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JP2019041831A - 超音波プローブ、及びそれを備えた光音響装置 - Google Patents

超音波プローブ、及びそれを備えた光音響装置 Download PDF

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JP2019041831A JP2017165127A JP2017165127A JP2019041831A JP 2019041831 A JP2019041831 A JP 2019041831A JP 2017165127 A JP2017165127 A JP 2017165127A JP 2017165127 A JP2017165127 A JP 2017165127A JP 2019041831 A JP2019041831 A JP 2019041831A
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紘一 鈴木
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Abstract

【課題】 光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた信号を通信する際の通信データ量を低減できる超音波プローブ、及びそれを備えた光音響装置を提供すること。【解決手段】 被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体に光が照射されることによって生じる音響波を受信して電気信号に変換する音響波受信部と、前記電気信号をデジタル化してデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、前記光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた複数の前記デジタル信号を積算して積算信号を出力する積算手段と、前記積算信号の通信を行う通信部と、を有する超音波プローブ。【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波プローブ、及びそれを備えた光音響装置に関する。
従来、光音響効果を利用して被検体内部の形態や機能を画像化する光音響装置が研究されている。このような従来の光音響装置では、使用者の指示を受けると、光音響装置の内部のコントローラが光源の駆動回路に信号を送り、光源がパルス光を発生させる。このパルス光が被検体に照射されると、光音響波が発生する。この光音響波は、探触子により受信され電気信号(光音響信号)に変換される。コントローラはこの光音響信号に対して画像再構成等の信号処理を行うことで、得られた画像を使用者に提示する。
特許文献1における光音響画像化装置が示されている。特許文献1において、光音響信号をプローブで波長ごとに複数回取得しケーブルで本体側に伝送する。そして、本体側で複数の光音響信号を加算平均することで光音響信号のシグナル/ノイズ(S/N)比の向上を図っている。
一方、近年、無線通信技術が進歩しており、通信速度向上、通信デバイスの小型化が進んでいる。特許文献2に本体とプローブ間のデータ通信を無線で行う超音波プローブの例が示されている。
特開2017−6141号公報 特表2002−530142号公報
特許文献1の光音響装置においては、高画質化のためプローブ内の超音波受信素子の数を増えていくにつれ、ケーブル内の線数が多くなり、ケーブル径、ケーブル重量が増大する。これによりプローブの取り回しがしにくくなるという課題を見出した。
特許文献2のような超音波プローブに用いられている無線通信技術により特許文献1で見出した問題に対応しようとしても、光音響装置に特有の課題が生じうる。すなわち、ノイズ低減効果を得るために、複数回にわたって光音響信号を取得しようとすると、通信データ量が著しく増加し、通信帯域を圧迫しフレームレートが低下するという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数回にわたって光音響信号を取得して光音響測定を行う際の通信データ量を低減し、フレームレートの低下を抑制できる光音響装置を提供することである。
本発明に係る超音波プローブは、被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体に光が照射されることによって生じる音響波を受信して電気信号に変換する音響波受信部と、前記電気信号をデジタル化してデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、前記光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた複数の前記デジタル信号を積算して積算信号を出力する積算手段と、前記積算信号の無線通信を行う通信部と、を有することを特徴とする。
本発明に係る超音波プローブによれば、光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた信号を通信する際の通信データ量を低減できる超音波プローブ、及びそれを備えた光音響装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る超音波プローブを説明するためのブロック構成図。 本発明の実施形態に係る超音波プローブを説明するための動作フローチャート。 本発明の実施形態に係る超音波プローブを説明するための動作フローチャート。 本発明の実施形態に係る超音波プローブを説明するためのタスクメモリの内容を示す図。 本発明の実施形態に係る超音波プローブを説明するための動作タイミングを示す図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本実施形態に係る光音響装置は、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内部で発生した音響波を受信して、被検体内部の特性情報を取得する光音響効果を利用した装置である。このとき取得される特性情報は、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内部の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布等を示す。また、特性情報は典型的には画像データであるが、数値の情報等、被検体内部の状態がわかるものであればよい。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。かかる特性情報は被検体情報とも呼ばれることから、本発明の光音響装置を、被検体情報取得装置と呼ぶこともできる。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶこともある。被検体情報取得装置の探触子は、被検体内部で発生した音響波を受信する。
<実施形態1>
本実施形態は、光音響装置のプローブ部(超音波プローブ)において光音響信号を複数回にわたって取得し、それらを積算して本体部(信号処理手段)に通信させるものである。
(光音響装置)
図1は本実施形態に係る光音響装置を示すブロック構成図である。本実施形態に係る光音響装置は、超音波プローブ101と信号処理手段102とを有する。本実施形態において、超音波プローブ101は主に被検体に由来する光音響信号を取得して、無線によるデータ通信を行い、信号処理手段102は主に、超音波プローブから送られてきたデータを受信して被検体の情報を取得する、という構成である。以下、各々について詳細に説明する。
(超音波プローブ)
図1において、符号101は被検体103に光を照射するとともに、被検体103で発生した音響波を受信し、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換する超音波プローブである。また、本実施形態における超音波プローブは被検体103に対し超音波を送信するとともに、被検体103内部の組織から反射して戻ってきた超音波を受信し、超音波信号と呼ばれる電気信号に変換する機能も有している。超音波プローブ101は、光音響装置110のプローブ部101と呼ぶこともできる。なお、被検体に照射される光は典型的にはパルス光である。 超音波プローブ101と信号処理手段102との間は無線によるデータ通信が可能であり、プローブ部で生成した制御信号、光音響信号、超音波信号といった信号をデジタル化したうえで本体部102に伝送することができる。本実施形態ではデジタル化された光音響信号を光音響信号データと呼ぶ。同様にデジタル化された超音波信号を超音波信号データと呼ぶ。
(信号処理手段)
図1において符号102は信号処理手段であり、光音響装置110の本体部と呼ぶこともできる。信号処理手段102は超音波プローブ101から無線によるデータ通信で送られてくる光音響信号データ、超音波信号データを受信し、ノイズ除去などの信号処理を行う。また、得られたデータの画像再構成の処理を行うことによって、画像化を行い、得られた画像を使用者に提示する。また本実施形態において信号処理手段は使用者の指示を入力するためのユーザインタフェース(User Interface、UI)120を有している。
(被検体)
符号103は光音響装置によって情報を取得する対象となる被検体であり、被検者の体の一部である。ここでは乳房を例として説明する。
(音響波受信部)
符号104は被検体からの光音響波および超音波を受信し、それぞれ光音響信号、超音波信号と呼ばれる電気信号に変換する音響波受信部である。また、本実施形態における音響波受信部は、超音波の送信を行うことが可能に構成されていることが好ましい。
本実施形態では、100チャネル以上の音響波受信部が、超音波プローブと被検体とが接する面内において、一次元アレイ状、又は二次元アレイ状に配置されている。音響波受信部104は音響素子を含み構成されている。音響素子の例としては、ピエゾ素子あるいは静電容量型トランスデューサを複数含み構成された例である。音響波受信部104に電気信号を印加すると超音波プローブ101の外部に超音波を送信する。
また、超音波プローブ101の外部からの光音響波や超音波を受信すると電気信号を出力する。音響波受信部104は超音波の送信や受信時、光音響波の受信時とで、同じ素子を用いてもよいし、それぞれ異なる素子を用いてもよい。
(切り替え回路)
符号105は超音波の送信と受信とを切り替えるための切り替え回路であり、アナログスイッチ、マルチプレクサ、保護ダイオードなどで構成される。切り替え回路105は同期制御部112と接続され、超音波の送信時、超音波受信時、光音響波の受信時それぞれで対応する音響波受信部と周辺回路の接続を切り替える。すなわち、被検体103に超音波を送信する時は送信制御部108と音響波受信部104が接続され、音響波受信部104と送信制御部108とが接続される。一方、被検体103から反射された超音波を受信する際には増幅部106と音響波受信部104が接続されるようにする。また、被検体からの光音響波を受信する際にも増幅部106と音響波受信部104が接続されるようにする。
超音波送受信時と光音響波受信時で異なる素子を用いる場合には、超音波受信時には増幅部106と超音波受信用の音響波受信部104が接続され、光音響波受信時には増幅部106と光音響波受信用の音響波受信部104が接続されるようにする。また、音響波受信部のチャネル数に対し送信制御部のチャネル数を少なくしておき、複数の素子で回路を共用してもよい。
(プリアンプ回路)
符号106は音響波受信部104から出力された光音響信号および超音波信号を増幅するためのプリアンプ回路を含み構成される。プリアンプ回路106はプログラマブルゲインアンプを含み、外部からの設定によりゲインを動的に変えることができる。プリアンプ回路106は同期制御部112と接続されており、同期制御部112からの指示に基づき、光音響信号の増幅時と超音波信号の増幅時とで、互いに異なる増幅率(ゲイン)の増幅処理を行うことができる。例えば、一般的には光音響信号のほうが超音波信号よりも微弱なため、光音響信号を受信しているときにはゲインを相対的に大きくする一方、超音波信号を受信しているときにはゲインを相対的に小さくする。また、超音波送信からの経過時間が長くなるにつれて、ゲインを増加させ、被検体103の深部からの微弱な信号をより高いゲインで増幅するTGC(Time Gain Control)処理を行うこともできる。
(アナログデジタル変換部)
符号107は増幅された信号をデジタル化してデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部(A/D変換部)である。本実施形態において、A/D変換部107は、折り返しノイズの発生を防ぐためのアンチエイリアシングフィルタ、およびA/D変換回路、A/D変換された光音響信号データ、及び超音波信号データを一次保存するメモリを含む構成される。A/D変換部107は同期制御部112と接続され、光源111への光照射の制御信号に同期して光音響信号のサンプリングを行う。また、送信制御部108からの超音波送信の制御信号に同期して超音波信号のサンプリングを行う。
(送信制御部)
符号108は音響波受信部を駆動するためのパルス信号を生成する送信制御部である。実施形態において送信制御部108は、高電圧パルサー回路、各音響波受信部の駆動パルスを生成するビームフォーマ回路を含む構成される。送信制御部108は同期制御部112からの設定および超音波送信の制御信号に基づき、各音響波受信部への信号の位相を制御し、超音波ビームの走査、送信開口制御を行う。
(データ処理回路(積算手段))
符号109はA/D変換部107によってデジタル化された光音響信号データおよび超音波信号データに対し、積算して積算信号を出力する。また、積算したのちに積算回数で除算する除算処理(加算平均処理)を行ってもよい。光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた複数のデジタル信号を積算して積算信号を出力し、積算信号を通信部によって通信することで、通信データ量を小さくすることができる。その結果、フレームレートの低下を抑制することができる。
積算手段109は例えば、FPGA,マイクロコントローラなどを含み構成される。すなわち、複数回の光音響信号を受信し、積算してランダムノイズを低下させる。被検体103の同じ場所をN回撮影し、N個の光音響信号の加算平均を行うと、ノイズがランダムノイズの場合には、大きさを1/√Nにする効果がある。光音響信号は加算平均しても大きさが変わらないので、信号対ノイズ比を√N倍することができる。さらにデータ処理回路109は同期制御部112と接続され、光音響信号データおよび超音波信号データを本体に通信するのに適した形に変換する。具体的には、データの圧縮処理やノイズ除去処理などである。その際に、超音波信号データと光音響信号データでは異なる処理を適用可能である。例えば光音響信号受信時と超音波信号受信時にはそれぞれの信号の周波数に応じて異なる通過帯域のフィルタ処理を適用してもよい。また、データ処理回路は、超音波信号データを所定のフォーマットに変換し、付加情報を追加する。付加情報としては、プローブのIDや光音響信号データと超音波信号データを区別するための情報を含む。また、光音響信号データおよび超音波信号用データの種類を区別するための情報も含む。例えば、光音響信号取得時に複数の波長の光に対する光音響信号データを取得する場合には、付加情報として波長を識別するための情報を含む。また、超音波信号データ取得時にBモード用データとドプラ用のデータ取得する場合には、付加情報としてBモード、ドプラを識別するための情報を含む。なお、積算手段は電気信号の積算回数を変えることが可能に構成されていても良い。
(通信部)
符号110はプローブ部101で取得された超音波信号データ、光音響信号データを本体部102に無線で送信するとともに、本体部102からの制御コマンドを送受信するためのプローブの通信部(通信インタフェース)である。本実施形態における通信部は、基本的には無線通信インタフェースであるが、有線でのデータの送信や受信ができるインタフェースを別に有していてもよい。
通信プロトコルにはWi−Fi、Bluetooth(登録商標)、2G、3G、4Gなどの無線通信プロトコルを用いることができる。通信インタフェース110は、入力バッファ、通信モジュール、アンテナから構成される。通信モジュールはベースバンド部とRF部から構成され、無線通信プロトコルに基づいてデータにヘッダ情報追加、エラー訂正、パケット化を行う。また、無線通信プロトコルに沿ったスペクトラム拡散、変調、復調処理などを行う。また、通信モジュールは通信エラー時には再送制御なども行う。
入力バッファはデータ処理回路109からの光音響信号データおよび超音波信号データを一次的にためておくバッファメモリである。バッファメモリはFIFOであり、データ処理回路109から出力されたデータが順次FIFOに入力され、先に入力されたデータから順に無線通信モジュールに読み出される。また、バッファメモリはデュアルポートメモリで構成され、データ処理回路109からのデータ書き込みと、無線通信モジュールからのデータ読み出しは並行して行うことができる。また、バッファメモリの内部の状態は同期制御部112から常時監視することができるようになっている。
本体102からプローブ部101へ送信される制御コマンドの内容としては、撮影開始、中断、一時停止、状態通知などである。また、光音響信号取得機能および超音波信号取得時のパラメータも制御コマンドに含まれる。パラメータとしては、各信号の取得の有無、取得頻度、光源の波長の種類、超音波の動作モード、送信ビームフォーミングの種類、それぞれの信号のデータ圧縮率などが含まれる。
なお、本実施形態において通信部は有線通信をすることが可能に構成されていることが好ましい。無線通信する電気信号のフレームレートは、前記有線通信する電気信号のフレームレートよりも小さい。
また、無線通信される電気信号は、一定期間に取得された複数の電気信号が加算された信号や、加算して信号の数で除算して得られる加算平均された電気信号であっても良い。このように、加算したり、加算平均した電気信号を用いることで、無線通信のデータ量を小さくすることができる。
無線通信のタイミングは、光源から光が複数回照射される場合、その照射の間に無線通信を行うことができる。
(光源)
符号111はパルス光を発光させるための光源であり、本実施形態において光源は例えば、半導体レーザデバイスおよび駆動回路を含み構成される。光源111は外部トリガ信号を持ち、同期制御部112から発光タイミングを制御可能な構成になっている。また、光源111は光量設定信号を持ち、同期制御部112から光量を設定可能になっている。光源内部の駆動回路は、設定された光量が大きい場合には半導体レーザデバイスへの電流値を大きくする。また、設定された光量が小さい場合には、半導体レーザデバイスへの電流値を小さくする。また、発振波長の異なる複数の半導体レーザデバイスをもち、同期制御部112からの設定に応じて波長の異なる光を発光させてもよい。
なお、光源による光の照射のタイミングを決めるスイッチ部がプローブ部に設けられていても良い。
また、無線通信される電気信号のデータ量が所定値以上になったときに、前記光源から照射される光の繰り返し周波数を小さくするように構成されていてもよい。
光源はアレイ状に設けられた複数の半導体発光素子を含み構成されていてもよいし、チタンサファイヤレーザ、Yagレーザ、アレキサンドライトレーザといった固体レーザを含む構成されていても良い。半導体の発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)等が挙げられる。
(同期制御部)
符号112はプローブ部101内の各部と通信し、同期制御を行う同期制御部であり、マイコンおよびソフトウェアで構成される。本実施形態では、無線通信とレーザの発光タイミングをずらす制御を行う。同期制御部は、光源による光の照射のタイミングと通信部による無線通信のタイミングを制御することができる。例えば、同期制御部は光を照射する時間と無線通信の時間とが互いに重複しないように、光源による光の照射タイミングと、通信部による無線通信のタイミングを制御することができる。なお、本実施形態における同期制御部は、光源による光の照射後に、無線通信が行われるように制御することができる。また、本実施形態における同期制御部は、通信部による無線通信後に、光源による光の照射が行われるように制御することもできる。制御内容の詳細は後述する。
(電源部)
符号113はプローブ部101内の各部に電源を供給するための電池である。小型のリチウムイオン電池などが用いられる。プローブ部101には電池113を充電するための端子があり、本体102に接続することにより電池を充電可能である。接続は充電用のケーブルをつなぐ方法によってもよいし、本体102の充電端子部にプローブ部101の充電端子を接触させる方法によってもよい。また、電池113の残量は同期制御部112内のマイコンにより監視され、残量が少なくなってきた場合には警告を表示する。プローブ部101上にLEDあるいは小型の液晶表示部を備え、電池残量および警告を表示してもよい。また、電池残量が少なくなってきた段階で、無線インタフェース110を介して本体102に状態を通知し、本体102上のユーザインタフェース120上に警告を表示してもよい。
(本体の通信部)
符号114はプローブ部101で取得された超音波信号データ、光音響信号データを本体部102に無線で受信するとともに、プローブ部101へ制御コマンドを送受信するための通信インタフェースである。本体側通信インタフェース114はプローブ側通信インタフェース110と同様な無線通信機能を備える。受信された超音波信号データおよび光音響信号データは信号処理回路115に伝送される。
符号115は超音波信号データおよび光音響データに対し信号処理を施すデジタル回路である。デジタル回路115として、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processer)などが実装される。データ処理回路109によって付加された情報に基づいて超音波信号データと光音響信号データの種類を区別し、それぞれによって異なる信号処理を適用する。例えば、超音波信号のBモードデータに対しては、整相加算、対数増幅、包絡線検波処理、ハーモニックイメージング処理などを行う。また、超音波信号のドプラデータに対しては周波数解析、HPF処理などを行い、観測位置での血流の速度を示すデータを生成する。光音響信号データに対しては音響波受信部の応答補正処理、ノイズ除去処理、バンドパスフィルタ処理などを行う。これらの処理の際に、付加情報に含まれたプローブID情報に応じて信号処理のパラメータを変更してもよい。例えば、音響波受信部の応答補正処理の際に、プロ―ブID情報から音響波受信部の種類を識別し、異なるインパルス応答波形を選択してもよい。また、バンドパスフィルタ処理の際に、プロ―ブID情報から音響波受信部の受信周波数帯域を識別し、それに応じたフィルタを選択してもよい。また、付加情報から光音響信号データを取得した際の光源111の波長を識別し、異なる波長の光音響信号データが混じらないようにする。
(記憶部)
符号116は信号処理回路115によって信号処理された超音波信号データおよび光音響信号データを保存する記憶部(メモリ)である。各データは信号処理回路115により。種類に応じて異なる領域に保存される。
符号117はメモリ116に保存されたデータを読み出し、データの種類に応じた画像化を行う回路であり、画像処理専用のプロセッサ(GPU)によって構成される。超音波信号データに対しては各走査線のBモードデータを合成し、Bモード画像を生成する。また、光音響信号データに対しては、画像再構成処理を行い、初期音圧分布、吸収係数分布画像を生成する。画像再構成処理のアルゴリズムとしてはUBP(Universal Back Projection)やモデルベース再構成処理などが知られている。また、複数の波長の光音響データを用い酸素飽和度分布を算出する。
符号118は画像処理回路117で画像化されたデータを保存するメモリである。メモリとしてはHDD、SSDなどが用いられる。
なお、メモリ部に保存されたデータ量が所定値以上の場合、光照射部から照射されるパルス光の繰り返し周波数を小さくする制御を行う構成であっても良い。
符号119は本体側の各部と接続され、全体を制御するプロセッサであり、CPUおよびその上で動くソフトウェアによって構成される。制御部119は使用者からのユーザインタフェース120を介して入力される撮影指示および撮影パラメータを受け、通信インタフェース114を介してプローブ部101にコマンドを出力する。プローブ部101は通信インタフェース110を介して受信されたコマンドの内容をもとに超音波信号データの取得、光音響信号データの取得を行い、取得したデータは、通信インタフェース110を介して本体部102に送信する。本体部102では通信インタフェース114を介して超音波信号データ、光音響信号データを受信し、信号処理回路115および画像化回路117により診断画像を生成する。診断画像は制御部119を介してユーザインタフェース120に出力され、使用者に提示される。
符号120は使用者から光音響装置への指示入力を受け付けるとともに、使用者に対して診断画像を出力するためのユーザインタフェースである。具体的にはキーボード、マウス、ディスプレイなどによって構成される。
(信号処理手段の動作フロー)
続いて本体部102内で行われる動作のフローを説明する。図2は本体部102内の各部の動作を示したフローチャートである。
(ステップS201)
ステップS201において制御部119は、通信インタフェース114に指示を送り、通信コマンドを送信する。使用者によって登録されたプローブIDを持つプローブを探索し、応答があれば通信が確立されたものとする。複数のプローブから応答があった場合には、ユーザインタフェース120に通信可能なプローブの一覧を表示し、使用者に選択させる。
(ステップS202)
続いてステップS202にて、プローブ部101と通信が確立しているかを判定する。確立していない場合には、周囲に使用可能なプローブが存在しないか、電池113が切れていると判断し、ステップS215に進む。プローブ部101との通信が確立している場合にはステップS203に進む。
(ステップS203)
ステップS203では、プローブ部101へプローブの情報を要求する。具体的には光源111の波長の種類、発光可能な最大周波数、音響波受信部104の素子数、帯域幅、中心周波数、A/D変換器のビット数、電池113の残量、通信インタフェース110の通信速度などの情報を取得する。取得された情報は制御部119内のメモリに保存される。
(ステップS204)
ステップS204では、使用者がユーザインタフェース120を介して撮影パラメータおよび撮影指示入力を行うのを待つ。入力が完了したらステップS205に進む。
(ステップS205)
ステップS205では撮影パラメータを制御部119内のメモリに保存する。撮影パラメータとしては、取得する診断画像の種類、撮影対象の深度、超音波の撮影範囲、超音波の繰り返し周波数、ドプラによる血流計測の有無、パルス光の照射周期、照射回数、波長などがある。
(ステップS206)
ステップS206では制御部119は通信インタフェース114に指示を送り、撮影コマンドをプローブ101へ送信する。撮影コマンドには超音波信号取得および光音響信号取得に必要なパラメータを含む。超音波信号取得に必要なパラメータとは具体的には超音波ビームの本数、繰り返し周波数、ビーム走査方法、フォーカス点、TGC(Time Gain Control)のゲインテーブルの種類などである。また光音響信号取得に必要なパラメータとは、光源の繰り返し周波数、光照射回数、光照射強度、波長の種類、受信時のゲイン、受信信号の積算回数などである。また、超音波信号取得と光音響信号取得の時間的なパラメータも含まれる。例えば、超音波信号取得と光音響信号取得を交互に行うか、あるいは超音波信号取得を連続してN回行った後に、光音響信号を連続してM回行うかなどの情報である。制御部119は使用者が指示した撮影パラメータから、これらの超音波信号取得および光音響信号取得に必要な情報を割り出して撮影コマンドを生成しプローブ101へ送信する。
(ステップS207)
続いてステップS207では撮影コマンドが正しく送信されたか否かを判定する。ステップS206での撮影コマンド送信に対し、通信インタフェース114がプローブ101から確認応答が受信できた場合には正しく送信できたと判断し、ステップS208へ進む。確認応答が受信できない場合には、数回撮影コマンドの再送を行う。数回の再送を行っても確認応答が受信できない場合にはステップS216へ進む。
(ステップS208)
ステップS208では、通信インタフェース114はプローブ部から送られてくる超音波信号データおよび光音響信号データを受信する。受信されたデータは通信インタフェース114内のFIFOメモリに保存され、信号処理回路115から順次読み出されるものとする。
(ステップS209)
続いてステップS209では、受信されたデータのヘッダ情報をもとにデータの種類の分別、並び変えを行う。無線通信時にパケット分割されたデータの一部の再送が行われると、データの前後関係が変わる場合がある。これに対し、ヘッダ情報に記録されたシーケンス番号をもとにデータを並び変え、元の順番に直す。この処理はTCP/IPプロトコルに沿って、通信インタフェース内で行われる。並び変えられた超音波信号データおよび光音響信号データは、付加情報に応じてデータの種類が識別され、メモリ116内部に保存される。
(ステップS210)
続いてステップS210において、信号処理部115は、データの欠落がないかを確認する。超音波信号の場合には1本の超音波送信ビームに対応する超音波信号データが全てそろっているかを確認する。光音響信号の場合には、1回のパルス光照射に対応する光音響信号データが全てそろっているかを確認する。データがそろっている場合にはステップS211に進む。一定時間待ってもデータがそろわない場合にはステップS217に進む。
(ステップS211)
続いてステップS211において、信号処理部は超音波信号データおよび光音響信号データに対し、データの種類に応じた信号処理を行い、結果をメモリ116に保存する。
(ステップS212)
続いてステップS212において、画像生成部117は、メモリ116からデータを読み出し、データの種類に応じた画像生成処理を行い、結果をメモリ118に保存する。
(ステップS213)
続いてステップS213において、制御部119はメモリ118内に保存された画像データを順次読み出し、ユーザインタフェース120のディスプレイに表示させる。
(ステップS214)
続いてステップS214において、制御部119は、使用者からの指示に基づき撮影を継続するか否かを判定する。撮影を継続する場合にはステップS206に進む。使用者がユーザインタフェース120を介して撮影終了指示を出した場合には撮影を継続しないと判断し、処理を終了する。使用者がユーザインタフェースを介して撮影パラメータを変更した場合には、撮影を継続すると判断しステップS205に進む。そしてステップS205にて変更された撮影パラメータを取得し、処理を継続する。使用者が特に指示を行っていない場合には、撮影を継続すると判断し、ステップS205に進む。そして、ステップS205ではこれまでと同じ撮影パラメータを用いて処理を継続する。
ステップS215では、制御部119は、プローブとの通信が確立できないとのエラーメッセージをユーザインタフェース120のディスプレイに表示させ、処理を終了する。
ステップS216では、制御部119は、撮影コマンドが通信できないとのエラーメッセージをユーザインタフェース120のディスプレイに表示させ、処理を終了する。
ステップS217では、制御部119は、受信データが欠落しているとの警告メッセージをユーザインタフェース120に表示させ、ステップS214に進み、処理を継続する。なお、使用者の設定により、警告メッセージをオフにし、一部の画像が欠落した状態で処理を継続することもできる。その場合には、欠落したデータを補完しステップS211に進む。
(超音波プローブの動作フロー)
続いてプローブ部101で行われる動作フローを説明する。図3はプローブ部101の各部の動作を示したフローチャートである。
(ステップS301)
電源投入後にS301においてプローブ部101は本体部からの通信確立コマンド待ち状態に入る。通信インタフェース110を介して本体部102からの通信確立コマンドを受信したら、ステップS302に進む。待ち状態の間は通信インタフェース110以外のモジュールをスリープ状態にし、電池113の消耗するための処理を行ってもよい。通信インタフェース110は通信確立コマンドを受信した段階で同期制御部112をスリープ状態から通常状態にする。
(ステップS302)
ステップS302にて同期制御部112は通信インタフェースを介して応答信号を本体部102に送信し、プローブ部101と本体部102のペアリングを行う。また、プローブIDや対応している通信規格、その他プローブ部固有の情報を本体部102に送信する。
プローブ部固有の情報とは、具体的には光源に関する情報、音響波受信部に関する情報、プローブに関する他の情報が挙げられる。光源に関する情報の例としては、光源111の波長の種類、発光可能な最大周波数、光源の寿命、光源の光量が挙げられる。音響波受信部に関する情報の例としては、音響波受信部104の素子数、帯域幅、中心周波数、が挙げられる。プローブに関する他の情報の例としては、A/D変換器のビット数、電池113の残量、通信インタフェース110の通信速度などの情報が挙げられる。
(ステップS303)
続いてステップS303にてプローブ部102は本体部101からの撮影コマンド待ち状態に入る。通信インタフェース110を介して本体部102からの撮影コマンドを受信したら、ステップS304に進む。待ち状態の間は通信インタフェース110以外のモジュールをスリープ状態にし、電池113の消耗を低減してもよい。その場合は、通信インタフェース110は撮影コマンドを受信した段階で同期制御部112をスリープ状態から通常状態にする。
(ステップS304)
続いてステップS304にて同期制御部112は受信された撮影コマンドのパケットを解析し、超音波の送受信および光音響波の受信の順序や回数、時間間隔を割り出し、タスクスケジューリングを行う。一連のタスクは同期制御部112内のタスクメモリに保存される。ここでは簡単な例として、超音波送受信を200us間隔で3回行った後、光音響信号受信を100us間隔で3回行う場合のタスクメモリの内容を図4に示す。401はタスクのID番号、402はタスクの種類であり、本実施形態では超音波の送受信と光音響波の受信と終了の3種類である。403はマイクロ秒単位であらわした、タスクの実行時刻である。404は超音波送受信時には超音波送信固有のパラメータを保存し、光音響受信時には光照射固有のパラメータを保存する領域である。ここには送信パラメータの番号を保存しておき、個々のパラメータの詳細は別の領域を参照する。405は超音波送受信時には超音波受信固有のパラメータを保存し、光音響受信時には光音響信号受信のパラメータを保存する領域である。ここには受信パラメータの番号を保存しておき、個々のパラメータの詳細は別の領域を参照する。このようにすることでパラメータの種類が増えた場合にも、柔軟に対応できる利点がある。
(ステップS305)
続いてステップS305にて、同期制御部112は先頭のタスクメモリを読み出し、タスクの種類402が超音波送受信であるか否かを判定する。超音波送受信である場合には、ステップS306に進む。超音波送受信でない場合にはステップS312に進む。
(ステップS306)
ステップS306において、同期制御部112はタスクメモリの送信パラメータ領域404を読み出し、送信制御部108の動作を設定する。また、受信パラメータ領域405を読み出し、増幅部106、A/D変換部107、データ処理回路109の動作を設定する。送信パラメータは被検体103へ送信される超音波ビーム形成に係るものであり、駆動する音響波受信部104の番号、音響波受信部104の駆動電圧、駆動時間幅、各音響波受信部104の駆動時間差などの情報が含まれる。一方、受信パラメータは被検体103から受信される超音波信号に関するもので、増幅部106のゲイン、TGCのテーブル、A/D変換器107のサンプリング周波数などの情報が含まれる。またデータ処理回路109にて整相加算やノイズ除去、データ圧縮を行う場合には、受信時の多段フォーカスの有無、デジタルフィルタの種類、データ圧縮率などの情報が含まれる。
(ステップS307)
続いてステップS307において、同期制御部112はタスクメモリの時刻領域403を読み出し、タスク実行時刻まで待機する。タスク実行時刻になったらステップS308に進む。本実施例においては、1つ目のタスクは実行時刻が0usなので、ただちにステップS308へ進む。
(ステップS308)
続いてステップS308にて同期制御部112は送受信切り替え部105に指示を出し、送信制御部108と音響波受信部104を接続する。そして、送信制御部108へ指示を出し被検体103への超音波送信を開始させる。送信制御部は、ステップS306で設定された送信パラメータに基づいて、音響波受信部104を駆動し、超音波パルスを生成する。超音波パルスを生成後にステップS309に進む。被検体に送信された超音波は被検体内部の組織で一部が反射され、音響波受信部104で超音波信号に変換される。
(ステップS309)
続いてステップS309にて同期制御部112は送受信切り替え部105に指示を出し、増幅部106と音響波受信部104を接続する。そして、増幅部106、A/D変換器107、へ指示を出し、被検体103からの超音波受信を開始させる。増幅部106、A/D変換器107はステップS306で設定された受信パラメータに基づいて、それぞれ超音波信号を増幅、A/D変換を行う。これらの処理後にデータはデータ処理部109のメモリに保存される。
(ステップS310)
続いてステップS310にて、同期処理部112はデータ処理部109に指示を出し、超音波信号に対して信号処理を行う。具体的には、音響波受信部の特性に依存した信号処理、データの積算、圧縮処理およびデータ識別用の付加情報の追加を行う。変換後のデータは通信インタフェース110内のメモリに保存される。
(ステップS311)
続いてステップS311にて、同期制御部112は通信インタフェース110に指示を出し、データの通信を開始させ、ステップS305へ戻る。ステップS305へ戻る際に、タスクメモリをポップし、先頭のタスクを削除する。ステップS305では、次のタスクを実行する。通信インタフェース110はメモリに保存されたデータをパケット化し、本体部102へ送信を開始する。この際に、通信インタフェース110は、通信停止信号がONの時には、通信を一時停止し、通信停止信号がOFFになったら通信を再開する。
(ステップS312)
一方、ステップS312では同期制御部112は先頭のタスクメモリを読み出し、タスクの種類402が光音響受信であるか否かを判定する。光音響受信である場合には、ステップS313に進む。光音響受信でない場合には終了であり、本体部102から指示された撮影がすべて完了していると判断しステップS320に進む。
(ステップS313)
ステップS313において、同期制御部112はタスクメモリの照射パラメータ領域404を読み出し、光源111の動作を設定する。また、受信パラメータ領域405を読み出し、増幅部106、A/D変換部107、データ処理回路109の動作を設定する。照射パラメータは被検体103へ照射されるパルス光に係るものであり、半導体レーザの駆動電力、波長、パルス幅などの情報が含まれる。一方、受信パラメータは被検体103から受信される光音響信号に関するもので、増幅部106のゲイン、TGCのテーブル、A/D変換器107のサンプリング周波数などの情報が含まれる。またデータ処理回路109にてデータのノイズ除去処理やデータ圧縮を行う場合には、デジタルフィルタの種類、圧縮率などの情報が含まれる。
(ステップS314)
続いてステップS314において、同期制御部112はタスクメモリの時刻領域403を読み出し、タスク実行時刻まで待機する。タスク実行時刻になったらステップS308に進む。本実施例においては、光音響受信の1つ目のタスクは実行時刻が1100usなので、時刻1100usになったらステップS315へ進む。
(ステップS315)
続いてステップS315において、同期制御部113は通信インタフェース110に指示を送り、通信停止信号をONにする。通信インタフェース110はこれを受けて本体部へのデータ通信を中断する。データ通信中断が完了したらステップS316に進む。
続いてステップS315にて同期制御部112は送受信切り替え部105に指示を出し、増幅部105と音響波受信部104を接続する。そして、光源111へ指示を出し被検体103への光照射を開始させる。光源111は、ステップS306で設定された照射パラメータに基づいて、半導体レーザデバイスを駆動し、時間幅10nsから200ns程度のパルス光を照射する。パルス光を照射後にステップS316に進む。被検体に照射されたパルス光は被検体内部の組織で一部が吸収され、光音響波が発生する。光音響波は音響波受信部104で光音響信号に変換される。
(ステップS316)
続いてステップS316にて、同期制御部112は光音響信号が受信され増幅部106、A/D変換部107にて増幅、A/D変換を行う。
(ステップS317)
続いてステップS317にて光音響信号データの積算を行う。前回の光照射までの積算データをデータ処理回路109内部のメモリから読み出し、新たに取得した光音響信号を加算し、データ処理回路内部のメモリに書き戻す。メモリはデュアルポートメモリとし、読み出しと書き込みを同時に進めることで処理の高速化を図ることができる。また、積算回数に応じて使用するメモリ領域のビット幅を変更しメモリ容量の削減を図ってもよい。
(ステップS318)
続いてステップS318にて、同期制御部112は積算を終了するか否かを判定する。本実施例ではあらかじめ決められた回数の積算を行った場合および撮影を終了する場合に、積算を終了するものとする。例えば、3回の光照射に対応する3つの光音響信号データを積算し、1つの積算された光音響信号データを生成した時点で積算終了と判定する。積算終了すると判断した場合にはステップS319に進む、生成されたデータを本体部102に送信する。積算終了しないと判断した場合にはステップS305に戻る。
(ステップS319)
続いてステップS319にて、同期処理部112はデータ処理部109に指示を出し、積算された光音響信号に対して信号処理を行う。具体的には、音響波受信部の特性に依存した信号処理、ノイズ除去処理、圧縮処理およびデータ識別用の付加情報の追加を行う。変換後のデータは通信インタフェース110内のメモリに保存される。続いてステップS311へ進み、光音響信号を本体部102へ送信する。
(ステップS320)
ステップS320では同期制御部112は、全てのデータを本体部102に送信し終わるまで、待機する。全てのデータを本体部102に送信したか否かは通信インタフェース110の状態を監視することで実現される。全てのデータを本体部に送信したらステップS303に進む。
(タイムチャート)
図5に超音波送受信および光音響受信を3回ずつ行った場合のタイムチャートの例を示す。図5の一番上は光源111からパルス光を発光させる信号(パルス光駆動信号)のタイミングを示す図である。横軸は時刻を示す。上から2番目は音響波受信部104の超音波および光音響波の受信タイミングを示す図である。上から3番目は、データ処理回路109が信号処理しているタイミングを示す図である。上から4番目は通信インタフェース110が本体部102へ超音波信号データおよび光音響信号データを通信するタイミングを示す図である。上から5番目は同期制御部112の通信制御信号のタイミングを示す図である。図5のいずれも横軸は時刻である。また、送信1は図4のタスク番号1番の超音波送信、超音波受信1は、タスク番号1番の超音波受信に相当する。送信2から3、超音波受信2から3、光音響受信4から6、信号処理1から6、通信1から6に対しても、図5中の番号は図4のタスク番号と対応している。図5より、時刻600から100us間隔でレーザ照射および光音響信号受信を開始している。光音響受信4および光音響受信5で取得した光音響信号データについてはステップS318で積算終了しないと判定されるため通信は行わず、積算結果をデータ処理回路109内部のメモリに保存しておく。一方、光音響受信6で光音響信号データを取得した段階で、データが3つたまるのでステップS318で積算終了すると判定される。続いて信号処理が終わったデータから順次本体部102へ送信される。このように光音響信号を積算することでノイズを低減するとともに通信データ量を削減する効果がある。図5の時刻600usから800usまでの通信インタフェースの状況に示すように、積算によって空いた時間を超音波信号の通信に使うことができるため、超音波および光音響信号のフレームレート向上に寄与する。
被検体103内の音速を1500m/s、被検体103の観測深さを100mmとすると超音波送受信に約134us、光音響波受信には67usの時間がかかる。信号処理については、A/D変換されたデータから順次処理していくことができ、処理時間は受信時間とほぼ同等であり、大きく変動しない。一方、本体との通信については、その時の光音響装置が置かれた場所の状況、周囲の機器の通信状況によって大きく変動する。例えば、本体部101とプローブ部102が離れている場合や、周囲に電波を遮る障害物がある場合、周囲の機器都の電波干渉がある場合などでは、通信エラーや再送が発生し通信速度が大きく低下する傾向がある。そのため、通信にかかる時間は動的に変化し、前のデータを通信中に次のタスクを開始しなければならない場合がある。例えば図5において通信2の時間が通信1よりも長くかかり、通信2が終了する前に送信3が開始している。このため、通信インタフェース110は十分な容量のバッファメモリを備える。
音響波受信部104の素子数を128ch、A/D変換器107のビット数を12bit, A/D変換器のサンプリング周波数を40MHzとする。このとき、超音波送信ビーム1本あたりの超音波信号の生データ量は約8.3Mbit、光音響波受信1回あたりの光音響信号の生データ量は約4.1MBitとなる。超音波信号については128chの12bitデータをデータ処理回路109で整相加算して1つの19bitデータにまとめることにより、超音波送受信1回のデータ量を0.101MBitまで圧縮する。通信1での実効速度を500Mbpsとすると通信1は202us、通信2のときの実効速度が300Mbpsとすると336usとなる。また、通信3以降の実効速度が500Mbpsとすると、通信3は202usである。
一方3回分の光音響信号を積算したのちに積算回数で割り、1つの12bitデータとすると、4.1Mbitとなる。これを128ch分整相加算し、19bitデータにまとめることにより、0.05MBitまで圧縮する。通信4+5+6での実行速度を500Mbpsとすると、通信4+5+6は101usである。
以上説明してきたように、本発明の実施形態によれば、プローブで複数回光音響データを取得し、積算したのちに本体部に送信することで、ノイズ低減と通信データ量削減を両立することができる。これにより、超音波信号および光音響信号のフレームレートを向上させることができる。
なお、本実施形態において超音波送受信と光音響受信両方を実施する例を用いて説明した。しかし、超音波送受信機能を持たず、光音響受信機能のみの装置においても、複数回光照射を行い、取得された光音響信号を積算することにより同様の通信量削減効果を得ることができる。これによりさらに光照射の周期を短くすることができ、積算回数を増加させノイズ低減を図ることができる。
また、本実施形態ではプローブ部101内部で光音響信号データの積算と除算を行い、加算平均の計算を行う例を示したが、プローブ部101内部では積算のみを行い、除算は本体部102で行ってもよい。積算と除算の両方を行う場合に比べると通信データ量がわずかに増加する代わりに、除算回路をプローブ部101で持たなくて済むのでプローブ部の小型化、低消費電力化につながる。
また、本実施形態では積算回数を3回の例を用いて説明したが、積算回数を2のべき乗回に限定し、除算回路をシフト回路に置き換えることによりプローブ部の回路規模を削減し小型化、低消費電力化を図ってもよい。
また、本実施形態においては超音波送受信を3回実施したのちに光音響受信を3回実施する例を用いて説明したが、超音波送受信および光音響受信の回数、順番はこれに限らず、図4の使用者の指示により自由に変更することが可能である。例えば、超音波信号送受信と光音響受信を交互に行うようにしてもよい。また、より被検体内部の深いところを確認するために一時的に光音響受信回数を増やしてもよい。また、積算回数の変更をプローブにつけたスイッチやダイヤルなどで行えるようにしてもよい。
また、本実施例において積算回数が3回に固定されている例を用いて説明したが、積算回数は3回に限らない。低ノイズ化のために積算回数を増やすことも可能である。例えば積算回数を100回とすれば、ランダムノイズは理想的には1/10になり、フレームレートを減らす代わりに被検体内部の、より深い位置にある光吸収部位の画像を得ることができる。このように積算回数を増やした場合には、プローブ部で積算することによる通信データ量削減の効果がより顕著になる。
一方、積算回数を増やしすぎると、その間に被検体が動いてしまい場合に光音響画像がぼける恐れがある。積算回数を増やすと同時に光源の周波数も増やし、被検体の動きの影響を低減してもよい。また、プローブ部において動きを検出するセンサを備え、プローブ部と被検体の相対的な位置関係が動いていないときは積算し、動きがあった時は積算しないようにしてもよい。また、動きの検出を超音波信号データの変化によって行ってもよい。
また、本実施例では通信の状態によらず積算回数は固定されている例を示したが、無線を用いた場合の通信速度は周囲の電磁環境の状況によって刻一刻と変化する。そのため通信速度に応じて積算回数を変化させてもよい。すなわち、通信インタフェース内のFIFOメモリ内のデータ残量から通信速度を見積り、通信速度が遅いときには積算回数を多くして通信データ量を削減する。一方、通信速度が速いときには積算回数を少なくして、光音響画像のフレームレートを増加させてもよい。
同様に通信速度に応じて光照射の周波数を変化させてもよい。すなわち、通信インタフェース内のFIFOメモリ内のデータ残量から通信速度を見積り、通信速度が遅いときには光照射の周波数を少なくして、通信データ量を削減する。一方、通信速度が速いときには光照射の周波数を多くして、積算回数を増やし低ノイズ化を図ってもよい。
101 超音波プローブ(プローブ部)
102 信号処理手段(本体部)
103 被検体
104 音響波受信部
105 送受信切り替え回路
106 増幅部
107 アナログデジタル変換部
108 送信制御部
109 データ処理回路(積算手段)
110 通信インタフェース
111 光源
112 同期制御部
113 電池
114 通信インタフェース
115 信号処理部
116 メモリ
117 画像処理回路
118 メモリ
119 制御部
120 ユーザインタフェース

Claims (8)

  1. 被検体に光を照射する光照射部と、
    前記被検体に光が照射されることによって生じる音響波を受信して電気信号に変換する音響波受信部と、
    前記電気信号をデジタル化してデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、
    前記光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた複数の前記デジタル信号を積算して積算信号を出力する積算手段と、
    前記積算信号の無線通信を行う通信部と、を有する超音波プローブ。
  2. 前記積算手段は、前記積算信号を除算する、除算処理を行うことが可能に構成されている請求項1に記載の超音波プローブ。
  3. 前記積算手段は、前記電気信号の積算回数を変えることが可能に構成されている請求項1または2に記載の超音波プローブ。
  4. 前記光照射部から照射される光はパルス光であり、
    前記超音波プローブは、前記デジタル信号を保存する記憶部を有し、前記メモリ部に保存されたデータ量が所定値以上の場合、前記光照射部から照射される前記パルス光の繰り返し周波数を小さくする制御を行う請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
  5. 前記音響波受信部は、超音波の送信を行うことが可能に構成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
  6. 前記光照射部が、複数の半導体発光素子を含み構成される光源をさらに有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
  7. 被検体に光を照射する光照射部と、
    前記被検体に光が照射されることによって生じる音響波を受信して電気信号に変換する音響波受信部と、
    前記電気信号をデジタル化してデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、
    前記光が被検体に複数回にわたって照射されることで得られた複数の前記デジタル信号を積算して積算信号を出力する積算手段と、
    前記積算信号の通信を行う通信部と、を有する超音波プローブ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超音波プローブと、前記通信部から前記被検体に関する情報を取得する信号処理手段とを有する光音響装置。
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