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JP2019071400A - 半導体装置、表示装置、および半導体装置の作製方法 - Google Patents

半導体装置、表示装置、および半導体装置の作製方法 Download PDF

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JP2019071400A
JP2019071400A JP2017230613A JP2017230613A JP2019071400A JP 2019071400 A JP2019071400 A JP 2019071400A JP 2017230613 A JP2017230613 A JP 2017230613A JP 2017230613 A JP2017230613 A JP 2017230613A JP 2019071400 A JP2019071400 A JP 2019071400A
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俊光 生内
Toshimitsu Ubunai
俊光 生内
泰靖 保坂
Hiroyasu Hosaka
泰靖 保坂
光男 増山
Mitsuo Masuyama
光男 増山
俊克 國井
Toshikatsu Kunii
俊克 國井
寛暢 高橋
Hironobu Takahashi
寛暢 高橋
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Kenichi Okazaki
健一 岡崎
山崎 舜平
Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
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Abstract

【課題】電気特性の良好な半導体装置を提供する。【解決手段】導電層112と絶縁層110との間に、バリア性の高い金属酸化物層114が設けられているため、導電層にアルミニウムや銅などの酸素を吸引しやすい金属を用いた場合であっても、絶縁層から導電層へ酸素が拡散することを防ぐことができる。また、導電層が水素を含む場合であっても、導電層から絶縁層を介して半導体層108へ水素が供給されることが抑制される。その結果、半導体層108のチャネル形成領域である領域108iのキャリア密度を低減することができる。また、半導体層108とゲート電極として機能する導電層との間に、酸化アルミニウム膜や酸化ハフニウム膜など、窒素を主成分として含まない金属酸化物膜を用いる構成とすることができる。そのため、金属酸化物層114を、膜中に準位を形成しうる窒素酸化物の含有量が極めて少ない構成とすることができる。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、半導体装置及びその作製方法に関する。本発明の一態様は、表示装置およびその作製方法に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
トランジスタに適用可能な半導体材料として、金属酸化物を用いた酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1では、複数の酸化物半導体層を積層し、当該複数の酸化物半導体層の中で、チャネルとなる酸化物半導体層がインジウム及びガリウムを含み、且つインジウムの割合をガリウムの割合よりも大きくすることで、電界効果移動度(単に移動度、またはμFEという場合がある)を高めた半導体装置が開示されている。
半導体層に用いることのできる金属酸化物は、スパッタリング法などを用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、多結晶シリコンや非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、金属酸化物を用いたトランジスタは、非晶質シリコンを用いた場合に比べて高い電界効果移動度を有するため、表示部と駆動回路を一体形成した高機能の表示装置を実現できる。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタとして、セルフアライン構造のトランジスタが提案されている。当該セルフアライン構造のトランジスタとして、ソース領域及びドレイン領域上に金属膜を形成し、当該金属膜に対して熱処理を行うことで、金属膜を高抵抗化させるとともに、ソース領域およびドレイン領域を低抵抗化させる方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開2014−7399号公報 特開2011−228622号公報
特許文献2においては、ソース領域およびドレイン領域を低抵抗化させる際に、ソース領域およびドレイン領域上に金属膜を形成し、当該金属膜に対して酸素雰囲気下で熱処理を行っている。熱処理を行うことで、酸化物半導体膜のソース領域およびドレイン領域中には金属膜の構成元素がドーパントとして入り込んで、低抵抗化させている。また、酸素雰囲気下で熱処理を行うことで、導電膜を酸化させ、当該導電膜を高抵抗化させている。ただし、酸素雰囲気下で熱処理を行っているため、酸化物半導体膜中から金属膜が酸素を引き抜く作用が低い。
また、特許文献2においては、チャネル形成領域の酸素濃度については記載されているが、水、水素などの不純物の濃度については、言及されていない。すなわち、チャネル形成領域の高純度化(水、水素などの不純物の低減化、代表的には脱水・脱水素化)が行われていないため、ノーマリーオンのトランジスタ特性となりやすいといった問題があった。なお、ノーマリーオンのトランジスタ特性とは、ゲートに電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れてしまう状態のことである。一方でノーマリーオフのトランジスタ特性とは、ゲートに電圧を印加しない状態では、トランジスタに電流が流れない状態である。
上述の問題に鑑み、本発明の一態様は、トランジスタのソース領域およびドレイン領域を安定して低抵抗化させるとともに、チャネル形成領域を高純度化させることで良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。
本発明の一態様は、電気特性の良好な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、電気特性の安定した半導体装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い半導体装置または表示装置を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
本発明の一態様は、金属酸化物層を有する半導体装置であって、金属酸化物層は、第1の金属元素、および第2の金属元素を有し、金属酸化物層は、第1の領域、および第2の領域を有し、第1の領域上の第1の絶縁層と、第1の絶縁層上の導電体と、第1の絶縁層、導電体、および第2の領域を覆うように設けられた第1の層と、を有し、第2の領域と、第1の層との界面近傍において、第3の領域が設けられており、第3の領域における第1の金属元素の濃度は、第2の領域における金属元素の濃度よりも大きい半導体装置である。
上記において、第1の金属元素は、Inであり、第2の金属元素は、Ga、Sn、及びZnの中から選ばれるいずれか一または複数であることが好ましい。
本発明の一態様は、金属酸化物層を有する半導体装置であって、金属酸化物層は、第1の金属元素、第2の金属元素、および第3の金属元素を有し、金属酸化物層は、第1の領域、および第2の領域を有し、第1の領域上の第1の絶縁層と、第1の絶縁層上の導電体と、第1の絶縁層、導電体、および第2の領域を覆うように設けられた第1の層と、を有し、第2の領域と、第1の層との界面近傍において、第3の領域が設けられており、第3の領域における第1の金属元素の濃度は、第2の領域における金属元素の濃度よりも大きい半導体装置である。
上記において、第1の金属元素は、Inであり、第2の金属元素は、Gaであり、第3の金属元素は、Znであることが好ましい。
上記において、Inの原子数比は、Gaの原子数比よりも大きいことが好ましい。
上記において、第1の層は、アルミニウムを有することが好ましい。
上記において、第1の層は、窒化アルミニウムを有することが好ましい。
上記において、第2の領域は、第1の領域よりも低抵抗であることが好ましい。
上記において、金属酸化物層は、結晶性を有することが好ましい。
上記において、金属酸化物層は、結晶部を有し、結晶部は、c軸配向性を有することが好ましい。
本発明の一態様により、トランジスタのソース領域およびドレイン領域を安定して低抵抗化させるとともに、チャネル形成領域を高純度化させることで良好な電気特性を有する半導体装置を提供することが可能となる。
また、本発明の一態様により、電気特性の良好な半導体装置を提供できる。または、電気特性の安定した半導体装置を提供できる。または、信頼性の高い半導体装置または表示装置を提供できる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
トランジスタの構成例。 トランジスタの構成例。 トランジスタの構成例。 トランジスタ及び容量素子等の構成例。 トランジスタ及び容量素子等の作製方法を説明する図。 トランジスタ及び容量素子等の作製方法を説明する図。 トランジスタ及び容量素子等の作製方法を説明する図。 表示装置の上面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置のブロック図及び回路図。 表示装置のブロック図。 電気機器を説明する図。 表示モジュールの構成例。 電子機器の構成例。 電子機器の構成例。 テレビジョン装置の構成例。 本実施例における試料の抵抗率および透過率を説明する図。 本実施例における試料のXPSスペクトル。 本実施例における試料のXPSスペクトル。 本実施例における試料のシート抵抗を説明する図。 本実施例における試料のg値1.93のESRシグナルを説明する図。 本実施例における試料のXPSスペクトル。
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例、およびその作製方法例について説明する。以下で例示する半導体装置は、特に表示装置の画素部または駆動回路部に好適に用いることができる。
本発明の一態様は、被形成面上に、チャネルが形成される半導体層と、半導体層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にゲート電極と、を有するトランジスタである。半導体層は、半導体特性を示す金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を含んで構成される。以下では、半導体層を第1の金属酸化物層と言う場合がある。
ゲート電極とゲート絶縁層とは、それぞれ上面形状が概略一致していることが好ましい。言い換えると、ゲート電極とゲート絶縁層とは、側面が連続するように加工されていることが好ましい。例えば、ゲート絶縁層となる絶縁膜と、ゲート電極となる導電膜を積層した後に、同じエッチングマスクを用いて連続して加工することで形成することができる。または、先に加工したゲート電極をハードマスクとして当該絶縁膜を加工することゲート絶縁層を形成してもよい。
ここで、半導体層のゲート電極及びゲート絶縁層と重畳する領域を第1の領域、これらと重畳しない領域を第2の領域としたとき、第1の領域は、チャネル形成領域として機能し、第2の領域はソース領域またはドレイン領域として機能する。このとき、第2の領域は、第1の領域よりも低抵抗であることが望まれる。
本発明の一態様は、半導体層上にゲート絶縁層とゲート電極を形成した後に、半導体層の第2の領域を覆って第1の層を形成し、加熱処理を施すことにより、第2の領域を低抵抗化させる。また、第1の層の形成の際、あるいは加熱処理により、半導体層に含まれる金属元素を第1の層の近傍に析出させる。ここで、金属元素の析出とは、半導体層内において、金属元素と結合する酸素原子が、第1の層に移動することで、金属元素が析出する場合を含む。半導体層、および第1の層における酸素原子や、金属元素の存在比や濃度は、X線光電子分光法(XPS)や、エネルギー分散型X線分光法(EDX)などの分析手法を用いることができる。例えば、半導体層に含まれる金属元素に対して酸素原子の量が相対的に減少すれば、半導体層において、金属元素の濃度は増加したとみなすことができる。
第1の層としては、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、及びルテニウムなどの金属元素の少なくとも一を含む膜を用いることができる。特に、アルミニウム、チタン、タンタル、及びタングステンの少なくとも一を含むことが好ましい。または、これら金属元素を少なくとも一を含む窒化物、またはこれら金属元素の少なくとも一を含む酸化物を好適に用いることができる。特に、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜、窒化アルミニウムチタン膜などの窒化物膜、酸化アルミニウムチタン膜などの酸化物膜などを好適に用いることができる。または、第1の層として、シリコンを含む窒化物を用いることができる。例えば、シリコンを含む窒化物として、窒化シリコン膜を用いることができる。
特に、窒化アルミニウム膜は、絶縁性を有し、かつ可視光に対する透過率が高いため、本実施の形態の半導体装置をELディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置に用いる場合、第1の層として窒化アルミニウム膜を用いることは好適である。第1の層として、窒化アルミニウム膜を用いる場合、組成式がAlN(xは0より大きく2以下の実数)を満たす膜を用いることが好ましい。
また、加熱処理の温度は高いほど第2の領域の低抵抗化が促進されるため好ましい。加熱処理の温度は、ゲート電極の耐熱性などを考慮して決定すればよい。例えば、200℃以上500℃以下、好ましくは250℃以上450℃以下、より好ましくは300℃以上400℃以下の温度とすることができる。例えば加熱処理の温度を350℃程度とすることで、大型のガラス基板を用いた生産設備で歩留り良く半導体装置を生産することができる。
第1の層の厚さとしては、例えば0.5nm以上40nm以下、好ましくは3nm以上30nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下とすることができる。代表的には、5nm程度、または約20nm程度とすることができる。第1の層は、数nm(具体的には、0.5nm以上10nm以下)と薄い場合であっても、十分に金属酸化物膜を低抵抗化できる。
一方、第1の層は、水素を透過しにくい材料(水素ブロック性を有する材料)を用いることが好ましい。これにより、半導体層の上方から半導体層中への水素の混入や拡散を抑制することができる。また、第1の層は、酸素を透過しにくい材料(酸素ブロック性を有する材料)を用いることが好ましい。これにより、半導体層から酸素の脱離を抑制でき、半導体層中に酸素を閉じ込めることができる。よって、第1の層の膜厚は、金属酸化物膜の低抵抗化、水素ブロック性、および酸素ブロック性を考慮して決定すればよい。
第2の領域は、第1の領域よりも抵抗が低いため、低抵抗領域とも呼ぶことができる。また、チャネル形成領域となる第1の領域よりもキャリア密度の高い領域とすることが重要である。例えば低抵抗領域は、チャネル形成領域よりも水素を多く含む領域、または、チャネル形成領域よりも酸素欠損を多く含む領域とすることができる。酸化物半導体中の酸素欠損と水素原子とが結合すると、キャリアの発生源となる。
第2の領域に第1の層を接して設けた状態で、加熱処理を行うことで、第2の領域中の酸素が第1の層に吸引され、第2の領域中に酸素欠損を多く形成することができる。これにより、極めて低抵抗な第2の領域を形成することができる。
このように形成された第2の領域のシート抵抗は、1000Ω/square(Ω/sq.)以下が好ましく、500Ω/sq.以下がより好ましい。
このように形成された第2の領域は、後の処理で高抵抗化しにくいといった特徴を有する。例えば、酸素を含む雰囲気下での加熱処理や、酸素を含む雰囲気下での成膜処理などを行っても、第2の領域の導電性が損なわれる恐れがないため、電気特性が良好で、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
ここで、上述した金属酸化物膜の低抵抗化の手法を適用することにより、容量素子の一方の電極を同時に作製することができる。以下、容量素子の電極の作製方法について説明する。
まず、第1の金属酸化物層と同一面上に、第2の金属酸化物層を形成する。第2の金属酸化物層は、第1の金属酸化物層と同じ金属酸化物膜を加工して形成すると工程が増えないため好ましい。続いて、第1の層の形成時に、これを第2の金属酸化物層に接して形成し、加熱処理を経ることで、低抵抗化された第2の金属酸化物層を形成することができる。また、第2の金属酸化物層においても、第1の層の近傍に、金属酸化物層に含まれる金属元素が析出される場合がある。
容量素子の他方の電極は、トランジスタを構成する導電層と同一の導電膜を加工して形成された導電層を好適に用いることができる。例えば容量素子の他方の電極は、トランジスタのソース電極、ドレイン電極、第2のゲート電極などと同一の導電膜を加工して形成することができる。
ここで、トランジスタのソース電極またはドレイン電極と同一の導電膜を加工して、容量素子の他方の電極を形成した場合、一対の電極の間に絶縁性の第1の層を設けることができる。例えば上述した窒化アルミニウム膜等は、絶縁性が高く、且つ比較的誘電率の高い材料であるため、容量素子の誘電体に好適に用いることが可能となる。
以上のように、本発明の一態様では、トランジスタと容量素子を同一の工程により作製することができる。例えば、液晶素子または発光素子を備える表示装置の画素部や駆動回路部に、当該トランジスタと容量素子を好適に適用することができる。これにより、信頼性の高い表示装置を実現できる。
以下では、より具体的な例について図面を参照して説明する。
[構成例1]
図1(A)は、トランジスタ100の上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す一点鎖線A1−A2における切断面の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線B1−B2における切断面の断面図に相当する。なお、図1(A)において、トランジスタ100の構成要素の一部(ゲート絶縁層等)を省略して図示している。また、一点鎖線A1−A2方向をチャネル長方向、一点鎖線B1−B2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。また、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図1(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
トランジスタ100は、絶縁層104、半導体層108、絶縁層110、金属酸化物層114、導電層112、第1の層116、絶縁層118等を有する。半導体層108は、絶縁層104上に設けられる。絶縁層110、金属酸化物層114、及び導電層112は、この順に半導体層108上に積層されている。第1の層116は、絶縁層104、半導体層108の上面及び側面、絶縁層110の側面、金属酸化物層114の側面、及び導電層112の上面及び側面を覆って設けられている。絶縁層118は、第1の層116を覆って設けられている。
導電層112の一部は、ゲート電極として機能する。絶縁層110の一部は、ゲート絶縁層として機能する。トランジスタ100は、半導体層108上にゲート電極が設けられる、いわゆるトップゲート型のトランジスタである。
半導体層108は、金属酸化物を含むことが好ましい。半導体層108は、絶縁層110と接する領域108iと、領域108iを挟む一対の領域108nと、を有する。領域108nは、第1の層116が接して設けられている。
半導体層108の、導電層112と重畳する領域108iは、トランジスタ100のチャネル形成領域として機能する。一方、領域108nは、領域108iより抵抗が低く、トランジスタ100のソース領域またはドレイン領域として機能する。
また、導電層112、金属酸化物層114、及び絶縁層110は、上面形状が互いに概略一致している。
なお、本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置することや、上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という。
第1の層116は、半導体層108の領域108nに接して設けられる。また、図1(B)に示すように、第1の層116は、半導体層108と導電層112の両方に接するため、第1の層116は絶縁性を有していることが好ましい。
第1の層116としては、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、及びルテニウムなどの金属元素の少なくとも一を含む膜を用いることができる。特に、アルミニウム、チタン、タンタル、及びタングステンの少なくとも一を含むことが好ましい。例えば、これら金属元素を少なくとも一を含む窒化物、またはこれら金属元素の少なくとも一を含む酸化物を好適に用いることができる。特に、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜、窒化アルミニウムチタン膜などの窒化物膜、酸化アルミニウムチタン膜などの酸化物膜などを好適に用いることができる。または、第1の層116として、シリコンを含む窒化物を用いることができる。例えば、シリコンを含む窒化物として、窒化シリコン膜を用いることができる。
例えば第1の層116として、窒化アルミニウム膜を用いる場合には、組成式がAlN(xは0より大きく2以下の実数)を満たす膜を用いることが好ましい。
また、例えば窒化チタン膜を用いる場合には、組成式がTiN(xは0より大きく2以下の実数)を満たす膜を用いることが好ましい。また、窒化アルミニウムチタン膜を用いる場合、組成式がAlTiN(xは0より大きく3以下の実数)、または組成式がAlTi(xは0より大きく2以下の実数、yは0より大きく4以下の実数)を満たす膜を用いることが好ましい。
領域108nは、半導体層108の一部であり、チャネル形成領域である領域108iよりも低抵抗な領域である。また領域108nは、領域108iよりもキャリア密度が高い領域、酸素欠陥密度の高い領域、窒素濃度の高い領域、n型である領域、または水素濃度の高い領域である。また、領域108nには、第1の層116を構成する金属元素が拡散している場合がある。また、図3は、図1(B)において点線で囲んだ領域150を拡大した図である。図3に示すように、領域108nの、第1の層116との近傍に示す領域115において、半導体層108に含まれる金属元素が析出している。例えば、半導体層108として、後述するIn、Ga、Znを含む金属酸化物など、In、M、Znを含む金属酸化物(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)を用いる場合、領域115には、Inが析出される。または、In以外にも、Zn、およびMで表記される金属の一、または複数が析出される場合もある。
なお、図3において、領域115は、領域108nの一部として図示しているが、領域115は、領域108nと、第1の層116の間に設けられていてもよい。また、領域115は、領域108n側に設けられてもよいし、第1の層116側に設けられてもよいし、領域108n、および第1の層116の両方に設けられていてもよい。すなわち、領域115は、領域108nと、第1の層116との界面近傍に設けられると表現することができる。なお、領域115は、層状に存在することが好ましい。一方、領域115は、島状、あるいは点状に存在してもよい。領域115の厚さは、0.1nm以上10nm以下、好ましくは、0.1nm以上5nm以下、より好ましくは0.1nm以上3nm以下であればよく、領域108nと、第1の層116との界面において、必ずしも一定の膜厚で存在するとは限らない。領域115は領域108nと比較して、金属元素の濃度が大きいため、領域108nよりも低抵抗になる場合がある。
なお、金属元素の析出とは、半導体層108内において、金属元素と結合する酸素原子が、第1の層116に移動することで、金属元素が析出する場合を含む。半導体層108、および第1の層116における酸素原子や、金属元素の存在比や濃度は、X線光電子分光法(XPS)や、エネルギー分散型X線分光法(EDX)などの分析手法を用いることができる。例えば、半導体層108に含まれる金属元素に対して酸素原子の量が相対的に減少すれば、半導体層108において、金属元素の濃度は増加したとみなすことができる。
また、図1(A)、(B)に示すように、トランジスタ100は、絶縁層118上に導電層120a及び導電層120bを有していてもよい。導電層120a及び導電層120bはソース電極またはドレイン電極として機能する。導電層120a及び導電層120bは、それぞれ第1の層116、及び絶縁層118に設けられた開口部141aまたは開口部141bを介して、領域108nに電気的に接続される。
絶縁層104、およびゲート絶縁層として機能する絶縁層110の一方、または双方は、酸素を有することが好ましい。絶縁層104、または絶縁層110が酸素を有することで、半導体層108中に酸素を供給することができる。よって、半導体層108中に形成されうる酸素欠損を酸素により補填する場合があり、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
絶縁層110と導電層112の間に位置する金属酸化物層114は、絶縁層110から放出される酸素が導電層112側に拡散することを防ぐバリア膜として機能する。金属酸化物層114は、例えば少なくとも絶縁層110よりも酸素を透過しにくい材料を用いることができる。
本構成では、導電層112と絶縁層110との間に、バリア性の高い金属酸化物層114が設けられているため、導電層112にアルミニウムや銅などの酸素を吸引しやすい金属を用いた場合であっても、絶縁層110から導電層112へ酸素が拡散することを防ぐことができる。また、導電層112が水素を含む場合であっても、導電層112から絶縁層110を介して半導体層108へ水素が供給されることが抑制される。その結果、半導体層108のチャネル形成領域である領域108iのキャリア密度を低減することができる。
金属酸化物層114としては、絶縁性材料または導電性材料を用いることができる。金属酸化物層114が絶縁性を有する場合には、ゲート絶縁層の一部として機能する。一方、金属酸化物層114が導電性を有する場合には、ゲート電極の一部として機能する。
特に、金属酸化物層114として、酸化シリコンよりも誘電率の高い絶縁性材料を用いることが好ましい。特に、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、またはハフニウムアルミネート膜等を用いることが好ましい。
また、半導体層108とゲート電極として機能する導電層112との間に、酸化アルミニウム膜や酸化ハフニウム膜など、窒素を主成分として含まない金属酸化物膜を用いる構成とすることができる。そのため、金属酸化物層114を、膜中に準位を形成しうる窒素酸化物(NO、xは0よりも大きく2以下、好ましくは1以上2以下、代表的にはNOまたはNO)の含有量が極めて少ない構成とすることができる。これにより、電気特性及び信頼性に優れたトランジスタを実現できる。
酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、及びハフニウムアルミネート膜等は、膜厚が薄い(例えば厚さ5nm程度)場合でも十分に高いバリア性を有するため、薄く形成することが可能で、生産性を向上させることができる。例えば金属酸化物層114の厚さを、1nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上30nmとすることができる。さらに、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及びハフニウムアルミネート膜は、酸化シリコン膜等よりも誘電率が高い特徴を有する。このように金属酸化物層114として、誘電率が高い絶縁膜を薄く形成できるため、酸化シリコン膜等を用いた場合に比べて、半導体層108にかかるゲート電界の強度を高めることができる。その結果、駆動電圧を低くすることができ、消費電力を低減することができる。
また、金属酸化物層114は、スパッタリング装置を用いて形成すると好ましい。例えば、スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成する場合、酸素ガスを含む雰囲気で形成することで、半導体層108中に好適に酸素を添加することができる。また、スパッタリング装置を用いて、酸化アルミニウム膜を形成する場合、膜密度を高めることができるため好適である。
また、金属酸化物層114として導電性材料を用いる場合には、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物などの酸化物導電性材料を用いることができる。または、半導体層108に用いることのできる、上述した金属酸化物を適用してもよい。特に、半導体層108と同じ元素を含む材料を用いることが好ましい。このとき、例えば半導体層108と同じ金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成すると、成膜装置を共有できるため好ましい。
また、金属酸化物層114は、水や水素が拡散しにくいことが好ましい。これにより、導電層112が水や水素を拡散しやすい材料を用いた場合であっても、絶縁層110や半導体層108に水や水素が拡散することを防ぐことができる。特に、酸化アルミニウム膜や酸化ハフニウム膜は、水や水素に対するバリア性が高いため好ましい。
また、第1の層116は、半導体層108において、低抵抗領域として機能する領域108nを形成する機能、および領域115に金属元素を析出する機能を有するだけでなく、水素や酸素の透過を抑制する機能を有することが好ましい。これにより、工程中にかかる熱などにより、第1の層116の上方から半導体層108への水素の混入を抑制し、半導体層108、絶縁層110等から酸素の脱離、および絶縁層118側への拡散を抑制することができる。そのため、チャネル形成領域として機能する領域108iのキャリア密度が増大することを防ぐことができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
第1の層116と、金属酸化物層114を設けることにより、半導体層108のチャネル形成領域として機能する領域108iのキャリア密度をより効果的に低減することができる。
ここで、半導体層108、及び半導体層108中に形成されうる酸素欠損について説明を行う。
半導体層108に形成される酸素欠損は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。例えば、半導体層108中に酸素欠損が形成されると、該酸素欠損に水素が結合し、キャリア供給源となりうる。半導体層108中にキャリア供給源が生成されると、トランジスタ100の電気特性の変動、代表的にはしきい値電圧のシフトが生じる。したがって、半導体層108においては、酸素欠損が少ないほど好ましい。
そこで、本発明の一態様における半導体装置は、半導体層108近傍の絶縁膜、具体的には、半導体層108の下方に形成される絶縁層104が、酸素を含有する構成である。絶縁層104から半導体層108へ酸素を移動させることで、半導体層108中の酸素欠損を低減することが可能となる。
なお、半導体層108の上方に位置する絶縁層110が、酸素を含有していてもよい。このとき、絶縁層110からも半導体層108へ酸素を移動させることで、半導体層108の酸素欠損をより低減する場合がある。
半導体層108は、金属酸化物を含むことが好ましい。例えば半導体層108は、Inと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、Znと、を有すると好ましい。特にMはAl、Ga、Y、またはSnとすることが好ましい。
特に、半導体層108として、In、Ga、及びZnを含む酸化物を用いることが好ましい。
また、半導体層108は、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有すると好ましい。Inの原子数比が多いほど、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。
ここで、In、Ga、Znを含む金属酸化物の場合、Inと酸素の結合力は、Gaと酸素の結合力よりも弱いため、Inの原子数比が大きい場合には、金属酸化物膜中に酸素欠損が形成されやすい。また、Gaに代えて、上記Mで示す金属元素を用いた場合でも同様の傾向がある。金属酸化物膜中に酸素欠損が多く存在すると、トランジスタの電気特性の低下や、信頼性の低下が生じる。
しかしながら本発明の一態様では、金属酸化物を含む半導体層108中に極めて多くの酸素を供給できるため、Inの原子数比の大きな金属酸化物材料を用いることが可能となる。これにより、極めて高い電界効果移動度と、安定した電気特性と、高い信頼性とを兼ね備えたトランジスタを実現することができる。
例えば、Inの原子数比が、Mの原子数比に対して1.5倍以上、または2倍以上、または3倍以上、または3.5倍以上、または4倍以上である金属酸化物を、好適に用いることができる。
特に、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍とすることが好ましい。ここで近傍とは、Inが5の場合、Mが0.5以上1.5以下であり、且つZnが5以上7以下を含む。
なお、半導体層108は、上記の組成に限定されない。例えば、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍、またはIn:M:Zn=3:1:2またはその近傍とすると好ましい。
また、半導体層108の組成として、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を概略等しくしてもよい。すなわち、In、M、及びZnの原子数の比が、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍、またはIn:M:Zn=1:1:0.5またはその近傍の材料を含んでいてもよい。
また、半導体層108に用いる金属酸化物は、さらに窒素を含んでいてもよい。このとき、金属酸化物に含まれる窒素の濃度は、0.1atomic%以上10atomic%以下、好ましくは、0.1atomic%以上2.5atomic%以下、より好ましくは0.1atomic%以上1atomic%未満であることが好ましい。窒素を含む金属酸化物は、特別な低抵抗化処理を行わない限り低抵抗化しにくいため、チャネル形成領域に好適に用いることができる。このような窒素を含む金属酸化物は、成膜ガスとして窒素を含むガスを用いることで形成することができる。また、窒素を含む金属酸化物は、上述したCAAC構造を有することが好ましい。
半導体層108が、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有することで、トランジスタ100の電界効果移動度を高くすることができる。具体的には、トランジスタ100の電界効果移動度が10cm/Vsを超える、さらに好ましくはトランジスタ100の電界効果移動度が30cm/Vsを超えることが可能となる。
例えば、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ゲート信号を生成するゲートドライバに用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、表示装置が有するソースドライバ(特に、ソースドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
なお、半導体層108が、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有していても、半導体層108の結晶性が高い場合、電界効果移動度が低くなる場合がある。
半導体層108の結晶性としては、例えば、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)を用いて分析する、あるいは、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて分析することで解析できる。
ここで、半導体層108に混入する水素または水分などの不純物は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。したがって、半導体層108においては、水素または水分などの不純物が少ないほど好ましい。
半導体層108としては、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い金属酸化物膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該金属酸化物膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
また、半導体層108が、2層以上の積層構造を有していてもよい。
例えば、組成の異なる2以上の金属酸化物膜を積層した半導体層108を用いることができる。
例えば、In−Ga−Zn酸化物を用いた場合に、In、M、及びZnの原子数の比が、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:0.5、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:2、またはそれらの近傍であるスパッタリングターゲットで形成する膜のうち、2以上を積層して用いることが好ましい。
また、結晶性の異なる2以上の金属酸化物膜を積層した半導体層108を用いることができる。
例えば、結晶性の異なる2つの金属酸化物膜を積層した半導体層108とする場合、同じ酸化物ターゲットを用い、成膜条件を異ならせることで、大気に触れることなく連続して形成されることが好ましい。
例えば、先に形成する第1の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比を、後に形成する第2の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比よりも小さくする。または、第1の金属酸化物膜の成膜時に、酸素を流さない条件とする。これにより、第2の金属酸化物膜の成膜時に、酸素を効果的に供給することができる。また、第1の金属酸化物膜は第2の金属酸化物膜よりも結晶性が低く、電気伝導性の高い膜とすることができる。一方、上部に設けられる第2の金属酸化物膜を第1の金属酸化物膜よりも結晶性の高い膜とすることで、半導体層108の加工時や、絶縁層110の成膜時のダメージを抑制することができる。例えば、第1の金属酸化物膜にCAC−OS膜を用い、第2の金属酸化物膜にCAAC−OS膜を用いることができる。
より具体的には、第1の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比を、0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。また第2の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比を、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。また、第1の金属酸化物膜と第2の金属酸化物膜とで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、酸素流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。
半導体層108をこのような積層構造とすることで、電気特性に優れ、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
以上が、構成例1についての説明である。
以下では、上記構成例1と一部の構成が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、以下では、上記構成例1と重複する部分は説明を省略する場合がある。また、以下で示す図面において、上記構成例1と同様の機能を有する部分についてはハッチングパターンを同じくし、符号を付さない場合もある。
[構成例2]
図2(A)は、トランジスタ100Aの上面図であり、図2(B)はトランジスタ100Aのチャネル長方向の断面図であり、図2(C)はトランジスタ100Aのチャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ100Aは、基板102と絶縁層104との間に導電層106を有する点で、構成例1と主に相違している。導電層106は、絶縁層104を介して半導体層108と重畳する部分を有する。
トランジスタ100Aにおいて、導電層106は、第1のゲート電極(ボトムゲート電極ともいう)としての機能を有し、導電層112は、第2のゲート電極(トップゲート電極ともいう)としての機能を有する。また、絶縁層104の一部は第1のゲート絶縁層として機能し、絶縁層110の一部は、第2のゲート絶縁層として機能する。
半導体層108の、導電層112及び導電層106の少なくとも一方と重畳する部分は、チャネル形成領域として機能する。なお、以下では説明を容易にするため、半導体層108の導電層112と重畳する部分(領域108iに相当する部分)をチャネル形成領域と呼ぶ場合があるが、実際には導電層112と重畳せずに、導電層106と重畳する部分(領域108nに相当する部分)にもチャネルが形成しうる。
また、図2(C)に示すように、導電層106は絶縁層104及び絶縁層110に設けられた開口部142を介して、導電層112と電気的に接続されていてもよい。これにより、導電層106と導電層112には、同じ電位を与えることができる。
導電層106は、導電層112、導電層120a、または導電層120bと同様の材料を用いることができる。特に導電層106として、銅を含む材料により形成することで抵抗を低くすることができるため好適である。
また、図2(A)、(C)に示すように、チャネル幅方向において、導電層112及び導電層106が、半導体層108の端部よりも外側に突出していることが好ましい。このとき、図2(C)に示すように、半導体層108のチャネル幅方向の全体が、絶縁層110と絶縁層104を介して、導電層112と導電層106に覆われた構成となる。
このような構成とすることで、半導体層108を一対のゲート電極によって生じる電界で、電気的に取り囲むことができる。このとき特に、導電層106と導電層112に同じ電位を与えることが好ましい。これにより、半導体層108にチャネルを誘起させるための電界を効果的に印加できるため、トランジスタ100Aのオン電流を増大させることができる。そのため、トランジスタ100Aを微細化することも可能となる。
なお、導電層112と導電層106とを接続しない構成としてもよい。このとき、一対のゲート電極の一方に定電位を与え、他方にトランジスタ100Aを駆動するための信号を与えてもよい。このとき、一方の電極に与える電位により、トランジスタ100Aを他方の電極で駆動する際のしきい値電圧を制御することもできる。
以上が構成例2についての説明である。
以下では、上記構成例における半導体層108と同一面上に形成され、低抵抗化された金属酸化物層を容量素子の一方の電極に適用した場合の構成例について説明する。
[容量素子の構成例1]
図4(A)には、構成例1で例示したトランジスタ100と、これと同一の工程で形成しうる容量素子130Aの断面図を示す。
容量素子130Aは、一方の電極として機能する金属酸化物層108Cと、他方の電極として機能する導電層120bと、これらの間に位置し、誘電体として機能する第1の層116の一部、及び絶縁層118の一部により構成される。
金属酸化物層108Cは、半導体層108と同一の金属酸化物膜を加工して形成された層である。また、金属酸化物層108Cは、半導体層108の領域108nと同様に低抵抗化された層である。
また図4(A)では、導電層120a、導電層120b、及び絶縁層118を覆って絶縁層119が設けられ、さらに絶縁層119上に導電層109が設けられている例を示している。
導電層109は、表示素子の一方の電極(画素電極)として用いることのできる層である。導電層109には、表示素子の構成に応じて、可視光を反射する材料、可視光を透過する材料などを適用することができる。
導電層109は、絶縁層119に設けられた開口を介して導電層120bと電気的に接続されている。
絶縁層119は平坦化膜として機能する。これにより、画素電極として機能する導電層109の被形成面の平坦性を向上できるため、表示素子の光学特性を向上させることができる。
[容量素子の構成例2]
図4(B)には、構成例2で例示したトランジスタ100Aと、これと同一の工程で形成しうる容量素子130Bの断面図を示す。
容量素子130Bは、一方の電極として機能する金属酸化物層108Cと、他方の電極として機能する導電層106Cと、これらの間に位置し、誘電体として機能する絶縁層104の一部により構成される。
導電層106Cは、トランジスタ100Aの第1のゲート電極として機能する導電層106と同一の導電膜を加工して形成された層である。
また、導電層120bは、絶縁層118、及び第1の層116に設けられた開口を介して、金属酸化物層108Cと電気的に接続されている。これにより、トランジスタ100Aのソースまたはドレインの一方と、容量素子130Bとが電気的に接続されている。
[容量素子の構成例3]
図4(C)には、構成例2で例示したトランジスタ100Aと、これと同一の工程で形成しうる容量素子130Cの断面図を示す。
容量素子130Cは、一方の電極として機能する、半導体層108の領域108nの一部と、他方の電極として機能する導電層106Cと、これらの間に位置し、誘電体として機能する絶縁層104の一部により構成される。
トランジスタ100Aの半導体層108の一部(具体的には領域108n)が、導電層106Cと重畳する領域にまで延在し、容量素子130Cの一方の電極を構成している。これにより、トランジスタ100Aと容量素子130Cとが電気的に接続されている。
なお、図4(C)では、導電層109が導電層120bを介して領域108nと電気的に接続されている例を示したが、導電層120bを設けずに、導電層109と領域108nとが直接接する構成としてもよい。
以上が、容量素子の構成例についての説明である。
[半導体装置の構成要素]
次に、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
〔基板〕
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)、または第10.5世代、第11世代、または第12世代など、サイズの大きな基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100等を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100等の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ100等は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
〔絶縁層104〕
絶縁層104としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、印刷法、塗布法等を適宜用いて形成することができる。また、絶縁層104としては、例えば、酸化物絶縁膜または窒化物絶縁膜を単層または積層して形成することができる。なお、半導体層108との界面特性を向上させるため、絶縁層104において少なくとも半導体層108と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。また、絶縁層104として加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加熱処理により絶縁層104に含まれる酸素を、半導体層108に移動させることが可能である。
絶縁層104の厚さは、50nm以上、または100nm以上3000nm以下、または200nm以上1000nm以下とすることができる。絶縁層104を厚くすることで、絶縁層104の酸素放出量を増加させることができると共に、絶縁層104と半導体層108との界面における界面準位、並びに半導体層108に含まれる酸素欠損を低減することが可能である。
絶縁層104として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn酸化物などを用いればよく、単層または積層で設けることができる。本実施の形態では、絶縁層104として、窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜との積層構造を用いる。このように、絶縁層104を積層構造として、下層側に窒化シリコン膜を用い、上層側に酸化窒化シリコン膜を用いることで、半導体層108中に効率よく酸素を導入することができる。
また、絶縁層104の半導体層108に接する側に窒化シリコン膜などの酸化物膜以外の膜を用いることもできる。このとき、絶縁層104の半導体層108と接する表面に対して酸素プラズマ処理などの前処理を行い、絶縁層104の表面、または表面近傍を酸化することが好ましい。
〔導電膜〕
ゲート電極として機能する導電層112及び導電層106、ソース電極として機能する導電層120a、ドレイン電極として機能する導電層120bとしては、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、ゲート電極として機能する導電層112及び導電層106、ソース電極として機能する導電層120a、ドレイン電極として機能する導電層120bには、インジウムと錫とを有する酸化物(In−Sn酸化物)、インジウムとタングステンとを有する酸化物(In−W酸化物)、インジウムとタングステンと亜鉛とを有する酸化物(In−W−Zn酸化物)、インジウムとチタンとを有する酸化物(In−Ti酸化物)、インジウムとチタンと錫とを有する酸化物(In−Ti−Sn酸化物)、インジウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Zn酸化物)、インジウムと錫とシリコンとを有する酸化物(In−Sn−Si酸化物)、インジウムとガリウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Ga−Zn酸化物)等の酸化物導電体または金属酸化物膜を適用することもできる。
ここで、酸化物導電体について説明を行う。本明細書等において、酸化物導電体をOC(OxideConductor)と呼称してもよい。酸化物導電体としては、例えば、金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。一般に、金属酸化物は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する金属酸化物である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して金属酸化物と同程度の透光性を有する。
また、導電層112として、上記酸化物導電体(金属酸化物)を含む導電膜と、金属または合金を含む導電膜の積層構造としてもよい。金属または合金を含む導電膜を用いることで、配線抵抗を小さくすることができる。このとき、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層と接する側には酸化物導電体を含む導電膜を適用することが好ましい。
また、導電層112、導電層106、導電層120a、導電層120bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
また、導電層112、導電層106、導電層120a、導電層120bには、上述の金属元素の中でも、特にチタン、タングステン、タンタル、及びモリブデンの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。特に、導電層112、導電層106、導電層120a、導電層120bとしては、窒化タンタル膜を用いると好適である。当該窒化タンタル膜は、導電性を有し、且つ、銅または水素に対して、高いバリア性を有する。また、窒化タンタル膜は、さらに自身からの水素の放出が少ないため、半導体層108と接する導電膜、または半導体層108の近傍の導電膜として、好適に用いることができる。
〔絶縁層〕
トランジスタ100等のゲート絶縁膜として機能する絶縁層(絶縁層104および絶縁層110)としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層104および絶縁層110を、それぞれ2層の積層構造または3層以上の積層構造としてもよい。
また、トランジスタ100等のチャネル形成領域として機能する半導体層108と接する絶縁層は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(過剰酸素領域と呼ぶ場合がある。)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁層は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁層に過剰酸素領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁層を形成する、成膜後の絶縁層を酸素雰囲気下で熱処理する、成膜後の絶縁層上に酸素を有する膜を形成することで絶縁層に酸素を注入する、もしくは成膜後の絶縁層に酸素イオンを注入すればよい。
また、絶縁層として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、絶縁層は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、電子スピン共鳴法(ESR:ElectronSpinResonance)で観察されるシグナルが少ない方が好ましい。例えば、上述のシグナルとしては、g値が2.001に観察されるE’センターが挙げられる。なお、E’センターは、シリコンのダングリングボンドに起因する。絶縁層としては、E’センター起因のスピン密度が、3×1017spins/cm以下、好ましくは5×1016spins/cm以下である酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜を用いればよい。
〔半導体層〕
半導体層108がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In>Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:0.5、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
また、半導体層108が、In−M−Zn酸化物の場合、スパッタリングターゲットとしては、多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いると好ましい。多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いることで、結晶性を有する半導体層108を形成しやすくなる。なお、成膜される半導体層108の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層108に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層108の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
また、半導体層108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
また、半導体層108は、非単結晶構造であると好ましい。非単結晶構造は、例えば、結晶部がc軸配向性を有するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
[作製方法例]
以下では、本発明の一態様のトランジスタ及び容量素子の作製方法について説明する。ここでは、図4(B)で例示したトランジスタ100Aと容量素子130Bを例に挙げて説明する。
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法や、熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
図5乃至図7に示す各図は、トランジスタ100A及び容量素子130Bの作製方法を説明するチャネル長方向の断面図である。
〔導電層106、導電層106Cの形成〕
基板102上に導電膜を形成し、これをエッチングにより加工して、ゲート電極として機能する導電層106と、容量素子の一方の電極として機能する導電層106Cを同時に形成する(図5(A))。
〔絶縁層104の形成〕
続いて、基板102、導電層106、及び導電層106Cを覆って絶縁層104を形成する(図5(B))。絶縁層104は、プラズマCVD法、ALD法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
〔半導体層108、金属酸化物層108Cの形成〕
続いて、絶縁層104上に金属酸化物膜108fを成膜する(図5(C))。
金属酸化物膜108fは、金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。
また、金属酸化物膜108fを成膜する際に、酸素ガスの他に、窒素を含むガスや不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。窒素を含むガスとして、窒素ガスや、一酸化二窒素などの窒素酸化物を含むガスを用いることができる。なお、金属酸化物膜を成膜する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)としては、0%以上100%以下、好ましくは5%以上20%以下とすることが好ましい。酸素流量比を低くし、結晶性が比較的低い金属酸化物膜108fとすることで、オン電流が高められたトランジスタとすることができる。
また、成膜ガスに窒素を含むガスを混合することで、金属酸化物膜108fとして窒素を含む金属酸化物膜を形成することができる。
また、金属酸化物膜108fの成膜条件としては、基板温度を室温以上180℃以下、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。金属酸化物膜108fの成膜時の基板温度を、例えば、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜108fを成膜することで、結晶性の低い金属酸化物膜108fを成膜しやすくなる。
また、金属酸化物膜108fの厚さとしては、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上60nm以下とすればよい。
なお、基板102として、大型のガラス基板(例えば、第6世代乃至第12世代)を用いる場合、金属酸化物膜108fを成膜する際の基板温度を200℃以上300℃以下とした場合、基板102が変形する(歪むまたは反る)場合がある。よって、大型のガラス基板を用いる場合においては、金属酸化物膜108fを成膜する際の基板温度を室温以上200℃未満とすることで、ガラス基板の変形を抑制することができる。
また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで金属酸化物膜108fに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で金属酸化物膜108fを成膜する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーは、金属酸化物にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、高真空(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、チャンバー内のHOに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10−4Pa以下、好ましく5×10−5Pa以下とすることが好ましい。
また、金属酸化物膜108fを成膜する前に、絶縁層104の表面に吸着した水や水素を脱離させるための加熱処理を行うことが好ましい。例えば、減圧雰囲気下にて70℃以上200℃以下の温度で加熱処理を行うことができる。またこのとき、絶縁層104の表面を大気に暴露することなく、連続して金属酸化物膜108fを成膜することが好ましい。例えば、成膜装置として、基板を加熱する加熱室と、金属酸化物膜108fを成膜する成膜室とが、ゲートバルブ等を介して接続された構成とすることが好ましい。
続いて、金属酸化物膜108fを加工し、島状の半導体層108と、金属酸化物層108Cを同時に形成する(図5(D))。
金属酸化物膜108fの加工には、ウェットエッチング法及びドライエッチング法のいずれか一方または双方を用いればよい。
また、金属酸化物膜108fの成膜後、または半導体層108に加工した後、加熱処理を行い、金属酸化物膜108fまたは半導体層108の脱水素化または脱水化をしてもよい。加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板の歪み点未満、または250℃以上450℃以下、または300℃以上450℃以下である。
加熱処理は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、または窒素を含む不活性ガス雰囲気で行うことができる。または、不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素雰囲気で加熱してもよい。なお、上記不活性ガス雰囲気及び酸素雰囲気に水素、水などが含まれないことが好ましい。処理時間は3分以上24時間以下とすればよい。
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
金属酸化物膜108fを加熱しながら成膜する、または金属酸化物膜108fを形成した後、加熱処理を行うことで、SIMSにより得られる金属酸化物膜108f中の水素濃度を5×1019atoms/cm以下、または1×1019atoms/cm以下、5×1018atoms/cm以下、または1×1018atoms/cm以下、または5×1017atoms/cm以下、または1×1016atoms/cm以下とすることができる。
〔絶縁膜110fの形成〕
続いて、半導体層108、金属酸化物層108C、及び絶縁層104上に、絶縁層110となる絶縁膜110fを成膜する。
絶縁膜110fとしては、例えば酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの酸化物膜を、プラズマ化学気相堆積装置(PECVD装置、または単にプラズマCVD装置という)を用いて形成することが好ましい。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、絶縁膜110fとして、堆積性気体の流量に対する酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、または40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、または50Pa以下とするPECVD装置を用いることで、欠陥量の少ない酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁膜110fとして、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を280℃以上350℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、絶縁膜110fとして、緻密である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁膜110fを、マイクロ波を用いたPECVD法を用いて形成してもよい。マイクロ波とは300MHzから300GHzの周波数域を指す。マイクロ波は、電子温度が低く、電子エネルギーが小さい。また、供給された電力において、電子の加速に用いられる割合が少なく、より多くの分子の解離及び電離に用いられることが可能であり、密度の高いプラズマ(高密度プラズマ)を励起することができる。このため、被成膜面及び堆積物へのプラズマダメージが少なく、欠陥の少ない絶縁膜110fを形成することができる。
また、絶縁膜110fを、有機シランガスを用いたCVD法を用いて形成することができる。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)などのシリコン含有化合物を用いることができる。有機シランガスを用いたCVD法を用いることで、被覆性の高い絶縁膜110fを形成することができる。
〔金属酸化物膜114fの形成〕
続いて、絶縁膜110f上に、金属酸化物層114となる金属酸化物膜114fを成膜する。
金属酸化物膜114fは、例えば酸素を含む雰囲気下で成膜することが好ましい。特に、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により形成することが好ましい。これにより、金属酸化物膜114fの成膜時に絶縁膜110fに酸素を供給することができる。
例えば金属酸化物膜114fの成膜条件として、成膜ガスに酸素を用い、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、金属酸化物膜を形成することが好ましい。金属ターゲットとして、例えばアルミニウムを用いた場合には、酸化アルミニウム膜を成膜することができる。
金属酸化物膜114fの成膜時に、成膜装置の成膜室内に導入する成膜ガスの全流量に対する酸素流量の割合(酸素流量比)、または成膜室内の酸素分圧が高いほど、絶縁膜110f中に供給される酸素を増やすことができる。酸素流量比または酸素分圧は、例えば50%以上100%以下、好ましくは65%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下とする。特に、酸素流量比100%とし、酸素分圧を100%にできるだけ近づけることが好ましい。
このように、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により金属酸化物膜114fを形成することにより、金属酸化物膜114fの成膜時に、絶縁膜110fへ酸素を供給するとともに、絶縁膜110fから酸素が脱離することを防ぐことができる。その結果、絶縁膜110fに極めて多くの酸素を閉じ込めることができる。そして、後の加熱処理によって、半導体層108に多くの酸素を供給することができる。その結果、半導体層108中の酸素欠損を低減でき、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、金属酸化物膜114fの成膜後に、金属酸化物膜114f、絶縁膜110f、及び絶縁層104の一部をエッチングすることで、導電層106に達する開口を形成する。これにより、後に形成する導電層112と導電層106とを、当該開口を介して電気的に接続することができる。
〔導電膜112fの形成〕
続いて、金属酸化物膜114f上に、導電層112となる導電膜112fを成膜する(図5(E))。
導電膜112fは、金属または合金のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により成膜することが好ましい。
〔導電膜112f、金属酸化物膜114f、絶縁膜110fのエッチング〕
続いて、導電膜112f、金属酸化物膜114f、及び絶縁膜110fの一部をエッチングし、半導体層108の一部、及び金属酸化物層108Cを露出させる(図5(F))。
ここで、導電膜112f、金属酸化物膜114f、及び絶縁膜110fは、それぞれ同じレジストマスクを用いて加工することが好ましい。または、エッチング後の導電層112をハードマスクとして用いて、金属酸化物層114と絶縁層110とをエッチングしてもよい。
これにより、上面形状が概略一致した島状の導電層112、金属酸化物層114、及び絶縁層110を形成することができる。
なお、導電膜112f、金属酸化物膜114f、及び絶縁膜110fのエッチング時に、絶縁層110に覆われない半導体層108の一部、及び金属酸化物層108Cもエッチングされ、薄膜化する場合がある。
〔第1の層116の形成〕
続いて、第1の層116を形成する(図6(A))。
ここでは、第1の層116として、絶縁性を有する膜を成膜する。なお、第1の層116は、後の加熱処理などの工程で絶縁化する場合には、成膜時においては導電性を有していてもよい。
第1の層116として、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、及びルテニウムなどの金属元素の少なくとも一を含む膜を成膜する。特に、アルミニウム、チタン、タンタル、及びタングステンの少なくとも一を含むことが好ましい。また特に、これら金属元素を少なくとも一を含む窒化物、またはこれら金属元素の少なくとも一を含む酸化物を好適に用いることができる。絶縁性を有する膜として、窒化アルミニウム膜、窒化チタン膜、窒化アルミニウムチタン膜などの窒化物膜、酸化アルミニウムチタン膜などの酸化物膜などを好適に用いることができる。または、第1の層116として、シリコンを含む窒化物を用いることができる。例えば、シリコンを含む窒化物として、窒化シリコン膜を用いることができる。
特に窒化アルミニウム膜は可視光に対する透光性を有し、第1の層116を透過する光に対して悪影響を与えることがないため、本実施の形態に示す半導体装置をELディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置として用いる場合、第1の層116として窒化アルミニウム膜を用いることは好ましい。また、第1の層116として、波長400nmの光に対して80%以上の透過率を有することが好ましい。
ここで、第1の層116は、成膜ガスに窒素ガスまたは酸素ガスを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。これにより、スパッタリングターゲットに同じものを用いた場合であっても、成膜ガスの流量を制御することにより、膜質の制御が容易となる。
第1の層116として窒化アルミニウム膜を形成する場合、窒化アルミニウム膜は、アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含むターゲットを用いてスパッタリング法を用い、窒素を含む成膜ガスを用いて形成することが好ましい。成膜ガスとして、窒素、または窒素とアルゴンを含む混合ガスを用いることが好ましく、成膜ガスに含まれる窒素の割合は、20%以上100%以下、好ましくは30%以上60%以下、より好ましくは30%以上40%以下とする。これは、窒化アルミニウム膜の可視光に対する透過率や、膜応力、あるいは成膜レートなどを考慮して決定することができる。
〔加熱処理〕
続いて、加熱処理を行う(図6(B))。加熱処理により、半導体層108の第1の層116と接する領域が低抵抗化し、半導体層108中に、領域108iに比べ低抵抗な領域108nが形成される。また同時に、金属酸化物層108Cを低抵抗化させることができる。
加熱処理は、窒素または希ガスなどの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。加熱処理の温度は高いほど好ましいが、基板102、導電層106、導電層112等の耐熱性を考慮した温度とすることができる。例えば、120℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、より好ましくは200℃以上400℃以下、さらに好ましくは250℃以上400℃以下の温度とすることができる。例えば加熱処理の温度を350℃程度とすることで、大型のガラス基板を用いた生産設備で歩留り良く半導体装置を生産することができる。
なお、加熱処理は第1の層116の形成後であればどの段階で行ってもよい。また他の加熱処理と兼ねてもよい。
加熱処理により、半導体層108及び金属酸化物層108C中の酸素が第1の層116に引き抜かれることにより酸素欠損が生成される。当該酸素欠損と、半導体層108中または金属酸化物層108C中の水素とが結合することによりキャリア濃度が高まり、第1の層116と接する部分が低抵抗化される。また、当該加熱処理により、半導体層108の第1の層116の近傍に、半導体層108に含まれる金属元素が析出され、領域115が形成される場合がある。
また、第1の層116が金属元素を含む場合、加熱処理により、第1の層116に含まれる金属元素が半導体層108及び金属酸化物層108C中に拡散することにより、半導体層108及び金属酸化物層108Cの一部が合金化し、低抵抗化される場合もある。
または、第1の層116に含まれる窒素や水素、若しくは加熱処理の雰囲気に含まれる窒素などが、加熱処理により半導体層108及び金属酸化物層108C中に拡散することで、これらが低抵抗化する場合もある。
このような複合的な作用により低抵抗化された半導体層108の領域108nや金属酸化物層108Cは、極めて安定な低抵抗な領域となる。このように形成された領域108nや金属酸化物層108Cは、例えば後の工程で酸素が供給される処理が行われたとしても、再度高抵抗化することが無いといった特徴を有する。
〔絶縁層118の形成〕
続いて、第1の層116を覆って絶縁層118を形成する(図6(C))。
絶縁層118は、プラズマCVD法またはスパッタリング法等により成膜することができる。
〔開口部141a、141b、141cの形成〕
続いて、絶縁層118の所望の位置に、リソグラフィによりマスクを形成した後、絶縁層118、および第1の層116の一部をエッチングすることで、領域108nに達する開口部141a、開口部141b、及び金属酸化物層108Cに達する開口部141cを形成する。
〔導電層120a、120bの形成〕
続いて、開口部141a、開口部141b、開口部141cを覆うように、絶縁層118上に導電膜を成膜し、当該導電膜を所望の形状に加工することで、導電層120a、導電層120bを形成する(図6(D))。
以上の工程により、互いに電気的に接続されたトランジスタ100Aと、容量素子130Bとを作製することができる。以降では、さらに表示素子の画素電極を形成する工程まで説明する。
〔絶縁層119の形成〕
続いて、導電層120a、導電層120b、及び絶縁層118を覆って絶縁層119を形成する(図7(A))。
絶縁層119として、有機樹脂を用いると平坦性が高まるため好ましい。代表的には、スピンコート、ディスペンス、スクリーン印刷、スリットコート等の方法により絶縁層119を形成することができる。
なお、絶縁層119として無機絶縁材料を用いてもよい。その場合には、絶縁層118と同様の方法により形成することができる。
また、絶縁層119に感光性の樹脂材料を用いることで、絶縁層119の形成時に導電層120bに達する開口を同時に形成することができる。なお、絶縁層119に非感光性材料を用いた場合には、エッチングにより開口を形成すればよい。
〔導電層109の形成〕
続いて、導電層109を形成する(図7(B))。導電層109は、導電層112等と同様の方法により形成することができる。
以上の工程により、画素電極と、トランジスタと、容量素子と、を形成することができる。なお図7(B)は、図4(B)と同じ図である。
なお、図4(A)に示す容量素子130Aを作製する場合、導電層120bを金属酸化物層108Cと重なるように加工することにより作製できる。
また、図4(C)に示す容量素子130Cを作製する場合、上記における半導体層108及び金属酸化物層108Cの加工の際に用いるフォトマスクを変更し、これらを1つの島状に加工することで形成することができる。
以上が作製方法例についての説明である。
本実施の形態で例示した構成例、作製方法例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、作製方法例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する表示装置の一例について説明を行う。
[構成例]
図8(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図8(A)に示す表示装置700は、第1の基板701上に設けられた画素部702と、第1の基板701に設けられたソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706と、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を囲むように配置されるシール材712と、第1の基板701に対向するように設けられる第2の基板705と、を有する。なお、第1の基板701と第2の基板705は、シール材712によって貼り合わされている。すなわち、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706は、第1の基板701とシール材712と第2の基板705によって封止されている。なお、図8(A)には図示しないが、第1の基板701と第2の基板705の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置700は、第1の基板701上のシール材712によって囲まれている領域とは異なる領域に、FPC端子部708(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。FPC端子部708は、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706のそれぞれに電気的に接続される。また、FPC端子部708には、FPC716が接続され、FPC716によって画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706に各種信号等が供給される。また、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708には、信号線710が各々接続されている。FPC716により供給される各種信号等は、信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708に与えられる。
また、表示装置700にゲートドライバ回路部706を複数設けてもよい。また、表示装置700としては、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を画素部702と同じ第1の基板701に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部706のみを第1の基板701に形成してもよい、またはソースドライバ回路部704のみを第1の基板701に形成してもよい。この場合、ソースドライバ回路またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を含むICを、第1の基板701またはFPC716に設ける構成としてもよい。なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)法、ワイヤボンディング法などを用いることができる。
また、表示装置700が有する画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706は、複数のトランジスタを有しており、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタを適用することができる。
また、表示装置700は、様々な素子を有することができる。該素子の一例としては、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子、LEDなど)、発光トランジスタ素子(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ディスプレイ(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、デジタル・マイクロ・シャッター(DMS)素子、インターフェロメトリック・モジュレーション(IMOD)素子など)、圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。
また、EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク素子又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部または全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらにその場合、反射電極の下にSRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに消費電力を低減することができる。
なお、表示装置700における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、バックライトまたはフロントライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色発光(W)を用いて表示装置をカラー表示させるために、着色層(カラーフィルタともいう。)を用いてもよい。着色層は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用してもよい。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、Wを、それぞれの発光色を有する素子から発光させてもよい。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
また、カラー化方式としては、上述の白色発光からの発光の一部をカラーフィルタに通すことで赤色、緑色、青色に変換する方式(カラーフィルタ方式)の他、赤色、緑色、青色の発光をそれぞれ用いる方式(3色方式)、または青色発光からの発光の一部を赤色や緑色に変換する方式(色変換方式、量子ドット方式)を適用してもよい。
図8(B)に示す表示装置700Aは、大型の画面を有する電子機器に好適に用いることのできる表示装置である。例えばテレビジョン装置、モニタ装置、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
表示装置700Aは、複数のソースドライバIC721と、一対のゲートドライバ回路722を有する。
複数のソースドライバIC721は、それぞれFPC723に取り付けられている。また、複数のFPC723は、一方の端子が基板701に、他方の端子がプリント基板724にそれぞれ接続されている。FPC723を折り曲げることで、プリント基板724を画素部702の裏側に配置して、電気機器に実装することができ、電子機器の省スペース化を図ることができる。
一方、ゲートドライバ回路722は、基板701上に形成されている。これにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
このような構成とすることで、大型で且つ高解像度な表示装置を実現できる。例えば画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示装置に適用することができる。また、解像度がフルハイビジョン、4K2K、または8K4Kなどといった極めて高解像度の表示装置を実現することができる。
[断面構成例]
以下では、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図9乃至図11を用いて説明する。なお、図9及び図10は、図8(A)に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図11は、図8(A)に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子としてEL素子を用いた構成である。
まず、図9乃至図11に示す共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について以下説明する。
〔表示装置の共通部分に関する説明〕
図9乃至図11に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。また、引き回し配線部711は、信号線710を有する。また、画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。また、ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、実施の形態1で例示したトランジスタを適用することができる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する半導体層と同一の金属酸化物膜を加工する工程を経て形成される下部電極と、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750が有する第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜、及びトランジスタ750上の保護絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
また、図9乃至図11において、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上に平坦化絶縁膜770が設けられている。
また、図9乃至図11においては、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752と、を同じ構造のトランジスタを用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、画素部702と、ソースドライバ回路部704とは、異なるトランジスタを用いてもよい。具体的には、画素部702にトップゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にボトムゲート型のトランジスタを用いる構成、あるいは画素部702にボトムゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にトップゲート型のトランジスタを用いる構成などが挙げられる。なお、上記のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
また、信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。信号線710として、例えば、銅元素を含む材料を用いた場合、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となる。
また、FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。また、接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して、電気的に接続される。
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1の基板701及び第2の基板705として、可撓性を有する基板を用いてもよい。該可撓性を有する基板としては、例えばプラスチック基板等が挙げられる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていてもよい。
また、第2の基板705側には、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜738と、カラーフィルタとして機能する着色膜736と、遮光膜738及び着色膜736に接する絶縁膜734が設けられる。
〔液晶素子を用いる表示装置の構成例〕
図9に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及び液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図9に示す表示装置700は、導電膜772と導電膜774に印加される電圧によって、液晶層776の配向状態が変わることによって光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜と電気的に接続される。導電膜772は、平坦化絶縁膜770上に形成され、画素電極、すなわち表示素子の一方の電極として機能する。
導電膜772としては、可視光において透光性のある導電膜、または可視光において反射性のある導電膜を用いることができる。可視光において透光性のある導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。可視光において反射性のある導電膜としては、例えば、アルミニウム、または銀を含む材料を用いるとよい。
導電膜772に可視光において反射性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、反射型の液晶表示装置となる。また、導電膜772に可視光において透光性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟む一対の偏光板を設ける。
また、導電膜772上の構成を変えることで、液晶素子の駆動方式を変えることができる。この場合の一例を図10に示す。また、図10に示す表示装置700は、液晶素子の駆動方式として横電界方式(例えば、FFSモード)を用いる構成の一例である。図10に示す構成の場合、導電膜772上に絶縁膜773が設けられ、絶縁膜773上に導電膜774が設けられる。この場合、導電膜774は、共通電極(コモン電極ともいう)としての機能を有し、絶縁膜773を介して、導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図9及び図10において図示しないが、導電膜772または導電膜774のいずれか一方または双方に、液晶層776と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図9及び図10において図示しないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。また、ブルー相を示す液晶材料は、視野角依存性が小さい。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
〔発光素子を用いる表示装置〕
図11に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。図11に示す表示装置700は、画素毎に設けられる発光素子782が有するEL層786が発光することによって、画像を表示することができる。なお、EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドット材料を用いてもよい。
図11に示す表示装置700には、平坦化絶縁膜770及び導電膜772上に絶縁膜730が設けられる。絶縁膜730は、導電膜772の一部を覆う。なお、発光素子782はトップエミッション構造である。したがって、導電膜788は透光性を有し、EL層786が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子782と重なる位置に、着色膜736が設けられ、絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に遮光膜738が設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、図11に示す表示装置700においては、着色膜736を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層786を画素毎に島状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
〔表示装置に入出力装置を設ける構成例〕
また、図9乃至図11に示す表示装置700に入出力装置を設けてもよい。当該入出力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
図10に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図を図12に示す。また、図11に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図を図13に示す。
まず、図12及び図13に示すタッチパネル791について、以下説明を行う。
図12及び図13に示すタッチパネル791は、基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、遮光膜738、及び着色膜736を形成する前に、基板705側に形成すればよい。
なお、タッチパネル791は、遮光膜738と、絶縁膜792と、電極793と、電極794と、絶縁膜795と、電極796と、絶縁膜797と、を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近づくことで生じうる、電極793と電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、図12及び図13に示すトランジスタ750の上方においては、電極793と、電極794との交差部を明示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお、図12及び図13においては、電極796が設けられる領域を画素部702に設ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ソースドライバ回路部704に形成してもよい。
電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる領域に設けられる。また、図12に示すように、電極793は、液晶素子775と重ならないように設けられると好ましい。また、図13に示すように、電極793は、発光素子782と重ならないように設けられると好ましい。別言すると、電極793は、発光素子782または液晶素子775と重なる領域に開口部を有する。すなわち、電極793はメッシュ形状を有する。このような構成とすることで、電極793は、液晶素子775を透過する光、または発光素子782が射出する光を遮らない構成とすることができる。したがって、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が極めて少ないため、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、電極794も同様の構成とすればよい。
また、電極793及び電極794が液晶素子775または発光素子782と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
例えば、電極793、794、796には、導電性のナノワイヤを用いてもよい。当該ナノワイヤは、直径の平均値が1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上25nm以下の大きさとすればよい。また、上記ナノワイヤとしては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、またはAlナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、あるいは、カーボンナノチューブなどを用いればよい。例えば、電極793、794、796のいずれか一つあるいは全部にAgナノワイヤを用いる場合、可視光における光透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/sq.以上100Ω/sq.以下とすることができる。
また、図12及び図13においては、インセル型のタッチパネルの構成について例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。このように、本発明の一態様の表示装置は、様々な形態のタッチパネルと組み合わせて用いることができる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図14を用いて説明を行う。
図14(A)に示す表示装置は、画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことができる。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、ゲート線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、ゲート線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図14(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図14(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図14(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としてもよい。
ここで、図15に、図14(A)とは異なる構成を示す。図15では、ソース線方向に配列する複数の画素を挟むように、一対のソース線(例えばソース線DLa1とソース線DLb1)が配置されている。また、隣接する2本のゲート線(例えばゲート線GL_1とゲート線GL_2)が電気的に接続されている。
また、ゲート線GL_1に接続される画素は、片方のソース線(ソース線DLa1、ソース線DLa2等)に接続され、ゲート線GL_2に接続される画素は、他方のソース線(ソース線DLb1、ソース線DLb2等)に接続される。
このような構成とすることで、2本のゲート線を同時に選択することができる。これにより、一水平期間の長さを、図14(A)に示す構成と比較して2倍にすることができる。そのため、表示装置の高解像度化、及び大画面化が容易となる。
また、図14(A)及び図15に示す複数の画素回路501は、例えば、図14(B)に示す構成とすることができる。
図14(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、又はTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図14(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図14(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図14(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図14(C)に示す構成とすることができる。
また、図14(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、ゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。
トランジスタ552は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料を含む無機EL素子を用いてもよい。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図14(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図14(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について説明する。ここでは、発電装置及び受電装置を備える電子機器を例に挙げて説明する。
電気機器の一例として携帯情報端末の例について、図16を用いて説明する。
図16(A)は、携帯情報端末8040の正面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。携帯情報端末8040は、筐体8041の正面に表示部8042、カメラ8045、マイクロフォン8046、スピーカ8047を有し、筐体8041の左側面には操作用のボタン8043、底面には接続端子8048を有する。
表示部8042には、本発明の一態様の表示モジュール又は表示パネルが用いられる。
図16(A)に示す携帯情報端末8040は、筐体8041に表示部8042を一つ設けた例であるが、これに限らず、表示部8042を携帯情報端末8040の背面に設けてもよいし、折り畳み型の携帯情報端末として、二以上の表示部を設けてもよい。
また、表示部8042には、指やスタイラス等の指示手段により情報の入力が可能なタッチパネルが入力手段として設けられている。これにより、表示部8042に表示されたアイコン8044を指示手段により簡単に操作することができる。また、タッチパネルの配置により携帯情報端末8040にキーボードを配置する領域が不要となるため、広い領域に表示部を配置することができる。また、指やスタイラスで情報の入力が可能となることから、ユーザフレンドリなインターフェースを実現することができる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができるが、表示部8042は湾曲するものであるため、特に抵抗膜方式、静電容量方式を用いることが好ましい。また、このようなタッチパネルは、上述の表示モジュール又は表示パネルと一体として組み合わされた、いわゆるインセル方式のものであってもよい。
また、タッチパネルは、イメージセンサとして機能させることができるものであってもよい。この場合、例えば、表示部8042に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部8042に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
また、表示部8042にタッチパネルを設けずにキーボードを設けてもよく、さらにタッチパネルとキーボードの双方を設けてもよい。
操作用のボタン8043には、用途に応じて様々な機能を持たせることができる。例えば、ボタン8043をホームボタンとし、ボタン8043を押すことで表示部8042にホーム画面を表示する構成としてもよい。また、ボタン8043を所定の時間押し続けることで、携帯情報端末8040の主電源をオフするようにしてもよい。また、スリープモードの状態に移行している場合、ボタン8043を押すことで、スリープモード状態から復帰させるようにしてもよい。その他、押し続ける期間や、他のボタンと同時に押す等により、種々の機能を起動させるスイッチとして用いることができる。
また、ボタン8043を音量調整ボタンやミュートボタンとし、音出力のためのスピーカ8047の音量の調整等を行う機能を持たせてもよい。スピーカ8047からは、オペレーティングシステム(OS)の起動音等特定の処理時に設定した音、音楽再生アプリケーションソフトからの音楽等各種アプリケーションにおいて実行される音ファイルによる音、電子メールの着信音等様々な音を出力する。なお、図示しないが、音出力をスピーカ8047とともに、あるいはスピーカ8047に替えてヘッドフォン、イヤフォン、ヘッドセット等の装置に音を出力するためのコネクタを設けてもよい。
このようにボタン8043には、種々の機能を与えることができる。図16(A)では、左側面にボタン8043を2つ設けた携帯情報端末8040を図示しているが、勿論、ボタン8043の数や配置位置等はこれに限定されず、適宜設計することができる。
マイクロフォン8046は、音声入力や録音に用いることができる。また、カメラ8045により取得した画像を表示部8042に表示させることができる。
携帯情報端末8040の操作には、上述した表示部8042に設けられたタッチパネルやボタン8043の他、カメラ8045や携帯情報端末8040に内蔵されたセンサ等を用いて使用者の動作(ジェスチャー)を認識させて操作を行うこともできる(ジェスチャー入力という)。あるいは、マイクロフォン8046を用いて、使用者の音声を認識させて操作を行うこともできる(音声入力という)。このように、人間の自然な振る舞いにより電気機器に入力を行うNUI(Natural User Interface)技術を実装することで、携帯情報端末8040の操作性をさらに向上させることができる。
接続端子8048は、外部機器との通信や電力供給のための信号又は電力の入力端子である。例えば、携帯情報端末8040に外部メモリドライブするために、接続端子8048を用いることができる。外部メモリドライブとして、例えば外付けHDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)やDVD−R(DVD−Recordable)、DVD−RW(DVD−ReWritable)、CD(Compact Disc)、CD−R(Compact Disc Recordable)、CD−RW(Compact Disc ReWritable)、MO(Magneto Optical Disc)、FDD(Floppy Disk Drive)、又は他の不揮発性のソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)デバイスなどの記録メディアドライブが挙げられる。また、携帯情報端末8040は表示部8042上にタッチパネルを有しているが、これに替えて筐体8041上にキーボードを設けてもよく、またキーボードを外付けしてもよい。
図16(A)では、底面に接続端子8048を1つ設けた携帯情報端末8040を図示しているが、接続端子8048の数や配置位置等はこれに限定されず、適宜設計することができる。
図16(B)は、携帯情報端末8040の背面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、筐体8041の表面に太陽電池8049とカメラ8050を有し、また、充放電制御回路8051、バッテリー8052、DCDCコンバータ8053等を有する。外光により太陽電池8049で発電した電力は、バッテリー8052を充電するために必要な電圧とするために、DCDCコンバータ8053で昇圧又は降圧される。そして、表示部8042の動作に太陽電池8049からの電力が用いられる際には、充放電制御回路8051で表示部8042に必要な電圧に昇圧又は降圧する。
携帯情報端末8040の背面に装着された太陽電池8049によって、電力を表示部、タッチパネル、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池8049は、筐体8041の片面又は両面に設けることができる。携帯情報端末8040に太陽電池8049を搭載させることで、屋外などの電力の供給手段がない場所においても、携帯情報端末8040のバッテリー8052の充電を行うことができる。また、図16(A)に示すように、表示部8042の左上(破線枠内)に、バッテリー8052の充電状態や、太陽電池8049による充電中の状態、を示す画像等の表示を行ってもよい。
なお、発電手段の一例として太陽電池8049を示したが、これに限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段を用いてバッテリー8052の充電を行ってもよい。また、無線で電力を送受信して充電する非接触電力伝送モジュールを用いてもよく、以上の充電方法を組み合わせてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
図17(A)に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005に接続された表示装置6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリー6011を有する。
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示装置6006に用いることができる。表示装置6006により、極めて消費電力の低い表示モジュールを実現することができる。
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示装置6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
また、表示装置6006に重ねてタッチパネルを設けてもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示装置6006に重畳して用いることができる。また、タッチパネルを設けず、表示装置6006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示モジュール6000に光学式タッチセンサを設ける構成にしてもよい。
フレーム6009は、表示装置6006の保護機能の他、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であってもよいし、別途設けたバッテリー6011による電源であってもよい。バッテリー6011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
図17(B)は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
上部カバー6001と下部カバー6002は、例えばプラスチック等を用いることができる。また、上部カバー6001と下部カバー6002とは、それぞれ薄く(例えば0.5mm以上5mm以下)することが可能である。そのため、表示モジュール6000を極めて軽量にすることが可能となる。また少ない材料で上部カバー6001と下部カバー6002を作製できるため、作製コストを低減できる。
表示装置6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリー6011と重ねて設けられている。表示装置6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示装置6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
発光部6015は、例えば表示装置6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができる。特に、発光部6015として、使用者に視認されず、且つ使用者にとって無害である赤外線を発する光源を用いることが好ましい。
受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
導光部6017a、導光部6017bとしては、少なくとも光6018を透過する部材を用いることができる。導光部6017a及び導光部6017bを用いることで、発光部6015と受光部6016とを表示装置6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いることが好ましい。これにより、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を備える電子機器について説明する。
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図18(A)乃至図18(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図18(A)乃至図18(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図18(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリーの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図18(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図18(C)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクタを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図18(D)(E)(F)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図18(D)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図18(E)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図18(F)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
図18(G)は、ヘッドマウントディスプレイ9300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ9300は、筐体9000と、表示部9001と、バンド状の固定具9304と、一対のレンズ9305と、を有する。
使用者は、レンズ9305を通して、表示部9001の表示を視認することができる。なお、表示部9001を湾曲して配置させると好適である。表示部9001を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部9001を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部9001を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、または対角30インチ以上、または対角50インチ以上、対角60インチ以上、または対角70インチ以上とすることもできる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器または照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図19(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図19(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7500にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7500に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7500に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図19(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図19(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図19(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図19(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
図19(C)、(D)において、表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7500が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7500にタッチパネルを適用することで、表示部7500に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図19(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置を適用することのできるテレビジョン装置の例について、図面を参照して説明する。
図20に、テレビジョン装置600のブロック図を示す。
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
テレビジョン装置600は、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、映像信号受信部606、タイミングコントローラ607、ソースドライバ608、ゲートドライバ609、表示パネル620等を有する。
上記実施の形態で例示した表示装置は、図20における表示パネル620に適用することができる。これにより、大型且つ高解像度であって、視認性に優れたテレビジョン装置600を実現できる。
制御部601は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能することができる。例えば制御部601は、システムバス630を介して記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605及び映像信号受信部606等のコンポーネントを制御する機能を有する。
制御部601と各コンポーネントとは、システムバス630を介して信号の伝達が行われる。また制御部601は、システムバス630を介して接続された各コンポーネントから入力される信号を処理する機能、各コンポーネントへ出力する信号を生成する機能等を有し、これによりシステムバス630に接続された各コンポーネントを統括的に制御することができる。
記憶部602は、制御部601及び画像処理回路604がアクセス可能なレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ、二次メモリなどとして機能する。
二次メモリとして用いることのできる記憶装置としては、例えば書き換え可能な不揮発性の記憶素子が適用された記憶装置を用いることができる。例えば、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PRAM(Phase change RAM)、ReRAM(Resistive RAM)、FeRAM(Ferroelectric RAM)などを用いることができる。
また、レジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリなどの一時メモリとして用いることのできる記憶装置としては、DRAM(Dynamic RAM)や、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子を用いてもよい。
例えば、メインメモリに設けられるRAMとしては、例えばDRAMが用いられ、制御部601の作業空間として仮想的にメモリ空間が割り当てられ利用される。記憶部602に格納されたオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータ等は、実行のためにRAMにロードされる。RAMにロードされたこれらのデータやプログラム、プログラムモジュールは、制御部601に直接アクセスされ、操作される。
一方、ROMには書き換えを必要としないBIOS(Basic Input/Output System)やファームウェア等を格納することができる。ROMとしては、マスクROMや、OTPROM(One Time Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等を用いることができる。EPROMとしては、紫外線照射により記憶データの消去を可能とするUV−EPROM(Ultra−Violet Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが挙げられる。
また、記憶部602の他に、取り外し可能な記憶装置を接続可能な構成としてもよい。例えばストレージデバイスとして機能するハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記録メディアドライブ、フラッシュメモリ、ブルーレイディスク、DVDなどの記録媒体と接続する端子を有することが好ましい。これにより、映像を記録することができる。
通信制御部603は、コンピュータネットワークを介して行われる通信を制御する機能を有する。例えば、制御部601からの命令に応じてコンピュータネットワークに接続するための制御信号を制御し、当該信号をコンピュータネットワークに発信する。これによって、コンピュータネットワークに接続し、通信を行うことができる。
また、通信制御部603は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信規格を用いてコンピュータネットワークまたは他の電子機器と通信する機能を有していてもよい。
通信制御部603は、無線により通信する機能を有していてもよい。例えばアンテナと高周波回路(RF回路)を設け、RF信号の送受信を行えばよい。アンテナと接続される高周波回路には、複数の周波数帯域に対応した高周波回路部を有し、高周波回路部は、増幅器(アンプ)、ミキサ、フィルタ、DSP、RFトランシーバ等を有する構成とすることができる。
映像信号受信部606は、例えばアンテナ、復調回路、及びA−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)等を有する。復調回路は、アンテナから入力した信号を復調する機能を有する。またA−D変換回路は、復調されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。映像信号受信部606で処理された信号は、デコーダ回路605に送られる。
デコーダ回路605は、映像信号受信部606から入力されるデジタル信号に含まれる映像データを、送信される放送規格の仕様に従ってデコードし、画像処理回路に送信する信号を生成する機能を有する。例えば8K放送における放送規格としては、H.265 | MPEG−H High Efficiency Video Coding(略称:HEVC)などがある。
映像信号受信部606が有するアンテナにより受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。またアンテナにより受信できる放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(約300MHz〜3GHz)またはVHF帯(30MHz〜300MHz)のうちの特定の周波数帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示パネル620に表示させることができる。例えば、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
また、映像信号受信部606及びデコーダ回路605は、コンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、画像処理回路604に送信する信号を生成する構成としてもよい。このとき、受信する信号がデジタル信号の場合には、映像信号受信部606は復調回路及びA−D変換回路等を有していなくてもよい。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、タイミングコントローラ607に出力する映像信号を生成する機能を有する。
またタイミングコントローラ607は、画像処理回路604が処理を施した映像信号等に含まれる同期信号を基に、ゲートドライバ609及びソースドライバ608に出力する信号(クロック信号、スタートパルス信号などの信号)を生成する機能を有する。また、タイミングコントローラ607は、上記信号に加え、ソースドライバ608に出力するビデオ信号を生成する機能を有する。
表示パネル620は、複数の画素621を有する。各画素621は、ゲートドライバ609及びソースドライバ608から供給される信号により駆動される。ここでは、画素数が7680×4320である、8K4K規格に応じた解像度を有する表示パネルの例を示している。なお、表示パネル620の解像度はこれに限られず、フルハイビジョン(画素数1920×1080)または4K2K(画素数3840×2160)等の規格に応じた解像度であってもよい。
図20に示す制御部601や画像処理回路604としては、例えばプロセッサを有する構成とすることができる。例えば、制御部601は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能するプロセッサを用いることができる。また、画像処理回路604として、例えばDSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の他のプロセッサを用いることができる。また制御部601や画像処理回路604に、上記プロセッサをFPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)によって実現した構成としてもよい。
プロセッサは、種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、別途設けられる記憶装置に格納されていてもよい。
また、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、及び映像信号受信部606、及びタイミングコントローラ607のそれぞれが有する機能のうち、2つ以上の機能を1つのICチップに集約させ、システムLSIを構成してもよい。例えば、プロセッサ、デコーダ回路、チューナ回路、A−D変換回路、DRAM、及びSRAM等を有するシステムLSIとしてもよい。
なお、制御部601や、他のコンポーネントが有するIC等に、チャネル形成領域に酸化物半導体を用い、極めて低いオフ電流が実現されたトランジスタを利用することもできる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いため、当該トランジスタを記憶素子として機能する容量素子に流入した電荷(データ)を保持するためのスイッチとして用いることで、データの保持期間を長期にわたり確保することができる。この特性を制御部601等のレジスタやキャッシュメモリに用いることで、必要なときだけ制御部601を動作させ、他の場合には直前の処理の情報を当該記憶素子に待避させることにより、ノーマリーオフコンピューティングが可能となる。これにより、テレビジョン装置600の低消費電力化を図ることができる。
なお、図20で例示するテレビジョン装置600の構成は一例であり、全ての構成要素を含む必要はない。テレビジョン装置600は、図20に示す構成要素のうち必要な構成要素を有していればよい。また、テレビジョン装置600は、図20に示す構成要素以外の構成要素を有していてもよい。
例えば、テレビジョン装置600は、図20に示す構成のほか、外部インターフェース、音声出力部、タッチパネルユニット、センサユニット、カメラユニットなどを有していてもよい。例えば外部インターフェースとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子、LAN(Local Area Network)接続用端子、電源受給用端子、音声出力用端子、音声入力用端子、映像出力用端子、映像入力用端子などの外部接続端子、赤外線、可視光、紫外線などを用いた光通信用の送受信機、筐体に設けられた物理ボタンなどがある。また、例えば音声入出力部としては、サウンドコントローラ、マイクロフォン、スピーカなどがある。
以下では、画像処理回路604についてより詳細な説明を行う。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、画像処理を実行する機能を有することが好ましい。
画像処理としては、例えばノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などが挙げられる。色調補正処理や輝度調整処理としては、例えばガンマ補正などがある。
また、画像処理回路604は、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間などの処理などの処理を実行する機能を有していることが好ましい。
例えば、ノイズ除去処理としては、文字などの輪郭の周辺に生じるモスキートノイズ、高速の動画で生じるブロックノイズ、ちらつきを生じるランダムノイズ、解像度のアップコンバートにより生じるドットノイズなどのさまざまなノイズを除去する。
階調変換処理は、画像の階調を表示パネル620の出力特性に対応した階調へ変換する処理である。例えば階調数を大きくする場合、小さい階調数で入力された画像に対して、各画素に対応する階調値を補間して割り当てることで、ヒストグラムを平滑化する処理を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
また、画素間補間処理は、解像度をアップコンバートした際に、本来存在しないデータを補間する。例えば、目的の画素の周囲の画素を参照し、それらの中間色を表示するようにデータを補間する。
また、色調補正処理は、画像の色調を補正する処理である。また輝度補正処理は、画像の明るさ(輝度コントラスト)を補正する処理である。例えば、テレビジョン装置600が設けられる空間に配置された照明の種類や輝度、または色純度などを検知し、それに応じて表示パネル620に表示する画像の輝度や色調が最適となるように補正する。または、表示する画像と、あらかじめ保存してある画像リスト内の様々な場面の画像と、を照合し、最も近い場面の画像に適した輝度や色調に表示する画像を補正する機能を有していてもよい。
フレーム間補間は、表示する映像のフレーム周波数を増大させる場合に、本来存在しないフレーム(補間フレーム)の画像を生成する。例えば、ある2枚の画像の差分から2枚の画像の間に挿入する補間フレームの画像を生成する。または2枚の画像の間に複数枚の補間フレームの画像を生成することもできる。例えばデコーダ回路605から入力される映像信号のフレーム周波数が60Hzであったとき、複数枚の補間フレームを生成することで、タイミングコントローラ607に出力する映像信号のフレーム周波数を、2倍の120Hz、または4倍の240Hz、または8倍の480Hzなどに増大させることができる。
また、画像処理回路604は、ニューラルネットワークを利用して、画像処理を実行する機能を有していることが好ましい。図20では、画像処理回路604がニューラルネットワーク610を有している例を示している。
例えば、ニューラルネットワーク610により、例えば映像に含まれる画像データから特徴抽出を行うことができる。また画像処理回路604は、抽出された特徴に応じて最適な補正方法を選択することや、または補正に用いるパラメータを選択することができる。
または、ニューラルネットワーク610自体に画像処理を行う機能を持たせてもよい。すなわち、画像処理を施す前の画像データをニューラルネットワーク610に入力することで、画像処理が施された画像データを出力させる構成としてもよい。
また、ニューラルネットワーク610に用いる重み係数のデータは、データテーブルとして記憶部602に格納される。当該重み係数を含むデータテーブルは、例えば通信制御部603により、コンピュータネットワークを介して最新のものに更新することができる。または、画像処理回路604が学習機能を有し、重み係数を含むデータテーブルを更新可能な構成としてもよい。
なお、本明細書等においてニューラルネットワークとは、生物の神経回路網を模し、学習によってニューロンどうしの結合強度を決定し、問題解決能力を持たせるモデル全般を指す。ニューラルネットワークは入力層、中間層(隠れ層ともいう)、出力層を有する。ニューラルネットワークのうち、2層以上の中間層を有するものをディープラーニング(またはディープニューラルネットワーク(DNN))という。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
<本明細書等の記載に関する付記>
以上の実施の形態における、各構成の説明について、以下に付記する。
本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介してソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタのしきい値電圧とは、トランジスタにチャネルが形成されたときのゲート電圧(Vg)を指す。具体的には、トランジスタのしきい値電圧とは、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にプロットした曲線(Vg−√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。あるいは、トランジスタのしきい値電圧とは、チャネル長をL、チャネル幅をWとし、Id[A]×L[μm]/W[μm]の値が1×10−9[A]となるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「絶縁体」とは、互いに言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「導電体」とは、互いに言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍であるとは、In、Ga及びZnの原子数の総和に対するInの比を4としたときに、Gaの比が1以上3以下であり、Znの比が2以上4以下であるとする。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であるとは、In、Ga及びZnの原子数の総和に対するInの比を5としたときに、Gaの比が0.1より大きく2以下であり、Znの比が5以上7以下であるとする。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であるとは、In、Ga及びZnの原子数の総和に対するInの比を1としたときに、Gaの比が0.1より大きく2以下であり、Znの比が0.1より大きく2以下であるとする。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。また、「OS FET」と記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、CAAC(c−axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud−Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
金属酸化物の結晶構造の一例について説明する。なお、以下では、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法にて成膜された金属酸化物を一例として説明する。上記ターゲットを用いて、基板温度を100℃以上130℃以下として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をsIGZOと呼称し、上記ターゲットを用いて、基板温度を室温(R.T.)として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をtIGZOと呼称する。例えば、sIGZOは、nc(nano crystal)及びCAACのいずれか一方または双方の結晶構造を有する。また、tIGZOは、ncの結晶構造を有する。なお、ここでいう室温(R.T.)とは、基板を意図的に加熱しない場合の温度を含む。
なお、CAAC構造とは、複数のナノ結晶(最大径が10nm未満である結晶領域)を有する薄膜などの結晶構造の一つであり、各ナノ結晶はc軸が特定の方向に配向し、すなわちc軸配向性を有し、かつa軸及びb軸は配向性を有さずに、ナノ結晶同士が粒界を形成することなく連続的に連結しているといった特徴を有する結晶構造である。特にCAAC構造を有する薄膜は、各ナノ結晶のc軸が、薄膜の厚さ方向、被形成面の法線方向、または薄膜の表面の法線方向に配向しやすいといった特徴を有する。
ここで、結晶学において、単位格子を構成するa軸、b軸、及びc軸の3つの軸(結晶軸)について、特異的な軸をc軸とした単位格子を取ることが一般的である。特に層状構造を有する結晶では、層の面方向に平行な2つの軸をa軸及びb軸とし、層に交差する軸をc軸とすることが一般的である。このような層状構造を有する結晶の代表的な例として、六方晶系に分類されるグラファイトがあり、その単位格子のa軸及びb軸は劈開面に平行であり、c軸は劈開面に直交する。例えばYbFe型の結晶構造をとるInGaZnOの結晶は六方晶系に分類することができ、その単位格子のa軸及びb軸は層の面方向に平行となり、c軸は層(すなわちa軸及びb軸)に直交する。
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクタが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
また、本明細書等において、タッチセンサは指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出する機能を有するものである。またその位置情報を検知する機能を有していてもよい。したがってタッチセンサは入力装置の一態様である。例えばタッチセンサは1以上のセンサ素子を有する構成とすることができる。
また、本明細書等では、タッチセンサを有する基板を、タッチセンサパネル、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。また、本明細書等では、タッチセンサパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクタが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチセンサパネルモジュール、タッチセンサモジュール、センサモジュール、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。
タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクタが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
本実施例では、本発明の一態様に係る窒化アルミニウム膜の抵抗率、および透過率について評価した。本実施例においては、試料A1乃至試料A6を作製した。なお、窒化アルミニウム膜の透過率評価における比較用として、素ガラスである試料A0を用意した。
<試料A1乃至試料A6の作製方法>
以下では、試料A1乃至試料A6の作製方法について説明する。
試料A1乃至試料A6は、ガラス基板上に膜厚20nmの窒化アルミニウム膜が形成された構造である。該窒化アルミニウム膜は、スパッタリング法によって、Alのターゲットを用いて、チャンバー内の圧力0.6Pa、印加電圧5kW、基板温度70℃の条件にて形成した。試料A1乃至試料A6は、それぞれ形成中に供給したガス流量の比率が異なる。具体的には、Ar流量とN流量の総和に対するN流量の比率を、試料A1では0%、試料A2では20%、試料A3では40%、試料A4では60%、試料A5では80%、試料A6では100%とした。なお、試料A1においては、成膜ガスにNが含まれていないため、形成される膜は、アルミニウム膜となる。
<抵抗率>
次に、試料A1乃至試料A6の抵抗率を測定した。抵抗率測定器には、測定上限が15Ω・cmであるものを用いた。試料A1乃至試料A6の抵抗率を図21(A)に示す。試料A1の抵抗率は8.2×10−6Ω・cm、試料A2の抵抗率は4.1×10−2Ω・cmであった。また、試料A3乃至試料A6の抵抗率は測定上限以上であることが分かった。
<透過率>
次に、試料A1乃至試料A6の透過率を測定した。試料A1乃至試料A6の透過率を図21(B)に示す。なお、図21(B)には、比較用として、試料A0の透過率も示す。図21(B)は、横軸に波長[nm]を示し、縦軸に透過率[%]を示す。図21(B)に示すように、波長400nm以上において、試料A3乃至試料A6の透過率は80%以上であった。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、金属酸化物上に窒化アルミニウム膜を形成したときの、化学結合状態について評価を行った。評価には、金属酸化物上に窒化アルミニウム膜を積層した試料B1を用いた。化学結合状態は、X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて分析した。
まず、試料B1の作製方法について説明する。ガラス基板上に、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、膜厚40nmの金属酸化物を形成した。次に、形成した金属酸化物に対して、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の熱処理を行い、連続して酸素と窒素の混合雰囲気にて400℃の温度で1時間の熱処理を行った。次に、金属酸化物上に、スパッタリング法によって、Alのターゲットを用い、Ar流量とN流量の総和に対するN流量の比率を40%となるように調整して、膜厚20nmの窒化アルミニウム膜を形成した。窒化アルミニウムを形成後、窒素雰囲気にて350℃の温度で1時間の熱処理を行った。以上により、試料B1を作製した。
次に、試料B1のX線光電子分光法(XPS)を用いた測定(以下、XPS測定と記す。)を行った。なお、試料B1をエッチングしながらXPS測定を行う(具体的には、イオンスパッタリングとXPS測定とを交互に行う。)ことで、試料B1の深さ方向の分析が可能である。本実施例では、試料B1の深さ方向において、窒化アルミニウム膜の中央付近を深さD1、窒化アルミニウム膜と金属酸化物との界面付近を深さD2、金属酸化物の中央付近を深さD3とする。
XPS測定には、ULVAC−PHI社製のVersaProbeを用いた。X線源にはMg Kα(1253.6eV)を用いた。検出領域は8mm角以下とした。取出角は45°とした。検出深さは約4nmから5nm程度と考えられる。
In、Ga、Zn、Al、Nのそれぞれの元素についてピークが得られるエネルギー範囲で、XPS測定を行った。XPS測定で得られた結果を図22および図23に示す。図22および図23は、横軸に結合エネルギー(Binding Energy)[eV]を示し、縦軸に光電子の強度(Intensity)[任意単位]を示す。
図22(A)はIn3d5/2のスペクトル、図22(B)はGa3dのスペクトル、図22(C)はZn3pのスペクトル、図23(A)はAl2pのスペクトル、図23(B)はN1sのスペクトルである。なお、図22(A)乃至(C)ならびに図23(B)および(C)の各図において、上から順に、深さD1におけるスペクトル、深さD2におけるスペクトル、深さD3におけるスペクトルを示す。さらに、スペクトル形状を見やすくするために、各スペクトルの光電子の強度は、任意単位で示している。
図22(A)に示すように、深さD2において、酸化状態のInが存在することを示すシグナル(Inで示した破線に位置するピーク)の他に、金属状態のInが存在することを示すシグナル(Inで示した破線に位置するピーク)が観察された。一方、図22(B)および図22(C)に示すように、深さD2において、金属状態のGaが存在することを示すシグナルおよび金属状態のZnが存在することを示すシグナルは検出されなかった。したがって、金属酸化物と窒化アルミニウム膜との界面付近では、酸素が不足し、金属状態のInが析出していることが示唆された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、金属酸化物上に酸化窒化シリコン膜または、窒化シリコン膜を形成したときの、金属酸化物のシート抵抗、金属酸化物中のスピン密度、金属酸化物と酸化窒化シリコン膜または、窒化シリコン膜の界面の組成状態について評価を行った。なお、スピン密度の評価は、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)分析により行い、組成状態の評価は、XPS分析により行った。
まず、金属酸化物のシート抵抗、および金属酸化物中のスピン密度の測定に用いた試料C1、および試料C2の作製方法について説明する。試料C1では、石英基板上にスパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、膜厚100nmの金属酸化物を形成した。次に、金属酸化物上に、CVD法によって、成膜ガスとしてSiH、およびNOを用いて酸化窒化シリコン膜を300nm形成した。酸化窒化シリコン膜形成後、窒素と酸素を含む雰囲気にて350℃、1時間の加熱処理を行った。試料C2では、石英基板上にスパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、膜厚100nmの金属酸化物を形成した。次に、金属酸化物上に、CVD法によって、成膜ガスとしてSiH、N、およびNHを用いて窒化シリコン膜を100nm形成した。窒化シリコン膜形成後、窒素と酸素を含む雰囲気にて350℃、1時間の加熱処理を行った。
<シート抵抗>
上記のように作製した試料C1、および試料C2における、金属酸化物のシート抵抗を測定した。シート抵抗測定器には、測定上限が1.0E+07Ωであるものを用いた。試料C1、および試料C2のシート抵抗を図24に示す。
図24において、金属酸化物上に酸化窒化シリコン膜を形成した試料C1では、金属酸化物のシート抵抗は、シート抵抗測定器の測定上限である1.0E+07Ω以上だった。一方、金属酸化物上に窒化シリコン膜を形成した試料C2では、金属酸化物のシート抵抗は、試料C1より低抵抗となり、3.5E+02Ωだった。
<スピン密度>
次に試料C1、および試料C2における、金属酸化物中のスピン密度を測定した。スピン密度の評価は、ESR分析により行った。各試料の測定は、測定温度を室温とし、8.9GHzの高周波電力(マイクロ波パワー)を20mWとし、磁場の向きは作製した試料の膜表面と平行とした。なお、酸化物半導体が酸素欠損内に取り込まれた水素を有すると、ESR測定にてg値が1.93近傍に対称性を有する信号が現れる。よって、g値が1.93近傍に現れる信号より算出したスピン密度(以降、スピン密度(g値=1.93)と表記する。)が高いほど酸素欠損内に取り込まれた水素の量が多いといえる。なお、スピン密度(g値=1.93)の算出下限は、3.7E+16spins/cmであった。試料C1、および試料C2のスピン密度を図25に示す。
図25において、金属酸化物上に酸化窒化シリコン膜を形成した試料C1では、金属酸化物中のスピン密度は、1.60E+17spins/cmだった。一方、金属酸化物上に窒化シリコン膜を形成した試料C2では、金属酸化物中のスピン密度は、試料C1よりも高く、1.09E+19spins/cmだった。これは、試料C2の方が、酸素欠損内に取り込まれた水素の量が多いことを示している。
<組成状態>
次に金属酸化物と酸化窒化シリコン膜または、窒化シリコン膜の界面の組成状態の評価に用いた試料C3、および試料C4の作製方法について説明する。試料C3は、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、スパッタリング法により形成された金属酸化物上に、CVD法によって、成膜ガスとしてSiH、およびNOを用いて酸化窒化シリコン膜を100nm形成したものである。試料C4は、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、スパッタリング法により形成された金属酸化物上に、CVD法によって、成膜ガスとしてSiH、N、およびNHを用いて窒化シリコン膜を100nm形成したものである。
上記のように作製した試料C3、および試料C4における、金属酸化物と酸化窒化シリコン膜または、窒化シリコン膜の界面の組成状態を評価した。組成状態の評価には、XPS分析を用いた。評価結果を図26に示す。
図26(A)に示すように、試料C3において、金属酸化物と酸化窒化シリコン膜の界面、およびその近傍では、金属インジウム(In)の析出は見られないが、図26(B)に示すように、試料C4において、金属酸化物と窒化シリコン膜の界面、およびその近傍にて金属インジウムの析出、およびシリコン酸化物(SiOx)が確認された。これは、試料C4において、金属酸化物と窒化シリコン膜との間で酸素の受け渡しが生じ、金属酸化物の中で最も酸素欠損が生じやすいインジウムから酸素が離脱し、窒化シリコン膜の一部が酸化してしまったためと考えられる。上記のような酸素の受け渡しや、金属インジウムの析出が、金属酸化物を低抵抗化させると考えられる。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
100 トランジスタ、100A トランジスタ、102 基板、104 絶縁層、106 導電層、106C 導電層、108 半導体層、108C 金属酸化物層、108f 金属酸化物膜、108i 領域、108n 領域、109 導電層、110 絶縁層、110f 絶縁膜、112 導電層、112f 導電膜、114 金属酸化物層、114f 金属酸化物膜、115 領域、116 層、118 絶縁層、119 絶縁層、120a 導電層、120b 導電層、130A 容量素子、130B 容量素子、130C 容量素子、141a 開口部、141b 開口部、141c 開口部、142 開口部、150 領域

Claims (10)

  1. 金属酸化物層を有する半導体装置であって、
    前記金属酸化物層は、第1の金属元素、および第2の金属元素を有し、
    前記金属酸化物層は、第1の領域、および第2の領域を有し、
    前記第1の領域上の絶縁層と、
    前記絶縁層上の導電体と、
    前記絶縁層、前記導電体、および前記第2の領域を覆うように設けられた第1の層と、を有し、
    前記第2の領域と、第1の層との界面近傍において、第3の領域が設けられており、
    前記第3の領域における前記第1の金属元素の濃度は、前記第2の領域における前記金属元素の濃度よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の金属元素は、Inであり、
    前記第2の金属元素は、Ga、Sn、及びZnの中から選ばれるいずれか一または複数である、ことを特徴とする半導体装置。
  3. 金属酸化物層を有する半導体装置であって、
    前記金属酸化物層は、第1の金属元素、第2の金属元素、および第3の金属元素を有し、
    前記金属酸化物層は、第1の領域、および第2の領域を有し、
    前記第1の領域上の絶縁層と、
    前記絶縁層上の導電体と、
    前記絶縁層、前記導電体、および前記第2の領域を覆うように設けられた第1の層と、を有し、
    前記第2の領域と、第1の層との界面近傍において、第3の領域が設けられており、
    前記第3の領域における前記第1の金属元素の濃度は、前記第2の領域における前記金属元素の濃度よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項3において、
    前記第1の金属元素は、Inであり、
    前記第2の金属元素は、Gaであり、
    前記第3の金属元素は、Znである、ことを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項4において、
    前記Inの原子数比は、前記Gaの原子数比よりも大きい、ことを特徴とする半導体装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記第1の層は、アルミニウムを有することを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
    前記第1の層は、窒化アルミニウムを有することを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
    前記第2の領域は、前記第1の領域よりも低抵抗であることを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
    前記金属酸化物層は、結晶性を有する、ことを特徴とする半導体装置。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
    前記金属酸化物層は、結晶部を有し、
    前記結晶部は、c軸配向性を有する、ことを特徴とする半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024134441A1 (ja) * 2022-12-23 2024-06-27 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置

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