以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る病院情報システム10が活用される環境の一例を表すブロック図である。図1では、病院情報システム10、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20、国内保健機関30、製薬企業40、海外保健機関50、医療機関60、及び海外製薬企業70がIP網により接続されている。
図1に示される病院情報システム10は、例えば、病院内ネットワーク上に構築されるシステムである。病院情報システム10には、例えば、電子カルテシステム11、医療情報管理サーバ12、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、医用画像管理システム16、及び画像検査機器17が含まれる。病院情報システム10、電子カルテシステム11、医療情報管理サーバ12、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、医用画像管理システム16、及び画像検査機器17は、LAN(Local Area Network)等の病院内ネットワークを介してデータ通信可能に接続されている。
なお、病院内ネットワークへの接続は、有線接続、及び無線接続を問わない。また、セキュリティが確保されるのであれば、接続される回線は病院内ネットワークに限定されない。例えば、VPN(Virtual Private Network)等を介し、インターネット等、公衆の通信回線に接続するようにしても構わない。また、病院内ネットワークに接続されるシステムは、上記に限定されない。病院内ネットワークには、上記以外のシステムが含まれていても構わない。
電子カルテシステム11は、電子カルテに関する情報を管理するシステムである。電子カルテに関する情報には、例えば、患者情報、診療情報、及び看護情報等が含まれる。患者情報は、例えば、患者ID、患者氏名、住所、年齢、性別、身長、体重、禁忌情報、通院時使用交通機関、及び経済的状況等を含む。診療情報は、例えば、第1の記録情報、及び第2の記録情報等を含む。本実施形態において、第1の記録情報は、例えば、疾患、症状、病歴、所見、診断、及び計画等、診療の際に発生する情報を記録したものである。また、本実施形態において、第2の記録情報は、処方、検査、注射、及び処置等、オーダと連動して発生する情報を記録したものである。看護情報は、例えば、看護実施記録情報等を含む。
医事会計システム13は、診療報酬の請求に係る情報を管理するシステムである。診療報酬の請求に係る情報には、例えば、医療機関における医療費未納状況が含まれる。
放射線部門システム14は、診療部門の一つである放射線部門において、検査オーダ、及び検査予約等の情報を管理するシステムである。
臨床検査部門システム15は、種々の方法で採取された検体を検査するためのオーダ情報、及び診断結果に基づいて作成する報告書に関する情報等を管理するシステムである。
医用画像管理システム16は、例えば、放射線検査画像、超音波画像、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像、及び内視鏡検査画像等の医用画像を管理する、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System)である。医用画像管理システム16において、医用画像データは、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication Medicine)規格に則って管理される。また、医用画像管理システム16は、医用画像に基づいて作成される画像診断レポートも管理する。
画像検査機器17は、患者に関する医用画像データを生成するための装置である。画像検査機器17は、例えば、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波診断装置、MRI装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、又はPET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。画像検査機器17は、例えば、放射線部門システム14で管理されている検査オーダに基づいて検査を実施し、医用画像データを生成する。
医療情報管理サーバ12は、電子カルテシステム11、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、医用画像管理システム16、及び画像検査機器17から所定の情報を取得し、取得した情報を蓄積するデータベースの役割を果たす。
具体的には、例えば、医療情報管理サーバ12は、電子カルテシステム11、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、医用画像管理システム16、及び画像検査機器17へ定期的にアクセスする。医療情報管理サーバ12は、アクセスしたシステム、及び装置から、例えば、患者についての個人情報(性別、身長、体重、禁忌情報、年齢、住所、通院時使用交通機関、及び経済的状況(医療費未納状況を含む)等)、及び患者医療情報(病名、症状詳記等、看護記録、病歴、薬歴、検査結果、及び画像診断レポート等)を取得する。医療情報管理サーバ12は、取得した患者情報、及び患者医療情報を、内蔵されている記憶回路に記憶する。このとき、医療情報管理サーバ12は、例えば、取得した患者情報、及び患者医療情報を、患者単位で紐付けて記憶する。
治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、治験に関する情報、及び未承認薬に関する情報を蓄積するデータベースの役割を果たす。治験に関する情報は、治験実施計画書31に関する情報、治験募集情報41、及び治験薬情報42等から収集される。
治験実施計画書31は、治験の承認を得るために厚生労働省に届けられるものであり、治験を実施するに当たり、治験を実施する医療機関、及び治験を依頼する製薬企業が遵守しなければならない事項が記載されている。治験実施計画書31には、例えば、治験目的、疾患及び症状等の治験対象、被検者の選択基準、被検者の除外基準、治験薬名、投与量及び投与方法、投与期間、副作用、費用負担、治験スケジュール、並びに、第1相、及び第2相での試験結果等が記載されている。治験実施計画書31に関する情報は、国内保健機関30等の公的機関により公開される。
治験募集情報41は、治験に係る被検者を募集するための情報である。治験募集情報41には、例えば、治験薬の予定される用法・用量、対象疾患名及び症状名、被検者の選択基準、治験目的、治験内容、治験実施医療機関名、及び募集期間等が含まれる。治験薬情報42は、治験で使用される治験薬についての薬学的情報である。治験募集情報41及び治験薬情報42は、治験を依頼する製薬企業40により公開される。
未承認薬に関する情報は、新薬承認情報32,51、投与情報61、及び薬剤情報71等から収集される。新薬承認情報32は、国内で新たに承認された新薬に関する情報であり、国内保健機関30等の公的機関により公開される。新薬承認情報51は、海外で新たに承認された新薬に関する情報であり、海外保健機関50等の公的機関により公開される。新薬承認情報32,51には、例えば、有効成分名、企業名、効果・効能、承認日、及び調査日等が含まれる。本実施形態では、新薬承認情報32,51に基づき、例えば、海外で承認され、かつ、国内で承認されていない薬剤が、未承認薬として扱われる。また、例えば、所定の疾患に対しては承認されているが、対象疾患以外の疾患についての承認されていない薬剤が、未承認薬として扱われる。具体的には、例えば、胃ガンでは承認済みだが、肺ガンでは未承認である薬剤である。投与情報61は、医療機関60で投与された薬剤に関する情報である。投与情報61には、薬剤名、投与量及び投与方法、医療施設名、並びに、投与期間等が含まれる。薬剤情報71は、海外製薬企業70により公開される。薬剤情報71には、本実施形態に係る未承認薬についての薬学的情報が含まれる。
治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、国内保健機関30、製薬企業40、海外保健機関50、及び医療機関60へアクセスする。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、アクセス先の機関、及び企業から、例えば、治験薬及び未承認薬についての薬剤単位での薬剤基本情報(成分、疾患、症状、禁忌、用法等)、治験募集情報(対象基準、治験実施医療機関名、募集期間、通院の有無/頻度、費用分担/総額等)、未承認薬の投与情報(取扱医療施設、薬剤費用等)を読み取る。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、読み取った情報を記憶する。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、要求に応じて記憶している情報を送信する。また、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、新たな情報が蓄積された場合、情報が更新された旨の通知信号を送信してもよい。
図1に示される電子カルテシステム11は、処理サーバ111、及び端末装置112を備える。処理サーバ111と、端末装置112とは、例えば、病院内ネットワークを介してデータ通信可能に接続されている。なお、図1では、電子カルテシステム11に、処理サーバ111及び端末装置112が1台ずつ設けられる場合を例に示しているが、これに限定されない。処理サーバ111及び端末装置112は、必要に応じて複数設けられていても構わない。
端末装置112は、医師等が必要とする情報を表示し、かつ、医師等が処理サーバ111への指示を入力するための端末である。具体的には、例えば、端末装置112は、ディスプレイ、及び入力インタフェースを備えている。端末装置112は、医師が患者を診察する際において、処理サーバ111から電子カルテに関する情報を読み出し、読み出した情報に基づく電子カルテをディスプレイに表示する。また、端末装置112は、医師が患者を診察する際において、患者へ提案する対象として選出された治験薬及び未承認薬に関する提案情報を処理サーバ111から読み出し、読み出した提案情報をディスプレイに表示する。医師は、端末装置112に表示されている電子カルテを参照し、患者を診察する。医師は、端末装置112の入力インタフェースを利用し、診断結果に基づいて電子カルテに所見等を入力し、電子カルテの更新指示を入力する。更新された電子カルテに関する情報は処理サーバ111へ送信され、処理サーバ111に記憶される。また、医師は、端末装置112の入力インタフェースを利用し、電子カルテ上からオーダ情報等を入力する。
処理サーバ111は、処理装置の一例であり、電子カルテに関する情報、並びに、治験薬及び未承認薬に関する提案情報等を管理するサーバである。処理サーバ111は、端末装置112を介した医師からの入力に応じ、必要な情報を端末装置112へ出力する。また、処理サーバ111は、端末装置112から入力される更新指示に応じ、電子カルテに関する情報に、医師により加えられた情報を追加する。
図2は、図1に示される処理サーバ111の機能構成の例を表すブロック図である。図2に示される処理サーバ111は、処理回路1111、通信インタフェース1112、及び記憶回路1113を有する。処理回路1111、通信インタフェース1112、及び記憶回路1113は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
処理回路1111は、処理サーバ111の中枢として機能するプロセッサである。処理回路1111は、記憶回路1113等に記憶されている薬剤提案選出プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現する。
通信インタフェース1112は、病院内ネットワークを介して接続された医療情報管理サーバ12、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、及び医用画像管理システム16との間でデータ通信を行う。医療情報管理サーバ12、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、及び医用画像管理システム16との通信は、予め設定されている既知の規格に準拠して行われる。
記憶回路1113は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路1113は、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。なお、記憶回路1113は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路1113は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
記憶回路1113は、本実施形態に係る薬剤提案選出プログラム等を記憶している。また、記憶回路1113は、電子カルテに関する情報を記憶している。また、記憶回路1113は、処理回路1111が薬剤提案選出プログラムを実行することで選出した、治験薬及び未承認薬に関する提案情報を記憶する。
なお、処理サーバ111は、入力インタフェースを有していてもよい。入力インタフェースは、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等により実現される。入力インタフェースは、操作者からの入力指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路1111へ出力する。なお、入力インタフェースは、マウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、処理サーバ111とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路1111へ出力する回路も入力インタフェースの例に含まれる。
また、処理サーバ111は、出力インタフェースを有していてもよい。出力インタフェースは、例えば、表示機器、及び印刷機器等により実現される。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等、任意のディスプレイが適宜利用可能である。表示機器は、表示対象についての画像データを表示する。印刷機器は、例えば、プリンタである。印刷機器は、印刷対象についての画像データを所定用紙に印刷する。なお、出力インタフェースは、表示機器、及び印刷機器等の物理的な出力部品を備えるものだけに限られない。例えば、処理サーバ111とは別体に設けられた外部の出力機器へ画像データを送信する回路も出力インタフェースの例に含まれる。
図2に示される処理回路1111は、記憶回路1113に記憶されている薬剤提案選出プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、処理回路1111は、薬剤提案選出プログラムを実行することで、薬剤抽出機能1111a、適合判定機能1111b、提案情報作成機能1111c、提案機能1111d、及び紹介情報作成機能1111eを実現する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって薬剤抽出機能1111a、適合判定機能1111b、提案情報作成機能1111c、提案機能1111d、及び紹介情報作成機能1111eが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが薬剤提案選出プログラムを実行することにより薬剤抽出機能1111a、適合判定機能1111b、提案情報作成機能1111c、提案機能1111d、及び紹介情報作成機能1111eを実現しても構わない。
薬剤抽出機能1111aは、医療情報管理サーバ12に情報が記憶されている患者に適した治験薬、及び/又は未承認薬を、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から抽出する機能である。具体的には、例えば、処理回路1111は、予め設定されるタイミングで、薬剤抽出機能1111aを実行する。薬剤抽出機能1111aを実行すると処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、所定の患者と紐付けて医療情報管理サーバ12に記憶されている、例えば、疾患名、及び/又は症状名を読み出す。処理回路1111は、例えば、読み出した患者の疾患名、及び/又は症状名に対して効果が見込まれる治験薬、及び/又は未承認薬のリストを、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から抽出する。
なお、処理回路1111が薬剤抽出機能1111aを実行するタイミングには、例えば、予め設定された時刻、及び予め設定された周期等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から送信される、情報が更新された旨の通知信号を受信した際に、薬剤抽出機能1111aを実行しても構わない。
適合判定機能1111bは、薬剤抽出機能1111aにより抽出した治験薬、及び/又は未承認薬が患者の状況及び経過に合致するか否かを判定する機能である。具体的には、例えば、処理回路1111は、薬剤抽出機能1111aにより薬剤リストが抽出されると、適合判定機能1111bを実行する。適合判定機能1111bを実行すると処理回路1111は、薬剤リストに含まれる薬剤それぞれに対し、身体条件適合判定、及び社会条件適合判定を実施する。
身体条件適合判定では、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12に記憶されている患者の身体情報が、抽出された治験薬、及び/又は未承認薬について治験薬/未承認薬情報管理サーバ20に記憶されている種々の要件を満たしているかを判定する。本実施形態では、患者の身体情報には、年齢、性別、身長、体重、及び禁忌情報等が含まれる。
また、社会条件適合判定では、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12に記憶されている患者の社会的情報が、抽出された治験薬、及び/又は未承認薬について治験薬/未承認薬情報管理サーバ20に記憶されている種々の要件を満たしているかを判定する。本実施形態では、患者の社会的情報とは、住所、通院時使用交通機関、及び経済的状況等を含む。
処理回路1111は、身体条件適合判定、及び社会条件適合判定にて患者に適合すると判定された治験薬、及び/又は未承認薬を、患者へ提案する対象として選出する。
提案情報作成機能1111cは、選出された治験薬、及び/又は未承認薬に基づき、提案情報を作成する機能である。具体的には、例えば、処理回路1111は、治験薬、及び/又は未承認薬が選出されると、提案情報作成機能1111cを実行する。提案情報作成機能1111cを実行すると処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬に関する詳細な情報を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出し、読み出した情報に基づいて提案情報を作成する。処理回路1111は、作成した提案情報を記憶回路1113に記憶させる。
提案機能1111dは、患者の診察開始時に、選出した治験薬、及び/又は未承認薬の患者への紹介を医師へ提案する機能である。具体的には、例えば、処理回路1111は、端末装置112を介して医師から患者の診察開始を通知されると、提案機能1111dを実行する。提案機能1111dを実行すると処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬に関する提案情報を端末装置112へ送信する。
紹介情報作成機能1111eは、紹介の有無、及び紹介しなかった理由を含む紹介情報を作成する機能である。具体的には、例えば、処理回路1111は、端末装置112を介して医師から薬剤の紹介の有無が入力されると、紹介情報作成機能1111eを実行する。紹介情報作成機能1111eを実行すると処理回路1111は、提案情報に含まれる治験薬、及び/又は未承認薬を患者へ紹介したか否かに基づき、紹介の有無、及び紹介しなかった理由を含む紹介情報を作成する。処理回路1111は、作成した紹介情報を医療情報管理サーバ12へ送信する。医療情報管理サーバ12では、紹介情報が紹介履歴情報として記憶される。紹介履歴情報は、例えば、薬剤毎に、所定の患者への紹介の有無、紹介日又は非紹介日、及び非紹介理由等を含む。また、処理回路1111は、作成した紹介情報から、患者を特定できる情報を削除して匿名化した上で、紹介情報を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へ送信する。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20では、紹介情報が紹介履歴情報として記憶される。
次に、以上のように構成された処理サーバ111が治験薬、及び/又は未承認薬を医師に提案する際の動作を詳細に説明する。
図3は、図2に示される処理サーバ111の処理回路1111が提案情報を作成する際の動作の例を示すフローチャートである。
まず、処理回路1111は、例えば、夜間の所定の時刻になると、記憶回路1113から薬剤提案選出プログラムを読み出し、読み出した薬剤提案選出プログラムを実行する。薬剤提案選出プログラムの実行により、まず、薬剤抽出機能1111aが実行される。薬剤抽出機能1111aを実行すると処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、例えば、日中に診察された複数の患者のうち、1人の患者Aを選択する。この選択は、診察順、ID順等いずれに従っても構わない。また、日中に限らず、過去に診察された患者から選択されても構わない。処理回路1111は、選択した患者Aと紐付けて医療情報管理サーバ12に記憶されている、例えば、疾患名を読み出す(ステップS31)。なお、疾患名が診断されていない場合には、症状名を読み出してきても構わない。
処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へアクセスし、医療情報管理サーバ12から読み出した疾患名が効果・効能に含まれる未承認薬を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から抽出する。また、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した疾患名が治験対象に含まれる治験薬を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から抽出する(ステップS32)。
処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から、治験薬、及び/又は未承認薬を含む薬剤リストを抽出すると、適合判定機能1111bを実行する(ステップS33)。適合判定機能1111bを実行すると処理回路1111は、薬剤リストに含まれる全ての薬剤それぞれに対し、身体条件適合判定(ステップS34)、及び社会条件適合判定(ステップS35)を実施する。以降の説明では、例えば、ステップS32において、治験薬、及び未承認薬がそれぞれ1つずつ抽出され、まず、治験薬についての適合判定が行われ、その後に未承認薬の適合判定が行われる場合を例に説明する。
図4は、図3で示される身体条件適合判定のサブルーチンの例を表すフローチャートである。まず、処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へアクセスし、薬剤リストに掲載されている治験薬についての治験募集情報、例えば、被検者の選択基準に関する情報、及び被検者の除外基準に関する情報等を読み出す(ステップS41)。
処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、患者Aと紐付いて記憶されている個人情報から、身体情報、例えば、性別、身長、体重、年齢、及び禁忌情報等を医療情報管理サーバ12から読み出す(ステップS42)。
処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの身体情報が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した被検者の選択基準を満たしているか否かを判定する(ステップS43)。患者Aの身体情報が選択基準を満たす場合(ステップS43のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの身体情報が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した被検者の除外基準に抵触していないか否かを判定する(ステップS44)。患者Aの身体情報が選択基準を満たさない場合(ステップS43のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合で有ると判定し(ステップS45)、身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。
ステップS44において、患者Aの身体情報が除外基準に抵触していない場合(ステップS44のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12にアクセスし、患者Aについての患者医療情報から、既往歴(病歴)、及び各種検査値(肝機能、腎機能等)等を読み出す(ステップS46)。患者Aの身体情報が除外基準に抵触している場合(ステップS44のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合であると判定する(ステップS45)。
処理回路1111は、ステップS46において医療情報管理サーバ12から読み出した既往歴、及び各種検査値が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した被検者の選択基準を満たしているか否かを判定する(ステップS47)。患者Aの既往歴、及び各種検査値が選択基準を満たす場合(ステップS47のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した既往歴、及び各種検査値が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した被検者の除外基準に抵触していないか否かを判定する(ステップS48)。患者Aの既往歴、及び各種検査値が選択基準を満たさない場合(ステップS47のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合で有ると判定する(ステップS45)。
ステップS48において、患者Aの既往歴、及び各種検査値が除外基準に抵触していない場合(ステップS48のYes)、処理回路1111は、治験薬が患者Aの身体条件と適合するとして身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。患者Aの既往歴、及び各種検査値が除外基準に抵触している場合(ステップS48のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合であると判定する(ステップS45)。
図3の説明に戻り、処理回路1111は、ステップS34に示される身体条件適合判定において治験薬が患者Aに適合すると判定すると、社会条件適合判定(ステップS35)を実行する。一方、処理回路1111は、ステップS34に示される身体条件適合判定において治験薬が患者Aに不適合であると判定すると、薬剤リストに含まれる次の薬剤、本説明では、未承認薬を設定し(ステップS36)、ステップS37に示される判定を経て設定した未承認薬について適合判定処理を実施する。
図5は、図3で示される社会条件適合判定のサブルーチンの例を表すフローチャートである。まず、処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へアクセスし、薬剤リストに掲載されている治験薬を用いた治験が実施される治験実施医療機関名を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出す(ステップS51)。
処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、患者Aと紐付いて記憶されている個人情報から、社会的情報、例えば、住所、及び通院時使用交通機関等を医療情報管理サーバ12から読み出す(ステップS52)。処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの社会的情報が社会的条件に適合するか否かを判定する(ステップS53)。具体的には、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの住所と、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した治験実施施設との間の距離が、許容距離に収まっているか否かを判定する。許容距離は、主に使用する交通機関毎に予め定義されている。患者Aについての許容距離は、医療情報管理サーバ12から読み出した通院時使用交通機関に基づいて算出される。
社会的情報が社会的条件に適合する場合、すなわち、患者Aの住所と、治験実施施設との間の距離が許容距離に収まっている場合(ステップS53のYes)、処理回路1111は、治験薬が患者Aの社会的情報と適合するとして社会条件適合判定のサブルーチンを終了させる。社会的情報が社会的条件に適合しない場合、すなわち、患者Aの住所と、治験実施施設との間の距離が許容距離に収まっていない場合(ステップS53のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合で有ると判定し(ステップS54)、身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。
図3の説明に戻り、処理回路1111は、ステップS35に示される社会条件適合判定において治験薬が患者Aに適合すると判定すると、医療情報管理サーバ12に記憶されている紹介履歴情報を参照し、患者Aへこの治験薬が非紹介となった実績がないか否かを判定する(ステップS38)。一方、処理回路1111は、ステップS35に示される社会条件適合判定において治験薬が患者Aに不適合であると判定すると、薬剤リストに含まれる次の薬剤、本説明では、未承認薬を設定し(ステップS36)、ステップS37に示される判定を経て設定した未承認薬について適合判定処理を実施する。
ステップS38において、この治験薬が患者Aへ非紹介となった実績がない場合(ステップS38のYes)、処理回路1111は、この治験薬を選出し、薬剤リストに含まれる次の薬剤、本説明では、未承認薬について適合判定処理を実施する。この治験薬が患者Aへ非紹介となった実績がある場合(ステップS38のNo)、処理回路1111は、薬剤リストに掲載されている次の薬剤、本説明では、未承認薬を設定し(ステップS36)、ステップS37に示される判定を経て設定した未承認薬について適合判定処理を実施する。
処理回路1111は、薬剤リストに掲載されている治験薬についての適合判定処理が終了すると、薬剤リストに掲載されている未承認薬についての身体条件適合判定のサブルーチンを実行する(ステップS34)。
まず、処理回路1111は、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へアクセスし、薬剤リストに掲載されている未承認薬についての用法情報、及び禁忌情報等を読み出す(ステップS41)。処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、患者Aと紐付いて記憶されている個人情報から、身体情報、例えば、性別、身長、体重、年齢、及び禁忌情報等を医療情報管理サーバ12から読み出す(ステップS42)。
処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの身体情報が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した用法情報に基づく条件を満たしているか否かを判定する(ステップS43)。患者Aの身体情報が用法情報に基づく条件を満たす場合(ステップS43のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの身体情報が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した禁忌情報に基づく条件に抵触していないか否かを判定する(ステップS44)。患者Aの身体情報が用法情報に基づく条件を満たさない場合(ステップS43のNo)、処理回路1111は、この未承認薬が患者Aには不適合で有ると判定し(ステップS45)、身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。
ステップS44において、患者Aの身体情報が禁忌情報に基づく条件に抵触していない場合(ステップS44のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12にアクセスし、患者Aについての患者医療情報から、既往歴、及び各種検査値等を読み出す(ステップS46)。患者Aの身体情報が禁忌情報に基づく条件に抵触している場合(ステップS44のNo)、処理回路1111は、この治験薬が患者Aには不適合であると判定する(ステップS45)。
処理回路1111は、ステップS46において医療情報管理サーバ12から読み出した既往歴、及び各種検査値が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した用法情報に基づく条件を満たしているか否かを判定する(ステップS47)。患者Aの既往歴、及び各種検査値が用法情報に基づく条件を満たす場合(ステップS47のYes)、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した既往歴、及び各種検査値が、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した禁忌情報に基づく条件に抵触していないか否かを判定する(ステップS48)。患者Aの既往歴、及び各種検査値が用法情報に基づく条件を満たさない場合(ステップS47のNo)、処理回路1111は、この未承認薬が患者Aには不適合で有ると判定する(ステップS45)。
ステップS48において、患者Aの既往歴、及び各種検査値が禁忌情報に基づく条件に抵触していない場合(ステップS48のYes)、処理回路1111は、未承認薬が患者Aの身体条件と適合するとして身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。患者Aの既往歴、及び各種検査値が禁忌情報に基づく条件に抵触している場合(ステップS48のNo)、処理回路1111は、この未承認薬が患者Aには不適合であると判定する(ステップS45)。
図3の説明に戻り、処理回路1111は、ステップS34に示される身体条件適合判定において未承認薬が患者Aに適合すると判定すると、社会条件適合判定(ステップS35)を実行する。一方、処理回路1111は、ステップS34に示される身体条件適合判定において未承認薬が患者Aに不適合であると判定すると、薬剤リストに含まれる次の薬剤を設定する(ステップS36)。薬剤リストに次の薬剤が存在しない場合(ステップS37のNo)、患者Aについての適合判定を終了させる(ステップS39)。
処理回路1111は、図5に示される社会条件適合判定において、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へアクセスし、薬剤リストに掲載されている未承認薬が投与されたことのある取扱医療施設を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出す(ステップS51)。
処理回路1111は、医療情報管理サーバ12へアクセスし、患者Aと紐付いて記憶されている個人情報から、社会的情報、例えば、住所、通院時使用交通機関、及び経済的状況等を医療情報管理サーバ12から読み出す(ステップS52)。処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの社会的情報が社会的条件に適合するか否かを判定する(ステップS53)。具体的には、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した患者Aの住所と、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出した取扱医療施設との間の距離が、許容距離に収まっているか否かを判定する。また、処理回路1111は、医療情報管理サーバ12から読み出した経済的状況に医療費の未納実績があるか否かを判定する。医療費の未納がある患者は、未承認薬の重い自己負担に耐えられない蓋然性が高いからである。
社会的情報が社会的条件に適合する場合、すなわち、患者Aの住所と、取扱医療施設との間の距離が許容距離に収まっており、かつ、経済的状況に医療費の未納実績がない場合(ステップS53のYes)、処理回路1111は、治験薬が患者Aの社会的情報と適合するとして社会条件適合判定のサブルーチンを終了させる。社会的情報が社会的条件に適合しない場合、すなわち、患者Aの住所と、取扱医療施設との間の距離が許容距離に収まっておらず、又は、経済的状況に医療費の未納実績がある場合(ステップS53のNo)、処理回路1111は、この未承認薬が患者Aには不適合で有ると判定し(ステップS54)、身体条件適合判定のサブルーチンを終了させる。
図3の説明に戻り、処理回路1111は、ステップS35に示される社会条件適合判定において未承認薬が患者Aに適合すると判定すると、医療情報管理サーバ12に記憶されている紹介履歴情報を参照し、患者Aへこの未承認薬が非紹介となった実績がないか否かを判定する(ステップS38)。一方、処理回路1111は、ステップS35に示される社会条件適合判定において未承認薬が患者Aに不適合であると判定すると、ステップS36,S37を経て、患者Aについての適合判定を終了させる(ステップS39)。
ステップS38において、この未承認薬が患者Aへ非紹介となった実績がない場合(ステップS38のYes)、処理回路1111は、この未承認薬を選出する。そして、処理回路1111は、薬剤リストに含まれる次の薬剤がない場合、患者Aについての適合判定を終了させる(ステップS39)。
処理回路1111は、適合判定処理が終了し、この処理において、治験薬、及び/又は未承認薬が選出されると、提案情報作成機能1111cを実行する。提案情報作成機能1111cを実行すると処理回路1111は、選出された治験薬、及び/又は未承認薬に関する詳細な情報を治験薬/未承認薬情報管理サーバ20から読み出す。治験薬に関する詳細な情報には、例えば、治験薬名、治験薬の一般名、治験対象、副作用、前相での試験結果、治験実施医療機関名、用法・用量、及び作用機序等に関する情報が含まれる。未承認薬に関する詳細な情報には、例えば、有効成分名、企業名、効果・効能、承認国、取扱医療施設に関する情報が含まれる。処理回路1111は、読み出した情報に基づいて提案情報を作成する(ステップS310)。
このとき、処理回路1111は、提案情報において、情報の種類を複数に分けても構わない。例えば、処理回路1111は、提案情報の概要を表す概要情報と、提案情報に含まれる薬剤の詳細な情報を表す詳細情報とを作成する。処理回路1111は、例えば、治験薬については、治験薬名、治験対象、治験のフェーズ、及び治験実施医療機関名等を、未承認薬については、効果・効能、及び取扱医療施設等を概要情報とする。また、処理回路1111は、例えば、治験薬については、治験薬の一般名、作用機序、前相での試験結果、及び副作用等を、未承認薬については、有効成分名、製造企業名、及び承認国等を詳細情報とする。作成された提案情報は、記憶回路1113に記憶される。
処理回路1111は、図3乃至図5に示される処理を、医療情報管理サーバ12に記憶される患者に対して実施する。処理回路1111は、医療情報管理サーバ12に記憶される全ての患者に対して処理を実施してもよいし、医療情報管理サーバ12に記憶される患者のうち、所定の患者に処理を実施してもよい。
処理回路1111は、作成した提案情報を、例えば以下のように医師へ提案する。医師は、患者を診察する際、端末装置112を介して処理サーバ111へアクセスする。医師は、患者の氏名、及び患者ID等が整列された患者リストを処理サーバ111から取得する。医師は、患者リストから、次に診察する患者を指定し、電子カルテに関する情報の要求信号を入力する。処理サーバ111の処理回路1111は、要求信号を受信すると、指定された患者についての電子カルテに関する情報を記憶回路1113、又は医療情報管理サーバ12から読み出す。
処理回路1111は、要求信号を受信すると、提案機能1111dを実行する。提案機能1111dを実行すると処理回路1111は、指定された患者についての提案情報が記憶回路1113に記憶されているか否かを判定する。指定された患者についての提案情報が記憶回路1113に記憶されている場合、処理回路1111は、電子カルテに関する情報に、提案情報を含める。処理回路1111は、提案情報を含めた電子カルテ情報を端末装置112へ送信する。
端末装置112は、処理サーバ111から電子カルテ情報を受信すると、診療プラットフォーム画面に、患者情報、及び診療情報と、提案情報が存在することを表す情報とを表示する。図6は、端末装置112の表示例を表す模式図である。図6によれば、提案情報が存在する場合、電子カルテシステムの診療プラットフォーム画面F1における患者情報表示部F2上で、提案情報が存在することを通知する通知ボタンF21が点滅する。これにより、医師は、新たな情報が提案されていることを認識することが可能となる。
端末装置112は、例えば、通知ボタンF21が押下されることにより、提案情報の表示が要求されると、提案情報に含まれる概要情報を表示する。また、端末装置112は、概要情報を表示する共に、提案する薬剤を患者へ紹介するか否かを受け付けるアイコンを表示する。また、端末装置112は、提案する薬剤の詳細情報の要求を受け付けるためのアイコンを表示する。
図7は、端末装置112で表示される、治験薬についての概要情報の例を表す模式図である。図7によれば、概要表示画面F3に、治験薬の概要情報である治験薬名:「AAAA薬」、治験対象:「○○疾患」、治験のフェーズ:「第3相治験実施中」、負担者:「企業費用負担」、及び治験実施医療機関名:「○○県△△病院へ通院要」が表示される。また、概要表示画面F3には、AAAA薬の詳細情報を表示させるためのアイコンF31、AAAA薬を患者へ紹介する場合に押下するアイコンF32、及びAAAA薬を患者へ紹介しない場合に押下するアイコンF33が表示される。
端末装置112は、例えば、アイコンF31が押下されることにより、薬剤の詳細情報の表示が要求されると、提案情報に含まれる詳細情報を表示する。図8は、端末装置112で表示される、治験薬についての詳細情報の例を表す模式図である。図8によれば、詳細表示画面F4に、治験薬の詳細情報である一般名、作用機序、第1相、及び第2相試験の結果、並びに、副作用についての情報が表示される。医師は、概要情報、及び詳細情報を参照し、提案された薬剤、例えば、治験薬:AAAA薬を患者へ紹介するか否かを判断する。
提案された薬剤を患者へ紹介する場合、医師は、概要表示画面F3に表示されるアイコンF32を押下する。端末装置112は、アイコンF32が押下されると、表示している薬剤、例えば、治験薬:AAAA薬が患者へ紹介されたことを通知する通知信号を処理サーバ111へ送信する。
処理サーバ111の処理回路1111は、端末装置112から通知信号を受信すると、紹介情報作成機能1111eを実行する。紹介情報作成機能1111eを実行すると処理回路1111は、患者が診察された日付において、AAAA薬が患者へ紹介されたことを表す紹介情報を作成する。処理回路1111は、作成した紹介情報を医療情報管理サーバ12、及び治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へ送信する。
提案された薬剤を患者へ紹介しない場合、医師は、概要表示画面F3に表示されるアイコンF33を押下する。端末装置112は、アイコンF33が押下されると、薬剤を紹介しなかった理由を入力するための入力フォームを表示する。薬剤を紹介しなかった理由は、予め設けられている複数の理由の中から少なくとも1つを選択させてもよいし、任意の文字を入力させるようにしてもよい。図9は、端末装置112で表示される、非紹介の理由を入力するフォームF5の例を表す模式図である。図9では、治験薬:AAAA薬を紹介しなかった理由が、「患者費用負担が大きい」、「遠隔地のため治験通院不能」、「治験参加に同意できない」、及び「処方薬での治療を希望」から選択可能となっている。図9では、このうち、「遠隔地のため治験通院不能」が選択されている。なお、選択可能な理由の例は、これらの限定される訳ではない。
薬剤を紹介しなかった理由が入力されると、端末装置112は、表示している薬剤、例えば、治験薬:AAAA薬が患者へ紹介されなかったこと、及び紹介されなかった理由を通知する通知信号を処理サーバ111へ送信する。
処理サーバ111の処理回路1111は、端末装置112から通知信号を受信すると、紹介情報作成機能1111eを実行する。紹介情報作成機能1111eを実行すると処理回路1111は、患者が診察された日付において、通知された理由により、AAAA薬が患者へ紹介されなかったことを表す紹介情報を作成する。処理回路1111は、作成した紹介情報を医療情報管理サーバ12へ送信する。医療情報管理サーバ12では、紹介情報が紹介履歴情報として記憶される。
処理回路1111は、作成した紹介情報から、患者を特定できる情報を削除して匿名化する。処理回路1111は、匿名化した紹介情報を、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へ送信する。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20では、紹介情報が紹介履歴情報として記憶される。
治験薬/未承認薬情報管理サーバ20で記憶される匿名化された紹介履歴情報は、例えば、製薬企業における新薬開発に活用することが可能である。図10は、紹介履歴情報の活用の例を示す図である。図10では、治験実施施設、公共交通機関、及び患者の居住地の位置関係が模式的に表されている。エリア毎の数値は、非紹介となった患者の人数と、治験実施施設の立地による要因で非紹介となった患者の人数とを表している。図10によれば、薬剤の治験ニーズの地域的偏在を把握し、治験計画の改善に役立てることが可能となる。
図11は、紹介履歴情報の活用のその他の例を示す図である。図11では、経済的事情で紹介に至らなかったケースの経済的状況と未承認薬・治験薬の費用負担規模の相関を二次元にプロットしている。図11によれば、薬剤の適切な売価計画を策定することが可能となる。
以上のように、本実施形態では、処理サーバ111の処理回路1111は、医療情報管理サーバ12に記憶される、患者の個人情報及び患者医療情報と、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20に記憶される治験薬及び未承認薬に関する情報とに基づき、患者に適合した治験薬、及び/又は未承認薬を選出する。処理回路1111と接続する端末装置112は、医師が患者を診察する際に、選出した治験薬、及び/又は未承認薬を表示する。これにより、主治医は日々の診療を電子カルテシステム11の処理サーバ111に入力するだけで、患者に適合する治験薬及び未承認薬に関する情報を自動で提案されるようになる。
したがって、本実施形態に係る病院情報システムによれば、患者に適した新たな治療情報を、医師が診療時に患者へ提供できる。さらに、患者は主治医から、新たな薬剤についての最新の情報を紹介してもらえることになるため、最新の治療を受ける機会が得られることとなる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬に関する情報を、患者についての診察が開始される際に、電子カルテに関するデータと共に端末装置112へ送信する。そして、端末装置112は、患者についての電子カルテを表示する共に、選出した治験薬、及び/又は未承認薬が存在する旨を電子カルテ上に表示するようにしている。これにより、医師は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬の存在を診察開始時から認識しながら患者を診察することが可能となる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、患者の身体情報が、抽出された治験薬、及び/又は未承認薬を投与するための身体的条件を満たすか否かを判定する。また、処理回路1111は、患者の社会的情報が、抽出された治験薬、及び/又は未承認薬の投与を継続するための社会的条件を満たすか否かを判定する。これにより、患者へ継続的に投与可能な治験薬、及び/又は未承認薬を選出することが可能となる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬を実際に紹介したが否かを、医療情報管理サーバ12へ送信するようにしている。これにより、医療情報管理サーバ12に、患者へ紹介した治験薬、及び/又は未承認薬についての情報を蓄積することが可能となる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、医療情報管理サーバ12を参照することで、選出した治験薬、及び/又は未承認薬が、過去に非紹介となった経歴があるか否かを判定する。そして、処理回路1111は、同一の患者に対して非紹介となった経歴のある薬剤を、この患者への紹介対象からは外すようにしている。これにより、紹介情報は、次回以降の紹介に対するフィードバックとなる。つまり、電子カルテシステム11を使い込む程、より適切な情報を入手出来るようになる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬を実際に紹介したが否か、及び紹介していない場合は非紹介の理由を、医療情報管理サーバ12へ送信するようにしている。これにより、医療情報管理サーバ12では、治験薬、及び/又は未承認薬が非紹介となった理由を解析することが可能となる。
また、処理サーバ111の処理回路1111は、選出した治験薬、及び/又は未承認薬を実際に紹介したが否か、及び紹介していない場合は非紹介の理由を、匿名化して治験薬/未承認薬情報管理サーバ20へ送信するようにしている。これにより、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20では、治験薬、及び/又は未承認薬が非紹介となった理由を解析することが可能となる。つまり、製薬企業等における治験計画の効率的な策定に貢献することが可能となる。
また、本実施形態では、医療情報管理サーバ12は、電子カルテシステム11、医事会計システム13、放射線部門システム14、臨床検査部門システム15、医用画像管理システム16、及び画像検査機器17へ定期的にアクセスし、アクセスしたシステム、及び装置から、患者についての個人情報、及び患者医療情報を取得する。そして、医療情報管理サーバ12は、取得した情報を患者毎に紐付けて記憶するようにしている。これにより、医療情報管理サーバ12において、患者についての種々の情報が蓄積されることになる。
また、本実施形態では、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、国内保健機関30、製薬企業40、海外保健機関50、及び医療機関60へアクセスし、アクセス先の機関、及び企業から、治験薬及び未承認薬に関する情報を取得する。そして、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は取得した情報を薬剤毎に紐付けて記憶するようにしている。これにより、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20において、治験、及び未承認薬に関する種々の情報が蓄積されることになる。
なお、上記実施形態では、治験薬/未承認薬情報管理サーバ20が病院情報システム10の外に設けられている場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。治験薬/未承認薬情報管理サーバ20は、図12で示されるように、病院情報システム10aに含まれていても構わない。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路1113に保存された薬剤提案選出プログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路1113に薬剤提案選出プログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内に薬剤提案選出プログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれた薬剤提案選出プログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記実施形態に記載のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。