以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置の具体例について、図1から図21を参照しつつ説明する。
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置の第一実施形態について、図1から図8を参照しつつ説明する。
〔基本構成〕
図1から図3に示すように、駆動側回転体としての外部ロータ20と、従動側回転体としての内部ロータ30と、作動流体としての作動油を制御する電磁制御弁Vとを備えて弁開閉時期制御装置Aが構成されている。
内部ロータ30(従動側回転体の一例)は、吸気カムシャフト5の回転軸心Xと同軸心に配置され、この吸気カムシャフト5と一体回転するように連結ボルト40(バルブケースの一例)により吸気カムシャフト5に連結される。外部ロータ20(駆動側回転体の一例)は、回転軸心Xと同軸心に配置され、内燃機関としてのエンジンEのクランクシャフト1と同期回転する。外部ロータ20が内部ロータ30を内包しており、外部ロータ20と内部ロータ30とは相対回転自在に支持されている。
電磁制御弁Vは、エンジンEに支持される電磁ユニットVaを備えると共に、連結ボルト40の内部空間40Rに収容された弁ユニットVbとを備える。
電磁ユニットVaは、ソレノイド部50と、プランジャ51とを備えている。このプランジャ51は、ソレノイド部50の駆動制御により出退作動するように回転軸心Xと同軸心に配置されている。弁ユニットVbは、作動油(流体の一例)の給排を制御するスプール55を回転軸心Xと同軸心に配置している。
この構成から、ソレノイド部50に供給する電力の制御によりプランジャ51の突出量が設定され、これに連係してスプール55が回転軸心Xに沿う方向に操作される。その結果、スプール55で作動油が制御され、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相が決まり、吸気バルブ5Vの開閉時期の制御を実現する。この電磁制御弁Vの構成と、作動油の制御形態は後述する。
〔エンジンと弁開閉時期制御装置〕
図1のエンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車などの車両に備えられるものを示している。エンジンEは、上部位置のシリンダブロック2のシリンダボアの内部にピストン3を収容し、このピストン3とクランクシャフト1とをコネクティングロッド4で連結した4サイクル型に構成されている。エンジンEの上部には吸気バルブ5Vを開閉作動させる吸気カムシャフト5と、図示されない排気カムシャフトとを備えている。
吸気カムシャフト5を回転自在に支持するエンジン構成部材10には、エンジンEで駆動される油圧ポンプPからの作動油を供給する供給流路8が形成されている。油圧ポンプPは、エンジンEのオイルパン11に貯留される潤滑油を、供給流路8を介して作動油(流体の一例)として電磁制御弁Vに供給する。
エンジンEのクランクシャフト1に形成した出力スプロケット6と、外部ロータ20のタイミングスプロケット22Sとに亘ってタイミングチェーン7が巻回されている。これにより外部ロータ20は、クランクシャフト1と同期回転する。なお、排気側の排気カムシャフトの前端にもスプロケットが備えられ、このスプロケットにもタイミングチェーン7が巻回される。
図2に示すように、クランクシャフト1からの駆動力により外部ロータ20が駆動回転方向Sに向けて回転する。内部ロータ30が外部ロータ20に対して駆動回転方向Sと同方向に相対回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向を遅角方向Sbと称する。この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が進角方向Saに変位する際に変位量の増大に伴い吸気圧縮比を高め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位する際に変位量の増大に伴い吸気圧縮比を低減するようにクランクシャフト1と吸気カムシャフト5との関係が設定されている。
なお、この実施形態では、吸気カムシャフト5に備えた弁開閉時期制御装置Aを示しているが、弁開閉時期制御装置Aは排気カムシャフトに備えてもよい。また、弁開閉時期制御装置Aは吸気カムシャフト5と排気カムシャフトとの双方に備えても良い。
図1、図2に示すように、外部ロータ20は、外部ロータ本体21と、フロントプレート22と、リヤプレート23とを有し、これらが複数の締結ボルト24の締結により一体化されている。フロントプレート22の外周にはタイミングスプロケット22Sが形成されている。また、フロントプレート22の内周には、環状部材9を嵌め込んでおり、この環状部材9に対して連結ボルト40のボルト頭部42が圧着することにより、環状部材9と内部ロータ本体31と吸気カムシャフト5とが一体化する。
〔外部ロータ、内部ロータ〕
図2に示すように、外部ロータ本体21には径方向の内側に突出する複数の突出部21Tが一体的に形成されている。内部ロータ30は、外部ロータ本体21の突出部21Tに密接する円柱状の内部ロータ本体31と、外部ロータ本体21の内周面に接触するように内部ロータ本体31の外周から径方向の外方に突出する4つのベーン部32とを有している。
このように外部ロータ20が内部ロータ30を内包し、回転方向で隣接する突出部21Tの中間位置で、内部ロータ本体31の外周側に複数の流体圧室Cが形成され、この流体圧室Cがベーン部32で仕切られることで、進角室Caと遅角室Cbとが区画形成される。さらに、内部ロータ30には、進角室Caに連通する進角流路33と、遅角室Cbに連通する遅角流路34とが形成されている。
図1、図2に示すように、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相(以下、相対回転位相と称する)を最遅角位相から進角方向Saに付勢力を作用させて進角方向Saへの変位をアシストするトーションスプリング28が、外部ロータ20と環状部材9とに亘って備えられている。
図1、図2に示すように、この弁開閉時期制御装置Aでは外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相を最遅角位相に保持するロック機構Lを備えている。このロック機構Lは、1つのベーン部32に対し回転軸心Xに沿う方向に出退自在に支持されるロック部材25と、このロック部材25を突出付勢するロックスプリング26と、リヤプレート23に形成したロック凹部23aとで構成されている。なお、ロック機構Lは、ロック部材25が径方向に沿って移動するようにガイドして構成しても良い。
ロック機構Lは、相対回転位相が、最遅角位相に達した場合にロック部材25がロックスプリング26の付勢力によりロック凹部23aに係合してロック状態に達する。また、ロック機構Lは、進角流路33に作用する作動油の圧力をロック部材25にロック解除方向に作用させることでロック解除される。
〔連結ボルト〕
図3から図6に示すように連結ボルト40は、全体的に筒状となるボルト本体41の外端部(電磁ユニットVaに対向する側)にボルト頭部42が形成されている。また、ボルト本体41におけるボルト頭部42とは他端の部分の外周に雄ネジ部41S(ネジ部の一例)が形成されている。
連結ボルト40の内部には回転軸心Xに沿う方向に貫通する、円筒状の内部空間40Rが形成されている。これにより、連結ボルト40は、バルブケースとして内部空間40Rに弁ユニットVbを収容することができる。
以下では、弁開閉時期制御装置Aの各部の方向や相対的な位置関係を説明する場合に、回転軸心Xに沿う方向でボルト本体41の雄ネジ部41Sの側、すなわち吸気カムシャフト5側をネジ部側と称する場合がある。また、回転軸心Xに沿う方向でボルト本体41のボルト頭部42の側、すなわち、連結ボルト40を介して吸気カムシャフト5側の他端側となる電磁ユニットVaに対向する側を頭部側と称する場合がある。なお、これらネジ部側と頭部側とはそれぞれ、供給流路8を介して供給される作動油の通流方向の上流側と下流側とに対応する。
連結ボルト40の構成を基にして説明すると、ネジ部側(上流側)と頭部側(下流側)は、後述する大径部40Rbの側と規制壁44が設けられる側とが対応する。
図1に示すように吸気カムシャフト5には回転軸心Xを中心にするシャフト内空間5Rが形成され、このシャフト内空間5Rの内周に雌ネジ部5Sが形成されている。シャフト内空間5Rは、前述した供給流路8と連通する。
この構成から、ボルト本体41を環状部材9と外部ロータ20と内部ロータ30とに挿通する状態で、その雄ネジ部41Sを吸気カムシャフト5の雌ネジ部5Sに螺合させ、ボルト頭部42の回転操作により内部ロータ30が吸気カムシャフト5に締結される。この締結により環状部材9と内部ロータ30とが吸気カムシャフト5に固定され、シャフト内空間5Rと連結ボルト40とが連通する。
図4から図6に示すように、連結ボルト40の内部空間40Rの内周面のうち、頭部側の部分には、大径部40Rbが形成されている。
連結ボルト40の内部空間40Rの内周面のうち回転軸心Xに沿う方向でのネジ部側の端部には回転軸心Xに近接する方向に突出する(内部空間40Rの内側に向けて突出する)規制壁44が形成されている。規制壁44は、当該内周面状に円環状の壁として設けられている。
連結ボルト40の内周で中間位置から大径部40Rbの先端(連結ボルト40)に達する領域には複数(4つ)のドレン溝D(空間連絡路の一例)が回転軸心Xに沿う姿勢で形成される。
ボルト本体41には、進角流路33に連通する進角ポート41aと、遅角流路34に連通する遅角ポート41bとが外周面から内部空間40Rに亘って形成されている。
〔弁ユニット〕
図3から図6に示すように弁ユニットVbは、連結ボルト40の内部空間40Rのうち、ボルト本体41の内周面に密着する状態で嵌め込まれるスリーブ53と、回転軸心Xと同軸心で内部空間40Rに収容される流体供給管54と、スリーブ53の内周面と流体供給管54の管路部54Tの外周面に案内される状態で回転軸心Xに沿う方向にスライド移動自在に配置されるスプール55とを備えている。
さらに、弁ユニットVbは、スプール55を突出方向に付勢する付勢部材としてのスプールスプリング56と、第一逆止弁CV1と、第二逆止弁CV2と、フィルタ59と、固定リング60と、先端リング61と、を備えている。
第一逆止弁CV1は、流体供給管54およびこれに含まれる循環孔54bと、環状弁プレート52aを有する第一弁プレート52を備えている。
第二逆止弁CV2は、弁座部材としての開口プレート57と、弁体58aを有する第二弁プレート58を備えている。
固定リング60は、内部空間40Rに嵌る外筒部60aと、円筒状の外筒部60aよりも内径の小さな内筒部60bと、固定リング60における、回転軸心Xに沿う方向のおよそ中間位置に、回転軸心Xと垂直に交差する壁部60cとを有する。壁部60cには、回転軸心Xを中心とする円形の開口部60dが形成されている。
先端リング61は、内部空間40Rに嵌る外筒部61aと、外筒部61aのネジ部側に、回転軸心Xと垂直に交差する壁部61bとを有する。壁部61bには、回転軸心Xを中心とする開口部61cが形成されている。
〔弁ユニット:スリーブ〕
図3から図6に示すようにスリーブ53は、回転軸心Xを中心とする筒状の部材である。スリーブ53は、頭部側に、スリーブ53の筒の外周から回転軸心Xに沿う方向に交差する向きに突出する複数(2つ)の係合突起53Tを形成されている。また、スリーブ53は、ネジ部側を回転軸心Xに直交する姿勢に屈曲させて端部壁53Wを絞り加工等により形成している。
係合突起53Tがドレン溝Dに嵌ることにより回転軸心Xを中心にしたスリーブ53の姿勢が定まり、後述するドレン孔53cおよびドレン孔53dがドレン溝Dに連通する状態が維持される。
スリーブ53には、進角ポート41aを内部空間40Rに連通させる複数の進角連通孔53aと、遅角ポート41bに内部空間40Rを連通させる複数の遅角連通孔53bと、内部空間40Rの作動油をスリーブ53の外面側に排出する複数のドレン孔53cとが角孔状(矩形)に形成されている。ドレン孔53cは、スリーブ53におけるネジ部側に形成されている。
また、スリーブ53は、頭部側にあるドレン孔53dを有する。
進角連通孔53aと遅角連通孔53bとは、回転軸心Xを中心とする周方向の4箇所で、回転軸心Xに沿う方向に並列して形成されている。
ドレン孔53cは、回転軸心Xを中心とする周方向で進角連通孔53aと遅角連通孔53bとで異なる位相となる4箇所に形成されている。
ドレン孔53dは、回転軸心Xを中心とする周方向で進角連通孔53aと遅角連通孔53bとで異なる位相となる4箇所に形成されている。
周方向においてそれぞれのドレン孔53cとドレン孔53dとは、同一の位相において一対に設けられている。つまり、一対のドレン孔53cとドレン孔53dとが、回転軸心Xに沿う方向に並んで配置されている。
前述した係合突起53Tは、4つドレン孔53cのうち回転軸心Xを挟んで対向する位置の2つのものを基準に回転軸心Xに沿う方向での延長線上に配置されている。
この構成から、係合突起53Tをドレン溝Dに沿わせた状態で、スリーブ53を連結ボルト40の内部空間40Rに嵌め込むことにより、バルブケースとしての連結ボルト40のドレン溝Dが、連結ボルト40とスリーブ53との間に配置され、連結ボルト40とスリーブ53との間に、ドレン溝Dの溝の内周面とスリーブ53の外周面とで囲われた空間連通路を形成することができる。ドレン溝Dは、連結ボルト40の先端に達する領域に到り形成されているため、空間連通路は、連結ボルト40の外部に連通して形成される。
また、進角連通孔53aと進角ポート41aとが連通する。また、遅角連通孔53bと遅角ポート41bとが連通する。また、ドレン孔53cおよびドレン孔53dがドレン溝Dに連通する状態が維持される。
これにより、弁ユニットVbにおいて、スリーブ53とスプール55との間の空間(一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間)と、スプール55(スプール本体55aの外周)と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間(一対のランド部55bよりも電磁ユニットVaに対向する側の空間)とが、連結ボルト40とスリーブ53との間に形成された空間連通路としてのドレン溝Dと連通する。
〔弁ユニット:流体供給管〕
図3から図6に示すように流体供給管54は、内部空間40Rに嵌め込まれる基端部54S、および、基端部54Sより小径で、基端部54Sから内部空間40Rにおける頭部側に向けて延出する管路部54Tが一体形成され、この管路部54Tの先端部の外周には供給口54aが形成されている。
基端部54Sは、回転軸心Xを中心とし、内部空間40Rに嵌る直径の円形で、回転軸心Xに直交する姿勢の中間壁54Sb(基端部仕切壁の一例)と、第二逆止弁CV2とで構成されている。基端部54Sは、ネジ部側から流体供給管54の内部に向けて作動油を供給する供給管開口部54Saを有している。
管路部54Tの先端部の外周に形成される3つの供給口54aは、回転軸心Xに沿う方向に伸びる長孔状である。また、スプール55に形成される4つの中間孔部55cは円形状である。そして、供給口54aの数と、スプール55に形成される中間孔部55cの数とが異なり、供給口54aの周方向での開口幅が、周方向で隣接する供給口54aの中間部分(管路部54Tの部分のうち、周方向で隣り合う供給口54a、54aの間にある部分)の幅より大きく形成されている。これにより、管路部54Tからの作動油を、中間孔部55cに対して確実に供給することができる。
中間壁54Sbには、第二逆止弁CV2の一部を成す循環孔54bが形成されている。循環孔54bは、回転軸心Xを中心とし、管路部54Tの外周に沿う環状領域に、一対の貫通口が回転軸心Xを中心に対称となる円弧状に配置されているものである。循環孔54bは、本実施形態では、円弧状に形成された二つのスリット状の貫通口である。第二逆止弁CV2の詳細は後述する。
〔弁ユニット:スプール、・スプールスプリング〕
図3から図6に示すようにスプール55は、筒状で形成されている。スプール55は、先端に操作端部55sが形成されたスプール本体55aを有する。スプール本体55aの外周には、突出状態で形成された一対のランド部55bが形成されている。また、スプール本体55aの外周には、一対のランド部55bの中間位置とスプール55の内部とを連通させる複数の(4つの)中間孔部55cが形成されている。操作端部55sと一対のランド部55bの電磁ユニットVaに対向する側との間には、回転軸心Xと交差(本実施形態では直交)する方向でスプール本体55aを貫通するドレン貫通孔55hが設けられている。
スプール55のうち、操作端部55sと反対側には、スプール55が押し込み方向に操作された際に、端部壁53Wに当接して作動限界を決める当接端部55rがランド部55bと一体となって形成されている。この当接端部55rは、スプール本体55aを延長した領域の端部においてランド部55bより小径に構成される。
スプールスプリング56は、圧縮コイル型であり、内部側のランド部55bとスリーブ53の端部壁53Wとの間に配置されている。この付勢力の作用により、スプール55は頭部側のランド部55bが壁部61bに当接して図3に示す進角ポジションPaに維持される。頭部側のランド部55bは壁部61b側に延出する小径部55dを有しており、この小径部55dが壁部61bに当接する。
さらに、この弁ユニットVbでは、スリーブ53の端部壁53Wと、流体供給管54の中間壁54Sbとが回転軸心Xに沿う方向で互いに当接するように位置関係が設定されている。端部壁53Wと中間壁54Sbとは、このように当接する端部壁53Wと中間壁54Sbとの平面精度を高くすることにより作動油の流れを阻止するシール部Hとして構成されている。
なお、端部壁53Wは、管路部54Tの外周面と離間して設けられ、隙間が形成されている。当該隙間からは、進角室Caもしくは遅角室Cbから、スリーブ53とスプール55との間の空間に排出された作動油が、循環孔54bに流通可能となっている。
この構成では、流体供給管54の基端部54Sの位置が固定リング60によって固定されるようになっている。そのため、この基端部54Sがリテーナとして機能する。
また、スリーブ53の端部壁53Wにはスプールスプリング56の付勢力が作用するため、この端部壁53Wが基端部54Sの中間壁54Sbを圧接する。
従って、端部壁53Wと中間壁54Sbとが互いに密着できるように互いの姿勢を設定することでスプールスプリング56の付勢力を利用して端部壁53Wを中間壁54Sbに密着させ、この部位をシール部Hとして構成するのである。
〔第一逆止弁〕
図6、図7に示すように第一逆止弁CV1を構成する基端部54Sと第一弁プレート52とは等しい外径の金属材で形成され、中間壁54Sbのネジ部側で中間壁54Sbに接する位置に第一弁プレート52を配置している。特に第一弁プレート52にはバネ板材が用いられている。
第一弁プレート52は、中央位置に回転軸心Xを中心とする環状の環状弁プレート52aが配置され、外周に回転軸心Xを中心とする環状部52bが配置されると共に、環状弁プレート52aと環状部52bとを繋ぐように渦巻き状のバネ部52sを備えている。環状弁プレート52aは、外径側が前述した循環孔54bが形成される環状領域より大径で、内径側には環状領域より小径の開口部52cが形成されている。この構成では、開口部52cが回転軸心Xを中心とする円形に形成される。これにより、環状弁プレート52aは、循環孔54bに密着したときに循環孔54bを閉塞することができる。
第一弁プレート52は、図3から図6に示すように、環状部52bを、固定リング60の外筒部60aと中間壁54Sbとで挟持されて内部空間40Rで固定される。
このような構成から、第一逆止弁CV1を組み立てる際には、第一弁プレート52を、流体供給管54と固定リング60との間において、連結ボルト40の内部空間40Rに嵌め込むだけで、各々が最適な位置関係となり、位置決め等の操作が不要となる。
第一逆止弁CV1は、第一逆止弁CV1の下流側となるネジ部側の圧力が、スリーブ53とスプール55との間の空間よりも低下した場合、図3、図5に示すように、バネ部52s(図6参照)が弾性変形することにより、環状弁プレート52aが循環孔54bから離間して、作動油の流通を許容する。環状弁プレート52aは固定リング60の内筒部60bの内側を、回転軸心Xに沿い、固定リング60の壁部60cまでの範囲で前後に揺動し、作動油の流通を許容する。
第一逆止弁CV1は、ネジ部側の圧力が上昇した場合、あるいは、スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、図4に示すように、バネ部52sの弾性力により環状弁プレート52aが循環孔54bを閉塞するように密着して循環孔54bを閉塞する。その結果、ネジ部側から頭部側への逆流が防止される。
また、中間壁54Sbには回転軸心Xを中心に対称となる形状の一対の循環孔54bが形成されているため、環状弁プレート52aに偏りのない圧力を作用させて環状弁プレート52aを確実に開放させると共に、一対の中間壁54Sbを通過して中間壁54Sbのネジ部側空間に流出した作動油を、環状弁プレート52aの開口部52cを介して流体供給管54に送り込む(循環させる)ことが可能となる。
このように構成することで、バネ板材を用いつつ、第一逆止弁CV1を小型化し、連結ボルト40の内部空間40Rに収容することができる。また、例えば、連結ボルト40の外部に逆止弁を備える構成と比較して、流路構成を簡素化することができる。また、この第一逆止弁CV1は進角室Caや遅角室Cbに連通する流路の近傍に配置されるため、応答性良く閉塞作動させることも可能となる。
〔第二逆止弁〕
図6、図8に示すように第二逆止弁CV2を構成する開口プレート57と第二弁プレート58とは等しい外径の金属材で形成され、作動油の供給方向での上流側に開口プレート57を配置し、これより下流側で開口プレート57に接する位置に第二弁プレート58を配置している。特に第二弁プレート58にはバネ板材が用いられている。
開口プレート57は回転軸心Xを中心とする環状領域に一対の流通口57aが回転軸心Xを中心に対称となる円弧状に成されている。また、開口プレート57のうち第二弁プレート58に対向する面で、流通口57aを取り囲む領域には回転軸心Xを中心に円弧状となる複数の溝部57bが形成されている。
第二弁プレート58は、中央位置に回転軸心Xを中心とする円形の弁体58aが配置され、外周に回転軸心Xを中心とする環状部58bが配置されると共に、弁体58aと環状部58bとを繋ぐように渦巻き状のバネ部58sを備えている。弁体58aは、外径側が前述した流通口57aが形成される環状領域より大径で、内径側には環状領域より小径の開口部58cが形成されている。この構成では、開口部58cが回転軸心Xを中心とする円形に形成される。これにより、弁体58aは、流通口57aに密着したときに流通口57aを閉塞することができる。
第二弁プレート58は、環状部58bを、固定リング60の外筒部60aと開口プレート57とで挟持されて内部空間40Rで固定される。
このような構成から、第二逆止弁CV2を組み立てる際には、第二弁プレート58と、開口プレート57とを連結ボルト40の内部空間40Rに嵌め込むだけで、各々が最適な位置関係となり、位置決め等操作が不要となる。
また、この第二逆止弁CV2では、作動油が供給された場合には、図3、図5に示すように、バネ部58sが弾性変形することにより、弁体58aが流通口57aから離間して作動油の流通を許容する。弁体58aは固定リング60の内筒部60bの内側を、回転軸心Xに沿い、固定リング60の壁部60cまでの範囲で前後に揺動し、作動油の流通を許容する。
この第二逆止弁CV2では、第二逆止弁CV2の下流側となる頭部側の圧力が上昇した場合や、油圧ポンプPの吐出圧が低下した場合、あるいは、スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、図4に示すように、バネ部58sの弾性力により弁体58aが開口プレート57の流通口57aを閉塞するように密着して流通口57aを閉塞する。その結果、下流側から上流側への逆流が防止される。特に、弁体58aで流通口57aを閉塞する場合に、開口プレート57に溝部57bが形成されているため、バネ部58sが開口プレート57に密着して離れ難く成る不都合を抑制する。
〔フィルタ〕
さらに、フィルタ59は、開口プレート57と第二弁プレート58と等しい外径の環状の枠体59aの中央部が作動油の流通を許容する網状部材で成る濾過部59bを備えて構成されている。
フィルタ59は、開口プレート57とフィルタ59との間に、環状の支持部材59cを介在させた状態で、連結ボルト40の内部空間40Rに嵌め込まれる。
このように第二逆止弁CV2が構成されるため小型化が可能となる。しかも、図3、図5に示すように、第二逆止弁CV2が開放する状態にある場合には、開口プレート57に形成された一対の流通口57aを流れた作動油が、弁体58aの開口部58cおよび開口部60dを通過できる。これにより開口部58cを通過した回転軸心Xの近傍位置において、この回転軸心Xに沿って流れることにより、例えば、作動油が流体供給管54の管路部54Tの内壁に接触して圧損を招く等の不都合を解消し、圧損を抑制した状態での作動油の供給を実現する。
また、開口プレート57には回転軸心Xを中心に対称となる形状の一対の流通口57aが形成されるため、弁体58aに偏りのない圧力を作用させて弁体58aを確実に開放させると共に、一対の流通口57aを通過した作動油を弁体58aの開口部58cに送り込むことも可能となる。
特に、第二逆止弁CV2が連結ボルト40の内部空間40Rに収容されているため、例えば、連結ボルト40の外部に備える構成と比較して、流路構成が簡素化し、この第二逆止弁CV2を進角室Caや遅角室Cbに連通する流路の近傍に配置されるため、応答性良く閉塞作動させることも可能となる。
〔弁ユニット、第一逆止弁、第二逆止弁およびフィルタの固定〕
図6に示すように、まず、フィルタ59を内部空間40Rの頭部側から挿入し、規制壁44に当接させる。その後、支持部材59c、開口プレート57、第二弁プレート58、固定リング60、第一弁プレート52、流体供給管54を、この順に内部空間40Rに挿入し、それぞれ当接させる。
さらに、スリーブ53の係合突起53Tをドレン溝Dに嵌めて、スリーブ53を内部空間40Rに挿入し、スリーブ53の端部壁53Wを流体供給管54の中間壁54Sbに当接させる。
さらにスプールスプリング56、およびスプール55を、この順に、流体供給管54の管路部54Tの外側から嵌めて、内部空間40Rに挿入する。
最後に、先端リング61を、ネジ部側に向けて、内部空間40Rに圧入する。この圧入の際、スプール55のスプール本体55aを、先端リング61の開口部61cに挿入し、頭部側位置のランド部55bを先端リング61の壁部61bに押し当てて、スプール本体55aの頭部側の先端部分が、先端リング61よりも頭部側に突出した状態とする。そして、ネジ部側位置のランド部55bを頭部側に向けて付勢するスプールスプリング56の付勢力に抗しつつ、先端リング61を内部空間40Rに圧入する。
先端リング61の圧入が完了すると、先端リング61と、規制壁44との間で、頭部側からネジ部側に向けて、スプール55、スプールスプリング56、スリーブ53、流体供給管54、第一逆止弁CV1、固定リング60、第二逆止弁CV2、フィルタ59が内部空間40Rにおいて位置決めされる。
〔作動油の制御形態〕
この弁開閉時期制御装置Aでは電磁ユニットVaのソレノイド部50に電力が供給されない状態では、プランジャ51からスプール55に押圧力が作用することはなく、図3に示すようにスプールスプリング56の付勢力によりスプール55は、その外側位置のランド部55bが壁部61bに当接する位置に維持される。
このスプール55の位置が進角ポジションPaであり、一対のランド部55bと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aとが連通し、遅角連通孔53bがスリーブ53の内側の空間(内部空間40R)に連通する。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aと進角ポート41aとを介して、進角室Caに供給開始される。
これと同時に遅角室Cbの作動油が遅角ポート41bから遅角連通孔53bを介してスリーブ53とスプール55との間の空間に排出される。
スリーブ53とスプール55との間の空間に排出された作動油の一部は、第一逆止弁CV1を介して、流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、進角室Caに供給される。この作動油の循環により、進角室Caに作動油が迅速に供給される。
スリーブ53とスプール55との間の空間に排出された作動油の残りは、ドレン孔53cに流れ、ドレン溝Dを介して連結ボルト40の頭部側の端部から外部に排出される。
この作動油の給排および循環の結果、相対回転位相が進角方向Saに速やかに変位する。
特に、ロック機構Lがロック状態にある場合にスプール55を進角ポジションPaに設定して作動油が供給されることにより、進角室Caに供給される作動油の一部が進角流路33からロック機構Lに供給され、ロック部材25をロック凹部23aから離脱させてロック解除も実現する。
電磁ユニットVaのソレノイド部50に所定の電力を供給することにより、プランジャ51が突出作動し、スプールスプリング56の付勢力に抗してスプール55を図4に示す中立ポジションPnに設定することが可能である。
スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、一対のランド部55bがスリーブ53の進角連通孔53aと遅角連通孔53bとを閉じる位置関係となり、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が給排されず相対回転位相が維持される。
電磁ユニットVaのソレノイド部50に前述した所定の電力を超える電力を供給することにより、プランジャ51がさらに突出作動し、スプール55を図5に示す遅角ポジションPbに設定することが可能である。
この遅角ポジションPbでは、一対のランド部55bと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bとが連通する。また、進角連通孔53aが、スプール本体55aの外周と先端リング61の壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間から、ドレン孔53d、ドレン溝D、およびドレン孔53cを介してスリーブ53とスプール55との間の空間と連通する。同時に、進角連通孔53aが、スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間から、ドレン孔53d、およびドレン溝Dを介して外部空間と連通する。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bと遅角ポート41bとを介して遅角室Cbに供給開始される。
これと同時に、進角室Caの作動油が進角ポート41aから進角連通孔53aを介してスプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出される。
スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出された作動油の一部は、当該空間から、ドレン孔53d、ドレン溝D、およびドレン孔53cを介してスリーブ53とスプール55との間の空間に流入する。スリーブ53とスプール55との間の空間に流入した作動油の一部は、第一逆止弁CV1を介して、流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、遅角室Cbに供給される。この作動油の循環により、遅角室Cbに作動油が迅速に供給される。
スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出された作動油の残りは、ドレン孔53dおよびドレン溝Dを介して外部に排出される。
この作動油の給排および循環の結果、相対回転位相が遅角方向Sbに速やかに変位する。
〔第二実施形態〕
以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置の第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態と、弁ユニットVbがスリーブ53を用いない点で相違する。また、第一実施形態においてスリーブ53が有していたドレン溝Dの代わりに、スプール55がドレン路DL(空間連絡路の他の例)を有する点で相違する。
さらに、第二実施形態は、内部空間40Rの内周面の形状が、第一実施形態と相違する。また、弁ユニットVbが先端リング61を備える代わりに後端リング62を備え、これにより弁ユニットVbなどの固定の方法、態様が第一実施形態と異なる。
第二実施形態のその他の構成は、第一実施形態と同様である。以下では、これら相違点について説明し、共通する構成の説明は省略する。
図9から図11に示すように、連結ボルト40の内部空間40Rの内周面のうち、ネジ部側の部分には、大径部40Rcが形成されている。
連結ボルト40における大径部40Rbのネジ部側端部には、回転軸心Xに近接する方向に突出する規制壁45が形成されている。規制壁45は、当該内周面状に一つまたは複数の円弧状の壁として同一平面上(回転軸心Xに沿う方向において同じ位置)に設けられている。
後端リング62は、内部空間40Rに嵌る外筒部62aと、外筒部62aのネジ部側に、回転軸心Xと垂直に交差する壁部62bとを有する。壁部62bには、回転軸心Xを中心とする開口部62cが形成されている。
図9から図11に示すように、ドレン路DLは、スプール55のスプール本体55aに設けられている。ドレン路DLは、スプール本体55aの回転軸心Xにおける、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側から、一対のランド部55bよりも一対のランド部55bよりも電磁ユニットVaに対向する側に到るまで延在して設けられている。
ドレン路DLは、内部空間40Rのうち、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間と連通するドレン孔93cと、スプール55と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間と連通するドレン孔93dとを有する。
本実施形態では、ドレン路DLは、スプール55のスプール本体55aの吸気カムシャフト5側の端部に設けられたドレン孔93cから、操作端部55sと一対のランド部55bの電磁ユニットVaに対向する側との間に設けられたドレン貫通孔55hの孔の内壁に設けられたドレン孔93dに到るまでの範囲に設けられている。ドレン孔93dは、ドレン貫通孔55hを介して、スプール55と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間と連通している。
つまり、ドレン路DLは、ドレン孔93cを介して、内部空間40Rのうち、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間と連通している。また、ドレン孔93dを介して、内部空間40Rのうち、スプール55と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間と連通している。ドレン路DLは、ドレン孔93cとドレン孔93dとを開口端とする管状の流路である。
これにより、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間と、スプール55と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間とが、ドレン路DLを介して連通する。また、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間、および、スプール55と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間が、ドレン路DLを介して外部と連通するようになっている。
〔弁ユニット、第一逆止弁、第二逆止弁およびフィルタの固定〕
図6に示した場合とは異なり、内部空間40Rに、スプール55、スプールスプリング56、流体供給管54を、この順に、ネジ部側から挿入する。この挿入の際、スプール55は、一対のランド部55bがネジ部側において規制壁45に当接する。これにより、内部空間40Rの頭部側からスプール55が脱離することを防止している。
その後、内部空間40Rの大径部40Rc内に、第一弁プレート52、固定リング60、第二弁プレート58、開口プレート57、支持部材59c、フィルタ59を、この順にネジ部側から挿入する。
その後、後端リング62をネジ部側から大径部40Rc内に圧入し、規制壁45と、後端リング62との間で、頭部側からネジ部側に向けて、スプール55、スプールスプリング56、流体供給管54、第一逆止弁CV1、固定リング60、第二逆止弁CV2、フィルタ59が内部空間40Rにおいて位置決めされる。
〔作動油の制御形態〕
図9に示すように、スプール55の位置が進角ポジションPaの場合、一対のランド部55bと進角ポート41aおよび遅角ポート41bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと進角ポート41aとが連通し、遅角ポート41bが内部空間40Rのうち、一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に連通する。
また、進角ポジションPaにおいて、スプール55におけるスプール本体55aのドレン貫通孔55hは外部にのみ連通している。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと進角ポート41aとを介して、進角室Caに供給開始される。
これと同時に遅角室Cbの作動油が、遅角ポート41bから内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に排出される。
内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に排出された作動油の一部は、第一逆止弁CV1を介して、流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、進角室Caに供給される。この作動油の循環により、進角室Caに作動油が迅速に供給される。
内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に排出された作動油の残りは、ドレン路DLのドレン孔93cに流れる。排出された当該作動油の残りは、さらにドレン孔94cからドレン貫通孔55hへ流れ、連結ボルト40の頭部側の端部から外部に排出される。
図10に示すように、スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、一対のランド部55bがボルト本体41の進角ポート41aと遅角ポート41bとを閉じる位置関係となり、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が給排されず相対回転位相が維持される。
図11に示すように、スプール55が遅角ポジションPbに設定された場合には、一対のランド部55bと進角ポート41aおよび遅角ポート41bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと遅角ポート41bとが連通する。また、進角ポート41aが、スプール本体55aの外周と先端リング61の壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間から、ドレン孔93d、ドレン路DL、およびドレン孔93cを介して内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間と連通する。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと遅角ポート41bとを介して遅角室Cbに供給開始される。
また、スプール55におけるスプール本体55aのドレン貫通孔55hは、スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間にも連通している。
したがって、遅角ポジションPbにおいて、進角ポート41aが、スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間から、ドレン貫通孔55h、ドレン孔93d、およびドレン路DLを介して外部空間と連通する。
これと同時に、進角室Caの作動油が進角ポート41aからスプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出される。
スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出された作動油の一部は、当該空間から、ドレン貫通孔55h、ドレン孔93d、ドレン路DL、およびドレン孔93cを介して内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に流入する。
内部空間40Rにおける一対のランド部55bよりも吸気カムシャフト5側の空間に流入した作動油の一部は、第一逆止弁CV1を介して、流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、遅角室Cbに供給される。この作動油の循環により、遅角室Cbに作動油が迅速に供給される。
スプール本体55aの外周と壁部61bの吸気カムシャフト5側との間の空間に排出された作動油の残りは、スプール55と連結ボルト40との隙間から外部に排出される。
以上のようにして、本実施形態にかかる弁開閉時期制御装置は、簡易な構造で進角室と遅角室との間で作動油の循環を実現することができる。
〔第三実施形態〕
以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置の第三実施形態について説明する。第三実施形態については、図12から図20を参照しつつ説明する。
〔基本構成〕
第三実施形態の弁ユニットVbの構成は、第一実施形態の弁ユニットVbの構成と比べて、主としてスリーブ53、流体供給管54、スプール55、スプールスプリング56、第一逆止弁CV1、第二逆止弁CV2の形態が相違する。また、先端リング61の代わりに、第一先端リング63と第二先端リング64とを有する。また、特にスプール55の形態の相違により、作動油の制御形態が相違する。
以下では、第一実施形態の第一逆止弁CV1に対応する構成を、第三逆止弁CV3(第一逆止弁の一例)として記載する。同様に、第二逆止弁CV2に対応する構成を、第四逆止弁CV4(第二逆止弁の一例)として記載する。
本実施形態では、連結ボルト40(バルブケースの一例)において規制壁44が設けられる側が底部である。連結ボルト40の回転軸心Xに沿う方向における底部とは他端側にある大径部40Rbが開口である。連結ボルト40のネジ部側(上流側)と頭部側(下流側)とは、後述する大径部40Rbの側(開口側の一例)と規制壁44が設けられる側(底部側の一例)とが対応する。
第三実施形態の弁開閉時期制御装置Aのその他の構成は、第一実施形態と同様である。以下では、これら相違点について説明し、共通する構成の説明は省略する。
〔弁ユニット〕
図12から図17に示すように弁ユニットVbは、連結ボルト40の内部空間40Rのうち、ボルト本体41の内周面に密着する状態で嵌め込まれるスリーブ53と、回転軸心Xと同軸心で内部空間40Rに収容される流体供給管54と、スリーブ53の内周面と流体供給管54の管路部54Tの外周面に案内される状態で回転軸心Xに沿う方向にスライド移動自在に配置されるスプール55とを備えている。
さらに、弁ユニットVbは、スプール55を突出方向に付勢する付勢部材としてのスプールスプリング56と、第三逆止弁CV3と、第四逆止弁CV4と、フィルタ59と、第一先端リング63と、第二先端リング64と、を備えている。スプールスプリング56は、第一実施形態とは異なり、スプール55の筒内部に収容されている。このスプールスプリング56の態様については後述する。
図19、図20に示すように、第三逆止弁CV3は、弁座70と、循環弁71と、スプリング73とを備えている。
第四逆止弁CV4は、弁座部材としての支持プレート65と、弁体58aを有する第二弁プレート58を備えている。
弁座70は、内部空間40Rに嵌る外筒部70aと、外筒部70aの回転軸心Xに沿う方向における頭部側(以下では第一実施形態と同様に単に頭部側と称する)の端部から縮径し当該頭部側に延出する円筒状の外筒部70aよりも内径の小さな内筒部70bと、内筒部70bの頭部側から延出し、内筒部70bの頭部側に延出する支持脚部70cとを有する。支持脚部70cは、回転軸心Xにおける周方向(以下では単に周方向と称する)に均等間隔で3本設けられている。
第一先端リング63は、内部空間40Rにおける大径部40Rbに嵌る外側リング63aと、外側リング63aの内側に形成される内側リング63bと、第一先端リング63の頭部側において回転軸心Xに交差する面であり外側リング63aと内側リング63bとにつながる面である面部63cと、面部63cを貫通する複数数の貫通孔である複数の先端リングドレン穴63dとを有する。先端リングドレン穴63dは、周方向に均等間隔で6つ設けられている。
第二先端リング64は、内部空間40Rにおける大径部40Rbに嵌る環状筒部64aと、環状筒部64aの内周面から径方向内側に向けて延出する面であり回転軸心Xに沿う方向に貫通孔を有する環状の面である環状蓋部64bとを有する。
〔弁ユニット:スリーブ〕
図13から図17に示すようにスリーブ53は、回転軸心Xを中心とする筒状の部材である。スリーブ53は、ネジ部側を回転軸心Xに直交する姿勢に屈曲させて端部壁53wを絞り加工等により形成されている。
第三実施形態では、ドレン溝Dは端部壁53wおよび後述する中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rと連通可能な位置まで形成されている。後述するドレン孔53c、第二ドレン孔53g、および凹部53eがドレン溝Dに連通する。
スリーブ53には、進角ポート41aを内部空間40Rに連通させる複数の進角連通孔53aと、遅角ポート41bに内部空間40Rを連通させる複数の遅角連通孔53bと、内部空間40Rの作動油をスリーブ53の外面側に排出する複数のドレン孔53cと第二ドレン孔53gとが角孔状(矩形)に形成されている。また、スリーブ53には、回転軸心Xに沿いスリーブ53の筒部から頭部側へ延出する4つの先端凸部53fが形成されており、それぞれの先端凸部53fの間には凹部53eが形成されている。先端凸部53fおよび凹部53eは、周方向において、同一形状で均等の間隔で配置されている。
進角連通孔53aと遅角連通孔53bとは、回転軸心Xを中心とする周方向で90度ずつ位相をずらした4箇所で、回転軸心Xに沿う方向に並列して形成されている。
ドレン孔53cは、スリーブ53におけるネジ部側に形成されている。ドレン孔53cは、進角連通孔53aないし遅角連通孔53bよりもスリーブ53において回転軸心Xに沿う方向におけるネジ部側に形成されている。ドレン孔53cは、回転軸心Xを中心とする周方向で、進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとで異なる位相となる2箇所に形成されている。2箇所のドレン孔53cは互いに回転軸心Xを中心とする周方向(以下では単に周方向と記載する)で180度ずれた位相(回転軸心Xを挟んで対向する位置)で配置されている。
第二ドレン孔53gは、周方向で進角連通孔53a、遅角連通孔53bおよびドレン孔53cとで異なる位相となる2箇所に形成されている。第二ドレン孔53gは、ドレン孔53cと回転軸心Xに沿う方向を中心とした周方向で異なる位相で配置されている。ドレン孔53cと第二ドレン孔53gとは、互いに周方向で90度ずれた位相で配置されている。第二ドレン孔53gは、ドレン孔53cよりも、回転軸心Xに沿う方向におけるネジ部側に配置されている。2箇所の第二ドレン孔53gは互いに周方向で180度ずれた位相で配置されている。
この構成から、スリーブ53を嵌め込むことにより、進角連通孔53aと進角ポート41aとが連通する。また、遅角連通孔53bと遅角ポート41bとが連通する。また、ドレン孔53c、第二ドレン孔53gおよび凹部53eによる開口部分がドレン溝Dに連通する状態が維持される。凹部53eによる開口部分については後述する。なお、第二ドレン孔53gは、ドレン孔53cが連通したドレン溝Dとは異なるドレン溝Dと連通する。
〔弁ユニット:流体供給管〕
図13から図17に示すように流体供給管54は、内部空間40Rにおけるネジ部側に挿入される中間壁54Sb、および中間壁54Sbより小径で、中間壁54Sbから内部空間40Rにおける頭部側に向けて延出する管路部54Tが一体形成されている。この管路部54Tの先端部の外周には供給口54aが形成されている。この管路部54Tの先端は、回転軸心Xに沿う方向の筒部を有し頭部側に底面を有する有底筒状の突起54tが形成されている。
〔弁ユニット:スプール、スプールスプリング〕
図13から図17に示すようにスプール55は、筒状で先端に操作端部55sが形成されたスプール本体55aと、この外周に突出状態で形成された3つのランド部Rと、スプール55の内部とを連通させる4つの中間孔部55cと、操作端部55sとランド部Rとの間に形成された先端弁55v(弁体の一例)とを有する。
3つのランド部Rは、回転軸心Xに沿う方向において頭部側からネジ部側へ順に、第一ランドR1、第二ランドR2、第三ランドR3を有する。回転軸心Xに沿う方向における第三ランドR3の厚みは、第一ランドR1ないし第二ランドR2の厚みよりも相対的に薄い。
先端弁55vは、スプール本体55aの外周において径方向外側向けて延出するリブ状に形成されている。先端弁55vのリブは、環状面状に形成されている。先端弁55vは回転軸心Xと交差する環状の板である。先端弁55vのリブの外周の形状は、環状蓋部64bの内周の形状に沿う形状である。
操作端部55sと第一ランドR1の電磁ユニットVaに対向する側との間には、回転軸心Xと交差(本実施形態では直交)する方向でスプール本体55aを貫通するドレン貫通孔55hが設けられている。
中間孔部55cは、第一ランドR1と第二ランドR2との中間位置に設けられている。以下では、第一ランドR1と第一ランドR1に隣接する第二ランドR2とを包括して頭部側一対のランド部と称する。この前方一対のランド部は第一実施形態の一対のランド部55bに対応する。また、第二ランドR2と第三ランドR3とを包括してネジ部側一対のランド部と称する。
操作端部55sの反対側となるスプール55の頭部側端部には、スプール55が押し込み方向に操作された際に、端部壁53wに当接して作動限界を決める当接端部55rが第三ランドR3と一体となって形成されている。この当接端部55rは、スプール本体55aを延長した領域の端部においてランド部Rより小径に構成される。
スプールスプリング56は、圧縮コイル型のばねである。スプールスプリング56は、スプール55の内部における管路部54Tの突起54tの頭部側に配置されている。スプールスプリング56のネジ部側のコイルの内側には突起54tが挿入されている。スプールスプリング56は突起54tを支点として、スプール55の内部からスプール55の操作端部55sを、管路部54Tに対して頭部側に向けて付勢している。この付勢力の作用により、電磁ユニットVaのソレノイド部50に電力が供給されない状態では、スプール55は先端弁55vの頭部側の面が内側リング63bのネジ部側端部に当接して図13に示す第一進角ポジションPa1に維持される。
さらに、この弁ユニットVbでは、スリーブ53の端部壁53wと、流体供給管54の基端部54Sの中間壁54Sbとが回転軸心Xに沿う方向で互いに当接するように位置関係が設定されている。端部壁53wと中間壁54Sbとは、このように当接する端部壁53wと中間壁54Sbとの平面精度を高くすることにより作動油の流れを阻止するシール部Hとして構成されている。なお、中間壁54Sbのネジ部側は弁座70の支持70cと当接している。また、流体供給管54には、スプールスプリング56の付勢力が突起54tから作用する。これにより、流体供給管54はネジ部側へ付勢される。
〔第三逆止弁〕
図14から図17に示すように第三逆止弁CV3は、弁座70と、循環弁71と、スプリング73とを備えている。第三逆止弁CV3は、循環弁71を弁座70の内筒部70bの外側に嵌めたスプリング73により頭部側に付勢する構成を有する。
循環弁71は、内部空間40Rに嵌り摺動可能な筒部71aと、筒部71aの頭部側から径方向内側へ面状に延出する前面部71bとを有する。前面部71bは、循環弁71が最も頭部側へ付勢された状態で、中間壁54Sbのネジ部側と当接する。循環弁71は、前面部71bが中間壁54Sbのネジ部側と密接する状態で、筒部71aと前面部71bとでドレン溝Dのネジ部側端部を塞ぎ、ドレン溝Dを端部壁53wおよび後述する中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rに対して閉塞した状態とする。この状態では、端部壁53wおよび後述する中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rからドレン溝Dに作動油が流れることは無い。
第三逆止弁CV3は、第三逆止弁CV3の下流側となる端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rの作動油の圧力がドレン溝Dの作動油の圧力よりも低下した場合、図14、図16に示すように、ドレン溝Dの作動油が循環弁71をスプリング73の付勢力に抗してネジ部側に付勢する。これにより、循環弁71がネジ部側へ後退し、ドレン溝Dから端部壁53wおよび後述する中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rへの作動油の流通を許容する。
なお、後述するように、第三逆止弁CV3は、ネジ部側の圧力が上昇した場合、あるいは、スプール55が中立ポジションPn、第一進角ポジションPa1、第一遅角ポジションPb1に設定された場合には、図13、図15、図17に示すように、スプリング73の弾性力により循環弁71がドレン溝Dを閉塞する。その結果、ネジ部側から頭部側への逆流が防止される。
〔第四逆止弁〕
図13から図18に示すように第四逆止弁CV4は、第一実施形態の第二逆止弁CV2とは異なり、開口プレート57と支持部材59cとを備える代わりに、開口プレート57と支持部材59cとがおよそ一体に形成されたような形態の支持プレート65を有している。
図18に示すように、支持プレート65は、開口プレート57の場合と同様に回転軸心Xを中心とする環状領域に一対の流通口57aが回転軸心Xを中心に対称となる円弧状に成されている。また、支持プレート65のうち第二弁プレート58に対向する面(頭部側の面)で、流通口57aを取り囲む領域には回転軸心Xを中心に円弧状となる複数の溝部57bが形成されている。支持プレート65のネジ部側には、支持プレート65の外周からネジ部側にリブ状に延出する態様で支持部材59cが設けられている。
第二弁プレート58は、第一実施形態の第二弁プレート58(図8)と同じ形態の物を用いているが、環状部58bが、弁座70の外筒部70aと支持プレート65とで挟持されて内部空間40Rで固定される点で異なる。弁体58aは弁座70の外筒部70aの内側において前後に揺動し、作動油の流通を許容する。
この第四逆止弁CV4では、第四逆止弁CV4の下流側となる頭部側の圧力が相対的に上昇した場合や、スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、図15に示すように、バネ部58sの弾性力により弁体58aが支持プレート65の流通口57aを閉塞するように密着して流通口57aを閉塞する。
〔弁ユニット、第一逆止弁、第二逆止弁およびフィルタの固定〕
図18に示すように、まず、フィルタ59を内部空間40Rの頭部側から挿入し、規制壁44に当接させる。その後、支持プレート65、第二弁プレート58、弁座70、スプリング73、循環弁71、流体供給管54を、この順に内部空間40Rに挿入し、それぞれ当接させる。
さらに、スリーブ53を内部空間40Rに挿入し、スリーブ53の端部壁53wを流体供給管54の中間壁54Sbに当接させる。
さらにスプールスプリング56をあらかじめスプール55の内部に挿入する。スプールスプリング56が挿入された状態のスプール55を、流体供給管54の管路部54Tの外側から嵌める。これにより、スプール55とスプールスプリング56とが内部空間40Rに挿入される。
次に、第二先端リング64を大径部40Rbに嵌める。この際、第二先端リング64の環状蓋部64bのネジ部側に先端凸部53fを当接させる。
最後に、第一先端リング63を、ネジ部側に向けて、大径部40Rbに圧入する。この圧入の際、スプール55のスプール本体55aを、第一先端リング63の内側リング63bに挿入し、スプール55の先端弁55vを内側リング63bのネジ部側端面に押し当てて、スプール本体55aの操作端部55sが、回転軸心Xに沿う方向において第一先端リング63の内側リング63bの内側に収容する。そして、スプール55を頭部側に向けて付勢するスプールスプリング56の付勢力に抗しつつ、第二先端リング64が大径部40Rbの奥に突き当たるまで第一先端リング63を大径部40Rbに圧入する。
第一先端リング63の圧入が完了すると、第一先端リング63と、規制壁44との間で、頭部側からネジ部側に向けて、第二先端リング64、スプール55、スプールスプリング56、スリーブ53、流体供給管54、第三逆止弁CV3、第四逆止弁CV4、フィルタ59が内部空間40Rにおいて位置決めされる。
〔作動油の制御形態〕
第三実施形態では、電磁ユニットVaのソレノイド部50に所定の電力を供給することによりプランジャ51を突出作動させて、スプールスプリング56の付勢力に抗してスプール55をネジ部側に移動せしめることで、後述するように第一進角ポジションPa1、第二進角ポジションPa2、中立ポジションPn、第二遅角ポジションPb2、第一遅角ポジションPb1を任意に切り替えることができる。
〔進角ポジション〕
〔第一進角ポジション〕
この弁開閉時期制御装置Aでは電磁ユニットVaのソレノイド部50に電力が供給されない状態では、プランジャ51からスプール55に押圧力が作用することはなく、図13に示すようにスプールスプリング56の付勢力によりスプール55は、先端弁55vが内側リング63bのネジ部側端面に当接する位置に維持される。
このスプール55の位置が第一進角ポジションPa1であり、3つのランド部Rと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aとが前方一対のランド部の間の空間を介して連通し、遅角連通孔53bが後方一対のランド部の間の空間と連通する。
この第一進角ポジションPa1では、先端弁55vは環状蓋部64bよりも頭部側に位置する。また、環状蓋部64bと先端弁55vとは径方向視において重複していない。つまり、環状蓋部64bと先端弁55vとの間は開いている。したがって、作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの間を回転軸心Xに沿う方向において通流可能である。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aと進角ポート41aとを介して、進角室Caに供給開始される。
これと同時に遅角室Cbの作動油が遅角ポート41bから後方一対のランド部の間の空間に排出される。
後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油は、ドレン孔53cに流れ、さらにドレン溝D、ドレン溝Dから凹部53eと環状蓋部64bとで形成される開口部分、環状蓋部64bと先端弁55vとの隙間を流れて、連結ボルト40の頭部側の端部から外部に排出される。この際、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油の背圧は、第二ランドR2に対して頭部側に向けて付勢する力として作用し、第三ランドR3に対してネジ部側に向けて付勢する力として作用する。すなわち、第二ランドR2に対して作用する力と、第三ランドR3に対して作用する力とはそれぞれ回転軸心Xに沿う方向において逆向きに作用するため、互いに打ち消し合う。これにより、スプール55は、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油の背圧の影響を受けない。たとえば、スプール55が、当該背圧により回転軸心Xに沿う方向に力を受けることは無い。
また、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油がドレン孔53cに流れ、ドレン溝Dを介して連結ボルト40の前方側の端部から外部に排出される際、当該作動油とスプールスプリング56とは直接接触しない。そのため、スプールスプリング56が作動油の通流により摩耗するような経時的な劣化を抑制することができる。
この作動油の給排の結果、相対回転位相が進角方向Saに変位する。
特に、ロック機構Lがロック状態にある場合にスプール55を進角ポジションPaに設定して作動油が供給されることにより、進角室Caに供給される作動油の一部が進角流路33からロック機構Lに供給され、ロック部材25をロック凹部23aから離脱させてロック解除も実現する。
なお、第一進角ポジションPa1においては、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油が、第三ランドR3の外周とスリーブ53の内周との隙間から、内部空間40Rにおける第三ランドR3のネジ部側の空間かつ端部壁53wの頭部側の空間(以下では単にネジ部側空間と称する)にリークする場合もある。しかし、ネジ部側空間にリークした作動油は、第二ドレン孔53gに流れ、ドレン溝Dなどを介して連結ボルト40の頭部側の端部から外部に排出される。したがって、ネジ部側空間にリークした作動油は、スプール55の移動に対してなんらの影響も与えない。たとえば、ネジ部側空間にリークした作動油により、スプール55の回転軸心Xに沿う方向におけるネジ部側への移動が妨げられることは無い。
〔第二進角ポジション〕
電磁ユニットVaのソレノイド部50に所定の電力を供給することにより、プランジャ51が第一進角ポジションPa1の場合よりもやや突出作動し、スプールスプリング56の付勢力に抗してスプール55をネジ部側に移動せしめ、図14に示す第二進角ポジションPa2に設定することが可能である。
この第二進角ポジションPa2では、環状蓋部64bと先端弁55vとが径方向視において重複しており、環状蓋部64bと先端弁55vとの間は閉塞している。したがって、作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの間を回転軸心Xに沿う方向において通流することができない。なお、第二進角ポジションPa2では、先端弁55vは環状蓋部64bよりもやや頭部側に位置する状態にある。
第二進角ポジションPa2においても第一進角ポジションPa1と同様に、3つのランド部Rと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aとが前方一対のランド部の間の空間を介して連通し、遅角連通孔53bが後方一対のランド部の間の空間と連通する。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと進角連通孔53aと進角ポート41aとを介して、進角室Caに供給開始される。
これと同時に遅角室Cbの作動油が遅角ポート41bから後方一対のランド部の間の空間に排出される。
後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油は、ドレン孔53cに流れ、ドレン溝Dに流出する。この流出した作動油は、端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rに向けてドレン溝Dを流れる。
ドレン溝Dを通流する作動油の圧力(背圧)が端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rを通流する作動油の圧力よりも高ければ、ドレン溝Dを通流する作動油の油圧と端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rを通流する作動油の油圧との差圧に基づいて循環弁71をスプリング73の付勢力に抗してネジ部側に付勢する力が生じる。これにより、循環弁71が中間壁54Sbのネジ部側から離間し、ドレン溝Dが端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rと連通する。そして、ドレン溝Dを通流する作動油が供給管開口部54Saを通じて流体供給管54へ供給される。すなわち、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油が流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、進角室Caに供給される。この作動油の循環により、進角室Caに作動油が迅速に供給される。
また、後方一対のランド部の間の空間に排出された作動油がドレン孔53cに流れ、ドレン溝Dを介して流体供給管54へ循環される際、当該作動油とスプールスプリング56とは直接接触しない。そのため、スプールスプリング56が作動油の循環により摩耗するような経時的な劣化を抑制することができる。
この作動油の給排および循環の結果、相対回転位相が進角方向Saに変位する。
〔中立ポジション〕
電磁ユニットVaのソレノイド部50に所定の電力を供給することにより、プランジャ51が突出作動し、スプールスプリング56の付勢力に抗してスプール55を図15に示す中立ポジションPnに設定することが可能である。
スプール55が中立ポジションPnに設定された場合には、頭部側一対のランド部がスリーブ53の進角連通孔53aと遅角連通孔53bとを閉じる位置関係となる。すなわち、第一ランドR1が進角連通孔53aを閉じ、第二ランドR2が遅角連通孔53bを閉じる。これにより、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が給排されず相対回転位相が維持される。
この中立ポジションPnでも、環状蓋部64bと先端弁55vとが径方向視において重複しており、環状蓋部64bと先端弁55vとの間は閉塞している。したがって、作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの間を回転軸心Xに沿う方向において通流することができない。なお、中立ポジションPnでは、先端弁55vと環状蓋部64bとは、回転軸心Xに沿う方向においておよそ同じ位置にある。
〔遅角ポジション〕
〔第二遅角ポジション〕
電磁ユニットVaのソレノイド部50に前述した所定の電力を超える電力を供給することにより、プランジャ51が中立ポジションPnの場合よりもさらに突出作動し、スプール55を図16に示す第二遅角ポジションPb2に設定することが可能である。
この第二遅角ポジションPb2では、3つのランド部Rと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bとが前方一対のランド部の間の空間を介して連通し、進角連通孔53aが、第一ランドR1と先端弁55vと間の空間と連通する。
この第二遅角ポジションPb2では、環状蓋部64bと先端弁55vとが径方向視において重複しており、環状蓋部64bと先端弁55vとの間は閉塞している。したがって、作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの間を回転軸心Xに沿う方向において通流することができない。なお、第二遅角ポジションPb2では、先端弁55vは環状蓋部64bよりもややネジ部側に位置する状態にある。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bと遅角ポート41bとを介して遅角室Cbに供給される。
これと同時に、進角室Caの作動油が進角ポート41aから進角連通孔53aを介して第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出される。
第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出された作動油は、凹部53eと環状蓋部64bとで形成される開口部分を介してドレン溝Dへ流出する。この流出した作動油は、端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rに向けてドレン溝Dを流れる。
ドレン溝Dを通流する作動油の圧力(背圧)が端部壁53wおよび中間壁54Sbよりもネジ部側の内部空間40Rを通流する作動油の圧力よりも高ければ、第二進角ポジションPa2の場合と同様に、第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出された作動油は流体供給管54へ循環される。循環された作動油は、油圧ポンプPから供給される作動油と共に、遅角室Cbに供給される。この作動油の循環により、遅角室Cbに作動油が迅速に供給される。
〔第一遅角ポジション〕
電磁ユニットVaのソレノイド部50に前述した所定の電力を超える電力を供給することにより、プランジャ51が第二遅角ポジションPb2の場合よりもさらに突出作動し、スプール55を図17に示す第一遅角ポジションPb1に設定することが可能である。
この第一遅角ポジションPb1においても第二遅角ポジションPb2の場合と同様に、3つのランド部Rと進角連通孔53aおよび遅角連通孔53bとの位置関係から、スプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bとが前方一対のランド部の間の空間を介して連通し、進角連通孔53aが、第一ランドR1と先端弁55vと間の空間と連通する。
この第一遅角ポジションPb1では、先端弁55vは環状蓋部64bよりもネジ部側に位置する。また、環状蓋部64bと先端弁55vとは径方向視において重複していない。つまり、環状蓋部64bと先端弁55vとの間は開いている。したがって、作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの間を回転軸心Xに沿う方向において通流可能である。
これにより、油圧ポンプPから供給される作動油が、流体供給管54の供給口54aからスプール55の中間孔部55cと遅角連通孔53bと遅角ポート41bとを介して遅角室Cbに供給される。
これと同時に、進角室Caの作動油が進角ポート41aから進角連通孔53aを介して第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出される。
第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出された作動油は、環状蓋部64bと先端弁55vとの隙間を流れて、連結ボルト40の頭部側の端部から外部に排出される。この際、第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出された作動油の背圧は、先端弁55vに対して頭部側に向けて付勢する力として作用し、第一ランドR1に対してネジ部側に向けて付勢する力として作用する。すなわち、先端弁55vに対して作用する力と、第一ランドR1に対して作用する力とはそれぞれ回転軸心Xに沿う方向において逆向きに作用するため、互いに打ち消し合う。そのため、スプール55が第一ランドR1と先端弁55vと間の空間に排出された作動油から受ける背圧の影響は小さくなる。たとえば、スプール55が、当該背圧により回転軸心Xに沿う方向に受ける力は小さくなる。
この作動油の給排の結果、相対回転位相が遅角方向Sbに変位する。
〔第三実施形態の変形例〕
以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置の第三実施形態の変形例について説明する。本実施形態については、図21を参照しつつ説明する。
第三実施形態では、第四逆止弁CV4として、第二弁プレート58と支持プレート65とを用い、第二弁プレート58の環状部58bが、弁座70の外筒部70aと支持プレート65とで挟持されて内部空間40Rで固定される場合を説明した。本実施形態では、第四逆止弁CV4を用いる代わりに、弁座70の外筒部70aの筒内部および支持脚部70cの径方向内側に収容して装着される第五逆止弁CV5を用いる。第五逆止弁CV5は、第四逆止弁CV4と同様に、第一実施形態の第二逆止弁CV2に対応する。
第五逆止弁CV5を弁座70の外筒部70aの筒内部および支持脚部70cの径方向内側に収容して装着することで、第五逆止弁CV5と第三逆止弁CV3とは回転軸心Xに沿う方向で同じ位置になり、第五逆止弁CV5と第三逆止弁CV3とは径方向視において重複する。したがって、本実施形態の弁ユニットVbは、第三実施形態の弁ユニットVbと比べて、回転軸心Xに沿う方向の長さを短くすることができる。
第五逆止弁CV5は、回転軸心Xに沿う方向の筒部81と、筒部81の頭部側に装着されるバネ座80と、筒部81の頭部側に装着された弁座部83と、筒部81の筒内部に挿入されバネ座80に頭部側を支持されたスプリング82と、スプリング82によりネジ部側に付勢され弁座部83と密着する弁体としてのボール85とを有する。
第五逆止弁CV5は、ネジ部側から作動油が供給されるとボール85がスプリング82の付勢力に抗して頭部側に移動して弁座部83から離間し、作動油が第五逆止弁CV5を通過することを許容する。一方、頭部側から作動油が逆流するとボール85が弁座部83に強く密着して作動油が第五逆止弁CV5を通過することを防ぐ。
本実施形態のその他の構成は、第三実施形態と同じである。
以上のようにして、正確に弁開閉時期の制御を行うことができる弁開閉時期制御装置を提供することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態(第一実施形態および第二実施形態)では、弁ユニットVbは、第一逆止弁CV1と、第二逆止弁CV2とを備える構成を説明した。また、上記実施形態(第三実施形態および第三実施形態の変形例)では、弁ユニットVbは、第三逆止弁CV3と、第四逆止弁CV4もしくは第五逆止弁CV5とを備える構成を説明した。
しかしながら、弁ユニットVbは、第二逆止弁CV2を備えない構成とすることもできる。また、第四逆止弁CV4、第五逆止弁CV5を備えない構成とすることもできる。
(2)上記実施形態(第一実施形態および第二実施形態)では、中間壁54Sbには、第二逆止弁CV2の一部を成す循環孔54bが形成されており、循環孔54bは、回転軸心Xを中心とし、管路部54Tの外周に沿う環状領域に一対の貫通口が回転軸心Xを中心に対称となる円弧状に配置されている場合を例示した。また、循環孔54bは、円弧状に形成された二つのスリット状の貫通口である場合を例示した。
しかしながら、循環孔54bは、一対に形成される場合に限られず、一つ、もしくは三つ以上の貫通口として形成することもできる。また、循環孔54bは、円弧状に形成された二つのスリット状の貫通口に限られず、複数の丸穴の貫通口を、環状に配列する構成とすることもできる。
(3)上記実施形態(第一実施形態および第二実施形態)では、ドレン孔53cとドレン孔53dとがドレン溝Dを共有する場合を例示した。
しかしながら、ドレン孔53cとドレン孔53dとを、それぞれ独立したドレン溝Dと連通させる構成とすることもできる。
(4)上記実施形態(第一実施形態および第二実施形態)では、連結ボルト40の内周で中間位置から先端に達する領域にはドレン溝Dが回転軸心Xに沿う姿勢で形成されており、先端リング61は、内部空間40Rに嵌る外筒部61aを有する場合を例示した。この場合、ドレン溝Dから外部へ排出される作動油は、何ら規制されない。
しかし、先端リング61に、ドレン溝Dにおける回転軸心Xに沿う方向の開孔面積(溝の断面積)を規制する流量規制部材を設け、ドレン溝Dから外部に排出される作動油の流通抵抗を調整してもよい。ドレン溝Dから外部に排出される作動油の流通抵抗を大きくすることにより、ドレン溝D経由で外部に排出される作動油のうち第一逆止弁CV1から流体供給管54へ循環される作動油の量を増大させることができる場合がある。
(5)上記実施形態では、バルブケースとしての連結ボルト40は、全体的に筒状となるボルト本体41の外端部にボルト頭部42が形成されており、ボルト本体41におけるボルト頭部42とは他端の部分の外周に雄ネジ部41Sが形成されている場合を説明した。
そして、バルブケースとしての連結ボルト40のボルト本体41を環状部材9と外部ロータ20と内部ロータ30とに挿通する状態で、その雄ネジ部41Sを吸気カムシャフト5の雌ネジ部5Sに螺合させ、ボルト頭部42の回転操作により内部ロータ30(従動側回転体)が吸気カムシャフト5に締結される場合を説明した。
しかしながら、バルブケースは、必ずしも雄ネジ部41Sが形成された連結ボルト40とすることを要せず、また、内部ロータ30と吸気カムシャフト5との締結は、バルブケースである連結ボルト40の雄ネジ部41Sと吸気カムシャフト5の雌ネジ部5Sの螺合による態様に限られない。
たとえば、バルブケースは、全体的に筒状となるボルト本体41の外端部に、径方向外側に向けて延在する縁部を有するボルト頭部42を形成し、バルブケースのボルト本体41を環状部材9と外部ロータ20と内部ロータ30とに挿通することもできる。
この場合、内部ロータ30と吸気カムシャフト5との連結(締結)は、たとえば、ボルト頭部42の縁部と、環状部材9と、内部ロータ30とに、回転軸心Xに沿う方向の貫通孔を設け、さらに、吸気カムシャフト5の当該貫通孔に対応する位置に、回転軸心Xに沿う方向の雌ネジ部を設け、締結ボルト(カムボルト)をボルト頭部42の縁部、環状部材9、および内部ロータ30の貫通孔の順に挿通して吸気カムシャフト5の雌ネジ部に螺合させ、環状部材9に対してバルブケースのボルト頭部42を圧着させて、バルブケースと環状部材9と内部ロータ本体31と吸気カムシャフト5とを一体化して行うこともできる。つまり、締結ボルトによって、内部ロータ30(従動側回転体)を吸気カムシャフト5に連結することもできる。締結ボルトは、複数本(たとえば3本)用いて連結することができる。
(6)上記実施形態では、空間連絡路の例示として、連結ボルト40の内周に設けたドレン溝D(第一実施形態)や、スプール55のスプール本体55aに設けられている管状の流路であるドレン路DL(第二実施形態)を例示した。
しかしながら、空間連絡路はドレン溝Dやドレン路DLのような態様に限られない。例えば、第一実施形態で説明したスリーブ53の筒の肉部分を、回転軸心Xに沿う方向に貫通するように設けることもできるし、ドレン溝Dの場合と同様に、スリーブ53の外表面に設けた溝状の流路とすることもできる。
(7)上記実施形態では、進角ポート41aが進角流路33に連通し、遅角ポート41bが遅角流路34に連通する場合などを説明した。
しかしながら、進角ポート41aと遅角ポート41bとの関係は入れ替えが可能である。進角ポート41aと遅角ポート41bとの関係を入れ替えた場合は、第一実施形態および第二実施形態の進角ポジションPaと遅角ポジションPbの関係が入れ替わる。また、第三実施形態の場合は、第一進角ポジションPa1と第一遅角ポジションPb1とが入れ替わり、第二進角ポジションPa2と第二遅角ポジションPb2とが入れ替わる。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。