(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を模式的に示す構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置本体1及び後処理装置2を備えている。
画像形成装置本体1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成装置本体1は、原稿読取装置5、感光体11、帯電部12、像露光部13、現像部14、転写部15A、分離部15B、クリーニング装置16、定着装置18及び画像形成制御部19を有している。
原稿読取装置5は、画像形成装置本体1の筐体上部に配置され、画像を読み取る際に原稿を自動的に移動させる自動原稿送り部を備えている。この原稿読取装置5は、原稿に形成された画像を読み取り、所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換が施されることにより画像データとして作成される。
原稿読取装置5が備える画像読取制御部(図示せず)は、画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施し、この処理により得られるデータを最終的な画像データとして画像形成制御部19に出力する。なお、画像形成制御部19は、原稿読取装置5から画像データを取得するのみならず、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置から画像データを取得してもよい。
感光体11は、帯電部12によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部13は、画像データを基に画像形成制御部19から出力される出力情報に基づいて、レーザビームにより感光体11の表面を走査露光する。これにより、感光体11の表面に潜像が形成される。現像部14はトナーにより当該潜像を現像し、感光体11の表面に画像(トナー画像)を形成する。
用紙トレイ17Aに収容された用紙Pは、転写部15Aへ給紙される。転写部15Aは、感光体11の表面上の画像を用紙Pへ転写する。分離部15Bは、画像が転写された用紙Pを感光体11から分離する。クリーニング装置16は、画像が用紙Pに転写された後の感光体11の表面に残留しているトナーを除去する。中間搬送部17Bは、分離された用紙Pを定着装置18へ搬送する。
定着装置18は、加熱及び加圧により用紙Pに画像を定着させる定着処理を施す。第1排出ローラー17Cは、定着処理が施された用紙Pを後処理装置2へ排出(供給)する。
一方、用紙Pの両面に画像形成を行う場合、定着装置18により定着処理が施された用紙Pは、搬送経路切換板17Dにより、その搬送方向が第1排出ローラー17C側から下方(反転搬送部17E)側へと切り換えられる。反転搬送部17Eは、用紙Pをスイッチバックすることにより用紙Pの表裏を反転させた上で用紙Pを転写部15Aへ搬送する。
画像形成制御部19は、画像形成装置本体1の制御を行う。画像形成制御部19としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、各種プログラムを実行する(プロセッサー)。ROMは、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROMは、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAMは、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
後処理装置2は、画像形成装置本体1の後段に配置されており、画像形成装置本体1から排出された用紙Pに対して所定の処理(後処理)を施す用紙処理装置である。本実施形態において、後処理装置2は、ステープル処理(綴じ処理)、すなわち、画像形成装置本体1から排出された用紙Pを複数重ね合わせた上で、ステープル(綴じ部材)により複数の用紙Pを綴じる処理を行う。後処理装置2は、導入部20、中間スタッカ40、ステープル部45、用紙排出装置50及び後処理制御部70を主体に構成されている。
導入部20は、画像形成装置本体1から排出された用紙Pを受け取り、この用紙Pを後処理装置2の内部に送り出す。導入部20は、画像形成装置本体1の第1排出ローラー17Cと対応するように、その位置が設定されている。
なお、画像形成装置本体1から排出された用紙P以外の用紙Pを後処理装置2に導入するために、後処理装置2には、用紙供給ユニット30が備えられている。用紙供給ユニット30は、給紙用トレイ31及び用紙送り部32を備えている。給紙用トレイ31に載置された用紙Pは、用紙送り部32によって取り込まれ、それから、所定の搬送経路を搬送され、導入部20下流側の搬送経路に合流する。
後処理装置2における用紙Pの搬送経路の概要を説明する。導入部20下流の搬送経路は、第1搬送経路R1と、第2搬送経路R2と、第3搬送経路R3とに分岐しており、導入部20からの用紙Pは、切換ゲート(図示せず)の切り換えに応じて、いずれかの搬送経路R1〜R3を搬送される。ステープル処理を行うことなく用紙Pを機外のトレイに排出する場合、切換ゲートは、第1搬送経路R1又は第3搬送経路R3に設定される。一方、ステープル処理を行う場合、切換ゲートは、第2搬送経路R2に設定される。
第1搬送経路R1は、導入部20から送り出された用紙Pに何らの処理を施すことなく、用紙排出装置50に対してそのまま搬送する経路である。第1搬送経路R1には、用紙Pを搬送するための搬送ローラー等が配置されている。
第2搬送経路R2は、導入部20から送り出された用紙Pを、中間スタッカ40を経由して用紙排出装置50へ搬送する経路である。第2搬送経路R2には、用紙Pを搬送するための搬送ローラー、スタッカ排出ローラー26、搬送ベルト27等が配置されている。
スタッカ排出ローラー26は、中間スタッカ40の用紙載置面を臨む位置に配置されており、第2搬送経路R2を搬送された用紙Pを中間スタッカ40に排出する。搬送ベルト27は、中間スタッカ40に載置された用紙束、すなわち、ステープルによって綴じられた複数の用紙Pを用紙排出装置50に搬送する。
中間スタッカ40は、ステープル部45によるステープル処理に供するために、スタッカ排出ローラー26から排出される用紙Pを順次積載する。中間スタッカ40は、当該中間スタッカ40に載置される用紙Pの先端がその後端よりも上向きとなるように傾斜した格好で配置されている。スタッカ排出ローラー26から排出された用紙Pは、中間スタッカ40上に落下すると、中間スタッカ40上を滑り落ち、用紙Pの後端部が後端ガイド板(図示せず)に当接することで静止する。
ステープル部45は、ステープルを打ち出すステープラーと、当該ステープルの針先を用紙Pに沿って折り曲げるクリンチャーとで構成されている。このステープル部45は、中間スタッカ40に積載された複数の用紙Pを対象として、予め定められた位置及び向きに従ってステープルを施すことにより、ステープル処理を行う。例えば、ステープル部45は、用紙Pの後端部にステープルを施す端部綴じを行う。
第3搬送経路R3は、導入部20から送り出された用紙Pをサブトレイ60に搬送する経路である。第3搬送経路R3には、用紙Pを搬送するための搬送ローラーが配置されている。サブトレイ60は、機外の上部に配置されている。サブトレイ60は、積載可能な用紙量が少ないことから、例えば厚紙等といった特殊な用紙Pに対する少量排出の際に利用される。
用紙排出装置50は、後処理装置2内を搬送された用紙Pを排出し、集積する装置である。本明細書では、特に断らない限り、「用紙P」という用語を、単一の用紙Pのみならず、ステープルにより綴じられた用紙束も含む概念で用いる。用紙排出装置50は、第2排出ローラー51、用紙トレイ52、昇降機構53、突当板54及びグリッパー55を主体に構成されている。ここで、図2は、用紙排出装置50の要部を拡大して示す説明図である。
第2排出ローラー51は、第1搬送経路R1及び第2搬送経路R2それぞれの終端に位置し、各搬送経路R1,R2を搬送された用紙Pを排出する。なお、本明細書では、第2排出ローラー51から排出される際の用紙Pの排出方向を基準として、用紙排出装置50内での用紙Pの前端及び後端を定義する。
用紙トレイ52は、第2排出ローラー51から排出された用紙Pを積載するトレイである。用紙トレイ52は、昇降機構53により用紙積載方向W1に沿って昇降可能に構成されている(図1参照)。昇降機構53は、用紙トレイ52に積載される最上位の用紙Pが所定の高さを維持するように、後処理制御部70によって制御される。
用紙トレイ52は、当該用紙トレイ52に集積される用紙Pの先端側がその後端側よりも上向きとなるように傾斜した形状を有している。用紙トレイ52における用紙Pの後端側には、縦壁状の突当板54が設けられている。この突当板54は、用紙トレイ52上に積載される用紙Pの後端が突き当たることにより、用紙Pを整合する機能を担っている。
グリッパー55は、用紙Pの両面にそれぞれ接触することで、用紙Pを挟持する。グリッパー55は、第2排出ローラー51から排出された用紙Pの後端を挟持し、この用紙Pを突当板54の方向へ引き戻す引戻動作を行う。グリッパー55による用紙Pの挟持は、用紙Pの後端が用紙トレイ52(最上位の用紙Pを含む)に落下するまでに行われる。グリッパー55は、用紙Pの上面側に接触する上側グリッパー56と、用紙Pの下面側に接触する下側グリッパー57とで構成されている。
図3及び図4は、上側グリッパー56及び下側グリッパー57の動作を示す説明図である。下側グリッパー57は、リンク機構57a等を介してアクチュエーター(図示せず)に接続されている。アクチュエーターが駆動すると、下側グリッパー57は、図2に破線で示す周回軌道を描きながら回動する。具体的には、図3(a)に示す下側グリッパー57の位置は、第2排出ローラー51から排出された用紙Pを、上側グリッパー56とともに挟持する開始位置(挟持開始位置)である。下側グリッパー57は、挟持開始位置から、周回軌道に沿って図中の右下方向へと移動し(図3(b))、それから、突当板54よりも内側まで到達する(図4(a))。そして、下側グリッパー57は、この位置から、周回軌道に沿って図中の上方向へと移動し、待機位置まで移動する(図4(b))。
一方、上側グリッパー56は、後端側がブラケット56aに対して軸支されており、その先端側が回転軸を中心に揺動するように構成されている。上側グリッパー56には、スプリング等の付勢部材(図示せず)が設けられており、その先端側が図中下方向に向かうように付勢されている。上側グリッパー56は、付勢部材の付勢力により、挟持開始位置にある下側グリッパー57に対して押圧される(図3(a))。この押圧力により、上側グリッパー56と下側グリッパー57との間に用紙Pを挟持することができる。
また、下側グリッパー57が周回軌道に沿って回動すると、上側グリッパー56は、付勢部材による付勢力を受けて、下側グリッパー57の回動に追従するように揺動する。上側グリッパー56は、下側グリッパー57に対して押圧された状態が維持されるので、用紙Pは、上側グリッパー56と下側グリッパー57との間に挟持されたままとなる。そして、上側グリッパー56及び下側グリッパー57が移動する過程において、用紙Pの後端が突当板54に突き当てられる(図3(b))。
用紙Pの後端が突当板54に突き当てられると、上側グリッパー56に連結されたブラケット56aが、図示しないアクチュエーターによって駆動される。アクチュエーターの駆動により、ブラケット56aがガイドレール56bに沿って図中右側に移動すると、上側グリッパー56がブラケット56aに引っ張られる。この際、上側グリッパー56は、ブラケット56aに引っ張られると規制部材(図示せず)と機械的に干渉し、この干渉によって上側へと持ち上げられ、下側グリッパー57から引き離される(図4(a))。これにより、上側グリッパー56及び下側グリッパー57による用紙Pの挟持が解除され、用紙Pが用紙トレイ52へと落下する。そして、ブラケット56a及び上側グリッパー56は、待機位置へと移動する(図4(b))。
つぎに、第2排出ローラー51からの用紙Pの排出に合わせて、下側グリッパー57は、挟持開始位置へと移動する。同様に、ブラケット56aがガイドレール56bに沿って図中左側に移動すると、規制部材と上側グリッパー56との干渉が解除される。上側グリッパー56は、付勢部材からの付勢力を受けて、挟持開始位置にある下側グリッパー57に対して押圧される。これにより、上側グリッパー56と下側グリッパー57との間に用紙Pを挟持することができる(図3(a))。
このような一連の動作により、グリッパー55は、第2排出ローラー51から排出された用紙Pを挟持し、この用紙Pを突当板54の方向へ引き戻す引戻動作を行うことができる。
後処理制御部70は、後処理装置2に関する制御を行う。後処理制御部70としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、各種プログラムを実行する(プロセッサー)。ROMは、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROMは、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAMは、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
本実施形態との関係において、後処理制御部70は、ステープルにより綴じられた用紙束が第2排出ローラー51から排出されることを判断した場合に、用紙束に対して引戻動作を実行する。
図5は、本実施形態に係るグリッパー55の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、用紙Pが排出される毎に、後処理制御部70によって実行される。
まず、ステップS10において、後処理制御部70は、第2排出ローラー51から用紙Pが排出されるか否かを判断する。この判断は、第1搬送経路R1に配置された用紙検知センサー21(図1参照)又は第2搬送経路R2に配置された用紙検知センサー22(図1参照)の検知結果に基づいて行うことができる。第2排出ローラー51から用紙Pが排出される場合には、ステップS10において肯定判定され、ステップS11に進む。一方、第2排出ローラー51から用紙Pが排出されない場合には、ステップS10において否定判定され、ステップS10に戻る。
ステップS11において、後処理制御部70は、第1搬送経路R1を経て第2排出ローラー51から用紙Pが排出される第1モードであるか否かを判断する。この判断は、用紙検知センサー21又は用紙検知センサー22の検知結果に基づいて行うことができる。第1モードである場合には、ステップS11において肯定判定され、ステップS12に進む。この第1モードでは、第1搬送経路R1を経た単一の用紙Pが第2排出ローラー51から排出される。一方、第2搬送経路R2を経て第2排出ローラー51から用紙束が排出される第2モードである場合には、ステップS11において否定判定され、ステップS13に進む。
ステップS12において、後処理制御部70は、単一の用紙Pを対象として、引戻動作を実行する。具体的には、後処理制御部70は、第1搬送経路R1に配置された用紙検知センサー21において用紙Pの後端が検知されたタイミング、用紙検知センサー21から第2排出ローラー51までの距離、用紙Pの搬送速度等に基づいてグリッパー55を制御し、第2排出ローラー51から排出された用紙Pに対して引戻動作を実行する。この引戻動作の実行により、第2排出ローラー51から排出された用紙Pは、その後端がグリッパー55によって挟持される。そして、グリッパー55が用紙Pを突当板54の方向へと引き戻すことで、用紙Pの後端が突当板54に突き当てられる。用紙Pの後端が突当板54に突き当てられると、グリッパー55による用紙Pの挟持は解除され、用紙Pは用紙トレイ52に積載される。
ステップS13において、後処理制御部70は、用紙束の綴じ枚数が、基準綴じ枚数以上であるか否かを判断する。綴じ枚数が少ない用紙束ほど軽い重量となるため、第2排出ローラー51から排出された際に、用紙束が大きく飛び出してしまう。このため、用紙束の落下位置にばらつきが生じ、用紙トレイ52上で不揃いが生じ易い。一方で、綴じ枚数が多い用紙束ほど重い重量となるため、第2排出ローラー51から排出された際に、用紙束が大きく飛び出すことはない。このため、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難い。基準綴じ枚数は、用紙トレイ52上で不揃いが生じるような軽い重量の用紙束と、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難いような重い重量の用紙束とを切り分けるための基準値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている(例えば20枚)。用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数以上である場合には、ステップS13において肯定判定され、ステップS14に進む。一方、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数よりも少ない場合には、ステップS13において否定判定され、ステップS15に進む。
ステップS14において、後処理制御部70は、引戻動作を実行しない。したがって、基準綴じ枚数以上の用紙束は、単に第2排出ローラー51から排出され、用紙トレイ52に積載される。
ステップS15において、後処理制御部70は、用紙束(基準綴じ枚数よりも少ない用紙束)を対象として、引戻動作を実行する。具体的には、後処理制御部70は、第2搬送経路R2に配置された用紙検知センサー22において用紙束の後端が検知されたタイミング、用紙検知センサー22から第2排出ローラー51までの距離、用紙Pの搬送速度等に基づいてグリッパー55を制御し、第2排出ローラー51から排出された用紙束に対して引戻動作を実行する。この引戻動作の実行により、第2排出ローラー51から排出された用紙束は、その後端がグリッパー55によって挟持される。そして、グリッパー55が用紙束を突当板54の方向へと引き戻すことで、用紙束の後端が突当板54に突き当てられる。用紙束の後端が突当板54に突き当てられると、グリッパー55による用紙束の挟持は解除され、用紙束は用紙トレイ52に積載される。
このように本実施形態によれば、用紙排出装置50は、用紙Pを排出する第2排出ローラー(排出部材)51と、第2排出ローラー51から排出された用紙Pが積載される用紙トレイ(積載部)52と、用紙トレイ52に積載される用紙Pを整合するために、用紙Pの後端が突き当てられる突当板(突当部材)54と、第2排出ローラー51から排出された用紙Pに接触し、当該用紙Pを突当板54の方向へ引き戻す引戻動作を行うグリッパー(引戻部材)55と、グリッパー55を制御する制御部(後処理制御部70)と、を有している。そして、後処理制御部70は、ステープルにより綴じられた用紙束が第2排出ローラー51から排出されることを判断した場合に、用紙束に対して引戻動作を実行している。
この構成によれば、第2排出ローラー51から排出される用紙束が、グリッパー55によって突当板54の方向へ引き戻されることとなる。これにより、排出された用紙束は、用紙トレイ52に積載された最上位の用紙束の上方を通過して、突当板54まで到達することができる。その結果、それぞれのステープルが引っ掛かってしまうことを抑制することができる。これにより、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。
また、本実施形態において、後処理制御部70は、第2排出ローラー51から排出される用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数以上の場合には、用紙束に対して引戻動作を実行していない。
この構成によれば、第2排出ローラー51から用紙束が排出される状況のなかでも、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数よりも少ない場合に限り、用紙束に対して引戻動作が実行される。軽い重量の用紙束については、第2排出ローラー51からの飛び出し量が大きくなり、用紙束が不揃いになり易い。このため、軽い重量の用紙束に限定して引戻動作を実行することで、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。また、重い重量の用紙束については、第2排出ローラー51からの飛び出し量が小さいため、用紙束が不揃いになり難い。このため、用紙束に対して引戻動作を実行しなくとも、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。
また、本実施形態において、グリッパー55は、用紙束の両面にそれぞれ接触し、用紙束を挟持する。具体的には、グリッパー55は、用紙束の最上面の用紙Pに当接する上側グリッパー56と、用紙束の最下面の用紙Pに当接する下側グリッパー57とで構成されている。
この構成によれば、用紙Pの両面にそれぞれ接触し、用紙Pを挟持することで、用紙Pを適切に引き戻すことが可能となる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。第2の実施形態に係る画像形成装置が第1の実施形態のそれと相違する点は、グリッパー55の制御方法である。第1の実施形態と重複する内容については説明を省略し、相違点を中心に説明を行う。
本実施形態において、後処理制御部70は、グリッパー55が用紙Pを挟持した後に、当該挟持を解除する解除タイミングを制御する。具体的には、後処理制御部70は、上側グリッパー56が用紙Pに対して接触した後に当該接触を解除する解除タイミングを制御する。上側グリッパー56の解除タイミングは、ブラケット56aを待機位置へと移動する移動タイミングを調整することにより制御することができる。ブラケット56aを待機位置へと移動させる移動タイミングを早めれば、上側グリッパー56の解除タイミングを早めることができる。
図6は、第2の実施形態に係るグリッパー55の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、用紙Pが排出される毎に、後処理制御部70によって実行される。
まず、ステップS20において、後処理制御部70は、第2排出ローラー51から用紙Pが排出されるか否かを判断する。第2排出ローラー51から用紙Pが排出される場合には、ステップS20において肯定判定され、ステップS21に進む。一方、第2排出ローラー51から用紙Pが排出されない場合には、ステップS20において否定判定され、ステップS20に戻る。
ステップS21において、後処理制御部70は、第1搬送経路R1を経て第2排出ローラー51から用紙Pが排出される第1モードであるか否かを判断する。第1モードである場合には、ステップS21において肯定判定され、ステップS22に進む。この第1モードでは、第1搬送経路R1を経た単一の用紙Pが第2排出ローラー51から排出される。一方、第2搬送経路R2を経て第2排出ローラー51から用紙束が排出される第2モードである場合には、ステップS21において否定判定され、ステップS23に進む。この第2モードでは、第2搬送経路R2を経た用紙束(ステープルにより綴じられた用紙束)が第2排出ローラー51から排出される。
ステップS22において、後処理制御部70は、単一の用紙Pを対象として、引戻動作を実行する。具体的には、後処理制御部70は、第1搬送経路R1に配置された用紙検知センサー21において用紙Pの後端が検知されたタイミング、用紙検知センサー21から第2排出ローラー51までの距離、用紙Pの搬送速度等に基づいてグリッパー55を制御し、第2排出ローラー51から排出された用紙Pに対して引戻動作を実行する。この引戻動作の実行により、第2排出ローラー51から排出された用紙Pは、その後端がグリッパー55によって挟持され、突当板54の方向へと引き戻される。
このステップS22の引戻動作では、上側グリッパー56の解除タイミングは、通常の解除タイミング、すなわち、用紙Pの後端が突当板54に突き当てられたタイミングよりも後になるように設定されている。そのため、用紙Pはグリッパー55によって挟持されたまま、その後端が突当板54に突き当てられる。用紙Pの後端が突当板54に突き当てられると、グリッパー55による用紙Pの挟持は解除され、用紙Pは用紙トレイ52に積載される。
ステップS23において、後処理制御部70は、用紙束の綴じ枚数が、基準綴じ枚数以上であるか否かを判断する。グリッパー55によって引き戻された用紙束の後端が突当板54に突き当てられた場合、用紙束が突当板54によって跳ね返されることがある。このため、用紙束が先端側に飛び出してしまい、用紙トレイ52上で不揃いが生じ易い。また、この飛び出しは、軽い重量の用紙束ほど顕著となる。一方で、重い重量の用紙束は、飛び出し量が小さいため、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難い。基準綴じ枚数は、突当板54による跳ね返りによって、用紙トレイ52上で不揃いが生じるような軽い重量の用紙束と、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難いような重い重量の用紙束とを切り分けるための基準値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数以上である場合には、ステップS23で肯定判定され、ステップS24に進む。一方、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数よりも少ない場合には、ステップS23で否定判定され、ステップS26に進む。
ステップS24において、後処理制御部70は、用紙トレイ52に積載された用紙束の部数が基準部数よりも多いか否かを判断する。上述のように、グリッパー55によって引き戻された用紙束の後端が突当板54に突き当てられた場合に、用紙束が突当板54によって跳ね返されることがある。特に、用紙トレイ52に積載される用紙束の部数が多いと、ステープルの厚みにより用紙束の後端側の高さが増し、用紙束の上面が傾斜から水平に近づく(図7参照)。そのため、上述の飛び出しは、用紙トレイ52に積載された用紙束の部数が多いほど顕著となる。基準部数は、突当板54による跳ね返りにより、用紙トレイ52上で不揃いが生じるような用紙束の部数と、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難いような用紙束の部数とを切り分けるための基準値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。用紙束の部数が基準部数よりも多い場合には、ステップS24で肯定判定され、ステップS26に進む。一方、用紙束の部数が基準部数以下の場合には、ステップS24で否定判定され、ステップS25に進む。
ステップS25において、後処理制御部70は、用紙束を対象として、引戻動作を実行する。具体的には、後処理制御部70は、第2搬送経路R2に配置された用紙検知センサー22において用紙束の後端が検知されたタイミング、用紙検知センサー22から第2排出ローラー51までの距離、用紙Pの搬送速度等に基づいてグリッパー55を制御し、第2排出ローラー51から排出された用紙束に対して引戻動作を実行する。この引戻動作の実行により、第2排出ローラー51から排出された用紙束は、その後端がグリッパー55によって挟持され、突当板54の方向へと引き戻される。
このステップS25の引戻動作では、上側グリッパー56の解除タイミングは、通常の解除タイミング、すなわち、用紙束の後端が突当板54に突き当てられたタイミングよりも後になるように設定されている。そのため、用紙束はグリッパー55によって挟持されたまま、その後端が突当板54に突き当てられる。用紙束の後端が突当板54に突き当てられると、グリッパー55による用紙束の挟持は解除され、当該用紙束は用紙トレイ52に積載される。
ステップS26において、後処理制御部70は、用紙束を対象として、引戻動作を実行する。具体的には、後処理制御部70は、第2搬送経路R2に配置された用紙検知センサー22において用紙束の後端が検知されたタイミング、用紙検知センサー22から第2排出ローラー51までの距離、用紙Pの搬送速度等に基づいてグリッパー55を制御し、第2排出ローラー51から排出された用紙束に対して引戻動作を実行する。この引戻動作の実行により、第2排出ローラー51から排出された用紙束は、その後端がグリッパー55によって挟持され、突当板54の方向へと引き戻される。
このステップS26の引戻動作では、上側グリッパー56の解除タイミングは、次に述べる2つの要件を満たすように設定されている。第1の要件は、グリッパー55によって引き戻される用紙束のステープルが、用紙トレイ52上に積載されている最上位の用紙束のステープルを通過したタイミングよりも後となることである。また、第2の要件は、グリッパー55によって引き戻される用紙束の後端が、突当板54に突き当てられるタイミングよりも前になることである。後処理制御部70は、上側グリッパー56及び下側グリッパー57の回動速度等を考慮した上で、上述の2つの要件を満たす範囲で、上側グリッパー56の解除を行う。これにより、用紙束の後端が突当板54に突き当たるよりも前に、上側グリッパー56が解除され、グリッパー55による用紙束の挟持も解除される。グリッパー55の挟持が解除されると、用紙束がグリッパー55の回動動作に追従できなくなる。このため、用紙束の後端は、グリッパー55に挟持されたまま突当板54に突き当てられる場合と比較して、遅い速度で突当板54に突き当てられることとなる。
このように本実施形態において、用紙排出装置50は、用紙Pを排出する第2排出ローラー(排出部材)51と、第2排出ローラー51から排出された用紙Pが積載される用紙トレイ(積載部)52と、用紙トレイ52に積載される用紙Pを整合するために、用紙Pの後端が突き当てられる突当板(突当部材)54と、第2排出ローラー51から排出された用紙Pに接触し、当該用紙Pを突当板54の方向へ引き戻す引戻動作を行うグリッパー(引戻部材)55と、グリッパー55を制御する制御部(後処理制御部70)と、を有している。後処理制御部70は、グリッパー55が用紙Pに対して接触した後に当該接触を解除する解除タイミングを制御している。
この構成によれば、グリッパー55の解除タイミングを自在に調整することができる。そのため、突当板54に突き当たる用紙Pの速度をコントロールすることができる。これにより、突当板54による用紙Pの跳ね返りを抑制することができるので、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難い。その結果、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。
また、本実施形態において、解除タイミングは、グリッパー55によって引き戻されるステープルが、用紙トレイ52に積載されている用紙束のステープルを通過したタイミングよりも後に設定されている。
この構成によれば、グリッパー55によって引き戻される用紙束は、用紙トレイ52に積載された最上位の用紙束の上面の上方を通過して、突当板54へと到達することができる。その結果、ステープル同士が引っ掛かることを抑制することができる。これにより、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。
また、本実施形態において、解除タイミングは、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数よりも少ない場合と、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数以上の場合とで異なっている。具体的には、解除タイミングは、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数よりも少ない場合の方が、用紙束の綴じ枚数が基準綴じ枚数以上の場合と比較して早くされている。
この構成によれば、基準綴じ枚数よりも少ない用紙束については、グリッパー55の解除タイミングが早められる。そのため、グリッパー55に挟持されたまま突当板54に突き当てられる場合と比較して、遅い速度で突当板54に突き当てられることとなる。これにより、用紙束が突当板54によって跳ね返されることを抑制することができる。その結果、用紙トレイ52上で不揃いが生じ難いので、用紙トレイ52上に用紙束を整然と積載することができる。
なお、第1の実施形態では、用紙束の綴じ枚数を基準に、用紙束に対する引戻動作の実行可否を判断した。しかしながら、第2の実施形態に示すとおり、用紙トレイ52に積載される用紙束の部数が多くなると、ステープルの厚みにより用紙束の後端側が高くなり、用紙束の上面が傾斜から水平に近くなる(図7参照)。このため、単に、第2排出ローラー51から排出するのみでは、用紙トレイ52に積載される用紙束が不揃いとなり易い。そこで、用紙束の綴じ枚数に代えて、用紙トレイ52に積載された用紙束の部数を基準に、用紙束に対する引戻動作の実行可否を判断してもよい。また、第2の実施形態では、用紙束の綴じ枚数と用紙トレイ52に積載される用紙束の部数とを条件に用いて、グリッパー55の解除タイミングを切り換えているが、いずれか一方の条件のみを用いて、グリッパー55の解除タイミングを切り換えるものであってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置及び用紙排出装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、本実施形態では、画像形成装置が、画像形成機能を担う画像形成装置本体と、用紙に対して処理を施す用紙処理装置とで構成されている。しかしながら、画像形成装置から独立した用紙処理装置に対して、用紙排出装置を適用してもよい。
また、本実施形態では、用紙処理装置が専用の制御部を備え、当該制御部により用紙排出装置の制御が実行されている。しかしながら、用紙排出装置が専用の制御部を備える構成であってもよい。また、用紙処理装置が画像形成装置本体と組み合わされるような場合には、画像形成装置本体の制御を司る制御部が用紙排出装置の制御を行ってもよい。