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JP2019185882A - 誘導加熱装置および誘導加熱方法 - Google Patents

誘導加熱装置および誘導加熱方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短筒状のワークを精度良くかつ効率良く誘導加熱可能とする誘導加熱装置を提供する。【解決手段】短筒状のワークWを狙い温度に誘導加熱するための加熱部2と、加熱部2に高周波電力を供給する電源とを備えた誘導加熱装置1において、加熱部2は、ワークWの径方向外側にワークWと同軸に配置される環状の外径側コイル部5と、ワークWの径方向内側にワークWと同軸に配置される螺旋状の内径側コイル部6とを備え、外径側コイル部5と内径側コイル部6とが電気的に直列接続されている。【選択図】図2

Description

本発明は、誘導加熱装置および誘導加熱方法に関し、特に、軸方向の肉厚が比較的大きい環状(短筒状)のワークを誘導加熱する際に好適に用い得る誘導加熱装置および誘導加熱方法に関する。
例えば、転がり軸受の軌道輪のように、SUJ2等の鋼材からなる機械部品の製造過程においては、機械部品の基材(ワーク)に対して熱処理が施される。この熱処理は、通常、ワークに機械的強度や硬さを付与するための焼入硬化処理と、焼入れ済のワークにおける残留応力の緩和や残留オーステナイトの低減(靱性の向上)を目的とした焼戻し処理とを含む。焼入硬化処理および焼戻し処理は、何れも、ワークを狙い温度に加熱する加熱工程と、加熱後のワークを冷却する冷却工程とを含み、加熱工程では、雰囲気加熱炉や誘導加熱装置を用いてワークが加熱される。鋼材種(用途)にもよるが、焼入硬化処理における狙い温度は、例えばA1変態点を超える温度に設定され、焼戻し処理における狙い温度は、主に機械部品の使用温度に応じて設定される。
雰囲気加熱炉は、温度制御が容易で、複数のワークを同時に加熱できる、などというメリットがある反面、エネルギー効率が低くワークを狙い温度に加熱するのに多くの時間・コストが必要、広大な設置スペースが必要、などといったデメリットがある。このため、上記加熱工程におけるワークの加熱方法としては、エネルギー効率が高くワークを効率良く加熱できることに加え、熱処理設備のコンパクト化(省スペース化)に有利な誘導加熱を採用するケースが増加しつつある。
例えば、下記の特許文献1には、環状のワークを誘導加熱するに際し、ワークの軸方向両側に第1および第2の加熱コイルを間隔をおいて同軸配置し、第1および第2の加熱コイルに同一方向に高周波電流を流す、という技術手段が開示されている。
特開平8−180967号公報
特許文献1に開示された技術手段によれば、ワークの内外径および厚さ方向を均一に加熱することができるので、歪の少ないワークを得ることができる、としている。しかしながら、特許文献1に開示された技術手段は、主に、薄板状の環状ワークを誘導加熱する際に適用することを想定したものである。そのため、環状のワークの中でも軸方向(および径方向)の肉厚が比較的大きいワーク(短筒状のワーク)を誘導加熱する際に同様の技術手段を適用しても、同様の効果を享受できるとは限らない。
そこで、短筒状のワークを誘導加熱する際には、例えば、ワークを取り囲むようにワークの径方向外側にコイルを配置し、このコイルに通電する、という手法が採られる場合が多い。この場合、ワークは、まず外径側領域が加熱され、これに伴うワーク内での熱伝達によって内径側領域が加熱されることになるため、ワークの外径側領域と内径側領域とで昇温速度に差が生じる(ワークの内径側領域が狙い温度に到達するのに時間がかかる)。これは軸方向の肉厚が比較的大きな場合に顕著になる。例えば、コイルに対する電力供給量を増加させれば、その分だけワークの内径側領域が狙い温度に到達する時間を短縮できるが、先に昇温するワークの外径側領域と、遅れて昇温する内径側領域とで炭化物の溶け込み速度(残留オーステナイトの増加速度)に大きな差が生じるため、高品質の熱処理完了品を得ることができなくなる。このため、上記態様で短筒状のワークを誘導加熱する場合には、ワークの外径側領域と内径側領域とで熱処理品質の差が極力小さくなるように、コイルに対する電源の出力を小さく設定せざるを得ない。この場合、ワークの加熱時間が長くなるため、生産性(熱処理効率)が低下する。
上記の実情に鑑み、本発明は、短筒状のワークの全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することのできる技術手段を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明に係る誘導加熱装置は、短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱するための加熱部と、加熱部に高周波電力を供給する電源とを備えた誘導加熱装置において、加熱部は、ワークの径方向外側にワークと同軸に配置される環状又は螺旋状の外径側コイル部と、ワークの径方向内側にワークと同軸に配置される環状又は螺旋状の内径側コイル部とを備え、外径側コイル部と内径側コイル部とが電気的に直列接続されていることを特徴とする。
上記の加熱装置によれば、短筒状のワークの径方向外側および径方向内側のそれぞれに同軸配置される環状の外径側コイル部および内径側コイル部を流れる電流値(電流量)を等しくすることができる。そのため、ワークの外径側領域と内径側領域とを略同一条件で同時に加熱することが可能となり、ワークの外径側領域の加熱温度(昇温態様)とワークの内径側領域の加熱温度(昇温態様)との間に差が生じ難くなる。従って、短筒状ワークの全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することが可能となる。
上記の構成において、外径側コイル部と内径側コイル部は、配電部材を介して電気的に直列接続することができる。
また、上記の目的を達成するために創案された本発明に係る誘導加熱方法は、短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱するに際し、ワークの径方向外側および径方向内側のそれぞれに、電気的に直列接続された環状又は螺旋状の外径側コイル部および内径側コイル部をワークと同軸に配置し、その状態で外径側コイル部又は内径側コイル部に通電することを特徴とする。
前述した本発明に係る技術手段は、例えば転がり軸受の軌道輪のように、ワーク全体に焼入硬化処理を施すこと(いわゆるずぶ焼入れを施すこと)が望まれるワークを狙い温度に誘導加熱する際に特に好ましく適用することができる。
本発明は、焼入硬化処理に含まれる加熱工程を実施する場合のみならず、焼戻し処理に含まれる加熱工程を実施する場合にも適用することができる。
以上で述べたように、本発明によれば、短筒状のワーク全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することが可能となる。このため、高品質の機械部品を効率良く製造することができる。
熱処理工程の全体フロー図である。 本発明の一実施形態に係る誘導加熱装置の部分概略図である。 誘導加熱装置の電気回路を模式的に示すブロック図である。 外径側コイル部を構成するコイル部材の平面図である。 誘導加熱装置に設けられる加熱部の部分分解斜視図である。 加熱部の部分正面図である。 (a)図は、従来方法でワークを誘導加熱した場合におけるワークの温度上昇態様を示す図、(b)図は、本発明を適用してワークを誘導加熱した場合におけるワークの温度上昇態様を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る誘導加熱装置(誘導加熱方法)が採用される熱処理工程のフロー図である。熱処理工程は、例えば、転がり軸受の外輪の基材等、鋼材からなる短筒状のワークW(図2を参照)に焼入硬化処理を施す焼入れ工程S1と、焼入済のワークWに焼戻し処理を施す焼戻し工程S2とを備える。図示は省略しているが、焼入れ工程S1および焼戻し工程S2は、何れも、ワークWを狙い温度に加熱する加熱工程と、狙い温度に加熱されたワークWを冷却する冷却工程とを含む。上記の鋼材としては、例えば、JIS G4805に規定の高炭素クロム軸受鋼に分類されるSUJ2やSUJ3等を挙げることができる。
図1では、焼入れ工程S1と焼戻し工程S2との間に、焼入れ済のワークWを洗浄する洗浄工程S3、および洗浄された焼入れ済のワークWが品質基準を満たす良品であるか否かを検査する検査工程S4を設けると共に、焼戻し工程S2の後に、焼戻し済のワークWを洗浄する洗浄工程S5、および洗浄された焼戻し済のワークWが品質基準を満たす良品であるか否かを検査する検査工程S6を設けているが、これらの工程S3〜S6は必ずしも全て実行されるわけではなく、一部又は全部が省略される場合もある。また、図示は省略するが、焼入れ工程S1および/または焼戻し工程S2の後に、ワークWに研磨等の仕上げ加工を施す仕上げ工程などが追加的に実行される場合もある。
以下、本発明の実施形態に係る誘導加熱装置について詳細に説明する。
図2は、焼入れ工程S1に含まれる加熱工程を実行するために使用される誘導加熱装置1の部分概略図であり、図3は、同誘導加熱装置1の電気回路を模式的に示すブロック図である。この誘導加熱装置1は、ワークWを狙い温度に誘導加熱する加熱部としてのコイルユニット2と、加熱対象のワークWを水平姿勢(中心軸を鉛直方向に沿わせた姿勢)で下方側から支持するワーク支持部材3と、コイルユニット2に高周波電流を供給する電源4とを備え、コイルユニット2は、電極部材7および配電部材8a,8bを介して電源4と電気的に接続されている。
図2に示すように、コイルユニット2は、ワークWの径方向外側に配置される環状の外径側コイル部5と、ワークWの径方向内側に配置される螺旋状の内径側コイル部6と、外径側コイル部5(を有する第1コイルユニット2A)および内径側コイル部6(を有する第2コイルユニット2B)を固定的に支持した図示外の枠体とを備える。
外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2Aは、導電性金属製の管状体(例えば銅管)からなり、図示外の枠体に固定されるコイル部材11と、図5および図6に示す導通部材15とを備える。図4に示すように、コイル部材11は、周方向で有端のリング状をなし、外径側コイル部5として機能する環状部12と、環状部12の周方向一端部および他端部から延びた第1延長部13および第2延長部14とを有する。図2に示すように、本実施形態では、コイル部材11を上下(ワークWの軸方向)に離間した二箇所に配置し、上下に離間した二箇所に配置された環状部12の協働で外径側コイル部5を形成している。コイル部材11の設置個数や設置間隔(外径側コイル部5の軸方向寸法)は、ワークWの軸方向寸法等に応じて調整可能であることが好ましい。従って、各コイル部材11は、図示外の枠体に対して着脱可能であることが好ましい。
図5および図6に示す導通部材15は、上下で隣り合う2つのコイル部材11,11を導通可能に接続するものである。各コイル部材11の第1延長部13および第2延長部14には、導通部材15が固定される受け部16がそれぞれ設けられており、本実施形態では、導通部材15の一端15aが上側のコイル部材11の第1延長部13に設けられた受け部16に対してボルト止めされ、導通部材15の他端15bが下側のコイル部材11の第2延長部14に設けられた受け部16に対してボルト止めされる。これにより、上下で隣り合う2つのコイル部材11,11は、受け部16、ボルト部材17および導通部材15を介して導通可能となる。図示は省略するが、上下で隣り合うコイル部材11,11間の離間距離が変更される場合、導通部材15としては、一端15aおよび他端15bの間に介在する中間部15cの傾斜角が異なるものが使用される。
上下で隣り合うコイル部材11,11を導通可能に接続するための構成は上記のものに限定されず、その他の構成を採用することもできる。但し、上記の構成を採用すれば、剛体からなる導通部材15によってコイル部材11,11の離間距離を所定値に保ち易くなる、という利点がある。
加熱部2には、誘導加熱装置1への通電中にコイル部材11(外径側コイル部5)を冷却するための冷却回路が設けられる。このような冷却回路を設けておけば、コイル部材11の温度を適切かつ効率良く制御することができる他、コイル部材11の耐久性を向上することができる。本実施形態の冷却回路は、図6に示すように、上下で隣り合うコイル部材11,11の内部空間を管状の連通部材18Aを介して連通させると共に、最下段(ここでは下側)のコイル部材11の自由端および最上段(ここでは上側)のコイル部材11の自由端に給水管18Bおよび排水管18Cをそれぞれ接続することで形成される。
上記の冷却回路を採用した場合、図示外の貯水タンクから供給された冷却水は、図6中に白抜き矢印で示すように、給水管18Bを介して下側のコイル部材11の内部空間に流入し、その後、連通部材18Aの内部空間および上側のコイル部材11の内部空間を流通する。上側のコイル部材11の内部空間を流通した冷却水は、上側のコイル部材11に接続された排水管18Cを介して外部に排出される。以上のようにして冷却水が繰り返し流通することにより、各コイル部材11が冷却される。
図2に示すように、内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2Bは、導電性金属製の管状体からなるコイル部材21で構成される。すなわち、コイル部材21は、螺旋状をなし、内径側コイル部6として機能する螺旋部22と、螺旋部22の一端部および他端部から延びる第1延長部23および第2延長部(図示せず)とを有する。
図示は省略しているが、加熱部2には、誘導加熱装置1への通電中にコイル部材21を冷却するための冷却回路が設けられる。このような冷却回路を設けておけば、コイル部材21の温度を適切かつ効率良く制御することができる他、コイル部材21の耐久性を向上することができる。冷却回路は、例えば、第1延長部23の自由端に給水管を接続すると共に、第2延長部の自由端に排水管を接続することで形成される。
図2に示すように、以上で説明した外径側コイル部5および内径側コイル部6は、加熱対象のワークW(ワーク支持部材3で支持されたワークW)と同軸に配置される。ワーク支持部材3は、両コイル部5,6の中心軸に沿って昇降移動可能に設けられており、加熱対象のワークWの受け取りおよび加熱済のワークWの払い出しが行われる下降位置と、ワークWを外径側コイル部5と内径側コイル部6との間に配置する上昇位置との間を往復動する。
図3に示す電極部材7は、絶縁層を介して固定された入口側電極7aと出口側電極7bとを有する。入口側電極7aは、配電部材8aを介して外径側コイル部5(を有する第1コイルユニット2A)と電気的に接続され、出口側電極7bは、配電部材8bを介して内径側コイル部6(を有する第2コイルユニット2B)と電気的に接続されている。本実施形態では、第1コイルユニット2Aを構成する下側のコイル部材11の第1延長部13に設けた受け部16に対して配電部材8aが接続され(図2および図6を参照)、コイル部材21の第1延長部23に対して配電部材8bが接続される(図2を参照)。
また、図2および図3に示すように、外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2Aと内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2Bとは配電部材8cを介して電気的に直列接続されている。本実施形態では、第1コイルユニット2Aのうち、上側のコイル部材11の第2延長部14に設けた受け部16に配電部材8cの一端が接続され(図2および図6参照)、第2コイルユニット2Bを構成するコイル部材21の第2延長部に配電部材8cの他端が接続されている(図2参照)。
詳細な図示は省略するが、配電部材8a〜8cは、コイル部材11,21と同様に導電性金属の管状体(剛体)で構成することができる他、可撓性を有する電線(ケーブル線)で構成することもできる。
以上から、本実施形態の誘導加熱装置1に通電すると、図2および図3に示すように、電源4→入口側電極7a→配電部材8a→外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2A→配電部材8c→内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2B(コイル部材21)→配電部材8b→出口側電極7b→電源4という経路を辿るようにして電流(高周波電流)9が流れる。なお、第1コイルユニット2A内においては、下側のコイル部材11→導通部材15→上側のコイル部材11の順に電流9が流れる。
従って、図2および図3に示すように、ワーク支持部材3によって水平姿勢で下方側から支持されたワークWの径方向外側および径方向内側のそれぞれに、電気的に直列接続された環状の外径側コイル部5および螺旋状の内径側コイル部6をワークWと同軸に配置し、その状態で外径側コイル部5に通電する(誘導加熱装置1に対して電源4から高周波電力を供給する)と、外径側コイル部5および内径側コイル部6を略同一量の電流9が流れる。これにより、ワークWは、まず、外径面および内径面の双方が同時に誘導加熱され、昇温した外径面および内径面の熱がワークWの芯部に向けて伝達されることにより、その全域が加熱されることになる。
要するに、本発明に係る誘導加熱装置1を用いてワークWを誘導加熱すれば、ワークWの外径側領域と内径側領域とを略同一条件で同時に加熱することが可能となるので、ワークWの外径側領域の加熱温度(昇温速度)とワークWの内径側領域の加熱温度(昇温速度)との間に差が生じ難くなる。実際、図2に示すように、ワークWの外径面の軸方向中央部(A点)およびワークWの内径面の軸方向中央部(B点)を測温しながらワークWを誘導加熱したところ、図7(b)に示すように、A点の昇温速度とB点の昇温速度に殆ど差はなく、図7(a)に示すように、外径側コイル部5のみを用いてワークWを誘導加熱した場合に比べ、B点を効率良く加熱することができた。従って、本発明によれば、短筒状のワークWの全域を効率良くかつ精度良く狙い温度に誘導加熱することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態に係る誘導加熱装置1およびこれを用いたワークWの加熱方法について説明したが、誘導加熱装置1には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
例えば、以上で説明した実施形態では、環状の外径側コイル部5と螺旋状の内径側コイル部6とを有するコイルユニット2を採用したが、外径側コイル部5は螺旋状であっても良く、また、内径側コイル部6は環状であっても良い。要するに、外径側コイル部5および内径側コイル部6は、誘導加熱装置1に通電されたときに、両コイル部5,6と同軸に配置されるワークWの外径面および内径面の周方向各部を同時に加熱(誘導加熱)することができるものであれば良い。従って、外径側コイル部5を有する第1コイルユニット2Aは、以上で説明した螺旋部22を有するコイル部材21で構成しても良く、また、内径側コイル部6を有する第2コイルユニット2Bは、以上で説明した環状部12を有するコイル部材11等で構成しても良い。
また、ワークWの誘導加熱中には、ワークWをその中心軸回りに回転駆動させても良い。図示は省略するが、このような構成は、図2に示すワーク支持部材3を、その中心軸回りに回転駆動させる回転駆動部(例えば、電動モータ等)に連結することで実現することができる。このようにすれば、ワークWの周方向各部で加熱温度にバラツキが生じるのを回避する上で、すなわちワークW全域を均一に加熱する上で有利となる。
また、以上では、焼入れ工程S1に含まれる加熱工程を実施するにあたって本発明に係る誘導加熱装置1を採用したが、本発明は、焼戻し工程S2に含まれる加熱工程を実施するにあたって適用することもできる。
また、以上では、転がり軸受の外輪(の基材)に熱処理を施すにあたって本発明に係る技術手段を適用したが、本発明は、その他の短筒状のワークW、例えば、転がり軸受の内輪、すべり軸受、等速自在継手を構成する外側継手部材や内側継手部材、転がり軸受や等速自在継手に組み込まれる保持器に熱処理を施す際にも好ましく適用することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 誘導加熱装置
2 コイルユニット(加熱部)
2A 第1コイルユニット
2B 第2コイルユニット
4 電源
5 外径側コイル部
6 内径側コイル部
7 電極部材
8a,8b,8c 配電部材
9 電流
11 コイル部材
12 環状部
21 コイル部材
22 螺旋部
W ワーク(短筒状のワーク)

Claims (4)

  1. 短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱するための加熱部と、該加熱部に高周波電力を供給する電源とを備えた誘導加熱装置において、
    前記加熱部は、前記ワークの径方向外側に前記ワークと同軸に配置される環状又は螺旋状の外径側コイル部と、前記ワークの径方向内側に前記ワークと同軸に配置される環状又は螺旋状の内径側コイル部とを備え、前記外径側コイル部と前記内径側コイル部とが電気的に直列接続されていることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記外径側コイル部と前記内径側コイル部は、配電部材を介して電気的に直列接続されている請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記ワークが、転がり軸受の軌道輪である請求項1又は2に記載の誘導加熱装置。
  4. 短筒状のワークを狙い温度に誘導加熱するに際し、
    前記ワークの径方向外側および径方向内側のそれぞれに、電気的に直列接続された環状又は螺旋状の外径側コイル部および内径側コイル部を前記ワークと同軸に配置し、その状態で前記外径側コイル部又は前記内径側コイル部に通電することを特徴とする誘導加熱方法。
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