JP2019155774A - 長板状部材の製造方法、及び金型 - Google Patents
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本実施形態に係る長板状部材の製造方法は、縦型射出成形機を用いて、金型1のキャビティ1A内に樹脂材料2を射出して、浴槽のエプロン3(以下、エプロン3)を射出成形するエプロン3の製造方法である。金型1は、固定側の第1型4と、可動側の第2型5と、からなる2プレート金型である。
エプロン3は、図1A、図1B、及び図1Cに示すように、第1主面部3Aと、第2主面部3Bと、第1突端部3Cと、第2突端部3Jと、を有する長板状物である。第1主面部3A及び第2主面部3Bは、図1Bに示すように、曲面部3D及び平坦部3Eを有する。曲面部3Dは、図1Bに示すように、平坦部3Eに対してZ方向の矢印方向に弓形に湾曲している。第1主面部3Aは、図1A及び図1Bに示すように、5つのゲート跡3Fを有する。5つのゲート跡3Fは、図1Aに示すように、X方向に沿って離間して第1主面部3AのY方向の略中央部に形成されている。第2主面部3Bは、第1主面部3Aとは反対側の面である。第2主面部3Bは、ゲート跡3Fを有さない。第1突端部3Cは、エプロン3のY方向の一側にX方向に沿って連続して形成され、Z方向の矢印方向に張り出しており、端面部3Gと、折返し面部3Hとを有する断面U字状を有する。端面部3Gは、第1主面部3Aに対して略垂直である。折返し面部3Hは、第1主面部3Aに対して略平行である。第2突端部3Jは、エプロン3のY方向の他側にX方向に沿って連続して形成されており、Z方向の矢印方向に張り出している。エプロン3のX方向の長さL1は、浴槽の側面開口の一部又は全部を覆う長さである。エプロン3のY方向の長さL2は、浴槽の側面開口を覆う長さである。エプロン3のZ方向の長さL3は、10mm以上50mm以下程度が好ましい。エプロン3の曲面部3Dの反り量L4は、50mm以下程度が好ましい。第2主面部3Bには、表面装飾などが施されていてもよい。なお、図1A中、5つのゲート跡3Fの各々の符号をX方向の矢方向に沿って順に3F1,3F2,3F3,3F4,3F5としている。以下、5つのゲート跡3Fの各々を、図1A中のX方向の矢方向に沿って順に、第1ゲート跡3F1、第2ゲート跡3F2、中央ゲート跡3F3、第3ゲート跡3F4、第4ゲート跡3F5と称する場合がある。
樹脂材料2としては、射出成形が可能な樹脂であれば特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、アクリル樹脂、アクリロニトリルスチレンアクリル樹脂(ASA樹脂)などが挙げられる。なかでも、成形性、耐久性、意匠性などの観点から、樹脂材料2としてABS樹脂又はアクリル樹脂を用いることが好ましい。
縦型射出成形機は、第1型4及び第2型5の開閉及び型締を行い、樹脂材料2を溶融して高圧でキャビティ1A内に充填し、金型1内の樹脂材料2を冷却固化させる。このような縦型射出成形機は、射出装置と、型締装置と、制御部とを備える。第1型4及び第2型5は、型締装置に取り付けられている。射出装置は、射出圧力の二段制御装置を備え、樹脂材料2を均一な状態に混練し、溶融及び混練した樹脂材料2を金型1のスプルーに流し込み、キャビティ1A内を樹脂材料2で充填させる動作をする。型締装置は、第1型4及び第2型5を型締めして高圧で締め付け、樹脂材料2の充填圧力で第1型4及び第2型5を開かないようにする動作をする。次いで、型締装置は、キャビティ1A内に充填された樹脂材料2を冷却して固化し、第2型5を可動して型開きをし、エプロン3を離型する動作をする。制御部は、動力制御部と、電気制御部とからなる。動力制御部と、電気制御部とは、電気的に接続されている。動力制御部は、油圧ポンプ又は電動モータなどを駆動源として、射出装置、型締装置、及びバルブゲート42の開閉などを動作させる。電気制御部は、射出装置、型締装置、及びバルブゲート42の開閉などの動作をプログラムに従って制御する。
金型1は、図4A乃至図4Fに示すように、第1型4と、第2型5とからなる。第1型4及び第2型5は、第1型4及び第2型5を型閉めした際に、エプロン3を成形するキャビティ1Aが形成されるように構成されている。なお、図3、図4A乃至図4F中、キャビティ1Aの形状を簡略化し、スプルー、ホットマニホールド、温度調整回路、マニホールドを加熱する加熱手段、充填検出手段、突き出し機構、及びガイドピンなどは省略している。
第1型4は、図3に示すように、第1成形面41と、5つのバルブゲート42と、4つのセンサ43と、冷却流路44と、1つのスプルーと、1つのホットマニホールドと、突き出し機構と、を備える。5つのバルブゲート42、ホットマニホールド、及びスプルーは、連通している。第1成形面41は、エプロン3の第1主面部3A及び全側面を成形する面であり、第1転写面部41Aと、第2転写面部41Bと、第3転写面部41Cとを含む。第1転写面部41Aは、エプロン3の端面部3Gを転写する。第2転写面部41Bは、エプロン3の折返し面部3Hを転写する。第3転写面部41Cは、エプロン3の第1主面部3Aを転写する。スプルーは、射出装置から溶融及び混練した樹脂材料2を金型1内に移送するための最初の経路である。ホットマニホールドは、スプルーから移送された樹脂材料2を加熱しながら、5つのバルブゲート42の各々に案内する。なお、図3及び図4A乃至図4F中では、5つのバルブゲート42の各々の符号をX方向の矢方向に沿って順に421,422,423,424,425とし、4つのセンサ43の符号をX方向の矢方向に沿って順に431,432,433,434としている。以下、5つのバルブゲート42の各々を、図3中のX方向の矢方向に沿って順に、第1バルブゲート421、第2バルブゲート422、中央バルブゲート423、第3バルブゲート424、第4バルブゲート425と称する場合がある。また、4つのセンサ43の各々を、図3中のX方向の矢方向に沿って順に、第1センサ431、第2センサ432、第3センサ433、第4センサ434と称する場合がある。
バルブゲート42は、開状態又は閉状態をバルブピン42Aで強制的に制御可能なものである。バルブゲート42には、開状態及び閉状態の2つの状態があり、開状態と、閉状態とを切り替え可能である。開状態のバルブゲート42は、バルブピン42Aで口が塞がれておらず、樹脂材料2をキャビティ1A内に射出することができる。閉状態のバルブゲート42は、バルブピン42Aで口が塞がれており、樹脂材料2をキャビティ1A内に射出しない。バルブゲート42の開状態又は閉状態の切り替えは、センサ43が樹脂材料2の存在を検知したことに基づいて電気制御部により制御される。
センサ43は、樹脂材料2の存在を検知するものであり、例えば、温度センサ、圧力センサなどが挙げられる。4つのセンサ43の各々は、電気制御部と電気的に接続されている。
冷却流路44は、図3、図4A乃至図4Fに示すように、第1型4の内部に形成され、5つのバルブゲート42の各々の位置の近傍の第3転写面部41Cを冷却する冷却媒体を流通させる。第1型4は冷却流路44を備えるので、5つのバルブゲート42の各々の位置の近傍の第3転写面部41Cの温度を下げることができ、得られるエプロン3のゲート跡3Fの近傍にひけマークが発生することを抑制することができる。冷却流路44を備えない場合、後述する冷却工程において、5つのバルブゲート42の各々の位置の近傍の樹脂材料2は、他の部分よりも遅れて冷却固化しやすいため、周辺の樹脂材料2の熱収縮が速い方向に引かれて、ひけマークが発生しやすい。一方、本実施形態では、5つのバルブゲート42の各々の位置の近傍の樹脂材料2は、その冷却固化の進行が促進され、周辺の樹脂材料2の熱収縮が速い方向に引かれる状況になりにくいために、ひけマークの発生を抑制できると推測される。冷却媒体としては、エプロンの材質などに応じて適宜選択すればよく、例えば、水、油、空気などが挙げられる。
突き出し機構は、エプロン3の第1主面部3Aを第1成形面41から分離する。突き出し機構としては、例えば、ストリッパープレートでエプロン3を押す方式、エジェクタピンでエプロン3を押す方式、エジェクタピンでエプロン3を僅かに押し、エプロン3と第1成形面41との隙間に圧縮空気を送ってエプロン3をさらに押す方式などが挙げられる。
第2型5は、エプロン3の第2主面部3Bを成形する第2成形面51と、充填検出手段と、を備える。第2型5は、第1型4の第1成形面41とキャビティ1Aを構成する。充填検出手段は、電気制御部と電気的に接続されており、キャビティ1A内に樹脂材料2が充填したことを検知する。充填検出手段は、例えば、キャビティ1Aの末端部分にセンサが配置されることで構成されてもよい。このセンサとしては、例えば、圧力センサなどが挙げられる。
エプロン3の製造方法は、型締工程、充填工程、冷却工程、型開き工程、及び離型工程を含み、各工程はこの順で行われる。
前工程では、冷却流路44内に冷却媒体を循環させる。この際、5つのバルブゲート42の各々の位置の近傍の第3転写面部41Cの温度は、第3転写面部41Cの他の部位の温度よりもさらに低くなるように調整されることが好ましい。これにより、得られるエプロン3のゲート跡3Fの近傍にひけマークが発生することをより抑制することができる。これは、供給される樹脂材料2によってバルブゲート42の近傍の第1型4は加熱されてしまうが、この加熱をより抑えることができるためと推測される。
工程(A)では、閉状態である5つのバルブゲート42のうち、中央バルブゲート423のみを開状態にする。これにより、図4Aに示すように、中央バルブゲート423のみから、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込む。この際、図4Aに示すように、キャビティ1A内の樹脂材料2の第1型4及び第2型5と接する面は、急激に冷却され固化される。特に樹脂材料2をキャビティ1A内に射出した直後においては、キャビティ1A内の樹脂材料2には、流動性を有する溶融層2Aと、流動性を失った固化層2Bとの2つの状態がある。固化層2Bは、樹脂材料2をキャビティ1A内に射出した時点から時間経過とともに徐々に厚くなり、溶融層2Aは徐々に狭くなる。冷却工程では、樹脂材料2は冷却固化し、溶融層2Aはなくなる。
工程(B)では、閉状態の第3バルブゲート424の位置に樹脂材料2が到達したことを第3センサ433が検知した際に、閉状態の第3バルブゲート424を開状態にする。これにより、図4Bに示すように、中央バルブゲート423及び第3バルブゲート424のみから、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込む。
工程(C)では、閉状態の第2バルブゲート422の位置に樹脂材料2が到達したことを第2センサ432が検知した際に、閉状態の第2バルブゲート422を開状態すると同時に、開状態の中央バルブゲート423を閉状態にする。これにより、図4Cに示すように、第3バルブゲート424及び第2バルブゲート422のみから、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込む。
工程(D)では、閉状態の第4バルブゲート425の位置に樹脂材料2が到達したことを第4センサ434が検知した際に、閉状態の第4バルブゲート425を開状態すると同時に、開状態の第3バルブゲート423を閉状態にする。これにより、図4Dに示すように、第2バルブゲート422及び第4バルブゲート425のみから、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込む。このように、開状態の第3バルブゲート423を閉状態にすることで、キャビティ1A内に充填される樹脂材料2の充填密度をキャビティ1A全体においてより均一にしやすくなる。
工程(E)では、閉状態の第1バルブゲート421の位置に樹脂材料2が到達したことを第1センサ431が検知した際に、閉状態の第1バルブゲート421を開状態すると同時に、開状態の第2バルブゲート422を閉状態にする。これにより、図4Eに示すように、第1バルブゲート421及び第4バルブゲート425のみから、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込む。
工程(F)では、キャビティ1A内の樹脂圧力が急激に上昇し始めたことを充填検出手段が検知した際に、開状態の第1バルブゲート421及び開状態の第4バルブゲート425を、それぞれ閉状態にする。これにより、図4Fに示すように、樹脂材料2がキャビティ1A内に流れ込まない。
本実施形態では、長板状部材としてエプロン3を用いたが、本実施形態の変形例として、浴室内で使用される長板状部材全般であってもよい。浴室内で使用される長板状部材としては、例えば、浴室のカウンター、浴室壁面を構成する平面部材などが挙げられる。本実施形態では、エプロン3は、その一側に第1突端部3Cを有するが、本実施形態の変形例として、第1突端部3Cを有していなくてもよいし、エプロン3の4つの側のうちの2つ以上の側に、第1突端部3Cを有していてもよい。本実施形態では、エプロン3は、その一側に第2突端部3Jを有するが、本実施形態の変形例として、第2突端部3Jを有していなくてもよい。本実施形態では、エプロン3の第1主面部3A及び第2主面部3Bは、曲面部3D及び平坦部3Eを有するが、本実施形態の変形例として、曲面部3Dを有さない平坦部3Eのみであってもよいし、曲面部3Dのみであってもよい。エプロン3の形状及び寸法などは、浴槽6の形状及び寸法などに応じて、適宜選択してもよい。本実施形態では、エプロン3の曲面部3Dは、平坦部3Eに対してZ方向の矢印方向に弓形に湾曲しているが、本実施形態の変形例として、平坦部3Eに対してZ方向の矢印方向とは反対方向に弓形に湾曲していてもよい。この場合、エプロン3の曲面部3Dの反り量L4は、50mm以下程度が好ましい。
第1態様に係る長板状部材の製造方法は、金型(1)のキャビティ(1A)内に樹脂材料(2)を射出して、主面部(3A)を備える長板状部材(3)を射出成形する。本態様の製造方法は、下記の第1工程、第2工程、第3工程、及び第4工程を含む。金型(1)は、転写面部(41C)と、3個以上の複数のバルブゲート(42)とを備える。転写面部(41C)は、主面部(3A)を転写する。複数のバルブゲート(42)は、転写面部(41C)の長手方向において離間して配置されている。複数のバルブゲート(42)の各々は、開状態と、閉状態とを切り替え可能である。開状態は、樹脂材料(2)をキャビティ(1A)内に射出する。閉状態は、樹脂材料(2)をキャビティ(1A)内に射出しない。第1工程では、閉状態である複数のバルブゲート(42)のうち、転写面部(41C)の長手方向の中央部に最も近い中央バルブゲート(423)を開状態にする。第2工程では、中央バルブゲート(423)に隣り合う2つの閉状態のバルブゲート(422,424)の各々の位置に樹脂材料(2)が到達した際に、樹脂材料(2)が到達した位置にある閉状態のバルブゲート(422,424)を開状態にする。第3工程では、中央バルブゲート(423)に隣り合う2つの閉状態のバルブゲート(422,424)の各々の位置の両方に樹脂材料(2)が到達した際に、開状態の中央バルブゲート(423)を閉状態にする。第4工程では、閉状態の複数のバルブゲート42のうちの閉状態のバルブゲート(421,425)の位置に樹脂材料(2)が到達した際に、樹脂材料(2)が到達した位置にある閉状態のバルブゲート(421,425)を開状態にする。これと同時に、樹脂材料(2)が到達した位置に隣接する開状態のバルブゲート(422,424)を閉状態にする。
1A キャビティ
2 樹脂材料
3 浴槽のエプロン
3A 主面部
4 第1型
41 第1成形面
41C 転写面部
42 バルブゲート
43 センサ
44 冷却流路
44A 環状流路部
5 第2型
Claims (6)
- 金型のキャビティ内に樹脂材料を射出して、主面部を備える長板状部材を射出成形する長板状部材の製造方法であって、
前記金型は、前記主面部を転写する転写面部と、前記転写面部の長手方向において離間して配置された3個以上の複数のバルブゲートとを備え、
前記複数のバルブゲートの各々は、前記樹脂材料を前記キャビティ内に射出する開状態と、前記樹脂材料を前記キャビティ内に射出しない閉状態とを切り替え可能であり、
下記の第1工程、第2工程、第3工程、及び第4工程を含む
ことを特徴とする長板状部材の製造方法。
第1工程:前記閉状態である前記複数のバルブゲートのうち、前記転写面部の前記長手方向の中央部に最も近い中央バルブゲートを前記開状態にする。
第2工程:前記中央バルブゲートに隣り合う2つの前記閉状態のバルブゲートの各々の位置に前記樹脂材料が到達した際に、前記樹脂材料が到達した位置にある前記閉状態のバルブゲートを前記開状態にする。
第3工程:前記中央バルブゲートに隣り合う2つの前記閉状態のバルブゲートの各々の位置の両方に前記樹脂材料が到達した際に、前記開状態の前記中央バルブゲートを前記閉状態にする。
第4工程:前記閉状態の前記複数のバルブゲートのうちの前記閉状態のバルブゲートの位置に前記樹脂材料が到達した際に、前記樹脂材料が到達した位置にある前記閉状態のバルブゲートを前記開状態にすると同時に、前記樹脂材料が到達した位置に隣接する前記開状態のバルブゲートを前記閉状態にする。 - 前記金型は、前記転写面部の前記複数のバルブゲートの各々の位置の近傍を冷却する冷却媒体を流通させる冷却流路を備え、
前記第1工程を行う前に、前記冷却流路内に前記冷却媒体を循環させる前工程を含む
請求項1に記載の長板状部材の製造方法。 - 前記冷却流路は、前記複数のバルブゲートの各々の位置を囲むように形成された複数の環状流路部を含む
請求項2に記載の長板状部材の製造方法。 - 前記複数のバルブゲートの各々は、前記転写面部の短手方向の略中央部に配置されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長板状部材の製造方法。 - 前記長板状部材が、浴槽のエプロン、又は浴室のカウンターである
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の長板状部材の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の長板状部材の製造方法に用いられる金型。
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