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JP2019020334A - 波高頻度分布取得装置、波高頻度分布取得方法、波高頻度分布取得プログラム及び放射線撮像装置 - Google Patents

波高頻度分布取得装置、波高頻度分布取得方法、波高頻度分布取得プログラム及び放射線撮像装置 Download PDF

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JP2019020334A JP2017141057A JP2017141057A JP2019020334A JP 2019020334 A JP2019020334 A JP 2019020334A JP 2017141057 A JP2017141057 A JP 2017141057A JP 2017141057 A JP2017141057 A JP 2017141057A JP 2019020334 A JP2019020334 A JP 2019020334A
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Abstract

【課題】
短時間で高精度の波高頻度分布を作成し、延いては、波高頻度分布を用いて較正を行う検出器を適用した放射線撮像装置のコストを低減する。
【解決手段】
入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に該検出信号を計数して夫々計数値を出力する複数の計数部を備えた放射線検出器の波高頻度分布取得装置であって、第1の計数部に対して第1の閾値V1を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値V1よりも高い第2の閾値V2を設定し、前記第1の計数部に対して第1の閾値V1とは異なる第1の閾値V1’を再設定する閾値設定部と、複数の測定を実施する測定制御部と、測定制御部に従って行われた複数の測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値との差に基づいて、第1の計数部における第1の閾値に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布生成部と、を備えた波高頻度分布取得装置を提供する。
【選択図】図8

Description

本発明は、波高頻度分布取得装置、波高頻度分布取得方法、波高頻度分布取得プログラム及び放射線撮像装置、特に、フォトンカウンティング型のX線検出器の検出結果に基づいて波高頻度分布を生成する波高頻度分布取得装置、波高頻度分布取得方法、波高頻度分布取得プログラム及び放射線撮像装置に関する。
従来、コンピュータ断層撮影装置(CT)などのX線を利用した医療用の放射線撮像装置では、X線源から照射され被検体を透過したX線を検出器により検出し、被検体に起因したX線の減衰の情報を取得することで、被検体内の様子を画像化し診断に供している。
現在用いられている典型的な全身用CTでは、高電圧を印加したX線管からX線を発生させ、被検体を透過したX線をシンチレータで検出している。シンチレータで検出されたX線は蛍光に変換され、この蛍光が例えばフォトダイオードなどの光デバイスに読み出されて電気信号として出力される。この検出器系は、いわゆる電流モード(或いは積分モード)で運用されている。すなわち、ある時間スパン、例えば1ミリ秒の間に発生した電気信号の総量が計測値となっており、X線フォトンの一つ一つは個別に計測されない。よって、例えばエネルギー100keVのX線フォトンが一つ検出された場合と、エネルギー50keVのX線フォトンが二つ検出された場合は、同一の計測結果がもたらされる。
近年、このような放射線撮像装置において、検出器系を電流モードではなくパルスモードで運用する、すなわち被検体を透過したX線フォトンの一つ一つを分解して検出することで、より高精度の診断装置を実現しようという動きが活発となっている。それぞれのX線フォトンを分解して検出することで、従来のCTでは得られなかったX線フォトンのエネルギー情報を得ることができる。このため、CTの分野では、次世代の装置としてフォトンカウンティングCT(PCCT)などと呼ばれ、従来のCTでは実現できなかった物質弁別や低被曝化が可能になると期待されている。
ところで、検出器をパルスモードで運用しようとした場合に、大きな問題となるのはX線フォトンの入射率が極めて高いことである。通常の全身用CTでは、最大で検出器1平方ミリメートルあたり毎秒10(10cps/mm)のオーダのX線フォトンが検出されることがある。
CTでの典型的な検出器ピクセルのサイズは1mm四方のオーダであり、例えば、検出器系が一つのX線フォトンの信号を処理するのに50ナノ秒を要するとすると、あるX線フォトンの信号処理を実施している最中に別のX線フォトンの信号が何十個も来てしまったり、二つ以上のX線フォトンの信号を一つのX線フォトンの信号と誤認して信号処理をしてしまったりする(いわゆるパイルアップ)。これは検出器が飽和を起こしている状態であり、検出器が飽和してしまうと、X線フォトンを正しく計数することができず、またエネルギー情報も正しく得られない。
そこで、X線フォトンの信号処理時間を短縮するため、一つ一つのX線フォトンのエネルギーを精密に測定するのではなく、閾値を設けてこの閾値との大小のみを判別することによってX線フォトンを計数することができる。具体的には、PCCTにおいて、放射線(X線)を検出した際のX線検出器の出力を、比較器を用いて所定の閾値と比較し、この閾値に対応するエネルギー以上のフォトンが単位時間中にいくつ検出されたかを計数する。
ここで、設定した閾値がどのエネルギーに対応しているかを較正する一つの手法として、特徴的なエネルギーを持つX線或いはガンマ線を入射させ、検出器における計数結果に基づいて、X線信号の単位時間あたりの計数率の波高(エネルギー)頻度分布を作成することにより、閾値とエネルギーの関係を得る手法がある。
例えば、特許文献1には、所定の閾波高Vにおけるカウント数(計数率)をC(V)、所定の波高Vにおけるカウント数(計数率)、すなわち、波高頻度分布をc(V)とするとき、以下の式が成り立つことが開示されている。
Figure 2019020334
つまり、特許文献1の放射線計測装置では、C(Vn−1)とC(V)との差分から、波高分析結果としての、所定の波高Vにおけるカウント数(計数率)c(V)、すなわち波高頻度分布を得ている。言い換えると、各閾値間の計数率の差を検出することで、各閾値に対応する計数率を算出して波高頻度分布を作成している。複数の閾値間の計数率の差を検出することで、各閾値に対応する計数率を算出して波高頻度分布を作成することが開示されている。
特開2015−184119号公報
しかしながら、特許文献1に開示された放射線計測装置における波高頻度分布の作成方法では、計数率C(Vn−1)とC(V)は別々の測定で得られることから、両者が独立に統計誤差を持つことになる。波高頻度分布を求めるべくc(V)を精度よく求めようとすると、特にC(Vn−1)とC(V)が同程度である場合は、差分c(V)を求めるために、両者に有意な差が生じるまで測定を続けなければならず、長い測定時間が必要となってしまう。一方、放射線検出器について、波高頻度分布に基づいてその較正を実施することがあり、較正に時間がかかることは当該検出器を利用した装置のコストアップを招来する。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、短時間で高精度の波高頻度分布を作成し、延いては、波高頻度分布を用いて較正を行う検出器を適用した放射線撮像装置のコストを低減することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に該検出信号を計数して夫々計数率を出力する複数の計数部を備えた放射線検出器の波高頻度分布取得装置であって、第1測定用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値V1を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値V1よりも高い第2の閾値V2を設定し、第2測定用の閾値として前記第1の計数部に対して第1の閾値V1とは異なる第1の閾値V1’を再設定する閾値設定部と、前記第1測定及び前記第2測定を実施する測定制御部と、該測定制御部に従って行われた第1測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数率と、第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数率との差に基づいて、前記第1の計数部における前記第1の閾値V1に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布生成部と、を備えた波高頻度分布取得装置を提供する。
本発明によれば、短時間で高精度の波高頻度分布を作成し、延いては、波高頻度分布を用いて較正を行う検出器を適用した放射線撮像装置のコストを低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係るPCCT装置の概略を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るPCCT装置のコンピュータの概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の概略を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の検出素子の配列とピクセルの関係の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の検出素子の配列とピクセルの関係の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の信号処理部の概略構成を示すブロック図である。 ガンマ線を入射させた際に得られる波高頻度分布の例を示す参考図である。 本発明の第1の実施形態に係るPCCT装置における波高頻度分布取得の流れを示すフローチャートである。 図7の波高頻度分布にエネルギー範囲を明示した例を示す参考図である。 本発明の第1の実施形態に係るPCCT装置における他の波高頻度分布取得の流れを示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るX線検出器の信号処理部の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明に係る波高頻度分布取得装置は、入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に検出信号を計数して夫々計数値を出力する複数の計数部を有する放射線検出器の波高頻度分布を取得するものである。本発明に係る波高頻度分布取得装置は、閾値設定部により、第1測定用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値V1を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値V1よりも高い第2の閾値V2を設定し、第2測定用の閾値として前記第1の計数部に対して第1の閾値V1とは異なる第1の閾値V1’を再設定し、測定制御部によって第1測定及び第2測定を実施し、波高頻度分布生成部がこの第1測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値と、第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値との差に基づいて、第1の計数部における第1の閾値に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布取得装置である。
このような波高頻度分布取得装置によれば、短時間で高精度の波高頻度分布を作成し、延いては、波高頻度分布を用いて較正を行う検出器を適用した放射線撮像装置のコストを低減することができる。
以下、より具体的に本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る放射線撮像装置の一例として、X線CT装置、特にPCCT装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、PCCT装置は、撮影系としての、X線源120と、X線検出器150と、これらX線源120及びX線検出器150を対向配置し所定の回転軸を中心に回転するガントリ回転部110と、寝台140と、これら撮影系の動作を制御すると共に撮影系の動作に伴ってX線検出器150が取得した信号を処理する制御部170と、X線検出器150により得られたデータに基づいて再構成像を生成するコンピュータ180とを備えている。
X線源120は、例えば、X線管を適用することができる。X線源120は、管電圧で加速した電子ビームをタングステンやモリブデンなどのターゲット金属に衝突させ、その衝突位置(焦点)からX線を発生させることで、X線フォトンを放出する。X線源120近傍には、フィルタ125が設けられている。フィルタ125は、X線源120から放出されたX線フォトン130のフラックス及びエネルギー分布を調整する。従って、X線源120から放出されたX線フォトンは、フィルタ125によってフラックス及びエネルギー分布の調整を受けた後に、一部は被検体200によって被検体内の物質分布に応じて吸収され、また一部は被検体200を透過して後述するX線検出器150において検出される。
ガントリ回転部110は、X線源120及びX線検出器150を互いに対向配置し、所定の回転軸を中心に回転する。ガントリ回転部110の中央には、被検体200が挿入される開口が設けられ、この開口内に、被検体200が寝かせられる寝台140が配置されている。寝台140とガントリ回転部110とは、所定の方向に相対的に移動可能となっている。一般に、CTでは全方向からのデータを取得するため、ガントリ回転部110を所定速度で回転させることで、X線源120及びX線検出器150を被検体200の周囲を回転させながらデータを取得する。回転の速度は典型的には概ね毎秒1〜4回転である。また、ある1つの方向からの投影データ(1ビュー)を取得するのにデータを蓄積する時間は典型的に0.1〜1ミリ秒のオーダである。
X線検出器150は、X線検出器150に入射したX線フォトンを検出し、検出したX線フォトンのエネルギーに応じた検出信号を出力する検出部151と、検出部151から出力される検出信号を収集し処理する信号処理部152とを備えている。検出部151により出力されたX線フォトンの検出信号は、複数の信号処理部152によってパルスモードで処理され、計数される。ここでいう計数とは、検出したX線フォトンを数えることに加え、エネルギー情報を取得することも含む。なお、被検体200で散乱されたX線を検出してしまうと望ましくない信号となるので、X線源120側から見て検出部151の手前にコリメータ145を配置し、散乱されたX線を遮断することが好ましい。X線検出器150の詳細は、後述する。
制御部170は、コンピュータ180からの指示に従って、ガントリ回転部110、X線源120、寝台140、X線検出器150等を制御すると共に、X線検出器150において検出し収集された信号に所定の処理を行ってコンピュータ180に転送する。
コンピュータ180は、図2に示すように、CPU181及び記憶部182を備えている。また、CPU181は、図2に示すように、閾値設定部184、測定制御部185及び波高頻度分布生成部186の機能を実現する。コンピュータ180は、X線検出器150の信号処理部152から制御部170を介して取得した信号を記憶部182に記憶し、これらの信号等に基づいて被検体の断層像の再構成像を生成する。
閾値設定部184は、後述する検出器のサブピクセル21のチャンネル165が有する複数の計数部351〜354(図6参照)に対して夫々閾値を設定する。閾値設定部184による閾値の設定についての詳細は後述する。
測定制御部185は、被検体に対する測定(撮影)を行うための制御信号を生成する他、波高頻度分布を生成するために必要な測定を行うための制御信号を生成し、制御部170に出力する。
波高頻度分布生成部186は、測定制御部185によって生成された測定のための制御信号に従って行われた測定で得られた検出器からの出力を、制御部170を介して受け取り、これに基づいて波高頻度分布を生成する。
また、コンピュータ180は、表示装置191及び入力装置192と接続され、画像生成部(図示せず)として機能するCPU181において生成された再構成像は、CPU181の指示に従って、表示装置191に表示される。また、入力装置192は、X線CT装置における撮影条件等、すなわち、データの収集に必要なパラメータ、例えば、高圧電源(図示せず)からX線源120に印加する電圧の値や管電流、X線源120の回転動作の速度等の入力を受け付ける。表示装置191は、入力装置192により入力されたパラメータ及びその値等を表示させることができる。
なお、制御部170及びコンピュータ180は、その一部又は全部をCPU(中央処理装置)、メモリ及び主記憶部を含むシステムとして構築することができ、制御部170及びコンピュータ180を構成する各部の機能は、予め記憶部に格納されたプログラムをCPUがメモリにロードし、実行することにより実現することができる。また機能の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成することも可能である。
続いて、X線検出器150について説明する。
X線検出器150は、複数のピクセル20が二次元配列されピクセル毎にX線フォトンを検出して信号出力する検出部151と、検出部151の各ピクセル20からの出力信号を収集し処理する信号処理部152とを備えている。
検出部151は、図3に示すように、X線検出器150の一単位であり、入射したX線フォトンを検出するピクセル20が複数配列されて構成される。各ピクセル20には、被検体200を透過したX線フォトン130が入射し、計数される。検出部151に含まれるピクセル数は、例えば、長手方向に892個、短手方向に64個とすることができる。
図3に示すように、検出部151は、X線源120を略中心とした円弧状に配置されており、ガントリ回転部110の回転に伴い、X線源120との位置関係を保ちながら回転する。従って、図3に示す例では、ピクセル20が近似的に曲面状に配置されているように描写しているが、一般にはピクセルの表面は曲率の無い平面であることが多く、検出部151におけるピクセル20の配置は多角形状になることもある。各ピクセル20には、被検体200を透過したX線フォトンが入射し、計数される。
なお、被検体200で散乱されたX線フォトンを除去するために、ピクセル20のX線源120側にはコリメータ145(図1参照)が配置されている。コリメータ145は、ピクセル20とピッチ及び形状が一致するような二次元矩形コリメータであっても良いし、一次元のスリットコリメータであっても良い。
検出部151において、ピクセル20は、サブピクセル21としての検出素子が複数配列された検出素子群であり、この検出素子群がX線検出器150の一単位であるピクセル20を構成している。すなわち、1つのピクセル20は、複数のサブピクセル21に分割された構成である。このようにすることで、処理回路あたりの計数率を低減させることができる。ピクセル20に含まれるサブピクセル21は、所謂フォトンカウンティング方式の検出素子であり、入射したX線フォトンを検出し、接続される信号処理部152において、例えば4つのエネルギー範囲に分別して計数を行う。
従って、X線検出器150では、サブピクセル21が別個独立にX線フォトンを検出し、ピクセル20を構成する複数の検出素子21からの出力信号を加算することでピクセル20毎に出力信号を生成している。
図4に、ピクセル20として、複数の同一のサイズの検出素子21が、チャネル方向に2素子、スライス方向に2素子の計4個配列されて構成される例を示した。図4の例では、ピクセル20は例えば1mm四方であり、各サブピクセルは0.5mm四方となっている。以下、本実施の形態においては、ピクセル20が4つのサブピクセル21から構成されているものとして説明する。
本実施形態では、ピクセル20のサイズは1mm四方であり、各ピクセルは0.5mm四方のサブピクセル4つに分割されている。この他にも様々な分割法が可能であり、3×3の9サブピクセルや4×4の16サブピクセル、或いは縦と横で分割数を変えてn×m(nとmは自然数)に分割しても良い。
また、分割されたサブピクセルは大きさが同じである必要はなく、大きさの異なるサブピクセルへの分割に対しても本発明は適用できる。なお、サブピクセルに分割しない場合でも本発明は適用可能であり、以下の記述における「サブピクセル」を「ピクセル」に読み替えれば良い。
各ピクセル20を構成する各検出素子21は、例えば、図5に示すように、検出層40を挟むように正負の電極41,42が設けられ、各電極41,42に信号処理部152が接続された構造を有している。
本実施形態では、X線フォトン130の入射面(図5における検出層40の上面)に設けられた負の電極41(以下、「共通電極41」という)が、ピクセル20全体を覆う共通電極となっている。また、正の電極42(以下、「個別電極42」という)は、サブピクセルとしての検出素子21毎に設けられ、信号処理部152の個別のチャンネル165が各個別電極42に接続されている。すなわち、サブピクセル毎に信号を読み出し、エネルギー情報の取得を含むX線フォトンの計数を行うようになっている。
このように、ピクセル20は、1つの共通電極41とサブピクセル21(検出素子)に対応する数の個別電極42とを備えている。言い換えると、ピクセル20は、検出層40の表面内で、複数の個別電極42を含み、図5中に破線で図示したように、1つの個別電極42に対応した領域が1つのサブピクセル21を形成する構成となっている。図5に示す例のように、検出層40として、直接型放射線検出素材を使用した場合には、ピクセル20の上面から見た場合にはサブピクセル21の境界(図4参照)が物理的には見えない場合もあるが、放射線検出器としてはサブピクセルに分割されている。
なお、検出層40には、微細加工が容易であり、直接電気信号を読み出すことが可能な、例えばテルル化カドミウム、テルル化亜鉛カドミウム、臭化タリウム、沃化水銀、沃化ビスマスなどの直接型放射線検出素材である化合物半導体を適用することが好ましい。この他、検出層40には、シンチレータ(間接型放射線検出素材)に光デバイスを光学結合したものを使用することも可能である。また、検出層40の厚さは、0.5mm〜3mm程度とすることが好ましい。
X線フォトン130は共通電極41側から検出層40に入射し、X線フォトンが検出されてそのエネルギーに応じた量の電荷が生じる。共通電極41には図示しない高圧電源により、例えば、−600Vの電圧が印加される。共通電極41及び個別電極42ではX線フォトンが減衰しないことが望ましい。共通電極41及び個別電極42は、検出層40に比べて充分に薄く、1μm以下の厚みに加工することが可能である。
信号処理部152は、図6に示すように、サブピクセル21毎にチャンネル165を備え、当該ピクセル20に属するサブピクセル21からの出力信号をチャンネル165で検出し、信号加算部において所定の条件に従って加算し、各ピクセル20の出力信号として収集し処理する。
図6に、各サブピクセル21に接続される信号処理部152の各チャンネル165の例を示す。各チャンネル165は、電荷信号として検出したX線フォトンを電圧信号に変換する電荷有感型前置増幅器310と、電荷有感型前置増幅器310により変換された電圧信号の整形を行う波形整形増幅器320と、電圧信号に係る電圧と閾値(リファレンス電圧)を比較してエネルギー情報を得るための4つの計数部351〜354を備えている。計数部351〜354は、夫々コンパレータ331〜334と、カウンタ341〜344とを備えている。
このように構成されたチャンネル165における信号処理は以下のように行われる。ピクセル20中の任意のサブピクセルから読み出された信号は、まず電荷有感型前置増幅器310によって電荷信号から電圧信号に変換され、波形整形増幅器320に出力される。電荷有感型前置増幅器310において変換された電圧信号は、波形整形増幅器320において整形され(以下、整形された後の電圧信号を「検出信号」という)、エネルギー情報を得るために計数部351〜354において閾値(リファレンス電圧)以上の波高を持つ信号が計数される。
図6においてはエネルギー情報を得るために4つのコンパレータ331〜334が設けられていることから、各コンパレータにはそれぞれ異なる閾値V1〜V4が供給され、各コンパレータ331〜334において検出信号と閾値V1〜V4とが比較される。検出信号がこれら閾値よりも大きかった場合、当該コンパレータと対応するカウンタ341〜344がカウントアップする。
これにより、X線フォトンをそのエネルギーに応じて4種類に分別して計数することができる。図示しないトリガー回路がイベントを検出してから所定の処理時間の後、信号処理部152の個別のチャンネル165にリセットがかけられ、次のイベントの計数が可能な状態に戻る。所定の測定時間(1ビュー)が終了したら、カウントアップを停止し、各カウンタの計数率が制御部170に対して出力される。
なお、コンパレータの数は本実施形態においては2つ以上で任意に設計することができる。
(計数部の較正)
各コンパレータ331〜334に供給される閾値V1〜V4は、複数のサブピクセルに対して同じ電圧を供給することができる。しかし、検出層40、或いは信号処理回路の個別のチャンネル165の個性(コンパレータ341〜344の個性を含む)により、同じ閾値が計数部毎に異なるエネルギーに対応することがある。すなわち、同じ閾値を設定しても計数部毎に(統計誤差の影響を除いても)同じ計数が得られないことがある。このような場合は、計数部毎に較正を行うことが好ましい。
較正を行う際には、特徴的なエネルギーを持つX線或いはガンマ線を入射させ、各閾値設定に対する波高頻度分布を取得する。特徴的なエネルギーを持つX線或いはガンマ線の例として、X線或いはガンマ線の輝線、具体的には241Amから放出される60keVのガンマ線、57Coから放出される122keVのガンマ線、133Baから放出される31および35keVの特性X線、放射線を照射された鉛から放出される75keVおよび85keVの特性X線などが好適である。輝線の他にも、これらの輝線のコンプトンエッジや後方散乱ピーク、X線管に印加する管電圧によって決まるX線フォトンの最大エネルギーなども特徴的なエネルギーの例として挙げられる。
なお、検出エネルギーと出力波高の非線形性が無視できない場合は、入射するX線或いはガンマ線の持つ特徴的なエネルギーを、較正の対象となるエネルギー領域にできるだけ近くすることが好適である。
図7に、57Coからのガンマ線を入射させた際に得られる波高頻度分布の例を示す。図7に示す波高頻度分布によれば、122keVの光電ピークが閾値設定47に対応していることを読み取ることができる。別の測定で60keVが閾値設定23に対応することがわかれば、両者を内挿することにより、例えば80keV以上のイベントを計数したい場合には閾値を31に設定すれば良いことがわかり、計数部351〜354の較正ができる。
なお、波高頻度分布は全エネルギー領域(或いは全閾値領域)で取得する必要はなく、入射するX線或いはガンマ線の特徴的なエネルギーの近傍に限って取得しても良い。例えば上記した例では、閾値設定が40〜55の領域だけで波高頻度分布を取得したとしても、122keVの光電ピークがどの閾値設定に対応しているかを求めることができる。
(波高頻度分布の取得)
波高頻度分布生成部186は、波高頻度分布を計数部351〜354の夫々について作成する。以下、計数部351(以下、「第1の計数部351」とする。)の波高頻度分布の作成について説明する。本実施形態においては、第1の計数部351の波高頻度分布を取得するに際し、第1の計数部351と隣接する計数部352(以下、「第2の計数部352」とする)の計数率(計数値)も利用する。なお、本実施形態では計数部が4つである例について説明したが、計数部の数は必要に応じて適宜変更することができる。
具体的には、図8のフローチャートに従って波高頻度分布を作成、取得する。
閾値設定部184が、ステップS11において、第1の計数部351に対して閾値V1を設定し、ステップS12において、第2の計数部352に対して閾値V2を設定する。つまり、閾値設定部184は、測定A用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値V1を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値V1よりも高い第2の閾値V2を設定する。
続いて、ステップS13で、測定制御部185が測定Aを行うための制御信号を生成し、制御部170に出力する。制御部170では、測定制御部185からの制御信号に従って、ガントリ回転部110、X線源120、寝台140、X線検出器150等を制御し、測定Aを実施する。
次のステップS14では、閾値設定部184が第1の計数部に対する第1の閾値を再設定する。すなわち、閾値設定部184は、測定B用の閾値として第1の計数部に対して第1の閾値V1を第1の閾値V1’に再設定する。この時、閾値設定部184は、第1の閾値V1’が第2の閾値V2より小さく、第1の閾値V1と異なる値となるように再設定し、第2の閾値V2はそのままとする。そして、ステップS15において、測定制御部185が測定Bを行うための制御信号を生成し、制御部170に出力する。制御部170では、測定制御部185からの制御信号に従って、測定Bを実施する。
ステップS16で、波高頻度分布生成部186が、測定Aによって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数率と、測定Bによって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数率との差に基づいて、第1の計数部351における第1の閾値に対する波高頻度分布を生成する。
具体的には、第1の計数部351について、閾値V1における波高頻度分布c1(V1)は以下のように取得される。上述のように、測定制御部185は、ステップS13及びステップS15において、第1の計数部351と同じサブピクセルに接続されている第2の計数部352に対し、V2>V1となるような閾値V2を用い、以下のような設定で測定A及びBを実施している。
測定A:(V1、V2)=(V1n−1、V2
測定B:(V1、V2)=(V1、V2
この測定Aと測定Bとにおいて、第2の計数部352で得られる計数率C2(V2)の期待値が同じであることを利用し、以下の式(2)で波高頻度分布c1(V1)を求める。これは、図9におけるエネルギー範囲440に対応する計数率と、エネルギー範囲450に対応する計数率の差を利用して、エネルギー範囲400に対応する波高頻度分布を求めることに相当する。
なお、Ctotは総計数率(単位時間あたりの総カウント数)を示し、一つの信号処理部152の各チャンネル165においては、計数部351〜354によらず同じ値である。また、C1、c1はそれぞれ計数部351で得られる計数率および計数部351での波高頻度分布である。計数率は、計数値を測定時間で規格化することで得られる。
Figure 2019020334
このようにして得られた波高頻度分布を、ステップS17で記憶部182に記憶させる。そして、次のステップS18で、ターゲットとなる範囲の波高頻度分布が得られたか否かを判定し、得られていないと判定された場合にはステップS19に進み第1の閾値を再設定して、ステップS12〜ステップS18の処理を繰り返す。ステップS18で、ターゲットとなる範囲の波高頻度分布が得られたと判定された場合には、波高頻度分布の取得処理が終了する。
一方、このようにして得られた本実施形態に係る波高頻度分布に対して、上述した特許文献1に開示された従来の方法では、下記の式(3)により波高頻度分布を求めている。式(3)において、Ctotは総計数率(単位時間あたりの総カウント数)を示し、一つの信号処理部152の各チャンネル165においては、計数部351〜354によらず同じ値である。これは、図9におけるエネルギー範囲410に対応する計数率と、エネルギー範囲420に対応する計数率の差を利用して、エネルギー範囲400に対応する波高頻度分布を求めることに相当する。
なお、C1、c1はそれぞれ計数部351で得られる計数率および計数部351での波高頻度分布を表す。計数率は、計数値を測定時間で規格化することで得られる。
Figure 2019020334
続いて、本実施形態による波高頻度分布の作成方法によって測定時間が短縮されることを示す。このため、ここでは、計数部351の閾値をV1n−1に設定した際の計数率C1(V1n−1)(図9のエネルギー範囲410に対応)が100cps、V1に設定した際の計数率C1(V1)(図9のエネルギー範囲420に対応)が90cps、計数部352の閾値をV2に設定した際の計数率C2(V2)(図9のエネルギー範囲430に対応)が80cpsである場合を例として考える。
1秒間測定した場合、エネルギー範囲400に対応する波高頻度分布c1(V1)の期待値は、従来の方法、本実施例ともに10カウントとなる。一方で、c1(V1)の精度は、ポアソン分布から下記のように計算される。
Figure 2019020334
以上の計算より、この例では本実施形態により精度が13.8/5.5=2.5倍上がることが確認された。一般に、測定精度は測定時間の平方根に比例するので、同じ測定精度を達成するのに必要な測定時間が6倍以上短くて済むことになる。
従来の方法で波高頻度分布を求める際は、各閾値に対して1回ずつ測定を行い、各閾値間の計数率の差を検出した。一方で、本実施形態による波高頻度分布作成方法を用いると、計数部351における閾値V1に対し、V1よりも大きい閾値V2を他の計数部352に設定した状態で2回の測定A,Bを実施する必要があり、測定回数が従来の方法に比べて最大2倍に増えることになる。よってV2は、全体としての測定時間が少なくて済むよう、V1に近い値を設定し、C2(V2)を大きくすることが望ましい。測定回数が2倍に増えても本実施形態の方が測定精度が高くなる条件については、従来の方法で2倍の測定時間を費やせる場合を想定すればよく、下記の式(4)のように計算される。
Figure 2019020334
近似的にC1(V1n−1)とC1(V1)が等しいと見做せば、C2(V2)がC1(V1)の半分以上になるようにV2を(V1に近い値に)設定することが好適である。
測定時間については、異なる閾値に対して独立に値を設定することができる。波高頻度分布に必要な精度が与えられれば、計数率C1(V1)、C2(V2)或いはこれらの差に応じて必要な測定時間を求めることができる。よって、閾値の値に応じて測定時間をフレキシブルに設定することで、全体の測定時間を短縮することができ、好適である。
なお、測定AおよびBで計数率C(V)を求めるに際しては、計数を実測時間ではなくライブタイム(実測時間から測定系のデッドタイムを差し引いた時間)で規格化する必要があることに注意すべきである。このためには、例えば測定AおよびBで同じ実測時間を設定するケースでは、デッドタイムを揃えるために同じトリガー条件の元で測定を実施することが好適である。或いは、デッドタイムが無視できる程度、例えば1%以下になるような低い計数率で測定を実施することが好適である。
実際には波高頻度分布を求めたい複数のVに対して同じVを設定することで測定回数を減らし、測定時間を短縮することができる。例えば、(V1,V2)=(V1n−2,V2),(V1n−1,V2),(V1,V2)という設定で3回の測定を実施できる。この場合、V1n−1およびV1に対応する2つの波高頻度分布c1(V1n−1)、c1(V1)を3回の測定で得ることができ、測定回数の増加を抑えることができるので好適である。
(他の計数部の波高頻度分布の取得)
上述したように、波高頻度分布は計数部夫々に対して求める必要がある。上述の例では計数部351の波高頻度分布を取得する方法について述べた。他の計数部についても、上述した手法と同様の手順により、短い時間で波高頻度分布を取得することができる。本実施形態では、測定時間を短縮するために、4つの計数部に対し、その閾値V1〜V4を設定して測定を行うことにより波高頻度分布を取得する。
このような波高頻度分布は、例えば、図10のフローチャートに従って取得することができる。
ステップS21において、閾値設定部184が、第1〜第4の計数部351〜354について、夫々異なる閾値V1〜V4を設定する。次のステップS22において、測定制御部185が測定Aを行うための制御信号を生成し、制御部170に出力する。制御部170では、測定制御部185からの制御信号に従って、ガントリ回転部110、X線源120、寝台140、X線検出器150等を制御し、測定Aを実施する。
続いて、ステップS23で、閾値設定部184が、第1の計数部351の閾値V1及び第3計数部353の閾値V3を増やして次の値となるように再設定する。再設定された閾値に従って、ステップS24で測定制御部185が、測定Bを実施する。ステップS25では測定A及び測定Bで得られた計数率から波高頻度分布を取得し、得られた波高頻度分布を記憶部182に記憶する(ステップS26)。ここで得られた波高頻度分布が、ターゲットとなる範囲を網羅しているか否か判定し、得られていないと判定された場合にはステップS28に進む。ステップS27で、ターゲットとなる範囲の波高頻度分布が得られたと判定された場合には、波高頻度分布の取得処理が終了する。
ステップS28では、第2の計数部352の閾値V2を増やして次の値となるように再設定する。この時、必要に応じて第4の計数部354の閾値V4も増やす。次のステップS29で、ステップS28で設定された閾値に従って測定A’を実施する。そして、ステップS30で、波高頻度分布生成部186が、直近の2回の測定から得られた計数率に基づいて波高頻度分布を生成し、ステップS31で生成した波高頻度分布を記憶部182に記憶する。次のステップS32で、ターゲットとなる範囲の波高頻度分布が得られたか否かを判定し、得られていないと判定された場合にはステップS23に進み、ステップS23〜ステップS32の処理を繰り返す。ステップS27またはステップS32で、ターゲットとなる範囲の波高頻度分布が得られたと判定された場合には、波高頻度分布の取得処理が終了する。
上述した閾値と測定の関係をまとめると、4つの計数部に対して設定した閾値V1〜V4と計測は以下のような関係となる。但しV1<V2<V3<V4とする。
測定A:(V1、V2、V3、V4)=(V1n−1、V2m−1、V3p−1、V4q−1
測定B:(V1、V2、V3、V4)=(V1、V2m−1、V3、V4q−1
測定A’:(V1、V2、V3、V4)=(V1、V2、V3、V4
測定B’:(V1、V2、V3、V4)=(V1n+1、V2、V3p+1、V4
・・・
ステップS25及びステップS30における波高頻度分布算出処理は、これらの測定で得られた各計数率Cから、以下の式(5)に従って行われる。すなわち、式(5)に従って、第1の計数部351〜第3の計数部353の波高頻度分布を効率よく求めることができる。計数部354については、別途上述の手法を用いた測定から波高頻度分布を求めれば良い。
Figure 2019020334
なお、計数部354の閾値V4については、必ずしもVq−1,Vq,Vq+1というように一つ刻みで変化させる必要はない。例えば、V3よりも十分高い値に固定することも可能であるものの、「エネルギー範囲450を狭くすることで誤差を減らし、測定時間を短くする」という本実施形態の趣旨に照らすと、上の式のようにV3に合わせて少しずつ値を変化させることが好適である。
このように、図6のような簡易な構成および4つの計数部に対して4つの閾値という少ないパラメータ数を保ちつつ、短い時間で精度の良い波高頻度分布を作成して検出器の較正を行うことにより、安価な放射線検出器或いは放射線撮像装置を実現することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態のPCCT装置について述べる。以下の説明において、第1の実施形態におけるPCCT装置と同一の構成については同符号を付し、その説明を省略する。
(信号処理部の動作)
第2の実施形態では、処理回路の動作が第1の実施形態と異なる。各サブピクセルに接続される信号処理部152の個別のチャンネル1165の例を図11に示す。波形整形増幅器320から出力された信号は、計数部1351〜1354において閾値(リファレンス電圧)との波高の大小に応じて計数される。
具体的には、計数部1351においては閾値V1とV2の間の波高を持つ信号が、計数部1352においては閾値V2とV3の間の波高を持つ信号が、計数部1353においては閾値V3とV4の間の波高を持つ信号が、計数部1354においては閾値V4以上の波高を持つ信号が計数される。なお、閾値はV1<V2<V3<V4となるように設定される。
例えば、信号の波高がV2とV3の間であった場合、コンパレータ331および332から信号が出力され、コンパレータ333および334からは信号が出力されない。カウンタ1341には、コンパレータ331および332の両方からの信号が入力されるため、元の信号がV1とV2の間の波高を持っていないと判断し、このイベントを計数しない。
カウンタ1342では、コンパレータ332からの信号のみが入力され、コンパレータ333からの信号は入力されないことから、信号がV2とV3の間の波高を持っていると判断し、このイベントを計数する。なお、図11においてはエネルギー情報を得るために4つのコンパレータ331〜334が設けられているが、この数は本実施形態においては2つ以上で任意に設計することができる。
(波高頻度分布の取得)
計数部1351で得られる計数率をD1とすると、この値は第1の実施形態の構成で得られる計数率と次の関係にある。
Figure 2019020334
よって、閾値V1における波高頻度分布c1(V1)を取得する場合は、第1の実施形態と同様にV2>V1となるような閾値V2を用い、以下のような設定で測定を実施する。
測定A:(V1、V2)=(V1n−1、V2
測定B:(V1、V2)=(V1、V2
測定によって得られた計数率を用いて、次の式で波高頻度分布c1(V1)を求めることができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
Figure 2019020334
上述した各実施形態の他、例えば、上述した第2の実施形態のようにカウンタに二つのコンパレータの出力を入力するのではなく、制御部170の中で二つの計数部で得られる計数の差を計算して出力することにより、第2の実施形態と同様の機能を実現することが可能である。
また、本実施形態ではnの値を一つずつ変化させて波高頻度分布を求めたが、波高頻度分布をどのくらいの密度で得る必要があるかに応じて、例えばnの値を二つずつ変化させると言った変更を加えることが可能である。
さらに、本実施形態では、直接型放射線検出素材の上面に共通電極、下面に個別電極を設けることでサブピクセル分割を実施しているが、共通電極を設けず、上面もサブピクセルごとに電極を設けても良い。同様に、複数の放射線検出器において、隣接する放射線検出器のピクセル20は、上面の共通電極を共有しても良いし、個別に電極を有しても良い。
また、検出器の素材として直接型放射線検出素材ではなく、シンチレータ(間接型放射線検出素材)に光デバイスを光学結合したものを使用することもできる。この場合のサブピクセル分割の方法としては、周囲を遮光剤に覆われたシンチレータをサブピクセルごとに設けても良いし、一つのシンチレータに対し、レーザーによるマイクロクラックをサブピクセル間に発生させる手法によってサブピクセル分割しても良い。また光学デバイスとしては、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード(PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)、シリコン光電子増倍管(SiPM)などを使用することができる。
20・・・ピクセル、21・・・サブピクセル、40・・・検出層、41,42・・・電極、110・・・ガントリ回転部、120・・・X線源、125・・・130・・・X線フォトン、140・・・寝台、145・・コリメータ、150・・・X線検出器、151・・・検出部、152・・・信号処理部、165・・・チャンネル、170・・・制御部、180・・・コンピュータ、181・・・CPU,182・・・記憶部、184・・・閾値設定部、185・・・測定制御部、186・・・波高頻度分布生成部、191・・・表示装置、192・・・入力装置

Claims (7)

  1. 入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に該検出信号を計数して夫々計数値を出力する複数の計数部を備えた放射線検出器の波高頻度分布取得装置であって、
    第1測定用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値V1を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値V1よりも高い第2の閾値V2を設定し、第2測定用の閾値として前記第1の計数部に対して第1の閾値V1とは異なる第1の閾値V1’を再設定する閾値設定部と、
    前記第1測定及び前記第2測定を実施する測定制御部と、
    該測定制御部に従って行われた前記第1測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値と、前記第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値との差に基づいて、前記第1の計数部における前記第1の閾値V1に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布生成部と、を備えた波高頻度分布取得装置。
  2. 前記第1の計数部が、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間の波高を有する検出信号の計数値を出力する請求項1記載の波高頻度分布取得装置。
  3. 前記閾値設定部が、前記第1の閾値を再設定する際に、前記第2の閾値よりも小さい値に設定する請求項1又は請求項2記載の波高頻度分布取得装置。
  4. 前記閾値設定部が、前記第2の閾値を、該第2の閾値以上の波高を有する検出信号の計数値が、前記第1の閾値以上の波高を有する検出信号の計数値の半分以上となるように設定する請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の波高頻度分布取得装置。
  5. 入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に該検出信号を計数して夫々計数値を出力する複数の計数部を備えた放射線検出器の波高頻度分布取得方法であって、
    前記計数部に対して、第1測定用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値よりも高い第2の閾値を設定し、第2測定用の閾値として前記第1の計数部に対して第1の閾値を再設定する閾値設定ステップと、
    前記第1測定及び前記第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値を取得する計数値取得ステップと、
    前記第1測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値と、前記第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値との差に基づいて、前記第1の計数部における前記第1の閾値に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布生成ステップと、を備えた波高頻度分布取得方法。
  6. 入射したX線を検出した検出信号の値が閾値以上である場合に該検出信号を計数して夫々計数値を出力する複数の計数部を備えた放射線検出器の波高頻度分布取得プログラムであって、
    前記計数部に対して、第1測定用の閾値として、第1の計数部に対して第1の閾値を設定すると共に第2の計数部に対して第1の閾値よりも高い第2の閾値を設定し、第2測定用の閾値として前記第1の計数部に対して第1の閾値を再設定する閾値設定ステップと、
    前記第1測定及び前記第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値を取得する計数値取得ステップと、
    前記第1測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値と、前記第2測定によって得られた第1の計数部及び第2の計数部の計数値との差に基づいて、前記第1の計数部における前記第1の閾値に対する波高頻度分布を生成する波高頻度分布生成ステップと、をコンピュータに実行させる波高頻度分布取得プログラム。
  7. 請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の波高頻度分布取得装置を備えた放射線撮像装置。
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