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JP2019167897A - 燃料供給ポンプ - Google Patents

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JP2019167897A
JP2019167897A JP2018056816A JP2018056816A JP2019167897A JP 2019167897 A JP2019167897 A JP 2019167897A JP 2018056816 A JP2018056816 A JP 2018056816A JP 2018056816 A JP2018056816 A JP 2018056816A JP 2019167897 A JP2019167897 A JP 2019167897A
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淳司 高奥
Junji Takaoku
淳司 高奥
康久 内山
Yasuhisa Uchiyama
康久 内山
悟史 臼井
Satoshi Usui
悟史 臼井
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Abstract

【課題】小型・低コストで過渡的圧力上昇の発生回数を低減させるリリーフ弁機構を有した燃料供給ポンプを提供することである。【解決手段】加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出通路と、前記吐出通路と前記加圧室又は低圧通路とを繋ぐリリーフ通路と、前記リリーフ通路の流路を開閉するリリーフ弁と、軸方向に延びる中心軸に沿って配置されて前記リリーフ弁を保持するリリーフ弁ホルダと、を備え、前記リリーフ弁ホルダは、前記リリーフ弁が開弁した後に、前記リリーフ弁の閉弁方向への移動を規制する移動規制部を有する、ことを特徴とする。【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を圧送する燃料供給ポンプに関する。
自動車の内燃機関の内、燃料を燃焼室内部へ直接的に噴射する直接噴射タイプの内燃機関において、燃料を高圧化し所望の燃料流量を吐出する燃料供給ポンプが広く用いられている。
このような燃料供給ポンプの背景技術の例として、特開2009−114868号公報に記載の発明が知られている。特開2009−114868号公報に記載の燃料供給ポンプのリリーフ弁構造は、高圧側から低圧側へと流体を流す燃料通路内において、燃料通路内に設けたリリーフ弁ハウジングと弁体押さえとの間の管状隙間が絞り効果を有するように構成されている。これにより、弁体押さえの高圧側と低圧側との間に発生する差圧によって弁体を開弁方向へ大きくストロークさせ、高圧配管の圧力を速やかに低下することができる。
また別の例として、特開2009−68462号公報に記載の発明が知られている。特開2009−68462号公報に記載の燃料供給ポンプのリリーフ弁構造は、開弁した弁体の閉弁方向への移動を規制するヒス機構を備えるように構成されている。これにより、開弁が維持され高圧配管の圧力を速やかに低下することができる。
燃料供給ポンプが記載されている。
特開2009−114868号公報
特開2009−68462号公報
燃料供給ポンプのリリーフ弁は、直接噴射インジェクタの故障時などにコモンレール内の圧力が異常に上昇した場合において、開弁することで高圧配管内の圧力を逃がす役割を有する。一方、燃料供給ポンプが正常に作動している場合においては、リリーフ弁の開弁は流量低下を引き起こし、ポンプの圧送効率が低下してしまうため、リリーフ弁が開弁しないことが望ましい。リリーフ弁を開弁させないためには、リリーフ弁の開弁圧を高く設定する必要があるが、開弁圧を高く設定するとポンプ異常時の過渡的圧力が上昇する。
特開2009−114868号公報や特開2009−68462号公報に記載の従来の構造では、燃料供給ポンプの1吐出毎にリリーフ弁は開閉弁動作を繰り返し、過渡的圧力上昇が繰り返し発生するため、疲労強度観点から高圧配管の剛性を上げる必要があった。
そこで本発明の目的は、小型・低コストで過渡的圧力上昇の発生回数を低減させるリリーフ弁機構を有した燃料供給ポンプを提供することにある。
上記した課題を解決するために本発明は、加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出通路と、前記吐出通路と前記加圧室又は低圧通路とを繋ぐリリーフ通路と、前記リリーフ通路の流路を開閉するリリーフ弁と、軸方向に延びる中心軸に沿って配置されて前記リリーフ弁を保持するリリーフ弁ホルダと、を備え、前記リリーフ弁ホルダは、前記リリーフ弁が開弁した後に、前記リリーフ弁の閉弁方向への移動を規制する移動規制部を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、小型・低コストで過渡的圧力上昇の発生回数を低減させるリリーフ弁機構を有した燃料供給ポンプを提供することができる。
上記した以外の本発明の課題、構成、作用及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明を実施する燃料供給ポンプの横方向から見た縦断面図である。 本発明を実施する燃料供給ポンプの上方向から見た水平方向断面図である。 本発明を実施する燃料供給ポンプの図1とは別の横方向から見た縦断面図である。 本発明を実施する燃料供給ポンプに搭載される電磁吸入弁機構の拡大断面図である。 本発明を実施する燃料供給ポンプを含む、燃料供給システムの構成図である。 参考例のリリーフ弁ホルダの詳細断面図である。 図6の参考例の圧力挙動である。 実施例1のリリーフ弁機構の閉弁時の詳細断面図である。 実施例1のリリーフ弁機構の開弁時の詳細断面図である。 実施例1の圧力挙動である。 実施例2のリリーフ弁ホルダの詳細図である。 実施例3のリリーフ弁機構の詳細図である。 実施例4のリリーフ弁機構の詳細図である。 実施例4のリリーフ弁機構の詳細図である。 実施例4のリリーフ弁機構の詳細図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。なお、以下の説明で図面における上下方向を指定して説明する場合があるが、この上下方向は燃料供給ポンプの実装状態における上下方向を意味するものではない。
図5は燃料供給ポンプ(高圧燃料ポンプ)を含む燃料供給システムの一例を示す構成図である。破線で囲まれた部分が燃料供給ポンプ1のポンプボディ1aを示し、この破線の中に示されている機構、部品は燃料供給ポンプのポンプボディ1aに一体に組み込まれていることを示す。
燃料タンク101の燃料は、エンジンコントロールユニット(ECU)102からの信号に基づきフィードポンプ103によって汲み上げられる。この燃料は適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管104を通して燃料供給ポンプの低圧燃料吸入口2aに送られる。低圧燃料吸入口2aから吸入ジョイント17を通過した燃料は、圧力脈動低減機構3、吸入通路2bを介して、容量可変機構を構成する電磁吸入弁機構300の吸入ポート31bに至る。
電磁吸入弁機構300に流入した燃料は、吸入弁30を通過し、加圧室4に流入する。エンジンのカム105(図1参照)によりプランジャ5(図1参照)に往復運動する動力が与えられる。プランジャ5の往復運動により、プランジャ5の下降行程には吸入弁30から燃料を吸入し、上昇行程には、燃料が加圧される。加圧された燃料は、吐出弁機構500を介して圧力センサ107が装着されているコモンレール108へ圧送される。
コモンレール108には、図示しないエンジンのシリンダに直接、燃料を噴射するインジェクタ110(所謂、直噴インジェクタ)、圧力センサ107が装着されている。インジェクタ110は、エンジンのシリンダ(気筒)の数に合わせて装着されており、ECU102の制御信号に従って開閉して、燃料をシリンダ内に噴射する。本実施例の燃料供給ポンプ1は、インジェクタ110がエンジンのシリンダ内に直接、燃料を噴射する、いわゆる直噴エンジンシステムに適用される。
インジェクタ110の故障等によりコモンレール108に異常高圧が発生した場合、燃料供給ポンプ1の燃料吐出口2cの圧力と加圧室4の圧力との差圧がリリーフ弁機構600の開弁圧力以上になると、リリーフ弁61が開弁する。この場合、コモンレール108の異常高圧となった燃料がリリーフ弁機構600の内部を通り、リリーフ通路66から加圧室4へと戻される。これによりコモンレール108(高圧配管)を保護することが可能となる。
なお、リリーフ通路66を低圧燃料室8(図1参照)に接続し、異常高圧となった燃料を低圧燃料室8又は吸入通路2b等の低圧通路側へ戻す方式においても、同様に本発明を適用することが可能である。
図1、図2及び図3を用いて本実施例の燃料供給ポンプについて説明する。図1は、本実施例の燃料供給ポンプについて、プランジャの中心軸方向に平行な断面を示す断面図である。図2は、本実施例の燃料供給ポンプの上方から見た水平方向の断面図である。図3は、本実施例の燃料供給ポンプの図1とは異なる方向から見た断面図である。
なお、図2においては吸入ジョイント17がボディ側面に設けられているが、本発明はこれに限定される訳でなく、吸入ジョイント17がダンパカバー16の上面に設けられた燃料供給ポンプにも適用可能である。吸入ジョイント17は、車両の燃料タンク101からの燃料を供給する吸入配管104(低圧配管)に接続されており、吸入ジョイント17の低圧燃料吸入口2aから流入した燃料はポンプボディ1aの内部に形成された低圧流路を流れる。ポンプボディ1aに構成される燃料通路の入口部には、ポンプボディ1aに圧入された図示しない吸入フィルタが設けられ、吸入フィルタは燃料タンク101から低圧燃料吸入口2aまでの間に存在する異物が燃料供給ポンプ1内に流入することを防ぐ。
燃料は吸入ジョイント17からプランジャ軸方向上側に流れ、図1に示すダンパ上部3a、ダンパ下部3bにより形成される低圧燃料室8に流れる。低圧燃料室8はポンプボディ1aに取り付けられたダンパカバー16により覆われることで形成される。低圧燃料室8の圧力脈動低減機構3により圧力脈動が低減された燃料は吸入通路2bを介して電磁吸入弁機構300の吸入ポート31bに至る。電磁吸入弁機構300はポンプボディ1aに形成された横穴に取り付けられ、所望の流量の燃料をポンプボディ1aに形成された加圧室入口流路4aを介して加圧室4に供給する。シリンダヘッド112とポンプボディ1aとの間のシールのためにOリング7がポンプボディ1aに嵌め込まれ、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止する。
図1に示すように、ポンプボディ1aにはプランジャ5の往復運動をガイドするためのシリンダ6が取り付けられている。シリンダ6はその外周側において、ポンプボディ1aに圧入と、かしめと、により固定される。シリンダ6の円筒状をなす圧入部の表面により、ポンプボディ1aとの隙間から加圧した燃料が低圧側に漏れないようシールしている。シリンダ6は、その上端面を軸方向にポンプボディ1aの平面に接触させることで、ポンプボディ1aとシリンダ6との円筒状の圧入部のシールに加え、二重のシール構造を構成する。
プランジャ5の下端には、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカム105の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ5に伝達するタペット10が設けられている。プランジャ5はリテーナ15を介してばね12にてタペット10に圧着されている。これによりカム105の回転運動に伴い、プランジャ5を上下に往復運動させることができる。
また、シールホルダ13の内周下端部に保持されたプランジャシール14がシリンダ6の図中下方部においてプランジャ5の外周に摺動可能に接触する状態で設置されている。これにより、プランジャ5が摺動したとき、副室13aの燃料をシールし、内燃機関内部へ流入するのを防ぐ。同時にプランジャシール14は、内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプボディ1aの内部に流入するのを防止する。
図2に示すようにポンプボディ1aには電磁吸入弁機構300を取り付ける横孔と、プランジャ軸方向の同じ位置において、吐出弁機構500を取り付ける横穴と、さらにリリーフ弁機構600を取り付ける横穴、及び、吐出ジョイント18を取り付ける横穴とが形成される。電磁吸入弁機構300を介して加圧室4で加圧された燃料は吐出弁機構500を介して吐出通路2gを流れ、吐出ジョイント18の燃料吐出口2cから吐出される。
加圧室4の出口側に設けられた吐出弁機構500(図2、3)は、吐出弁シート51a、吐出弁シート51aと接離する吐出弁51b、吐出弁51bを吐出弁シート51aに向かって付勢する吐出弁ばね51c、吐出弁プラグ51d、吐出弁51bのストローク(移動距離)を決める吐出弁ストッパ51eから構成される。吐出弁プラグ51dとポンプボディ1aとは溶接部71により接合される、この接合部は燃料が流れる内側空間と外部とを遮断している。また吐出弁シート51aはポンプボディ1aに対し、圧入部72により接合される。
加圧室4の燃料圧力と吐出弁室2fの燃料圧力とに差圧が無い状態では、吐出弁51bは吐出弁ばね51cによる付勢力で吐出弁シート51aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室4の燃料圧力が、吐出弁室2fの燃料圧力よりも大きくなった時に初めて、吐出弁51bは吐出弁ばね51cに逆らって開弁する。そして、加圧室4内の高圧燃料は吐出弁室2f、吐出通路2g、燃料吐出口2cを経てコモンレール108へと吐出される。吐出弁51bは開弁した際、吐出弁ストッパ51eと接触し、ストロークが制限される。したがって、吐出弁51bのストロークは吐出弁ストッパ51eによって適切に決定される。これによりストロークが大きすぎて、吐出弁51bの閉じ遅れにより、吐出弁室2fへ高圧吐出された燃料が、再び加圧室4内に逆流してしまうのを防止でき、燃料供給ポンプの効率低下が抑制できる。また、吐出弁51bが開弁および閉弁動作を繰り返すときに、吐出弁51bがストローク方向にのみ運動するように、吐出弁ストッパ51eの外周面にて吐出弁51bをガイドしている。
以上のように、加圧室4は、ポンプボディ1a、電磁吸入弁機構300、プランジャ5、シリンダ6、吐出弁機構500にて構成される。また図2、図3に示すように、本実施例の燃料供給ポンプ1はポンプボディ1aに設けられた取付けフランジ1bを用い内燃機関のシリンダヘッド112の平面に密着し、図示しない複数のボルトで固定される。
リリーフ弁機構600は、リリーフシート部材62、リリーフ弁61、リリーフ弁ホルダ63、リリーフばね64、及びリリーフばねストッパ65で構成される。リリーフ弁機構600は、コモンレール108やその先の部材に何らかの問題が生じ、異常に高圧になった場合に作動するよう構成された弁であり、コモンレール108やその先の部材内の圧力が高くなった場合に開弁し、燃料を加圧室4または低圧通路(低圧燃料室8又は吸入通路2b等)に戻すという役割を有する。このため、リリーフ弁機構600は所定の圧力以下では閉弁状態を維持する必要があり、高圧に対抗するために非常に強力なばねであるリリーフばね64を有している。リリーフばね64によれば所定の圧力以下では閉弁状態を維持することができる。
図4を用いて電磁吸入弁機構300について説明する。図4は本実施例の電磁吸入弁機構について、吸入弁の駆動方向に平行な断面を示す拡大断面図であり、吸入弁が開弁した状態を示す断面図である。
無通電状態では、強力なロッド付勢ばね40によって、吸入弁30が開弁方向に稼働するためにノーマルオープン式となっている。ECU102からの制御信号が電磁吸入弁機構300に印加されると、電磁コイル43には端子46を介して電流が流れる。電磁コイル43に電流が流れることにより、磁気吸引面Sにおいて可動コア36が磁性コア39の磁気吸引力により閉弁方向に引き寄せられる。
ロッド付勢ばね40は磁性コア39に形成された凹み部に配置されるとともにロッド35のフランジ部35aを付勢する。フランジ部35aはロッド付勢ばね40と反対側で可動コア36の凹み部と係合する。
磁性コア39は電磁コイル43が配置された電磁コイル室を覆う蓋部材44と接触するように構成される。可動コア36が磁性コア39に吸引されて移動する際に、ロッド35のフランジ部35aが可動コア36に係合して、可動コア36とともにロッド35が閉弁方向に移動する。
可動コア36と吸入弁30との間には、可動コア36を閉弁方向に付勢する閉弁付勢ばね41と、ロッド35を開閉弁方向にガイドするロッドガイド部材37と、が配置される。ロッドガイド部材37は閉弁付勢ばね41のばね座37bを有している。また、ロッドガイド部材37には燃料通路37aが設けられており、可動コア36が配置された空間への燃料の流入出を可能にしている。
可動コア36、閉弁付勢ばね41及びロッド35等はポンプボディ1aに固定された電磁吸入弁機構ハウジング38に内包されている。また、磁性コア39、ロッド付勢ばね40、電磁コイル43及びロッドガイド部材37等は電磁吸入弁機構ハウジング38に保持されている。なお、ロッドガイド部材37は、電磁吸入弁機構ハウジング38に対して、磁性コア39及び電磁コイル43とは反対側に取り付けられており、吸入弁30、吸入弁付勢ばね33及びストッパ32を内包する。
ロッド35の磁性コア39とは反対側には吸入弁30、吸入弁付勢ばね33及びストッパ32を備える。吸入弁30には、加圧室4側に突出して吸入弁付勢ばね33によりガイドされるガイド部30bが形成される。吸入弁30はロッド35の移動に伴って弁体ストローク30eの隙間の分だけ開弁方向(弁座31aから離れる方向)に移動することにより開弁状態となり、吸入通路2b及び加圧室入口流路4aから加圧室4に燃料が供給される。
ガイド部30bは、電磁吸入弁機構300のハウジング(ロッドガイド部材37)内部に圧入されて固定されたストッパ32に衝突することにより動きを停止する。ロッド35と吸入弁30とは別体で独立した構造である。吸入弁30は吸入側に配置された弁座部材31の弁座31aに接触することで加圧室4への流路を閉じ、また弁座31aから離れることで加圧室4への流路を開くように構成される。
図1のカム105の回転により、プランジャ5がカム105の方向(下方向)に移動して吸入行程状態にある場合、加圧室4の容積は増加し、加圧室4内の燃料圧力が低下する。この吸入行程で電磁コイル43が通電オフになっていると、ロッド付勢ばね40の付勢力と吸入通路2bの圧力との合計が加圧室4内の燃料圧力よりも大きくなり、ロッド35により吸入弁30が開弁方向に付勢されて開弁状態となる。
プランジャ5が下死点に達し吸入行程を終了すると、プランジャ5は上昇運動に転じる。ここで電磁コイル43は無通電状態を維持したままであり磁気付勢力は作用しない。加圧室4の容積は、プランジャ5の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度、加圧室4に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁30の開口部を通して吸入通路2bへと戻されるので、加圧室4の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称する。
その後、所望のタイミングで電磁コイル43の通電をオンとすることで、上記したように磁気吸引力が生じることで、可動コア36とともにロッド35が閉弁方向に移動し、ロッド35の先端部35bが吸入弁30から離れる。この状態においては、吸入弁30は差圧に応じて開閉するチェック弁となるため、吸入弁付勢ばね33の付勢力により閉弁する。吸入弁30の閉弁後、プランジャ5が上昇しているので、加圧室4の容積が減少し、燃料が加圧される。これを圧縮行程と称する。加圧室4の燃料が加圧されて吐出弁室2fの燃料圧力と吐出弁ばね51cによる付勢力との合計を上回ると、吐出弁51bが開弁して燃料が吐出される。
電磁吸入弁機構300の電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮行程中の、戻し行程の割合が小さく、吐出行程の割合が大きくなる。すなわち、吸入通路2bに戻される燃料が少なくなり、コモンレール108へ高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮行程中の、戻し行程の割合が大きく、吐出行程の割合が小さくなる。すなわち、吸入通路2bに戻される燃料が多くなり、コモンレール108へ高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル43への通電タイミングは、ECU102からの指令によって制御される。
以上のように電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することができる。
低圧燃料室8には燃料供給ポンプ1内で発生した圧力脈動が吸入配管104へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構3が設置されている。また、圧力脈動低減機構3の上下にはそれぞれ、間隔を持ってダンパ上部3a、ダンパ下部3bが設けられている。一度加圧室4に流入した燃料が、容量制御のため再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路2bへと戻される場合、吸入通路2bへ戻された燃料により低圧燃料室8には圧力脈動が発生する。しかし、低圧燃料室8に設けた圧力脈動低減機構3は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダイアフラムダンパで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。
取付け金具3cは、圧力脈動低減機構3の金属ダンパをポンプボディ1aの内周部に固定するための部材であり、燃料通路上に設置される。このため、ダンパとの支持部を全周では無く一部としており、取付け金具3cの表裏に流体が自由に行き来できるようにしている。
プランジャ5は、大径部5aと小径部5bとを有し、プランジャ5の往復運動によって副室13aの体積は増減する。副室13aは燃料通路2e(図3参照)により低圧燃料室8と連通している。プランジャ5の下降時は、副室13aから低圧燃料室8へ、上昇時は、低圧燃料室8から副室13aへと燃料の流れが発生する。
このことにより、ポンプの吸入行程もしくは、戻し行程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、燃料供給ポンプ内部で発生する圧力脈動を低減する機能を有している。
さらに、リリーフ弁機構の動作を詳細に説明する。リリーフ弁機構600は図2に示すように、リリーフシート部材62、リリーフ弁61、リリーフ弁ホルダ63、リリーフばね64、リリーフばねストッパ65からなる。リリーフシート部材62の内部に、リリーフ弁61、リリーフ弁ホルダ63、リリーフばね64を順に挿入し、リリーフばねストッパ65を圧入等で固定する。リリーフばね64による押付力は、リリーフばねストッパ65の位置によって規定する。リリーフ弁61の開弁圧力はこのリリーフばね64による押付力により規定の値に設定される。こうしてユニット化されたリリーフ弁機構600を、図1に示すようにポンプボディ1aに圧入等で固定する。なお、図1ではユニット化されたリリーフ弁機構600を示しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。
図6は参考例のリリーフシート部材62の詳細断面図である。
リリーフ弁61はシート性の観点からボール弁が望ましく、リリーフ弁61とリリーフばね64との間には、リリーフ弁ホルダ63が設置されている。リリーフ弁ホルダ63は、ばねの押付力をリリーフ弁61に伝達し、リリーフ弁61を保持する役割を果たす。
リリーフシート部材62及びリリーフ弁ホルダ63のリリーフ弁61と当接する部位には、リリーフ弁61を保持するための円錐上の凹み形状を有している。リリーフ弁61のリフト量は、リリーフ弁61の前後差圧の状態で決定するため、流体力学上リフト量の計算が可能である。この参考例では、閉弁時におけるリリーフシート部材62の平坦部62aからリリーフ弁61の下端61aまでの距離Lをリフト量以上に設定しておくことで、リリーフシート部材62からのリリーフ弁61の脱落を防止している。
コモンレール108内の圧力が規定の圧力以上になると、リリーフ弁61がリリーフシート部材62から離れ、開弁するように設定している。この時の規定の圧力を開弁圧Psとする。
図7は、図6に示した参考例における圧力挙動を示す図である。
プランジャ5のリフト上昇に伴い、燃料供給ポンプ1は流量吐出する。吐出工程はプランジャ5が上死点に達して終了する。即ち、燃料供給ポンプ1はプランジャ5のリフトの周期に応じて、吐出有無を繰り返す。本吐出工程に伴い、コモンレール108内の圧力は上昇する。コモンレール108内の圧力が前述の開弁圧Psを超えると、リリーフ弁61は開弁動作を開始する。リリーフ弁61が開弁すると、コモンレール108内の流量がリリーフ弁61を通過して下流側に流れるので、コモンレール108内の圧力はリリーフ弁61の開弁動作に伴い低下する。
このとき、リリーフ弁61の開弁動作には所定の応答遅れが生じるため、開弁動作開始前後で開弁圧Psよりも高い過渡的圧力Pdが発生する。参考例では、図7に示す通り、プランジャ5のプランジャリフト1サイクル毎に発生しリリーフ弁61が開閉弁動作を繰り返すため、前記過渡的圧力Pdもプランジャリフト1サイクル毎に発生する。
一方、コモンレール108は圧力に比例した応力が発生する。そのため、コモンレール108は過渡的圧力Pdが複数回発生しても耐えられるだけの疲労強度を有する必要があり、大型化及びコストアップするという課題がある。
図8は、本発明の実施例1のリリーフ弁機構600の閉弁時の詳細断面図である。
図6に示した参考例と同様、実施例1のリリーフ弁機構600は、リリーフ弁61、リリーフばね64、リリーフシート部材62、及びリリーフ弁ホルダ63で構成される。実施例1では、リリーフ弁ホルダ63が、図6の参考例と異なる。リリーフ弁ホルダ63は例えばステンレス製であり、ドリルや旋盤などにより加工される。
実施例1では、リリーフ弁ホルダ63は、閉弁時のリリーフ弁61を保持するための凹みである第1円錐形状63Aと、第1円錐形状63Aとは軸をずらした凹みである第2円錐形状63Bと、を設けている。
図9は、本発明の実施例1のリリーフ弁機構600の開弁時の詳細断面図である。
リリーフ弁61が開弁し所定のリフト量を超過すると、第1円錐形状63Aからリリーフ弁61が脱落し、第2円錐形状63Bとリリーフシート部材62のフラット面との間でリリーフ弁61が保持される。リリーフばね64の押付力は垂直方向に作用するため、一度図9に示す状態にリリーフ弁61が保持されると、図8に示す閉弁状態に戻ろうとする荷重は作用せず、図9に示す状態が保持し続けられる。
すなわち図8に示すように、本実施例の燃料供給ポンプ1は加圧室4で加圧された燃料を吐出する燃料吐出口2cと、燃料吐出口2cと加圧室4又は低圧通路(低圧燃料室8又は吸入通路2b等)とを繋ぐリリーフ通路66と、リリーフ通路66の流路を開閉するリリーフ弁61と、を備え、リリーフ弁61が開弁した後、閉弁方向への移動を規制する移動規制部(例えば第2円錐形状63B)と、を備えた。この移動規制部は、リリーフ弁61が開弁動作時に径方向外側にずれることで、その後、リリーフ弁61の閉弁方向(径方向内側)への移動を規制するように構成されたものである。
また本実施例の燃料供給ポンプ1はリリーフ弁61を保持するリリーフ弁ホルダ63と、リリーフ弁ホルダ63をリリーフ弁61の下流側から上流側に向かって付勢するリリーフばね64と、を備え、上記した移動規制部はリリーフ弁ホルダ63により構成された(すなわちリリーフ弁ホルダ63が移動規制部を有する。)。具体的にはリリーフ弁ホルダ63は、閉弁時にリリーフ弁61を保持する凹みである第1凹み部(第1円錐形状63A)(第1保持部)と、第1凹み部に対して径方向外側に中心軸がずれた凹みである第2凹み部(第2円錐形状63B)(第2保持部)とを有し、第2凹み部(第2円錐形状63B)は開弁時にリリーフ弁61を保持するように構成された。この構成によれば、簡単な構成でリリーフ弁61の閉弁方向への移動を規制することができる。
また本実施例の燃料供給ポンプ1はリリーフ弁ホルダ63に形成された第1凹み部は円錐形状(第1円錐形状63A)であるとともに、第2凹み部は第1凹み部に対して径方向外側に中心軸がずれた位置に円錐形状(第2円錐形状63B)で構成されている。なお、第1凹み部(第1円錐形状63A)及び第2凹み部(第2円錐形状63B)は、下流に向かって径が小さくなる円錐形状により形成される。また第2凹み部(第2円錐形状63B)の下流側先端部が第1凹み部(第1円錐形状63A)の下流側先端部よりも下流側に位置するように構成される。第1凹み部及び第2凹み部が円錐形状であることにより、加工が容易であるとともに、第1凹み部及び第2凹み部でリリーフ弁61を確実に保持することができる。
実施例1における圧力挙動を図10に示す。
燃料供給ポンプ1の流量吐出は、図7の参考例と同様、プランジャ5のプランジャリフトの周期に応じて、吐出有無を繰り返すが、リリーフ弁61の開弁動作は前述の構造により、最初の1回のみとなる。その後は、開弁状態を保持し続けるため、過渡的応力Pdの作用回数も1回のみとなる。したがって、コモンレール108に発生する応力の作用回数も1回のみとなり、コモンレール108の強度耐性を低減することが可能となる。即ち、コモンレール108は疲労強度観点ではなく、引張強度観点での設計が可能となる。
以下に本発明の実施例2について説明する。実施例1と同一の内容については説明を省略する。
実施例2におけるリリーフ弁ホルダ63の形状を図11に示す。図11(a)はリリーフ弁ホルダ63の側断面図であり、図11(b)は、図11(a)における下方から見たリリーフ弁ホルダ63の底面図である。
実施例1では、軸をずらした円錐形状を2つ配置する構造としたが、実施例2では、円錐形状ではなく、溝状の凹みである第1溝形状63AA及び溝状の凹みである第2溝形状63BBを有する。本発明は、実施例2の形状でも、実施例1と同様の機能を達成できる。第1溝形状63AAと第2溝形状63BBとの間にはテーパ部63ABを有する。第1溝形状63AAは閉弁時にリリーフ弁61を保持し、第2溝形状63BBは開弁時にリリーフ弁61を保持する。開弁時には、第2溝形状63BBとテーパ部63ABとでリリーフ弁61を保持するものであってもよい。
すなわち、本実施例の燃料供給ポンプ1はリリーフ弁ホルダ63を軸方向上流側から見て、リリーフ弁ホルダ63に形成された第1凹み部は縦長の溝の第1溝形状63AAであるとともに、第2凹み部は縦長の溝の第2溝形状63BBである。第2凹み部(第2溝形状63BB)は、第1凹み部(第1溝形状63AA)に対して径方向外側に中心軸がずれた位置に縦長の溝で構成されたものである。これにより、実施例2の圧力挙動は、実施例1と同様に、図10に示した挙動となる。第1凹み部及び第2凹み部が溝形状であることにより、加工が容易であるとともに、第1凹み部及び第2凹み部でリリーフ弁61を確実に保持することができる。
以下に本発明の実施例3について説明する。実施例1、2と同一の内容については説明を省略する。
図12は実施例3におけるリリーフ弁機構600の閉弁時の詳細断面図である。
実施例1及び実施例2では、円錐形状の凹みや溝形状の凹みによりリリーフ弁61を保持していたが、実施例3では、リリーフ弁ホルダ63が、突起部であるピン形状63Cを有する。本発明は、実施例3の形状でも、実施例1や実施例2と同様の機能を達成できる。
リリーフ弁ホルダ63上の、リリーフシート部材62の中心軸からオフセットした位置にピン形状63Cを設けることで、開弁時の保持部はフラット形状63Dとすることができる。本実施例の構造でも、実施例1及び実施例2と同様にリリーフ弁61を保持することができ、閉弁状態ではピン形状63Cにてリリーフ弁61を保持し、開弁状態ではフラット形状63Dにてボール弁であるリリーフ弁61を保持することが可能である。
すなわち、本実施例の燃料供給ポンプ1において、上記した移動規制部は、リリーフ弁ホルダ63の、リリーフ弁61の中心軸から径方向外側にずれた位置に形成された突起部であるピン形状63Cにより構成された。突起部(ピン形状63C)は、閉弁状態においてリリーフ弁61が閉弁するように閉弁方向に付勢し、開弁した後には、リリーフ弁61が閉弁位置に対して径方向外側に移動した場合に、リリーフ弁61の径方向内側への動きを突起部(ピン形状63C)が規制するように構成されている。
なお、以上の実施例において、リリーフ弁61が開弁した後に軸方向上流側(つまり閉弁方向)への動きはリリーフシート部材62の底面により規制される。これにより、図10に示す圧力挙動が達成可能となる。移動規制部が突起部(ピン形状63C)であることにより、加工が容易であるとともに、突起部(ピン形状63C)でリリーフ弁61を確実に保持することができる。
以下に本発明の実施例4について図13、図14及び図15を参照して説明する。上述の実施例1〜4と同一の内容については説明を省略する。
図13(a)は、実施例4のリリーフ弁機構600の側断面図である。図13(b)は、実施例4のリリーフ弁ホルダ63を上流側から見た斜視図である。
本実施例では、図13(a)及び図13(b)に示すように、リリーフ弁ホルダ63に平面部63Eが設けられている。平面部63Eは閉弁状態においてリリーフ弁61との接触部であり、開弁方向と直交する平面(又は開弁方向と直交する直線)に対して平行である。平面部63Eよりも径方向外側には、開弁方向に凹む凹み部63Fが形成されている。凹み部63Fは、リリーフ弁61を保持することでリリーフ弁61の移動を規制する移動規制部である。また、凹み部63Fよりも径方向外側には、閉弁方向に突出する凸部63Gが形成されている。平面部63Eによりリリーフ弁61を閉弁状態で保持することができる。凹み部63Fによりリリーフ弁61を開弁状態で保持することができる。
また、リリーフ弁ホルダ63の開閉弁方向の一端には平面部63Eが設けられ、リリーフ弁ホルダ63の開閉弁方向の他端には円柱形状の下流側ガイド部63Hが設けられている。下流側ガイド部63Hは円筒形状であってもよい。
閉弁時から、開弁してリリーフ弁61が径方向外側へ移動するまでの状態を図15(a)、図15(b)及び図15(c)に順に示す。
閉弁状態では、図15(a)に示すように、リリーフ弁61とリリーフシート部材62が接触して燃料シールをしている。リリーフ弁61のシート面より上流側(図の下側)の圧力が上昇し、リリーフばね64による荷重を超えると、図15(b)に示すようにリリーフ弁61とリリーフシート部材62とが離れ、その間の隙間に燃料が流れる。
なお、図13に示したリリーフ弁ホルダ63の平面部63Eは、開弁方向と直交する平面で構成しているが、本発明はこれに限られない。例えば、図11に示した実施例2のテーパ部63ABと同様に、また、図14(a)に示すように、リリーフ弁61と接触する平面部63E´は、開弁方向と直交する平面(又は開弁方向と直交する直線)に対して平行でない(傾斜を有する)ものであってもかまわない。ただし、この場合、閉弁時には、図14(b)に示すように、平面部63E´が、開弁方向と直交する平面(又は開弁方向と直交する直線)に対して平行となる方向に傾き、これによりリリーフ弁ホルダ63自体も傾き、リリーフばね64の座面も傾く。リリーフばね64の座面が傾くとリリーフばね64のたわみ量に偏りが生じて荷重がばらつき、開弁時の圧力がばらつくことになる。通常運転時における高圧側の圧力変動範囲では開弁してはならないので、開弁すべき圧力下限は通常運転時の最大圧力Ps(1)(もしくはそれ以上)に定まる。リリーフばね64から受ける荷重バラツキによる開弁圧力のバラツキ分をPshとし、開弁圧の狙いをPstとすると、Pst=Ps(1)+Pshとなり、ばらつきPshが増加するほどPstが増加する。
また、平面部63Eが開弁方向と直交する平面に対して平行であっても、リリーフばね64自体の偏りや振動などにより、図14(c)に示すようにリリーフ弁ホルダ63が傾く場合がある。リリーフ弁ホルダ63の下流側(図13(a)の上端)では、下流側ガイド部63Hの外周面は、リリーフばねストッパ65の内周面(ガイド部)と対向しており、リリーフ弁ホルダ63が傾いた際に下流側ガイド部63Hとリリーフばねストッパ65とが接触する。リリーフばねストッパ65の内周面(ガイド部)は、下流側ガイド部63Hの外周面の動きを規制することでガイドする。また、リリーフ弁ホルダ63の上流側では隙間部63G´を挟んで対向するリリーフ弁ホルダ63とリリーフシート部材62とが接触する。このため、下流側ガイド部63Hと隙間部63G´の2点によりリリーフ弁ホルダ63の傾き角が規制される。
隙間部63G´のみでリリーフ弁ホルダ63の傾きを規制する場合は、リリーフ弁ホルダ63のうち隙間部63G´の上流側・下流側の2点がリリーフシート部材62と接触して傾き角が規制されるが、この2点の間隔では開弁方向の距離が短いため、大きな傾き角でしか規制することができない(規制できる傾き角が大きい。)。下流側ガイド部63Hを、隙間部63G´に対して開弁方向他端に設けることで、傾き規制のために接触する2点の開弁方向での距離を長くとることができる。このため、下流側ガイド部63Hを設けることで、隙間部63G´のみの場合と比べて、リリーフ弁ホルダ63の傾き角が小さな傾き角でおさまるように規制することができる(規制できる傾き角を小さくできる。)。
以上から、平面部63Eを開弁方向と直交する平面に対して平行とし、下流側ガイド部63Hを設けることで、実施例2の効果に対して、さらに、図10のPsを下げることができる。これによりPdを低減し、コモンレールの剛性を下げることができる。
ところで、開弁時の燃料の流速から式(1)に示すレイノルズ数が求まり、レイノルズ数が臨界レイノルズ数を超えると乱流となることが知られている。
Figure 2019167897
ここで、R:レイノルズ数、q:流速、Db:球の直径、ν:動粘度である。
開弁時のレイノルズ数が十分に臨界レイノルズ数を超えるよう、リリーフ弁61の球の直径Dbを1mm以上とした。リリーフ弁61の周囲の流れが乱流となると流速が乱れて周方向に均一とはならない。このため、リリーフ弁61は下流側軸方向(図の上方向)へまっすぐには開弁せず、径方向外周側(図の左右方向)へも移動する。リリーフ弁61が径方向外周側へ少しでも移動した後は、径方向外周側へ流れる周囲の燃料に押され、さらに径方向外周側へ荷重が加わる。
図15(c)に示すようにリリーフ弁ホルダ63とリリーフシート部材62との間の隙間である隙間部67はリリーフ弁61の直径Dbを超えることが可能であり、隙間部67がリリーフ弁61の直径Dbを超えると、リリーフ弁61は隙間部67を抜けてリリーフ弁ホルダ63の凹み部63Fへ到達する。すなわち、隙間部67がリリーフ弁61の直径Dbを超えることで、リリーフ弁61は閉弁方向への移動を規制される位置に達することが可能である。
隙間部67はリリーフ弁61の開弁方向への移動量であるリリーフ弁リフト量が大きくなるほど広がるため、一定以上のリリーフ弁リフト量となることが必要である。十分なリリーフ弁リフト量を得るため、凸部63Gの径方向外側の外周面と、対向するリリーフシート部材62の内径面で形成される隙間部63G´は狭く、リリーフ弁ホルダ63が流体抵抗を受けやすい構成とする。流体抵抗は受ける面積が広い方が大きくなるため、隙間部63G´はリリーフ弁ホルダ63の最外径部に設けられている。また、凸部63Gを設けることで、省スペースで隙間部63G´の開弁方向長さ(図の上下方向)を伸ばし、凸部63Gが無い場合と比べて、流体抵抗を増加させる効果がある。
隙間部63G´よりも径が小さい下流側ガイド部63Hでは圧力損失が小さくなるよう、下流側ガイド部63Hの流路面積は、隙間部63G´の流路面積よりも広く設けられている。以上の構成により、高圧側と低圧側の差圧を十分に隙間部63G´で受けて、リリーフ弁ホルダ63を開弁方向へ大きくリフトさせる効果がある。
高圧側の圧力が解放されて下がると、リリーフばね64の荷重によりリリーフ弁ホルダ63が再び閉弁方向へ移動する。このとき、リリーフ弁61は凹み部63Fへ到達しているため、リリーフ弁ホルダ63は隙間部67がリリーフ弁61の直径Dbよりも狭くなるまで移動し、リリーフ弁61は閉弁状態の位置に戻る方向への移動が規制される。これにより、図10示す圧力挙動が達成可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1a…ポンプボディ、5…プランジャ、6…シリンダ、13…シールホルダ、500…吐出弁機構、600…リリーフ弁機構、61…リリーフ弁、62…リリーフシート部材、63…リリーフ弁ホルダ、64…リリーフばね、65…リリーフばねストッパ。

Claims (15)

  1. 加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出通路と、
    前記吐出通路と前記加圧室又は低圧通路とを繋ぐリリーフ通路と、
    前記リリーフ通路の流路を開閉するリリーフ弁と、
    軸方向に延びる中心軸に沿って配置されて前記リリーフ弁を保持するリリーフ弁ホルダと、を備え、
    前記リリーフ弁ホルダは、
    前記リリーフ弁が開弁した後に、前記リリーフ弁の閉弁方向への移動を規制する移動規制部を有する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  2. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁は、開弁時に閉弁位置から径方向外側に移動可能であり、
    前記移動規制部は、前記リリーフ弁の径方向内側への移動を規制する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  3. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁ホルダを、前記リリーフ弁の下流側から上流側に向かって付勢するリリーフばねを備える、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  4. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁ホルダは、閉弁時に前記リリーフ弁を保持する凹みである第1凹み部と、前記第1凹み部に対して径方向外側にずれた位置の凹みである第2凹み部と、を有し、
    前記移動規制部は、前記第2凹み部を有し、
    前記第2凹み部は、開弁時に前記リリーフ弁を保持する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  5. 請求項4に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記第1凹み部は、円錐形状の凹みであり、
    前記第2凹み部は、前記第1凹み部に対して径方向外側にずれた位置の円錐形状の凹みである、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  6. 請求項4に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記第1凹み部は、溝形状の凹みであり、
    前記第2凹み部は、前記第1凹み部に対して径方向外側にずれた位置の溝形状の凹みである、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  7. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記移動規制部は、閉弁時の前記リリーフ弁の位置に対して径方向外側にずれた位置の突起部を有する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  8. 請求項7に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記突起部は、閉弁状態の前記リリーフ弁を閉弁方向に付勢し、前記リリーフ弁が開弁した後に、前記リリーフ弁が閉弁時の位置から径方向外側に移動した場合に、前記リリーフ弁の径方向内側への移動を規制する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  9. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁ホルダは、閉弁状態の前記リリーフ弁と接触する接触部を有し、
    前記接触部は、開弁方向と直交する平面を有する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  10. 請求項1に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁ホルダは、閉弁状態の前記リリーフ弁と接触する接触部を有し、
    前記移動規制部は、前記接触部よりも径方向外側に位置する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  11. 請求項10に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記移動規制部は、前記接触部よりも開弁方向に凹む凹み部を有する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  12. 請求項11に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁は、ボール弁であり、
    リリーフシート部材と前記リリーフ弁ホルダの径方向外側の対向面との間の隙間が、前記ボール弁の直径よりも大きく拡大可能である、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  13. 請求項12に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁ホルダは、前記凹み部の径方向外側に前記凹み部に比べて閉弁方向に突出する凸部を有し、
    前記凸部の径方向外側面は、前記リリーフシート部材の径方向内側面と対向する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  14. 請求項3に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフばねを前記リリーフ弁ホルダと反対側で保持するリリーフばねストッパを備え、
    前記リリーフばねストッパは、径方向内側面に前記リリーフ弁ホルダの下流側の径方向外側面をガイドするガイド部を有する、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
  15. 請求項14に記載の燃料供給ポンプにおいて、
    前記リリーフばねストッパの径方向内側面と前記リリーフ弁ホルダの下流側の径方向外側面との間の流路面積は、前記リリーフ弁ホルダの最外径部とリリーフシート部材の径方向内側面との間の流路面積より広い、
    ことを特徴とする燃料供給ポンプ。
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