分野においては、青色発光領域(通常430nm以上480nm以下の波長領域)における発光の制御が困難とされているが、本実施形態の化合物の一態様によれば、青色発光の発光効率も向上させることができる。
なお、本実施形態の化合物は、ビフェニル構造の2位に、比較的強いドナー性の基が導入された構造を有するが、通常、ビフェニル構造の2位に置換基が導入された化合物を合成することは、立体障害の点で反応性が低くなるので困難である。
本実施形態の化合物は、下記一般式(1X)で表すこともできる。
一般式(1X)において、R〜R、Y、Y、Z〜Z、及びXは、前記一般式(1)におけるR〜R、Y、Y、Z〜Z、及びXとそれぞれ同義である。
一般式(1X)において、R21〜R24は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRD1と同義であり、R25〜R28は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRD2と同義である。
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、又は(1E)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(1A)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD3〜RD6は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
置換基としてのRD3〜RD6は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
ジアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
ジアリールアミノ基における2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
n1及びm2は、それぞれ、3であり、
n2及びm1は、それぞれ、4であり、
D3〜RD6は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、
11は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であり、
複数のRD3は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のRD4は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のRD5は、互いに同一であるか又は異なり、
複数のRD6は、互いに同一であるか又は異なる。
前記一般式(1B)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD7〜RD10は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)における前記RD3〜RD6と同義であり、n3は、3であり、n4、m3及びm4は、それぞれ、4であり、RD7〜RD10は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。
前記一般式(1C)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD11及びRD12は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)における前記RD3〜RD6と同義であり、n5は、3であり、m5は、4であり、RD11及びRD12は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。R12及びR13は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基である。
前記一般式(1D)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD13及びRD14は、それぞれ独立に、前記一般式(1)における前記RD1〜RD2と同義であり、n6及びm6は、それぞれ、4であり、RD13及びRD14は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。
前記一般式(1E)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD15及びRD16は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)における前記RD3〜RD6と同義であり、n7及びm7は、それぞれ、4であり、RD15及びRD16は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、Cは、下記一般式(1E−1)で表される環構造を示し、Dは、下記一般式(1E−2)で表される環構造を示し、環構造Cおよび環構造Dは、隣接する環構造と任意の位置で縮合する。
前記一般式(1E)において、wは、1、2、3、又は4の整数である。wは、環構造C及び環構造Dが縮合して形成される連結環構造の繰り返し単位である。
前記一般式(1E−1)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)におけるRD3〜RD6とそれぞれ同義である。前記一般式(1E−1)において、R15及びR16は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。
前記一般式(1E−2)において、Yは、CR4546、NR47、硫黄原子、又は酸素原子を表し、R45〜R47は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRD1及びRD2と同義である。R45及びR46は環を形成してもよい。
前記一般式(1E)において、wは、1又は2の整数であることが好ましい。
前記一般式(1E−1)において、NR47におけるR47は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30(より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜14、さらに好ましくは6〜12)のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30(より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜14)のヘテロアリール基であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(1A)、又は(1B)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1C−10)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(1C−10)において、R〜R、Y、Y、及びZ〜Zは、前記一般式(1)におけるR〜R、Y、Y、及びZ〜Zとそれぞれ同義である。
一般式(1C−10)において、RD25は、置換基であり、置換基としてのRD25は、前記一般式(1)における置換基としてのRD1と同義である。
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1A−1)、又は(1B−1)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(1A−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD3〜RD6、n1〜n2、m1〜m2、及びR11は、それぞれ、前記一般式(1A)におけるRD3〜RD6、n1〜n2、m1〜m2、及びR11と同義である。
前記一般式(1B−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD7〜RD10、n3、n4、m3、及びm4は、それぞれ、前記一般式(1B)におけるRD7〜RD10、n3、n4、m3、及びm4と同義である。
前記一般式(1)において、R及びRは、環を形成しないことが好ましい。
下記一般式(1a)で表される基を有する前記一般式(1)で表される化合物において、前記一般式(1a)で表される基は、下記一般式(1a―1)〜(1a―3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
下記一般式(1a―1)〜(1a―3)におけるY及びYは、Y及びYの少なくとも一方がフェニル基であることが好ましく、Y及びYがフェニル基であることがより好ましい。
一般式(1a)において、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、*は、一般式(1)で表される化合物中のR及びRが結合するベンゼン環との結合箇所を表す。具体的には、*は、前記一般式(1)で表される化合物中の、*aとの結合箇所を表す。
前記一般式(1a)で表される基は、前記一般式(1a―1)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(1)において、R〜Rが、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(100)で表される化合物、又は一般式(101)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(100)において、RD17〜RD19、及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、p1は、0又は1であり、p2は、0又は1であり、q1は、0又は1であり、q2は、0又は1であり、RD17〜RD19は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。
前記一般式(101)において、RD21〜RD24は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、p3は、0又は1であり、p4は、0又は1であり、q3は、0又は1であり、q4は、0又は1であり、RD21〜RD24は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。
本実施形態の化合物(前記一般式(1)で表される化合物)の部分構造を表す、前記一般式(1d)で表される基は、比較的強いドナー性の基であることが好ましい。
比較的強いドナー性の基としては、例えば、HOMOエネルギー準位が−5.33eVより高い基であることが好ましく、−5.2eVより高い基であることがより好ましく、−5.0eVより高い基であることがさらに好ましい。
HOMOエネルギー準位が−5.33eVより高い基であることで、空間的に接近したドナー性の基上のHOMO軌道と、アクセプター性の基上のLUMO軌道との電荷移動(CT)遷移が生じやすくなると考えられる。
比較的強いドナー性の基(好ましくは、HOMOエネルギー準位が−5.33eVより高い基)としては、例えば、3−メチル−9−カルバゾリル基、3−(9’−カルバゾリル)9−カルバゾリル基、3−[3’−(9’−フェニルカルバゾリル)]9−カルバゾリル基等が挙げられる。
これらの基は、置換基(例えば、メチル基、フェニル基、カルバゾリル基、ジフェニルアミノ基等)を有することも好ましい。
本実施形態の化合物(前記一般式(1)で表される化合物)の部分構造を表す、前記一般式(1d)で表される基は、比較的強いアクセプター性の基であることが好ましい。
比較的強いアクセプター性の基としては、例えば、LUMOエネルギー準位が−1.31eVより低い基であることが好ましく、−1.7eVより低い基であることがより好ましく、−1.75eVより低い基であることがさらに好ましい。
LUMOエネルギー準位が−1.31eVより低い基であることで、空間的に接近したドナー性の基上のHOMO軌道と、アクセプター性の基上のLUMO軌道との電荷移動(CT)遷移が生じやすくなると考えられる。
比較的強いドナー性の基(好ましくは、LUMOエネルギー準位が−1.31eVより低い基)としては、例えば、2−(4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジニル)基、4,6−ジフェニルー2−ピリミジニル基、2,6−ジフェニル−4−ピリミジニル基等が挙げられる。
なお、HOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位は、B3LYP/6−31G*でGaussian09(ガウシアン社製)を用いて計算した値とする。
・本実施形態に係る化合物の製造方法
本実施形態に係る化合物は、例えば、後述する実施例に記載の方法により製造することができる。また、本実施形態に係る化合物は、後述する実施例で説明する反応に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで、製造することができる。
本実施形態に係る化合物の具体例を以下に示す。本発明の化合物は、これらの具体例に限定されない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前に記載される数値を下限値とし、「〜」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Rx及びRyが互いに結合して環を形成するとは、Rx及びRyが炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含み、Rxに含まれる原子(炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子)と、Ryに含まれる原子(炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子)とが、単結合、二重結合、三重結合、又は二価の連結基を介して結合し、環形成炭素数が5以上の環(具体的には、複素環又は芳香族炭化水素環)を形成することを意味する。xは、数字、文字、又は、数字と文字との組み合わせである。yは、数字、文字、又は、数字と文字との組み合わせである。
二価の連結基としては特に制限されないが、例えば、−O−、−CO−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NRa−、及びこれらの連結基を2以上組み合わせた基等が挙げられる。
複素環の具体例としては、後述の「一般式に記載の各置換基についての説明」で例示した「環形成原子数5〜30のヘテロアリール基」から結合手を除いた環構造(複素環)が挙げられる。これらの複素環は置換基を有していてもよい。
芳香族炭化水素環の具体例としては、後述の「一般式に記載の各置換基についての説明」で例示した「環形成炭素数6〜30のアリール基」から結合手を除いた環構造(芳香族炭化水素環)が挙げられる。これらの芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。
Raとしては、例えば、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基等が挙げられる。
本実施形態において、Rx及びRyが互いに結合して環を形成するとは、下記一般式(E1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ry1に含まれる原子とが、一般式(E2)で表される環(環構造)Eを形成すること;一般式(F1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ry1に含まれる原子とが、一般式(F2)で表される環Fを形成すること;一般式(G1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ry1に含まれる原子とが、一般式(G2)で表される環Gを形成すること;一般式(H1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ry1に含まれる原子とが、一般式(H2)で表される環Hを形成すること;一般式(I1)で表される分子構造において、Rxに含まれる原子と、Ry1に含まれる原子とが、一般式(I2)で表される環Iを形成すること;を意味する。
一般式(E1)〜(I1)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。一般式(E1)中の2つの*は一般式(E2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(F1)中の2つの*は一般式(F2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(G1)中の2つの*は一般式(G2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(H1)中の2つの*は一般式(H2)中の2つの*にそれぞれ対応し、一般式(I1)中の2つの*は一般式(I2)中の2つの*にそれぞれ対応する。
一般式(E2)〜(I2)で表される分子構造において、E〜Iはそれぞれ環構造(前記環形成原子数が5以上の環)を表す。一般式(E2)〜(I2)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。一般式(E2)中の2つの*は一般式(E1)中の2つの*にそれぞれ対応する。一般式(F2)〜(I2)中の2つの*についても同様に、一般式(F1)〜(I1)中の2つの*にそれぞれ対応する。
例えば、一般式(E1)において、Rx及びRyが互いに結合して一般式(E2)中の環Eを形成し、環Eが無置換のベンゼン環である場合、一般式(E1)で表される分子構造は、下記一般式(E3)で表される分子構造になる。ここで、一般式(E3)中の2つの*は、それぞれ独立に、一般式(E2)および一般式(E1)中の2つの*に対応する。
例えば、一般式(E1)において、Rx及びRyが互いに結合して一般式(E2)中の環Eを形成し、環Eが無置換のピロール環である場合、一般式(E1)で表される分子構造は、下記一般式(E4)で表される分子構造になる。ここで、一般式(E4)中の2つの*は、それぞれ独立に、一般式(E2)および一般式(E1)中の2つの*に対応する。一般式(E3)及び(E4)中、*は、それぞれ独立に、一分子中の他の原子との結合位置を表す。
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記載される「環形成炭素数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジニル基は環形成炭素数が5であり、フラニル基は環形成炭素数4である。また、ベンゼン環やナフタレン環に置換基として例えばアルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、環形成炭素数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の炭素数は環形成炭素数の数に含めない。
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)の化合物(例えば単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記載される「環形成原子数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ピリジン環は、環形成原子数が6であり、キナゾリン環は、環形成原子数が10であり、フラン環は、環形成原子数が5である。ピリジン環やキナゾリン環の炭素原子にそれぞれ結合している水素原子や置換基を構成する原子については、環形成原子数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の原子数は環形成原子数の数に含めない。
・一般式に記載の各置換基についての説明(各置換基の説明とも称する)
本明細書における環形成炭素数6〜30のアリール基(芳香族炭化水素基と称する場合がある。)としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[a]アントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾ[b]トリフェニレニル基、ピセニル基、及びペリレニル基等が挙げられる。
本明細書におけるアリール基としては、環形成炭素数が、6〜20であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アリール基の中でもフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、フルオレニル基がさらにより好ましい。1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基及び4−フルオレニル基については、9位の炭素原子に、後述する本明細書における置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基や、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜18のアリール基が置換されていることが好ましい。
本明細書における環形成原子数5〜30のヘテロアリール基(複素環基、ヘテロ芳香族環基、または芳香族複素環基と称する場合がある。)は、ヘテロ原子として、窒素、硫黄、酸素、ケイ素、セレン原子、及びゲルマニウム原子からなる群から選択される少なくともいずれかの原子を含むことが好ましく、窒素、硫黄、及び酸素からなる群から選択される少なくともいずれかの原子を含むことがより好ましい。
本明細書における環形成原子数5〜30の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾピリジニル基、ベンズトリアゾリル基、カルバゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、及びフェノキサジニル基等が挙げられる。
本明細書における複素環基の環形成原子数は、5〜20であることが好ましく、5〜14であることがより好ましい。上記複素環基の中でも1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチエニル基、2−ジベンゾチエニル基、3−ジベンゾチエニル基、4−ジベンゾチエニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、及び9−カルバゾリル基がさらにより好ましい。1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基及び4−カルバゾリル基については、9位の窒素原子に、本明細書における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基や、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基が置換していることが好ましい。
また、本明細書において、複素環基は、例えば、下記一般式(XY−1)〜(XY−18)で表される部分構造から誘導される基であってもよい。
前記一般式(XY−1)〜(XY−18)において、X及びYは、それぞれ独立に、ヘテロ原子であり、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、またはゲルマニウム原子であることが好ましい。前記一般式(XY−1)〜(XY−18)で表される部分構造は、任意の位置で結合手を有して複素環基となり、この複素環基は、置換基を有していてもよい。
また、本明細書において、置換もしくは無置換のカルバゾリル基としては、例えば、下記一般式(XY−19)〜(XY−22)で表されるような、カルバゾール環に対してさらに環が縮合した基も含み得る。このような基も置換基を有していてもよい。また、結合手の位置も適宜変更され得る。
本明細書における炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖または環状のいずれであってもよい。また、ハロゲン化アルキル基であってもよい。
直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、アミル基、イソアミル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、及び3−メチルペンチル基等が挙げられる。
本明細書における直鎖または分岐鎖のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。上記直鎖または分岐鎖のアルキル基の中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、アミル基、イソアミル基、及びネオペンチル基がさらにより好ましい。
本明細書における環状のアルキル基としては、例えば、環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
本明細書における環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、及びノルボルニル基等が挙げられる。シクロアルキル基の環形成炭素数は、3〜10であることが好ましく、5〜8であることがさらに好ましい。上記シクロアルキル基の中でも、シクロペンチル基やシクロヘキシル基がさらにより好ましい。
本明細書におけるアルキル基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基が1以上のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された基が挙げられる。
本明細書における炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、トリフルオロメチルメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
本明細書における置換シリル基としては、例えば、炭素数3〜30のアルキルシリル基、及び環形成炭素数6〜30のアリールシリル基が挙げられる。
本明細書における炭素数3〜30のアルキルシリル基としては、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を有するトリアルキルシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−n−オクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−n−プロピルシリル基、ジメチル−n−ブチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、及びトリイソプロピルシリル基等が挙げられる。トリアルキルシリル基における3つのアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
本明細書における環形成炭素数6〜30のアリールシリル基としては、例えば、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基が挙げられる。
ジアルキルアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を2つ有し、上記環形成炭素数6〜300のアリール基を1つ有するジアルキルアリールシリル基が挙げられる。ジアルキルアリールシリル基の炭素数は、8〜30であることが好ましい。
アルキルジアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を1つ有し、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を2つ有するアルキルジアリールシリル基が挙げられる。アルキルジアリールシリル基の炭素数は、13〜30であることが好ましい。
トリアリールシリル基は、例えば、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を3つ有するトリアリールシリル基が挙げられる。トリアリールシリル基の炭素数は、18〜30であることが好ましい。
本明細書において、アルキルスルホニル基は、−SOで表される。−SOにおけるRは、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
本明細書における置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルスルホニル基としては、上記−SOにおけるRが、置換もしくは無置換の上記炭素数1〜30のアルキル基である基が挙げられる。
本明細書において、アラルキル基(アリールアルキル基と称する場合がある)におけるアリール基は、芳香族炭化水素基、または複素環基である。
本明細書における炭素数7〜30のアラルキル基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基を有する基であることが好ましく、−Z−Zと表される。このZの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基に対応するアルキレン基等が挙げられる。このZの例として、例えば、上記環形成炭素数6〜30のアリール基の例が挙げられる。このアラルキル基は、アリール部分が炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)、アルキル部分が炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)であることが好ましい。このアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、及び2−β−ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
本明細書における炭素数1〜30のアルコキシ基は、−OZと表される。このZの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、1〜20であることが好ましい。
アルコキシ基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルコキシ基が1以上のフッ素原子で置換された基が挙げられる。
本明細書において、アリールオキシ基(アリールアルコキシ基と称する場合がある)におけるアリール基は、ヘテロアリール基も含む。
本明細書における環形成炭素数6〜30のアリールアルコキシ基は、−OZと表される。このZの例として、例えば、上記環形成炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。アリールアルコキシ基の環形成炭素数は、6〜20であることが好ましい。このアリールアルコキシ基としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。
本明細書における置換アミノ基は、−NHR、または−N(Rと表される。このRの例として、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基、及び上記環形成炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。
本明細書における炭素数2〜30のアルケニル基としては、直鎖または分岐鎖のいずれかであり、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、及び2−フェニル−2−プロペニル基等が挙げられる。
本明細書における炭素数2〜30のアルキニル基としては、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、エチニル、プロピニル、および2−フェニルエチニル等が挙げられる。
本明細書における炭素数1〜30のアルキルチオ基及び環形成炭素数6〜30のアリールチオ基は、−SRと表される。このRの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基及び上記環形成炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。アルキルチオ基の炭素数は、1〜20であることが好ましい。アリールチオ基の環形成炭素数は、6〜20であることが好ましい。
本明細書におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
本明細書における置換ホスフィノ基としては、例えば、フェニルホスファニル基等が挙げられる。
本明細書における環形成炭素数6〜30のアリールカルボニル基は、−COY’と表される。このY’の例として、上述の「環形成炭素数6〜30のアリール基」が挙げられる。本明細書における環形成炭素数6〜30のアリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基、ジフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、及びトリフェニルカルボニル基等が挙げられる。
本明細書における炭素数2〜31のアシル基は、−COR’と表される。このR’の例としては、上述の炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。本明細書における炭素数2〜31のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
本明細書における置換ホスホリル基は、下記一般式(P)で表される。
前記一般式(P)において、ArP1及びArP2としては、炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基、及び環形成炭素数6〜30(好ましくは環形成炭素数6〜20、より好ましくは6〜14)のアリール基からなる群から選択されるいずれかの置換基等が挙げられる。炭素数1〜30のアルキル基の例としては、上述の炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。環形成炭素数6〜30のアリール基の例としては、上述の環形成炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。
本明細書において、「環形成炭素」とは飽和環、不飽和環、または芳香環を構成する炭素原子を意味する。「環形成原子」とはヘテロ環(飽和環、不飽和環、及び芳香環を含む)を構成する炭素原子及びヘテロ原子を意味する。
また、本明細書において、水素原子とは、中性子数の異なる同位体、すなわち、軽水素(Protium)、重水素(Deuterium)、三重水素(Tritium)を包含する。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜30のアルキルシリル基、環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換アミノ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、ハロゲン原子、炭素数2〜30のアルキニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基が挙げられる。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子、及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも一種の基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基が好ましい。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子、及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも一種の基がより好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基が好ましい。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、炭素数3〜30のアルキルシリル基、環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換アミノ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基によってさらに置換されてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成してもよい。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基に、さらに置換する置換基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子、及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも一種の基であることが好ましく、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基から選択される少なくとも一種の基であることがさらに好ましい。
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基に、さらに置換する置換基としては、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜30の直鎖アルキル基、炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、ハロゲン原子、及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも一種の基であることが好ましく、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基から選択される少なくとも一種の基であることがさらに好ましい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは前記置換基で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
なお、本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX〜YYのZZ基」という表現における「炭素数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数は含めない。
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数は含めない。
本明細書において説明する化合物、またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、前記と同様である。
本明細書において、置換基同士が互いに結合して環が構築される場合、当該環の構造は、飽和環、不飽和環、芳香族炭化水素環、または複素環である。
本明細書において、連結基における芳香族炭化水素基や複素環基等としては、上述した一価の基から、1つ以上の原子を除いて得られる二価以上の基が挙げられる。
[第二実施形態]
(有機EL素子の素子構成)
以下、第二実施形態に係る有機EL素子の素子構成について説明する。
第二実施形態に係る有機EL素子は、一対の電極間に有機層を備える。この有機層は、有機化合物で構成される層を少なくとも一つ含む。あるいは、この有機層は、有機化合物で構成される複数の層が積層されてなる。有機層は、無機化合物をさらに含んでいてもよい。第二実施形態の有機EL素子において、有機層のうち少なくとも一層は、発光層である。ゆえに、有機層は、例えば、一つの発光層で構成されていてもよいし、有機EL素子に採用され得る層を含んでいてもよい。有機EL素子に採用され得る層としては、特に限定されないが、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、及び障壁層からなる群から選択される少なくともいずれかの層が挙げられる。
有機EL素子の代表的な素子構成としては、例えば、次の(a)〜(f)等の構成を挙げることができる。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(d)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/障壁層/電子注入・輸送層/陰極
(f)陽極/正孔注入・輸送層/障壁層/発光層/障壁層/電子注入・輸送層/陰極
上記の中で(d)の構成が好ましく用いられる。ただし、第二実施形態は、これらの構成に限定されない。なお、上記「発光層」とは、発光機能を有する有機層である。前記「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層、及び正孔輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。前記「電子注入・輸送層」は「電子注入層、及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。有機EL素子が、正孔注入層、及び正孔輸送層を有する場合には、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層が設けられていることが好ましい。また、有機EL素子が電子注入層、及び電子輸送層を有する場合には、電子輸送層と陰極との間に電子注入層が設けられていることが好ましい。また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ、一層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。
図1に、第二実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機層10と、を有する。有機層10は、正孔注入層6、正孔輸送層7、発光層5、電子輸送層8、及び電子注入層9を含む。有機層10は、陽極3側から順に、正孔注入層6、正孔輸送層7、発光層5、電子輸送層8、及び電子注入層9が、この順番で積層されている。
本実施形態の有機EL素子1は、発光層5が、第一の化合物として、前記第一実施形態に係る化合物(前記一般式(1)等で表される化合物)を含む。
発光層5は、金属錯体を含んでもよい。
発光層5は、燐光発光性の金属錯体を含まないことが好ましい。また、本実施形態に係る発光層5は金属錯体を含まないことも好ましい。
本実施形態の有機EL素子1は、発光層5が、第一の化合物と、さらに第二の化合物とを含む。
この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料(マトリックス材料と称する場合もある。)であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料(ゲスト材料、エミッター、発光材料と称する場合もある。)であることが好ましい。
<第一の化合物>
第一の化合物は、第一実施形態に係る化合物である。
第一の化合物は、遅延蛍光性の化合物であることが好ましい。
・遅延蛍光性
遅延蛍光については、「有機半導体のデバイス物性」(安達千波矢編、講談社発行)の261〜268ページで解説されている。その文献の中で、蛍光発光材料の励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差ΔE13を小さくすることができれば、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動が高効率で生じ、熱活性化遅延蛍光(ThermallyActivated delayed Fluorescence, TADF)が発現すると説明されている。さらに、当該文献中の図10.38で、遅延蛍光の発生メカニズムが説明されている。本実施形態における第一の化合物は、このようなメカニズムで発生する熱活性化遅延蛍光を示す化合物であることが好ましい。
遅延蛍光の発光は過渡PL(Photo Luminescence)測定により確認できる。
過渡PL測定から得た減衰曲線に基づいて遅延蛍光の挙動を解析することもできる。過渡PL測定とは、試料にパルスレーザーを照射して励起させ、照射を止めた後のPL発光の減衰挙動(過渡特性)を測定する手法である。TADF材料におけるPL発光は、最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光成分と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光成分に分類される。最初のPL励起で生成する一重項励起子の寿命は、ナノ秒オーダーであり、非常に短い。そのため、当該一重項励起子からの発光は、パルスレーザーを照射後、速やかに減衰する。
一方、遅延蛍光は、寿命の長い三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光のため、ゆるやかに減衰する。このように最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光とでは、時間的に大きな差がある。そのため、遅延蛍光由来の発光強度を求めることができる。
図2には、過渡PLを測定するための例示的装置の概略図が示されている。
本実施形態の過渡PL測定装置100は、所定波長の光を照射可能なパルスレーザー部101と、測定試料を収容する試料室102と、測定試料から放射された光を分光する分光器103と、2次元像を結像するためのストリークカメラ104と、2次元像を取り込んで解析するパーソナルコンピュータ105とを備える。なお、過渡PLの測定は、本実施形態で説明する装置に限定されない。
試料室102に収容される試料は、マトリックス材料に対し、ドーピング材料が12質量%の濃度でドープされた薄膜を石英基板に成膜することで得られる。
試料室102に収容された薄膜試料に対し、パルスレーザー部101からパルスレーザーを照射してドーピング材料を励起させる。励起光の照射方向に対して90度の方向へ発光を取り出し、取り出した光を分光器103で分光し、ストリークカメラ104内で2次元像を結像する。その結果、縦軸が時間に対応し、横軸が波長に対応し、輝点が発光強度に対応する2次元画像を得ることができる。この2次元画像を所定の時間軸で切り出すと、縦軸が発光強度であり、横軸が波長である発光スペクトルを得ることができる。また、当該2次元画像を波長軸で切り出すと、縦軸が発光強度の対数であり、横軸が時間である減衰曲線(過渡PL)を得ることができる。
例えば、マトリックス材料として、下記参考化合物H1を用い、ドーピング材料として下記参考化合物D1を用いて上述のようにして薄膜試料Aを作製し、過渡PL測定を行った。
ここでは、前述の薄膜試料A、および薄膜試料Bを用いて減衰曲線を解析した。薄膜試料Bは、マトリックス材料として下記参考化合物H2を用い、ドーピング材料として前記参考化合物D1を用いて、上述のようにして薄膜試料を作製した。
図3には、薄膜試料Aおよび薄膜試料Bについて測定した過渡PLから得た減衰曲線が示されている。
上記したように過渡PL測定によって、縦軸を発光強度とし、横軸を時間とする発光減衰曲線を得ることができる。この発光減衰曲線に基づいて、光励起により生成した一重項励起状態から発光する蛍光と、三重項励起状態を経由し、逆エネルギー移動により生成する一重項励起状態から発光する遅延蛍光との、蛍光強度比を見積もることができる。遅延蛍光性の材料では、素早く減衰する蛍光の強度に対し、緩やかに減衰する遅延蛍光の強度の割合が、ある程度大きい。
本実施形態における遅延蛍光の発光量は、前記図2の装置を用いて求めることができる。前記第一の化合物からの発光としては、Prompt発光(即時発光)と、Delay発光(遅延発光)とが存在する。Prompt発光(即時発光)とは、当該第一の化合物が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察される発光である。Delay発光(遅延発光)とは、当該パルス光による励起後、即座には観察されず、その後観察される発光である。本実施形態においては、Prompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることが好ましい。
Prompt発光とDelay発光の量は、“Nature 492, 234−238, 2012”(参考文献1)に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記参考文献1に記載の装置に限定されない。
また、遅延蛍光性の測定には、次に示す方法により作製した試料が用いられる。例えば、第一の化合物と後述する化合物TH−2とを、第一の化合物の割合が12質量%となるように石英基板上に共蒸着し、膜厚100nmの薄膜を形成して試料を作製する。
<第二の化合物>
第二の化合物は、蛍光発光性を有する化合物であることが好ましい。第二の化合物は、遅延蛍光性の化合物でもよいし、遅延蛍光性を示さない化合物でもよい。
本実施形態の一態様において、第二の化合物は、蛍光発光性の化合物である。
この態様の場合、第二の化合物は、主ピーク波長が430nm以上540nm以下の発光を示す化合物である。第二の化合物の主ピーク波長は、520nm以下であることが好ましく、480nm以下であることがより好ましい。第二の化合物の主ピーク波長は、445nm以上であることが好ましい。第二の化合物の主ピーク波長の範囲は、430nm以上480nm以下であることが好ましく、445nm以上480nm以下であることがより好ましい。本明細書において、主ピーク波長とは、測定対象化合物が10−6モル/リットル以上10−5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した蛍光スペクトルにおける発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長をいう。
第二の化合物は、青色の蛍光発光又は緑色の蛍光発光を示すことが好ましく、青色の蛍光発光を示すことがより好ましい。
第二の化合物は、発光量子収率の高い材料であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の化合物としては、蛍光発光性材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、具体的には、例えば、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール置換アントラセン誘導体、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール置換ピレン誘導体、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、ビスアリールアミノフルオランテン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物、ピロメテン骨格を有する化合物の金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、およびナフタセン誘導体などが挙げられる。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(20)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(20)中、
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR21およびR22は互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR21およびR22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換のホスホリル基、置換もしくは無置換のシリル基、シアノ基、ニトロ基、および置換もしくは無置換のカルボキシ基からなる群から選択され、
21〜X28は、それぞれ独立に、CR23または窒素原子であり、
複数のR23は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であるか、又は隣接するR23同士が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR23は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換のホスホリル基、置換もしくは無置換のシリル基、シアノ基、ニトロ基、および置換もしくは無置換のカルボキシ基からなる群から選択され、
複数のR23は、互いに同一であるか、又は異なる。
21およびR22が互いに結合して形成される環、およびの隣接するR23同士が結合して形成される環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましい。R21およびR22が互いに結合して形成される環、および隣接するR23同士が結合して形成される環は、さらに置換基を有するか、又は置換基を有さない。R21およびR22が互いに結合して形成される環、および隣接するR23同士が結合して形成される複数の環は、互いに同一であるか、又は異なる。
本実施形態において、X21〜X28は、それぞれ独立に、R23と結合する炭素原子であることも好ましい。この場合、第二の化合物は、下記一般式(20A)で表される。下記一般式(20A)中、R231〜R238は、それぞれ独立に、前記一般式(20)におけるR23と同義であり、R21およびR22は、前記一般式(20)におけるR21およびR22と同義である。
本実施形態において、R231及びR232の組、R232及びR233の組、並びにR233及びR234の組のうち少なくとも1組は、互いに結合して環を形成するか、R235及びR236の組、R236及びR237の組、並びにR237及びR238の組のうち少なくとも1組は、互いに結合して環を形成することが好ましい。
本実施形態において、R231及びR232の組、R232及びR233の組、並びにR233及びR234の組のうち少なくとも1組が互いに結合して環を形成し、さらにR235及びR236の組、R236及びR237の組、並びにR237及びR238の組のうち少なくとも1組が、互いに結合して環を形成することも好ましい。R231及びR232の組、R232及びR233の組、R233及びR234の組、R235及びR236の組、R236及びR237の組、並びにR237及びR238の組のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する環は、芳香族6員環であることが好ましい。この芳香族6員環は、さらに置換基を有するか、置換基を有さない。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(20B)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(20B)中、R233〜R236、およびR241〜R248は、それぞれ独立に、前記一般式(20)におけるR23と同義であり、R21およびR22は、前記一般式(20)におけるR21およびR22と同義である。
前記一般式(20B)中、R241、R242、R244、R245、R247およびR248は、水素原子であり、R243およびR246は、置換基であることが好ましい。
置換基としてのR243およびR246は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換のホスホリル基、置換もしくは無置換のシリル基、シアノ基、ニトロ基、および置換もしくは無置換のカルボキシ基からなる群から選択される。
置換基としてのR243およびR246は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることが好ましく、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
本実施形態において、R21およびR22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることが好ましく、ハロゲン原子であることがより好ましく、フッ素原子であることがさらに好ましい。
第二の化合物は、縮合環構造を有する化合物であることも好ましい。
第二の化合物が有する縮合環構造は、下記一般式(2)で表される構造であり、かつ環の総数が8環以内であることも好ましい。
前記一般式(2)において、a,c,d,e,f,h,i,およびjの位置の少なくともいずれかの位置において単環または縮合環が縮合していてもよく、bおよびgの位置の少なくともいずれかの位置において、5員環(単環)または5員環を有する縮合環が縮合していてもよく、ただし、
iおよびjの位置に6員環が縮合するとき、dおよびeの位置にも単環または縮合環が縮合し、
dおよびeの位置に6員環が縮合するとき、iおよびjの位置にも単環または縮合環が縮合し、
bの位置に5員環を有する縮合環が縮合するとき、該縮合環中の5員環がbの位置に直接縮合し、
gの位置に5員環を有する縮合環が縮合するとき、該縮合環中の5員環がgの位置に直接縮合する。
なお、bおよびgの位置には、6員環(単環)および縮合環中の6員環のいずれも直接縮合しない。さらに、a,c,f,およびhの位置の少なくともいずれかの位置において環が縮合するとき、単環が縮合することが好ましく、縮合環が縮合するときは、当該縮合環に5員環を有していることが好ましい。
前記縮合環構造は、環の総数が、6環以内であることが好ましく、5環以内であることがより好ましく、4環以内であることがさらに好ましい。
前記一般式(2)で表される構造を有し、かつ環の総数が8環以内の縮合環構造の一例として、以下の縮合環構造が挙げられる。
例えば、前記一般式(2)において、aの位置に6員環(例えば、ベンゼン環)が縮合した場合は、下記一般式(2A)で表される縮合環構造となる。
また例えば、前記一般式(2)において、iおよびjの位置に6員環が縮合し、eおよびdの位置にも6員環が縮合した場合は、下記一般式(2B)で表される縮合環構造となる。
また例えば、前記一般式(2)において、iおよびjの位置に5員環が縮合した場合は、下記一般式(2C)で表される縮合環構造となる。また例えば、iおよびjの位置に5員環が直接縮合し、さらに10員環(例えば、ナフタレン環)が縮合した場合は、下記一般式(2D)で表される縮合環構造となる。あるいは、bの位置に、5員環を有する縮合環としてアセナフテン環が縮合する場合であって、該アセナフテン環中の5員環がbの位置に直接縮合した場合は、下記一般式(2D)で表される縮合環構造となる。
また例えば、前記一般式(2)において、cの位置に5員環が直接縮合し、さらに6員環が縮合した場合は、下記一般式(2E)で表される縮合環構造となる。
また例えば、前記一般式(2)において、aの位置に10員環が縮合した場合は、下記一般式(2F)で表される縮合環構造となる。
また例えば、前記一般式(2)において、aおよびcの位置のそれぞれに6員環が縮合した場合は、下記一般式(2G)で表される縮合環構造となる。
本実施形態において、「環の総数」とは、主骨格となる縮合環構造を構成する5員環および6員環の総数を意味する。
例えば、前記一般式(2A)で表される縮合環構造、および前記一般式(2C)で表される縮合環構造の場合、環の総数は3環であり、前記一般式(2B)で表される縮合環構造、前記一般式(2E)で表される縮合環構造、前記一般式(2F)で表される縮合環構造、および前記一般式(2G)で表される縮合環構造の場合、環の総数は4環であり、前記一般式(2D)で表される縮合環構造の場合、環の総数は5環である。
第二の化合物が有する縮合環構造としては、青色領域において発光可能なエネルギーを有し、かつ遅延蛍光性材料である第一の化合物の励起一重項状態から第二の化合物の励起一重項状態へのエネルギー移動効率が高くなる構造が望ましい。遅延蛍光性材料(第一の化合物)の励起一重項状態から第二の化合物の励起一重項状態へのエネルギー移動効率を高くするためには、競合する遅延蛍光性材料(第一の化合物)の励起三重項状態から第二の化合物の励起三重項状態へのエネルギー移動を抑制することが好ましい。遅延蛍光性材料(第一の化合物)から第二の化合物の励起三重項状態へのエネルギー移動は、熱失活による効率低下の要因となるためである。
ここで、励起三重項状態間のエネルギー移動は、遅延蛍光性材料である第一の化合物と第二の化合物の電子雲の重なりの大小に大きく依存する。
そのため、例えば第二の化合物の主骨格上の分子軌道の広がりを小さくすることでエネルギー移動を抑制することができる。
すなわち、第二の化合物は、主骨格を構成する縮合環中、前記一般式(2)で表される構造を有すること、および主骨格の5員環および6員環の総数が8環以内とすることで、前記一般式(2)で表される構造の位置bや位置gに6員環が直接縮合し、3つ以上の6員環が直線的に縮合した構造(例えば、アントラセン環、ナフタセン環など)を有する化合物や、5員環および6員環の総数が9環以上の構造を有する化合物と比較して、主骨格上の分子軌道の広がりが小さく、励起三重項状態へのエネルギー移動を抑えることができると考えられる。
その結果、遅延蛍光性材料である第一の化合物の励起一重項状態から第二の化合物の励起一重項状態へのエネルギー移動効率が高くなり、発光効率が向上すると推測される。
本実施形態において、主骨格の側鎖として、ジベンゾフラニル基や、ジベンゾチエニル基等を有する場合、さらに電子雲の重なりを抑制し、発光効率がさらに向上すると推測される。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(20C)で表される部分構造を有し、かつ下記一般式(20C)におけるX−Y軸に対して非対称の構造、を有する化合物であることも好ましい。
前記一般式(20C)において、Zは、置換もしくは無置換の環形成炭素数5または6の環構造である。
本実施形態において、第二の化合物が、縮合環構造(前記一般式(2)で表される構造)を有する場合、縮合環構造が、前記一般式(2)で表される構造中のbおよびgの位置に、6員環(単環)および縮合環中の6員環のいずれも直接縮合していない構造であることが好ましい。また、縮合環構造が、前記一般式(2)で表される構造中のbの位置のみ、gの位置のみ、またはbおよびgの2つの位置のみに、単環および縮合環が縮合した構造でないことが好ましい。また、縮合環構造は、iおよびjの2つの位置のみ、またはdおよびeの2つの位置のみに、6員環が縮合した構造でないことが好ましい。また、縮合環構造は、環の総数が、8環以内であることが好ましく、6環以内であることがより好ましく、5環以内であることがさらに好ましく、4環以内であることがさらにより好ましい。
本実施形態において、前記一般式(2)で表される構造を有し、かつ環の総数が8環以内の縮合環構造としては、ベンゾフルオレン(ベンゾ[a]フルオレン、ベンゾ[b]フルオレン、ベンゾ[c]フルオレン)、フルオランテン、ベンゾフルオランテン(ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン)、ピレン、ベンゾ[a]ピレン、クリセン、ベンゾ[a]アントラセン、及びトリフェニレン等が挙げられる。
本実施形態において、発光効率を向上させる観点から、第二の化合物は、ベンゾフルオレン骨格、フルオランテン骨格、ピレン骨格、またはクリセン骨格を有する化合物であることも好ましい。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(21)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(21)において、
n1は1以上の整数であり、
Arは、ベンゾフルオレン骨格、フルオランテン骨格、ピレン骨格、またはクリセン骨格を有する基であり、
ArおよびArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基からなる群から選択されるいずれかの置換基であるか、ArとArとが互いに結合して飽和または不飽和の環を形成するか、又は環を形成せず、n1が2以上の場合、複数のArは、互いに同一であるか、または異なり、複数のArは、互いに同一であるか、または異なり、
は、単結合または連結基であり、連結基としてのLは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択され、
n1が2以上の場合、複数のLは、互いに同一であるか、または異なる。
本実施形態において、前記一般式(21)中のArは、ピレン骨格またはクリセン骨格を有する基であることが好ましい。
また、本実施形態において、前記一般式(21)中のn1が2であり、Lがいずれも単結合であることも好ましい。
Arがピレン骨格であり、n1が2であり、Lが単結合である場合、前記一般式(21)中の窒素原子は、ピレン骨格の1位および6位に結合することが好ましく、Arがクリセン骨格であり、n1が2であり、Lが単結合である場合、前記一般式(21)中の窒素原子は、クリセン骨格の6位および12位に結合することが好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中のArは、ベンゾフルオレン骨格を有する基であることも好ましく、前記Arとしてのベンゾフルオレン骨格を有する基は、下記一般式(Ar−1)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(Ar−1)において、
211及びR212は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR211及びR212は互いに結合して環を形成し、置換基としてのR211及びR212は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基からなる群から選択され、
213,R214,R215,R216,R217,R218,R219,R220,R221,及びR222は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、またはLと結合する単結合であり、R213及びR214の組、R214及びR215の組、R215及びR216の組、R217及びR218の組、R218及びR219の組、R219及びR220の組、R220及びR221の組、並びにR221及びR222の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、ただし、R213,R214,R215,R216,R217,R218,R219,R220,R221,およびR222の少なくとも1つは、Lと結合する単結合であり、
置換基としてのR213,R214,R215,R216,R217,R218,R219,R220,R221,およびR222は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換シリル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、および置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される。
本実施形態において、前記一般式(Ar−1)で表される基は、下記一般式(Ar−2)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(Ar−2)において、
211,R212,R,およびRは、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、R211及びR212の組、並びにR及びRの組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、置換基としてのR211,R212,R,およびRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基からなる群から選択され、
213,R216,R217,R218,R219,R220,R221,R222,R223,R224,R225,およびR226は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、またはLと結合する単結合であり、R217及びR218の組、R218及びR219の組、R219及びR220の組、R220及びR221の組、R221及びR222の組、R223及びR224の組、R224及びR225の組、並びにR225及びR226の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、ただし、R213,R216,R217,R218,R219,R220,R221,R222,R223,R224,R225,およびR226の少なくとも1つは、Lと結合する単結合であり、置換基としてのR213,R216,R217,R218,R219,R220,R221,R222,R223,R224,R225,およびR226は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換シリル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、および置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される。
本実施形態において、前記R221および前記R225の少なくとも1つは、Lと結合する単結合であることが好ましい。
本実施形態において、前記R211,前記R212,前記R,および前記Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることが好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中の前記Arおよび前記Arは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることが好ましく、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることがより好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中の前記Arおよび前記Arの少なくとも1つは、下記一般式(22)で表される基であることが好ましい。この場合、前記一般式(21)中のArは、ピレン骨格またはクリセン骨格を有する基であることが好ましい。
前記一般式(22)において、
xは0〜3の整数であり、
yは0〜7の整数であり、
は酸素原子、硫黄原子、またはセレン原子であり、
xが0のとき、前記一般式(22)で表される基と前記一般式(21)中の窒素原子とは単結合で結合し、
xが1〜3の整数のとき、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基であり、xが2以上の場合、複数のArは互いに同一であるか、または異なり、隣接するAr同士が互いに結合して飽和または不飽和の環を形成するか、又は環を形成せず、
は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換シリル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、および置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、yが2以上の場合、複数のRは互いに同一であるか、または異なり、隣接するR同士が互いに結合して飽和または不飽和の環を形成するか、又は環を形成しない。
本実施形態において、前記一般式(22)中の前記Zは、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中の前記Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることが好ましく、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることがより好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、およびフルオレニル基からなる群から選択されるいずれかの置換基であることがさらに好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中の前記Arは、前記一般式(22)で表される基であることが好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中の前記Arおよび前記Arの少なくとも1つは、前記一般式(Ar−1)で表される基であることも好ましく、前記一般式(Ar−2)で表される基であることがより好ましい。この場合、前記一般式(21)中のArが、ベンゾフルオレン骨格を有する基であることが好ましい。
本実施形態において、前記一般式(21)中のn1は、1または2であることが好ましい。
本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(23)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(23)において、
pは0〜5の整数であり、
qおよびrは、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、
Ar10は、ベンゾフルオレン骨格、フルオランテン骨格、ピレン骨格、またはクリセン骨格を有する基であり、
10は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基からなる群から選択されるいずれかの置換基であり、R10が複数存在する場合、複数のR10は互いに同一であるか、または異なり、隣接するR10同士が互いに結合して飽和または不飽和の環を形成するか、又は環を形成せず、
pが0のとき、Ar10とR10とは単結合で結合し、
pが1〜5の整数のとき、L10は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される連結基であり、L10が複数存在する場合、複数のL10は互いに同一であるか、または異なり、隣接するL10同士が互いに結合して飽和または不飽和の環を形成するか、又は環を形成しない。
前記一般式(23)で表される化合物の結合様式の一例として、例えば下記表1に示す結合様式が挙げられる。
本実施形態において、前記一般式(23)中のAr10は、フルオランテン骨格を有する基であることが好ましく、ベンゼン環が縮合したフルオランテン骨格(ベンゾフルオランテン骨格)を有する基であることがより好ましい。
本実施形態において、第二の化合物は、ペリレン骨格を有する化合物、又はアントラセン骨格を有する化合物であることも好ましい。
また、本実施形態において、第二の化合物は、下記一般式(200)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(200)において、
101〜R116は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR101及びR102の組、R102及びR103の組、R103及びR104の組、R104及びR105の組、R105及びR106の組、R106及びR107の組、R107及びR108の組、R108及びR109の組、R109及びR110の組、R110及びR111の組、R111及びR112の組、R112及びR113の組、R113及びR114の組、R114及びR115の組、R115及びR116の組、並びにR116及びR101の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
置換基としてのR101〜R116は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換のアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換のホスフィノ基、
置換もしくは無置換のホスホリル基、
置換もしくは無置換のシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
カルボキシ基、
ハロゲン原子、および
置換もしくは無置換の炭素数2〜31のアシル基
からなる群から選択される。
第二の化合物の好ましい一つの態様としては、前記一般式(200)におけるR101〜R108、並びにR110〜R115のいずれか一つ以上が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のシリル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜31のアシル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される基である場合の態様が挙げられる。
第二の化合物の好ましい一つの態様としては、前記一般式(200)におけるR109及びR116が、それぞれ独立に、置換基である態様が挙げられる。この態様において、より好ましい第二の化合物の態様としては、前記一般式(200)におけるR109及びR116が、それぞれ独立に、置換基であり、R101〜R108、並びにR110〜R115が水素原子である場合の態様が挙げられる。
第二の化合物の好ましい一つの態様としては、前記一般式(200)におけるR101〜R108、並びにR110〜R115のいずれか一つ以上が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のシリル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜31のアシル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される基であり、かつ前記一般式(200)におけるR109及びR116が、それぞれ独立に、置換基である場合の態様が挙げられる。
置換基としてのR101〜R116は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択される基であることが好ましい。
前記一般式(200)におけるR109及びR116は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択される基であることがより好ましい。
前記一般式(200)におけるR109及びR116は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることが更に好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが特に好ましい。前記一般式(200)におけるR109及びR116がフェニル基である場合、これらフェニル基は、無置換であることも好ましい。
前記一般式(200)におけるR109及びR116が置換もしくは無置換のフェニル基であり、かつR101〜R108、R110、R111、R114、並びにR115が水素原子であることも好ましい。この場合、第二の化合物は、下記一般式(200A)で表される。
前記一般式(200A)において、R112、R113並びにR117〜R126は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基であり、置換基としてのR112、R113並びにR117〜R126は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のシリル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜31のアシル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される基であり、R112及びR113の少なくともいずれかは、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のシリル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜31のアシル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される基である。
前記一般式(200A)において、R112及びR113の一方が、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択される基であり、他方が水素原子であることも好ましい。
前記一般式(200A)において、R112及びR113の少なくともいずれかが置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であることも好ましい。
前記一般式(200A)において、R112及びR113の一方が、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、他方が水素原子であることも好ましい。
前記一般式(200A)において、R117〜R126は、水素原子であることも好ましい。
置換基としてのR117〜R126は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択される基であることが好ましい。
第二の化合物において、R111〜R114のうちの1つが、下記一般式(200a)で表される基であることがより好ましい。
前記一般式(200a)において、
131〜R134及びR136は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのR131〜R134及びR136は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換のアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換のホスフィノ基、
置換もしくは無置換のホスホリル基、
置換もしくは無置換のシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
カルボキシ基、及び
ハロゲン原子
からなる群から選択され、
135及びR137は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、及びシアノ基からなる群から選択される置換基であるか、又は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換のホスファニル基、置換もしくは無置換のホスホリル基、置換もしくは無置換のシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、及びハロゲン原子からなる群から選択され、R135及びR137は、互いに同一であるか又は異なる。
第二の化合物は、下記一般式(200B)で表される化合物、又は下記一般式(200C)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(200B)において、R101〜R112及びR114〜R116は、前記一般式(200)におけるR101〜R112及びR114〜R116のそれぞれと同義であり、R131〜R137は、前記一般式(200a)におけるR131〜R137のそれぞれと同義である。
前記一般式(200C)において、R101〜R111及びR113〜R116は、前記一般式(200)におけるR101〜R111及びR113〜R116のそれぞれと同義であり、R131〜R137は、前記一般式(200a)におけるR131〜R137のそれぞれと同義である。
前記一般式(200)において、置換基としてのR131〜R137は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群から選択される基であることが好ましい。
・第二の化合物の製造方法
第二の化合物は、公知の方法により製造することができる。
例えば、前記一般式(20)、(20A)、(20B)、(20C)、(21)、及び(23)で表される化合物は、国際公開第2008/059713号、及び国際公開第2010/122810号公報に記載の方法により製造することができる。
なお、前記一般式(200)、及び(200A)〜(200C)は、製造方法に由来して異性体の混合物として製造される場合もある。この場合、異性体の混合物を第二の化合物として用いることもできる。
第二の化合物は、例えば、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで製造することができる。
本実施形態に係る第二の化合物の具体例を以下に示す。なお、本発明における第二の化合物は、これらの具体例に限定されない。

<発光層における第一の化合物及び第二の化合物の関係>
本実施形態の有機EL素子1において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)とが、下記数式(数1)の関係を満たすことが好ましい。
(M1)>S(M2) …(数1)
第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。すなわち、下記数式(数3)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M1)>T77K(M2) …(数3)
本実施形態の有機EL素子1を発光させたときに、発光層5において、主に第二の化合物が発光していることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子1において、第二の化合物の主ピーク波長の範囲は、430nm以上480nm以下であることが好ましく、445nm以上480nm以下であることがより好ましい。
本明細書において、主ピーク波長とは、測定対象化合物が10−6モル/リットル以上10−5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した蛍光スペクトルにおける発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長をいう。
第二の化合物は、青色の蛍光発光を示すことが好ましい。
第二の化合物は、発光量子収率の高い材料であることが好ましい。
・三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係
ここで、三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係について説明する。本実施形態では、77[K]におけるエネルギーギャップは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。
三重項エネルギーの測定は、次のようにして行われる。まず、測定対象となる化合物を適切な溶媒中に溶解した溶液を石英ガラス管内に封入した試料を作製する。この試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から三重項エネルギーを算出する。
ここで、本実施形態に係る化合物の内、熱活性遅延蛍光性の化合物は、ΔSTが小さい化合物であることが好ましい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態、及び励起三重項状態の両者からの発光を含んでおり、いずれの状態から発光したのかについて峻別することは困難であるが、基本的には三重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本実施形態では、通常の三重項エネルギーTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、次のようにして測定される値をエネルギーギャップT77Kと称する。測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、濃度が10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とする。この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式(F1)から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとする。
換算式(F1):T77K[eV]=1239.85/λedge
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いることができる。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置、及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
本実施形態において、前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)との差ΔST(M1)は、好ましくは0.3eV未満、より好ましくは0.2eV未満、さらに好ましくは0.1eV未満、特に好ましくは0.09eV以下である。
・一重項エネルギーS
溶液を用いた一重項エネルギーSの測定方法(溶液法と称する場合がある。)としては、下記の方法が挙げられる。
測定対象となる化合物の20μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の蛍光スペクトル(縦軸:蛍光発光強度、横軸:波長とする。)を測定する。この蛍光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を次に示す換算式(F2)に代入して一重項エネルギーを算出する。
換算式(F2):S[eV]=1239.85/λedge
蛍光スペクトル測定装置としては、例えば、 (株)日立ハイテクノロジー製のF−7000形分光蛍光光度計が挙げられるが、これに限定されない。
蛍光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。蛍光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該蛍光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
本実施形態では、一重項エネルギーSと77[K]におけるエネルギーギャップT77Kとの差をΔSTとして定義する。
・発光層の膜厚
本実施形態の有機EL素子における発光層の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは7nm以上50nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。5nm以上であると、発光層形成及び色度の調整が容易になりやすく、50nm以下であると、駆動電圧の上昇が抑制されやすい。
・発光層における化合物の含有率
発光層5に含まれている第一の化合物及び第二の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態は、発光層5に、第一の化合物及び第二の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
・TADF機構(メカニズム)
図4、発光層における第一の化合物及び第二の化合物のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図4において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表す。T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物の最低励起一重項状態を表す。T1(M2)は、第二の化合物の最低励起三重項状態を表す。
図4中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第一の化合物の最低励起一重項状態から第二の化合物へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図4に示すように、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。そして、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)から第二の化合物へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M2)が生成する。この結果、第二の化合物の最低励起一重項状態S1(M2)からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
第二実施形態に係る有機EL素子によれば、発光効率を向上させることができる。
また、第二実施形態に係る有機EL素子によれば、特に、青色の波長領域において、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第二実施形態に係る有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての前記第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな一重項エネルギーを有する第二の化合物と、を含んでおり、発光効率が向上する。
第二実施形態に係る有機EL素子は、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
(基板)
基板2は、有機EL素子1の支持体として用いられる。基板2としては、例えば、ガラス、石英、及びプラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、プラスチック基板等が挙げられる。プラスチック基板を形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。また、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
(陽極)
基板2上に形成される陽極3には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素または酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、並びにグラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及びこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
これらの材料は、通常、スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1質量%以上10質量%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。また、例えば、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5質量%以上5質量%以下、酸化亜鉛を0.1質量%以上1質量%以下含有したターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法、及びスピンコート法等により作製してもよい。
陽極3上に形成される有機層のうち、陽極3に接して形成される正孔注入層6は、陽極3の仕事関数に関係なく正孔(ホール)注入が容易である複合材料を用いて形成される。そのため、その他電極材料として使用可能な材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物、その他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素も含む)を陽極3として用いることもできる。
仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族に属する元素、元素周期表の第2族に属する元素、希土類金属、及びこれらを含む合金等を陽極3として用いることもできる。元素周期表の第1族に属する元素としては、アルカリ金属が挙げられる。元素周期表の第2族に属する元素としては、アルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム(Li)及びセシウム(Cs)等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等が挙げられる。希土類金属としては、例えば、ユーロピウム(Eu)、及びイッテルビウム(Yb)等が挙げられる。これらの金属を含む合金としては、例えば、MgAg、及びAlLi等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらを含む合金を用いて陽極3を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さらに、銀ペースト等を用いる場合には、塗布法やインクジェット法等を用いることができる。
(正孔注入層)
正孔注入層6は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、及びマンガン酸化物等を用いることができる。
また、正孔注入性の高い物質としては、例えば、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、及び3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等、並びにジピラジノ[2,3−f:20,30−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)等も挙げられる。
また、正孔注入性の高い物質としては、高分子化合物を用いることもできる。高分子化合物としては、例えば、オリゴマー、デンドリマー、及びポリマー等が挙げられる。具体的には、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、及びポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、及びポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層7は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層7には、例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、及びアントラセン誘導体等を使用することができる。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、及び4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/(V・s)以上の正孔移動度を有する物質である。
正孔輸送層7には、CBP、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(CzPA)、及び9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(PCzPA)のようなカルバゾール誘導体、並びにt−BuDNA、DNA、及びDPAnthのようなアントラセン誘導体等を用いてもよい。ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、及びポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した層としてもよい。
正孔輸送層を二層以上配置する場合、エネルギーギャップのより大きい材料を含む層を、発光層5に近い側に配置することが好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層8は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層8には、(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、及び亜鉛錯体等の金属錯体、(2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、及びフェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、並びに(3)高分子化合物を使用することができる。具体的には低分子の有機化合物として、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Znq、ZnPBO、及びZnBTZ等の金属錯体等を用いることができる。また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(ptert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、及び4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等の複素芳香族化合物も用いることができる。本実施形態においては、ベンゾイミダゾール化合物を好適に用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/(V・s)以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層8として用いてもよい。また、電子輸送層8は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した層としてもよい。
また、電子輸送層8には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、及びポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)等を用いることができる。
(電子注入層)
電子注入層9は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層9には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、及びリチウム酸化物(LiOx)等のような、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。その他、電子輸送性を有する物質にアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させた物質、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させた物質等を用いてもよい。なお、この場合には、陰極4からの電子注入をより効率よく行うことができる。
あるいは、電子注入層9に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性、及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層8を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または希土類金属が好ましく、例えば、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、及びイッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物、またはアルカリ土類金属酸化物を電子供与体として用いることも好ましく、例えば、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、及びバリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
(陰極)
陰極4には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族に属する元素、元素周期表の第2族に属する元素、希土類金属、及びこれらを含む合金等が挙げられる。元素周期表の第1族に属する元素としては、アルカリ金属が挙げられる。元素周期表の第2族に属する元素としては、アルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム(Li)、及びセシウム(Cs)等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、及びストロンチウム(Sr)等が挙げられる。希土類金属としては、例えば、ユーロピウム(Eu)、及びイッテルビウム(Yb)等が挙げられる。これらの金属を含む合金としては、例えば、MgAg、及びAlLi等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらを含む合金を用いて陰極4を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペースト等を用いる場合には、塗布法やインクジェット法等を用いることができる。
なお、電子注入層9を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、グラフェン、及び珪素または酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等、様々な導電性材料を用いて陰極4を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリング法、インクジェット法、及びスピンコート法等を用いて成膜することができる。
(層形成方法)
本実施形態の有機EL素子1の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されず、乾式成膜法、及び湿式成膜法等の公知の方法を採用できる。乾式成膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法等が挙げられる。湿式成膜法としては、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。
(膜厚)
本実施形態の有機EL素子1の各有機層の膜厚は、上記で特に言及した以外には制限されない。一般に、ピンホール等の欠陥を生じ難くするため、かつ高い印加電圧が必要となることによる効率の悪化を防止するため、通常、膜厚は、数nmから1μmの範囲が好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子1によれば、発光効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係る有機EL素子1によれば、特に、青色の波長領域において、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
〔電子機器〕
本発明の一実施形態に係る有機EL素子1は、表示装置や発光装置等の電子機器に使用できる。表示装置としては、例えば、表示部品(有機ELパネルモジュール等)、テレビ、携帯電話、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等が挙げられる。発光装置としては、例えば、照明、及び車両用灯具等が挙げられる。
〔第三実施形態〕
第三実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。第三実施形態の説明において第二実施形態と同一の構成要素は、同一符号や名称を付す等して説明を省略もしくは簡略化する。また、第三実施形態では、特に言及されない材料や化合物については、第二実施形態で説明した材料や化合物と同様の材料や化合物を用いることができる。
第三実施形態に係る有機EL素子は、発光層が、第二の化合物に代えて、第三の化合物を含んでいる点で、第二実施形態に係る有機EL素子と異なる。その他の点については第二実施形態と同様である。
第三実施形態において、発光層5は、第一の化合物と、第三の化合物とを含む。
この態様の場合、第一の化合物は、ドーパント材料(ゲスト材料、エミッター、発光材料と称する場合もある。)であることが好ましく、第三の化合物は、ホスト材料(マトリックス材料と称する場合もある。)であることが好ましい。
<第三の化合物>
第三の化合物は、遅延蛍光性の化合物でもよいし、遅延蛍光性を示さない化合物でもよい。
第三の化合物としては、特に限定されないが、アミン化合物以外の化合物であることが好ましい。また、例えば、第三の化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体を用いることができるが、これら誘導体に限定されない。
第三の化合物は、一つの分子中に下記一般式(31)で表される部分構造、下記一般式(32)で表される部分構造、下記一般式(33)で表される部分構造、および下記一般式(34)で表される部分構造のうち少なくともいずれかを含む化合物であることも好ましい。
前記一般式(31)において、
31〜Y36は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
ただし、Y31〜Y36のうち少なくともいずれかは、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子である。
前記一般式(32)において、
41〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
ただし、Y41〜Y48のうち少なくともいずれかは、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子である。
30は、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、または酸素原子、もしくは硫黄原子である。
前記一般式(31)〜(34)中、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
本実施形態の有機EL素子において、第三の化合物は、一つの分子中に前記一般式(31)で表される部分構造、および前記一般式(32)で表される部分構造のうち少なくともいずれかを含む化合物であることも好ましい。
本実施形態の有機EL素子において、前記一般式(32)におけるX30が、窒素原子または酸素原子であることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子において、第三の化合物は、前記一般式(32)で表される部分構造を含み、かつ、下記一般式(3a)で表される部分構造、および下記一般式(3b)で表される部分構造を含む化合物であることがより好ましい。
前記一般式(3a)および(3b)において、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
本実施形態の有機EL素子において、前記一般式(32)におけるY41〜Y48のうち少なくとも2つが第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、当該炭素原子を含む環構造が構築されていることも好ましい。
例えば、前記一般式(32)で表される部分構造が、下記一般式(321)、一般式(322)、一般式(323)、一般式(324)、一般式(325)、および一般式(326)で表される部分構造からなる群から選択されるいずれかの部分構造であることが好ましい。

前記一般式(321)〜(326)において、
30は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、または酸素原子、もしくは硫黄原子であり、
41〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
31は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子と結合する窒素原子、酸素原子、硫黄原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
61〜Y64は、それぞれ独立に、窒素原子、または第三の化合物の分子中における他の原子と結合する炭素原子である。
本実施形態においては、第三の化合物は、前記一般式(321)〜(326)のうち前記一般式(323)で表される部分構造を有することが好ましい。
前記一般式(31)で表される部分構造は、下記一般式(31a)で表される基および下記一般式(31b)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの基として第三の化合物に含まれることが好ましい。
第三の化合物は、下記一般式(31a)および下記一般式(31b)で表される部分構造のうち少なくともいずれかの部分構造を有することも好ましい。下記一般式(31a)および下記一般式(31b)で表される部分構造のように、結合箇所が互いにメタ位に位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)を高く保つことができるため、第三の化合物として好ましい。
前記一般式(31a)において、Y31、Y32、Y34、およびY36は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR31である。
前記一般式(31b)において、Y32、Y34、およびY36は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR31である。
前記一般式(31a)および(31b)において、
31は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのR31は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、および
置換もしくは無置換のカルボキシ基
からなる群から選択される基である。
ただし、前記R31における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基は、非縮合環であることが好ましい。
前記一般式(31a)および前記一般式(31b)において、*はそれぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(31a)において、Y31、Y32、Y34およびY36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましく、複数のR31は、互いに同一であるか、または異なる。
また、前記一般式(31b)において、Y32、Y34およびY36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましく、複数のR31は、互いに同一であるか、または異なる。
置換ゲルマニウム基は、−Ge(R301で表されることが好ましい。R301は、それぞれ独立に、置換基である。置換基R301は、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。複数のR301は、互いに同一であるかまたは異なる。
前記一般式(32)で表される部分構造は、下記一般式(35)〜(39)および下記一般式(30a)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの基として第三の化合物に含まれることが好ましい。
前記一般式(35)において、Y41乃至Y48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(36)および(37)において、Y41〜Y45、Y47、およびY48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(38)において、Y41、Y42、Y44、Y45、Y47、およびY48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(39)において、Y42〜Y48は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(30a)において、Y42〜Y47は、それぞれ独立に、窒素原子またはCR32である。
前記一般式(35)〜(39),および(30a)において、
32は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのR32は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、および
置換もしくは無置換のカルボキシ基
からなる群から選択される基であり、
複数のR32は、互いに同一であるかまたは異なる。
前記一般式(35)および(36)において、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(37)〜(39),および(30a)において、
30は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
33は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換のシリル基、
置換ゲルマニウム基、
置換ホスフィンオキシド基、
フッ素原子、
シアノ基、
ニトロ基、および
置換もしくは無置換のカルボキシ基
からなる群から選択される基であり、
複数のR33は、互いに同一であるかまたは異なる。
ただし、前記R33における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基は、非縮合環であることが好ましい。
前記一般式(35)〜(39),(30a)において、*は、それぞれ独立に、第三の化合物の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
前記一般式(35)において、Y41〜Y48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(36)および前記一般式(37)において、Y41〜Y45,Y47およびY48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(38)において、Y41,Y42,Y44,Y45,Y47およびY48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(39)において、Y42〜Y48は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、前記一般式(30a)において、Y42〜Y47は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましく、複数のR32は、互いに同一であるかまたは異なる。
第三の化合物において、X30は、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
第三の化合物において、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であって、置換基としてのR31および置換基としてのR32は、それぞれ独立に、フッ素原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。R31およびR32は、水素原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であることがより好ましい。ただし、置換基としてのR31および置換基としてのR32が置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基である場合、当該アリール基は、非縮合環であることが好ましい。
第三の化合物は、芳香族炭化水素化合物、または芳香族複素環化合物であることも好ましい。また、第三の化合物は、分子中に縮合芳香族炭化水素環を有していないことが好ましい。
・第三の化合物の製造方法
第三の化合物は、例えば、国際公開第2012/153780号および国際公開第2013/038650号等に記載の方法により製造することができる。また、例えば、目的物に合わせた既知の代替反応および原料を用いることで、第三の化合物を製造できる。
第三の化合物における置換基の例は、例えば、以下のとおりであるが、本発明は、これらの例に限定されない。
アリ−ル基(芳香族炭化水素基と称する場合がある。)の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾアントリル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、フルオランテニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、およびフルオレニル基等を挙げることができる。
置換基を有するアリ−ル基としては、トリル基、キシリル基、および9,9−ジメチルフルオレニル基等を挙げることができる。
具体例が示すように、アリール基は、縮合アリール基および非縮合アリール基の両方を含む。
アリ−ル基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、またはフルオレニル基が好ましい。
ヘテロアリール基(複素環基、ヘテロ芳香族環基、または芳香族複素環基と称する場合がある。)の具体例としては、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、ベンズオキサゾリル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられ、好ましくは、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、およびアザジベンゾチエニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、またはアザジベンゾチエニル基が好ましく、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾフラニル基、またはアザジベンゾチエニル基がさらに好ましい。
第三の化合物において、置換シリル基は、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、および置換もしくは無置換のトリアリールシリル基からなる群から選択される基であることも好ましい。
置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、およびトリエチルシリル基を挙げることができる。
置換若しくは無置換のアリールアルキルシリル基の具体例としては、ジフェニルメチルシリル基、ジトリルメチルシリル基、およびフェニルジメチルシリル基等を挙げることができる。
置換もしくは無置換のトリアリールシリル基の具体例としては、トリフェニルシリル基、およびトリトリルシリル基等を挙げることができる。
第三の化合物において、置換ホスフィンオキシド基は、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基であることも好ましい。
置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシド基、およびジトリルホスフィンオキシド基等を挙げることができる。
第三の化合物において、置換カルボキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
本実施形態に係る第三の化合物の具体例を以下に示す。なお、本発明における第三の化合物は、これらの具体例に限定されない。
<発光層における第一の化合物及び第三の化合物の関係>
本実施形態の有機EL素子1において、第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1) (数2)
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)よりも大きいことが好ましい。すなわち、下記数式(数4)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M3)>T77K(M1) …(数4)
本実施形態の有機EL素子1を発光させたときに、発光層5において、主に第一の化合物が発光していることが好ましい。
本実施形態の有機EL素子1において、第一の化合物の主ピーク波長の範囲は、430nm以上480nm以下であることが好ましく、445nm以上480nm以下であることがより好ましい。
第一の化合物は、青色の蛍光発光を示すことが好ましい。
第一の化合物は、発光量子収率の高い材料であることが好ましい。
・発光層における化合物の含有率
発光層5に含まれている第一の化合物及び第三の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
第三の化合物の含有率は、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態は、発光層5に、第一の化合物及び第三の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第三の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
図5は、発光層における第一の化合物および第三の化合物のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図5において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M3)は、第三の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の化合物の最低励起三重項状態を表す。図5中の破線の矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表す。第三の化合物の最低励起一重項状態S1からのフェルスター移動、または最低励起三重項状態T1からのデクスター移動により、第一の化合物の最低励起一重項状態S1または最低励起三重項状態T1に、それぞれエネルギー移動する。さらに、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな材料を用いると、第一の化合物の最低励起三重項状態T1は熱エネルギーによって最低励起一重項状態S1に逆項間交差することが可能である。この結果、第一の化合物の最低励起一重項状態S1からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
第三実施形態に係る有機EL素子によれば、発光効率を向上させることができる。
また、第三実施形態に係る有機EL素子によれば、特に、青色の波長領域において、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第三実施形態の有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての前記第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも大きな一重項エネルギーS(M3)を有する第三の化合物と、を含んでおり、発光効率が向上する。
第三実施形態に係る有機EL素子は、第二の実施形態に係る有機EL素子と同様に、表示装置および発光装置等の電子機器に使用できる。
〔第四実施形態〕
第四実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。第四実施形態の説明において第二実施形態及び第三実施形態と同一の構成要素は、同一符号や名称を付す等して説明を省略もしくは簡略化する。また、第四実施形態では、特に言及されない材料や化合物については、第二実施形態及び第三実施形態で説明した材料や化合物と同様の材料や化合物を用いることができる。
第四実施形態に係る有機EL素子は、発光層が、第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物のいずれも含んでいる点で、第二実施形態及び第三実施形態に係る有機EL素子と異なる。その他の点については第二実施形態と同様である。
第四実施形態において、発光層5は、第一の化合物と、第二の化合物と、第三の化合物とを含む。
この態様の場合、第一の化合物は、ホスト材料であることが好ましく、第二の化合物は、ドーパント材料であることが好ましく、第三の化合物はホスト材料であることが好ましい。第一の化合物及び第三の化合物の一方を第一のホスト材料と称し、他方を第二のホスト材料と称する場合もある。
第三の化合物としては、第三成分として、ドーパント材料を発光層中に分散させる材料であることも好ましい。
<発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の関係>
発光層における第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)、第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)、及び第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)は、前記数式(数1)及び前記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。すなわち、下記数式(数5)の関係を満たすことが好ましい。
(M3)>S(M1)>S(M2) …(数5)
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)よりも大きいことが好ましい。すなわち、前記数式(数4)の関係を満たすことが好ましい。
第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)よりも大きいことが好ましい。すなわち、下記数式(数6)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M3)>T77K(M2) …(数6)
発光層における第一の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M1)、第二の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M2)、及び第三の化合物の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(M3)は、前記数式(数3)、前記数式(数4)、及び前記数式(数6)の関係を満たすことが好ましい。すなわち、下記数式(数7)の関係を満たすことが好ましい。
77K(M3)>T77K(M1)>T77K(M2) …(数7)
本実施形態の有機EL素子を発光させたときに、発光層において、主に第二の化合物が発光していることが好ましい。
・発光層における化合物の含有率
発光層に含まれている第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の含有率は、例えば、以下の範囲であることが好ましい。
第一の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%であることがさらに好ましい。
第二の化合物の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。
第三の化合物の含有率は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物の合計含有率の上限は、100質量%である。なお、本実施形態は、発光層に、第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物以外の材料が含まれることを除外しない。
発光層は、第一の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第二の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。発光層は、第三の化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
図6は、発光層における第一の化合物、第二の化合物、及び第三の化合物のエネルギー準位の関係の一例を示す図である。図6において、S0は、基底状態を表す。S1(M1)は、第一の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M2)は、第二の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M2)は、第二の化合物の最低励起三重項状態を表す。S1(M3)は、第三の化合物の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の化合物の最低励起三重項状態を表す。図6中のS1(M1)からS1(M2)へ向かう破線の矢印は、第一の化合物の最低励起一重項状態から第二の化合物の最低励起一重項状態へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図6に示すように、第一の化合物としてΔST(M1)の小さな化合物を用いると、最低励起三重項状態T1(M1)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M1)に逆項間交差が可能である。そして、第一の化合物の最低励起一重項状態S1(M1)から第二の化合物へのフェルスター型エネルギー移動が生じ、最低励起一重項状態S1(M2)が生成する。この結果、第二の化合物の最低励起一重項状態S1(M2)からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
第四実施形態に係る有機EL素子によれば、発光効率を向上させることができる。
また、第四実施形態に係る有機EL素子によれば、特に、青色の波長領域において、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
第四実施形態の有機EL素子は、発光層に、第一の化合物としての前記第一実施形態の化合物と、第一の化合物よりも小さな一重項エネルギーS(M2)を有する第二の化合物と、第一の化合物よりも大きな一重項エネルギーS(M3)を有する第三の化合物と、を含んでおり、発光効率が向上する。
第四実施形態に係る有機EL素子は、第二実施形態及び第三実施形態に係る有機EL素子と同様に、表示装置及び発光装置等の電子機器に使用できる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
例えば、発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が上記実施形態で説明した条件を満たしていればよい。例えば、その他の発光層が、蛍光発光型の発光層であっても、三重項励起状態から直接基底状態への電子遷移による発光を利用した燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、中間層を介して複数の発光ユニットが積層された、いわゆるタンデム型の有機EL素子であってもよい。
また、例えば、発光層の陽極側、及び陰極側の少なくとも一方に障壁層を隣接させて設けてもよい。障壁層は、発光層に接して配置され、正孔、電子、及び励起子の少なくともいずれかを阻止することが好ましい。
例えば、発光層の陰極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、電子を輸送し、かつ正孔が当該障壁層よりも陰極側の層(例えば、電子輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、電子輸送層を含む場合は、発光層と電子輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、発光層の陽極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、正孔を輸送し、かつ電子が当該障壁層よりも陽極側の層(例えば、正孔輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、正孔輸送層を含む場合は、発光層と正孔輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、励起エネルギーが発光層からその周辺層に漏れ出さないように、障壁層を発光層に隣接させて設けてもよい。発光層で生成した励起子が、当該障壁層よりも電極側の層(例えば、電子輸送層や正孔輸送層)に移動することを阻止する。
発光層と障壁層とは接合していることが好ましい。
その他、本発明の実施における具体的な構造、及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
<化合物>
有機EL素子の製造に用いた化合物を以下に示す。
<化合物の合成>
(1)合成実施例1:化合物TADF1の合成
(1−1)中間体(1−A)の合成
三口フラスコに、9−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール5.00g(12.2mmol)、1−ブロモ−2−フルオロベンゼン2.57g(14.7mmol)、炭酸セシウム7.98g(24.5mmol)、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)24mLを加え、アルゴン雰囲気下にて170℃、24時間、加熱攪拌した。室温(25℃)に冷却後、反応混合液に水を加え固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、得られた固体をメタノールで懸濁洗浄することにより、中間体(1−A)を得た。収量は6.85g、収率は99%であった。
(1−2)中間体(1−B)の合成
三口フラスコに、アルゴン雰囲気下にて、中間体(1−A)6.85g(12.2mmol)、及びテトラヒドロフラン(THF)60mLを加えて、−78℃に冷却した。冷却した溶液に1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液9.0ml(14.4mmol)を滴下し、2時間攪拌した後、トリメチルボレイト4mL(35.8mmol)を滴下し、1時間攪拌した。0℃に昇温後、反応混合液に4N塩酸水溶液を加え固体を濾取、水で洗浄した。得られた固体を乾燥することにより、中間体(1−B)を得た。収量は6.36g、収率は99%であった。
(1−3)TADF1の合成
三口フラスコに、アルゴン雰囲気下にて、中間体(1−B)6.36g(12.0mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン4.25g(11.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.51g(0.44mmol)、2N炭酸ナトリウム水溶液16.4ml(32.8mmol)、及び1,2−ジメトキシエタン(DME)55mLを加え、アルゴン雰囲気下にて95℃、6時間、加熱攪拌した。室温(25℃)に冷却後、反応混合液にメタノールを加え固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、得られた固体をエタノールで懸濁洗浄することにより、TADF1を得た。収量は7.63g、収率は87%であった。
FD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)分析の結果、分子量791に対してm/e=791であった。
(2)合成実施例2:化合物TADF2の合成
(2−1)中間体(2−A)の合成
三口フラスコに、9H−3,9’−ビカルバゾール3.00g(9.03mmol)、1−ブロモ−2−フルオロベンゼン1.90g(10.8mmol)、炭酸セシウム5.88g(18.1mmol)、及びNMP18mLを加え、アルゴン雰囲気下にて170℃、15時間、加熱攪拌した。室温(25℃)に冷却後、反応混合液に水を加え固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、得られた固体をメタノールで懸濁洗浄することにより、中間体(2−A)を得た。収量は3.80g、収率は85%であった。
(2−2)中間体(2−B)の合成
三口フラスコに、アルゴン雰囲気下にて、中間体(2−A)3.80g(7.79mmol)、及びTHF39mLを加えて、−78℃に冷却した。冷却した溶液に1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液5.84mL(9.35mmol)を滴下し、2時間攪拌した後、トリメチルボレイト2.61mL(23.4mmol)を滴下し、1時間攪拌した。0℃に昇温後、反応混合液に4N塩酸水溶液を加え固体を濾取、水で洗浄した。得られた固体を乾燥することにより、中間体(2−B)を得た。収量は3.03g、収率は86%であった。
(2−3)TADF2の合成
三口フラスコに、アルゴン雰囲気下にて、中間体(2−B)3.02g(6.69mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン2.36g(6.08mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.28g(0.24mmol)、2N炭酸ナトリウム水溶液9.5ml(19.0mmol)、及び1,2−ジメトキシエタン(DME)30mLを加え、アルゴン雰囲気下にて95℃、7時間、加熱攪拌した。室温(25℃)に冷却後、反応混合液にメタノールを加え固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、得られた固体を酢酸エチルで懸濁洗浄することにより、TADF2を得た。収量は2.44g、収率は56%であった。
FD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)分析の結果、分子量715に対してm/e=715であった。
<化合物の評価>
化合物の性質を測定する方法を以下に示す。
・HOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位
表2に、ドナー性の構造式のHOMOエネルギー準位、及びアクセプター性の構造式のLUMOエネルギー準位を示す。
これらのエネルギー準位は、B3LYP/6−31G*でGaussian09(ガウシアン社製)を用いて計算した。
表2中、ドナー性の構造式2、3は、それぞれ化合物TADF1及びTADF2の部分構造に相当し、ドナー性の構造式1は、比較例化合物1、2の部分構造に相当する。
表2に示すように、ドナー性の構造式2、3は、ドナー性の構造式1に比べ、HOMOエネルギー準位が高くなっている。これにより、ビフェニルカルバゾリル基は、カルバゾリル基に比べ、ドナー性が強いことがわかる。
また、アクセプター性の構造式4〜6は、アジン環の窒素原子の数が増加するほど、LUMOエネルギー準位が低くなっている。これにより、ピリミジン環及びトリアジン環は、ピリジン環に比べ、アクセプター性が強いことがわかる。
・遅延蛍光性
(化合物TADF1の遅延蛍光性)
遅延蛍光性は図2に示す装置を利用して過渡PLを測定することにより確認した。前記化合物TADF1と前記化合物TH−2とを、化合物TADF1の割合が12質量%となるように石英基板上に共蒸着し、膜厚100nmの薄膜を形成して試料を作製した。前記化合物TADF1が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察されるPrompt発光(即時発光)と、当該励起後、即座には観察されず、その後観察されるDelay発光(遅延発光)とが存在する。本実施例における遅延蛍光発光とは、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上を意味する。具体的には、Prompt発光(即時発光)の量をXとし、Delay発光(遅延発光)の量をXとしたときに、X/Xの値が0.05以上であることを意味する。
化合物TADF1について、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上あることが確認された。具体的には、化合物TADF1について、X/Xの値が0.05以上であることが確認された。
Prompt発光とDelay発光の量は、“Nature 492, 234−238, 2012”に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、図2の装置や文献に記載された装置に限定されない。
(化合物TADF2の遅延蛍光性)
化合物TADF1に代えて、化合物TADF2を用いたこと以外、上記と同様にして化合物TADF2の遅延蛍光性を確認した。
その結果、化合物TADF2について、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上あることが確認された。具体的には、化合物TADF2について、X/Xの値が0.05以上であることが確認された。
(比較例化合物1〜3)
化合物TADF1に代えて、比較例化合物1〜3をそれぞれ用いたこと以外、上記と同様にして比較例化合物1〜3の遅延蛍光性を確認した。
その結果、比較例化合物1〜3のいずれも、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%未満であり、遅延蛍光性を示さなかった。具体的には、X/Xの値が0.05未満であることが確認された。
・一重項エネルギーS
化合物TADF1、TADF2、比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3、及びD1の一重項エネルギーSは、前述の溶液法により測定した。
化合物TADF1の一重項エネルギーSは、2.98eVであった。
化合物TADF2の一重項エネルギーSは、3.02eVであった。
比較化合物1の一重項エネルギーSは、3.31eVであった。
比較化合物2の一重項エネルギーSは、3.29eVであった。
比較化合物3の一重項エネルギーSは、3.07eVであった。
化合物D1の一重項エネルギーSは、2.75eVであった。
化合物H−1の一重項エネルギーSは、文献(APPLIED PHYSICS LETTERS 101, 093306 (2012))に記載されているように、4.0eVである。
・77[K]におけるエネルギーギャップT77K
化合物TADF1、TADF2、D1、及びH−1のT77Kは、前述のエネルギーギャップT77Kの測定方法により測定した。
化合物TADF1のT77Kは、2.89eVであった。したがって、化合物TADF1のΔSTは0.09eVであった。
化合物TADF2のT77Kは、2.93eVであった。したがって、化合物TADF2のΔSTは0.09eVであった。
化合物D1のT77Kは、2.51eVであった。
化合物H−1のT77Kは、3.50eVであった。
・化合物の主ピーク波長
測定対象となる化合物の5μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の蛍光スペクトル(縦軸:蛍光発光強度、横軸:波長とする。)を測定した。本実施例では、蛍光スペクトルを日立社製の分光光度計(装置名:F−7000)で測定した。なお、蛍光スペクトル測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。蛍光スペクトルにおいて、発光強度が最大となる蛍光スペクトルのピーク波長を主ピーク波長とした。
化合物D1の主ピーク波長は、462nmであった。
化合物TADF1の主ピーク波長は、468nmであった。
化合物TADF2の主ピーク波長は、460nmであった。
<有機EL素子の作製1>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
実施例1−1〜1−2では、上記で合成した化合物TADF1及びTADF2を、それぞれドーパント材料として用いた。
(実施例1−1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を30分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、化合物HT1を蒸着し、HI膜上に膜厚80nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、mCPを蒸着し、膜厚5nmの第三正孔輸送層を形成した。
次に、この第三正孔輸送層上に、第一の化合物としての化合物TADF1と、第三の化合物としての化合物H−1とを共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物TADF1の濃度を24質量%とし、化合物H−1の濃度を76質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET1を蒸着し、膜厚5nmの第一電子輸送層を形成した。
次に、この第一電子輸送層上に、化合物ET2を蒸着し、膜厚20nmの第二電子輸送層を形成した。
次に、この第二電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例1−1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1:TADF1(25, 76%:24%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。また、同じく括弧内において、パーセント表示された数字は、発光層における化合物H−1、及びTADF1の割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
(実施例1−2)
実施例1−2の有機EL素子は、実施例1−1の発光層における化合物TADF1に代えて、化合物TADF2を用いたこと以外、実施例1−1と同様にして作製した。
実施例1−2の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1:TADF2(25, 76%:24%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
(比較例1−1)
比較例1−1の有機EL素子は、実施例1−1の発光層における化合物TADF1に代えて、比較化合物1を用いたこと以外、実施例1−1と同様にして作製した。
比較例1−1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1: 比較化合物1(25, 76%:24%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
(比較例1−2)
比較例1−2の有機EL素子は、実施例1−1の発光層における化合物TADF1に代えて、比較化合物2を用いたこと以外、実施例1−1と同様にして作製した。
比較例1−2の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1: 比較化合物2(25, 76%:24%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
<有機EL素子の評価1>
実施例1−1〜1−2及び比較例1−1〜1−2で作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
・外部量子効率EQE
電流密度が0.1mA/cmとなるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。
得られた分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。
ドーパント材料として、前記一般式(1)で表される化合物を用いた実施例1−1及び1−2の有機EL素子は、ドーパント材料として、比較化合物1を用いた比較例1−1及び比較化合物2を用いた比較例1−2の有機EL素子と比べて、発光効率が向上することがわかる。
したがって、前記一般式(1)で表される化合物は、発光効率を向上させることのできる化合物であることがわかる。
<有機EL素子の作製2>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
実施例2−1〜2−2では、遅延蛍光性の化合物TADF1及びTADF2をホスト材料として用いた。
(実施例2−1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を30分間行った。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、化合物HT1を蒸着し、HI膜上に膜厚80nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、mCPを蒸着し、膜厚5nmの第三正孔輸送層を形成した。
次に、この第三正孔輸送層上に、第一の化合物としての化合物TADF1と、第二の化合物としての化合物D1と、第三の化合物としての化合物H−1とを共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物TADF1の濃度を24質量%とし、化合物D1の濃度を1質量%とし、化合物H−1の濃度を75質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物ET1を蒸着し、膜厚5nmの第一電子輸送層を形成した。
次に、この第一電子輸送層上に、化合物ET2を蒸着し、膜厚20nmの第二電子輸送層を形成した。
次に、この第二電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1:TADF1:D1(25, 75%:24%:1%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。また、同じく括弧内において、パーセント表示された数字は、発光層における化合物H−1、TADF1、及び化合物D1の割合(質量%)を示す。以下、同様の表記とする。
(実施例2−2)
実施例2−2の有機EL素子は、実施例2−1の発光層における化合物TADF1に代えて、化合物TADF2を用いたこと以外、実施例2−1と同様にして作製した。
実施例2−2の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130)/HI(5)/HT1(80)/HT2(10)/mCP(5)/H-1:TADF2:D1(25, 75%:24%:1%)/ET1(5)/ET2(20)/LiF(1)/Al(80)
<有機EL素子の評価2>
実施例2−1〜2−2で作製した有機EL素子を用いて、実施例1−1と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。
ホスト材料として前記一般式(1)で表される化合物を用いた実施例2−1及び2−2の有機EL素子は、高い発光効率を示すことがわかる。
したがって、前記一般式(1)で表される化合物は、発光効率を向上させることのできる化合物であることがわかる。
1…有機EL素子、2…基板、3…陽極、4…陰極、5…発光層、6…正孔注入層、7…正孔輸送層、8…電子輸送層、9…電子注入層。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。

    (前記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又はR及びRは互いに結合して環を形成し、
    置換基としてのR及びRは、それぞれ独立に、
    無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
    〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
    置換基としてのR〜Rは、それぞれ独立に、
    無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
    及びYは、それぞれ独立に、置換基であり、
    置換基としてのY及びYは、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、又は
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であり、
    〜Zは、それぞれ独立に、CH、又は窒素原子であり、
    ただし、Z〜Zのうち、少なくとも2つは窒素原子であり、
    複数のRD1は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD1同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    複数のRD2は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、又は隣接するRD2同士の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    置換基としてのRD1及びRD2は、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
    ジアリールアミノ基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
    D1及びRD2におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
    n及びmは、それぞれ、4であり、
    D1及びRD2は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、
    複数のRD1は、互いに同一であるか又は異なり、
    複数のRD2は、互いに同一であるか又は異なり、
    は、
    単結合、
    酸素原子、
    硫黄原子、
    −NR100−、
    −CR101102−、
    −CR103104−CR105106−、又は
    −SiR107108−であり、
    100〜R108は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基であるか、R101及びR102の組、R103及びR105の組、R104及びR106の組、並びにR107及びR108の組のいずれか1つ以上の組が互いに結合して環を形成し、
    置換基としてのR100〜R108は、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
    ジアリールアミノ基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
    100〜R108におけるジアリールアミノ基の2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
    ただし、Xが単結合の場合、複数のRD1及びRD2のうち少なくとも1つは置換基であるか、又は、Xが単結合の場合、隣接するRD1同士の組及び隣接するRD2同士の組のうち少なくとも1組は、互いに結合して環を形成する。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、又は(1E)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。

    (前記一般式(1A)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD3〜RD6は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
    置換基としてのRD3〜RD6は、それぞれ独立に、
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基、
    ジアリールアミノ基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は
    置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルオキシ基であり、
    ジアリールアミノ基における2つのアリール基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、
    n1及びm2は、それぞれ、3であり、
    n2及びm1は、それぞれ、4であり、
    D3〜RD6は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、
    11は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30のヘテロアリール基であり、
    複数のRD3は、互いに同一であるか又は異なり、
    複数のRD4は、互いに同一であるか又は異なり、
    複数のRD5は、互いに同一であるか又は異なり、
    複数のRD6は、互いに同一であるか又は異なる。)

    (前記一般式(1B)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD7〜RD10は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)におけるRD3〜RD6と同義であり、n3は、3であり、n4、m3及びm4は、それぞれ、4であり、RD7〜RD10は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。)

    (前記一般式(1C)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD11及びRD12は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)における前記RD3〜RD6と同義であり、n5は、3であり、m5は、4であり、RD11及びRD12は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。R12及びR13は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基である。)

    (前記一般式(1D)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD13及びRD14は、それぞれ独立に、前記一般式(1)における前記RD1〜RD2と同義であり、n6及びm6は、それぞれ、4であり、RD13及びRD14は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。)

    (前記一般式(1E)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD15及びRD16は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)における前記RD3〜RD6と同義であり、n7及びm7は、それぞれ、4であり、RD15及びRD16は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合し、Cは、下記一般式(1E−1)で表される環構造を示し、Dは、下記一般式(1E−2)で表される環構造を示し、環構造Cおよび環構造Dは、隣接する環構造と任意の位置で縮合する。
    前記一般式(1E)において、wは、1、2、3、又は4の整数である。wは、環構造C及び環構造Dが縮合して形成される連結環構造の繰り返し単位である。)

    (前記一般式(1E−1)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、前記一般式(1A)におけるRD3〜RD6と同義である。前記一般式(1E−1)において、R15及びR16は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。前記一般式(1E−2)において、Yは、CR4546、NR47、硫黄原子、又は酸素原子を表し、R45〜R47は、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRD1及びRD2と同義である。)
  3. 前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(1A)、又は(1B)で表される化合物である、請求項2に記載の化合物。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1A−1)、又は(1B−1)で表される化合物である、請求項2または請求項3に記載の化合物。

    (前記一般式(1A−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD3〜RD6、n1、n2、m1、m2、及びR11は、それぞれ、前記一般式(1A)におけるRD3〜RD6、n1、n2、m1、m2、及びR11と同義である。)

    (前記一般式(1B−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義であり、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、RD7〜RD10、n3、n4、m3、及びm4は、それぞれ、前記一般式(1B)におけるRD7〜RD10、n3、n4、m3、及びm4と同義である。)
  5. 前記一般式(1)において、R及びRは環を形成しない、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 下記一般式(1a)で表される基を有する前記一般式(1)で表される化合物において、前記一般式(1a)で表される基は、下記一般式(1a―1)〜(1a―3)のいずれかで表される基である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化合物。

    (前記一般式(1a)において、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるY及びYと同義であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるZ〜Zと同義であり、*は、一般式(1)で表される化合物中のR及びRが結合するベンゼン環との結合箇所を表す。)
  7. 前記一般式(1a)で表される基は、前記一般式(1a―1)で表される基である、請求項6に記載の化合物。
  8. 前記一般式(1)において、R〜Rが、水素原子である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(100)で表される化合物、又は一般式(101)で表される化合物である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の化合物。

    (前記一般式(100)において、RD17〜RD19、及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、p1は、0又は1であり、p2は、0又は1であり、q1は、0又は1であり、q2は、0又は1であり、RD17〜RD19は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。)

    (前記一般式(101)において、RD21〜RD24は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基であり、p3は、0又は1であり、p4は、0又は1であり、q3は、0又は1であり、q4は、0又は1であり、RD21〜RD24は、それぞれ、6員環の炭素原子に結合する。)
  10. 「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
    炭素数1〜30の直鎖のアルキル基、
    炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、
    環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
    前記直鎖のアルキル基、前記分岐鎖のアルキル基、又は前記シクロアルキル基のアルキル基が1以上のハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基、
    シアノ基、
    アミノ基、
    置換アミノ基、
    ハロゲン原子、
    炭素数1〜30のアルコキシ基、
    環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
    炭素数6〜30のアリールチオ基、
    炭素数7〜30のアラルキル基、
    置換ホスホリル基、
    置換シリル基、
    ニトロ基、
    カルボキシ基、
    炭素数2〜30のアルケニル基、
    炭素数2〜30のアルキニル基、
    炭素数1〜30のアルキルチオ基、
    炭素数3〜30のアルキルシリル基、
    環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、および
    ヒドロキシル基からなる群から選択される置換基である、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、
    置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
    炭素数1〜30の直鎖のアルキル基、
    炭素数3〜30の分岐鎖のアルキル基、および
    シアノ基からなる群から選択される置換基である、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 陽極と、発光層と、陰極と、を有し、
    前記発光層は、第一の化合物を含み、
    前記第一の化合物は、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 前記発光層は、第二の化合物を含み、
    前記第二の化合物は、蛍光発光性の化合物である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第二の化合物の一重項エネルギーS(M2)とが、下記数式(数1)の関係を満たす、請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (M1)>S(M2) (数1)
  15. 前記発光層は、第三の化合物を含み、
    前記第一の化合物の一重項エネルギーS(M1)と、前記第三の化合物の一重項エネルギーS(M3)とが、下記数式(数2)の関係を満たす、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (M3)>S(M1) (数2)
  16. 前記第一の化合物は、遅延蛍光性の化合物である、請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  17. 請求項12から請求項16のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器。
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