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JP2019051808A - 運転支援装置 - Google Patents

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JP2019051808A
JP2019051808A JP2017176978A JP2017176978A JP2019051808A JP 2019051808 A JP2019051808 A JP 2019051808A JP 2017176978 A JP2017176978 A JP 2017176978A JP 2017176978 A JP2017176978 A JP 2017176978A JP 2019051808 A JP2019051808 A JP 2019051808A
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裕人 井出
Hirohito Ide
裕人 井出
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Abstract

【課題】区画線から走行レーンを精度良く設定する。【解決手段】運転支援装置は、自車両が走行している道路の区画線の間の中央位置である中央ラインを推定する区画線認識手段と、先行車の走行軌跡を作成する走行軌跡作成手段と、目標走行ラインに沿って自車両が走行するように前記自車両の操舵制御を支援する車線維持制御手段と、を備える。車線維持制御手段は、車線維持制御を実行しているとき、中央ラインの信頼性が低いと判定された場合、中央ラインの信頼性が低くないと判定した場合と比較して、自車両の位置及び向きを目標走行ラインに一致させるまでの車線維持制御の応答性を低下させる。【選択図】図8

Description

本発明は、少なくとも道路の区画線を利用して、車両(自車両)の車線中央付近の走行を支援する車線維持制御を実行する運転支援装置に関する。
従来から知られている運転支援装置の1つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、少なくとも道路の区画線(白線及び黄色線等)を活用して、自車両を「区画線により特定される走行レーン(走行車線)」内の適切な位置で走行させるように操舵制御を行う車線維持制御を実行する(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2016−218649号公報
従来装置は、車線維持制御を実行する場合、道路の左右に存在する白線候補を検出し、白線候補の各々について尤度(白線である確率)を演算する。従来装置は、上記の尤度に基いて白線を決定し、決定された左右の白線の間の中央位置を結ぶラインを目標走行ラインとして設定する。
しかしながら、白線の認識結果を活用して車線維持制御を実行する場合、次のような問題が生じることがあり得る。例えば、白線が薄くなっている場合、白線に沿って延びる縁石に対して演算された尤度が、薄い白線に対して演算された尤度よりも大きくなる。従って、従来装置は、縁石を白線として誤って認識し、一方の白線と縁石との間の中央位置を結ぶラインを目標走行ラインとして設定する。そして、従来装置は、自車両が左右の白線の間の中央位置に比べて縁石側に寄るように、操舵制御を行う。この結果、白線の誤認識が生じると、自車両の位置及び向きが縁石側に向かって急に変化してしまうという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、白線及び黄色線等を含む車線を区画する区画線の誤認識に起因して自車両の位置及び向きが急に変化する可能性を低減することができる運転支援装置を提供することである。
本発明の運転支援装置(以下、「本発明装置」と称呼される場合がある。)は、
自車両が走行している道路の区画線を認識し、前記区画線の間の中央位置を結んだラインである中央ラインを推定する区画線認識手段(10、10b、16)と、
前記自車両の前方を走行する先行車の走行軌跡を作成する走行軌跡作成手段(10、10c、16)と、
前記中央ラインに基いて設定した目標走行ラインに沿って前記自車両が走行するように前記自車両の操舵角を変更する車線維持制御を実行する車線維持制御手段(10、10d、40)と、
を備える。
更に、前記車線維持制御手段は、
前記車線維持制御を実行しているとき、
前記中央ラインと前記自車両との間の道路幅方向の距離の第1所定時間における変化量の大きさである第1距離変化量(|dL2−dL1|)及び前記中央ラインの方向と前記自車両の進行方向との間のずれ角度の第2所定時間における変化量の大きさである第1角度変化量(|θL2−θL1|)の少なくとも一方と、
前記走行軌跡と前記自車両との間の前記道路幅方向の距離の前記第1所定時間における変化量の大きさである第2距離変化量(|dv2−dv1|)及び前記走行軌跡の方向と前記自車両の進行方向との間のずれ角度の前記第2所定時間における変化量の大きさである第2角度変化量(|θv2−θv1|)の少なくとも一方と、
に基いて、前記中央ラインの信頼性が低いか否かを判定し(ステップ835、及び、ステップ840)、
前記中央ラインの信頼性が低いと判定した場合、前記中央ラインの信頼性が低くないと判定した場合と比較して、前記自車両の位置及び向きを前記目標走行ラインに一致させるまでの前記車線維持制御の応答性を低下させる(ステップ845)ように構成されている。
本発明装置が備える車線維持制御手段は、第1距離変化量(|dL2−dL1|)及び第1角度変化量(|θL2−θL1|)の少なくとも一方と、第2距離変化量(|dv2−dv1|)及び第2角度変化量(|θv2−θv1|)の少なくとも一方と、に基いて、中央ラインの信頼性を判定する。更に、車線維持制御手段は、中央ラインの信頼性が低いと判定した場合、中央ラインの信頼性が低くないと判定した場合と比較して、自車両の位置及び向きを目標走行ラインに一致させるまでの前記車線維持制御の応答性(操舵制御量)を低下させる。これにより、中央ラインの信頼性が低い、すなわち、区画線の誤認識が生じた可能性がある場合には、自車両の位置及び向きが急に変化するのを抑えることができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の本実施形態に係る運転支援装置の概略構成図である。 白線に基いて決定される目標走行ラインを用いた車線維持制御を説明するための平面図である。 先行車の走行軌跡(先行車軌跡)に基いて決定される目標走行ラインを用いた車線維持制御を説明するための平面図である。 (A)は図3に示した車線維持制御を詳細に説明するための平面図であり、(B)は先行車軌跡の3次関数の係数と曲率及び曲率半径等との関係を説明するための数式であり、(C)は先行車軌跡の3次関数の係数と曲率及びヨー角等との関係を説明するための数式である。 走行レーンの中央ライン及び先行車軌跡に基いて作成される目標走行ラインを説明するための図である。 (A)は、t=t1時点における、推定された走行レーンの中央ラインと自車両の位置との関係を示す平面図であり、(B)は、t=t2時点における、推定された走行レーンの中央ラインと自車両の位置との関係を示す平面図である。 (A)は、t=t1時点における自車両と先行車軌跡との間の距離を示す平面図であり、(B)は、t=t2時点における自車両と先行車軌跡との間の距離を示す平面図である。 本発明の本実施形態に係る運転支援ECUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態を示しているが、これらは本発明を理解するための例あり、本発明を限定的に解釈するために用いられるべきでない。
図1に示したように、本発明の実施形態に係る運転支援装置(以下、「本実施装置」と称呼される場合がある。)は、車両(自動車)に適用される。本実施装置が適用される車両は、他の車両と区別するために「自車両」と称呼される場合がある。本実施装置は、運転支援ECU10、エンジンECU20、ブレーキECU30、及び、ステアリングECU40を備えている。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
運転支援ECU10は、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。なお、各センサは、運転支援ECU10以外のECUに接続されていてもよい。その場合、運転支援ECU10は、センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
アクセルペダル操作量センサ11は、自車両のアクセルペダル11aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。
ブレーキペダル操作量センサ12は、自車両のブレーキペダル12aの操作量を検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を出力するようになっている。
操舵角センサ13は、自車両の操舵角を検出し、操舵角θを表す信号を出力するようになっている。運転支援ECU10は、操舵角センサ13から受信した操舵角θの単位時間当たりの変化量である操舵角速度(=dθ/dt)を演算するようになっている。
操舵トルクセンサ14は、操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。
車速センサ15は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速SPDを表す信号を出力するようになっている。
周囲センサ16は、少なくとも自車両の前方の道路、及び、その道路に存在する立体物に関する情報を取得するようになっている。立体物は、例えば、歩行者、自転車及び自動車などの移動物、並びに、電柱、樹木及びガードレールなどの固定物を表す。以下、これらの立体物は「物標」と称呼される場合がある。周囲センサ16は、レーダセンサ16a及びカメラセンサ16bを備えている。
レーダセンサ16aは、例えば、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を少なくとも自車両の前方領域を含む自車両の周辺領域に放射し、放射範囲内に存在する物標によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。更に、レーダセンサ16aは、物標の有無及び自車両と物標との相対関係(即ち、自車両と物標との距離、及び、自車両と物標との相対速度等)を演算して出力するようになっている。
より具体的に述べると、レーダセンサ16aはミリ波送受信部及び処理部を備えている。その処理部は、ミリ波送受信部から送信したミリ波とミリ波送受信部が受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基いて、自車両と物標との相対関係を示すパラメータを所定時間の経過毎に取得する。このパラメータは、検出した各物標(n)に対する、車間距離(縦距離)Dfx(n)、相対速度Vfx(n)、横距離Dfy(n)及び相対横速度Vfy(n)等を含む。
車間距離Dfx(n)は、自車両と物標(n)(例えば、先行車両)との間の自車両の中心軸(前後方向に延びる中心軸)に沿った距離である。
相対速度Vfx(n)は、物標(n)(例えば、先行車両)の速度Vsと自車両の速度Vjとの差(=Vs−Vj)である。物標(n)の速度Vsは自車両の進行方向における物標(n)の速度である。
横距離Dfy(n)は、「物標(n)の中心位置(例えば、先行車両の車幅中心位置)」の、自車両の中心軸と直交する方向における同中心軸からの距離である。横距離Dfy(n)は「横位置」とも称呼される。
相対横速度Vfy(n)は、物標(n)の中心位置(例えば、先行車両の車幅中心位置)の、自車両の中心軸と直交する方向における速度である。
カメラセンサ16bは、ステレオカメラ及び画像処理部を備え、車両前方の左側領域及び右側領域の風景を撮影して左右一対の画像データを取得する。カメラセンサ16bは、その撮影した左右一対の画像データに基いて、物標の有無及び自車両と物標との相対関係などを演算して出力するようになっている。この場合、運転支援ECU10は、レーダセンサ16aによって得られた自車両と物標との相対関係と、カメラセンサ16bによって得られた自車両と物標との相対関係と、を合成することにより、自車両と物標との相対関係(相対関係を表すパラメータ)を決定する。
更に、カメラセンサ16bは、その撮影した左右一対の画像データに基いて、道路の左及び右の区画線を認識し、道路の形状、及び、道路と車両との位置関係(例えば、走行しているレーンの左端又は右端から自車両の車幅方向の中心位置までの距離)を演算して出力するようになっている。なお、区画線は、白線及び黄色線等を含むが、以下では、一例として白線の例を説明する。
周囲センサ16によって取得された物標に関する情報(相対関係を示すパラメータを含む。)は「物標情報」と称呼される。周囲センサ16は、所定の時間が経過するたびに、物標情報を運転支援ECU10に繰り返し送信する。なお、周囲センサ16は、必ずしも、レーダセンサ及びカメラセンサの両方を備える必要はなく、例えば、レーダセンサのみ、又は、カメラセンサのみ、を含んでいてもよい。
操作スイッチ17は、運転者により操作されるスイッチである。運転者は、操作スイッチ17を操作することにより、後述する車線維持制御を実行するか否かを選択することができる。更に、運転者は、操作スイッチ17を操作することにより、後述する追従車間距離制御を実行するか否かを選択することができる。
ヨーレートセンサ18は、自車両のヨーレートを検出し、実ヨーレートYRtを出力するようになっている。
エンジンECU20は、エンジンアクチュエータ21に接続されている。エンジンアクチュエータ21は、内燃機関22のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU20は、エンジンアクチュエータ21を駆動することによって、内燃機関22が発生するトルクを変更することができる。内燃機関22が発生するトルクは、図示しない変速機を介して図示しない駆動輪に伝達されるようになっている。従って、エンジンECU20は、エンジンアクチュエータ21を制御することによって、自車両の駆動力を制御し加速状態(加速度)を変更することができる。なお、自車両が、ハイブリッド車両である場合、エンジンECU20は、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する自車両の駆動力を制御することができる。更に、自車両が電気自動車である場合、エンジンECU20は、車両駆動源としての電動機によって発生する自車両の駆動力を制御することができる。
ブレーキECU30は、ブレーキアクチュエータ31に接続されている。ブレーキアクチュエータ31は、ブレーキペダル12aの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構32との間の油圧回路に設けられている。ブレーキアクチュエータ31は、ブレーキECU30からの指示に応じて、摩擦ブレーキ機構32のブレーキキャリパ32bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整する。その油圧によりホイールシリンダが作動することによりブレーキパッドがブレーキディスク32aに押し付けられて摩擦制動力が発生する。従って、ブレーキECU30は、ブレーキアクチュエータ31を制御することによって、自車両の制動力を制御し加速状態(減速度、即ち、負の加速度)を変更することができる。
ステアリングECU40は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置であって、モータドライバ41に接続されている。モータドライバ41は、転舵用モータ42に接続されている。転舵用モータ42は、図示しない車両の「操舵ハンドル、操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。転舵用モータ42は、モータドライバ41から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを加えたり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。即ち、転舵用モータ42は、自車両の舵角を変更することができる。
次に、本実施装置の作動の概要について説明する。運転支援ECU10は、「追従車間距離制御」及び「車線維持制御」を実行できるようになっている。
<追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)>
追従車間距離制御は、物標情報に基いて、自車両の直前を走行している先行車と自車両との車間距離を所定の距離に維持しながら、自車両を先行車に追従させる制御である。追従車間距離制御自体は周知である(例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。
運転支援ECU10は、操作スイッチ17の操作によって追従車間距離制御が要求されている場合、追従車間距離制御を実行する。
より具体的に述べると、運転支援ECU10は、追従車間距離制御が要求されている場合、周囲センサ16により取得した物標情報に基いて追従対象車両を選択する。例えば、運転支援ECU10は、検出した物標(n)の横距離Dfy(n)と車間距離Dfx(n)とから特定される物標(n)の相対位置が、車間距離が長くなるほど横距離の絶対値が小さくなるように予め定められた追従対象車両エリア内に存在するか否かを判定する。そして、運転支援ECU10は、物標(n)の相対位置が追従対象車両エリア内に所定時間以上に渡って存在する場合、その物標(n)を追従対象車両として選択する。
更に、運転支援ECU10は、目標加速度Gtgtを下記(1)式及び(2)式の何れかに従って算出する。(1)式及び(2)式において、Vfx(a)は追従対象車両(a)の相対速度であり、k1及びk2は所定の正のゲイン(係数)であり、ΔD1は「追従対象車両(a)の車間距離Dfx(a)」から「目標車間距離Dtgt」を減じることにより得られる車間偏差(=Dfx(a)−Dtgt)である。なお、目標車間距離Dtgtは、運転者により操作スイッチ17を用いて設定される目標車間時間Ttgtに自車両100の車速SPDを乗じることにより算出される(即ち、Dtgt=Ttgt・SPD)。
運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が正又は「0」の場合に下記(1)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。ka1は、加速用の正のゲイン(係数)であり、「1」以下の値に設定されている。
運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が負の場合に下記(2)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。kd1は、減速用の正のゲイン(係数)であり、本例においては「1」に設定されている。
Gtgt(加速用)=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(1)
Gtgt(減速用)=kd1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(2)
なお、追従対象車両エリアに物標が存在しない場合、運転支援ECU10は、自車両の車速SPDが「目標車間時間Ttgtに応じて設定される目標速度」に一致するように、目標速度と車速SPDに基いて目標加速度Gtgtを決定する。
運転支援ECU10は、車両の加速度が目標加速度Gtgtに一致するように、エンジンECU20を用いてエンジンアクチュエータ21を制御するとともに、必要に応じてブレーキECU30を用いてブレーキアクチュエータ31を制御する。このように、運転支援ECU10は、機能上、CPUにより実現される「追従車間距離制御(ACC)を実行するACC制御部10a」を有している。
<車線維持制御>
運転支援ECU10は、追従車間距離制御の実行中に、操作スイッチ17の操作によって車線維持制御が要求されている場合、車線維持制御を実行する。
LTC(Lane Trace Control)と称呼される車線維持制御では、運転支援ECU10が白線若しくは先行車の走行軌跡(「先行車軌跡」と称呼される場合がある。)、又は、これらの両方を活用して、目標走行ライン(目標走行路)を設定する。運転支援ECU10は、自車両の横位置(即ち、道路に対する車幅方向の自車両の位置)が「その自車両が走行しているレーン(走行レーン)」内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構に付与して自車両の舵角(操舵角)を変更し、以て、運転者の操舵操作を支援する(例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号等を参照。)。なお、車線維持制御は、「TJA(Traffic Jam Assis)」とも称呼される場合がある。
以下、白線に基いて決定される目標走行ラインを用いた車線維持制御について説明を加える。運転支援ECU10は、以下に述べるように、カメラセンサ16bによって認識された白線に基いて車線維持制御に必要な目標走路情報を取得する。
具体的に述べると、図2に示したように、運転支援ECU10は、周囲センサ16から送信された情報(カメラセンサ16bが認識できている情報)に基いて、自車両100が走行している走行レーンの「左白線LL及び右白線LR」を認識し、それらの位置情報を取得する。運転支援ECU10は、取得した一対の白線の間の中央位置を結ぶラインを「走行レーンの中央ライン」LMとして推定する。このように、運転支援ECU10は、機能上、CPUにより実現される「区画線を認識して、走行レーンの中央ラインを推定する区画線認識部(区画線認識手段)10b」を有している。
更に、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMのカーブ半径R及び曲率CL(=1/R)と、左白線LLと右白線LRとで区画される走行レーンにおける自車両100の位置及び向きと、を演算する。そして、運転支援ECU10は、図2に示したように、自車両100の車幅方向の中央位置と中央ラインLMとの間の道路幅方向の距離dLと、中央ラインLMの方向(接線方向)と自車両100の進行方向とのずれ角θL(ヨー角θL)と、を演算する。運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMを目標走行ラインに設定する場合、中央ラインLMから、車線維持制御に必要な目標走路情報(目標走行ラインの曲率CL、目標走行ラインに対するヨー角θL、及び、目標走行ラインに対する道路幅方向の距離dL)を取得する。
運転支援ECU10は、所定時間が経過するごとに、曲率CLとヨー角θLと距離dLとを下記の(3)式に適用することにより目標操舵角θ*を演算する。更に、運転支援ECU10は、実際の操舵角θが目標操舵角θ*に一致するようにステアリングECU40を用いて転舵用モータ42を制御する。(3)式において、Klta1,Klta2及びKlta3は予め定められた制御ゲインである。
θ*=Klta1・CL+Klta2・θL+Klta3・dL …(3)
なお、運転支援ECU10は、下記(3’)式により、自車両100が目標走行ラインに沿って走行するために必要なヨーレートである目標ヨーレートYRc*を演算し、目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRtとに基いて、目標ヨーレートYRc*を得るための目標操舵トルクTr*を、ルックアップテーブルを用いて演算してもよい。この場合、運転支援ECU10は、実際の操舵トルクTraが目標操舵トルクTr*に一致するように、ステアリングECU40を用いて転舵用モータ42を制御する。なお、(3’)式において、K1、K2及びK3は制御ゲインである。
YRc*=K1・dL+K2・θL+K3・CL …(3’)
次に、先行車軌跡に基いて決定される目標走行ラインを用いた車線維持制御について説明を加える。この車線維持制御は、例えば、左右の白線が認識できないような場合に実行される。図3に示したように、運転支援ECU10は、先行車軌跡L1の作成対象となる物標である先行車101を特定して、自車両100の位置に対する所定時間毎の先行車101の位置情報を含む物標情報に基いて先行車軌跡L1を作成する。なお、図3に示したx−y座標は、自車両100の前後方向に伸びる中心軸をx軸、これに直交する軸をy軸とし、自車両100の現在位置を原点(x=0、y=0)とする座標である。
図3に示す各記号は以下の通りである。
dv:現在位置(x=0、y=0)の自車両100の車幅方向の中央位置と先行車軌跡L1との間の道路幅方向の距離
θv:自車両100の現在位置(x=0、y=0)の先行車軌跡L1の方向(接線方向)と自車両100の進行方向(x軸の+の方向)とのずれ角(ヨー角)
Cv:自車両100の現在位置(x=0、y=0)に対応する位置(x=0、y=dv)の先行車軌跡L1の曲率
Cv’:曲率変化率(先行車軌跡L1の任意の位置(x=x0、x0は任意の値)での単位距離(Δx)当たりの曲率変化量)
例えば、運転支援ECU10は、所定時間が経過するごとに、先行車101の位置の座標値を表す位置情報をRAMに保存(バッファリング)する。なお、保存するデータをできるだけ少なくするために、運転支援ECU10は、先行車101の最新の座標値から或る程度の数の座標値のみを保存し、古い座標値を逐次破棄してもよい。運転支援ECU10は、RAMに保存した先行車101の座標値を、それぞれの座標値を取得した時点における自車両100の位置及び進行方向と、現時点における自車両の位置及び進行方向と、の差に基いて、現在位置を原点(x=0、y=0)とする上述したx−y座標の座標に変換する。図3の(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)及び(x4,y4)は、このように変換された先行車101の位置の座標の例である。
運転支援ECU10は、それらの座標値に対して曲線フィッティング処理を実行することにより、先行車の先行車軌跡L1を作成する。例えば、フィッティング処理に用いられる曲線は3次関数f(x)である。フィッティング処理は、例えば、最小二乗法により実行される。このように、運転支援ECU10は、機能上、CPUにより実現される「先行車軌跡L1を作成する走行軌跡作成部(走行軌跡作成手段)10c」を有している。
図4(A)に示したように、先行車軌跡L1を、3次関数:f(x)=ax+bx+cx+dによって定義する。図4(B)に示した関係式及び条件を用いると、図4(C)に示した3次関数の係数と曲率及びヨー角等との関係が導出される。よって、先行車軌跡L1は下記(4)式に示すように表すことができる。以上から明らかなように、3次関数f(x)の係数a、b、c及びdを求めることにより、先行車軌跡L1の曲率変化率Cv’、自車両100の現在位置に対応する位置の先行車軌跡L1の曲率Cv、ヨー角θv、及び、距離dvを求めることができる。
f(x)=(1/6)Cv’・x+(1/2)Cv・x+θv・x+dv…(4)
運転支援ECU10は、先行車軌跡L1を目標走行ラインに設定する場合、作成された3次関数f(x)の係数a、b、c及びdと、図4(C)に示した関係とから、車線維持制御に必要な目標走路情報(即ち、目標走行ラインの曲率Cv(及び曲率変化率Cv’)、目標走行ラインに対するヨー角θv、並びに、目標走行ラインに対する道路幅方向の距離dv)を取得する。
そして、運転支援ECU10は、式(3)において、dLをdvに置換し、θLをθvに置換し、CLをCvに置換することにより、目標操舵角θ*を演算し、実際の操舵角θが目標操舵角θ*に一致するように転舵用モータ42を制御する。なお、運転支援ECU10は、(3’)式を利用して転舵用モータ42を制御してもよい。
更に、運転支援ECU10は、先行車軌跡L1と走行レーンの中央ラインLMとの組み合わせによって目標走行ラインを作成してもよい。より具体的に述べると、例えば、図5に示すように、運転支援ECU10は、先行車軌跡L1が「先行車軌跡L1の形状(曲率)を維持した軌跡であって且つ自車両100の近傍における中央ラインLMの位置及び当該中央ラインLMの方向(接線方向)と一致した軌跡」となるように、先行車軌跡L1を補正することができる。これにより、先行車軌跡のL1の形状が維持された軌跡であって、車線幅方向の誤差が小さい「補正した先行車軌跡(「補正先行車軌跡」と称呼される場合がある。)L2」を目標走行ラインとして得ることができる。
例えば、運転支援ECU10は、以下に述べる(a)乃至(d)のように、先行車の有無及び白線の認識状況に応じて目標走行ラインを設定して車線維持制御を実行する。
(a)左右の白線が遠方まで認識できている場合、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMに基づいて目標走行ラインを設定して車線維持制御を実行する。
(b)自車両の前方に先行車が存在し且つ左右の白線が認識できていない場合、運転支援ECU10は、先行車軌跡L1に基づいて目標走行ラインを設定して車線維持制御を実行する。
(c)自車両の前方に先行車が存在し且つ左右の白線の自車両の近傍が認識できている場合、運転支援ECU10は、先行車軌跡L1を白線により補正した補正先行車軌跡を目標走行ラインとして設定して車線維持制御を実行する。
(d)自車両の前方に先行車が存在せず且つ道路の白線が遠方まで認識できていない場合、運転支援ECU10は、車線維持制御をキャンセルする。
以上のように、運転支援ECU10は、機能上、CPUにより実現される「目標走行ラインに沿って自車両を走行させるための操舵支援を行う車線維持制御を実行するLTC制御部(車線維持制御手段)10d」を有している。
<走行レーンの中央ラインLMの信頼性判定>
次に、図6及び図7を参照しながら、運転支援ECU10が実施する車線維持制御の中の1つの処理である「走行レーンの中央ラインLMの信頼性の判定処理」について説明する。図6及び図7において、ある演算周期での時刻をt=t1と表現し、その次の演算周期での時刻をt=t2と表現している。なお、図6では、先行車の図示が省略されている。更に、図6及び図7に示した例においては、カメラセンサ16bによって白線が遠方まで認識できており(白線の誤認識も含む)、且つ、自車両100の前方に先行車101が存在していることを前提としている。更に、運転支援ECU10は、中央ラインLMに基いて設定した目標走行ラインに従って車線維持制御を実行している。
図6(A)に示すように、時刻t1にて、運転支援ECU10は、カメラセンサ16bによって左白線LL及び右白線LRを正しく認識している。運転支援ECU10は、認識された白線LL及びLRに基いて、走行レーンの中央ラインLMを推定する。そして、運転支援ECU10は、自車両100の車幅方向の中央位置と走行レーンの中央ラインLMとの間の道路幅方向の距離(以下、「第1センター距離」と称呼する。)dL1を演算し、RAMに記憶する。
次に、図6(B)に示すように、時刻t2において自車両100が走行する走行レーンの左白線LLが薄くなっていると仮定する。運転支援ECU10は、左白線LLに沿って設けられた縁石LCを左白線として誤って認識する。従って、時刻t2にて、運転支援ECU10は、認識された縁石LC及び白線LRに基いて、走行レーンの中央ラインLM’を推定する。このように、時刻t2では、走行レーンの中央ラインの位置が、正しい中央ラインの位置(LM)に対して縁石LC側の位置(LM’)に移動する。
運転支援ECU10は、時刻t2にて、第1センター距離dL2を演算し、RAMに記憶する。そして、運転支援ECU10は、前回の演算周期(時刻t1)と今回の演算周期(時刻t2)との間での第1センター距離の変化量の大きさ(即ち、第1所定時間(t2−t1)における第1センター距離の変化量の大きさ)である第1距離変化量(|dL2−dL1|)を演算する。運転支援ECU10は、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1以上であるか否かを判定する。
第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1よりも小さい場合、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインの信頼性が高いと判定する。
一方、図6(B)の例では、縁石LCが左白線として誤って認識されたので、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1よりも大きくなる。このように第1距離変化量が大きい場合、白線の誤認識が発生している可能性が高い。しかしながら、以下のように、第1距離変化量が大きい場合でも、白線の誤認識が発生していない場合もある。例えば、車線維持制御が開始された時点で自車両100の位置が走行レーンの中央ラインLMの位置から離れた位置にある場合、車線維持制御の開始に伴って自車両100の位置が走行レーンの中央ラインLMの位置に向かって移動する。この場合、第1距離変化量が大きくなるが、白線の誤認識は発生していない。このように、第1距離変化量が大きい場合でも、白線の誤認識が発生していない可能性もある。そのため、運転支援ECU10は、第1距離変化量を用いた白線の信頼性判定に加えて、以下の処理を実行する。
図7(A)に示すように、時刻t1にて、運転支援ECU10は、自車両100の車幅方向の中央位置と先行車軌跡L1との間の道路幅方向の距離(以下、「第2センター距離」と称呼する。)dv1を演算し、RAMに記憶する。
図7(B)に示すように、運転支援ECU10は、時刻t2にて、第2センター距離dv2を演算し、RAMに記憶する。運転支援ECU10は、前回の演算周期(時刻t1)と今回の演算周期(時刻t2)との間での第2センター距離の変化量の大きさ(即ち、第1所定時間(t2−t1)における第2センター距離の変化量の大きさ)である第2距離変化量(|dv2−dv1|)を演算する。更に、運転支援ECU10は、第2距離変化量(|dv2−dv1|)が所定の第2閾値Th2以下であるか否かを判定する。
時刻t1と時刻t2との間で、自車両100の位置は先行車101の先行車軌跡L1に対して変化していないので、第2距離変化量(|dv2−dv1|)は所定の第2閾値Th2以下である。このように、第1距離変化量が大きく、且つ、第2距離変化量が小さい場合、これは、自車両100と先行車軌跡L1との間の距離の変化量が小さいにも関わらず、自車両100と走行レーンの中央ラインLMとの間の距離のみが急激に変化したことを意味する。従って、白線の誤認識が発生している可能性が高い。運転支援ECU10は、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1以上であり、且つ、第2距離変化量(|dv2−dv1|)が所定の第2閾値Th2以下である場合、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定する。
一方、運転支援ECU10は、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1以上であり、且つ、第2距離変化量(|dv2−dv1|)が所定の第2閾値Th2よりも大きい場合、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定する。例えば、車線維持制御が開始された時点で自車両100が走行レーンの中央ラインLMの位置から離れた位置にある場合、車線維持制御の開始に伴って自車両100の位置が走行レーンの中央ラインLMの位置に向かって近づく。このとき、自車両100自身が移動するので、先行車101が道路幅方向に移動していなければ(すなわち、先行車101が走行レーンに沿って走行しているならば)、自車両100と先行車軌跡L1との間の距離も変化する。このように、第1距離変化量が第1閾値以上であり、且つ、第2距離変化量が第2閾値よりも大きい場合、白線の誤認識は発生しておらず、車線維持制御が正常に実行されていると考えられる。
走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定されていない場合(信頼性が高いと判定されている場合)と比較して、自車両の位置及び向きを目標走行ライン(この場合、中央ラインLM)に一致させるまでの車線維持制御の応答性を低下させる。
より具体的に述べると、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合、信頼性が高いと判定されている場合と比較して、操舵制御量の大きさの上限値を小さい値に変更する。運転支援ECU10は、操舵制御量の大きさがその上限値を超えないように制限処理を行ない、その制限処理された操舵制御量に基いて操舵角を変更する操舵制御(車線維持制御)を実行する。
操舵制御量は、自車両の操舵角を決定付けるパラメータであり、目標操舵角θ*及び目標操舵角速度の少なくとも1つを含む。
本実施装置の運転支援ECU10は、操舵制御量として目標操舵角θ*及び目標操舵角速度を採用している。より具体的には、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合、目標操舵角θ*の大きさが第1操舵角上限値θ1maxを超えないように目標操舵角θ*に制限を加える。この場合、目標操舵角θ*の大きさが第1操舵角上限値θ1maxを超えるときには、運転支援ECU10は、その目標操舵角θ*の大きさを第1操舵角上限値θ1maxに設定する。
更に、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合、操舵角速度の大きさが第1操舵角速度上限値dθ1max(>0)を超えないように操舵角速度に制限を加える。より具体的に述べると、現時点から所定時間前の目標操舵角θ*をθoldと表記し、現時点の目標操舵角θ*をθnowと表記するとき、運転支援ECU10は、以下のように目標操舵角θ*を制限する。
・運転支援ECU10は、θnow−θold>dθ1maxであるとき、目標操舵角θ*を値(θold+dθ1max)に設定する。
・運転支援ECU10は、θold−θnow>dθ1maxであるとき、目標操舵角θ*を値(θold−dθ1max)に設定する。
これに対し、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合、目標操舵角θ*の大きさが「第1操舵角上限値θ1maxよりも小さい第2操舵角上限値θ2max」を超えないように目標操舵角θ*に制限を加える。この場合、目標操舵角θ*の大きさが第2操舵角上限値θ2maxを超えるときには、運転支援ECU10は、その目標操舵角θ*の大きさを第2操舵角上限値θ2maxに設定する。
更に、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合、操舵角速度の大きさが第2操舵角速度上限値dθ2max(>0)を超えないように操舵角速度に制限を加える。より具体的に述べると、運転支援ECU10は、以下のように目標操舵角θ*を制限する。
・運転支援ECU10は、θnow−θold>dθ2maxであるとき、目標操舵角θ*を値(θold+dθ2max)に設定する。
・運転支援ECU10は、θold−θnow>dθ2maxであるとき、目標操舵角θ*を値(θold−dθ2max)に設定する。
これにより、運転支援ECU10は、車線維持制御の応答性を低下させ、その結果、白線の誤認識によって自車両100の位置及び向きが急激に変化することを防止することができる。なお、第1操舵角上限値θ1max及び/又は第1操舵角速度上限値dθ1maxは非常に大きな値(車線維持制御において取り得ない大きさを有する値)であってもよい。この場合、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合、目標操舵角θ*及び/又は目標操舵角速度の大きさに制限が事実上加えられない。
更に、運転支援ECU10は、上記(3)式の制御ゲインKlta2及び/又は制御ゲインKlta3の大きさを、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合に走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合と比較して小さい値に設定してもよい。これによっても、運転支援ECU10は、車線維持制御の応答性を低下させることができる。
更に、運転支援ECU10が上記(3’)式を用いて車線維持制御を実行するように構成されている場合、操舵制御量は、目標操舵トルクTr*及び/又は目標ヨーレートYRc*であっても良い。この場合、これらの値の大きさのそれぞれの上限値が走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いか低いかに応じて変更されれば良い。更に、運転支援ECU10は、上記(3’)式の制御ゲインの大きさを、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合に、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合と比較して小さい値に設定してもよい。これらによっても、運転支援ECU10は、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合に、車線維持制御の応答性を低下させることができる。
<具体的作動>
次に、運転支援ECU10のCPU(単に「CPU」と称呼する場合がある。)の具体的作動について説明する。CPUは、所定時間が経過する毎に、車線維持制御(LTC)の中の1つのルーチンとして、図8により示したルーチンを実行するようになっている。なお、CPUは図示しないルーチンにより追従車間距離制御(ACC)を実行するようになっている。CPUは、この追従車間距離制御が実行している場合に図8に示したルーチンを実行する。
従って、追従車間距離制御を実行している場合において、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ800から図8のルーチンを開始してステップ810に進み、所定の実行条件が成立しているか否かを判定する。
所定の実行条件は、以下の条件1乃至条件3の総てが成立したときに成立する。
(条件1):カメラセンサ16bによって白線が遠方まで認識できている(白線の誤認識も含む)。
(条件2):自車両100の前方に先行車101(この場合、追従車間距離制御における追従対象車両)が存在している。
(条件3):CPUが、中央ラインLMに基いて設定した目標走行ラインに従って車線維持制御を実行している。
実行条件が成立していない場合、CPUはステップ810にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対して、実行条件が成立している場合、CPUはステップ810にて「Yes」と判定してステップ815に進む。
ステップ815:CPUは、先行車軌跡L1の作成対象となる先行車101を選択する。具体的に述べると、CPUは、車速センサ15から自車両100の車速を取得して、ヨーレートセンサ18から自車両100のヨーレートを取得する。CPUは、取得した車速及びヨーレートから自車両100の進行方向を推測して、周囲センサ16から送られてくる物標情報に基いてその進行方向に最も近い物標を「先行車軌跡L1の作成対象となる先行車101」として選択する。
ステップ820:CPUは、周囲センサ16からの物標情報に基いて、各物標の物標情報を各物標に対応させてRAMに記憶している。CPUは、その物標情報の中から、ステップ815にて選択された先行車101に対応する位置情報(先行車の座標値)を取得する。CPUは、上述したように、当該位置情報に対して曲線フィッティング処理を実行することにより、先行車軌跡L1を作成する。
ステップ825:CPUは、周囲センサ16からの情報(カメラセンサ16bが認識できている情報)に基いて、自車両100が走行している走行レーンの「左白線LL及び右白線LR」を取得する。CPUは、取得した一対の白線の中央位置を結ぶラインを推定し、当該ラインを「走行レーンの中央ラインLM」として決定する。
ステップ830:CPUは、走行レーンの中央ラインLMを目標走行ラインとして設定する。別の例として、図5に示したように、CPUは、走行レーンの中央ラインLM及び先行車軌跡L1の両方に基づき作成された補正先行車軌跡L2を、目標走行ラインとして設定してもよい。
次に、CPUは、ステップ835にて、前回の演算周期での第1センター距離dL1と今回の演算周期での第1センター距離dL2との間の変化量である第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1以上であるか否かを判定する。
第1距離変化量(|dL2−dL1|)が所定の第1閾値Th1以上である場合、CPUは、ステップ835にて「Yes」と判定し、ステップ840に進む。CPUは、ステップ840にて、前回の演算周期での第2センター距離dv1と今回の演算周期での第2センター距離dv2との間の変化量である第2距離変化量(|dv2−dv1|)が所定の第2閾値Th2以下であるか否かを判定する。第2距離変化量(|dv2−dv1|)が所定の第2閾値Th2以下である場合、CPUは、ステップ840にて「Yes」と判定し、ステップ845に進む。
CPUは、ステップ845にて、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が低いと判定して、上述したように比較的低い操舵制御量によって操舵制御を実行する(すなわち、中央ラインLMの信頼性が高いと判定された場合と比較して操舵制御量の上限値を小さく設定する)。この結果、自車両の位置及び向きを目標走行ライン(この場合、中央ライン)に一致させるまでの車線維持制御の応答性が低下する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が第1閾値Th1よりも小さい場合、CPUは、ステップ835にて「No」と判定し、ステップ850に進む。
第2距離変化量(|dv2−dv1|)が第2閾値Th2より大きい場合、CPUは、ステップ840にて「No」と判定し、ステップ850に進む。
CPUは、ステップ850に進むと、走行レーンの中央ラインLMの信頼性が高いと判定して、上述したように比較的高い操舵制御量によって操舵制御を実行する(すなわち、中央ラインLMの信頼性が低いと判定された場合と比較して操舵制御量の上限値を大きく設定する)。この結果、自車両の位置及び向きを目標走行ライン(この場合、中央ライン)に一致させるまでの車線維持制御の応答性が向上する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上説明した本実施装置は、走行レーンの中央ラインLMと自車両100との間の道路幅方向の距離の第1所定時間における変化量の大きさである第1距離変化量(|dL2−dL1|)と、先行車軌跡L1と自車両100との間の道路幅方向の距離の第1所定時間における変化量の大きさである第2距離変化量(|dv2−dv1|)とに基いて、走行レーンの中央ラインLMの信頼性を判定する。これにより、白線の誤認識によって自車両100の位置及び向きが急激に変化する可能性を低減することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
ステップ835にて、CPUは、第1距離変化量(|dL2−dL1|)に代えて、中央ラインLMの方向と自車両100の進行方向とのずれ角θL(図2参照。)の第2所定時間における変化量の大きさを演算してもよい。以下、ずれ角θLを「第1ヨー角」と称呼する。例えば、縁石を白線として誤認識した場合、当該誤認識が発生した部分にて中央ラインLM’が縁石側に湾曲し、第1ヨー角θLが大きくなる。従って、第1ヨー角θLを、白線の誤認識が発生したか否かを判定するための条件に用いることができる。具体的には、CPUは、前回の演算周期での第1ヨー角θL1と今回の演算周期での第1ヨー角θL2との間の変化量の大きさ(第2所定時間における第1ヨー角の変化量の大きさ)である第1角度変化量(|θL2−θL1|)を演算する。CPUは、第1角度変化量(|θL2−θL1|)が所定の第3閾値Th3以上であるか否かを判定する。第1角度変化量(|θL2−θL1|)が所定の第3閾値Th3以上である場合、CPUは、ステップ840に進む。一方、第1角度変化量(|θL2−θL1|)が所定の第3閾値Th3より小さい場合、CPUは、ステップ850に進む。
ステップ835にて第1角度変化量(|θL2−θL1|)を用いた判定を行う場合、ステップ840にて、CPUは、第2距離変化量(|dv2−dv1|)に代えて、先行車軌跡L1の方向と自車両100の進行方向とのずれ角θv(図4(A)参照。)の第2所定時間における変化量の大きさを演算してもよい。以下、ずれ角θvを「第2ヨー角」と称呼する。具体的には、CPUは、前回の演算周期での第2ヨー角θv1と今回の演算周期での第2ヨー角θv2との間の変化量(第2所定時間における第2ヨー角の変化量の大きさ)である第2角度変化量(|θv2−θv1|)を演算する。CPUは、第2角度変化量(|θv2−θv1|)が所定の第4閾値Th4以下であるか否かを判定する。第2角度変化量(|θv2−θv1|)が所定の第4閾値Th4以下である場合、CPUは、ステップ845に進む。一方、第2ヨー角の変化量(|θv2−θv1|)が所定の第4閾値Th4より大きい場合、CPUは、ステップ850に進む。
更に、CPUは、ステップ835にて、第1距離変化量及び第1角度変化量の両方を用いてもよい。この場合、CPUは、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が第1閾値Th1以上であり、且つ、第1角度変化量(|θL2−θL1|)が第3閾値Th3以上である場合、ステップ840に進む。一方、第1距離変化量(|dL2−dL1|)が第1閾値Th1より小さい、及び/又は、第1角度変化量(|θL2−θL1|)が第3閾値Th3より小さい場合、CPUは、ステップ850に進む。
加えて、ステップ840にて、CPUは、第2距離変化量及び第2角度変化量の両方を用いてもよい。この場合、CPUは、第2距離変化量(|dv2−dv1|)が第2閾値Th2以下であり、且つ、第2角度変化量(|θv2−θv1|)が第4閾値Th4以下である場合、ステップ845に進む。一方、第2距離変化量(|dv2−dv1|)が第2閾値Th2よりも大きい、及び/又は、第2角度変化量(|θv2−θv1|)が第4閾値Th4よりも大きい場合、CPUは、ステップ850に進む。
ステップ820にて、CPUは、カルマンフィルタを用いて先行車軌跡L1を生成してもよい。運転支援ECU10が備えるカルマンフィルタに自車両の位置情報を入力すると、カルマンフィルタから、自車両100の現在位置の先行車軌跡L1の曲率Cv、先行車軌跡L1の曲率変化率Cv’、先行車軌跡L1に対する自車両100のヨー角θv、先行車軌跡L1と自車両100の現在位置との間の距離dvが出力される。CPUは、図4(C)に示した3次関数の係数と曲率及びヨー角等との関係を用いることにより、3次関数f(x)の係数a、b、c及びdを求めることができる。
本実施装置では、車線維持制御を追従車間距離制御(ACC)の実行中にのみ実行するようになっているが、追従車間距離制御の実行中でなくても車線維持制御を実行してもよい。
10…運転支援ECU、11…アクセルペダル操作量センサ、12…ブレーキペダル操作量センサ、13…操舵角センサ、14…操舵トルクセンサ、15…車速センサ、16…周囲センサ、17…操作スイッチ、18…ヨーレートセンサ、20…エンジンECU、30…ブレーキECU、40…ステアリングECU。

Claims (1)

  1. 自車両が走行している道路の区画線を認識し、前記区画線の間の中央位置を結んだラインである中央ラインを推定する区画線認識手段と、
    前記自車両の前方を走行する先行車の走行軌跡を作成する走行軌跡作成手段と、
    前記中央ラインに基いて設定した目標走行ラインに沿って前記自車両が走行するように前記自車両の操舵角を変更する車線維持制御を実行する車線維持制御手段と、
    を備え、
    前記車線維持制御手段は、
    前記車線維持制御を実行しているとき、
    前記中央ラインと前記自車両との間の道路幅方向の距離の第1所定時間における変化量の大きさである第1距離変化量及び前記中央ラインの方向と前記自車両の進行方向との間のずれ角度の第2所定時間における変化量の大きさである第1角度変化量の少なくとも一方と、
    前記走行軌跡と前記自車両との間の前記道路幅方向の距離の前記第1所定時間における変化量の大きさである第2距離変化量及び前記走行軌跡の方向と前記自車両の進行方向との間のずれ角度の前記第2所定時間における変化量の大きさである第2角度変化量の少なくとも一方と、
    に基いて、前記中央ラインの信頼性が低いか否かを判定し、
    前記中央ラインの信頼性が低いと判定した場合、前記中央ラインの信頼性が低くないと判定した場合と比較して、前記自車両の位置及び向きを前記目標走行ラインに一致させるまでの前記車線維持制御の応答性を低下させるように構成された運転支援装置。

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