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JP2018127670A - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空脱ガス処理の復圧時、非定常時に生じる溶鋼のスラグ巻き込みを抑制して、鋼中の粗大なCaO含有介在物の量と大きさを低減する方法の提供。
【解決手段】溶鋼に真空槽と浸漬管を備える脱ガス装置で真空脱ガス処理を施して、溶鋼を精錬する精錬方法において、真空脱ガス処理の終了後、復圧開始前に、浸漬管から溶鋼中に供給する溶鋼1t当たりの環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、式(1)を満たす様に制御して復圧する方法。A[m2]:浸漬管内にガスを供給する管の断面積、ρFe[kg/m3]:溶鋼密度、ρg[kg/m3]:環流ガス密度、g[m/秒2]:重力加速度、h[m]:溶鋼ヘッド、P0[Pa]:真空槽内圧力、N[本]:浸漬管内にガスを供給するガス管の本数、M[t]:取鍋内の溶鋼重量、V0[Nm3/t/分]:脱ガス処理中の溶鋼環流ガス流量
Figure 2018127670

【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼の精錬方法、特に、真空精錬を終了する時の精錬方法に関するものである。
近年、機械装置の高性能化や周辺部品の小型化を図るため、機械特性に優れる鋼が求められている。鋼は、一般に、転炉で、溶鋼の脱珪処理、脱燐処理、さらに、脱炭処理を行った後、二次精錬工程にて、溶鋼の成分組成を調整し、溶鋼中の介在物を低減し、次いで、連続鋳造して製造されるが、機械特性を高めるためには、溶鋼中の介在物をできるだけ低減する必要がある。
例えば、軸受鋼においては、鋼中の介在物の量や大きさが、転動疲労寿命を決定するので、二次精錬工程にて、溶鋼に、取鍋スラグ精錬処理(以下「LF処理」ということがある。)や、真空脱ガス処理(以下「RH処理」ということがある)を施し、溶鋼中の介在物の低減を図っている。
RH処理は、取鍋中の溶鋼に、二本の浸漬管を浸漬し、浸漬管に繋がる真空槽を減圧して、大気圧との差圧で溶鋼を真空槽内に吸い上げ、溶鋼環流ガスを、浸漬管から溶鋼内に供給し、溶鋼を真空槽内と取鍋の間で環流させて、脱ガスや、介在物の低減を図る処理である。
RH処理では、溶鋼を強撹拌することになるので、介在物の除去が促進されるが、一方で、溶鋼中へのスラグの巻込みが発生するので、溶鋼の環流制御が重要で、これまで、環流制御に関する技術が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、塩基度3以上のスラグで還元精錬を実施した後、環流式脱ガス装置によって、処理時間の2/3を高環流、1/3を弱環流にして真空脱ガス精錬を行うことを特徴とする軸受鋼の製造方法が提案されている。
特許文献2には、アーク溶解炉又は転炉で製造した溶鋼を取鍋に移注して精錬する際、取鍋における精錬を60分以下とし、環流式脱ガス装置による溶鋼の環流量を全溶鋼の8倍以上として脱ガスを25分以上行うことを特徴とする高清浄鋼の製造方法が提案されている。
特許文献3には、転炉又は電気炉から出鋼した溶鋼を取鍋精錬装置で精錬した後、環流式真空脱ガス装置で精錬して高清浄度鋼を製造する際、環流式真空脱ガス装置で行う精錬処理でのスラグ塩基度を6.5以上13.5以下とし、環流式真空脱ガス装置の全処理時間の1/3〜1/2の前半処理では、溶鋼環流量180ton/min以上、210ton/min以下の高環流状態とし、後半処理では、溶鋼環流量110ton/min以上、140ton/min以下の弱環流状態とすることを特徴とする高清浄度鋼の製造方法が提案されている。
特許文献4には、溶鋼の真空精錬処理終了時に真空槽内に窒素ガスを導入して、真空から常圧に復圧する真空精錬装置の復圧方法において、溶鋼浴表面にはアルゴンガス等の不活性ガスを導入して、溶鋼の吸窒を防止することが提案されている。
特許文献5には、真空槽内にスラグを持ち込まない状態で、真空槽内の真空度に応じて攪拌用ガスを供給することを特徴とする高清浄度極低炭素鋼の製造方法が提案されている。
特開昭62−063650号公報 特開2001−342516号公報 特開2008−133505号公報 特開平05−331526号公報 特開平08−199225号公報
前述したように、鋼の機械特性に、鋼中に存在する介在物、主に、酸化物系介在物の量と大きさが大きく影響する。鋼中の酸化物系介在物のうち、特に、大きさが数10μm程度の粗大な介在物は、CaO含有の低融点介在物(以下「CaO含有介在物」ということがある。)である。
粗大なCaO含有介在物は、精錬で使用する取鍋スラグが、溶鋼に巻き込まれて発生するスラグ系介在物、スラグ中のCaOが還元されて溶鋼に混入し、溶鋼中のAl23やMgO−Al23と反応して生成する介在物、さらに、これらの介在物が溶鋼中の介在物を取り込んで粗大化した介在物である。
粗大なCaO含有介在物は、品質管理指標の極値統計値や、製品特性の疲労寿命を悪化させるので、その量と大きさを低減する必要があるが、そのためには、介在物の凝集合体の起点となる低融点介在物の量と大きさを低減するとともに、低融点介在物に取り込まれる溶鋼中の介在物の量と大きさを低減することが有効である。
これら介在物の量と大きさを低減するためには、製造の各工程(取鍋精錬−RH処理−連続鋳造)において、溶鋼中への介在物の混入を抑制する、又は、溶鋼中の介在物を除去する等の介在物低減対策が必要である。
溶鋼中への取鍋スラグの巻込みは、溶鋼流速が大きい場合や、スラグ/メタル界面の擾乱が激しい場合に、その頻度が大きくなり、混入するスラグ系介在物の量と大きさが、ともに増大する。
RH処理の終了後は、真空槽内の溶鋼を取鍋に戻すため、真空槽内の減圧状態を大気圧へ戻す「復圧」を実施するが、復圧時には、真空槽内に吸い上げられていた溶鋼、及び、浸漬管内に貯留していた溶鋼が、急激に降下して取鍋内に戻るので、急激に降下する溶鋼が誘起する溶鋼の下降流速は非常に大きく、スラグ/メタル界面が激しく搖動し、スラグが溶鋼に巻き込まれる。
また、復圧時の溶鋼環流ガス流量が、RH処理中の溶鋼環流ガス流量と同じ強環流条件であれば、溶鋼は、復圧中も、スラグ巻込みの臨界溶鋼流速を超える流速で環流することになるので、真空槽内のスラグは、常に、溶鋼中に巻き込まれ易い状態におかれることとなる。
特許文献1の方法では、環流式脱ガス処理の前半2/3を高環流とし、後半1/3を弱環流としているが、特許文献1に、復圧時の環流条件は記載されていない。また、環流式脱ガス処理の後半を弱環流にすると、溶鋼中の全酸素量T.Oを十分に低減できない可能性がある。
特許文献2の方法では、取鍋における精錬を60分以下とし、環流式脱ガス装置による溶鋼の環流量を、全溶鋼の8倍以上として脱ガスを25分以上行うが、特許文献2に、復圧時の環流条件は記載されておらず、また、溶鋼中へのスラグ巻込みに影響する環流速度条件も不明瞭である。
特許文献3の方法では、環流式真空脱ガス装置の全処理時間の1/3〜1/2の前半を高環流状態とし、後半を弱環流状態としているが、特許文献1の方法と同様に、復圧時の環流条件は記載されておらず、また、後半を弱撹拌とするので、溶鋼中の全酸素量T.Oを十分に下げることができない恐れがある。
特許文献4の方法では、復圧時のガス種等が規定されているが、特許文献4に、真空槽内及び取鍋内において、溶鋼のスラグ巻込みを抑制する復圧条件は記載されていない。特許文献5の方法では、真空槽内の圧力に応じた適切な撹拌ガス流速が規定されているが、特許文献5に、真空槽内及び取鍋内において、溶鋼中へのスラグ巻込みを抑制する復圧条件は記載されていない。
本発明は、従来技術の現状に鑑み、溶鋼の真空脱ガス処理の復圧時において、非定常時に生じる溶鋼中へのスラグ巻込みを抑制して、鋼中の粗大なCaO含有介在物の量と大きさを低減することを課題とし、該課題を解決する溶鋼の精錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の現状を踏まえ、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、真空脱ガス処理の復圧時、溶鋼環流ガス流量(即ち、溶鋼環流量)を低減し、真空槽内の溶鋼流速を低減して弱環流状態を維持すれば、真空槽内のスラグ/溶鋼界面の搖動も低減することができ、真空槽内において、スラグが溶鋼に巻き込まれ難い環境を形成することができることを見いだした。
さらに、上記環境のもとで、溶鋼中へのスラグ巻込みを抑制することができ、スラグに起因して生成する粗大なCaO含有介在物の量と大きさを低減することができ、鋼の機械特性を高めることができることを見いだした。
本発明は上記の知見に基づいてなされたもので、その要旨は次の通りである。
(1)C、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼に真空槽と浸漬管を備える脱ガス装置で真空脱ガス処理を施して、溶鋼を精錬する精錬方法において、
真空脱ガス処理の終了後、真空槽内の減圧状態を大気圧へ復圧する際、復圧開始前に、浸漬管から溶鋼中に供給する溶鋼1t当たりの環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、下記式(1)を満たすように制御して復圧する
ことを特徴とする溶鋼の精錬方法。
Figure 2018127670
A[m2]:浸漬管内にガスを供給する管の断面積
ρFe[kg/m3]:溶鋼密度
ρg[kg/m3]:環流ガス密度
g[m/秒2]:重力加速度
h[m]:溶鋼ヘッド
0[Pa]:真空槽内圧力
N[本]:浸漬管内にガスを供給するガス管の本数
M[t]:取鍋内の溶鋼重量
0[Nm3/t/分]:脱ガス処理中の溶鋼環流ガス流量
(2)前記真空脱ガス処理をRH式精錬装置で行うことを特徴とする前記(1)に記載の溶鋼の精錬方法。
(3)前記RH式精錬装置で復圧を行なう際、復圧用ガスを、溶鋼環流ガスを吹き込む部位、及び、真空槽内に直接供給する部位の一方又は両方から供給することを特徴とする前記(2)に記載の溶鋼の精錬方法。
(4)前記復圧用ガスが不活性ガスであることを特徴とする前記(3)に記載の溶鋼の精錬方法。
(5)前記溶鋼が、質量%で、C:1.20%以下、Si:3.00%以下、Mn:1.60%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶鋼の精錬方法。
(6)前記溶鋼が、さらに、質量%で、Al:0.20%以下、Cr:3.50%以下、Mo:0.85%以下、Ni:4.50%以下、Nb:0.20%以下、V:0.45%以下、W:0.30%以下、B:0.006%以下、N:0.060%以下、Ti:0.025%以下、Cu:0.50%以下、Pb:0.45%以下、Bi:0.20%以下、Te:0.010%以下、Sb:0.20%以下、Mg:0.010%以下、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下、O:0.003%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(5)に記載の溶鋼の精錬方法。
本発明によれば、真空脱ガス処理の復圧時、溶鋼環流の流速を最適化して、CaO含有介在物の溶鋼への混入を抑制できるので、鋼中の介在物の量及び大きさを低減することができ、機械特性に優れた鋼を提供することができる。
溶鋼環流ガス流量を低減しない従来流量の場合のCaO含有介在物の最大粒径及び平均粒径(比較例)と、溶鋼環流ガス流量を低減した場合のCaO含有介在物の最大粒径及び平均粒径(発明例)の、それぞれの比の一例を示す図である。 復圧時、溶鋼環流ガス流量を低減しない従来流量の場合のCaO含有介在物の極値統計最大予測粒径(比較例)と、溶鋼環流ガス流量を低減した場合のCaO含有介在物の極値統計最大予測粒径(発明例)の対比の一例を示す図である。
本発明の溶鋼の精錬方法(以下「本発明精錬方法」ということがある。)は、
C、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼に真空槽と浸漬管を備える脱ガス装置で真空脱ガス処理を施して、溶鋼を精錬する精錬方法において、
真空脱ガス処理の終了後、真空槽内の減圧状態を大気圧へ復圧する際、復圧開始前に、浸漬管から溶鋼中に供給する溶鋼1t当たりの環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、下記式(1)を満たすように制御して復圧する
ことを特徴とする。
Figure 2018127670
A[m2]:浸漬管内にガスを供給する管の断面積
ρFe[kg/m3]:溶鋼密度
ρg[kg/m3]:環流ガス密度
g[m/秒2]:重力加速度
h[m]:溶鋼ヘッド
0[Pa]:真空槽内圧力
N[本]:浸漬管内にガスを供給するガス管の本数
M[t]:取鍋内の溶鋼重量
0[Nm3/t/分]:脱ガス処理中の溶鋼環流ガス流量
前述したように、鋼中の介在物のうち、特に、粗大なCaO含有介在物の個数及び粒径の増大は、機械特性、特に、延性、靱性、衝撃特性、疲労特性等を阻害する要因である。本発明者らは、粗大なCaO含有介在物の個数及び粒径の増大を抑制する、又は、該個数及び粒径を低減する手法について鋭意検討した。
その結果、溶鋼の真空脱ガス処理における復圧時、復圧開始前に、浸漬管から溶鋼中に供給する溶鋼1t当たりの環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、上記式(1)を満たすように制御して復圧すれば、有害なCaO含有介在物の生成を抑制して、鋼中の介在物の少量化及び小径化を実現でき、機械特性の向上を図ることができることを見いだした。
以下、本発明精錬方法について説明する。
真空脱ガス処理に供する、C、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼は、通常の精錬工程(一次精錬)で精錬した、通常の成分組成の溶鋼でよい。なお、溶鋼の好ましい成分組成については後述する。
一次精錬に続いて行う真空脱ガス処理(二次精錬)は、復圧時、復圧を上記式(1)に従って行うことができる精錬装置を用いて行えばよい。溶鋼環流ガス量を上記式(1)に従って容易に制御できる点で、RH式精錬装置が好ましい。
RH式精錬装置を用いる場合、復圧用ガスを、溶鋼環流ガスを吹き込む部位、及び、真空槽内に直接供給する部位の一方又は両方から供給して、環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、上記式(1)を満たすように制御することができる。復圧用ガスは不活性ガスが好ましい。復圧を上記式(1)に従って行った後、溶鋼を鋳造する。鋳造は、通常の鋳造でよいが、連続鋳造が好ましい。
次に、復圧時の溶鋼環流ガス流量Vを、上記式(1)式を満たすように制御して復圧を行なう理由について説明する。
上記式(1)の左辺:(2A2(ρFegh+P0)/ρg1/2・(N/M)
上記式(1)の左辺は、RH処理を継続して行なうために設定した条件である。即ち、「溶鋼静圧(ρFe・g・h)+真空槽内圧力(P0)」が、浸漬管に吹き込むガスの動圧「(1/2)・ρg・V2」より大きいと、ガスを吹き込む管の中に溶鋼が侵入して、管が閉塞し、次のRH処理を適正な条件で行うことができなく恐れがあるので、RH処理を適正な条件で継続するために、上記式(1)の左辺を設定した。
上記式(1)の右辺:(2/3)・V0
溶鋼のRH処理において、溶鋼が、スラグ/溶鋼界面でスラグを巻き込む限界溶鋼流速は、例えば、浅井の式(浅井:第100・101回西山記念技術講座資料(1984)、p.67、p90)等による計算によれば、0.7m/秒程度である。
本発明者らは、溶鋼流速が限界溶鋼流速を下回れば、スラグ/溶鋼界面でのスラグ巻き込みは発生しない(溶鋼中に粗大な介在物を増加させない)と発想し、この発想を前提にし、溶鋼環流ガス流量V[Nm3/t/分]の上限を設定した。
溶鋼環流量は溶鋼流速に比例し、溶鋼環流ガス流量は溶鋼環流量の3乗に比例するので、例えば、溶鋼流速0.8m/秒を限界溶鋼流速0.7m/秒未満にするには、溶鋼環流量を(0.7/0.8)倍にし、溶鋼環流ガス流量を{(0.7/0.8)3=0.669≒2/3}倍にする必要がある。
本発明者らは、上記計算結果に則り、定常処理時の溶鋼環流ガス流量V0[Nm3/t/分]の2/3倍未満を、溶鋼環流ガス流量V[Nm3/t/分]の上限とした。
通常、溶鋼環流ガス流量が異なれば溶鋼流速も異なるところ、溶鋼が、スラグ/溶鋼界面でスラグを巻き込まない限界条件を、略一定となる限界溶鋼流速でなく、上記のように、精錬条件に応じ適宜調整し得る溶鋼環流ガス流量V0[Nm3/t/分]を用いて規定すれば、スラグ/溶鋼界面でスラグを巻き込まない真空脱ガス処理を、幅広い溶鋼環流ガス流量の範囲で行なうことができる。
そして、本発明者らは、溶鋼環流ガス流量が、上記式(1)の右辺の値(上限)以上であると、真空槽及び取鍋における溶鋼中へのスラグの巻き込みが減少せず、鋼中に、粗大なCaO含有介在物が残留することを確認し、また、環流ガス流量が上記式(1)の左辺の値(下限)未満であると、溶鋼が、浸漬管にガスを供給する管に侵入し、適正な操業を継続することが困難になることを確認した。
また、本発明者らは、C、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼をRH処理し、復圧時、復圧開始前に、溶鋼環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、上記式(1)を満たすように制御すれば、鋼中のCaO含有介在物の粒径が減少し、また、極値統計最大粒径dmaxも減少することを確認した。
図1に、溶鋼環流ガス流量を低減しない従来流量の場合のCaO含有介在物の最大粒径及び平均粒径(比較例)と、溶鋼環流ガス流量を低減した場合のCaO含有介在物の最大粒径及び平均粒径(発明例)の、それぞれの比の一例を示す。
図2に、復圧時、溶鋼環流ガス流量を低減しない従来流量の場合のCaO含有介在物の極値統計最大予測粒径(比較例)と、溶鋼環流ガス流量を低減した場合のCaO含有介在物の極値統計最大予測粒径(発明例)の対比の一例を示す。
図1に示すように、復圧時、上記式(1)に従って、溶鋼環流ガス流量を低減すると、鋼中のCaO含有介在物の最大粒径及び平均粒径は大きく減少する。また、図2に示すように、極値統計最大予測粒径も大きく減少する。
即ち、真空脱ガス処理の復圧時、溶鋼環流ガス流量(即ち、溶鋼環流量)を低減し、溶鋼表面流速を低減すれば、溶鋼中へのスラグ巻込みを大きく抑制することができ、スラグに起因して生成する粗大なCaO含有介在物の量と大きさを低減することができる。このことが、本発明者らが見いだした知見であり、本発明精錬方法の基礎をなす知見である。
上記式(1)を満たす環流ガス流量で真空脱ガス処理を施す溶鋼は、通常の成分組成の溶鋼、即ち、鋼の基本元素のC、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼であれば、環流ガス流量を上記式(1)に従って制御することによる介在物低減効果が発現するので、特定の成分組成の溶鋼に限定されないが、上記介在物低減効果が顕著に発現する溶鋼の成分組成について説明する。以下、%は質量%を意味する。
C:1.20%以下
Cは、焼入れ後の鋼の強度や硬さを確保するのに有効な元素である。1.20%を超えると、焼入れ時に割れが発生し、また、硬くなりすぎて、切削工具の寿命が低下したりするので、Cは1.20%以下が好ましい。より好ましくは1.00%以下である。
強度又は硬さをそれほど必要としない鋼種では、Cを必ずしも必要としないので、下限は特に限定しないが、Cは、鋼の基本元素であり、0%にすることは困難であるので、下限は0%を含まない。所要の強度や硬さを確保する点で、Cは0.001%以上が好ましい。
Si:3.00%以下
Siは、焼入れ性を高めて、強度や硬さの確保に有効な元素である。3.00%を超えると、硬くなりすぎて、切削工具の寿命が低下するので、Siは3.00%以下が好ましい。より好ましくは2.50%以下である。
強度又は硬さをそれほど必要としない鋼種では、Siを必要としないので、下限は特に定めないが、Siは、鋼の基本元素であり、0%にすることは困難であるので、下限は0%を含まない。所要の強度や硬さを確保する点で、Siは0.001%以上が好ましい。
Mn:1.60%以下
Mnは、焼入れ性を高めて、強度や硬さの確保に有効な元素である。1.60%を超えると、焼入れ時に割れが発生し、また、硬くなりすぎて、切削工具の寿命が低下するので、Mnは1.60%以下が好ましい。より好ましくは1.20%以下である。
強度又は硬さをそれほど必要としない鋼種は、Mnを必要としないので、下限は特に定めないが、Mnは、鋼の基本元素であるので、下限は0%を含まない。所要の強度や硬さを確保する点で、Mnは0.01%以上が好ましい。
P:0.05%以下
Pは、不純物元素であり、靱性を阻害する元素である。Pが0.05%を超えると、靭性が著しく低下するので、Pは0.05%以下が好ましい。より好ましくは0.03%以下である。下限は0%を含むが、Pを0.0001%以下に低減すると、精錬コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.0001%が実質的な下限である。
S:0.05%以下
Sは、Pと同様に、不純物元素であり、靱性を阻害する元素である。Sが0.05%を超えると、靭性が著しく低下するので、Sは0.05%以下が好ましい。より好ましくは0.03%以下である。下限は0%を含むが、Sを0.0001%以下に低減すると、精錬コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.0001%が実質的な下限である。
好ましい成分組成の溶鋼は、鋼の機械特性及び/又は化学特性を阻害しない範囲で、上記基本元素以外に、Al:0.20%以下、Cr:3.50%以下、Mo:0.85%以下、Ni:4.50%以下、Nb:0.20%以下、V:0.45%以下、W:0.30%以下、B:0.006%以下、N:0.060%以下、Ti:0.25%以下、Cu:0.50%以下、Pb:0.45%以下、Bi:0.20%以下、Te:0.01%以下、Sb:0.20%以下、Mg:0.010%以下、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下、O:0.003%以下の1種又は2種以上を含有してもよい。
Al:0.20%以下
Alは、脱酸元素であり、また、結晶粒を微細化する元素である。0.20%を超えると、粗大な酸化物系介在物が生成し、靭性及び延性が低下するので、Alは0.20%以下が好ましい。結晶粒の微細化効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%がより好ましい。
Cr:3.50%以下
Crは、焼入れ性を高めて、強度や硬さの確保に有効な元素である。3.50%を超えると、靱性及び延性が低下するので、Crは3.50%以下が好ましい。より好ましくは2.50%以下である。Crの添加効果を確保する点で、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましい。
Mo:0.85%以下
Moは、焼入れ性を高めて強度や硬さの確保に有効な元素である。また、Moは、炭化物を形成して、焼戻し軟化抵抗の向上に寄与する元素である。0.85%を超えると、過冷組織が生じ、靱性及び延性が低下するので、Moは0.85%以下が好ましい。より好ましくは0.65%以下である。Moの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Ni:4.50%以下
Niは、焼入れ性を高めて、強度や硬さの確保に有効な元素である。4.50%を超えると、靱性及び延性が低下するので、Niは4.50%以下が好ましい。より好ましくは3.50%以下である。Niの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Nb:0.20%以下
Nbは、炭化物、窒化物、及び/又は、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化抑制や焼戻し軟化抵抗の向上に寄与する元素である。0.20%を超えると、靱性及び延性が低下するので、Nbは0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下である。Nbの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
V:0.45%以下
Vは、炭化物、窒化物、及び/又は、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化抑制や焼戻し軟化抵抗の向上に寄与する元素である。0.45%を超えると、靱性及び延性が低下するので、Vは0.45%以下が好ましい。より好ましくは0.35%以下である。Vの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
W:0.30%以下
Wは、焼入れ性を高めて、強度や硬さの確保に有効な元素である。また、Wは、炭化物を形成して、焼戻し軟化抵抗の向上に寄与する元素である。0.30%を超えると、過冷組織が生じ、靱性及び延性が低下するので、Wは0.30%以下が好ましい。より好ましくは0.25%以下である。Wの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
B:0.006%以下
Bは、焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する元素である。また、Bは、オーステナイト粒界に偏析して、Pの粒界偏析を抑制し、疲労強度の向上に寄与する元素である。0.006%を超えると、靱性が低下するので、Bは0.006%以下が好ましい。より好ましくは0.004%以下である。Bの添加効果を確保する点で、0.0005%以上が好ましく、0.001%以上がより好ましい。
N:0.060%以下
Nは、微細な窒化物を形成して結晶粒を微細化し、強度及び靭性の向上に寄与する元素である。0.060%を超えると、窒化物が過剰に生成して、靱性が劣化するので、Nは0.060%以下が好ましい。より好ましくは0.040%以下である。Nの添加効果を確保する点で、0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましい。
Ti:0.25%以下
Tiは、微細なTi窒化物を形成して結晶粒を微細化し、強度及び靭性の向上に寄与する元素である。0.25%を超えると、Ti窒化物が過剰に生成し、靱性が低下するので、Tiは0.25%以下が好ましい。より好ましくは0.15%以下である。Tiの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Cu:0.50%以下
Cuは、耐食性の向上に寄与する元素である。0.50%を超えると、熱間延性が低下し、割れや疵が発生するので、Cuは0.50%以下が好ましい。より好ましくは0.30%以下である。Cuの添加効果を確保する点で、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましい。
Pb:0.45%以下
Pbは、快削性の向上に寄与する元素である。0.45%を超えると、靱性が低下するので、Pbは0.45%以下が好ましい。より好ましくは0.30%以下である。Pbの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Bi:0.20%以下
Biは、快削性の向上に寄与する元素である。0.20%を超えると、靱性が低下するので、Biは0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.16%以下である。Biの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Te:0.010%以下
Teは、快削性の向上に寄与する元素である。0.010%を超えると、靱性が低下するので、Teは0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.006%以下である。Teの添加効果を確保する点で、0.005%以上が好ましく、0.010%以上がより好ましい。
Sb:0.20%以下
Sbは、耐硫酸性及び耐塩酸性を主体とする耐食性の向上、及び、快削性の向上に寄与する元素である。0.20%を超えると、靱性が低下するので、Sbは0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.15%以下である。Sbの添加効果を確保する点で、0.01%以上が好ましく、0.03%以上がより好ましい。
Mg:0.010%以下
Mgは、快削性の向上に寄与する元素である。0.010%を超えると、靱性が低下するので、Mgは0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.006%以下である。Mgの添加効果を確保する点で、0.0005%以上が好ましく、0.0010%以上がより好ましい。
Ca:0.010%以下
Caは、脱酸元素であり、脱酸反応で、凝集合し易い低融点のCaO−Al23系介在物を形成する元素である。0.010%を超えると、Al23系介在物が、低融点のCaO−Al23系介在物に複合化して粗大化し、粗大化したCaO−Al23系介在物は、圧延温度で液相化せず、粗大なまま鋼中に残存するので、Caは0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.006%以下である。
Caは、少ないほど好ましいので、下限は限定しないが、不可避的に0.0001%程度は残存するので、実用鋼上、0.0001%が実質的な下限である。
REM:0.010%以下
REM(希土類元素、La、Ce、Pr、及び、Ndの1種又は2種以上)は、Al又はAl−Siで十分に脱酸した溶鋼において、溶鋼中のCaOや、介在物中のCaOを還元して、CaO−Al23系介在物を改質する作用をなす元素である。0.010%を超えると、介在物中に、REM濃度の高い低融点の化合物相が出現し、介在物の凝集合が助長されて、粗大な介在物が生成するので、REMは0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.007%以下である。
Al又はAl−Siで十分に脱酸した溶鋼において、REMの添加効果を確保する点で、0.0005%以上が好ましく、0.0010%以下がより好ましい。
O:0.003%以下
Oは、酸化物を形成する元素である。0.003%を超えると、粗大な酸化物が生成し、転動疲労寿命が低下するので、Oは0.003%以下が好ましい。より好ましくは0.002%以下である。下限は0%を含むが、Oを0.0001%以下に低減すると、精錬コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.0001%が実質的な下限である。
溶鋼の成分組成において、残部はFe及び不可避的不純物である。不可避的不純物は、鋼原料から及び/又は製鋼過程で不可避的に混入する元素であり、溶鋼の特性、さらに、溶鋼を鋳造した鋼の特性を阻害しない範囲で許容される元素である。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。そのため、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す成分組成の溶鋼に、転炉による一次精錬、LF処理及びRH処理による二次精錬を施し、連続鋳造して鋼を製造した。
具体的には、270t転炉で一次精錬を施した溶鋼を出鋼する際、溶鋼を、Si、Mn、Alの1種又は2種以上にて脱酸し、脱酸した溶鋼に、所定のスラグ組成を用いるLF処理で二次精錬を施し、次いで、RH処理で成分組成を調整し、清浄化処理を施した後、連続鋳造して鋳片とした。この鋳片を、加熱炉にて加熱保持した後、分塊圧延に供し鋼片とした。
上記鋼片において、極値統計法により、予測面積30000mm2における非金属介在物の極値統計最大予測径[μm]を推定した。極値統計による介在物の最大予測径(√area(max)の推定は、例えば、「金属疲労 微小欠陥と介在物の影響」(村上敬宜著、養賢堂、1993年発行、p.223−239)に記載の方法により行うことができる。用いた方法は、二次元的検査により、一定面積内で観察される最大介在物径を推定するという二次元的手法である。
上記極値統計法を用いて、鋼片のL断面(ルーズ面の中心線と、この対向面の中心線、及び、鋳片の中心線を含む断面)のルーズ面側の1/4の位置から試料を採取して、光学顕微鏡で撮像した非金属介在物の画像から、検査基準面:100mm2(10×10mm)、検査視野:16、予測を行う面積30000mm2の介在物の最大予測径√area(max)を算出した。
具体的には、観察で得られた介在物の最大径の16個のデータ(16視野のデータ)を上記文献に記載の方法に従い、極値確率用紙にプロットして、最大介在物分布直線(最大介在物と極値統計基準化変数の一次関数)を求め、最大介在物分布直線を外挿することにより、面積:30000mm2における介在物の最大予測径√area(max)を推定した。
上記推定及び算出の結果を、表1に併せて示す。
Figure 2018127670
発明例No.1〜20は、復圧時の溶鋼環流ガス流量が適正範囲内であるので、極値統計による最大予測粒径が16〜29μmで、良好な値を示している。比較例No.23、24、27、30、及び、33は、復圧時の溶鋼環流ガス流量が上限値から外れているので、極値統計最大予測粒径に改善が見られない。
比較例No.21、22、25、26、28、29、31、及び、32は、復圧時の溶鋼環流ガス流量が下限値から外れているので、浸漬管に環流ガスを吹き込む管に溶鋼が差し込んでしまい、次のRH処理以降、適切な溶鋼環流ガス流量が得られず、適正な操業の継続が困難になった。
以上のとおり、発明例では、従来操業の比較例に比較し、介在物の粗大化が抑制されているので、機械特性に優れた鋼が得られることは明らかである。
前述したように、本発明によれば、真空脱ガス処理の復圧時、溶鋼環流の流速を最適化して、CaO含有介在物の溶鋼への混入を抑制できるので、鋼中の介在物の量及び大きさを低減することができ、機械特性に優れた鋼を提供することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。

Claims (6)

  1. C、Si、Mn、P、及び、Sを含有する溶鋼に真空槽と浸漬管を備える脱ガス装置で真空脱ガス処理を施して、溶鋼を精錬する精錬方法において、
    真空脱ガス処理の終了後、真空槽内の減圧状態を大気圧へ復圧する際、復圧開始前に、浸漬管から溶鋼中に供給する溶鋼1t当たりの環流ガス流量V[Nm3/t/分]を、下記式(1)を満たすように制御して復圧する
    ことを特徴とする溶鋼の精錬方法。
    Figure 2018127670
    A[m2]:浸漬管内にガスを供給する管の断面積
    ρFe[kg/m3]:溶鋼密度
    ρg[kg/m3]:環流ガス密度
    g[m/秒2]:重力加速度
    h[m]:溶鋼ヘッド
    0[Pa]:真空槽内圧力
    N[本]:浸漬管内にガスを供給するガス管の本数
    M[t]:取鍋内の溶鋼重量
    0[Nm3/t/分]:脱ガス処理中の溶鋼環流ガス流量
  2. 前記真空脱ガス処理をRH式精錬装置で行うことを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
  3. 前記RH式精錬装置で復圧を行なう際、復圧用ガスを、溶鋼環流ガスを吹き込む部位、及び、真空槽内に直接供給する部位の一方又は両方から供給することを特徴とする請求項2に記載の溶鋼の精錬方法。
  4. 前記復圧用ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項3に記載の溶鋼の精錬方法。
  5. 前記溶鋼が、質量%で、C:1.20%以下、Si:3.00%以下、Mn:1.60%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶鋼の精錬方法。
  6. 前記溶鋼が、さらに、質量%で、Al:0.20%以下、Cr:3.50%以下、Mo:0.85%以下、Ni:4.50%以下、Nb:0.20%以下、V:0.45%以下、W:0.30%以下、B:0.006%以下、N:0.060%以下、Ti:0.25%以下、Cu:0.50%以下、Pb:0.45%以下、Bi:0.20%以下、Te:0.010%以下、Sb:0.20%以下、Mg:0.010%以下、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下、O:0.003%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の溶鋼の精錬方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114540581A (zh) * 2022-02-28 2022-05-27 广东韶钢松山股份有限公司 一种rh真空处理的调控方法

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