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JP2019050772A - ワクチン接種後副反応を予測する検査方法 - Google Patents

ワクチン接種後副反応を予測する検査方法 Download PDF

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裕之 押海
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Abstract

【課題】ワクチンの副反応の可能性を検査する方法の提供。【解決手段】ワクチンの副反応の可能性を検査する方法であって、以下の工程:(a) 生体試料から採取された細胞外小胞内に含まれる異なる2つのマイクロRNAの発現量の比を測定する工程、(b) 前記測定された発現量の比と、予めワクチンで刺激した細胞から産生される炎症性サイトカインの発現量との相関関係を調べる工程を含む、前記方法。【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロRNAの発現量比を利用した、ワクチン接種後副反応を予測する検査方法に関する。
ワクチンはウイルス感染症の予防に非常に有効である。季節性インフルエンザウイルスは、毎年千人以上の死者を出していると予想されていることなどから、その予防のために、毎年、インフルエンザワクチンが接種されている。また、新型インフルエンザなどのパンデミックインフルエンザの予防にもワクチンが非常に重要な役割を果たす。インフルエンザに対するワクチンは、ウイルスのHAタンパク質を含む画分を用いたスプリットワクチンが現在普及していが、不活化したウイルスの粒子全体を用いた全粒子ワクチンは、スプリットワクチンより優れた予防効果があることが知られている。
しかし、発熱などの副反応が生じる頻度がスプリットワクチンより高いために、現在の日本では普及していない。一方で、スプリットワクチンも、頻度は低いものの、過剰な免疫応答による副反応が生じることが知られている。このような副反応は、全ての人に生じるわけではなく、ある一定の割合でのみ生じ、副反応の出る人と出ない人がいる。しかし、その原因は不明である。そのために、全粒子ワクチン接種後の副反応をあらかじめ予見するための検査法ができれば、ワクチン接種量の調節や、接種時期の変更などの対策をとることで、副反応を回避できると期待される。
これまで、このような過剰な免疫応答による副反応を回避するため、ワクチン接種前の体温測定や、体調についての問診などの方法がとられていた。しかし、このような問診や体温測定といった方法だけでは副反応は回避されておらず、副反応の有無をあらかじめ検査できるより良い方法の開発が期待されている。
ワクチン接種後副反応の問題は、インフルエンザワクチン以外でも重要な課題である。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となることから、近年、その予防ワクチンが開発された。子宮頸がんワクチンは、海外では広く普及し、日本でも一時的に広く普及したが、その後、自己免疫が原因と推測される副反応の有無に関して議論が生じ、子宮頸がんワクチンの接種率は低くなっている。
子宮頸がんワクチン接種後副反応としては、局所での腫脹や発赤、あるいは全身性の発熱などの過剰な免疫応答による副反応がある。一方で、重篤な副反応の疑い例として、自己免疫が原因と推測されているギラン・バレー症候群などのような自己免疫応答が原因と考えられる副反応などが指摘されている。このことから、子宮頸がんワクチン接種の前にあらかじめ副反応を生じるかどうかを検査できる方法が開発されれば、より安全に子宮頸がんワクチンを接種することが可能となり、子宮頸がんによる死亡者数を激減させることができると期待される。
このようなインフルエンザやヒトパピローマウイルスに対するワクチン以外にもB型肝炎ウイルスやその他の様々なワクチンで、接種後の副反応が報告されている。一般的に副反応の中で、最もよく観察されるものは、接種した局所での腫脹と発赤である。これは、免疫応答の中の炎症応答として理解されている。具体的には、局所に存在するマクロファージなどがワクチンの成分に反応し、炎症性サイトカインなどを産生するために、血管透過性が上昇し、血漿などの成分が血管外へとでるために生じる。また、このような局所での炎症応答で産生された炎症性サイトカインは血流にのり、視床下部に到達するとプロスタグランジンE2の発現を誘導し、これが発熱を誘導する(非特許文献1)。つまり、局所での発赤や腫脹がみられる人や、あるいは全身性の発熱がある人は、ワクチン成分に対し過剰な免疫応答していると考えられる。また、このような炎症性サイトカインは自己免疫疾患の発症とも関連することが知られている(例えば非特許文献2など)。これは、過剰な免疫応答をする人をあらかじめ検査することで、過剰な免疫応答による副反応が生じる人を予見できることを意味する。
Conti B et al, Frontiers in Bioscience-Landmark 9: 1433-14492004 Tanaka T. Narazaki M. and Kishimoto T. Cold Spring Harbor Perspectives in Biology 6: a016295, 2014
本発明は、ワクチン接種後の副反応を予測する検査方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、血液の細胞外小胞のmicroRNAの発現比を測定することにより、ワクチン接種後副反応のリスクを予測し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ワクチンの副反応の可能性を検査する方法であって、以下の工程:
(a) 生体試料から採取された細胞外小胞内に含まれる異なる2つのマイクロRNAの発現量の比を測定する工程、及び
(b) 前記測定された発現量の比と、予めワクチンで刺激した培養細胞から産生される炎症性サイトカインの発現量との相関関係を調べる工程、
を含む、前記方法。
(2)ワクチンが、インフルエンザワクチン、子宮頸がんワクチン、肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン及び狂犬病ワクチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)に記載の方法。
(3)炎症性サイトカインが、IFN-β、IL-6、TNF-α、IL-1及びIL-12からなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)生体試料が血液又は尿である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)マイクロRNAの発現量の比が、miR-5100/miR-7704、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5p、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277-5p、
miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739、
miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p、miR-3648/miR-3194-3p、
miR-451/miR-16、miR-5787/miR-7704、miR-8072/miR-7704、miR-6743/miR-7704、miR-6729-5p/miR-7704、miR-3665/miR-7704、miR-6125/miR-7704、miR-6786-5p/miR-7704、miR-6869/miR-7704、miR-762/miR-7704、miR-4723/miR-7704、miR-4739/miR-7704、
miR-8072/miR-2467-3p、miR-6787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-6744-5p/miR-2467-5p、miR-4463-miR-2467-3p、miR-6729-5p/miR-2467-3p、miR-4466/miR-2467-3p、miR-3665/miR-2467-3p、miR-6125/miR-2467-3p、miR-6085/miR-2467-3p、miR-6786-5p/miR-2467-3p、miR-6090/miR-2467-3p、miR-8059/miR-2467-3p、miR-6869-5p/miR-2467-3p、miR-762/miR-2467-3p、miR-4723-5p/miR-2467-3p、miR-4739/miR-2467-3p、miR-4488/miR-2467-3p、miR-328-5p/miR-2467-3p、及びmiR-8069/miR-2467-3p
からなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)マイクロRNAの発現量の比が、miR-5100/miR-7704、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5p、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277-5p、
miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739、
miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p及びmiR-3648/miR-3194-3p からなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7)マイクロRNAの発現量の比が、炎症性サイトカインの発現量と相関したときは、ワクチンの副反応が生じるリスクがあると予測する、(6)に記載の方法。
本発明により、ワクチン接種後副反応を予測する検査方法が提供される。本発明の方法により、血液の細胞外小胞のmicroRNAの発現量の比を、ワクチン接種後の免疫応答による副反応の有無の予測に使用できることを明らかとなった。本発明の方法を用いて副反応の有無を予測することで、ワクチンの接種量を減らすことにより副反応を弱めるか、あるいは、ワクチンの接種時期を変えることで副反応を軽減又は回避することが可能となる。
血清中の細胞外小胞内microRNAの細胞への取り込みを示す図である。 血液中の細胞外小胞のmicroRNA量による細胞内microRNA量の測定結果を示す図である。 血清中の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比と、血清で培養したマクロファージのワクチンに対する免疫応答との相関を示す図である。 マウス血中の細胞外小胞のmicroRNAの発現比と、インフルエンザワクチンに対する免疫応答の相関を示す図である。 インフルエンザ全粒子ワクチンに対する免疫応答(IFN-β発現)と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関を示す図である。 インフルエンザ全粒子ワクチンに対する免疫応答(IL-6発現)と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関を示す図である。 免疫応答を正と負に制御するmicroRNAを示す図である。 インフルエンザスプリットワクチンに対する免疫応答と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関を示す図である。 子宮頸がんワクチンに対する免疫応答と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関を示す図である。
本発明は、このワクチン投与後の副反応が生じる人をあらかじめ検査する方法の発明である。本発明は、ワクチン投与後の過剰な免疫応答による副反応の可能性を予測する検査法として、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現量の比(発現比)を測定するというものであり、以下の工程:
(a) 生体試料から採取された細胞外小胞内に含まれる異なる2つのマイクロRNAの発現量の比を測定する工程、及び
(b) 前記測定された発現量の比と、予めワクチンで刺激した培養細胞から産生される炎症性サイトカインの発現量との相関関係を調べる工程
を含む。
本発明では、生体試料中(例えば血中)のエクソソームと呼ばれる小胞内のmicroRNA の量を測定することで、全粒子ワクチン接種後の過剰な免疫応答の有無をあらかじめ予見できる。そのため、この発明により、副反応の有無をあらかじめ予見する前診断が可能になる。前診断を実施することで、ワクチン接種量を減らす、あるいは、接種を止める等の措置をとることが可能になり、全粒子ワクチン接種後の副反応を未然に防ぐことが可能になる。
生体試料として血液を用いる場合は、血液中の細胞外小胞内のmicroRNAの発現量を測定するために、ヒトの血液よりまず血清を調製する。血清より精製する細胞外小胞とは、エクソソーム(エキソソーム)と呼ばれる小胞に加えて、微少小胞(microvesicle)など、細胞から放出される小胞である。これらをポリエチレングリコール等のポリマーを用いた方法や、超遠心を用いた方法などを用いて血清から精製する。精製した細胞外小胞からRNAを抽出し、定量PCR法やマイクロアレイ法、あるいはRNA-Seq法などによりmicroRNAの発現量を測定する。
血清中に存在する細胞外小胞内のmicroRNAは、その血清で培養した細胞に取り込まれることが知られていることから、細胞外小胞内のmicroRNAの発現量の比が、細胞内のmicroRNAの発現量の比と比例する。具体的に、ヒト血清から細胞外小胞を単離し、細胞外小胞内のmicroRNAの発現量の比(miR-451a/miR-16)の値は、ヒト血清でマクロファージ細胞を培養したのちに調べたマクロファージ細胞内のmicroRNA量の発現比(miR-451a/miR-16)の値と、統計的に有意に相関する(図1)。
このことから、生体内に存在する細胞内のmicroRNAの発現量の比は、血液から細胞外小胞を採取し、その中のmicroRNAの発現量の比率を測定することで予測できる。
実際に、マウス尾静脈より血液を採取し血清を調製したのち、血清から細胞外小胞を抽出し、細胞外小胞内のmicroRNAの発現比(miR-451a/miR-16)を定量PCRで測定した値は、マウスの脾細胞内のmicroRNAの発現比(miR-451a/miR-16)と相関する(図2)。
microRNAには免疫応答を制御するものが多く含まれる。そのため、血液中の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を測定することで、その血液から調製した血清で培養した細胞の免疫応答の強さをあらかじめ予測できる。例えば、miR-451aはIFN-β産生やIL-6産生などの免疫応答を抑制することが知られている一方で、miR-16は免疫応答には関与しない。このことから、血清の細胞外小胞内のmiR-451a/miR-16の発現比は、同じ血清で培養したマクロファージのインフルエンザ全粒子ワクチン存在下でのIFN-β産生量と統計的に有意に逆相関する(図3)。
そのため、マウスの血液中の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を測定することで、インフルエンザ全粒子ワクチンに対する免疫応答をあらかじめ予見できる。具体的には、マウスの尾静脈より血液を採取し、血液中の細胞外小胞のmicroRNA量を定量PCR法によりまず測定する。次に、同じマウスにインフルエンザ全粒子ワクチンを接種し、接種後の免疫応答としてサイトカイン産生などを調べる。具体的には、マウス血液中の細胞外小胞内microRNAであるmiR-451aとmiR-16の発現比は、ワクチン接種後のIP-10産生量と統計的に有意に逆相関する(図4)。このIP-10は、IFN-βにより発現が誘導されることが知られているケモカインである。
これらの結果を踏まえ、インフルエンザ全粒子ワクチンに対して過剰な免疫応答を示す個体をあらかじめ予測するための検査方法として、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現量の比が、ワクチン接種後の過剰な免疫応答による副反応を予測するために使用できることがわかった。
検査にどのようなmicroRNAの発現量の比を用いるかは、ワクチン接種前に採血した血液から細胞外小胞を抽出し、その中のmicroRNAの発現比をマイクロアレイやRNA-Seq法で網羅的に同定したのち、ワクチン接種後の副反応の診断結果と比較することで決定できる。この方法に加えて、上記の実験では、培養細胞で得られた結果がマウス動物モデルに適用できたことから、次のようにして同定したmicroRNAの比について検査に用いることができる。
健常人から血清を採取し、その細胞外小胞内のmicroRNAの発現量を定量PCRやマイクロアレイ法などによりあらかじめ測定する。次に、その血清を用いてヒト細胞を培養したのち、インフルエンザ全粒子ワクチンで細胞を刺激したあとの免疫応答を測定する。この免疫応答の強さと統計的に有意に相関する細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を、ワクチン接種後の過剰な免疫応答による副反応を予測する検査に使用する。あるいは、臨床試験を実施し、ワクチン接種後の副反応の強さと、統計的に有意に相関する血清の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比とを、ワクチン接種後の過剰な免疫応答による副反応を予測する検査に使用する。
免疫応答の測定の対象となるサイトカインは炎症性サイトカインであり、例えばIFN-β、IL-6、TNF-α、IL-1及びIL-12などから一つ又は複数を選択することができる。
サイトカインの測定法は限定されるものではなく、公知の免疫学的手法(例えばELISA法、RIA法)、あるいはマイクロアレイ法や定量PCR法などによるmRNA量の測定などを採用することができる。
本発明において測定対象となるmicroRNAを、後述の表8に示す。本発明では、表8に示されるmicroRNAの中から任意に2つを選択し、一方のmicroRNAの発現量をaとし、他方のmicroRNAの発現量をbとして、発現量の比「a/b」を算出する。
上記a/b の比において、「a」(分子)に相当するmicroRNA及び「b」(分母)に相当するmicroRNAは任意である。
例えば、発現比は、以下に示されるものが挙げられる。
miR-5100/miR-7704、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5p、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277-5p、
miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739、
miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p、miR-3648/miR-3194-3p、
miR-451/miR-16、miR-5787/miR-7704、miR-8072/miR-7704、miR-6743/miR-7704、miR-6729-5p/miR-7704、miR-3665/miR-7704、miR-6125/miR-7704、miR-6786-5p/miR-7704、miR-6869/miR-7704、miR-762/miR-7704、miR-4723/miR-7704、miR-4739/miR-7704、
miR-8072/miR-2467-3p、miR-6787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-6744-5p/miR-2467-5p、miR-4463-miR-2467-3p、miR-6729-5p/miR-2467-3p、miR-4466/miR-2467-3p、miR-3665/miR-2467-3p、miR-6125/miR-2467-3p、miR-6085/miR-2467-3p、miR-6786-5p/miR-2467-3p、miR-6090/miR-2467-3p、miR-8059/miR-2467-3p、miR-6869-5p/miR-2467-3p、miR-762/miR-2467-3p、miR-4723-5p/miR-2467-3p、miR-4739/miR-2467-3p、miR-4488/miR-2467-3p、miR-328-5p/miR-2467-3p、miR-8069/miR-2467-3p。
本発明においては、血液の細胞外小胞のmicroRNAの発現比を、ワクチン接種後の免疫応答による副反応の有無の予測に使用できることを明らかとした。この方法を用いて副反応の有無を予測することで、ワクチンの接種量を減らすことにより副反応を弱めるか、あるいは、ワクチンの接種時期を変えることで副反応を軽減又は回避することができる。過剰な免疫応答が予測されたために接種量を減らした場合でも、免疫応答が強いため十分な予防効果が得られると期待される。また、インフルエンザに対するワクチンのように複数のメーカーからワクチンが販売されている場合には、どのメーカーのワクチンがもっとも副反応が出にくいかをあらかじめ選択できる。
予測できる副反応として、ワクチン接種後の局所での発赤や腫脹は、免疫応答として知られている炎症応答であり、これらの副反応が予測可能であると考えられる。また、局所の炎症により産生されたIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインは、血流にのり視床下部に到達すると、発熱を促すプロスタグランジンE2の発現を誘導することから、全身の発熱も予測できる。この他の、過剰な免疫応答による副反応についても予測できる。重篤な副反応として知られるギラン・バレー症候群なども自己免疫応答が原因であると考えられており、このような自己免疫応答も接種後の過剰な免疫応答が引き金になると推測されている。従って、本発明の方法は、microRNAの発現比を求めることで、免疫応答が原因と考えられる重篤な副反応の発症の予測にも使用できる。
血液中の細胞外小胞の個々のmicroRNAの発現量は、ワクチン接種後の免疫応答の強さとあまり相関しない。一方で、二つのmicroRNAの発現比と、ワクチンに対する免疫応答の強さは非常に強く相関することから、発現の比をとることが、ワクチンに対する免疫応答の強さを知る上で非常に重要である。
本発明においては、血液などの生体試料から細胞外小胞を採取し、その中のmicroRNAの発現の比をマイクロアレイなどの方法により網羅的に調べることで、ワクチンに対する免疫応答の強さを非常に精度良く予測できることが明らかとなった。microRNAの発現の比は、マイクロアレイ法の他、RNA-Seq法や定量PCR法などの方法を用いても同様の結果が得られる。
また、ワクチンについては、本発明の実施例ではインフルエンザウイルスに対する2種類のワクチンとヒトパピローマウイルスに対するワクチン1種類を用いた。インフルエンザウイルスとヒトパピローマウイルスはそれぞれRNAをゲノムにもつRNAウイルスとDNAをゲノムにもつDNAウイルスであり、類似性はないウイルスである。
そこで本発明の方法は、インフルエンザワクチン、子宮頸がんワクチン、日本脳炎ワクチンなどに適用することができ、その他、B型肝炎ウイルスやデングウイルスなどの他のウイルスに対するワクチン、例えば肝炎ワクチン(B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン等)、デング熱ワクチン、狂犬病ワクチン、ポリオワクチン等に対しても適用することができる。
また、使用する被検サンプルに関し、血液の細胞外小胞は体内で循環するため、汗、唾液、尿などの他の体液でも細胞外小胞は検出される。microRNAは細胞外小胞内に含まれており細胞外には出てこないことから、血液中の細胞外小胞がランダムに他の体液へと移行すると考えられる。このため、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比は、他の体液から採取した細胞外小胞のmicroRNAの発現比と同じになる。
そこで本発明においては、血液以外の体液(汗、唾液、尿など)から細胞外小胞を単離しても、そのmicroRNAの発現比を調べることで、過剰な免疫応答による副反応を予測することができる。
ワクチンに対する免疫応答と非常に高い相関を示すmicroRNAの発現比は多数存在し、後述の実施例で同定したmicroRNAの発現比以外にも、ワクチンに対する免疫応答と高い相関を示すmicroRNAの発現比は存在する。本発明においては、これらのいずれの発現比を採用することができる。特に、ワクチンは抗原やアジュバントの種類を変えることで、免疫応答も変化することを考えると、インフルエンザに対するワクチンでも、ワクチンの製造メーカーにより異なるmicroRNAの発現比が、ワクチンに対する免疫応答と高い相関を示すことも考えられる。しかし、このような場合でも、あらかじめ、個々のメーカーのワクチンに対する免疫応答と高い相関を示す、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を本発明の方法で同定しておくことで、個々のメーカーのワクチンに対して副反応の予測が可能になる。
本発明においては、microRNAの発現比が、炎症性サイトカインの発現量と相関したときは、ワクチンの副反応が生じるリスクがあると予測する。具体的には、microRNAの発現比と炎症性サイトカインの発現量との間の相関係数(グラフの傾き)を構成するデータのうち、乖離しているデータの元となった被検者は、副反応の可能性(リスク)があるものと予測できる。例えば、図5のパネル(A)では、miR-6787-5p/miR-7704の比が0.8付近である被検者はIFN-βの値が0.0025を超えていて高値を示すため、リスクがあると予測できる。
ところで、本発明の方法では、複数の被検者由来の試料を用いてmicroRNAの発現比と炎症性サイトカイン発現量との相関関係を解析している。従って、被検者一個人のワクチン接種後副反応の可能性を検査する場合は、例えば、対照となる複数のサンプル由来のmicroRNAを用いて、検査対象となる被検者由来のmicroRNAの発現比と炎症性サイトカイン発現量との相関関係を解析することができる。また、複数の被検者全員がワクチン接種後副反応の可能性を検査する対象者(すなわち集団検診の態様)であると考えれば、これらの被検者のデータを用いて相関関係を解析し、その中から副反応のリスクのある被検者とそうでない被検者とを区別することが可能である。
あるいは、予め規定された数の対照被験者(1次母集団)においてmicroRNAの発現比と炎症性サイトカイン発現量との相関関係を解析し、得られた相関関係に関するデータ(グラフ、測定値等)を基本データとして、この基本データと、検査の対象となる単数又は複数の被検者由来のmicroRNAの発現比とを比較し、ワクチン接種後副反応の可能性を検査することもできる。
上記解析された被験者由来のデータを前記1次母集団のデータに組み込んで、副反応のリスクレベルを再度データ処理し、対象となる被検者の例数を増やすことにより2次母集団とする。この2次母集団のデータを、次に続く被検者の解析に利用することができる。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
方法及び結果
(1)血清中の細胞外小胞内microRNAの細胞への取り込み(図1)
健常人より採取した血清から調製した細胞外小胞のmicroRNAの発現量を定量PCR法で測定した。次に、同じ血清でヒトマクロファージ細胞を2日間培養したのち、細胞内のmicroRNAの発現量を測定した。
結果を図1に示す。
細胞外小胞内microRNAのmiR-451aとmiR-16の発現比(miR-451a/miR-16)は、細胞内のmiR-451aとmiR-16の発現比(miR-451a/miR-16)と統計的に有意に相関した。
(2)血液中の細胞外小胞のmicroRNA量による細胞内microRNA量の測定(図2)
マウス尾静脈より血液を採取したのちに、血清を調製した。得られた血清から細胞外小胞に含まれるRNAを抽出し、定量PCR法によりmicroRNA量を測定した。次に、同じマウスの脾臓から細胞を調製し、細胞内のmicroRNA量を定量PCR法により測定した。
結果を図2に示す。
血液の細胞外小胞内のmicroRNAである、miR-451a量とmiR-16量の比(miR-451a/miR-16)は、脾臓のCD11c陽性細胞内のmicroRNAであるmiR-451a量とmiR-16量の比と統計的に有意に相関する。
(3)血清中の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比と、血清で培養したマクロファージのワクチンに対する免疫応答との相関(図3)
健常人より採取した血清より細胞外小胞を採取し、その中のmicroRNAの発現比(miR-451a/miR-16)を定量PCR法で測定した(X軸)。同じ血清でヒトのマクロファージ細胞(THP-1細胞)を培養した後、インフルエンザ全粒子ワクチンで刺激し、免疫応答の一つとしてIFN-βの発現量を測定した(Y軸)。
結果を図3に示す。
(4)マウス血中の細胞外小胞のmicroRNAの発現比と、インフルエンザワクチンに対する免疫応答の相関(図4)
マウス尾静脈より採血し血清を調製した。血清から細胞外小胞を抽出し、microRNAの発現比(miR-451/miR-16)を定量PCRで測定した(Y軸)。マウスにインフルエンザ全粒子ワクチンを接種し、免疫応答として血中に産生されるIP-10の量をELISAで測定した (X軸)。
結果を図4に示す。
(5)インフルエンザ全粒子ワクチンに対する免疫応答(IFN-β発現又はIL-6発現)と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関
具体的に、健常人6人の血清を用いて行った。
健常人よりヒト血清を採取し、その細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を測定した。用いた血清でヒトマクロファージ(THP-1細胞)を培養したのちインフルエンザ全粒子ワクチンで刺激したのちのIFN-β又はIL-6の発現量を測定した。
結果を図5、図6、表1、表2に示す。
図5において、A、B、C、Dのパネルはそれぞれ、miR-6787-5p/miR-7704、miR-5100/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5pの発現比を示す。
また図6において、A、B、C、Dのパネルはそれぞれ、miR-5100/miR-7704、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277の発現比を示す。
図5及び6の結果より、副反応の可能性が高いと判断される被検者は、図のグラフの一番右上にプロットされた被検者であると言える。
表1に示された血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比はインフルエンザ全粒子ワクチンにより発現が誘導されるIFN-βの発現量と非常に高い相関を示す。
健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、インフルエンザ全粒子ワクチンで刺激し、IFN-β発現量を測定した。microRNAの発現比とIFN-βの発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
また、表2で示されたmicroRNAの発現比は、インフルエンザ全粒子ワクチンによるIL-6の発現量と非常に高い相関を示す。
健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、インフルエンザ全粒子ワクチンで刺激し、IL-6の発現量を測定した。microRNAの発現比とIL-6の発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
一方で、血液の細胞外小胞内の2つのmicroRNAの発現量の比ではなく、一つのmicroRNAの発現量を用いた場合には、インフルエンザ全粒子ワクチンによるIFN-βやIL-6の発現量とは殆ど相関せず、相関するものもわずかに存在するが、その場合も相関係数は、比を用いた場合の相関係数と比較すると低い。このことから、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現量と比較して、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比が、インフルエンザ全粒子ワクチン接種後の副反応を予測するうえで非常に優れている(表3)。例えば、単一のmicroRNAの量と、インフルエンザ全粒子ワクチンによるIFN-β産生量との相関では、miR-7704の発現量が最も高く相関するが、その相関係数は高々0.83である(表3)。
偶然による相関は統計的に1%以下であり、1%以下の統計的な有意差を示すには表3の実験ではサンプル数が6であるため相関係数の絶対値は0.9172以上であることが必要である。このため、本発明の好ましい態様において、microRNAの発現比を調べる場合は、サンプル数に応じて相関係数の絶対値が統計的に偶然による相関である可能性が1%以下のものを採用することができる。
一方で、同じmiR-7704の発現量を用いてもmiR-5100との発現量の比を用いると相関係数は0.98となり著しく高い相関を示す(表3)。このような相関係数が0.98を超える発現比は数多くあり、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/hsa-miR-6869-5p等の発現比の、インフルエンザ全粒子ワクチンによるIFN-β発現量との相関係数は0.98以上である(図5)。また、IL-6の発現量と比較しても同様に非常に高い相関がみられる(図6)。
健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、インフルエンザスプリットワクチンで刺激し、IFN-βの発現量を測定した。microRNAの発現量とIFN-βの発現量との相関係数係数を求め表に示した。また、microRNAの発現比とIFN-βの発現量との相関係数を表に示した。有意差はp < 0.05のものについて有意差有りとした。
(6)免疫応答を正と負に制御するmicroRNA(図7)
ヒトマクロファージ(THP-1細胞)に、miR-7704(A)とmiR-5100(B)のそれぞれの機能を模倣するRNAを形質導入したのちに、インフルエンザ全粒子ワクチン(whole-virus vaccine: WV)によるIFN-β発現量を定量PCR法により測定した。
結果を図7に示す。(B)ではWVによる刺激の他にインフルエンザウイルス感染(Flu)によるIFN-β発現についても測定している。
このように血液の細胞外小胞のmicroRNAの発現比が、単一のmicroRNAの発現量よりもより高くIFN-βの発現量と強く相関する理由は、microRNAには免疫応答を強くするものと弱くするものが存在するためと考えられる。例えば、インフルエンザ全粒子ワクチンによるIFN-β発現量と高く相関するmiR-5100/miR-7704の発現比の場合、miR-5100はインフルエンザ全粒子ワクチンによるIFN-βの発現量を増加させるのに対し、miR-7704は逆に減少させる(図7)。このことから、miR-5100やmiR-7704の単独の発現量よりもmiR-5100/miR-7704の発現比の方がより強く相関するものと考えられる。
(7)インフルエンザスプリットワクチンに対する免疫応答と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関(図8)
本発明の方法は、インフルエンザ全粒子ワクチン以外のワクチンにも適用できる。そこで本節では、インフルエンザに対するワクチンとして使用されているスプリットワクチンについても同様の実験を行った。
健常人よりヒト血清を採取し、その細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を測定した。用いた血清でヒトマクロファージ(THP-1細胞)を培養したのち、インフルエンザスプリットワクチンで刺激し、IFN-βとIL-6の発現量を測定した。
免疫応答と非常に高い相関を示すmicroRNAの発現比を、表4と表5に示す。図8にそのデータの一部をグラフ化した。A、B、C、Dのパネルはそれぞれ、miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739の発現比を示す。また、AとBはIFN-βの発現量と、CとDはIL-6の発現量との相関を示す。
表4では、健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、インフルエンザスプリットワクチンで刺激し、IFN-βの発現量を測定した。microRNAの発現比とIFN-βの発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
表5では、健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、インフルエンザスプリットワクチンで刺激し、IL-6の発現量を測定した。microRNAの発現比とIL-6の発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
(8)子宮頸がんワクチンに対する免疫応答と血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比の相関(図9)
本節では、子宮頸がんワクチン(サーバリックス)を用いて前記と同様の実験を行い、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比について検討した。
健常人よりヒト血清を採取し、その細胞外小胞内のmicroRNAの発現比を測定した。用いた血清でヒトマクロファージ(THP-1細胞)を培養し、子宮頸がんワクチンで刺激した後のIFN-βとIL-6の発現量を測定した。
子宮頸がんワクチンによるIL-6の発現と非常に高い相関を示すmicroRNAの発現比について表6に示した。また、TNF-αの発現と非常に高い相関を示すmicroRNAの発現比について表7に示す。図9にそのデータの一部をグラフ化した。図9において、A、B、C、Dのパネルはそれぞれ、miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p、miR-3648/miR-3194-3pの発現比を示す。また、AとBはIL-6の発現量と、CとDはTNF-αの発現量との相関を示す。
表6では、健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、子宮頸がんワクチンで刺激し、IL-6の発現量を測定した。microRNAの発現比とIL-6の発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
表7では、健常人6人より採血し、血清を調製したのち、血清の細胞外小胞内のmicroRNAをマイクロアレイ解析により網羅的に発現量を調べた。一方で、調製した血清を用いてマクロファージを培養した後に、子宮頸がんワクチンで刺激し、TNF-αの発現量を測定した。microRNAの発現比とTNF-αの発現量との相関係数について相関が高いものを表に示した。
(9)小括
上記のことから、血液の細胞外小胞のmicroRNAの発現量を網羅的に調べる一方で、ワクチンに対する免疫応答の強さを測定することで、ワクチンに対する過剰な免疫応答を示す人を、microRNAの発現比により同定できると考えられる。つまり、血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比が、ワクチン接種後の副反応の有無の検査に使うことができる。
これらのmicroRNAの配列を表8に示す。
上記のように血液の細胞外小胞内のmicroRNAの発現比と免疫応答の強さには強い相関があることから、検査に使用するmicroRNAの発現比は次のような臨床試験を実施しても決定できる。例えば、ワクチン接種前に採血した血液の細胞外小胞に含まれるmicroRNAの発現比と、ワクチン接種後の被験者の副反応の強さとを比較することで、副反応の程度と強い相関を示すmicroRNAの発現比は、ワクチン接種後の副反応の有無をあらかじめ予測する検査に使用できる。

Claims (7)

  1. ワクチンの副反応の可能性を検査する方法であって、以下の工程:
    (a) 生体試料から採取された細胞外小胞内に含まれる異なる2つのマイクロRNAの発現量の比を測定する工程、及び
    (b) 前記測定された発現量の比と、予めワクチンで刺激した培養細胞から産生される炎症性サイトカインの発現量との相関関係を調べる工程、
    を含む、前記方法。
  2. ワクチンが、インフルエンザワクチン、子宮頸がんワクチン、肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン及び狂犬病ワクチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
  3. 炎症性サイトカインが、IFN-β、IL-6、TNF-α、IL-1及びIL-12からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 生体試料が血液又は尿である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. マイクロRNAの発現量の比が、miR-5100/miR-7704、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5p、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277-5p、
    miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739、
    miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p、miR-3648/miR-3194-3p、
    miR-451/miR-16、miR-5787/miR-7704、miR-8072/miR-7704、miR-6743/miR-7704、miR-6729-5p/miR-7704、miR-3665/miR-7704、miR-6125/miR-7704、miR-6786-5p/miR-7704、miR-6869/miR-7704、miR-762/miR-7704、miR-4723/miR-7704、miR-4739/miR-7704、
    miR-8072/miR-2467-3p、miR-6787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-4787-5p/miR-2467-3p、miR-6744-5p/miR-2467-5p、miR-4463-miR-2467-3p、miR-6729-5p/miR-2467-3p、miR-4466/miR-2467-3p、miR-3665/miR-2467-3p、miR-6125/miR-2467-3p、miR-6085/miR-2467-3p、miR-6786-5p/miR-2467-3p、miR-6090/miR-2467-3p、miR-8059/miR-2467-3p、miR-6869-5p/miR-2467-3p、miR-762/miR-2467-3p、miR-4723-5p/miR-2467-3p、miR-4739/miR-2467-3p、miR-4488/miR-2467-3p、miR-328-5p/miR-2467-3p、及びmiR-8069/miR-2467-3p
    からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. マイクロRNAの発現量の比が、miR-5100/miR-7704、miR-6787-5p/miR-7704、miR-6085/miR-7704、miR-6787-5p/miR-6869-5p、miR-8069/miR-7704、miR-6090/miR-6727-5p、miR-638/miR-6277-5p、
    miR-3160-5p/miR-3648、miR-6752-5p/miR-6786-5p、miR-2467-3p/miR-6085、miR-2467-3p/miR-4739、
    miR-6752-5p/miR-1228-5p、miR-3648p/miR-4516、miR-6889/miR-3194-3p及びmiR-3648/miR-3194-3p からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. マイクロRNAの発現量の比が、炎症性サイトカインの発現量と相関したときは、ワクチンの副反応が生じるリスクがあると予測する、請求項6に記載の方法。
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