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JP2019088382A - 画像処理装置、眼科撮影装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、眼科撮影装置、画像処理方法、及びプログラム Download PDF

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JP2019088382A JP2017218225A JP2017218225A JP2019088382A JP 2019088382 A JP2019088382 A JP 2019088382A JP 2017218225 A JP2017218225 A JP 2017218225A JP 2017218225 A JP2017218225 A JP 2017218225A JP 2019088382 A JP2019088382 A JP 2019088382A
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Abstract

【課題】異なる被検眼より得た断層画像同士や、異なるOCT装置より得た断層画像同士の比較を容易にする。【解決手段】被検査物の正規化された断層データを取得する断層データ取得手段と、断層データと比較する比較対象データを取得する比較データ取得手段と、断層データ及び比較対象データより比較用表示データを生成する生成手段と、を備えた画像処理装置において、生成手段は、断層データと比較対象データとを比較する際の比較項目に応じて、断層データ及び比較対象データの少なくとも一方より生成する断層画像の表示様式を変更する情報を、比較用表示データに付与する。【選択図】図8

Description

本発明は、画像処理装置、眼科撮影装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
現在、低コヒーレント光による干渉を利用した光干渉断層撮影法(OCT:Optical Coherence Tomography)を用いる装置(以下、OCT装置)が実用化されている。このようなOCT装置では、被検査物に入射する光の波長程度の分解能で断層画像を取得できるため、例えば眼底を撮影して網膜層内部の状態を高解像度で3次元的に観察することができる。
例えば眼底の断層画像を撮影するOCT装置は、被検眼眼底に照射した測定光の反射散乱光と、測定光と参照光との光路長差とに基づいて断層画像を生成する。この反射散乱光は、測定光の光軸方向である眼底の深さ方向の情報を含む。そして、例えば眼底の深さ方向を縦軸とし、この深さ方向の情報から得た輝度に例示される断層情報を、該縦軸とは垂直な方向の横軸上で平行に並べることで断層画像を生成する手法が一般的に行われている。これに対し、実際には測定光は被検眼における測定光の入射点(ピボットポイント)を中心として眼底上の各位置に照射されており、この断層情報は極座標上に配列している。そのため、一般的な手法により生成された断層画像は眼底の湾曲を反映した実形状・実寸法を示していなかった。特許文献1では、このような状況に鑑み、眼底の実形状に近い断層画像を再現するために断層情報を湾曲補正し、実形状に近いより解剖学的な形状を表す方法が開示されている。
特開2012−148003号公報
上述した従来のOCTで撮影された断層画像の比較では、同一機種で撮影された同一被検眼における比較的短期間の経過観察には有用である。ここで、OCT装置により得た断層画像の表示では、測定光と参照光との光路長差を縦軸とし且つ走査方向の走査範囲を横軸として断層情報を画像化して表示している。このため、撮影した装置が異なる場合や、長期間にわたって眼軸長が伸びたような被検眼、或いは眼球直径がもともと異なる他眼同士では、画像の縦横のスケールが異なるため定量的な比較はできない。また、特許文献1の技術では、各被検眼に合わせて湾曲を補正して断層画像の表示を行っているが、補正により得られた複数の画像の表示様式についても特段の考慮はされていない。
本発明はこのような状況に鑑みたものであって、異なる被検眼より得た断層画像同士や、異なるOCT装置より得た断層画像同士の比較を容易にする画像処理装置、眼科撮影装置、画像処理方法、及びプログラムの提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、
被検査物の正規化された断層データを取得する断層データ取得手段と、
前記断層データと比較する正規化された比較対象データを取得する比較データ取得手段と、
前記断層データ及び前記比較対象データより各々対応する比較用画像データを生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、前記断層データと前記比較対象データとを比較する際の比較項目に応じて、前記断層データ及び前記比較対象データの少なくとも一方より生成する断層画像の表示様式を変更する情報を、前記対応する比較用画像データに付与することを特徴とする。
本発明によれば、異なる被検眼より得た断層画像同士や、異なるOCT装置より得た断層画像同士の比較が容易になる。
本発明の実施例において断層画像の取得に用いたOCT装置の概略構成を示す模式図である。 図1に例示したOCT装置により取得される断層信号の形状例を示す図である。 図2に示す断層信号から得られた断層情報の例を示す図である。 図1に例示したOCT装置により取得、生成される断層画像の例を示す図である。 OCT装置において眼底に照射された測定光の配置を示す光線図である。 本発明の実施例における湾曲補正される前後における断層画像を例示してこれらを比較する図である。 本発明の実施例における断層画像の比較の例を示す説明図である。 本発明の実施例における断層画像の表示例1を示す図である。 表示例1の変形例を示す図である。 本発明の実施例における断層画像の表示例2を示す図である。 比較画像の表示処理を説明するフローチャートである。 本発明の実施例における断層画像の表示例3を示す図である。 本発明の実施例における断層画像の表示例4を示す図である。 本発明の実施例における断層画像の表示例5を示す図である。
以下、本発明を実施するための例示的な形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明される寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。本発明では、眼球形状が異なる被検眼の断層画像同士や、異なるOCT装置で撮影された断層画像同士の比較を容易とする。このために、各々の断層データから直接断層画像を生成するのではなく、正規化された断層データを用い、検者がこれらを用いて任意の断層画像と比較対象となる断層画像との比較を容易とする表示様式に則った画像データを生成する。
<断層画像を撮影したOCT装置の概略構成>
図1を参照して、本実施例において断層画像の撮影に用いられるOCT装置(眼科撮影装置)及び該OCT装置で実行される画像処理方法の一例の各工程について説明する。なお、OCT装置は、TD−OCT(Time domain OCT)と、FD−OCT(Fourier domein OCT)の2種に大別される。広帯域な光源とマイケルソン干渉系とを組み合わせたTD−OCTでは、参照光路の遅延を走査することで信号光路の後方散乱光との干渉光を計測し、深さ分解の情報を得ることができる。また、FD−OCTは、SD−OCT(Spectral domain OCT)と、SS−OCT(Swept Source OCT)を含む。SD−OCTは、広帯域光源を用いて分光器でインターフェログラムを取得する。SS−OCTは、高速波長掃引光源を用いることで、単一チャネル光検出器でスペクトル干渉を計測する。本実施例ではSD−OCT装置を用いて被検眼の断層画像を取得する例について説明する。
図1に示すOCT装置(眼科撮影装置)100には、撮影装置1000、制御部(画像処理装置)19、表示部20、及びポインティングデバイス25が設けられている。撮影装置1000には、光源1、光分岐部3、サンプルアーム1001、参照アーム1002、及び分光器1003が設けられている。
光源1は、光(低コヒーレンス光)を発生させるための光源である。本実施例では、光源1として、中心波長850nm、帯域50nmの光を発するSLD(Super Luminescent Diode)光源を用いる。なお、光源1には、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源も適用することができる。このように、光源1は、低コヒーレンス光を発生させることのできるものであればよい。さらに、光源1から発生する光の波長は、特に制限されるものではないが、被検査物に応じて400nmから2μmの範囲で選択される。波長の帯域は広いほど縦分解能がよくなる。一般的に中心波長が850nmの光を光源が射出するとした場合、得られる断層画像において、50nmの帯域では6μmの縦分解能が、100nmの帯域では3μmの縦分解能が得られる。
導光部2,4,10,14は、光ファイバー等で構成される。光源1が発した光は、導光部2により光分岐部3に導かれる。光分岐部3は、ファイバーカプラなどで構成されることができる。なお、光分岐部3において光源からの光束が分岐された2つの光路に向けて分割される際の分割の比率は被検査物に合わせて任意に選択されることができる。
光分岐部3により導光部4側に分岐された光路上には、コリメータレンズ5、光走査部6、フォーカスレンズ7、波長分岐ミラー8、及び対物レンズ9が設けられたサンプルアーム1001が配置されている。光走査部6には、光軸方向に隣接して配置(タンデム配置)された、互いに直交するX,Y方向に測定光をそれぞれ走査するガルバノミラー又は共振ミラー等のXスキャンミラー及びYスキャンミラーが適用される。波長分岐ミラー8は、光源1が発した光(波長:λ=800〜900nm)を透過し、前眼部照明の光(λ=940nm)を反射する。導光部4に導かれた光は、測定光としてサンプルアーム1001を通り被検眼Eの眼底Efに達する。なお、フォーカスレンズ7は、制御部19によって制御される不図示のモータ等によって光軸方向に移動可能なように配置されている。
光分岐部3により導光部10側に分岐された光路上には、コリメータレンズ11及び参照ミラー12が設けられた参照アーム1002が配置されている。参照ミラー12は、直動ステージ13上に配置されている。直動ステージ13を光軸方向に移動し、参照ミラー12の位置を移動させることにより、参照アーム1002の光路長を調整することができる。直動ステージ13は、制御部19によって制御される不図示のモータ等によって光軸方向に移動可能とされている。
光分岐部3により導光部14側に分岐された光路上には、分光器1003が設けられている。分光器1003にはコリメータレンズ15、回折格子であるグレーティングやプリズム等で構成される分光部16、結像レンズ17、及びCMOSやCCD等の光電変換素子を有する撮影部18が設けられている。被検眼Eからの測定光の戻り光及び参照光は、光分岐部3において合波されて干渉光となる。干渉光は、光分岐部3に接続された導光部14により、分光器1003に導かれる。分光器1003の撮影部18は干渉光を検出することで、被検眼Eの眼底Efの撮影を行う。撮影部18から出力される干渉信号は制御部19に伝えられ、制御部19は干渉信号に基づいて断層画像を生成する。
対物レンズ9の周りには、前眼部照明光源21a,21bが配置されている。これらの光源により照明された被検眼Eの前眼部からの戻り光は、対物レンズ9を通り、波長分岐ミラー8により反射され、レンズ22により二次元の撮影部23の撮影面に結像する。また、撮影部23から出力された映像信号は制御部19に伝えられ、制御部19は撮影部23からの出力に基づいて前眼部画像を生成する。
制御部(画像処理装置)19には、取得部191、画像生成部192、正規化部193、駆動制御部194、記憶部195、及び表示制御部196が設けられている。また、制御部19には、上述したように、光走査部6、直動ステージ13、及び撮影部18,23が接続されている。
取得部(取得手段)191は、光走査部6からの走査角度に関する情報や撮影部18からの干渉信号、撮影部23からの映像信号等を取得する。画像生成部(生成手段)192は、取得部191で取得した各種信号から断層画像や前眼部画像を生成する。正規化部193は、後述の方法によって、撮影装置1000により撮影された断層画像の断層データを正規化する。
駆動制御部194は、光走査部6やフォーカスレンズ7、直動ステージ13、サンプルアーム1001を駆動する不図示のステージ等の制御を行う。記憶部195は、制御部19に入力された被検者の情報、制御部19で生成した各種画像、及び制御部19を機能させるためのプログラム等を記憶する。表示制御部(表示制御手段)196は、制御部19に接続される表示部20の表示の制御を行う。
画像生成部192には、算出部197及び表示様式選択部198が設けられている。算出部(算出手段)197は、正規化部193で取得した正規化された断層データを用いて、特定の断層画像と比較対象となる断層画像との相違点或いは一致点を検者が認識容易となる画像を生成する。表示様式選択部(選択手段)198は、記憶部195に記憶された複数の表示様式から、検者による任意の表示様式の選択を可能とする。検者は、確認したい特定の断層画像と比較対象となる断層画像との相違点或いは一致点が認識容易となる表示様式を、この表示様式選択部198を用いて選択する。なお、この表示様式選択部198は、検者による選択に限られず、予め定められた表示様式から、例えばRPE(網膜色素上皮)等特定の層の指定に応じ、2つの断層画像における当該層の比較に適した表示様式を制御部19が選択することとしてもよい。
本実施例で述べた制御部19の各構成要素は、制御部19のCPUやMPUで実行されるモジュールによって構成することができる。また、制御部19の各構成要素は、ASICなどの特定の機能を実現する回路等により構成されてもよい。記憶部195は、メモリーや光学ディスク等の任意の記憶装置・記憶媒体を用いて構成することができる。なお、記憶部195は外付けの記憶装置・記憶媒体として制御部19に接続されていてもよい。
また、制御部19には、表示部20及びマウス等のポインティングデバイス25が接続されている。表示部(表示手段)20は、制御部19から出力される各種画像や被検者の情報等を表示する。ポインティングデバイス25は、ユーザが制御部19へ入力を行う際の入力手段として機能する。
次に、上述したOCT装置100を用いて、被検眼Eの眼底Efの網膜の断層画像を撮影するための撮影方法について説明する。被検眼Eを撮影装置1000の前に配置した後、OCT装置100では前眼部照明光源21a,21bを発した光により前眼部を照明する。照明された前眼部からの戻り光は、対物レンズ9を通り、波長分岐ミラー8により反射されて、レンズ22により、撮影部23の撮影面に結像する。制御部19の取得部191は、撮影部23からの映像信号を取得し、画像生成部192は取得した映像信号をデジタルデータにリアルタイムに変換し、前眼部画像を生成する。
なお、制御部19は、この被検眼Eの前眼部画像の内の特に虹彩の模様より、被検眼Eの偏心、及びピントの状態を判定することもできる。撮影装置1000において、撮影部23の中心とサンプルアーム1001の光学系の光軸は一致するように調整されている。そのため、撮影部23で撮影された前眼部画像の瞳孔中心と前眼部画像の中心との偏心量は被検眼Eとサンプルアーム1001の光学系の偏心量に相当する。前眼部画像は、表示部20の表示領域20aに表示され、検者は、前眼部画像により光軸偏芯を確認することができる。
撮影装置1000におけるサンプルアーム1001の光学系は、被検眼Eに対し、上下左右、さらに光軸方向に位置調整可能なように不図示のステージ上に配置されている。駆動制御部194は、通常の断層画像の撮影において、瞳孔中心と測定光の光軸が一致するように、サンプルアーム1001の光学系の上下左右の位置を調整するとともに、虹彩の模様のコントラストが最も高くなるように、光軸方向の位置調整を行う。以下、駆動制御部194による、撮影装置1000と被検眼Eの位置合わせをオートアライメントという。これにより、虹彩と同一面である被検眼Eの瞳孔とサンプルアーム1001の光学系の対物レンズ9との距離(ワーキングディスタンス)は一定に保たれる。
オートアライメントにより偏心量が所定の値以下になると、OCT装置100は、光源1を点灯し、アライメント用の断層画像の撮影を開始する。光源1からの光は、導光部2により光分岐部3に導かれる。光分岐部3は、導光部2からの光を、導光部4と導光部10に導かれる光量の比が、例えば1:9になるように分割する。導光部4側に導かれた測定光は、ファイバー端4aに達する。ファイバー端4aを点光源として射出された測定光は、コリメータレンズ5により平行光に変換され、光走査部6のXスキャンミラーにより走査される。平行光とされた測定光は、フォーカスレンズ7及び波長分岐ミラー8を透過し、対物レンズ9により被検眼Eの瞳孔より眼底Efに照射され、眼底Ef上を走査される。
眼底Efの網膜を構成する複数の層で反射・散乱された戻り光は、入射時と同一の光路を戻り、コリメータレンズ5を経てファイバー端4aより導光部4に入射して、光分岐部3に導かれる。光分岐部3に至った戻り光は後述する参照光と合波されて干渉光となり、干渉光として導光部14を経てファイバー端14aより分光器1003に出射される。分光器1003に出射した戻り光は、コリメータレンズ15により平行光に変換され、分光部16に入射する。分光部16には測定光の波長に近い寸法の回折格子が等間隔に数多く形成されており、入射した戻り光は分光部16の回折により分光される。
光分岐部3より導光部10に導かれた参照光は、ファイバー端10aから出射され、コリメータレンズ11により平行光に変換された後、参照ミラー12に向かう。参照ミラー12は、平行光である参照光の光軸と垂直に、また、該光軸の方向に移動可能に直動ステージ13上に配置されている。これにより、直動ステージ13によって参照ミラー12を移動させることで、異なる眼軸長の被検眼Eに対しても、参照光の光路と測定光の光路との光路長とを合わせることができる。検者は、ポインティングデバイス25を操作して、表示部20上の表示領域20dをカーソルで指示することにより、参照ミラー12の位置を調整することができる。なお、参照ミラー12の位置は、取得された断層画像等に基づいて、制御部19によって自動的に調整されてもよい。
参照ミラー12で反射された参照光は、コリメータレンズ11により導光部10のファイバー端10aに集光され、導光部10により光分岐部3に導かれる。上述したように、戻り光と参照光とにより光分岐部3で生成された干渉光は分光器1003に導かれ、分光部16により分光された後、分光後の波長に応じた光電変換素子がライン上に配列された撮影部18の受光領域に結像する。撮影部18は、各々の波長毎に生成された干渉信号を制御部19に出力する。制御部19は、入力された干渉信号に対しフーリエ変換等を施して、断層画像を生成する。
表示部20は表示領域20bに生成された断層画像を表示する。検者は、この断層画像を観察し、断層画像が最も明るくなるようにポインティングデバイス25を用いてカーソルで表示領域20cのボタンを操作してフォーカス調整を行う。制御部19の駆動制御部194は、当該ボタンの操作に応じて不図示のモータ等を駆動しフォーカスレンズ7を光軸に沿って移動させることで、測定光のフォーカスを変更する。また、同様に、表示領域20bの所望の領域内に関心部位の断層画像が全て入るように表示領域20dのボタンを操作して参照ミラー12の位置調整(コヒーレンスゲート調整)を行う。駆動制御部194は、当該ボタンの操作に応じて、直動ステージ13を移動させるための不図示のステッピングモータを駆動し、直動ステージ13を光軸に沿って移動させることで、参照ミラー12の位置を変更する。表示領域20dに指示が入力されると、制御部19は直動ステージ13の位置を指示された方向に移動させるとともに、記憶部195に記憶している直動ステージ13の制御位置情報を移動量に応じて変更する。
直動ステージ13は、不図示のステッピングモータにより駆動制御されており、直動ステージ13の位置は、ステッピングモータに指示するステップ数と対応している。例えば、60mmのストロークを60000ステップで駆動する場合、1ステップあたりの移動量は1μmになる。この場合、0から60000までのステップ数が、直動ステージ13の0から60mmまでの位置に対応する。また、直動ステージ13の基準位置からコリメータレンズ11までの距離は設計的に精度よく配置されており、基準位置とステージ位置の関係も設計的に明らかであるため、ステップ数に基づいて参照光の光路長を計算することができる。このため、制御部19は、不図示のステッピングモータのステップ数により、参照光の光路長を検出することができる。
参照ミラー12の位置が変化することで参照光の光路長が変化する。測定光の光路長と参照光の光路長とがほぼ等しい状態となったときに、測定光の戻り光と参照光は互いに干渉し、干渉光となる。そのため、参照光の光路長を変化させることで、参照光と干渉する測定光の光路長が変わり、被検眼Eの光軸方向の撮像位置が変化する。従って、参照ミラー12の位置を変化させることで、表示領域20b内の断層画像の表示位置を変化させることができる。記憶部195は、常に断層画像の撮影時における参照ミラー12の位置を記憶する。以上の撮影準備の後、撮影ボタン20eが指示されると、OCT装置100は、断層画像の静止画撮影(断層画像撮影)を行う。記憶部195は、撮影された断層画像を記憶する。なお、上述した例では検者がフォーカス及びコヒーレンスゲートの調整を指示したが、撮影された断層画像等に基づいて、制御部19がこれらの調整を自動的に行ってもよい。
次に、制御部19による断層画像の生成について説明する。導光部14には、被検眼Eの眼底Efからの戻り光と、参照ミラー12から反射された参照光との合波光である干渉光が導かれる。光分岐部3から眼底Efまでの光路長と、光分岐部3から参照ミラー12までの光路長の差により、光分岐部3で合波されるときの測定光の戻り光と参照光は、位相差を有する。この位相差は波長により異なるため、撮影部18上に現れる分光強度分布には干渉縞が生じる。また、網膜には複数の層があり、それぞれの層境界からの戻り光はそれぞれ異なる光路長を有するため、干渉縞には、異なる周波数の干渉縞が含まれる。制御部19は、この強度分布に含まれる干渉縞の周波数とその強度より、反射物体の位置とその位置からの反射・散乱に対応した明るさを求めることができる。
ここで、被検眼Eの眼底Efの或る一点における深さ方向(Z方向)の断層画像を取得するような走査方式をAスキャンと呼び、得られる断層画像をAスキャン画像と呼ぶ。また、光走査部6によって、測定光を眼底Efの所定の横断方向に走査しながらこのようなAスキャンを繰り返し行うことにより、複数のAスキャン画像を取得することができる。例えば、測定光を光走査部6によってX方向に走査すればXZ面における断層画像が得られ、Y方向に走査すればYZ面における断層画像が得られる。このように被検眼Eの眼底Efを所定の横断方向に走査する方式をBスキャンと呼び、得られる断層画像をBスキャン画像と呼ぶ。
眼底Ef上の1ラインを測定光で走査するBスキャンモードにおいては、駆動制御部194が、光走査部6のXスキャンミラー及びYスキャンミラーの例えばXスキャンミラーだけを駆動しながら、取得部191が撮影部18からの干渉信号を取得する。その際、取得部191は、光走査部6から出力されるスキャンミラーの角度を示すデータも取得する。制御部19は、取得した干渉信号をスキャンミラーの角度とともにデジタルデータに変換する。制御部19は、さらにスキャンミラーの角度のデータを測定光の被検眼Eへの入射角θiに変換して記憶部195に記憶する。スキャンミラーの角度と測定光の入射角θiは、対応しており、光学系の設計値より求めることができる。なお、入射角θiは被検眼Eに入射する測定光と被検眼Eの眼軸とが成す角度に対応する。
図2は、入射角θiに対応するスキャンミラーの角度における撮影部18上の干渉光の強度分布の一例を示す。同図における横軸は撮影部18上のセンサー位置であり、戻り光或いは干渉光の波長に対応する。縦軸は、撮影部18より取得した干渉信号の信号強度に対応する。ここでは、中心波長λ0、半値幅δλの強度分布に対して、干渉縞による波形が重なっている。
制御部19は、この干渉光の波形に対応する干渉信号の波形の強度情報を読み出し、A/D変換器によりデジタルデータに変換し、記憶部195に記憶する。画像生成部192は、変換したデータを高速フーリエ変換などによって波数変換及び周波数変換することで周波数毎の強度分布を得る。ここで、図3は、当該強度分布の一例を示す。図3において、横軸は周波数であり、干渉信号に基づいて生成される断層画像におけるコヒーレンスゲート位置からの距離hに対応し、縦軸は強度Iを示す。また、図4は、干渉信号を用いて生成した断層画像の一例を示す。
図3に示される強度分布は、図4に示すように、距離h1,h2,h3(コヒーレンスゲートからの距離)のところの干渉強度がそれぞれI3,I1,I2であることを示す。ここで、コヒーレンスゲート位置とは、上述のように測定光と参照光が干渉を生じる光路長に対応し、参照ミラー12の位置に対応する。本実施例では、コヒーレンスゲート位置は断層画像の下端に対応する。
制御部19は、スキャンミラーの角度に対応する入射角θiを、走査開始時の角度θsから終了時の角度θeまで変化させながら、干渉信号の強度を測定する。画像生成部192は、干渉強度I(θi,hj)を、θを横軸、hを縦軸にして表示することにより、図4に示すように眼底EfのBスキャン画像(光学的な距離に基づく画像)を生成することができる。また、制御部19は、Y方向に測定光を走査してZ−X方向のBスキャンを繰り返すことで、三次元の断層信号及び断層画像を生成することができる。なお、制御部19は、Z−Y方向のBスキャンをX方向に繰り返し行ってもよい。また、断層画像の生成は、上述した方法以外の既知の任意の方法によっても行われてよい。ここで、本明細書において、被検眼Eの干渉信号に関するデータや、干渉信号をフーリエ変換した後のデータ、当該データに何らかの情報処理を施したデータを、断層データと総称する。即ち、この断層データは、断層画像を生成するためのデータであればよい。
<湾曲補正の適用>
図5に眼底をBスキャンする場合に眼底Erに到る光線(測定光)の一例を示し、次にBスキャンにおける測定光の走査について説明する。同図は被検眼Eに対して撮影装置1000が正しくアライメントされた状態での被検眼Eの断面を模式的に示し、被検眼Eの光軸を一点鎖線で、被検眼内の測定光の走査状態を破線で、被検眼に入射した測定光を実線で各々示している。入射角θiで、角膜61より被検眼Eに入射した光線は、被検眼Eの内部の、瞳孔62の中央部、水晶体63、及び硝子体64を通り、網膜層65(眼底Er)へ入射角θi’で向かい、網膜の各層で反射・散乱される。また、その際に、角膜61より被検眼Eに入射した光線Rayiは、スキャンミラーの角度変更に応じて、瞳孔62の中央部をピボットポイントP1として、網膜層65上を該スキャンミラーの回転に応じて走査する。
ここで、図6(a)は、従来のOCT装置において表示される断層画像を示している。同図に示す断層画像には、網膜層65が表示されている。この断層画像に表示される網膜層65は、生成に際して以下の理由から実際の網膜層の形状とは異なる。すなわち、
(1) 演算で求めたコヒーレンスゲートからの距離hjは、真空中を同じ時間で光が進む光学的な距離(光路長=距離×屈折率)であり、実際の距離とは異なる。
(2) 図6(a)に示した断層画像では、スキャンミラーの各々の角度で行ったAスキャンにより取得した断層データを、測定光の走査方向(直線方向)に平行に並べて画像を作成している。しかし、実際には、これらの断層データは、図5の光線図で示すように、測定光の走査中心(ピボットポイントP1)を中心とする極座標上に表されるべき画像データである。
(3) 角度θi’は光線の入射角であり、目の中の走査角とは異なる。
従って、眼底形状のより詳細な解析を行う場合には、通常の断層データの取得後に、これら考慮した上で極座標上に断層データを再配置する補正(以降、湾曲補正)を行うことが望ましい。以下、この湾曲補正について詳述する。なお、以下に説明する湾曲補正処理等は、上述した制御部19における正規化部193により実行される。
具体的には、まず、制御部19は、ピボットポイントP1の位置に対応する参照ミラー12の位置を設計値から求める処理を実行する。同様に、制御部19は、実際に参照ミラー12を動かした際の画像より求めたコヒーレンスゲートの位置から、該コヒーレンスゲート位置に対応する参照ミラー12の位置を求める。正規化部193は、これらの差分より、ピボットポイントP1からコヒーレンスゲート66までの光学的な距離を求める。さらに、当該値を硝子体64の屈折率で除することにより、正規化部193は、実際のピボットポイントP1からコヒーレンスゲート66までの距離を取得する。
被検眼内の測定光の走査角(眼底Erへの入射角)θi’は、球体としてモデル化された屈折要素から構成される人眼を仮定し、これら屈折要素(特に硝子体64)の屈折率を用いて該モデル化された人眼より求められる。この入射角θi’は、予めモデル化された人眼等により取得された他のデータとともに、記憶部195に記憶されている。以上より求めたピボットポイントP1からコヒーレンスゲート66までの実距離及び入射角θi’をパラメータとし、正規化部193はピボットポイントP1を原点とする極座標を用いて湾曲補正画像を生成する。得られた湾曲補正画像を図6(b)に例示する。同図に示すように、湾曲補正後の断層画像は極座標上に表示されて扇形の形状を有している。なお、従来の断層画像を極座標上の画像とする画像補正の方法はここで述べたものに限られず、その他の既知の方法を用いることも可能である。
<断層画像同士の比較>
近年では、OCT装置を用いることで被検眼の網膜層内部の状態を観察し、疾病の進行具合や手術後の経過観察を行うことが可能となってきている。被検眼の経過観察を行う際には、例えば新たに取得した断層画像と過去に取得した同一部位の断層画像との比較が行われる。この画像比較は、一般的に、新たに取得した断層画像と過去に取得した断層画像とを同時に表示することで行われる。このような手法によれば、比較する2つの断層画像から対応箇所を把握することが容易であり、経過観察に非常に有用である。
ここで、実際の眼球形状は、被検眼ごとに異なる。OCT装置で撮影された断層画像において、実際の被検眼の形状や大きさに合致するように網膜を計測できれば、緑内障や病的近視などの疾病の進行度や治療後の回復具合を定量的に診断することができる。ここで、眼底の形状や疾患を観察するとき、異なる被検眼についての断層画像同士を比較したい場合について説明する。そのような例を図7に示す。図7(a)はIDナンバーxxxxxAのモデル化された被検眼とその断層画像の例を示し、図7(b)はIDナンバーxxxxxBのモデル化された被検眼とその断層画像の例を示す。図7(a)に例示する眼球は図7(b)に例示する眼球よりも大きく、例えば両眼球の断層画像の撮影時のスキャンミラーの走査角度範囲が同一であっても、測定光の網膜上での走査範囲が異なることから撮影範囲の異なった断層画像となる。しかし、これら断層画像は同一の表示画面上で同じ大きさとして表示される。また、得られた断層画像を並べて表示したとしても、眼底の湾曲の度合い等の相違が、眼球の大きさに起因するのか眼球の病変に起因するのか等、判別することができない。このことは、上述した湾曲補正が施された断層画像の場合であっても同様である。
<正規化>
本実施例では、上述したような異なる被検眼の断層画像の比較を容易に行えるように、被検眼Eより取得した断層データに対して実形状補正を施し、正規化した断層データを生成する。正規化した断層データは、上述した従来の断層画像を極座標上の画像とする湾曲補正処理に併せ、表示画像におけるアスペクト比を補正する処理を断層データに施すことにより得られる。即ち、本明細書において、正規化とはOCT装置等により取得された一般的な断層データに湾曲補正とアスペクト補正とを施し、被検眼の実形状を実寸にて表示可能なデータに変換する処理として定義する。このような正規化した断層データを得ることにより、各々の被検眼の断層構造、さらには3次元構造を実寸法によって比較することが可能となる。即ち、正規化した断層データを用いて特定の評価基準に基づいて生成した断層画像同士を表示等することにより、異なる被検眼の断層画像同士の比較が容易に行える。
ここで、アスペクト補正について説明する。図6(a)に示す断層画像中には、参照のために点線からなる格子状のグリッドが重ねて表示されている。通常、測定光の走査範囲に対して知りたい情報を示す網膜深さ方向の範囲は小さいため、グリッドの縦横比1:1のアスペクト比で断層画像を表示した場合、診断用として適当な画像の表示とならない。即ち、表示される断層画像は、縦軸(網膜の深さ方向)において拡大されていることが好ましい。従って、同図に例示されるように、画像表示範囲において網膜層65が測定光の走査方向に拡大されるように、通常はアスペクト比の調整がなされている。このため、元の断層画像を構成する断層データをそのまま極座標上に配置した場合、図6(b)に示すように調整後のアスペクト比に対応した補正後の断層画像が表示されることとなる。このような画像は、アスペクト比が調整されていることから縦横の比率が歪んでおり、網膜の実際の形状を反映していない。このため、上述したように、断層データの正規化(実形状データの取得)に際して、正規化部193は断層データに対してこのアスペクト比を1:1にする処理を施すこととなる。
以上に述べたように正規化された断層データを生成することにより、眼底の断層画像を実寸法で表示することが可能となる。その結果、異なる被検眼を撮影して得た断層画像、異なるOCT装置により撮影して得た断層画像、或いは病変等により大きく変形した前後の眼の断層画像等について、実寸法を参照して比較することが可能となる。なお、極座標系への再配置及びアスペクト比の補正の方法はここで述べたものに限られず、その他の既知の方法を用いることも可能である。
ここで、断層画像における横軸のデータ数は、1Bスキャン中に行われるAスキャンの数に対応し、縦軸のデータ数は例えばラインセンサ(撮影部18)に配置される受光素子の数に対応する。また、通常の断層画像の表示に際しては、このデータ数と表示画面上の画素数に応じてアスペクト比が割り振られる。従って、例えば図7(a)の画像生成に用いた断層データと図7(b)の画像生成に用いた断層データとが同一のOCT装置により同一の条件にて取得された場合、縦方向のデータの数は同じとなる。しかし、横方向のデータについて、その総数は同じであるが、走査線の長さの相違から、単位長さあたりのデータ数は図7(b)の被検眼に比べて図7(a)の被検眼は少なくなる。即ち、正規化された断層データを画像化した場合、縦方向では略同じ解像度の画像が得られるが横方向では解像度が異なると考えられる。
さらに、OCT装置が異なる、或いは断層データの取得条件が異なる等の場合、比較する断層データ同士で、縦横各々のデータの数がそもそも異なることも考えられる。このように縦横各々のデータの数が異なると、正規化によって例えば縦方向或いは横方向のデータ数が不足する場合や過剰となる場合も生じ得る。データ数が不足する場合には、正規化部193が、例えば等間隔でデータを配置し、且つデータが抜けた部分については隣接するデータの平均値等により補間するとよい。また、データが過剰な場合には、正規化部193が重なり合うデータの平均値等を求め、重なり合う部分についてはこの平均値等によりデータを置き換えるとよい。以上の処理の実行により、異なる条件等により取得されたデータ数の異なる断層データにおいても、正規化した断層データを生成することができる。なお、データの補間や置き換えの方法はここで述べた例に限られず、既知の他の補間方法や置き換え方法を用いることもできる。
<正規化された断層データから生成した画像の表示>
上述した正規化された断層データは、特定の断層画像と比較対象となる断層画像とを比較する際に用いる画像を生成する際に用いられる。以下、比較時に用いる画像の生成、或いは比較時に用いる画像の表示例について述べる。なお、以下の説明において、診断対象の被検眼の断層データに対して比較対象の断層画像の断層データを比較対象データと称する。また、断層画像同士を比較できる状態とした各々の画像を比較用画像と称し、断層画像等からなるこれら比較用画像と、これら比較用画像をどのように表示するかの表示様式に関する情報とを含むデータを比較用表示データと称する。
(表示例1)
図8に比較用の画像を並べて表示する表示例1を示す。同図において、IDナンバーxxxxxAとして取得された断層画像と、IDナンバーxxxxxBとして取得された断層画像とが同時に表示されている。これら画像は、共に正規化された断層データを用いて比較用画像として生成されたものであり、実際の眼球サイズに比例した画像サイズになる。このため、疾患や眼底の相対的な大きさや形状の評価が、単純な画像比較によって可能となる。図8では、眼底上の黄斑部周辺の比較が容易となるように、比較対象部位である黄班部の位置を上下で揃えて表示している。即ち、本表示例において、比較用表示データは、実寸法に応じて生成された断層画像のデータと併せて、これら断層画像を特定の位置を上下に整列させて表示する表示様式を用いるという情報を含む。しかし、表示様式はこの例に限られず、網膜層の下端が揃うよう横方向に並べて表示してもよい。このように比較対象部位を縦或いは横方向に並べて表示することにより、これら比較対象部位での相違がより容易に把握できる。
次に、図9を参照して、表示例1の変形例について説明する。実際にOCT装置等で用いられる表示部20の表示画面上において、断層画像の表示画面の大きさは一般的には決まっている。即ち、図8に例示したような、異なる大きさの断層画像を大きさの違う表示画面を用いて表示することは実際的とはいえない。図9では、IDナンバーxxxxxAの断層画像に対して、表示範囲をIDナンバーxxxxxBの表示サイズと同じ表示サイズとなるように、断層画像の両サイドを削除してこれを表示している。また、その際に、黄班、あるいは範囲指定により示す比較対象部位が上下で並ぶように削除される側の断層画像の配置を調整し、その配置にて画像の削除範囲を決定している。即ち、本実施例では、一方の比較用画像は実寸法を表し且つ通常の表示画面を用いた断層画像であり、他方の比較用画像は実寸法を表し且つ通常の表示画面を用いるためにトリミングされた断層画像となる。また、比較用表示データは、上述した2つの断層画像のデータを併せて、実寸法を示す断層画像について、そのままの画像とトリミングした画像とを特定の部位を上下に整列させて表示する表示様式を用いるという情報を含む。本実施例に示した処理を表示制御部196に実行させることにより、表示画面に対して例えば図8に示すような表示が可能となるような特別な変更を行わなくとも、異なる断層画像の同時表示による比較を容易に行える。ここで、病変部のような要観察の比較対象部位に対して、例えば後述するセグメンテーション処理を適用して該病変部の発生範囲を特定することもできる。また、図9に例示するように、特定された病変部を範囲として把握できるように寸法線等によって、該病変部を感覚的に把握できるようにしてもよい。このような寸法線を各々の断層画像に重畳することにより、検者は病変部の相違をより容易に認識することができる。
(表示例2)
図10に他の態様の比較用画像を並べて表示する表示例2を示す。同図において、IDナンバーxxxxxAとして取得された断層画像と、IDナンバーxxxxxBとして取得された断層画像とが横に並べて表示されている。また、各々の断層画像中には、正規化した断層データに基づいて生成された単位長さを示すスケールバーが合わせて表示されている。このようなスケールバーを断層画像に重畳して表示することによって、統一した基準情報を断層画像に付加することができる。例えば、眼球形状に合わせて1mm相当の単位長さスケールバーを表示することで、各断層画像における各層の厚さや眼球の曲率といった情報を感覚的に把握して両画像の比較を行うことができる。本表示例では、比較用表示データは、湾曲補正のみを施した断層データを用いて生成された断層画像を並べて表示し、且つ各々の断層画像に対してスケールバーを重畳表示する表示様式を用いるという情報を含む。なお、当該スケールバーは、図8に示す表示例においても、網膜層等の実際の厚さを把握できるように断層画像中に重畳表示している。しかし、スケールバーの表示形態はここで示した例に限られず、横軸或いは縦軸の目盛りとして表示してもよい。このようなスケールバーの重畳表示は、被検眼の疾患や各網膜層の層厚等の比較を容易とする。
(正規化された断層データに基づく比較用の画像の表示処理)
ここでは、検者が2つの断層画像の比較を容易とする画像様式として図8及び図10に示した表示様式を用いることとし、何れの表示様式を用いるかを決定して表示する処理について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以降の説明では、被検眼の断層画像を撮影し、この撮影された断層画像と該断層画像の比較対象となる断層画像との比較を容易とする比較用の2つの画像を表示する場合について述べる。しかし、最初に取得される断層画像はその場で撮影されたものに限られず、予め撮影されて記憶部195等に記憶されている断層データ等に基づくものであってもよい。
本実施例において表示処理が開始されると、まず被検眼Eとサンプルアーム1001とが正しくアライメントされた状態で、制御部19による眼底Erの断層画像の撮影処理が開始される。撮影される被検眼Eの断層画像は、IDナンバーxxxxxBの断層画像とする。ステップS101では、取得部191による干渉信号の取得と、画像生成部192による従来の断層画像の生成に用いられるIDナンバーxxxxxBの断層データの取得とが行われる。次に、ステップS102で、取得された断層データに対して、正規化部193により湾曲補正及びアスペクト補正を含む上述した実形状補正を施す。実形状補正により、正規化された断層データが得られる。取得部191は、この正規化された断層データを取得する。画像生成部192はこの正規化された断層データにより、図8においてIDナンバーxxxxxBとして示される断層画像を生成する。
上述した何れの表示例でも、スケールバーを断層画像に重畳表示している。このため、正規化された断層データの生成後、ステップS103において、この断層データを用いて算出部197により画素単位のスケールバーが算出される。より詳細には、ピボットポイントP1を原点とする極座標と網膜層の半径と、所定のアスペクト比と、表示部20における表示画面の画素数とに基づいて、スケールバーが算出される。スケールバー算出後、制御部19によりフローはステップS104に進められる。ステップS104では、正規化された断層データから生成された実形状補正後のIDナンバーxxxxxBの断層画像が、表示制御部196により表示部20上で表示される。なお、その際、断層画像に重畳表示するスケールバーは、表示画像中で縦方向に表示してもよいし、横方向に表示してもよい。或いは、任意の向きにスケールバーを表示してもよい。
次に、ステップS105において、記憶部195に記憶された断層データより、取得部191が比較対象とする断層画像を生成するための断層データを取得する。当該断層データ(以下、比較対象データと称する。)は、例えば、同一被検眼のフォローアップや眼軸長が異なる被検眼や眼軸長が延伸した過去の同一被検眼の断層データがある。或いは、撮影機器が異なる同一被検眼等の断層データも含まれる。即ち、比較対象とする断層画像は、他の被検眼の断層画像でもよいし、同一被検眼の断層画像であってもよい。また、過去の診断記録から検者が任意に抽出、選択した断層画像であってもよいし、データベースから類似する断層画像を選択したものであってもよい。なお、本実施例で取得される比較対象データは、本実施例では既に正規化された断層データ及びスケールバーと併せて記憶されている。しかし、正規化されていない断層データであっても、選択される際に撮影条件として併せて記憶されているデータを参照し、上述したステップS101〜S103で述べた処理を行うことで正規化した断層データ等を生成してこれを用いればよい。
なお、本実施例において、比較対象データは検者が記憶された断層データから任意に選択することとしている。その際、多数の断層画像を表示部20に表示させて、これらから検者が対応する断層データを選択してもよい。或いは、例えば患者IDや病変ID等、断層データに紐付けされた情報に基づいて予めある程度選別された画像群が表示され、これらから対応する断層データを選択してもよい。また、これら紐付け情報に基づいて、制御部19が特定の断層画像を選択することとしてもよい。例えば、断層画像を取得した被検眼の疾病を参照し、同様の疾病を有する被検眼に関するデータベースより、紐付け情報を参照して取得部191が比較対象データを選択してもよい。
取得部191は検者の指示等に応じて、この目的に適合する比較対象データを取得する。ここでは、予め保存されている比較対象データとしてIDナンバーxxxxxAの正規化された断層データが取得部191により取得されることとする。具体的な比較対象データ取得の処理として、本実施例では、検者はポインティングデバイス25を用いて、比較対象となる断層画像を指示する。検者は比較対象データとして、断層画像の比較から黄班近傍の層厚さ等の層の状態を知るという目的に合致するものとして、IDナンバーxxxxxAの断層データを選択する。
検者の選択に応じた比較対象データが取得された後、制御部19はフローをステップS106に進める。比較対象データには、後述するように表示様式に関する情報等が紐付けされている。ステップS106において、表示様式選択部198は、比較対象データの選択に対応した比較項目を選択する指示がされたとして、この紐付けされた情報に基づいて記憶部195に記憶されている表示様式を選択する。その際、この表示様式の選択に際し、本実施例では、上述した図8に示した表示様式をAモードとし、図10に示した表示様式をBモードと称する。Aモードは、眼球径の異なる被検眼の黄班近傍の各層の厚さの比較に適したモードの例とする。なお、表示様式の選択は、上述したように制御部19により実行されてもよい。
比較項目には、例えば被検眼において比較をする特定の部位に関する項目、網膜の曲率半径に関する項目、網膜各層の層厚さに関する項目、疾病に関する項目等が含まれる。特定の部位に関する項目は、さらに、例えば、黄班や中心窩等の特定の部位や、RPEや脈絡膜等の特定の層、或いは病変部の細目に分類される。これら特定の部位等は、見比べが容易なように所定の方向に整列させて、或いは例えば表示色を変えて重ね合わせられ表示されるとよい。曲率半径に関する項目の場合、例えば湾曲補正の際に求めたピボットポイントP1からコヒーレンスゲートまでの距離を眼球の半径とし、それに対する網膜或いは網膜中の指定された層の変形の程度を知ることが目的となる。この場合、眼球径の半径を示す情報(例えば図5のコヒーレンスゲート66)を点線、矢印等で付記し、この情報との差異を見比べられる表示様式とするとよい。また、層厚さに関する項目の場合、対応する層が特定の方向に整列するように表示させるとよい。或いは、後述するように各層、特に比較対象とする層をモデル化し、これらモデル化された層について、表示色を変える等して重ね合わせて表示させてもよい。以上に述べた表示様式に関する情報は、比較対象データに紐付けされて記憶部195に記憶されている。
上述したステップS106の表示様式の選択においてAモードが選択されると、制御部19はフローをステップS107aに進める。Aモードでは、表示サイズが実寸法とされた断層画像が、比較対象部位である黄班近傍が見比べやすい配置に整列された状態で表示される。ここで、IDナンバーxxxxxBの断層データに関しては、既に実寸法に対応した断層画像が生成されている。Aモードでは比較対象画像も実寸法表示することから、画像生成部192は、比較対象データから実寸法に対応したIDナンバーxxxxxAの断層画像を生成する。IDナンバーxxxxxB及びIDナンバーxxxxxAの実寸法に対応した断層画像は比較用表示データとして記憶部195に記憶される。
また、黄班近傍の層厚さを見比べやすくするためには、2つの断層画像における黄班が縦或いは横に整列するように両断層画像の表示位置が調整されることが好ましい。IDナンバーxxxxxAの断層データを比較対象データとして選択することで、この表示位置(表示様式)に関する紐付けされた情報も比較用表示データの一部として取得される。この比較用表示データは、記憶部195により記憶される。本実施例では、この比較用表示データに基づく画像は、直ちに表示部20に表示される。このため、算出部197は、両断層画像を表示する際にこれら断層画像における黄班が縦方向に整列するように、画像表示時における表示部20における表示位置等の配置を算出する。表示制御部196は、記憶された比較用表示データと算出された表示部20上で表示位置に関する情報に基づいて、図8に例示される所定の様式に則った2つの断層画像を表示部20に表示させる。
Bモードが選択されると、制御部19はフローをステップS107bに進める。ここで、Bモードは、眼球径の異なる被検眼について、網膜層全体の湾曲の状態を比較することに適したモードの例とする。この場合、IDナンバーxxxxxAの断層データに対してBモードの表示様式に関する情報が紐付けされている。Bモードでは、被検眼Eの実形状補正された断層画像と、比較対象データから生成される断層画像とが同じ表示サイズで並べて表示されるとよい。このように表示することで両被検眼における網膜の湾曲状態が容易に見比べられる。ステップS107bにおいて、取得部191により比較対象テータとしてIDナンバーxxxxxAの断層データが取得されると、この表示様式に関する情報も併せて取得される。算出部197は、該表示様式に対応するように、図10に例示される所定の様式に則って2つの断層画像が表示されるように、表示部20での表示配置を算出する。また、表示制御部196は、その際に表示部20に対して、2つの断層画像各々に対してスケールバーを重畳表示させる。なお、IDナンバーxxxxxAの断層データは、このスケールバーに関する情報も併せて記憶部195に記憶されている。
以上の処理を経て表示部20には2つの断層画像が表示されている。しかし、比較したいと考える部位等について、現状の表示様式よりも他の表示様式とした方が適切となる場合も考えられる。或いは、特定の被検眼について、診断すべき内容が複数あって各々の診断に合わせて表示様式を変更する必要がある場合も考えられる。このような場合、ステップS108において表示様式の変更の要否が確認される。検者は、ポインティングデバイス25を用いて、表示様式を変更して更なる表示を行うか否かの指示を入力する。表示変更の指示を制御部19が受付けた場合、制御部19はフローをステップS106に戻し、該ステップS106にて再度表示様式の選択を行う。この場合、比較用画像の選択は行われていないため、検者はポインティングデバイス25等により表示様式の選択のみを実行する。以降、現在表示されている両断層画像の正規化された断層データを用いて、ステップS107a或いはステップS107bの処理が実行される。
ステップS108にて表示様式の変更を行わないとの指示が入力された場合、制御部19はフローをステップS109に進める。なお、本実施例では検者により表示様式の変更の要否を入力することとした。しかし、例えば特定の表示様式への変更が予めデフォルトで設定されており、これら表示様式に則った表示画像が順次表示されるように制御部19が表示様式変更の処理を繰り返して実行することとしてもよい。
ここで、例えば病変の態様を調べた後に、類似する病変を有する他の被検眼の断層画像を参照して病変の進行具合等を確認したい場合も考えられる。このような場合、次に、ステップS109において、比較対象画像を変更する指示を入力する。具体的には、検者はさらに他の断層画像を比較対象として表示させるか否かの指示を、ポインティングデバイス25を用いて制御部19に入力する。断層画像変更の指示を制御部19が受付けた場合、制御部19はフローをステップS105に戻し、該ステップS105にて再度比較対象画像の取得処理を実行する。以降ステップS106からステップS108の処理が繰り返される。
ステップS109にて比較対象画像を変更しないとの指示が入力された場合、制御部19はフローをさらに進めて表示処理を終了させる。なお、本実施例では検者により比較対象画像の変更の要否を入力することとした。しかし、例えば特定の撮影条件或いは患者等の断層画像が順次取得され、これら断層画像が連続的に表示されるように制御部19が表示処理を実行することとしてもよい。
(表示例3)
以上に述べた表示例では、スケールバーが重畳表示された断層画像、或いは正規化された断層データに基づいて生成された断層画像を表示している。ここで、本明細書において述べる断層画像とは、例えば網膜の各層の像だけでなく、データ取得領域である表示画面に表示されている領域の画像全てを含む。しかし、ここで述べてきているような被検眼同士の断層画像の比較では、実際には例えば網膜におけるRPE(網膜色素上皮)等の特定の層同士の比較ができればよい場合が多い。ここでは、そのような特定の層に関する情報を実線によりモデル化し、これを表示する態様について説明する。
断層画像の取得時において、例えばBスキャンデータにおいて類似する輝度値のピークが走査方向に並ぶ場合、この連続した輝度値のピークは網膜における特定の層に対応している。網膜中には複数の層が存在するが、解剖学的に公知の層と類似する並びようで連続するピーク値を探索して、断層画像に表示される各層をこれら公知の層と対応付けて特定する処理をセグメンテーション処理と称する。断層データにはこのセグメンテーション処理により特定された各層のデータも含まれており、正規化された断層データが生成される際にはこの各層に関するデータについても正規化される。
図12は、正規化され、且つ実線によってモデル化されたIDナンバーxxxxxAのRPEの情報とIDナンバーxxxxxBのRPEの情報とを重ね合わせて表示している例を示している。同図においては、正規化された断層データを利用して、実形状補正された一方の眼球径に対して他方の眼球径を一致させるように他方の断層データを変換し、変換された断層データより得たRPEの情報を一方のRPEの情報に重畳している。このような表示様式を用いることにより、例えばRPE等の特定の層に関する病変の状態や変化を、より目視容易な状態で比較することが可能となる。なお、ここでは断層データからセグメンテーション処理により層を特定し、該特定された層をモデル化して表示した例について述べた。しかし、他の被検眼や当該被検眼の以前の断層に関するデータとして、例え記憶部195には上述した断層データが記憶されておらず、特定された層厚のデータ等のみしか記憶されていないことも有り得る。このような場合、この層厚のデータ等から上述した断層データを生成し、生成されたデータより正規化された断層データを求め、さらにこれらデータに対して眼球径をそろえる処理を行ってもよい。或いは層厚のデータを直接正規化し、モデル化した網膜各層の画像を生成してもよい。
(表示例4)
例えば病的近視等、眼球の変形の程度を確認することで被検眼の状態を知りたい場合がある。このような場合、被検眼の眼球径(眼球或いは網膜の曲率半径)により定まる円弧と湾曲した網膜とを比較することで、網膜の湾曲の程度、即ち眼球の変形の程度を確認することができる。本表示例では実形状補正後の断層画像に対して、正規化された断層データに基づいて生成された眼球径から求めた円弧を重畳表示している。図13(a)〜13(c)は本表示例を示すものであって、各断層画像において眼球径から求めた円弧を点線にて表示する例を示している。なお、Aスキャンデータにおける例えばピーク値を示す輝度の変化が急峻か否かに応じて実線の太さを変える等、特定された層に関する情報が認識できるよう断層データをモデル化してもよい。図に示す断層画像にはこのような処理が施されており、これにより各層の目視による比較がより容易となる。
ここで、図13(a)は例えばIDナンバーxxxxxAについての断層画像の表示例であり、図13(b)はIDナンバーxxxxxBについての断層画像の表示例である。例えば、これら異なるIDナンバーの被検眼について眼底の湾曲状態を比較しようとした場合、単純にこれら画像を並べて表示しても、例えば何れの被検眼の湾曲のほうが大きいかは容易に判別できない。そこで、正規化された断層データを利用して、IDナンバーxxxxxAの眼球径をIDナンバーxxxxxBの眼球径に合わせるように極座標での拡大或いは縮小の変換を行う。また、この変換に合わせて断層データの配置も拡大或いは縮小後の極座標上に配置する変換を行ない、さらに変換後の断層データにより生成した断層画像を表示する。即ち、網膜層の曲率半径について、一方の断層データを他方の断層データに合わせる変換を行う。変換後の眼球径及びこれが重畳表示された生成された断層画像を図13(c)に示す。図13(b)に示す断層画像と図13(c)に示す断層画像とを並べて表示することにより、これら被検眼の湾曲の度合い等が目視によって容易に比較することができる。なお、この場合、例えば表示されている眼球の半径も数値として円弧に併せて重畳表示してもよい。また、断層画像を表示する際の表示パラメータとして、ここでは曲率半径に着目してこれを一致させる場合について例示している。しかし、一致させる表示パラメータはこれに限定されず、特定の層についての曲率半径、病変部の大きさ、特定の層の厚さ等これらを変更可能な、倍率、アスペクト比、極座標の表示径等、比較項目に応じて、適宜選択し、変更することができる。
(表示例5)
眼軸長が延伸した被検眼の眼底では、脈絡膜層等の菲薄化が観察される場合がある。しかし、単一の断層画像から菲薄化の程度を知ることは困難であり、診断を容易とするためには比較対象データから得た断層画像と並べて表示することが望ましい。その際、このような断層画像として、例えば健康な他眼との比較が行えれば、菲薄化の発生の有無からその程度の把握まで可能となる。図14は、このように脈絡膜層の菲薄化の程度の把握を目的として、検査対象の断層画像と比較対象の断層画像とを並べて表示している場合を示している。
本実施例では、IDナンバーxxxxxAの眼球径をIDナンバーxxxxxBの眼球径に合わせる変換を行い、併せて断層データも変換し、さらに変換後の断層データにより生成した断層画像を表示する。また、同時に、例えば上述したポインティングデバイス25等により、菲薄化の程度を知りたい層の指定を行う。表示制御部196は層の指定に応じて、得られている正規化された断層データに基づいて層厚を求め、且つ2つの断層画像において指定された層及び部位に対して例えば線分等の計測位置を示すマーカと寸法線とを重畳表示させる。また、本実施例ではこれら断層画像を横方向に並べて配置し、寸法線によりマーカの上下端を比較できるように破線等により厚さを把握できる補助マーカも表示させる。以上の表示態様とすることにより、任意の層における菲薄化の程度を把握することが容易となる。
(その他の表示例)
以上に述べた表示例では、図12に示した表示例の場合を除き、特定の断層画像と比較対象画像とを並べて表示することとしている。しかし、上述した他の表示例のように2つの断層画像を並べて表示した表示様式を、図12でも述べたようにモデル化して表示する様式としてもよく、或いはモデル化された画像を互いに重畳表示してもよい。この場合、断層データにおいてセグメンテーション処理等によって任意の層を特定し、これら層の形状の相違を比較容易とするために、任意の層を線等によってモデル化するとよい。また、さらに、一方の断層データから得た線に対して他方の断層データから得た線を例えば表示色を変える等して重畳表示してもよい。また、網膜に関しては例えばアスペクト補正をあえて行わない、或いは縦横比をさらに大きくする等した方がより相違点の認識が容易な場合も考えられる。この場合、正規化された断層データに基づいて縦横の寸法を一致させた後、意図したアスペクト比の画像となるようにアスペクト補正を行うとよい。
ここで、黄班等の検査において、例えばその窪みの程度の比較が求められる場合がある。通常、断層画像において網膜表面に対する窪みのない曲線のフィッティングを行い、当該曲線と実際の網膜表面を現す線とに囲まれた領域の面積からこの窪みの程度を求めている。また、立体として、網膜表面に対して窪みのない曲面をフィッティングし、これと網膜表面とに囲まれる空間の体積からこれを求める場合もある。例えば、断層データを正規化した後にこれら処理を行うことにより、実寸、実面積として黄班の窪みの程度等を表示し、目視による感覚的な比較だけでなく、数値として比較することが可能となる。表示する断層画像にこのような情報を付加することにより、検者はより多くの情報を参照しながら被検眼の状態比較を行うことができる。
また、上述した表示例では、正規化した断層データを生成する際に例えばセグメンテーションの結果等にもこれを反映させ、各層についても正規化されたデータを生成することとしている。そして、表示に際して、これら正規化されている各データから所望の表示様式を用いて表示する画像の生成を行っている。しかし、例えば正規化していない断層データに基づいて、比較対象画像を生成しようとする場合も考えられる。この場合、例えば表示したい画像が特定の層をモデル化した画像である場合、セグメンテーション等の結果得られたモデル(線像)に対して正規化処理を施して表示画像を得ることとしてもよい。断層データを全て正規化する場合と比較して、このような手順とすることにより画像表示に要する時間が短縮される。
上述したように、被検眼の経過観察を行う際には、例えば新たに取得した断層画像と過去に取得した同一部位の断層画像との比較が一般的には行われる。この画像比較は、新たに取得した断層画像と過去に取得され且つ記憶されている断層画像とを同時に表示することで行われる。このような手法によれば、比較する2つの断層画像から対応箇所を把握することが容易であり、経過観察に非常に有用である。本発明によれば、変化の程度が大きく例えば眼球径等に変化がある、或いは眼底の一部が大きく変形等した場合であっても、これらを実寸に基づいて比較することができる。また、OCT装置で撮影された断層画像において、異なる被検眼の実際の形状に合わせて網膜各層を画像化できることとなり、緑内障や病的近視などの疾病の進行度や治療後の回復具合を定量的に診断することができる。即ち、疾患形状や寸法などの網膜形状を定量的に観察することが可能となる。
以上の実施例において例示したように、本発明に係る画像処理装置は、取得部191(断層データ取得手段及び比較データ取得手段)及び画像生成部192(生成手段)を備える。取得部191は、断層データ取得手段として、被検眼Eの眼底Erに例示される被検査物の正規化された断層データを取得する。この場合、正規化された断層データは、OCT装置100により取得されたものを正規化してもよいし、予め記憶部195等に記憶された正規化された断層データを取得してもよい。また、予め記憶部195等に記憶された断層データを取得し、これを正規化して取得してもよい。取得部191は、さらに比較データ取得手段として、取得された断層データと比較するための正規化された比較対象データを記憶部195等から取得する。なお、この場合、取得部191が比較対象データとして正規化されていない断層データを取得し、これを正規化部193で正規化させた後のデータを取得することとしてもよい。
画像生成部192は、生成手段として、取得部191により取得された正規化された断層データ及び比較対象データを用いて、各々より比較用表示データを生成する。その際に、比較対象データは、上述したように、例えば被検眼Eにおける黄班等の特定の部位、被検眼Eの網膜の曲率半径、RPE等の特定の層の層厚さ等に関連して規定される比較項目に応じて選択される。取得した断層データ及び比較対象データより生成する画像は、この比較項目に応じて比較に適した表示様式にて表示されることが望ましい。そこで、画像生成部192は、比較項目に応じて、予め記憶部195に記憶されている比較に適した表示様式で両データより生成する画像が表示部20に表示されるように、この表示様式に関する情報を上述した比較用表示データに付与する。なお、上述した実施例では、生成され且つ表示される画像は2つであったが、それ以上の画像が対象となってもよい。また、比較用表示データは常に表示部20に表示されることを要さず、比較用表示データとして撮影された被検眼の断層データに紐付けして保存してもよい。また、上述した実施例では、比較する画像を表示する態様について述べているが、差異を比較することが可能な画像のための比較用表示データを生成する構成も本発明の一態様となる。
画像生成部192は、例えば表示例3で述べたように、断層画像と比較用の断層画像の生成に際して、断層画像をそのまま表示するのではなく、断層データを用いて生成した、線分等によってモデル化した画像を表示してもよい。この場合、断層データは断層画像に含まれる層の境界を示す情報を含み、モデル化した画像は、上述したように被検眼Eにおいてモデル化した層境界を太線等により強調することで得られる。また、少なくとも2つの画像を比較用として生成する場合に、画像生成部は、例えば表示例4で述べたように、一方の被検眼の網膜等の曲率半径に対して他方の被検眼の網膜等の断層画像の曲率半径を合わせるとよい。このように、比較用画像の表示様式は、表示時に比較される側の断層画像の任意の層の曲率半径に対して、当該比較用画像の任意の層の曲率半径を合わせるように変更するとよい。なお、一方の断層画像における網膜の曲率半径の補正は、補正する表示パラメータの一例である。例えば特定の層の厚さを一致させる場合には、一方の画像の厚さ方向の表示倍率を変更するとよい。これにより例えば他の層の菲薄化等が目視により把握できる。即ち、比較用表示データにおける表示様式として、一方の画像における表示パラメータの少なくとも1つを、他方の画像における対応する表示パラメータと合わせて得た画像を表示してもよい。
また、画像生成部192は、被検眼Eにおける任意の層にフィッティングされた曲率半径を示す表示形態を重ねた画像を生成してもよい。この場合、このように断層画像の表示様式を変更する情報を、変更予定の比較用表示データに付与し、表示時にこのデータを参照して表示画像を生成すればよい。このようなフィッティング曲線を断層画像に重畳表示することにより、例えば黄班の窪みの大きさ等を目視により感覚的に得ることができる。また、画像生成部192は、表示例3に示したように、比較用表示データより各々生成される断層画像(この例ではモデル化された断層画像)を重ねた画像を生成してもよい。この場合、比較対象となる断層画像が元の断層画像に重畳されるように、その表示位置を変更する情報を比較用表示データに付与するとよい。さらに画像生成部192は、断層データを用いて生成した画像の表示画面におけるアスペクト比を変更した画像を生成してもよい。例えば網膜の厚さ方向を径方向に対して拡大した画像とすることにより、網膜における各層間の相違を詳細に観察することができる。この場合、表示様式においてアスペクト比を変更する情報が、比較用表示データに付与されていればよい。
表示制御部196(表示制御手段)は、上述した表示様式等に関して比較用表示データに付与された情報を用いて、比較用表示データを用いて生成された断層画像及び比較用断層画像等を表示手段である表示部20に表示させる。表示制御部196は、この比較用表示データに付与された情報に応じて、例えば図8或いは9に例示したように、被検眼Eにおける黄班等、特定の部位が任意の方向で整列するように、これら画像を表示部20に表示させる。この場合、表示制御部196は、さらに図10等に例示した、断層データを用いて生成された、断層画像における実寸法を表すスケールバーを表示部20に表示させてもよい。この場合、このスケールバーは、比較用表示データを用いて生成された断層画像に重畳して表示されるとよい。
なお、上述した実施例において、画像生成部192はさらに、複数の表示形態から比較項目に応じた表示様式を選択する選択手段としての表示様式選択部198をさらに備える。より詳細には、本実施例では、表示様式選択部198は、比較対象となる断層データ(比較対象データ)を選択する際に、合わせて考慮される比較項目に対応して、予め記憶部195に記憶されている表示様式を選択する。また、例えば断層画像及び比較対象となる断層画像を実寸法で表示する表示様式の場合、一方の断層画像が表示部20における表示画面からはみ出す部分が生じることも起こり得る。このように、正規化された断層データを用いて生成した断層画像が表示部20における画像の表示画面をはみ出した領域を含む場合、画像生成部192はこのはみ出した領域を削除して表示用の画像を生成するとよい。
また、上述したように、正規化された断層データは、OCT装置100により取得した断層データ、或いは記憶部195から取得した断層データから生成して、これを取得することとしてもよい。この場合、測定光を用いて被検眼Eを光干渉断層撮影することで得られた断層データを極座標に配置するとともに、得られた断層データのデータ配置のアスペクト比を補正することで、正規化された断層データが得られる。また、上述した正規化された比較対象データも同様の手順により生成できる。この正規化された断層データの生成は、本実施例において正規化手段を構成する上述した正規化部193により行われる。
なお、上述した実施例では、OCT装置100として、SLDを光源として用いたスペクトラルドメインOCT(SD−OCT)装置について述べたが、本発明によるOCT装置の構成はこれに限られない。例えば、出射光の波長を掃引することができる波長掃引光源を用いた波長掃引型OCT(SS−OCT)装置等の他の任意の種類のOCT装置にも本発明を適用することができる。
また、本実施例では、分割手段としてカプラを使用したファイバー光学系を用いているが、コリメータとビームスプリッタを使用した空間光学系を用いてもよい。また、撮影装置1000の構成は、上述した構成に限られず、撮影装置1000に含まれる構成の一部を撮影装置1000と別体の構成としてもよい。
また、本実施例では、OCT装置の干渉光学系としてマイケルソン干渉計の構成を用いているが、干渉光学系の構成はこれに限られない。例えば、OCT装置の干渉光学系はマッハツェンダー干渉計の構成を有していてもよい。
さらに、上述した実施例では、被検査物として被検眼の眼底(網膜)を用いた場合を例示しているが、被検査物はこれに限定されない。検査の対象は、内部に屈折要素を包含する対象物の内に存在する被検査物であれば任意のものであってよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
19:制御部、 20、表示部、 191:取得部、 192:画像生成部、 193:正規化部、 196:表示制御部、 197:算出部、 198:表示様式選択部、 100:OCT装置、 1000:撮像装置

Claims (18)

  1. 被検査物の正規化された断層データを取得する断層データ取得手段と、
    前記断層データと比較する比較対象データを取得する比較データ取得手段と、
    前記断層データ及び前記比較対象データより比較用表示データを生成する生成手段と、を備え、
    前記生成手段は、前記断層データと前記比較対象データとを比較する際の比較項目に応じて、前記断層データ及び前記比較対象データの少なくとも一方より前記生成手段が生成する断層画像の表示様式を変更する情報を、前記比較用表示データに付与することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記比較項目は、前記被検査物の特定の部位に関する項目、前記被検査物の曲率半径に関する項目、前記被検査物の層厚さに関する項目、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記生成手段は、前記断層データ及び前記比較対象データをモデル化して比較用表示データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記断層データ及び前記比較対象データは生成する断層画像に含まれる層の境界を示す情報を含み、前記生成手段は前記境界を示す情報を用いて前記モデル化した比較用表示データを生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記生成手段は、前記少なくとも一方より生成する断層画像における表示パラメータの少なくとも1つを、他方より生成する断層画像において対応する表示パラメータと合わせるように、前記表示様式を変更する情報を前記比較用表示データに付与することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記少なくとも1つの表示パラメータは、前記被検査物の曲率半径であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記生成手段は、前記被検査物における任意の層にフィッティングされた曲率半径を示す表示形態を重ねた画像を生成するように、前記表示様式を変更する情報を前記比較用表示データに付与することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記生成手段は、前記断層データ及び前記比較対象データより各々生成する断層画像を重ねた画像を生成するように、前記表示様式として表示位置を変更する情報を前記比較用表示データに付与することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置。
  9. 前記生成手段は、前記断層データ及び前記比較対象データより各々生成する断層画像の表示画面におけるアスペクト比を変更した画像を生成するように、前記表示様式を変更する情報を前記比較用表示データに付与することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。
  10. 前記比較用表示データに付与された情報を用いて、前記生成手段が生成した断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像処理装置。
  11. 前記表示制御手段は、前記比較用表示データに付与された情報に応じて、前記被検査物における特定の部位が任意の方向で整列するように、前記生成手段が生成した断層画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記表示制御手段は、前記断層データを用いて生成された、前記断層画像における実寸法を表すスケールバーを、前記生成手段が生成した断層画像に重ねるように前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像処理装置。
  13. 複数の表示形態から前記比較項目に応じた表示様式を選択する選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の画像処理装置。
  14. 前記生成手段は、前記断層データを用いて生成した断層画像が前記表示手段における画像の表示画面をはみ出した領域を含む場合、前記はみ出した領域を削除することを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項に記載の画像処理装置。
  15. 測定光を用いて前記被検査物を光干渉断層撮影することで得られた断層データを極座標に配置するとともに、前記得られた断層データのデータ配置のアスペクト比を補正することで、前記正規化された断層データ及び前記正規化された比較対象データを生成する正規化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の画像処理装置。
  16. 測定光を用いて被検査物を光干渉断層撮影することで得られた断層データを極座標に配置するとともに、前記得られた断層データのデータ配置のアスペクト比を補正することで、正規化された断層データを生成する正規化手段と、
    前記正規化された断層データを取得する断層データ取得手段と、
    前記断層データと比較する比較対象データを取得する比較データ取得手段と、
    前記正規化された断層データ及び前記比較対象データより比較用表示データを生成する生成手段と、
    前記比較用表示データに付与された情報を用いて、前記生成手段が生成した断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、
    前記生成手段は、前記正規化された断層データと前記比較対象データとを比較する際の比較項目に応じて、前記正規化された断層データ及び前記比較対象データの少なくとも一方より生成する断層画像の表示様式を変更する前記情報を、前記比較用表示データに付与することを特徴とする画像処理装置。
  17. 被検査物の正規化された断層データを取得することと、
    前記断層データと比較する比較対象データを取得することと、
    前記断層データ及び前記比較対象データより比較用表示データを生成することと、を含み、
    前記断層データと前記比較対象データとを比較する際の比較項目に応じて、前記断層データ及び前記比較対象データの少なくとも一方より生成する断層画像の表示様式を変更する情報を、前記比較用表示データに付与することを特徴とする画像処理方法。
  18. 請求項17に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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