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JP2018503363A5 - - Google Patents

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mecC含有メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物および方法
本開示は、バクテリア診断法の分野、特にmecC核酸配列を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus, MRSA)の検出に関する。
黄色ブドウ球菌(「S.aureus」または「SA」)は通性嫌気性のグラム陽性菌であり、ヒトの皮膚および鼻に元々保有されている。また、創傷部に宿っている場合もある。黄色ブドウ球菌を保有する大部分の人は、感染の兆候を示さないが、正常な障壁が破壊されると黄色ブドウ球菌は侵襲性となって体内で感染を引き起こすことがある。黄色ブドウ球菌は、吹き出物、腫れ物、および膿瘍などの軽微な皮膚感染から肺炎、髄膜炎、および敗血症などの大きな病気まで多くの疾患を引き起こすことがある。障壁が破壊されると皮膚および鼻以外の組織が感染することがある。例えば、皮膚あるいは粘膜内層が破壊されると、せつ(フルンケル)、癰(よう、カルブンケル)を発症する。黄色ブドウ球菌感染は、感染者との皮膚接触、あるいは感染者が用いた物と接触することで人々の間に広まる場合がある。
黄色ブドウ球菌は、ペニシリン(メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、およびフルクロキサシリン)を含む主要な抗生物質に対する耐性を発達させる並外れた能力があり、そのため「スーパー耐性菌」と名付けられた。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、ペニシリンに耐性を持つようになった菌であり、いくつかの治療が困難なヒトの感染症の原因である。MRSAはオキサシリン耐性黄色ブドウ球菌(ORSA)および多剤耐性黄色ブドウ球菌としても知られており、また、黄色ブドウ球菌の非メチシリン耐性系統はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)と呼ばれることもある。
ブドウ球菌のメチシリン耐性に必要な遺伝子mecAは、低親和性ペニシリン結合タンパク質2a(PBP2a)をコードする(Niemeyer et al., J. Bacteriol., (1996), 178(18):5464-5471)。mecAの新規な多様体変異体(mecALGA251)はmecCと改名されたが、近年、ヒトおよび動物からの黄色ブドウ球菌単離物で同定された(Harrison et al., Antimicrob. Agents Chemother., (2013), 57(3):1524-1528)。この相同体は、mecA遺伝子と70%のヌクレオチドが同一であり、この存在によりメチシリン感受性黄色ブドウ球菌と誤診断される可能性を伴う診断上の問題が提示されている(Paterson et al., Trends Microbiol., (2014), 22(1):42-47)。したがって、mecCを含むMRSAを高感度で特異的に検出する高速かつ信頼性の高い方法が当該分野で必要とされている。
本開示の特定の態様は、例えば、1本の試験管内でのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による黄色ブドウ球菌を含むmecC(mecC−MRSA)多重検出など、生体試料または非生体試料中のmecC−MRSAの有無の迅速検出のための方法に関する。態様は、少なくとも1つの循環工程を行うことを含むmecC−MRSAの検出方法を含む。前記少なくとも1つの循環工程は、増幅工程およびハイブリダイズ工程を含んでいてもよい。さらに、態様は、1本の試験管内でmecC−MRSAを検出するように設計されたプライマー、プライマー対、プローブ、およびキットを含む。前記検出方法は、mecC遺伝子を標的にするように設計されており、1回の検査でmecC−MRSAを検出することができる。
本開示は、個体に由来する生体試料中のmecC−MRSAの有無を検出する方法を提供する。そのような方法は、一般に、少なくとも1つの循環工程を行うことを含み、前記少なくとも1つの循環工程は増幅工程および色素結合工程を含む。典型的には、前記増幅工程は、前記試料を複数対のmecC−MRSAプライマーと接触させて、前記試料中にmecC−MRSA核酸分子が存在する場合には1つ以上のmecC−MRSA増幅産物を生成することを含み、前記色素結合工程は、前記mecC−MRSA増幅産物を二本鎖DNA結合色素と接触させることを含む。このような方法はまた、前記二本鎖DNA結合色素が前記増幅産物に結合しているか否かを検出することを含み、ここで結合の存在は前記試料中にmecC−MRSAが存在することを意味し、結合の非存在は、前記試料中にmecC−MRSAが存在しないことを意味する。代表的な二本鎖DNA結合色素は臭化エチジウムである。また、このような方法はまた、前記mecC−MRSA増幅産物と前記二本鎖DNA結合色素の融解温度を決定することを含んでいてもよく、前記融解温度でmecC−MRSAの有無を確認する。
一側面では、試料中の黄色ブドウ球菌を含むmecC(mecC−MRSA)を検出する方法が提供される。前記方法は、前記試料をorfXオリゴヌクレオチドプライマーおよびmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーと接触させて、前記試料中にmecC−MRSAが存在する場合には増幅産物を生成する増幅工程を行うこと、前記増幅産物を1つ以上の検出可能なmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を行うこと、および前記増幅産物の有無を検出すること(ここで、前記増幅産物の存在は前記試料中にmecC−MRSAが存在することを意味し、前記増幅産物の非存在は前記試料中にmecC−MRSAが存在しないことを意味する)を含み、前記mecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含む。前記方法の態様によっては、前記ハイブリダイズ工程は、前記増幅産物を供与体蛍光部位および対応する受容体蛍光部位で標識されたプローブと接触させることを含み、前記検出工程は、前記プローブの供与体蛍光部位と受容体蛍光部位の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の有無を検出すること(ここで、蛍光の有無が前記試料中にmecC−MRSAが存在するか否かを意味する)を含む。態様によっては、前記検出可能なmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号10またはその相補体の配列を含むか、あるいはその配列からなる。態様によっては、前記検出可能なmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブはヌクレオチドが40個以下である。態様によっては、増幅には、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を用いる。態様によっては、前記供与体蛍光部位および前記対応する受容体蛍光部位は、前記プローブ上で、互いに8ヌクレオチド以内にある。態様によっては、前記受容体蛍光部位はクエンチャーである。態様によっては、前記orfXオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号9の配列を含む、またはその配列からなる。態様によっては、前記orfXオリゴヌクレオチドプライマーおよび前記mecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーは、ヌクレオチドが40個以下である。
特定の側面では、試料中のmecC含有黄色ブドウ球菌を検出する方法が提供される。前記方法は、前記試料をorfXオリゴヌクレオチドプライマーおよびmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーと接触させて、前記試料中にmecC−MRSAが存在する場合は増幅産物を生成する増幅工程を行うこと、前記増幅産物を1つ以上の検出可能なmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を行うこと、および前記増幅産物の有無を検出すること(ここで、前記増幅産物の存在は前記試料中にmecC−MRSAが存在することを意味し、前記増幅産物の非存在は前記試料中にmecC−MRSAが存在しないことを意味する)を含み、ここで前記orfXオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号9またはその相補体の配列を含み、あるいはその配列からなり、前記mecC−MRSAプライマーは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含み、あるいはその配列からなり、前記検出可能なmecC−MRSAプローブは配列番号10またはその相補体の配列を含み、あるいはその配列からなる。
態様によっては、増幅には、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を用いてもよい。したがって、前記第一の蛍光部位および第二の蛍光部位は、前記プローブの長さに沿って互いから8ヌクレオチド以内にあってもよい。他の側面では、前記mecC−MRSAプローブは、二次構造の形成を可能にする核酸配列を含む。そのような二次構造が形成されると、一般に、前記第一の蛍光部位と前記第二の蛍光部位が空間的に近づく。この方法によれば、前記プローブ上の第二の蛍光部位はクエンチャーであってもよい。
また、本開示は、mecC−MRSAの1種以上の核酸を検出するためのキットを提供する。前記キットは、前記mecC遺伝子標的の増幅に特異的な1組以上のmecC−MRSAプライマーおよび前記mecC−MRSA増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なmecC−MRSAプローブを含んでいてもよい。
一側面では、mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC−MRSA)の核酸を検出するためのキットが提供される。前記キットは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含むか、あるいはその配列からなる第一のオリゴヌクレオチドプライマー、orfX遺伝子の一部にハイブリダイズするように構成された第二のオリゴヌクレオチドプライマー、および前記第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび前記第二のオリゴヌクレオチドプライマーによって生成されたアンプリコンにハイブリダイズするように構成された第三の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。態様によっては、前記第三の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、供与体蛍光部位および対応する受容体蛍光部位を含む。態様によっては、前記供与体蛍光部位および前記対応する受容体蛍光部位は前記プローブ上で互いに8ヌクレオチド以内にある。態様によっては、前記受容体蛍光部位はクエンチャーである。態様によっては、前記キットは、ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、および前記核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液をさらに含む。態様によっては、前記第二のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号9の配列を含むか、あるいはその配列からなる。態様によっては、前記検出可能なオリゴヌクレオチドプローブは、mecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブであり、配列番号10またはその相補体の配列を含むか、あるいはその配列からなる。態様によっては、前記第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/または前記オリゴヌクレオチドプローブは、ヌクレオチドが40個以下である。態様によっては、前記キットはまた、前記プライマー、プローブ、および蛍光部位を用いて試料中のmecC−MRSAの有無を検出するための添付文書および使用説明書を含んでいてもよい。
一側面では、配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含むか、あるいはその配列からなるオリゴヌクレオチドが提供される。他の側面では、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10またはその相補体から選択されるヌクレオチドの配列を含むか、あるいはその配列からなるオリゴヌクレオチドが提供される。態様によっては、前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが100個以下である。他の態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12またはその相補体の1つに対して配列同一性が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%など)である核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供する。前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが100個以下である。これらの態様では、一般に、これらのオリゴヌクレオチドは、プライマー核酸、プローブ核酸などであってもよい。これら態様のうち特定の態様では、前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが40個以下(例えば、35個以下、30個以下など)である。態様によっては、前記オリゴヌクレオチドは、例えば、非修飾ヌクレオチドと比較して核酸のハイブリダイゼーション安定性を変化させる少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む。前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の標識および/または少なくとも1個のクエンチャー部位を含んでいてもよい。態様によっては、前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1個の保存的修飾多様性を含む。特定の核酸配列の「保存的修飾多様性」または単に「保存的多様性」は、同一の、または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指し、または前記核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は本質的に同一の配列に対する核酸を指す。当業者には自明であるが、コードされた配列の1個のアミノ酸またはわずかな百分率のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には4%未満、2%未満、1%未満)を変化、付加、あるいは削除する個々の置換、欠失、または付加は、その変化により1個のアミノ酸の欠失、付加、あるいは化学的に類似のアミノ酸との置換が生じる「保存的修飾多様性」である。
一側面では、mecC−MRSA遺伝子標的を増幅するための1対のオリゴヌクレオチドプライマーが提供される。前記1対のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含む第一のオリゴヌクレオチドプライマー、およびorfX遺伝子の一部にハイブリダイズするように構成された第二のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。態様によっては、前記第一のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される核酸配列を含み、あるいはその核酸配列からなり、前記第二のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号9またはその相補体の核酸配列を含み、あるいはその核酸配列からなる。態様によっては、前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが100個以下である。他の態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはその相補体の1つに対して、配列同一性が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%など)の核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供する。前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが100個以下である。これらの態様の特定の態様では、前記オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが40個以下(例えば、35個以下、30個以下など)である。態様によっては、前記mecC−MRSA遺伝子標的を増幅するための1組のオリゴヌクレオチドプライマーが提供される。前記1組のオリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ配列番号1、2、3、4、5、6、7、および8またはその相補体からなる群より選択される配列を含む1つ以上の第一のオリゴヌクレオチドプライマー、およびorfX遺伝子の一部にハイブリダイズするように構成された第二のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
他の側面では、前記mecC−MRSA遺伝子標的を増幅および検出するための1組のオリゴヌクレオチドが提供される。前記1組のオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、および9、またはその相補体の少なくとも1個の核酸配列、および配列番号10の核酸配列を含むmecC−MRSA増幅産物を検出するための検出可能なプローブを含む。
特に断りがなければ、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を持つ。本開示の主題の実践または試験に本明細書で記載する方法および材料と類似または等価な方法および材料を用いることができるが、以下で好適な方法および材料を記載する。また、これら材料、方法、および実施例は単に例示的なものであり、限定を意図しない。
添付の図面および以下の記述において本発明の1つ以上の態様の詳細を記載する。本発明のその他の特徴、対象、および利点は、図面および詳細な記述、および請求項から自明である。
図1はmecC−MRSAに特異的な数種のプライマーを用いた実験のPCR成長曲線であり、mecAを含むMRSAに特異的なプライマー(RE2)と比較したものである。 図2は、mecC−MRSAに特異的な3種の異なるプライマーを用いた実験のPCR成長曲線を示す。2種のプライマー(AHREMECC01およびAHREMECC03)は蛍光およびエルボー値について同様の曲線性能を示す。第三のプライマー(AHREMECC02)は、蛍光強度が低下し、エルボー値も遅延した。 図3はすべて同様の曲線性能を有するmecC−MRSAに特異的な数種のプライマーを用いた実験のPCR成長曲線を示す。 図4はRE(SCCmecの右端)分類に基づくMRSAの分類の模式図を示す。
核酸増幅によるmecC−MRSA感染の診断は、このバクテリア感染を迅速にかつ正確に検出するための方法を提供する。本明細書では、試料中のmecC−MRSAを検出するためのリアルタイムアッセイを記載する。mecC−MRSAを検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびにそのようなプライマーおよびプローブを含む製品またはキットが提供される。mecC−MRSAを検出するためのリアルタイムPCRは他の方法に比べて感度が高められていること、また、試料の封じ込めおよび増幅産物のリアルタイム検出を含むリアルタイムPCRの特徴の向上により、この技術を臨床実験室でのmecC−MRSA感染の通常診断として実施することが可能になっている。
mecAと同様に、その相同体メチシリン耐性遺伝子mecCは、変化したメチシリン耐性ペニシリン結合タンパク質(PBP2aまたはPBP2’)をコードする。これは、β−ラクタム環(β−ラクタム抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、およびカルバペネムなど)の一次活性部位)に対する親和性を低下させたペニシリン結合タンパク質(Guignard et al., 2005, Curr Opin Pharmacol 5 (5): 479-89)であり、感受性系統種には存在しないが、遠縁の種から獲得されたと考えられている。mecCは、MRSA系統種の可動遺伝因子であるブドウ球菌染色体カセットmec(Staphylococcal Chromosomal Cassett mec、SCCmec)で運ばれる。SCC因子もまた感受性黄色ブドウ球菌に生じるが、mecC遺伝子ではなく非機能性mecC遺伝子を運ぶ。そのような系統種は偽陽性結果の原因となる可能性がある。というのは、これらの系統菌は、同じ右端接合部を有する可能性があるからである。
しかしながら、mecC遺伝子および黄色ブドウ球菌に特有の遺伝子を検出によって鼻の試料片からMRSAを検出すると、非耐性黄色ブドウ球菌およびメチシリン耐性凝固酵素陰性ブドウ球菌(MRCoNS)の両方が様々な量で存在するために、陽性適中率(PPV)が低下する。これらの組み合わせでは、両方の標的が存在するためにMRSAから区別することができない。MRSAの有病率にもよるが、この状況では30%までの偽陽性結果となる。PPVを高めるためには、選択した標的がMRSAに固有のものである必要がある。現在知られている唯一の標的は、ブドウ球菌染色体カセット(SCCmec)であり、mecC遺伝子を運ぶ遺伝因子のためのトランスポゾン組み込み部位を増殖する。
SCCmec、すなわちMRSAのSCC因子(機能性mecC遺伝子を有する)は、mecC遺伝子を含む黄色ブドウ球菌からオープンリーディングフレームX(open reading frame X、orfX)の3’末端部分に組み込まれた長さが大きく異なる(16kb〜67kb)のトランスポゾンである。orfXは黄色ブドウ球菌では特定の機能を持たず、黄色ブドウ球菌に固有である。SCCmecを組み込むことにより、MRSAに固有の特徴を獲得する。
SCCmec因子は、2種類の必須成分、ccr遺伝子複合体(ccr)およびmec遺伝子複合体(mec)を有する。ccr遺伝子複合体はccr遺伝子および周囲のオープンリーディングフレーム(ORF)からなり、mec遺伝子複合体は、mecC遺伝子、調節遺伝子、およびmecCの上流または下流の挿入配列からなる。
MRSAの分類は、MRSAの異なる遺伝型に基づいて行ってもよい。遺伝型に基づくMRSAの検出および分類の1つの標的は、SCCmecの右端(right extremity、RE)接合部であってもよい。したがって、このMRSA分類法は、RE(SCCmecの右端)分類(typing)と呼ばれる。この分類方法は、異なる種類のSCCmecの中で組み込み部位に隣接するSCCmecのDNAの右端の多型を利用したものである。
mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC−MRSA)の検出は、黄色ブドウ球菌orfX遺伝子とメチシリンに耐性を与えるmecC遺伝子を運ぶSCCmecとのRE接合部でアンプリコンを生成する方法を用いる。これを達成するため、1本のプライマー(orfXプライマー)を黄色ブドウ球菌のorfX遺伝子の高度保存性の領域に固定し、もう1本のプライマー(REプライマーまたはmecC−MRSAプライマー)をSCCmecの非保存性のRE接合部内に置く。これら2本のプライマーから得たアンプリコンは、orfX遺伝子の部分とSCCmecの部分に及んでいる。RE接合部でSCCmecが非相同性であるため、mecC遺伝子を保持する固有のMRSA系統種の大部分をカバーするためには数種の異なるREプライマーが必要である。本開示では、mecCを保持するMRSAのRE領域の特定配列を14種の固有なmecC系統種に対して決定し、これらの配列からMRSA系統種を保持するmecCの包括的な検出のためにREプライマーを設計した。得られたアンプリコン検出するため、1つ以上の検出可能なmecC−MRSAプローブを用いてもよい。ここで、前記mecC−MRSAプローブは、orfX遺伝子の高度保存性の領域を含む位置に、前記アンプリコンの一部に部分的にまたは全体にハイブリダイズすることができる配列を含む。前記プライマーは、mecC−MRSAの検出用キットで用いてもよい。前記キットはまた、mecA遺伝子またはmecC遺伝子を保持するMRSAの包括的な検出のためのマルチプレックスを含んでいてもよい。
本明細書で開示される方法は、少なくとも1つの循環工程を行うことを含んでいてもよい。前記少なくとも1つの循環工程は、1対以上のmecC−MRSAプライマーを用いて試料に由来するmecC−MRSA核酸分子遺伝子標的の1つ以上の部分を増幅することを含む。本明細書で用いられる用語「mecC−MRSAプライマー」は、SCCmecの非保存性のRE接合部でMRSAのmecCをコードする核酸配列に特異的にアニールして、適切な条件でそこからDNA合成を開始するオリゴヌクレオチドプライマーを指す。上記mecC−MRSAプライマーのそれぞれは、各増幅産物の少なくとも一部が標的に対応する核酸配列を含むように、それぞれのmecC−MRSA標的核酸分子内にある、あるいはそれに隣接する標的にアニールされる。試料中に1つ以上のmecC核酸が存在すれば、1つ以上のmecC増幅産物が生成する。したがって、この1つ以上のmecC増幅産物の存在は試料中にmecC−MRSAが存在することを意味する。増幅産物は、mecC−MRSAに対する1つ以上の検出可能なプローブと相補な核酸配列を含んでいるはずである。各循環工程は、増幅工程、ハイブリダイゼーション工程、および検出工程を含む。ここで、試料は、試料中のmecC−MRSAの有無を検出するためのmecC−MRSAに対する1つ以上の検出可能なプローブと接触させる。
本明細書で用いられる用語「増幅する」は、鋳型核酸分子(例えば、mecC)の一方または両方の鎖に相補な核酸分子を合成する過程を指す。核酸分子を増幅することは、典型的には、鋳型核酸を変性すること、プライマーの融解温度より低い温度でプライマーを鋳型核酸にアニールすること、および酵素によりプライマーから伸長させて増幅産物を生成することを含む。増幅には、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(例えば、Platinum(登録商標)Taq)、および適切な緩衝液および/またはポリメラーゼ酵素の最適な活性のための共因子(例えば、MgCl2および/またはKCl)の存在を必要とする。
用語「プライマー」は、当業者に周知のものとして本明細書では用いられており、オリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドを指すが、鋳型に依存するDNAポリメラーゼによりDNA合成を「刺激する(prime)」ことができる修飾オリゴヌクレオチドをも指す。すなわち、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端は、遊離3’−OH基を提供し、この遊離3’−OH基には、3’末端と5’末端とのリン酸ジエステル結合を形成する鋳型依存のDNAポリメラーゼにより「ヌクレオチド」がさらに付加し、これによりデオキシリボヌクレオシド三リン酸が用いられて、ピロリン酸塩が放出される。したがって、意図された機能がある場合を除いて、「プライマー」、「オリゴヌクレオチド」、または「プローブ」には基本的に違いはない。
用語「ハイブリダイズする」は、1つ以上のプローブを増幅産物にアニールすることを指す。ハイブリダイゼーションの条件には、典型的には、プローブの融解温度よりも低いが、そのプローブの非特異的ハイブリダイゼーションを回避する温度が含まれる。
用語「5’→3’ヌクレアーゼ活性」は、典型的には、核酸鎖合成に関連した核酸ポリメラーゼの活性を指し、これによりヌクレオチドが核酸鎖の5’末端から離れる。
用語「熱安定性ポリメラーゼ」は、熱に対して安定なポリメラーゼ酵素、すなわち、鋳型に相補なプライマー伸長生成物の形成を触媒し、かつ二本鎖の鋳型核酸を変性するのに必要な時間、高温にさらしても不可逆的に変性しない酵素を指す。一般に、合成は各プライマーの3’末端で開始されて、鋳型鎖に沿って5’末端から3’末端の方向に進む。熱安定性ポリメラーゼは、テルムス・フラブス(Thermus flavus)、テルムス・ルーバー(T. ruber)、テルムス・サーモフィルス(T. thermophilus)、テルムス・アクアティクス(T. aquaticus)、テルムス・ラクテウス(T. lacteus)、テルムス・ルベンス(T. rubens)、バシラス・ステアロテルモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、およびメタノテルムス・フェルビデュス(Methanothermus fervidus)から単離された。とはいうものの、熱安定性でないポリメラーゼもまた、酵素を補充すればPCRアッセイに用いることができる。
用語「その相補体」は、所与の核酸と同じ長さで、完全に相補な核酸を指す。
核酸に関して用いられる場合の用語「伸長(extension, elongation)」は、追加のヌクレオチド(あるいは他の類似分子)が核酸に組み込まれる場合を指す。例えば、核酸は、生体触媒(例えば、典型的にはヌクレオチドを核酸の3’末端に付加するポリメラーゼ)を組み込んだヌクレオチドにより任意に伸長される。
2つ以上の核酸配列の文脈で用語「同一」またはパーセントの「同一性」は、例えば、当業者に利用可能な配列比較アルゴリズムの1つあるいは目視検査を用いて、最大の対応箇所を比較し配列した際に、同じであるか、同じであるヌクレオチドの百分率が所定の値である2つ以上の配列または下位配列を指す。パーセントでの配列同一性および配列類似性を決定するのに好適な算法としては、例えば、以下の文献に記載されるBLASTプログラムが挙げられる:Altschul et al. (1990) “Basic local alignment search tool(基礎局所配列検索ツール)」, J. Mol. Biol. 215:403-410, Gish et al. (1993) “Identification of protein coding regions by database similarity search(データベースの類似性検索によるタンパク質コード領域の同定)」, Nature Genet. 3:266-272, Madden et al. (1996) “Applications of network BLAST server(ネットワークBLASTサーバーの応用)」, Meth. Enzymol. 266:131-141, Altschul et al. (1997) “Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs(ギャップ付きBLASTおよびPSI-BLAST:新世代のタンパク質データベース検索プログラム)」, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402,およびZhang et al. (1997) “PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation(PowerBLAST:相互作用または自動配列分析および注釈のための新たなネットワークBLASTの応用)」, Genome Res. 7:649-656。
オリゴヌクレオチドの文脈における用語「修飾ヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチド配列の少なくとも1個のヌクレオチドをそのオリゴヌクレオチドに所望の特性をもたらす異なるヌクレオチドと置換するような変化を指す。本明細書で記載するオリゴヌクレオチドにおいて置換することができる修飾ヌクレオチドとしては、例えば、C5−メチル−dC、C5−エチル−dC、C5−メチル−dU、C5−エチル−dU、2,6−ジアミノプリン、C5−プロピニル−dC、C5−プロピニル−dU、C7−プロピニル−dA、C7−プロピニル−dG、C5−プロパルギルアミノ−dC、C5−プロパルギルアミノ−dU、C7−プロパルギルアミノ−dA、C7−プロパルギルアミノ−dG、7−デアザ−2−デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジン類縁体、擬似dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’−0−メチルリボ−U、2’−0−メチルリボ−C、N4−エチル−dC、N6−メチル−dAなどが挙げられる。オリゴヌクレオチドにおいて置換することができる多くの他の修飾ヌクレオチドは、本明細書で言及されるか、あるいは当該分野で周知である。特定の態様では、修飾ヌクレオチド置換体は、対応する無修飾オリゴヌクレオチドの融解温度に対してオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)を変える。さらに例示すると、態様によっては、特定の修飾ヌクレオチド置換体は、非特異的な核酸増幅を低減する(例えばプライマー2量体の形成などを最少にする)、意図する標的アンプリコンの収率を高めることなどができる。これら核酸修飾の種類は、例えば、米国特許第6,001,611号に記載されている。
mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC−MRSA)
本開示は、例えば、前記mecC核酸配列の一部を増幅してmecC−MRSAを検出するための方法を提供する。mecC−MRSAの様々な亜種のSCCmec核酸配列が利用可能である(例えば、GenBank登録番号FR823292)。具体的には、mecC−MRSA核酸分子標的を増幅および検出するためのプライマーおよびプローブは本開示の態様により提供される。
mecC−MRSAの検出には、前記mecC−MRSAのRE接合部を増幅するためのプライマーおよびプローブが提供される。また、本明細書で例示したmecC−MRSA核酸以外のmecC−MRSA核酸を用いて、試料中のmecC−MRSAを検出してもよい。例えば、当業者により通常の方法を用いて機能多様体の特異性および/または感度を評価してもよい。代表的な機能多様体としては、例えば、本明細書で開示されるmecC−MRSA核酸における1つ以上の欠失、挿入、および/または置換が挙げられる。
より具体的には、前記オリゴヌクレオチドの態様は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10、実質的に同一なそれらの多様体から選択される配列を有する核酸を含む。前記多様体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10、または配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の相補体、およびその多様体の1つに対して配列同一性が少なくとも、例えば、80%、90%、または95%である。
一態様では、mecC−MRSAを含むと疑われる生体試料中のmecC−MRSAを検出するために上記の複数組のmecC−MRSAプライマーおよびプローブが用いられる。上記複数組のプライマーおよびプローブは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の核酸配列を含むか、あるいはその核酸配列からなるmecC−MRSAのRE接合部の核酸配列に特異的なプライマーおよびプローブを含むか、あるいはそれらからなっていてもよい。他の態様では、前記mecC−MRSA標的に対するプライマーおよびプローブは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10のプライマーおよびプローブのいずれかの機能活性多様体を含むか、あるいはその機能活性多様体からなる。
配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10のプライマーおよび/またはプローブのいずれかの機能活性多様体は、開示される方法において前記プライマーおよび/またはプローブを用いて同定してもよい。配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10のいずれかのプライマーおよび/またはプローブの機能活性多様体は、開示される方法またはキットにおいて配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の各配列に比べて同程度の、あるいはより高い特異性および感度を提供するプライマーおよび/またはプローブに属する。
前記多様体は、例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の各配列の5’末端および/または3’末端での1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、または置換など、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の配列から1つ以上のヌクレオチド付加、欠失、または置換の分だけ変化していてもよい。上述の通り、プライマー(および/またはプローブ)は化学的に修飾されていてもよい。すなわち、プライマーおよび/またはプローブは、修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物を含んでいてもよい。したがって、プローブ(またはプライマー)は、修飾オリゴヌクレオチドである。「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類縁体」)は何らかの修飾により天然の「ヌクレオチド」と異なるが、塩基または塩基類似化合物、ペントフラノシル糖またはペントフラノシル糖類似化合物、リン酸塩部またはリン酸塩類似部分、あるいはそれらの組み合わせからなる。例えば、「標識」は、「ヌクレオチド」の塩基部分に付加してもよく、これにより「修飾ヌクレオチド」が得られる。「ヌクレオチド」の天然の塩基は、例えば、7−デアザプリンによって置換してもよく、これによっても「修飾ヌクレオチド」が得られる。本願では、用語「修飾ヌクレオチド」または「ヌクレオチド類縁体」は、互いに言い換え可能である。「修飾ヌクレオシド」(または「ヌクレオシド類縁体」)は、「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類縁体」)について上述したように何らかの修飾により天然のヌクレオシドとは異なる。
mecC−MRSAのRE接合部の核酸配列をコードする核酸分子(例えば、mecC−MRSAのRE接合部の代替部分をコードする核酸)を増幅するオリゴヌクレオチド(修飾ヌクレオシドおよびオリゴヌクレオチド類縁体を含む)は、例えば、コンピュータプログラム(例えば、OLIGO(Molecular Biology Insights Inc.、コロラド州カスケード)など)を用いて設計してもよい。増幅プライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドを設計する際に重要な特性としては、検出(例えば、電気泳動による)を容易にするための適切な増幅産物のサイズ、1対のプライマーのそれぞれが同程度の融解温度を有すること、および各プライマーの長さ(すなわち、プライマーが配列特異性によりアニールし、合成を開始するのに十分な長さであるが、オリゴヌクレオチド合成中に忠実度が低下する程長くはない)などが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーの長さは8〜50ヌクレオチド、特に10〜40ヌクレオチド、または12〜40ヌクレオチド(例えば、長さが8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50ヌクレオチド)である。
1組のプライマーに加えて、前記方法は、mecC−MRSAの有無を検出するために1つ以上のプローブを用いてもよい。用語「プローブ」は、合成により、あるいは生物学的に産生された核酸(DNAまたはRNA)を指す。プローブは、設計または選択により、規定した所定の厳密さでプローブが特異的に(すなわち、優先的に)「標的核酸」、本願の場合はmecC−MRSA(標的)核酸にハイブリダイズすることを可能にする特定のヌクレオチド配列を含む。「プローブ」は、標的核酸を検出することを意味する「検出プローブ」として言及される場合がある。
態様によっては、上記のmecC−MRSAプローブは、少なくとも1つの蛍光標識で標識されていてもよい。一態様では、前記mecC−MRSAプローブは、供与体蛍光部位(例えば、蛍光色素)および対応する受容体蛍光部位(例えば、クエンチャー)で標識されていてもよい。一態様では、プローブは蛍光部位を含むか、あるいは蛍光部位からなり、核酸配列は配列番号10(標識なしで示されている)を含むか、あるいは配列番号10からなる。
プローブとして用いられるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様に行ってもよい。本開示の態様は、増幅産物の検出に1本のプローブまたは1対のプローブを用いてもよい。態様によっては、前記用いるプローブは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部位を含んでいてもよい。プライマーと同様に、プローブは、通常、同程度の融解温度を有し、各プローブの長さは、配列に特異的なハイブリダイゼーションを起こすのに十分であるが、合成時に忠実度が低下する程長くはない長さでなければならない。オリゴヌクレオチドプローブの長さは、一般に、ヌクレオチドが40個以下、特に、ヌクレオチドが12〜40個、15〜40個、および15〜30個(例えば、16個、18個、20個、21個、22個、23個、24個、または25個)である。
構築物は、mecC−MRSAのRE接合部プライマーおよびプローブ核酸分子(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10)のうち1つをそれぞれ含むベクターを含んでいてもよい。構築物は、例えば、対照鋳型核酸分子として用いてもよい。用いるのに好適なベクターは、市販されている、かつ/または当該分野での通常の組み換え核酸技術法により生成される。mecC−MRSA核酸分子は、例えば、化学合成、mecC−MRSAからの直接クローニング、またはPCR増幅によっても得られる。
本発明の方法に用いるのに好適な構築物は、典型的には、mecC−MRSA核酸分子(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の1つ以上の配列を含む核酸分子)の他、所望の構築物および/または形質転換体を選択するための選択可能なマーカーをコードする配列(例えば、抗生剤耐性遺伝子)、および複製起点を含む。ベクター系の選択は、通常、いくつかの因子に依存する。そのような因子としては、宿主細胞の選択、複製効率、選択可能性、誘導能、および回収の容易さなどが挙げられるが、これらに限定されない。
mecC−MRSA核酸分子を含む構築物は、宿主細胞で増殖させてもよい。本明細書で用いられる用語「宿主細胞」は、原核生物、および真核生物(例えば、酵母菌、植物細胞、および動物細胞)を含むことを意味する。原核宿主としては、例えば、大腸菌、ネズミチフス菌、霊菌、枯草菌などが挙げられる。真核宿主としては、酵母菌(例えば、出芽酵母(S. cerevisiae)、分裂酵母(S. pombe)、メタノール資化酵母(Pichia pastoris))、哺乳類細胞(例えば、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、昆虫細胞、植物細胞(例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、タバコ(Nicotiana tabacum))などが挙げられる。構築物は、当業者に一般に知られている技術の何れかを用いて宿主細胞に導入してもよい。宿主細胞に核酸を導入するための一般的な方法としては、例えば、リン酸カルシウム沈殿、電気穿孔、熱ショック、リポフェクション、ミクロ注入、およびウイルス媒介核酸移送がある。また、裸のDNAを細胞に直接、送り込んでもよい(例えば、米国特許第5,580,859号および5,589,466号を参照のこと)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
米国特許第4,683,202号、4,683,195号、4,800,159号、および4,965,188号には従来のPCR技術が開示されている。PCRは、典型的には、選択された核酸鋳型(例えば、DNAまたはRNA)に結合する2本のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。態様によっては、有益なプライマーは、上記mecC−MRSA核酸配列(例えば、配列番号1、2、4、5、7、8、および9)内に核酸合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを含む。プライマーは、従来の方法により制限消化物から精製してもよく、あるいは合成により生成してもよい。前記プライマーは、増幅の最大効率のためには一本鎖であることが好ましいが、二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーはまず変性して、すなわち、処理して二本鎖を分離する。二本鎖の核酸を変性する方法の1つは加熱である。
鋳型核酸が2本鎖である場合、PCRで鋳型として用いる前にこれら2本の鎖を分離する必要がある。鎖の分離は、物理的手段、化学的手段、または酵素による手段を含む任意の好適な変性方法により達成されてもよい。核酸鎖を分離する方法の1つは、核酸の大半が変性する(例えば、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、または95%超、変性する)まで加熱することを含む。鋳型核酸を変性するのに必要な加熱条件は、例えば、緩衝液の塩濃度、および変性する核酸の長さおよびヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、温度および核酸の長さなど、反応の特徴に応じた時間で約90℃〜約105℃の範囲である。変性は、典型的には約30秒〜4分間(例えば、1分〜2分30秒間、または1.5分間)行われる。
二本鎖鋳型核酸を熱で変性する場合、反応混合物を、各プライマーが上記mecC−MRSA核酸分子の標的配列へアニーリングするのを促進する温度まで冷却する。アニーリング温度は、通常、約35℃〜約65℃(例えば、約40℃〜約60℃、約45℃〜約50℃)である。アニーリング時間は、約10秒〜約1分間(例えば、約20秒〜約50秒間、約30秒〜約40秒間)であってもよい。次いで、反応混合物を、ポリメラーゼの活性が促進される、すなわち最適になる温度、すなわち、アニールされたプライマーから伸長が起きて鋳型核酸に相補的な生成物が生成するのに十分な温度に調整する。この温度は、核酸鋳型にアニールされた各オリゴヌクレオチドプライマーから伸長生成物を産生するのに十分であるが、その相補的な鋳型からの伸長生成物を変性する程高い温度であってはならない(例えば、伸長温度は、一般に約40℃〜約80℃の範囲(例えば、約50℃〜約70℃、約60℃)である)。伸長時間は、約10秒〜約5分間(例えば、約30秒〜約4分間、約1分〜約3分間、約1分30秒〜約2分間)であってもよい。
PCRアッセイは、RNAまたはDNA(cDNA)などのmecC−MRSA核酸を用いてもよい。鋳型核酸は精製する必要がない。鋳型核酸は、複合混合物(例えば、ヒトの細胞に含まれるmecC−MRSA核酸など)の小画分であってもよい。mecC−MRSA核酸分子は、Diagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications(診断分子微生物学:原理と応用))(Persing et al. (eds), 1993, American Society for Microbiology, Washington D.C.)で記載される技術など、通常の技術により生体試料から抽出してもよい。あらゆる供給源、例えば、プラスミド、天然源(バクテリア、酵母菌、ウイルス、細胞小器官を含む)、あるいは高等生物(植物または動物)から核酸を得てもよい。
プライマー伸長を誘導する反応条件で、前記オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、配列番号1、2、4、5、7、8、および9)をPCR試薬と混合する。例えば、鎖伸長反応は、一般に、50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH:8.3)、15mMのMgCl2、0.001%(w/v)のゼラチン、0.5〜1.0μgの変性鋳型DNA、50pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ、および10%のDMSOを含む。上記反応は、通常、dATP、dCTP、dTTP、dGTP、またはこれらの1種以上の類縁体をそれぞれ150〜320μM含む。
新たに産生された鎖は、反応の次の工程で用いることができる二本鎖分子を形成する。標的mecC−MRSA核酸分子に対応する増幅産物を所望の量、生成するのに必要な回数、鎖の分離、アニーリング、および伸長の各工程を繰り返してもよい。反応の制限因子は、反応に存在するプライマー、熱安定性酵素、およびヌクレオシド三リン酸の量である。上記循環工程(すなわち、変性、アニーリング、および伸長)は、少なくとも1回繰り返すことが好ましい。検出に用いる場合、循環工程数は、例えば、試料の性質に依存する。試料が核酸の複合混合物である場合、検出に十分な標的配列を増幅するのにより多くの循環工程数が必要になる。一般に、循環工程は少なくとも約20回繰り返すが、40回、60回、あるいは100回繰り返してもよい。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
FRET技術(例えば、米国特許第4,996,143号、第5,565,322号、第5,849,489号、および第6,162,603号を参照のこと)は、供与体蛍光部位と対応する受容体蛍光部位が互いの特定の距離以内に位置すると、これら2つの蛍光部位間でエネルギー移動が起こり、蛍光部位を視覚化、あるいは検出および/または定量化することができるという概念に基づいている。典型的には、好適な波長を有する光放射により供与体が励起されると、供与体は受容体にエネルギーを移動させる。典型的には、受容体は、異なる波長を有する光放射の形で移動されたエネルギーを再放出する。特定の系では、非蛍光エネルギーは、実質的に非蛍光供与体部位を含む生体分子により供与体部位と受容体部位の間を移動させることができる(例えば、米国特許第7,741,467を参照のこと)。
一例では、オリゴヌクレオチドプローブは、供与体蛍光部位および対応するクエンチャーを含んでいてもよい。このクエンチャーは、蛍光性であってもなくてもよく、光以外の形で移動されたエネルギーを放出する。このプローブが損傷を受けていなければ、エネルギー移動は典型的には、これら2つの蛍光部位の間で供与体蛍光部位からの蛍光放射をクエンチするように起こる。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程時に、増幅産物に結合したプローブは、供与体蛍光部位の蛍光放射がもはやクエンチされないように、例えば、Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により開裂する。この目的のためのプローブの例は、例えば、米国特許第5,210,015号、第5,994,056号、および第6,171,785号に記載されている。一般に用いられる供与体−受容体の対としては、FAM−TAMRAの対が挙げられる。一般に用いられるクエンチャーはDABCYLおよびTAMRAである。一般に用いられるダーククエンチャー(熱放散クエンチャー)としては、BlackHole Quenchers(登録商標)(BHQ), (Biosearch Technologies, Inc.、カリフォルニア州ノバート)、Iowa Black(登録商標)、(Integrated DNA Tech., Inc.、アイオワ州コーラルヴィル)、BlackBerry(登録商標)Quencher 650 (BBQ-650)(Berry & Assoc.、ミシガン州デクスター)などが挙げられる。
他の例では、それぞれ蛍光部位を含む2本のオリゴヌクレオチドプローブは、mecC−MRSA標的核酸配列に対するこれらオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズすることができる。これらのオリゴヌクレオチドプローブが適切な位置で増幅産物核酸にハイブリダイズすると、FRET信号が生成される。ハイブリダイゼーション温度は、約10秒〜約1分間で約35℃〜約65℃の範囲であってもよい。
蛍光分析は、例えば、光子計測落射蛍光顕微鏡システム(特定の範囲で蛍光放射を測定するための適切なダイクロイックミラー(二色鏡)および蛍光放射フィルターを含む)、光子計測光電子増倍管システム、または蛍光光度計を用いて行うことができる。アルゴンイオンレーザ、高輝度水銀(Hg)アークランプ、光ファイバー光源、または所望の範囲の励起を適切にフィルターする他の高輝度光源を用いて励起を行い、エネルギー移動を開始する、あるいは蛍光色素分子を直接検出してもよい。
供与体および対応する受容体蛍光部位に関して本明細書で用いられる用語「対応する」は、供与体蛍光部位の発光スペクトルに重なる吸光度スペクトルを有する受容体蛍光部位を指す。受容体蛍光部位の発光スペクトルの波長極大は、供与体蛍光部位の励起スペクトルの波長極大よりも少なくとも100nm大きくなければならない。これにより、これらの部位の間で効率的な非放射性のエネルギー移動が起こり得る。
蛍光供与体および対応する受容体部位は、一般に(a)フェルスターエネルギー移動効率が高いこと、(b)最終ストークシフトが大きいこと(>100nm)、(c)放射のシフトが可視光スペクトルの赤色部分(>600nm)からできるだけ離れていること、および(d)放射が、供与体の励起波長での励起により生じる水のラマン蛍光発光よりも高い波長にシフトすること、を考慮して選択される。例えば、レーザー線付近(例えば、ヘリウム−カドミウム:442nm、またはアルゴン:488nm)に励起極大を有し、高い減衰係数、高い量子収率、および対応する受容体蛍光部位の励起スペクトルと良好な重なりを示す蛍光放射を有する供与体蛍光部位を選択してもよい。高い減衰係数、高い量子収率、供与体蛍光部位の放射と良好なよく重りを示す励起、および可視光スペクトルの赤色部分の放射(>600nm)を有する対応する受容体蛍光部位を選択してもよい。
FRET技術で様々な受容体蛍光部位と共に用いることができる代表的な供与体蛍光部位としては、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B−フィコエリスリン、9−アクリジンイソチオシアン酸塩、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン、1−ピレンブチル酸スクシミニジル、および4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体などが挙げられる。用いられる供与体蛍光部位に応じた代表的な受容体蛍光部位としては、LC Red 640、LC Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、テトラメチルローダミンイソチオシアナート、ローダミンxイソチオシアナート、エリトロシンイソチオシアナート、フルオレセイン、五酢酸ジエチレトリアミン、またはランタノイドイオン(例えば、ユウロピウム、またはテルビウム)のその他のキレートなどが挙げられる。供与体蛍光部位および受容体蛍光部位は、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティ)、またはSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から入手してもよい。
これら供与体蛍光部位および受容体蛍光部位は、リンカーアームにより適切なプローブオリゴヌクレオチドに結合させることができる。各リンカーアームの長さが重要である。というのは、リンカーアームは、供与体蛍光部位と受容体蛍光部位の距離に影響を及ぼすからである。リンカーアームの長さは、ヌクレオチドの塩基から蛍光部位までの距離がオングストローム(Å)単位の距離である。一般に、リンカーアームは約10Å〜約25Åである。リンカーアームは、WO84/03285に記載されたようなものであってもよい。WO84/03285はまた、リンカーアームを特定のヌクレオチドの塩基に結合させる方法、および蛍光部位をリンカーアームに結合させる方法を開示している。
受容体蛍光部位(例えば、LC Red 640)を、アミノリンカー(例えば、ABI(カリフォルニア州フォスターシティ)またはGlen Research(ヴァージニア州スターリング)から入手可能なC6−アミノホスホロアミダイト)を含むオリゴヌクレオチドと組み合わせて、例えば、LC Red 640で標識されたオリゴヌクレオチドを作製してもよい。供与体蛍光部位(例えば、フルオレセイン)をオリゴヌクレオチドに結合させるのに頻繁に用いられるリンカーとしては、チオ尿素リンカー(FITC由来のもの、例えば、Glen ResearchまたはChemGene(マサチューセッツ州アッシュランド)から入手可能なフルオレセイン−CPG)、アミドリンカー(フルオレセイン−NHS−エステル由来のもの、例えば、BioGenex(カリフォルニア州サンラモン)から入手可能なCX−フルオレセイン−CPG)、あるいはオリゴヌクレオチド合成後にフルオレセイン−NHS−エステルとのカップリングが必要な3’−アミノ−CPGなどが挙げられる。
mecC−MRSAの検出
本開示は、生体試料または非生体試料中のmecC−MRSAの有無を検出するための方法を提供する。提供されるこれらの方法は、試料の汚染、偽陰性率、および偽陽性率の問題を回避する。上記方法は、複数対のmecC−MRSAプライマーを用いて試料に由来するmecC−MRSA標的核酸分子の一部を増幅することを含む少なくとも1つの循環工程、およびFRET検出工程を行うことを含む。複数の循環工程を好ましくはサーモサイクラーで行う。mecC−MRSAプライマーおよびプローブを用いて上記方法を行って、mecC−MRSAの存在を検出してもよい。ここで、mecC−MRSAの検出は、試料中にmecC−MRSAが存在することを意味する。
本明細書で記載するように、FRET技術を利用した標識されたハイブリダイゼーションプローブを用いて増幅産物を検出してもよい。1つのFRETフォーマットでは、TaqMan(登録商標)技術を用いて増幅産物の有無、したがってmecC−MRSAの有無を検出する。TaqMan(登録商標)技術では、例えば、1種の蛍光色素および1種のクエンチャー(蛍光であってもなくてもよい)で標識された一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを1本用いる。好適な波長の光で第一の蛍光部位を励起すると、吸収されたエネルギーはFRETの原理に従って第二の蛍光部位に移動する。第二の蛍光部位は一般にはクエンチャー分子である。PCR反応のアニーリング工程中に、標識されたハイブリダイゼーションプローブは標的DNA(すなわち、増幅産物)に結合して、続く伸長相の間に、例えば、Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により分解される。その結果、蛍光部位およびクエンチャー部位は、互いに空間的に離れる。その結果、クエンチャーの非存在下で第一の蛍光部位が励起し、第一の蛍光部位からの蛍光放射を検出することができる。一例として、ABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(アプライドバイオシステムズ社)は、TaqMan(登録商標)技術を用いており、本明細書で記載する試料中のmecC−MRSAの有無を検出するための方法を行うのに好適である。
分子標識をFRETと併用して、リアルタイムPCR法を用いた増幅産物の存在を検出してもよい。分子標識技術では、第一の蛍光部位および第二の蛍光部位で標識されたハイブリダイゼーションプローブが用いられる。第二の蛍光部位は一般にクエンチャーであり、これらの蛍光標識は、典型的にはプローブの各末端に置かれる。分子標識技術では、二次構造(例えば、ヘアピンなど)を形成することができる配列を有するプローブオリゴヌクレオチドが用いられる。プローブ内に二次構造が形成された結果、両方の蛍光部位は、このプローブは溶液中で空間的に近接している。標的核酸(すなわち、増幅産物)へのハイブリダイゼーション後、このプローブの二次構造が壊されて、好適な波長の光で励起すると第一の蛍光部位の発光を検出できるように、これらの蛍光部位が互いに離れる。
FRET技術の他の一般的なフォーマットでは、2本のハイブリダイゼーションプローブが用いられる。各プローブは異なる蛍光部位で標識してもよく、一般に、標的DNA分子(例えば、増幅産物)において互いに非常に近接してハイブリダイズするように設計される。供与体蛍光部位、例えば、フルオレセインをLightCycler(登録商標)装置の光源により470nmで励起させる。FRETの間、このフルオレセインは、そのエネルギーを受容体蛍光部位(例えば、LightCycler(登録商標)-Red 640 (LC Red 640)、またはLightCycler(登録商標)-Red 705 (LC Red 705))に移動させる。すると、この受容体蛍光部位は、より長い波長の光を放出して、この光がLightCycler(登録商標)装置の光学検出システムにより検出される。効果的なFRETは、2つの蛍光部位が局所的に直接近接しており、供与体蛍光部位の放射スペクトルが受容体蛍光部位の吸収スペクトルと重なる場合にのみ起こり得る。放射信号の強度は、元の標的DNA分子の数(例えば、mecC−MRSAゲノムの数)と相関させてもよい。mecC−MRSA標的核酸の増幅が起きて、増幅産物が生成されると、ハイブリダイズ工程は、該当するプローブ対の要素間でのFRETに基づいて検出可能な信号を生成する。
一般に、FRETの存在は、試料中にmecC−MRSAが存在することを意味し、FRETの非存在は、試料中にmecC−MRSAが存在しないことを意味する。しかしながら、試料の不適切な採取、輸送の遅延、不適切な輸送条件、あるいは特定の回収用具(アルギン酸カルシウムまたはアルミニウムのシャフト)の使用はすべて、検査結果の成否および/または正確さに影響を及ぼす可能性がある条件である。本明細書で開示される方法を用いて、例えば、45回以内の循環工程でFRETが検出されると、mecC−MRSA感染を意味する。
本開示の方法を実施するのに用いることができる代表的な生体試料としては、例えば、皮膚の拭き取り検体、鼻の拭き取り検体、傷の拭き取り検体、血液培養物、皮膚、および軟組織感染部が挙げられるが、これらに限定されない。生体試料の採取および保存方法は、当業者に周知である。生体試料は、(例えば、当該分野で周知の核酸抽出方法および/またはキットにより)処理してmecC−MRSA核酸を放出させてもよく、場合によっては、生体試料を直接PCR反応成分および適切なオリゴヌクレオチドと接触させてもよい。
融解曲線分析は、循環分析に含めることができる追加の工程である。融解曲線分析は、DNAが融解温度(Tm)という特徴的温度で融解するという事実に基づく。融解温度は、DNAの二本鎖の半分が1本の鎖に分離する温度として定義される。DNAの融解温度は、主にそのヌクレオチド組成に依存する。したがって、GヌクレオチドおよびCヌクレオチドが多いDNA分子は、AヌクレオチドおよびTヌクレオチドが多いDNA分子よりもTmが高い。信号が消失する温度を検出することで、プローブの融解温度を決定することができる。同様に、信号が生じる温度を検出することで、プローブのアニーリング温度を決定することができる。mecC−MRSA増幅産物からのmecC−MRSAプローブの融解温度で、試料中にmecC−MRSAが存在するか否かを確認できる。
サーモサイクラーの各実行回で対照試料も循環させてもよい。陽性対照試料では、例えば、対照プライマーおよび対照プローブを用いて、標的核酸の対照鋳型(上記の標的遺伝子の増幅産物以外)を増幅してもよい。また、陽性対照試料では、例えば、標的核酸分子を含むプラスミド構築物を増幅してもよい。このようなプラスミド対照は、内部で(例えば、試料内で)増幅してもよく、あるいは、意図した標的の検出に用いたのと同じプライマーおよびプローブを用いて患者の試料と並行して実行した別の試料中で増幅してもよい。このような対照は、増幅、ハイブリダイゼーション、および/またはFRET反応の成否を示すものである。また、サーモサイクラーの各実行回は、例えば、標的鋳型DNAを欠く陰性対照を含んでいてもよい。陰性対照は、汚染を評価することができる。これにより、システムおよび試薬が偽陽性信号を生じていないことを保証する。したがって、対照反応は、例えば、配列特異的にアニールし、伸長を開始するプライマーの能力、配列特異的にハイブリッドしFRETが起こるプローブの能力を容易に決定することができる。
一態様では、本発明の方法は、汚染を回避するための工程を含む。例えば、サーモサイクラーのある実行回と次の実行回の間の汚染を低減あるいは除去するために、ウラシル−DNAグリコシラーゼを用いた酵素法が米国特許第5,035,996号、第5,683,896号、および第5,945,313号に記載されている。
FRET技術と併せて従来のPCR法を本発明の方法を実施するために用いることができる。一態様では、LightCycler(登録商標)装置が用いられる。以下の特許出願には、LightCycler(登録商標)技術に用いられるリアルタイムPCRが記載されている:WO97/46707、WO97/46714、およびWO97/46712。
LightCycler(登録商標)は、PCワークステーションを用いて操作するができ、Windows NTオペレーションシステムを利用することができる。機械が順次、細管(capillaries)を光学ユニット上に置いて、試料からの信号を得る。ソフトウェアは、各測定の直後にリアルタイムで蛍光信号を表示することができる。蛍光の取得時間は10〜100ミリ秒(msec)である。各循環工程後に、すべての試料についてサイクル番号に対する蛍光の定量的な表示を継続して更新することができる。もたらされたデータは、さらなる分析のために保存することができる。
FRETに代わる方法として、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBR(登録商標) GreenまたはSYBR(登録商標) Gold (Molecular Probes))などの二本鎖DNA結合色素を用いて増幅産物を検出してもよい。二本鎖核酸と相互作用すると、このような蛍光DNA結合色素は、好適な波長の光で励起後に蛍光信号を発する。核酸挿入色素などの二本鎖DNA結合色素を用いてもよい。二本鎖DNA結合色素を用いる場合、通常、増幅産物の存在を確認するために融解曲線分析を行う。
自明であるが、本開示の態様は、1つ以上の市販の装置の構成によって限定されない。
製品/キット
本開示の態様はさらに、mecC−MRSAを検出するための製品またはキットを提供する。製品は、好適な梱包材料と共に、mecC−MRSAを検出するのに用いられるプライマーおよびプローブを含む。mecC−MRSAを検出するための代表的なプライマーおよびプローブは、mecC−MRSA標的核酸分子をハイブリダイズすることができる。また、前記キットは、DNAの固定化、ハイブリダイゼーション、および検出に必要な好適に包装された試薬および材料(例えば、固体支持体、緩衝液、酵素、およびDNA標準物質)を含んでいてもよい。プライマーおよびプローブを設計するための方法が本明細書で開示され、増幅し、mecC−MRSA標的核酸分子にハイブリダイズするプライマーおよびプローブの代表的な例が提供される。
また、製品は、プローブを標識するための1つ以上の蛍光部位を含んでいてもよく、あるいはキットと共に供給されるプローブを標識してもよい。例えば、製品は、mecC−MRSAプローブを標識するための供与体蛍光部位および/または受容体蛍光部位を含んでいてもよい。好適なFRET供与体蛍光部位および対応する受容体蛍光部位の例は上記で示されている。
また、製品は、前記mecC−MRSAプライマーおよびプローブを用いて試料中のmecC−MRSAを検出するための使用説明書を有する添付文書または包装ラベルを含んでいてもよい。また、製品は、本明細書で開示される方法を実行するための試薬(例えば、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、共因子、または汚染を防止するための試薬)を含んでいてもよい。そのような試薬は、本明細書に記載される市販の装置のいずれかに特有であってもよい。
開示された主題の態様は以下の実施例でさらに記述されるが、これらの実施例は請求項に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例及び図面は、発明主題添付の特許請求の範囲に記載の真の範囲を理解する助けを提供する。本発明の精神から逸脱することなく、変更を手順に加えることができる点は理解すべきである。
実施例1:
MecC-MRSA 遺伝子標的
図1〜3を参照して、参照配列LGA251受託番号FR823292を用いて、オリゴセット#1−8を評価した。
明確化及び理解のために、前述の発明がいくらか詳細に記載された一方で、本開示を読んだ当業者にとって、様々な変更を形式及び詳細の点で加えることができるということは明らかであろう。例えば、上述の技術及び装置の全ては、様々な組み合わせで使用することができる。

Claims (15)

  1. 試料中のmecC含有黄色ブドウ球菌(mecC−MRSA)を検出する方法であって、
    前記試料を、orfX遺伝子の一部にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーおよびmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーと接触させて、前記試料中にmecC−MRSAが存在する場合に増幅産物を生成することを含む増幅工程を行うこと、
    前記増幅産物を1つ以上の検出可能なmecC−MRSAオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を行うこと、および
    前記増幅産物の存在が前記試料中にmecC−MRSAが存在することを意味し、前記増幅産物の非存在が前記試料中にmecC−MRSAが存在しないことを意味する場合に前記増幅産物の有無を検出すること、を含み、
    ここで、前記mecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1、2、36、および8からなる群より選択される配列を含み、そしてorfX遺伝子の一部にハイブリダイズする前記オリゴヌクレオチドプライマーが、配列番号9の配列を含む、前記方法。
  2. 前記ハイブリダイズ工程は、前記増幅産物を、供与体蛍光部位および対応する受容体蛍光部位で標識されたプローブと接触させることを含み、
    前記検出工程は、前記プローブの供与体蛍光部位と受容体蛍光部位の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の有無を検出することを含み、ここで、前記蛍光の有無は、前記試料中のmecC−MRSAの有無を意味する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記検出可能なmecC−MRSAプローブは、配列番号10またはその相補体の配列を含む請求項1または2の何れか一項に記載の方法。
  4. 前記増幅は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を用いる、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記供与体蛍光部位および前記対応する受容体蛍光部位は、前記プローブで互いに8ヌクレオチド以内にある、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記受容体蛍光部位はクエンチャーである、請求項2〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. orfX遺伝子の一部にハイブリダイズする前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記mecC−MRSAオリゴヌクレオチドプライマーは、ヌクレオチドが40個以下である、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 配列番号1、2、3、6、および8からなる群より選択される配列を含む第一のオリゴヌクレオチドプライマー、
    orfX遺伝子の一部にハイブリダイズするように構成され、そして配列番号9の配列を含む、第二のオリゴヌクレオチドプライマー、および
    前記第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーによって生成されるアンプリコンにハイブリダイズするように構成され、そして配列番号10又はその相補体の配列を含む第三の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC−MRSA)の核酸を検出するためのキット。
  9. 前記検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、供与体蛍光部位および対応する受容体蛍光部位を含む、請求項8に記載のキット。
  10. 前記受容体蛍光部位はクエンチャーである、請求項9に記載のキット。
  11. ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、および前記核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液をさらに含む、請求項8〜10の何れか一項に記載のキット。
  12. 前記第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/または前記オリゴヌクレオチドプローブは、ヌクレオチドが40個以下である、請求項8〜11の何れか一項に記載のキット。
  13. 配列番号1、2、3、6、および8からなる群より選択される核酸配列を含む、第一オリゴヌクレオチドプライマーと、orfX遺伝子の一部にハイブリダイズするように構成され、そして配列番号9の配列を含む、第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含む、前記mecMRSA遺伝子の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの対
  14. 前記第一及び/又は第二オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項13に記載のオリゴヌクレオチドプライマーの対
  15. 前記オリゴヌクレオチドは、40個以下のヌクレオチドを有する、請求項13または14に記載のオリゴヌクレオチドプライマーの対
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