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JP2019029180A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2019029180A
JP2019029180A JP2017147166A JP2017147166A JP2019029180A JP 2019029180 A JP2019029180 A JP 2019029180A JP 2017147166 A JP2017147166 A JP 2017147166A JP 2017147166 A JP2017147166 A JP 2017147166A JP 2019029180 A JP2019029180 A JP 2019029180A
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fuel cell
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exchange resin
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JP2017147166A
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坂本 友和
Tomokazu Sakamoto
友和 坂本
盛史 島田
Seiji Shimada
盛史 島田
英里子 西野
Eriko Nishino
英里子 西野
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Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】出力の向上を図ることができる燃料電池を提供すること。【解決手段】燃料電池1に、電解質層8と、電解質層8の一方側に配置されるアノード電極9と、電解質層8の他方側に配置されるカソード電極10とを備え、カソード電極10に、カソード触媒と、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを含有させる。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関する。
従来、固体高分子型燃料電池として、イオン交換樹脂から形成される電解質層と、燃料が供給される燃料側電極(アノード電極)と、酸素が供給される酸素側電極(カソード電極)とを備える燃料電池が知られている。
そのような燃料電池では、電極中のイオン伝導性の向上を図るべく、電解質層のイオン交換樹脂と同種のイオン交換樹脂を電極に添加することが検討される。
例えば、電解質層、燃料側電極および酸素側電極のそれぞれが、陰イオン交換樹脂を含有するアニオン交換形の燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
そのような燃料電池では、発電反応において、酸素側電極で生じるアニオンが、陰イオン交換樹脂が有する陰イオン交換基により、酸素側電極および電解質層を順次通過した後、燃料側電極に到達する。
特開2015−174956号公報
しかし、特許文献1に記載の燃料電池では、出力の向上を図るには限度がある。
本発明は、出力の向上を図ることができる燃料電池を提供する。
本発明は、電解質層と、前記電解質層の一方側に配置されるアノード電極と、前記電解質層の他方側に配置されるカソード電極と、を備え、前記カソード電極は、カソード触媒と、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを含有する、燃料電池を含む。
本発明の燃料電池では、カソード電極が、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを含有するので、出力の向上を図ることができる。
図1は、本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、各製造例における電流密度に対する電圧の相関を示すグラフである。
<第1実施形態>
1.燃料電池
図1に示すように、燃料電池1は、気体燃料または液体燃料が直接供給される固体高分子型燃料電池である。燃料電池1は、プロトン交換形燃料電池であってもよく、アニオン交換型燃料電池であってもよい。第1実施形態では、燃料電池1がプロトン交換形燃料電池1Aである態様を示し、第2実施形態では、燃料電池1がアニオン交換形燃料電池1Bである態様を示す。
プロトン交換形燃料電池1Aは、膜電極接合体11と、燃料供給部材12と、酸素供給部材13とを備える燃料電池セル(単位セル)が、複数積層されたスタック構造に形成される。なお、図1では、複数の単位セルのうち1つだけを燃料電池1として表し、その他の単位セルについては省略している。
膜電極接合体11は、プロトン成分が移動可能な電解質層(プロトン交換形電解質層)8と、電解質層8の厚み方向一方側の面に形成されるアノード電極9と、電解質層8の厚み方向他方側の面に形成されるカソード電極10とを備えている。つまり、燃料電池1は、電解質層8と、アノード電極9と、カソード電極10とを備えている。
電解質層8は、燃料から生成されるプロトン(H)が移動可能な媒体であって、例えば、プロトン交換形固体高分子膜、ゼオライト、セラミックス、ガラスなどが挙げられ、好ましくは、プロトン交換形固体高分子膜が挙げられる。プロトン交換形固体高分子膜として、具体的には、パーフルオロスルホン酸膜(例えば、商品名Nafion(Du pont社製)など)などのプロトン導電性イオン交換膜などが挙げられる。
アノード電極9は、電解質層8の一方側に配置される。アノード電極9は、例えば、アノード触媒を含有する。アノード触媒として、例えば、白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、鉄族元素(鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni))などの周期表第8〜10(VIII)族元素、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの周期表第11(IB)族元素、例えば、亜鉛(Zn)、および、それら金属元素の合金などが挙げられる。アノード触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
アノード触媒は、使用される燃料により適宜変更される。例えば、燃料がヒドラジン類を含有する液体燃料(詳しくは後述)である場合、アノード触媒は、例えば、PtNi合金と、Pt単体とを含有し、好ましくは、PtNi合金およびPt単体のみからなる。
PtNi合金は、ヒドラジン分解触媒であって、白金(Pt)とニッケル(Ni)との合金である。Pt単体は、水素還元触媒であって、白金の金属単体である。
Pt単体の含有割合は、PtNi合金1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
このようなアノード触媒は、好ましくは、触媒担体に担持される。なお、アノード触媒は、触媒担体を用いずに、直接、アノード電極9として形成することもできる。
触媒担体として、例えば、カーボンなどの多孔質物質が挙げられる。カーボンとして、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。カーボンのなかでは、好ましくは、ケッチェンブラックが挙げられる。触媒担体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、アノード電極9は、好ましくは、バインダを含有する。
バインダは、例えば、陽イオン交換樹脂を含有する。陽イオン交換樹脂として、例えば、プロトン交換形アイオノマーが挙げられる。
プロトン交換形アイオノマーは、例えば、スルホ基、リン酸基、カルボキル基などのプロトン交換基を有するアイオノマーであって、具体的には、プロトン交換形炭化水素系アイオノマー、プロトン交換形フッ素系アイオノマー、プロトン交換形ウレタン系アイオノマーなどが挙げられる。プロトン交換形アイオノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
プロトン交換形アイオノマーのなかでは、好ましくは、プロトン交換形フッ素系アイオノマーが挙げられる。
陽イオン交換樹脂(プロトン交換形アイオノマー)の含有割合は、アノード触媒(PtNi合金およびPt単体の総和)1質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
なお、バインダは、さらに、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを含むこともできる。
アノード電極9の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
また、アノード電極9の表面(電解質層8と接触する一方面に対する他方面)には、アノード側拡散シート49が積層されている。
アノード側拡散シート49は、ガスを透過させるための気孔を有するガス拡散層(GDL)としてのアノード側GDL51を備えている。
アノード側GDL51は、ガス透過性材料から形成されている。
ガス透過性材料として、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、炭素繊維不織布などが挙げられ、好ましくは、カーボンクロスが挙げられる。また、ガス透過性材料は、必要によりフッ素処理される。
また、アノード側GDL51は、ガスを透過させるための気孔を有している。また、このようなアノード側GDL51は、集電体としても作用する。
アノード側GDL51の厚みは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.10mm以上、例えば、0.60mm以下、好ましくは、0.50mm以下である。
カソード電極10は、電解質層8の他方側(電解質層8に対してアノード電極9の反対側)に配置される。カソード電極10は、詳しくは後述するが、カソード触媒と、バインダとを含有する。
カソード電極10の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、10μm以下である。
また、カソード電極10の表面(電解質層8と接触する一方面に対する他方面)には、カソード側拡散シート50が積層されている。
カソード側拡散シート50は、ガスを透過させるための気孔を有するガス拡散層(GDL)としてのカソード側GDL52を備えている。
カソード側GDL52として、例えば、アノード側GDL51として例示したガス透過性材料などが挙げられ、好ましくは、カーボンクロスが挙げられる。
また、カソード側GDL52は、アノード側GDL51と同様に、ガスを透過させるための気孔を有している。また、カソード側GDL52は、アノード側GDL51と同様に、集電体としても作用する。
カソード側GDL52の厚みは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.10mm以上、例えば、0.60mm以下、好ましくは、0.50mm以下である。
燃料供給部材12は、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面がアノード側拡散シート49に対向接触されている。燃料供給部材12には、アノード電極9の全体に燃料を接触させるための燃料側流路16が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。また、燃料供給部材12には、その上流側端部および下流側端部に、燃料側流路16に連通する供給口15および排出口14が形成されている。
酸素供給部材13は、燃料供給部材12と同様に、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面がカソード側拡散シート50に対向接触されている。酸素供給部材13には、カソード電極10の全体に酸素(空気)を接触させるための酸素側流路18が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。酸素側流路18には、その上流側端部および下流側端部に、酸素側流路18に連通する供給口19および排出口20が形成されている。
2.カソード電極の詳細
カソード電極10は、カソード触媒と、バインダとを含有する。
カソード触媒として、例えば、金属単体、遷移金属錯体などが挙げられる。
金属単体として、例えば、白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、鉄族元素(鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni))などの周期表第8〜10(VIII)族元素、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの周期表第11(IB)族元素、例えば、亜鉛(Zn)などが挙げられる。金属単体は、単独使用または2種以上併用することができる。
遷移金属錯体は、遷移金属元素(中心金属)に有機化合物が配位した金属錯体である。遷移金属元素として、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)が挙げられる。遷移金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
遷移金属元素に配位する有機化合物として、例えば、ピロール、ポルフィリン、テトラメトキシフェニルポルフィリン、ジベンゾテトラアザアヌレン、フタロシアニン、コリン、クロリン、フェナントロリン、サルコミン、ナイカルバジン、ピペミド酸系化合物、アミノベンズイミダゾール、アミノアンチピリン、またはこれらの重合体が挙げられる。このような有機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
カソード触媒のなかでは、好ましくは、金属単体が挙げられ、好ましくは、白金族元素、さらに好ましくは、白金が挙げられる。
このようなカソード触媒は、好ましくは、触媒担体に担持される。なお、カソード触媒は、触媒担体を用いずに、直接、カソード電極10として形成することもできる。
触媒担体として、例えば、アノード触媒の触媒担体として例示したカーボンなどの多孔質物質などが挙げられ、好ましくは、ケッチェンブラックが挙げられる。触媒担体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カソード触媒の担持割合は、カソード触媒と触媒担体との総和100質量%に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、40質量%以上、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
カソード触媒のバインダは、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを含有し、好ましくは、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂のみからなる。つまり、カソード電極は、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを含有する。
カソード触媒のバインダが、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを含有すれば、燃料電池の出力の向上を図ることができる。また、カソード触媒のバインダが陰イオン交換樹脂のみを含む場合と比較して、燃料電池の耐久性の向上を図ることができる。
陰イオン交換樹脂として、例えば、アニオン交換形アイオノマーなどが挙げられる。
アニオン交換形アイオノマーは、例えば、四級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有するアイオノマーであって、具体的には、アニオン交換形炭化水素系アイオノマー、アニオン交換形フッ素系アイオノマー、アニオン交換形ウレタン系アイオノマーなどが挙げられる。アニオン交換形アイオノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
アニオン交換形アイオノマーのなかでは、好ましくは、アニオン交換形炭化水素系アイオノマーが挙げられる。
陰イオン交換樹脂(アニオン交換形アイオノマー)の含有割合は、カソード触媒(Pt単体)1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.2質量部以上、例えば、0.5質量部以下、好ましくは、0.3質量部以下である。
陽イオン交換樹脂として、例えば、アノード触媒のバインダとして例示したプロトン交換形アイオノマーなどが挙げられ、好ましくは、アノード触媒に含有されるプロトン交換形アイオノマーと同じプロトン交換形アイオノマー、具体的には、プロトン交換形フッ素系アイオノマーが挙げられる。プロトン交換形アイオノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
陽イオン交換樹脂(プロトン交換形アイオノマー)の含有割合は、カソード触媒(Pt単体)1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.2質量部以上、例えば、0.5質量部以下、好ましくは、0.3質量部以下である。
陽イオン交換樹脂(プロトン交換形アイオノマー)の含有割合は、陰イオン交換樹脂(アニオン交換形アイオノマー)1質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.8質量部以上、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、1.2質量部以下である。
陽イオン交換樹脂(プロトン交換形アイオノマー)の含有割合が上記の範囲であれば、燃料電池の出力の向上を安定して図ることができる。
陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂の総和(アニオン交換形アイオノマーおよびプロトン交換形アイオノマーの総和)の含有割合は、カソード触媒(Pt単体)1質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.4質量部以上、例えば、1.0質量部以下、好ましくは、0.6質量部以下である。
陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂の総和の含有割合が上記の範囲であれば、燃料電池の出力の向上を安定して図ることができる。
このようなカソード電極10を調製するには、まず、カソード触媒と、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを、上記の割合となるように、溶媒中に分散させてカソード触媒インク(分散液)を調製する。
より具体的には、カソード触媒と陽イオン交換樹脂とが溶媒中に分散するカソード触媒インクAと、カソード触媒と陰イオン交換樹脂とが溶媒中に分散するカソード触媒インクBとを調製する。
溶媒として、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなど)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフランなど)などの有機溶媒、例えば、水などが挙げられる。これら溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
陽イオン交換樹脂が分散するカソード触媒インクAに用いられる溶媒として、好ましくは、アルコール類と水との混合溶媒が挙げられ、陰イオン交換樹脂が分散するカソード触媒インクBに用いられる溶媒として、好ましくは、アルコール類の単独溶媒が挙げられる。
次いで、カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを、電解質層8の表面(アノード電極9と反対側の表面)に同時に塗工(塗布)して、それらを混合する。
カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを同時に塗工するには、例えば、2つのインクを同時に吐出可能なダブル吐出式スプレー塗工機を用いる。ダブル吐出式スプレー塗工機は、互いに独立する2つの吐出ノズルを有する。
なお、上記では、カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを同時に塗工して混合するが、カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを混合した後、塗工することもできる。また、カソード触媒と、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを一括して、溶媒中に分散させたカソード触媒インクを塗工することもできる。
次いで、電解質層8の表面に塗工されたカソード触媒インクを、乾燥し、必要によりプレスする。
これによって、カソード触媒が電解質層8の表面に担持される。その結果、電解質層8の表面に定着したカソード電極10が調製される。
カソード触媒(金属換算)の担持量は、電解質層8に対して、例えば、0.1mg/cm以上、好ましくは、0.5mg/cm以上、例えば、3mg/cm以下、より好ましくは、2mg/cm以下である。
3.燃料電池による発電
上記したプロトン交換形燃料電池1Aでは、発電時において、気体燃料または液体燃料が燃料側流路16に供給され、空気が酸素側流路18に供給される。
気体燃料の燃料成分として、例えば、水素ガスなどが挙げられる。液体燃料の燃料成分として、例えば、メタノール、ジメチルエーテル、ヒドラジン類などが挙げられる。
このような燃料のなかでは、好ましくは、液体燃料が挙げられ、さらに好ましくは、ヒドラジン類を含む液体燃料が挙げられる。以下では、燃料がヒドラジン類を含む液体燃料である場合について詳述する。
そのような液体燃料は、例えば、ヒドラジン類と、水とを含有している。
ヒドラジン類として、例えば、ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、塩酸ヒドラジン(NHNH・HCl)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、カルボンヒドラジド((NHNHCO)などが挙げられる。
ヒドラジン類は、単独または2種類以上併用することができる。ヒドラジン類のなかでは、好ましくは、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジンなどが挙げられ、さらに好ましくは、水加ヒドラジンが挙げられる。
液体燃料に対するヒドラジン類の濃度は、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下である。
また、液体燃料は、好ましくは、支持電解質として、アルカリ金属水酸化物を含有する。
アルカリ金属水酸化物として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ金属水酸化物は、単独使用または2種類以上併用することができる。アルカリ金属水酸化物として、好ましくは、水酸化カリウムが挙げられる。
液体燃料に対するアルカリ金属水酸化物の濃度は、例えば、0.25mol/L以上、好ましくは、0.5mol/L以上、例えば、2.0mol/L以下、好ましくは、1.5mol/L以下である。
燃料側流路16にヒドラジン類を含む液体燃料が供給されると、その液体燃料は、アノード電極9と接触しながら燃料側流路16を通過する。これにより、アノード電極9において、下記(A)および(B)に示す電気化学反応が生じる。
具体的には、アノード電極9において、PtNi合金がヒドラジン分解触媒として作用し、下記式(A)に示すように、ヒドラジン類を窒素と水素とに分解する。
(A)N→N+2H(アノード電極9での反応)
次いで、アノード電極9において、Pt単体が水素還元触媒として作用し、下記式(B)に示すように、ヒドラジンの分解により生じた水素を還元する。
(B)N+2H→N+4H+4e(アノード電極9での反応)
一方、酸素側流路18に供給される空気は、カソード電極10と接触しながら酸素側流路18を通過する。これにより、カソード電極10において、下記(C)に示す電気化学反応が生じる。
具体的には、上記式(A)および(B)により生成したプロトン(H)は、電解質層8を通過してカソード電極10に向かう。また、上記式(A)および(B)により生成した電子(e)は、外部回路(図示せず)に流出する。
そして、電解質層8を通過したプロトンH、および、外部回路を通過した電子eは、下記(C)に示すように、カソード電極10において酸素と反応する。
(C)O+4H+4e→2HO(カソード電極10での反応)
つまり、プロトン交換形燃料電池1A全体として下記式(D)に示す反応が連続的に生じて、プロトン交換形燃料電池1Aに起電力が発生する。
(D) N+O→N+2HO(燃料電池1A全体での反応)
また、上記式(C)で示されるように、カソード電極10では水が生成し、この水は、酸素側流路18を通過する水を加湿するとともに、カソード電極10に保持される。
4.作用効果
燃料電池1(プロトン交換形燃料電池1A)では、カソード電極10が、バインダとして陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを含有する。これにより、燃料電池1の発電効率の向上を図ることができ、出力の向上を図ることができる。
この効果は、以下のように考察される。
カソード電極10が陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを含有すると、カソード電極10内において、陰イオン交換樹脂の陰イオン交換基と、陽イオン交換樹脂の陽イオン交換基とがイオン架橋を形成する。そのようなイオン架橋は、親水性を有しており、イオン架橋の周囲に水が保持される。そして、イオン架橋の周囲の水が、カソード電極10内においてイオンを伝導可能なイオンチャネルを形成する。
その結果、発電反応において生じるイオン(例えば、プロトンH)が、水により形成されるイオンチャネルにより、カソード電極10内を円滑に移動し、燃料電池1の発電効率が向上する。
<第2実施形態>
第2実施形態では、燃料電池1がアニオン交換形燃料電池1Bである場合について説明する。
燃料電池1がアニオン交換形燃料電池1Bである場合、電解質層8は、アニオン成分が移動可能な電解質層(アニオン交換形電解質層)であり、例えば、アニオン交換形固体高分子膜などが挙げられる。また、アノード電極9に含有されるバインダは、例えば、カソード電極10のバインダとして例示した陰イオン交換樹脂、好ましくは、アニオン交換形アイオノマーを含有する。
そして、そのようなアニオン交換形燃料電池1Bでは、ヒドラジン類を含有する液体燃料が燃料側流路16に供給され、空気が酸素側流路18に供給されると、アノード電極9において、下記(E)および(F)に示す電気化学反応が生じる。
具体的には、アノード電極9において、PtNi合金がヒドラジン分解触媒として作用し、上記式(A)と同様に、ヒドラジン類を窒素と水素とに分解した後、Pt単体が水素酸化触媒として作用し、下記式(F)に示すように、ヒドラジン類の分解により生じた水素を酸化する。
(E)N→N+2H(アノード電極9での反応)
(F)2H+4OH→4HO+4e(アノード電極9での反応)
一方、カソード電極10では、下記(G)に示す電気化学反応が生じる。
具体的には、下記(G)に示すように、酸素と水と電子とが反応し、アニオン(OH)を生成する。なお、下記式(G)により生成したアニオン(OH)は、カソード電極10および電解質層8を順次通過して、アノード電極9に向かう。
(G)O+2HO+4e→4OH(カソード電極10での反応)
つまり、アニオン交換形燃料電池1B全体として下記式(H)に示す反応が連続的に生じて、アニオン交換形燃料電池1Bに起電力が発生する。
(H) N+O→N+2HO(燃料電池1B全体での反応)
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
調製例1(PtNi担持担体の調製)
カーボン(ケッチェンブラック、商品名ECP600JD、ライオン社製)0.5gを、0.4Lの純水に分散させた。次いで、その分散液に、硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO、キシダ化学社製)と、ヘキサクロロ白金(IV)酸(H(PtCl)・6HO、キシダ化学社製)とを、NiとPtとの原子数比率が1:1になり、触媒全質量に対して金属質量が20質量%になるように添加して、24時間撹拌した。
次いで、ろ過により、ろ液と触媒原料とに分離した。触媒原料は、カーボンと、硝酸ニッケルと、ヘキサクロロ白金(IV)酸とを含有していた。
次いで、触媒原料を、純水で洗浄した後、100℃で10時間乾燥させた。その後、乾燥させた触媒原料を、空気中で600℃、2時間焼成した。
これにより、PtNi合金がカーボン(触媒担体)に担持されたPtNi担持担体を調製した。PtNi合金における白金の含有割合は、白金およびニッケルの総モル数に対して、50mol%であった。
調製例2(アノード触媒インクの調製)
Pt単体がカーボン(触媒担体)に担持されたPt単体担持担体(商品名TEC10E50E、田中貴金属社製、Pt単体の担持割合50質量%)0.23gと、調製例1のPtNi担持担体0.47gとを、ジルコニアボール(アズワン社製、直径5mm)100gの存在下において混合した。
次いで、その混合物と、プロトン交換形アイオノマー(陽イオン交換樹脂、商品名2質量%Nafion分散液、Du pont社製)25gと、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、商品名ネオフロンND−110、ダイキン工業社製)0.5456gとを混合して、アノード触媒スラリーを調製した。
次いで、アノード触媒スラリーを、遊星ボールミル(商品名P−5/4S、フリッチュ社製)にて、回転数60rpmで10分間混錬した後、回転数250rpmで50分間混錬した。
次いで、そのアノード触媒スラリーに混合溶媒(1−プロパノール:2−プロパノール:水=36:44:20)7.33gを混合して、アノード触媒インクを調製した。
調製例3(カソード触媒インクAの調製)
上記のPt単体担持担体(商品名TEC10E50E、田中貴金属社製)1gを、ジルコニアボール(アズワン社製、直径5mm)100gの存在下において撹拌した。
次いで、そのPt単体担持担体と、プロトン交換形アイオノマー(陽イオン交換樹脂、商品名2質量%Nafion分散液、Du pont社製)12.5gと、混合溶媒(エタノール:水=80:20)9gとを混合して、カソード触媒スラリーを調製した。
次いで、カソード触媒スラリーを、遊星ボールミル(商品名P−5/4S、フリッチュ社製)にて、回転数60rpmで10分間混錬した後、回転数250rpmで50分間混錬した。
次いで、そのカソード触媒スラリーに混合溶媒(エタノール:水=80:20)5.5gを混合して、カソード触媒およびプロトン交換形アイオノマーを含むカソード触媒インクAを調製した。
調製例4(カソード触媒インクBの調製)
プロトン交換形アイオノマーをアニオン交換形アイオノマー(陰イオン交換樹脂、商品名2質量%AS4分散液、トクヤマ社製)に変更したこと、および、混合溶媒を1−プロパノールに変更したこと以外は、調製例3と同様にして、カソード触媒およびアニオン交換形アイオノマーを含むカソード触媒インクBを調製した。
製造例1(膜電極接合体の製造)
(アノード電極の調製)
ダブル吐出式スプレー塗工機(ノードソン社製)の2つの吐出ノズルの両方からアノード触媒インクが吐出されるように、ダブル吐出式スプレー塗工機に調製例2のアノード触媒インクをセットした。
また、電解質膜(電解質層、商品名プロトン交換形ナフィオン膜NR211、Du pont社製)を、表面温度70℃に設定した塗工ステージに設置した。
次いで、電解質膜の一方の表面における5×5cmの範囲に、アノード触媒インクを、アノード触媒(PtNi合金およびPt単体(金属換算))の担持量が2.18mg/cmとなるように、ダブル吐出式スプレー塗工機によって塗工した。
次いで、塗工されたアノード触媒インクを、140℃で3分間、1MPaの圧力でプレスして、アノード電極を形成した。
アノード電極は、アノード触媒としてのPt単体およびPtNi合金と、プロトン交換形アイオノマーとを含有していた。
(カソード電極の調製)
次いで、ダブル吐出式スプレー塗工機(ノードソン社製)の2つの吐出ノズルのうち、一方の吐出ノズルから調製例3のカソード触媒インクAが吐出され、他の吐出ノズルから調製例4のカソード触媒インクBが吐出されるように、ダブル吐出式スプレー塗工機に、カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBをセットした。
また、電解質膜の他方の表面(アノード電極と反対側の表面)が上向きになるように、電解質膜を、表面温度70℃に設定した塗工ステージに設置した。
次いで、電解質膜の他方の表面における5×5cmの範囲に、カソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを、カソード触媒(Pt単体(金属換算))の担持量が1mg/cmとなるように、ダブル吐出式スプレー塗工機によって塗工した。
次いで、塗工されたカソード触媒インクAおよびカソード触媒インクBを、室温(25℃)で30秒間、3.25MPaの圧力でプレスして、カソード電極を形成した。
以上によって、膜電極接合体を製造した。
製造例1のカソード電極は、バインダとして、プロトン交換形アイオノマーおよびアニオン交換形アイオノマーを含有していた。
製造例2(膜電極接合体の製造)
ダブル吐出式スプレー塗工機(ノードソン社製)の2つの吐出ノズルの両方から調製例3のカソード触媒インクAが吐出されるように、ダブル吐出式スプレー塗工機にカソード触媒インクAをセットして、電解質膜の他方の表面にカソード触媒インクAのみを塗工したこと以外は、製造例1と同様にして、膜電極接合体を製造した。
製造例2のカソード電極は、バインダとして、プロトン交換形アイオノマーのみを含有していた。
評価方法
<セル発電特性の測定>
製造例1および2の膜電極接合体を、日本自動車研究所(JARI)標準セルにセットして、セル温度を80℃、燃料温度を80℃、空気温度を80℃、加湿温度を75℃に設定した。
次いで、アノード電極に、液体燃料として2質量%水加ヒドラジン水溶液(水酸化カリウム1mol/L含有)を6.3cc/minの流速で供給した。また。カソード電極に、酸素および窒素の混合ガス(酸素20体積%、窒素80体積%)を400cc/minの流速で供給した。
そして、電子負荷装置で3秒毎に電流密度が4mA/cmずつ増加するように制御し、その時の電圧を測定した。その結果を図2に示す。
考察
図2に示す評価結果から、カソード電極がプロトン交換形アイオノマーとアニオン交換形アイオノマーとを含有する製造例1の膜電極接合体は、カソード電極がプロトン交換形アイオノマーのみを含有する製造例2の膜電極接合体と比較して、出力に優れることが確認された。
1 燃料電池
8 電解質層
9 アノード電極
10 カソード電極

Claims (1)

  1. 電解質層と、
    前記電解質層の一方側に配置されるアノード電極と、
    前記電解質層の他方側に配置されるカソード電極と、を備え、
    前記カソード電極は、カソード触媒と、陰イオン交換樹脂と、陽イオン交換樹脂とを含有することを特徴とする、燃料電池。
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