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JP2019108442A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、フィルムの厚みむら、高温での加熱処理に使用されても透明性に優れ、熱変形し難く、製膜安定性に優れたポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルを主成分とする下記(1)〜(3)を満たす単層構成からなるポリエステルフィルム。(1)170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値が0.5%以下であること。(2)ジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であること。(3)フィルムの長手方向、幅方向の厚みむらがいずれも5.0%以下であること。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの厚みむら、高温での加熱処理に使用されても透明性に優れ、熱変形し難く、製膜安定性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れ、さまざまな分野で使用されている。
特に近年では、タッチパネルや電子ペーパー等に使用されている透明導電性積層体の基材や、その導電電極の製造工程における保護フィルムとして使用されている。
透明導電性積層体としては、ポリエステルフィルムを基材とし、その上に直接、あるいは樹脂アンカー層を介して、様々な導電性層が形成されている。その導電性層として、例えば、酸化インジウムスズや銅などの金属を基材へ蒸着密着させるスパッタリングによって形成され、その蒸着時の高温による基材の熱寸法安定性を最小に抑えるべく事前に、機材フィルムを加熱処理し、加工されることが一般的になっている。また、保護フィルムとしては、タッチパネル用の透明電極の製造工程において、金属からなる透明導電膜が形成された透明導電性フィルムは、アニール処理や、金属の結晶化工程、レジストの印刷工程、エッジング処理工程など、多くの加熱工程や薬液処理の工程を経て、透明導電性フィルムが製造されているが、製造工程中に、透明電極の汚損、損傷が生じるのを防止するために、透明導電性フィルムの透明導電膜が形成された面と反対側に表面保護フィルムとしてポリエステルフィルム貼り合わされに用いられている。
前記の透明電極の製造工程では、例えば、低熱収縮率化のために130℃で熱処理を行なう(特許文献1)、あるいは導電膜の金属の結晶化のために150℃で熱処理を行う(特許文献2)等の処理があるため、透明導電性フィルム用基材フィルムおよび透明導電性フィルム用表面保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムには、耐熱変形性が求められる。また、上記熱処理工程においてポリエステルフィルムに残存もしくは熱分解等で発生する低分子量物(オリゴマ)が表面に析出してポリエステルフィルム外観の白化、金属層表面への転写による歩留まり低下や工程の汚染、洗浄などの余分な工程を増やし、製品の生産性を大きく低下させる課題がある。特に近年では、ITOの更なる電気抵抗の低減のために前記ITOの熱処理時温度の高温化、長時間化が進み、より高度な耐熱変形性が求められ、静電容量型タッチパネルを搭載したスマートフォンやタブレットの導電回路の緻密化および外観品位に対する要望がますます高度化しており、フィルム表面のオリゴマ析出の更なる抑制が求められている。
しかし、ポリエステルフィルムがこのような高温処理に晒されると、熱によるフィルム変形が発生し、導電性の低下や、変形による視認性の低下などが起こるため、ポリエステルフィルムを基材とした透明導電性積層体の特性は、耐熱変形性の面では十分に満足のいくものとは言えなかった。
上述の熱変形防止策として、例えば、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂中に結晶核剤を添加して結晶性を高くすることで耐熱変形性を向上させる方法(特許文献3)が提案されている。
特開2007−42473号公報 特開2007−200823号公報 特開2011−213770号公報 特開2014−46503号公報
しかしながら、特許文献3に記載されている方法では、透明性が悪化しやすく、フィルム外観の白化による視認性の低下が発生しやすい。
また、従来オリゴマの析出を防止する方法としてコーティングなどで表面に積層膜を設け、その積層膜にオリゴマの析出を防止する機能を持たせることが提案されているが (特許文献4)、前述の熱処理条件の過酷化により十分でない。
このため、ポリエステルフィルムは、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として用いるには十分に満足のいくものとは言えず、透明性や加工性との両立が求められている。
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、高温での加熱処理に使用されても透明性に優れ、熱変形し難く、製膜安定性に優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成する本発明は以下により得られる。
(あ)ポリエステルを主成分とする下記(1)〜(3)を満たす単層構成からなるポリエステルフィルム。
(1)170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値が0.5%以下であること。
(2)ジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であること。
(3)フィルムの長手方向、幅方向の厚みむらがいずれも5.0%以下であること。
(い)ポリエステルを主成分とする単層構成からなるポリエステルフィルムの少なくとも片側に塗布層を有する下記(1)〜(3)を満たすポリエステルフィルム。
(1)170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値が0.5%以下であること。
(2)ポリエステルを主成分とする単層構成からなるポリエステルフィルムのジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であること。
(3)フィルムの長手方向、幅方向の厚みむらがいずれも5.0%以下であること。
(う)光学用途に使用される(あ)または(い)に記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、フィルムの厚みむら、高温での加熱処理に使用されても透明性に優れ、熱変形し難く、製膜安定性に優れたポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明のポリエステルフィルムを実施するための形態について、以下、説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂を単層構成とするフィルムである。ポリエステル樹脂は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であり、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主成分とし、これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも、品質、経済性などを総合的に考慮すると、ポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。また、これらポリエステル樹脂には、さらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、加熱前のフィルムのヘイズ値が2.0%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。また、本発明のポリエステルフィルムは、170℃3時間加熱後のフィルムのヘイズ値が2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。本発明のポリエステルフィルムは、透明性が要求されるため、加熱前、加熱後のいずれにおいても、ヘイズ値が2.0%以下、好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値(以下、単にΔHz値という場合がある)が0.5%以下であることが重要である(以下、170℃3時間加熱前のフィルムを加熱前、170℃3時間加熱後のフィルムを加熱後、という場合がある)。ΔHz値が小さいほど、熱影響を受けても透明性に優れたフィルムとすることができる。ΔHzは好ましくは、0.2%以下、さらに好ましくは、0.1%以下である。ΔHz値が0.5%を超えると、加熱後のフィルムのヘイズ値が高くなり、透明電極基板とした場合の視認性、透明導電積層体の保護フィルムとした場合の検査視認性が低下する場合がある。また、ΔHz値が0.5%を超えるのは、フィルム中に存在する環状三量体が加熱によってフィルム表面に析出されることが一つの要因である。そのため、ΔHz値が0.5%を超えるフィルムを他の部材と張り合わせて導電性フィルムの表面保護フィルムとした場合には、加工後に本発明のポリエステルフィルムが剥離されるが、ポリエステルフィルム表面上に析出した環状三量体が相手部材の表面に転写され、製品としての品質を悪化させる場合もある。
フィルムの加熱前後のΔHz値が0.5%以下とするには、加熱前のフィルム中に含まれる環状三量体の含有量を0.5重量%以下とすることが挙げられる。ポリエステルフィルム中の環状三量体の含有量を0.5重量%以下とする手段は、特に限定されないが、環状三量体の含有量が少ないポリエステル樹脂を出発原料としてフィルムを製造すること、フィルム中に含まれる粒子含有量を調整する方法などが挙げられる。環状三量体の含有量が少ないポリエステル樹脂の製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂の製造後に固相重合する方法等が挙げられる。ポリエステル樹脂組成物中に含まれる環状三量体の含有量は、さらには0.45重量%以下が好ましい。ポリエステル樹脂の環状三量体の含有量が少ないほうが、フィルム成形時やフィルム加工工程で環状三量体がフィルムの表面に析出しにくくなり、加熱後のフィルムの透明性も維持しやすくなり、こうすることで、透明導電基板フィルムとして用いられる場合、加工工程における熱影響を受けても、最終的な製品である導電電極自体のフィルムの透明性を維持することができる。また導電性フィルム用表面保護フィルムとして用いられる場合においても、異物や欠点検査の際に視認性を阻害しにくい。ポリエステル樹脂の環状三量体が0.5重量%を超えると、フィルムの加熱前のヘイズ値、加熱後のヘイズ値が2.0%を越える場合があり、粒子の添加量同様に、透明電極の基材として本発明のフィルムが用いられた場合、最終的な透明電極として視認性が低下し、タッチパネル等の高度な視認性が必要とされる用途に不適当となる場合がある。ポリエステル樹脂に含まれる環状三量体の含有量の下限については特に限定されるものではないが、環状三量体を完全にゼロとすることは難しく、0.01重量%以上である。
フィルム中に含まれる粒子含有量を調整する方法としては、ポリエステルフィルムに含まれる粒子含有量を、0.5重量%未満とすることが好ましい。粒子は、フィルムの製造工程や加工時における易滑性を付与するために粒子を添加することができるが、ポリエステルフィルム全体に対して粒子含有量が0.001重量%以上0.5重量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは、0.001重量%以上0.01重量%以下である。
粒子含有量を前述の範囲とすることで、透明性を有しながらも易滑性を付与することが出来、さらには、フィルムの透明性の指標であるへイズ値を2.0%以下、さらには、フィルムの加熱後(170℃3時間加熱した後)の透明性も2.0%以下とすることが容易となる。粒子含有量が0.5重量%を超えると、フィルムの易滑性は向上するが、フィルムの初期ヘイズ値が2.0%を超えてしまう場合があり、また、加熱後のヘイズ値も高くなりやすい傾向にある。また、粒子を添加することにより、フィルムの製膜工程において、粒子を起点とする結晶化が進むため、加熱後の平面性が良好になる場合がある。初期の透明性を悪化させる理由は、主に粒子によるものであるが、加熱後のヘイズ値が悪化する理由は、フィルム表面付近は、ポリエステル樹脂と粒子の界面が目立ち、その界面からフィルム中に含まれる環状三量体が表面に析出し易くなるからであると考えられる。添加する粒子の種類としては、特段に限定されるものではないが、代表的には、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、有機粒子等を用いることができる。平均一次粒径としては、15nmから300nmが好ましい。15nmより小さい場合は、粒子が表面に突出せず易滑性、耐熱性、耐擦過性が悪化したり、粒子同士が凝集してフィルム表面が粗化したり、白濁しやすくなるので好ましくない。また、300nmより大きい場合は、粒子がフィルムから滑落したり、表面が粗化するため好ましくない。本発明のポリエステルフィルムは、透明性を有する用途に好ましく用いられるため、中でも、アルミナ粒子、シリカ粒子、有機粒子が特に好ましく用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、0.55dl/g以上0.75dl/g以下であることが好ましい。固有粘度(IV)が該範囲であるとフィルムの厚みむらが抑制され、安定的に製膜することができ、加熱後のフィルムの平面性も良好なものとすることができる。固有粘度(IV)が0.55dl/g未満であると、溶融粘度が低下し、押出し口から樹脂を溶融冷却するドラム上への樹脂の着地までに局所的な厚みむらを発生しやすくなり、また、加熱後のフィルムの平面性が悪化する場合がある。また、固有粘度(IV)が0.75dl/gを超えると、フィルムの製膜時における押出し工程で押出し部位に圧力がかかり、厚みむらを発生しやすくなったり、フィルムの製膜工程におけるクリップ把持部分とフィルム中央部とで張力差が発生し、フィルム破れが発生し易くなる。さらに好ましい固有粘度(IV)は、0.60dl/g以上0.70dl/g以下である。
ポリエステルフィルムの厚みむらは、フィルムの長手方向(フィルムの製膜方向)、幅方向(フィルムの製膜方向とは垂直な方向)ともに5.0%以下であることが重要である。さらに好ましくは、3.0%以下である。フィルムの厚みむらは、厚みむらが少なければ少ないほどポリエステルフィルムの夫々の面長手方向屈折率nMD、面幅方向屈折率nTD、面垂直方向屈折率nZDにおいて、屈折のバラツキを抑えることができ、光学用フィルムに用いる場合、干渉ムラの発生を抑制しやすくなる。
ポリエステルフィルムに用いるポリエステル樹脂組成物を固相重合が施すと、ポリエステル樹脂の環状三量体量を低くすることができため、最終的に得られるポリエステルフィルムの加熱前後のヘイズ値、ΔHz値も低くすることができるが、ポリエステル樹脂組成物を製造する際、環状三量体を減少させる固相重合にかかる時間が長時間となることで、ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)の上昇が大きくなり、厚みむらや溶融押し出しして成形するフィルムを製膜する際にフィルムの破れを引き起こす場合がある。そのため、本願発明では、後述するジエチレングリコール(DEG)量を調整することが極めて重要である。本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一軸方向に延伸してなるフィルムであることが好ましく、こうした延伸フィルムにおいては、製膜工程の流れ方向とは垂直な方向(以下、幅方向という場合がある)に延伸する場合は、フィルムを把持して幅方向に延伸する方法が採用されているが、固有粘度(IV)が高い樹脂を溶融押出しし延伸すると、厚みむらを発生させたり、端部のクリップ部分と中央部分とで延伸の張力差が発生し、フィルム破れが発生するのである。
本発明のポリエステルフィルムは、ジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であることが重要である。DEG量は、好ましくは1.0重量%以上2.0重量%以下である。本発明において、ポリエステル樹脂中に含有するジエチレングリコール(DEG)とは、後述する測定方法により求められ、ポリエステル鎖に共重合した状態でポリエステル樹脂中含有しているジエチレングリコール、ポリエステル樹脂中に単独で含有しているジエチレングリコールのどちらも含む。ジエチレングリコール(DEG)の含有量が0.9重量%未満である場合は、フィルム製造工程における延伸性が悪化し、製膜工程においてフィルムが破れ易くなる。ジエチレングリコール(DEG)の含有量が3.0重量%を越える場合は、延伸時の分子の配向性が低下することで、熱変形性が悪化する傾向がある。ジエチレングリコール(DEG)の含有量を上記の範囲とする事で、ポリエステル分子に適度な柔軟性が付与され、フィルムが破れにくくなり生産性を向上させることができる。より好ましくは0.9重量%以上1.5重量%である。
フィルムを構成するポリエステル樹脂中のジエチレングリコール(DEG)量を上記の範囲とするためには、ポリエステル樹脂重合時のジオール成分としてジエチレングリコール(DEG)を添加する方法や、重合時の金属触媒量を調整する方法が挙げられる。ただ、ジエチレングリコール成分はエチレングリコール成分の副反応成分としても生じるため、ジエチレングリコール(DEG)量を安定して上記範囲とするためには、重合反応中の副反応成分を抑制し、かつ制御する事が必要となる。そのため、ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸ジメチルの様な末端がエステル化された原料を用いる事が好ましい。例えばテレフタル酸の様な末端がカルボン酸となっている原料を出発原料として用いた場合は、カルボン酸成分によりジオール成分同士が反応する副反応を生じやすい。
本発明のポリエステルフィルムの層構成は、単層構成とするものであるが、本発明を全ての層に適用する擬似複合フィルムとすることもできる。複数層の擬似複合単層フィルムとする形態において、その積層構成は、本発明のポリエステルフィルムを単層構成としたA層のみの構成が、A層/A層、A層/A層/A層の構成とするものであり、その積層方法は制限されるものではなく、例えば、共押出法による積層方法、貼り合わせによる積層方法、これの組み合わせによる方法等を挙げることができるが、透明性と製造安定性の観点から、共押出法を採用することが好ましい。また、本発明のフィルムの上にコーティング層を設けることが可能である。コーティング層は、フィルムの製造工程中、もしくは、フィルムを一旦製造し巻き取った後にフィルムを巻き返しながら設けることが可能である。
本発明のポリエステルフィルムは、機械的強度の観点から二軸配向フィルムであることが好ましいい。二軸配向フィルムは二軸延伸法、すなわち、未延伸状態のシートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより得ることができる。また、二軸延伸法としては、逐次二軸延伸法を用いても良いし、同時二軸延伸法を用いても良い。さらには、二軸延伸を施した後に再度、フィルム長手方向あるいはフィルム幅方向に延伸を施す、再延伸法を施しても良い。
また、本発明を構成するポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない限り、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、架橋剤等が添加されていてもよい。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法を例にして説明する。ただし、本発明のポリエステルフィルムはこれに限定されるものではない。
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、テレフタル酸とエチレングリコールとを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。または、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。本発明においては、いずれの方法も採用することができる。さらに必要に応じて耐熱安定剤、静電剤、消泡剤、酸化防止剤などを反応前、反応中に添加することができる。 アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、脂肪族カルボン酸のアンチモン塩などが挙げられる。 アンチモン化合物の添加方法としては、粉体又はエチレングリコールスラリー、エチレングリコール溶液などが挙げられるが、アンチモンの凝集による粗大化を防止でき、その結果透明性(ヘイズ値)が良好となることから、エチレングリコール溶液として添加する方法が好ましい。リン元素化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸もしくはこれらのエステル化合物などが挙げられるが、特にリン酸、リン酸エチルエステルが好ましく用いられる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度(IV)は、溶融重合の終点をポリマーの攪拌トルクで判定することができ、目的とする固有粘度(IV)となるように溶融重合装置の終点判定トルクを設定すればよい。
その後、得られた溶融ポリエチレンテレフタレートは口金よりストランド状に吐出、冷却し、カッターによってペレット化する方法により液相ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造できる。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、固相重合を施す前に予備結晶化することが好ましい。予備結晶化はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に機械的衝撃を与え、せん断処理を施す方法や熱風流通下で加熱処理を施す方法などを採用することができる。
予備結晶化を終了したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は引き続いて固相重合を施す。ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を固相重合装置に仕込み、不活性ガスを流通させ、所定の温度で固相重合を施す。固相重合が終了したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は冷却して装置内から取り出す。
固相重合を施すポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度(IV)は0.40dl/g〜0.52dl/gの範囲にあることが好ましく、さらには0.45dl/g〜0.50dl/gの範囲にあることが好ましい。0.40dl/g以上であると、所定の温度または時間で環状三量体量が減少するので、生産性が良好となり好ましい。0.52dl/g以下であると、短時間で結晶化が進み、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度が上昇するまでに、環状三量体が減少するので好ましく、また熱履歴が少ないため、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の着色を抑制するので好ましい。
不活性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスや窒素ガス、炭酸ガス等を上げることができる。
こうして得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物(環状三量体含有量0.01〜0.5重量%、固有粘度0.5〜0.85dl/g)を真空乾燥した後、押出機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸フィルムを作製する。
この未延伸フィルムを70〜100℃に加熱されたロール間でフィルムの走行方向である縦方向に2.5〜5.0倍延伸する。続いて、このフィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、75〜95℃の温度まで加熱を行い、引き続き連続的に90〜115℃の加熱ゾーンで縦方向とは直交する横方向に3.0〜5.0倍延伸し、続いて200〜240℃の加熱ゾーンで5〜60秒間熱処理を施し、100〜200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向の完了したポリエステルフィルムを得る。
なお、上記の熱処理中に熱寸法安定性を高めるために、縦方向あるいは幅方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
得られたポリエステルフィルムの端部をカットし、巻き取り中間製品とし、その後、巻き取ったフィルムを巻き返しながら、スリッターを用いて所望の幅にカット後、円筒状のコアに巻き付け所望の長さのフィルムロールを得ることができる。なお、巻き取った後のフィルムの擦過キズの発生やフィルムとフィルムが張り付くブロッキングを抑制すべく、フィルムの横方向の両端部にナール処理を施し、フィルムにエンボス加工が施されていても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、上述したように、コーティング層を設けることができる。例えば、フィルムに易滑性を付与するための粒子含有層、フィルムの表面硬度や耐擦過性を補完するためのハードコート層、別に設けるハードコート層等の機能層との接着性を補完するための易接着層、ハードコート層と基材ポリエステルフィルム間の屈折率差により生じる光の干渉ムラを抑制するための屈折率調整層、あるいは、他のフィルムとの貼り合わせを行うために設ける粘着層等が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、厚みが10μm以上500μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが10μm未満あるいは500μmを超える場合は、フィルムとして安定した製造が困難となる場合があり、特に、500μmを超える場合は透明性との両立が困難となる場合がある。本発明のポリエステルフィルムの厚みは、16μm以上300μm以下であることがより好ましく、18μm以上250μm以下、さらには、20μm以上200μm未満であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、光学用途に好適に使用される。特には、透明導電基材フィルム用途、導電性フィルム用表面保護フィルムとして、好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、各種物性の測定方法を記載する。
(1)製膜安定性
実施例・比較例の条件にて製膜を実施した際の破れ回数を1日当たりに換算した計算値を用いて下記の基準にて判定した。○、△が実用可能な範囲である。
○:1日当たりの破れが1回以下
△:1日当たりの破れが1回を越えて2回以下
×:1日当たりの破れが2回を越える。
(2)初期ヘイズ値
5cm角のフィルムを試料とし、加熱前と170℃3時間加熱後のヘイズをそれぞれJIS−K−7105(1985年)に基づいて、ヘーズメーターで測定した。(スガ試験機製“HZ−V3”)測定試料はそれぞれ3試料用意し、加熱前のヘイズの平均をもって初期ヘイズ値とし、加熱前のヘイズと加熱後のヘイズ値の平均値の差分からΔHzを求めた。
(3)フィルムの環状三量体の含有量
加熱前のフィルム片20mgを試料として、OCP(o−クロロフェノール)に150℃で30分間溶解し、室温で冷却した。その後、内部標準として1,4−ジフェニルベンゼンを添加後、メタノール2mLを加えて高速遠心分離機でポリマーを分離し、液層部を高速液体クロマトグラフ(島津製作所製“LC−10ADvp”)を用いて測定した。
(4)加熱後の平面性評価(耐熱変形性)
20cm四方に切り出したフィルムをパンチングメタルの上に置いた状態で、温度を150℃に設定したオーブン中に無緊張状態で10分間保持した後、フィルムサンプルを室温で10分間冷却し、蛍光灯の反射光により、フィルムの表面に映し出された蛍光灯の反射像の状態を観察した。パンチングメタルは下記の2種を用いて評価を行ない、下記の判定基準により耐熱変形性を評価した。
・パンチングメタルA:奥谷金網製作所製パンチングメタル SUS304
エンボス加工 1.5t×D4.5×P7.5 60°チドリ
・パンチングメタルB:奥谷金網製作所製パンチングメタル SUS304
エンボス加工 2t×D7/H1.3×P10 60°チドリ
〔耐熱変形性の評価基準〕
○:パンチングメタルAおよびパンチングメタルBのいずれの場合においても、蛍光灯の反射像に歪みは見られなかった。
△:パンチングメタルAおよびパンチングメタルBのいずれの場合においても、フィルム表面の一部に、パンチングメタルのエンボス加工ピッチで、蛍光灯の反射像に歪みがあった。
×:パンチングメタルAおよびパンチングメタルBのいずれの場合においても、フィルム表面の全面に、パンチングメタルのエンボス加工ピッチで、蛍光灯の反射像に歪みがあった。
(5)フィルムの厚みむら(%)
ポリエステルフィルムをソニー社製、デジタルマイクロメーターを使用し、JIS−C−2151に従って測定した。ポリエステルフィルムの長手方向および幅方向をそれぞれ、以下のように測定し、厚みむらを求め、その平均を取って評価した。
〔厚みむらの測定〕
ポリエステルフィルムの厚みを長手方向または幅方向に10点測定しその平均値を中心値Aとした。また、最大値から最小値を差し引いた値を厚みムラBとし、中心値に対する厚みムラの割合を算出した。すなわち、フィルムの厚みムラ(%)=100×B/Aとし、長手方向と幅方向の平均を以下にて評価を行なった。
〔厚みむらの評価〕
×:厚みむらが5.0%を超える
△:厚みむらが3.0%超えて5.0%以下
○:厚みむらが3.0%以下。
(6)フィルム中の粒子含有量(重量%)
試料をメタノールで十分洗浄し、表面付着物を取り除き、水洗して乾燥した300gのサンプルにo−クロロフェノール2.7Kgを加えて撹拌しつつ100℃まで昇温させ、昇温後さらに1時間そのまま放置してポリエステル部分を溶解させる。ただし、高度に、結晶化している場合などでポリエステル部分が溶解しない場合は、一度溶解させて急冷した後に前記の溶解操作を行なう。
ついで、ポリエステル中に含有されているゴミなどの粗大不溶物をG−1ガラスフィルターでろ別し、除去し、このろ上物の重量を試料重量から差し引く。
日立製作所分離用超遠心機40p型にローターRP30を装備し、セル1個当りに前記ガラスフィルターろ別後の溶液30ccを注入後、ローターを4500rpmにて回転させ、回転異常のないことを確認後、ローター中を真空にし、30000rpmに回転数を上げ、この回転数にて粒子の遠心分離を行なう。
分離の完了はほぼ40分後であるが、この確認は必要あれば分離後の液の375mμにおける光線透過率が分離前のそれに比し、高い値の一定値になることで行なう。分離後、上澄液を傾斜法で除去し分離粒子を得る。
分離粒子には分離が不十分なことに起因するポリエステル分の混入があり得るので、採取した該粒子に常温のo−クロロフェノールを加え、ほぼ均一懸濁後、再び超遠心分離機処理を行なう。この操作は、後述の粒子を乾燥後、該粒子の走差型差動熱量分析を行なって、ポリマに相当する融解ピークが検出できなくなるまで繰返す必要がある。最後に、このようにして得た分離粒子Aを120℃、16時間真空乾燥して秤量する。
これをフィルム中の粒子含有量(重量%)とした。
[使用したポリエステル樹脂]
(PET−A)
テレフタル酸とエチレングリコールの反応物であるエステル化反応物を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15になるようにスラリー状にしてエステル化反応槽の温度を保ちながら定量供給し、水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を、重合反応槽に移送し、リン酸を含むエチレングリコール溶液と酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、アルカリ金属元素、かつカリウム元素、マグネシウム元素、リン元素のM/Pが2.8に、アンチモン元素として60ppmとなるように添加し、引き続いて重合反応槽内を除々に減圧にし、30分で0.13kPa以下とし、それと同時に除々に昇温して280℃とし、溶融重合後の固有粘度が0.50dl/gとなるように重合反応を実施した。その後、窒素ガスによって重縮合反応槽を常圧に戻し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化し、表面結晶化装置によって予備結晶化し、液相ポリエステルを得た。ここで得られた液相ポリエステルを用いて、回転式真空乾燥装置により、0.13KPaの減圧下、215℃の温度で18時間固相重合を行い、ポリエステル樹脂(PET−A)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−A)の固有粘度は0.65dl/g、環状三量体含有量は0.42重量%、DEG量は1.05重量%であった。
(PET−B):
液相ポリエステルを得た後の固相重合を連続式真空乾燥装置を用いて行うこと以外はPET−Aと同様にしてポリエステル樹脂(PET−B)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−B)の固有粘度は0.73dl/g、環状三量体含有量は、0.39重量%、DEG量は1.05重量%であった。
(PET−C):
溶融重合後の固有粘度を0.40、固相重合時間を26時間と変更する以外は,PET−Aと同様の方法で実施した。固有粘度が0.60dl/g、環状三量体が0.38重量%、DEG量は1.08重量%であった。
(PET−D):
固相重合時間を26時間と変更する以外は、PET−Aと同様の方法で実施し、ポリエステル樹脂(PET−F)を得た。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は、0.70dl/g、環状三量体含有量は、0.38重量%、DEG量は1.05重量%であった。
(PET−E):
酢酸マグネシウム4水和物、リン酸の添加量をM/Pが2.0となるように変更すること以外は、PET−Aと同様にして、ポリエステル樹脂を得た。固有粘度は、0.64dl/g、環状三量体含有量は、0.42重量%、DEG量は1.05重量%であった。
(PET−F):
三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液にアンチモン元素量を変更し、固相重合を実施しないこと、固有粘度を変更したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−A)と同様の方法により、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.70dl/g、環状三量体含有量は1.07重量%、DEG量は1.10重量%であった。
(PET−G):
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール38.15重量部、ジエチレングリコール0.25重量部を窒素雰囲気下、温度260℃にて混合した。その後温度を225℃へ降下させ、酢酸マンガン4水和物0.068重量部、三酸化アンチモン0.029重量部を添加後攪拌しながら、更にエチレングリコール15.9重量部とジエチレングリコール0.10重量部の混合物を2時間かけて徐々に添加しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、反応系内のポリエステルの温度を225℃とし、リン酸0.015重量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.027重量部をエチレングリコール6.8重量部に溶解したエチレングリコール溶液(リン化合物の濃度0.4重量%)を添加した。引き続き、重合反応を最終到達温度285℃、圧力13Paの減圧下で行い、固有粘度0.54を得た。さらに、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、圧力65Paの減圧条件下にて230℃、10時間の固相重合を行い、固有粘度(IV)が0.82、環状三量体含有量が0.25重量%、DEG量が1.20重量%のポリエステルを得た。
(PET−H):
PET−Gにおいて、リン酸アルカリ金属塩として、リン酸二水素ナトリウム2水和物を添加せず、ジエチレングリコール添加量を、全ジオール成分比率に対して、2.5重量とすること以外は、同様にして、固有粘度(IV)が0.82、環状三量体含有量が0.25重量%、DEG量が3.15重量%のポリエステルを得た。
(PET−I):
PET−Gにおいて、ジエチレングリコールを添加しないこと以外は、同様にして、固有粘度(IV)が0.82、環状三量体含有量が0.25重量%、DEG量が0.68重量%のポリエステルを得た。
[使用した塗液]
(塗剤−1)
窒素ガス雰囲気下で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸40モル部、テレフタル酸50モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール95モル部、ジエチレングリコール5モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。その後、トリメリット酸5モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル(A)を得た。その後、ポリエステル(A)を100重量部、メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”(登録商標)MW12LF:有効成分70重量%、イソプロピルアルコール17重量%含有)を50重量部(有効成分換算)、コロイダルシリカ(粒径140nm)を1.5重量部混合してなる有効成分を5.0重量部、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを3.0重量部、水を92.0重量部混合して、塗液−1を得た。
(塗液−2)
窒素ガス雰囲気下で、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール100モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。その後、1,3,5−トリメリット酸10モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル(B)を得た。その後、ポリエステル(A)をポリエステル(B)に変更したこと以外は、塗液−1と同様の方法により、塗液−2を得た。
(塗液−3)
有効成分を、ポリエステル(A)を100重量部、メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”(登録商標)MW12LF:有効成分70重量%、イソプロピルアルコール17重量%含有)を40重量部(有効成分換算)、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒(株)製“エポクロス”(登録商標)WS500:有効成分40重量%、1−メトキシ−2−プロパノール38重量%含有)を10重量部(有効成分換算)、コロイダルシリカ(粒径140nm)を1.5重量部混合してなることに変更したこと以外は、塗液−1と同様の方法により、塗液−4を得た。
[ポリエステルフィルムの作成]
(実施例1)
PET−A真空中160℃で4時間乾燥した後、PET−Aにシリカ粒子(平均粒子径0.45μm)をPET−Aに対して、0.01重量%添加し、押出機に供給し285℃で溶融押出を行った。ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで、次いで平均目開き14μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターで濾過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。なお、この時キャスティングドラムの反対面から温度10℃の冷風を長手方向に8段設置した間隙2mmのスリットノズルから風速20m/sでフィルムに吹き付け、両面から冷却を実施した。
この未延伸フィルムを予熱ロールにて70℃に予熱後、上下方向からラジエーションヒーターを用いて90℃まで加熱しつつロール間の周速差を利用して長手方向に3.1倍延伸し、引き続き冷却ロールにて25℃まで冷却し、一軸配向(一軸延伸)フィルムとした。
一軸延伸フィルムをクリップで把持してオーブンに導き、温度120℃、風速20m/分の熱風にて加熱乾燥した。引き続き連続的に延伸工程に導き、温度100℃、風速15m/分の熱風にて加熱しながら幅方向に3.7倍延伸した。得られた二軸配向フィルムを引き続き連続的に温度230℃、風速20m/分の熱風にて15秒間熱処理を実施後、230℃から120℃まで冷却しながら幅方向に5%の弛緩処理を施し、続けて50℃まで冷却した。引き続き幅方向両端部を除去した後に巻き取り、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。
ここで得られたポリエステルフィルムは、透明性、耐熱変形性、に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
(実施例2)
PET−Aに粒子を添加しないこと、一軸延伸フィルムを得た後、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとし、表1に記載する塗液を上記一軸延伸フィルムの両面にバーコーターを用いて、塗布乾燥後の塗布厚みが100nmとなるように塗布した。なお、メタリングワイヤーバーは直径13mm、ワイヤー径0.1mm(#4)のものを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
一軸延伸フィルムを得た後、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとし、表1に記載する塗液を上記一軸延伸フィルムの両面にバーコーターを用いて、塗布乾燥後の塗布厚みが100nmとなるように塗布した。なお、メタリングワイヤーバーは直径13mm、ワイヤー径0.1mm(#4)のものを用いた。塗布をした以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
PET−Aに代えて、PET−Bとすること、粒子を添加しないこと以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
(実施例5〜7)
PET−Aに代えて、表1のポリエステル樹脂を用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
PET−Aに代えて、塗剤、最終フィルム厚みを表1とする以外は、実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例2と対比すると、PET−Dは、固相重合を採用していない樹脂であり、厚みが50μmと薄かったのに対し、コーティング層を施しても加熱後のヘイズ値が2.0%を大きく上回り、ΔHzが劣るものであった。
(比較例2)
PET−Aに代えて、表1に記載の樹脂を採用すること、粒子含有量を変更すること以外は、実施例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例5と対比すると、PET−Cは、固相重合を施した樹脂であるが固相重合前の固有粘度が0.40と低く、最終的に得られたフィルムの固有粘度(IV)も低いものであったが、粒子量が多く、加熱前、加熱後のヘイズ値、ΔHz値が高かったが、加熱後の平面性は向上した。
(比較例3)
PET−Aに代えて、表1に記載の樹脂を採用すること、粒子含有量を変更すること以外は、実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。PET−Gは固相重合を施したものであり、最終的に得られたフィルムの固有粘度(IV)は高く、加熱後の平面性には優れるが、加熱前、加熱後のヘイズ値、ΔHzが高く、製膜性も若干悪化した。
(比較例4)
PET−Aに代えて、表1に記載の樹脂を採用すること以外は、実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例2に比べて、固有粘度が高くなったが、ジエチレングリコール(DEG)量が高かったため、製膜性は安定したが、加熱後の平面性が悪化した。
(比較例5)
PET−Aに代えて、表1に記載の樹脂を採用すること以外は、実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例2に比べて、ジエチレングリコール(DEG)量が少なかったため、加熱後の平面性は良好であったが、固有粘度が高く、DEGが少ないため、製膜性は悪化した。
Figure 2019108442

Claims (3)

  1. ポリエステルを主成分とする下記(1)〜(3)を満たす単層構成からなるポリエステルフィルム。
    (1)170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値が0.5%以下であること。
    (2)ジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であること。
    (3)フィルムの長手方向、幅方向の厚みむらがいずれも5.0%以下であること。
  2. ポリエステルを主成分とする単層構成からなるポリエステルフィルムの少なくとも片側に塗布層を有する下記(1)〜(3)を満たすポリエステルフィルム。
    (1)170℃3時間加熱した前後のフィルムのヘイズ値の変化量ΔHz値が0.5%以下であること。
    (2)ポリエステルを主成分とする単層構成からなるポリエステルフィルムのジエチレングリコール(DEG)量が0.9重量%以上3.0重量%以下であること。
    (3)フィルムの長手方向、幅方向の厚みむらがいずれも5.0%以下であること。
  3. 光学用途に使用される請求項2に記載のポリエステルフィルム。
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