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JP2019068771A - チョコレート用油脂 - Google Patents

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JP2019068771A
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諒 大沼
Ryo Onuma
諒 大沼
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Fuji Oil Co Ltd
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

【課題】簡易な方法で、チョコレート様食品に濃厚感を付与することのできる油脂および、当該油脂が配合された、濃厚感を有するチョコレート様食品の提供。【解決手段】以下の組成を有する、ランダムエステル交換されたチョコレート用油脂。1.全構成脂肪酸に占めるラウリン酸含量が10〜20質量%。2.全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含量が15〜25質量%。3.全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含量が18〜30質量%。4.全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含量が30〜45質量%。なお、トリグリセライドにおいて、脂肪酸部分の炭素数の合計が48であるトリグリセライドを18質量%以上含有するチョコレート用油脂。また、前記チョコレート用油脂を16〜39質量%含有する、チョコレート様食品。【選択図】なし

Description

本発明は濃厚感を付与する効果を有する、チョコレート用油脂に関する。
チョコレート様食品においては、口溶け感の他、濃厚感のような食感が求められる場合がある。たとえば、特許文献1では、「脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上の大豆乳化組成物、好ましくは乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である大豆乳化組成物を原料とすることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある風味を有し、充分な保型性を持つ、含水チョコレート様食品を調製できる。」旨記載されている。
特開2014−113119号公報
本発明の課題は、簡易な方法で、チョコレート様食品に濃厚感を付与することのできる油脂および、当該油脂が配合された、濃厚感を有するチョコレート様食品を提供することである。
本発明者は上記課題に対し、鋭意検討を行った。
特許文献1に記載されている含水チョコレート様食品では、所定の大豆乳化組成物を使用する必要があり、煩雑であった。
本発明者がさらに検討を行ったところ、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び不飽和脂肪酸を所定量含むランダムエステル交換された油脂が、チョコレート様食品において濃厚感を付与する効果を有することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)以下の組成を有する、ランダムエステル交換されたチョコレート用油脂、
1.全構成脂肪酸に占めるラウリン酸含量が10〜20質量%、
2.全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含量が15〜25質量%、
3.全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含量が18〜30質量%、
4.全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含量が30〜45質量%、
(2)トリグリセライドにおいて、脂肪酸部分の炭素数の合計が48であるトリグリセライドを18質量%以上含有する、(1)記載のチョコレート用油脂、
(3)(1)又は(2)記載のチョコレート用油脂を16〜39質量%含有する、チョコレート様食品、
に関するものである。
本発明によれば、簡易な方法でチョコレート様食品に濃厚感を付与することができる。
本発明は、チョコレート様食品における濃厚感付与に関するものである。ここでチョコレート様食品とは、一例を挙げると、チョコレート類が該当する。また、ここで言うチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、チョコレート利用食品だけでなく、油脂類を必須成分とし、必要により糖類、粉乳類、カカオ原料(カカオマス、ココア、ココアバター)、果汁粉末、果実粉末、呈味材、乳化剤、香料、着色料等の副原料を任意の割合で配合したものを言う。
チョコレート類の代表的な例としては、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、またホワイトチョコレートを列挙できる。また、これらに果実成分を加えたような、イチゴチョコレート等も含まれる。
本発明のチョコレート用油脂は、チョコレート様食品において、濃厚感を付与する効果がある。すなわち、濃厚感を付与する目的に使用するものであり、チョコレート様食品における濃厚感付与用油脂と言えるものである。
本発明に係るチョコレート様油脂は、ランダムエステル交換された油脂である。ランダムエステル交換の方法は、化学触媒を使用する方法及び、リパーゼを使用する方法のいずれも採用することができる。コスト的には、化学触媒を使用する方法が望ましい。
本発明におけるチョコレート用油脂は、全構成脂肪酸に占めるラウリン酸含量が10〜20質量%である必要があり、この量は、より望ましくは11〜19質量%であり、さらに望ましくは12〜18質量%である。
本発明におけるチョコレート用油脂は、全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含量が15〜25質量%である必要があり、この量は、より望ましくは15〜24質量%であり、さらに望ましくは15〜23質量%である。
本発明におけるチョコレート用油脂は、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含量が18〜30質量%である必要があり、この量は、より望ましくは19〜30質量%であり、さらに望ましくは20〜29質量%である。
また、本発明におけるチョコレート用油脂は、全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含量が30〜45質量%である必要があり、この量は、より望ましくは30〜43質量%であり、さらに望ましくは30〜41質量%である。上記脂肪酸の組成がそれぞれ適当な範囲にあることで、本発明に係るチョコレート用油脂は、チョコレート様食品において濃厚感を付与することができる。
また、 本発明のチョコレート用油脂は、トリグリセライドにおいて、脂肪酸部分の炭素数の合計が48であるトリグリセライド(以下、「C48」と称することがある)を18質量%以上含有することが望ましい。この量は、より望ましくは18〜25質量%であり、さらに望ましくは18〜22質量%である。当該トリグリセライドが適当な量含まれることで、本発明に係るチョコレート用油脂は、チョコレート様食品において濃厚感を付与することができる。
本発明に係るチョコレート用油脂は、チョコレート様食品において、16〜39質量%含有されることが望ましい。この量は、より望ましくは19〜36質量%であり、さらに望ましくは22〜34質量%である。適当な量含有されることで、そのチョコレート様食品は濃厚感を示すことになる。
以下、本発明に係るチョコレート用油脂の製造法を説明する。
本発明に係るチョコレート用油脂の調製にあたっては、エステル交換油脂の調製に使用される、各種の油脂を使用することができる。ラウリン酸を多く含むラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別、水素添加、エステル交換油脂を使用できる。また、パルミチン酸を多く含む油脂として、パーム油及びこれらの分別、水素添加、エステル交換油脂を使用できる。そして、ステアリン酸を多く含む油脂として、菜種油や大豆油などの極度硬化油を使用できる。
不飽和脂肪酸を多く含む油脂としては、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、米ぬか油、綿実油、サフラワー油から選ばれる1以上を使用できる。
なお、原料とする油脂としては、上記以外の油脂も使用することができるし、又発明の効果を妨げない限り、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、不飽和脂肪酸を含まない油脂も使用することができる。
原料となる油脂を、目標とする、それぞれの脂肪酸含量に合わせて準備した後、エステル交換反応を行う。エステル交換反応は、ナトリウムメチラートなどの化学的触媒による方法でも、リパーゼなどの酵素による方法でもよい。
エステル交換反応の後は、通常の精製工程を経て、本発明に係るチョコレート用油脂が完成する。
以下に実施例を示す。
検討1 エステル交換油の調製
表1の配合にてエステル交換油を調製した。調製法は「○エステル交換油の調製法」に従った。
得られたエステル交換油における、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸および不飽和脂肪酸の量、並びに、脂肪酸部分の炭素数の合計が48であるトリグリセライドの量を表2に記載した。なお、これらは原料油脂における数値から計算にて求めたものであった。
また、得られたエステル交換油のSFC(Solid Fat Content(固体脂含量))を測定した。SFCの測定は「○SFCの測定法」に従った。結果を、表3に記載した。
表1
Figure 2019068771
○エステル交換油の調製法
1.配合に従い、使用する油脂を50〜65℃で融解、混合した。
2.油脂100重量部に対し、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換した。
3.常法通り、脱色、脱臭を行った。
なお、比較例4のパーム極度硬化油、比較例5のハイエルシン菜種極度硬化油は、他の油脂のエステル交換後に別添加した。
表2
Figure 2019068771
○SFCの測定法
1.油脂サンプルを80℃にて融解した。
2.油脂2.7〜3.3gを長さ180mm、直径10mmの測定用試験管に分注した。
3.0℃の水槽中で60分間保持した。
4.20℃及び40℃の水槽中で30分間保持した。
5.BRUKER社製SFC測定装置 「minispec pc120 SFC測定装置」にて、測定した。
表3 SFCの結果
Figure 2019068771
検討2 チョコレート様食品の調製
表4の配合に従い、チョコレート様食品の調製を行った。調製法は「○チョコレート様食品の調製法」に従った。
得られたチョコレート様食品について、パネラー5名による官能評価をおこなった。評価法は「○チョコレート様食品の官能評価法」に従った。
結果を表5に示した。
なお、チョコレート様食品中のラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、不飽和脂肪酸、C48の量(計算値)を合わせて表5に記載した。
表4 チョコレート様食品の配合
Figure 2019068771

・レシチンの添加量は微量であり、百分率の計算からは除外した。
○チョコレート様食品の調製法
1 配合表に従い、レシチン及び植物油脂の一部以外の原材料を混合した。なお検討油脂は、検討1で調製したエステル交換油脂をそれぞれ使用した。
2 ロールリファイナーで微粒子化した。
3 コンチェにて加温しながら練った。
4 レシチン及び1で添加しなかった植物油脂を添加し、混合した。
なお、「比較対象サンプル」として、植物油脂にカカオバターを使用したものを調製した。
○チョコレート様食品の官能評価法
チョコレート様食品のサンプルを、パネラー5名にて食し、合議にて、比較対象サンプルとの比較で、以下の基準で採点した。
3点 比較対象サンプルに対し、強く「濃厚感」を感じられるもの。
2点 比較対象サンプルに対し、風味の違いは感じられるが、「濃厚感」とは言えないもの。
1点 比較対象サンプルに対し、ほとんど同等か、口溶け感等の食味の劣るもの。
3点を合格とした。
表5 結果
Figure 2019068771
考察
・表5に示したように、本発明に係るチョコレート用油脂を配合したチョコレート様食品は、濃厚感を示すことが確認された。
・また、濃厚感を示したチョコレート様食品において、使用された油脂のSFCをみると、20℃における値が40〜50%であり、また、40℃における値が1〜4.5%であった。このような数値を示すことが、チョコレート様食品に濃厚感を付与する効果があることが示唆された。

Claims (3)

  1. 以下の組成を有する、ランダムエステル交換されたチョコレート用油脂。
    1.全構成脂肪酸に占めるラウリン酸含量が10〜20質量%。
    2.全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含量が15〜25質量%。
    3.全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含量が18〜30質量%。
    4.全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含量が30〜45質量%。
  2. トリグリセライドにおいて、脂肪酸部分の炭素数の合計が48であるトリグリセライドを18質量%以上含有する、請求項1記載のチョコレート用油脂。
  3. 請求項1又は2記載のチョコレート用油脂を16〜39質量%含有する、チョコレート様食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024048702A1 (ja) * 2022-09-02 2024-03-07 不二製油グループ本社株式会社 ランダムエステル交換油

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