JP2019052230A - 水性インキ用樹脂分散液およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)水、(メタ)アクリル酸および脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物のアルカリ可溶型共重合体(A)、ダイアセトンアクリルアミドおよびエチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物の共重合体(B)、およびヒドラジド化合物(C)を含有し、かつ、下記条件<i>〜<iii>を満足することを特徴とする水性インキ用樹脂分散液、
<i>前記アルカリ可溶型共重合体(A)が、酸価:50〜150mgKOH/g
<ii>前記共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミドの含有割合が、前記(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%
<iii>前記アルカリ可溶型共重合体(A)と前記共重合体(B)との質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40
(2)前記アルカリ可溶型共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算重量平均分子量:6,000〜20,000である前記(1)に記載の水性インキ用樹脂分散液、
(3)前記ヒドラジド化合物(C)を、水性インキ用樹脂分散液に含まれるケト基1モル当量に対して0.8〜1.2モル当量の割合で含む、前記(1)に記載の水性インキ用樹脂分散液、
(4)前記(1)〜(3)いずれか一項に記載の水性インキ用樹脂分散液を含むことを特徴とする水性インキ、
(5)軟包装用水性インキである、前記(4)に記載の水性インキ、
(6)(メタ)アクリル酸および脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物のアルカリ可溶型共重合体(A)の存在下で、ダイアセトンアクリルアミドを含有するエチレン性不飽和単量体の混合物(b)を乳化重合して共重合体(B)を得た後、ヒドラジド化合物(C)を添加して得られ、かつ下記条件<i>〜<iii>を満足することを特徴とする水性インキ用樹脂分散液の製造方法、
<i>前記アルカリ可溶型共重合体(A)が、酸価:50〜150mgKOH/g
<ii>前記共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミド由来の含有割合が、前記(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%
<iii>前記アルカリ可溶型共重合体(A)と前記共重合体(B)との質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40
である。
<i>前記アルカリ可溶型共重合体(A)が、酸価:50〜150mgKOH/g
<ii>前記共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミド由来の含有割合が、前記(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%
<iii>前記アルカリ可溶型共重合体(A)と前記共重合体(B)との質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40
(メタ)アクリル酸含有エチレン系不飽和モノマーのアルカリ可溶型共重合体(A)は、その酸価が50〜150mgKOH/gである必要がある。酸価が50mgKOH/g未満であるとエマルションの貯蔵安定性が低下し、150mgKOH/gを超えると塗膜の耐水性が低下する。前記酸価は、70〜150mgKOH/gであることがより好ましい。
ダイアセトンアクリルアミドおよびエチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物の共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミド由来骨格の含有割合は、塗膜物性や印刷適性の観点から、少なくとも前記共重合体(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%である必要がある。2質量%未満では、塗膜物性において架橋の効果を確認できず、12質量%を超えると、塗膜の再溶解性や版洗浄性に悪影響を及ぼす。3〜10質量%であるとより好ましい。また、前記共重合体(A)と(B)両方に含まれるダイアセトンアクリルアミド由来骨格の含有割合としても、前記共重合体(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%であることが好ましく、3〜10質量%であるとより好ましい。
アルカリ可溶型共重合体(A)と共重合体(B)は、質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40である必要がある。(A)の質量比が20未満であると、エマルションの重合が十分に行われない、あるいはエマルションの安定性が低下し、60を超えるとインキの耐水性や基材に対する密着性に劣るものとなる。(A):(B)=30:70〜60:40であるとより好ましい。
本発明の水性インキにおいては、水および水に可溶性の有機溶媒を少量に限り用いてもよい。そのような溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類が挙げられる。ここで少量とは、環境への排出量や印刷時の乾燥性を考慮した必要最小限の量をいう。
撹拌機、温度計、冷却機、窒素導入管を備えた4つ口セパラフラスに、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)100部を仕込み、窒素雰囲気にした後、内温を145℃に設定した。次に、窒素ガスを導入しながら、表1、表2に示すモノマーの混合液100部と、重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(DTBP)4部とを、定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、同じ温度で2時間保温させて共重合反応を進めた。得られた共重合液体を180℃まで昇温し、常圧蒸留を行った。流出する留分が少なくなったら、減圧蒸留にてPGMAcを留去させて、表1、表2記載のアルカリ可溶型共重合体A−1〜A−14を得た。
AA:アクリル酸 MAA:メタクリル酸 DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
MMA:メタクリル酸メチル BA:アクリル酸ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル CHA:アクリル酸シクロヘキシル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
撹拌機、温度計、冷却機、窒素導入管を備えた4つ口セパラフラスに、表3〜表6に示す種類と量のアルカリ可溶型共重合体(A)、及び中和のための塩基性化合物として25%アンモニア水を使用する共重合体(A)の酸価に対して当量となるように仕込み、80℃まで加熱して3時間保温して溶解し水溶液とした。その後、80℃を保ったまま窒素ガスを導入しながら、水性インキ用樹脂分散液の樹脂成分[共重合体(A)+共重合体(B)]全体のガラス転移温度が19〜26℃の範囲内となるように表3〜表6に示す種類と量のモノマー、及び10%過硫酸アンモニウム水溶液0.5部を定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了から80℃にて更に2時間保温することで残存するモノマーを重合させた後、表3〜表6に示す量のアジピン酸ジヒドラジドを添加し、60〜70℃にて30分間撹拌して溶解させた。その後、25℃における水性インキ用樹脂分散液の粘度が1000mPa・s前後になるように適度の水を添加して冷却し、表3、表4記載の実施例1〜12、ならびに表5、表6記載の比較例1〜8の水性インキ用樹脂分散液を得た。なお、表中の不揮発分とは、水性インキ用樹脂分散液2gを乾燥器にて180℃で1時間乾燥させた際の、水性インキ用樹脂分散液に対する不揮発分の割合(%)を表す。
水性インキ用樹脂分散液を40℃にて1ヶ月間保管した後のエマルションの粘度変化及び外観を目視で観測して安定性の評価を行った。
○:粘度変化30%以下、及び凝集物は生じない。
△:粘度変化30%〜60%、もしくは一部凝集物が生じる。
×:粘度変化60%以上、もしくは凝集物が生じる。
MMA:メタクリル酸メチル 2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド ADH:アジピン酸ジヒドラジド
顔料として、酸化チタンCR−90(石原産業(株)製)50部、顔料分散用樹脂としてML−2146(星光PMC(株)製)8部、イオン交換水42部、及びガラスビーズ150部を250mlのポリ瓶に仕込み、ペイントシェーカーにて30分間振とうした後、ガラスビーズを除いて水性顔料分散液を得た。
得られた水性顔料分散液50部と、水性インキ用樹脂分散液50部とを混合して水性インキを得た。得られたインキの塗膜物性は、下記の方法で評価した。
コロナ処理済みのOPPフィルムに作製した水性インキをバーコーター#10で塗工した。一日室温で乾燥させた後、その塗膜部分をイオン交換水をしみ込ませたガーゼで10回擦った後の表面状態を目視で評価した。下記の基準で評価した結果を表7〜表10に示す。
◎ : 痕跡なし。
○ : わずかに痕跡あり。
△ : 一部塗膜が剥離する。
× : 塗膜が剥離し、素地が見える。
コロナ処理済みのOPPフィルムに作製した水性インキをバーコーター#10で塗工した。一日室温で乾燥させた後、その塗膜部分に幅18mmのセロハンテープ(ニチバン(株)製) を密着させた後にテープを剥がし、剥離部分の状態を目視で評価した。下記の基準で評価した結果を表7〜表10に示す。
◎ : 痕跡なし。
○ : わずかに痕跡あり。
△ : 一部塗膜が剥離する。
× : 塗膜が剥離し、素地が見える。
Claims (6)
- 水、(メタ)アクリル酸および脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物のアルカリ可溶型共重合体(A)、ダイアセトンアクリルアミドおよびエチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物の共重合体(B)、およびヒドラジド化合物(C)を含有し、かつ、下記条件<i>〜<iii>を満足することを特徴とする水性インキ用樹脂分散液。
<i>前記アルカリ可溶型共重合体(A)が、酸価:50〜150mgKOH/g
<ii>前記共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミド由来の含有割合が、前記(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%
<iii>前記アルカリ可溶型共重合体(A)と前記共重合体(B)との質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40 - 前記アルカリ可溶型共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算重量平均分子量:6,000〜20,000である、請求項1に記載の水性インキ用樹脂分散液。
- 前記ヒドラジド化合物(C)を、水性インキ用樹脂分散液に含まれるケト基1モル当量に対して0.8〜1.2モル当量の割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の水性インキ用樹脂分散液。
- 請求項1〜請求項3いずれか一項に記載の水性インキ用樹脂分散液を含むことを特徴とする水性インキ。
- 軟包装用水性インキである、請求項4に記載の水性インキ。
- (メタ)アクリル酸および脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物のアルカリ可溶型共重合体(A)の存在下で、ダイアセトンアクリルアミドおよびエチレン性不飽和単量体を含むモノマー混合物を乳化重合して共重合体(B)を得た後、ヒドラジド化合物(C)を添加して得られ、かつ下記条件<i>〜<iii>を満足することを特徴とする水性インキ用樹脂分散液の製造方法。
<i>前記アルカリ可溶型共重合体(A)が、酸価:50〜150mgKOH/g
<ii>前記共重合体(B)におけるダイアセトンアクリルアミド由来の含有割合が、前記(A)と(B)の合計に対して2〜12質量%
<iii>前記アルカリ可溶型共重合体(A)と前記共重合体(B)との質量比が、(A):(B)=20:80〜60:40
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