JP2019191310A - プロジェクタおよびこれを用いた空間周波数成分の低減方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】計測対象物の三次元形状等を検査するためのプロジェクタにおいて、空間周波数の高い側のコントラストを低減させ、DMDのミラー間の空隙に起因する投影面における黒線の発生を抑え得るプロジェクタの提供。【解決手段】明部と暗部とを交互に有する縞模様のパターンを形成するDMD(デジタルミラーデバイス)を有する三次元計測用のプロジェクタが、DMD20と投影レンズ40との間の光路中に設けられた光学ローパスフィルタ60を有する。光学ローパスフィルタ60は、複数枚の複屈折板と複屈折板と同じ枚数の1/4波長板とが交互に積層されてなる積層構造を有する。複屈折板は、DMD20からの光を縞模様70の縞に平行な方向Dpに沿って分離するように、その光学結晶軸の向きが設定されており、また、その光学結晶軸がDMD20からの光の光軸に対して45°の角度を成している。【選択図】図1
Description
本発明は、工業用検査等に用いる三次元計測用のプロジェクタおよびプロジェクタを用いた空間周波数成分の減衰方法に関する。
従来から、プロジェクタを用いて計測対象物に所定パターンの光を投影し、計測対象物の三次元形状等を検査する技術が用いられている。このようなプロジェクタは、コンデンサレンズ、全反射プリズム、投影レンズといった光学要素の他、映像素子としてデジタルミラーデバイス(DMD)といったものが使用されており、光源からの光がDMD素子によって空間変調されて所定のパターン光が生成され、投影面(計測対象物)に所定パターン(縞模様)の光が投影されるようになっている。そして、投影面に投影される所定パターンの光を時間的に変化させる位相シフト法を適用し、投影面からの反射光を投影面への照射方向とは異なる角度で撮像しパターンのズレを解析することにより、計測対象物の凹凸(三次元形状)、反り等の欠陥を検出することができるようになっている。
計測対象物の凹凸を検査するための表面検査装置として、例えば特許文献1に記載されているような表面検査装置がある。この表面検査装置では、空間変調手段としてDMDを用いており、DMDからの投射光が所定の照射角により計測対象物である半導体デバイスの表面上に照射されるようになっている。半導体デバイスの表面で反射した反射光は、上記照射角に応じた輝度で結像され、CCDといった受光素子により受光される。このような構成の下、DMDにおいて光を投射するミラーの位置を切り替えて、計測対象物への照射角を変えることにより、半導体デバイスの表面の検査を行うようになっている。
DMDを有して構成されるプロジェクタでは、DMDを構成する個々のミラーとミラーとの間には、電気的に駆動されるミラー同士が干渉しないように非常に微小なサブミクロンオーダーの隙間があり、この隙間により、投影面に投影される縞模様に、隙間に対応する「黒線」が含まれてしまうという問題がある。この問題は、特に投影レンズの解像度を上げた場合に顕著となる。
一般に、レンズ性能を評価する指標であるMTF(Modulation Transfer Function)曲線では、空間周波数の低い側から高い側まで、コントラストの高い状態が維持される。上記隙間に対応する「黒線」が発生する原因は、光学的な処理を行わずに投影レンズを使用した場合、空間周波数の高い側のコントラストが高いことから、DMDのミラーとミラーとの間の隙間まで「シャープに」投影面に投影されてしまうためである。したがって、「黒線」の発生を抑えるために、三次元計測用のプロジェクタにおいては、空間周波数の高い側のコントラストを大幅に低減させて「黒線」が映らないようにしていた。
上記のような課題に鑑みて、本発明は、計測対象物の三次元形状等を検査するためのプロジェクタにおいて、空間周波数の高い側のコントラストを低減させ、これにより、DMDのミラー間の隙間に起因する投影面における「黒線」の発生をより効果的に抑え得るプロジェクタを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係るプロジェクタは、明部と暗部とを交互に有する縞模様のパターンをDMD(デジタルミラーデバイス)で形成し、当該パターンを投影レンズにより計測対象物の投影面に向けて投影する三次元計測用のプロジェクタであって、前記DMDと前記投影レンズとの間の光路中に設けられた光学ローパスフィルタを有しており、前記光学ローパスフィルタが、前記DMDからの光のうちの一部の光を所定方向に屈折させて分離する複屈折光学素子(例えば、実施形態における複屈折板60a、60c)を含み、前記複屈折光学素子は、前記DMDからの光を前記縞模様の縞に略平行な方向(実施形態における縞に平行な方向Dp)に沿って分離するように、その光学結晶軸の向きが設定されている構成となっている。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記複屈折光学素子の光学結晶軸が前記DMDからの光の光軸に対して略45°の角度を成しているのが好ましい。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記光学ローパスフィルタが1/4波長板を含み、前記1/4波長板の光学結晶軸が、前記複屈折光学素子を通過した常光線の偏光方向に対して略45°の角度を成しているのが好ましい。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記光学ローパスフィルタが、複数枚の前記複屈折光学素子と、前記複屈折光学素子と同じ枚数の1/4波長板とを有して構成されており、前記複屈折光学素子と前記1/4波長板とが交互に積層されて成る積層構造を有するのが好ましい。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記DMDに最も近い側からX番目の前記複屈折光学素子の板厚をTxとするとき、当該板厚Txは、Tx=T1/Xとなるよう設定されるのが好ましい。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記複屈折光学素子の枚数Xは、前記DMDに最も近い前記複屈折光学素子を通過することによって分離される正常光線と異常光線との間の分離幅をD1とし、前記DMDを構成する1つのミラーの1辺の長さとLとするとき、D1=(1/2)*X*Lの式を満たすよう設定されるのが好ましい。
また、上記構成のプロジェクタにおいて、前記複屈折光学素子の枚数Xは、前記DMDを構成するミラーとこれに隣接するミラーとの間の隙間の大きさをdとするとき、2X<L/dの式を満たすよう設定されるのが好ましい。
さらに、前記課題を解決するために、明部と暗部とを交互に有する縞模様のパターンをDMD(デジタルミラーデバイス)で形成し、当該パターンを投影レンズにより計測対象物の投影面に向けて投影する三次元計測用のプロジェクタを用いて、前記DMDからの光のうちの一部の光を所定方向に屈折させて分離する複屈折光学素子を含む光学ローパスフィルタにより、前記DMDにより形成される縞模様の空間周波数の高い成分を減衰させる方法は、前記光学ローパスフィルタが、複数枚の前記複屈折光学素子と、前記複屈折光学素子と交互に積層された複数枚の1/4波長板とを有して構成されており、(a)前記光学ローパスフィルタを前記DMDと前記投影レンズとの間の光路中に設けるステップであって、前記DMDからの光を前記縞模様の縞に略平行な方向に沿って分離するように、前記複屈折光学素子の光学結晶軸の向きを設定するステップと、(b)前記DMDに最も近い前記複屈折光学素子に前記DMDからの光を通過させることにより、正常光線と異常光線とに分離するステップと、(c)前記最も近い複屈折光学素子に積層された1/4波長板に前記正常光線と異常光線を通過させることにより、前記正常光線及び異常光線をいずれも直線偏光から略円偏光に変換するステップと、(d)X番目の複屈折光学素子及びこれに積層された1/4波長板について、前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)を繰り返すステップと、を具える構成となっている。
上記構成のプロジェクタによれば、DMDと投影レンズとの間の光路中に複屈折光学素子を含む光学ローパスフィルタが設けられ、光学ローパスフィルタを構成する複屈折光学素子は、DMDからの光を縞模様の縞に略平行な方向に沿って分離するように、その光学結晶軸の向きが設定されていることにより、光学ローパスフィルタを通過して所定方向に分離した光によって投影面に投影される光のパターン(縞模様)は、縞模様の縞に垂直な方向(縞の幅方向)には解像度が高く、シャープに保たれたまま、縞模様の縞に平行な方向(縞の長手方向)には解像度が低く、ぼやけたものとなる。すなわち、光学ローパスフィルタを通すことにより、空間周波数の高い成分のコントラストが低減し、DMDのミラー間の微小な隙間(サブミクロン程度)の影響を消すことが可能となる。これにより、縞模様のそれぞれの縞の境界をシャープに保ちつつ、投影面に投影される縞模様にDMDのミラー間の微小な隙間に対応する「黒線」が含まれてしまうのを抑えることが可能となる。
本発明に係る三次元計測用のプロジェクタの一実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明のプロジェクタの構成要素を示す概略図である。本発明のプロジェクタ100は、光源1と、(数枚の)コンデンサレンズ10と、映像素子であるDMD20と、全反射プリズム30と、投影レンズ40と、光学ローパスフィルタ60とを少なくとも具えて構成される。図示する実施例においては、LED等から成る光源1からの光2が、コンデンサレンズ10により集光されて全反射プリズム30を透過した後、DMD20に入射され、DMD20で反射した光3(のパターン)が、全反射プリズム30を再度通過することによりローパスフィルタ60に導かれ、光学ローパスフィルタ60及び数枚の投影レンズ40を通過した後に投影面50に斜投影される。この構成により、DMD20により形成される明部と暗部とを交互に有する所定パターンの縞模様70が、投影レンズ40によって拡大されて、計測対象物の投影面50に投影される。なお、投影面50に向けて投影レンズ40によって斜投影するため、投影レンズ40は、シャインプルーフの条件を満たすように配置されている。これにより、投影面50の手前側(投影レンズ40に近い側)と奥側(投影レンズ40から遠い側)との両方で所定の縞70を含む光3の焦点が合うようになっている。
投影する光のパターン(縞模様70)を生成するDMD20は、間隔がサブミクロンオーダー(例えば、0.5μm等)の多数の微小なミラーが二次元的に整列して配置されており、個々のミラーを独立して電気的に制御することにより個々のミラーを駆動することが可能である。これにより、光源1から照射された光2は、DMD20によって、縞模様など所定パターンを含む光3に空間変調され、投影面50には様々なパターン(縞模様70)が投影される。
本実施例の光学ローパスフィルタ60は、偏光状態により屈折率が変化する2枚の複屈折光学素子と、2枚の1/4波長板とを有している。これら2枚の複屈折光学素子及び2枚の1/4波長板が交互に積層されることにより、一体となって光学ローパスフィルタ60を構成する。複屈折光学素子の材質として、水晶、方解石などが挙げられる。
図2に、光学ローパスフィルタ60を構成する複屈折光学素子による光の分離を示す。図2に示すように、紙面左右方向をX方向とし、紙面上下方向をY方向とし、光3の光軸方向をZ方向とする。これらの方向は互いに直交している。また、光学ローパスフィルタ60を構成する複屈折光学素子や1/4波長板は、ここではそれぞれ立方体の形状を有するものとして説明する。積層されている複屈折光学素子のうち、全反射プリズム30に最も近い側の複屈折光学素子(以下「複屈折板60a」)は、図2に示すように、光が入射しても光が分離されない方向である光学結晶軸(太い実線の両矢印)が、複屈折板60aのXZ平面上にあり、光3の光軸方向に対して45°の角度で、且つ板厚がT1となるよう切り出された素子で成るものである。複屈折板60aを通過する光3は、光学結晶軸と光軸とが傾いていることから、スネルの法則に従わない異常光線が光学結晶軸の方向に屈折し、常光線と異常光線とに分離される(図2の光3a、3b)。ここで、常光線と異常光線とが分離される方向とDMD20により形成される縞模様の縞に平行な方向Dpとが一致するように、複屈折板60aの光学結晶軸をそのXY平面に投影した線(太い鎖線の両矢印)の方向が、縞に平行な方向Dpと平行となる(X方向となる)よう設定されている。図2の光3a、3b上に示す細い矢印は、それぞれの直線偏光の振動方向を示す。ここで、各々の偏光成分が等しいことから、常光線と異常光線とを同じ強度で分離させることが可能である。
光3a、3bが分離することにより、DMD20により形成される縞は、複屈折板60aを通過する時点で、複屈折板60aの光学結晶軸をそのXY平面に投影した線の方向(X方向)にわずかにぼやける。ここで、ぼやけた縞模様は、それぞれの縞に垂直な方向Dv(縞の幅方向)には解像度が高く、シャープなままであり、縞に平行な方向Dp(縞の長手方向)には解像度が低く、ぼやけたものとなる。
複屈折板60aには、1/4波長板60bが接合されることにより、これらが積層されている。この1/4波長板60bの光学結晶軸(太い実線の両矢印)は、そのXY平面上にあり、常光線の偏光方向(紙面の上下方向)に対して45°の角度を成している。また、1/4波長板60bの光学結晶軸をそのXZ平面に投影した線の方向は、X方向である(太い鎖線の両矢印)。複屈折板60aを通過した光3a、3bは、1/4波長板60bを通過することにより位相差が発生し、光3a及び光3bのいずれもが、直線偏光から円偏光に変換される。図2に示す円は円偏光を示す。このように、直線偏光から円偏光に一旦変換することにより、以下のように光3a及び光3bをさらに分離することが可能となる。
1/4波長板60bには、光学結晶軸(太い実線の両矢印)が、XZ平面上にあり、光3の光軸方向に対して45°の角度で板厚がT2となるよう切り出された複屈折板60cが接合されている。また、複屈折板60cの光学結晶軸をそのXY平面に投影した線(太い鎖線の両矢印)の方向は、複屈折板60aの場合と同様に、DMD20により形成される縞模様の縞に平行な方向Dp(X方向)と平行である。これにより、複屈折板60cを通過する光3aが、常光線である光3a’と異常光線である3cとに分離され、複屈折板60cを通過する光3bが、常光線である光3b’と異常光線である3dとに分離される。これらの光3a’、3b’、3c、3dは、直線偏光の状態となっている。図2の光3a’、3b’、3c、3d上に示す細い両矢印は、それぞれの直線偏光の振動方向を示す。DMD20により形成される縞は、複屈折板60cを通過する時点で、複屈折板60cの光学結晶軸をそのXY平面に投影した線の方向(X方向)に元々の縞に対して四重にズレることになる。
さらに、複屈折板60cには1/4波長板60dが接合されている。この1/4波長板60dの光学結晶軸(太い実線の両矢印)は、そのXY平面上にあり、常光線の偏光方向(紙面の上下方向)に対して45°の角度を成している。また、1/4波長板60bの光学結晶軸をそのXZ平面に投影した線の方向は、X方向である(太い鎖線の両矢印)。複屈折板60cを通過した光3a’、3b’、3c、3dは、1/4波長板60dを通過することにより再び位相差が発生し、光3a’、3b’、3c、3dのいずれもが、直線偏光から円偏光に変換される。これにより、1/4波長板60dを通過した光3a’、3b’、3c、3dを、さらに別の複屈折板(図示せず)に通すことにより、分離させることが可能である。
このようにして、複屈折板60aに入射する光3を、最終的には光3a’、3b’、3c、3dに分離させることで、DMD20により形成される縞模様は、縞に垂直な方向Dv(縞の幅方向)には高い解像度を保ったまま、縞に平行な方向Dp(縞の長手方向)には解像度が低くなる。したがって、複屈折光学素子である光学ローパスフィルタ60は、空間周波数に対して所定の特性(空間周波数の高い側のコントラストが大幅に低減された特性)を有する光学ローパスフィルタを構成することが可能となる。
本実施例では、上記のように光学結晶軸がXZ平面上にあり、光3の光軸方向に対して光学結晶軸が45°の角度で切り出された複屈折板を2枚(複屈折板60a、60c)を使用しており、DMD20から全反射プリズム30を通って入射する光3が、複屈折板60a、60cによって常光線と異常光線とに2回(2段)にわたって分離される。光3が常光線と異常光線とに分離される回数(複屈折板が設けられる枚数)をXとし、1枚目(複屈折板60a)の厚さをT1とすると、各複屈折板の厚さTxは、Tx=T1/xの関係となるよう構成される。すなわち、2枚目(複屈折板60c)の板厚は、複屈折板60aの板厚の半分となっている。
複屈折板の枚数は、本実施例の2枚である場合に限られず、1枚の場合、あるいは3枚以上の場合であってもよい。複屈折板の枚数が多くなればなるほど、すなわち、Xの値が大きくなればなるほど、DMD20のミラー間の隙間に起因する投影面50に発生する「黒線」が薄くなる(コントラストが低くなって滑らかとなる)。X枚の複屈折板を使用する場合は、光学ローパスフィルタは、X枚の複屈折板とX枚の1/4波長板とが交互に積層されて構成され、光学ローパスフィルタに入射するDMD20からの光は、複屈折板を通過することによる常光線と異常光線への分離と、1/4波長板を通過することによる直線偏光から円偏光への変換が繰り返されつつ、多重になった縞模様が形成されることとなる。
ここで、図2に示す常光線と異常光線との間の幅(分離幅)D1は、複屈折板60aの厚さT1に比例しており、ne、noを、それぞれ、常光線、異常光線が複屈折板60aを通過する際の屈折率とし、θを光学結晶軸と光軸との成す角度(実施例では、θ=45°)とすると、以下の式が成り立つ。
D1=T1*((2ne−2no)SinθCosθ)/(2neSin2θ+2noCos2θ) (式1)
したがって、複屈折板60aの厚さを設定することで、常光線と異常光線との分離幅を制御することが可能である。
D1=T1*((2ne−2no)SinθCosθ)/(2neSin2θ+2noCos2θ) (式1)
したがって、複屈折板60aの厚さを設定することで、常光線と異常光線との分離幅を制御することが可能である。
また、複屈折板の枚数Xは、D1及びDMD20の1枚のミラーの1辺の長さLとの間に、
D1=(1/2)*X*L (式2)
という関係が成立するように設定するのが望ましい。
D1=(1/2)*X*L (式2)
という関係が成立するように設定するのが望ましい。
さらに、複屈折板の枚数Xは、投影面50に発生する「黒線」を消失させるために、dをDMD20のミラーとミラーとの間隔とすると、
2X <L/d(式3)
上式を満たすような範囲に設定するのが望ましい。
2X <L/d(式3)
上式を満たすような範囲に設定するのが望ましい。
ここで、DMD20の1枚のミラー(正方形)の1辺Lが10μmで、ミラーとミラーとの間隔dが0.8μmの場合、上記(式3)を適用し、(式3)を満たす範囲で最大のXを選択すると、複屈折板の枚数Xは3であり、3枚の複屈折板と、複屈折板に交互に積層された3枚の1/4波長板とで光学ローパスフィルタ60を構成するのが適切である。また、DMD20の1枚のミラーの1辺Lが10μmで、ミラーとミラーとの間隔dが0.8μmの場合、上記(式3)を適用し、同じように最大のXを選択すると、複屈折板の枚数Xを4に設定(4枚の複屈折板と、複屈折板に交互に積層された4枚の1/4波長板とで光学ローパスフィルタ60を構成)するのが適切である。
図3乃至6は、本発明による複屈折光学素子を用いたプロジェクタによりDMDのミラー間の隙間の影響が抑えられることを示している。図3は、DMD20のミラー群がハニカム配列となるようDMDを配置した場合の、ミラーの「ON」状態(白色の四角形)、及び「OFF」状態(黒色の四角形)を示す。また図4は、図3の状態のDMD20からの光を、複屈折板を2枚使用した(枚数Xが2である)複屈折光学素子60を通して投影面50に投影した場合に、投影面50に映されるパターン(縞模様70)を示す。図4に示すように、縞に平行な方向においては、「ON」状態のミラーとミラーとの間の隙間に対応する箇所が、白色になり、あるいは、ぼやけており、隙間に起因する「黒線」が明らかに薄くなっている。これに対し、縞に垂直な方向においては高い解像度が保たれ、縞の明部と暗部との境界は比較的ぼやけずにはっきりとしている。
一方図5は、図3の状態に対してDMD20をその回転軸を中心として45°回転させた場合の、ミラーの「ON」状態(白色の四角形)、及び「OFF」状態(黒色の四角形)を示す。この場合においても、図6に示すように、縞に平行な方向においては、「ON」状態のミラーとミラーとの間の隙間に対応する箇所が、白色になり、あるいは、ぼやけている。特に、図6の場合、「黒線」が著しく消失しており、図4の場合よりもより効果的に映像素子20のミラー間の隙間の影響を抑えることが可能である。また、この場合においても、縞の明部と暗部との境界はぼやけずにはっきりとしている。
1 光源
10 コンデンサレンズ
20 DMD
30 全反射プリズム
40 投影レンズ
50 投影面
60 光学ローパスフィルタ
60a、60c 複屈折板(複屈折光学素子)
60b、60d 1/4波長板
70 縞模様
100 プロジェクタ
10 コンデンサレンズ
20 DMD
30 全反射プリズム
40 投影レンズ
50 投影面
60 光学ローパスフィルタ
60a、60c 複屈折板(複屈折光学素子)
60b、60d 1/4波長板
70 縞模様
100 プロジェクタ
Claims (8)
- 明部と暗部とを交互に有する縞模様のパターンをDMD(デジタルミラーデバイス)で形成し、当該パターンを投影レンズにより計測対象物の投影面に向けて投影する三次元計測用のプロジェクタであって、
前記DMDと前記投影レンズとの間の光路中に設けられた光学ローパスフィルタを有しており、
前記光学ローパスフィルタが、前記DMDからの光のうちの一部の光を所定方向に屈折させて分離する複屈折光学素子を含み、
前記複屈折光学素子は、前記DMDからの光を前記縞模様の縞に略平行な方向に沿って分離するように、その光学結晶軸の向きが設定されていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記複屈折光学素子の光学結晶軸が前記DMDからの光の光軸に対して略45°の角度を成していることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1又は2に記載のプロジェクタにおいて、
前記光学ローパスフィルタが1/4波長板を含み、
前記1/4波長板の光学結晶軸が、前記複屈折光学素子を通過した常光線の偏光方向に対して略45°の角度を成していることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、
前記光学ローパスフィルタが、複数枚の前記複屈折光学素子と、前記複屈折光学素子と同じ枚数の1/4波長板とを有して構成されており、前記複屈折光学素子と前記1/4波長板とが交互に積層されて成る積層構造を有することを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
前記DMDに最も近い側からX番目の前記複屈折光学素子の板厚をTxとするとき、当該板厚Txは、Tx=T1/Xとなるよう設定されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記複屈折光学素子の枚数Xは、前記DMDに最も近い前記複屈折光学素子を通過することによって分離される正常光線と異常光線との間の分離幅をD1とし、前記DMDを構成する1つのミラーの1辺の長さとLとするとき、D1=(1/2)*X*Lの式を満たすよう設定されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記複屈折光学素子の枚数Xは、前記DMDを構成するミラーとこれに隣接するミラーとの間の隙間の大きさをdとするとき、2X<L/dの式を満たすよう設定されることを特徴とするプロジェクタ。 - 明部と暗部とを交互に有する縞模様のパターンをDMD(デジタルミラーデバイス)で形成し、当該パターンを投影レンズにより計測対象物の投影面に向けて投影する三次元計測用のプロジェクタを用いて、前記DMDからの光のうちの一部の光を所定方向に屈折させて分離する複屈折光学素子を含む光学ローパスフィルタにより、前記DMDにより形成される縞模様の空間周波数の高い成分を減衰させる方法であって、
前記光学ローパスフィルタが、複数枚の前記複屈折光学素子と、前記複屈折光学素子と交互に積層された複数枚の1/4波長板とを有して構成されており、
(a)前記光学ローパスフィルタを前記DMDと前記投影レンズとの間の光路中に設けるステップであって、前記DMDからの光を前記縞模様の縞に略平行な方向に沿って分離するように、前記複屈折光学素子の光学結晶軸の向きを設定するステップと、
(b)前記DMDに最も近い前記複屈折光学素子に前記DMDからの光を通過させることにより、正常光線と異常光線とに分離するステップと、
(c)前記最も近い複屈折光学素子に積層された1/4波長板に前記正常光線と異常光線を通過させることにより、前記正常光線及び異常光線をいずれも直線偏光から略円偏光に変換するステップと、
(d)X番目の複屈折光学素子及びこれに積層された1/4波長板について、前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)を繰り返すステップと、
を具えることを特徴とする方法。
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