以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本説明において、同一の構成要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の外観斜視図である。
洗濯乾燥機1は、洗濯兼脱水槽8(図2参照)の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)である。
洗濯乾燥機1の筐体2の上部には上面カバー2aが設けられており、上面カバー2aには外蓋3が設けられている。外蓋3は、山型に折れ曲がりながら後ろ側に開くことにより、開口部2b(図2参照)を開口し、洗濯兼脱水槽8(図2参照)に衣類(洗濯物)が出し入れ可能になっている。上面カバー2aの背面側には、水道栓からの給水ホース接続口4および風呂の残り湯の吸水ホース接続口5が設けられている。上面カバー2aの正面側には、電源スイッチ6が設けられ、外蓋3の正面側には、操作スイッチ7aおよび表示器7bからなる操作表示パネル7が設けられている。
図2は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の内部構造を示すために筐体の一部および外槽を切断して示した右側断面図である。
有底円筒状の洗濯兼脱水槽8は、回転可能に外槽9に支持されており、その外周壁に通水および通風のための多数の貫通孔8bを有し、上側が開口している。外槽9は、円盤状の底壁部9cと円筒状の周壁部9dとを有して有底円筒状に形成され、洗濯兼脱水槽8を同軸上に内包し、上側が開口している。また、外槽9の上部には、内蓋9aが設けられている。洗濯乾燥機1の使用者は、外蓋3および内蓋9aを開くことにより、開口部2bから洗濯兼脱水槽8内に衣類の出し入れを行うことができる。
洗濯兼脱水槽8の内側底面に回転翼8aを備える。また、外槽9の底面の外側中央に駆動装置10を備える。駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cは外槽9を貫通し、洗濯兼脱水槽8および回転翼8aと結合している。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を洗濯兼脱水槽8および/または回転翼8aに伝達する。モータ10aは、その回転を検出するホール素子あるいはフォトインタラプタなどで構成される回転検出装置28と、モータ10aに流れる電流を検出するモータ電流検出装置29を備える。
洗剤・仕上剤の投入装置11は、上面カバー2aの前側に備えられる。洗剤、仕上剤の投入は投入ホース11aにより、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間に行われる。給水ユニット12は、上面カバー2aの背面側に設けられる。給水ユニット12は、給水ホース接続口4からの水道水を洗剤・仕上剤の投入装置11、後述する水冷除湿機構(図示せず)へ給水する。また、給水ユニット12は、給水ホース接続口4からの水道水や吸水ホース接続口5(図1参照)からの風呂水を、注水ホース11bを介して、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水することができる。
外槽9の底面に設けられた落込部9bは、下部連通管13と連通するように接続されている。下部連通管13は、排水弁14を介して、洗濯水排水路15と連通するように接続されている。排水弁14を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9内の水を、洗濯水排水路15を介して、洗濯乾燥機1の機外へ排水することができる。
また、下部連通管13は、筐体2の下部に設置された異物除去装置16および循環ポンプ17を介して洗濯水循環水路18と連通するように接続されている。また、洗濯水循環水路18は、洗濯兼脱水槽8より上側に設けられた糸くず除去装置19と連通するように接続されている。循環ポンプ17を駆動し正方向に回転させると、外槽9内の水が、落込部9bおよび下部連通管13を介して異物除去装置16に流入し異物が除去され、循環ポンプ17の吸込口に流入する。循環ポンプ17の吐出口から吐出された水は、洗濯水循環水路18を介して糸くず除去装置19に流入し糸くずが除去され、糸くずが除去された水(循環水)は糸くず除去装置19から洗濯兼脱水槽8内に散布するように注水される。
乾燥ダクト20は、筐体2の背面内側に縦方向に設置され、ダクト下部は外槽9の落込部9bとゴム製の蛇腹管20aで接続される。乾燥ダクト20内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水ユニット12から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト20の壁面を伝わって流下して落込部9bに入り、下部連通管13、洗濯水排水路15を通り機外へ排出される。
乾燥ダクト20の出口はファン21の吸気口と接続され、ファン21の吐出口はヒータ22と接続されている。ヒータ22の出口は、送風ダクト23およびゴム製の蛇腹管23aを介して、吹出ノズル24と接続されている。
このように、乾燥工程においては、外槽9内の空気を乾燥ダクト20で水冷除湿してファン21の吸込口から吸込し、ファン21の吐出口から吐出された空気をヒータ22で加熱して、高温低湿の風を吹出ノズル24から洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出すことができる。
外槽9には、空圧チャンバ25aが設けられており、その上側には、外槽9に溜められた洗濯水の水位を検出する水位センサ25を備えている。送風ダクト23には、乾燥運転中に洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出される風の温度を検出する温度センサ26aを備えている。外槽9の落込部9bには、洗濯水の温度や、乾燥運転中に乾燥ダクト20に吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサ26bを備えている。下部連通管13と排水弁14の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に洗濯水排水路15から機外に排出される空気の温度を検出する温度センサ26cを備えている。外槽9の側面上部には、外槽9の振動による振動加速度を検知する加速度センサ27を備えている。なお、水位センサ25、温度センサ26a,26b,26c、加速度センサ27で検出された信号は、制御装置100に送信される。
次に、給水ユニット12について、図3を用いて更に説明する。
図3は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の給水ユニットの斜視図である。
給水ユニット12は、洗剤給水電磁弁12aと、仕上剤給水電磁弁12bと、冷却水給水電磁弁12cと、外槽給水電磁弁12dと、給水切替電磁弁12eと、風呂水ポンプ12fと、給水経路ユニット30と、を備えている。
洗剤給水電磁弁12aは、給水ホース接続口4からの水道水を、入水口31から給水経路ユニット30内を通り、出水口32に接続されるホース12i(図2参照)を介して、投入装置11(図2参照)の洗剤投入室(図示せず)に給水する。洗剤投入室に注水された水道水は、投入された洗剤とともに、投入ホース11a(図2参照)を介して、外槽9内に注水される。
仕上剤給水電磁弁12bは、給水ホース接続口4からの水道水を、入水口33から給水経路ユニット30内を通り、出水口34に接続されるホース12j(図2参照)を介して、投入装置11(図2参照)の仕上剤投入室(図示せず)に給水する。仕上剤投入室に注水された水道水は、投入された仕上剤とともに、投入ホース11a(図2参照)を介して、外槽9内に注水される。
冷却水給水電磁弁12cは、給水ホース接続口4からの水道水を、流路12gに接続されるホースを介して、乾燥ダクト20(図2参照)の水冷除湿機構(図示せず)に給水する。
外槽給水電磁弁12dは、給水ホース接続口4からの水道水を、流路12hに接続される注水ホース11b(図2参照)から洗濯兼脱水槽8内に給水する。
給水切替電磁弁12eは、外槽給水電磁弁12dによる給水を洗濯兼脱水槽8に行うか、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間に行うかを切替える。
水質センサ40(電導度検出手段)は、洗濯前の水道水や洗濯(洗い、すすぎ、脱水)時に洗濯液の電導度を検出するものであり、外槽9の底壁部9cの外周縁部に配置される。また、この水質センサ40は、合成樹脂製のベース、一対の電極42A,42Bを備えて構成されており、水質センサ40の溝部が、外槽9の径方向S(法線方向)に延びるように配置される。
外槽9の周壁部9dから水質センサ40の溝部を通って外槽9の底壁部9cに至る面は、ほぼ連続した面となるように構成されている。例えば、洗濯運転時の脱水工程において、洗濯兼脱水槽8の貫通孔8b(図2参照)から外槽9に排出されたすすぎ水の一部は、外槽9の周壁部9dを沿って流れ落ち、切欠部、水質センサ40の溝部、外槽9の底壁部9cを流れるようになっている。
図4は、水質センサの機能図である。一対の電極42A,42Bは、コイル48aと接続され、共振回路48を形成する。コイル48aは、コイル49aと磁気結合されており、コイル49aは、発振回路49と接続されている。これら、一対の電極42A,42B、コイル48a、コイル49a、発振回路49で水質センサ40を形成している。発振回路49は、電極間の電導度に相当する信号を制御装置100(図2参照)のマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記す)110に送信しており、構成部品であるコンデンサの静電容量により特性が変わり、読み取りやすくなる水質の抵抗値領域が変化する。
図5は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御装置の構成を説明する機能ブロック図である。制御装置100は、マイコン110を中心に構成される。マイコン110は、運転パターンデータベース111と、工程制御部112と、回転速度算出部113と、衣類重量算出部114と、電導度測定部115と、洗剤量・洗い時間決定部116と、洗剤状態判定部117と、発泡判定部118を備える。
マイコン110は、操作スイッチ7aから入力された運転コースにあった運転パターンを運転パターンデータベース111から呼び出し、洗濯または/および乾燥を開始する機能を有する。工程制御部112は、運転パターンデータベース111から呼び出された運転パターンに基づき、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程の各工程を運転制御する機能を有する。
各工程では、工程制御部112は、給水ユニット12、排水弁14を制御する機能を有する。また、工程制御部112は、モータ駆動回路121を介して駆動装置10のモータ10aを駆動制御し、クラッチ制御回路122を介してクラッチ機構10bを切り替え、ヒータスイッチ123のON/OFFを制御することによりヒータ22の通電を制御し、ファン駆動回路124を介してファン21を制御し、循環ポンプ駆動回路125を介して循環ポンプ17を駆動制御する機能を有する。
回転速度算出部113は、モータ10aの回転を検出する回転検出装置28からの検出値に基づき、モータ10aの回転速度を算出する機能を有する。
衣類重量算出部114は、回転速度算出部113で算出された回転速度と、モータ電流検出装置29の検出値に基づいて、洗濯兼脱水槽8内の衣類の重量を算出する機能を有する。衣類の重量が増加することにより洗濯兼脱水槽8を回転させるための負荷が大きくなり、モータ10aに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータ10aのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。
電導度測定部115は、水質センサ40からの検出値を用いて水道水、洗濯液の電導度を測定する機能を有する。
洗剤量・洗い時間決定部116は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、洗剤量および衣類の洗い時間を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
洗剤状態判定部117は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、洗剤の状態を判定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
発泡判定部118は、電導度測定部115と洗剤状態判定部117が判定した洗濯液の状態により洗い時間や水量、モータ回転数を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
次に、図6を参照して、本実施形態に係る洗濯乾燥機の運転工程について説明する。図6は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)の運転工程を説明する工程図である。
ステップS1では、工程制御部112は、運転工程のコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は洗濯兼脱水槽8内に洗濯する洗濯物を投入する。使用者が操作スイッチ7aを操作することにより、工程制御部112は、回転翼8aを回転させ、マイコン110の衣類重量算出部114は、注水前の衣類について布量を算出する。
ステップS2では、工程制御部112は、給水ユニット12の外槽給水電磁弁12dを開弁する。給水電磁弁12a,12b,12c,12dが閉弁している状態では、給水ホース接続口4に接続されているホース内に空気が含まれていることがある。この空気は水道圧で圧縮されており、給水電磁弁12a,12b,12c,12dを開弁すると、高圧の水道圧から大気圧に開放され、水道水内の空気は急激に膨張して吹き出し、給水流路に設けられた機器を損傷したり、洗剤、仕上剤の投入装置11に給水する場合には、洗剤、仕上剤を吹き飛ばしたりするおそれがある。そのため、工程制御部112は、給水経路内にセンサ等が設けられていない外槽給水電磁弁12dを開弁し、水道水とともに、圧縮された空気を外槽9内に排出する。
ステップS3では、洗剤量・洗い時間決定部116は、衣類の布量および水道水の水温および水の硬度に基づいて、投入すべき洗剤量と、洗濯完了までの所要時間を表示器7bに表示する。なお、水道水の水温および水の硬度は、前回すすぎ運転したときに検出(ステップS30)し、洗剤量・洗い時間決定部116に記憶してあり、それを用いる。水道水の水温や水の硬度は、外気温度の変化に対して緩やかにしか変化しないため、前回の洗濯時に測定した水道水の水温と水の硬度を使用して洗剤量を判定することが可能である。なお、洗濯乾燥機を設置して最初の運転時には、洗濯性能が悪くならない初期値(例えば水温15℃、硬度120ppm)を用いる。
ステップS4では、まず、工程制御部112は、洗剤給水電磁弁12aを開弁して外槽9に沿って洗剤と水を供給し、所定の水位に到達したら、洗剤給水電磁弁12aを閉弁する。
ステップS5で給水された洗剤を含む水の温度を温度センサ26b(または、温度センサ26c)により測定し、電導度を水質センサ40により測定する。
ここで、図7を用いて、ステップS4の外槽への給水、ステップS5の水温、電導度測定における洗剤状態判定部117について更に説明する。
図7は、水道水の水温と電導度による洗剤溶かし動作時間を決定するフローチャートである。
ステップS51で、給水された洗剤を含む水の温度(水温)を温度センサ26b(または、温度センサ26c)により測定し、ステップS52では、洗剤状態判定部117は、洗剤の種類が液体洗剤か粉末洗剤かを判定する(洗剤状態判定)。なお、この洗剤状態判定については、図8を用いて後述する。測定した水温が閾値t1より高い場合は(ステップS53でYes)、ステップS54に進み、閾値t1以下の場合は(ステップS53でNo)、ステップS55に進む。ここで、洗剤の溶け具合は約10℃前後で大きく変化することが実験的に判明したため、本実施形態では、バラツキも考慮して10℃より少し高い13℃を閾値t1として設定した。
ステップS54で液体洗剤と判定した場合は(Yes)、洗剤溶かし時間T0(ステップS56)とする。液体洗剤と判定しなかった場合は(ステップS54でNo)、洗剤溶かし時間T1(ステップS57)とする。ステップS55で液体洗剤と判定した場合は(Yes)、洗剤溶かし時間T2(ステップS58)とし、液体洗剤と判定しなかった場合は(ステップS55でNo)、洗剤溶かし時間T3(ステップS59)とする。
液体洗剤と粉末洗剤の水への溶解性を考慮した場合、洗剤溶かし時間T0より洗剤溶かし時間T1を、または、洗剤溶かし時間T2より洗剤溶かし時間T3を長くしたほうがよく、また、水温が低いほうが洗剤は水に溶けにくくなるため、洗剤溶かし時間T0より洗剤溶かし時間T2を、または、洗剤溶かし時間T1より洗剤溶かし時間T3を長くしたほうがよい。
本実施形態によれば、洗剤の種類や水温に応じた洗剤溶かし時間を設定することができ、液体洗浄を使用した場合や水温が高い場合には洗剤溶かしを短くすることにより、全体の運転時間を短縮することが可能となる。なお、本実施形態では、洗剤溶解工程を開始する前であっても、外槽内に給水された液体の電導度を計測することで、洗剤の種類を実質的に判定可能である点に新たに着目した。また、洗剤溶解工程を開始する前であれば、回転翼8aと洗濯兼脱水槽8は静止しているので、電導度を高精度で計測できる。
次に、ステップS52の洗剤状態判定における電導度測定部115、および洗剤状態判定部117、発泡判定部118について、図8を用いて説明する。
図8は、電導度により洗剤種類を判定し、その結果より発泡しやすさを推定し洗い時間や水量、モータ回転数を切り替えるフローチャートである。
ステップS521において、電導度測定部115は、給水された洗剤を含む水の電導度を水質センサ40により計測する。なお、電導度を計測するときは、計測精度を高めるため、外槽給水弁12dによる外槽9への給水、循環ポンプ17による循環、洗濯兼脱水槽8、および回転翼8aの回転は、停止されていることが望ましい。
ステップS522において、電導度が閾値EC1より小さい場合は(Yes)、ステップS524に進み、液体洗剤(濃縮)と判定し、それに合わせて水質センサ40の特性を切り替える。電導度が閾値EC1以上で(ステップS522でNo)、閾値EC2より小さい場合は(ステップS523でYes)、ステップS525に進み、液体洗剤(すすぎ2回)と判定する。電導度が閾値EC2以上の場合は(ステップS523でNo)、ステップS526に進み、粉末洗剤と判定し、それぞれを洗い時間や水量、モータ回転数を変更し洗い方を切り替える。例えば、粉末洗剤は発泡しやすい傾向にあるため、液体洗剤(濃縮)の場合と比べて、洗い時間を短くしたり、水量を多くし洗剤濃度を薄めたり、モータの回転数を下げて泡を作りにくくすることで、発泡を抑え、洗浄性能の低下やすすぎが不十分になることを防ぐことができる。液体洗剤(濃縮)は発泡しにくい傾向にあるため、粉末洗剤の場合と比べて、洗い時間を長くしたり、水量を少なくし洗剤濃度を高めたり、モータの回転数を上げることで、発泡のリスクが低いまま洗浄性能を向上させることができる。液体洗剤は電導度が粉末洗剤、液体洗剤(濃縮)の中間にある傾向にあるため、洗い方も中間にすることで、適切な洗浄方法になる。よって、発泡そのものではなく、洗剤種類を検知することにより、最適な洗い方に変更できるため、発泡検知用のセンサを設置する必要がなくなる。なお、液体洗剤が濃縮タイプかどうかを区別せず、液体洗剤の種類に寄らず同じ洗浄方法としても良い。
また、図示していないが、発泡判定部118は、ステップS524、ステップS525、ステップS526において洗剤種類だけでなく、水温、水硬度、風呂水の使用状況など発泡しやすさに係わる要素を検知することで発泡判定部118の精度を高めることができる。
すすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤は、すすぎ運転が2回の液体洗剤と比較して、電導度が小さくなっているため、発泡判定部118での判定結果より、すすぎ回数を変更しても良い。
ステップS6では、工程制御部112は、ステップS5で決定した洗剤溶かし時間だけ循環ポンプ17を駆動して逆回転させ、水と洗剤を撹拌して洗剤を溶かして高濃度の洗剤溶液を生成する。なお、高濃度の洗剤溶液の生成方法としては、循環ポンプ17を利用した方法に限らず、回転翼8aと洗濯兼脱水槽8の両方を回転させたり、回転翼8aだけを回転させたりすることで、発生した水流を利用して水と洗剤を攪拌する方法であっても良い。
ステップS7では、電導度測定部115は、生成された洗剤溶液の電導度を水質センサ40により測定し、洗剤状態判定部117により、判定した洗剤種類の見直しをするとともに、実際に投入された洗剤の濃度を判定する。生成された洗剤溶液は、一定の水量に洗剤を溶かしているため、洗剤の濃度変化を電導度の変化量として検出できる。洗剤の投入量が多い場合は(洗剤の濃度が高い)、洗剤の投入量が少ない場合(洗剤の濃度が低い)と比較して、電導度が大きくなる。このため、発泡判定部118により、すすぎ運転を1回と判定していた場合でも、洗剤の投入量が多い場合にはすすぎ運転を2回に変更することが可能である。なお、このステップS7においては、電導度の計測精度を高めるため、洗剤溶かしのため回転していた洗濯兼脱水槽8や回転翼8aをいったん停止させた後、次のステップS8で再び回転を開始させている。したがって、このステップS7をスキップすれば、全体の運転時間を更に短縮することも可能である。
ステップS8では、工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8および/または回転翼8aを回転させながら、循環ポンプ17を駆動して、高濃度の洗剤溶液を糸くず除去装置19から洗濯兼脱水槽8内の衣類に散布する。
ステップS9では、後の本洗い工程(S13からS19)における水量よりも少ない水量の状態で、すなわち高濃度の洗剤溶液で、衣類を洗う。本実施形態では、液体洗剤および液体洗剤(濃縮)の場合、粉末洗剤の場合と比べて高い回転数で、モータ(回転翼8a)を回転しながら高濃度の洗浄を行う。これにより、発泡しやすい高濃度洗浄時において、粉末洗剤を用いた場合の発泡を抑制しつつ、液体洗剤を用いた場合に洗浄力をより高めることが可能となる。
ステップS10では、まず、衣類重量算出部114は、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。そして、ステップS1で算出した水を含まない衣類の重量とステップS10で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判断する。判別された衣類の布質に従って以下の工程が制御される。
ステップS11で洗濯工程前の水温を取得し、水温が高い場合は洗剤の化学的作用が向上し、洗浄力が向上するため、洗い時間を短縮できる。洗い工程前に水温を測定することで、たとえば、風呂の残り湯を利用した洗濯時においても正確な水温が検知でき、洗い時間を変更することが可能である。
測定した水温が高い場合や水の硬度が低い場合、ステップS18やステップS19をスキップすることで洗い時間を短縮することが可能である。
このように、洗い工程時の発泡しやすさを、水質センサ40を用いて洗濯液の電導度を測定し、発泡判定部118が制御することで、洗い時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。洗剤量・洗い時間決定部116は、汚れ度合いにより洗い時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。なお、ステップS1で算出した布量により複数の閾値を設定してもよい。
本洗いが終了すると、ステップS20で衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
ステップS21では、工程制御部112は、排水弁14を開弁し、外槽9内の洗い水を排水する。排水が終了した後、ステップS22では、工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を回転させて衣類に含まれる水(洗い水)を脱水する。
工程制御部112は、排水弁14を閉弁、給水切替電磁弁12eを切替え、外槽給水電磁弁12dを開弁して、洗濯兼脱水槽8にすすぎ水を供給する。そして、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、洗濯兼脱水槽8内の衣類にすすぎ水を散布する(ステップS23)。
工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、外槽給水電磁弁12dを閉弁して、衣類からすすぎ水を脱水する(ステップS24)。
工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、洗濯兼脱水槽8内の衣類にすすぎ水を散布する(ステップS25)。
工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を停止させて、排水弁14を開弁し、外槽9内のすすぎ水を排水する(ステップS26)。排水終了後、工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する(ステップS27)。
ステップS23、およびステップS25の回転シャワーすすぎの実行は、発泡判定部118により決定され、すすぎ回数を1回と決定した場合は、工程制御部112にステップS23からステップS27をスキップする指令を送信することで、すすぎ運転を1回とすることが可能である。
脱水が正常に終了した場合は外槽9内には水が無い状態であり、水質センサ40を動作させて水無しの電導度を測定する(ステップS28)。ここで測定した電導度は初期値として電導度測定部115に記憶され、水質センサ40の故障判断や、電極部への汚れ付着などによる経年変化を補正することに利用する。
工程制御部112は、排水弁14を閉弁、外槽給水電磁弁12dを開弁して、水硬度を検知する水位まで外槽9にすすぎ水を供給する(ステップS29)。
電導度測定部115は、水質センサ40、温度センサ26b(または、温度センサ26c)を動作させて、すすぎ水の水温と電導度を測定して水の硬度を算出する(ステップS30)。ここで測定した水温と水の硬度は洗剤量・洗い時間決定部116に記憶され、次回の洗剤量、洗い時間の決定に利用する。
工程制御部112は、設定水位まで給水し(ステップS31)、外槽9にすすぎ水を溜めた状態で回転翼8a(または、洗濯兼脱水槽8)を回転させて衣類を撹拌しながら、仕上剤給水弁12bを開弁して、洗濯兼脱水槽8内に仕上剤を投入する(ステップS32)。
このステップS33からステップS35(すすぎ2工程)時において、水質センサ40を動作させてすすぎ水の電導度変化量を検出することで、洗濯物のすすぎ度合いを検知することが可能になる。ちなみに、本実施形態における水質センサ40は、外槽9の下部(底部)に設けられているので、すすぎ工程時には、水質センサ40が水没している状態であり、すすぎ水の電導度を測定することができる。
このように、すすぎ工程時に水質センサ40を用いてすすぎ水の電導度を測定することで、すすぎ時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。すすぎ水の変化量からすすぎ時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。また、すすぎ水の変化量は、ステップS30で計測した水道水の電導度と比較して判断してもよい。
なお、すすぎ水の変化量は、すすぎ時間を短縮・延長する以外にすすぎ回数を増減することにも利用できる。従って、洗剤状態判定部117によりすすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤と判定され、発泡判定部118により、すすぎ運転が1回と決定された場合でも、すすぎが不十分と判定されたときは、追加のすすぎ運転を実行することが可能である。
なお、すすぎ工程時に水質センサ40を動作させるタイミングとしては、ステップS33からステップS35時に限定されるものではなく、ステップS23やステップS25時に動作させて、すすぎ時間を制御(短縮または延長)してもよい。
ステップS23、またはステップS25は、ステップS10で判別された衣類の布質によってすすぎ時間を制御(短縮または延長)してもよい。
溜めすすぎが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、最終脱水に移行するか否かを判断する(ステップS36)。
工程制御部112は、排水弁14を開弁し、外槽9内のすすぎ水を排水する(ステップS37)。ステップS37では、脱水時の起動を安定させるため、ある一定量のすすぎ水が残った状態でステップS38(脱水工程)に移行する場合もある。
工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を高速で回転させて衣類に含まれる水を脱水する(ステップS38)。このステップS38(脱水工程)時において、水質センサ40を用いて衣類から脱水される水を測定することで、洗濯物に含まれている水分量を判定することが可能になる。脱水工程時に洗濯兼脱水槽8が回転することにより、洗濯物に含まれる水分が洗濯物から分離され、洗濯兼脱水槽8の貫通孔8bから外槽9の周壁部9dの内面に向けて排出される。周壁部9dに排出された水は、重力の作用によって周壁部9dの内面を流れ落ち、そして切欠部9d1内を流れ、水質センサ40の溝部41dに流れ込む。これにより、水質センサ40は、脱水時の水の電導度を検出することができる。
すなわち、脱水時の水質センサ40では、溝部41dに水が流れ込むことにより、溝部41dを通り抜ける水の量に応じて検出値(電導度)が変化する。例えば、洗濯物がバスタオルなど吸水性の高いものの場合には、排出される水の量も多くなり、検出値(電導度)は高くなる。一方、例えば、洗濯物がワイシャツなど吸水性の低いものの場合には、排出される水の量は少なくなり、検出値(電導度)は低くなる。
このように、脱水工程時に水質センサ40を用いて測定した衣類から脱水される水の電導度を測定することで、脱水時間を制御(短縮または延長)することが可能になる。洗剤量・洗い時間決定部116は、脱水時間(短縮または延長時間)を決定するテーブルをあらかじめ記憶している。なお、ステップS1で算出した布量により複数の閾値を設定してもよい。
なお、脱水工程時に水質センサ40を動作させるタイミングとしては、ステップS38時に限定されるものではなく、他の脱水工程ステップS22、ステップS24、ステップS27時に動作させて、脱水時間を制御(短縮または延長)してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る洗濯乾燥機1では、洗剤を含んだ水の電導度を測定することにより、洗剤の種類を液体洗剤か粉末洗剤か判定し(S522、S523参照)、液体洗剤でないと判定した場合には(S54でNo、または、S55でNo)、洗剤溶かし時間を液体洗剤より長く設定する。これにより液体洗剤より洗剤溶かし動作は長く動作することになり、粉末洗剤の溶け残りを防止して、前洗い工程時に満遍なく高濃度の洗剤溶液を行き渡らせることができ、洗浄性能を向上させることができる。
また、液体洗剤であると判定した場合には(S54でYes、または、S55でYes)、洗剤溶かし時間を短く設定し、洗剤溶かし動作の時間を短縮するとともに、循環ポンプ17(または洗濯兼脱水槽8、または回転翼8a)の駆動時間を短縮して消費エネルギを低減させることができる。
また、本実施形態では、洗剤を含んだ水の温度を測定することにより、水温に応じて洗剤溶かし動作の時間を変更するようになっている。(S56、S57、S58、S59参照)。即ち、水温が閾値t1よりも高く洗剤が溶けやすい場合の洗剤溶かし時間は、液体洗剤なら洗剤溶かし時間T0(S56)、粉末洗剤なら洗剤溶かし時間をT1(S57)と設定する。水温が閾値t1以下で洗剤が溶けにくい場合の洗剤溶かし時間は、液体洗剤なら洗剤溶かし時間T2(S58)、粉末洗剤なら洗剤溶かし時間T3(S59)と設定する。このように洗剤溶かし時間は、液体洗剤より粉末洗剤を長く(T1>T0、T3>T2)設定し、水温が高い場合は短く(T0<T2、T1<T3)設定することで、洗剤溶かし動作の時間を短縮するとともに、循環ポンプ17(または洗濯兼脱水槽8、または回転翼8a)の駆動時間を短縮して消費エネルギを低減されることができる。
また、洗剤を含んだ水の電導度が閾値EC1より低い場合(例えば、すすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤の場合)(S522でYes)、すすぎ運転の回数を1回とし(S524参照)、電導度が閾値EC1以上の場合(例えば、すすぎ運転が2回の液体洗剤の場合)(S522でNo)、すすぎ運転の回数を2回とする(S525、S526参照)ようになっている。このように電導度に基づいて、洗剤の状態(洗剤の種類)を判定し、適切なすすぎ運転の回数とすることができるので、洗濯運転の時間を短縮するとともに、すすぎ工程時のモータ10a等の動作時間を短縮して消費エネルギを低減させ、使用する水の量を低減させることができる。
ここで、洗剤を含んだ水の電導度測定は、洗剤溶かし動作(S6)の前に行い、洗剤の種類により洗剤溶かし動作の時間を設定するのが望ましい。洗剤溶かし動作(S6)のために給水される水は一定の量であり、本洗い工程(S13からS19)の水量と比較して少ないため洗剤濃度が高くなっており、洗剤の種類(濃縮タイプの液体洗剤、液体洗剤、粉末洗剤)を判定できる程度に電導度の差が得られる。この判定結果により洗剤溶かし動作(S6)を実行し、その後にもう一度、電導度を測定(S7)することで、洗剤種類の判定結果が間違っていないか見直すことができ、また、投入された洗剤の量(洗剤の濃度)も電導度の差として測定することができるので、洗剤状態の判別性を好適にすることができる。
また、洗剤状態判定部117は、前回の洗濯運転時にステップS30で測定した電導度(硬度)と、ステップS5で測定した水温に基づいて、電導度の閾値EC1および閾値EC2を補正する。即ち、水温が高い場合や、水の電導度(硬度)が高い場合には、閾値EC1および閾値EC2を大きく設定するようになっている。
このように、電導度の閾値を水温や水の電導度(硬度)で補正することができるので、好適に洗剤状態を判定することができる。
本実施形態では、洗濯液の電導度に基づいてすすぎ運転の回数を変更するものとして説明したが、例えば、すすぎ運転時に使用する水量を変更する構成であってもよい。具体的には、電導度が高いほど、すすぎ運転で使用する水量を増加させる制御をする構成であってもよい。即ち、投入された洗剤が多い場合(洗剤の濃度が高い)、すすぎ運転時に洗剤が必要以上に発泡する可能性があり、使用する水量を増加させることにより、洗剤の発泡を低減させることができる。また、洗濯液の電導度に基づいて、前洗い工程や、本洗い工程の運転時間や使用する水量を変更する構成であってもよい。
以上、本実施形態に係る洗濯機として、洗濯兼脱水槽の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯乾燥機を用いて説明したが、これに限られるものではなく、回転ドラム(洗濯兼脱水槽)の回転軸が略水平方向のドラム式洗濯乾燥機であってもよく、乾燥機能を有しない縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機であってもよい。
また、水質センサ40(電導度検出手段)は、本実施形態の構成に限られるものではなく、洗剤液の電導度を検知できる構成であればよい。例えば発振回路49のコンデンサの静電容量を変更し、特性を切り替えると説明したが、コンデンサでなく、抵抗やコイルであってもよい。