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JP2019005417A - 動態画像処理装置及び動態画像処理システム - Google Patents

動態画像処理装置及び動態画像処理システム Download PDF

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慎介 勝原
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Abstract

【課題】構造物を減弱した胸部動態画像における構造物の信号推定誤差によるちらつきノイズを抑制する。【解決手段】診断用コンソール3の制御部31によれば、胸部を動態撮影することにより得られた複数のフレーム画像のそれぞれにおいて推定された所定の構造物に起因する信号値の補正に用いるフレーム画像を補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定し、決定されたフレーム画像における所定の構造物の領域の形状を補正対象のフレーム画像における所定の構造物の領域の形状と同一化し、形状を同一化したフレーム画像における推定された信号値を用いて補正対象のフレーム画像における推定された信号値を補正する。そして、補正済みの推定された信号値に基づいて、複数のフレーム画像のそれぞれにおける所定の構造物に起因する信号成分を減弱する。【選択図】図4

Description

本発明は、動態画像処理装置及び動態画像処理システムに関する。
胸部のX線画像においては、診断対象となる肺野だけでなく、それを覆う肋骨、鎖骨や血管等の構造物が同時に写り込んでしまう。これらは、肺野の診断の妨げとなる。
そこで、例えば、特許文献1には、胸部動態画像の複数のフレーム画像のそれぞれから肋骨、鎖骨等の構造物の領域を抽出し、抽出した領域の構造物による信号成分を推定してもとのフレーム画像から減算することが記載されている。また、フレーム画像間の構造物による信号成分の推定の誤差を複数のフレーム画像を用いて補正することが記載されている。
特開2016−73466号公報
隣接するフレーム画像間では硬質な構造物(肋骨、鎖骨など骨格)は画像上で形状がほとんど変わらないため、特許文献1に記載の手法による信号推定誤差の抑制は所望の結果を得られることが予想される。しかし、血管や心臓などの軟部組織は隣接するフレーム画像間でも形状が変わってしまい、単純にフレーム画像間の推定した信号値の代表値を用いて補正するだけでは正しい信号値を推定することはできず、アーチファクトのように見えてしまう。また、硬質な構造物であっても、隣接しないフレーム画像を用いて信号推定の精度を高めることを試みる場合は、呼吸に伴って構造物が移動し、X線源との位置関係が変わることで、画像上では形状が変形してしまうため、前述の血管や心臓と同様、正しく信号を推定することが難しい。構造物の信号推定に誤差を生じたフレーム画像があると、減弱後の動態画像を再生したときにちらつきが生じ、診断対象を観察しづらいといった問題がある。
本発明の課題は、構造物を減弱した胸部動態画像における構造物の信号推定誤差によるちらつきノイズを抑制することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の動態画像処理装置は、
被写体の胸部を動態撮影することにより取得された複数のフレーム画像のそれぞれから所定の構造物の領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記所定の構造物の領域における前記所定の構造物に起因する信号値を推定する推定手段と、
前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記推定手段による推定結果の補正に用いるフレーム画像を前記複数のフレーム画像における補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記補正に用いるフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状を前記補正対象のフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状と同一化し、前記形状を同一化したフレーム画像における前記推定結果を用いて前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された推定結果に基づいて、前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記所定の構造物に起因する信号成分を減弱する減弱手段と、
を備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記決定手段は、前記複数のフレーム画像における横隔膜の移動の速度、周期もしくは周波数、前記複数のフレーム画像における肺野の濃度変化の速度、周期もしくは周波数、前記被写体の動態撮影時の呼吸状態、又は前記被写体の疾患に基づいて、前記補正に用いるフレーム画像の数を決定し、前記補正対象のフレーム画像の前後の決定した数のフレーム画像を前記補正に用いるフレーム画像として決定する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記補正手段は、前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を、当該推定結果と前記補正に用いるフレーム画像の対応する位置における前記推定結果の代表値に置き換える。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、
前記補正手段は、前記補正に用いるフレーム画像における推定結果に基づいて、前記補正対象のフレーム画像における推定結果に外れ値が含まれているか否かを判断し、外れ値が含まれている場合に、その外れ値について前記補正を行う。
請求項5に記載の発明の動態画像処理システムは、
被写体の胸部に動態撮影を行う撮影手段と、
前記撮影手段により取得された複数のフレーム画像のそれぞれから所定の構造物の領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記所定の構造物の領域における前記所定の構造物に起因する信号値を推定する推定手段と、
前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記推定手段による推定結果の補正に用いるフレーム画像を前記複数のフレーム画像における補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記補正に用いるフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状を前記補正対象のフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状と同一化し、前記形状を同一化したフレーム画像における前記推定結果を用いて前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された推定結果に基づいて、前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記所定の構造物に起因する信号成分を減弱する減弱手段と、
を備える。
本発明によれば、構造物を減弱した胸部動態画像における構造物の信号推定誤差によるちらつきノイズを抑制することができる。
本発明の実施形態における動態画像処理システムの全体構成を示す図である。 図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。 図1の診断用コンソールの制御部により実行される構造物減弱処理を示すフローチャートである。 図3の構造物減弱処理の処理内容を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
〔動態画像処理システム100の構成〕
まず、本実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における動態画像処理システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、動態画像処理システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。動態画像処理システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、生体の動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
放射線源11は、被写体Mを挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。フレーム画像の画素信号値は濃度値を表す。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理を始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図2に示す撮影制御処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、検査対象部位(ここでは、胸部とする)に対応付けて放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から動態画像を取得し、取得した動態画像に画像処理を施して表示する動態画像処理装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、構造物減弱処理を始めとする各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。制御部31は、抽出手段、推定手段、決定手段、補正手段、減弱手段として機能する。
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で解析処理を実行するためのプログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、記憶部32には、過去に撮影された動態画像が識別ID、患者情報(例えば、患者ID、患者(被検者)の氏名、身長、体重、年齢、性別、疾患等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、検査対象部位(ここでは、胸部)、撮影する呼吸状態等)に対応付けて記憶されている。
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔動態画像処理システム100の動作〕
次に、本実施形態における上記動態画像処理システム100の動作について説明する。
(撮影装置1、撮影用コンソール2の動作)
まず、撮影装置1、撮影用コンソール2による撮影動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理を示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、患者情報、検査情報の入力が行われる(ステップS1)。
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
次いで、操作部23の操作による放射線照射の指示が待機される(ステップS3)。ここで、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行う。また、被検者(被写体M)に対し、呼吸状態(深呼吸、安静呼吸、息止め等)を指示する。撮影準備が整った時点で、操作部23を操作して放射線照射指示を入力する。
操作部23により放射線照射指示が入力されると(ステップS3;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影が開始される(ステップS4)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。
予め定められたフレーム数の撮影が終了すると、制御部21により放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影終了の指示が出力され、撮影動作が停止される。撮影されるフレーム数は、少なくとも1呼吸サイクルが撮影できる枚数である。
撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに(ステップS5)、表示部24に表示される(ステップS6)。撮影実施者は、表示された動態画像によりポジショニング等を確認し、撮影により診断に適した画像が取得された(撮影OK)か、再撮影が必要(撮影NG)か、を判断する。そして、操作部23を操作して、判断結果を入力する。
操作部23の所定の操作により撮影OKを示す判断結果が入力されると(ステップS7;YES)、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS8)。そして、本処理は終了する。一方、操作部23の所定の操作により撮影NGを示す判断結果が入力されると(ステップS7;NO)、記憶部22に記憶された一連のフレーム画像が削除され(ステップS9)、本処理は終了する。この場合、再撮影が必要となる。
(診断用コンソール3の動作)
次に、診断用コンソール3における動作について説明する。
診断用コンソール3においては、通信部35を介して撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、構造物減弱処理が実行される。
図3に、構造物減弱処理のフローチャートを示す。構造物減弱処理は、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
構造物減弱処理においては、まず、動態画像の各フレーム画像について、肺野領域の抽出が行われる(ステップS21)。
ステップS21における肺野領域の抽出方法は何れの方法を用いてもよい。例えば、特許第2987633号に開示されているように、X線画像では肺野領域は左右の肺部分の画像濃度が周辺より高濃度となる。よって、任意のフレーム画像の濃度ヒストグラムを作成し、その濃度ヒストグラムの形状や面積から肺野領域に該当する高濃度領域の画像部分を判断し、当該画像部分の輪郭を肺野の輪郭として抽出すればよい。或いは、特開2003−6661号公報に開示されているように、標準的な肺野領域の輪郭を定めたテンプレートを用いて任意のフレーム画像にテンプレートマッチングを行うことにより肺野領域の輪郭を抽出することもできる。
次いで、抽出された肺野領域から減弱対象の構造物の領域の抽出が行われる(ステップS22)。減弱対象の構造物としては、例えば、骨部、心臓、血管等が挙げられる。
骨部の抽出手法は、特に限定せず、公知の方法を適用することができる。例えば、米国特許出願公開第2014/0079309号明細書に記載のように、予め用意した肋骨テンプレート、鎖骨テンプレートとのテンプレートマッチングや、エッジ検出後にカーブフィッティング関数を当てはめる等の手法により行うことができる。また、肋骨や鎖骨等の骨の構造の前知識に基づき、位置、形状、サイズ、濃度勾配、方向、等の特徴をもとに、認識した骨部領域に誤りがないか精査を行い、過剰抽出されている部分を判別して骨部領域から取り除くこととしてもよい。
心臓領域の抽出手法は、特に限定せず、公知の方法を適用することができる。例えば、特許第2796381号公報に記載のように、フレーム画像から心臓の輪郭の左右両側の境界ポイントを検出し、この検出した境界ポイントに移動分散三角関数等のモデル関数をフィッティングさせ、フィッティングしたモデル関数に基づいて心臓の輪郭を決定する方法等を用いることができる。
また、血管領域の抽出手法は、特に限定せず、公知の方法を適用することができる。例えば、特開2017−18339号公報に記載のKasvandフィルターやヘシアン行列を使ってフレーム画像から線構造を抽出することにより、血管領域を抽出することができる。
次いで、各フレーム画像から抽出された構造物領域において、その構造物に起因する信号成分(信号値)が推定される(ステップS23)。
例えば、骨の信号値は、例えば、WO 2015157067 A1に記載のように、肺野領域にローパスフィルタを施す等により背景トレンド(肺野内中央から胸郭への滑らかな信号変化)を除去した画像において、抽出された骨領域に沿って平滑化フィルターを施すことで推定することができる。または、参考文献1(Seitaro Oda et al.,Performance of Radiologists in Detection of Small Pulmonary Nodules on Chest Radiographs: Effect of Rib Suppression With a Massive-Training Artificial Neural Network,AJR193,Number5,November2009)に記載のように、予め正解データ(Dual Energy Subtraction画像など)により学習されたCNN、D-NNなどの識別器により骨信号を推定しても良い。
血管の信号値についても同様に、例えば、背景トレンドを除去した画像において、抽出された血管領域に沿って平滑化フィルターを施すことで推定することができる。心臓の信号値については、例えば、背景トレンドを除去した画像において、抽出された心臓領域の中心から放射線状に平滑化フィルターを施すことで推定することができる。また、骨と同様に正解データ(Dual Energy Subtraction画像や前述の手法により信号減弱された画像)により学習された識別器により信号値を推定しても良い。
次いで、各フレーム画像について、推定された信号値の補正に用いる他のフレーム画像が決定される(ステップS24)。
ステップS24においては、例えば、動態画像から横隔膜の移動周期(周波数)を算出し、算出した横隔膜の移動周期(周波数)に基づいて、推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数を決定する。例えば、横隔膜の移動周期(周波数)と補正に用いるフレーム画像数とを予め対応付けたテーブルを記憶部32に記憶しておき、算出した移動周期(周波数)と記憶部32に記憶されたテーブルに基づいて、補正に用いるフレーム画像数を決定する。例えば、算出した横隔膜の移動周期(周波数)が一般的な健常者における横隔膜の移動周期(約3.3秒〜5秒(0.2Hz〜0.3Hz))の場合、補正対象のフレーム画像の前後各2つのフレーム画像を補正に用いるフレーム画像として決定する。算出した周波数が一般的な健常者における横隔膜の移動周期より短い(周波数が高い)場合、補正対象のフレーム画像の前後各1つのフレーム画像を補正に用いるフレーム画像として決定する。
ここで、胸部正面を撮影したX線画像では肺野下部の輪郭は横隔膜との境界となるため、各フレーム画像における横隔膜の領域は、肺野領域下部の輪郭を抽出することにより抽出することができる。また、横隔膜の移動周期は、例えば、抽出した左右の横隔膜のうちいずれか一方の横隔膜の水平方向における所定の座標位置の位置が最も低いところから最も高いところに移動して再びもとの位置に戻るまでの時間を横隔膜の移動周期として算出することができる。横隔膜の移動の周波数は、移動周期の逆数を算出することにより求めることができる。
あるいは、フレーム画像毎に、隣接するフレーム画像との横隔膜の移動速度(移動量)を算出し、算出された移動速度に基づいて、各フレーム画像の推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数を決定してもよい。例えば、横隔膜の移動速度と補正に用いるフレーム画像数とを予め対応付けたテーブルを記憶部32に記憶しておき、算出した移動速度と記憶部32に記憶されたテーブルに基づいて、補正に用いるフレーム画像数を決定する。例えば、横隔膜の移動速度が速いフレーム画像については、補正に用いるフレーム画像数を少なくし、横隔膜の移動速度が遅いフレーム画像については、補正に用いるフレーム画像数を大きくする。そして、決定したフレーム画像数に基づいて、補正対象のフレーム画像の前後の決定された数のフレーム画像を補正に用いるフレーム画像として決定する。
このように、横隔膜の移動速度が遅い場合、より多くの前後のフレーム画像が影響するようにフレーム画像数を決定し、逆に、横隔膜の移動速度が速い場合、時間的に近接した前後のフレーム画像しか影響しないようにすることで、前後のフレーム画像による補正が逆に悪影響を及ぼすことを防ぎ、信号値の補正精度を向上させることができる。
なお、上記説明では、横隔膜の移動周期(周波数)や移動速度に基づいて、推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数を決定することとしたが、これらの代わりに、肺野領域の濃度変化(濃度値の時間変化)の周期(周波数)や濃度変化の速度を用いることとしてもよい。例えば、横隔膜は、疾患のある患者はあまり動かないため、濃度変化を用いて推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数を決定することが好ましい。
また、例えば、呼吸状態(安静呼吸、深呼吸、息止め)又は疾患と、推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数とを予め対応付けたテーブルを記憶部32に記憶しておき、記憶部32に記憶されたテーブルに基づいて、推定された信号値の補正に用いるフレーム画像数を決定することとしてもよい。
次いで、補正対象のフレーム画像と補正に用いる他のフレーム画像の構造物領域の形状が同一化される(ステップS25)。
ステップS25においては、例えば、補正対象のフレーム画像から抽出された構造物領域を小領域に分割し、パターンマッチング(ローカルマッチング)により各小領域が他のフレーム画像のどの位置に対応するかを求めて各小領域の特徴点の移動量及び移動方向を算出し、求めた移動量及び移動方向に基づいてワーピング処理を行うことにより、他のフレーム画像における構造物領域の形状を補正対象におけるフレーム画像における構造物領域の形状に合わせる(位置合わせする)。
また、減弱対象の構造物が骨部である場合、予め取得された過去の動態画像から、年齢、性別、疾患、呼吸状態(安静呼吸、深呼吸、息止め等)に応じた骨部の移動量情報(1フレーム当たりの平行移動量、回転移動量等)を作成して記憶部32に記憶しておき、記憶部32に記憶されている移動量情報と、補正対象の動態画像の年齢、性別、疾患、呼吸状態に基づいて、補正に用いる他のフレーム画像の各骨部領域の形状を平行移動及び/又は回転移動させて補正対象のフレーム画像の骨部領域の形状に合わせることとしてもよい。
次いで、補正に用いるフレーム画像(ステップS25において形状が同一化された各フレーム画像)における推定された信号値に基づいて、各フレーム画像の推定された信号値が補正される(ステップS26)。
ステップS26においては、例えば、補正対象のフレーム画像から抽出された構造物領域の各画素について、当該画素及び補正に用いる他のフレーム画像における同じ座標の画素(対応する位置の画素)について推定された信号値の代表値(例えば、平均値、中央値、又は補正に用いるフレーム画像に重みづけを行った重みづけ平均値等)が算出され、補正対象のフレーム画像の構造物領域における推定された信号値が算出された代表値に置き換えられる。
あるいは、補正対象のフレーム画像から抽出された構造物領域の各画素について、当該画素の推定された信号値が、補正に用いる他のフレーム画像における同じ座標の画素の推定された信号値と大きくはずれている外れ値であるか否かを判断し、外れ値である場合に、その画素の推定された信号値を、補正に用いる他のフレーム画像における同じ座標の画素の推定された信号値の代表値に置き換えてもよい。なお、外れ値であるか否かは、例えば、補正に用いる他のフレーム画像における同じ座標の画素の推定された信号値の上限値や下限値から補正対象の画素の推定された信号値が所定値以上離れた値である場合に、外れ値であると判断することができる。
そして、各フレーム画像から補正された推定信号値が減算されることにより、構造物に起因する信号成分が減弱され(ステップS27)、構造物減弱処理は終了する。具体的には、各フレーム画像の抽出された構造物領域の各画素の信号値から補正された信号値が減算され、各フレーム画像から構造物に起因する信号成分が減弱される。
構造物減弱処理により構造物が減弱された胸部動態画像は、制御部31により表示部34に動画表示される。或いは、隣接するフレーム画像間でフレーム間差分を行う等の解析処理を行って、解析結果を表示部34に表示することとしてもよい。
図4は、構造物減弱処理の処理内容を模式的に示す図である。図4に示すように、構造物減弱処理では、補正に用いるフレーム画像における構造物領域の形状を補正対象のフレーム画像における構造物領域の形状に一致させてから補正対象のフレーム画像の推定された信号値を補正に用いるフレーム画像における推定された信号値に基づいて補正する。したがって、フレーム画像間の構造物に起因する信号成分の推定誤差を高精度に抑制することができ、構造物を減弱した胸部動態画像における構造物の信号推定誤差によるちらつきノイズを抑制することができる。
以上説明したように、診断用コンソール3の制御部31によれば、胸部を動態撮影することにより得られた複数のフレーム画像のそれぞれから所定の構造物の領域を抽出し、抽出された領域における所定の構造物に起因する信号値を推定する。次いで、複数のフレーム画像のそれぞれにおける推定された信号値の補正に用いるフレーム画像を補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定し、決定された補正に用いるフレーム画像における所定の構造物の領域の形状を補正対象のフレーム画像における所定の構造物の領域の形状と同一化し、形状を同一化したフレーム画像における推定された信号値を用いて補正対象のフレーム画像における推定された信号値を補正する。そして、補正済みの推定された信号値に基づいて、複数のフレーム画像のそれぞれにおける所定の構造物に起因する信号成分を減弱する。
したがって、フレーム画像間の構造物に起因する信号成分の推定誤差を高精度に抑制することができ、構造物を減弱した胸部動態画像における構造物の信号推定誤差によるちらつきノイズを抑制することができる。
例えば、制御部31は、複数のフレーム画像における横隔膜の移動の速度、周期もしくは周波数、複数のフレーム画像における肺野の濃度変化の速度、周期もしくは周波数、被写体の動態撮影時の呼吸状態、又は被写体の疾患に基づいて、補正に用いるフレーム画像数を決定し、決定したフレーム画像数に基づいて、補正に用いるフレーム画像を決定する。したがって、撮影時の呼吸の速さや呼吸状態、疾患に基づいて、最適な数のフレーム画像を補正に用いるフレーム画像とすることができる。
また、制御部31は、補正対象のフレーム画像における推定結果を当該推定結果と補正に用いるフレーム画像の対応する位置における推定結果の代表値に置き換えることにより補正対象のフレーム画像における推定結果を補正する。したがって、補正に用いるフレーム画像の推定結果を用いて容易に補正対象のフレーム画像における推定結果を補正することが可能となる。
また、制御部31は、補正に用いるフレーム画像における推定結果に基づいて、補正対象のフレーム画像における推定結果に外れ値が含まれているか否かを判断し、外れ値が含まれている場合に、その外れ値について補正を行うことで、処理時間を短縮することができる。
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、胸部動態画像の各フレーム画像の所定の構造物の領域における構造物に起因する信号値を推定してから、補正に用いるフレーム画像における所定の構造物の領域の形状を補正対象のフレーム画像における所定の構造物の領域の形状を補正対象のフレーム画像に同一化することとして説明したが、形状を同一化してから各フレーム画像から構造物に起因する信号値の推定を行うこととしてもよい。
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、動態画像処理システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 動態画像処理システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス

Claims (5)

  1. 被写体の胸部を動態撮影することにより取得された複数のフレーム画像のそれぞれから所定の構造物の領域を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出された前記所定の構造物の領域における前記所定の構造物に起因する信号値を推定する推定手段と、
    前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記推定手段による推定結果の補正に用いるフレーム画像を前記複数のフレーム画像における補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定された前記補正に用いるフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状を前記補正対象のフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状と同一化し、前記形状を同一化したフレーム画像における前記推定結果を用いて前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正された推定結果に基づいて、前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記所定の構造物に起因する信号成分を減弱する減弱手段と、
    を備える動態画像処理装置。
  2. 前記決定手段は、前記複数のフレーム画像における横隔膜の移動の速度、周期もしくは周波数、前記複数のフレーム画像における肺野の濃度変化の速度、周期もしくは周波数、前記被写体の動態撮影時の呼吸状態、又は前記被写体の疾患に基づいて、前記補正に用いるフレーム画像の数を決定し、前記補正対象のフレーム画像の前後の決定した数のフレーム画像を前記補正に用いるフレーム画像として決定する請求項1に記載の動態画像処理装置。
  3. 前記補正手段は、前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を、当該推定結果と前記補正に用いるフレーム画像の対応する位置における前記推定結果の代表値に置き換える請求項1又は2に記載の動態画像処理装置。
  4. 前記補正手段は、前記補正に用いるフレーム画像における推定結果に基づいて、前記補正対象のフレーム画像における推定結果に外れ値が含まれているか否かを判断し、外れ値が含まれている場合に、その外れ値について前記補正を行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の動態画像処理装置。
  5. 被写体の胸部に動態撮影を行う撮影手段と、
    前記撮影手段により取得された複数のフレーム画像のそれぞれから所定の構造物の領域を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出された前記所定の構造物の領域における前記所定の構造物に起因する信号値を推定する推定手段と、
    前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記推定手段による推定結果の補正に用いるフレーム画像を前記複数のフレーム画像における補正対象のフレーム画像とは別のフレーム画像の中から決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定された前記補正に用いるフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状を前記補正対象のフレーム画像における前記所定の構造物の領域の形状と同一化し、前記形状を同一化したフレーム画像における前記推定結果を用いて前記補正対象のフレーム画像における前記推定結果を補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正された推定結果に基づいて、前記複数のフレーム画像のそれぞれにおける前記所定の構造物に起因する信号成分を減弱する減弱手段と、
    を備える動態画像処理システム。
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