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JP2019085303A - シリコンの製造方法及び製造装置 - Google Patents

シリコンの製造方法及び製造装置 Download PDF

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JP2019085303A JP2017214980A JP2017214980A JP2019085303A JP 2019085303 A JP2019085303 A JP 2019085303A JP 2017214980 A JP2017214980 A JP 2017214980A JP 2017214980 A JP2017214980 A JP 2017214980A JP 2019085303 A JP2019085303 A JP 2019085303A
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長畑 律子
Ritsuko Nagahata
律子 長畑
由紀江 森
Yukie Mori
由紀江 森
優子 斎藤
Yuko Saito
優子 斎藤
竹内 和彦
Kazuhiko Takeuchi
和彦 竹内
政義 清水
Masayoshi Shimizu
政義 清水
義文 清水
Yoshibumi Shimizu
義文 清水
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SHIMIZU DENSETSU KOGYO KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

【課題】原料コストが低く、反応効率が高くて、マイクロ波の投入エネルギも低くて足り、高純度シリコンを低コストで製造することができるシリコンの製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】珪藻土を含む原料と炭素質材料を含む還元剤とを、マイクロ波の照射により加熱し、前記珪藻土を前記炭素質材料により還元して溶融シリコンを製造する。また、還元剤中の炭素成分(C)と、前記原料中の二酸化ケイ素成分(SiO2)との比C/SiO2が例えば0.5以上2.0以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、資源として豊富に存在する珪藻土から、太陽電池等に使用可能な高純度のシリコンを低コストで製造することができるシリコンの製造方法及び製造装置に関する。
シリコンは、単体(純度約98%)の場合は製鉄材料又は製鉄の脱酸素材、アルミニウム合金の添加成分等に使用され、高純度シリコンは、半導体装置(純度11ナイン)又は太陽電池(純度6ナイン〜7ナイン)の基板として使用されている。
この高純度シリコンは、従来、主として、ジーメンス(Siemens)法により製造されている。このジーメンス法においては、高純度の石英又は珪石(SiO)を木炭等の高純度炭素と共に、アーク炉で2000〜3000℃に加熱して、下記化学式1により、約98%の純度のシリコンに還元する。そして、得られたシリコンを、流動床反応炉を使用し、300〜350℃の温度で、下記化学式2により塩化水素ガス(HCl)と反応させ、三塩化ケイ素(HSiCl)に変換する。このとき、SiClが10〜14%副生し、三塩化ケイ素に混入する。そして、この三塩化ケイ素に対し、蒸留精製を繰り返して、高純度化した後、下記化学式3に示すように、高純度水素を使用して還元し、これを、1000〜1100℃に加熱した高純度シリコンの芯棒(種材)の表面上に堆積させ、純度が10ナインから11ナインの高純度多結晶シリコンを製造する。化学式3の反応は、ベルジャー型反応炉において、1000〜1100℃に加熱して、太さが数mmの高純度シリコン製芯棒に対し、数日から十数日掛けて100〜150mmに高純度シリコンを堆積させ、成長させる。その後、必要に応じて、帯域溶融法等により更に高純度化(11ナイン超)する。
Figure 2019085303
Figure 2019085303
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しかしながら、上述の現状の高純度シリコンの製造方法には、以下に示す問題点がある。先ず、原料として高純度の石英(SiO)又は珪石(SiO)が必要であり、これらは希少資源であり、高価である。また、珪石の還元反応の過程で一酸化炭素(CO)ガス及び一酸化ケイ素(SiO)ガスが発生するため、これらの一部又は全部を、層状をなす原料中から逃がす必要があり、通気孔の確保のために、原料として塊状(大きさ5〜200mm)のものしか利用できない。このため、原料を反応前に精製することができず、高純度シリコンの製造のためには、原料として高価な高純度の石英又は珪石を使用せざるを得ない。
また、上記化学式1の反応において、原料を迅速に溶解するために、アーク炉で原料を3000℃まで加熱する必要があり、この加熱のために投入するエネルギーが極めて大きく、これが高純度シリコンの製造コストを大きく押し上げている。即ち、化学式1の反応の全行程で11〜15kWh/kg・Siという極めて多量の電力を消費するため、日本国内では化学式1の反応のシリコンを生産できず、ノルウエー、ブラジル、中国等の電気料が安価な国から全量購入している。
更に、三塩化ケイ素を製造する上記化学式2の反応においては、化学式3の反応に利用できない四塩化ケイ素(SiCl)が10〜15%も副生してしまう。また、高純度のトリクロロシラン(HSiCl)を得るため、蒸留精製を繰り返す必要があり、このため多量のエネルギーを消費する。
更にまた、高純度シリコンの堆積・成長を行う上記化学式3の反応においては、反応速度が遅く、また、四塩化ケイ素(SiCl)を多量に副生するという問題点がある。この四塩化ケイ素の副生を抑制するためには、トリクロロシラン(HSiCl)の希釈のために、及び反応原料として、高価な高純度水素を多量に必要とする。
一方、デバイスの素材の面においては、Si純度として6ナイン〜7ナインを要求される太陽電池用シリコンは、Si純度として11ナインを超える超高純度が要求される半導体用ウエハの切りくず等を転用して製造している。このため、太陽電池用シリコンとしては、必要以上の高純度のシリコン素材を使用していることになり、高コストの要因となっている。
一方、近時、シリカの粉末及びグラファイトの粉末の混合物に対して、マイクロ波を照射することにより、シリカをグラファイトにより還元して溶融シリコンを得る技術が開示されている(特許文献1)。
特開2014−15381号公報
この特許文献1に記載の技術は、マイクロ波加熱によりシリカを還元してシリコンを製造する方法を開示するものであるが、原料としてシリカを使用しているため、原料コストが高く、また、シリカの反応のために投入すべきエネルギーも高く、更に反応効率も十分に高いものではなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、原料コストが低く、反応効率が高くて、マイクロ波の投入エネルギーも低くて足り、高純度シリコンを低コストで製造することができるシリコンの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るシリコンの製造方法は、
珪藻土を含む原料と炭素質材料を含む還元剤とを、マイクロ波の照射により加熱し、前記珪藻土を前記炭素質材料により還元して溶融シリコンを製造することを特徴とする。
このシリコンの製造方法において、前記原料及び前記還元剤は、容器内において、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガスからなる不活性ガスの雰囲気下で、前記マイクロ波の照射を受けることが好ましい。
また、前記原料は、珪藻土から不純物を除去する精製処理を受けた精製珪藻土とすることができる。この場合に、前記精製珪藻土は、例えば、珪藻土をアルカリ性水溶液に溶解した後、濾過精製し、次いで、酸性水溶液中で、沈殿、濾過、洗浄及び乾燥の処理を施したものである。
更に、前記還元剤中の炭素成分(C)と、前記原料中の二酸化ケイ素成分(SiO)との比C/SiOが0.5以上2.0以下であることが好ましい。そして、前記原料は、炭化ケイ素を含むことができる。
なお、前記原料と前記還元剤とにバインダを添加して、これらを混合し、乾燥後に塊状に成形して得たペレットに対して、マイクロ波を照射して加熱するように構成することができる。
本発明に係るシリコンの製造装置は、
密閉状態にすることができる反応容器と、
この反応容器内を上下に仕切る多孔質部材と、
前記反応容器内の前記多孔質部材の上に珪藻土を含む原料と炭素質材料を含む還元剤を投入する投入口と、
前記多孔質部材の下方の前記反応容器内から、溶融シリコンを排出する排出口と、
前記反応容器内の前記原料及び前記還元剤にマイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
を有し、
前記多孔質部材は、前記マイクロ波により加熱された前記原料が前記還元剤により還元されて得られた溶融シリコンが前記多孔質部材を通過して前記排出口から排出されると共に、前記原料及び前記還元剤は前記多孔質部材を通過しない大きさの孔を有することを特徴とする。
シリコンの製造装置において、更に、
前記反応容器を格納する外殻と、
この外殻と前記反応容器との間に不活性ガスを供給する不活性ガス導入口と、
前記反応容器内の生成ガスを前記外殻の外部に排出する生成ガス排出口と、
前記外殻の内面を被覆し、前記マイクロ波の透過性を有すると共に断熱性を有する耐熱材と、
を有するように構成することができる。
本発明によれば、広く多量に産出する安価な珪藻土を原料とし、これに還元剤としての炭素源と、必要に応じて炭化ケイ素を混合し、エネルギー効率が高く、被加熱物を高速に直接加熱することができるマイクロ波加熱を利用して、原料及び還元剤を加熱し、珪藻土を還元して、低コストでシリコンを製造する。そして、このシリコンを必要に応じて帯域溶融法等により精製することにより、更に太陽電池等に使用される高純度のシリコンを製造することができる。この結果、太陽電池及び半導体基板等に使用されるシリコンの製造コストを著しく低減することができる。
本発明の実施形態にて使用するマイクロ波シリコン製造装置を示す模式図である。 反応後の材料の破砕面の顕微鏡写真である。 反応後の材料のラマン分光スペクトルを示す図である。 反応後の材料のX線回折結果を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態で使用するマイクロ波シリコン製造装置を示す模式図である。炉体20は内部に反応容器10を格納できる殻状をなし、この反応容器10を密閉状態に保持することができる。反応容器10は、アルミナ、炭化ケイ素、グラファイト又はマグネシア等の耐火物からなるるつぼ状をなし、その上端開口部には、アルミナ、ムライト、マグネシア又はジルコニア等の耐火物製の蓋12が被冠されるようになっている。この反応容器10の底部近傍であって、底部から一定距離離れた位置には、多孔板11が水平に設置されている。この多孔板11には、その上に原料ペレット1が載置され、この原料ペレット1は通過せずに、反応生成物である溶融シリコン2が多孔板11を通過し得る大きさの孔が形成されている。多孔板11の材質は、炭化ケイ素、アルミナ、マグネシア等である。この反応容器10における底部近傍であって多孔板11より下方の壁には、溶融シリコンを排出するための筒状のシリコン排出口16が設置されており、この排出口16は、炉体20の外部まで下傾して延びており、排出口16の先端には取り外し可能の栓17が設置されている。蓋12には、筒状をなす原料投入口15が挿通して設置されており、この原料投入口15は、炉体20も挿通してその外部に引き出されている。この原料投入口から、原料のペレット1が反応容器10内に投入される。更に、蓋12には生成ガス排出口13が挿通して設置されており、この生成ガス排出口13も炉体20を挿通してその外部に導出されている。この生成ガス排出口13の途中に粉塵トラップ14が介装されている。この粉塵トラップ14は生成ガス排出口13から排出される反応容器10内のガス中から、粉塵を除去する。
炉体20は例えばステンレス鋼で構成されており、この炉体20の内面には、アルミナ、ムライト、マグネシア、又はジルコニア等の断熱材21が敷設されている。そして、この炉体20及び断熱材21を挿通するようにして不活性ガス導入口17が設置されており、この不活性ガス導入口17により、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガス等の不活性ガスが炉体20内に供給されるようになっている。これにより、反応容器10内の原料ペレット1及び溶融シリコン2が不活性ガス雰囲気下に保持される。
そして、この炉体20には、導波路31を介してマイクロ波発振器30が設置されており、マイクロ波発振器30から発振されたマイクロ波が導波路31に導かれて炉体20内に入り、断熱材21及び蓋12にて吸収されずに、反応容器10内の原料ペレット1に照射される。これにより、原料ペレット1は、マイクロ波により加熱されて昇温し、ペレット1の原料が、ペレット1の炭素質材料により還元される。原料は、珪藻土を主原料とし、炭化ケイ素を含むこともある。炭素質材料は珪藻土の還元剤となるものであり、グラファイト、木炭、活性炭又は石炭等を使用できる。これらのグラファイト等は、マイクロ波加熱時の発熱源(サセプタ)としても機能する。
原料の珪藻土は、藻類の一種である珪藻(植物プランクトン)の殻が海底又は湖底に沈積してできた堆積物(堆積岩)であり、珪藻の殻は二酸化ケイ素(SiO)を含み、珪藻土もこの二酸化ケイ素を主成分とする。珪藻土は大きさが100μm〜1mmの微細な珪藻殻が積み重ねられたものであるため、多孔質であり、大きな表面積を有し、低密度であり、化学的に不活性であるという特性を有する。この多孔質の空隙率は70〜90%であり、このため表面積は最大300m/gとなる。このため、密度は見かけ比重が0.32〜0.45、真比重が2.1〜2.3と低密度である。
珪藻土の主な産地は、世界的には、米国36%、中国19%、日本10%、デンマーク10%であり、低資源国の日本としては、豊富な産出量を有している。全世界の保有鉱量は約8億トンである。日本における珪藻土の産地及びその主要な成分の組成(質量%)は、下記表1に示すとおりである。
Figure 2019085303
珪藻土は、シリカ鉱石に比べると、SiOの含有量は低いが、それでもかなりの量のSiOを含む。また、このSiOの他に、Al及びFeも含有する。また、日本国内において、種々の地域で珪藻土が産出されており、そのSiOの含有量は、67〜86質量%にわたり分散する。これらは、いずれも焼成処理をすることにより、SiOの含有量は約90質量%となる。
珪藻土は、微細構造を有するため、融点が約1700℃の石英及び珪石に比して、かなり低い融点を有する。このため、前述の化学式1にて、SiO及びCを溶解し、SiOをCで還元するために必要なマイクロ波の投入エネルギーを極めて低くすることができる。
上述の化学式1は、実際上、以下に示す素反応から構成されている。
Figure 2019085303
Figure 2019085303
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これらの素反応にみるように、SiOとCとの還元反応によりSiを高収率で得るためには、化学式4で発生する一酸化ケイ素ガス(SiO)を、反応容器10内で、固体の炭素(C)及び炭化ケイ素(SiC)と十分に接触させることが必要である。
而して、珪藻土は、前述のように、空隙率が70〜90%の多孔質であるので、発生した一酸化ケイ素ガス(SiO)が多数の細孔の広大な表面に接触し、高効率で反応が生じる。即ち、発生した一酸化ケイ素ガスは、珪藻土の細孔中に進入してその表面に接触するため、上述の化学式5,6,7,8で示される反応が促進され、溶融シリコンが高効率で生成する。よって、多孔構造を有する珪藻土は、反応中間体である炭化ケイ素(SiC)の生成(化学式5,8)及び溶融シリコン(Si)の生成(化学式6,7)を促進する構造を有し、反応時間の短縮及びシリコン収量の増加と、製造エネルギーの低下に有効である。
また、マイクロ波加熱では、マイクロ波加熱助剤として、被加熱物にサセプタを添加して加熱することにより、加熱効率が向上することがある。本実施形態のシリコン製造のためのマイクロ波加熱においては、炭素がサセプタとして作用するが、炭素以外に、反応式5,8の中間体である炭化ケイ素(SiC)もマイクロ波を良好に吸収する。このため、炭化ケイ素をサセプタとして、反応容器10内に別途添加することにより、反応中間体添加による反応促進効果に加えて、サセプタとしての炭化ケイ素のマイクロ波加熱促進効果により、シリコン収率を向上させることができる。
上記実施形態において、原料の珪藻土は、粉末状をなすが、還元剤のグラファイト等の炭素質と混合し、必要に応じて、炭化ケイ素を添加し、更に、バインダ及び混合溶剤を所要量添加して混練し、ペレット状に造粒し成形し乾燥してある。このように原料及び還元剤をペレット1として反応容器10内に投入することにより、投入時及び反応時の粉塵の発生を抑制することができる。しかし、反応容器10内への原料及び還元剤の供給方法はこれに限らず、種々の方法を採用することができる。また、ペレット1のサイズも、反応容器1の形状及びサイズ並びに多孔板11の孔径等に応じて適宜決めることができる。
マイクロ波発振器30は、マルチモード型及びシングルモード型のいずれも使用可能であるが、生産量を多くする場合は、マルチモード型が有利である。マイクロ波の周波数は電波法により工業用途に指定されている2450MHzとすることにより、市販の発振器として容易に入手することができるため、有利である。しかし、この周波数に限定されるものではない。マイクロ波の出力は、生産量に応じて、適宜選択することができる。マイクロ波発振器30を含む加熱装置全体の構成は、既存の工業用マイクロ波加熱装置に準じて組み立てることができる。
本実施形態の反応プロセスにおいては、反応温度は約1600℃又はそれ以上となる。このため、反応容器10は、アルミナ、マグネシア、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素又は石英等の耐熱性材料で形成することが必要である。高温の反応であるために、マイクロ波で加熱された原料ペレット1からの熱放射が大きく、このため、温度が上がりにくい場合がある。そこで、炉体20の内面には、断熱材21を施工して、放射熱が外部に離散することを防止することが好ましい。断熱材21は、アルミナ又はアルミナシリカ等のマイクロ波を吸収しない素材を使用することが必要である。
一方、珪藻土原料と炭素質還元剤との反応により生じた溶融シリコンは、化学式4乃至10に示す反応系中に存在する未反応のシリカ又は炭素と反応条件下で容易に反応して、一酸化ケイ素及び炭化ケイ素を生成する。このため、生成した溶融シリコンを反応系から迅速に分離する機構を設けることが、シリコンの収率を向上させる上で、必要である。そこで、本実施形態においては、反応容器10の底部に溜まった溶融シリコン2を、シリコン排出口16を使用して反応系の外部に連続的に排出し、反応容器10内の多孔板11の上部に存在する未反応のシリカ及び炭素との接触を、可及的に抑制する。
次に、本実施形態のマイクロ波加熱によるシリコンの製造方法及び装置の動作について説明する。先ず、原料である珪藻土と還元剤であるグラファイト等の炭素質とを混練し、ペレット状にして、原料投入口15から、反応容器10内に投入する。この原料ペレット1は、反応容器10内の多孔板11上に載置される。また、不活性ガス導入口17からアルゴンガス等の不活性ガスを炉体20内に導入し、反応容器10の内部も含めて、炉体20内を不活性ガスの雰囲気下に保持する。また、反応容器10内のガスは、生成ガス排出口13から外部に排出され、このとき、粉塵トラップ14により、排出ガス中から粉塵が除去される。次いで、マイクロ波発振器30からマイクロ波を発振させ、導波路31を介して、マイクロ波を反応容器10内の原料ペレット1に照射する。このとき、炉体20に内張された断熱材21及び蓋12は、マイクロ波を吸収しにくい素材で成形されているので、マイクロ波は、反応容器10内のペレット1に高効率で照射されて、ペレット1を昇温させ、溶解する。珪藻土は融点が低いので、マイクロ波の投入エネルギーは少なくてすみ、従来のように、アーク炉で2000℃以上に加熱する場合に比して、投入エネルギー及び耐火材の設備コストが低い。そして、ペレット1が加熱され、更に溶解すると、前述の化学式4〜10にて示す反応が生じる。これにより、溶融シリコン2が生成し、この溶融シリコン2は、多孔板11を通過して、反応炉10の炉底にたまる。そして、採取栓17を取り除くと、シリコン排出口16から、溶融シリコン2が排出される。このようにして、溶融シリコンが生成し、原料ペレット1の反応用器内への投入を連続的に行うと、シリコン排出口16から連続的に溶融シリコン2が得られる。
反応生成ガスとしては、一酸化炭素ガス(化学式1)が主なものであるが、これは、反応ガス排出口13から排出される。この反応系においては、前述の化学式4乃至10にて示す反応が生じているが、シリカの炭素還元反応において中間体として生成する一酸化ケイ素ガス(SiOガス)は、珪藻土の微細孔内に進入し、広大な表面積のもとで、炭素(C)及び一酸化ケイ素(SiC)と反応し(化学式5〜8)、シリコンを高効率で生成する。このように、珪藻土は多孔質であるために、反応表面積が広く、反応が高効率で進行する。
化学量論的には、化学式1に示すように、SiOのCによる還元反応は、C/SiO=2で進行する。そして、量的に、SiOに対してCが多すぎると、化学式1の反応において、生成したSiがCと反応してSiCになりやすく、Siの収率が低下してしまう。よって、C/SiOは、2.0以下とすることが好ましい。また、C/SiOが0.5未満であると、Cによる還元反応が進みにくく、SiOが未反応で残存しやすい。このため、C/SiOは、0.5以上2.0以下であることが好ましい。
得られた溶融シリコンは、取鍋に回収され、凝固した後、帯域溶融法等の精製装置に搬送される。この帯域溶融法による精錬によって、シリコン中の不純物(珪藻土に含まれていたAl,Fe,K,Ca,Mg等の不純物が溶融シリコンに移行したもの等)が除去され、太陽電池又は半導体装置用の高純度シリコンに精製される。なお、珪藻土の還元反応中に生成するSiOガスは、同じく上記反応中に生成するCOガスと比較して、沸点が高いので、COと分離して選択的に反応系内に閉じ込めることが可能である。従って、COガスは反応系外に排出し、Siの還元に有効なSiOガスは反応容器10内にとどめおくことが可能である。
次に、本発明の効果を実証するために行った実験結果について、本発明の範囲に入る実施例を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
「実施例1」
珪藻土とグラファイトを乾燥した後、シリカ及び炭素換算でモル比1:1に混合し、更に、固形分で2質量%のポリ酢酸ビニル水懸濁液をバインダとして混錬し、乾燥して塊状物を得た。その後、この塊状物をマッフル炉中で500℃にて焼成し、冷却した後、大きさが0.5〜1cm程度のペレット状に破砕してペレットを得た。炭素還元反応は、マルチモード型マイクロ波反応装置SM−107(四国計測工業株式会社製:周波数2.45GHz、最大出力6kW)を使用して実施した。上述のペレットを30gだけ秤量してアルミナ製ルツボ(反応容器10)に収容し、炉体20内に設置した。この炉体20の内面はアルミナ製断熱材21で覆われている。また、ルツボの周囲も断熱材で覆った。そして、炉体20内にアルゴンガスを供給して炉体20内をアルゴンガスで2回置換した。その後、アルゴンガスを少量通流させながら、マイクロ波をペレットに照射した。反応温度は、放射温度計を使用し、ルツボの上方の断熱材に小孔を設けておき、この小孔からルツボ内のペレット原料の表面温度を直接測定した。
その結果、マイクロ波出力の増加と共に、反応温度は急激に上昇し、反応開始後36分経過した時点で、マイクロ波出力が1615W、温度が1714℃に到達した。そして、1710℃の温度に約10分間保持された。その後、温度が低下したため、マイクロ波出力を4000Wまで上げたが、温度は1500℃近傍に留まり、これ以上上昇しなかった。そこで、マイクロ波の照射を停止した。
反応終了後、反応装置を室温まで冷却した。このとき、ルツボ内の材料(反応生成物)は原料ペレット装入時の半分程度まで減量していた。この反応生成物をルツボから取り出して破砕し、顕微鏡観察し、更にラマン分光スペクトルを測定した。また、反応生成物を粉砕後、X線回折測定及びX線蛍光分析を行った。
図2は反応後の生成材料の破砕面の顕微鏡写真を示す。図2(a)、(c)、(d)は、夫々図3に示す生成物の塊のNo.1(金属色粒子の部分)、No.4(黒色粒子が見える部分),No.6(灰色の「海」状部に小さな黒色粒子が見える部分)にて示す位置の拡大写真であり、(b)は、シリコンウエハー(純シリコン)を粉砕して粉末にしたものの拡大写真である。図3は、この(a)、(b)、(c)、(d)の位置のラマン分光分析の結果を示す。図2に示すように、灰(緑)色の塊中に、最大約2mm程度の金属色の粒子及びサブmmの黒色粒子が多数観察された。なお、この顕微鏡写真は、原料SiOと還元剤Cとのモル比がC/SiOで1.0の場合のものである。
図3に示す反応後の材料のラマン分光分析の結果、図2の金属色粒子はシリコンであり、黒色粒子は炭化ケイ素(SiC)であると同定された。図4(a)は珪藻土を使用した場合のC/SiOが1.0のとき(実施例1)、図4(b)は同じく珪藻土を使用した場合のC/SiOが1.5のとき(実施例2)、図4(c)は石英砂を使用した場合のC/SiOが1.0のとき(比較例1)、図4(d)は同じく石英砂を使用した場合のSiOが1.5のときのX線回折分析結果(XRDパターン)である(比較例2)。本実施例1は、図4(a)に示す。なお、図4中、Si,SiC、a−SiO、c−SiO、m及びCは、夫々、シリコン、炭化ケイ素、非晶質シリカ、クリストバライト、ムライト及び炭素のピークを示す。この図4(a)に示すように、実施例1の場合(C/SiO=1.0)は、生成材料中の結晶性成分として、シリコンが最も多く、次いで、炭化ケイ素、及び少量の非晶質シリカと微少量のムライトが生成していたことがわかる。
「実施例2」
次いで、珪藻土とグラファイトを、シリカと炭素換算でモル比1:1.5に配合して混練し、上記実施例1と同様に原料及び還元剤を調整し、マイクロ波照射を行った。その結果、生成物の顕微鏡観察及びラマン分光スペクトル測定を行い、実施例1と同様の結果を得た。また、図4(b)は、C/SiO=1.5の場合のX線回折測定の結果であるが、このX線回折測定結果から、生成物の主成分はシリコンであり、少量の炭化ケイ素及びムライトの生成があったことが確認できる。
「比較例1」
微細孔を有しない石英砂とグラファイトをシリカと炭素換算でモル比1:1.0に混合し、実施例1と同様に、材料を調整し、マイクロ波照射により石英を還元した。その生成物のX線回折測定の結果から、生成物は、主成分がクリストバライト(c−SiO)で、その他少量の炭化ケイ素が生成した。シリコンの生成は確認できなかった(図4(c)参照)。
「比較例2」
微細孔を有しない石英砂とグラファイトをシリカと炭素換算でモル比1:1.5に混合し、実施例1と同様に、材料を調整し、マイクロ波照射により石英を還元した。その生成物のX線回折測定の結果から、生成物は、主成分がクリストバライト(c−SiO)で、その他少量の炭化ケイ素の生成と未反応の石英が確認された。シリコンの生成は確認できなかった(図4(d)参照)。
本発明は、世界に多量に存在し、採取が容易である珪藻土をシリカ源として利用するので、マイクロ波加熱の一ステップで、高純度シリコンを製造することができ、純度が6ナインを要求する太陽電池用のシリコンを、低コストで製造することができる。必要に応じて、得られたシリコンを、帯域溶融法により更に精製することにより、更に一層の高純度化が可能であり、半導体基板用のシリコンも低コストで製造することが可能となる。このため、本発明は、太陽電池及び半導体デバイス等の普及に多大の貢献をなす。
1:原料ペレット
2:溶融シリコン
10:反応容器
11:多孔板
12:蓋
13:生成ガス排出口
14:粉塵トラップ
15:原料投入口
16:シリコン排出口
17:不活性ガス導入口
20:炉体
21:断熱材
30:マイクロ波発振器
31:導波路

Claims (9)

  1. 珪藻土を含む原料と炭素質材料を含む還元剤とを、マイクロ波の照射により加熱し、前記珪藻土を前記炭素質材料により還元して溶融シリコンを製造することを特徴とするシリコンの製造方法。
  2. 前記原料及び前記還元剤は、容器内において、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガスからなる不活性ガスの雰囲気下で、前記マイクロ波の照射を受けることを特徴とする請求項1に記載のシリコンの製造方法。
  3. 前記原料は、珪藻土から不純物を除去する精製処理を受けた精製珪藻土であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンの製造方法。
  4. 前記精製珪藻土は、珪藻土をアルカリ性水溶液に溶解した後、濾過精製し、次いで、酸性水溶液中で、沈殿、濾過、洗浄及び乾燥の処理を施したものであることを特徴とする請求項3に記載のシリコンの製造方法。
  5. 前記還元剤中の炭素成分(C)と、前記原料中の二酸化ケイ素成分(SiO)との比C/SiOが0.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
  6. 前記原料は、炭化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
  7. 前記原料と前記還元剤とにバインダを添加して、これらを混合し、乾燥後に粒子状に成形して得たペレットに対して、マイクロ波を照射して加熱することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
  8. 密閉状態にすることができる反応容器と、
    この反応容器内を上下に仕切る多孔質部材と、
    前記反応容器内の前記多孔質部材の上に珪藻土を含む原料と炭素質材料を含む還元剤を投入する投入口と、
    前記多孔質部材の下方の前記反応容器内から、溶融シリコンを排出する排出口と、
    前記反応容器内の前記原料及び前記還元剤にマイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
    を有し、
    前記多孔質部材は、前記マイクロ波により加熱された前記原料が前記還元剤により還元されて得られた溶融シリコンが前記多孔質部材を通過して前記排出口から排出されると共に、前記原料及び前記還元剤は前記多孔質部材を通過しない大きさの孔を有することを特徴とするシリコンの製造装置。
  9. 前記反応容器を格納する外殻と、
    この外殻と前記反応容器との間に不活性ガスを供給する不活性ガス導入口と、
    前記反応容器内の生成ガスを前記外殻の外部に排出する生成ガス排出口と、
    前記外殻の内面を被覆し、前記マイクロ波の透過性を有すると共に断熱性を有する耐熱材と、
    を有することを特徴とする請求項8に記載のシリコンの製造装置。
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CN117073367A (zh) * 2023-10-17 2023-11-17 河南中锆新材料有限公司 一种熔炼设备及利用熔炼设备制备氧化锆的工艺

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