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JP2019003900A - 透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネル - Google Patents

透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネル Download PDF

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JP2019003900A JP2017119702A JP2017119702A JP2019003900A JP 2019003900 A JP2019003900 A JP 2019003900A JP 2017119702 A JP2017119702 A JP 2017119702A JP 2017119702 A JP2017119702 A JP 2017119702A JP 2019003900 A JP2019003900 A JP 2019003900A
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慎也 相川
Shinya Aikawa
慎也 相川
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Kogakuin University
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Kogakuin University
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Abstract

【課題】抵抗率が低く、可視光での光線透過率が高い新規の酸化インジウム系材料を用いた透明導電膜の提供。【解決手段】ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料である透明導電膜。【選択図】なし

Description

本開示は、透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネルに関する。
従来、透明導電膜には、高い導電性(低抵抗率)と可視光領域での高い光線透過率とを有する材料が用いられている。高い導電性と可視光領域での高い光線透過率とを有する材料としては、酸化物系材料が用いられている。酸化物材料は、例えば、酸化インジウムを主成分として含有する酸化インジウム系材料が知られている。酸化インジウム系材料の透明導電膜は、例えば、代表的には、タッチパネルセンサーとして応用されている。
透明導電膜を、例えば、タッチパネルセンサーの分野に適用するためには、抵抗率の低減と光線透過率の向上との相反する2つの要素を同時に向上させることが要求される。この要求を満足させるための材料としては、例えば、スズをドープしたインジウム(ITO:Indium Tin Oxide)がよく知られている。
ITOは、スズ(Sn)が4価のイオン状態を取ることを活用して、3価のイオン状態となるインジウム(In)のサイトの一部にSnを置換することで、余剰電荷を生成して低抵抗化するものである。また、酸化インジウムのバンドギャップは3.55eV程度であり、酸化スズのバンドギャップは、3.57eVである。したがって、ITOは、酸化インジウムに酸化スズを添加することで、酸化インジウム単体よりも高い光線透過率を実現できるものである。
このような考え方で、例えば、酸化インジウムに酸化シリコンをドープした透明導電膜が開示されている(特許文献1および2を参照)。
例えば、特許文献1には、酸化インジウムを主成分とし、シリコンが含有された透明導電性薄膜が開示されている。そして、透明導電性薄膜の構造が実質的に非晶質であり、かつシリコンの含有量がインジウムとシリコンとの合計量に対して0.5原子%〜13原子%であることが開示されている。
特許文献2には、インジウムとシリコンとを含む酸化物焼結体において、シリコン元素が酸化インジウム内に固溶している酸化物焼結体が開示されている。
また、上記の他、透明導電膜に用いられる酸化物系材料としては、例えば、下記に挙げる材料が知られている(特許文献3〜5を参照)。
特許文献3には、基板上に、スパッタリング法によって成膜される透明導電膜が開示されている。そして、この透明導電膜は、酸化インジウムからなる第1の成分と、酸化スズからなる第2の成分と、ランタン、ネオジウム、ジスプロシウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、チタニウム及びホウ素の中から選ばれる少なくとも1種の元素又はその酸化物からなる第3の成分とを含むことが開示されている。
特許文献4には、表面に凹凸が形成された酸化亜鉛系透明導電膜が開示されている。そして、この凹凸は、稜線部が突出部の突出方向に弧を描くか、または、突出部の先端が頂点を有する場合は該頂点を中心に2つの稜線部のなす角が90゜以上の鈍角である突出部を含むことか開示されている。さらに、この酸化亜鉛系導電膜は、アルミニウム、ガリウム、ホウ素またはシリコンからなる群より選択される少なくとも1つをドーパントとして有することが開示されている。
特許文献5には、チタンを含有する酸化インジウムからなり、150℃以上350℃以下に加熱された基板上に成膜された酸化物透明電極膜が開示されている。また、この酸化物透明電極膜は、酸化インジウムのインジウムが、チタンに、チタン/インジウムの原子数比で0.003〜0.120の割合で置換されていることが開示されている。さらに、この酸化インジウムは結晶質であること、この酸化物透明電極膜の比抵抗が5.7×10−4Ωcm以下であり、ホール測定効果によるキャリア電子濃度が5.5×1020cm−3以下であり、ホール効果測定によるキャリア電子の移動度が40cm/Vsec以上であり、かつ、波長1000nm〜1400nmにおける平均光透過率が60%以上であることが開示されている。
一方で、近年、インジウムを主体として、インジウムとシリコンとを含むインジウム材料において、Siの置換はインジウム原子と酸素原子間の結合距離を縮め、インジウム5s軌道の重なりを大きくしてキャリア伝導をしやすくする役割をしていると解釈されることが報告されている(非特許文献1を参照)。
特開2004−087451号公報 特開2004−123479号公報 特開2015−158014号公報 特表2012−504306号公報 特許5234023号公報
Phase transitions from semiconductive amorphous to conductive polycrystalline in indium silicon oxide thin films、Nobuhiko Mitoma, Bo Da, Hideki Yoshikawa, Toshihide Nabatame, Makoto Takahashi, Kazuhiro Ito, Takio Kizu, Akihiko Fujiwara, and Kazuhito Tsukagoshi、Appl. Phys. Lett. 109, 221903 (2016)
本開示の目的は、抵抗率が低く、可視光での光線透過率が高い新規の酸化インジウム系材料を用いた透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネルを提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料である透明導電膜。
<2> 前記元素の含有量が、前記酸化物材料の全体に対し、0.1原子%以上25原子%以下である<1>に記載の透明導電膜。
<3> 前記酸化物材料が、アモルファス質である<1>又は<2>に記載の透明導電膜。
<4> 前記元素がホウ素である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の透明導電膜。
<5> 透明基板と、前記透明基板上に、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の透明導電膜と、を有する透明導電膜付き透明基板。
<6> 前記透明導電膜がパターン状に形成された透明導電膜である<5>に記載の透明導電膜付き透明基板。
<7> 透明基板上に、ホウ素を含む酸化インジウムをターゲットとし、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程を有する透明導電膜付き透明基板の製造方法。
<8> さらに、前記透明導電膜にパターンを形成するパターン形成工程を有する<7>に記載の透明導電膜付き透明基板の製造方法。
<9> <5>又は<6>に記載の透明導電膜付き透明基板を備えるタッチパネル。
本開示の透明導電膜によれば、抵抗率が低く、可視光での光線透過率が高い新規の酸化インジウム系材料を用いた透明導電膜、透明導電膜つき透明基板、透明導電膜つき透明基板の製造方法、タッチパネルが提供される。
本開示のタッチパネルの一例を示す概略断面図である。 透明導電膜の可視光領域における光線透過率を表すグラフである。 透明導電膜のX線回折スペクトルを表すグラフである。 本開示のパターン化透明導電膜付き透明基板におけるパターン化透明導電膜断面の測定結果を表すグラフである。 従来のパターン化透明導電膜付き透明基板におけるパターン化透明導電膜断面の測定結果を表すグラフである。
以下に、本開示の透明導電膜の好適な実施形態の一例について説明する。
<透明導電膜>
本開示の透明導電膜は、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料で形成される。
この酸化物材料は、母材である酸化インジウムに、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物をドープした酸化インジウム系材料からなる複合酸化物材料として形成されたものである。つまり、本開示の透明導電膜は、母材である酸化インジウムに、ホウ素酸化物、マグネシウム酸化物、アルミニウム酸化物のうちの1種の酸化物をドープして形成されたものでもよく、これら2種以上の酸化物を併用してドープして形成されたものでもよい。
前述のように、従来、酸化導電膜に用いる酸化物材料として、種々の材料が検討されている。例えば、ホウ素をドープしてもよい酸化物材料としては、下記に挙げる材料が知られている。
例えば、特許文献3には、ITOにドープする第3の元素として、特定の元素または特定の元素の酸化物をドープした透明導電膜が開示されている。しかしながら、酸化インジウム系材料を用いた透明導電膜においては、前述のように、伝導パスの形成を担うのはインジウム5s軌道である。そのため、第3の元素として、ホウ素を選択した場合、スズとホウ素との共存による複数種のイオンドープは、イオン散乱による導電率低下の原因となると考えられる。また、ホウ素単体でのドープは、成膜後の薄膜の組成を酸素欠損過剰な状態となることが知られている。そのため、第3の元素として、ホウ素単体でドープした場合、成膜後の基板上において目的の組成を持つ薄膜が得られないことがある。
また、特許文献4には、酸化亜鉛を母材として、アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及びシリコンのうちの少なくとも1つの元素がドープされた酸化亜鉛系材料を用いた透明導電膜が開示されている。しかしながら、母材である酸化亜鉛について言及すれば、大気雰囲気における熱処理にて電気伝導率が著しく低下し、透明導電膜としての要求性能を満たすことができない場合がある。
一方、透明導電膜としての各種性能向上のためには、例えば、熱処理または加熱成膜によって、透明導電膜を結晶化させることが望ましいとの報告がある(特許文献5を参照)。しかしながら、成膜時点ですでに結晶化された膜は、例えば、エッチング加工によるパターンニング加工を施す場合、従来のシュウ酸系の弱酸エッチャントによるエッチング加工が困難になることがある。このため、透明導電膜としては、弱酸エッチャントでエッチング加工可能なアモルファス状態で成膜でき、成膜直後の状態で結晶化されていないことが望ましい。透明導電膜が、従来のエッチング加工を適用できれば、透明導電膜の用途として、例えば、タッチパネルセンサーへの適用のほか、ディスプレイ用薄膜トランジスタなど、従来のエッチングを行う用途への適用が容易になると考えられる。
このように、酸化インジウムに添加するだけで、高導電率(低抵抗率)および可視光での高光線透過率が得られる優れた酸化インジウム系材料の開発が希求されていた。
これに対し、本開示の透明導電膜によれば、低い抵抗率と可視光での高い光線透過率を示す透明導電膜が得られる。
酸化インジウムへのドーパントとしては、固体酸化物の状態として大気中で安定に存在でき、かつ、インジウム5s軌道の重なりを大きくしてキャリア伝導パスを最大化することが可能となる酸素原子間結合距離が短い元素が含まれていることが望ましい。
そこで、酸化インジウムへのドーパントを検討した。
このようなドーパントとしては、抵抗率が低く、可視光での光線透過率が高い酸化インジウム系材料とするために、下記に示す各々の条件を満たす元素の酸化物から選択される。
1)大気中で安定に存在できる酸化物固体であること。
2)ドーパント元素と酸素との結合距離がインジウムと酸素の結合距離(1.902Å)よりも短いこと。
3)酸化スズのバンドギャップ(3.57eV)よりも大きい材料であること。
4)ドーパント材料は6配位を有し、インジウムと酸素の酸素結合解離エネルギー(346 kJ/mol)よりも高い材料であること。
表1に、上記の1)から4)の各条件を満足する元素のうち、好適な元素の酸化物を示す。なお、SiおよびTiの酸化物は、酸化インジウムへのドーパントとして、従来から適用されている酸化物である。
表1に示す元素の中でも、特にホウ素が好ましい。つまり、酸化インジウムへのドーパントとしては、表1に示す酸化物のうち、最も結合距離の短いホウ素の酸化物がより好適である。ドーパントがホウ素の酸化物であると、インジウム5s軌道の重なりをより大きくすることができるため、抵抗率および可視光での光線透過率の両方の特性を向上することができると考えられる。
ここで、酸化インジウムへのドーパントとして特に好適な、ホウ素の酸化物である場合について、セルパラメーターを検討した。酸化インジウム、およびホウ素を含む酸化インジウム(以下、「ホウ素ドープ酸化インジウム」と称する場合がある。)の各々の酸化物材料において、ユニットセルのセルパラメーターを調査した結果を示す。
なお、ホウ素ドープ酸化インジウムとしては、格子歪みに着目するため、In(BO)のユニットセルについて調査した。
調査の結果、酸化インジウムのユニットセルにおいて、セルパラメーターがa辺およびb辺ともに0.5487nmであった。一方、ホウ素ドープ酸化インジウムでは、セルパラメーターがa辺およびb辺ともに0.48217nmであった。この結果から、ホウ素ドープ酸化インジウムでは、インジウム5s軌道の重なりを大きくすることができることが明らかとなった。
よって、本開示の透明導電膜によれば、低抵抗率および可視光での高光線透過率を示す透明導電膜が得られると考えられる。
なお、酸化インジウムおよびホウ素ドープ酸化インジウムのセルパラメーターについては、結晶構造データベースにより調査を行った。具体的には、In(BO)においては、構造型:Ca(CO)、ピアソン記号:hR30、空間群:R−3c にて固有識別される菱面体晶In(BO)の結晶構造データを用いた。また、Inにおいては、構造型:Al、ピアソン記号:hR30、空間群:R−3c にて固有識別される菱面体晶Inの結晶構造データを用いた。
本開示の透明導電膜は、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の含有量が、酸化物材料の全体に対し、0.1原子%以上25原子%以下であることがよい。例えば、酸化物材料が、マグネシウムを含む酸化インジウム(マグネシウムドープ酸化インジウム)の酸化物材料である場合、マグネシウムの含有量は、マグネシウムドープ酸化インジウムの全体に対し、0.1原子%以上22.2原子%以下であることが好ましい。また、例えば、酸化物材料が、アルミニウムを含む酸化インジウム、またはホウ素を含む酸化インジウムの酸化物材料である場合、アルミニウムを含む酸化インジウム、またはホウ素を含む酸化インジウムの酸化物材料の全体に対し、0.1原子%以上20原子%以下であることが好ましい。
特に、酸化物材料が、例えば、ホウ素を含む酸化インジウム(ホウ素ドープ酸化インジウム)の酸化物材料である場合、ホウ素の含有量は、ホウ素ドープ酸化インジウムの全体に対し、0.5原子%以上15原子%以下がより好ましく、1原子%以上10原子%以下がさらに好ましい。
ここで、元素の含有量とは、スパッタターゲット焼結体内での含有量のことである。
また、元素の含有量は、スパッタターゲット中の各材料の質量比から換算したものである。元素の含有量は、以下のようにして換算する。
原子%への換算については、焼結体形成時の各粉末の質量%比と分子量を用いて計算できる。一例として、ホウ素ドープ酸化インジウムを例に挙げて説明する。
焼結体形成時の各粉末の質量%比として、Inが95質量%、Bが5質量%の場合におけるInBO焼結体のIn、B、Oの各原子%は以下のように見積もられる。
InにおけるInのmol数=Inの質量%÷Inの分子量×InにおけるInの原子数=95÷277.6×2=0.684
InにおけるOのmol数=Inの質量%÷Inの分子量×InにおけるOの原子数=95÷277.6×3=1.027
におけるBのmol数=Bの質量%÷Bの分子量×BにおけるBの原子数=5÷69.6×2=0.144
におけるOのmol数=Bの質量%÷Bの分子量×BにおけるOの原子数=5÷69.6×3=0.215
InBO焼結体のInの原子%=Inのmol数÷(Inのmol数+Bのmol数+Oのmol数)×100=0.684÷(0.684+0.144+1.242)×100=33.1
InBO焼結体のBの原子%=Bのmol数÷(Inのmol数+Bのmol数+Oのmol数)×100=0.144÷(0.684+0.144+1.242)×100=6.9
InBO焼結体のOの原子%=Oのmol数÷(Inのmol数+Bのmol数+Oのmol数)×100=1.242÷(0.684+0.144+1.242)×100=60.0
また、前述のように本開示の透明導電膜は、酸化インジウムへのドーパントとして、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を添加して得られた酸化物材料である。このような酸化物材料とすることで、透明導電膜形成時における酸化インジウムの局所的な結晶化を抑制することができる。そのため、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムはアモルファス質になりやすい。また、その結果として、本開示の透明導電膜は、膜表面の平坦性に優れる均質に近い透明導電膜が形成されやすくなる。
なお、本開示の透明導電膜は、熱処理により結晶化することも可能である。結晶化するための熱処理条件は、例えば、目的とする結晶化の度合いに応じて決定すればよい。
透明導電膜がアモルファス質であることを確認する方法としては、例えば、対象となる透明導電膜をX線回折装置(XRD装置)で分析し、結晶構造を示す特有の回折ピークが検出されていないことが確認されるとき、透明導電膜がアモルファス質であると判断する。このとき、下地基板に結晶性を持つ材料が使われている場合、基板の結晶構造を検出することがあるため、下地基板としてはガラスなどのアモルファス質である基板が適している。
透明導電膜の厚みは特に制限されるものではないが、低抵抗率および可視光での高光線透過率が得られる点から、例えば10nm以上200nm以下の範囲としてもよく、10nm以上100nm以下の範囲としてもよい。
なお、本開示の透明導電膜の材料となる酸化物材料は、例えば、酸化インジウムに、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を混合し、焼結することで得られる。
例えば、上記の酸化物材料の製造方法の一例として、ホウ素ドープ酸化インジウムを例に挙げて説明する。
本開示の透明導電膜の原料となるホウ素ドープ酸化インジウムの製造方法の一例としては、酸化インジウムとホウ素酸化物とを混合して混合物を得る混合工程と、得られた混合物を成形して成形体を得る成形工程と、得られた成形体を、焼結してホウ素ドープ酸化インジウムの酸化物焼結体を得る焼成工程とを有する方法が挙げられる。
混合工程では、母材となる酸化インジウムに、ドーパントとなるホウ素酸化物を混合する工程である。ホウ素酸化物の混合割合は、ホウ素ドープ酸化インジウムに対するホウ素の原子%として、例えば、0.1原子%以上20原子%以下となる量を秤量して混合することがよい。
混合工程で用いる、酸化インジウムとホウ素酸化物は、粉末状であることがよい。なお、これらの平均粒径は特に限定されるものではなく、公知の平均粒径を有するものを用いればよい。酸化インジウムとホウ素酸化物との混合方法は特に限定されない。湿式混合および乾式混合のいずれでもよく、公知の混合方法を採用すればよい。
<透明導電膜付き透明基板とその製造方法>
本開示の透明導電膜付き透明基板は、透明基板と、透明基板上に、前述の本開示の透明導電膜とを有する。また、透明導電膜は、パターン状に形成された透明導電膜(以下、「パターン化透明導電膜」と称する場合がある)であってもよい。
また、本開示の透明導電膜付き透明基板の製造方法の一例としては、透明基板上に、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムの酸化物材料をターゲットとし、前述の本開示の透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程を有する。また、透明導電膜がパターン状に形成された透明導電膜である場合、前記の透明導電膜形成工程と、透明導電膜にパターンを形成するパターン形成工程とを有する。
以下、透明導電膜付き透明基板について、製造方法と共に説明する。
まず、透明基板を準備する。透明基板は、特に限定されず、例えば、ガラス基板およびプラスチック基板が挙げられる。例えば、具体的には、ガラス基板としては、石英ガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラスなどが挙げられる。プラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂;ノルボルネンなどのシクロオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリイミド樹脂などが挙げられる。
これらのガラス基板およびプラスチック基板の他、サファイヤ基板、セラミック基板も挙げることができる。
なお、本明細書中において、透明基板とは、可視光の光線透過率が10%以上の基板を表す。また、可視光とは、380nm以上780nm以下の波長領域の光線を表す。
次に、透明基板上に、本開示の透明導電膜を形成する。透明基板上に、前述の酸化物材料である本開示の透明導電膜を形成する。透明基板上に透明導電膜を形成する方法は特に限定されるものではなく、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法で形成すればよい。公知の方法の中でも、操作が簡便等の点で、スパッタリング法が好適である。
以下、本開示の透明導電膜付き透明基板の製造方法の一例として、透明導電膜がホウ素ドープ酸化インジウムの酸化物材料である場合を例に挙げて説明する。
まず、表面を洗浄した透明基板を準備する。
次に、ホウ素を含む酸化インジウムからなる酸化物焼結体をターゲットとして準備し、洗浄した透明基板と、ホウ素を含む酸化インジウムのターゲットとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入する。
その後、スパッタリング装置のチャンバー内から真空が排気される。目的とする真空度(例えば、10−5Pa以上10−3Pa以下)に達したら、ガスを導入する。導入するガスとしては、アルゴンなどの希ガスが用いられる。また、希ガスと共に酸素も導入する。チャンバー内に導入する希ガス(例えばアルゴン)と酸素とは、それぞれのガスを導入して混合ガスとしてもよく、希ガスと酸素とを予め混合した混合ガスを導入してもよい。
例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)を導入し、さらに酸素(O)を導入して、本開示の透明導電膜を成膜する場合には、チャンバー内の酸素の割合(体積%)は、アルゴンおよび酸素の合計に対して、例えば、0.1体積%以上20体積%以下とすることが望ましい。
なお、酸素(O)の割合(体積%)は、下記式で求められる。
(式) 酸素(O)の割合(体積%)={O/(Ar+O)}×100
チャンバー内の酸素の割合は、酸素の流量およびアルゴンの流量の流量比によって調整できる。また、予め混合する酸素とアルゴンとの濃度比によって調整することもできる。
なお、膜質の改善や導電率の向上のために、アルゴンと酸素との混合ガスに加えて、水素ガスまたは窒素ガスを、アルゴンおよび酸素の混合ガスとともに加えてもよい。
アルゴンと酸素の混合ガス(必要に応じて、水素ガスまたは窒素ガス)が導入され、チャンバー内の圧力が安定したら、プラズマを発生させるために、電力(例えば、50W以上400W以下)を印加する。ターゲット表面が清浄になるまでプリスパッタを行ってもよい。プリスパッタリング終了後、シャッターがオープンされ、スパッタリングが開始される。目的とする膜厚となったらシャッターを閉じ、成膜が完了する。成膜するときの温度は、室温(例えば、25℃)でもよく、必要に応じて、基板を加熱(例えば、室温から300℃以下までの範囲)してもよい。
上記工程により、透明基板上に、ホウ素を含む酸化インジウムの透明導電膜が形成された透明導電膜付き透明基板が得られる。
上記工程で得られた透明導電膜付き透明基板は、必要に応じて、熱処理を行ってもよい。熱処理によって、水分が除去されることで、透明導電膜としての安定性が高くなる傾向がある。透明導電膜にパターンを形成する場合には、従来の弱酸を用いたパターン形成方法が容易に採用できる点で、熱処理を行った場合であっても、アモルファス質の状態とすることが好ましい。
なお、熱処理を行うときの熱処理の条件は、目的とする特性(例えば、結晶化の程度など)に応じて行えばよい。例えば、透明導電膜を結晶化させる場合は、熱処理の温度条件は高温であるほうが好ましい。また、熱処理は、例えば、大気中で、公知の熱処理炉を用いて施せばよい。
次に、パターン状に形成された透明導電膜を有する透明導電膜付き透明基板について、その製造方法と共に説明する。パターン化透明導電膜を有する透明導電膜付き透明基板は、例えば、一般的に知られるフォトリソグラフィープロセスによって得ることが可能である。フォトリソグラフィープロセスとは、フォトレジスト塗布および乾燥、露光、現像、エッチング、レジスト剥離を行うプロセスである。
以下、本開示の透明導電膜付き透明基板の製造方法の一例として、透明導電膜がホウ素ドープ酸化インジウムの酸化物材料である場合を例に挙げて説明する。
透明基板は、前述の透明基板と同様の基板が挙げられる。また、透明導電膜形成工程までは、前述の透明導電膜付き透明基板とその製造方法で説明した方法と同様の工程である。
前述の透明導電膜付き透明基板の製造方法の工程で得られた、透明基板上の透明導電膜はアモルファス質の特性が得られやすい。アモルファス質の透明導電膜は、例えば、従来のシュウ酸を含む水溶液等の弱酸によって容易にエッチングできる。
以下、エッチングによるパターン加工を施してパターン状に形成した透明導電膜(パターン化透明導電膜)について説明する。エッチングは、溶液内で行うウェットエッチングと、真空チャンバー内にガスを導入して行われるドライエッチングとに大別される。
パターン状の透明導電膜を形成するエッチング方法としては、ウェットエッチングおよびドライエッチングが挙げられる。いずれのエッチング方法を採用しても、透明導電膜にパターンを形成することが可能である。
これらの中でも、エッチング方法としては、従来、大面積パネル用途として工業製品の製造工程で用いられている、弱酸によるウェットエッチングが好適である。ウェットエッチングを適用する場合、レジストとしては、ポジ型レジストおよびネガ型レジストのいずれでもよい。
なお、シュウ酸を含む弱酸のエッチング液(シュウ酸系エッチャント)を用いた場合、エッチング後も下地(例えば、透明基板など)にダメージを与えることが抑制されるため好適である。
次に、弱酸によるウェットエッチングについて説明する。
まず、透明基板上に形成されたホウ素を含む酸化インジウムの透明導電膜が形成された透明導電膜付き透明基板を準備する。そして、この透明導電膜上に、スピンコートまたはスプレーコートなど公知の塗布法によりフォトレジスト膜を形成する。フォトレジスト膜用塗布液を塗布後に焼成し、溶媒を揮発させる。その後、予め定められたパターンが反転されたマスク越しに、紫外線を露光し、レジストを感光させた後、レジストに適した現像液にてパターン現像する。次に、オーブンなどでベイクして水分を飛ばした後、シュウ酸を含む弱酸のエッチング液に浸して不要な部分を溶解させる。その後、専用のレジスト剥離液にてレジストを除去し、不要な水分を飛ばすことで、パターン状に形成された透明導電膜が得られる。
フォトレジスト膜用塗布液は、公知の塗布液を用いればよい。また、紫外線を露光する装置、紫外線の照射量は、公知の装置および公知の照射条件を採用すればよい。
また、パターンの形状は特に限定されない。ダイヤモンド(菱)型、三角型、四角型等、目的とするパターン形状に応じて決定すればよい。
上記工程により、透明基板上に、パターン状に形成された、ホウ素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料の透明導電膜が形成された透明導電膜付き透明基板が得られる。
上記工程で得られたパターン化透明導電膜が形成された透明導電膜付き透明基板は、必要に応じて、熱処理を行ってもよい。熱処理を行うときの熱処理の条件は、目的とする特性(例えば、結晶化の程度など)に応じて行えばよい。
このようなパターン形成法により、透明導電膜に、複雑な2次元パターンを形成することが可能である。また、シュウ酸を含む水溶液等の弱酸で容易にエッチングできるため、透明導電膜以外の他材料で構成される構造物、デバイスとの選択比を高くできる。特に、タッチパネルセンサーの製造への適用は有用である。
また、上記工程によれば、導電性および透明性に優れる透明導電膜を、例えば積層構造による透明性の向上(例えば、特開2010−086684号公報を参照)や金属細線付加による導電率の向上(例えば、特開2015−005495号公報を参照)など、特別な構造を採用しなくてもよく、追加材料を用いなくてもよい。このため、従来ITO成膜工程をそのまま活用することが可能であり、ターゲットを置き換えるのみで、基板上に高性能の透明導電膜(またはパターン化透明導電膜)が実現され得る。
なお、透明導電膜付き透明基板とその製造方法の説明において、透明導電膜として、ホウ素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。本開示の透明導電膜付き透明基板は、酸化物材料が、ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムである場合にも、上記で説明した工程と同様の工程で製造することで得られる。
<タッチパネル>
本開示のタッチパネルは、本開示の透明導電膜付き透明基板を備える。本開示の透明導電膜付き基板は、種々の方式のタッチパネルのタッチセンサーに適用可能である。例えば、タッチパネルとしては、投影型静電容量式のタッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。
本開示の透明導電膜付き基板が適用されるタッチパネルの一例について、図を参照して説明する。図1は、本開示の透明導電膜を用いたタッチパネルの断面構造の一例を示す図である。
図1に示すタッチパネルは、透明基板上に第1電極、スペーサー絶縁膜、第2電極、パッシベーション膜(保護膜)の順に積層された構造を備えている。
なお、図1に示すタッチパネルにおいて、100はタッチパネル、11は透明基板、13はスペーサー膜、15はパッシベーション膜(保護膜)、21は第1電極、23は第2電極を表す。以下の説明において、符号は省略する。
透明基板は、透明基板上に堆積される透明導電膜、絶縁体などを支持するためのものであり、前述の透明基板と同様の材料が用いられる。
また、例えば、第1電極はY方向電極および第2電極はX方向電極としてもよい。もちろん第1電極がX方向電極および第2電極がY方向電極でもタッチパネルとしての機能を有する。
スペーサー絶縁膜としては、絶縁性の無機系透明材料が挙げられる。例えば、具体的には、SiO、Al、HfO、Y、ZrOなどの酸化物;Si、AlNなどの窒化物;SiONなどの酸窒化物が挙げられる。
第1電極と第2電極とが電気的に絶縁できれば、スペーサー絶縁膜は、絶縁性の無機系透明材料に限定されず、絶縁性の有機系高分子材料でもよい。例えば、具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。これらの他、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリプロピレン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、これらの絶縁性の無機系透明材料および絶縁性の有機系高分子材料は、第2電極を大気から隔離するためのパッシベーション膜としても用いることができる。
図1に示すタッチパネルは、一例として、本開示のパターン状に形成された透明導電膜を有する透明導電膜付き透明基板上に、絶縁性のスペーサーを設ける工程と、スペーサー上に第2電極を設ける工程と、第2電極上にパッシベーション膜(保護膜)を設ける工程とを有していてもよい。
または、図1に示すタッチパネルは、一例として、本開示のパターン状に形成された透明導電膜を有する透明導電膜付き透明基板上に、絶縁性のスペーサーを設ける第1の工程と、パッシベーション膜(保護膜)上に第2電極を設ける2の工程と、スペーサー面と第2電極面とを対向するように積層する第3の工程とを有していてもよい。
なお、絶縁性のスペーサーは、特に限定されず、例えば、無機系透明材料又は有機系高分子材料からなる材料で形成されてもよい。
本開示の透明導電膜付き基板が適用されるタッチパネルは、上記で説明した図1に示すタッチパネルに限定されるものではない。図1に示すタッチパネルは、本開示の透明導電膜付き基板が適用された一例にすぎず、種々の態様のタッチパネルに適用可能である。
また、タッチパネルの大きさは特に限定されず、公知の大きさのタッチパネルに適用可能である。
本開示の透明導電膜は、母材として安定性の高い酸化インジウムを用いているため、不安定性の高い亜鉛を含まないため信頼性に優れる。また、酸化スズよりもバンドギャップが高く、酸素原子との結合距離が短いドーパント材料を添加するため、可視光での光線透過が低く、抵抗率が低い。このため、本開示の透明導電膜は、透明性および導電性の両面で有用な酸化物材料である。
また、本開示の透明導電膜は、高光線透過率および低抵抗率であるため、ディスプレイパネルの視認性を損なわない付加価値の高いタッチパネルが実現できる。可視光での光線透過率が高いということは、ディスプレイパネルに用いた場合、バックライトの消費電力抑制にも寄与し得るため、機器全体の低消費電力化と長寿命化に貢献できる。このため、タッチパネルのみならず、タッチパネルを搭載するスマートフォン、タブレット端末、車載向けカーナビなどに使用される液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンスのディスプレイパネルの適用にも有用である。
さらに、有機EL素子のアノードやLEDまたはフォトダイオードなどの受発光素子の電極として用いれば、従来の透明電極材料よりも光の取り入れおよび取り出し効率に優れる。そのため、素子の低消費電力化、高効率化および長寿命化に多大な効果をもたらす。
また、太陽電池の電極として用いれば、透明電極部分による光吸収を抑制できるため、発電効率の向上に寄与できる。そのため、太陽電池等の各種受発光素子の電極などにも有用である。
加えて、本開示の透明導電膜は、高光線透過率および低抵抗率であるため、ガラスのような透明な場所でのICカードを用いた情報伝達および情報交換に応用展開できる可能性もある。
以下に実施例について説明するが、本開示の透明導電膜は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
また、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
<実施例1>
まず、酸化インジウム(In)を95質量%およびホウ素酸化物(B)5質量%となるように混合して得られた、ホウ素ドープ酸化インジウムの酸化物材料をターゲットとして準備した。
次に、石英ガラスを基板とし、この石英ガラス基板と準備したホウ素ドープ酸化インジウムのターゲットを、スパッタリング装置のチャンバー内に配置した。その後、アルゴンガス95体積%と酸素ガス5体積%の混合ガス(気圧0.5Pa)の真空雰囲気下(5×10−4Pa)、室温(25℃)で、50Wの電力を印加し、スパッタリング法により、厚み50nmのホウ素ドープ酸化インジウムからなる酸化物材料の透明導電膜を石英ガラス基板上に形成した。
<実施例2、3、比較例1、2>
ターゲットとして、酸化インジウム(In)を95質量%およびホウ素酸化物(B)5質量%となるように混合して得られたホウ素ドープ酸化インジウムの酸化物材料に変えて、表2に示す元素の酸化物に変更した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜付き基板を得た。
<評価>
(光線透過率)
各例で得られた透明導電膜付き基板の可視光での光線透過率を測定した。測定方法は、以下のとおりである。分光光度計(島津製作所社製、UVmini−1240)を用いて、測定波長300〜800nmで測定した。測定結果を図2に示す。透過率は石英ガラス基板上に成膜された透明導電膜の透過率であり、石英ガラス基板での光吸収も含むデータとして図示してある。また、550nmにおける光線透過率の結果を表2に示す。
(抵抗率)
各例で得られた透明導電膜付き基板を、水素ガス3体積%を含むアルゴンガス中で、550℃、30分間の条件で熱処理(アニール処理)を施した。そして、熱処理前の透明導電膜付き基板の透明導電膜と、熱処理後の透明導電膜について、抵抗率測定器(エヌピイエス株式会社製、Model sigma−5+)を用いて四探針法により抵抗率を測定した。得られた抵抗率から、熱処理前の抵抗率に対する熱処理後の抵抗率の抵抗比(熱処理後抵抗率/熱処理前抵抗率)について求めた。結果を表2に示す。なお、表2中、アニール後抵抗/アニール前抵抗と表記している。
<アモルファス質の確認>
各例で得られた透明導電膜付き基板を、大気中で、250℃、10分間の条件で熱処理(アニール処理)を施した。熱処理を施した透明導電膜付き基板上の透明導電膜を、X線回折分析装置(リガク社製、RINT2200VK/PC)を用いて、X線回折のθ−2θ法で透明導電膜を測定した。回折角の範囲10°以上80°以下の範囲におけるX線回折スペクトルを観察し、アモルファス質であることを確認した。結果を図3に示す。
<パターン化透明導電膜付き基板の作製>
図3に示す結果から、本開示の透明導電膜がアモルファス質であることがわかる。このことから、シュウ酸系エッチャントによるエッチング適性が良好であると考えられる。
そこで、石英ガラス基板をシリコン基板に変更して、実施例1と同様の手順にしたがって、シリコン基板上に、ホウ素ドープ酸化インジウムの透明導電膜を形成して、ホウ素ドープ酸化インジウムの透明導電膜付き基板を作製した。また、石英ガラス基板をシリコン基板に変更して、比較例1と同様の手順にしたがって、シリコン基板上に、シリコンドープ酸化インジウムの透明導電膜を形成して、シリコンドープ酸化インジウムの透明導電膜付き基板を作製した。そして、下記の操作手順にしたがって、それぞれの透明導電膜付き基板の透明導電膜にパターンを形成し、シュウ酸系エッチャントによるエッチング適性を確認した。
透明導電膜のエッチングは、市販の汎用ITOエッチャント(関東化学社製、ITO−07N)を用いてウェットエッチングにより実施した。シリコン基板上に成膜した透明導電膜(厚さ:50nm)に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業社製、OFPR−800LB 100cp)をスピンコート法により、毎分3000回転のスピードで30秒間動作させて塗布した。その後、ホットプレート上で120℃、5分間ベイクし、不要な溶媒を蒸発させた。このときのフォトレジストの膜厚は、3μmであった。次に、両面マスクアライナー(ユニオン光学、PEM−800)を用いて、透明導電膜を形成した基板の一部分をマスクして7秒間露光した。続いて、ポジ型フォトレジスト用現像液(東京応化工業社製、NMD−3 2.38%)に3分間浸漬し、露光された部分のフォトレジストを溶解させ、フォトレジストパターンを形成した。現像後の前記基板を、純水で洗浄した後、ホットプレート上で110℃2分間ベイクし、不要な水分を除去した。このように形成したフォトレジストパターンを有する透明導電膜つき基板を、30℃に温めた上記ITOエッチャント中に浸漬させた。その後、レジスト剥離液(東京応化工業社製、剥離液105)を用いてフォトレジストを除去し、純水にて洗浄した後で水分をエアブローで飛ばし、透明導電膜のパターンを得た。
得られたパターン形成後透明導電膜付き基板の断面を、表面段差計(ブルカー社、Dektak−XT)を用いて測定した。結果を図4および図5に示す。なお、図4および図5において、Bドープインジウムはホウ素ドープ酸化インジウムを、Siドープインジウムはシリコンドープ酸化インジウムを、それぞれ示す。
実施例の結果から、本開示の透明導電膜は、抵抗率が低く、可視光での光線透過率が高いことがわかる。特に、ホウ素ドープ酸化インジウムは、従来のシリコンドープ酸化インジウムよりも、可視光領域の光線透過率が低いものの、抵抗比が優れており、バランスの取れた材料であることが分かる。
一方、マグネシウムドープ酸化インジウムは、400nm付近の光線透過率が低めであるが、550nm以上の領域ではホウ素ドープ酸化インジウムと同等の光線透過率を示している。したがって、マグネシウムドープ酸化インジウムは、紫外領域から青色領域の光線の吸収率が求められる用途(例えばブルーライトのカットが要求される用途など)に有用である。また、マグネシウムドープ酸化インジウムは、従来のチタンドープ酸化インジウムよりも抵抗比が小さいことから、チタンドープ酸化インジウムの代替用途として有用であることが分かる。
他方、アルミニウムドープ酸化インジウムは、従来のチタンドープ酸化インジウムよりも可視光領域の光線透過率が優れている。また、従来のチタンドープ酸化インジウムよりも抵抗比が小さい。このことから、アルミニウムドープ酸化インジウムは、チタンドープ酸化インジウムの代替用途として有用であることが分かる。
また、本開示の透明導電膜は、従来のシリコンドープ酸化インジウムと同様に、シュウ酸系エッチャントによるエッチング適性が良好であることから、従来のエッチング工程に適用可能である。したがって、本開示の透明導電膜は、従来の透明導電膜が適用されている用途への適用が容易であり、有用な材料である。
100 タッチパネル、11 透明基板、13 スペーサー膜、15 パッシベーション膜(保護膜)、21 第1電極、23 第2電極

Claims (9)

  1. ホウ素、マグネシウム、およびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化インジウムからなる酸化物材料である透明導電膜。
  2. 前記元素の含有量が、前記酸化物材料の全体に対し、0.1原子%以上25原子%以下である請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記酸化物材料が、アモルファス質である請求項1又は請求項2に記載の透明導電膜。
  4. 前記元素がホウ素である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜。
  5. 透明基板と、
    前記透明基板上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜と、
    を有する透明導電膜付き透明基板。
  6. 前記透明導電膜がパターン状に形成された透明導電膜である請求項5に記載の透明導電膜付き透明基板。
  7. 透明基板上に、ホウ素を含む酸化インジウムをターゲットとし、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程を有する透明導電膜付き透明基板の製造方法。
  8. さらに、前記透明導電膜にパターンを形成するパターン形成工程を有する請求項7に記載の透明導電膜付き透明基板の製造方法。
  9. 請求項5又は請求項6に記載の透明導電膜付き透明基板を備えるタッチパネル。
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